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資 料 1 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 3 号 及 び4 号 炉 の 審 査 書 案 に 対 する 意 見 募 集 の 結 果 等 及 び 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 について( 案 ) 平 成 29 年 1 月 18 日 原 子 力 規 制 委 員 会 1. 経 緯 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 平 成 25 年 7 月 12 日 に 九 州 電 力 株 式 会 社 から 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 ( 以 下 「 原 子 炉 等 規 制 法 」という。) 第 4 3 条 の3の8 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 提 出 された 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 を 受 理 した。また、 平 成 28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 1 月 5 日 に、 同 社 から 当 委 員 会 に 対 し 同 申 請 の 補 正 書 の 提 出 がな された。 当 委 員 会 は、 本 申 請 について、 審 査 会 合 等 において 審 査 を 進 めてきたところ、 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の8 第 2 項 において 準 用 する 同 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 各 号 のいずれにも 適 合 しているものと 認 められることから、 審 査 の 結 果 の 案 を 取 りま とめ( 平 成 28 年 11 月 9 日 原 子 力 規 制 委 員 会 )、 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 の 募 集 を 行 う とともに、 原 子 力 委 員 会 及 び 経 済 産 業 大 臣 の 意 見 を 聴 取 した。 今 般 、 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 の 募 集 並 びに 原 子 力 委 員 会 及 び 経 済 産 業 大 臣 への 意 見 聴 取 の 結 果 を 踏 まえ、 当 該 設 置 変 更 許 可 の 可 否 について 判 断 を 行 うこととす る。 2. 申 請 書 に 関 する 審 査 書 案 に 対 する 意 見 募 集 の 結 果 (1) 意 見 募 集 の 概 要 1) 期 間 : 平 成 28 年 11 月 10 日 ~ 平 成 28 年 12 月 9 日 (30 日 間 ) 2) 対 象 : 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 (3 号 及 び4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書 ( 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 るもの)、 第 3 号 及 び 第 4 号 関 連 )( 案 )に 対 す る 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 (2) 御 意 見 の 総 数 4,200 件 ※ 御 意 見 は 原 子 力 規 制 委 員 会 のホームページに 掲 載 予 定 です。 1
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資 料 1<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 3 号 及 び4 号 炉 の 審 査 書 案 に 対 する<br />
意 見 募 集 の 結 果 等 及 び 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 について( 案 )<br />
平 成 29 年 1 月 18 日<br />
原 子 力 規 制 委 員 会<br />
1. 経 緯<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 平 成 25 年 7 月 12 日 に 九 州 電 力 株 式 会 社 から 核 原 料 物 質 、<br />
核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 ( 以 下 「 原 子 炉 等 規 制 法 」という。) 第 4<br />
3 条 の3の8 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 提 出 された 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉<br />
設 置 変 更 許 可 申 請 書 を 受 理 した。また、 平 成 28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、11 月 4<br />
日 及 び 平 成 29 年 1 月 5 日 に、 同 社 から 当 委 員 会 に 対 し 同 申 請 の 補 正 書 の 提 出 がな<br />
された。<br />
当 委 員 会 は、 本 申 請 について、 審 査 会 合 等 において 審 査 を 進 めてきたところ、 原<br />
子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の8 第 2 項 において 準 用 する 同 法 第 43 条 の3の6 第 1 項<br />
各 号 のいずれにも 適 合 しているものと 認 められることから、 審 査 の 結 果 の 案 を 取 りま<br />
とめ( 平 成 28 年 11 月 9 日 原 子 力 規 制 委 員 会 )、 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 の 募 集 を 行 う<br />
とともに、 原 子 力 委 員 会 及 び 経 済 産 業 大 臣 の 意 見 を 聴 取 した。<br />
今 般 、 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 の 募 集 並 びに 原 子 力 委 員 会 及 び 経 済 産 業 大 臣 への<br />
意 見 聴 取 の 結 果 を 踏 まえ、 当 該 設 置 変 更 許 可 の 可 否 について 判 断 を 行 うこととす<br />
る。<br />
2. 申 請 書 に 関 する 審 査 書 案 に 対 する 意 見 募 集 の 結 果<br />
(1) 意 見 募 集 の 概 要<br />
1) 期 間 : 平 成 28 年 11 月 10 日 ~ 平 成 28 年 12 月 9 日 (30 日 間 )<br />
2) 対 象 : 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申<br />
請 書 (3 号 及 び4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書 ( 核 原 料<br />
物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 第 43 条 の3の6 第 1<br />
項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 るもの)、 第 3 号 及 び 第 4 号 関 連 )( 案 )に 対 す<br />
る 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見<br />
(2) 御 意 見 の 総 数<br />
4,200 件<br />
※ 御 意 見 は 原 子 力 規 制 委 員 会 のホームページに 掲 載 予 定 です。<br />
1
(3) 御 意 見 に 対 する 回 答<br />
寄 せられた 御 意 見 については、 以 下 のとおりとりまとめた。<br />
( 別 紙 1) 審 査 書 ( 案 )に 対 する 御 意 見 への 考 え 方<br />
( 別 紙 2)その 他 の 御 意 見 について<br />
3. 審 査 書 について<br />
審 査 書 については、 寄 せられた 御 意 見 を 踏 まえ、 別 紙 3のとおりとする。 当 該 申 請<br />
が 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 るものに 限 る。)、<br />
第 3 号 及 び 第 4 号 に 適 合 しているものと 認 められるとの 結 論 に 変 更 は 無 い。<br />
4. 原 子 力 委 員 会 への 意 見 聴 取 の 結 果<br />
原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の8 第 2 項 において 準 用 する 同 法 第 43 条 の3の6 第<br />
3 項 に 基 づき、 同 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 1 号 に 規 定 する 許 可 の 基 準 の 適 用 につ<br />
いて 原 子 力 委 員 会 の 意 見 を 聴 いたところ、 別 紙 4のとおり「 本 件 申 請 については、<br />
( 略 ) 発 電 用 原 子 炉 が 平 和 の 目 的 以 外 に 利 用 されるおそれがないものと 認 められる<br />
とする 原 子 力 規 制 委 員 会 の 判 断 は 妥 当 である」との 回 答 があった。<br />
5. 経 済 産 業 大 臣 への 意 見 聴 取 の 結 果<br />
原 子 炉 等 規 制 法 第 71 条 第 1 項 に 基 づき、 経 済 産 業 大 臣 の 意 見 を 聴 いたところ、<br />
別 紙 5のとおり「 許 可 することに 異 存 はない」との 回 答 があった。<br />
6. 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 処 分 の 取 扱 いについて<br />
以 上 を 踏 まえ、 本 申 請 が 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 各 号 に 規 定 する<br />
許 可 の 基 準 のいずれにも 適 合 していると 認 められることから、 同 法 第 43 条 の3の8<br />
第 1 項 の 規 定 に 基 づき、 設 置 変 更 の 許 可 を 別 紙 6のとおり 行 うこととする。<br />
2
平 成 25 年 7 月 12 日<br />
平 成 28 年 9 月 20 日<br />
平 成 28 年 10 月 28 日<br />
平 成 28 年 11 月 4 日<br />
平 成 28 年 11 月 9 日<br />
平 成 28 年 12 月 20 日<br />
平 成 28 年 12 月 20 日<br />
平 成 29 年 1 月 5 日<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 玄 海 原 子 力 発 電 所 3 号 及 び 4 号 炉 の 設 置 変 更 許 可<br />
申 請 書 を 提 出<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 当 該 設 置 変 更 許 可 申 請 の 補 正 書 を 提 出<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 当 該 設 置 変 更 許 可 申 請 の 補 正 書 を 提 出<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 当 該 設 置 変 更 許 可 申 請 の 補 正 書 を 提 出<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 当 該 設 置 変 更 許 可 申 請 に 対 する 審 査 の 結 果 の 案<br />
をとりまとめ、 審 査 書 案 に 対 する 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 の 募 集 の 実 施 を 了<br />
承 、 原 子 力 委 員 会 、 経 済 産 業 大 臣 への 意 見 聴 取 の 実 施 を 決 定<br />
経 済 産 業 大 臣 から 意 見 聴 取 に 対 する 回 答 を 受 領<br />
原 子 力 委 員 会 から 意 見 聴 取 に 対 する 回 答 を 受 領<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 当 該 設 置 変 更 許 可 申 請 の 補 正 書 を 提 出 ( 内 容 の 変<br />
更 を 伴 わない 補 正 )<br />
< 資 料 ><br />
別 紙 1 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 (3 号 及 び 4<br />
号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書 ( 案 )に 対 する 御 意 見 への 考 え 方<br />
別 紙 2 その 他 の 御 意 見 について<br />
別 紙 3 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 (3 号 及 び 4<br />
号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書 ( 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の<br />
規 制 に 関 する 法 律 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 るもの)、 第 3 号 及 び 第<br />
4 号 関 連 )( 修 正 案 )<br />
別 紙 4 原 子 力 委 員 会 からの 回 答<br />
別 紙 5 経 済 産 業 大 臣 からの 回 答<br />
別 紙 6 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 ( 案 )<br />
参 考 資 料 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 (3 号 及 び 4<br />
号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書 ( 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の<br />
規 制 に 関 する 法 律 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 るもの)、 第 3 号 及 び 第<br />
4 号 関 連 )( 修 正 案 )(11 月 9 日 意 見 募 集 版 からの 変 更 見 え 消 し)<br />
机 上 参 考 資 料 審 査 書 案 に 対 する 御 意 見 一 覧<br />
3
別 紙 1<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書<br />
(3 号 及 び4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書 ( 案 )に 対 する 御 意 見 への 考 え 方<br />
平 成 29 年 1 月
Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 原 子 炉 が 立 地 する 地 域 住 民 の 安 全 は、 最 大 限 優 先 されなければな<br />
りません。 本 基 準 案 では、 装 置 内 部 と 構 内 の 職 員 の 安 全 だけが 評<br />
価 されています。 地 域 住 民 の 安 全 な 避 難 経 路 の 検 討 およびその 体<br />
制 を 確 立 しない 限 り 運 転 は 認 めるべきではありません。しかも、<br />
これを 自 治 体 に 丸 投 げするこれまでの 姿 勢 が 大 きな 問 題 だと 考<br />
えます。<br />
考 え 方<br />
‣ 本 項 目 では、 原 子 力 事 業 者 の 技 術 的 能 力 に 関 する 審 査 指 針 に 基 づ<br />
き、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 について6 項 目 に 整 理 し<br />
て、 同 指 針 への 適 合 性 について 確 認 しています。<br />
なお、 原 子 力 防 災 については、 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 に 基<br />
づき、 対 策 が 講 じられます。<br />
‣ 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 時 に、 放 射 性 物 質 による 被 曝 の 恐 れがある<br />
中 での 作 業 に 従 事 する 技 術 者 及 び 作 業 員 の 確 保 に 法 的 な 保 障 が<br />
存 在 せず、 規 制 基 準 にもそれら 人 員 の 確 保 を 確 認 する 基 準 がない<br />
のは、 重 大 な 瑕 疵 であり、 本 件 審 査 書 案 は 撤 回 すべきである。 九<br />
州 電 力 が 重 大 事 故 時 の 作 業 従 事 について 社 員 や 下 請 け 作 業 員 、 関<br />
係 メーカー 社 員 等 に 対 し、 意 向 確 認 を 行 ったかどうかは 報 道 され<br />
ていないようだが、 意 向 を 確 認 したとしても 実 際 の 事 故 時 に 放 射<br />
性 物 質 による 被 曝 を 強 要 することはできない。 重 大 事 故 時 の 法 的<br />
裏 付 けのある 人 員 確 保 がなされていない 現 状 においては 設 置 変<br />
更 許 可 を 出 すことはあってはならない。<br />
‣ 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 な 要 員 を 確 保 するための<br />
具 体 的 な 対 応 については、『Ⅳ-2 重 大 事 故 等 に 対 処 するため<br />
の 手 順 等 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基<br />
準 1.0 項 関 係 )』に 記 載 しています。<br />
なお、 重 大 事 故 等 の 発 生 時 には 重 大 事 故 等 対 策 要 員 等 に 過 度 な<br />
被 ばくが 無 いこと、 重 大 事 故 等 対 策 要 員 等 については、 必 要 な 人<br />
員 を 確 保 するととともに 必 要 な 訓 練 を 行 うこと、 重 大 事 故 が 発 生<br />
した 場 合 、 緊 急 時 対 策 所 において、 放 射 線 防 護 措 置 により 重 大 事<br />
故 等 対 策 要 員 等 がとどまることができることを 確 認 しています。<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
【 基 準 地 震 動 の 策 定 について】<br />
‣ 2007 年 の 中 越 沖 地 震 の 1699 ガル、2008 年 の 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震<br />
4360 ガル、2016 年 4 月 の 熊 本 地 震 の 1580 ガルを 踏 まえると、そ<br />
のような 地 震 がこないという 科 学 的 根 拠 はなく、 基 準 地 震 動 を 最<br />
大 620 ガル 程 度 に 引 き 上 げているが、 過 小 評 価 である。<br />
‣ 環 太 平 洋 造 山 帯 ( 火 山 帯 )の 一 角 にある、 玄 海 原 発 は 地 震 動 に 対<br />
考 え 方<br />
【 基 準 地 震 動 の 策 定 について】<br />
‣ 地 震 動 に 影 響 を 及 ぼす 震 源 、 地 質 構 造 、 伝 播 特 性 等 は 敷 地 ごとに<br />
異 なるため、 過 去 にいずれかの 地 域 で 発 生 した 最 大 の 地 震 を 全 て<br />
の 発 電 所 に 対 して 一 律 の 地 震 動 として 適 用 するのではなく、 発 電<br />
所 ごとに 評 価 することを 要 求 しています。また、 地 表 における 観<br />
測 値 を 用 いて 地 震 動 評 価 を 行 うのではなく、 敷 地 の 地 下 構 造 を 踏<br />
1
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
する 対 策 が 十 分 といえるのか。<br />
‣ 1995 年 ~2008 年 に 発 生 した Mw6.6~6.9 の 地 震 動 データは<br />
620gal/0.02s≑1500gal/0.1~0.5s を 大 きく 超 えている 地 震 が 数<br />
10 例 以 上 あることを 示 しており、 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 基 準 地 震 動<br />
が 過 小 評 価 であることは 明 らかである。<br />
‣ 基 準 地 震 動 は 平 均 像 に 過 ぎず 過 小 である。 日 本 の 地 震 特 性 を 考 慮<br />
して 規 模 を 想 定 するべきである。<br />
‣ 地 震 はいつ 起 こるかわからない。<br />
‣ 地 震 の 規 模 は 予 測 不 可 能 。<br />
‣ 熊 本 地 震 を 分 析 し、 長 周 期 地 震 への 対 策 も 検 討 すべき。<br />
‣ 基 準 地 震 動 シミュレーション(クロスチェック)の 資 料 が、 公 開<br />
されておらず、 策 定 経 緯 の 透 明 性 に 問 題 がある。<br />
考 え 方<br />
まえ、ほぼ 水 平 で 相 当 な 拡 がりを 持 って 想 定 される 硬 質 地 盤 の 自<br />
由 表 面 である 解 放 基 盤 表 面 ( 審 査 書 ( 案 )「Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動<br />
1. 地 下 構 造 モデル (1) 解 放 基 盤 表 面 の 設 定 」を 参 照 )におけ<br />
る 評 価 を 行 うことを 要 求 しています。<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 地 震 動 評 価 の 内 容 につい<br />
て 審 査 した 結 果 、 本 申 請 における 基 準 地 震 動 は、 各 種 の 不 確 かさ<br />
を 考 慮 して、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 踏 まえ、 敷 地 及 び 敷 地 周<br />
辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 、 地 盤 構 造 並 びに 地 震 活 動 性 等 の 地 震 学 及 び<br />
地 震 工 学 的 見 地 から 適 切 に 策 定 していることから、 解 釈 別 記 2の<br />
規 定 に 適 合 していることを 確 認 しています。<br />
なお、 審 査 においては、 基 準 地 震 動 の 策 定 に 係 る 全 プロセス( 評<br />
価 条 件 、 評 価 経 過 及 び 評 価 結 果 )を 確 認 することにより、その 妥 当<br />
性 を 評 価 しており、 事 業 者 の 行 った 計 算 の 詳 細 を 検 証 する 必 要 は<br />
なく、 現 行 の 審 査 のやり 方 に 問 題 はないと 考 えています。<br />
【 検 討 用 地 震 の 選 定 について】<br />
‣ 近 年 の 日 本 における 地 震 発 生 状 況 に 鑑 み、 玄 海 原 子 力 発 電 所 付 近<br />
で 想 定 される 地 震 についても 十 分 検 討 すべき。<br />
‣ 玄 海 原 子 力 発 電 所 に 近 い 日 向 峠 ― 小 笠 峠 断 層 、 前 原 断 層 、 糸 島 断<br />
層 や 佐 賀 平 野 を 震 源 とする 大 地 震 への 対 策 をすべき。<br />
‣ 南 海 トラフ 地 震 に 対 する 検 討 をすべき。<br />
‣ 玄 海 周 辺 の 横 ずれ 主 体 の 地 震 発 生 様 式 を 鑑 みると、 逆 断 層 による<br />
地 震 である 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 Mw5.7 の 地 震 ではなく、 横 ずれ 卓<br />
越 の 福 岡 西 方 沖 地 震 Mw6.6 等 で 基 準 地 震 動 のシミュレーションを<br />
すべきではないか。<br />
【 検 討 用 地 震 の 選 定 について】<br />
‣ 解 釈 別 記 2は、 地 震 動 評 価 に 当 たって、 内 陸 地 殻 内 地 震 、プレート<br />
間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 について、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与<br />
えると 予 想 される 地 震 を 検 討 用 地 震 として 複 数 選 定 することを 要<br />
求 しています。<br />
申 請 者 は、 検 討 用 地 震 の 選 定 に 当 たって、 内 陸 地 殻 内 地 震 につ<br />
いては、 福 岡 県 西 方 沖 地 震 等 の 過 去 の 被 害 地 震 並 びに 日 向 峠 - 小<br />
笠 木 峠 断 層 帯 、 糸 島 半 島 沖 断 層 群 ( 前 原 断 層 を 含 む) 及 び 佐 賀 平 野<br />
北 縁 断 層 帯 を 含 めた 活 断 層 から 想 定 される 地 震 について、 地 震 規<br />
模 と 震 央 距 離 及 び 敷 地 で 想 定 される 震 度 の 関 係 による 比 較 や Noda<br />
et al.(2002)の 方 法 により 求 めた 応 答 スペクトルの 比 較 を 行 い、<br />
2
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 えると 予 想 される2つの 活 断 層 ( 竹 木 場 断<br />
層 、 城 山 南 断 層 )による 地 震 を 検 討 用 地 震 として 選 定 しています。<br />
また、 南 海 トラフ 地 震 のようなプレート 間 地 震 、 海 洋 プレート 内<br />
地 震 については、 発 生 位 置 から 敷 地 までの 距 離 が 十 分 に 離 れてい<br />
ることを 踏 まえると、 敷 地 における 揺 れは、 建 物 等 に 被 害 が 発 生<br />
するとされる 震 度 5 弱 (1996 年 以 前 は 震 度 Ⅴ) 程 度 以 上 とは 推 定<br />
されず、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 える 地 震 ではないことから、 検 討<br />
用 地 震 として 選 定 していません。<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 検 討 用 地 震 の 選 定 に 係<br />
る 評 価 は、 活 断 層 の 性 質 や 地 震 発 生 状 況 を 精 査 し、 既 往 の 研 究 成<br />
果 等 を 総 合 的 に 検 討 することにより 検 討 用 地 震 を 複 数 選 定 してい<br />
ることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 してい<br />
ます。<br />
【 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 について】<br />
‣ 熊 本 地 震 では、 布 田 川 ・ 日 奈 久 断 層 の 活 動 により、 過 去 の 調 査 で<br />
は 発 見 できなかった 新 たな 分 岐 断 層 が 確 認 されていることから、<br />
玄 海 周 辺 でも 徹 底 した 再 調 査 が 必 要 である。<br />
‣ 活 断 層 は 未 発 見 のものが 沢 山 あると 専 門 家 が 言 っている。<br />
‣ 日 本 は 活 断 層 が 多 く、 大 地 震 の 起 る 可 能 性 大 。<br />
‣ 日 本 はどこでも 地 震 が 発 生 する 可 能 性 があるとの 地 震 専 門 家 の 指<br />
摘 について 考 慮 するべき。<br />
‣ 日 比 水 道 に 右 横 ずれの 大 きな 断 層 が 存 在 すると 考 えられる。<br />
【 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 について】<br />
‣ 申 請 者 は、 陸 域 については、 文 献 調 査 、 変 動 地 形 学 的 調 査 、 地 表 地<br />
質 調 査 等 を 実 施 し、 海 域 については、 文 献 調 査 のほか、 海 上 音 波 探<br />
査 及 び 他 機 関 によって 実 施 された 海 上 音 波 探 査 記 録 の 再 解 析 並 び<br />
に 海 上 ボーリング 調 査 を 行 い、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 を 抽 出<br />
し、 活 断 層 の 位 置 、 形 状 等 を 評 価 しており、 原 子 力 規 制 委 員 会 とし<br />
ては、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 しています。<br />
また、 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 震 源 と 活 断 層 を 関 連 づける<br />
ことが 困 難 な 過 去 の 内 陸 地 殻 内 の 地 震 について 得 られた 震 源 近 傍<br />
における 観 測 記 録 を 収 集 し、これらを 基 に、 各 種 の 不 確 かさを 考<br />
慮 して 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 を 策 定 していることを 確 認<br />
しています。<br />
3
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
【 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 評 価 について】<br />
‣ 地 震 想 定 の 基 準 地 震 動 は 平 均 像 にすぎず、 明 らかに 過 少 評 価 であ<br />
る。 平 均 ではなく 可 能 性 のある 最 高 値 を 想 定 すべき。<br />
‣ 入 倉 ・ 三 宅 式 により 地 震 モーメントを 算 出 する 場 合 、その 数 値 は<br />
平 均 値 であるためばらつきを 考 慮 すべき。また、 壇 ほかの 式 によ<br />
り 短 周 期 レベルを 算 出 する 場 合 、 過 小 評 価 となっているため、 片<br />
岡 ほかの 式 を 採 用 すべき。<br />
‣ 入 倉 ・ 三 宅 式 は 世 界 の 地 震 の 平 均 であり 日 本 の 地 震 特 性 とは 合 致<br />
しない。 日 本 の 地 震 特 性 を 考 慮 すれば 武 村 式 を 採 用 すべき。<br />
‣ 島 崎 元 原 子 力 規 制 委 員 会 委 員 は、 熊 本 地 震 を 踏 まえて「 入 倉 ・ 三<br />
宅 式 による 地 震 動 は 過 小 評 価 」との 警 告 を 発 し、 原 子 力 規 制 委 員<br />
会 ・ 庁 は 7 月 13 日 に、 大 飯 原 発 の 地 震 動 を 武 村 式 で 再 計 算 した 結<br />
果 を 公 表 した。その 結 果 、 武 村 式 に 置 き 換 えて 計 算 すれば、 地 震<br />
動 は 1.8 倍 になることが 判 明 した。 大 飯 原 発 も、 基 準 地 震 動 は 入<br />
倉 ・ 三 宅 式 で 計 算 されており、 武 村 式 で 計 算 すると 約 1800 ガルと<br />
なる。 政 府 の 地 震 調 査 委 員 会 も、 入 倉 ・ 三 宅 式 では 地 震 の 規 模 や<br />
揺 れを 小 さく 見 積 もる 恐 れがあることを 認 めている。<br />
【 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 評 価 について】<br />
‣ 大 飯 発 電 所 の 地 震 動 について、 島 﨑 元 委 員 長 代 理 の 指 摘 を 踏 まえ、<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 の 指 示 に 基 づき、 原 子 力 規 制 庁 が、 地 震 モーメ<br />
ントを 入 倉 ・ 三 宅 式 とは 別 の 式 である 武 村 (1998)の 式 に 置 き 換 え、<br />
他 を 関 西 電 力 と 同 じ 条 件 で 試 算 しようと 試 みました。しかし、ア<br />
スペリティの 総 面 積 が 震 源 断 層 の 総 面 積 より 大 きくなり、アスペ<br />
リティは 震 源 断 層 の 一 部 であるべきこととの 矛 盾 が 発 生 するな<br />
ど、 地 震 動 評 価 のための 科 学 的 に 適 切 な 震 源 モデルを 作 成 するこ<br />
とができず、 地 震 動 への 影 響 を 議 論 できる 結 果 を 得 られませんで<br />
した。<br />
また、 震 源 断 層 の 詳 細 な 調 査 結 果 を 用 いて、レシピで 採 用 され<br />
ている 各 式 以 外 の 式 による 方 法 で 基 準 地 震 動 を 作 成 するというア<br />
プローチについては、どのように 保 守 性 を 確 保 していくかに 関 し、<br />
妥 当 な 方 法 が 現 時 点 で 明 らかになっているとは 言 えず、 規 制 にお<br />
いて 要 求 又 は 推 奨 すべきアプローチとして 位 置 付 けるまでの 科 学<br />
的 ・ 技 術 的 な 熟 度 には 至 っていないと 考 えています。 地 震 動 の 計<br />
算 方 法 高 度 化 については、まずは、 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 のよう<br />
な 場 で 議 論 されるべきであり、そこでの 検 討 結 果 も 含 め、 新 たな<br />
知 見 が 得 られれば、 原 子 力 発 電 所 の 規 制 にどのように 取 り 入 れる<br />
かについて、 原 子 力 規 制 委 員 会 として 適 切 に 判 断 していきます。<br />
‣ 断 層 の 末 端 について 十 分 な 資 料 はなく、 松 田 式 の 基 となったのは<br />
わずか 14 地 震 で 科 学 的 に 異 論 のない 公 式 と 考 えることはできな<br />
い。 松 田 式 が、 想 定 される 地 震 力 のおおむね 最 大 を 与 えるもので<br />
あると 認 めるには 十 分 な 資 料 はない。<br />
‣ 地 震 ガイドにおいては、 震 源 断 層 のパラメータを、 活 断 層 調 査 結<br />
果 等 に 基 づき、 地 震 調 査 研 究 推 進 本 部 地 震 調 査 委 員 会 による「 震<br />
源 断 層 を 特 定 した 地 震 の 強 震 動 予 測 手 法 (2009)」( 以 下 「レシピ」<br />
という。) 等 の 最 新 の 研 究 成 果 を 考 慮 して 設 定 することを 示 してい<br />
4
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 震 源 断 層 の 長 さの 推 定 には、 沖 野 ・ 隈 元 の 経 験 式 を 適 用 すべきで<br />
はないか。<br />
考 え 方<br />
ます。<br />
また、 解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 の 策 定 過 程 に 伴 う 各 種 の 不 確<br />
かさについては、 敷 地 における 地 震 動 評 価 に 大 きな 影 響 を 与 える<br />
と 考 えられる 支 配 的 なパラメータについて 分 析 した 上 で、 必 要 に<br />
応 じて 不 確 かさを 組 み 合 わせるなど 適 切 な 手 法 を 用 いて 考 慮 する<br />
ことを 要 求 しています。<br />
申 請 者 は、 竹 木 場 断 層 による 地 震 及 び 城 山 南 断 層 による 地 震 を<br />
検 討 用 地 震 として 選 定 し、レシピや 入 倉 ・ 三 宅 (2001) 等 に 基 づき<br />
震 源 モデル 及 び 震 源 特 性 パラメータを 基 本 ケースとして 設 定 し、<br />
「 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 い<br />
た 地 震 動 評 価 」を 実 施 しています。<br />
その 際 、 竹 木 場 断 層 による 地 震 においては、 断 層 長 さについて<br />
は、 地 質 調 査 の 結 果 4.9km と 評 価 しましたが、「 孤 立 した 短 い 活 断<br />
層 」として、 断 層 長 さを 断 層 幅 と 同 様 に 17.3km に 設 定 しています。<br />
また、 傾 斜 角 については、 断 層 面 が 敷 地 に 近 づく 80°に 設 定 し、<br />
アスペリティ 位 置 はレシピより 保 守 的 に 断 層 上 端 に 配 置 していま<br />
す。さらに、この 基 本 ケースに 対 して、 地 震 動 評 価 に 影 響 が 大 きい<br />
と 考 えられるパラメータの 不 確 かさを 考 慮 したケースとして、ア<br />
スペリティの 応 力 降 下 量 ( 短 周 期 レベル)を 基 本 ケースの 1.5 倍<br />
としたケース、 傾 斜 角 を 60°としたケース、 断 層 長 さ 及 び 震 源 断<br />
層 の 広 がりを 考 慮 して 断 層 長 さを 20km としたケースについても<br />
地 震 動 評 価 を 行 っています。<br />
城 山 南 断 層 による 地 震 においては、 断 層 長 さを 地 質 調 査 結 果 に<br />
基 づき 19.5km に 設 定 し、アスペリティ 位 置 をレシピより 保 守 的 に<br />
断 層 上 端 に 配 置 しています。さらに、この 基 本 ケースに 対 して、 地<br />
震 動 評 価 に 影 響 が 大 きいと 考 えられるパラメータの 不 確 かさを 考<br />
5
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
慮 したケースとして、アスペリティの 応 力 降 下 量 ( 短 周 期 レベル)<br />
を 基 本 ケースの 1.5 倍 としたケース、 傾 斜 角 を 60°としたケー<br />
ス、 断 層 長 さ 及 び 震 源 断 層 の 広 がりを 考 慮 して 断 層 長 さを 20km と<br />
したケースについても 地 震 動 評 価 を 行 っています。<br />
なお、「 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」においては、いずれ<br />
の 場 合 も、Noda et al.(2002)の 方 法 における 内 陸 地 殻 内 地 震 の 補<br />
正 係 数 は 適 用 しないものとしています。<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 基 準 地 震 動 の 評 価 は、<br />
不 確 かさを 考 慮 して 基 準 地 震 動 を 策 定 していることから、 解 釈 別<br />
記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 しています。<br />
【 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 評 価 について】<br />
‣ 推 本 は 震 源 を 予 め 特 定 しにくい 地 震 として、 最 小 で Mw6.5 で 策 定<br />
することを 求 めているが、 玄 海 原 子 力 発 電 所 等 では 北 海 道 留 萌 支<br />
庁 南 部 地 震 Mw5.7 での 評 価 となっており、 基 準 地 震 動 の 評 価 は 過<br />
小 である。<br />
‣ 地 震 ガイドに16 地 震 が 提 示 されているにもかかわらず、 観 測 記<br />
録 がないことを 理 由 に2 地 震 しか 採 用 されていないのはおかしい<br />
のでないか。<br />
‣ 熊 本 地 震 では 明 瞭 な 地 震 断 層 が 地 表 に 出 現 しないにもかかわら<br />
ず、1000 ガル(はぎ 取 り 波 ) 超 えの 地 震 動 が 発 生 していた 可 能 性<br />
がある。これは 旧 原 子 力 安 全 基 盤 機 構 による 2005 年 6 月 の 報 告 書<br />
における 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 において、M6.5 の 場 合 、<br />
最 大 1340 ガルの 揺 れの 可 能 性 を 示 していたことと 符 合 する。よっ<br />
て、 玄 海 の 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 620 ガルは 過 小 評 価 で<br />
ある。<br />
【 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 評 価 について】<br />
‣ 解 釈 別 記 2は、「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 震 源<br />
と 活 断 層 を 関 連 付 けることが 困 難 な 過 去 の 内 陸 地 殻 内 の 地 震 につ<br />
いて 得 られた 震 源 近 傍 における 観 測 記 録 を 収 集 ・ 検 討 し、 敷 地 の<br />
地 盤 物 性 に 応 じた 応 答 スペクトルを 設 定 して 策 定 することを 求 め<br />
ています。<br />
そのうち、 震 源 断 層 がほぼ 地 震 発 生 層 の 厚 さ 全 体 に 広 がってい<br />
るものの、 地 表 地 震 断 層 としてその 全 容 を 表 すまでには 至 ってい<br />
ない 地 震 (Mw6.5 以 上 )については、 地 質 学 的 背 景 に 差 はあるもの<br />
の 明 瞭 には 認 められないことから、2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 (Mw6.6)<br />
による 観 測 記 録 を「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」として 採 用<br />
していることを 審 査 で 確 認 しています。また、 断 層 破 壊 領 域 が 地<br />
震 発 生 層 の 内 部 に 留 まり、 国 内 においてどこでも 発 生 すると 考 え<br />
られる 地 震 で、 震 源 の 位 置 も 規 模 もわからない 地 震 として 地 震 学<br />
的 検 討 から 全 国 共 通 に 考 慮 すべき 地 震 (Mw6.5 未 満 の 地 震 )につ<br />
6
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ( 第 4 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
いては、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 (Mw5.7)による 観 測 記<br />
録 を「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」として 採 用 していること<br />
を 審 査 で 確 認 しています。<br />
今 後 、 新 たな 知 見 が 得 られた 場 合 には、 必 要 に 応 じて 発 電 所 の<br />
安 全 性 への 影 響 について 検 討 することとなります。<br />
【 基 準 地 震 動 の 超 過 確 率 について】<br />
‣ 「 入 倉 ・ 三 宅 式 を 用 いた 基 準 地 震 動 の 設 定 は 過 小 評 価 になる」こ<br />
とが、 島 崎 元 原 子 力 規 制 委 員 会 委 員 ほか 多 くの 専 門 家 から 指 摘 さ<br />
れている。 申 請 者 の 見 積 もり「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 す<br />
る 地 震 動 」Ss-1 から Ss-3 の 年 超 過 確 率 は 10 -4 ~10 -6 程 度 、「 震<br />
源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」Ss-4 及 び Ss-5 の 年 超 過 確 率 は<br />
10 -4 ~10 -6 程 度 というのは 極 端 な 過 小 評 価 である。<br />
【 基 準 地 震 動 の 超 過 確 率 について】<br />
‣ 基 準 地 震 動 に 対 する 超 過 確 率 については、 審 査 の 過 程 において、<br />
モデルの 設 定 、ロジックツリー、 根 拠 となるデータ 等 の 具 体 的 な<br />
評 価 方 法 等 を 確 認 しています。<br />
解 釈 別 記 2では、 超 過 確 率 を 参 照 し、 策 定 された 地 震 動 の 応 答 ス<br />
ペクトルがどの 程 度 の 超 過 確 率 に 相 当 するかを 把 握 することを 要<br />
求 しているものであり、 規 制 委 員 会 として 超 過 確 率 の 数 値 の 大 き<br />
さを 基 にして 基 準 への 適 合 性 を 判 断 しているものではありませ<br />
ん。<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針 ( 第 4 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 審 査 書 案 21ページ『 三 -1.3 耐 震 設 計 方 針 、1. 耐 震 重 要 度<br />
分 類 の 方 針 (1) 施 設 の 分 類 設 計 基 準 対 象 施 設 については、 耐 震<br />
重 要 度 に 応 じて、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 及 び 地 震 に 伴 って<br />
発 生 するおそれがある 津 波 による 安 全 機 能 の 喪 失 を 防 止 するた<br />
めに 必 要 となる 施 設 をSクラス、これと 比 べて 安 全 機 能 を 喪 失 し<br />
た 場 合 の 影 響 の 小 さいものをBクラス、これら 以 外 の 一 般 産 業 施<br />
設 、 公 共 施 設 と 同 等 の 安 全 性 が 要 求 される 施 設 をCクラスに 分 類<br />
する。』について。 重 要 な「 施 設 の 分 類 の 見 直 し」が 行 われないま<br />
考 え 方<br />
‣ 外 部 電 源 系 については、 互 いに 独 立 した 2 回 線 以 上 の 電 線 路 を 設<br />
ける 等 の 規 制 基 準 の 強 化 を 行 っています。 審 査 においては、 送 電<br />
鉄 塔 の 倒 壊 等 によって 電 線 路 から 電 源 の 供 給 ができなくなった<br />
場 合 に 備 え、 信 頼 性 の 高 い 所 内 非 常 用 発 電 設 備 を 設 置 する 設 計 と<br />
していることを 確 認 しています。<br />
7
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針 ( 第 4 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
まに、 新 規 制 基 準 が 策 定 された。 第 75 回 適 合 性 審 査 会 合 ( 資<br />
料 2-2)で、 玄 海 原 発 の 開 閉 所 設 備 の 安 全 裕 度 が 説 明 されてい<br />
る。18ページに 玄 海 原 発 の 開 閉 所 設 備 の 安 全 裕 度 が 表 示 されて<br />
いる。3 号 主 変 圧 器 の 最 小 裕 度 部 の 裕 度 は1.59、3 号 所 内 圧<br />
器 の 最 小 裕 度 部 の 裕 度 は1.36、3/4 号 予 備 変 圧 器 の 最 小 裕<br />
度 部 の 裕 度 は1.04、4 号 主 変 圧 器 の 最 小 裕 度 部 の 裕 度 は1.<br />
53、4 号 所 内 圧 器 の 最 小 裕 度 部 の 裕 度 は1.16、となってい<br />
る。Sクラスの 安 全 裕 度 は3.0 以 上 であるが、 開 閉 所 設 備 の 安<br />
全 裕 度 は 極 めて 小 さい。 福 島 第 一 原 発 の 教 訓 はほとんど 生 かされ<br />
ていないと 思 われる。そして、この 審 査 会 合 では、 新 規 制 基 準 の<br />
規 制 値 を 僅 か4%でもクリアーしておれば、 法 律 的 には 何 ら 問 題<br />
ないと 思 われているのか、 九 州 電 力 の 説 明 が 有 っただけで、 審 議<br />
は 全 く 行 われていない。<br />
考 え 方<br />
‣ (21 頁 )3-1.3 耐 震 設 計 方 針 1. 耐 震 重 要 度 分 類 の 方 針<br />
設 置 変 更 許 可 申 請 書 添 付 書 類 八 の 耐 震 重 要 度 分 類 において、 非 常<br />
用 ( 海 水 ) 取 水 設 備 が S クラスでなく C クラスとされていること<br />
は、 事 業 者 による 耐 震 基 本 設 計 の 過 誤 であり、 原 子 力 規 制 委 員 会<br />
による 審 査 の 瑕 疵 である。このような 瑕 疵 のある 審 査 書 案 は 撤 回<br />
すべきである。その 理 由 は 次 のとおりである。 非 常 用 ( 海 水 ) 取 水<br />
設 備 は、 原 子 炉 停 止 後 に 炉 心 から 余 熱 除 去 設 備 、 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
水 設 備 、 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 設 備 を 経 て 輸 送 されてきた 崩 壊 熱<br />
を、 最 終 ヒートシンクである 海 に 放 出 する 上 で 不 可 欠 な 設 備 であ<br />
る。 従 って、 耐 震 重 要 度 分 類 の S クラスのうちの「 原 子 炉 停 止 後 、<br />
炉 心 から 崩 壊 熱 を 除 去 するための 施 設 」ないしはその「 補 助 設 備 」<br />
に 該 当 することは 明 らかである。 安 全 機 能 の 重 要 度 分 類 において<br />
‣ 非 常 用 取 水 設 備 のうち 取 水 ピットは、 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 海<br />
水 ポンプを 支 持 し、また、 取 水 口 、 取 水 管 路 及 び 取 水 ピットは、<br />
海 水 を 取 水 し 海 水 ポンプへ 導 水 するための 流 路 となる 構 造 物 で<br />
す。これらの 設 備 は、 地 震 によるひび 割 れ 等 の 損 傷 があっても 通<br />
水 性 が 損 なわれず、Sクラス 設 備 である 海 水 ポンプの 機 能 を 損 な<br />
うわけではないため、 耐 震 クラスはCクラスとすることを 確 認 し<br />
ています。ただし、 基 準 地 震 動 に 対 して 海 水 ポンプの 支 持 機 能 を<br />
損 なわないこと 及 び 機 器 の 冷 却 に 必 要 な 流 量 を 確 保 できる 設 計<br />
とすることを 確 認 しています。<br />
8
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針 ( 第 4 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
最 上 位 の MS-1 として 明 記 されていることからも、 耐 震 S クラス<br />
でなければ 不 合 理 である。しかし、 玄 海 3、4 号 機 の 非 常 用 取 水<br />
設 備 は 耐 震 C クラスにされており、このことは 耐 震 基 本 設 計 の 明<br />
白 な 誤 りである。<br />
考 え 方<br />
【 地 震 の 繰 り 返 し 荷 重 について】<br />
‣ 玄 海 3、4 号 機 の 審 査 書 案 には、 熊 本 地 震 で 得 られた 繰 り 返 し 地<br />
震 の 発 生 という 新 しい 知 見 と 経 験 は 何 ら 反 映 されていないこ<br />
と、 基 準 地 震 動 規 模 の 繰 り 返 し 地 震 に 対 して 重 要 な 安 全 機 能 を<br />
持 つ 設 備 の 健 全 性 が 損 なわれるおそれがあること、また、 将 来<br />
にわたり 玄 海 原 発 敷 地 において 繰 り 返 し 激 震 が 生 じないことを<br />
科 学 的 に 立 証 することは 現 在 の 地 震 学 ではできないことから、<br />
早 急 に 繰 り 返 し 地 震 を 想 定 するように 耐 震 基 準 の 見 直 しを 行<br />
い、それが 終 わるまでは 審 査 を 保 留 し、 改 訂 された 耐 震 基 準 に<br />
もとづく 審 査 を 求 める。<br />
【 地 震 の 繰 り 返 し 荷 重 について】<br />
‣ 熊 本 地 震 については、 公 表 された 観 測 記 録 や 各 研 究 機 関 の 研 究 報<br />
告 等 の 知 見 について、 収 集 ・ 分 析 を 行 っています。これまでのと<br />
ころ 規 制 基 準 等 を 直 ちに 見 直 す 必 要 があるとの 知 見 は 得 られて<br />
いないと 考 えています。 今 後 、 更 なる 新 たな 知 見 が 得 られた 場 合<br />
は、 必 要 に 応 じて、 規 制 基 準 等 の 見 直 しの 検 討 に 活 用 していくこ<br />
ととしています。<br />
なお、 原 子 力 発 電 所 で 起 こり 得 る 最 大 規 模 の 地 震 動 である 基 準<br />
地 震 動 に 対 しては、 施 設 の 一 部 の 変 形 が 塑 性 領 域 に 達 する 可 能 性<br />
もありますが、 塑 性 変 形 の 程 度 を 小 さなレベルに 留 めることを 要<br />
求 しています。さらに、 地 震 発 生 時 に 講 ずべき 措 置 について 定 め<br />
ることを 要 求 しており、 地 震 により 運 転 が 停 止 した 場 合 には、 事<br />
業 者 は 地 震 による 施 設 への 影 響 を 確 認 するために 点 検 を 行 い、 施<br />
設 の 異 常 の 有 無 や 健 全 性 を 確 認 し、 補 修 を 行 う 等 、 必 要 な 措 置 が<br />
講 じられることを 確 認 しています。 例 えば、 地 震 加 速 度 が 大 きい<br />
ことによる 原 子 炉 の 自 動 停 止 等 をこれまでに 経 験 した 原 子 力 発<br />
電 所 では、 地 震 観 測 記 録 の 分 析 や 建 屋 の 地 震 時 の 健 全 性 評 価 を 基<br />
に、 施 設 が 基 準 地 震 動 を 越 える 影 響 を 受 けたかどうか 評 価 した 上<br />
で、 詳 細 な 点 検 、 補 修 等 の 特 別 な 保 全 計 画 を 策 定 し 運 用 していま<br />
す。<br />
9
Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
【 基 礎 地 盤 について】<br />
‣ 地 盤 はすべて 佐 世 保 層 群 として 書 かれているが、 肥 前 町 におけ<br />
る 年 代 測 定 、 古 生 物 の 発 見 、 堆 積 層 序 から 中 新 世 野 島 層 群 大 屋<br />
層 及 び 深 月 層 と 考 えられる。<br />
考 え 方<br />
【 基 礎 地 盤 について】<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 文 献 調<br />
査 、 地 質 調 査 等 の 結 果 、 敷 地 及 び 敷 地 近 傍 には 古 第 三 紀 漸 新 世 ~<br />
新 第 三 紀 前 期 中 新 世 の 佐 世 保 層 群 、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武<br />
岩 類 並 びに 第 四 紀 の 段 丘 堆 積 物 及 び 沖 積 層 等 が 分 布 し、 敷 地 の 地<br />
盤 は、 古 第 三 紀 漸 新 世 ~ 新 第 三 紀 前 期 中 新 世 の 佐 世 保 層 群 を 基 盤<br />
ひんがん<br />
岩 とし、これに 岩 脈 ( 玢 岩 )が 貫 入 し、これらを 新 第 三 紀 中 新 世<br />
はち の<br />
の 八 ノ<br />
く ぼ<br />
久 保 砂 礫 層 、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武 岩 類 及 び 第 四 紀<br />
の 堆 積 物 が 不 整 合 で 覆 うとしていることを 審 査 で 確 認 していま<br />
す。また、 申 請 者 が、 敷 地 内 断 層 の 活 動 性 評 価 に 当 たって、 上 載<br />
地 層 である 東 松 浦 玄 武 岩 類 については、 既 往 文 献 によると、カリ<br />
ウム-アルゴン 法 による 年 代 測 定 を 実 施 した 結 果 、3.0Ma~2.9Ma<br />
の 年 代 が 得 られたとされていることも 審 査 で 確 認 しています。<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波 ( 第 5 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
【 基 準 津 波 の 策 定 について】<br />
‣ 日 本 海 側 でも 巨 大 津 波 が 起 こる 可 能 性 は 否 定 できない。 過 去 数 万<br />
年 についての 十 分 な 地 質 調 査 等 が 行 われていない。<br />
‣ 南 海 トラフ 付 近 は、2011 年 の 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 (Mw9.0)ク<br />
ラスを 大 きく 超 える 規 模 (Mw9.5 クラス)の 超 巨 大 地 震 が 約 2000<br />
年 前 に 発 生 したと 推 定 されており、 超 巨 大 津 波 の 推 定 最 大 高 さは<br />
50m 前 後 と 計 算 されている。<br />
考 え 方<br />
【 基 準 津 波 の 策 定 について】<br />
‣ 解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 について、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を<br />
踏 まえ、 波 源 海 域 から 敷 地 周 辺 までの 海 底 地 形 、 地 質 構 造 及 び 地<br />
震 活 動 性 等 の 地 震 学 的 見 地 から 想 定 することが 適 切 なものを 策<br />
定 することを 要 求 しています。また、 津 波 の 発 生 要 因 として、 地<br />
震 のほか、 地 すべり、 斜 面 崩 壊 その 他 の 地 震 以 外 の 要 因 、 及 びこ<br />
れらの 組 合 せによるものを 複 数 選 定 し、 不 確 かさを 考 慮 して 数 値<br />
10
Ⅲ-3.1 基 準 津 波 ( 第 5 条 関 係 )<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 海 底 地 すべり 地 形 は 存 在 すると 考 える。<br />
考 え 方<br />
解 析 を 実 施 し、 策 定 することを 要 求 しています。<br />
申 請 者 は、 地 震 に 伴 う 津 波 については、パラメータスタディ 等<br />
の 検 討 結 果 により、その 波 源 として、 水 位 変 動 量 の 大 きい 対 馬 南<br />
西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 及 び 西 山 断 層 帯 を 選 定<br />
し、 津 波 評 価 を 行 うとともに、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 につい<br />
ては、 文 献 調 査 、 海 上 音 波 探 査 等 により、 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼ<br />
す 可 能 性 のある 津 波 の 要 因 となる 海 底 地 すべり、 陸 上 の 斜 面 崩 壊<br />
( 陸 上 地 すべり)、 火 山 現 象 等 は 認 められなかったとしています。<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 基 準 津 波 の 評 価 の 内 容<br />
について 審 査 した 結 果 、 本 申 請 における 基 準 津 波 は、 地 震 に 伴 う<br />
津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せの 評 価 については、 敷<br />
地 の 地 学 的 背 景 及 び 津 波 発 生 要 因 の 関 連 性 を 踏 まえて 検 討 し、 地<br />
震 以 外 を 要 因 とする 津 波 は 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 はないと 考 えら<br />
れるとして、 組 合 せは 考 慮 せず、 地 震 に 伴 う 津 波 を 複 数 選 定 し、<br />
不 確 かさを 考 慮 して 適 切 に 策 定 していることから、 解 釈 別 記 3の<br />
規 定 に 適 合 していることを 確 認 しています。<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 玄 海 原 発 で 福 島 第 一 のような 事 故 を 起 こすと 放 射 能 は 東 に 流 れ<br />
ます。 福 島 では 太 平 洋 でしたが、 玄 海 では 福 岡 市 と 背 振 山 脈 です。<br />
佐 賀 市 は 背 振 を 源 流 とする 河 川 から 水 道 と 水 田 のさらに 有 明 海<br />
ののり 養 殖 場 に 水 の 供 給 を 依 存 しています。 山 が 放 射 能 で 汚 染 さ<br />
れればその 除 染 は 困 難 です。シーボルト 事 件 の 時 の 台 風 は 長 崎 か<br />
ら 佐 賀 に 来 た 最 大 の 台 風 でしたが、 唐 津 と 玄 海 はそれました。 玄<br />
海 を 通 る 台 風 が 来 ないとは 言 えません。 巨 大 台 風 は 高 波 を 生 じま<br />
考 え 方<br />
‣ 安 全 施 設 は、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 として、 風 速 100m/s の 竜<br />
巻 による 荷 重 に 対 して 防 護 できる 設 計 としていることを 確 認 し<br />
ています。 高 潮 については、その 影 響 を 受 けないよう 安 全 施 設 へ<br />
の 影 響 として 考 えられる 最 大 の 潮 位 を 考 慮 して 安 全 施 設 を 設 置<br />
する 方 針 としていること、その 防 護 対 策 は 津 波 に 対 する 防 護 対 策<br />
に 包 絡 されていることを 確 認 しています。また、 洪 水 、 地 滑 りに<br />
ついては、 発 電 所 の 敷 地 及 びその 周 辺 の 地 形 状 況 から、 設 計 上 考<br />
11
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
す。 山 崩 れ、 洪 水 による 送 電 線 の 被 害 も 心 配 です。<br />
考 え 方<br />
慮 する 必 要 がないとしていることを 確 認 し、 合 理 性 があると 判 断<br />
しています。<br />
また、 外 部 電 源 系 については、 互 いに 独 立 した 2 回 線 以 上 の 電<br />
線 路 を 設 ける 等 の 規 制 基 準 の 強 化 を 行 っています。<br />
審 査 においては、 送 電 鉄 塔 の 倒 壊 等 によって 電 線 路 から 電 源 の 供<br />
給 ができなくなった 場 合 に 備 え、 信 頼 性 の 高 い 所 内 非 常 用 発 電 設<br />
備 を 設 置 する 設 計 としていることを 確 認 しています。<br />
‣ 太 陽 フレアによる、 原 子 力 発 電 所 事 故 の 懸 念 が、 地 球 惑 星 科 学 の<br />
専 門 家 から 提 言 されている。 玄 海 ・ 川 内 etc の 原 子 力 発 電 所 は、<br />
では 巨 大 ・ 太 陽 フレアからの 強 力 な 電 子 等 に 対 する 防 御 対 策 が 策<br />
定 されておらず、 速 やかな 対 応 が 求 められている。 玄 海 ・ 原 子 力<br />
発 電 所 は、 専 門 家 の 意 見 を 参 考 にすることなく 審 査 を 進 めている<br />
為 に、 規 制 基 準 審 査 のやり 直 しが 必 要 。<br />
‣ 太 陽 活 動 に 起 因 する 大 規 模 な 電 磁 障 害 ( 太 陽 フレア)については、<br />
磁 気 嵐 により 誘 導 電 流 が 発 生 する 可 能 性 があります。 日 本 では、<br />
磁 気 緯 度 、 大 地 抵 抗 率 の 条 件 から 地 磁 気 変 動 が 影 響 を 及 ぼす 可 能<br />
性 は 極 めて 小 さく、その 影 響 は 欧 米 に 比 べて 無 視 しうる 程 度 であ<br />
るため 除 外 するとしていることを 確 認 しています。<br />
‣ まず、P.82 ~ P.83の「3-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ」<br />
についてコメントする。この 節 では、 申 請 者 は、 安 全 施 設 の 安 全<br />
機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 11 事 象 を 選 び 出 し、 各 自 然 現<br />
象 によって 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 考 慮 し、 自<br />
然 現 象 の 組 合 せについて 次 のように 検 討 していると 記 されてい<br />
る。すなわち、この 組 合 せが 原 子 炉 施 設 に 与 える 影 響 について、<br />
1) 個 々の 自 然 現 象 の 設 計 に 包 絡 されている、2) 原 子 炉 施 設 に<br />
与 える 影 響 が 自 然 現 象 を 組 み 合 わせることにより、 個 々の 自 然 現<br />
象 がそれに 与 える 影 響 よりも 小 さくなる、3) 同 時 に 発 生 すると<br />
は 考 えられない、という3つの 観 点 から 申 請 者 は 検 討 していると<br />
いうのである。 その 検 討 の 結 果 、 上 記 の1)から3)のいずれ<br />
‣ 審 査 においては、 設 置 許 可 基 準 規 則 において、 設 計 上 想 定 する 自<br />
然 現 象 は、 最 新 の 科 学 的 技 術 的 知 見 を 踏 まえて 適 切 に 予 想 される<br />
ものとする 旨 規 定 しており、 過 去 の 国 内 における 記 録 等 のみに 基<br />
づくことなく、 当 該 自 然 現 象 の 特 性 を 踏 まえた 評 価 が 行 われてい<br />
ることを 確 認 しています。さらに、 自 然 現 象 の 組 合 せについては、<br />
網 羅 的 に 検 討 し、 安 全 施 設 に 与 える 影 響 を 考 慮 して 抽 出 した 上<br />
で、 考 慮 すべき 事 象 を 決 定 し、その 影 響 に 対 して、 安 全 施 設 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としていることを 確 認 しています。<br />
「 火 山 と 風 及 び 積 雪 」については、 火 山 による 荷 重 の 継 続 時 間 が<br />
他 の 主 荷 重 と 比 較 して 長 く、 積 雪 荷 重 の 継 続 時 間 も 長 いことか<br />
ら、3 つの 荷 重 が 同 時 に 発 生 する 場 合 を 考 慮 し、 安 全 施 設 へ 及 ぼ<br />
12
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
かに 該 当 する 自 然 現 象 の 組 合 せについては、 安 全 施 設 の 安 全 機 能<br />
が 損 なわれないことを 確 認 したとしている。また、1)から3)<br />
のいずれにも 該 当 しない 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せと<br />
して、「 火 山 の 影 響 、 風 ( 台 風 ) 及 び 積 雪 の 組 合 せ」が 抽 出 され、<br />
それら 組 合 せに 対 して 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計<br />
とするとしているというのが 申 請 者 の 申 し 立 てである。ここで 申<br />
請 者 が 列 挙 している 3 つの 観 点 ( 観 点 という 言 葉 よりも 分 類 また<br />
はケースという 言 葉 のほうが 論 理 上 より 適 切 であろう)にはもう<br />
一 つの 重 要 なケース( 申 請 者 の 言 葉 を 使 うと 観 点 )が 欠 落 してい<br />
る。すなわち、 組 み 合 わせが、2)とは 逆 に 影 響 を 大 きく 増 大 さ<br />
せる 方 向 に 働 くケースである。この 重 要 なケースを 申 請 者 は 無 視<br />
しているが、そのような 検 討 は 全 く 意 味 をなさない。 本 審 査 書<br />
( 案 )にこの 点 が 全 く 触 れられていないのは、 非 常 に 重 大 である。<br />
規 制 委 員 会 は、この 点 を 含 めて 再 度 検 討 をした 結 果 を 踏 まえて 審<br />
査 書 ( 案 )を 書 き 直 すべきである。 次 に、P.83の「3-4.4<br />
大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 す<br />
る 重 要 安 全 施 設 への 考 慮 」についてコメントする。 申 請 者 は、 重<br />
要 安 全 施 設 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自<br />
然 現 象 は、「3-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 自 然 現<br />
象 に 含 まれるとしている。また、これらの 自 然 現 象 又 は「3-4.<br />
3 自 然 現 象 の 組 合 せ」で 抽 出 した 自 然 現 象 の 組 合 せにより、 重 要<br />
安 全 施 設 を 含 む 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 として<br />
いることから、これらの 自 然 現 象 により 設 計 基 準 事 故 は 発 生 しな<br />
いため、 当 該 自 然 現 象 と 設 計 基 準 事 故 を 組 み 合 わせる 必 要 はない<br />
としている。また、 設 計 基 準 事 故 の 影 響 が 及 ぶ 期 間 に 発 生 すると<br />
考 えられる 自 然 現 象 により 重 要 安 全 施 設 に 作 用 する 衝 撃 と 設 計<br />
考 え 方<br />
す 影 響 について 評 価 していることを 確 認 しています。<br />
設 置 許 可 段 階 では、 変 更 しようとする 原 子 炉 施 設 の 位 置 、 構 造<br />
及 び 設 備 の 基 本 設 計 ないし 基 本 的 設 計 方 針 を 確 認 するものであ<br />
り、 安 全 施 設 は、 想 定 される 自 然 現 象 が 発 生 した 場 合 においても<br />
安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 方 針 を 確 認 しています。<br />
13
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
基 準 事 故 時 に 生 じる 応 力 を 適 切 に 考 慮 する 設 計 としている。 本<br />
審 査 書 ( 案 )では、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 当 該 自 然 現<br />
象 によって 設 計 基 準 事 故 が 発 生 しないように 設 計 するとしてい<br />
ること、また、 設 計 基 準 事 故 の 影 響 が 及 ぶ 期 間 に 発 生 すると 考 え<br />
られる 自 然 現 象 により、 重 要 安 全 施 設 に 作 用 する 力 と 設 計 基 準 事<br />
故 時 の 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせる 方 針 としていることを 確 認 し<br />
たと 記 載 されている。 規 制 委 員 会 としては、「 設 計 するとして<br />
いること」、「 組 み 合 わせる 方 針 としていること」を 確 認 するのみ<br />
ではなく、 設 計 内 容 そのものの 合 理 性 、 組 み 合 わせる 方 針 そのも<br />
のの 妥 当 性 などを 科 学 的 に 厳 正 に 検 証 すること、 更 にはその 検 証<br />
の 結 果 がどうであったかを 科 学 的 に 報 告 することが 最 も 重 要 な<br />
任 務 であるはずである。それが 全 くなされていないこの 審 査 は、<br />
やり 直 すべきである。<br />
考 え 方<br />
‣ 審 査 書 では、81ページから 始 まる「3-4.2.5 その 他 人<br />
為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 」において、 申 請 者 の 設 計 として、82<br />
ページに 次 の 通 りであると 記 されている。 「3. 飛 来 物 ( 航 空<br />
機 落 下 等 )については、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 航 空 機 落 下<br />
確 率 の 評 価 について」 等 に 基 づき、 航 空 機 落 下 確 率 を 評 価 した 結<br />
果 、3 号 炉 は 約 6.4×10 -8 回 / 炉 ・ 年 、4 号 炉 は 約 5.9<br />
×10 -8 回 / 炉 ・ 年 であり、 防 護 設 計 の 要 否 判 断 の 基 準 である1<br />
0 -7 回 / 炉 ・ 年 を 超 えないため、 航 空 機 落 下 による 防 護 について<br />
は、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はない。」これに 対 し、 規 制 委 員 会 は、8<br />
2ページにおいて、「3. 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 )に 対 しては、 最<br />
新 の 航 路 、 飛 行 実 績 等 の 情 報 を 踏 まえて 航 空 機 落 下 確 率 を 評 価<br />
し、 防 護 設 計 の 要 否 判 断 の 基 準 である10 -7 回 / 炉 ・ 年 を 超 えて<br />
‣ 設 置 許 可 基 準 規 則 第 6 条 解 釈 の 規 定 により、 航 空 機 落 下 について<br />
は、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 航 空 機 落 下 確 率 の 評 価 について」<br />
( 平 成 14・07・29 原 院 第 4 号 ( 平 成 14 年 7 月 30 日 原 子 力 安<br />
全 ・ 保 安 院 制 定 ))に 基 づき、 我 が 国 の 最 近 20 年 間 の 航 空 機 落 下<br />
事 故 事 例 ( 民 間 航 空 機 並 びに 自 衛 隊 機 及 び 米 軍 機 )を 対 象 に 航 路<br />
や 飛 行 実 績 等 を 用 いて 評 価 していることを 確 認 しています。<br />
評 価 手 法 のパラメータの 1 つである 標 的 面 積 については、 航 空<br />
機 落 下 に 対 して 安 全 上 重 要 な 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 の 設 置 状 況 を<br />
考 慮 し、 航 空 機 落 下 に 対 してクリティカルとなる 建 屋 や 設 備 を 特<br />
定 して 設 定 していることを 確 認 しています。<br />
14
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
いないことから、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はないとしていることは 合<br />
理 性 がある」と 判 断 したことが 記 されている。この 部 分 に 対 して、<br />
次 の2 点 を 指 摘 する。1) 落 下 確 率 の 評 価 値 の 不 確 かさ( 使 われ<br />
た 仮 定 やモデルの 不 確 かさ、 使 われた 実 験 データの 不 確 かさ、シ<br />
ミュレーション 計 算 の 過 程 で 発 生 する 確 率 誤 差 、 系 統 誤 差 など 全<br />
ての 誤 差 を 含 む)が 示 されていないなかで、3 号 炉 および4 号 炉<br />
のそれぞれが 要 否 判 断 の 基 準 を 超 える(あるいは 超 えない) 確 率<br />
をどのように 算 出 したのか 明 示 されていない。 不 確 かさを 明 示 せ<br />
ずに 最 確 値 のみを 比 較 してある 結 論 を 導 き 出 すのは 科 学 的 では<br />
なく、 本 課 題 のように 重 要 な 事 項 についての 判 断 の 根 拠 とはなり<br />
えない。したがって「・・・ 設 計 上 考 慮 する 必 要 はないとしてい<br />
ることは 合 理 性 がある“という 規 制 委 員 会 の 結 論 は、 科 学 的 な 結<br />
論 とは 言 えない。この 点 について、 規 制 委 員 会 は 審 査 をやり 直 す<br />
べきである。2) 同 一 敷 地 内 に3 号 炉 と4 号 炉 が 近 接 して 設 置<br />
されていて、それぞれの 航 空 機 落 下 確 率 が6.4×10 -8 回 / 炉 ・<br />
年 、4 号 炉 は 約 5.9×10 -8 回 / 炉 ・ 年 である 時 、これを、 遠<br />
隔 の 地 に 設 置 されている 二 つの 原 子 炉 に 航 空 機 が 落 下 するケー<br />
スとまったく 同 じ 扱 い( 完 全 な 独 立 事 象 でかつ 個 別 事 象 )で 考 え<br />
て、 要 否 判 断 の 基 準 10 -8 回 / 炉 ・ 年 を 超 えないとするのは、 事<br />
故 に 対 する 対 象 物 (この 場 合 は 原 子 炉 )の 密 集 状 況 を 考 慮 に 入 れ<br />
ていない 非 科 学 的 な 判 断 である。この 点 について、 規 制 委 員 会 は、<br />
さらに 掘 り 下 げた 検 討 をすべきであり、 審 査 をやり 直 すべきであ<br />
る。<br />
考 え 方<br />
‣ 自 然 災 害 は 予 測 できない。 安 全 対 策 は 万 全 と 思 っても 想 定 外 のこ<br />
とは 起 こり 得 る。 福 島 原 発 のように 一 端 事 故 が 起 こると 取 り 返 し<br />
‣ 設 置 許 可 基 準 規 則 第 6 条 解 釈 5において、 設 計 上 想 定 する 自 然 現<br />
象 は、 最 新 の 科 学 的 技 術 的 知 見 を 踏 まえて 適 切 に 予 想 されるもの<br />
15
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
が 付 かない。 原 発 は 廃 止 すべきです。<br />
考 え 方<br />
とすると 規 定 しており、 過 去 の 国 内 における 記 録 等 のみに 基 づく<br />
ことなく、 当 該 自 然 現 象 の 特 性 を 踏 まえた 評 価 が 行 われているこ<br />
とを 確 認 しています。<br />
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
【 火 山 】<br />
‣ 火 山 の 噴 火 の 予 知 は 専 門 家 でも 不 可 能 であるから 立 地 不 適 とす<br />
べき。<br />
‣ 阿 蘇 山 などの 火 山 噴 火 への 対 策 が 不 十 分 である。<br />
‣ 玄 海 周 辺 の 火 山 の 大 規 模 噴 火 について、その 平 均 発 生 間 隔 の 議 論<br />
によって 運 用 期 間 中 の 噴 火 可 能 性 を 十 分 小 さいとしていること<br />
は 問 題 。<br />
‣ 多 くの 火 山 学 者 や 政 府 答 弁 書 ですら、 巨 大 噴 火 の 予 知 は 不 可 能 と<br />
認 めている。 仮 に 巨 大 噴 火 の 前 兆 を 捉 えたとして、 核 燃 料 を 原 子<br />
炉 から 取 り 出 し、 運 搬 するまでには 相 当 の 時 間 がかかることを 考<br />
慮 すると、 現 代 の 科 学 的 知 見 で 巨 大 噴 火 に 対 応 することは 不 可 能<br />
であるから 玄 海 原 発 は 立 地 不 適 とすべきである。<br />
‣ 火 山 のメカニズムなどがわかっていないのに 安 全 なはずがない。<br />
‣ 現 代 のモニタリング 技 術 では 巨 大 噴 火 の 発 生 に 至 る 過 程 をとら<br />
えた 事 例 は 未 だなく、 実 際 にどのような 異 常 が 観 測 されるかの 知<br />
見 が 未 だない 状 況 においては 巨 大 噴 火 の 時 期 や 規 模 を 正 確 に 予<br />
知 できるだけのモニタリング 技 術 はない。また、2016 年 10 月 に<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 ・ 原 子 炉 火 山 部 会 が 始 まったが、モニタリング<br />
~ 巨 大 噴 火 の 判 定 ~ 核 燃 料 搬 出 等 の 手 順 が 確 定 していない 現 状<br />
においては、 適 合 性 審 査 を 完 了 させてはいけないのではないか。<br />
考 え 方<br />
【 火 山 】<br />
‣ 火 山 ガイドは、 敷 地 から 半 径 160km の 地 理 的 領 域 内 にある 第 四 紀<br />
火 山 から 将 来 活 動 する 可 能 性 がある、 若 しくは 否 定 できない 火 山<br />
を 抽 出 し、 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 中 における 検 討 対 象 火 山 の 活<br />
動 性 を 総 合 的 に 評 価 し、 可 能 性 が 十 分 小 さいと 判 断 できない 場 合<br />
は、 火 山 活 動 の 規 模 及 び 火 山 事 象 の 影 響 評 価 等 を 実 施 することを<br />
示 しています。<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 九 州 において 過 去 に VEI7 以 上<br />
の 噴 火 が 発 生 した 火 山 として、 地 理 的 領 域 内 の 阿 蘇 カルデラに 加<br />
え、 地 理 的 領 域 外 についても 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ( 加 久 藤 ・ 小<br />
林 カルデラ、 姶 良 カルデラ 及 び 阿 多 カルデラ) 及 び 鬼 界 カルデラ<br />
の 4 火 山 を 抽 出 し、これらの 火 山 における 運 用 期 間 中 の 噴 火 規 模<br />
について、 過 去 の 活 動 履 歴 、 地 下 構 造 によるマグマ 溜 まりの 存 在<br />
や 規 模 に 関 する 検 討 、 地 殻 変 動 の 観 測 結 果 等 の 様 々な 知 見 に 基 づ<br />
き 総 合 的 に 検 討 した 結 果 、 現 在 のマグマ 溜 まりが VEI7 以 上 の 噴<br />
火 直 前 の 状 態 ではなく、VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 可 能 性 が 十 分 に<br />
小 さいと 評 価 し、 現 在 の 噴 火 ステージにおける 既 往 最 大 規 模 を 考<br />
慮 するとしていることを 審 査 で 確 認 しています。<br />
火 砕 物 密 度 流 、 溶 岩 流 、 岩 屑 なだれ 等 の 火 山 事 象 については、<br />
申 請 者 が、 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 中 において、 九 州 において 過<br />
16
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ Druitt(ドルイット) 論 文 はあくまでカルデラ 火 山 一 般 について<br />
述 べたものではないにもかかわらず、 玄 海 は 同 論 文 に 依 存 してい<br />
るため、 巨 大 噴 火 の 可 能 性 の 判 断 については 疑 問 がある。<br />
考 え 方<br />
去 に VEI7 以 上 の 噴 火 が 発 生 した 火 山 については 現 在 の 噴 火 ステ<br />
ージにおける 既 往 最 大 規 模 を 考 慮 しても、また、 発 電 所 に 影 響 を<br />
及 ぼし 得 るその 他 の 16 火 山 については 各 火 山 の 既 往 最 大 規 模 を<br />
考 慮 しても、 敷 地 に 影 響 を 及 ぼさないと 評 価 していることを 確 認<br />
しています。<br />
火 山 活 動 のモニタリングについては、 申 請 者 は、 過 去 に VEI7 以<br />
上 の 噴 火 を 発 生 させた 阿 蘇 カルデラ、 加 久 藤 ・ 小 林 カルデラ、 姶<br />
良 カルデラ、 阿 多 カルデラ 及 び 鬼 界 カルデラを 対 象 に、VEI7 以 上<br />
の 噴 火 が 起 こる 可 能 性 が 十 分 小 さいという 現 状 の 火 山 活 動 状 況<br />
に 今 後 も 変 化 がないかを 継 続 的 に 確 認 することを 目 的 としてモ<br />
ニタリングを 行 うとしています。このモニタリングにより、GPS に<br />
よる 地 殻 変 動 の 観 測 結 果 や 地 震 活 動 の 観 測 結 果 等 に 変 化 が 生 じ<br />
た 場 合 には、 原 子 炉 の 運 転 の 停 止 、 燃 料 体 等 の 搬 出 等 を 実 施 する<br />
方 針 であることを 審 査 で 確 認 しています。<br />
‣ P64 以 下 火 山 影 響 評 価 。(1) 火 山 灰 濃 度 10 倍 は 過 少 であ<br />
る。 電 力 中 央 研 究 所 の 知 見 では30~300 倍 の 過 去 事 例 を 示 し<br />
ている。また 産 業 技 術 総 合 研 究 所 の 知 見 ではこの 場 合 のフィルタ<br />
ー 目 詰 まりは30 分 以 内 に 起 きると 想 定 されており1 時 間 と 見<br />
込 まれる 非 常 用 ディ―ゼル 発 電 機 のフィルター 交 換 では 全 く 用<br />
を 成 さない。 根 本 問 題 であり 真 摯 な 再 評 価 をすべきである。<br />
‣ 玄 海 原 子 力 発 電 所 で 想 定 する 降 下 火 砕 物 の 給 源 となる 九 重 山 は、<br />
発 電 所 から 約 40km 以 遠 に 位 置 していることから、 降 下 火 砕 物 の<br />
大 気 中 濃 度 については、 同 等 の 距 離 若 しくはより 近 距 離 の 地 点 に<br />
おいて、 原 子 力 施 設 が 設 置 されている 地 表 レベルで 観 測 された 降<br />
下 火 砕 物 の 大 気 中 濃 度 のデータが 存 在 する 等 の 条 件 で 国 内 外 の<br />
文 献 を 調 査 しました。 審 査 においては、これらの 条 件 に 該 当 する<br />
ものとして 得 られたアイスランド 南 部 のエイヤフィヤトラ 氷 河<br />
で 発 生 した 大 規 模 噴 火 における 大 気 中 濃 度 を 参 照 していること<br />
に 加 え、 地 上 における 火 山 灰 の 大 気 中 濃 度 として 信 頼 できるデー<br />
タである 既 往 観 測 最 大 のものとして、セントへレンズ 山 噴 火 をも<br />
とにした 評 価 を 行 っています。<br />
17
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所 3 号 炉 、4 号 炉 においては、この 大 気 中 濃 度<br />
を 用 いてディーゼル 発 電 機 の 吸 気 フィルタの 閉 塞 までの 時 間 評<br />
価 を 実 施 し、 吸 気 フィルタの 交 換 は 約 1 時 間 で 実 施 可 能 であるこ<br />
とから、 閉 塞 するまでの 時 間 に 対 し 十 分 な 時 間 的 余 裕 をもって 施<br />
設 の 機 能 を 確 保 できることを 確 認 しています。また、 少 なくとも<br />
この 2 倍 程 度 の 濃 度 まで 対 応 可 能 であること、 実 際 にはさらに 余<br />
裕 があること 及 び 大 規 模 な 火 山 噴 火 の 発 生 を 考 慮 して、 今 後 更 な<br />
る 安 全 性 向 上 に 向 けた 取 り 組 みを 行 っていくとしていることを<br />
確 認 しています。<br />
今 後 、 電 力 中 央 研 究 所 レポート 等 の 妥 当 性 の 確 認 、「 原 子 力 発 電<br />
所 の 火 山 影 響 評 価 ガイド」の 改 正 その 他 の 検 討 を 引 き 続 き 進 めて<br />
いきます。<br />
‣ 火 山 影 響 評 価 に 関 して(P64~71) 火 山 灰 濃 度 を 10 倍 に<br />
しただけでは 不 十 分 である。 火 山 影 響 評 価 において、 火 山 灰 濃<br />
度 を 従 来 の 10 倍 にしたが、 富 士 山 宝 永 噴 火 の 新 知 見 から、30~<br />
300 倍 にすべきである。 規 制 委 員 会 は、 関 電 ・ 美 浜 3 号 機 のパ<br />
ブリック・コメントで 指 摘 を 受 けたセントへレンズ 火 山 における<br />
観 測 値 の 大 気 1 立 方 メートル 当 たり 約 33 ミリグラムを 採 用 し、<br />
火 山 灰 濃 度 の 条 件 を 従 来 用 いていたアイスランドの 氷 河 での 噴<br />
火 による 観 測 値 の 3.2 ミリグラムの 10 倍 にするとし、 玄 海 原 発<br />
3,4 号 機 の 火 山 影 響 評 価 でも 10 倍 の 値 を 採 用 した。しかし、<br />
規 制 委 員 会 定 例 会 合 で 技 術 基 盤 部 が 提 示 した 電 力 中 央 研 究 所 に<br />
よる 新 たな 知 見 によると、1707 年 の 富 士 山 宝 永 噴 火 におい<br />
て、16 センチの 火 山 灰 が 積 もったとされる 横 浜 における 火 山 灰 濃<br />
度 は、 従 来 の 30~300 倍 、 最 大 100~1000 ミリグラムだった。 同<br />
‣ 同 上<br />
18
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
時 に 示 された 産 業 技 術 総 合 研 究 所 の 新 しい 知 見 によると、その 場<br />
合 にフィルターが 目 詰 まりするまでの 時 間 は 30 分 を 下 回 る。 非<br />
常 用 ディーゼル 発 電 機 のフィルタ 交 換 には1 時 間 程 度 かかると<br />
されており、とても 間 に 合 わない。 富 士 山 宝 永 噴 火 の 新 知 見 に<br />
より、 火 山 灰 による 影 響 から 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 の 継 続 的 な<br />
運 転 が 困 難 となる 可 能 性 がある。 規 制 委 は 止 めて 検 証 する「バッ<br />
クフィット」をかけなければならず、 再 稼 働 を 認 めることはでき<br />
ない。 なお、 火 山 灰 と 雨 による 送 電 線 の 大 停 電 も 想 定 される。<br />
今 年 10 月 の 熊 本 県 の 阿 蘇 山 噴 火 で2 回 にわたり 延 べ7 市 町 村 、<br />
約 6 万 戸 が 停 電 し 最 長 5 時 間 半 に 及 び、200キロ 先 の 四 国 の 松<br />
山 市 にも 降 灰 が 確 認 されている。 火 山 灰 に 弱 い 原 発 はこの 対 策 も<br />
大 きな 課 題 である。なお、 阿 蘇 山 大 噴 火 は 大 昔 に 九 州 ほぼ 全 域 を<br />
焼 きつくした 歴 史 があることを 忘 れてはならない。<br />
考 え 方<br />
‣ イエローストーンの 噴 火 は 評 価 することを 求 める。 規 制 委 員 会 は<br />
イエローストーンの 噴 火 確 率 はどの 程 度 だと 考 えているのか。<br />
‣ 同 上<br />
‣ p.72 3-4.2.2 火 山 影 響 に 対 する 設 計 方 針 9. 降 下 火 砕 物 の 間<br />
接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 のフィルタ<br />
目 詰 まり 計 算 においては、 火 砕 物 の 空 気 中 濃 度 を 少 なくとも<br />
1g/m3 で 計 算 するべきである。この 値 は、 富 士 山 宝 永 噴 火 (1707<br />
年 )の 火 山 灰 噴 出 量 0.7km3 という 条 件 で、85km 風 下 の 横 浜 にお<br />
ける 火 山 灰 濃 度 を 推 定 した 数 値 であるが、 玄 海 においては、 阿 蘇<br />
山 の 噴 火 規 模 は 200km3 が 予 想 されており、 距 離 は 136kmであ<br />
る。 火 山 灰 濃 度 は 2 桁 多 く、フィルタが 瞬 時 に 閉 塞 して 非 常 用 デ<br />
ィーゼル 発 電 機 は 使 用 不 可 能 である。 理 由 各 原 発 の 非 常 用 ディ<br />
‣ 同 上<br />
19
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
ーゼル 発 電 機 のフィルタの 目 詰 まり 計 算 においては、 原 子 力 規 制<br />
委 員 会 は 全 国 の 原 発 に 対 して、 一 様 に 同 一 空 気 中 濃 度 を 適 用 して<br />
きた。しかしこれはきわめて 非 論 理 的 である。それぞれの 原 発 の<br />
地 理 的 位 置 に 応 じて 異 なる 想 定 をしなければならない。 最 近 まで<br />
の 基 準 は、2010 年 エイヤヒャトラ 噴 火 (アイスランド、0.14km3)<br />
の 際 に 40km 離 れたヘイマランド 地 区 で 観 測 された 火 山 灰 濃 度<br />
3.24mg/m3 を 適 用 して、フィルタの 閉 塞 ・ 交 換 時 間 を 19.8 時 間<br />
( 伊 方 )~39 時 間 ( 大 間 )としてきた。その 後 、1980 年 セントヘ<br />
レンズ 噴 火 (アメリカ、1km3)の 際 に 約 135km 離 れたヤキマ 地 区<br />
で 観 測 された 33.4mg/m3 に 修 正 された。フィルタの 目 詰 まり 速 度<br />
は 火 山 灰 濃 度 とほぼ 比 例 するから、2~4 時 間 で 閉 塞 するという 結<br />
果 になった。フィルタ 交 換 作 業 は 1~2 時 間 かかり、この 条 件 に<br />
おいても、 多 数 の 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 を 備 えておいて、 過 酷<br />
事 故 の 高 放 射 線 環 境 で 連 続 被 ばく 作 業 を 継 続 するという 非 現 実<br />
的 な 想 定 になってしまう。そして、 原 子 力 規 制 員 会 は 去 る 11 月<br />
16 日 に、1g/m3 という 想 定 を 指 示 した(『 朝 日 新 聞 』2016 年 11 月<br />
17 日 )。この 条 件 では、フィルタが 瞬 時 に 目 詰 まりして、 現 状 の<br />
非 常 用 ディーゼル 発 電 機 が 使 用 不 能 であることは 明 らかである。<br />
それに 対 しても、 阿 蘇 山 の 噴 火 予 想 レベルは 2 桁 以 上 多 いのであ<br />
るから、 現 実 的 に 非 常 用 発 電 機 は 使 用 不 可 能 である。 空 気 中 火 山<br />
灰 濃 度 推 定 に、 玄 海 と 無 関 係 な 位 置 にある、たまたま 実 績 が 分 か<br />
りやすい 火 山 の 数 値 を 適 用 するのではなく、その 近 傍 にある 阿 蘇<br />
山 の 噴 火 量 に 基 づいた 推 定 を 行 うべきである。<br />
考 え 方<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 火 山 影 響 評 価 において、 火 山 灰 の 濃 度 を 従<br />
来 の 10 倍 にしましたが、これだけでは 不 十 分 です。「 富 士 宝 永 噴<br />
‣ 同 上<br />
20
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
火 」の 新 知 見 から、30~300 倍 にすべきでありましょう。 火 山 灰<br />
の 影 響 評 価 において、 美 浜 3 号 機 のパブリック・コメントで 指 摘<br />
を 受 けたセントへレンズ 火 山 における 観 測 値 を 採 用 し、 火 山 灰 濃<br />
度 の 条 件 を 従 来 用 いていた 値 (アイスランドの 氷 河 での 噴 火 によ<br />
る 観 測 値 )の 10 倍 にするとし、 玄 海 原 発 の 火 山 影 響 評 価 でも 10<br />
倍 の 値 を 採 用 しました。 しかし、 原 子 力 規 制 委 員 会 定 例 会 合 で 技<br />
術 基 盤 部 が 提 示 した 電 力 中 央 研 究 所 による 新 たな 知 見 によると、<br />
「 富 士 宝 永 噴 火 」において、16 センチの 火 山 灰 が 積 もったとさ<br />
れる 横 浜 における 火 山 灰 濃 度 は、 従 来 の 30~300 倍 でした。 同<br />
時 に 示 された 産 業 技 術 総 合 研 究 所 の 新 しい 知 見 によると、その 場<br />
合 にフィルターが 目 詰 まりするまでの 時 間 は 30 分 を 下 回 りま<br />
す。 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 のフィルタ 交 換 には1 時 間 程 度 かか<br />
るとされており、とても 間 に 合 いません。 「 富 士 宝 永 噴 火 」の 新<br />
知 見 によるならば、 火 山 灰 による 影 響 から 非 常 用 ディーゼル 発 電<br />
機 の 継 続 的 な 運 転 が 困 難 となる 可 能 性 があります。 規 制 委 は 止 め<br />
て 検 証 する「バックフィット」をかけなければならず、 再 稼 働 を<br />
認 めることはできません。<br />
考 え 方<br />
‣ 火 山 影 響 評 価 について 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 火 山 灰 の 影 響 評 価<br />
について、 美 浜 3 号 機 のパブリック・コメントで 指 摘 を 受 けたセ<br />
ントへレンズ 火 山 における 観 測 値 を 採 用 し、 火 山 灰 濃 度 の 条 件 を<br />
従 来 用 いていたアイスランドの 氷 河 での 噴 火 による 観 測 値 の 10<br />
倍 にするとし、 玄 海 原 発 の 火 山 影 響 評 価 でも 10 倍 の 値 を 採 用 し<br />
ました。しかし、10 月 26 日 の 原 子 力 規 制 委 員 会 定 例 会 合 で 技 術<br />
基 盤 部 が 提 示 した 電 力 中 央 研 究 所 による 新 たな 知 見 によると、 富<br />
士 宝 永 噴 火 において、16 センチの 火 山 灰 が 積 もったとされる 横 浜<br />
‣ 同 上<br />
21
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
における 火 山 灰 濃 度 は、アイスランドの 氷 河 での 噴 火 による 観 測<br />
値 の 30~300 倍 、セントへレンズ 火 山 における 観 測 値 との 比 較 で<br />
も 約 3~30 倍 となります。その 場 合 、フィルタが 目 詰 まりするま<br />
での 時 間 は、セントへレンズ 火 山 の 観 測 値 を 用 いた 場 合 の 3 分 の<br />
1~30 分 の 1 になります。 目 詰 まりすることなく 交 換 が 可 能 であ<br />
るのか、 再 評 価 が 必 要 です。 同 時 に 示 された 産 業 技 術 総 合 研 究<br />
所 の 新 しい 知 見 によると、その 場 合 にフィルターが 目 詰 まりする<br />
までの 時 間 は 30 分 を 下 回 ります。 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 のフ<br />
ィルタ 交 換 には1 時 間 程 度 かかるとされており、とても 間 に 合 い<br />
ません。 富 士 宝 永 噴 火 の 新 知 見 により、 火 山 灰 による 影 響 から 非<br />
常 用 ディーゼル 発 電 機 の 継 続 的 な 運 転 が 困 難 となる 可 能 性 があ<br />
ります。 田 中 俊 一 委 員 長 は 10 月 26 日 の 会 合 で、 設 備 対 応 が 必 要<br />
となる 可 能 性 について 言 及 しています。 設 備 対 応 が 必 要 となる 可<br />
能 性 がある 状 況 で、 申 請 に 許 可 を 下 すべきではありません。この<br />
件 については、 審 査 を 一 旦 止 めた 上 で、 富 士 宝 永 噴 火 の 新 知 見 を<br />
用 いた 再 評 価 を 実 施 させるべきです。<br />
考 え 方<br />
‣ セントへレンズ 火 山 の 観 測 データを 用 いた 場 合 の 影 響 を 評 価 す<br />
ることを 美 浜 で 求 めているようだが、 玄 海 にも 求 めるべきであ<br />
る。<br />
‣ 同 上<br />
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 11 月 22 日 に 起 こった 地 震 により、 福 島 第 2 原 発 3 号 機 のプール<br />
より 4000 リットルが 溢 水 し、 使 用 済 核 燃 料 プールの 冷 却 が 停 止<br />
するという 事 案 が 発 生 した。 震 度 5 弱 程 度 の 地 震 でも、 一 歩 間 違<br />
考 え 方<br />
‣ 使 用 済 燃 料 ピットは、スロッシング 後 においてもピット 冷 却 機 能<br />
及 び 遮 蔽 維 持 機 能 に 必 要 な 水 位 を 確 保 する 設 計 としていること<br />
を 確 認 しています。<br />
22
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
えば 過 酷 事 故 を 引 き 起 こしうるという 現 実 に、 私 達 はもう 一 度 気<br />
を 引 き 締 め 直 さねばなるまい。 長 周 期 震 動 がプール 内 の 水 にどの<br />
ような 影 響 を 与 えるかについても 評 価 を 加 えた 方 がよいのでは<br />
ないか。<br />
考 え 方<br />
‣ 地 震 動 や 爆 発 等 による 損 傷 箇 所 より 地 下 水 や 雨 水 が 流 入 するこ<br />
とのないよう、 少 なくとも 日 本 における 既 往 最 大 の 地 震 動 に 対 し<br />
ても 損 傷 することがない 設 計 とするよう 強 く 求 める。2015 年<br />
1 月 11 日 付 け 福 島 民 報 記 事 によれば、 東 京 電 力 福 島 第 一 原 発 2<br />
号 機 のトレンチの 高 濃 度 汚 染 水 問 題 につき、「 原 子 力 規 制 委 員 会<br />
はトレンチの 耐 震 構 造 から、 亀 裂 の 存 在 を 指 摘 していた。」と 伝<br />
えられている。 既 にこのような 知 見 があるため、 地 震 動 や 爆 発 等<br />
による 損 傷 箇 所 から 地 下 水 が 流 入 しない 設 計 を、トレンチを 含 む<br />
関 連 施 設 全 体 について 要 求 するべきである。そして、 規 制 に 問 題<br />
があったことが 明 らかになったのが、2016 年 9 月 に 発 生 した<br />
北 陸 電 力 志 賀 原 発 2 号 機 の 原 子 炉 建 屋 に6.6トンの 雨 水 が 流 れ<br />
込 み、 非 常 用 照 明 の 電 源 が 漏 電 した 事 故 である。 報 道 によれば、<br />
『 田 中 俊 一 委 員 長 は「これほどの 雨 が 流 入 するのは 想 定 外 だっ<br />
た。 安 全 上 重 要 な 機 能 を 失 う 恐 れもあった」として、 新 規 制 基 準<br />
に 基 づく 再 稼 働 の 審 査 を 見 直 す 可 能 性 を 示 唆 した。』という。ま<br />
た、 地 下 水 流 入 により 汚 染 水 が 発 生 する 場 合 に 備 えて 堅 牢 で 十 分<br />
な 量 の 汚 染 水 タンクとトリチウムを 含 む 放 射 性 物 質 除 去 設 備 (こ<br />
れらは 冷 却 で 発 生 する 汚 染 水 対 策 にも 必 須 )をあらかじめ 設 置 し<br />
ておくこと、 除 去 した 放 射 性 物 質 の 処 分 方 法 ・ 処 分 先 の 確 保 につ<br />
いても 最 低 限 備 えるべきであることは 東 京 電 力 福 島 第 一 原 発 事<br />
故 の 教 訓 として 明 白 であるので、 本 件 審 査 書 においてそれらの 完<br />
‣ 本 審 査 では、 降 水 に 対 する 防 護 対 策 を 含 め、 溢 水 に 対 し 防 護 すべ<br />
き 設 備 が 設 置 される 区 画 等 を 設 定 する 方 針 及 び 溢 水 防 護 区 画 を<br />
内 包 する 建 屋 への 外 部 からの 流 入 防 止 に 関 する 設 計 方 針 等 を 確<br />
認 しています。<br />
また、 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に 伴 って 発 生 した<br />
汚 染 水 については、まず、これを 発 生 させないことが 重 要 であり、<br />
新 規 制 基 準 では、 仮 に、 炉 心 が 損 傷 した 場 合 でも 放 射 性 物 質 が 格<br />
納 容 器 から 流 出 しない 対 策 を 要 求 しており、 審 査 においてその 対<br />
策 を 確 認 しています。<br />
さらに、 重 大 事 故 等 の 中 長 期 的 な 対 応 が 必 要 となる 場 合 に 備 え<br />
て、 適 切 な 対 応 を 検 討 できる 体 制 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 しています。<br />
23
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
備 することについて 評 価 を 行 うよう 強 く 求 める。<br />
考 え 方<br />
Ⅲ-11 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 対 策 設 備 ( 第 14 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 全 交 流 電 源 喪 失 発 生 の 後 、 重 大 事 故 対 処 設 備 を 作 動 させるに 必 要<br />
な 蓄 電 池 が 作 動 継 続 時 間 25 分 間 であれば、 過 酷 事 故 の 進 展 を 防<br />
止 できません。 非 常 用 電 源 設 備 が 使 用 不 能 になる 事 態 が 想 定 され<br />
ます( 火 山 灰 濃 度 が 濃 い 場 合 等 )。 一 方 、 加 圧 水 型 軽 水 炉 ではEC<br />
CSの 動 力 源 は 交 流 電 源 となります。この 結 果 、25 分 後 にはE<br />
CCSでの 冷 却 ができなくなり、メルトダウンが 進 展 します。 多<br />
重 性 をもつ 設 計 とするべきです。<br />
考 え 方<br />
‣ 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 ) 及 びその 附 属 設 備 は、2 系 統 を 各 々 別 の<br />
場 所 に 設 置 しており、 共 通 要 因 により 機 能 を 喪 失 しないよう 多 重<br />
性 及 び 独 立 性 を 確 保 することとし、その 系 統 を 構 成 する 機 械 又 は<br />
器 具 の 単 一 故 障 が 発 生 した 場 合 にも、 機 能 が 確 保 される 設 計 とす<br />
ることを 確 認 しています。<br />
また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 電 源 が 喪 失 した 場 合 において<br />
も、 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 交 流 動 力 電 源 設 備 からの 電 力 供<br />
給 が 可 能 となるまでの 間 、 必 要 な 電 力 を 確 保 するため 所 内 常 設 蓄<br />
電 式 直 流 電 源 設 備 等 の 重 大 事 故 等 対 処 設 備 により、 供 給 を 可 能 と<br />
していることを 確 認 しています。<br />
なお、 火 山 灰 の 影 響 については、『Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響<br />
に 対 する 設 計 方 針 ( 第 6 条 関 係 )』で、 御 意 見 に 対 する 考 え 方 を 述<br />
べています。<br />
24
Ⅲ-12 燃 料 体 等 の 取 扱 施 設 及 び 貯 蔵 施 設 ( 第 16 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 玄 海 原 発 では 現 在 核 燃 料 プールに 核 燃 料 が 貯 蔵 されていますが、<br />
その 保 管 方 法 に 大 きな 危 惧 を 寄 せます。それは、 現 実 に 地 震 が 起<br />
きた 時 に 果 たして 負 の 影 響 はどれ 程 だろうかと、 誰 にも 予 測 不 可<br />
能 なその 不 安 定 さと 不 確 定 さからです。まして、 九 電 は 核 燃 料 の<br />
ラック 数 を 数 十 パーセント 間 隔 を 詰 め、 貯 蔵 量 を 2 倍 にするリラ<br />
ッキングを 申 請 しています。このような 押 し 込 め 状 態 は、 科 学 技<br />
術 としての 設 計 上 では 問 題 がみえず、しかし 現 実 的 には 非 常 に 危<br />
険 です。 検 討 中 とされる 乾 式 貯 蔵 施 設 にしても、その 段 階 にすす<br />
める 前 に、まずはプールで 冷 やさなければプロセスを 進 める 事 が<br />
できません。 常 にプールすること、 又 リラッキングの 危 険 性 とが<br />
存 在 することに 気 が 付 かなくてはなりません。 乾 式 貯 蔵 施 設 に 使<br />
用 済 み 核 燃 料 を 収 容 する 金 属 キャスクの 耐 用 年 数 は 50 年 程 度 と<br />
されており、その 後 の 安 全 性 は 誰 がいったい 管 理 保 障 ができるの<br />
でしょうか。 全 く 見 通 せない 放 射 能 の 危 険 性 との 併 存 です。 原 発<br />
災 害 事 故 がひとたび 起 こればこのような 放 射 能 の 危 険 性 がすで<br />
に 明 らかに 分 っている 福 島 第 一 原 発 事 故 の 過 酷 さに 反 して、 玄 海<br />
原 発 運 転 を 認 める 事 はできません。そしてこの 審 査 書 の 評 価 が 正<br />
しいとは 思 えません。<br />
考 え 方<br />
‣ 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 は、 異 常 の 発 生 を 防 止 する 対 策 や 仮 に 水 位 が 低<br />
下 しても 給 水 することで 異 常 の 拡 大 を 防 止 する 対 策 が 講 じられ<br />
ています。 加 えて、 新 規 制 基 準 では、 水 が 漏 えいした 場 合 でも 燃<br />
料 の 損 傷 を 防 止 する 対 策 の 整 備 を 要 求 しています。さらに、 大 量<br />
に 水 が 漏 えいし、 水 位 が 異 常 に 低 下 した 場 合 においても、 燃 料 の<br />
著 しい 損 傷 の 進 行 を 緩 和 するとともに、 臨 界 を 防 止 するための 対<br />
策 を 要 求 しています。 審 査 では、それぞれの 対 策 の 有 効 性 につい<br />
て、 審 査 しました。<br />
なお、 平 成 22 年 2 月 8 日 になされた3 号 炉 の 使 用 済 燃 料 の 貯<br />
蔵 設 備 の 貯 蔵 能 力 の 変 更 等 に 係 る 設 置 変 更 許 可 申 請 については、<br />
本 審 査 の 対 象 ではありません。<br />
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ P117 < 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 について>・ 燃 料 油 貯 油 槽 と 燃 料<br />
油 貯 蔵 タンク 間 はタンクローリにて 運 ぶとのことだが、タンクロ<br />
ーリの 運 転 に 関 わる 要 員 および、タンクローリ 自 体 の 信 頼 性 は 確<br />
保 できるのか。( 運 転 ミス、 車 両 故 障 等 ) ・ 輸 送 手 段 を 必 ず 1 手<br />
考 え 方<br />
‣ タンクローリを 使 用 する 際 には、 必 要 な 危 険 物 取 扱 者 ( 乙 種 ) 免<br />
許 所 持 者 、 大 型 自 動 車 免 許 所 持 者 等 の 有 資 格 者 及 び 必 要 な 輸 送 作<br />
業 者 を 確 保 するとともに、ディーゼル 発 電 機 の 連 続 運 転 に 支 障 が<br />
ないよう、 燃 料 の 輸 送 に 係 る 要 員 の 確 保 を 含 む 手 順 を 予 め 定 めて<br />
25
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
段 確 保 と 書 いてあるが、 最 悪 の 場 合 、 人 力 で 運 ぶことも 考 えてい<br />
るのか。<br />
上 記 をふまえ、 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 を 分 散 化 して 冗 長 性 を 持<br />
たせるか、 燃 料 油 貯 油 槽 を 大 きくしてほしい。<br />
考 え 方<br />
いることを 確 認 しています。タンクローリの 配 備 台 数 については<br />
タンクローリの 故 障 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 等 の 単 一 故 障 のほか、 輸<br />
送 に 必 要 な 所 要 時 間 等 を 考 慮 し、 常 時 2 台 以 上 (3 号 及 び 4 号 炉<br />
共 用 )を 配 備 する 設 計 としていることを 確 認 しています。<br />
また、ディーゼル 発 電 機 は、 多 重 性 を 考 慮 して、 必 要 な 容 量 の<br />
ものを 2 台 備 え、7 日 間 の 外 部 電 源 喪 失 を 仮 定 しても、 連 続 運 転<br />
により 必 要 とする 電 力 を 供 給 できるよう、7 日 間 分 の 容 量 以 上 の<br />
燃 料 を 敷 地 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 燃 料 油 貯 油 そうに 貯 蔵 し<br />
ていることを 確 認 しています。<br />
‣ 福 島 第 1 原 発 事 故 では、 計 器 の 電 源 までもが 失 われている。 直 流<br />
蓄 電 池 から 先 の 分 電 盤 ( 特 に 分 電 盤 の 母 線 )が 水 を 被 った 可 能 性<br />
がある。 計 器 から 分 電 盤 に 至 るルートは 多 重 化 し、 水 に 漬 からな<br />
い 位 置 においた 蓄 電 池 ( 別 置 き)から 供 給 できる 非 常 用 電 源 を 常<br />
設 すべきである。<br />
‣ ディーゼル 発 電 機 や 蓄 電 池 を 含 めた 重 要 安 全 施 設 は、 第 4 条 ( 地<br />
震 による 損 傷 の 防 止 )、 第 5 条 ( 津 波 による 損 傷 の 防 止 )、 第 9 条<br />
( 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 )その 他 の 設 置 許 可 基 準 で 安 全 機 能 が<br />
損 なわれないことを 要 求 されており、その 適 合 性 を 確 認 していま<br />
す。<br />
‣ p.110 3-11 全 交 流 電 源 喪 失 対 策 全 交 流 電 源 喪 失 発 生 後 、 重 大 事<br />
故 対 処 設 備 を 作 動 させるに 必 要 な 蓄 電 池 容 量 を 作 動 継 続 時 間 25<br />
分 間 としているのは、 過 酷 事 故 進 展 を 防 止 できないことを 意 味 す<br />
る。 理 由 P.72 の 意 見 でも 記 載 したように、 火 山 灰 濃 度 が 濃 いと<br />
きには 非 常 用 電 源 設 備 が 使 用 不 能 になる。しかも、PWR 型 原 発 で<br />
は ECCS を 駆 動 する 動 力 源 は 交 流 電 源 しか 備 えられていない。つ<br />
まり、25 分 後 に 冷 却 手 段 を 失 うことになる。これは、 福 島 第 一 原<br />
発 1 号 機 のメルトダウンよりもより 速 いメルトダウンの 進 展 を 意<br />
味 する。 外 部 電 源 が 失 われても 短 時 間 で 復 旧 するとか、 交 流 電 源<br />
が 速 やかに 稼 働 するとか、 多 重 性 を 持 たない 想 定 に 基 づいた 過 酷<br />
‣ 審 査 書 ( 案 )「Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 電 源 喪 失 」にあるとおり、 全 交<br />
流 動 力 電 源 の 喪 失 が 発 生 した 場 合 においては、タービン 動 補 助 給<br />
水 ポンプによる 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 手<br />
動 開 操 作 による 2 次 系 強 制 冷 却 によって、1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減<br />
圧 するとともに、 代 替 交 流 動 力 電 源 を 確 保 して 代 替 炉 心 注 水 を 行<br />
うことで 炉 心 損 傷 の 防 止 ができることを 確 認 しています。<br />
また、 設 置 許 可 基 準 規 則 第 57 条 第 1 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設<br />
には、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 電 源 が 喪 失 したことにより 重 大 事<br />
故 等 が 発 生 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
の 破 損 、 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 及 び 運 転 停 止 中 原 子 炉 内<br />
26
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
事 故 対 策 の 失 敗 を 福 島 第 一 で 経 験 したのに、それと 同 様 の 綱 渡 り<br />
を 前 提 にしているのは、 原 発 の 過 酷 事 故 対 策 としては 基 本 的 に 欠<br />
陥 がある。<br />
考 え 方<br />
燃 料 体 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 電 力 を 確 保 するた<br />
めに 必 要 な 設 備 を 設 けなければならないことを 要 求 しています。<br />
審 査 においては、 申 請 内 容 が 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 しているこ<br />
とを 確 認 しています。<br />
‣ (5) 外 部 電 源 系 を, 異 常 発 生 防 止 系 (PS)として 安 全 重 要 度 の 最<br />
も 低 い PS-3 クラスに 分 類 し,さらに 耐 震 設 計 上 の 重 要 度 おいて<br />
も 最 も 低 い C クラスに 分 類 しているのを,「 事 故 発 生 時 は, 外 部<br />
電 源 系 による 電 力 供 給 は 期 待 すべきではない」ので 合 理 的 である<br />
と 居 直 っている.これらは, 外 部 電 源 の 喪 失 が 福 島 原 発 事 故 の 一<br />
要 因 であったことを 考 えれば, 疑 問 が 残 る 判 断 である.<br />
‣ 外 部 電 源 系 については、 互 いに 独 立 した 2 回 線 以 上 の 電 線 路 を 設<br />
ける 等 の 規 制 基 準 の 強 化 を 行 っています。<br />
審 査 においては、 送 電 鉄 塔 の 倒 壊 等 によって 電 線 路 から 電 源 の 供<br />
給 ができなくなった 場 合 に 備 え、 信 頼 性 の 高 い 所 内 非 常 用 発 電 設<br />
備 を 設 置 する 設 計 としていることを 確 認 しています。<br />
‣ 福 島 原 発 事 故 で 明 らかになった 外 部 電 源 系 の 重 要 性 に 鑑 みるな<br />
ら、 外 部 電 源 系 は、 少 なくとも 基 準 地 震 動 に 耐 える 設 計 とすべき<br />
ではないのか?<br />
‣ 同 上<br />
‣ テロ 対 策 は 不 可 能 。ミサイル 打 ち 込 まれなくとも 送 電 線 爆 破 され<br />
ればお 終 い。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 「また、 開 閉 所 から 主 発 電 機 側 の 送 受 電 設 備 は、 十 分 な 支 持 性 能<br />
を 持 つ 地 盤 に 設 置 する 設 計 とした 上 で、 碍 子 及 び 遮 断 器 等 の 機 器<br />
についても、 耐 震 性 の 高 いものを 使 用 するとしている。」とある<br />
が、「 十 分 な 支 持 性 能 」「 耐 震 性 の 高 いもの」とは 具 体 的 にどのよ<br />
うな 設 計 になっているのか?<br />
‣ 外 部 電 源 系 については、 互 いに 独 立 した 2 回 線 以 上 の 電 線 路 を 設<br />
ける 等 の 規 制 基 準 の 強 化 を 行 っています。 審 査 においては、 送 電<br />
鉄 塔 の 倒 壊 等 によって 電 線 路 から 電 源 の 供 給 ができなくなった<br />
場 合 に 備 え、 信 頼 性 の 高 い 所 内 非 常 用 発 電 設 備 を 設 置 する 設 計 と<br />
していることを 確 認 しています。<br />
「 十 分 な 支 持 性 能 」については、 不 等 沈 下 又 は 傾 斜 等 が 起 きな<br />
いような 安 定 した 地 盤 等 に 設 置 することを 確 認 しています。<br />
27
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
「 耐 震 性 の 高 いもの」として、 例 えば 可 とう 性 のある 懸 垂 碍 子<br />
及 び 重 心 の 低 いガス 絶 縁 開 閉 装 置 を 使 用 する 等 の 方 針 であるこ<br />
とを 確 認 しています。<br />
28
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 全 般<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ MOX 燃 料 を 用 いたプルサーマル 方 式 の 玄 海 原 発 3 号 機 は、 安 全<br />
性 の 検 証 がなされておりません。<br />
考 え 方<br />
‣ 玄 海 3 号 炉 については、 申 請 に 基 づき MOX 燃 料 の 使 用 を 前 提 とし<br />
て、 重 大 事 故 等 への 対 策 が 新 規 制 基 準 へ 適 合 しているかを 審 査 し<br />
ています。<br />
‣ MOX 燃 料 を 使 う 炉 が 含 まれているが、そもそも 当 該 原 発 は 設 計<br />
時 にMOX 燃 料 を 使 うことを 想 定 しているものではなく、 想 定 以<br />
上 の 劣 化 等 の 危 険 がある。また 大 量 のプルトニウムを 含 むため 事<br />
故 の 時 の 危 険 性 が 極 めて 高 い。このような 危 険 なものを 十 分 な 安<br />
全 配 慮 もなく 稼 働 させることは 科 学 的 にみて 危 険 。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 3 号 機 はウランを 燃 やす 設 計 であるのにプルサーマルによる 運 転<br />
が 目 論 まれています。この 危 険 性 について 考 慮 されていないこと<br />
に 疑 義 を 持 ちます。MOX 燃 料 は 溶 融 しやすく、ガスの 放 出 率 が<br />
高 い、 制 御 棒 の 効 きが 悪 い、 臨 界 に 達 しやすいなどの 危 険 性 があ<br />
りますが、 審 査 書 案 では 通 常 運 転 と 同 じ 扱 いとなっており、 不 備<br />
きわまりないと 思 います。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 審 査 書 案 ではウラン 燃 料 を 用 いる 通 常 の 運 転 と 同 じ 扱 いになって<br />
おり、プルサーマルの 危 険 性 について 十 分 考 慮 されていません。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 「 審 査 書 案 」では、MOX 燃 料 を 装 荷 してプルサーマルを 実 施 す<br />
ることを 了 承 しています。しかし、ウラン 燃 料 用 に 設 計 された 原<br />
子 炉 で、MOX 燃 料 を 使 用 することによる 安 全 性 問 題 について、<br />
十 分 な 審 査 は 行 われていません。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 審 査 書 案 では、プルサーマル 運 転 (プルトニウムを 混 合 した MOX<br />
‣ 玄 海 3 号 炉 については、 申 請 に 基 づき MOX 燃 料 の 使 用 を 前 提 とし<br />
29
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 全 般<br />
御 意 見 の 概 要<br />
燃 料 を 用 いた 運 転 )の 危 険 性 について 十 分 考 慮 されていない。<br />
MOX 燃 料 はウラン 燃 料 と 異 なった 危 険 性 があるにもかかわらず、<br />
重 大 事 故 対 策 で MOX 燃 料 を 用 いた 場 合 の 解 析 がない。<br />
‣ 3 号 機 はMOX 運 転 が 予 定 されている。しかし 審 査 書 では MOX 燃<br />
料 固 有 の 危 険 性 に 対 する 審 査 が 欠 如 している。 溶 融 温 度 の 違 いに<br />
よる 事 故 シーケンスそのものが 再 評 価 されるべきである。 事 故 時<br />
発 生 核 種 の 違 いによる 対 応 能 力 評 価 も 再 評 価 を 要 する。 使 用 済 み<br />
燃 料 を 事 故 後 に 移 送 するにしても 冷 却 までの 時 間 は 桁 違 いであり<br />
事 故 収 束 時 の 重 大 な 制 約 事 項 である。 従 い MOX 燃 料 使 用 の 審 査 自<br />
体 が 欠 格 である。<br />
考 え 方<br />
て、 重 大 事 故 等 への 対 策 が 新 規 制 基 準 へ 適 合 しているかを 審 査 し<br />
ています。 具 体 的 には、 重 大 事 故 等 の 進 展 に 影 響 する 核 的 特 性 、 物<br />
性 、 照 射 挙 動 等 に 係 る 諸 特 性 について、MOX 燃 料 を 使 用 した MOX 炉<br />
心 、ウラン 燃 料 のみ 使 用 したウラン 炉 心 を 比 較 し、 事 象 進 展 がよ<br />
り 厳 しくなる 条 件 のもとで、 重 大 事 故 時 等 における 炉 心 損 傷 防 止<br />
対 策 、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損<br />
傷 防 止 対 策 等 が 有 効 であることを 確 認 しています。<br />
‣ 東 京 電 力 は 柏 崎 刈 羽 原 発 6、7 号 機 の 過 酷 事 故 対 策 において、 水<br />
蒸 気 爆 発 の 起 きる 可 能 性 を 認 めて、ペデスタル 床 面 の 水 位 の 検 討<br />
を 行 っている。 加 圧 水 型 原 子 炉 では「 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性<br />
は 極 めて 低 いとすることは 妥 当 である」との 矛 盾 する 見 解 を 示 し<br />
ている。<br />
‣ ご 指 摘 は、 本 審 査 の 対 象 とは 別 のプラントに 関 するものであり、<br />
本 審 査 の 対 象 ではありません。<br />
‣ 高 浜 原 発 1・2 号 機 の 審 査 書 案 へのパブコメ 募 集 における 意 見<br />
( 重 大 事 故 等 対 策 の 有 効 性 評 価 における MAAP 解 析 結 果 に 関 し<br />
て)「MELCOR コードを 用 いたクロスチェック 解 析 の 実 施 を 求 め<br />
る。」に 対 し、 規 制 委 員 会 の 考 え 方 として「MAAP コードに 対 して<br />
は、 規 制 委 員 会 は、MELCOR による 解 析 を 実 施 しており、MAAP 解<br />
析 結 果 と 同 様 の 傾 向 であることを 確 認 しています。( 中 略 )<br />
MELCOR を 用 いた 解 析 事 例 は NRA 技 術 報 告 2014-2001 で 公 開 して<br />
います。」と 記 されている。この 考 え 方 は、クロスチェック 解 析<br />
を 不 要 とする 科 学 的 に 妥 当 性 のある 論 理 説 明 にはまったくなって<br />
‣ シビアアクシデントの 解 析 には 比 較 的 大 きな 不 確 かさを 伴 うこと<br />
を 踏 まえ、 申 請 者 が 実 施 した 解 析 の 妥 当 性 に 関 しては、 単 にクロ<br />
スチェック 解 析 で 結 果 の 定 量 的 な 比 較 を 行 うのではなく、 以 下 の<br />
点 を 審 査 で 確 認 し、その 上 で 申 請 者 の MAAP の 解 析 結 果 の 解 釈 は<br />
現 在 の 技 術 レベルに 照 らして 妥 当 と 考 えたものです。<br />
1 炉 心 損 傷 後 を 含 めた 事 象 進 展 に 係 る 重 要 現 象 の 解 析 モデルが<br />
説 明 されていること。<br />
2 国 際 的 に 利 用 されている 代 表 的 なコードであり、 豊 富 な 適 用<br />
実 績 があるとともに、 他 のシビアアクシデントコードとのベ<br />
30
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 全 般<br />
御 意 見 の 概 要<br />
いない。なぜならば、「MAAP 解 析 と 同 様 の 傾 向 であることを 確 認<br />
している」ことは、 定 性 的 な 確 認 に 過 ぎず、 定 量 的 な 検 証 ではな<br />
いことを 示 している。また、 引 用 されている NRA 技 術 報 告 は<br />
MELCOR による 解 析 結 果 を 示 すだけのものであり、MAAP 解 析 結 果<br />
と 突 き 合 わせた 評 価 は 何 らなされていない。<br />
考 え 方<br />
ンチマーク 計 算 により、 一 定 の 信 頼 性 が 確 認 されていること。<br />
3 不 確 かさにも 適 切 に 対 応 できるような 考 え 方 に 基 づいて 対 策<br />
を 要 求 していること。 申 請 者 が 計 画 している 対 策 の 有 効 性 評<br />
価 について、 解 析 コードおよび 解 析 結 果 の 不 確 かさを 考 慮 し<br />
ても、 解 析 結 果 は 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがな<br />
いこと。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は MELCOR による 解 析 結 果 と MAAP 解 析 結 果 と<br />
が 同 様 の 傾 向 であることを 確 認 するとともに、MELCOR による 解 析<br />
で 同 定 された 不 確 かさ 要 因 が MAAP による 解 析 においても 考 慮 さ<br />
れていることも 確 認 しています。<br />
‣ シビアアクシデント 対 策 を 講 じることにしたということですが、<br />
福 島 原 発 事 故 をコンピューター 上 で 再 現 できたのでしょうか。<br />
MELCOR や MAAP といった 解 析 ソフトが 使 用 されているとのことで<br />
すが、これらを 用 いても 福 島 原 発 事 故 で 起 きたことはとても 複 雑<br />
で 再 現 できていないと 聞 いています。コンピューター 上 で 福 島 原<br />
発 事 故 を 説 明 できないのに、 同 じコンピューターで 予 測 して、シ<br />
ビアアクシデント 対 策 を 講 じても、 何 も 役 に 立 たないのではない<br />
でしょうか。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 新 規 制 基 準 で 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 と 同 様 の 事 故 を 必 ず 防 ぐ<br />
ことができるのか。<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 が 策 定 した 新 規 制 基 準 については、これまでに<br />
明 らかになった 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 を 踏 まえた 上<br />
で、IAEAや 諸 外 国 の 規 制 基 準 も 確 認 しながら、さらに 我 が 国<br />
の 自 然 条 件 の 厳 しさ 等 も 勘 案 して 策 定 しています。<br />
具 体 的 には、 福 島 第 一 原 発 事 故 の 教 訓 を 踏 まえ、<br />
1 地 震 、 津 波 とも 基 準 を 強 化 した 上 で、 既 設 の 原 子 炉 に 対 して<br />
31
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 全 般<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
もバックフィットさせることに 加 え、<br />
2 仮 に、シビアアクシデントが 発 生 した 場 合 においても、 炉 心<br />
損 傷 の 防 止 、 格 納 容 器 の 破 損 の 防 止 、 放 射 性 物 質 の 拡 散 の 抑<br />
制 のための 対 策 を 要 求 しています。<br />
こうした 基 準 への 適 合 状 況 をしっかり 確 認 することで、 福 島 第<br />
一 原 発 事 故 と 同 様 の 事 故 を 防 止 できると 考 えています。<br />
しかし、 安 全 に 絶 対 はありません。 安 全 追 求 に 終 わりはなく、よ<br />
り 一 層 の 安 全 を 追 求 すべく、 事 業 者 には 努 力 を 継 続 するよう 促 し<br />
つつ、 当 委 員 会 としても 必 要 な 審 査 ・ 検 査 等 を 行 うことはもちろ<br />
んのこと、 安 全 追 求 のために 不 断 の 努 力 をしていきます。<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 伊 方 3の 審 査 書 に 記 載 のあった「 規 制 委 員 会 は、αモードについ<br />
ては 発 生 確 率 が 極 めて 低 いと 認 められること、βモードについて<br />
は 人 的 過 誤 を 防 止 する 運 用 がなされていること、 高 温 誘 因 蒸 気 発<br />
生 器 伝 熱 管 破 損 については 1 次 系 強 制 減 圧 を 確 実 に 行 うための 対<br />
策 等 が 整 備 されていることを 確 認 したことから、 申 請 者 がこれら<br />
の 破 損 モードを 新 たな 格 納 容 器 破 損 モードとして 追 加 する 必 要 は<br />
ないとしたことは 妥 当 と 判 断 した。」が 玄 海 3,4の 審 査 書 では 記<br />
載 がないのはなぜか。 上 記 の 伊 方 3の 審 査 書 に 記 載 の 事 実 が、 玄<br />
海 3,4ではなかったのか。それとも 事 実 はあるが、 記 載 を 省 い<br />
たのか。そうであるならばその 考 え 方 を 示 せ。<br />
考 え 方<br />
‣ 審 査 書 ( 案 )「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」にあるとおり、 格 納 容<br />
器 破 損 モードとしてαモード、βモード 及 び 高 温 誘 因 蒸 気 発 生 器<br />
伝 熱 管 破 損 を 追 加 する 必 要 がないことを 確 認 しています。<br />
‣ 伊 方 3の 審 査 書 に 記 載 のあった「 規 制 委 員 会 は、PRA を 用 いて 評<br />
価 するに 当 たり、 内 部 事 象 は 定 期 安 全 レビュー(PSR)においての<br />
‣ 平 成 25 年 7 月 に 提 出 された 本 申 請 においては、 申 請 者 が 先 行 炉 の<br />
審 査 を 踏 まえて 対 応 したことにより、 先 行 炉 の 審 査 過 程 における<br />
32
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定<br />
御 意 見 の 概 要<br />
実 績 、 地 震 及 び 津 波 は 試 評 価 等 の 実 施 経 験 を 有 するものの、その<br />
他 の PRA は、 日 本 原 子 力 学 会 の PRA に 関 する 実 施 基 準 が 未 整 備 で<br />
あること、 又 は、 評 価 実 績 が 乏 しいことを 考 慮 すれば、PRA の 評<br />
価 対 象 が 上 記 の 範 囲 に 留 まるとすることは、 最 新 の 技 術 に 基 づい<br />
た 適 用 範 囲 であると 判 断 した。」が 玄 海 3,4の 審 査 書 では 記 載 が<br />
ないのはなぜか。 上 記 の 伊 方 3の 審 査 書 に 記 載 の 事 実 が、 玄 海 3,<br />
4ではなかったのか。 事 実 関 係 の 有 無 を 示 せ。 事 実 はあるが、 記<br />
載 を 省 いた 場 合 、その 考 え 方 を 示 せ。<br />
考 え 方<br />
論 点 については、 本 審 査 の 過 程 では、 主 な 論 点 とはなりませんで<br />
した。 本 審 査 においては、 先 行 炉 で 主 な 論 点 とされた 点 について<br />
も、 同 様 の 確 認 を 行 っています。<br />
‣ p126IV-1.1 事 故 の 想 定 1. 申 請 内 容 (2) 運 転 中 原 子 炉 に<br />
おいて 格 納 容 器 破 損 に 至 る 恐 れがある 事 故 格 納 容 器 直 接 接 触 (シ<br />
ェルアタック)は BWR の 一 部 の 格 納 容 器 に 特 有 の 事 象 とみなされ<br />
ているため、PWR は 除 外 する 旨 の 記 載 がありますが、PWR の 格 納 容<br />
器 に 対 して 直 接 接 触 が 発 生 した 場 合 、 格 納 容 器 破 損 に 至 らない 根<br />
拠 をご 提 示 下 さい。<br />
‣ 審 査 書 ( 案 )「Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互<br />
作 用 」にあるとおり、 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 に 溶 融 炉 心 が 落 下<br />
し、 側 面 のライナプレートに 接 触 して 破 損 した 場 合 でも、 基 礎 コ<br />
ンクリート 及 び 基 礎 コンクリートと 鋼 材 との 付 着 力 を 考 慮 すれば<br />
連 続 した 隙 間 は 生 じるとは 考 えにくく、また、 外 部 環 境 まで 到 達<br />
するような 長 大 な 割 れが 生 じるとは 考 えにくいこと、 仮 にリーク<br />
パスを 想 定 した 場 合 でも、 原 子 炉 格 納 容 器 からの 漏 えい 量 は、 格<br />
納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過<br />
圧 )」における Cs-137 放 出 量 評 価 で 設 定 した 原 子 炉 格 納 容 器 漏 え<br />
い 率 の 保 守 性 に 包 絡 されることを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 141ページ、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 の 閉 止 は 運 転 員 操 作 であり、ま<br />
た、 同 弁 は1 台 しかなく、かつ 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 されてい<br />
考 え 方<br />
‣ 蓄 圧 タンク 出 口 弁 は、 耐 震 重 要 度 分 類 Sクラス 及 び 重 大 事 故 クラス<br />
2 機 器 に 該 当 する 機 器 であり、 十 分 に 信 頼 性 の 高 い 設 備 となってい<br />
33
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
るため、 閉 止 失 敗 を 想 定 し、 窒 素 ガスが1 次 系 内 に 入 った 場 合 の<br />
評 価 を 行 うべきである。なお、 他 の PWR プラントについての 同 様<br />
の 意 見 に 対 する 規 制 委 員 会 としての「 考 え 方 」では、「 申 請 書 ( 添<br />
付 書 類 十 「7.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」)にあるとおり、 本 操 作 は、<br />
空 冷 式 非 常 用 発 電 装 置 により 代 替 交 流 動 力 電 源 を 確 保 した 後 、ア<br />
キュムレータ 出 口 弁 の 閉 止 操 作 が 必 要 なタイミングに 変 動 があっ<br />
たとしても、 専 任 の 運 転 員 が 中 央 制 御 室 にて 閉 止 操 作 を 実 施 する<br />
ことから、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対 策 の 実 施 に 与 える 影<br />
響 がないことを 確 認 しています。」( 関 西 電 力 株 式 会 社 美 浜 発 電 所<br />
3 号 炉 の 審 査 書 案 に 対 する 意 見 募 集 の 結 果 等 及 び 発 電 用 原 子 炉 設<br />
置 変 更 許 可 について( 案 )、 平 成 28 年 10 月 5 日 原 子 力 規 制 委 員<br />
会 )と 述 べられているが、 本 意 見 は、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 の 閉 止 操<br />
作 の「タイミング」を 問 題 にしているのではなく、 弁 閉 止 失 敗 を<br />
考 慮 すべきであり、1 次 冷 却 系 に 窒 素 が 流 入 した 場 合 の 影 響 を 評<br />
価 すべきではないか、ということである。 規 制 委 員 会 としての 考<br />
え 方 を 提 示 されたい。<br />
考 え 方<br />
ることから、 評 価 において 弁 閉 止 失 敗 を 考 慮 する 必 要 はないと 判 断<br />
しています。<br />
また、 窒 素 ガス 流 入 により 2 次 系 による 除 熱 機 能 が 喪 失 したと 仮<br />
定 しても、1 次 系 を 減 温 、 減 圧 するための 手 段 として、B 充 てんポ<br />
ンプ( 自 己 冷 却 )によるフィードアンドブリードを 実 施 することが<br />
可 能 です。なお、1 次 系 に 窒 素 ガスが 流 入 した 場 合 を 模 擬 し、 非 凝<br />
縮 ガス 存 在 下 での 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 内 自 然 循 環 除 熱 特 性 に 関 する<br />
試 験 がメーカーにより 行 われており、 一 定 量 の 窒 素 ガスが 1 次 系 に<br />
注 入 されたとしても 自 然 循 環 が 維 持 されることが 示 されています。<br />
Ⅳ-1.2.1.5 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 1 次 冷 却 材 すなわち 減 速 材 の 温 度 上 昇 、 減 速 材 の 密 度 低 下 、 減 速<br />
能 力 の 低 下 、 反 応 度 および 燃 料 の 出 力 の 低 下 という 自 己 制 御 性 に<br />
期 待 していますが、 制 御 的 な 振 動 、 発 散 が 発 生 しないことを 確 認<br />
されているのでしょうか?また、 振 動 、 発 散 せず 最 終 的 に 落 ち 着<br />
くのであれば、どの 程 度 の 時 間 でおよそ 何 ℃に 落 ち 着 くのでしょ<br />
考 え 方<br />
‣ 「 制 御 的 な 振 動 、 発 散 」の 意 味 するところが 必 ずしも 明 らかではあり<br />
ませんが、 本 重 要 事 故 シーケンス 中 の 原 子 炉 出 力 は、 減 速 材 温 度 上<br />
昇 による 負 のフィードバック 効 果 により、 発 散 、 振 動 せずに 低 下 し<br />
ていくことを 確 認 しています。<br />
長 期 的 な 対 策 としては、 化 学 体 積 制 御 設 備 を 用 いたほう 酸 水 の 炉<br />
34
Ⅳ-1.2.1.5 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
うか?また、その 値 が 設 計 温 度 より 低 いこと、1 次 冷 却 材 の 安 全<br />
弁 が 吹 かないことをご 提 示 下 さい。<br />
考 え 方<br />
心 注 入 により 未 臨 界 を 確 保 した 後 、1 次 系 の 降 温 、 降 圧 を 行 い、 原<br />
子 炉 安 定 停 止 状 態 である 低 温 停 止 状 態 (1 次 冷 却 材 温 度 93℃ 以 下 )<br />
まで 約 21.5 時 間 で 到 達 することを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 157 ページ、ECCS 注 水 機 能 喪 失 の 原 因 を「 中 破 断 LOCA 時 に 高 圧 注<br />
入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」としています。 大 破 断 LOCA の 方 が 冷 却 材<br />
の 流 出 量 が 多 くより 厳 しいと 考 えられます。 本 前 提 の 見 直 しが 必<br />
要 です。<br />
考 え 方<br />
‣ 「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」のうち、「 大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 水 失 敗 」は 事<br />
象 進 展 が 早 い 事 象 であり、 国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 と 同 等 の 対 策 が 講<br />
じられた 上 でもなお 炉 心 損 傷 対 策 の 実 施 が 困 難 なものとなります。<br />
このため、 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )<br />
シーケンスでの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 により、 格 納 容<br />
器 破 損 が 防 止 できることを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 163 ページ、 代 替 再 循 環 切 替 操 作 については、ECCS 再 循 環 切 替 失<br />
敗 から 15 分 後 までに 完 了 する 必 要 があるが、これまでの 訓 練 実 績<br />
を 踏 まえると ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 13 分 後 までに 完 了 できる<br />
とありますが、 訓 練 で 13 分 に 実 施 できたとしても、 実 際 に LOCA<br />
が 発 生 し、しかも ECCS 再 循 環 切 替 に 失 敗 するという 状 況 で 非 常 に<br />
まれな 非 定 常 操 作 が 訓 練 通 り 終 えられるとは 考 えられず、その 猶<br />
予 が 2 分 しかないのであれば、 代 替 再 循 環 切 替 操 作 は 間 に 合 わな<br />
い 可 能 性 が 高 いのではないでしょうか。<br />
考 え 方<br />
‣ ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 以 内 に 行 う 代 替 再 循 環 切 替 操 作 は、<br />
現 場 での 手 動 弁 操 作 及 び 中 央 制 御 室 でのスイッチ 操 作 の 単 純 操 作<br />
であることから、 余 裕 を 持 って 15 分 以 内 に 行 うことができること<br />
を 確 認 しています。<br />
なお、 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するため、 運 転 員 操 作 の 遅 れ 等 の 影 響<br />
評 価 を 要 求 し、 再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 にさらに 5 分 の 操 作 余 裕<br />
があることを 確 認 しています。<br />
さらに、 訓 練 等 において、 設 定 した 時 間 内 に 収 まることを、 保 安<br />
検 査 等 で 確 認 していきます。<br />
35
Ⅳ-1.2.1.8 格 納 容 器 バイパス(インターフェース LOCA、 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 167 ページ、インターフェイスシステム LOCA として、 余 熱 除 去 系<br />
逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去 系 機 器 等 からの 1 次 冷 却 材 の 漏 えいを 想 定<br />
していますが、 伊 方 原 発 3 号 機 で 発 生 した 1 次 冷 却 材 ポンプのメ<br />
カニカルシール 不 良 でも 発 生 すると 考 えます。1 次 冷 却 材 ポンプ<br />
のメカニカルシール 不 良 ではなく 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除<br />
去 系 機 器 等 からの 漏 えいを 選 定 した 根 拠 を 御 提 示 下 さい。<br />
考 え 方<br />
‣ インターフェイスシステム LOCA( 以 下 「ISLOCA」という。)は、 原<br />
子 炉 の 出 力 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 構 成 する 機 器<br />
が 破 損 し、 原 子 炉 格 納 容 器 外 へ 1 次 冷 却 材 が 漏 えいする 事 故 を 想 定<br />
しています。<br />
一 方 、 伊 方 3 号 炉 で 発 生 したような 1 次 冷 却 材 ポンプのメカニカ<br />
ルシール 部 からの 漏 えいについては、 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 発 生 する<br />
ものであることから、ISLOCA の 想 定 事 象 とはしていません。<br />
‣ 167 ページ、 炉 心 流 量 注 水 の 設 定 で、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 が 多 い<br />
ことを 理 由 に 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を 設 定 し<br />
ているが、 炉 心 注 入 流 量 が 少 ないことによる 炉 心 の 冷 却 不 足 と 1<br />
次 冷 却 材 の 漏 えい 量 が 多 いことのどちらがより 重 大 かと 言 えば、<br />
炉 心 の 冷 却 不 足 ではないでしょうか。<br />
‣ ISLOCA における 解 析 条 件 として、 高 圧 注 入 ポンプ 流 量 を 最 確 値 とし<br />
た 場 合 でも、1 次 保 有 水 量 は 確 保 されていることから、 評 価 項 目 と<br />
なるパラメータに 与 える 影 響 は 小 さいことを 確 認 しています。 一<br />
方 、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 を 考 慮 する 観 点 では、 原 子 炉 格 納 容 器 外 への<br />
漏 えい 量 を 多 くしたほうがより 厳 しくなるため、 高 圧 注 入 ポンプ 流<br />
量 の 解 析 条 件 としては、 最 大 注 入 特 性 で 評 価 しています。<br />
‣ 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 から 1 次 冷 却 材 が 2 次 冷 却 系 に 流 出 し、 放 射 能<br />
汚 染 水 になる 事 が 考 えられますが、その 回 収 については 検 討 され<br />
ているのでしょうか。<br />
‣ 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 に 移 行 させ 原 子 炉 から 燃 料 取 出 しを 行 った<br />
後 、 液 体 廃 棄 物 処 理 系 にて 回 収 ・ 処 理 することとなります。<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 川 内 原 発 1、2 号 炉 は 鋼 板 製 の 格 納 容 器 とコンクリートの 原 子 炉<br />
建 屋 で 構 成 される5 重 の 壁 構 造 であるが、 玄 海 原 発 3、4 号 炉 は<br />
プレストレスコンクリート 製 の 格 納 容 器 にガスシール 用 の6.4<br />
mm 厚 みの 薄 い 鉄 板 を 貼 り 付 けた4 重 の 壁 構 造 であることが 説 明<br />
されている。この 新 しい 設 計 は 日 本 では、 大 飯 原 発 3、4 号 炉 と<br />
考 え 方<br />
‣ プレストレストコンクリート 製 格 納 容 器 ( 以 下 「PCCV」という。)に<br />
おける 耐 圧 限 界 性 能 の 評 価 ・ 検 討 のため、 過 去 に 通 商 産 業 省 と 米 国<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 と 協 同 で 限 界 耐 圧 試 験 が 実 施 されています。この<br />
試 験 に 使 われた 試 験 体 は、 代 表 プラントの PCCV を 1/4 の 縮 尺 で 可<br />
能 な 範 囲 で 忠 実 に 模 擬 したものとしています。 試 験 において 試 験 体<br />
36
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
御 意 見 の 概 要<br />
玄 海 原 発 3、4 号 炉 で 初 めて 挑 戦 された。この 新 しい 格 納 容 器 設<br />
計 の 安 全 性 を 確 かめるために、アメリカのサンディア 研 究 所 で1<br />
/4モデルを 使 用 して、 破 壊 実 験 が 行 われている。この 実 験 結 果<br />
によると、 玄 海 原 発 3、4 号 炉 のプレストレスコンクリート 製 の<br />
格 納 容 器 は 従 来 の 鋼 板 製 の 格 納 容 器 に 比 べて、かなり 弱 い 事 が 分<br />
かっている。 福 島 第 一 原 発 の 過 酷 事 故 の 発 生 により、 日 本 の 原 発<br />
は 絶 対 にメルトダウンを 起 こさないのではなく、 何 が 起 因 してメ<br />
ルトダウンが 起 きるかは 分 からないという 事 が 明 確 になって、 新<br />
規 制 基 準 が 策 定 されたので、プレストレスコンクリート 製 の 格 納<br />
容 器 のみの 原 発 が 安 全 かどうかの 審 査 が 必 要 である。<br />
考 え 方<br />
を 窒 素 ガスにて 加 圧 した 結 果 、 約 2.5Pd(Pd: 最 高 使 用 圧 力 )でラ<br />
イナ 損 傷 による 微 少 漏 えいを 確 認 したものの、 約 3.3Pd まで 躯 体 は<br />
ほぼ 健 全 な 状 態 のまま 終 了 しています。その 後 、 水 圧 による 破 壊 試<br />
験 を 実 施 したところ、 約 3.6Pd で 円 筒 胴 部 にて 破 壊 を 確 認 していま<br />
す。<br />
今 回 の 審 査 では、 原 子 炉 格 納 容 器 の 放 射 性 物 質 の 閉 じ 込 め 機 能 を<br />
確 認 する 評 価 圧 力 ( 以 下 「 限 界 圧 力 」という。)を 2Pd に 設 定 したう<br />
えで、 各 評 価 事 故 シーケンスにおける 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 値 がこ<br />
の 限 界 圧 力 を 下 回 ることを 確 認 していることから、 重 大 事 故 時 にお<br />
いても PCCV の 閉 じ 込 め 機 能 に 問 題 がないことを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.2.1 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 九 州 電 力 は、フィルター 付 きベントの 設 置 を 行 わないままに、 玄<br />
海 原 発 3、4 号 炉 の 再 稼 働 を 計 画 している。 格 納 容 器 の 圧 力 は<br />
0.444MPa まで 上 昇 し、 設 計 圧 力 を 超 えて、 限 界 圧 力 0.784MPa に<br />
近 くなっている。 玄 海 原 発 は 水 蒸 気 爆 発 が 発 生 し、 瞬 間 的 に 格 納<br />
容 器 の 内 圧 が 格 納 容 器 の 限 界 圧 力 を 超 えて、コンクリート 製 の 格<br />
納 容 器 が 破 裂 して、 放 射 性 物 質 が 大 気 中 に 大 量 に 放 散 される 危 険<br />
性 が 大 きい。「 原 子 炉 格 納 容 器 から 環 境 に 放 出 される Cs-137 の 放<br />
出 量 は、7 日 間 で 約 4.5TBq」などには 到 底 収 まらず、 福 島 第 一 原<br />
発 の 過 酷 事 故 (Cs-137 の 放 出 量 推 定 1 万 TBq) 以 上 の 放 出 量 が 想<br />
定 される。 玄 海 原 発 3、4 号 炉 にフィルター 付 きベントを 設 置 せ<br />
ずに 再 稼 働 を 行 うような 事 は、 到 底 許 されるものでは 無 い。<br />
考 え 方<br />
‣ 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を<br />
防 止 するための 手 順 等 においては、「 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
するため、 格 納 容 器 圧 力 逃 がし 装 置 又 は 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに<br />
より、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 な<br />
手 順 を 整 備 すること」を 要 求 しており、 玄 海 3 号 炉 及 び 4 号 炉 にお<br />
いては、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の<br />
手 順 を 整 備 していることを 確 認 しています。<br />
37
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.2.1 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 173 頁 、 原 子 炉 圧 力 容 器 の 破 損 により 流 出 する 溶 融 燃 料 を 原 子 炉<br />
下 部 キャビティに 水 張 りして 受 け 止 め 冷 却 する 方 式 は、 労 働 安 全<br />
衛 生 規 則 の 水 蒸 気 爆 発 の 防 止 規 定 に 違 反 するものであり、 容 認 し<br />
てはならない。その 理 由 は 次 のとおりである。 労 働 安 全 衛 生 規 則<br />
の 第 249 条 と 第 250 条 では、「 溶 融 高 熱 物 は 水 蒸 気 爆 発 を 生 じさせ<br />
ないために。 溶 融 高 熱 物 を 取 り 扱 うピットの 内 部 には 水 を 浸 入 さ<br />
せないこと」、「そのピットが 存 在 する 構 築 物 の 床 面 には 水 が 滞 留<br />
しないこと」を 定 めている。 水 蒸 気 爆 発 の 防 止 のために、 長 年 に<br />
わたる 知 見 と 経 験 をもとに 策 定 、 施 行 されてきた 労 働 安 全 衛 生 規<br />
則 に 反 する 設 備 対 策 を 用 いることは、 法 治 国 として 許 されること<br />
ではない。なお、「 設 置 許 可 基 準 規 則 の 解 釈 」において「 原 子 炉 格<br />
納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 機 能 ( 例 えば、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 への 注 水 設 備 )」(p.87)と 記 されており、 九 州 電 力 はそれを<br />
採 用 しているので 問 題 はないと 主 張 することが 予 想 されるが、そ<br />
れは 規 制 委 員 会 が 同 規 則 の 解 釈 制 定 時 に 既 存 の 国 内 法 規 への 整 合<br />
性 確 認 を 怠 った 過 誤 を 論 拠 とするものであり、 同 規 則 の 解 釈 から<br />
原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 注 水 設 備 を 削 除 するように 早 急 に 改 訂 す<br />
ることを 求 める。<br />
考 え 方<br />
‣ 労 働 安 全 衛 生 規 則 第 249 条 の 適 用 対 象 となるピットについては、「 高<br />
熱 の 鉱 さいを 水 で 処 理 するものを 除 く。」と 規 定 され、 解 釈 通 達 に<br />
さい<br />
「 高 熱 の 鉱 滓 に 注 水 して 冷 却 処 理 するもの」が 例 示 されていること<br />
から、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 のように、 水 の 注 入 による 冷 却<br />
処 理 を 前 提 とした 設 備 に 適 用 されるものではないと 承 知 しており<br />
ます。また、 第 250 条 の 適 用 対 象 は、「 溶 融 高 熱 物 を 取 り 扱 う 設 備 」<br />
ではなく、 当 該 設 備 を 内 部 に 有 する「 建 築 物 」であることから、 同<br />
条 は、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 注 水 設 備 には 適 用 されないと 承 知 して<br />
います。<br />
なお、 新 規 制 基 準 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 外 の 溶 融 炉 心 と 冷<br />
却 水 の 相 互 作 用 は 必 ず 想 定 し、その 場 合 原 子 炉 格 納 容 器 が 機 能 喪 失<br />
しないことを 求 めています。<br />
Ⅳ-1.2.2.3 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 審 査 書 案 189ページ、 加 圧 器 逃 がし 弁 のダイヤフラム 部 への 温<br />
度 評 価 について、 九 州 電 力 の 使 用 したモデルは 伝 熱 工 学 資 料 にあ<br />
るようなモデルと 式 である。 高 温 領 域 の 伝 熱 計 算 において、 加 圧<br />
器 逃 がし 弁 のダイヤフラム 部 の 伝 熱 計 算 については、 伝 熱 は 伝 導<br />
考 え 方<br />
‣ 加 圧 器 逃 がし 弁 のダイヤフラム 部 の 温 度 評 価 では、 実 機 の 形 状 を 単<br />
純 化 し、 構 成 要 素 ごとに 均 一 断 面 で 無 限 長 の 棒 に 対 する 解 析 解 を 用<br />
いて 計 算 し、その 温 度 を 次 の 構 成 要 素 の 端 部 温 度 として 評 価 をつな<br />
ぎ 合 わせて 評 価 しています。 本 評 価 手 法 では、 熱 流 の 方 向 に 対 して<br />
38
Ⅳ-1.2.2.3 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
御 意 見 の 概 要<br />
伝 熱 、 対 流 伝 熱 、 輻 射 伝 熱 のつり 合 いから 求 められるが、 伝 導 伝<br />
熱 係 数 、 対 流 伝 熱 係 数 、 輻 射 伝 熱 係 数 は 温 度 による 変 化 が 大 きく、<br />
特 に 輻 射 伝 熱 係 数 は 温 度 のより 非 常 に 大 きく 変 動 する。したがっ<br />
て、 九 州 電 力 が 伝 熱 工 学 資 料 にあるようなフィンのモデルとフィ<br />
ンの 式 を 使 用 して、 電 卓 で 計 算 したような 結 果 から、 安 全 性 が 確<br />
認 されたとするのは 不 十 分 である。<br />
考 え 方<br />
断 面 積 が 縮 小 する 場 合 には 断 面 変 化 部 での 熱 流 を 非 保 守 的 に 見 積<br />
もることになりますが、 仮 に 放 熱 を 無 視 して 評 価 しても 評 価 結 果 は<br />
4℃ 程 度 の 上 昇 にとどまることを 確 認 しています。また、 本 評 価 にあ<br />
たっては 入 力 条 件 、 評 価 点 の 位 置 等 について、 実 機 条 件 と 比 較 して<br />
保 守 的 な 設 定 にしており、 評 価 結 果 は 総 合 的 に 保 守 的 ものとなって<br />
いることを 確 認 しています。<br />
さらに、 評 価 モデルをより 精 緻 化 したものとして、 有 限 長 の 棒 の<br />
組 合 せにより 各 要 素 の 境 界 条 件 を 収 束 計 算 して 評 価 した 結 果 でも、<br />
評 価 温 度 に 大 きな 差 はないことを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 過 酷 事 故 時 の 水 蒸 気 爆 発 の 危 険 性 は、 諸 外 国 では 深 刻 に 認 識 され<br />
ている。 日 本 では、 福 島 第 一 原 発 の 過 酷 事 故 が 発 生 するまでは、<br />
深 層 防 護 は 第 1 層 、 第 2 層 、 第 3 層 までを 重 点 として 対 策 を 行 え<br />
ば、 第 4 層 、 第 5 層 は 重 要 ではないとされてきた。 しかし、 福<br />
島 第 一 原 発 の 過 酷 事 故 の 発 生 後 、 再 度 日 本 の 原 発 を 再 稼 働 する 為<br />
に、 新 規 制 基 準 は 建 前 としては、 第 4 層 を 新 規 に 採 用 するとされ<br />
たが、 実 質 は、 過 酷 事 故 対 策 ( 重 大 事 故 対 策 )は 深 層 防 護 第 1 層<br />
の 外 部 事 象 対 策 と 内 部 事 象 の 電 源 対 策 を 強 化 する 事 で 良 しとさ<br />
れ、 第 4 層 は 放 水 砲 、シルトフェンス、 電 源 車 、 可 搬 型 ポンプ 車<br />
等 の 簡 単 な 設 備 の 採 用 とされた。 新 規 制 基 準 が 如 何 にIAEA 安<br />
全 指 針 NS-G-2.15「シビアアクシデントマネージメント 計 画 」を 取<br />
り 入 れなかったかが 良 く 分 かる。この 中 で「キャビティの 冠 水 で 有<br />
り、これは、 圧 力 容 器 外 での 水 蒸 気 爆 発 が 起 こり 得 るというマイ<br />
ナスの 影 響 がある。」とあり、 大 量 の 格 納 容 器 下 部 への 冠 水 は、 水<br />
考 え 方<br />
‣ 水 蒸 気 爆 発 に 関 する 大 規 模 実 験 としては、COTELS、FARO 及 び KROTOS<br />
を 参 照 し、 大 規 模 実 験 の 条 件 と 実 機 条 件 とを 比 較 した 上 で、 実 機 に<br />
おいては、 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 が 極 めて 低 いことを 確 認 して<br />
います。 加 えて、JASMINE コードを 用 いた 水 蒸 気 爆 発 の 評 価 におけ<br />
る 条 件 と 実 機 での 条 件 との 相 違 を 踏 まえると、 実 機 においては、 水<br />
蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いことを 確 認 しています。これ<br />
らから、 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 で 想 定 され<br />
る 物 理 現 象 のうち、 水 蒸 気 爆 発 は 除 外 可 能 であることを 確 認 してい<br />
ます。<br />
39
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
蒸 気 爆 発 の 危 険 性 が 大 きい 事 を 警 告 している。『 実 機 においては、<br />
水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いとする 根 拠 を 示 した。こ<br />
れにより、 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI で 生 じる 事 象 とし<br />
て、 水 蒸 気 爆 発 は 除 外 し 圧 力 スパイクを 考 慮 すべきであることを<br />
確 認 した。』と 判 定 されているが、これは 間 違 いと 思 われる。<br />
考 え 方<br />
‣ MCCIを 防 止 するために、 大 量 の 貯 水 の 中 に 溶 融 燃 料 を 落 とし<br />
込 めば、 水 蒸 気 爆 発 の 可 能 性 が 有 り、 玄 海 原 発 3、4 号 機 のよう<br />
に、コンクリート 製 格 納 容 器 が 水 蒸 気 爆 発 で 吹 き 飛 んだ 場 合 、1<br />
00トンもの 溶 融 燃 料 はPM2.5となって 空 中 に 飛 散 すると、<br />
海 外 では 考 えられている。『 実 機 においては、 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の<br />
可 能 性 は 極 めて 低 いとする 根 拠 を 示 した。これにより、 規 制 委 員<br />
会 は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI で 生 じる 事 象 として、 水 蒸 気 爆 発 は 除<br />
外 し 圧 力 スパイクを 考 慮 すべきであることを 確 認 した。』と 判 定 さ<br />
れているが、これは 間 違 いと 思 われる。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 「 実 験 では( 外 部 トリガーなしの) 自 発 的 な 水 蒸 気 爆 発 が 起 こっ<br />
ていないから, 過 酷 事 故 時 の 水 蒸 気 爆 発 発 生 可 能 性 を 考 慮 する 必<br />
要 がない」というのであれば, 火 山 におけるマグマ 水 蒸 気 爆 発 も,<br />
金 属 工 場 での 鉄 やアルミニウムなどによる 水 蒸 気 爆 発 事 故 も 起 こ<br />
らないことになってしまう。ところが, 過 去 にはこれら 水 蒸 気 爆<br />
発 事 故 は 現 実 に 発 生 している。 実 際 に, 平 成 27 年 9 月 1 日 , 北<br />
九 州 市 のアルミメッキ 加 工 会 社 でアルミニウムの 溶 解 作 業 中 に 漏<br />
出 したアルミニウムと 付 近 にたまっていた 水 が 接 触 し, 水 蒸 気 爆<br />
発 が 起 きたとみられる。 玄 海 原 発 の3、4 号 炉 に 過 酷 事 故 が 発 生<br />
し、 水 蒸 気 爆 発 が 起 こり、 格 納 容 器 が 破 裂 して 大 量 の 溶 融 核 燃 料<br />
‣ 同 上<br />
40
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
が 微 粒 子 となって 飛 散 する 可 能 性 の 有 る。 原 発 の 過 酷 事 故 の 発 生<br />
は、この 事 故 に 比 べて 比 較 にならないほどの 被 害 をもたらすと 思<br />
われる。<br />
考 え 方<br />
‣ チェルノブイリ 事 故 の 発 生 時 、 当 時 のソ 連 の 関 係 者 が 水 蒸 気 爆 発<br />
を 如 何 に 恐 れたかは、 日 本 で 発 刊 されている 書 籍 にも 幾 らか 記 載<br />
されている。チェルノブイリ 事 故 の 発 生 については、 極 めてお 粗<br />
末 な 過 酷 事 故 対 策 実 験 からひきおこされているが、 一 たび 事 故 が<br />
起 きた 事 が 分 かってからは、 即 座 にすさまじい 対 策 を 行 っている。<br />
過 酷 事 故 が 発 生 したと 分 かってからは、すぐさまにメルトダウン<br />
によりチャイナシンドロームが 発 生 し、 地 下 プールの 水 と、 溶 融<br />
核 燃 料 が 接 触 し 水 蒸 気 爆 発 が 起 きることを 心 配 して、 命 がけで 地<br />
下 プールの 水 を 抜 いている。これらの 事 実 からも、『 実 機 において<br />
は、 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いとする 根 拠 を 示 した。<br />
これにより、 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI で 生 じる 事 象 と<br />
して、 水 蒸 気 爆 発 は 除 外 し 圧 力 スパイクを 考 慮 すべきであること<br />
を 確 認 した。』と 判 定 されているが、これは 間 違 いと 思 われる。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 過 酷 事 故 現 象 学 の 専 門 家 の 国 際 的 合 意 は,FCI を 伴 うメルトダウ<br />
ンの 実 際 の 場 面 (「 実 機 条 件 」)では,「 水 蒸 気 爆 発 は 必 ず 起 きる」<br />
である。これまでの 原 子 力 規 制 委 員 会 の 審 議 ではこの 点 で 瑕 疵 が<br />
ある. 溶 融 した 炉 心 を 水 で 張 った 格 納 容 器 に 受 けて 冷 却 するとい<br />
う 対 策 を 容 認 しているが,この 対 策 は 水 蒸 気 爆 発 を 誘 発 する 恐 れ<br />
がある. 爆 発 が 起 きれば, 福 島 原 発 事 故 をはるかに 越 える 放 射 性<br />
物 質 を 環 境 に 放 出 することになる.このように 過 酷 事 故 をさらに<br />
酷 くする 水 蒸 気 爆 発 を 誘 発 する 恐 れがある 今 回 の 審 査 書 案 は 到 底<br />
‣ 同 上<br />
41
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
容 認 できるものではない.<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 適 合 性 審 査 資 料 において、 玄 海 原 発 3、4 号 炉 にメルトダウンが<br />
発 生 時 、キャビティ 内 の 大 量 の 水 中 に2600℃にもなった 溶 融<br />
核 燃 料 を100トン 程 度 落 下 させたときの 状 態 が 示 されている。<br />
水 中 で2600℃にもなった 溶 融 核 燃 料 100トンは 周 りをクレ<br />
ストで 包 まれて 溶 融 状 態 にある 事 が 分 かる。この 大 量 の 溶 融 炉 心<br />
が 水 素 爆 発 や 大 地 震 の 余 震 などがトリガーとなり、クレストが 破<br />
れて 大 量 の 水 と 接 触 すると、 格 納 容 器 が 破 裂 するような 大 水 蒸 気<br />
爆 発 が 起 きるのは 明 らかである。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 溶 融 温 度 の 低 い,スズや 鉛 を 除 いて, 溶 融 銑 鉄 やアルミニウムや<br />
マグマを, 水 プールに 投 入 する 実 験 では, 自 発 的 な 水 蒸 気 爆 発 が<br />
発 生 することはほとんど 報 告 されていない. 高 速 の 水 流 を 吹 き 付<br />
けるとか, 外 部 圧 力 パルスを 加 えるなどの 外 部 トリガーなしには,<br />
水 蒸 気 爆 発 を 起 こさせるのはできないのが 通 常 である. 規 制 委 員<br />
会 が,これまでの「 考 え 方 」において, 自 発 的 な 水 蒸 気 爆 発 が 起<br />
こっていないから, 過 酷 事 故 時 の 水 蒸 気 爆 発 を 考 慮 する 必 要 がな<br />
いというのであれば, 火 山 におけるマグマ 水 蒸 気 噴 火 も, 金 属 工<br />
場 での 鉄 やアルミによる 水 蒸 気 爆 発 事 故 も 起 こらないということ<br />
になる.<br />
‣ 同 上<br />
‣ 「 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 い」 根 拠 として,「 大 規 模<br />
実 験 」において,TROI,KROTOS の 実 験 でしか 発 生 していないこと<br />
を 上 げている.しかし, KROTOS では,わずか 2kg 程 度 ,TROI で<br />
も 10kg 程 度 である. 事 故 時 の 150 トンとは 到 底 比 較 できず,「 大<br />
‣ 水 蒸 気 爆 発 は 複 雑 な 現 象 ですが、これまでの 研 究 の 積 み 重 ねに 基 づ<br />
き、 溶 融 物 のプールへの 落 下 から 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 までを、 粗 混 合 、<br />
トリガー、 微 粒 化 、 急 速 熱 伝 達 、 膨 張 による 圧 力 波 伝 播 及 び 機 械 的<br />
エネルギ 発 生 のように 分 解 し、 実 験 及 び 解 析 モデル 開 発 が 行 われて<br />
42
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
規 模 」とは 言 えない.<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
います。これまでの 水 蒸 気 爆 発 実 験 には、こうした 現 象 群 を 全 体 と<br />
して 把 握 する 積 分 実 験 、 現 象 を 個 別 に 把 握 し、 実 機 での 影 響 評 価 や<br />
予 測 モデル 開 発 に 役 立 てることを 目 的 とした 個 別 効 果 実 験 があり<br />
ます。OECD/CSNI が 実 施 した SERENA2 を 構 成 する KROTOS 及 び TROI<br />
は、いずれも 積 分 実 験 として 位 置 づけられます。ここで 落 下 させる<br />
ウラン 酸 化 物 を 主 成 分 とする 溶 融 物 の 重 量 は 各 々0.8kg~3.9kg 及<br />
び 9.3kg~17.9kg であり、 実 機 に 対 する MAAP 解 析 結 果 と 比 較 して<br />
少 量 であるものの、これは、 装 置 の 容 量 の 範 囲 内 で、 落 下 した 溶 融<br />
物 の 全 量 を 装 置 内 で 混 合 させ、 外 部 トリガーを 作 用 させやすくする<br />
という、 意 図 的 な 条 件 で 水 蒸 気 爆 発 を 発 生 させるために 設 定 された<br />
条 件 です。<br />
実 規 模 の 大 量 溶 融 炉 心 落 下 に 関 しては、こうした 条 件 について 意<br />
図 的 な 条 件 連 鎖 が 発 生 する 可 能 性 は 低 いと 考 えます。 実 機 の 原 子 炉<br />
圧 力 容 器 下 部 には、 計 装 用 案 内 管 等 の 貫 通 部 が 複 数 あることから、<br />
原 子 炉 圧 力 容 器 破 損 時 には 複 数 箇 所 から 溶 融 炉 心 が 落 下 すると 考<br />
えられますが、 大 量 の 溶 融 炉 心 が1 箇 所 から 落 下 するとした 意 図 的<br />
なシナリオを 想 定 することは 保 守 的 であり、 仮 にそのような、まと<br />
まって 同 時 に(コヒーレント) 溶 融 炉 心 の 落 下 が 発 生 すると 仮 定 し<br />
ても、 勢 いよく 蒸 気 が 発 生 することで、 溶 融 炉 心 と 冷 却 水 の 接 触 を<br />
妨 げ 粗 混 合 が 抑 制 されるため、トリガリングは 発 生 しにくいと 考 え<br />
られます。<br />
また、 水 蒸 気 爆 発 に 寄 与 する 溶 融 炉 心 量 は、その 時 点 で 流 下 して<br />
いる 溶 融 炉 心 量 の 一 部 であり、 既 に 床 面 に 堆 積 した 溶 融 デブリは 寄<br />
与 しないということからも、 実 現 象 において、 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィに 蓄 えられた 水 に 落 下 させる 溶 融 炉 心 量 を 増 やしたとしても、そ<br />
れに 比 例 して 現 象 が 厳 しくなることはありません。<br />
43
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 水 蒸 気 爆 発 の JASMINE コードの 解 析 を,「 評 価 想 定 」が 不 適 当 とし<br />
て, 水 蒸 気 爆 発 そのものの 発 生 を 否 定 している.しかし, 溶 融 炉<br />
心 の 水 への 流 出 は,JASMINE コードで 想 定 しているように, 底 部<br />
が 破 損 してジェットとなるとは 限 らない. 側 面 から 流 出 する 可 能<br />
性 , 塊 となって 落 下 する 可 能 性 など,JASMINE コードの 想 定 以 上<br />
に, 厳 しい 落 下 条 件 もありうるのである.コードの 想 定 すら 認 め<br />
ない 申 請 ・ 審 査 は 不 十 分 である.<br />
‣ 同 上<br />
‣ 審 査 書 193 ページで「 液 - 液 直 接 接 触 を 生 じるような, 外 乱 とな<br />
りうる 要 素 は 考 えにくい」とあるが,150 トンにも 及 ぶ 溶 融 物 が<br />
水 プールに 落 下 した 場 合 は,(1) 少 量 の 水 を 溶 融 物 と 水 槽 底 部 や 壁<br />
との 間 に 囲 い 込 んだり,(2) 水 を 含 む 固 形 物 を 囲 い 込 んだりする 可<br />
能 性 ,さらに,(3) 格 納 容 器 内 の 圧 力 が 上 昇 すれば,サブクール 度<br />
が 大 きくなることや,(4) 外 部 から 流 入 する 水 流 の 発 生 や 水 温 の 急<br />
変 ( 水 温 低 下 ),(5) 水 素 爆 発 による 圧 力 パルスの 発 生 ,などが 十<br />
分 考 えられる.また, 最 悪 の 場 合 は, 注 水 配 管 等 の 破 損 などで(6)<br />
溶 融 物 中 への 水 の 注 入 などもないとは 言 えない. 仮 に,(6)のよ<br />
うなことが 起 これば,マグマ― 水 蒸 気 爆 発 の 実 験 (Wohletz<br />
ら,2013)や 溶 融 塩 の 水 蒸 気 爆 発 実 験 (Anderson and Bova,1976)<br />
などのように, 到 底 自 発 的 には 起 こらないと 思 われる 条 件 でも 激<br />
しい 爆 発 が 起 こる.<br />
‣ 大 量 の 溶 融 物 が 少 量 の 水 を 囲 い 込 んだ 場 合 、 水 蒸 気 爆 発 に 関 与 する<br />
粗 混 合 状 態 の 溶 融 物 の 量 が 少 ないことから、 水 蒸 気 爆 発 が 発 生 した<br />
としても、 発 生 する 機 械 的 エネルギによる 影 響 は 無 視 できると 判 断<br />
しています。<br />
本 評 価 シーケンスでは、 炉 心 溶 融 の 30 分 後 から 事 象 発 生 24 時 間<br />
後 まで、 原 子 炉 格 納 容 器 外 の 燃 料 取 替 用 水 タンクを 水 源 とした 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプにより 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 しており、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 圧 力 上 昇 は 抑 制 されています。また、 代 替 格 納 容 器 ス<br />
プレイによる 注 入 水 は、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 中 の 水 蒸 気 と 熱 交 換<br />
してから 原 子 炉 下 部 キャビティに 蓄 水 されます。これらより、 原 子<br />
炉 容 器 破 損 以 降 の 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 は、サブクール 度 が 原 子<br />
炉 容 器 破 損 直 後 に 最 大 で 約 15K となった 以 降 、ほぼ 飽 和 温 度 で 推 移<br />
していることから、 着 目 している 期 間 において、サブクール 度 が 大<br />
きく 増 加 することはないことを 確 認 しています。<br />
審 査 では、 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 において、 水 素 濃 度 が 最 大<br />
となる 時 に 燃 焼 したとしても 外 部 トリガに 相 当 する 大 きな 衝 撃 等<br />
の 発 生 は 想 定 されないことを 確 認 しています。<br />
44
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 層 状 系 の 水 蒸 気 爆 発 は, 全 く 考 えていない. 近 年 P. Kudinov, D.<br />
Grishchenko(2014)らによる PULiMS 実 験 によって, 水 プールに 溶<br />
融 物 が 流 入 し, 層 状 となり, 自 発 的 に 水 蒸 気 爆 発 が 起 こることが<br />
明 らかになった.また, 溶 融 炉 心 に 水 を 注 いで 冷 却 する 場 合 も,<br />
層 状 系 の 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 が 考 えられている. 審 査 書 184 ページ<br />
には,「 原 子 炉 容 器 内 に 残 存 する 溶 融 炉 心 の 冷 却 」のため, 下 部 か<br />
ら 水 を 上 昇 させることが 考 えられている.まさに, 層 状 となり,<br />
場 合 によっては 水 蒸 気 爆 発 となる 危 険 性 が 考 えられる.<br />
‣ 層 状 系 の 水 蒸 気 爆 発 は、 水 蒸 気 爆 発 の 一 形 態 として 従 来 から 認 識 さ<br />
れていますが、 粗 混 合 量 が 小 さい 等 の 理 由 によって 大 きな 機 械 的 エ<br />
ネルギ 発 生 に 繋 がらないと 考 えています。<br />
また、 審 査 書 ( 案 )「Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリー<br />
ト 相 互 作 用 」にあるとおり、 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 は、 原<br />
子 炉 容 器 の 破 損 前 ( 炉 心 溶 融 開 始 30 分 後 )に 開 始 することを 確 認<br />
しています。<br />
ご 指 摘 のとおり、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 容 器 に 残 存 する 場 合 には、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 に 水 張 りを 行 って、 原 子 炉 容 器 下 部 から 水 を 上 昇 さ<br />
せ、 原 子 炉 容 器 内 に 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 する 手 順 を 整 備 してお<br />
りますが、この 場 合 であっても、 粗 混 合 量 が 小 さいことから 大 きな<br />
機 械 的 エネルギの 発 生 には 繋 がらないものと 考 えています。<br />
‣ TROI 実 験 では,2600K や 3000K という, 低 い 過 熱 度 の 実 験 でも 自<br />
発 的 な 水 蒸 気 爆 発 が 観 察 されている. 申 請 者 らは,「2600K の 温 度<br />
は 3500K と 思 われる」という 趣 旨 の 資 料 を 提 出 しているが,およ<br />
そ 900K も 指 示 値 が 異 なるとなると,もはや 温 度 測 定 とは 言 えなく<br />
なる. 原 著 論 文 (J.H.SONG ら, 2003)では,「ガスのために, 放 射<br />
温 度 計 の 測 定 値 が 低 くなり 正 しい 指 示 値 を 示 さない」 旨 の 考 察 を<br />
行 っているが,3000K のピーク 波 長 は 1 マクロメートル 程 度 であ<br />
る. 一 方 ,ガスの 影 響 があるのは,1 マイクロメートル 以 上 の 電 磁<br />
波 についてであり,3000K 以 上 の 高 温 域 では,ガスの 吸 収 の 影 響<br />
は 少 ないと 思 われる.このように 温 度 測 定 の 誤 りなどを 指 摘 して<br />
いるが, 仮 に 温 度 測 定 が 誤 りだとすれば, 申 請 者 が「 水 蒸 気 爆 発<br />
が 起 こらない」 根 拠 とする 実 験 データのすべての 温 度 測 定 も 信 頼<br />
‣ 一 般 論 として、 温 度 の 計 測 結 果 には 不 確 かさがあることは 承 知 して<br />
います。TROI 実 験 においては、 印 加 出 力 と 測 定 温 度 との 関 係 から 測<br />
定 温 度 を 較 正 する 措 置 が 講 じられていることを 確 認 しています。<br />
45
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
できないことになり, 実 験 データが 存 在 しないことになってしま<br />
う. 自 己 矛 盾 になる.<br />
考 え 方<br />
‣ 九 州 電 力 は、 炉 心 溶 融 物 とコンクリートの 反 応 で 水 素 が 発 生 する<br />
対 策 として、 原 子 炉 下 部 キャビティに 水 を 貯 めるとある。この 対<br />
策 では 炉 心 溶 融 物 が 大 量 の 水 と 接 することで、 水 蒸 気 爆 発 事 故 に<br />
なる 危 険 性 がある。 模 擬 燃 料 を 使 った 実 験 によると、 溶 け 落 ちた<br />
炉 心 溶 融 物 は 水 に 接 すると 粒 子 状 ・ 軽 石 状 になり、コンクリート<br />
の 床 に 降 り 積 もる 場 合 が 想 定 される。そして、 国 内 外 の 専 門 家 に<br />
よる 解 析 によると、 炉 心 溶 融 物 はコンクリートを 溶 かしながら、<br />
内 側 に 取 り 込 んだ 水 やコンクリートの 効 果 で 臨 界 に 至 る 可 能 性 が<br />
ある。その 場 合 、 炉 心 溶 融 物 は 臨 界 で 発 生 した 熱 などによって、<br />
急 激 に 膨 張 し 飛 び 散 る 危 険 性 がある。その 大 量 の 細 かく 飛 び 散 っ<br />
た 高 温 溶 融 物 は、 直 接 ・ 瞬 間 的 に 大 量 の 水 と 大 きな 表 面 積 で 接 し<br />
て、 大 量 の 水 蒸 気 が 急 激 に 水 中 で 爆 発 的 に 発 生 する。 すなわち、<br />
再 臨 界 は 水 蒸 気 爆 発 のトリガー( 外 乱 )になりうる 要 素 になるの<br />
ではないか。<br />
‣ 形 状 が 失 われ、ほう 酸 水 が 注 入 された 状 態 において、 炉 心 溶 融 物 が<br />
臨 界 に 至 ることは 考 えがたいと 判 断 しています。 仮 に 再 臨 界 が 行 っ<br />
たとしても、そのエネルギは 崩 壊 熱 に 比 べて 十 分 小 さいため、 問 題<br />
とはならないと 判 断 しています。<br />
‣ 審 査 書 193 ページでは,「 溶 融 物 の 過 熱 度 を 高 く 設 定 」したので<br />
「 液 - 液 直 接 接 触 を 生 じやすくし」たとしているが, 明 らかに 誤<br />
りである. 溶 融 物 の 温 度 が 高 いほど,より 安 定 な 膜 沸 騰 となり,<br />
蒸 気 膜 厚 さも 厚 くなり, 壊 れにくくなる.したがって, 液 - 液 直<br />
接 接 触 は 生 じにくくなる. 伝 熱 工 学 や 沸 騰 現 象 の 基 本 を 理 解 して<br />
いない.<br />
‣ ご 指 摘 のとおり、 溶 融 物 の 過 熱 度 が 高 い 状 態 では、より 安 定 した 蒸<br />
気 膜 が 形 成 され、 液 - 液 直 接 接 触 は 生 じにくい 条 件 にあります。<br />
一 方 、 審 査 書 の 該 当 箇 所 は、 水 蒸 気 爆 発 実 験 において 溶 融 物 の 初<br />
期 過 熱 度 を 高 く 設 定 ( 溶 融 物 の 初 期 温 度 を 高 く 設 定 )した 場 合 、 溶<br />
融 物 が 冷 却 材 中 を 落 下 する 過 程 で、 液 - 液 直 接 接 触 を 妨 げる 溶 融 物<br />
表 面 の 固 化 が 起 こりにくくなったことについて 申 請 者 が 示 した 内<br />
容 を 記 しています。<br />
誤 解 を 招 きやすい 記 述 を 改 めるため、 審 査 書 ( 案 )を 以 下 のとお<br />
46
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
り 修 正 します。<br />
「 申 請 者 は、・・・ 水 蒸 気 爆 発 が 発 生 した 実 験 では、 外 乱 を 与 える<br />
かて 液 - 液 直 接 接 触 を 生 じやすくしていること、あるいは、 溶 融 物<br />
の 初 期 の 過 熱 度 を 高 く 設 定 することによりし、 溶 融 物 表 面 が 冷 却 材<br />
中 で 固 化 しにくくさせている 液 - 液 直 接 接 触 を 生 じやすくしてい<br />
ることを 示 した。さらに、 大 規 模 実 験 の 条 件 と 実 機 条 件 とを 比 較 し<br />
た 上 で、 実 機 においては、 液 - 液 直 接 接 触 が 生 じるような、 外 乱 と<br />
なり 得 る 要 素 は 考 えにくいこと、 実 機 で 想 定 される 溶 融 物 の 初 期 の<br />
過 熱 度 は 実 験 条 件 よりも 低 く、 冷 却 材 中 を 落 下 する 過 程 で 溶 融 物 表<br />
面 の 固 化 が 起 こりやすいことを 示 した。」<br />
‣ 189ページ、 原 子 炉 容 器 の 破 損 により 流 出 する 溶 融 燃 料 につい<br />
て、 原 子 炉 下 部 キャビティに 水 張 りして 受 け 止 め 冷 却 する 方 法 は、<br />
労 働 安 全 衛 生 規 則 の 水 蒸 気 爆 発 の 防 止 規 定 に 違 反 する。<br />
‣ 労 働 安 全 衛 生 規 則 第 249 条 の 適 用 対 象 となるピットについては、<br />
「 高 熱 の 鉱 さいを 水 で 処 理 するものを 除 く。」と 規 定 され、 解 釈 通<br />
さい<br />
達 に「 高 熱 の 鉱 滓 に 注 水 して 冷 却 処 理 するもの」が 例 示 されている<br />
ことから、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 のように、 水 の 注 入 による<br />
冷 却 処 理 を 前 提 とした 設 備 に 適 用 されるものではないと 承 知 して<br />
おります。また、 第 250 条 の 適 用 対 象 は、「 溶 融 高 熱 物 を 取 り 扱 う<br />
設 備 」ではなく、 当 該 設 備 を 内 部 に 有 する「 建 築 物 」であることか<br />
ら、 同 条 は、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 注 水 設 備 には 適 用 されないと 承<br />
知 しています。<br />
なお、 新 規 制 基 準 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 外 の 溶 融 炉 心 と 冷<br />
却 水 の 相 互 作 用 は 必 ず 想 定 し、その 場 合 原 子 炉 格 納 容 器 が 機 能 喪 失<br />
しないことを 求 めています。<br />
47
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 水 素 発 生 の 不 確 かさを 考 慮 しない 基 本 ケースとして「 水 素 は、 原<br />
子 炉 容 器 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と 反 応 し 発 生 する。」と<br />
していることは、 審 査 ガイドの 規 定 と 矛 盾 している。 同 規 定 に 従<br />
うと、 原 子 炉 圧 力 容 器 破 損 後 の 水 素 発 生 量 ( 不 確 かさを 考 慮 しな<br />
い 条 件 での 値 )を 加 えた 値 は 75%を 超 えていないと 理 に 合 わな<br />
い。 解 析 評 価 のやり 直 しと 再 審 査 を 求 める。その 理 由 は 次 のとお<br />
りである。 審 査 ガイドには 主 要 解 析 条 件 として「(a) 原 子 炉 圧 力 容<br />
器 の 下 部 が 破 損 するまでに、 全 炉 心 内 のジルコニウム 量 の 75%が<br />
水 と 反 応 するものとする。(b) 原 子 炉 圧 力 容 器 の 下 部 の 破 損 後 は、<br />
溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 による 可 燃 性 ガス 及 びその 他 の<br />
非 凝 縮 性 ガス 等 の 発 生 を 考 慮 する。」と 明 記 されている。 従 って、<br />
「 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と 反 応 する」は、 審 査 ガイドに 従<br />
うと、 原 子 炉 圧 力 容 器 が 破 損 するまでの、すなわち 原 子 炉 圧 力 容<br />
器 外 での MCCI による 発 生 分 を 除 いた 値 である。MCCI による 発 生<br />
分 を 加 えると、75%+α(αは MCCI による 発 生 分 )となるので、<br />
少 なくとも 75%を 超 えた 量 で 評 価 されねばならない。<br />
考 え 方<br />
‣ 水 素 発 生 量 の 評 価 は、 審 査 ガイドに 従 い、 基 本 ケースとして 原 子 炉<br />
圧 力 容 器 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と 反 応 し、 水 素 が 発 生 す<br />
るという 条 件 で 評 価 を 行 い、 水 素 濃 度 (ドライ 条 件 )は 12.8vol%と<br />
評 価 項 目 を 下 回 ることを 確 認 しています。<br />
さらに、 感 度 解 析 として、 炉 心 損 傷 後 の 溶 融 炉 心 ・コンクリート<br />
相 互 作 用 ( 以 下 「MCCI」という。)に 伴 う 追 加 水 素 生 成 を 考 慮 した 場<br />
合 の 解 析 も 行 っています。この 結 果 、 追 加 水 素 発 生 量 として 全 炉 心<br />
内 のジルコニウム 量 の 約 6%が 反 応 し、この 追 加 水 素 発 生 量 を 基 本<br />
ケースに 加 算 して 81%として 評 価 した 場 合 でも、 静 的 触 媒 式 水 素 再<br />
結 合 装 置 ( 以 下 「PAR」という。) 及 びイグナイタにより 処 理 するこ<br />
とで、 水 素 濃 度 (ドライ 条 件 )は 最 大 約 9.5vol%と 評 価 項 目 を 下 回<br />
ることを 確 認 しています。<br />
‣ 水 素 燃 焼 格 納 容 器 内 での 水 素 爆 発 の 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 におけ<br />
る「 不 確 かさの 影 響 評 価 」に 関 して、 先 行 して 設 置 変 更 許 可 が 出<br />
された 加 圧 水 型 原 発 8 機 での 評 価 条 件 と 同 じく「イグナイタの 機<br />
能 に 期 待 しない」 条 件 のもとでの 解 析 評 価 とその 審 査 を 行 うこと<br />
を 求 める。 玄 海 3、4 号 機 のみが「イグナイタの 機 能 に 期 待 する」<br />
条 件 で 解 析 評 価 を 行 っているのは、 水 素 濃 度 の 判 断 基 準 を 満 足 さ<br />
せるための 恣 意 によるものであり、 厳 正 であるべき 原 発 安 全 審 査<br />
における 評 価 条 件 の 一 貫 性 、 整 合 性 を 無 視 した 不 当 なやり 方 であ<br />
る。イグナイタの 効 果 に 期 待 しない 条 件 での 評 価 を 実 施 すべきで<br />
‣ 水 素 燃 焼 の 有 効 性 評 価 では、MCCI による 水 素 発 生 の 不 確 かさを 考 慮<br />
した 感 度 解 析 を 実 施 し、PAR だけでなくイグナイタによる 水 素 処 理<br />
にも 期 待 することで 基 準 に 定 めた 爆 轟 条 件 を 下 回 ることを 確 認 し<br />
ています。イグナイタについては、 審 査 ガイドで 水 素 燃 焼 対 策 の 一<br />
つとして 位 置 づけられており、 水 素 燃 焼 対 策 として 有 効 なものと 考<br />
えています。<br />
一 方 、PAR だけでなくイグナイタによる 水 素 処 理 にも 期 待 するこ<br />
とから、 今 回 の 審 査 では、イグナイタの 信 頼 性 向 上 対 策 として、イ<br />
グナイタは 2 系 統 の 電 源 系 統 から 給 電 すること、また、2 系 統 の 電<br />
48
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
ある。<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
源 設 備 それぞれ 異 なる 区 画 に 設 置 することで 互 いに 位 置 的 分 散 を<br />
図 り、 独 立 した 設 計 とすることを 確 認 しています。<br />
‣ 197ページ、「 感 度 解 析 のパラメータを 組 み 合 わせた 場 合 、MCCI<br />
に 伴 い 発 生 する 水 素 は、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 約 7%であ<br />
る。このことを 考 慮 し、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と<br />
反 応 することに 加 えて、MCCI による 水 素 発 生 を 考 慮 しても、PAR<br />
及 びイグナイタにより 水 素 処 理 することで、ドライ 条 件 に 換 算 し<br />
た 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 は 最 大 約 9.5vol%である。したがっ<br />
て、MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素 の 不 確 かさを 考 慮 して 評 価 しても、<br />
格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (f)を 満 足 している。」とある<br />
が、 感 度 解 析 の 結 果 「 約 9.5vol%」が196ページの「 約 12.8vol%」<br />
より 小 さいのは 不 自 然 である。 他 の PWR プラントでは、イグナイ<br />
タによる 水 素 処 理 を 感 度 解 析 に 導 入 してはいない。 玄 海 3/4 号<br />
機 において、 他 の PWR プラントと 同 様 の 評 価 を 行 えば、13vol%の<br />
制 限 値 を 超 えてしまうので、このような 姑 息 なやり 方 を 採 用 した<br />
ものと 推 察 されるが、 川 内 1/2 号 機 と 同 様 の 評 価 を 行 った 場 合<br />
の 評 価 を 示 すべきである。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 199ページ、「 申 請 者 は、MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素 発 生 の 不 確<br />
かさを 考 慮 した 場 合 、PAR だけではなくイグナイタによる 水 素 処<br />
理 にも 期 待 することで、ドライ 条 件 に 換 算 した 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
水 素 濃 度 は 13vol% 以 下 となるとしている。」とあるが、イグナイ<br />
タを 期 待 しない 場 合 の 水 素 濃 度 を 示 すべきである。<br />
‣ 同 上<br />
‣ MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素 の 不 確 かさを 考 慮 」するなら、 炉 心 内 の<br />
‣ 水 素 発 生 量 の 評 価 においては、 審 査 ガイドに 従 い、 原 子 炉 圧 力 容 器<br />
49
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
御 意 見 の 概 要<br />
全 ジルコニウムの 反 応 を 考 慮 すべきである。 川 内 1/2 号 機 での<br />
評 価 では、「 炉 心 内 の 全 ジルコニウムが 水 と 反 応 する」ものとして、<br />
すなわち、「 解 析 コードに 依 拠 せずジルコニウム 最 大 反 応 量 で 評<br />
価 」している。<br />
考 え 方<br />
内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と 反 応 し、 水 素 が 発 生 するという<br />
条 件 で 評 価 を 行 っており、 水 素 濃 度 (ドライ 条 件 )は 12.8%と 基 準<br />
で 定 めた 爆 轟 条 件 を 下 回 ることを 確 認 しています。<br />
‣ P199, 爆 轟 に 遷 移 することは 考 えにくくとありますが、 爆 轟 が 発 生<br />
しないメカニズムであるかどうか 客 観 的 かつ 定 量 的 な 判 断 基 準 が<br />
必 要 と 考 えます。<br />
‣ 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 は、ジルコニウム- 水 反 応 等 による 水<br />
素 発 生 により、 原 子 炉 下 部 キャビティ 及 びループ 室 外 周 部 において<br />
一 時 的 に 高 くなると 評 価 されています。このうちループ 室 外 周 部 に<br />
ついては、 解 析 により 空 気 、 水 素 、 水 蒸 気 の 三 元 図 において、 爆 轟<br />
領 域 に 入 らないことを 確 認 しています。 一 方 、 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィについては、 三 元 図 において 爆 轟 領 域 に 入 ることから、 実 機 にお<br />
ける 爆 轟 発 生 の 可 能 性 について 検 討 を 行 っています。その 結 果 、 実<br />
機 では 気 相 部 に 衝 撃 波 を 与 えるような 強 いエネルギー 源 はないこ<br />
とから、 直 接 起 爆 による 爆 轟 は 発 生 しないこと、また、 国 内 外 にお<br />
ける 知 見 を 踏 まえ、 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 は、 配 管 やダクトの<br />
ような 細 長 い 形 状 ではないこと、 片 端 又 は 両 端 が 閉 ざされていない<br />
こと、 火 炎 が 加 速 するための 十 分 な 助 走 距 離 がないこと 及 び 火 炎 の<br />
乱 れを 発 生 させるような 障 害 物 がないことから、 仮 に 燃 焼 が 生 じた<br />
としても 火 炎 が 加 速 され 爆 轟 に 遷 移 する 可 能 性 はないと 判 断 して<br />
います。<br />
‣ 燃 料 被 覆 材 の 金 属 と 水 反 応 などにより 生 じる 水 素 と、 格 納 容 器 内<br />
酸 素 との 反 応 について、 結 論 は「 格 納 容 器 の 水 素 濃 度 の 予 測 最 高<br />
値 は 約 10%~12.8%の 範 囲 内 にあり、 爆 ごう 防 止 の 基 準 値<br />
13% 以 下 であるから 爆 ごう( 火 炎 の 伝 播 速 度 が 超 音 速 となり、<br />
衝 撃 的 な 圧 力 が 発 生 )は 生 じない」としている。しかし、 余 裕 度<br />
‣ 審 査 ガイドで 要 求 している 全 炉 心 内 のジルコニウム 量 の 75%という<br />
数 値 は、 炉 心 損 傷 時 に 燃 料 棒 の 燃 料 有 効 長 (75%)にあるジルコニ<br />
ウムが 反 応 するという 条 件 で 設 定 しています。ただし、 実 際 には 炉<br />
心 溶 融 が 発 生 するとジルコニウムも 溶 融 炉 心 側 に 取 り 込 まれ、75%<br />
のジルコニウム 量 の 全 てが 水 に 接 触 し 反 応 する 可 能 性 は 低 くなる<br />
50
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
御 意 見 の 概 要<br />
は 僅 少 なので、 水 素 の 発 生 量 や 濃 度 の 分 布 、 解 析 予 測 のバラつき<br />
などを 厳 正 に 評 価 すると、13%を 超 える 可 能 性 が 濃 厚 であり、<br />
爆 ごうは 発 生 しないとする 結 論 は 誤 りではないか。<br />
考 え 方<br />
ため、 保 守 的 な 条 件 であると 考 えられます。<br />
‣ 水 素 による 爆 轟 防 止 のために、 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 の9<br />
0%に 大 量 の 水 を 入 れて、 水 蒸 気 爆 発 の 危 険 を 限 りなく 高 めるよ<br />
うな 方 法 は、IAEAの 深 層 防 護 の 第 4 層 の 安 全 対 策 に 真 っ 向 か<br />
ら 反 対 する 方 法 であると 思 われる。<br />
‣ 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 は、<br />
MCCI による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 対 策 として 実<br />
施 されるものです。 水 素 燃 焼 の 対 策 については、PAR 及 びイグナイ<br />
タを 設 置 して 水 素 処 理 をすることで、 爆 轟 を 防 止 できることを 確 認<br />
しています。また、 実 機 において 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 が 極 め<br />
て 低 いことについては、「Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の<br />
溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」で 述 べたとおりです。<br />
‣ 審 査 ガイドに 従 って、 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 (MCCI)<br />
により 発 生 する 一 酸 化 炭 素 の 発 生 量 とその 安 全 性 の 評 価 を 審 査 す<br />
ることを 求 める。 審 査 ガイドの 水 素 燃 焼 に 関 する 主 要 解 析 条 件<br />
b.(b)に「 原 子 炉 圧 力 容 器 の 下 部 の 破 損 後 は、 溶 融 炉 心 ・コンクリ<br />
ート 相 互 作 用 による 可 燃 性 ガス 及 びその 他 の 非 凝 縮 性 ガス 等 の 発<br />
生 を 考 慮 する。」と 明 記 されている。しかし、 設 置 変 更 許 可 申 請 書<br />
及 び 審 査 書 案 には、 可 燃 性 ガスのうちの 一 酸 化 炭 素 (CO)の 発 生<br />
量 とその 安 全 性 の 評 価 については 何 の 記 述 もない。 従 って、 設 置<br />
変 更 許 可 申 請 書 と 審 査 書 案 に 一 酸 化 炭 素 に 関 する 安 全 性 評 価 結 果<br />
の 記 載 を 求 める。<br />
‣ 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 により、 溶 融 炉 心 の 冷 却 が 行 われる<br />
ことから、MCCI によるコンクリートの 浸 食 量 は 僅 かであり、CO 及<br />
び CO2 の 発 生 は 無 視 できることを 確 認 しています。 仮 に 発 生 したと<br />
しても、CO はイグナイタにより 処 理 することが 可 能 であり、CO2 は<br />
原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 不 活 性 化 に 寄 与 します。<br />
‣ 195 頁 、(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 において、<br />
「イグナイタを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する」とあ<br />
るが、イグナイタの 使 用 は 労 働 安 全 衛 生 規 則 の 可 燃 性 ガスの 爆 発<br />
‣ 労 働 安 全 衛 生 規 則 第 279 条 は、 危 険 物 ( 水 素 等 の 可 燃 性 ガスを 含<br />
む。) 等 が 存 在 して 爆 発 火 災 が 生 ずるおそれのある 場 所 においては、<br />
点 火 源 となるおそれのある 機 械 等 を 使 用 してはならないと 規 定 し<br />
51
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
御 意 見 の 概 要<br />
防 止 対 策 に 反 するものであり、 国 内 法 規 違 反 である。その 理 由 は<br />
次 のとおりである。 労 働 安 全 衛 生 規 則 の 第 279 条 には「 危 険 物 が<br />
存 在 して 爆 発 が 生 じるおそれのある 場 所 においては、 高 温 となっ<br />
て 点 火 源 となるおそれのある 機 械 を 使 用 してはならないこと」を<br />
定 めている。 過 酷 事 故 時 に 水 素 ガスを 意 図 して 燃 焼 させようとす<br />
るイグナイタは、ここで 言 う 高 温 の 点 火 源 そのものであり、その<br />
使 用 は 本 条 に 反 する。 同 規 則 第 280 条 では、「 可 燃 性 ガスが 爆 発 の<br />
危 険 に 達 するおそれのある 箇 所 においては、 電 気 機 械 器 具 を 使 用<br />
するときは、 防 爆 性 能 を 有 する 防 爆 構 造 電 気 機 械 器 具 でなければ、<br />
使 用 してはならないこと」を 定 めている。イグナイタは 防 爆 構 造<br />
とは 対 極 にある 起 爆 、 誘 爆 のおそれがある 電 気 機 械 器 具 であり、<br />
その 使 用 は 本 条 にも 反 する。なお、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 炉 心<br />
損 傷 防 止 対 策 及 び 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審<br />
査 ガイド」において、 水 素 燃 焼 の 対 策 例 の 一 つにイグナイタが 挙<br />
げられており、 九 州 電 力 はそれを 採 用 しているので 問 題 はないと<br />
主 張 することが 予 想 されるが、それは 規 制 委 員 会 が 同 審 査 ガイド<br />
制 定 時 に 既 存 の 国 内 法 規 への 整 合 性 確 認 を 怠 った 過 誤 を 論 拠 とす<br />
るものであり、 審 査 ガイドからイグナイタを 削 除 するように 早 急<br />
に 改 訂 することを 求 める。<br />
考 え 方<br />
ていますが、これは 可 燃 性 ガスを 扱 っている 又 は 可 燃 性 ガスが 生 じ<br />
るおそれがある 場 所 で 意 図 せず 可 燃 性 ガスに 着 火 してその 場 所 で<br />
従 事 する 労 働 者 が 被 災 することを 防 止 することを 念 頭 に 規 定 され<br />
たものであり、イグナイタのように 格 納 容 器 内 で 水 素 を 意 図 的 に 燃<br />
焼 させることにより、 格 納 容 器 の 損 傷 を 防 止 することを 前 提 とした<br />
設 備 に 適 用 されるものではないと 承 知 しております。<br />
また、 同 規 則 第 280 条 は、 可 燃 性 ガス 等 が 存 在 して 爆 発 又 は 火 災<br />
が 生 ずるおそれのある 場 所 をその 対 象 としているところ、 第 279 条<br />
と 同 様 に、イグナイタのように 格 納 容 器 内 で 水 素 を 意 図 的 に 燃 焼 さ<br />
せることにより、 格 納 容 器 の 損 傷 を 防 止 することを 前 提 とした 設 備<br />
に 適 用 されるものではないと 承 知 しております。<br />
なお、 新 規 制 基 準 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 燃 焼 は 必<br />
ず 想 定 し、その 場 合 原 子 炉 格 納 容 器 が 機 能 喪 失 しないことを 求 めて<br />
います。<br />
‣ 196ページ、Ⅳ-1.2.2.5『 本 格 納 容 器 破 損 モードにお<br />
いては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(f) 原 子 炉 格<br />
納 容 器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること。( 水 素<br />
濃 度 がドライ 条 件 に 換 算 して 13vol% 以 下 又 は 酸 素 濃 度 が 5vol% 以<br />
下 であること)」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 がある<br />
かを 確 認 した。』についての 意 見 。<br />
‣ 新 規 制 基 準 においても、「 発 電 用 軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 評 価 に 関<br />
する 審 査 指 針 」に 基 づき、 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 の 際 に 可 燃 性 ガス<br />
が 発 生 することを 想 定 し、 事 象 発 生 後 少 なくとも 30 日 間 は、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 雰 囲 気 中 の 酸 素 又 は 水 素 の 濃 度 のいずれかが、それぞ<br />
れ 5% 又 は 4% 以 下 であることを 要 求 しています。<br />
さらに、それに 加 えて、 重 大 事 故 として、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発<br />
52
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
御 意 見 の 概 要<br />
1990 年 8 月 30 日 付 けの 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 の「 発 電 用 軽<br />
水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 評 価 に 関 する 審 査 指 針 について」では、 水<br />
素 爆 発 対 策 問 題 は 想 定 事 故 時 の 水 素 爆 発 対 策 が 注 目 されていた。<br />
28ページに 仮 想 事 故 の 発 生 時 のジルコニウム・ 水 反 応 で 水 素 が<br />
発 生 した 時 の、 水 素 爆 発 対 策 が 記 載 されている。『 三 ・ 四 ・ 二 可<br />
燃 性 ガスの 発 生 (PWR、BWR)( 六 ) 判 断 基 準 としては、 事 象 発 生 後<br />
少 なくとも 三 〇 日 間 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 雰 囲 気 中 の 酸 素 又 は 水<br />
素 の 濃 度 のいずれかが、それぞれ 五 % 又 は 四 % 以 下 であることと<br />
する。』と 規 定 されており、 格 納 容 器 雰 囲 気 内 に5% 以 上 の 酸 素 が<br />
ある 場 合 には、 水 素 の 許 容 濃 度 は4% 以 下 と 決 められていた。 こ<br />
れは、 岩 波 の「 科 学 」2014 年 3 月 号 の355ページから36<br />
2ページの「 炉 心 溶 融 物 とコンクリートとの 相 互 作 用 による 水 素<br />
爆 発 、CO 爆 発 の 可 能 性 」の358ページに 説 明 されているよう<br />
に、 空 気 中 における 水 素 は 発 火 温 度 500℃、 爆 発 下 限 4.0%、<br />
爆 轟 下 限 18.3%(12.5%)、 爆 轟 上 限 59.0%、 爆 発 上<br />
限 75.0%である。 日 本 の 原 発 の 旧 基 準 では、 爆 燃 ( 燃 焼 波 の<br />
前 面 の 伝 達 速 度 が 音 速 以 下 )も 爆 轟 も 起 こさない 事 になっていた。<br />
新 規 制 基 準 は、 爆 轟 は 起 こしてはいけないが、 爆 燃 は 起 こしても<br />
良 いとし、 安 全 基 準 を 実 際 には 緩 くしている。 水 素 爆 発 防 止 対 策<br />
は、 水 素 濃 度 の 発 生 旧 基 準 の4.0% 以 下 とすべきである。<br />
考 え 方<br />
生 した 場 合 においても、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防<br />
止 する 設 備 を 要 求 しており、 具 体 的 には、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る<br />
炉 心 損 傷 防 止 対 策 及 び 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 す<br />
る 審 査 ガイド」に 基 づき、 水 素 の 爆 轟 を 防 止 するために、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 水 素 濃 度 を 13% 以 下 にすることを 要 求 しています。<br />
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ p.316 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために 核 の 容 器 下 部 に 注 水 することは<br />
水 蒸 気 爆 発 を 誘 発 するきわめて 危 険 な 方 法 であって、 行 うべきで<br />
ない。コア・キャッチャに 相 当 する 設 備 を 設 けるべきである。そ<br />
考 え 方<br />
‣ 新 規 制 基 準 では、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 37 条 2-3(i)におい<br />
て、 溶 融 炉 心 による 侵 食 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の<br />
支 持 機 能 が 喪 失 しないこと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること<br />
53
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
の 理 由 は 次 の 通 りである 水 蒸 気 爆 発 は、 確 率 が 少 なくても 可 能 性<br />
はあり、それが 発 生 すれば 水 素 爆 発 より 強 力 な 爆 発 となり、 福 島<br />
事 故 を 上 回 る 大 規 模 な 放 射 能 放 出 に 至 る。 現 在 各 国 で 建 設 中 の 原<br />
発 が 多 大 の 費 用 をかけてコア・キャッチャを 設 けていることは 無<br />
駄 なぜいたくをしているわけではない。<br />
考 え 方<br />
を 要 求 しています。それに 対 し 申 請 者 は、 最 新 の 知 見 を 踏 まえた<br />
感 度 解 析 を 実 施 し、 格 納 容 器 への 下 部 注 水 により、MCCI を 抑 制<br />
し、 格 納 容 器 破 損 を 防 止 できることを 示 しており、その 有 効 性 を<br />
確 認 しています。<br />
‣ 日 本 の 既 存 の 原 発 には、コアキャッチャーが 装 備 されていない。<br />
コアキャッチャーが 装 備 されていれば、メルトダウンを 起 こした<br />
炉 心 溶 融 物 がコアキャッチャーの 放 熱 板 の 上 に 広 がり、 自 然 に 冷<br />
却 して 固 まる。よって 人 手 が 不 要 である。 玄 海 原 発 では、 火 砕 流<br />
なり 大 量 の 火 山 灰 なりによって、 人 間 の 活 動 ができなくなる 事 態<br />
があり 得 るが、その 時 人 手 を 必 要 とする 措 置 では、 放 射 性 物 質 の<br />
環 境 への 放 出 を 妨 げることが 出 来 ない。 又 、 玄 海 原 発 と 同 じ 加 圧<br />
水 型 原 子 炉 では、 冷 却 機 能 損 失 からメルトダウンまでの 速 度 は、<br />
沸 騰 水 型 よりはるかに 早 く 進 行 する。その 為 、コアキャッチャー<br />
のように 炉 心 溶 融 が 起 きた 時 に 人 手 がない 状 態 で 環 境 への 放 出 を<br />
防 止 する 仕 組 みなければ、 沸 騰 水 型 原 子 炉 以 上 に 大 規 模 な 事 故 に<br />
繋 がる 危 険 が 大 きい。<br />
‣ 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 内 に 設 置 する 防 護 壁 について、 九 州 電 力<br />
はグラウト 材 はモルタルであると 説 明 している。コリウムシール<br />
ドを 設 置 する 事 は 悪 い 事 では 無 いが、 全 体 的 な 過 酷 事 故 対 策 は、<br />
大 問 題 がたくさんある。 明 らかに、モルタルの 使 用 は 不 適 切 であ<br />
り、ジルコニアコンクリート 又 は 耐 火 コンクリートを 使 用 すべき<br />
である。<br />
‣ 本 審 査 では、 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 内 に 防 護 壁 はないものとし<br />
て、 溶 融 炉 心 が 直 接 ライナプレートに 接 触 して 破 損 したとしても、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 は 確 保 されることを 確 認 していま<br />
す。<br />
なお、 防 護 壁 については、ライナプレートへの 溶 融 炉 心 の 接 触 を<br />
防 止 するため、 事 業 者 が 更 なる 安 全 向 上 策 として 設 置 するもので<br />
す。 防 護 壁 がある 場 合 は、 重 大 事 故 等 時 に 溶 融 炉 心 はライナプレー<br />
54
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
トに 接 触 せずに 防 護 壁 に 接 触 することになりますが、 溶 融 炉 心 によ<br />
る 防 護 壁 の 浸 食 量 は 約 5mm であり、 防 護 壁 の 厚 さ 300mm に 対 して 十<br />
分 な 余 裕 があるとしています。また、 防 護 壁 の 設 置 による 原 子 炉 下<br />
部 キャビティ 床 面 積 減 少 に 伴 う 影 響 等 についても 確 認 し、 有 効 性 評<br />
価 の 結 果 に 影 響 を 及 ぼすものではないと 判 断 しています。<br />
‣ 溶 融 炉 心 が 圧 力 容 器 を 破 壊 落 下 し、 格 納 容 器 下 部 のコンクリート<br />
を 侵 食 する 反 応 は、 福 島 第 一 原 発 1、2、3 号 炉 の 過 酷 事 故 が 起<br />
こり、 今 日 でも 汚 染 水 が 毎 日 大 量 に 発 生 している。 事 故 対 策 では<br />
「 溶 融 炉 心 が 格 納 容 器 に 落 下 し 始 める 僅 か22 分 後 に 炉 心 が 溶 融<br />
し、30 分 間 で 移 動 式 発 電 機 と 電 動 注 入 ポンプを 接 続 準 備 し、 約<br />
52 分 後 に 注 水 開 始 可 能 とのシナリオ。 圧 力 容 器 が 破 損 して 溶 融<br />
炉 心 が 格 納 容 器 内 に 落 下 し 始 める 時 点 では、 下 部 キャビィティに<br />
は 十 分 な 水 量 の 水 張 りが 可 能 なので、コアコンクリート 反 応 は 防<br />
止 できる」としている。しかし、 地 震 等 の 複 合 災 害 や 原 子 炉 の 多<br />
重 事 故 などに 伴 い、 運 転 員 が 所 定 の 時 間 内 に 準 備 可 能 との 保 証 は<br />
なく、 確 実 に 防 止 できるとは 言 い 難 い。<br />
‣ 本 評 価 事 故 シーケンスでは、 炉 心 溶 融 開 始 から 30 分 後 に 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイを 開 始 することにより 原<br />
子 炉 下 部 キャビティに 注 水 するものとして 評 価 を 行 っています。こ<br />
の 時 間 は、 訓 練 等 に 基 づく 実 移 動 時 間 や 操 作 時 間 に 余 裕 を 見 込 んだ<br />
ものとして 設 定 していることを 確 認 しています。<br />
また、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 が 遅 くなった 場 合 について 感<br />
度 解 析 も 行 っており、8 分 遅 くなったとしても 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィ 水 位 は 十 分 確 保 できることを 確 認 しています。<br />
今 後 、 訓 練 等 において、 設 定 した 時 間 内 に 収 まることを、 保 安 検<br />
査 等 で 確 認 していきます。<br />
‣ MAAP の 妥 当 性 確 認 として MCCI に 関 する 実 験 データとの 比 較 が 記<br />
載 されているが、 実 験 データはいずれも 水 のないドライな 条 件 に<br />
おけるものであり、 水 中 条 件 での 実 験 データによる 妥 当 性 確 認 は<br />
示 されていない。<br />
‣ 審 査 書 ( 案 )「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」<br />
にあるとおり、 溶 融 炉 心 とコンクリート 間 の 伝 熱 及 びコンクリー<br />
ト 侵 食 挙 動 については、ACE 実 験 及 び SURC 実 験 、また、より 新 し<br />
い DEFOR 実 験 及 び OECD-MCCI 実 験 の 結 果 との 比 較 により MAAP 解 析<br />
の 妥 当 性 確 認 を 行 っています、 水 中 に 溶 融 炉 心 を 落 下 させた 実 験<br />
データとしては、スウェーデン 王 立 工 科 大 学 (KTH)で 実 施 された<br />
DEFOR-A 試 験 との 比 較 を 実 施 していることを 確 認 しています。<br />
55
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.3.1 想 定 事 故 1<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 206ページ、 丸 数 字 2 解 析 結 果 、a.:「 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却<br />
機 能 及 び 注 水 機 能 の 喪 失 により、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 温 が 約<br />
13 時 間 後 に 100℃に 到 達 し、 水 位 が 緩 慢 に 低 下 し 始 める。」とある<br />
が、PWR の 使 用 済 燃 料 ピットのライナーの 最 高 使 用 温 度 は95℃<br />
であり、また、 使 用 済 燃 料 ピットのコンクリート 躯 体 の 強 度 評 価<br />
の 温 度 条 件 は66℃である。 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 温 が10<br />
0℃になるということは、 使 用 済 燃 料 ピットの 最 高 使 用 温 度 9<br />
5℃ 及 びコンクリート 躯 体 の 強 度 評 価 条 件 を 逸 脱 することを 意 味<br />
する。これが、なぜ 許 容 されるのか、 理 由 を 明 らかにされたい。<br />
また、コンクリートの 耐 熱 温 度 は66℃( 長 時 間 について)であ<br />
るが、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 温 が100℃になれば、コンクリ<br />
ート 温 度 は66℃を 超 え、コンクリートの 健 全 性 は 維 持 できない。<br />
こうした 点 を 踏 まえない 審 査 は 極 めて 甘 いと 言 わざるを 得 ない。<br />
なお、これまで、 使 用 済 み 燃 料 プールの 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合<br />
には 注 水 すればよいということが 極 めて 安 易 に 語 られてきた。し<br />
かし、 使 用 済 み 燃 料 プールに 注 水 することによって 水 位 は 維 持 で<br />
きても、 水 温 を 下 げることはできない。したがって、 使 用 済 み 燃<br />
料 プールが 冷 却 機 能 を 喪 失 した 場 合 、 一 刻 も 早 くその 冷 却 機 能 を<br />
復 旧 し、プール 水 を 循 環 冷 却 することによってプール 水 温 を 下 げ<br />
ることこそが 決 定 的 に 重 要 である。また、 地 震 によって 使 用 済 燃<br />
料 ピットの 冷 却 機 能 が 喪 失 しないよう、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却<br />
系 の 耐 震 クラスはSクラスにするべきである。 同 時 に、 使 用 済 燃<br />
料 ピットの 冷 却 系 を 多 重 性 を 有 する 安 全 系 として 扱 うよう 安 全 重<br />
要 度 分 類 及 び 設 計 を 見 直 すべきである。<br />
考 え 方<br />
‣ 審 査 においては、コンクリートの 温 度 が 短 期 的 に 100℃に 達 しても、<br />
コンクリートの 強 度 が 失 われるものではなく、 使 用 済 燃 料 ピットへ<br />
の 注 水 によりピットの 健 全 性 が 大 きく 損 なわれるものではないこ<br />
とを 確 認 しています。<br />
なお、 長 期 的 には 注 水 や 冷 却 により 65℃ 以 下 を 維 持 することが<br />
可 能 です。また、 重 大 事 故 等 の 中 長 期 的 な 対 応 のための 適 切 な 体 制<br />
を 整 備 する 方 針 であることを 確 認 しています。 耐 震 重 要 度 分 類 につ<br />
いて、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 施 設 の 冷 却 系 は、その 機 能 を 喪 失 したとして<br />
も 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 補 給 水 設 備 により 水 が 補 給 できれば 崩 壊<br />
熱 の 除 去 及 び 放 射 線 の 遮 蔽 等 が 可 能 であることから、 補 給 水 設 備<br />
(Sクラス)により 機 能 を 代 替 でき、その 影 響 がSクラス 施 設 と 比<br />
べ 小 さい 施 設 にあたるため、Bクラスとして、 適 切 に 分 類 されてい<br />
ることを 確 認 しています。<br />
56
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.4.1 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 215 ページ 他 、「 実 効 増 倍 率 が 1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから、<br />
未 臨 界 は 維 持 される」としているが、「 十 分 に 低 い」と 漠 然 とした<br />
表 現 では 臨 界 管 理 の 技 術 的 能 力 があるか 化 学 的 、 技 術 的 に 適 切 で<br />
はない。 実 効 増 倍 率 の 精 度 の 高 い 計 算 がどれくらいの 信 頼 度 でな<br />
されたかを 明 記 しない 限 り、 臨 界 管 理 技 術 の 評 価 が 妥 当 と 言 えな<br />
い。<br />
考 え 方<br />
‣ 運 転 停 止 中 の 各 事 故 シーケンスにおける 初 期 状 態 の 炉 心 反 応 度 は、<br />
原 子 炉 停 止 中 のほう 素 濃 度 管 理 値 3,100ppm をもとに、 取 替 炉 心 ご<br />
との 燃 料 装 荷 パターンの 違 いによるばらつき 分 と 計 算 の 不 確 定 性<br />
を 考 慮 し、 保 守 的 に 浅 い 未 臨 界 状 態 となるように 算 出 した 結 果 、 約<br />
-8.2%Δk/k となっています。この 状 態 から、 事 象 進 展 に 伴 い 炉 心 冷<br />
却 材 密 度 が 低 下 し、ほう 素 密 度 低 下 による 正 の 反 応 度 変 化 が 加 わっ<br />
たとしても 最 大 の 炉 心 反 応 度 は 約 -6.8%Δk/k であり、 未 臨 界 度 が 確<br />
保 されていることを 確 認 しています。<br />
また、 評 価 に 使 用 している 計 算 コード(GalaxyCosmo-S コード)<br />
の 計 算 の 不 確 定 性 は、 臨 界 ほう 素 濃 度 で±50ppm( 約 ±0.5%Δk/k) 程<br />
度 であり、その 2 倍 となる±1%Δk/k を 考 慮 したとしても 十 分 に 未<br />
臨 界 度 が 確 保 されていることを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 規 制 委 員 会 は 自 ら 別 の 解 析 コードを 用 いてクロスチェック 解 析 を<br />
実 施 し、 客 観 性 のある 厳 正 な 定 量 的 評 価 にもとづく 審 査 をするこ<br />
とを 求 める。その 理 由 は 次 のとおりである。 重 大 事 故 等 対 策 の 有<br />
効 性 評 価 を 行 う 上 で、 複 雑 な 現 象 を 取 り 扱 う 過 酷 事 故 の 解 析 結 果<br />
の 妥 当 性 を 定 量 的 に 厳 正 な 検 証 をすることが 不 可 欠 である。 福 島<br />
原 発 事 故 以 前 の 安 全 審 査 においては 定 量 的 な 検 証 を 行 う 手 法 とし<br />
て、クロスチェック 解 析 が 導 入 されていた。その 当 時 は 設 計 基 準<br />
事 象 が 対 象 になっていて、 想 定 外 扱 いにされていた 過 酷 事 故 は 対<br />
象 外 であった。 今 般 、 事 業 者 による 過 酷 事 故 の 解 析 には 従 来 の 安<br />
全 審 査 では 登 場 しなかった 種 々の 新 たな 解 析 コードが 用 いられて<br />
考 え 方<br />
‣ 申 請 者 が 実 施 した 解 析 の 妥 当 性 に 関 しては、シビアアクシデント<br />
の 解 析 には 比 較 的 大 きな 不 確 かさを 伴 うことを 踏 まえ、 申 請 者 が<br />
実 施 した 解 析 の 妥 当 性 に 関 しては、 単 にクロスチェック 解 析 で 結<br />
果 の 定 量 的 な 比 較 を 行 うのではなく、 以 下 の 点 を 審 査 で 確 認 し、<br />
その 上 で 申 請 者 の MAAP の 解 析 結 果 の 解 釈 は 現 在 の 技 術 レベルに 照<br />
らして 妥 当 と 考 えたものです。<br />
1 炉 心 損 傷 後 を 含 めた 事 象 進 展 に 係 る 重 要 現 象 の 解 析 モデルが<br />
説 明 されていること。<br />
2 国 際 的 に 利 用 されている 代 表 的 なコードであり、 豊 富 な 適 用<br />
実 績 があるとともに、 他 のシビアアクシデントコードとのベ<br />
57
Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード<br />
御 意 見 の 概 要<br />
いる。 従 って、これらの 解 析 コードによる 解 析 結 果 の 妥 当 性 を 定<br />
量 的 に 検 証 する 上 で、 別 の 解 析 コードによるクロスチェック 解 析<br />
を 行 うべきである。<br />
考 え 方<br />
ンチマーク 計 算 により、 一 定 の 信 頼 性 が 確 認 されていること。<br />
3 不 確 かさにも 適 切 に 対 応 できるような 考 え 方 に 基 づいて 対 策<br />
を 要 求 していること。 申 請 者 が 計 画 している 対 策 の 有 効 性 評<br />
価 について、 解 析 コードおよび 解 析 結 果 の 不 確 かさを 考 慮 し<br />
ても、 解 析 結 果 は 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがな<br />
いこと。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は MELCOR による 解 析 結 果 と MAAP 解 析 結 果 とが<br />
同 様 の 傾 向 であることを 確 認 するとともに、MELCOR による 解 析 で 同<br />
定 された 不 確 かさ 要 因 が MAAP による 解 析 においても 考 慮 されてい<br />
ることも 確 認 しています。<br />
‣ 九 電 が 用 いた MAAP 解 析 は、 国 会 事 故 調 の 報 告 で 急 激 な 変 化 を 模 擬<br />
できず 圧 力 スパイク( 水 蒸 気 爆 発 に 至 らない 圧 力 変 化 )を 再 現 で<br />
きないことが 指 摘 されている。 別 の 解 析 を 用 いて 妥 当 性 を 調 べる<br />
「クロスチェック 解 析 」を 是 非 実 施 すべきだ。<br />
‣ 同 上<br />
Ⅳ-2 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 手 順 等 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 停 止 中 の1、2 号 炉 は、3、4 号 炉 の 重 大 事 故 時 に 放 っておいて<br />
よいのか。<br />
考 え 方<br />
‣ 1 号 炉 及 び 2 号 炉 の 使 用 済 燃 料 ピットに 使 用 済 燃 料 が 貯 蔵 されてい<br />
る 状 況 を 踏 まえて、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 水 が 全 量 喪 失 した 場 合<br />
の 評 価 を 行 い、 燃 料 集 合 体 の 健 全 性 並 びに 3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 重 大<br />
事 故 等 対 処 に 支 障 を 及 ぼさないことを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 46 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 直 流 電 源 喪 失 時 に 加 圧 器 逃 がし 弁 の 電 磁 弁 を 可 搬 型 バッテリーで ‣ 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 において、 直 流 電 源 がない 場 合 を 想 定 し<br />
58
Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 46 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
励 磁 させる 方 針 ですが、 電 磁 弁 を 駆 動 させるより、 手 動 バイパス<br />
ラインを 作 る 方 が 確 実 かつ 根 本 的 な 解 決 方 法 だと 考 えます。 窒 素<br />
は 開 閉 動 作 の 時 以 外 は 殆 ど 消 費 しない 事 に 加 え、 手 動 バイパスラ<br />
イン 方 式 の 場 合 、バッテリー 切 れの 心 配 が 無 く 時 間 的 制 約 を 考 慮<br />
する 必 要 が 無 くなると 考 えます。また、 可 搬 型 バッテリーの 場 合 、<br />
可 燃 性 ガスが 存 在 する 可 能 性 がある 危 険 場 所 では 使 用 できませ<br />
ん。<br />
考 え 方<br />
て、 原 子 炉 格 納 容 器 外 から 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 ) 及<br />
び 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 接 続 することにより、 開 操 作<br />
が 行 えることを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-4.8 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ p316 IV-4.8. 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために 核 の 容 器 下 部 に 注 水 する<br />
ことは 水 蒸 気 爆 発 を 誘 発 するきわめて 危 険 な 方 法 であって、 行 う<br />
べきでない。コア・キャッチャに 相 当 する 設 備 を 設 けるべきであ<br />
る。<br />
考 え 方<br />
‣ 新 規 制 基 準 では、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 37 条 2-3(i)において、<br />
溶 融 炉 心 による 侵 食 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 が 喪 失 しないこと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されることを 要 求<br />
しています。それに 対 し 申 請 者 は、 最 新 の 知 見 を 踏 まえた 感 度 解 析<br />
を 実 施 し、 格 納 容 器 への 下 部 注 水 により、 溶 融 炉 心 ・コンクリート<br />
相 互 作 用 を 抑 制 し、 格 納 容 器 破 損 を 防 止 できることを 示 しており、<br />
その 有 効 性 を 確 認 しています。<br />
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 関<br />
係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 防 止 する 目 的 で 放 水 設 備 を 配 備 するとしてい<br />
るが、 希 ガスを 水 で 補 足 することはできない。 無 効 でも 何 か 設 備<br />
を 置 いて 安 心 するという 精 神 は、 原 発 を 稼 働 する 姿 勢 としてきわ<br />
めて 不 適 格 である。<br />
考 え 方<br />
‣ 作 業 員 の 被 ばくについては、 当 該 手 順 の 作 業 着 手 の 判 断 基 準 にもあ<br />
るように、 格 納 容 器 から 放 射 性 物 質 が 放 出 される 前 に 格 納 容 器 から<br />
離 れた 場 所 で 準 備 を 開 始 し、さらに、プルームが 通 過 中 においては<br />
加 圧 された 緊 急 時 対 策 所 にとどまることで、 無 用 な 被 ばくがないよ<br />
59
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 関<br />
係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
う 配 慮 されていることを 確 認 しています。また、 放 水 による 効 果 等<br />
については、 空 気 中 の 微 粒 子 状 放 射 性 物 質 が、 降 雨 により 捕 らえら<br />
れる 効 果 があることが 知 られており、 雨 量 と 比 べて 多 量 の 水 量 が 確<br />
保 できる 放 水 砲 により、 拡 散 抑 制 効 果 があると 判 断 しています。ま<br />
た、 浮 遊 する 微 粒 子 状 放 射 性 物 質 を 水 スプレイにより 捕 集 する 実 験<br />
が 過 去 に 行 われており、その 効 果 が 確 かめられています。<br />
‣ 格 納 容 器 が 破 損 して 放 射 能 が 放 出 されている 現 場 で、 放 水 設 備 や<br />
移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 設 置 ・ 運 転 する 作 業 員 は 大 量 被 ばくを 前<br />
提 している。それは 人 道 上 許 されないことであり、 労 働 法 基 の 主<br />
旨 からしても 違 法 である。どうしても、そのような 作 業 が 必 要 と<br />
いうのであれば、 予 め 労 働 者 との 間 で 契 約 を 結 ばなければならな<br />
い。 原 子 力 規 制 がそういう 契 約 の 有 無 を 問 わないままに、 審 査 書<br />
を 決 定 していること 自 体 が 問 題 である。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 345ページ、 丸 数 字 2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 、a.:「 移<br />
動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 は、 海 を 水 源 とし、 車 両 等 により<br />
運 搬 、 移 動 でき、 複 数 の 方 向 から 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱<br />
棟 に 向 けて 放 水 できるとともに 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 点 である 頂<br />
部 に 放 水 できる 容 量 を 有 する 設 計 とする。」とあるが、「 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 最 高 点 である 頂 部 に 放 水 できる 容 量 」は、ポンプの 揚 程<br />
を 決 める 根 拠 となるだけであり、 本 来 の「 容 量 」すなわちポンプ・<br />
放 水 砲 の 流 量 はどのように 決 めているのかが 不 明 である。 結 局 「 発<br />
電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 」とは、ただ<br />
格 納 容 器 の 頂 部 に「 放 水 」できればよい。それがどのような「 放<br />
‣ 同 上<br />
60
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 関<br />
係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 」する 効 果 を 持 つかは 問 わないという 極 め<br />
てずさんな 要 求 であり、 申 請 者 の「 設 計 方 針 」もそれに 安 易 に 乗<br />
っかったものでしかない。もし、「 放 水 」により 放 射 性 物 質 の 放 出<br />
を「 抑 制 」できるというなら、 定 量 的 に、その 評 価 結 果 を 示 すべ<br />
きである。もしそれができないのであれば、 本 件 に 関 する 審 査 結<br />
果 は 無 効 であると 言 わざるを 得 ない。<br />
考 え 方<br />
‣ 347ページ、b.:「 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m 未 満<br />
まで 低 下 し、かつ 水 位 低 下 が 継 続 しており、さらに 燃 料 取 扱 棟 の<br />
損 壊 又 は 使 用 済 燃 料 ピットエリアモニタの 指 示 値 上 昇 により 燃 料<br />
取 扱 棟 に 近 づけないと 判 断 される 場 合 には、 燃 料 取 扱 棟 への 放 水<br />
の 手 順 に 着 手 する。」とあるが、そもそも 建 屋 の 外 から 放 水 したと<br />
しても 使 用 済 燃 料 ピットに 水 は 入 らないのではないか? 燃 料 取 扱<br />
棟 への 放 水 が「 環 境 への 放 射 性 物 質 の 放 出 を 低 減 」することに 寄<br />
与 するという 根 拠 を 示 すべきである。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 重 大 事 故 が 発 生 し、 格 納 容 器 が 破 損 した 場 合 でも、 放 射 性 物 質 と<br />
地 下 水 が 接 触 しないように 隔 離 する 設 備 、また、もし 接 触 して 放<br />
射 能 汚 染 水 となっても、 汚 染 されたまま 海 洋 へ 流 出 させることの<br />
ないよう 回 収 貯 蔵 する 設 備 の 確 保 と 手 順 が 必 要 である。 更 に、 汚<br />
染 水 を 永 遠 に 溜 めておくことは 不 可 能 なので、 処 理 して 海 洋 に 流<br />
す 場 合 に 備 えて、トリチウムも 含 め、 放 射 性 物 質 を 全 核 種 除 去 で<br />
きる 装 置 を 準 備 させなければならない。<br />
‣ 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 におけるような 汚 染 水 については、<br />
まず、これを 発 生 させないことが 重 要 であり、 新 規 制 基 準 では、 仮<br />
に、 炉 心 が 損 傷 した 場 合 でも 放 射 性 物 質 が 格 納 容 器 から 流 出 しない<br />
対 策 を 要 求 しています。<br />
また、 重 大 事 故 等 の 中 長 期 的 な 対 応 が 必 要 となる 場 合 に 備 えて、<br />
適 切 な 対 応 を 検 討 できる 体 制 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認 し<br />
ています。<br />
‣ 福 島 第 一 原 発 の 事 故 の 状 況 を 踏 まえると、 格 納 容 器 下 部 の 破 損 に<br />
‣ 同 上<br />
61
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 関<br />
係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
より、 液 体 状 の 高 濃 度 汚 染 水 の 形 状 で 放 射 能 が 放 出 される 場 合 も<br />
想 定 すべきであり、 格 納 容 器 下 部 の 破 損 による 原 子 炉 冷 却 水 の 流<br />
出 と、それが 汚 染 水 という 形 で、 施 設 外 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な<br />
水 準 の 放 出 をもたらす 事 態 について 対 策 はなく、 適 合 性 審 査 で 検<br />
討 もされていません。シルトフェンスは、これは 放 水 砲 の 水 の 拡<br />
散 防 止 対 策 であり、 溶 融 炉 心 の 冷 却 水 を 起 源 とする 高 濃 度 汚 染 水<br />
の 拡 散 を 防 ぐことはできません。 高 濃 度 汚 染 水 の 形 状 での 放 射 性<br />
物 質 の 拡 散 を 抑 制 する 設 備 が 設 置 されていない 以 上 、 申 請 を 許 可<br />
すべきではありません。<br />
考 え 方<br />
‣ 汚 染 水 事 故 防 止 対 策 について、シルトフェンスでは 防 止 できませ<br />
ん。 格 納 容 器 が 破 損 した 場 合 でも、 放 射 能 の 大 量 の 拡 散 を 防 止 す<br />
る 策 を 講 ずるよう 要 求 する 新 規 制 基 準 に 違 反 します。<br />
‣ 同 上<br />
Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 ( 第 57 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 対 策 案 では、 非 常 用 直 流 母 線 により 給 電 できない 場 合 は、 可 搬 用<br />
代 替 電 源 ケーブルで 職 員 が 繋 ぎこむ 手 順 になっているのは 評 価 す<br />
るが、 果 たして 放 射 能 汚 染 された 環 境 下 ( 建 屋 内 なので 照 明 なし<br />
の 暗 闇 の 中 )で、 長 時 間 作 業 できるか 疑 問 であり 更 に 危 険 を 増 す。<br />
考 え 方<br />
‣ 他 号 炉 からの 電 力 融 通 により 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 等 を 実 施<br />
するため、 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )を 接 続 する 際 には、<br />
作 業 員 はヘッドライト・ 懐 中 電 灯 等 を 携 行 するとともに、 炉 心 損 傷<br />
時 は 防 護 具 を 着 用 することとしており、 作 業 環 境 に 適 切 に 対 応 でき<br />
ることを 確 認 しています。<br />
62
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、 第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 緊 急 時 対 策 所 を 免 震 構 造 から、 耐 震 構 造 に 変 更 することについて、<br />
福 島 第 一 原 発 の 過 酷 事 故 の 経 験 を 踏 まえると、 到 底 認 められない。<br />
考 え 方<br />
‣ 新 規 制 基 準 は、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 適 切 な 措 置 が 講 じら<br />
れるよう 緊 急 時 対 策 所 の 機 能 を 設 けることを 求 めていますが、そ<br />
の 構 造 等 は 特 定 していません。 玄 海 3・4 号 炉 については、 本 審<br />
査 において、 新 規 制 基 準 が 求 める 機 能 を 有 することを 確 認 してお<br />
り、 既 に 代 替 緊 急 時 対 策 所 は 設 置 されております。<br />
申 請 当 初 、 事 業 者 は、 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 設 置 した 上 で、 免 震<br />
重 要 棟 内 に 新 たに 緊 急 時 対 策 所 を 設 置 することとし、 機 能 を 移 転<br />
する 計 画 を 示 していました。その 後 、 事 業 者 から 耐 震 構 造 の 建 物<br />
であれば 免 震 構 造 と 比 べて 2 年 程 度 早 い 運 用 開 始 が 可 能 となる 等<br />
の 理 由 から、 緊 急 時 対 策 所 を、 免 震 重 要 棟 内 から 耐 震 構 造 の 緊 急<br />
時 対 策 棟 内 に 設 置 する 計 画 に 変 更 したいと 説 明 がなされました。<br />
このため、 免 震 重 要 棟 を 設 置 するとした 場 合 の 具 体 的 見 通 し 等 を<br />
示 すことを 求 めたところ、 事 業 者 は、 現 段 階 では 免 震 装 置 の 設 計<br />
の 成 立 の 見 通 しを 得 ることができなくなったとして 免 震 重 要 棟 を<br />
設 置 しない 理 由 を 変 更 するとともに、 耐 震 構 造 であっても、 免 震<br />
構 造 と 同 様 に 基 準 地 震 動 に 対 して 建 屋 を 弾 性 範 囲 内 に 収 めること<br />
により、 建 屋 の 構 造 体 全 体 の 信 頼 性 を 確 保 すること、 地 震 時 の 居<br />
住 性 についても 設 計 上 の 配 慮 により 改 善 を 図 るとの 方 針 を 示 しま<br />
した。<br />
本 審 査 では、 事 業 者 が、 代 替 緊 急 時 対 策 所 に 替 わる 緊 急 時 対 策<br />
所 を 耐 震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 内 に 設 置 することにより、 基 準 地 震<br />
動 による 地 震 力 に 対 して、 緊 急 時 対 策 所 の 機 能 を 喪 失 しない 設 計<br />
としていること、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う<br />
要 員 がとどまることができる 措 置 を 講 じていること 等 により、 新<br />
規 制 基 準 に 適 合 していることを 確 認 しています。<br />
63
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、 第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 重 要 免 震 棟 は 必 要 である。 大 地 震 の 場 合 には 余 震 の 間 にも 冷 静 な<br />
運 転 操 作 が 必 要 だから、 免 震 機 能 は 必 須 である。<br />
‣ 同 上<br />
考 え 方<br />
‣ 398ページ、 丸 数 字 4:「 一 般 の 免 震 装 置 をそのまま 原 子 力 施 設<br />
に 採 用 することは 困 難 」は、 既 に 東 電 福 島 第 1 原 発 での 免 震 棟 の<br />
実 績 がある 以 上 理 由 にならない。「 現 段 階 では 免 震 装 置 の 設 計 の 成<br />
立 の 見 通 しを 得 ることができなくなった」とは、 時 間 をかければ<br />
成 立 の 見 通 しはあるということか? 結 局 、この 説 明 は、 再 稼 働 を<br />
急 ぐが 故 に、 免 震 構 造 を 採 用 したくないという 申 請 者 の 言 い 訳 に<br />
すぎないのではないか?<br />
‣ 同 上<br />
‣ 事 故 時 の 対 策 拠 点 が 代 替 施 設 であり、 不 十 分 である。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 代 替 緊 急 時 対 策 所 は 言 わば 緊 急 時 対 策 棟 が 完 成 するまでの 仮 の 設<br />
備 と 思 われますが、 代 替 緊 急 時 対 策 所 と 緊 急 時 対 策 棟 では 免 震 ま<br />
たは 耐 震 機 能 等 に 違 いがあるのでしょうか? 同 じならば 仮 の 設 備<br />
を 作 る 理 由 は 無 く、 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 免 震 または 耐 震 機 能 が 緊<br />
急 時 対 策 棟 より 劣 るのであれば、 仮 の 設 備 でなく 正 式 な 設 備 を 完<br />
成 後 、 運 転 を 開 始 すべきと 考 えます。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 平 成 27 年 度 の 完 成 を 計 画 していた 免 震 重 要 棟 から 2 年 程 早 く 運<br />
用 開 始 できる 耐 震 方 式 の 緊 急 時 対 策 棟 に 変 更 するとのことです<br />
が、 既 に 完 成 しているのでしょうか? 未 完 成 なのであればいつ 完<br />
成 するのでしょうか?<br />
‣ 申 請 者 は 工 事 の 準 備 を 行 っており、 過 去 の 実 績 をもとに 着 工 後 約 2<br />
年 程 度 の 工 事 期 間 を 想 定 していることを 確 認 しています。なお、 玄<br />
海 3 号 炉 及 び 4 号 炉 には、 既 に 代 替 緊 急 時 対 策 所 が 設 置 されていま<br />
す。<br />
‣ 緊 急 時 対 策 所 に 要 求 される 気 密 性 は、 弾 性 範 囲 内 であっても 過 渡<br />
‣ 緊 急 時 対 策 所 については、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 重 大 事 故 時 の<br />
64
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、 第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
的 な 変 形 の 後 、 元 に 戻 るとは 限 りません。 例 えばコーキング 材 の<br />
シール 部 分 が 地 震 によって 切 れたら 地 震 が 終 わっても 元 には 戻 ら<br />
ず 気 密 性 は 保 てなくなります。 免 震 方 式 では 地 震 力 を 建 物 に 伝 え<br />
にくくする 方 式 であるのに 対 し、 耐 震 方 式 は 地 震 力 が 建 物 に 伝 わ<br />
り、 免 震 方 式 に 比 べシール 部 分 により 大 きな 力 が 加 わります。 耐<br />
震 方 式 にて 基 準 地 震 動 に 対 してシール 部 分 の 機 能 が 保 てるかどう<br />
か、 検 証 しているのでしょうか?しているならば、その 内 容 と 結<br />
果 をご 提 示 下 さい。<br />
考 え 方<br />
制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 に 係 る 被 ばく 評 価 に 関 する 審 査<br />
ガイド」に 基 づき、 気 密 性 が 確 保 されるとともに、 絶 えず 正 圧 に 保<br />
ち、フィルタを 通 らない 外 気 の 流 入 を 防 止 する 運 用 とすることを 確<br />
認 しています。また、 配 管 その 他 の 貫 通 部 については、 遮 へい 材 の<br />
充 てん 等 により 補 強 を 行 うことを 確 認 しています。<br />
‣ 事 故 時 の 対 策 拠 点 が 当 面 代 替 施 設 でしかない。 施 設 は 170 平 方 メ<br />
ートルと 狭 く 水 道 もなく 作 業 員 の 除 染 もウェットティッシュで 対<br />
応 するとは 到 底 困 難 である。 事 故 時 の 対 策 が 万 全 とは 言 えない。<br />
‣ 代 替 緊 急 時 対 策 所 のチェンジングエリア 内 での 身 体 サーベイにお<br />
いて、 現 場 作 業 を 行 う 要 員 等 に 放 射 性 物 質 による 汚 染 が 確 認 された<br />
場 合 には、チェンジングエリア 内 にてウェットティッシュ 等 による<br />
簡 易 除 染 を 行 うことを 基 本 とします。また、 拭 き 取 りにて 除 染 がで<br />
きない 場 合 は、 簡 易 シャワーにて 汚 染 部 位 の 水 洗 による 除 染 を 行 う<br />
ことを 確 認 しています。<br />
Ⅳ-5 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムへの 対 応 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ テロ 対 策 の 審 査 の 内 容 は 非 公 開 であり、 対 策 が 十 分 であるか 不 明<br />
である。 意 図 的 な 航 空 機 衝 突 による 火 災 などをどう 防 ぐか 検 証 が<br />
必 要 である。<br />
考 え 方<br />
‣ 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 については、 施 設 の 広 範 囲 にわたる 損 壊 、<br />
不 特 定 多 数 の 機 器 の 機 能 喪 失 及 び 大 規 模 な 火 災 等 の 発 生 を 考 慮 し、<br />
可 搬 型 設 備 による 対 応 を 中 心 として 柔 軟 で 多 様 性 のある 対 応 がで<br />
きるように 手 順 書 や 体 制 、 設 備 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認<br />
しています。なお、テロの 想 定 脅 威 の 具 体 的 内 容 や 対 策 の 具 体 的 内<br />
容 を 確 認 していますが、 防 護 上 の 観 点 から 公 開 しておりません。<br />
65
Ⅳ-5 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムへの 対 応 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 関 係 )<br />
御 意 見 の 概 要<br />
‣ テロ 対 策 の 方 針 は 実 効 性 に 欠 ける。さらに、まだ 対 策 を 実 現 させ<br />
ておらず、 不 適 当 である。<br />
‣ 同 上<br />
考 え 方<br />
‣ テロ 対 策 については、 防 御 自 体 が 無 理 ではありませんか?<br />
‣ 同 上<br />
‣ テロ 攻 撃 による 具 体 策 が 記 述 されていません。テロ 攻 撃 での 対 策<br />
として、 交 流 電 源 と 直 流 電 源 両 方 を 同 時 に 喪 失 する 事 態 での 電 源<br />
喪 失 や 格 納 容 器 ベントの 手 順 操 作 などを 明 確 に 想 定 した 中 での 作<br />
業 員 の 十 分 な 訓 練 が 不 可 欠 です。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 運 転 員 ( 当 直 員 )12 名 のみが 施 設 内 におり、 他 の 緊 急 対 策 本 部 員 4<br />
名 、 重 大 事 故 等 対 策 要 員 36 名 、 専 属 自 衛 消 防 隊 員 8 名 は 近 傍 に<br />
おり、 中 央 制 御 室 が 機 能 しない 場 合 でも 対 応 できると 書 いている<br />
が、この 場 合 、 事 故 発 生 時 の 要 員 は 最 大 52 名 であり、 災 害 等 で<br />
施 設 内 への 進 入 が 出 来 ない 場 合 は 12 名 、 中 央 制 御 室 が 閉 塞 され<br />
た 場 合 は 40 名 になるのではないか。また、 交 代 勤 務 により 夜 勤<br />
明 けで 睡 眠 中 等 に 対 応 するのは 無 理 があると 思 う。<br />
‣ 運 転 員 ( 当 直 員 )12 名 、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 )4 名 、 重<br />
大 事 故 等 対 策 要 員 36 名 及 び 専 属 自 衛 消 防 隊 員 8 名 のうち、 発 電 所<br />
近 傍 にいるのは 重 大 事 故 等 対 策 要 員 16 名 のうち 一 部 であり、それ<br />
以 外 の 要 員 は 発 電 所 構 内 に 常 駐 しています。 大 規 模 損 壊 の 発 生 によ<br />
り 中 央 制 御 室 ( 運 転 員 ( 当 直 員 )を 含 む。)が 機 能 しない 場 合 におい<br />
ても、 対 応 できるよう 体 制 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認 してい<br />
ます。なお、 大 規 模 な 自 然 災 害 が 発 生 した 場 合 に、 万 一 召 集 までに<br />
時 間 を 要 する 場 合 であっても、 当 面 の 間 は 事 故 対 応 を 行 えるよう 体<br />
制 を 整 えることを 確 認 しています。<br />
また、 召 集 要 員 を 加 え、 最 大 217 名 が 参 集 する 対 応 が 可 能 である<br />
ことを 確 認 するとともに、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 が、 複 数 ルートから<br />
通 行 可 能 なルートを 選 択 し 発 電 所 に 参 集 することを 確 認 していま<br />
す。<br />
66
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 3ページ、3.の 上 :「なお、 本 審 査 は、1 号 炉 及 び 2 号 炉 の 原<br />
子 炉 容 器 には 燃 料 を 装 荷 しない 前 提 としている。」の「 原 子 炉 容<br />
器 」は、 単 独 で 使 用 する 場 合 は「 原 子 炉 圧 力 容 器 」に 統 一 すべき。<br />
以 下 同 様 。<br />
考 え 方<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 5ページ、「2. 技 術 者 の 確 保 」の(1):「さらに、 本 発 電 所 では、<br />
自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 な 大 型 重 機 等 を 運 転 する<br />
資 格 を 有 する 技 術 者 を 確 保 する。」の「 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の<br />
対 応 」は、「 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 【への】 対 応 」では?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 11 頁 の1.(1) 丸 数 字 1の4 行 目 「 標 高 ( 以 下 「EL.」という。)」<br />
は「EL.」と 記 載 したほうがいいと 思 います。44 頁 の 最 下 行<br />
「T.P.」では 定 義 の 記 載 がされていないから( 巻 末 の「 略 語 等 」<br />
には 定 義 の 記 載 があるので 重 複 を 避 けた?)。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 12 頁 の 丸 数 字 6の1 行 目 「 敷 地 」は、「 本 発 電 所 敷 地 」と 記 載 し<br />
たほうが 適 当 と 思 います。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ、「 敷 地 」を「 本 発 電 所 敷 地 内 」と 修 正 します。<br />
‣ 27-28ページ、「 丸 数 字 2 許 容 限 界 」:「Sクラスの 機 器 ・ 配<br />
管 系 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合 せにおいて、<br />
塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、その 量 が 小 さなレベルに 留<br />
まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、【その 施 設 の 機 能 に 影<br />
響 を 及 ぼすことがない 限 度 に 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 を 許 容 限<br />
界 とする。】」の【】 部 分 の 表 現 は 日 本 語 になっておらず、 不 適 切 。<br />
「 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 」の「 値 」とは 何 の 値 か? 【】 部<br />
分 は「その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない 最 大 の 応 力 、 荷<br />
‣ 「その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない 最 大 の 応 力 、 荷 重 等<br />
を 許 容 限 界 とする。」では、 設 計 上 の 余 裕 がなく、 適 切 ではないと<br />
考 えます。したがって、 原 案 のとおりとします。<br />
67
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
重 等 を 許 容 限 界 とする。」とすべきでは?<br />
考 え 方<br />
‣ P39、「 屋 外 の 防 護 対 象 とする 施 設 である 海 水 ポンプエリア」と<br />
なっているが、 海 水 ポンプエリアは「 防 護 対 象 とする 施 設 」では<br />
ないため「 屋 外 の 防 護 対 象 とする 施 設 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 で<br />
ある 海 水 ポンプエリア」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて、 以 下 のとおり 修 正 します。<br />
「3 防 護 対 象 とする 施 設 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 は、EL.+<br />
11.0m に 位 置 する。 屋 外 の 防 護 対 象 である 海 水 ポンプエリアは EL.<br />
+11.0m に、 海 水 管 ダクト、 燃 料 油 貯 油 そう、 燃 料 油 貯 蔵 タンク<br />
は EL.+11.0m の 敷 地 地 下 部 に 位 置 する。」<br />
‣ 40ページ、 上 から1 行 目 :「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 耐 津 波 設 計<br />
の 前 提 条 件 として 必 要 な 事 項 として、 申 請 者 が、 施 設 の 配 置 等 に<br />
ついて 図 面 等 を 用 いて 網 羅 的 に 示 しており、…… 確 認 した。」の<br />
「 申 請 者 が、」が 重 複 している。どちらかの「 申 請 者 が、」は 不 要 。<br />
46ページ、 丸 数 字 2:「 解 釈 別 記 3は、 浸 水 想 定 範 囲 の 周 辺 に 重<br />
要 な 安 全 機 能 を 有 する 設 備 がある 場 合 は、 防 水 区 画 化 するととも<br />
に、 必 要 に 応 じて 同 区 画 内 への 浸 水 量 評 価 を 実 施 して、 重 要 な 安<br />
全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 がないことを 確 認 することを 要 求<br />
している。」の「 同 区 画 内 への 浸 水 量 評 価 」は 表 現 不 適 切 。「 同 区<br />
画 内 への 浸 水 量 【の】 評 価 」とすべき。<br />
‣ 意 見 を 踏 まえて 一 部 を 修 正 します。<br />
「 申 請 者 が、」:ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
「 同 区 画 内 への 浸 水 量 評 価 」: 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 の<br />
とおりとします。<br />
‣ 42 頁 の 丸 数 字 2の4 行 目 「 超 過 確 率 」は、「 年 超 過 確 率 」を 意 味<br />
しているのですか?<br />
‣ ここは、「 年 超 過 確 率 」の 意 味 です。ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 しま<br />
す。<br />
‣ P42、「 再 現 期 間 100 年 の 高 潮 を 算 定 し、これと 基 準 津 波 との 重<br />
畳 を 考 慮 する。」となっているが、 高 潮 と 基 準 津 波 の 重 畳 は 考 慮 し<br />
ていないため、「 再 現 期 間 100 年 に 対 する 期 待 値 と、 入 力 津 波 で 考<br />
慮 した 朔 望 平 均 満 潮 位 及 び 潮 位 のバラツキの 合 計 との 差 を 外 郭<br />
‣ ここでは、 入 力 津 波 で 考 慮 した 潮 位 のばらつきを 参 照 して 評 価 す<br />
ることを 表 しており、 高 潮 と 基 準 津 波 の 重 畳 も 含 めて 検 討 してい<br />
ることを 述 べているものであり、 原 案 のとおりとします。<br />
68
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
防 護 の 裕 度 評 価 において 参 照 する。」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P44、「 遡 上 高 さは 最 も 高 いところで EL+6.0mとなる。」となっ<br />
ているが、EL.+6.0m は 取 水 ピット 前 面 の 入 力 津 波 高 さであるた<br />
め、「 取 水 ピット 前 面 の 入 力 津 波 高 さを EL+6.0mと 設 定 した。」で<br />
はないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて、 以 下 のとおり 修 正 します。<br />
「a. 基 準 津 波 による 遡 上 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 最 も 高 い<br />
敷 地 前 面 の 水 位 は EL.+6.0m となる。」<br />
‣ P44、「 荷 揚 岸 壁 及 び 1 号 炉 及 び 2 号 炉 」となっているが、「 及<br />
び」が 重 複 するため「 荷 揚 岸 壁 並 びに 1 号 炉 及 び 2 号 炉 」が 良 い<br />
のではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P44、「 規 制 委 員 会 は、 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 の 防 止<br />
について、…に 設 置 することとしており、…ことを 確 認 した。」と<br />
なっているが、 主 語 を 明 確 にすべきではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて、 以 下 のとおり 修 正 します。<br />
「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 の<br />
防 止 について、 基 準 津 波 による 遡 上 域 を 把 握 するために 実 施 した<br />
解 析 の 結 果 に 基 づき、 津 波 防 護 対 象 設 備 を 遡 上 波 が 地 上 部 から 到<br />
達 、 流 入 しない 位 置 に 設 置 することとしており、これらの 方 針 が<br />
解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえ<br />
ていることを 確 認 した。」<br />
‣ P 4 4 、「 … し た 結 果 、 海 水 ポ ン プ エ リ ア の 入 力 津 波 高 さ<br />
T.P.+7.0m に 対 して 海 水 ポンプエリアの 床 面 の 位 置 が…」となっ<br />
ているが、 海 水 ポンプエリアでは 入 力 津 波 高 さが 設 定 されていな<br />
いため、「…した 結 果 、 入 力 津 波 高 さ T.P.+7.0m に 対 して 取 水 ピッ<br />
トの 床 面 の 位 置 が…」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて、 以 下 のとおり 修 正 します。<br />
「 津 波 の 流 入 防 止 等 の 方 針 を 検 討 するために 算 定 した 海 水 ポン<br />
プエリア、 取 水 ピット 及 び 放 水 ピットの 入 力 津 波 高 さ 等 に 基 づき<br />
検 討 した 結 果 、 取 水 ピットの 入 力 津 波 高 さ T.P.+7.0m に 対 して<br />
海 水 ポンプエリアの 床 面 の 位 置 が EL.+6.0m であることなどか<br />
ら、 流 入 の 可 能 性 のある 経 路 として、 取 水 路 、 放 水 路 、 屋 外 排 水<br />
路 及 びその 他 のダクト 類 を 特 定 した。」<br />
69
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 45 頁 の3 行 目 「T.P. 表 示 と EL. 表 示 は 同 じ 高 さを 示 す」: どち<br />
らかの 表 示 に 統 一 して 記 載 しないのはなぜですか?<br />
‣ P45、「…として 特 定 した 上 で、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備<br />
を…」となっているが、 玄 海 には 津 波 防 護 施 設 は 設 置 されていな<br />
いため、「 津 波 防 護 施 設 」は 不 要 ではないか。<br />
‣ T.P.は 海 面 の 高 さを、EL.は 地 面 の 高 さを 表 すときに 用 いており、<br />
どちらも 同 じ 高 さを 示 すため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 46ページ、 丸 数 字 3の 上 :「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安<br />
全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価 について、 申 請 者 が 浸 水 想 定 範<br />
囲 である 海 水 ポンプエリアを 防 水 区 画 化 した 上 で、 区 画 内 への 浸<br />
水 量 評 価 によって 海 水 ポンプへの 影 響 がないことを 確 認 するこ<br />
ととしており、…… 確 認 した。」の「 申 請 者 が」が 重 複 しており、<br />
また、「 区 画 内 への 浸 水 量 評 価 」という 表 現 は 不 適 切 。この 部 分 は、<br />
「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影<br />
響 評 価 について、 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアを 防 水 区<br />
画 化 した 上 で、 区 画 内 への 浸 水 量 【の】 評 価 によって 海 水 ポンプ<br />
への 影 響 がないことを 確 認 することとしており、…… 確 認 した。」<br />
とすべき。〔 後 の 方 の「 申 請 者 が」は 削 除 。「 区 画 内 への 浸 水 量 評<br />
価 」を「 区 画 内 への 浸 水 量 の 評 価 」に。〕<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 一 部 を 修 正 します。<br />
「 申 請 者 が」:ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します<br />
「 区 画 内 への 浸 水 量 評 価 」: 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のと<br />
おりとします。<br />
‣ 49 頁 b.2 行 目 等 の「EL.-」: 11 頁 等 での 記 載 と 整 合 させ<br />
るために、マイナス 記 号 は 半 角 で「EL.-」と 記 載 すべきです。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて、11 頁 等 の 記 載 を 全 角 「-」に 修 正 します。<br />
‣ P49、「 管 路 解 析 に 基 づき、 取 水 ピット 内 の 基 準 津 波 による 下 降<br />
側 の 水 位 を、EL.-4.5m と 算 定 した。」となっているが、EL.-4.5m<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
70
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
は 下 降 側 の 入 力 津 波 の 水 位 であるため、「 管 路 解 析 に 基 づき、 取 水<br />
ピット 内 の 下 降 側 の 入 力 津 波 高 さを、EL.-4.5m と 設 定 した。」で<br />
はないか。<br />
考 え 方<br />
‣ 51 頁 の2 行 目 「 敷 地 近 傍 半 径 」は、「 敷 地 から 半 径 」を 意 味 して<br />
いるのですか?<br />
‣ ここは、「 発 電 所 から 半 径 」を 意 味 しています。ご 指 摘 を 踏 まえ<br />
て、 以 下 のとおり 修 正 します。<br />
「ア. 津 波 シミュレーションの 結 果 を 踏 まえ、 本 発 電 所 構 内 及 び<br />
本 発 電 所 から 半 径 5km の 範 囲 で 漂 流 物 となる 可 能 性 のある 施 設 、<br />
設 備 等 を 網 羅 的 に 調 査 して 抽 出 する。」<br />
‣ 51 頁 の10 行 目 「EL.+2.5m の 荷 揚 岸 壁 」では、44 頁 の10<br />
行 目 「EL. 約 +2.5m の 荷 揚 岸 壁 」と 異 なり、なぜ「 約 」が 記 載 さ<br />
れていないのですか?<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 51ページ、オ.:「オ. 本 発 電 所 構 内 の 荷 揚 岸 壁 に 停 泊 する 燃 料 等<br />
輸 送 船 は、 津 波 警 報 等 発 令 時 は 緊 急 避 難 するため、 漂 流 物 とはな<br />
らない。」とあるが、 確 実 に 避 難 できるという 保 証 はない。 燃 料 等<br />
輸 送 船 を 漂 流 物 とした 場 合 の 評 価 を 実 施 するべきではないか。<br />
‣ 漂 流 物 となる 可 能 性 のあるものの 抽 出 に 当 たっては、 発 電 所 周 辺<br />
において 航 行 中 、 停 泊 中 の 船 舶 について、 津 波 警 報 発 令 後 の 退 避<br />
措 置 の 実 効 性 並 びに 基 準 津 波 襲 来 時 の 発 電 所 周 辺 の 海 流 速 及 び<br />
流 れの 方 向 の 経 時 変 化 を 踏 まえて、 漂 流 の 可 能 性 を 検 討 してお<br />
り、 燃 料 等 輸 送 船 が 取 水 性 に 影 響 を 及 ぼさないことを 確 認 してい<br />
ます。<br />
‣ P51、「 潮 位 計 」となっているが、「 取 水 ピット 水 位 計 」ではな<br />
いか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 51 頁 の 最 終 行 「 津 波 水 位 約 」は 誤 記 であり、 正 しくは「 津 波 水<br />
位 」では?<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
71
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P52、「 浸 水 防 護 設 備 」となっているが、「 浸 水 防 止 設 備 」では<br />
ないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P52、「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 防 護 施 設 の 設 計 について、<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 護 設 備 、 津 波 監 視<br />
設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 の 周<br />
辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 基 準 津 波 による 遡 上 波 は 地 上<br />
部 から 到 達 、 流 入 しないこと 及 び 基 準 津 波 による 下 降 側 の 津 波 高<br />
さが、 海 水 ポンプの 取 水 可 能 水 位 を 上 回 ることから、 津 波 防 護 施<br />
設 に 該 当 する 施 設 はないことを 確 認 した。」となっているが、もう<br />
少 し、 主 語 、 述 語 を 明 確 にすべきではないか。<br />
‣ 54 頁 の 最 終 段 落 の2 行 目 「 漂 流 物 の 可 能 性 」: 「 漂 流 の 可 能 性 」<br />
か「 放 流 物 の 発 生 の 可 能 性 」と 記 載 すべきでは?<br />
‣ 55ページ、「 丸 数 字 3 津 波 影 響 軽 減 施 設 及 び 設 備 の 扱 い」に 関<br />
する 規 制 委 員 会 の 評 価 が 記 載 されていないので、 記 載 すべきでは<br />
ないか。<br />
‣ P65、「Nagaoka(1998)」となっているが、「Nagaoka(1988)」で<br />
はないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて、 以 下 のとおり 修 正 します。<br />
「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設<br />
備 ( 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を<br />
内 包 する 建 屋 及 び 区 画 の 周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 基<br />
準 津 波 による 遡 上 波 は 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しないこと 及 び 基 準<br />
津 波 による 下 降 側 の 津 波 高 さが、 海 水 ポンプの 取 水 可 能 水 位 を 上<br />
回 るとしていることから、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する 施 設 はないこ<br />
とを 確 認 した。」<br />
‣ ここでは、 漂 流 物 が 発 生 して 漂 流 する 確 からしさを 表 しており、<br />
原 案 のとおりとします。<br />
‣ 解 釈 別 記 3では、 津 波 影 響 軽 減 施 設 及 び 設 備 を 設 置 する 場 合 の、<br />
当 該 施 設 及 び 設 備 の 設 計 方 針 に 係 る 要 求 をしています。 当 該 施 設<br />
及 び 設 備 の 設 置 の 有 無 は 基 準 適 合 性 に 影 響 しないため、 審 査 書 案<br />
では 申 請 者 が 設 置 しないとしている 理 由 のみを 記 載 しています。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P65、「… 鬼 界 カルデラにおける 噴 火 は VEI6 以 下 の 既 往 最 大 規<br />
模 …」となっているが、 運 用 期 間 中 に 考 慮 する 噴 火 規 模 は、 現 在<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
72
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
の 噴 火 ステージにおける 既 往 最 大 規 模 であるため、「… 鬼 界 カル<br />
デラについては 現 在 の 噴 火 ステージにおける 既 往 最 大 規 模 …」で<br />
はないか。<br />
考 え 方<br />
‣ 66 頁 の7 行 目 「 影 響 を 及 ぼさない」: 65 頁 の(3)の「 影 響<br />
を 及 ぼす 可 能 性 は 十 分 小 さい」と 内 容 が 整 合 していないと 思 いま<br />
す。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ、「 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 十 分 小 さい」を「 影 響 を<br />
及 ぼさない」と 修 正 します。<br />
‣ 66 頁 の3.の9 行 目 「 低 い」: ガイドでは「 小 さい」(3 行 目 )<br />
と 規 定 されているが、 申 請 者 は「 低 い」としているということな<br />
のですか?<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 66 頁 の(2)の「 可 能 性 がある 場 合 」: 可 能 性 が 十 分 低 くても<br />
ゼロではないから 可 能 性 があるという 意 味 であれば、3.の 文 脈<br />
を 勘 案 すると 不 適 切 な 表 現 であると 思 います。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 67 頁 の2 行 目 「ない」: 66 頁 の3.の9 行 目 によると、 申 請<br />
者 は「 可 能 性 が 十 分 低 い」としており「ない」と 断 言 していませ<br />
ん。<br />
‣ 67ページの2 行 目 の「ない」については、 設 計 対 応 不 可 能 な 火<br />
山 事 象 の 到 達 の 可 能 性 のことであり、66ページの3.の9 行 目<br />
に 記 載 のある 運 用 期 間 中 の VEI7 以 上 の 噴 火 の 可 能 性 ではないた<br />
め、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 71 頁 の9 行 目 「 補 修 」: 硬 度 が 低 くもろくても 摩 耗 は 発 生 する<br />
が、 補 修 するから 問 題 ないということを 意 味 しているのですか?<br />
‣ 内 部 における 磨 耗 については、 降 下 火 砕 物 は 砂 よりも 硬 度 が 低 く<br />
もろいことから 磨 耗 による 影 響 は 小 さいとしていることを 確 認<br />
しています。 加 えて、 定 期 的 な 内 部 点 検 及 び 日 常 保 守 管 理 により、<br />
状 況 に 応 じて 補 修 が 可 能 であり、 磨 耗 により 安 全 機 能 を 損 なわな<br />
い 設 計 とするとしていることを 確 認 しています。<br />
73
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 76 頁 の5 行 目 「 発 電 所 」: 「 本 発 電 所 」と 記 載 すべきところで<br />
は?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 76 頁 の5 行 目 「 発 電 所 に 常 駐 する 自 衛 消 防 隊 」: 408 頁 の7<br />
行 目 「 専 属 自 衛 消 防 隊 」と 同 一 のものであるならば、 文 言 の 統 一<br />
が 必 要 です。<br />
‣ 77 頁 の2 行 目 「 発 電 所 敷 地 外 」: 「 本 発 電 所 敷 地 外 」と 記 載 す<br />
べきところでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 文 意 は 変 わらないので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 77 頁 の2 行 目 「 敷 地 外 の 半 径 」は、「 敷 地 から 半 径 」を 意 味 して<br />
いるのですか?<br />
‣ 81 頁 の 最 終 行 、82 頁 の1 行 目 の「 発 電 所 」: 「 本 発 電 所 」と<br />
記 載 すべきところでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 88ページ、 丸 数 字 3:「 感 知 器 の 誤 作 動 を 防 止 するため、 平 常 時<br />
の 状 況 の 温 度 や 煙 の 濃 度 を 監 視 し、 急 激 な 温 度 上 昇 や 煙 の 濃 度 上<br />
昇 を 把 握 することができる「アナログ 式 の 火 災 感 知 器 」を 使 用 す<br />
る。」の「 平 常 時 の 状 況 の 温 度 」は 表 現 不 適 切 。「 平 常 時 の 温 度 変<br />
化 の 状 況 」とすべきでは?<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ、「 平 常 時 の 状 況 の 温 度 や 煙 の 濃 度 」を「 平 常 時 の<br />
状 況 ( 温 度 、 煙 の 濃 度 )」に 修 正 します。<br />
‣ 89ページ、「(2) 消 火 設 備 、 丸 数 字 1」:「また、 放 射 性 物 質 の<br />
貯 蔵 又 は 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 設 置 する<br />
火 災 区 域 には、 火 災 時 の 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 により 消 火 活<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
74
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
動 が 困 難 となる 場 合 、 中 央 制 御 室 からの 手 動 操 作 又 は 自 動 起 動 の<br />
消 火 設 備 により 消 火 することとする。」の「 中 央 制 御 室 からの 手 動<br />
操 作 又 は 自 動 起 動 の 消 火 設 備 」は 表 現 不 適 切 。「 中 央 制 御 室 からの<br />
遠 隔 手 動 操 作 により 作 動 する 消 火 設 備 又 は 自 動 起 動 の 消 火 設 備 」<br />
とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ 90ページ、 丸 数 字 6、g.:「 管 理 区 域 内 での 消 火 活 動 を 行 うこと<br />
により、 管 理 区 域 内 から 放 射 性 物 質 を 含 むおそれがある 排 水 の 流<br />
出 防 止 」は 表 現 不 適 切 。「 管 理 区 域 内 での 消 火 活 動 を 行 うことによ<br />
り 発 生 する 放 射 性 物 質 を 含 むおそれがある 排 水 の 管 理 区 域 外 へ<br />
の 流 出 防 止 」とすべきでは?<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ、「 消 火 活 動 を 行 うことにより」を「 消 火 活 動 によ<br />
る」に 修 正 します。<br />
‣ 94ページ、(4)、 丸 数 字 1:「 蒸 気 発 生 器 のループ 毎 に 設 置 する<br />
等 により、6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 離 隔 すること、」の<br />
「6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 離 隔 すること」は 表 現 不 適<br />
切 。「6m 以 上 の 水 平 距 離 により 可 能 な 範 囲 で 離 隔 すること」とす<br />
べきでは?<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ、「6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 離 隔 する」<br />
を「6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 確 保 する」に 修 正 します。<br />
‣ 94ページ、(4)、 丸 数 字 1:「…… 離 隔 すること、」は「 離 隔 す<br />
ること。」に〔 最 後 の「、」を「。」に〕すべき。<br />
‣ 火 災 防 護 対 象 機 器 等 の 対 策 を 記 載 しているため、 原 案 のとおりと<br />
します。<br />
‣ 94 頁 の(4)の6 行 目 「ループ 毎 」: 「ループごと」と 記 載 し<br />
たほうが 適 当 と 思 います。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 94ページ、(4)、 丸 数 字 1:「 蒸 気 発 生 器 のループ 毎 に 設 置 する<br />
等 により、6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 離 隔 すること。」と<br />
‣ ケーブルトレイには、 火 災 の 延 焼 や 火 災 からの 影 響 を 抑 制 するた<br />
めの 蓋 を 設 置 することを 確 認 しています。<br />
75
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
あるが、 離 隔 が 可 能 でない 部 分 はどのように 対 策 するのか?<br />
考 え 方<br />
‣ 96ページ、6.(1):「フロアケーブルダクトは、 運 転 員 が 消 火<br />
活 動 を 行 うことができないことから、 手 動 操 作 によるハロン 消 火<br />
設 備 により 消 火 する 設 計 とする。」の「 手 動 操 作 によるハロン 消 火<br />
設 備 」は「 手 動 操 作 により 起 動 するハロン 消 火 設 備 」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 98ページ、「2. 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 するための 方 針 」:「 防<br />
護 対 象 設 備 の 設 計 方 針 を 検 討 するに 当 たり、 機 器 の 破 損 等 により<br />
生 じる 溢 水 ( 以 下 「 破 損 による 溢 水 」という。)、 異 常 状 態 ( 火 災<br />
を 含 む。)の 拡 大 防 止 のために 設 置 される 系 統 からの 放 水 による<br />
溢 水 ( 以 下 「 消 火 水 の 放 水 による 溢 水 」という。) 及 び 地 震 等 の 自<br />
然 現 象 による 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水 ( 以 下 「 地 震 等 によ<br />
る 溢 水 」という。)における、 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 する 方 針 が<br />
示 されることが 必 要 である。」の「( 以 下 「 消 火 水 の 放 水 による 溢<br />
水 」という。)」は、「 異 常 状 態 ( 火 災 を 含 む。)の 拡 大 防 止 のため<br />
に 設 置 される 系 統 からの 放 水 」であり、「 消 火 水 の 放 水 」のみでは<br />
ないことから、「( 以 下 「 放 水 による 溢 水 」という。)」とすべきで<br />
はないか。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 内 容 のとおり 記 載 しているため、 原 案 のとおりとし<br />
ます。<br />
‣ 99ページ、3 行 目 :「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 源 及 び 溢<br />
水 量 の 設 定 が、 溢 水 源 については、 全 ての 高 エネルギー 配 管 及 び<br />
低 エネルギー 配 管 を 対 象 として 破 損 を 想 定 する 配 管 を 抽 出 した<br />
上 で、 単 一 の 破 損 を 設 定 する 方 針 であること、……を 確 認 した。」<br />
の「 単 一 の 破 損 を 設 定 する」という 表 現 は 分 かりにくい。「 隔 離 範<br />
囲 内 で 単 一 の 破 損 箇 所 を 設 定 する」とすべきではないか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
76
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 99ページ:「(2) 消 火 水 の 放 水 による 溢 水 」の 見 出 しは、98<br />
ページの「 異 常 状 態 ( 火 災 を 含 む。)の 拡 大 防 止 のために 設 置 され<br />
る 系 統 からの 放 水 」という 定 義 を 受 けて「(2) 放 水 による 溢 水 」<br />
とすべき。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 内 容 のとおり 記 載 しているため、 原 案 のとおりとし<br />
ます。<br />
‣ 101ページ、1~2 行 目 :「ただし、 消 火 活 動 時 に 区 画 の 扉 を 開<br />
放 する 場 合 は、 扉 を 開 放 状 態 と 設 定 するとしている。」の「 開 放 状<br />
態 と 設 定 する」は 表 現 不 適 切 。「 開 放 状 態 とする」とすべきでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 104ページ、(5):「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 使 用 済 燃<br />
料 ピットのスロッシング 後 の 水 位 が 最 も 厳 しい 初 期 条 件 等 を 想<br />
定 しても 水 温 65℃ 以 下 に 維 持 し、 申 請 者 が 規 定 する 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ット 中 央 水 面 における 空 間 線 量 率 以 下 に 維 持 するために 必 要 な<br />
水 位 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。」の「 使 用 済 燃 料<br />
ピットのスロッシング 後 の 水 位 が」は 表 現 不 適 切 〔「 水 位 が…… 必<br />
要 な 水 位 を 確 保 する」という 構 文 なので〕。「 使 用 済 燃 料 ピットの<br />
スロッシング 後 において、」とすべき。<br />
‣ 106 頁 の11 行 目 「ディーゼル 発 電 機 等 」: 「 等 」は 何 を 指 し<br />
ているのですか?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 無 停 電 電 源 装 置 を 指 しています。<br />
‣ P108、「…アニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクトの 一 部 、 試 料 採<br />
取 設 備 のうち…」となっているが、 多 重 性 を 有 しない 静 的 機 器 と<br />
して、 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備 のフィルタユニット 及 びダクトの<br />
一 部 も 該 当 するのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
77
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P108、「… 経 過 した 時 点 でほう 酸 注 入 タンク 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンクからのほう 酸 水 が…」となっているが、 玄 海 にはほう 酸<br />
注 入 タンクは 設 置 されていないため、「ほう 酸 注 入 タンク」は 不 要<br />
ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 108ページ、 下 から2 行 目 :「また、 静 的 機 器 で 単 一 設 計 とする<br />
スプレイリングを 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 について<br />
は、……」のの「 単 一 設 計 とする」は 分 かりにくい。「 多 重 性 を 有<br />
しない 設 計 としている」といった 表 現 にすべきでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P109、「 申 請 者 の 設 計 が、… 以 下 のとおりとしていることを 確<br />
認 した。」と 記 載 されているもののうち「「 添 付 書 類 十 3.4 環 境<br />
への 放 射 性 物 質 の 異 常 な 放 出 」の 評 価 結 果 と 同 程 度 等 となるよう<br />
安 全 上 支 障 のない 期 間 内 に 除 去 又 は 修 復 できる。」となっている<br />
が、 申 請 書 は「 同 程 度 」となっており「 等 」は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 109ページ、(2):「 申 請 者 が 単 一 の 設 計 とするとした1 次 冷 却<br />
材 をサンプリングする 設 備 については、……」の「 単 一 の 設 計 と<br />
するとした」は 分 かりにくい。「 多 重 性 を 有 しない 設 計 とするとし<br />
た」といった 表 現 にすべきでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 109ページ、(2):「また、 単 一 の 設 計 とするとした 原 子 炉 格 納<br />
容 器 スプレイ 設 備 のスプレイリングについては、……」の「 単 一<br />
の 設 計 とするとした」は 分 かりにくい。「 多 重 性 を 有 しない 設 計 と<br />
するとした」といった 表 現 にすべきでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
78
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P109、「 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 のうち、 補 助 蒸 気 連 絡 ラ<br />
イン( 高 圧 ・ 低 圧 )について、3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 相 互 に<br />
接 続 するとしている。」となっているが、 他 にも 重 要 安 全 施 設 以 外<br />
の 安 全 施 設 として、 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 、 浸 水 防 護 設 備 、 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 及 び 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )についても、<br />
3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 共 用 するのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 110ページ、1~2 行 目 :「これらの 設 備 については、 以 下 の 理<br />
由 から 共 用 又 は 相 互 に 接 続 するとしている。」は 表 現 不 適 切 。「こ<br />
れらの 設 備 を 共 用 又 は 相 互 に 接 続 する 理 由 は 以 下 のとおりであ<br />
る。」とすべき。<br />
‣ 110ページ、(1):「 抽 出 された 中 央 制 御 室 は、 共 用 することに<br />
より 運 転 員 の 融 通 が 可 能 となり 総 合 的 な 運 転 管 理 ができること、<br />
また、 中 央 制 御 室 空 調 装 置 については、 各 号 炉 の 空 調 装 置 を 共 用<br />
することにより、 単 一 の 設 計 とする 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 フィル<br />
タユニットも 含 め、 安 全 性 が 向 上 することから、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 の 安 全 性 が 向 上 するとしている。」の「 単 一 の 設 計 とする」は 分<br />
かりにくい。「 多 重 性 を 有 しない 設 計 とする」といった 表 現 にすべ<br />
きでは?また、この 段 落 全 体 の 文 章 は 日 本 語 として 不 適 切 。「 抽 出<br />
された 中 央 制 御 室 は、 共 用 することにより 運 転 員 の 融 通 が 可 能 と<br />
なり 総 合 的 な 運 転 管 理 ができる。また、 中 央 制 御 室 空 調 装 置 につ<br />
いては、 各 号 炉 の 空 調 装 置 を 共 用 することにより、〔 単 一 の 設 計 と<br />
する→ 多 重 性 を 有 しない 設 計 とする〕 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 フィ<br />
ルタユニットも 含 め、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 が 向 上 する。」<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
79
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
〔「…… 総 合 的 な 運 転 管 理 ができること、」→「 総 合 的 な 運 転 管 理<br />
ができる。」、「 安 全 性 が 向 上 することから、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安<br />
全 性 が 向 上 するとしている。」→「3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 が 向<br />
上 する。」〕<br />
考 え 方<br />
‣ P110、 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 について「 抽 出 された 補<br />
助 蒸 気 連 絡 ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )は、 相 互 に 接 続 しても… 安 全 性<br />
が 損 なわれないとしている。」となっているが、 他 にも 重 要 安 全 施<br />
設 以 外 の 安 全 施 設 として、 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 、 浸 水 防 護 設<br />
備 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 及 び 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )につ<br />
いても、3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 共 用 するのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P110、「また、 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 である 補 助 蒸 気 連<br />
絡 ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )を 相 互 に 接 続 することは… 安 全 性 を 損 な<br />
わないと 判 断 した。」となっているが、 他 にも 重 要 安 全 施 設 以 外 の<br />
安 全 施 設 として、 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 、 浸 水 防 護 設 備 、 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 及 び 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )についても、<br />
3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 共 用 するのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 112ページ、(2)、 丸 数 字 2「 使 用 済 燃 料 ピットクレーンにつ<br />
いては、 基 準 地 震 動 に 対 して、クレーン 本 体 、 転 倒 防 止 金 具 及 び<br />
走 行 レールに 発 生 する 荷 重 が 許 容 応 力 以 下 となるように、 吊 荷 を<br />
考 慮 し 保 守 的 に 設 計 する。」の「 荷 重 が 許 容 応 力 以 下 となるよう<br />
に、」は 意 味 不 明 。「 荷 重 により 生 ずる 応 力 が 許 容 値 以 下 となるよ<br />
うに、」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
80
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 114ページ、5 行 目 :「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 物 理 的<br />
分 離 及 び 機 能 的 分 離 を 適 切 に 講 じるとともに、 出 入 管 理 による 物<br />
理 的 アクセスの 制 限 を 行 う 等 、 承 認 されていない 動 作 や 変 更 を 防<br />
ぐことができるとしていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基<br />
準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。」の「 物 理 的 アクセスの 制 限 を<br />
行 う 等 」は「 物 理 的 アクセスの 制 限 を 行 う 等 により」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 117ページ、2.(1):「 輸 送 に 当 たっては、 地 震 等 の 自 然 現 象<br />
及 び 人 為 事 象 ( 故 意 によるものを 除 く。)に 対 して、タンクローリ<br />
が 同 時 に 機 能 喪 失 しないよう 位 置 的 分 散 等 を 図 り、 輸 送 手 段 を 必<br />
ず1 手 段 確 保 することとしている。」は 分 かりにくい。「 輸 送 手 段<br />
としてのタンクローリは、1 台 の 故 障 を 考 慮 して 2 台 を 準 備 する。<br />
地 震 等 の 自 然 現 象 及 び 人 為 事 象 ( 故 意 によるものを 除 く。)に 対 し<br />
て、2 台 が 同 時 に 機 能 喪 失 しないよう 位 置 的 分 散 等 を 図 り、2 台 を<br />
離 れた 位 置 に 保 管 する。」といった 表 現 にすべきでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 117 頁 の 最 後 の 段 落 の「 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 」、「 非 常 用 デ<br />
ィーゼル 発 電 機 等 」: 他 の 記 載 箇 所 の「ディーゼル 発 電 機 」との<br />
違 いは 何 ですか? また、「 等 」は 何 を 指 しているのですか?<br />
‣ 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 33 条 第 7 項 において、「 非 常 用 ディー<br />
ゼル 発 電 機 等 」の 用 語 を 用 いているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 118 頁 「 号 炉 毎 」: 他 の 記 載 箇 所 の「 号 炉 ごと」と 文 言 を 統 一<br />
したほうがいいと 思 います。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 119 頁 の2 行 目 「 東 京 電 力 」: 392 頁 の 脚 注 の「 東 京 電 力 株<br />
式 会 社 」と 文 言 を 統 一 したほうがいいと 思 います。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
81
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 120ページ、(2)、 丸 数 字 1:「 設 置 許 可 基 準 規 則 第 三 章 「 重 大<br />
事 故 等 対 処 施 設 」 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 第 1 項 で<br />
は、 主 として 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 から 導 かれた 要 求<br />
事 項 から 構 成 されている。」の「 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 第<br />
1 項 では、」は「 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 第 1 項 は、」とす<br />
べき。〔「では、…… 構 成 されている」→「は、…… 構 成 されてい<br />
る」〕<br />
考 え 方<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします<br />
‣ 121ページ、 注 記 (※3):「「 停 止 中 評 価 ガイド」には、「 原 子 炉<br />
運 転 停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起 動 過 程 に<br />
おける 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 示 し<br />
ている。」は「「 停 止 中 評 価 ガイド」では、「 原 子 炉 運 転 停 止 の 過 程<br />
における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起 動 過 程 における 主 発 電 機<br />
の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 定 義 している。」とす<br />
べき。〔「「 停 止 中 評 価 ガイド」には、……と 示 している。」→「「 停<br />
止 中 評 価 ガイド」では、……と 定 義 している。」〕<br />
‣ 文 意 は 変 わらないため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 125ページ、e.「 国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 と 同 等 のものが 講 じら<br />
れた 上 で、……」の「 国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 」とjは 具 体 的 には<br />
何 か?127ページ、4 行 目 :「…… 本 申 請 では 原 子 炉 容 器 の 破 損<br />
までに 1 次 系 を 減 圧 することである。」の「1 次 系 」は、 単 独 で 使<br />
用 する 場 合 は「1 次 冷 却 系 」に 統 一 すべき。 以 下 同 様 。<br />
‣ 「 国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 」とは、 国 外 の 原 子 力 規 制 機 関 である 米<br />
国 原 子 力 規 制 委 員 会 (NRC)、フランス 原 子 力 安 全 規 制 機 関 (ASN)<br />
等 の 規 制 文 書 、 米 国 の 最 終 安 全 解 析 書 (FSAR) 等 の 事 業 者 公 開 資<br />
料 等 で 考 慮 されている 対 策 を 指 します。 具 体 例 としては、 全 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 等 における 蒸 気 発 生 器 への 代 替 給 水 手 段 として、 米<br />
国 においては、 可 搬 式 ディーゼル 駆 動 ポンプ 等 を 配 備 しており、<br />
欧 州 においても 同 様 の 手 段 を 整 備 しています。 玄 海 3 号 炉 及 び 4<br />
号 炉 においても、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 接 続 口 を 配 備<br />
しており、 同 様 の 手 段 を 整 備 していることを 確 認 しています。<br />
82
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
「1 次 系 」については、ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P128、「 内 部 事 象 レベル 1.5 評 価 用 」となっているが、「 内 部<br />
事 象 レベル 1.5PRA 評 価 用 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 130ページ、(2)の 第 1 段 落 :「 評 価 対 象 とした 6 の 格 納 容 器<br />
破 損 モードは、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 における 必 ず 想 定 する 格 納<br />
容 器 破 損 モード(BWR 固 有 のものを 除 く。)と 一 致 することを 確 認<br />
した。」の「6 の 格 納 容 器 破 損 モード」は「6 つの 格 納 容 器 破 損 モ<br />
ード」とすべき。〔「6」→「6 つ」〕<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P131、「 原 子 炉 トリップ( 蒸 気 発 生 器 水 位 異 常 低 ) 時 点 」とな<br />
っているが、 原 子 炉 は「 蒸 気 発 生 器 水 位 低 」 信 号 で 自 動 停 止 する<br />
ことになっているため「 原 子 炉 トリップ( 蒸 気 発 生 器 水 位 低 ) 時<br />
点 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 136 頁 の1 行 目 「ディーゼル 発 電 機 等 」: 133 頁 の1.(1)<br />
等 に 記 載 されている 本 重 要 事 故 シーケンスでは 重 大 事 故 対 処 設<br />
備 に 位 置 付 けられていないディーゼル 発 電 機 等 の 運 転 を 想 定 す<br />
るのはなぜですか? また、「 等 」は 何 を 指 しているのですか?<br />
‣ 本 重 要 事 故 シーケンスでは 外 部 電 源 喪 失 を 想 定 していませんが、<br />
外 部 電 源 が 喪 失 した 場 合 を 想 定 してディーゼル 発 電 機 等 で 必 要<br />
となる 重 油 量 の 評 価 をしているものです。また、「 等 」には、 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 ( 使 用 済 燃 料 ピット<br />
への 注 水 ) 及 び 使 用 済 燃 料 ピット 監 視 装 置 用 空 気 供 給 システムが<br />
含 まれます。<br />
‣ 136 頁 の2 行 目 「 発 電 所 内 」: 「 本 発 電 所 内 」と 記 載 すべきと<br />
ころでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
83
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 136 頁 の4 行 目 「ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 」: 1 行<br />
目 の 記 載 と 整 合 させるためには「ディーゼル 発 電 機 等 からの 電 力<br />
供 給 量 」と 記 載 するべきところでは?<br />
考 え 方<br />
‣ 1 行 目 は 重 油 量 に 関 するもので、ここでは 電 力 供 給 量 について 述<br />
べていることから, 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 141ページ、「b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 」:「 全 交 流 動 力 電<br />
源 喪 失 事 象 など、RCP のトリップ 後 の 1 次 冷 却 材 の 自 然 循 環 冷 却<br />
に 期 待 している 場 合 には、この 自 然 循 環 を 阻 害 する 可 能 性 のある<br />
蓄 圧 タンク 内 の 窒 素 ガスの 混 入 を 防 止 するため、 蓄 圧 タンク 内 の<br />
保 有 水 量 が 全 量 注 入 される 前 に、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 する。」<br />
とあるが、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 の 閉 止 は 運 転 員 操 作 であり、また、<br />
同 弁 は1 台 しかなく、かつ 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 されているた<br />
め、 閉 止 失 敗 を 想 定 し、 窒 素 ガスが1 次 系 内 に 入 った 場 合 の 評 価<br />
を 行 うべきである。なお、 他 の PWR プラントについての 同 様 の 意<br />
見 に 対 する 規 制 委 員 会 としての「 考 え 方 」では、「 申 請 書 ( 添 付 書<br />
類 十 「7.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」)にあるとおり、 本 操 作 は、 空<br />
冷 式 非 常 用 発 電 装 置 により 代 替 交 流 動 力 電 源 を 確 保 した 後 、アキ<br />
ュムレータ 出 口 弁 の 閉 止 操 作 が 必 要 なタイミングに 変 動 があっ<br />
たとしても、 専 任 の 運 転 員 が 中 央 制 御 室 にて 閉 止 操 作 を 実 施 する<br />
ことから、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対 策 の 実 施 に 与 える 影<br />
響 がないことを 確 認 しています。」( 関 西 電 力 株 式 会 社 美 浜 発 電 所<br />
3 号 炉 の 審 査 書 案 に 対 する 意 見 募 集 の 結 果 等 及 び 発 電 用 原 子 炉<br />
設 置 変 更 許 可 について( 案 )、 平 成 28 年 10 月 5 日 原 子 力 規 制<br />
委 員 会 )と 述 べられているが、 本 意 見 は、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 の 閉<br />
止 操 作 の「タイミング」を 問 題 にしているのではなく、 弁 閉 止 失<br />
敗 を 考 慮 すべきであり、1 次 冷 却 系 に 窒 素 が 流 入 した 場 合 の 影 響<br />
を 評 価 すべきではないか、ということである。 規 制 委 員 会 として<br />
‣ 別 紙 1の『Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 電 源 喪 失 』の 枠 へ<br />
84
審 査 書 案 の 表 記<br />
の 考 え 方 を 提 示 されたい。<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P142、「 緊 急 安 全 対 策 要 員 等 」となっているが、「 緊 急 時 対 策<br />
本 部 要 員 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P146、「 原 子 炉 補 機 冷 却 水 タンク」となっているが、「 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンク」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P146、「 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 を 以 下 の<br />
とおりとしている。」となっているが、 他 のシーケンスの 記 載 と 整<br />
合 を 図 り「 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条 件<br />
の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。」としてはどうか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 151ページ、 脚 注 (※11):「さらに、この 設 備 により 補 助 給 水<br />
ポンプが 自 動 起 動 されることで、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低 下 を 抑 制<br />
し、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 を 防 止 することで、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バ<br />
ウンダリ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 維 持 する。」の「1 次 冷 却<br />
系 統 」は「1 次 冷 却 系 」に 統 一 すべき。 以 下 同 様 。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P152、「 申 請 者 は、…の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。」と<br />
記 載 されているもののうち「 解 析 コードの 不 確 かさ 等 を 考 慮 し、<br />
…」となっているが、 申 請 書 及 び 他 の 記 載 箇 所 は「 解 析 コードの<br />
不 確 かさ」となっており、「 等 」は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P156、「 負 のフィードバック 反 応 度 」となっているが、 他 の 記<br />
載 箇 所 と 同 様 に「 負 のフィードバック 効 果 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
85
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 159ページ、b.、 第 1 段 落 :「 蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 について、<br />
全 量 が 炉 心 へ 注 水 される 前 に 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 する 場 合<br />
には、 解 析 条 件 として 最 低 保 有 水 量 に 設 定 することが 保 守 的 な 設<br />
定 とならない 場 合 がある。」とあるが、これは、「 蓄 圧 タンク 出 口<br />
弁 を 閉 止 する 場 合 」と「しない 場 合 」があるということか? 蓄<br />
圧 タンク 内 の 窒 素 ガスが1 次 系 内 に 入 ることを 防 止 するために<br />
は 必 ず 閉 止 しなければならないのでは?したがって、「 全 量 が 炉<br />
心 へ 注 水 される 前 に 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を【 閉 止 する 場 合 には、】」<br />
は、「 全 量 が 炉 心 へ 注 水 される 前 に 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を【 閉 止 する<br />
ので、】」とするべきでは?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 159ページ、b.、 第 1 段 落 :「これは、 蓄 圧 タンク 内 の 圧 力 変 化<br />
と 気 相 部 体 積 の 膨 張 量 の 関 係 から、 蓄 圧 タンク 内 の 初 期 の 保 有 水<br />
量 が 少 なく 気 相 部 の 初 期 の 体 積 が 大 きい 方 が、 気 相 部 圧 力 が 持 続<br />
しやすく、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 するまでの 炉 心 への 注 水 量 が<br />
多 くなるためである。」とあるが、「 注 水 量 」は「 注 水 流 量 」では?<br />
‣ 「 流 量 」ではく「 量 」のことを 述 べているので、 原 案 のとおりと<br />
します。<br />
‣ 159ページ、b.、 第 2 段 落 :「このため、4 インチから 2 イン<br />
チ 及 び 4 インチから 6 インチの 間 の 破 断 口 径 の 場 合 について、<br />
事 象 初 期 の 破 断 流 量 、 蓄 圧 注 入 及 び 低 圧 注 入 開 始 時 期 等 の 観 点 か<br />
ら 検 討 した。」の「 破 断 流 量 」は「 流 出 流 量 」では?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 160 頁 の5 行 目 「 運 転 」: 156 頁 の1.(1) 等 に 記 載 され<br />
ている 本 重 要 事 故 シーケンスには 外 部 電 源 の 喪 失 は 想 定 されて<br />
おらず、ディーゼル 発 電 機 は 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 位 置 付 けられ<br />
‣ 本 重 要 事 故 シーケンスでは 外 部 電 源 喪 失 を 想 定 していませんが、<br />
外 部 電 源 が 喪 失 した 場 合 を 想 定 してディーゼル 発 電 機 等 で 必 要<br />
となる 重 油 量 の 評 価 をしているものです。<br />
86
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
ていないのにもかかわらず、ディーゼル 発 電 機 等 の 運 転 を 想 定 す<br />
るのはなぜですか?<br />
考 え 方<br />
‣ P166、「インターフェイスシステム LOCA の 場 合 は、2 次 系 強<br />
制 冷 却 を 継 続 する。このため、 補 助 給 水 ポンプ、 蒸 気 発 生 器 、 復<br />
水 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付<br />
ける。」となっているが、インターフェイスシステム LOCA 発 生 時 、<br />
玄 海 は 1 系 統 しか 漏 えいしないことから、 安 定 停 止 状 態 に 向 けた<br />
対 策 として 健 全 側 の 余 熱 除 去 系 を 用 いた 対 策 が 可 能 であり、 余 熱<br />
除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 が 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置<br />
付 けられるのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 166ページ、(2)、 丸 数 字 1、a.:「これは、 格 納 容 器 バイパス<br />
時 の 漏 えい 経 路 の 違 いを 考 慮 して 両 方 の 事 故 シーケンスを 選 定<br />
する。」は「これは、 格 納 容 器 バイパス 時 の 漏 えい 経 路 の 違 いを 考<br />
慮 して 両 方 の 事 故 シーケンスを 選 定 する【ものである】。」とすべ<br />
き。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 168ページ、e.、イ.:「 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 を、 高<br />
圧 注 入 から 充 てん 注 入 に 切 替 えるための 操 作 開 始 時 間 は、ECCS<br />
停 止 条 件 (1 次 冷 却 材 のサブクール 度 40℃ 以 上 及 び 加 圧 器 水 位<br />
50% 以 上 で 安 定 又 は 上 昇 中 等 ) 成 立 時 点 からとし、 操 作 完 了 に 2 分<br />
を 要 するものとする。」の「ECCS 停 止 条 件 」の 説 明 (かっこ 内 )<br />
は、e.のア.で 既 に 行 われており、 重 複 しているので、 不 要 では?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P169、「 余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃 がし 弁 から 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
87
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
への1 次 冷 却 材 の 漏 えい」となっているが、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力<br />
及 び 温 度 上 昇 の 要 因 には、 余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃 がし 弁 の 作 動 及<br />
び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 閉 操 作 の2つがあるため、「 余 熱 除 去 ポン<br />
プ 入 口 逃 がし 弁 等 」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P169、「また、2 次 系 強 制 冷 却 による 炉 心 冷 却 の 継 続 により 原<br />
子 炉 の 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることができる」となっている<br />
が、インターフェイスシステム LOCA 時 、 玄 海 は 1 系 統 しか 漏 え<br />
いしないことから、 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 は 健 全 側 の 余 熱 除<br />
去 系 を 用 いた 対 策 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 170 頁 (3) 丸 数 字 2の2 行 目 「 運 転 」: 165 頁 の1.(1)<br />
等 に 記 載 されている 本 重 要 事 故 シーケンスには 外 部 電 源 の 喪 失<br />
は 想 定 されておらず、ディーゼル 発 電 機 は 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に<br />
位 置 付 けられていないのにもかかわらず、ディーゼル 発 電 機 等 の<br />
運 転 を 想 定 するのはなぜですか?<br />
‣<br />
‣ P171、「「インターフェイスシステム LOCA」では 余 熱 除 去 系 2<br />
系 統 、…の 復 旧 を 期 待 していないが、…」となっているが、イン<br />
ターフェイスシステム LOCA 発 生 時 、 玄 海 は 1 系 統 しか 漏 えいし<br />
ないため、「 余 熱 除 去 系 1 系 統 」ではないか。<br />
‣ 本 重 要 事 故 シーケンスでは 外 部 電 源 喪 失 を 想 定 していませんが、<br />
外 部 電 源 が 喪 失 した 場 合 を 想 定 してディーゼル 発 電 機 等 で 必 要<br />
となる 重 油 量 の 評 価 をしているものです。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P171、インターフェイスシステム LOCA 時 に「2 次 系 強 制 冷 却<br />
による 炉 心 冷 却 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されている」となっている<br />
が、インターフェイスシステム LOCA 発 生 時 、 玄 海 は 1 系 統 しか<br />
漏 えいしないことから、 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 は 健 全 側 の 余<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
88
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
熱 除 去 系 を 用 いた 対 策 ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ 175ページ、d.:「 蓄 圧 注 入 系 の 保 持 圧 力 を 最 低 圧 力 とし、 蓄 圧<br />
タンクの 保 有 水 量 も 使 用 時 の 最 小 量 を 用 いる。」の「 使 用 時 の 最 小<br />
量 」とは 何 か? 「 使 用 時 の」は 不 要 では?<br />
‣ どの 状 態 での 最 小 量 であるか 明 確 にする 必 要 があるため、 原 案 の<br />
とおりとします。<br />
‣ シビアアクシデントという 重 要 と 思 われる 用 語 が 使 用 されてい<br />
るが, 審 査 書 案 の 中 には 定 義 されていない.また, 該 当 ページ;<br />
175,181,191 には「シビアアクシデント 特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関<br />
するモデルを 要 するコードとして MAAP を 用 いる」と 記 されてい<br />
るが, 未 定 義 の 用 語 と 計 算 コードとしての MAAP の 対 応 も 不 明 と<br />
言 わざるを 得 ない.<br />
‣ 「シビアアクシデント」とは「 重 大 事 故 」のことを 示 しています。<br />
有 効 性 評 価 に 適 用 する 解 析 プログラムについては、 一 般 的 にシビ<br />
アアクシデント 解 析 コードという 名 称 が 用 いられていることか<br />
ら、ここではシビアアクシデントという 単 語 を 用 いています。<br />
‣ P176、「 申 請 者 は、… 設 定 を 以 下 のとおりとしている。」と 記<br />
載 されているもののうち「 原 子 炉 格 納 容 器 からは…アニュラス 部<br />
へ 漏 えいする。」となっているが、 申 請 書 には 原 子 炉 格 納 容 器 から<br />
の 漏 えいはアニュラス 部 以 外 でも 生 じるとなっているため、「 原<br />
子 炉 格 納 容 器 からは…アニュラス 部 及 びアニュラス 部 以 外 へ 漏<br />
えいする。」ではないか。<br />
‣ 評 価 上 、 原 子 炉 格 納 容 器 からの 漏 えいの 97%が 配 管 等 の 貫 通 する<br />
アニュラス 部 に 生 じるものとしていることから、「 主 にアニュラ<br />
ス 部 へ 漏 えいする。」と 修 正 します。<br />
‣ 176ページ、 丸 数 字 2、a.:「 事 故 発 生 から 約 1.4 時 間 後 に 原<br />
子 炉 容 器 が 破 損 する。」の「 原 子 炉 容 器 」は、b.では「 原 子 炉 圧 力<br />
容 器 」となっているので、 整 合 を 図 り、「 原 子 炉 圧 力 容 器 」とすべ<br />
き。<br />
‣ 本 審 査 書 案 では「 原 子 炉 容 器 」として 記 載 していますが、「 原 子 炉<br />
圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」については 事 故 シーケ<br />
ンスグループの 名 称 であるため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 177 頁 の 丸 数 字 3のc.の4 行 目 、183 頁 の10 行 目 「タイ<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
89
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
ミング」: 他 の 同 様 の 箇 所 (170 頁 等 )と 同 様 に「 必 要 なタイ<br />
ミング」と 記 載 したほうが 適 当 と 思 います。<br />
考 え 方<br />
‣ P178、「 本 事 故 シーケンス」となっているが、 他 の 記 載 と 整 合<br />
を 図 り「 本 評 価 事 故 シーケンス」としてはどうか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P178、「 復 水 タンク 補 給 用 水 中 ポンプ」となっているが、「 復<br />
水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 181ページ、c. 事 故 条 件 :「 起 因 事 象 として 外 部 電 源 が 喪 失 す<br />
るものとし、 安 全 機 能 の 喪 失 に 対 する 仮 定 として、 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 、 補 助 給 水 機 能 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 とする。」<br />
は、 日 本 語 として 不 適 切 。「 起 因 事 象 として 外 部 電 源 が 喪 失 するも<br />
のとし、 安 全 機 能 の 喪 失 として、 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 、 補 助<br />
給 水 機 能 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 を 仮 定 する。」とすべき。<br />
〔「 安 全 機 能 の 喪 失 に 対 する 仮 定 として、」→「 安 全 機 能 の 喪 失 と<br />
して、」、「 喪 失 とする。」→「の 喪 失 を 仮 定 する。」〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 181ページ、e. 操 作 条 件 :「また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 保 有 水 量<br />
が 2,000m3 に 到 達 した 時 点 で 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧<br />
力 (0.392MPa[gage])に 到 達 していない 場 合 は 代 替 格 納 容 器 スプ<br />
レイを 一 旦 停 止 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 使 用 圧 力 到 達 の 30 分<br />
後 に 再 開 するものとする。」とあるが、 保 有 水 量 の 2,000m3 到 達 は<br />
どうやって 確 認 するのか?<br />
‣ 原 子 炉 格 納 容 器 内 保 有 水 量 は、 原 子 炉 格 納 容 器 水 位 計 で 確 認 しま<br />
す。<br />
‣ P183、「 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 は 他 の 事 象 進 展 に<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
90
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
影 響 を 及 ぼす 運 転 員 等 操 作 を 実 施 する 運 転 員 等 とは 別 の 運 転 員<br />
等 による 操 作 であり、…」となっているが、これらの 操 作 は 同 一<br />
の 運 転 員 により 行 うものであるため、「 加 圧 器 逃 がし 弁 による1<br />
次 系 強 制 減 圧 及 び 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプ<br />
レイは、 中 央 制 御 室 において 同 一 の 運 転 員 が 行 う 操 作 であるが、<br />
事 象 進 展 上 重 複 する 操 作 ではなく、…」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P183、「 復 水 タンク 補 給 用 水 中 ポンプ」となっているが、「 復<br />
水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 187ページ、c. 対 策 の 実 施 への 影 響 :「 操 作 遅 れによる 影 響 度<br />
合 いを 把 握 する 観 点 から、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧<br />
の 開 放 操 作 の 開 始 を 遅 くした 場 合 の 感 度 解 析 を 実 施 し、……」の<br />
「 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 の 開 放 操 作 の 開 始 」は、<br />
日 本 語 として 不 適 切 。「 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 の<br />
開 始 」とすべき。〔「1 次 系 強 制 減 圧 の 開 放 操 作 の 開 始 」→「1 次<br />
系 強 制 減 圧 の 開 始 」〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 189ページ、4.(2):「 申 請 者 は、 蓄 圧 タンク 保 持 圧 力 が 高 い<br />
側 に 設 定 した 解 析 を 実 施 した 結 果 、 蓄 圧 タンクからの 注 水 量 が 多<br />
くなり 炉 心 の 冷 却 が 進 むことで 炉 心 溶 融 進 展 が 遅 くなり、……」<br />
の「 注 水 量 」は「 注 水 流 量 」では?<br />
‣ 「 流 量 」ではく「 量 」のことを 述 べているので、 原 案 のとおりと<br />
します。<br />
‣ P191、「 申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおり<br />
である。」と 記 載 されているもののうち「 溶 融 燃 料 流 出 停 止 までの<br />
期 間 の 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 はそれぞれ 約<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
91
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
0.444MPa[gage]、 約 144℃に 抑 えられる。」となっているが、 申 請<br />
書 の 記 載 では「 溶 融 燃 料 流 出 停 止 までの 期 間 の 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 はそれぞれ 約 0.343MPa[gage]、 約 133℃に 抑<br />
えられる。」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P197、「 申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさ<br />
の 影 響 評 価 は、 以 下 のとおりである。」と 記 載 されているもののう<br />
ち「MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素 は、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 約<br />
7%」となっているが、 申 請 書 に 記 載 している「 約 6%」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P197、「 申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの… 燃 料 等 を 以 下<br />
のとおりとしている。」と 記 載 されているもののうち「ディーゼル<br />
発 電 機 等 の 7 日 間 の 運 転 を 考 慮 すると 合 計 約 621.5kL の 重 油 が 必<br />
要 となる。」となっているが、 申 請 書 に 記 載 している「 約 612.5kL」<br />
ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 199 頁 の3.(1)の 最 終 行 「 考 えにくく・・・ 可 能 性 はない」:<br />
申 請 者 は「ない」と 断 言 しているのに 規 制 委 員 会 は 考 えにくいも<br />
のの「ない」とは 断 言 できないということなのですか? またそ<br />
うであるならば 結 論 で「 可 能 性 はない」と 判 断 するのは 理 屈 が 通<br />
っていないと 思 います。<br />
‣ 爆 轟 発 生 のメカニズムを 踏 まえると 実 機 条 件 下 で 爆 轟 が 発 生 す<br />
ることは 考 えにくいことから、 爆 轟 の 発 生 する 可 能 性 はないと 判<br />
断 したものです。<br />
‣ 200ページ、 丸 数 字 3:「このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容<br />
量 空 冷 式 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 復 水 タンク 等 を 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 と 位 置 付 ける。」の「 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 位 置 付<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
92
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
ける。」は「 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 位 置 付 ける。」とすべき。〔「と」<br />
→「に」〕<br />
考 え 方<br />
‣ P203、「 本 事 故 シーケンス」となっているが、 他 の 記 載 と 整 合<br />
を 図 り「 本 評 価 事 故 シーケンス」としてはどうか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P207、「ほう 酸 濃 度 」となっているが、 他 の 記 載 箇 所 と 同 様 に<br />
「ほう 素 濃 度 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P210、「ほう 酸 濃 度 」となっているが、 他 の 記 載 箇 所 と 同 様 に<br />
「ほう 素 濃 度 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 212ページ、 注 記 ※15:「「 停 止 中 評 価 ガイド」には、「 原 子 炉 運<br />
転 停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起 動 過 程 にお<br />
ける 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 示 して<br />
いる。」は 表 現 不 適 切 。「「 停 止 中 評 価 ガイド」では、「 原 子 炉 運 転<br />
停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起 動 過 程 におけ<br />
る 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 定 義 して<br />
いる。」とすべき。〔「「 停 止 中 評 価 ガイド」には」→「「 停 止 中 評 価<br />
ガイド」では」、「と 示 している。」→「と 定 義 している。」〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 216 頁 (3) 丸 数 字 2の2 行 目 「 場 合 等 」: 「 等 」は 何 を 指 し<br />
ているのですか?(136 頁 1 行 目 等 の 同 様 の 箇 所 では「 場 合 」<br />
と 記 載 されているのに)<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ「 等 」を 削 除 します。<br />
‣ 223ページ、ア.:「 事 象 発 生 の 時 期 については、 定 期 検 査 工 程<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
93
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
上 、 原 子 炉 停 止 から 1 次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 として……」<br />
の「1 次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 」は「1 次 冷 却 系 水 抜 き 完 了 」にすべ<br />
き。〔「1 次 冷 却 材 」→「1 次 冷 却 系 」〕<br />
考 え 方<br />
‣ P224、「…、 加 圧 器 からの 流 出 流 量 …」となっているが、1 次<br />
冷 却 材 の 流 出 先 として、 加 圧 器 、 余 熱 除 去 系 があるため、「…、 加<br />
圧 器 等 からの…」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P224、「 充 てん/ 高 圧 注 入 ポンプ」となっているが、「 充 てんポ<br />
ンプ」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 228ページ、c.「 水 による 希 釈 率 を 大 きくするため、1 次 冷 却<br />
系 の 有 効 体 積 は 小 さめにし、1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 加 圧 器 、 原<br />
子 炉 容 器 上 部 ドーム 部 、 炉 心 内 バイパス 等 を 除 いた 261m3 とす<br />
る。」は 表 現 不 適 切 。「 水 による 希 釈 率 を 大 きくするため、1 次 冷<br />
却 系 の 有 効 体 積 は 小 さめに 設 定 するものとし、 加 圧 器 、 原 子 炉 容<br />
器 上 部 ドーム 部 、 炉 心 内 バイパス 等 を 除 いた 261m3 とする。」〔「1<br />
次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 小 さめにし、1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は」→<br />
「1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 小 さめに 設 定 するものとし、」〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 229ページ、 丸 数 字 2,b.:「 警 報 発 信 から 10 分 後 に 純 水 注 入<br />
停 止 操 作 を 開 始 することから、 臨 界 到 達 まで 時 間 余 裕 は 約 1 分 で<br />
あるが、……」の「 臨 界 到 達 まで 時 間 余 裕 」は「 臨 界 到 達 まで【の】<br />
時 間 余 裕 」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 234ページ、(2)の 上 :「 以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
94
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
性 評 価 における 申 請 者 の M-RELAP5 の 特 性 に 応 じた 使 用 方 法 は、<br />
妥 当 と 判 断 できる。」の「 妥 当 と 判 断 できる。」は「 妥 当 と 判 断 し<br />
た。」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P235、「 申 請 者 は、SPARKLE-2 の 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用<br />
性 を 以 下 のとおりとしている。」と 記 載 されているもののうち、<br />
「c.-4 1 次 冷 却 系 における 重 要 現 象 のモデル(ECCS 強 制 注 入<br />
時 のポンプ 特 性 モデル)については、PKL/F1.1 試 験 の 解 析 により<br />
検 証 している。」との 記 載 があるが、 申 請 書 には 記 載 がないため 不<br />
要 ではないか。<br />
‣ SPARKLE-2 コードの 一 部 に M-RELAP5 コードが 使 われております<br />
ので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P236、「 申 請 者 は、MAAP の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適<br />
用 性 を 以 下 のとおりとしている。」と 記 載 されているもののうち、<br />
「c.-4 … 熱 伝 導 、 沸 騰 ・ 水 素 濃 度 )」と 記 載 されているが、「 沸<br />
騰 」については 申 請 書 に 記 載 がないため 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 237ページ、 脚 注 19:「(※19)R. Gauntt et. al, ""MELCOR<br />
Computer Code Manuals Vol.2:Reference Manuals<br />
Ver1.8.5.,""NUREG/CR-6119,Vol.2, Rev.2 / SAND2000-2417/2,<br />
(May 2000).」の et. al, は et al.,が 正 。Ver1.8.5.は<br />
Version 1.8.5 とすべき。(May 2000).は(May 2000)とすべき<br />
〔 最 後 のピリオド 不 要 〕。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 237ページ、 脚 注 20:「(※20)R. Gauntt et. al, ""MELCOR<br />
Computer Code Manuals Vol.3: Demonstration<br />
Problems,""NUREG/CR-6119,vol.3, NRC.(2001)」の et. al,は<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
95
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
et al.,が 正 。vol.3 は Vol.3 とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ 238ページ、 丸 数 字 1,a.:「 GOTHIC は…… 過 渡 解 析 が 可 能 で<br />
ある。」は「GOTHIC は…… 過 渡 解 析 が 可 能 【なコード】である。」<br />
とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 245ページ、 丸 数 字 8、a.:「 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 が 定 められ<br />
た 役 割 を 遂 行 するため、 発 電 所 内 外 に 通 信 連 絡 を 行 い 関 係 箇 所 と<br />
連 携 を 図 るための 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信<br />
連 絡 設 備 等 (テレビ 会 議 システムを 含 む。)を 備 えた 代 替 緊 急 時 対<br />
策 所 及 び 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )( 以 下 「 緊 急 時 対 策 所 」<br />
という。ただし、 必 要 により 記 載 を 書 き 分 ける。)を 整 備 する 方 針<br />
であること。」の「 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )」は「 緊 急 時<br />
対 策 棟 ( 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 用 燃 料 油 貯 蔵 タンク・ 給 油 ポン<br />
プ 室 を 含 む。)( 以 下 「 緊 急 時 対 策 棟 」という。) 内 に 設 ける 緊 急 時<br />
対 策 所 」とすべき。〔247ページの 緊 急 時 対 策 棟 の 定 義 をここで<br />
行 う。〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P246、「 重 大 事 故 等 発 生 時 に、 機 能 喪 失 した 設 備 の 保 守 を 実 施<br />
する」となっているが、「 重 大 事 故 等 発 生 時 に、 機 能 喪 失 した 設 備<br />
の 補 修 を 実 施 する」ではないか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 247ページ、IV-3.1:「 申 請 者 は、…… 緊 急 時 対 策 所 機 能<br />
に 係 る 設 備 を 支 持 ・ 内 包 する 緊 急 時 対 策 棟 ( 緊 急 時 対 策 所 用 発 電<br />
機 車 用 燃 料 油 貯 蔵 タンク・ 給 油 ポンプ 室 を 含 む。)( 以 下 「 緊 急 時<br />
対 策 棟 」という。)、 代 替 緊 急 時 対 策 所 等 を 対 象 に 評 価 を 行 ってい<br />
‣ 申 請 者 は、 地 盤 の 評 価 に 当 たっては、 緊 急 時 対 策 棟 本 体 及 び 燃 料<br />
油 貯 蔵 タンク・ 給 油 ポンプ 室 を 含 めた 形 で「 緊 急 時 対 策 棟 」と 定<br />
義 して 評 価 を 行 っていることから、 原 案 のとおりとします。<br />
96
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
る。」の「 緊 急 時 対 策 棟 ( 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 用 燃 料 油 貯 蔵 タ<br />
ンク・ 給 油 ポンプ 室 を 含 む。)( 以 下 「 緊 急 時 対 策 棟 」という。)」<br />
は「 緊 急 時 対 策 棟 」とすべき。〔245ページで「 緊 急 時 対 策 棟 」<br />
の 定 義 を 行 えば、ここでは 定 義 不 要 。〕<br />
考 え 方<br />
‣ 248ページ、(3):「このことから、これらの 断 層 は、 将 来 活 動<br />
する 可 能 性 のある 断 層 等 はないと 評 価 した。」の「 断 層 等 はない」<br />
は「 断 層 等 【で】はない」とすべき。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 251ページ、1. 耐 震 設 計 方 針 :「 申 請 者 は、…… 重 大 事 故 等 に<br />
おける 運 転 状 態 、 重 大 事 故 等 の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 等 を 考<br />
慮 し、……」の「 重 大 事 故 等 における」は「 重 大 事 故 等 【 時 】に<br />
おける」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 252ページ、 第 2 段 落 :「 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常<br />
設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 機 器 ・ 配<br />
管 系 については、 通 常 運 転 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 、 設 計 基 準<br />
事 故 及 び 重 大 事 故 等 の 状 態 で 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による<br />
地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条 件 に 対 して、 塑 性 ひずみが 生 じる 場<br />
合 であっても、その 量 が 小 さなレベルに 留 まって 破 断 延 性 限 界 に<br />
十 分 な 余 裕 を 有 し、【その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない<br />
限 度 に 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 を 許 容 限 界 とする。】」の【】 部<br />
分 の 表 現 は 日 本 語 になっておらず、 不 適 切 。「 応 力 、 荷 重 等 を 制 限<br />
する 値 」の「 値 」とは 何 の 値 か? 【】 部 分 は「その 施 設 の 機 能<br />
に 影 響 を 及 ぼすことがない 最 大 の 応 力 、 荷 重 等 を 許 容 限 界 とす<br />
る。」とすべきでは?<br />
‣ 「その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない 最 大 の 応 力 、 荷 重 等<br />
を 許 容 限 界 とする。」では、 設 計 上 の 余 裕 がなく、 適 切 ではないと<br />
考 えます。したがって、 原 案 のとおりとします。<br />
97
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 252 頁 の17 行 目 「 超 過 確 率 」は、「 年 超 過 確 率 」のことを 意 味<br />
しているのですか?<br />
‣ 252ページ、 第 2 段 落 :「 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 、 設 計 基 準 事<br />
故 及 び 重 大 事 故 等 の 状 態 で 作 用 する 荷 重 」のうち、 丸 数 字 1…<br />
… 丸 数 字 2……とする。」の「とする。」は「ものとする。」とす<br />
べき。<br />
‣ ここは、「 年 超 過 確 率 」の 意 味 です。ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 しま<br />
す。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 252ページ、(4):「 規 制 委 員 会 は、…… 重 大 事 故 等 における 運<br />
転 状 態 、……」の「 重 大 事 故 等 における」は「 重 大 事 故 等 【 時 】<br />
における」とすべき。<br />
‣ 256ページ、2 行 目 :「 規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 の 設 備 共 通 の 設 計 方 針 等 とし、 他 の 設 備 に 対 して 悪 影 響 を<br />
及 ぼさない 設 計 方 針 とするなど、 第 43 条 第 1 項 及 び 同 項 の 設 置<br />
許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 としていることから、 適 切<br />
なものであると 判 断 した。」の「 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 備 共 通 の<br />
設 計 方 針 等 とし、」は「 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 備 共 通 の 設 計 方 針<br />
等 について、」とすべき。〔「とし、」→「について、」〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 258 頁 の13 行 目 「その 他 自 然 現 象 」: ここは「 及 びその 他 自<br />
然 現 象 」か「その 他 の 自 然 現 象 」と 記 載 すべきところと 思 います。<br />
(「その 他 」と「その 他 の」は 意 味 が 異 なるので)<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 259ページ、ハ):「 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するため、 補 助 給 水 系 ポ<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
98
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
ンプが 自 動 起 動 しない 場 合 又 は 蒸 気 タービンが 自 動 停 止 しない<br />
場 合 は、 手 動 操 作 により 実 施 する 手 順 等 。」は、「 原 子 炉 出 力 を 抑<br />
制 するため、 補 助 給 水 系 ポンプが 自 動 起 動 しない 場 合 又 は 蒸 気 タ<br />
ービンが 自 動 停 止 しない 場 合 は、【ポンプ 起 動 又 はタービン 停 止<br />
を】 手 動 操 作 により 実 施 する 手 順 等 。」〔【】 部 追 加 〕<br />
考 え 方<br />
‣ 260ページ、(1)、 丸 数 字 2:「 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するためにタ<br />
ービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 を 自 動 作 動 させるととも<br />
に、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 のために……」は 表 現 不 適 切 。「 原 子<br />
炉 出 力 を 抑 制 するためにタービンを 自 動 でトリップさせ、 主 蒸 気<br />
隔 離 弁 を 自 動 で 閉 止 させるとともに、1 次 冷 却 系 の 過 圧 防 止 のた<br />
めに……」とすべき。〔「タービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止<br />
を 自 動 作 動 させる」→「タービンを 自 動 でトリップさせ、 主 蒸 気<br />
隔 離 弁 を 自 動 で 閉 止 させる」、「1 次 冷 却 系 統 」は 他 と 整 合 を 図 り<br />
「1 次 冷 却 系 」に。〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 260ページ、(2)、 丸 数 字 1「 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するためにタ<br />
ービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 を 自 動 作 動 させるととも<br />
に、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 のために……」は 表 現 不 適 切 。「 原 子<br />
炉 出 力 を 抑 制 するためにタービンを 自 動 でトリップさせ、 主 蒸 気<br />
隔 離 弁 を 自 動 で 閉 止 させるとともに、1 次 冷 却 系 の 過 圧 防 止 のた<br />
めに……」とすべき。〔「タービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止<br />
を 自 動 作 動 させる」→「タービンを 自 動 でトリップさせ、 主 蒸 気<br />
隔 離 弁 を 自 動 で 閉 止 させる」、「1 次 冷 却 系 統 」は 他 と 整 合 を 図 り<br />
「1 次 冷 却 系 」に。〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
99
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ 260ページ、(3):「 規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、<br />
申 請 者 が 第 43 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項<br />
( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 。 以<br />
下 「 第 43 条 等 」という。)【 等 】に 従 って 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。」の【】 内<br />
の「 等 」は 不 要 。<br />
考 え 方<br />
‣ 第 43 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 以 外 に 本 該<br />
当 条 文 があるため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 261ページ、 丸 数 字 1、b.「タービントリップ 及 び 主 蒸 気 隔 離<br />
弁 の 閉 止 の 自 動 作 動 による 原 子 炉 出 力 の 抑 制 と 補 助 給 水 ポンプ<br />
の 自 動 起 動 による 1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 。」は 表 現 不 適 切 。「タ<br />
ービンの 自 動 トリップ 及 び 主 蒸 気 隔 離 弁 の 自 動 閉 止 による 原 子<br />
炉 出 力 の 抑 制 と 補 助 給 水 ポンプの 自 動 起 動 による 1 次 冷 却 系 の 過<br />
圧 防 止 。」とすべき。〔「タービントリップ」→「タービンの 自 動 ト<br />
リップ」、「 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 の 自 動 作 動 」→「 主 蒸 気 隔 離 弁 の<br />
自 動 閉 止 」、「1 次 冷 却 系 統 」は 他 と 整 合 を 図 り「1 次 冷 却 系 」に。〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 262ページ、b.「 原 子 炉 緊 急 停 止 が 必 要 な 原 子 炉 トリップ 設 定<br />
値 に 到 達 したにもかかわらず、……」は「【プラントパラメータが】<br />
原 子 炉 緊 急 停 止 が 必 要 な 原 子 炉 トリップ 設 定 値 に 到 達 したにも<br />
かかわらず、……」とすべき。〔 何 が「トリップ 設 定 値 に 到 達 した」<br />
かが 不 明 であるので。〕<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P262、 注 釈 (※ 24 )が 次 ページに 亘 る。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P262、「(※ 24 )… 多 様 性 拡 張 設 備 ((※ 27 )において 説 明 する。)<br />
による…」となっているが、 多 様 性 拡 張 設 備 について 説 明 してい<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
100
審 査 書 案 の 表 記<br />
るのは「(※ 26 )」ではないか。<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ 263ページ、 上 から7 行 目 :「 以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会<br />
は、 申 請 者 が 丸 数 字 1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 手 順 等 について、 重<br />
大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 する 共 通 的 な<br />
要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認<br />
した。」の「 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関<br />
する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 」は「 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準<br />
1.0 項 ( 手 順 等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 )」とすべき。〔 最 後<br />
の「 等 」は 不 要 。もし「 等 」をつけるのであれば、「「 重 大 事 故 等<br />
防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 」 以 外 の 要 求 事 項 を 明 示 すべき。な<br />
お、この「 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関<br />
する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 」という 表 現 は、これ 以 降 頻 出 するの<br />
で、 同 様 に 訂 正 すべき。〕<br />
‣ 1.0 項 以 外 に 本 該 当 条 文 があるため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 267ページ、 脚 注 ※32:「 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対<br />
策 のうち「2 次 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、<br />
「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」【、】「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪<br />
失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパス」をいう。」とす<br />
べき。〔「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」と「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機<br />
能 喪 失 」の 間 に「、」を 追 加 。〕<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 270ページ、 丸 数 字 3、b.「 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 で 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない 際 に、 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保<br />
されている 場 合 には、 人 力 で 操 作 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復<br />
の 手 順 に 着 手 する。」の「 人 力 で 操 作 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
101
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
復 」は「 人 力 での 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 」とすべき。〔「 人 力<br />
で 操 作 する」→「 人 力 での」〕<br />
考 え 方<br />
‣ 272ページ、 表 IV-4.2-1:「 設 備 名 」 欄 の「 電 動 主 給 水<br />
ポンプ 等 」の「 等 」は 何 を 意 味 するのか?「 電 動 主 給 水 ポンプ」<br />
以 外 の 機 器 がないのであれば「 等 」は 不 要 では? 以 下 の 表 でも<br />
「 等 」があるものとないものが 混 在 しているが、 全 体 的 に 整 合 を<br />
取 るべき。<br />
‣ 「 電 動 主 給 水 ポンプ 等 」には、 蒸 気 発 生 器 が 含 まれていますので、<br />
原 案 のとおりとします。<br />
‣ 272ページ、 表 IV-4.2-1:「 設 備 名 」 欄 の「 可 搬 型 ディ<br />
ーゼル 注 水 ポンプ 等 」の「 可 搬 型 ディーゼル 注 水 ポンプ」は、2<br />
71ページ、(1)、 丸 数 字 2では「 可 搬 型 ディーゼル 注 【 入 】ポ<br />
ンプ」となっているので、 整 合 を 取 るべき。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 277ページ、3 行 目 「…… 弁 の 作 動 時 間 、 作 動 回 数 を 考 慮 した<br />
上 、 予 備 を 確 保 することにより 必 要 な 容 量 以 上 を 確 保 しているこ<br />
とを 確 認 した。」の「 考 慮 した 上 、」は「 考 慮 した 上 で、」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 277ページ、 丸 数 字 3,a.:「 直 流 電 源 喪 失 時 であって、1 次 冷<br />
却 系 圧 力 を 減 圧 するため 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 が 必 要 な 場 合<br />
には、……」の「1 次 冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため」は「1 次 冷 却 系<br />
を 減 圧 するため」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 277ページ、 丸 数 字 3、b.:「 駆 動 用 空 気 喪 失 時 であって、1 次<br />
冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 が 必 要 な 場<br />
合 には、……」の「1 次 冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため」は「1 次 冷 却<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
102
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
系 を 減 圧 するため」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P281、「…で 実 施 する としている」となっているが、「する」<br />
の 後 ろの 空 白 が 不 要 。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P282、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る 設 備 として「 充<br />
てんポンプ」が 記 載 されているが、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 代 替 として<br />
「 加 圧 器 補 助 スプレイ 弁 」も 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けられてい<br />
るため、ここは「 充 てんポンプ 等 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ「 加 圧 器 補 助 スプレイ 弁 等 」と 修 正 します。<br />
‣ 282ページ、 表 IV-4.3-1、「 設 備 名 」 欄 :「 充 てんポン<br />
プ」は、「 加 圧 器 補 助 スプレイ 弁 」では?〔281ページの 丸 数 字<br />
3の 説 明 から〕<br />
‣ 同 上<br />
‣ P285、「B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHR-CSS タイライン 使 用 )<br />
による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。」となっているが、3の 冒<br />
頭 には、「 申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた…」と 記 載 されてお<br />
り、ここでは1に 記 載 のある 設 備 から「B 充 てんポンプによる 代<br />
替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。」ではないか。<br />
‣ 1に 掲 げる 設 備 を 全 て 記 載 しているものではないため、 原 案 のと<br />
おりとします。<br />
‣ 286ページ、d.:「 炉 心 の 著 しい 損 傷 、 溶 融 が 発 生 し、 格 納 容 器<br />
圧 力 と 温 度 の 上 昇 又 は……」の「 格 納 容 器 圧 力 と 温 度 の 上 昇 」は<br />
「【 原 子 炉 】 格 納 容 器 【の】 圧 力 と 温 度 の 上 昇 」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 290ページ、 丸 数 字 2:「 申 請 者 は、…… 位 置 的 分 散 を 図 る。」<br />
は「 申 請 者 は、…… 位 置 的 分 散 を 図 る【 設 計 とするとしている】。」<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
103
審 査 書 案 の 表 記<br />
とすべき。<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P292、「 燃 料 取 替 用 水 タンク( 重 力 注 水 )」となっているが、<br />
他 の 記 載 箇 所 と 同 様 に「 燃 料 取 替 用 水 タンク( 重 力 注 入 )」ではな<br />
いか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 292ページ、 表 IV-4.4-1、「 設 備 名 」 欄 :「 電 動 消 火 ポ<br />
ンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 」は、291、 丸 数 字 1から、「 電<br />
動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ、 消 防 自 動 車 」とすべき。<br />
‣ 「 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 」には、 消 防 自 動 車<br />
などが 含 まれていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 292ページ、 表 IV-4.4-1:291ページの 丸 数 字 2の<br />
「AM 用 代 替 再 循 環 ポンプ」、 丸 数 字 4の「 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプ」が 記 載 されていないので、 追 加 するべき。<br />
‣ 293ページ、 表 IV-4.4-1、「 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に<br />
位 置 付 けた 理 由 」 欄 :「 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 頭 圧 が 1 次 冷 却 材<br />
の 圧 力 を 下 回 った 場 合 は……」の「1 次 冷 却 材 の 圧 力 」は「1 次 冷<br />
却 【 系 】の 圧 力 」とすべき。<br />
‣ P294、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 の 中 で「2 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード」と 記 載 されて<br />
いるが、 申 請 書 では「2 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード」の<br />
名 称 が 使 用 されておらず、「2 次 系 強 制 冷 却 」ではないか。<br />
‣ 設 備 を 全 て 記 載 しているものではないため、 原 案 のとおりとしま<br />
す。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 294ページ、 脚 注 (※41)「…… 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰<br />
囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 加 圧 破 損 )、( 格 納 容 器<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
104
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
過 温 破 損 )」……」の「 加 圧 」は「 過 圧 」に、「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度<br />
による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 加 圧 破 損 )、( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」は、<br />
123ページの 表 現 に 合 わせ、「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷<br />
( 格 納 容 器 過 圧 ・ 過 温 破 損 )」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P295、6 行 目 及 び13 行 目 、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 の 中 で「2 次 冷 却 系 のフィードアンドブ<br />
リード」と 記 載 されているが、 申 請 書 では「2 次 冷 却 系 のフィー<br />
ドアンドブリード」の 名 称 が 使 用 されておらず、「2 次 系 強 制 冷<br />
却 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 295ページ、 丸 数 字 1:「 申 請 者 は…… 重 大 事 故 防 止 設 備 として<br />
位 置 付 けるとしている。」の「 重 大 事 故 防 止 設 備 」は「 重 大 事 故 等<br />
対 処 設 備 」では?<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P297、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 の 中 で「2 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード」と 記 載 されて<br />
いるが、 申 請 書 では「2 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード」の<br />
名 称 が 使 用 されておらず、「2 次 系 強 制 冷 却 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 300ページ、 丸 数 字 1:「 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発<br />
生 器 への 注 水 ができない 場 合 には、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水<br />
源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 蒸 気 発 生 器 への 注<br />
水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプの 起 動 、 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を 計 16<br />
名 により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。」は、299ページのフ<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
105
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
ロントライン 系 の 丸 数 字 2の 記 述 と 同 じであり、 不 要 では?<br />
考 え 方<br />
‣ 300ページ、 丸 数 字 3:「 制 御 用 空 気 圧 縮 機 への 補 機 冷 却 水 が 喪<br />
失 することにより、 制 御 用 空 気 圧 縮 機 が 停 止 し 駆 動 用 空 気 が 喪 失<br />
した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いたB 制 御 用 空 気 圧 縮<br />
機 の 補 機 冷 却 海 水 通 水 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 に 着 手<br />
する。」の「 制 御 用 空 気 圧 縮 機 への 補 機 冷 却 水 が 喪 失 」は「 制 御 用<br />
空 気 圧 縮 機 への 補 機 冷 却 水 【の 通 水 】が 喪 失 」に、「B 制 御 用 空 気<br />
圧 縮 機 の 補 機 冷 却 海 水 通 水 」は「B 制 御 用 空 気 圧 縮 機 【へ】の 補<br />
機 冷 却 海 水 通 水 」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 300ページ、 表 IV-4.5-1:299ページ、 丸 数 字 2の<br />
「 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ」の 記 載 がないので、 追 加 すべき。<br />
‣ 設 備 を 全 て 記 載 しているものではないため、 原 案 のとおりとしま<br />
す。<br />
‣ 301ページ、 表 IV-4.5-1、「 設 備 名 」 欄 :「B 制 御 用 空<br />
気 圧 縮 機 ( 海 水 冷 却 )」は、300ページ、 丸 数 字 3の 記 述 に 合 わ<br />
せ、「 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 (B 制 御 用 空 気 圧 縮 機 の 海 水 冷 却 用 )」<br />
とすべき。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P301、「(※ 43 ) 申 請 者 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する… 機<br />
能 は 以 下 のとおりとしている。」として 記 載 されている 設 備 のう<br />
ち「 格 納 容 器 スプレイポンプ 格 納 容 器 再 循 環 B 側 隔 離 弁 」につい<br />
ては、 玄 海 3/4 号 炉 には 該 当 する 弁 がないのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 302ページ、 脚 注 (※44):「…… 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち<br />
「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 加 圧 破 損 )、( 格 納<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
106
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
容 器 過 温 破 損 )」……」の「 加 圧 」は「 過 圧 」に、「 雰 囲 気 圧 力 ・<br />
温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 加 圧 破 損 )、( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」<br />
は、123ページの 表 現 に 合 わせ、「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的<br />
負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 ・ 過 温 破 損 )」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P302、「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 加 圧 破<br />
損 )」となっているが、「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納<br />
容 器 過 圧 破 損 )」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 306ページ、 丸 数 字 3,a.「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補<br />
機 冷 却 機 能 喪 失 時 に、……」は「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 【 時 】 又 は<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 に、……」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 3 0 8 ペ ー ジ 、 丸 数 字 2 :「 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力<br />
(392kPa[gage]) 以 上 であり、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 によ<br />
り 原 子 炉 格 納 容 器 に 注 水 できない 場 合 には、 電 動 消 火 ポンプ 等 に<br />
よる 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。」の「 電 動 消 火 ポンプ 等 」<br />
は、 表 IVー4.6-1に 合 わせ、「 電 動 消 火 ポンプ 又 はディーゼ<br />
ル 消 火 ポンプ」とすべき。<br />
‣ 「 電 動 消 火 ポンプ 等 」には、ディーゼル 消 火 ポンプなどが 含 まれ<br />
ていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 310ページ、 丸 数 字 2:「 規 制 委 員 会 は、……b) 窒 素 ボンベ( 原<br />
子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 用 )は、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の 沸 騰 を<br />
防 止 するため、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 気 相 部 を 必 要 な 圧<br />
力 まで 加 圧 できる 容 量 を 確 保 することを 確 認 した。」とあるが、 補<br />
機 冷 却 水 の 沸 騰 を 防 止 するため、サージタンクを 加 圧 するという<br />
ことは、 補 機 冷 却 水 の 温 度 が100℃ 以 上 になることを 意 味 す<br />
‣ 原 子 炉 補 機 冷 却 水 が 循 環 する 主 要 な 流 路 となる 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
水 ポンプ、A 原 子 炉 補 機 冷 却 器 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 及<br />
び 配 管 は、 重 大 事 故 時 における 環 境 条 件 を 考 慮 し 最 高 使 用 温 度 を<br />
約 175℃とする 設 計 方 針 とすることを 確 認 しています。<br />
一 方 、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンクは、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 が 循<br />
環 する 主 要 な 流 路 を 構 成 するものではないこと、 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
107
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
る。しかし、 補 機 冷 却 水 の 温 度 が100℃ 以 上 になるということ<br />
は、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 系 の 従 来 の 最 高 使 用 温 度 95℃の 部 分 に1<br />
00℃ 以 上 の 水 が 流 れることを 意 味 する。 設 置 許 可 申 請 書 添 付 書<br />
類 八 によれば、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 系 の 格 納 容 器 再 循 環 ユニットか<br />
らの 戻 り 配 管 や 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 最 高 使 用 温 度 を9<br />
5℃から160℃に 見 直 しているようであるが、これは 最 高 使 用<br />
温 度 の 数 値 を 見 直 しただけであり、ポンプ 自 体 は 現 行 の 設 計 から<br />
何 ら 変 わっていないと 思 われる。 一 般 に 高 温 水 が 流 れるポンプに<br />
は 軸 受 け 等 の 冷 却 水 が 必 要 になるはずであるが、 規 制 委 員 会 とし<br />
て、 最 高 使 用 温 度 が 上 がることに 対 応 してのポンプの 健 全 性 は 確<br />
認 しているのか?<br />
考 え 方<br />
水 サージタンク 側 から 原 子 炉 補 機 冷 却 水 系 統 を 加 圧 するため、 原<br />
子 炉 補 機 冷 却 水 系 の 配 管 内 の 水 が 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタン<br />
クに 流 入 する 可 能 性 は 小 さいことを 確 認 しています。<br />
( 添 付 資 料 八 9.6.2.4 環 境 条 件 等 及 び 第 9.6.1 表 原 子 炉 格 納<br />
容 器 過 圧 破 損 を 防 止 するための 設 備 ( 常 設 )の 設 備 仕 様 を 参 照 )<br />
‣ 315ページ、(2)-1、 丸 数 字 1:「 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故<br />
障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 されない 場 合 であっ<br />
て、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 電 動 消 火 ポン<br />
プ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。」の「 電 動 消 火 ポン<br />
プ 等 」は、316ページの 表 IVー4.7-1に 合 わせ。「 電 動 消<br />
火 ポンプ 又 はディーゼル 消 火 ポンプ」にすべき。<br />
‣ 「 電 動 消 火 ポンプ 等 」には、ディーゼル 消 火 ポンプなどが 含 まれ<br />
ていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 315ページ、(2)-1、 丸 数 字 2:「 常 設 電 動 注 入 ポンプによ<br />
る 格 納 容 器 スプレイができない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイの 準 備 に 着 手 する。」の「 可<br />
搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 」の「 等 」は 不 要 。<br />
‣ 「 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 」には、 中 間 受 槽 などが 含 まれ<br />
ていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 316ページ、 丸 数 字 2:「B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )<br />
の 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 ができない 場 合 であっ<br />
‣ 「ディーゼル 消 火 ポンプ 等 」には、 消 防 自 動 車 などが 含 まれてい<br />
ますので、 原 案 のとおりとします。<br />
108
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
て 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、ディーゼル 消 火<br />
ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 で<br />
は、 系 統 構 成 、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 の 起 動 及 び 運 転 、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 への 注 水 を 計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。」の「デ<br />
ィーゼル 消 火 ポンプ 等 」の「 等 」は 不 要 。<br />
考 え 方<br />
‣ P321、「 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した<br />
場 合 は3-2)e.、d.、c.の 順 に 設 定 して 明 確 化 している…」と<br />
なっているが、「c.」は 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健<br />
全 な 場 合 のみのため、「c.」は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 322ページ、3.「これに 対 して、 申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 な 場 合 又 は 喪 失 した 場 合 において、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 が 喪 失 した<br />
場 合 に、その 機 能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 するとしている。」の「 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能<br />
が 健 全 な 場 合 又 は 喪 失 した 場 合 」は、323ページの(2)に 合<br />
わせ、「 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 な 場 合 又 は<br />
【 全 交 流 動 力 電 源 若 しくは 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が】 喪 失 した 場<br />
合 」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 324ページ、 丸 数 字 1,c.「 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 によ<br />
り、 格 納 容 器 へのスプレイが 確 認 できない 場 合 には、 可 搬 型 ディ<br />
ーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイの 準 備 に 着 手<br />
する。」の「 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 」の「 等 」は 不 要 。<br />
‣ 「 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 」には、 中 間 受 槽 などが 含 まれ<br />
ていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
109
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ P324、「 自 己 冷 却 式 」となっているが、 他 の 記 載 箇 所 と 同 様 に<br />
「 自 己 冷 却 」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P325、「B 格 納 容 器 スプレイポンプ)」となっているが、「)」<br />
は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 326ページ、ホ):「 炉 心 の 著 しい 損 傷 後 、 水 -ジルコニウム 反 応<br />
及 び 水 の 放 射 線 分 解 による 水 素 及 び 酸 素 の 水 素 爆 発 による 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する 手 順 等 を 整 備 すること。」の「 水 -ジ<br />
ルコニウム 反 応 及 び 水 の 放 射 線 分 解 による 水 素 及 び 酸 素 の 水 素<br />
爆 発 」は 意 味 不 明 。「 水 -ジルコニウム 反 応 及 び 水 の 放 射 線 分 解 に<br />
より 発 生 する 水 素 と 酸 素 【との 反 応 による】 水 素 爆 発 」とすべき<br />
では?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 329ページ、c.:「 全 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪<br />
失 した 場 合 についても、 計 9 名 により 約 35 分 で 実 施 する。」の<br />
「 全 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 」は<br />
「 全 交 流 動 力 電 源 【 又 は】 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 」<br />
とすべき。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P334、「アニュラス 排 気 ファン」となっているが、「アニュラ<br />
ス 空 気 浄 化 ファン」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 335ページ、 表 IV-4.10-1、「 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備<br />
に 位 置 付 けた 理 由 」 欄 」:「 排 気 筒 高 レンジガスモニタに 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 が 十 分 ではないものの、 設 備 が 健<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
110
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
全 である 場 合 は、アニュラス 部 の 水 素 濃 度 を 推 定 する 設 備 となり<br />
得 る。」の「 排 気 筒 高 レンジガスモニタに」は「 排 気 筒 高 レンジガ<br />
スモニタ【は】」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P338、 申 請 者 が 整 備 するものとして「 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプ、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 」が 列 記 されているが、<br />
この 中 では 組 み 合 わせて 使 用 する「 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水<br />
砲 」がセットで 記 載 されており、 記 載 の 統 一 を 図 るため、「 可 搬 型<br />
ディーゼル 注 入 ポンプ」とセットで 使 用 する「 使 用 済 燃 料 ピット<br />
スプレイヘッダ」も 追 記 してはどうか。<br />
‣ 「 放 水 砲 等 」には、 使 用 済 燃 料 ピットスプレイヘッダなどが 含 ま<br />
れていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P340、「この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 接 続<br />
作 業 、ポンプの 起 動 、…」となっているが、 上 段 の3 a.では「ポ<br />
ンプ」ではなく 具 体 的 に「 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ」<br />
と 記 載 されているため、 整 合 を 図 り「 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポン<br />
プ」としてはどうか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 342ページ、 丸 数 字 2:「…… 原 水 タンクから 電 動 消 火 ポンプ、<br />
ディーゼル 消 火 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に 着 手<br />
する。」の「 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ」は「 電 動 消<br />
火 ポンプ【 又 は】ディーゼル 消 火 ポンプ」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P342、 申 請 者 が 整 備 した 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 のうち<br />
「 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 電 動 消 火 ポンプ 及 びディ<br />
ーゼル 消 火 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 ができない<br />
場 合 」となっているが、「 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ」は<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
111
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 である。ここでは、 多 様 性 の 手 段 の 説 明 とし<br />
て、「 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 等 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 ができない 場 合 」が 良 いの<br />
ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ 342ページ、 丸 数 字 3:「 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、<br />
電 動 消 火 ポンプ 及 びディーゼル 消 火 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットへの 注 水 ができない 場 合 、……」の「 使 用 済 燃 料 ピット 補 給<br />
用 水 中 ポンプ、 電 動 消 火 ポンプ 及 びディーゼル 消 火 ポンプ」は「 使<br />
用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 電 動 消 火 ポンプ【 又 は】ディ<br />
ーゼル 消 火 ポンプ」とすべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ P342、 消 防 自 動 車 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 として<br />
「 原 水 タンク 又 は 防 火 水 槽 を 水 源 とした」となっているが、 他 の<br />
水 源 である「 八 田 浦 貯 水 池 」 及 び「 海 水 」も 追 記 してはどうか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえ、「 原 水 タンク 又 は 防 火 水 槽 等 」と 修 正 します。<br />
‣ 343ページ、 表 IV-4.11-1:「 燃 料 取 替 用 水 補 助 タンク」<br />
は342ページに 説 明 がない。<br />
‣ 342ページの「 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 」には、 燃 料 取 替 用 水 補<br />
助 タンクが 含 まれていますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P345、「 申 請 者 は、… 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 整 備 するとしている。」と 記 載 されているもののうち「 吸 着<br />
剤 、シルトフェンス 及 び 小 型 船 舶 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。」となっているが、 申 請 書 では、 吸 着 剤 、シルト<br />
フェンス、 小 型 船 舶 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 としているため「 等 」<br />
は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
112
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ P346、シルトフェンスの 保 有 数 は「 各 2 組 (5 本 を 1 組 と<br />
して、2 組 分 10 本 とバックアップ 1 本 )」となっているが、これ<br />
は 3/4 号 炉 放 水 口 ( 取 水 口 ) 雨 水 排 水 処 理 槽 放 水 箇 所 付 近 に 設 置<br />
されるものであり、 他 の 設 置 場 所 の 数 量 は 異 なるため、「 各 2 組<br />
( 設 置 場 所 で 異 なるが、 最 大 で 5 本 を 1 組 として、2 組 分 最 大<br />
で 10 本 とバックアップ 1 本 を 保 管 )」と 記 載 してはどうか。<br />
考 え 方<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P346、「 取 水 ピット」となっているが、 取 水 ピットは 1/2 号 炉<br />
側 にもあり、ここは「3 号 炉 及 び4 号 炉 取 水 ピット」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 346ページ、「 規 制 委 員 会 は、…… 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放<br />
水 砲 の 保 有 数 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、それぞ<br />
れ、 原 子 炉 基 数 の 半 数 以 上 を 保 管 すること、……を 確 認 した。」は<br />
分 かりにくい。「 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 の 保 有 数 は、3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、それぞれ、 原 子 炉 基 数 の 半<br />
数 以 上 を 保 管 すること、」は「 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉 及<br />
び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、3 号 炉 及 び 4 号 炉 で 合 計 2 台 ( 3 号<br />
炉 及 び 4 号 炉 共 用 )、 放 水 砲 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想<br />
定 し、3 号 炉 、4 号 炉 それぞれで 1 台 (3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を<br />
保 管 すること、」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P347、「 小 型 船 舶 等 を 使 って 展 張 する 作 業 (4 箇 所 設 置 )」と<br />
なっているが、1/2 号 炉 についての 記 載 であり、「(2 箇 所 設 置 )」<br />
ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P351、352、354、355、「 復 水 タンク 補 給 用 水 中 ポン<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
113
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
プ」となっているが、「 復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ」<br />
ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P351、「 申 請 者 は、 第 56 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するた<br />
めに、 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 すると<br />
している。」と 記 載 しているもののうち「 中 間 受 槽 、 復 水 タンク 補<br />
給 用 水 中 ポンプ、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 びタンクローリを 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。」となっているが、「 水 中 ポンプ 用<br />
発 電 機 」も 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P352、「 移 送 ホース」となっているが、 他 に 記 載 箇 所 と 同 様 に<br />
「 可 搬 型 ホース」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 354ページ、f.:「 重 大 事 故 等 の 発 生 により、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
への 水 の 補 給 が 必 要 な 場 合 に 海 水 から 使 用 済 燃 料 ピットへの 注<br />
水 のための 手 順 の 整 備 ……」の「 海 水 から 使 用 済 燃 料 ピットへの<br />
注 水 のための 手 順 」は「 海 水 【を】 使 用 済 燃 料 ピット【に】 注 水<br />
【する】ための 手 順 」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P355、「 携 行 型 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 )」となっているが、 他<br />
の 記 載 箇 所 と 同 様 に「 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 )」ではないのか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P356、 下 線 部 を 除 き、2 内 で 以 下 の 記 載 が 重 複 している。<br />
「 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 スプレイのため<br />
の 必 要 な 水 源 である 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 等 が 必 要 にな<br />
り、2 次 系 純 水 タンクから 中 間 受 槽 への 供 給 ができない 場 合 にお<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
114
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
いて、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 され 使 用 できることを 確 認 した 場<br />
合 には、 原 水 タンクから 中 間 受 槽 への 供 給 を 行 うための 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では、 中 間 受 槽 を 所 定 の 場 所 に 設 置 し、 原 水 タ<br />
ンクから 中 間 受 槽 まで 可 搬 型 ホースを 布 設 後 、 原 水 タンク 予 備 弁<br />
を 開 弁 し 中 間 受 槽 へ 供 給 する 操 作 を 計 12 名 により 約 2 時 間 で 実<br />
施 する。」<br />
考 え 方<br />
‣ 356ページ、 丸 数 字 2:「 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 炉 心 注 入 及 び<br />
格 納 容 器 スプレイのための 必 要 な 水 源 である 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
クへの 供 給 等 が 必 要 になり、……」の 文 頭 が 左 に1 文 字 寄 ってい<br />
るので、 字 下 げが 必 要 。<br />
‣ 同 上<br />
‣ P358、 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 として 位 置 付 けた 原 水 タンク<br />
は「 消 火 を 目 的 として 配 備 しており・・・」となっているが、 原<br />
水 タンクの 設 置 は 消 火 目 的 のみではないため、「 消 火 を 目 的 とし<br />
ても 配 備 しており・・・」ではないか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 358ページ、 表 IV-4.13-1:「 電 動 消 火 ポンプ、ディー<br />
ゼル 消 火 ポンプ 等 」は、358ページの 丸 数 字 4に 合 わせて「 電<br />
動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ、 消 防 自 動 車 」とすべき。<br />
‣ 「ディーゼル 消 火 ポンプ 等 」には、 消 防 自 動 車 などが 含 まれてい<br />
ますので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P358、 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 として 位 置 付 けた「1 次 系 純<br />
水 タンク、ほう 酸 タンク」は 代 替 水 源 としての 設 備 になり 得 るも<br />
のとして 記 載 されているが、 他 に「1 次 系 補 給 水 ポンプ」 及 び「ほ<br />
う 酸 ポンプ」もあるのではないか。<br />
‣ 設 備 を 全 て 記 載 しているものではないため、 原 案 のとおりとしま<br />
す。<br />
115
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ P360、「 号 機 間 の 電 力 融 通 による」となっているが、「 号 炉 間<br />
の 電 力 融 通 による」ではないか。また、「 号 機 間 電 力 融 通 電 路 」と<br />
なっているが、「 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P361、「 申 請 者 は、… 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 整 備 するとしている。」と 記 載 されているもののうち「 可 搬<br />
型 直 流 変 換 器 盤 」は、 申 請 書 に 記 載 している「 可 搬 型 直 流 変 換 器 」<br />
ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P362、「 直 流 電 源 用 発 電 機 、 可 搬 型 直 流 変 換 器 等 は、 設 計 基 準<br />
事 故 対 処 設 備 の 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )に<br />
対 して 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。」となってい<br />
るが、 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 による 代 替 電 源<br />
( 直 流 )からの 給 電 のうち、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 ( 蓄 電 池 ( 安<br />
全 防 護 系 ))からの 独 立 性 ・ 位 置 的 分 散 を 図 るものは、 直 流 電 源 用<br />
発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 であるため「 等 」は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P362、「 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重<br />
大 事 故 等 対 処 用 )」となっているが、 蓄 電 池 設 備 は、 設 計 基 準 設 備<br />
( 安 全 防 護 系 用 )と 重 大 事 故 等 対 処 用 があるため「 設 計 基 準 及 び<br />
重 大 事 故 対 処 設 備 の 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処<br />
用 )」ではないか。<br />
‣ 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について 記 載 しているため、 原 案 のとおりと<br />
します。<br />
‣ P364、「 申 請 者 は、… 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。」<br />
と 記 載 されているもののうち「 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流<br />
変 換 器 等 」となっているが、 申 請 書 に 記 載 する 手 順 名 は「 直 流 電<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
116
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 による 代 替 電 源 ( 直 流 )からの<br />
給 電 」となっているため「 等 」は 不 要 ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P364、「 申 請 者 は、… 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。」<br />
と 記 載 されているもののうち「 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 、<br />
重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 等 を 用 いた 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代<br />
替 電 源 とした 給 電 の 手 順 」となっているが、 申 請 書 では「 大 容 量<br />
空 冷 式 発 電 機 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 及 び 重 大 事 故 等 対<br />
処 用 変 圧 器 盤 により… 代 替 電 源 を 給 電 する 手 順 を 整 備 する。」と<br />
記 載 されており、 「 等 」は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P368、「 申 請 者 は、… 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 整 備 するとしている。」と 記 載 されているもののうち「 重 要<br />
な 監 視 パラメータ」となっているが、 申 請 書 ではパラメータの 定<br />
義 は「 重 要 監 視 パラメータ」としているため、「 重 要 監 視 パラメー<br />
タ」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 368ページ、 脚 注 (※56):「 申 請 者 は、……と 定 義 。」は「「 申<br />
請 者 は、……と 定 義 している。」とすべき。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 369ページ、 表 IV-4.15-1:「AM 用 消 火 水 積 算 流 量 ( 0<br />
~200m3/h)」とあるが、「 積 算 流 量 」であれば、 単 位 は m3/h でな<br />
m3 になるのでは。<br />
‣ 設 備 の 仕 様 を 記 載 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P369、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 設 備 により 計 測 する 重 要 監 視<br />
パラメータとして「 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ディーゼル 注<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
117
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
入 ポンプの 最 大 流 量 (150 m3/h)を 監 視 可 能 。」となっているが、<br />
申 請 書 で 記 載 している「 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 原 子 炉 容 器 へ<br />
の 注 水 流 量 (30 m3/h)を 監 視 可 能 。」ではないか。<br />
考 え 方<br />
‣ P370、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 設 備 により 計 測 する 重 要 監 視<br />
パラメータとして「 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ディーゼル 注<br />
入 ポンプの 最 大 流 量 (150 m3/h)を 監 視 可 能 。」となっているが、<br />
申 請 書 で 記 載 している「 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 原 子 炉 格 納 容<br />
器 への 注 水 流 量 (140 m3/h)を 監 視 可 能 。」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 370ページ、 表 IV-4.15-1:「AM 用 消 火 水 積 算 流 量 (0<br />
~200m3/h)」とあるが、「 積 算 流 量 」であれば、 単 位 は m3/h でな<br />
m3 になるのでは。<br />
‣ 設 備 の 仕 様 を 記 載 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P371、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 設 備 により 計 測 する 重 要 監 視<br />
パラメータとして「 格 納 容 器 温 度 (144℃)」となっているが、 申<br />
請 書 で 記 載 している「 格 納 容 器 最 高 温 度 (144℃)」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P372、「 申 請 者 の 計 画 において、… 炉 心 損 傷 防 止 及 び 原 子 炉 格<br />
納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 係 る 判 断 に 関 する 重 要 な 監 視 パラメータ<br />
及 び 重 要 代 替 パラメータを 選 定 し、…」となっているが、 申 請 書<br />
で 記 載 している「 重 要 監 視 パラメータ」 及 び「 重 要 代 替 監 視 パラ<br />
メータ」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 373ページ:「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 推 定 す<br />
る 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
118
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
b) 計 測 される 値 の 確 からしさを 判 断 の 上 で 使 用 するパラメータ<br />
の 優 先 順 位 を 定 めて 有 効 な 情 報 を 把 握 するとしていること……」<br />
の「 判 断 の 上 で」は「 判 断 した 上 で」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P375、「 炉 心 出 口 温 度 (0~650℃)は、1 次 系 冷 却 材 高 温 側<br />
温 度 ( 広 域 )の 常 用 代 替 計 器 であり、」となっているが、 炉 心 出 口<br />
温 度 はパラメータであり、 申 請 書 で 記 載 している「 常 用 代 替 監 視<br />
パラメータ」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P375、「 炉 外 核 計 装 装 置 又 は 放 射 線 監 視 設 備 等 の 専 用 電 源 と<br />
することで…」となっているが、 玄 海 は 可 搬 型 バッテリから 給 電<br />
する 設 備 は「 炉 外 核 計 装 装 置 」 及 び「 放 射 線 監 視 設 備 」のみであ<br />
るため「 等 」は 不 要 ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P375、 申 請 書 ではプラント 計 算 機 も 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付<br />
けられているため、 同 表 に 追 記 すべきではないか。<br />
‣ 設 備 を 全 て 記 載 しているものではないため、 原 案 のとおりとしま<br />
す。<br />
‣ 376ページ、 丸 数 字 1:「 中 央 制 御 室 遮 へいによる 適 切 な 遮 蔽 、<br />
……」は 日 本 語 として 不 適 切 。「 中 央 制 御 室 遮 蔽 の 設 置 、……」と<br />
すべき。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 377 頁 の1 行 目 「 運 転 員 等 」: 376 頁 等 に 記 載 されている 判<br />
断 基 準 の 対 象 である「 運 転 員 」と 整 合 していないと 思 います。<br />
‣ 運 転 員 以 外 にも 配 慮 している 対 策 があり、 申 請 書 の 記 載 を 引 用 し<br />
ているため、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 378ページ、 下 から2 行 目 :「 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 にお<br />
いて、a) 中 央 制 御 室 遮 へいによる 遮 蔽 、……」の「 中 央 制 御 室 遮<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
119
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
へいによる 遮 蔽 」は 日 本 語 として 不 適 切 。「 中 央 制 御 室 の 遮 蔽 」と<br />
すべき。<br />
考 え 方<br />
‣ P385、「 第 60 条 等 要 求 事 項 ニ)、 上 記 g.の 対 策 が 第 60 条 等<br />
要 求 事 項 ホ)、 上 記 h.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 へ)に 対 応 す<br />
る」となっているが、 該 当 する「h.」はなく、 番 号 もずれている<br />
ため、「 第 60 条 等 要 求 事 項 ホ)、 上 記 g.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求<br />
事 項 ヘ)に 対 応 する」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P387、「 申 請 者 は、… 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。」<br />
と 記 載 されているもののうち、 排 気 筒 ガスモニタ 等 の 指 示 値 等 に<br />
より 放 射 線 量 を 確 認 し、 測 定 が 必 要 と 判 断 した 場 合 の 手 順 では<br />
「 計 3 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、…」となっているが、 申 請 書 で<br />
記 載 している「 計 2 名 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P387、「 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 第 10 条 事 象 」となってい<br />
るが、 他 の 記 載 との 整 合 のため「 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 第 1<br />
0 条 特 定 事 象 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P388、「 申 請 者 が1a.からf.に 掲 げる」となっているが、<br />
番 号 がずれており「 申 請 者 が1a.から g.に 掲 げる」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P389、「 第 60 条 等 要 求 事 項 ニ)、1g.の 対 策 が 第 60 条 等 要<br />
求 事 項 ホ)、1h.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ヘ)に 対 応 する」と<br />
なっているが、 該 当 する「h.」はなく、 番 号 もずれているため、<br />
「 第 60 条 等 要 求 事 項 ホ)、1g.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ヘ)<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
120
審 査 書 案 の 表 記<br />
に 対 応 する」ではないか。<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P390、「 無 停 電 電 源 装 置 、 非 常 用 発 電 機 」となっているが、こ<br />
こでは 対 象 となる 設 備 を 明 確 にするため、「モニタリングステー<br />
ション 及 びモニタリングポスト 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 及 び 非 常<br />
用 発 電 機 」とした 方 が 良 いのではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 395ページ、d.:「 緊 急 時 対 策 所 は、 居 住 性 を 確 保 し、 要 員 がと<br />
どまることができるように、 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 とす<br />
る。」の「 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 とする。」は 表 現 不 適 切 。<br />
「 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 を 行 う。」とすべき。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P395、「 代 替 緊 急 時 対 策 所 非 常 用 空 気 浄 化 ファン」となってい<br />
るが、「 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 ファン」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 396 頁 の9 行 目 「7 日 間 」: 3 行 目 の 記 載 にあわせて「 事 故 後<br />
7 日 間 」とすべきです。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P397、 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 加 圧 を 停 止 する 手 順 への 着 手 は<br />
「 希 ガスの 放 出 の 収 束 により…」となっているが、「 希 ガスの 影 響<br />
が 減 少 した 場 合 、…」ではないか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 397ページ、c.:「 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモニタ 及 び<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタの 指 示 がプルーム 接 近 時 の 指 示<br />
値 に 比 べ 急 激 に 低 下 した 場 合 には、 希 ガスの 放 出 の 収 束 により、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 を 起 動 し、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
121
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
設 備 による 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 加 圧 を 停 止 する 手 順 に 着 手 す<br />
る。」の「 希 ガスの 放 出 の 収 束 により、」は「 希 ガスの 放 出 の 収 束<br />
【と 判 断 し】、」とすべき。<br />
考 え 方<br />
‣ 398ページ、 丸 数 字 4:「……その 後 、 申 請 者 からは、…… 免 震<br />
重 要 棟 で 計 画 していた 一 般 の 免 震 装 置 をそのまま 原 子 力 施 設 に<br />
採 用 することは 困 難 であり、 新 たな 免 震 装 置 の 設 置 には 長 期 間 を<br />
要 する 一 方 、 耐 震 構 造 の 建 物 であれば 免 震 構 造 と 比 べて 2 年 程 度<br />
早 い 運 用 開 始 が 可 能 となる 等 の 理 由 から、 免 震 重 要 棟 の 設 置 に 替<br />
えて 実 績 のある 耐 震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 を 建 設 し、 同 棟 内 に 緊 急<br />
時 対 策 所 を 設 置 する 計 画 に 変 更 したいとの 説 明 があった。……こ<br />
れに 対 し 申 請 者 は、 免 震 重 要 棟 を 設 置 するためには、 新 たな 仕 様<br />
の 免 震 装 置 の 設 計 や 性 能 の 実 証 が 必 要 であり、 現 段 階 では 免 震 装<br />
置 の 設 計 の 成 立 の 見 通 しを 得 ることができなくなったとして 説<br />
明 を 変 更 した。……」とあるが、「 一 般 の 免 震 装 置 をそのまま 原 子<br />
力 施 設 に 採 用 することは 困 難 」は、 既 に 東 電 福 島 第 1 原 発 での 免<br />
震 棟 の 実 績 がある 以 上 理 由 にならない。「 現 段 階 では 免 震 装 置 の<br />
設 計 の 成 立 の 見 通 しを 得 ることができなくなった」とは、 時 間 を<br />
かければ 成 立 の 見 通 しはあるということか? 結 局 、この 説 明 は、<br />
再 稼 働 を 急 ぐが 故 に、 免 震 構 造 を 採 用 したくないという 申 請 者 の<br />
言 い 訳 にすぎないのではないか?<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 399ページ、 表 IV-4.18-1:「 運 転 指 令 設 備 、 電 力 保 安<br />
通 信 用 電 話 設 備 、テレビ 会 議 システム( 社 内 )、 無 線 連 絡 設 備 (モ<br />
ニタリング 用 )、 加 入 電 話 」の「 運 転 指 令 設 備 」 及 び「 無 線 連 絡 設<br />
備 (モニタリング 用 )」は、399ページ(1)の 本 文 に 記 載 され<br />
‣ 本 文 には 主 な 設 備 を 記 載 しており、 文 意 は 変 わりませんので、 原<br />
案 のとおりとします。<br />
122
審 査 書 案 の 表 記<br />
ていない。<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
‣ P401、 上 から 3 行 目 のインデントがずれている。<br />
‣ 401 頁 の 最 下 行 から 上 に1 行 目 「 発 電 所 外 」: 「 本 発 電 所 外 」<br />
と 記 載 すべきところでは?<br />
‣ P406、「 状 況 把 握 が 困 難 な 場 合 には、 外 からの 目 視 による 確 認<br />
又 は 可 搬 型 計 測 器 により…」となっているが、 目 視 による 確 認 と<br />
可 搬 型 計 測 器 の 両 方 で、 内 部 の 状 況 確 認 を 行 うため、「 外 からの 目<br />
視 による 確 認 及 び 可 搬 型 計 測 器 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ P407、「 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 」となっているが、 教 育 対 象 者<br />
は「 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 」が 全 てであるため「 等 」は 不 要 ではな<br />
いか。<br />
‣ 「 等 」には、 専 属 自 衛 消 防 隊 員 も 含 むため、 原 案 のとおりとしま<br />
す。<br />
‣ P407、「 申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 体 制 について、 以 下 の<br />
とおりとしている。」と 記 載 されているもののうち、 原 則 、 発 電 所<br />
外 に 退 避 するものは「 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 以 外 」となっている<br />
が、 申 請 書 で 記 載 している「 最 低 限 必 要 な 要 員 以 外 」ではないか。<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P408、「 自 然 災 害 及 び 故 意 による」となっているが、「 大 規 模<br />
な 自 然 災 害 」と「 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズ<br />
ム」の 同 時 被 災 は 考 慮 していないので、「 自 然 災 害 又 は 故 意 によ<br />
る」と 記 載 してはどうか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
123
審 査 書 案 の 表 記<br />
ご 意 見 の 概 要<br />
‣ P408、「 申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 体 制 について、 以 下 の<br />
とおりとしている。」と 記 載 されているもののうち、「プルーム 放<br />
出 時 には、 最 低 限 必 要 な 対 応 要 員 は 緊 急 時 対 策 所 に 留 まり、…」<br />
となっているが、 申 請 書 で 記 載 している「 最 低 限 必 要 な 要 員 」で<br />
はないか。<br />
考 え 方<br />
‣ ご 意 見 を 踏 まえて 修 正 します。<br />
‣ P409、「 申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 に 必 要 な 設 備 及 び 資 機 材<br />
の 整 備 について、 以 下 のとおりとしている。」と 記 載 されているも<br />
ののうち、「 消 火 活 動 専 用 の 通 信 連 絡 設 備 を 配 備 する。」となって<br />
いるが、 申 請 書 で 記 載 している「 無 線 連 絡 設 備 」ではないか。<br />
‣ 文 意 は 変 わりませんので、 原 案 のとおりとします。<br />
‣ 410ページ:ページが 空 白 となっている。<br />
‣ ご 指 摘 のとおり、 修 正 します。<br />
‣ 414ページ:SPDS の 説 明 が「 緊 急 時 運 転 パラメータ 伝 送 システ<br />
ム(SPDS)」となっているが、「 緊 急 時 運 転 パラメータ 伝 送 システ<br />
ム」とすべき。<br />
‣ 申 請 書 の 記 載 を 引 用 しているため、 原 案 のとおりとします。<br />
124
別 紙 2<br />
その 他 の 御 意 見 について<br />
平 成 29 年 1 月
御 意 見 の 概 要<br />
【 審 査 全 般 】<br />
‣ 重 大 事 故 が 発 生 した 時 、 炉 心 溶 融 した 燃 料 が、 格 納 容 器 内 に 貯 水<br />
された 冷 却 水 に 大 量 に 落 下 する。 ヨーロッパやアメリカの 規 制<br />
基 準 では、 格 納 容 器 内 で 大 規 模 な 水 素 爆 発 を 起 さないために、 格<br />
納 容 器 内 での 冷 却 水 の 使 用 量 に 厳 格 な 規 制 を 行 い、コアキャッチ<br />
ャー 等 を 組 み 込 むことで 水 素 爆 発 防 止 対 策 を 行 っている。 審 査<br />
書 案 では、 主 観 的 判 断 だけで、 水 素 爆 発 は 起 こらないとしている。<br />
こうした 非 科 学 的 態 度 で 書 かれた 審 査 書 案 は 認 めることは 出 来<br />
ない。<br />
‣ テロや 航 空 機 の 衝 突 などの 対 策 がまったくなされていない。<br />
‣ フィルター 付 きベント 設 備 が 未 完 成 である。また、 欧 州 では、 航<br />
空 機 墜 落 に 備 えて、 二 重 格 納 容 器 が 建 設 されています。<br />
‣ 日 本 海 に 面 した 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 場 合 、 海 からのテロ 攻 撃 に 対<br />
する 防 御 が 完 全 にできるとは 思 えない。<br />
考 え 方<br />
【 審 査 全 般 】<br />
‣ 本 審 査 においては、 新 規 制 基 準 への 適 合 性 を 厳 格 に 確 認 しており<br />
ます。<br />
なお、 新 規 制 基 準 においては、 個 別 の 具 体 的 な 機 器 の 設 置 を 求<br />
めるのではなく、 炉 心 溶 融 防 止 対 策 や 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 等 の<br />
ために 必 要 な 機 能 を 求 めています。 規 制 基 準 は、 満 足 すべき 性 能<br />
水 準 を 要 求 し、それを 実 現 する「 技 術 」は 指 定 しないのが 国 際 的<br />
にみても 一 般 的 です。 規 制 要 求 を 満 たすのであれば、 御 指 摘 の 設<br />
備 に 限 らず、 他 の 方 法 でも 問 題 ありません。<br />
また、 御 指 摘 の 欧 州 の 技 術 は 現 在 建 設 中 の 原 子 炉 に 限 られたも<br />
のであり、 欧 州 でも 既 設 の 原 子 炉 に 対 して 御 指 摘 のあった 技 術 の<br />
導 入 を 義 務 付 けるような 基 準 とはなっておりません。<br />
飛 翔 物 を 含 むテロ 対 策 については、 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝<br />
突 やテロリズム 等 により 施 設 が 大 規 模 に 損 傷 した 状 況 における 消<br />
火 活 動 の 実 施 や、 炉 心 や 格 納 容 器 の 損 傷 を 緩 和 するための 対 策 を<br />
求 めています。<br />
‣ 安 全 目 標 に 関 する 定 性 的 ・ 定 量 的 な 適 合 性 審 査 が 今 まで 行 われて<br />
いない。<br />
‣ 田 中 委 員 長 は、 新 規 制 基 準 に 適 合 したからといって 安 全 ではない<br />
と 釈 明 しているが、これでは、 日 本 の 原 発 は 事 故 を 起 こしかねな<br />
い。 安 全 を 保 障 できるようになるまで、 審 査 すべき。<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 科 学 的 ・ 技 術 的 見 地 から、 原 子 力 発 電 所 の<br />
規 制 に 必 要 な 基 準 を 策 定 し、 原 子 力 発 電 所 がその 基 準 に 適 合 して<br />
いるか 否 かを 確 認 することが 役 割 です。なお、 安 全 目 標 は、 規 制<br />
基 準 として 直 接 的 に 用 いられるものではありませんが、 東 京 電 力<br />
福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 等 を 踏 まえ 策 定 された 新 規 制 基<br />
準 を 満 たした 原 子 炉 については、この 安 全 目 標 についても 概 ね 達<br />
成 できるものと 考 えています。<br />
‣ 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 の 原 因 はいまだに 解 明 できていな<br />
いし、 収 束 もできていない。<br />
‣ 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 については、 基 本 的 な 事 象 進<br />
展 等 について 整 理 されています。これを 踏 まえ、 新 規 制 基 準 を 制<br />
1
御 意 見 の 概 要<br />
定 しました。<br />
考 え 方<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 による 審 査 は、 提 出 書 類 を 中 心 とした 審 査 であ<br />
り、 現 物 確 認 を 行 っておらず、 不 十 分 である。<br />
‣ 今 回 の 審 査 対 象 に 高 経 年 評 価 は 記 載 されていない。40 年 超 えの<br />
設 備 と 新 設 の 設 備 を 同 じ 審 査 基 準 で 審 査 して 良 い 根 拠 を 示 すか、<br />
運 転 期 間 延 長 認 可 の 中 で 審 査 基 準 を 定 めるのであれば、これに 対<br />
して 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 を 募 集 する 必 要 があると 考 えます。<br />
‣ 審 査 書 ( 案 )は、 設 置 変 更 許 可 申 請 に 対 するものであり、 変 更 し<br />
ようとする 原 子 炉 施 設 の 基 本 的 な 設 計 方 針 等 について 確 認 した 結<br />
果 を 記 したものです。 引 き 続 き、 事 業 者 からの 申 請 を 踏 まえ、 機<br />
器 等 の 詳 細 設 計 に 関 する 工 事 計 画 や 保 安 規 定 について 審 査 してい<br />
きます。 一 方 、 玄 海 原 子 力 発 電 所 3 号 及 び4 号 炉 について、 運 転<br />
期 間 延 長 に 係 る 申 請 はなされておりません。<br />
‣ 事 業 者 は、 原 子 炉 自 体 の 設 計 ・ 構 造 の 見 直 しはせず、 可 搬 型 設 備<br />
主 体 の 対 策 しか 講 じていない。<br />
‣ 設 置 許 可 基 準 規 則 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 が<br />
原 子 炉 等 による 災 害 の 防 止 上 支 障 がないことを 確 認 するものとし<br />
て 定 めたものであり、 本 件 申 請 については、この 基 準 への 適 合 性<br />
を 審 査 しているものです。 本 審 査 では、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 他 設<br />
置 工 事 を 目 的 とした 申 請 に 関 して、 変 更 しようとする 原 子 炉 施 設<br />
の 基 本 的 な 設 計 方 針 等 について 確 認 しました。<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、40 年 を 超 える 原 発 の 再 稼 働 を 認 めている<br />
が、 事 故 発 生 時 にその 責 任 をとることを 国 民 に 明 示 できるのか。<br />
‣ 安 全 確 保 の 一 義 的 責 任 は 事 業 者 が 負 い、 規 制 当 局 は、 事 業 者 の 活<br />
動 が 法 令 の 要 求 を 満 たしていることを 確 認 します。<br />
‣ 事 故 が 起 きても 責 任 の 所 在 がはっきりしないシステムでは 再 稼<br />
働 は 許 されない。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 責 任 という 言 葉 は 簡 単 であるが、 事 故 が 起 きれば、 責 任 を 取 れる<br />
人 は 誰 もおりません。<br />
‣ 使 用 済 MOX 燃 料 の 保 管 ・ 処 理 ・ 処 分 のための 体 制 及 び 技 術 が 確 立<br />
していない。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 使 用 済 燃 料 については、 国 内 再 処 理 を 原 則 とし、 再 処 理 されるま<br />
での 間 、 適 切 に 貯 蔵 ・ 管 理 するとの 方 針 を 確 認 しています。<br />
2
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 使 用 済 燃 料 ピットの 貯 蔵 量 を 増 やすリラッキングに 係 る 申 請 が<br />
別 途 なされているが、それによる 負 の 影 響 はどれぐらいになるの<br />
か。 原 子 力 規 制 委 員 会 は、リラッキングをすることについて 望 ま<br />
しくないと 難 色 を 示 しており、 乾 式 貯 蔵 にすべきとしている。<br />
考 え 方<br />
‣ 使 用 済 燃 料 の 保 管 方 法 の 選 択 については 申 請 者 に 委 ねられてお<br />
り、 玄 海 原 子 力 発 電 所 については、 使 用 済 燃 料 ピットにより 使 用<br />
済 燃 料 を 保 管 することとしています。<br />
なお、 平 成 22 年 2 月 8 日 になされた3 号 炉 の 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵<br />
設 備 の 貯 蔵 能 力 の 変 更 等 に 係 る 設 置 変 更 許 可 申 請 については、 本<br />
審 査 の 対 象 ではありません。<br />
‣ 免 震 棟 の 建 設 計 画 を 撤 回 するなど、 九 州 電 力 に 対 する 甘 い 対 応 を<br />
許 すべきではない。<br />
‣ 九 電 は 免 震 棟 の 建 設 を 撤 回 して 耐 震 に 変 える 方 針 転 換 をしたが、<br />
1F 事 故 を 踏 まえると、 免 震 棟 が 不 可 欠 ではないのか。<br />
‣ 規 制 基 準 であった 免 震 棟 すら 作 っていない。<br />
‣ 免 震 重 要 棟 の 建 造 及 び 運 用 テストが 終 了 するまでは、 法 に 適 合 し<br />
ていないと 判 断 すべき。コスト 面 で 建 造 を 中 止 したのではない<br />
か。<br />
‣ 「 免 震 機 能 等 により」とあいまいな 表 現 になっているが、 報 道 に<br />
よれば、 九 州 電 力 は、 川 内 原 発 においても 玄 海 原 発 においても、<br />
免 震 機 能 を 有 しない 耐 震 性 の 建 物 で 申 請 したと 言 われている。あ<br />
いまいな 表 現 をやめて「 免 震 機 能 を 有 するもの」と 断 定 していた<br />
だきたい。<br />
‣ 新 規 制 基 準 は、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 適 切 な 措 置 が 講 じら<br />
れるよう 緊 急 時 対 策 所 の 機 能 を 設 けることを 求 めていますが、そ<br />
の 構 造 等 は 特 定 していません。 玄 海 3・4 号 炉 については、 本 審<br />
査 において、 新 規 制 基 準 が 求 める 機 能 を 有 することを 確 認 してお<br />
り、 既 に 代 替 緊 急 時 対 策 所 は 設 置 されております。<br />
申 請 当 初 、 事 業 者 は、 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 設 置 した 上 で、 免 震<br />
重 要 棟 内 に 新 たに 緊 急 時 対 策 所 を 設 置 することとし、 機 能 を 移 転<br />
する 計 画 を 示 していました。その 後 、 事 業 者 から 耐 震 構 造 の 建 物<br />
であれば 免 震 構 造 と 比 べて 2 年 程 度 早 い 運 用 開 始 が 可 能 となる 等<br />
の 理 由 から、 緊 急 時 対 策 所 を、 免 震 重 要 棟 内 から 耐 震 構 造 の 緊 急<br />
時 対 策 棟 内 に 設 置 する 計 画 に 変 更 したいと 説 明 がなされました。<br />
このため、 免 震 重 要 棟 を 設 置 するとした 場 合 の 具 体 的 見 通 し 等 を<br />
示 すことを 求 めたところ、 事 業 者 は、 現 段 階 では 免 震 装 置 の 設 計<br />
の 成 立 の 見 通 しを 得 ることができなくなったとして 免 震 重 要 棟 を<br />
設 置 しない 理 由 を 変 更 するとともに、 耐 震 構 造 であっても、 免 震<br />
構 造 と 同 様 に 基 準 地 震 動 に 対 して 建 屋 を 弾 性 範 囲 内 に 収 めること<br />
により、 建 屋 の 構 造 体 全 体 の 信 頼 性 を 確 保 すること、 地 震 時 の 居<br />
住 性 についても 設 計 上 の 配 慮 により 改 善 を 図 るとの 方 針 を 示 しま<br />
した。<br />
3
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
本 審 査 では、 事 業 者 が、 代 替 緊 急 時 対 策 所 に 替 わる 緊 急 時 対 策<br />
所 を 耐 震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 内 に 設 置 することにより、 基 準 地 震<br />
動 による 地 震 力 に 対 して、 緊 急 時 対 策 所 の 機 能 を 喪 失 しない 設 計<br />
としていること、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う<br />
要 員 がとどまることができる 措 置 を 講 じていること 等 により、 新<br />
規 制 基 準 に 適 合 していることを 確 認 しています。<br />
【 審 査 基 準 ・ 審 査 ガイド】<br />
‣ 新 規 制 基 準 は 世 界 一 厳 しい 基 準 とされているが、 世 界 では 既 に 導<br />
入 されているコアキャッチャー( 原 子 炉 圧 力 容 器 外 に 流 出 した 溶<br />
融 炉 心 を 格 納 容 器 に 貯 留 する 設 備 )、 二 重 の 格 納 容 器 及 び 安 全 系<br />
4 系 統 などの 設 置 が、 審 査 の 要 件 になっていない。<br />
【 審 査 基 準 ・ 審 査 ガイド】<br />
‣ 新 規 制 基 準 においては、 個 別 の 具 体 的 な 機 器 の 設 置 を 求 めるので<br />
はなく、 炉 心 溶 融 防 止 対 策 や 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 等 のために 必<br />
要 な 機 能 を 求 めています。 規 制 基 準 は、 満 足 すべき 性 能 水 準 を 要<br />
求 し、それを 実 現 する「 技 術 」は 指 定 しないのが 国 際 的 にみても<br />
一 般 的 です。 規 制 要 求 を 満 たすのであれば、 御 指 摘 の 設 備 に 限 ら<br />
ず、 他 の 方 法 でも 問 題 ありません。<br />
なお、ご 指 摘 の 欧 州 の 技 術 は 現 在 建 設 中 の 原 子 炉 に 限 られたも<br />
のであり、 欧 州 でも 既 設 の 原 子 炉 に 対 してご 指 摘 のあった 技 術 の<br />
導 入 が 義 務 付 けられた 例 はありません。<br />
‣ フィルター 付 きベント 装 置 及 び 第 2 制 御 室 が 未 完 成 である。ま<br />
た、 当 該 設 備 は、 過 酷 事 故 対 策 として 法 律 で 設 置 が 義 務 づけられ<br />
ているにもかかわらず、それがどうして5 年 間 の 設 置 猶 予 になる<br />
のか。<br />
‣ 平 成 25 年 7 月 に 施 行 した 新 規 制 基 準 において、 重 大 事 故 を 起 こ<br />
さないための 対 策 に 加 えて、 大 規 模 自 然 災 害 やテロを 含 めて 様 々<br />
な 事 象 により 万 一 重 大 事 故 が 起 きた 場 合 の 対 策 として 必 要 な 機 能<br />
を 全 て 備 えていることを 求 めています。 特 定 重 大 事 故 等 対 処 施 設<br />
の 設 置 は、これらの 必 要 な 機 能 を 満 たした 上 でのその 信 頼 性 をさ<br />
らに 向 上 させるための 対 策 であり、 本 体 施 設 等 ( 特 定 重 大 事 故 等<br />
対 処 施 設 等 以 外 の 施 設 及 び 設 備 をいう。)の 工 事 計 画 認 可 後 5 年 ま<br />
でに 実 現 を 求 めています。<br />
4
御 意 見 の 概 要<br />
‣ 本 審 査 の 基 準 となる 新 規 制 基 準 そのものが、 欧 州 加 圧 水 型 原 子 炉<br />
の 安 全 設 備 と 比 較 して、サイバーテロ 対 策 が 不 十 分 である。<br />
考 え 方<br />
‣ 新 規 制 基 準 においては、サイバーテロ 対 策 として、 安 全 設 備 を 動<br />
作 させるためのシステムについて、 物 理 的 、 機 能 的 に 分 離 させる<br />
とともに、 導 入 時 等 にコンピューターウイルスが 混 入 することを<br />
防 止 すること、また、 発 電 所 外 からの 侵 入 による 不 正 アクセスを<br />
防 止 するため、 柵 等 の 障 壁 により 区 画 することを 要 求 しています。<br />
‣ 福 島 原 発 事 故 の 検 証 が 不 十 分 福 島 原 発 事 故 の 検 証 が 不 十 分 であ<br />
り、 原 因 は 不 明 である。 津 波 の 前 に 地 震 により 機 器 が 破 損 した 可<br />
能 性 についても 検 証 が 不 十 分 である 為 、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の<br />
事 故 原 因 が 究 明 された 後 で 規 制 基 準 を 作 成 し、その 基 準 で 審 査 す<br />
るべきである。<br />
‣ 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 については、 基 本 的 な 事 象 進<br />
展 等 について 整 理 されています。これを 踏 まえ、 新 規 制 基 準 を 制<br />
定 しました。<br />
‣ 新 規 制 基 準 そのものが 極 めて 甘 い 基 準 なのではないか。<br />
‣ 審 査 基 準 を 審 査 すべきではないか。<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、これまでに 明 らかになった 福 島 第 一 原 子 力<br />
発 電 所 事 故 の 教 訓 を 踏 まえ、IAEA や 諸 外 国 の 規 制 基 準 も 確 認 しな<br />
がら、 外 部 専 門 家 の 協 力 も 得 て、 世 界 で 最 も 厳 しい 水 準 の 規 制 基<br />
準 を 策 定 したと 考 えており、 最 新 の 科 学 技 術 的 知 見 を 踏 まえた 規<br />
制 基 準 は、 合 理 的 なものであると 考 えています。<br />
‣ 停 電 や 事 故 時 にも、 原 子 炉 内 の 圧 力 、 冷 却 水 の 水 位 や 水 温 が 適 切<br />
に 直 接 測 定 できる 設 備 を 設 けること。( 水 位 計 や 温 度 計 は、 少 な<br />
くとも 摂 氏 千 度 の 環 境 でも、 正 確 に 作 動 すること。)<br />
‣ 設 置 許 可 基 準 規 則 第 23 条 は、 原 子 炉 の 水 位 や 水 温 等 を 監 視 する<br />
ことを 求 めていますが、 新 規 制 基 準 に 係 る 変 更 申 請 の 対 象 ではあ<br />
りません。ただし、 設 計 基 準 に 係 る 審 査 においては、 全 交 流 電 源<br />
喪 失 時 を 想 定 し、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 からの 電 力 供 給 が 可 能 とな<br />
るまでの 間 、 原 子 炉 停 止 等 のために 必 要 な 設 備 に 対 し 電 源 供 給 が<br />
可 能 な 容 量 を 有 する 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )を 備 える 方 針 として<br />
いることを 確 認 しています。<br />
なお、 重 大 事 故 等 が 発 生 し、 主 要 パラメータの 計 器 故 障 時 には、<br />
他 チャンネル 又 は 他 ループの 計 器 により 計 測 する 手 順 を 定 めてい<br />
5
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
ることを 確 認 しています。 更 に 主 要 パラメータの 監 視 機 能 が 喪 失<br />
した 場 合 等 は、 代 替 パラメータによる 推 定 を 行 うとしており、 代<br />
替 パラメータと 主 要 パラメータの 関 連 性 、 検 出 器 の 種 類 及 び 使 用<br />
環 境 条 件 などを 踏 まえた 確 からしさを 考 慮 して 推 定 を 行 う 手 順 を<br />
定 めるとしていることを 確 認 しています。<br />
【 審 査 及 び 意 見 募 集 の 進 め 方 】<br />
‣ パブリックコメントを 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 に 限 定 する 理 由 を 明 ら<br />
かにすべき。<br />
‣ 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 のみを 募 集 していますが、 原 発 の 稼 働 につい<br />
ては、 何 よりも 広 く 市 民 の 合 意 形 成 が 必 要 でアリ、 意 見 募 集 に 当<br />
たっては、 防 災 対 策 なども 含 めた「 社 会 的 」 意 見 の 募 集 も 行 うべ<br />
きと 考 えます。<br />
【 審 査 及 び 意 見 募 集 の 進 め 方 】<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 独 立 した 立 場 で、 科 学 的 ・ 技 術 的 見 地 から<br />
審 査 し、 自 ら 責 任 を 持 って 判 断 をすることが 役 割 です。 審 査 は、<br />
委 員 及 び 原 子 力 規 制 庁 職 員 に 加 え、 平 成 26 年 に 原 子 力 規 制 委 員<br />
会 に 統 合 した JNES が 蓄 積 した 専 門 的 知 見 等 を 活 用 しつつ 進 めて<br />
きており、また、 必 要 に 応 じ、 外 部 専 門 家 の 意 見 を 聴 取 してきて<br />
います。<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 は、 事 業 者 から 提 出 があった 設 置 変 更 許 可 申<br />
請 について、 審 査 会 合 等 において 審 査 を 進 めてきたところ、 新 規<br />
制 基 準 に 適 合 しているものと 認 められることから、 審 査 書 の 案 を<br />
取 りまとめたものです。<br />
この 意 見 募 集 は、 現 行 の 規 制 基 準 の 枠 組 の 中 で 行 われているも<br />
のであり、 広 く 科 学 的 ・ 技 術 的 な 御 意 見 を 頂 くものです。<br />
‣ 地 元 の 合 意 プロセスも、 法 的 に 確 立 したものを 作 成 すべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 意 見 提 出 に 当 たっての 要 件 が、 喧 嘩 腰 の 調 子 となっており、 多 く<br />
の 国 民 からの 信 頼 が 得 られるはずもない。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 審 議 自 体 が 非 公 開 のものもあるため、 全 ての 関 連 会 議 における 審<br />
議 過 程 にある 議 事 録 及 び 配 付 資 料 等 を 公 開 すべき。<br />
‣ 事 業 者 からの 申 請 書 等 は、 原 子 力 規 制 委 員 会 の 業 務 運 営 の 透 明 性<br />
の 確 保 のための 方 針 に 基 づき、 原 則 として 公 開 することとしてい<br />
6
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
ます。ただし、 行 政 機 関 の 保 有 する 情 報 の 公 開 に 関 する 法 律 第 5<br />
条 の 不 開 示 情 報 に 該 当 すると 考 えられる 情 報 については、 公 開 し<br />
ていません。<br />
‣ パブコメ 募 集 は、 途 中 と 最 終 の 評 価 を 公 開 原 則 として 進 めるべ<br />
き。<br />
‣ 頂 いた 御 意 見 については、 集 約 した 上 で、 原 子 力 規 制 委 員 会 の 考<br />
え 方 を 示 すとともに、 必 要 な 場 合 には 審 査 書 ( 案 )に 反 映 するこ<br />
ととしています。また、 頂 いたすべてのご 意 見 を、ホームページ<br />
で 公 開 します。さらに、 電 子 政 府 の 情 報 窓 口 (e-Gov)にも、 結 果<br />
をすみやかに 公 示 します。 新 たな 知 見 が 得 られた 場 合 には、 必 要<br />
に 応 じ、 規 制 に 取 り 込 みさらなる 安 全 の 向 上 に 取 り 組 んでいきま<br />
す。<br />
‣ パブリックコメントは、 審 査 の 見 直 しに 使 われていないのではな<br />
いだろうか? 本 来 パブリックコメントは 広 く 関 係 者 以 外 の 人 々<br />
の 意 見 を 聞 き、 様 々な 意 見 を 参 考 にしながら 審 査 手 続 きを 進 めて<br />
いくものである。しかし 現 実 には 民 間 意 見 は 殆 ど 受 け 入 れられ<br />
ず、 単 に 審 査 手 続 き 上 の1プロセスとしてアリバイを 残 すためだ<br />
けに 使 われているように 見 える。<br />
‣ 同 上<br />
‣ これまで 国 民 から 寄 せられた 意 見 の 多 くが 採 用 されず、きちんと<br />
審 議 されているのかが 不 明 。パブコメ 結 果 は 公 開 で 審 議 して 審 査<br />
書 案 に 反 映 をすべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 工 事 計 画 及 び 保 安 規 定 の 審 査 に 関 しても、パブリックコメントを<br />
募 集 すべき。<br />
‣ 本 意 見 募 集 は、 基 本 的 な 判 断 となる 設 置 変 更 許 可 に 係 る 審 査 結 果<br />
を 取 りまとめた 審 査 書 ( 案 )に 対 し、 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 を 広 く<br />
募 集 することとしたものです。 工 事 計 画 及 び 保 安 規 定 は、 設 置 変<br />
更 許 可 で 審 査 した 基 本 設 計 に 従 い、 個 々の 設 備 の 詳 細 な 設 計 や 具<br />
7
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
体 的 な 事 業 者 の 体 制 整 備 などを 定 めるものであり、 意 見 募 集 を 行<br />
っていません。<br />
‣ 国 民 の 世 論 でも 多 数 が 原 発 反 対 の 意 思 があります。 原 発 立 地 自 治<br />
体 や 周 辺 の 自 治 体 の 住 民 へ 説 明 をしているのでしょうか。<br />
‣ 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 を 直 接 伺 う 公 聴 会 的 なものについては、 具 体<br />
的 な 要 望 が 立 地 自 治 体 からあった 場 合 には、 対 応 を 検 討 してまい<br />
ります。<br />
‣ 審 査 書 案 を 確 定 させる 前 に 立 地 周 辺 住 民 の 意 見 を 直 接 聞 く 公 聴<br />
会 を 開 催 すべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 原 発 再 稼 働 についての 説 明 会 ・ 討 論 会 などを 開 催 すべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 規 制 委 員 会 が、 住 民 の 意 見 を 広 く 集 めようとするのであれば、 全<br />
国 紙 や 原 発 から 少 なくとも 50km 圏 の 地 方 紙 などに、「 広 告 ・ 広 報 」<br />
として、 審 査 書 案 の 概 要 と、 意 見 募 集 ・ 応 募 要 領 などを 掲 載 すべ<br />
き。 外 部 から 審 査 書 案 等 の 説 明 を 求 められなくても、 意 見 を 公 募<br />
する 側 から 積 極 的 に 説 明 すべき。<br />
‣ 今 回 の 意 見 募 集 については、 原 子 力 規 制 委 員 会 がまとめた 審 査 書<br />
( 案 )に 対 し、 科 学 的 ・ 技 術 的 意 見 の 募 集 を 行 ったものであり、<br />
平 成 26 年 3 月 26 日 の 原 子 力 規 制 委 員 会 での 審 議 を 踏 まえ、 資<br />
料 を 電 子 政 府 の 総 合 窓 口 (e-Gov) 及 び 原 子 力 規 制 委 員 会 ホームペ<br />
ージに 掲 載 しました。<br />
‣ 30 日 という 意 見 公 募 期 間 は 短 すぎると 思 う。 審 査 書 案 はそもそ<br />
もネット 環 境 がないとみることができない。400 ページにわたる<br />
「 審 査 書 ( 案 )」を 印 刷 し、 読 むのは 難 しい。<br />
‣ 意 見 募 集 の 実 施 にあたっては、 政 府 が 実 施 する 他 の 意 見 募 集 にな<br />
らい、 電 子 政 府 の 総 合 窓 口 (e-Gov)を 利 用 しています。<br />
‣ データが 丁 寧 に 提 示 されないなど、 形 式 的 なパブリックコメント<br />
のやり 方 には、 承 服 しかねる。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 公 募 期 間 が、「 審 査 書 案 」を 発 表 した 翌 日 から30 日 間 では、 周<br />
知 ・ 検 討 ・ 意 見 書 作 成 のための 時 間 としては、 極 めて 短 い。<br />
‣ 同 上<br />
8
御 意 見 の 概 要<br />
【 炭 素 偏 析 】<br />
‣ 日 本 製 鋼 材 の 強 度 不 足 でフランスの12 基 の 原 発 が 点 検 のため<br />
停 止 、58 基 ある 原 発 の 半 分 以 上 が 影 響 を 受 けると 言 われていま<br />
す。 玄 海 原 発 も 同 じ 北 九 州 市 の 日 本 鋳 鍛 綱 製 造 した 鋼 材 が 圧 力<br />
容 器 の 蓋 などに 使 われていますが、フランスで 行 われたような 検<br />
査 が 行 われていません。フランスでは、 原 発 で 使 われている 鋼 材<br />
で「 炭 素 偏 析 」が 見 つかり、 強 度 不 足 の 可 能 性 があるとされてい<br />
ます。 フランスでは、 書 類 の 確 認 だけでなく、 検 査 まで 行 いま<br />
した。その 結 果 日 本 製 の 鋼 材 にも「 炭 素 偏 析 」の 疑 いが 出 てきま<br />
した。 規 制 委 ・ 規 制 庁 は 品 質 管 理 の 手 順 を 書 類 で 確 認 しただけで<br />
よしとしています。 検 査 を 実 施 させ、その 結 果 を 確 認 するまでは<br />
再 稼 働 すべきではありません。<br />
考 え 方<br />
【 炭 素 偏 析 】<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 仏 国 原 子 力 安 全 局 で 確 認 された 原 子 炉 容 器<br />
等 における 炭 素 偏 析 の 可 能 性 を 事 業 者 に 確 認 した 結 果 、 日 本 のプ<br />
ラントメーカーに 納 品 されている 原 子 炉 容 器 等 の 鍛 造 製 品 につい<br />
ては、その 製 造 方 法 等 から 考 えて、 製 品 中 に 日 本 工 業 規 格 に 定 め<br />
られた 炭 素 濃 度 を 超 えるような 部 分 が 残 っているおそれはないと<br />
評 価 できると 判 断 しました。したがって、 当 該 事 案 に 係 る 実 機 の<br />
検 査 を 実 施 する 必 要 性 はないと 考 えております。<br />
なお、 仏 国 でもすべての 原 子 力 発 電 所 で 実 機 の 検 査 を 実 施 した<br />
訳 ではなく、 仏 国 原 子 力 安 全 機 関 が 書 類 で 調 査 した 結 果 、 炭 素 偏<br />
析 の 問 題 によりその 鏡 板 の 機 械 的 強 度 が 想 定 より 低 い 可 能 性 があ<br />
る 原 子 力 発 電 所 に 対 して、 実 機 の 検 査 を 行 っていると 承 知 してい<br />
ます。<br />
‣ 原 子 炉 等 の 強 度 不 足 問 題 について 日 本 鋳 鍛 鋼 の 鋼 材 の「 炭 素 偏<br />
析 」、 不 純 物 濃 度 の 基 準 超 えでフランスの 原 子 炉 が 停 止 した。 同<br />
メーカの 鋼 材 を 圧 力 容 器 に 使 用 している 九 州 電 力 は 運 転 を 継 続<br />
して、 書 類 審 査 だけで「 強 度 不 足 はない」との 報 告 をしている。<br />
また、 原 子 炉 容 器 などの 鍛 造 品 の 炭 素 偏 析 による 強 度 不 足 の 新 し<br />
い 知 見 が 得 られたのは、 新 規 制 基 準 の 策 定 後 である。 新 規 制 基 準<br />
には、 組 み 込 まれていないことに 加 え、 玄 海 原 発 3、4 号 炉 の 適<br />
合 性 審 査 会 合 では 一 度 も 検 討 をされていないまま、 平 成 28 年 1<br />
1 月 9 日 に 審 査 書 ( 案 )を 公 表 している。 設 置 変 更 許 可 の 条 件 と<br />
して、 実 機 の 非 破 壊 検 査 等 を 実 施 すべきである。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、2016 年 11 月 22 日 、 第 45 回 原 子 力 規 制 委<br />
‣ 同 上<br />
9
御 意 見 の 概 要<br />
員 会 において 国 内 の 原 発 の 部 品 には「 規 格 を 超 える 炭 素 濃 度 のお<br />
それない」という 判 断 をしました。その 判 断 は、 電 力 会 社 からの<br />
報 告 書 及 び 製 造 メーカから 提 供 された 資 料 と 面 談 により 導 き 出<br />
されたものですが、 電 力 会 社 からの 資 料 は、 製 造 当 時 の 記 録 やデ<br />
ータであり、 実 機 の 当 該 部 分 の 検 査 結 果 ではありません。また、<br />
メーカ 提 供 資 料 には、 仏 国 向 けの 製 品 では 炭 素 濃 度 の 高 い 領 域 が<br />
発 生 すると 述 べられているため、 日 本 の 原 発 に 使 われている 部 品<br />
についても、 実 機 の 検 査 が 必 要 と 考 えます。なぜなら、フランス<br />
の 場 合 でも、 製 造 当 時 のデータが 規 格 を 上 まわっていたわけでは<br />
なく、 検 査 によって 初 めて 発 覚 したからです。<br />
考 え 方<br />
【 原 子 力 規 制 委 員 会 の 体 制 】<br />
‣ 地 質 学 の 専 門 家 がいても、 地 震 学 の 専 門 家 が NRA にはいない。 安<br />
全 性 を 審 査 するに 十 分 な 能 力 が 備 わっていないのではないか。<br />
【 原 子 力 規 制 委 員 会 の 体 制 】<br />
‣ 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 独 立 した 立 場 で、 科 学 的 ・ 技 術 的 見 地 から<br />
審 査 し、 自 ら 責 任 を 持 って 判 断 をすることが 役 割 です。 審 査 は、<br />
委 員 及 び 原 子 力 規 制 庁 職 員 に 加 え、 平 成 26 年 3 月 1 日 に 原 子 力<br />
規 制 委 員 会 に 統 合 した JNES が 蓄 積 した 専 門 的 知 見 等 を 活 用 しつ<br />
つ 進 めてきており、また、 必 要 に 応 じ、 外 部 専 門 家 の 意 見 を 聴 取<br />
してきています。<br />
【 経 理 的 基 礎 】<br />
‣ 原 子 力 損 害 賠 償 法 第 6 条 に 基 づき、 九 州 電 力 が 確 保 している 金 額<br />
は1200 億 円 であるのに 対 し、1F 事 故 では 既 に5 兆 4 千 億 円<br />
かかっているが、 損 害 措 置 を 講 じられるのか。<br />
【 経 理 的 基 礎 】<br />
‣ 本 件 申 請 に 関 しては、 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 経 理 的<br />
基 礎 に 係 る 部 分 に 限 る)に 規 定 する 許 可 の 基 準 へ 適 合 性 を 確 認 し<br />
ています。 経 理 的 基 礎 に 係 る 審 査 結 果 については、 平 成 28 年 8<br />
月 3 日 の 原 子 力 規 制 委 員 会 の 資 料 2「 九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子<br />
力 発 電 所 3 号 及 び4 号 炉 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 に 関<br />
する 審 査 書 案 に 対 する 意 見 募 集 等 について( 案 )」の 別 紙 1に 記 載<br />
しています。<br />
10
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
なお、 原 子 炉 等 規 制 法 に 基 づき、 設 置 変 更 許 可 において 経 理 的<br />
基 礎 について 確 認 する 趣 旨 は、 発 電 用 原 子 炉 を 変 更 するために 必<br />
要 な 資 金 量 の 見 積 もりが 適 切 なものであるかどうか、 資 金 が 調 達<br />
できるかといった 経 理 的 基 礎 が 事 業 者 にあることを 確 認 すること<br />
です。 事 業 者 は 本 件 申 請 に 係 る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 他 設 置 工 事 に<br />
要 する 資 金 を 自 己 資 金 、 社 債 及 び 借 入 金 により 調 達 する 計 画 とし<br />
ており、 今 般 の 審 査 においては、 事 業 者 の 調 達 実 績 、その 調 達 に<br />
かかる 自 己 資 金 および 外 部 資 金 の 状 況 、 調 達 計 画 等 から、 工 事 に<br />
要 する 資 金 の 調 達 は 可 能 と 判 断 しました。<br />
【 平 和 利 用 ・ 使 用 済 燃 料 】<br />
‣ 使 用 済 燃 料 は 再 稼 働 すれば 数 年 で 貯 蔵 プールが 満 杯 になるとい<br />
われているが、これをどう 考 えているのか。<br />
【 平 和 利 用 ・ 使 用 済 燃 料 】<br />
‣ 使 用 済 燃 料 については、 国 内 再 処 理 を 原 則 とし、 再 処 理 されるま<br />
での 間 、 適 切 に 貯 蔵 ・ 管 理 するとの 方 針 を 確 認 しています。<br />
なお、 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 設 備 は、 全 炉 心 及 び1 回 の 燃 料 取 り 替<br />
えに 必 要 とする 燃 料 集 合 体 数 に 十 分 余 裕 を 持 たせた 貯 蔵 容 量 を 有<br />
するように 設 計 することとされています。<br />
‣ 再 稼 働 すれば 数 年 で、 使 用 済 燃 料 ピットが 満 杯 になるといわれて<br />
いる。 玄 海 原 子 力 発 電 所 については、リラッキングの 申 請 もある<br />
が、 水 による 冷 却 が 不 要 な 乾 式 貯 蔵 にすべき。<br />
‣ 同 上<br />
【 立 地 評 価 】<br />
‣ 福 島 事 故 でこれだけの 収 束 不 能 な 汚 染 水 問 題 を 発 生 させ 未 だに<br />
先 の 見 えぬ 中 、この 事 前 対 策 、 重 大 事 故 発 生 直 後 の 対 策 への 審 査<br />
が 無 いのは 大 問 題 である。1Fの 汚 染 水 問 題 を 踏 まえた 汚 染 水 対<br />
策 についての 審 査 をすべき。<br />
【 立 地 評 価 】<br />
‣ 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 におけるような 汚 染 水 について<br />
は、まず、これを 発 生 させないことが 重 要 であり、 新 規 制 基 準 で<br />
は、 仮 に、 炉 心 が 損 傷 した 場 合 でも 放 射 性 物 質 が 格 納 容 器 から 流<br />
出 しない 対 策 を 要 求 しています。<br />
また、 重 大 事 故 等 の 中 長 期 的 な 対 応 が 必 要 となる 場 合 に 備 えて、<br />
11
御 意 見 の 概 要<br />
考 え 方<br />
適 切 な 対 応 を 検 討 できる 体 制 を 整 備 することを 要 求 しています。<br />
【 原 子 力 防 災 】<br />
‣ 「 避 難 計 画 」は、 過 酷 事 故 対 策 規 制 の 枠 組 み 上 、 最 終 段 階 の「 深<br />
層 防 護 第 5 層 : 放 射 性 物 質 の 環 境 への 大 規 模 な 放 出 に 対 する 防 災<br />
対 策 」として 最 も 重 要 であり、「 原 発 の 安 全 性 」を 確 保 する 為 、<br />
本 件 審 査 の 対 象 とすべきである。<br />
【 原 子 力 防 災 】<br />
‣ 原 子 力 防 災 については、 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 に 基 づき、 対<br />
策 が 講 じられます。<br />
‣ 事 故 が 起 きたときの 避 難 計 画 がいい 加 減 。 避 難 先 の 自 治 体 との 話<br />
し 合 いがされていないままである。 事 故 時 に 影 響 を 及 ぼす 九 州 内<br />
の 自 治 体 住 民 の 同 意 を 得 るべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 避 難 計 画 の 作 成 は 自 治 体 が 行 っているが、 避 難 計 画 の 検 証 はどう<br />
するのかが 曖 昧 になっている。 原 子 力 規 制 委 員 会 は、 避 難 計 画 に<br />
係 る 指 針 を 作 成 し、その 実 効 性 に 関 する 審 査 をすべき。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 30km 圏 内 に 住 む 人 々の 避 難 計 画 が 作 成 されておらず、 放 射 能 漏<br />
れによる 自 然 破 壊 の 状 況 も 予 想 はされていない。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 事 故 が 起 きた 時 の 住 民 避 難 の 経 路 も 確 立 していません。 近 隣 住 民<br />
の 避 難 計 画 も 自 治 体 任 せで、 熊 本 地 震 の 教 訓 のように、 避 難 経 路<br />
が 寸 断 されていては 住 民 の 避 難 も 危 ぶまれます。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 原 子 力 災 害 対 策 指 針 を 定 めれば 良 いだけというのはあまりに 無<br />
責 任 。<br />
‣ 同 上<br />
‣ 避 難 訓 練 に 係 る 費 用 を 事 業 者 が 負 担 すべき。<br />
‣ 同 上<br />
12
その 他 の 主 な 御 意 見<br />
今 回 の 意 見 募 集 では、その 他 、 多 くの 貴 重 な 御 意 見 をいただきました。 今 後 の 原 子 力 規 制 委 員 会 、 原 子 力 規 制 庁 の 活 動 に 当 たっての 参 考 とさ<br />
せていただきます。<br />
‣ 単 に 技 術 的 な 基 準 ばかりを 根 拠 にした 規 制 委 員 会 の 判 定 には 納 得 がいかない。<br />
‣ 原 子 力 の 平 和 利 用 と 言 えば 聞 こえは 良 いが、 単 なる 利 権 確 保 である。<br />
‣ 人 間 が 制 御 できないモノを 使 用 する 事 は 悪 いことではありませんか。 目 に 見 えない 物 は 非 常 に 恐 いです。<br />
‣ 原 発 作 業 員 の 方 の 健 康 を 心 配 します。<br />
‣ 統 計 的 に 原 発 事 故 が 起 こる 確 率 と 事 故 による 経 済 的 な 国 の 損 失 を 科 学 的 に 示 すべき。<br />
‣ 高 レベル 放 射 性 廃 棄 物 の 保 管 ・ 管 理 の 方 法 を 確 定 してから、 審 査 をすべき。<br />
‣ 原 発 が 安 全 だというのだったら、なぜ 避 難 計 画 が 必 要 になるのか。それは、 原 発 が 安 全 ではないからではないのか。<br />
‣ 原 発 関 連 施 設 に 関 しては、とにかく 事 故 の 隠 蔽 が 多 く、 電 力 会 社 や 国 からの 情 報 も 怪 しい。<br />
‣ 安 全 の 到 達 点 は 何 処 に 置 いているのか。<br />
‣ 自 然 災 害 は 時 間 をかければ 復 旧 できるが、 原 発 は 限 りなく 無 効 化 できない。 人 間 の 力 で 制 御 できないエネルギーは 不 要 である。<br />
‣ 審 査 を 行 う 際 、 身 近 な 人 が 当 該 地 域 に 住 んでいたら・・・という 気 持 ちを 忘 れずに 考 えて 頂 きたい。<br />
‣ 4ループプラントとして 最 初 の 判 断 になるので、 同 型 の 後 続 で 審 査 が 大 詰 めになっている 大 飯 3・4 号 炉 のひな 形 となることを 期 待 し<br />
たい。<br />
13
別 紙 3<br />
( 修 正 案 )<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所<br />
の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書<br />
( 3 号 及 び 4 号 発 電 用 原<br />
子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書<br />
( 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に<br />
関 する 法 律 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術<br />
的 能 力 に 係 るもの)、 第 3 号 及 び 第 4 号 関 連 )<br />
平 成 29 年 1 月 18 日<br />
原 子 力 規 制 委 員 会
目 次<br />
Ⅰ はじめに .......................................................... 1<br />
Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力 ...................... 4<br />
Ⅲ 設 計 基 準 対 象 施 設 ................................................. 10<br />
Ⅲ-1 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )......................... 10<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ........................................... 10<br />
Ⅲ-1.2 周 辺 斜 面 の 安 定 性 ..................................... 20<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針 ......................................... 21<br />
Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )....................... 30<br />
Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )......................... 34<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波 ............................................. 34<br />
Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針 ....................................... 38<br />
Ⅲ-4 外 部 からの 衝 撃 による 損 傷 の 防 止 ( 第 6 条 関 係 )............... 55<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ....................................... 56<br />
Ⅲ-4.2 外 部 事 象 に 対 する 設 計 方 針 ............................. 57<br />
Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針 ........................... 58<br />
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 ..................... 63<br />
Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 ....................... 72<br />
Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 ................. 79<br />
Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 ................. 81<br />
Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ ..................................... 82<br />
Ⅲ-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 す<br />
る 重 要 安 全 施 設 への 考 慮 ............................... 83<br />
Ⅲ-5 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 等 の 防 止 ( 第 7 条 関 係 ) ... 84<br />
Ⅲ-6 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 8 条 関 係 )......................... 84<br />
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 ) ....................... 97<br />
Ⅲ-8 誤 操 作 の 防 止 ( 第 10 条 関 係 ).............................. 105<br />
Ⅲ-9 安 全 避 難 通 路 等 ( 第 11 条 関 係 )............................ 106<br />
Ⅲ-10 安 全 施 設 ( 第 12 条 関 係 )................................ 106<br />
Ⅲ-11 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 対 策 設 備 ( 第 14 条 関 係 ).............. 110<br />
Ⅲ-12 燃 料 体 等 の 取 扱 施 設 及 び 貯 蔵 施 設 ( 第 16 条 関 係 ) .......... 111<br />
Ⅲ-13 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ( 第 17 条 関 係 ).............. 113<br />
Ⅲ-14 安 全 保 護 回 路 ( 第 24 条 関 係 )............................ 113<br />
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )............................ 114<br />
i
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 ............ 119<br />
Ⅳ-1 重 大 事 故 等 の 拡 大 の 防 止 等 ( 第 37 条 関 係 ).................. 121<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 .......................................... 122<br />
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果 .................................... 132<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策 .............................. 132<br />
Ⅳ-1.2.1.1 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 ............ 132<br />
Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 ...................... 136<br />
Ⅳ-1.2.1.3 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 .................. 143<br />
Ⅳ-1.2.1.4 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 ............ 145<br />
Ⅳ-1.2.1.5 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 ...................... 150<br />
Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注 水 機 能 喪 失 ....................... 156<br />
Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 ..................... 160<br />
Ⅳ-1.2.1.8 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA、<br />
蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 ) ................. 165<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 .......................... 172<br />
Ⅳ-1.2.2.1 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
173<br />
Ⅳ-1.2.2.2 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )<br />
............................................................ 179<br />
Ⅳ-1.2.2.3 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 ... 185<br />
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
............................................................ 189<br />
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼 ................................ 194<br />
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 .......... 200<br />
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 ...... 204<br />
Ⅳ-1.2.3.1 想 定 事 故 1 .............................. 205<br />
Ⅳ-1.2.3.2 想 定 事 故 2 .............................. 209<br />
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策 .......... 212<br />
Ⅳ-1.2.4.1 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ...................... 213<br />
Ⅳ-1.2.4.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 ...................... 217<br />
Ⅳ-1.2.4.3 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 ...................... 222<br />
Ⅳ-1.2.4.4 反 応 度 の 誤 投 入 .......................... 227<br />
Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード .................. 231<br />
Ⅳ-2 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 手 順 等 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 重 大 事<br />
故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 関 係 ) ..................... 240<br />
ii
Ⅳ-3 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 第 38 条 ~ 第 41 条 及<br />
び 第 43 条 関 係 ) .......................................... 246<br />
Ⅳ-3.1 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 地 盤 ( 第 38 条 関 係 )............ 247<br />
Ⅳ-3.2 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 39 条 関 係 )................ 250<br />
Ⅳ-3.3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 40 条 関 係 )................ 253<br />
Ⅳ-3.4 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 41 条 関 係 )................ 253<br />
Ⅳ-3.5 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 関 係 ).................. 254<br />
Ⅳ-4 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 .............................. 259<br />
Ⅳ-4.1 緊 急 停 止 失 敗 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 未 臨 界 にするための 設 備 及 び<br />
手 順 等 ( 第 44 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項<br />
関 係 ) .............................................. 259<br />
Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 45 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能<br />
力 基 準 1.2 項 関 係 ) ................................ 265<br />
Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
( 第 46 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 項 関 係 )<br />
.................................................... 273<br />
Ⅳ-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 47 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能<br />
力 基 準 1.4 項 関 係 ) ................................ 282<br />
Ⅳ-4.5 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 4<br />
8 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.5 項 関 係 ) .. 293<br />
Ⅳ-4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 49 条<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.6 項 関 係 )...... 301<br />
Ⅳ-4.7 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
( 第 50 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 項 関 係 )<br />
................................................... 309<br />
Ⅳ-4.8 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 ( 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 項 関 係 )<br />
................................................... 316<br />
Ⅳ-4.9 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 ( 第 52 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.9<br />
項 関 係 )............................................ 326<br />
Ⅳ-4.10 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 ( 第 53 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1<br />
0 項 関 係 ).......................................... 331<br />
iii
Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 54<br />
条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.11 項 関 係 ).. 336<br />
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手<br />
順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 項<br />
関 係 ).............................................. 344<br />
Ⅳ-4.13 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 の 供 給 設 備 及 び 手 順 等 ( 第<br />
56 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.13 項 関 係 )<br />
................................................... 350<br />
Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 ( 第 57 条 及 び 重 大<br />
事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 項 関 係 )............ 359<br />
Ⅳ-4.15 計 装 設 備 及 びその 手 順 等 ( 第 58 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
的 能 力 基 準 1.15 項 関 係 ).......................... 366<br />
Ⅳ-4.16 原 子 炉 制 御 室 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 26 条 、<br />
第 59 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.16 項 関 係 )<br />
................................................... 376<br />
Ⅳ-4.17 監 視 測 定 設 備 及 び 監 視 測 定 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 31 条 、 第<br />
60 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.17 項 関 係 )<br />
................................................... 382<br />
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、<br />
第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 項 関 係 )<br />
................................................... 391<br />
Ⅳ-4.19 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 通 信 連 絡 に 関 する 手 順<br />
等 ( 第 35 条 、 第 62 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準<br />
1.19 項 関 係 ).................................... 400<br />
Ⅳ-5 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリ<br />
ズムへの 対 応 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 関 係 ) .. 406<br />
Ⅴ 審 査 結 果 ........................................................ 411<br />
略 語 等 ............................................................ 412<br />
iv
Ⅰ はじめに<br />
1. 本 審 査 書 の 位 置 付 け<br />
本 審 査 書 は、「 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 」( 昭 和<br />
32 年 法 律 第 166 号 。 以 下 「 原 子 炉 等 規 制 法 」という。) 第 43 条 の3の8 第 1 項<br />
に 基 づいて、 九 州 電 力 株 式 会 社 ( 以 下 「 申 請 者 」という。)が 原 子 力 規 制 委 員 会<br />
( 以 下 「 規 制 委 員 会 」という。)に 提 出 した「 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設<br />
置 変 更 許 可 申 請 書 (3 号 及 び 4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )」( 平 成 25 年 7 月 12<br />
日 申 請 、 平 成 28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 1 月 5 日 補<br />
正 )( 以 下 「 本 申 請 」という。)の 内 容 が、<br />
(1) 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の8 第 2 項 で 準 用 する 第 43 条 の3の6 第 1 項<br />
第 2 号 の 規 定 ( 発 電 用 原 子 炉 を 設 置 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 及 び 経 理 的 基<br />
礎 があること。)のうち、 技 術 的 能 力 に 係 るもの、<br />
(2) 同 条 同 項 第 3 号 の 規 定 ( 重 大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必 要 な 措 置 を 実 施<br />
するために 必 要 な 技 術 的 能 力 その 他 の 発 電 用 原 子 炉 の 運 転 を 適 確 に 遂 行 する<br />
に 足 りる 技 術 的 能 力 があること。)、 及 び、<br />
(3) 同 条 同 項 第 4 号 の 規 定 ( 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 が 核 燃 料 物<br />
質 若 しくは 核 燃 料 物 質 によって 汚 染 された 物 又 は 発 電 用 原 子 炉 による 災 害 の<br />
防 止 上 支 障 がないものとして 原 子 力 規 制 委 員 会 規 則 で 定 める 基 準 に 適 合 する<br />
ものであること。)<br />
に 適 合 しているかどうかを 審 査 した 結 果 を 取 りまとめたものである。<br />
なお、 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 1 号 の 規 定 ( 発 電 用 原 子 炉 が<br />
平 和 の 目 的 以 外 に 利 用 されるおそれがないこと。) 及 び 第 2 号 の 規 定 のうち 経 理<br />
的 基 礎 に 係 るものに 関 する 審 査 結 果 は、 別 途 取 りまとめる。<br />
2. 判 断 基 準 及 び 審 査 方 針<br />
本 審 査 では、 以 下 の 基 準 等 に 適 合 しているかどうかを 確 認 した。<br />
(1) 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 の 規 定 のうち、 技 術 的 能 力 に<br />
係 るものに 関 する 審 査 においては、 原 子 力 事 業 者 の 技 術 的 能 力 に 関 する 審 査 指<br />
針 ( 平 成 16 年 5 月 27 日 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 。 以 下 「 技 術 的 能 力 指 針 」とい<br />
う。)<br />
(2) 同 条 同 項 第 3 号 の 規 定 に 関 する 審 査 においては、 技 術 的 能 力 指 針 及 び 実 用 発<br />
電 用 原 子 炉 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 の 重 大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必<br />
要 な 措 置 を 実 施 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 に 係 る 審 査 基 準 ( 原 規 技 発 第<br />
1306197 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 重 大 事 故 等 防<br />
止 技 術 的 能 力 基 準 」という。)<br />
1
(3) 同 条 同 項 第 4 号 の 規 定 に 関 する 審 査 においては、 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその<br />
附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 ( 平 成 25 年 6 月 28 日 原 子<br />
力 規 制 委 員 会 規 則 第 5 号 。 以 下 「 設 置 許 可 基 準 規 則 」という。) 及 び 実 用 発 電 用<br />
原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 ( 原<br />
規 技 発 第 1306193 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 設<br />
置 許 可 基 準 規 則 解 釈 」という。)<br />
同 条 同 項 第 4 号 の 規 定 に 関 する 審 査 においては、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 にお<br />
いて 規 定 される、 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 火 災 防 護 に 係 る 審 査 基<br />
準 ( 原 規 技 発 第 1306195 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以<br />
下 「 火 災 防 護 基 準 」という。)に 適 合 しているかどうかについても 確 認 した。<br />
また、 本 審 査 においては、 規 制 委 員 会 が 定 めた 以 下 のガイド 等 を 参 照 するとと<br />
もに、その 他 法 令 で 定 める 基 準 、 学 協 会 規 格 等 も 参 照 した。<br />
(1) 原 子 力 発 電 所 の 火 山 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061910 号 ( 平 成 25 年 6<br />
月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 火 山 ガイド」という。)<br />
(2) 原 子 力 発 電 所 の 竜 巻 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061911 号 ( 平 成 25 年 6<br />
月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 竜 巻 ガイド」という。)<br />
(3) 原 子 力 発 電 所 の 外 部 火 災 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061912 号 ( 平 成 25<br />
年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 外 部 火 災 ガイド」という。)<br />
(4) 原 子 力 発 電 所 の 内 部 溢 水 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061913 号 ( 平 成 25<br />
年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 溢 水 ガイド」という。)<br />
(5) 原 子 力 発 電 所 の 内 部 火 災 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061914 号 ( 平 成 25<br />
年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。)<br />
(6) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 炉 心 損 傷 防 止 対 策 及 び 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061915 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原<br />
子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 有 効 性 評 価 ガイド」という。)<br />
(7) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061916 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原<br />
子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「SFP 評 価 ガイド」という。)<br />
(8) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 運 転 停 止 中 原 子 炉 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061917 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原<br />
子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 停 止 中 評 価 ガイド」という。)<br />
(9) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 重 大 事 故 時 の 制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 に 係<br />
る 被 ばく 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061918 号 ( 平 成 25 年 6 月 19<br />
日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。)<br />
2
(10) 敷 地 内 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 調 査 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第<br />
1306191 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 地 質 ガイド」<br />
という。)<br />
(11) 基 準 地 震 動 及 び 耐 震 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第 1306192 号 ( 平<br />
成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 地 震 ガイド」という。)<br />
(12) 基 準 津 波 及 び 耐 津 波 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第 1306193 号 ( 平<br />
成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 津 波 ガイド」という。)<br />
(13) 基 礎 地 盤 及 び 周 辺 斜 面 の 安 定 性 評 価 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第 1306194<br />
号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 地 盤 ガイド」という。)<br />
なお、 本 審 査 は、1 号 炉 及 び 2 号 炉 の 原 子 炉 容 器 には 燃 料 を 装 荷 しない 前 提 と<br />
している。このうち 1 号 炉 については、 廃 止 措 置 計 画 認 可 申 請 書 が 提 出 されてい<br />
る。<br />
3. 本 審 査 書 の 構 成<br />
「Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力 」には、 技 術 的 能 力 指<br />
針 への 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 を 示 した。<br />
「Ⅲ 設 計 基 準 対 象 施 設 」には、 設 置 許 可 基 準 規 則 のうち 設 計 基 準 対 象 施 設 を<br />
含 む 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 適 用 される 規 定 への 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 を 示 した。<br />
「Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 」には、 設 置<br />
許 可 基 準 規 則 のうち 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 適 用 される 規 定 及 び 重 大 事 故 等 防 止<br />
技 術 的 能 力 基 準 への 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 を 示 した。<br />
「Ⅴ 審 査 結 果 」には、 規 制 委 員 会 としての 結 論 を 示 した。<br />
なお、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 双 方 の 機 能 を 有 する 施 設 の<br />
うち、 原 子 炉 制 御 室 等 、 監 視 設 備 、 緊 急 時 対 策 所 及 び 通 信 連 絡 設 備 に 関 する 審 査<br />
内 容 については、「Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能<br />
力 」において、 設 計 基 準 対 象 施 設 としての 基 準 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 と 併 せて<br />
示 した。<br />
また、3 号 炉 と 4 号 炉 の 審 査 内 容 が 共 通 する 場 合 には、 号 炉 ごとではなく、ま<br />
とめて 記 載 した。そのため、4 号 炉 においては、「 復 水 タンク」を「 復 水 ピット」<br />
に、「 燃 料 取 替 用 水 タンク」を「 燃 料 取 替 用 水 ピット」に 読 み 替 える。ただし、 必<br />
要 により 3 号 炉 及 び 4 号 炉 について 各 々 記 載 した。<br />
3
本 審 査 書 においては、 法 令 の 規 定 等 や 申 請 書 の 内 容 について、 必 要 に 応 じ、 文<br />
章 の 要 約 や 言 い 換 え 等 を 行 っている。<br />
る。<br />
本 審 査 書 で 用 いる 条 番 号 は、 断 りのない 限 り 設 置 許 可 基 準 規 則 のものであ<br />
Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力<br />
原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 る 部 分 に 限 る。)<br />
は、 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 に 発 電 用 原 子 炉 を 設 置 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 がある<br />
ことを、 同 項 第 3 号 は、 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 に 重 大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必<br />
要 な 措 置 を 実 施 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 その 他 の 発 電 用 原 子 炉 の 運 転 を 適 確<br />
に 遂 行 するに 足 りる 技 術 的 能 力 があることを 要 求 している。<br />
このうち、 本 章 においては、 原 子 炉 を 設 置 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 及 び 原 子<br />
炉 の 運 転 を 適 確 に 遂 行 するに 足 りる 技 術 的 能 力 についての 審 査 結 果 を 記 載 する。 重<br />
大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必 要 な 措 置 を 実 施 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 に<br />
ついての 審 査 結 果 は、Ⅳ-2、Ⅳ-4 及 びⅣ-5で 記 載 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 技 術 的 能 力 を 技 術 的 能 力 指 針 に 沿 って 審 査 した。 具 体 的<br />
には、 本 申 請 が 既 に 運 転 実 績 を 有 する 原 子 炉 に 関 するものであることにかんがみ、<br />
技 術 的 能 力 指 針 の 項 目 を 以 下 の 項 目 に 整 理 して 審 査 を 行 った。<br />
1. 組 織<br />
2. 技 術 者 の 確 保<br />
3. 経 験<br />
4. 品 質 保 証 活 動 体 制<br />
5. 技 術 者 に 対 する 教 育 ・ 訓 練<br />
6. 原 子 炉 主 任 技 術 者 等 の 選 任 ・ 配 置<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 技 術 的 能 力 指 針 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 組 織<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 原 子 炉 施 設 の 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 を 実 施 する<br />
ために、 役 割 分 担 が 明 確 化 された 組 織 を 構 築 すること 又 は 構 築 する 方 針 を 示 すこ<br />
とを 要 求 している。<br />
4
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 業 務 は、 玄 海 原 子 力 発 電 所 原 子 炉 施 設<br />
保 安 規 定 ( 以 下 「 保 安 規 定 」という。)で 定 めた 業 務 所 掌 に 基 づき 実 施 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 の 業 務 は、 発 電 本 部 の 各 担 当 部 門 及 び 技 術 本 部 の 原 子 力 土 木<br />
部 門 ( 以 下 「 原 子 力 関 連 部 門 」という。) 並 びに 本 発 電 所 の 担 当 課 それぞれに<br />
おいて 実 施 する。なお、 設 計 及 び 工 事 の 業 務 のうち、 現 地 における 管 理 は 本<br />
発 電 所 の 担 当 課 において 実 施 する。<br />
(3) 運 転 及 び 保 守 の 業 務 は、 本 発 電 所 の 担 当 課 において 実 施 する。なお、 自 然<br />
災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 非 常 事 態 に 際 しては、 本 発 電 所 に 設 置 する 原 子 力 防 災<br />
組 織 により、 運 転 及 び 保 守 の 業 務 を 実 施 する。また、これらの 組 織 は、 本 店<br />
に 設 置 する 原 子 力 防 災 組 織 とも 連 携 する。<br />
(4) 保 安 規 定 等 の 法 令 上 の 手 続 きを 要 するものについては、 本 店 の 原 子 力 発 電<br />
安 全 委 員 会 において 審 議 し、 本 発 電 所 で 使 用 する 手 順 については、 本 発 電 所<br />
の 玄 海 原 子 力 発 電 安 全 運 営 委 員 会 において 審 議 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 業 務 を 実 施 する 原 子 力 関 連<br />
部 門 及 び 本 発 電 所 の 担 当 課 並 びに 原 子 力 発 電 安 全 委 員 会 及 び 原 子 力 発 電 安 全 運<br />
営 委 員 会 については、 本 店 と 本 発 電 所 の 役 割 分 担 を 明 確 化 するとしており、 更 に<br />
自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 非 常 事 態 に 対 応 するための 組 織 として、 原 子 力 防 災 組<br />
織 を 設 置 し、 対 応 するとしていることなど、 申 請 者 の 組 織 の 構 築 については 適 切<br />
なものであることを 確 認 した。<br />
2. 技 術 者 の 確 保<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 を 行 うための 専 門 知 識 、<br />
技 術 及 び 技 能 を 有 する 技 術 者 を 確 保 すること 又 は 確 保 する 方 針 を 示 すことを 要<br />
求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 原 子 力 関 連 部 門 及 び 本 発 電 所 においては、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保<br />
守 に 必 要 な 技 術 者 の 人 数 を 確 保 するとともに、 原 子 炉 主 任 技 術 者 、 放 射 線 取<br />
扱 主 任 者 、ボイラー・タービン 主 任 技 術 者 等 の 資 格 を 有 する 技 術 者 を 確 保 す<br />
る。さらに、 本 発 電 所 では、 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 な 大 型 自<br />
動 車 等 を 運 転 する 資 格 を 有 する 技 術 者 を 確 保 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 に 必 要 な 技 術 者 は、 業 務 の 各 工 程 において 必 要 な 人 数 を 配 置<br />
する。また、 運 転 及 び 保 守 に 必 要 な 技 術 者 及 び 有 資 格 者 である 技 術 者 につい<br />
ても、 業 務 を 実 施 するために 必 要 な 人 数 を 配 置 する。<br />
(3)さらに、 必 要 な 技 術 者 については、 採 用 、 教 育 及 び 訓 練 を 行 うことにより、<br />
5
今 後 とも 継 続 的 に 確 保 する 方 針 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 原 子 力 関 連 部 門 及 び 本 発 電 所 における、 技 術 者 数 の 推 移 、 採 用<br />
実 績 、 教 育 及 び 訓 練 実 績 により、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 必 要 な 技 術<br />
者 及 び 有 資 格 者 である 技 術 者 を 確 保 していること、 及 び、 今 後 とも 計 画 的 かつ 継<br />
続 的 に 採 用 、 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 するとしていることなど、 申 請 者 における 技 術<br />
者 の 確 保 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
3. 経 験<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 必 要 な 経 験 として、 本<br />
申 請 と 同 等 又 は 類 似 の 施 設 の 経 験 を 有 していること 又 は 経 験 を 蓄 積 する 方 針 を<br />
示 すことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 本 発 電 所 4 基 及 び 川 内 原 子 力 発 電 所 2 基 の 建 設 及 び 改 造 を 通 じた 設 計 及 び<br />
工 事 の 経 験 に 加 えて、 約 40 年 にわたる 運 転 及 び 保 守 の 経 験 を 有 する。<br />
(2)また、アクシデントマネジメント 対 策 である 代 替 再 循 環 、 代 替 補 機 冷 却 、<br />
格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 及 び 格 納 容 器 内 注 水 を 可 能 とするための 設 備 改 造<br />
を 実 施 した 経 験 を 有 していることに 加 えて、 経 済 産 業 大 臣 の 指 示 に 基 づき 実<br />
施 した 緊 急 安 全 対 策 である 空 冷 式 非 常 用 発 電 装 置 、 電 源 車 、 消 防 ポンプ 等 の<br />
配 備 を 通 じた 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 経 験 を 有 する。<br />
(3)さらに、 国 内 外 の 関 連 施 設 への 技 術 者 の 派 遣 、トラブル 対 応 に 関 する 情 報<br />
の 収 集 及 び 活 用 により、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 経 験 を 蓄 積 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 緊 急 安 全 対 策 も 含 めたこれまでの 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び<br />
保 守 の 経 験 に 加 えて、 国 内 外 の 関 連 施 設 への 技 術 者 派 遣 実 績 並 びにトラブル 対 応<br />
情 報 の 収 集 及 び 活 用 の 実 績 があること、また、 今 後 ともこれらを 適 切 に 継 続 する<br />
方 針 であることなど、 申 請 者 の 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 経 験 並 びに 経<br />
験 を 蓄 積 する 方 針 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
4. 品 質 保 証 活 動 体 制<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 を 遂 行 するために 必 要 な<br />
品 質 保 証 活 動 を 行 う 体 制 を 構 築 すること 又 は 構 築 する 方 針 を 示 すことを 要 求 し<br />
ている。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 社 内 の 体 制<br />
1 品 質 保 証 活 動 の 実 施 に 当 たっては、 原 子 力 発 電 所 の 安 全 を 達 成 、 維 持<br />
6
及 び 向 上 することを 目 的 として、 安 全 文 化 を 醸 成 するための 活 動 並 びに<br />
関 係 法 令 及 び 保 安 規 定 の 遵 守 に 対 する 意 識 の 向 上 を 図 るための 活 動 を<br />
含 めた 品 質 マネジメントシステムを 構 築 するため「 原 子 力 発 電 所 におけ<br />
る 安 全 のための 品 質 保 証 規 程 (JEAC4111-2009)」 及 び「 実 用 発 電 用 原 子<br />
炉 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 の 設 計 及 び 工 事 に 係 る 品 質 管 理 の 方 法 及<br />
びその 検 査 のための 組 織 の 技 術 基 準 に 関 する 規 則 ( 平 成 25 年 6 月 28 日<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 規 則 第 8 号 )」に 基 づいて 原 子 力 発 電 所 品 質 マニュア<br />
ル( 要 則 )( 以 下 「 品 質 マニュアル( 要 則 )」という。)を 定 める。<br />
2 本 店 各 部 門 及 び 本 発 電 所 並 びに 監 査 部 門 である 本 店 の 原 子 力 ・ 保 安 監<br />
査 部 においては、 品 質 マニュアル( 要 則 )に 基 づき、 手 順 及 び 記 録 に 関<br />
する 文 書 体 系 を 定 める。<br />
3 社 長 は、 品 質 マニュアル( 要 則 )に 基 づく 方 針 を 定 め、 原 子 力 安 全 の<br />
重 要 性 を 組 織 内 に 周 知 する。また、 実 施 部 門 の 管 理 責 任 者 である 発 電 本<br />
部 長 の 下 、 各 業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 は、 同 方 針 に 基 づき 各 部 門 におけ<br />
る 品 質 保 証 活 動 に 関 する 計 画 を 策 定 、 実 施 、 評 価 及 び 改 善 する。<br />
4 監 査 部 門 の 管 理 責 任 者 である 原 子 力 ・ 保 安 監 査 部 長 は、 実 施 部 門 とは<br />
独 立 した 立 場 で 監 査 を 実 施 する。<br />
5 社 長 は、 管 理 責 任 者 から 品 質 保 証 活 動 に 関 する 報 告 を 受 け、その 実 施<br />
状 況 を 踏 まえた 改 善 の 必 要 性 についてマネジメントレビューを 行 う。<br />
6 さらに、 品 質 マネジメントシステムの 有 効 性 を 維 持 あるいは 向 上 させ<br />
るために、 実 施 部 門 に 共 通 する 活 動 については 本 店 の 原 子 力 品 質 保 証 委<br />
員 会 において 審 議 し、 一 方 、 本 発 電 所 において 実 施 する 活 動 は 品 質 保 証<br />
委 員 会 において 審 議 し、それぞれの 審 議 結 果 を 業 務 へ 反 映 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 関 する 品 質 保 証 活 動<br />
1 設 計 及 び 工 事 は、 各 業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 が、 品 質 マニュアル( 要<br />
則 )に 従 い、その 重 要 度 に 応 じて 実 施 する。 調 達 する 場 合 には、 供 給 者<br />
に 対 して 要 求 事 項 を 明 確 にするとともに、 重 要 度 に 応 じて 管 理 を 行 い、<br />
試 験 及 び 検 査 等 により 調 達 する 製 品 等 が 要 求 事 項 を 満 足 していること<br />
を 確 認 する。<br />
2 運 転 及 び 保 守 は、 各 業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 が、 品 質 マニュアル( 要<br />
則 )に 従 って、 個 々の 業 務 を 計 画 し、 実 施 する。 調 達 する 場 合 には、 設<br />
計 及 び 工 事 と 同 様 に 管 理 、 確 認 する。<br />
3 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 において 不 適 合 が 発 生 した 場 合 、 各<br />
業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 は、 不 適 合 を 除 去 し、 原 因 を 特 定 した 上 で 是 正<br />
処 置 を 実 施 する。 調 達 においては、これらを 供 給 者 に 行 わせ、 各 業 務 を<br />
主 管 する 組 織 の 長 が 確 認 する。<br />
7
規 制 委 員 会 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 業 務 における 品 質 保 証 活 動<br />
については、 品 質 マニュアル( 要 則 )を 定 めた 上 で、その 品 質 マニュアル( 要 則 )<br />
等 の 下 で 調 達 管 理 を 含 めた 品 質 保 証 活 動 に 関 する 計 画 、 実 施 、 評 価 、 改 善 を 実 施<br />
する 仕 組 み 及 び 役 割 を 明 確 化 した 体 制 を 構 築 していることなど、 申 請 者 の 品 質 保<br />
証 活 動 体 制 の 構 築 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
5. 技 術 者 に 対 する 教 育 ・ 訓 練<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 技 術 者 に 対 して、 専 門 知 識 、 技 術 及 び 技 能 を 維 持 及 び 向 上<br />
させるための 教 育 及 び 訓 練 を 行 う 方 針 を 示 すことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 新 たに 配 属 された 技 術 者 に 対 しては、 原 子 力 発 電 の 基 礎 知 識 の 習 得 を 図 る<br />
ため、 現 場 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 従 事 する 技 術 者 に 対 しては、 専 門 知 識 、<br />
技 術 及 び 技 能 の 習 得 を 図 るため、 原 子 力 訓 練 センターに 加 え、 株 式 会 社 原 子<br />
力 発 電 訓 練 センター 及 び 日 本 原 子 力 発 電 株 式 会 社 等 の 国 内 の 原 子 力 関 係 機<br />
関 において 能 力 に 応 じた 机 上 教 育 及 び 実 技 訓 練 を 実 施 する。<br />
(3) 教 育 ・ 訓 練 は、 専 門 知 識 、 技 術 及 び 技 能 の 習 得 状 況 に 応 じて 対 象 者 、 内 容<br />
及 び 時 間 等 に 関 する 実 施 計 画 を 策 定 し 実 施 する。<br />
(4) 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 に 対 応 する 技 術 者 、 事 務 系 社 員 及 び 協 力 会 社 社 員<br />
に 対 しては、 各 役 割 に 応 じて 必 要 な 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 技 術 者 に 対 しては 専 門 知 識 、 技 術 及 び 技 能 を 維 持 及 び 向 上 させ<br />
るため、 教 育 訓 練 基 準 を 策 定 した 上 で 必 要 な 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 すること、 更 に<br />
事 務 系 職 員 及 び 協 力 会 社 社 員 に 対 しても、 自 然 災 害 対 応 等 の 役 割 に 応 じて、 教 育<br />
及 び 訓 練 を 実 施 することなど、 申 請 者 の 技 術 者 等 に 対 する 教 育 及 び 訓 練 の 方 針 は<br />
適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
6. 原 子 炉 主 任 技 術 者 等 の 選 任 ・ 配 置<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 及 び 運 転 責 任 者 をその 職 務 が 適 切 に 遂 行<br />
できるよう 配 置 していること 又 は 配 置 する 方 針 を 示 すことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 原 子 炉 主 任 技 術 者 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 の 免 状 を 有 し、 実 務 経 験 を 有 する<br />
者 から、 原 子 炉 ごとに 選 任 する。<br />
(2) 原 子 炉 主 任 技 術 者 は、 原 子 炉 施 設 の 運 転 に 関 し 保 安 の 監 督 を 誠 実 かつ 最 優<br />
先 に 行 うこととし、 原 子 炉 施 設 の 運 転 に 関 して 必 要 な 指 示 ができるよう、 職<br />
8
務 の 独 立 性 を 確 保 するために 社 長 が 選 任 し 配 置 する。<br />
(3) 原 子 炉 主 任 技 術 者 の 代 行 者 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 の 要 件 を 有 する 課 長 以 上<br />
から 選 任 する。<br />
(4) 運 転 責 任 者 は、 規 制 委 員 会 が 定 める 基 準 に 適 合 した 者 の 中 から 選 任 し、 当<br />
直 の 責 任 者 である 当 直 課 長 の 職 位 として 配 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 については、 必 要 な 要 件 を 踏 まえた 上 で 選 任<br />
し、 独 立 性 を 確 保 した 職 位 として 配 置 すること、 運 転 責 任 者 については、 基 準 に<br />
適 合 した 者 の 中 から 選 任 し、 当 直 課 長 の 職 位 として 配 置 することなど、 申 請 者 の<br />
有 資 格 者 等 の 選 任 及 び 配 置 の 方 針 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
9
Ⅲ 設 計 基 準 対 象 施 設<br />
本 章 においては、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 関 して 変 更 申 請 がなされた 内 容 について 審<br />
査 した 結 果 を、 設 置 許 可 基 準 規 則 の 条 項 ごとに 示 した。<br />
Ⅲ-1 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )<br />
第 4 条 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 耐 震 重 要 度 に 応 じて 算 定 した 地 震 力 に 十<br />
分 に 耐 えることができる 設 計 とすることを、また、 耐 震 重 要 施 設 については、 基 準<br />
地 震 動 による 地 震 力 及 び 基 準 地 震 動 によって 生 ずるおそれがある 斜 面 の 崩 壊 に 対<br />
してその 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動<br />
1. 地 下 構 造 モデル<br />
2. 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動<br />
3. 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
4. 基 準 地 震 動 の 策 定<br />
Ⅲ-1.2 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針<br />
1. 耐 震 重 要 度 分 類 の 方 針<br />
2. 弾 性 設 計 用 地 震 動 の 設 定 方 針<br />
3. 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 及 び 静 的 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
4. 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 設 定 方 針<br />
5. 波 及 的 影 響 に 係 る 設 計 方 針<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 別 記 2( 以 下 「 解 釈 別 記 2」という。)は、 基 準 地 震 動 につ<br />
いて、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 踏 まえ、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 、<br />
地 盤 構 造 並 びに 地 震 活 動 性 等 の 地 震 学 及 び 地 震 工 学 的 見 地 から 想 定 することが 適<br />
切 なものを 策 定 することを 要 求 している。また、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定<br />
する 地 震 動 」 及 び「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 敷 地 の 解 放 基 盤 表<br />
10
面 における 水 平 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 としてそれぞれ 策 定 することを 要 求 し<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 地 震 動 評 価 の 内 容 について 審 査 した 結 果 、 本 申 請<br />
における 基 準 地 震 動 は、 各 種 の 不 確 かさを 考 慮 して、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を<br />
踏 まえ、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 、 地 盤 構 造 並 びに 地 震 活 動 性 等 の 地 震<br />
学 及 び 地 震 工 学 的 見 地 から 適 切 に 策 定 されていることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適<br />
合 していることを 確 認 した。<br />
1. 地 下 構 造 モデル<br />
(1) 解 放 基 盤 表 面 の 設 定<br />
解 釈 別 記 2は、 解 放 基 盤 表 面 について、 著 しい 高 低 差 がなく、ほぼ 水 平 で 相<br />
当 な 拡 がりを 持 って 想 定 される 自 由 表 面 であり、せん 断 波 速 度 ( 以 下 「S 波 速<br />
度 」という。)がおおむね 700m/s 以 上 の 硬 質 地 盤 であって、 著 しい 風 化 を 受 け<br />
ていないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 解 放 基 盤 表 面 の 設 定 に 関 する 評 価 について、 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 発 電 所 敷 地 内 で 実 施 した 地 質 調 査 及 び 試 掘 坑 内 弾 性 波 探 査 の 結 果 よ<br />
り、S 波 速 度 が 約 1.35km/s の 岩 盤 が 相 当 の 広 範 囲 にわたり 基 盤 を 構 成 し<br />
ていることを 確 認 した。 以 上 のことから、 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺<br />
建 屋 基 礎 底 盤 位 置 の 標 高 ( 以 下 「EL.」という。)-15.0m の 位 置 に 解 放 基 盤<br />
表 面 を 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 設 定 している 解 放 基 盤 表 面 は、 必 要 な 特 性 を 有 し、<br />
要 求 されるS 波 速 度 を 持 つ 硬 質 地 盤 の 表 面 に 設 定 されていることから、 解 釈 別<br />
記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
(2) 敷 地 地 盤 の 地 下 構 造 の 評 価<br />
解 釈 別 記 2は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 下 構 造 ( 深 部 ・ 浅 部 地 盤 構 造 )が 地 震<br />
波 の 伝 播 特 性 に 与 える 影 響 を 検 討 するため、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 地 層 の<br />
傾 斜 、 断 層 及 び 褶 曲 構 造 等 の 地 質 構 造 を 評 価 するとともに、 地 震 基 盤 の 位 置 及<br />
び 形 状 、 岩 相 ・ 岩 質 の 不 均 一 性 並 びに 地 震 波 速 度 構 造 等 の 地 下 構 造 及 び 地 盤 の<br />
減 衰 特 性 を 評 価 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 敷 地 地 盤 の 地 下 構 造 の 評 価 について、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における<br />
地 質 調 査 等 に 基 づき 以 下 のとおりとしている。<br />
1 地 質 調 査 の 結 果 、 敷 地 及 び 敷 地 近 傍 には 古 第 三 紀 漸 新 世 ~ 新 第 三 紀 前 期<br />
さ せ ぼ<br />
中 新 世 の 佐 世 保<br />
ひがしまつうら<br />
層 群 、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦<br />
玄 武 岩 類 並 びに 第 四 紀 の<br />
11
段 丘 堆 積 物 及 び 沖 積 層 等 が 分 布 する。 地 盤 は 古 第 三 紀 漸 新 世 ~ 新 第 三 紀 前<br />
ひんがん<br />
期 中 新 世 の 佐 世 保 層 群 を 基 盤 岩 とし、これに 岩 脈 ( 玢 岩 )が 貫 入 し、これ<br />
はち<br />
ノ<br />
の<br />
く<br />
ぼ<br />
らを 新 第 三 紀 中 新 世 の 八 久 保 砂 礫 層 、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武 岩 類<br />
及 び 第 四 紀 の 堆 積 物 が 不 整 合 で 覆 う。<br />
2 本 発 電 所 敷 地 内 で 得 られた 地 震 観 測 記 録 (M3.1~M7.3)のうち、M5.0 以<br />
上 の 地 震 により 得 られた 地 震 観 測 記 録 の 応 答 スペクトルと Noda et al.<br />
(2002)による 標 準 的 な 応 答 スペクトルの 比 を、 到 来 方 向 別 に 算 定 し、 比<br />
較 検 討 した 結 果 、 特 異 な 増 幅 傾 向 はない。<br />
3 本 発 電 所 敷 地 内 で 得 られた 地 震 観 測 記 録 を、 地 震 波 の 到 来 方 向 別 に 比 較<br />
検 討 した 結 果 、 増 幅 特 性 が 異 なるような 傾 向 はない。<br />
4 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 地 盤 は 佐 世 保 層 群 を 基 盤 と<br />
し、その 速 度 層 は、PS 検 層 及 び 地 質 調 査 等 の 結 果 、 均 質 かつ 水 平 な 速 度 構<br />
造 を 示 していることから、 水 平 成 層 構 造 として 一 次 元 の 速 度 構 造 をモデル<br />
化 した。<br />
5 一 次 元 の 地 下 構 造 モデルは、 速 度 構 造 及 び 減 衰 構 造 については、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 基 礎 底 盤 位 置 の 解 放 基 盤 表 面 EL.-15m から<br />
EL.-200m までは 試 掘 坑 内 弾 性 波 探 査 結 果 及 びボーリング 孔 による PS 検 層<br />
結 果 等 を 参 考 に 設 定 した。また、EL.-200m から EL.-33,015m までは 地 震 調<br />
査 委 員 会 (2007)により、さらに、 深 部 については、 地 震 調 査 委 員 会 (2003)<br />
を 参 考 に 設 定 した。<br />
6 当 該 地 下 構 造 モデルから 理 論 的 に 求 まる 伝 達 関 数 が、 本 発 電 所 敷 地 内 で<br />
の 観 測 記 録 から 求 まる 伝 達 関 数 と 整 合 的 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 発 電 所 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 下 構 造 の 評 価 に 関 して、 申 請 者<br />
が 行 った 調 査 の 手 法 は、 地 質 ガイドを 踏 まえているとともに、 調 査 結 果 に 基 づき<br />
地 下 構 造 を 水 平 成 層 かつ 均 質 と 評 価 し、 一 次 元 地 下 構 造 モデルを 設 定 しており、<br />
当 該 地 下 構 造 モデルは 地 震 波 の 伝 播 特 性 に 与 える 影 響 を 評 価 するに 当 たって 適<br />
切 なものであることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
2. 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動<br />
解 釈 別 記 2は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」は、 内 陸 地 殻 内 地<br />
震 、プレート 間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 について、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 え<br />
ると 予 想 される 地 震 ( 以 下 「 検 討 用 地 震 」という。)を 複 数 選 定 し、 選 定 した 検 討<br />
用 地 震 ごとに、 不 確 かさを 考 慮 して 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 及 び 断 層<br />
モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 を、 解 放 基 盤 表 面 までの 地 震 波 の 伝 播 特 性<br />
を 反 映 して 策 定 することを 要 求 している。<br />
12
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」<br />
の 評 価 については、 複 数 選 定 した 検 討 用 地 震 ごとに、 不 確 かさを 考 慮 して「 応 答<br />
スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評<br />
価 」を 適 切 な 手 法 で 行 っていることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること<br />
を 確 認 した。<br />
(1) 震 源 として 考 慮 する 活 断 層<br />
解 釈 別 記 2は、 内 陸 地 殻 内 地 震 に 関 し、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 の 評 価 に<br />
当 たっては、 調 査 地 域 の 地 形 及 び 地 質 条 件 に 応 じ、 既 存 文 献 の 調 査 、 変 動 地 形<br />
学 的 調 査 、 地 質 調 査 、 地 球 物 理 学 的 調 査 等 の 特 性 を 活 かし、これらを 適 切 に 組<br />
み 合 わせた 調 査 を 実 施 した 上 で、その 結 果 を 総 合 的 に 評 価 し 活 断 層 の 位 置 、 形<br />
状 、 活 動 性 等 を 明 らかにすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 調 査 内 容 、 調 査 結 果 及 びその 評 価 について、 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 敷 地 周 辺 の 地 質 及 び 地 質 構 造 を 把 握 するため、 陸 域 については、 文 献 調<br />
査 、 変 動 地 形 学 的 調 査 、 地 表 地 質 調 査 及 び 地 球 物 理 学 的 調 査 を 実 施 した。<br />
また、 海 域 については、 文 献 調 査 のほか、 海 上 音 波 探 査 及 び 他 機 関 によっ<br />
て 実 施 された 海 上 音 波 探 査 記 録 の 解 析 等 を 行 い、 地 質 ・ 地 質 構 造 の 検 討 を<br />
実 施 した。<br />
たけ こ ば<br />
いまふく<br />
じょうやまみなみ<br />
2 敷 地 周 辺 では、 調 査 結 果 に 基 づき、 竹 木 場 断 層 、 今 福 断 層 、 城 山 南 断<br />
くす く<br />
くにみ<br />
ま な ご あらたにとうげ<br />
ほこ の きやま<br />
層 、 楠 久 断 層 、 国 見 断 層 、 真 名 子 - 荒 谷 峠 断 層 、 鉾 ノ 木 山 リニアメント、<br />
け ご<br />
さ が<br />
ひなたとうげ おかさぎとうげ<br />
にしやま<br />
警 固 断 層 帯 、 佐 賀 平 野 北 縁 断 層 帯 、 日 向 峠 - 小 笠 木 峠 断 層 帯 、 西 山 断 層<br />
いとしま<br />
い<br />
き<br />
つしま<br />
帯 、 糸 島 半 島 沖 断 層 、F-h 断 層 、 壱 岐 北 東 部 断 層 群 、 対 馬 南 方 沖 断 層 、 対<br />
いづはら<br />
馬 南 西 沖 断 層 群 、 厳 原 東 方 沖 断 層 群 、 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 等 を 震 源 として<br />
考 慮 する 活 断 層 として 抽 出 し、 活 断 層 の 位 置 、 形 状 等 を 評 価 した。<br />
う<br />
く しま<br />
な ご や<br />
3 敷 地 近 傍 においては、 文 献 調 査 及 び 変 動 地 形 学 的 調 査 の 結 果 、 名 護 屋 断<br />
層 及 びそれに 対 応 するリニアメント 並 びに 名 護 屋 南 断 層 を 抽 出 した。これ<br />
らの 断 層 について 調 査 を 実 施 した 結 果 、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 は 認 め<br />
られないと 評 価 した。<br />
4 敷 地 においては、 文 献 調 査 、 変 動 地 形 学 的 調 査 、 地 表 地 質 調 査 、ボーリ<br />
ング 調 査 、 試 掘 坑 調 査 等 の 結 果 、 規 模 が 大 きく、 地 質 構 造 を 規 制 する 断 層<br />
は 認 められないものの、 小 規 模 な 断 層 が 認 められ、その 性 状 及 び 上 載 地 層<br />
の 年 代 に 着 目 した 手 法 による 検 討 結 果 から 少 なくとも 後 期 更 新 世 以 降 活<br />
動 していないと 考 えられ、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 は 認 められないと 評<br />
価 した。<br />
13
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 申 請 者 が 当 初 、 壱 岐 北 東 部 に 複 数 の 断<br />
層 が 分 布 するが、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 ではないと 評 価 していたため、 断<br />
層 評 価 を 再 検 討 するよう 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 壱 岐 北 東 部 に 分 布 する 断 層 群 を 一 連 の 断 層 とし、<br />
震 源 として 考 慮 する 活 断 層 として 評 価 を 見 直 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 の 評 価 は、 調 査<br />
地 域 の 地 形 ・ 地 質 条 件 に 応 じて 適 切 な 手 法 、 範 囲 及 び 密 度 で 調 査 を 実 施 した 上<br />
で、その 結 果 を 総 合 的 に 評 価 し、 活 断 層 の 位 置 、 形 状 、 活 動 性 等 を 明 らかにし<br />
ていることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
(2) 検 討 用 地 震 の 選 定<br />
解 釈 別 記 2は、 内 陸 地 殻 内 地 震 、プレート 間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 に<br />
ついて、 活 断 層 の 性 質 や 地 震 発 生 状 況 を 精 査 し、 中 ・ 小 ・ 微 小 地 震 の 分 布 、 応<br />
力 場 及 び 地 震 発 生 様 式 (プレートの 形 状 ・ 運 動 ・ 相 互 作 用 を 含 む。)に 関 する 既<br />
往 の 研 究 成 果 等 を 総 合 的 に 検 討 し、 検 討 用 地 震 を 複 数 選 定 することを 要 求 して<br />
いる。また、 震 源 モデルの 形 状 及 び 震 源 特 性 パラメータ 等 の 評 価 に 当 たっては、<br />
孤 立 した 短 い 活 断 層 の 扱 いに 留 意 するとともに、 複 数 の 活 断 層 の 連 動 を 考 慮 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 検 討 用 地 震 の 選 定 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
1 内 陸 地 殻 内 地 震<br />
内 陸 地 殻 内 地 震 については、 気 象 庁 震 度 階 級 関 連 解 説 表 の 記 載 によると、<br />
地 震 によって 建 物 等 に 被 害 が 発 生 するのは 震 度 5 弱 (1996 年 以 前 は 震 度<br />
Ⅴ) 程 度 以 上 であると 考 えられることを 踏 まえて、 過 去 の 地 震 及 び 活 断 層<br />
による 地 震 を 評 価 し、 敷 地 に 影 響 を 及 ぼすものを 抽 出 した。<br />
このように 抽 出 した 敷 地 に 影 響 を 及 ぼす 地 震 について、Noda et al.<br />
(2002)の 方 法 により 求 めた 応 答 スペクトルの 比 較 を 行 った 結 果 、 竹 木 場<br />
断 層 による 地 震 及 び 城 山 南 断 層 による 地 震 を 検 討 用 地 震 として 選 定 した。<br />
2 プレート 間 地 震<br />
プレート 間 地 震 については、 過 去 の 地 震 から、 敷 地 における 揺 れは、 建<br />
物 等 に 被 害 が 発 生 するとされている 震 度 5 弱 (1996 年 以 前 は 震 度 V) 程 度<br />
以 上 とは 推 定 されず、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 える 地 震 ではないことから、<br />
検 討 用 地 震 を 選 定 しない。<br />
14
3 海 洋 プレート 内 地 震<br />
海 洋 プレート 内 地 震 については、 発 生 位 置 から 敷 地 までの 距 離 が 十 分 に<br />
離 れているため、 建 物 等 に 被 害 が 発 生 するとされている 震 度 5 弱 (1996 年<br />
以 前 は 震 度 V) 程 度 以 上 とは 推 定 されず、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 える 地 震<br />
ではないことから、 検 討 用 地 震 を 選 定 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 申 請 者 が 当 初 、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇<br />
久 島 北 西 沖 断 層 群 の 同 時 活 動 を 考 慮 する 必 要 はないと 評 価 していたため、それ<br />
ぞれの 断 層 の 位 置 や 走 向 ・ 傾 斜 を 踏 まえ、 検 討 用 地 震 の 選 定 に 際 しては、これ<br />
らの 断 層 が 連 動 する 場 合 を 考 慮 して 評 価 することを 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、これらを 反 映 して 検 討 用 地 震 の 選 定 に 係 る 評 価 を<br />
示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 検 討 用 地 震 の 選 定 に 係 る 評 価 は、 活 断 層 の<br />
性 質 や 地 震 発 生 状 況 を 精 査 し、 既 往 の 研 究 成 果 等 を 総 合 的 に 検 討 することによ<br />
り 検 討 用 地 震 を 複 数 選 定 するとともに、 評 価 に 当 たっては 複 数 の 活 断 層 の 連 動<br />
も 考 慮 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
(3) 地 震 動 評 価<br />
解 釈 別 記 2は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」について、 検 討<br />
用 地 震 ごとに、 敷 地 における 地 震 観 測 記 録 を 踏 まえて、 地 震 発 生 様 式 及 び 地 震<br />
波 の 伝 播 経 路 等 に 応 じた 諸 特 性 を 十 分 に 考 慮 して、「 応 答 スペクトルに 基 づく<br />
地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」を 実 施 して 策<br />
定 することを 要 求 している。また、 基 準 地 震 動 の 策 定 過 程 に 伴 う 各 種 の 不 確 か<br />
さについては、 敷 地 における 地 震 動 評 価 に 大 きな 影 響 を 与 えると 考 えられる 支<br />
配 的 なパラメータについて 分 析 した 上 で、 必 要 に 応 じて 不 確 かさを 組 み 合 わせ<br />
るなど 適 切 な 手 法 を 用 いて 考 慮 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 検 討 用 地 震 として 選 定 した 竹 木 場 断 層 による 地 震 及 び 城 山 南 断 層<br />
による 地 震 について、 震 源 モデル 及 び 震 源 特 性 パラメータの 設 定 並 びに 地 震 動<br />
評 価 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 竹 木 場 断 層 による 地 震<br />
a. 基 本 ケースは、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)を 踏 まえ、 本 発 電 所 敷 地 内<br />
で 得 られた 2005 年 福 岡 県 西 方 沖 地 震 の 地 震 観 測 記 録 を 用 いて 検 討 し、<br />
「 震 源 断 層 を 特 定 した 地 震 の 強 震 動 予 測 手 法 (「レシピ」)」( 以 下 「レ<br />
シピ」という。)(2009) 及 びレシピ(2016)に 基 づき、 震 源 モデル 及<br />
び 震 源 特 性 パラメータを 設 定 した。<br />
15
. 基 本 ケースにおける 主 なパラメータとして、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)、<br />
本 発 電 所 敷 地 周 辺 の 速 度 構 造 及 び 微 小 地 震 の 発 生 状 況 から、 断 層 上 端<br />
深 さを 3km、 断 層 下 端 深 さを 20km と 設 定 した。また、 断 層 長 さについ<br />
ては、 地 質 調 査 の 結 果 4.9km と 評 価 したが、「 孤 立 した 短 い 活 断 層 」<br />
として、 断 層 長 さを 断 層 幅 と 同 様 に 17.3km、 傾 斜 角 については、 断 層<br />
露 頭 の 観 察 結 果 及 び 国 内 で 発 生 した 横 ずれ 断 層 タイプの 地 震 の 震 源<br />
メカニズム 解 による 検 討 結 果 に 基 づき、 傾 斜 角 80°の 右 横 ずれ 断 層<br />
と 設 定 した。アスペリティ 位 置 は、 地 質 調 査 結 果 で 得 られた 地 表 トレ<br />
ースの 範 囲 内 で 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 の 断 層 上 端 に 配 置 し、 破 壊 開 始 点<br />
は 破 壊 の 進 行 方 向 が 敷 地 に 向 かう 方 向 となるように、 断 層 面 南 下 端 に<br />
設 定 した。<br />
c. 設 定 した 基 本 ケースに 対 して、 地 震 動 評 価 に 影 響 が 大 きいと 考 えら<br />
れるパラメータの 不 確 かさを 考 慮 したケースとして、 応 力 降 下 量 を 基<br />
本 震 源 モデルの 1.5 倍 としたケース、 傾 斜 角 を 60°としたケース、 断<br />
層 長 さ 及 び 震 源 断 層 の 広 がりを 考 慮 して 断 層 長 さを 20km としたケー<br />
スについても 設 定 した。また、 不 確 かさを 考 慮 したケースのすべてに<br />
おいて、アスペリティを 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 となるように 配 置 し、 破<br />
壊 開 始 点 は 断 層 面 下 端 及 びアスペリティ 下 端 に 複 数 設 定 した。<br />
d. 「 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」は、 岩 盤 における 観 測 記 録<br />
に 基 づいて 提 案 された 距 離 減 衰 式 で、 解 放 基 盤 表 面 における 水 平 方 向<br />
及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 の 応 答 スペクトルを 評 価 することができる<br />
Noda et al.(2002)の 方 法 を 用 いた。 地 震 動 評 価 に 当 たって 使 用 す<br />
るマグニチュードは、 断 層 長 さから 松 田 (1975)により 求 めた。なお、<br />
内 陸 地 殻 内 地 震 の 補 正 係 数 は 適 用 しないものとした。<br />
e. 「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」は、 福 岡 県 西 方 沖 地<br />
震 の 余 震 (2005 年 3 月 22 日 、M5.4)の 本 発 電 所 敷 地 内 での 地 震 観 測<br />
記 録 を 要 素 地 震 として 適 切 なものと 評 価 した 上 で、 短 周 期 領 域 は 経 験<br />
的 グリーン 関 数 法 を、 長 周 期 領 域 は 離 散 化 波 数 法 を 用 いて 評 価 し、そ<br />
れらを 組 み 合 わせることにより 評 価 するハイブリッド 合 成 法 により<br />
評 価 した。<br />
f. 震 源 特 性 パラメータのうち、 地 震 モーメントは 入 倉 ・ 三 宅 (2001)<br />
により 断 層 面 積 から、 平 均 応 力 降 下 量 は 円 形 クラックの 式 により、ア<br />
スペリティの 面 積 は 短 周 期 レベルを 介 し、アスペリティの 応 力 降 下 量<br />
は、 平 均 応 力 降 下 量 及 びアスペリティ 面 積 比 から 設 定 した。<br />
2 城 山 南 断 層 による 地 震<br />
16
a. 基 本 ケースは、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)を 踏 まえ、 本 発 電 所 敷 地 内<br />
で 得 られた 2005 年 福 岡 県 西 方 沖 地 震 の 地 震 観 測 記 録 を 用 いて 検 討 し、<br />
レシピ(2009) 及 びレシピ(2016)に 基 づき、 震 源 モデル 及 び 震 源 特<br />
性 パラメータを 設 定 した。<br />
b. 基 本 ケースにおける 主 なパラメータとして、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)<br />
並 びに 本 発 電 所 敷 地 周 辺 の 速 度 構 造 及 び 微 小 地 震 の 発 生 状 況 から、 断<br />
層 上 端 深 さを 3km、 断 層 下 端 深 さを 20km と 設 定 した。また、 断 層 長 さ<br />
については、 地 質 調 査 結 果 に 基 づき 19.5km、 傾 斜 角 については、 地 質<br />
調 査 結 果 及 び 原 子 力 安 全 基 盤 機 構 (2005)に 基 づき 傾 斜 角 90°の 左 横<br />
ずれ 断 層 と 設 定 した。アスペリティ 位 置 は、 地 質 調 査 結 果 で 得 られた<br />
地 表 トレースの 範 囲 内 で 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 の 断 層 上 端 に 配 置 し、 破<br />
壊 開 始 点 は 破 壊 の 進 行 方 向 が 敷 地 に 向 かう 方 向 となるように、 断 層 面<br />
東 下 端 に 設 定 した。<br />
c. 設 定 した 基 本 ケースに 対 して、 地 震 動 評 価 に 影 響 が 大 きいと 考 えら<br />
れるパラメータの 不 確 かさを 考 慮 したケースとして、 応 力 降 下 量 を 基<br />
本 震 源 モデルの 1.5 倍 としたケース、 傾 斜 角 を 60°としたケース、 断<br />
層 長 さ 及 び 震 源 断 層 の 広 がりを 考 慮 して 断 層 長 さを 20km としたケー<br />
スについても 設 定 した。また、 不 確 かさを 考 慮 したケースのすべてに<br />
おいて、アスペリティを 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 となるように 配 置 し、 破<br />
壊 開 始 点 は 断 層 面 下 端 及 びアスペリティ 下 端 に 複 数 設 定 した。<br />
d. 「 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」は、 竹 木 場 断 層 による 地 震<br />
と 同 様 、Noda et al.(2002)の 方 法 を 用 いた。 地 震 動 評 価 に 当 たって<br />
使 用 するマグニチュードは、 断 層 長 さから 松 田 (1975)により 求 めた。<br />
なお、 内 陸 地 殻 内 地 震 の 補 正 係 数 は 適 用 しないものとした。<br />
e. 「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」は、 福 岡 県 西 方 沖 地<br />
震 の 余 震 (2005 年 3 月 22 日 、M5.4)の 本 発 電 所 敷 地 内 での 地 震 観 測<br />
記 録 を 要 素 地 震 として 適 切 なものと 評 価 した 上 で、 短 周 期 領 域 は 経 験<br />
的 グリーン 関 数 法 を、 長 周 期 領 域 は 離 散 化 波 数 法 を 用 いて 評 価 し、そ<br />
れらを 組 み 合 わせることにより 評 価 するハイブリッド 合 成 法 により 評<br />
価 した。<br />
f. 震 源 特 性 パラメータのうち、 地 震 モーメントは 入 倉 ・ 三 宅 (2001)<br />
により 断 層 面 積 から、 平 均 応 力 降 下 量 は 円 形 クラックの 式 により、ア<br />
スペリティの 面 積 は 短 周 期 レベルを 介 し、アスペリティの 応 力 降 下 量<br />
は、 平 均 応 力 降 下 量 及 びアスペリティ 面 積 比 から 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 竹 木 場 断 層 の 震 源 特 性 パラメータのう<br />
17
ち 基 本 ケースの 傾 斜 角 については、 申 請 者 が 当 初 、90°に 設 定 していたため、<br />
地 質 調 査 結 果 を 考 慮 して 検 討 するよう 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 断 層 露 頭 での 傾 斜 角 の 傾 向 や 近 年 、 日 本 で 発 生 し<br />
た 大 規 模 な 地 震 のうち 横 ずれタイプの 地 震 の 震 源 メカニズム 解 を 踏 まえ、 基 本<br />
ケースの 傾 斜 角 を 西 傾 斜 80°に 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震<br />
動 」の 評 価 については、 検 討 用 地 震 ごとに、 不 確 かさを 考 慮 して「 応 答 スペク<br />
トルに 基 づく 地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」<br />
に 基 づき 策 定 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認<br />
した。<br />
3. 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
解 釈 別 記 2は、「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 震 源 と 活 断 層 を 関<br />
連 づけることが 困 難 な 過 去 の 内 陸 地 殻 内 の 地 震 について 得 られた 震 源 近 傍 にお<br />
ける 観 測 記 録 を 収 集 し、これらを 基 に、 各 種 の 不 確 かさを 考 慮 して 敷 地 の 地 盤 物<br />
性 に 応 じた 応 答 スペクトルを 設 定 して 策 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 ガイドに 例 示 された 収 集 対 象 となる 内 陸 地 殻 内 地 震 の 評 価 につ<br />
いて、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 地 震 規 模 がモーメントマグニチュード( 以 下 「Mw」という。)6.5 以 上 の 地<br />
震 については、2008 年 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震 と 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 を 検 討<br />
対 象 とした。<br />
(2)2008 年 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震 については、 震 源 域 周 辺 は、ひずみ 集 中 帯 に 位<br />
置 しており、 逆 断 層 を 主 体 とする 地 域 である。また、 震 源 域 周 辺 には 新 第 三<br />
紀 以 降 の 火 山 岩 類 及 び 堆 積 岩 類 が 厚 く 複 雑 に 堆 積 し、 顕 著 な 褶 曲 ・ 撓 曲 構 造<br />
が 発 達 している。 一 方 、 本 発 電 所 敷 地 周 辺 は、 概 ね 東 西 方 向 の 圧 縮 場 におけ<br />
る 横 ずれ 断 層 を 主 体 とする 地 域 である。また、 古 生 代 の 変 成 岩 類 、 中 生 代 白<br />
亜 紀 の 花 崗 岩 類 、 古 第 三 紀 ~ 新 第 三 紀 の 堆 積 岩 類 が 分 布 し、これらを 新 第 三<br />
紀 鮮 新 世 の 玄 武 岩 類 が 不 整 合 関 係 で 覆 っており、 顕 著 な 褶 曲 ・ 撓 曲 構 造 は 認<br />
められない。したがって、2008 年 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震 の 震 源 域 は、 本 発 電 所<br />
周 辺 地 域 とは 地 質 学 的 ・ 地 震 学 的 背 景 が 異 なるとして、 観 測 記 録 収 集 対 象 外<br />
とした。<br />
(3)2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 については、 震 源 域 周 辺 と 本 発 電 所 周 辺 地 域 につい<br />
ては、 地 形 ・ 地 質 構 造 による 活 断 層 像 や 地 震 活 動 と 地 殻 構 造 の 観 点 から、 両<br />
地 域 の 地 質 学 的 ・ 地 震 学 的 背 景 に 差 はあるものの、 一 方 で、 両 地 域 について<br />
は、 顕 著 な 活 断 層 が 分 布 しないこと、 横 ずれ 断 層 を 主 体 とすること、 相 対 的<br />
18
にひずみ 速 度 が 小 さいこと 等 、 明 確 な 差 異 が 認 められないことから、 観 測 記<br />
録 を 収 集 し、その 地 震 動 レベル 及 び 地 盤 特 性 を 評 価 し、 震 源 近 傍 に 位 置 する<br />
か しょう<br />
賀 祥 ダムの 観 測 記 録 を、 地 盤 補 正 を 行 わずにそのまま「 震 源 を 特 定 せず 策 定<br />
する 地 震 動 」として 採 用 した。<br />
(4)また、Mw6.5 未 満 の 地 震 については、 収 集 した 観 測 記 録 を、 加 藤 ほか(2004)<br />
の 地 震 動 レベルと 対 比 させ、その 結 果 から 敷 地 に 及 ぼす 影 響 が 大 きいものと<br />
るもい<br />
して、5 地 震 (2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 、2011 年 和 歌 山 県 北 部 地 震 、<br />
2011 年 茨 城 県 北 部 地 震 、2011 年 長 野 県 北 部 地 震 、2013 年 栃 木 県 北 部 地 震 )<br />
を 抽 出 した。このうち、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 については、 佐 藤 ほ<br />
か(2013)でボーリング 調 査 等 による 精 度 の 高 い 地 盤 情 報 を 基 に 基 盤 地 震 動<br />
が 推 定 されており、これに 不 確 かさを 考 慮 した 地 震 動 を、「 震 源 を 特 定 せず 策<br />
定 する 地 震 動 」として 採 用 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 の 評 価 で<br />
収 集 対 象 となる 内 陸 地 殻 内 の 地 震 の 例 として 地 震 ガイドに 示 している 16 地 震 に<br />
ついて 観 測 記 録 等 を 収 集 していなかったことから、これらすべての 地 震 について<br />
観 測 記 録 等 の 分 析 ・ 評 価 を 実 施 することを 求 めた。このうち 2000 年 鳥 取 県 西 部<br />
地 震 については、 鳥 取 県 西 部 地 震 震 源 域 と 本 発 電 所 周 辺 地 域 との 間 に 地 質 学 的 背<br />
景 に 大 きな 地 域 差 が 認 められないことを 指 摘 した。また、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁<br />
南 部 地 震 については、その 地 震 観 測 記 録 について、 既 往 の 知 見 である 微 動 探 査 等<br />
に 基 づく 地 盤 モデルによるはぎとり 解 析 のみならず、 適 切 な 地 質 調 査 データに 基<br />
づく 地 盤 モデルによるはぎとり 解 析 等 を 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 の 観 測 記 録 を 収 集 し、その 地<br />
震 動 レベル 及 び 地 盤 特 性 を 評 価 し、 震 源 近 傍 の 観 測 記 録 を「 震 源 を 特 定 せず 策 定<br />
する 地 震 動 」として 採 用 した。また、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 については、<br />
佐 藤 ほか(2013)で 推 定 された 基 盤 地 震 動 に 不 確 かさを 考 慮 した 地 震 動 を、「 震 源<br />
を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」として 採 用 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」の 評 価 に<br />
ついては、 過 去 の 内 陸 地 殻 内 の 地 震 について 得 られた 震 源 近 傍 における 観 測 記 録<br />
を 精 査 し、 各 種 の 不 確 かさ 及 び 敷 地 の 地 盤 物 性 を 考 慮 して 策 定 していることから、<br />
解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
4. 基 準 地 震 動 の 策 定<br />
解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」<br />
及 び「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 解 放 基 盤 表 面 における 水 平 方<br />
19
向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 としてそれぞれ 策 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 施 設 の 耐 震 設 計 に 用 いる 基 準 地 震 動 について、 敷 地 の 解 放 基 盤 表 面<br />
における 水 平 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 として 基 準 地 震 動 Ss-1 から Ss-5 を 以<br />
下 のとおり 策 定 している。<br />
(1) 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動<br />
1 基 準 地 震 動 Ss-1( 最 大 加 速 度 : 水 平 方 向 540cm/s 2 、 鉛 直 方 向 360cm/s 2 )<br />
応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 結 果 を 包 絡 するように 設 定 した 地<br />
震 動<br />
2 基 準 地 震 動 Ss-2 及 び Ss-3( 最 大 加 速 度 : 水 平 方 向 524cm/s 2 、 鉛 直 方 向<br />
372cm/s 2 )<br />
断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 結 果 のうち 一 部 の 周 期 帯 で<br />
基 準 地 震 動 Ss-1 の 応 答 スペクトルを 上 回 る 2 ケースの 地 震 動<br />
(2) 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
1 基 準 地 震 動 Ss-4 及 び Ss-5( 最 大 加 速 度 : 水 平 方 向 620cm/s 2 、 鉛 直 方 向<br />
485cm/s 2 )<br />
一 部 の 周 期 帯 で 基 準 地 震 動 Ss-1 の 応 答 スペクトルを 上 回 る 2004 年 北 海<br />
道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 を 考 慮 した 地 震 動 及 び 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 におけ<br />
る 賀 祥 ダムの 観 測 記 録 による 地 震 動<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」 及 び<br />
「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」に 関 し、 敷 地 の 解 放 基 盤 表 面 における 水 平 方<br />
向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 として 基 準 地 震 動 を 策 定 していることから、 解 釈 別 記 2<br />
の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」Ss-1 から Ss-3 の<br />
年 超 過 確 率 は 10 -4 ~10 -6 程 度 、「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」Ss-4 及 び Ss-5<br />
の 年 超 過 確 率 は 10 -4 ~10 -6 程 度 としている。<br />
Ⅲ-1.2 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 施 設 の 周 辺 斜 面 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作<br />
用 させた 安 定 解 析 を 行 い、 崩 壊 のおそれがないことを 確 認 するとともに、 崩 壊 のお<br />
それがある 場 合 には、 崩 壊 によって 耐 震 重 要 施 設 に 影 響 を 及 ぼすことがないように<br />
することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 耐 震 重 要 施 設 の 周 辺 斜 面 の 評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
20
1. 安 定 性 評 価 の 対 象 となる 斜 面 は、 耐 震 重 要 施 設 に 対 する 周 辺 斜 面 の 離 隔 距 離<br />
及 び 斜 面 高 さを 考 慮 して 検 討 した 結 果 、 対 象 施 設 と 十 分 な 離 隔 距 離 を 有 してい<br />
ることから、 存 在 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 耐 震 重 要 施 設 の 周 辺 斜 面 について、 申 請 者 が 安 定 性 評 価 の 対 象 と<br />
なる 斜 面 は 存 在 しないことを 確 認 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 して<br />
いること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針<br />
1. 耐 震 重 要 度 分 類 の 方 針<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 度 に 応 じて、Sクラス、Bクラス、Cクラスに 設 計 基<br />
準 対 象 施 設 を 分 類 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 耐 震 重 要 度 分 類 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
(1) 施 設 の 分 類<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 については、 耐 震 重 要 度 に 応 じて、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 す<br />
る 施 設 及 び 地 震 に 伴 って 発 生 するおそれがある 津 波 による 安 全 機 能 の 喪 失 を<br />
防 止 するために 必 要 となる 施 設 をSクラス、これと 比 べて 安 全 機 能 を 喪 失 した<br />
場 合 の 影 響 の 小 さいものをBクラス、これら 以 外 の 一 般 産 業 施 設 、 公 共 施 設 と<br />
同 等 の 安 全 性 が 要 求 される 施 設 をCクラスに 分 類 する。<br />
(2) 設 備 の 区 分<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 を 構 成 する 設 備 については、その 施 設 に 要 求 される 安 全 機<br />
能 の 役 割 に 応 じて、 主 要 設 備 、 補 助 設 備 、 直 接 支 持 構 造 物 、 間 接 支 持 構 造 物 及<br />
び 波 及 的 影 響 を 評 価 すべき 施 設 に 区 分 する。<br />
(3) 検 討 用 地 震 動 の 設 定<br />
間 接 支 持 構 造 物 及 び 波 及 的 影 響 を 評 価 すべき 施 設 については、それぞれに 関<br />
連 する 主 要 設 備 、 補 助 設 備 及 び 直 接 支 持 構 造 物 の 耐 震 設 計 に 適 用 する 地 震 力 を<br />
踏 まえ、 検 討 用 地 震 動 ( 当 該 施 設 を 支 持 する 構 造 物 の 支 持 機 能 が 維 持 されるこ<br />
とを 確 認 する 地 震 動 及 び 当 該 施 設 に 波 及 的 影 響 を 及 ぼさないことを 確 認 する<br />
地 震 動 )を 設 定 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 耐 震 重 要 度 分 類 の 適 用 について、 地 震 に 伴 って 発 生<br />
するおそれがある 津 波 による 安 全 機 能 の 喪 失 を 防 止 するために 必 要 となる 施 設<br />
21
を 含 む 設 計 基 準 対 象 施 設 を、 耐 震 重 要 度 に 応 じて、Sクラス、Bクラス、Cクラ<br />
スに 分 類 する 方 針 としていること、さらに、 分 類 した 施 設 を、 安 全 機 能 の 役 割 に<br />
応 じた 設 備 に 区 分 する 方 針 とし、 安 全 機 能 に 間 接 的 な 役 割 を 担 う 設 備 については、<br />
それに 関 連 する 設 備 に 適 用 する 地 震 力 を 踏 まえ 検 討 用 地 震 動 を 設 定 する 方 針 と<br />
していることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地<br />
震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 弾 性 設 計 用 地 震 動 の 設 定 方 針<br />
解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの 比 率 が 目 安 として 0.5 を 下 回<br />
らないような 値 で、 工 学 的 判 断 に 基 づいて、 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 設 定 することを<br />
要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
(1) 地 震 動 設 定 の 条 件<br />
基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの 比 率 については、 工 学 的 判 断 として 以 下 を<br />
考 慮 し 0.6 と 設 定 する。<br />
1 基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの 比 率 は、 弾 性 限 界 と 安 全 機 能 限 界 に 対<br />
する 入 力 荷 重 の 比 率 に 対 応 し、その 値 は 0.5 程 度 である。<br />
2 弾 性 設 計 用 地 震 動 は、「 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 関 する 耐 震 設 計 審 査 指 針 」<br />
( 昭 和 56 年 7 月 20 日 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 、 平 成 13 年 3 月 29 日 一 部 改<br />
訂 )における 基 準 地 震 動 S 1 が 耐 震 設 計 上 果 たしてきた 役 割 を 一 部 担 うもの<br />
であることを 踏 まえ、その 応 答 スペクトルは、 基 準 地 震 動 S 1 の 応 答 スペク<br />
トルをおおむね 下 回 らないようにする。<br />
(2) 弾 性 設 計 用 地 震 動<br />
前 項 の 条 件 で 設 定 する 弾 性 設 計 用 地 震 動 は、 最 大 加 速 度 が Sd-1 については<br />
水 平 方 向 324cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向 216cm/s 2 、Sd-2 については 水 平 方 向 161cm/s 2<br />
及 び 鉛 直 方 向 103cm/s 2 、Sd-3 については 水 平 方 向 314cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向<br />
223cm/s 2 、Sd-4 については 水 平 方 向 372cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向 192cm/s 2 、Sd-5 に<br />
ついては 水 平 方 向 319 cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向 291cm/s 2 である。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 弾 性 限 界 と 安 全 機 能 限 界 に 対 する 入 力 荷 重 の 比 率 を<br />
考 慮 すること 及 び 基 準 地 震 動 S 1 の 応 答 スペクトルをおおむね 下 回 らないように<br />
考 慮 すること、これらの 工 学 的 判 断 に 基 づき、 基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの<br />
比 率 を 0.6 として 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 適 切 に 設 定 する 方 針 としており、この 方 針<br />
が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを<br />
22
確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、 弾 性 設 計 用 地 震 動 の 年 超 過 確 率 は 10 -3 ~10 -5 程 度 としてい<br />
る。<br />
3. 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 及 び 静 的 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
(1) 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力<br />
解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 又 は 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 用 いて、 水 平 2 方 向 及 び<br />
鉛 直 方 向 について 適 切 に 組 み 合 わせたものとして、 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力<br />
を 算 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 を 算 定 する 方 針 として<br />
いる。<br />
1 Sクラスの 施 設 の 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
基 準 地 震 動 及 び 弾 性 設 計 用 地 震 動 から 定 まる 入 力 地 震 動 を 用 いて、 建<br />
物 ・ 構 築 物 の 三 次 元 応 答 性 状 及 び 機 器 ・ 配 管 系 への 影 響 を 考 慮 し、 水 平 2<br />
方 向 及 び 鉛 直 方 向 について 適 切 に 組 み 合 わせ、 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力<br />
を 算 定 する。なお、 地 震 応 答 解 析 には、 建 物 ・ 構 築 物 と 地 盤 との 相 互 作 用 、<br />
地 盤 等 の 非 線 形 性 を 考 慮 する。<br />
2 Bクラスの 施 設 の 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
Bクラスの 施 設 のうち 共 振 のおそれのある 施 設 の 影 響 検 討 に 当 たって<br />
は、 弾 性 設 計 用 地 震 動 に 2 分 の 1 を 乗 じたものから 定 まる 入 力 地 震 動 ( 以<br />
下 「 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震 動 」という。)を 用 いることとし、 加 えてSクラ<br />
スと 同 様 に、 水 平 2 方 向 及 び 鉛 直 方 向 について 適 切 に 組 み 合 わせ、 地 震 力<br />
を 算 定 する。<br />
3 入 力 地 震 動 の 設 定 方 針<br />
建 物 ・ 構 築 物 の 地 震 応 答 解 析 における 入 力 地 震 動 については、 対 象 建 物 ・<br />
構 築 物 の 地 盤 条 件 を 考 慮 し、 必 要 に 応 じて 二 次 元 有 限 要 素 法 又 は 一 次 元 波<br />
動 理 論 を 用 いて 設 定 する。この 際 、 地 盤 条 件 については、 敷 地 全 体 の 地 下<br />
構 造 との 関 係 に 留 意 し、 地 盤 の 非 線 形 応 答 に 関 する 動 的 変 形 特 性 を 考 慮 す<br />
る。<br />
また、 必 要 に 応 じて 敷 地 における 観 測 記 録 による 検 証 や 最 新 の 科 学 的 ・<br />
技 術 的 知 見 を 踏 まえる。<br />
23
4 地 震 応 答 解 析 方 法<br />
対 象 施 設 の 形 状 、 構 造 特 性 、 振 動 特 性 等 を 踏 まえ、 解 析 手 法 の 適 用 性 、<br />
適 用 限 界 等 を 考 慮 のうえ、 地 震 応 答 解 析 方 法 を 選 定 するとともに、 十 分 な<br />
調 査 に 基 づく 解 析 条 件 を 設 定 する。また、 対 象 とする 施 設 の 形 状 、 構 造 特<br />
性 等 を 踏 まえたモデル 化 を 行 う。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 施 設 、 地 盤 等 の 構 造 特 性 、 振 動 等 の 施 設 の 応 答 特<br />
性 、 施 設 と 地 盤 との 相 互 作 用 及 び 地 盤 の 非 線 形 性 を 適 切 に 考 慮 し、 水 平 2 方 向<br />
及 び 鉛 直 方 向 を 適 切 に 組 み 合 わせたものとして 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 を<br />
算 定 する 方 針 としていることから、この 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(2) 静 的 地 震 力<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 度 分 類 に 応 じて 水 平 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 静 的 地 震 力<br />
を 算 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 静 的 地 震 力 を 算 定 する 方 針 としている。<br />
1 建 物 ・ 構 築 物 の 水 平 地 震 力<br />
水 平 地 震 力 については、 地 震 層 せん 断 力 係 数 に、 施 設 の 重 要 度 分 類 に 応<br />
じた 係 数 (Sクラスは 3.0、Bクラスは 1.5 及 びCクラスは 1.0)を 乗 じ、<br />
さらに 当 該 層 以 上 の 重 量 を 乗 じて 算 定 する。<br />
ここで、 地 震 層 せん 断 力 係 数 は、 標 準 せん 断 力 係 数 を 0.2 以 上 とし、 建<br />
物 ・ 構 築 物 の 振 動 特 性 、 地 盤 の 種 類 等 を 考 慮 して 求 められる 値 とする。<br />
2 建 物 ・ 構 築 物 の 保 有 水 平 耐 力<br />
保 有 水 平 耐 力 については、 必 要 保 有 水 平 耐 力 を 上 回 るものとし、 必 要 保<br />
有 水 平 耐 力 については、 地 震 層 せん 断 力 係 数 に 乗 じる 係 数 を 1.0、 標 準 せ<br />
ん 断 力 係 数 を 1.0 以 上 として 算 定 する。<br />
3 建 物 ・ 構 築 物 の 鉛 直 地 震 力<br />
鉛 直 地 震 力 については、 震 度 0.3 以 上 を 基 準 とし、 建 物 ・ 構 築 物 の 振 動<br />
特 性 及 び 地 盤 の 種 類 等 を 考 慮 し、 高 さ 方 向 に 一 定 として 求 めた 鉛 直 震 度 よ<br />
り 算 定 する。<br />
4 機 器 ・ 配 管 系 の 地 震 力<br />
機 器 ・ 配 管 系 の 地 震 力 については、 建 物 ・ 構 築 物 で 算 定 した 地 震 層 せん<br />
断 力 係 数 に 施 設 の 耐 震 クラスに 応 じた 係 数 を 乗 じたものを 水 平 震 度 と 見<br />
24
なし、その 水 平 震 度 と 建 物 ・ 構 築 物 の 鉛 直 震 度 をそれぞれ 20% 増 しとして<br />
算 定 する。<br />
5 水 平 地 震 力 と 鉛 直 地 震 力 の 組 合 せ<br />
Sクラスの 施 設 については、 水 平 地 震 力 と 鉛 直 地 震 力 が 同 時 に 不 利 な 方<br />
向 の 組 合 せで 作 用 するものとする。<br />
6 標 準 せん 断 力 係 数 等 の 割 増 し 係 数<br />
標 準 せん 断 力 係 数 等 の 割 増 し 係 数 については、 耐 震 性 向 上 の 観 点 から、<br />
一 般 産 業 施 設 及 び 公 共 施 設 等 の 耐 震 基 準 との 関 係 を 考 慮 して 設 定 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 施 設 の 振 動 特 性 等 を 考 慮 し、 算 定 に 用 いる 係 数 等<br />
の 割 増 しをして 求 めた 水 平 震 度 及 び 鉛 直 震 度 より 静 的 地 震 力 を 算 定 する 方 針<br />
としていることから、この 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地<br />
震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
4. 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 設 定 方 針<br />
(1) 建 物 ・ 構 築 物<br />
解 釈 別 記 2は、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうちの 建 物 ・ 構 築 物 についての 荷 重 の 組<br />
合 せと 許 容 限 界 の 考 え 方 に 対 し、 以 下 を 満 たすことを 要 求 している。<br />
1 Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用 している 荷 重 及 び 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合 せに 対 して、 構 造 物 全<br />
体 としての 変 形 能 力 について 十 分 な 余 裕 を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 し 妥 当 な 安<br />
全 余 裕 を 有 していること。<br />
2 Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用<br />
している 荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 と、 弾 性 設 計 用 地 震 動 (Bクラス<br />
は 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震 動 、Cクラスは 考 慮 せず。)による 地 震 力 又 は 静<br />
的 地 震 力 を 組 み 合 わせ、その 結 果 発 生 する 応 力 に 対 して、 建 築 基 準 法 等 の<br />
安 全 上 適 切 と 認 められる 規 格 及 び 基 準 による 許 容 応 力 度 を 許 容 限 界 とす<br />
ること。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 建 物 ・ 構 築 物 の 荷 重 の 組 合 せ 及 び 許 容 限 界 を 設 定<br />
する 方 針 としている。<br />
1 荷 重 の 組 合 せ<br />
Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 、 弾 性 設 計<br />
用 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 常 時 作 用 し<br />
25
ている 荷 重 ( 固 定 荷 重 、 積 載 荷 重 、 土 圧 、 水 圧 及 び 通 常 の 気 象 条 件 による<br />
荷 重 )、 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 ( 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 及 び 運 転 時 の<br />
異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 )、 事 故 時 に 生 じる 荷 重 ( 事 故 が 発 生 し 長<br />
時 間 継 続 する 事 象 による 荷 重 ) 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )と<br />
する。Bクラス 及 びCクラスの 建 物 ・ 構 築 物 について、 共 振 影 響 検 討 用 の<br />
地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 常 時 作 用 して<br />
いる 荷 重 、 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )<br />
とする。なお、 運 転 時 及 び 事 故 時 の 荷 重 には、 機 器 ・ 配 管 系 から 作 用 する<br />
荷 重 が 含 まれるものとし、 地 震 力 には、 地 震 時 土 圧 、 機 器 ・ 配 管 系 からの<br />
反 力 、スロッシング 等 による 荷 重 が 含 まれるものとする。<br />
2 許 容 限 界<br />
Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合<br />
せにおいて、 構 造 物 全 体 としての 変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )が 十 分 な<br />
余 裕 を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 し 妥 当 な 安 全 余 裕 を 有 することとする。なお、<br />
終 局 耐 力 は、 建 物 ・ 構 築 物 に 対 する 荷 重 又 は 応 力 が 漸 次 増 大 し、その 変 形<br />
又 はひずみが 著 しく 増 加 するに 至 る 限 界 の 最 大 耐 力 とし、 既 往 の 実 験 式 等<br />
に 基 づき 定 めるものとする。Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 建 物 ・ 構<br />
築 物 については、 基 準 地 震 動 以 外 の 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と<br />
の 組 合 せにおいて、 建 築 基 準 法 等 の 安 全 上 適 切 と 認 められる 規 格 及 び 基 準<br />
による 許 容 応 力 度 を 許 容 限 界 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 荷 重 の 組 合 せについて、 耐 震 重 要 度 分 類 に 応 じて<br />
常 時 作 用 している 荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 を 地 震 力 と 適 切 に 組 み 合 わ<br />
せる 方 針 としており、 荷 重 の 組 合 せに 対 する 許 容 限 界 については、 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、 構 造 物 全 体 としての 変 形 能 力 に 十 分 な 余 裕<br />
を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 して 妥 当 な 安 全 余 裕 を 有 するようにする、また、その 他<br />
の 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、 安 全 上 適 切 と 認 められる 規 格 及 び 基 準 による 許<br />
容 応 力 度 とする 方 針 としていることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に<br />
適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていること、これらに 加 え、 事 故 時<br />
に 生 じる 荷 重 及 び 自 然 事 象 による 荷 重 についても 適 切 に 考 慮 する 方 針 として<br />
いることを 確 認 した。<br />
(2) 機 器 ・ 配 管 系<br />
解 釈 別 記 2は、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうちの 機 器 ・ 配 管 系 について、 荷 重 の 組<br />
合 せと 許 容 限 界 の 考 え 方 に 対 し、 以 下 を 満 たすことを 要 求 している。<br />
26
1 Sクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時<br />
の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 又 は 事 故 時 に 生 じる 荷 重 と 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条 件 に 対 して、その 施 設 に 要 求 される 機<br />
能 を 保 持 すること。 組 合 せ 荷 重 により 塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、<br />
その 量 が 小 さなレベルに 留 まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その<br />
施 設 に 要 求 される 機 能 に 影 響 を 及 ぼさないこと。<br />
2 Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 通 常 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 又 は 事 故 時 に 生<br />
じる 荷 重 と、 弾 性 設 計 用 地 震 動 (Bクラスは 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震 動 、C<br />
クラスは 考 慮 せず。)による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条<br />
件 に 対 して、 応 答 が 全 体 的 におおむね 弾 性 状 態 に 留 まること。<br />
3 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 及 び 事 故 時 に 生 じる 荷 重 については、 次 の 荷<br />
重 を 考 慮 すること。<br />
a. 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれのある 事 象 により 生 じる 荷 重<br />
b. 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれのない 事 象 であっても、 事 象 の<br />
発 生 頻 度 、 継 続 時 間 及 び 地 震 動 の 年 超 過 確 率 との 関 係 を 踏 まえ 長 時 間<br />
継 続 する 荷 重<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 機 器 ・ 配 管 系 の 荷 重 の 組 合 せ 及 び 許 容 限 界 を 設 定<br />
する 方 針 としている。<br />
1 荷 重 の 組 合 せ<br />
Sクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 、 弾 性 設 計<br />
用 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 通 常 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 、 事 故 時 に 生 じ<br />
る 荷 重 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )とする。<br />
Bクラス 及 びCクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震<br />
動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 通 常 運 転 時 に 作 用<br />
する 荷 重 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 及 び 設 計 用 自 然 条 件<br />
( 積 雪 、 風 荷 重 等 )とする。<br />
なお、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 及 び 事 故 時 に 生 じる 荷 重 は、 地 震 によ<br />
って 引 き 起 こされるおそれのある 事 象 による 荷 重 及 び 地 震 によって 引 き<br />
起 こされるおそれはないが、 事 象 の 発 生 頻 度 、 継 続 時 間 及 び 地 震 動 の 年 超<br />
過 確 率 との 関 係 を 踏 まえ 長 時 間 継 続 する 事 象 による 荷 重 とする。<br />
2 許 容 限 界<br />
Sクラスの 機 器 ・ 配 管 系 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合<br />
27
せにおいて、 塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、その 量 が 小 さなレベル<br />
に 留 まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及<br />
ぼすことがない 限 度 に 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 を 許 容 限 界 とする。なお、<br />
地 震 時 又 は 地 震 後 の 機 器 等 の 動 的 機 能 要 求 については、 実 証 試 験 等 により<br />
確 認 されている 機 能 維 持 加 速 度 等 を 許 容 限 界 とする。<br />
Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 機 器 ・ 配 管 系 については、 基 準 地 震<br />
動 以 外 の 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 との 組 合 せにおいて、 応 答 が<br />
全 体 的 におおむね 弾 性 状 態 に 留 まることを 許 容 限 界 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 荷 重 の 組 合 せについて、 耐 震 重 要 度 分 類 に 応 じて<br />
運 転 状 態 の 荷 重 を 地 震 力 と 適 切 に 組 み 合 わせる 方 針 としており、 荷 重 の 組 合 せ<br />
に 対 する 許 容 限 界 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、<br />
破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない<br />
ように、また、その 他 の 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、 応 答 全 体 がおおむね 弾 性<br />
状 態 に 留 まるように、 適 切 に 設 定 する 方 針 としていることから、これらの 方 針<br />
が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていること、<br />
これらに 加 え、 自 然 事 象 による 荷 重 についても 適 切 に 考 慮 する 方 針 としている<br />
ことを 確 認 した。<br />
(3) 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等<br />
解 釈 別 記 2は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 が 設 置 された 建 物 ・ 構 築 物 並<br />
びに 浸 水 防 止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 についての 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 考<br />
え 方 に 対 し、 以 下 を 満 たすことを 要 求 している。<br />
1 常 時 作 用 している 荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による<br />
地 震 力 の 組 合 せに 対 して、その 施 設 、 設 備 に 要 求 される 機 能 ( 津 波 防 護 機<br />
能 、 浸 水 防 止 機 能 及 び 津 波 監 視 機 能 )を 保 持 すること。<br />
2 これらの 荷 重 の 組 合 せに 関 しては、 地 震 と 津 波 が 同 時 に 作 用 する 可 能 性<br />
について 検 討 し、 必 要 に 応 じて 基 準 地 震 動 による 地 震 力 と 津 波 による 荷 重<br />
の 組 合 せを 考 慮 すること。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 荷 重 の 組 合 せ<br />
及 び 許 容 限 界 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
1 荷 重 の 組 合 せ<br />
基 準 地 震 動 による 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水<br />
防 止 設 備 が 設 置 された 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用 している 荷 重 ( 固<br />
定 荷 重 、 積 載 荷 重 、 土 圧 、 水 圧 及 び 通 常 の 気 象 条 件 による 荷 重 )、 運 転 時 に<br />
28
作 用 する 荷 重 ( 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 及 び 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時<br />
に 生 じる 荷 重 ) 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )とする。 浸 水 防 止<br />
設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 については、 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 の<br />
異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 、 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 ) 及 び<br />
事 故 時 に 生 じる 荷 重 とする。また、 必 要 に 応 じて 津 波 による 荷 重 の 組 合 せ<br />
を 考 慮 する。なお、 津 波 以 外 の 地 震 力 に 組 み 合 わせる 荷 重 は、(1) 又 は<br />
(2)の 荷 重 の 組 合 せの 荷 重 に 準 じるものとする。<br />
2 許 容 限 界<br />
津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 が 設 置 された 建 物 ・ 構 築 物 の 許 容 限 界 は、<br />
構 造 全 体 としての 変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )が 十 分 な 余 裕 を 有 し、そ<br />
の 施 設 に 要 求 される 津 波 防 護 機 能 及 び 浸 水 防 止 機 能 を 保 持 できることと<br />
する。また、 浸 水 防 止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 について、 常 時 作 用 している<br />
荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 等 と 基 準 地 震 動 による 地 震 力 の 組 合 せに<br />
対 して、 要 求 される 浸 水 防 止 機 能 及 び 津 波 監 視 機 能 が 保 持 できることを 許<br />
容 限 界 とする。<br />
なお、Ⅲ―3.2、4.(1)に 記 載 するように、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する<br />
施 設 はないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 荷 重 の 組 合 せ<br />
と 許 容 限 界 について、Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 又 は 機 器 ・ 配 管 系 に 準 じて 設<br />
定 する 方 針 とすること、また、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 には 必 要 に 応 じて 津<br />
波 による 荷 重 を 組 み 合 わせる 方 針 としていることから、これらの 方 針 が 解 釈<br />
別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認<br />
した。<br />
5. 波 及 的 影 響 に 係 る 設 計 方 針<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 度 分 類 の 下 位 のクラスに 属 する 施 設 の 波 及 的 影 響 によ<br />
って、 耐 震 重 要 施 設 の 安 全 機 能 を 損 なわないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 及 び 影 響 評 価 を 行<br />
う 方 針 としている。<br />
(1) 敷 地 全 体 を 俯 瞰 した 調 査 ・ 検 討 の 内 容 等 を 含 めて、 以 下 に 示 す 4 つの 影 響<br />
( 視 点 )について、 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 を 行 う。<br />
1 設 置 地 盤 及 び 地 震 応 答 性 状 の 相 違 等 に 起 因 する 相 対 変 位 又 は 不 等 沈<br />
下 による 影 響<br />
29
2 耐 震 重 要 施 設 と 下 位 のクラスの 施 設 との 接 続 部 における 相 互 影 響<br />
3 建 屋 内 における 下 位 のクラスの 施 設 の 損 傷 、 転 倒 、 落 下 等 による 耐 震<br />
重 要 施 設 への 影 響<br />
4 建 屋 外 における 下 位 のクラスの 施 設 の 損 傷 、 転 倒 、 落 下 等 による 耐 震<br />
重 要 施 設 への 影 響<br />
(2)これら 4 つの 影 響 ( 視 点 ) 以 外 に 追 加 すべきものがないかを、 原 子 力 発 電<br />
所 の 地 震 被 害 情 報 をもとに 確 認 し、 新 たな 検 討 事 象 が 抽 出 された 場 合 には、<br />
その 影 響 ( 視 点 )を 追 加 する。<br />
(3) 各 影 響 ( 視 点 )より 選 定 した 事 象 に 対 して 波 及 的 影 響 の 評 価 を 行 い、 波 及<br />
的 影 響 を 考 慮 すべき 施 設 を 摘 出 する。<br />
(4) 波 及 的 影 響 の 評 価 に 当 たっては、 耐 震 重 要 施 設 の 設 計 に 用 いる 地 震 動 又 は<br />
地 震 力 を 適 用 する。また、 水 平 2 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 力 が 同 時 に 作 用 す<br />
る 場 合 の 影 響 も 考 慮 して 評 価 する。<br />
(5) 波 及 的 影 響 の 評 価 においては、 溢 水 防 護 及 び 火 災 防 護 の 観 点 からの 波 及 的<br />
影 響 についても 確 認 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 及 び 影 響 評 価 に<br />
ついて、 以 下 のとおりの 方 針 としていることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2<br />
の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(1) 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 については、 敷 地 全 体 を 俯 瞰 した 調 査 ・<br />
検 討 の 内 容 等 を 含 めて 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 を 行 う 方 針 として<br />
いることに 加 え、 原 子 力 発 電 所 の 地 震 被 害 情 報 についても 併 せて 検 討 する 方<br />
針 としていること。<br />
(2) 影 響 評 価 については、 選 定 された 事 象 による 波 及 的 影 響 を 評 価 して 考 慮 す<br />
べき 施 設 を 摘 出 する 方 針 としていることに 加 え、 溢 水 防 護 及 び 火 災 防 護 の 観<br />
点 も 踏 まえて 考 慮 すべき 施 設 を 摘 出 する 方 針 としていること。<br />
Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )<br />
第 3 条 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 は、 当 該 設 計 基 準 対 象 施 設 を 十 分 に 支 持 することが<br />
できる 地 盤 に 設 けなければならないこと 並 びに 耐 震 重 要 施 設 は、 変 形 した 場 合 にお<br />
いてもその 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないこと<br />
及 び 変 位 が 生 ずるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないことを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
30
3. 地 盤 の 変 形<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 別 記 1( 以 下 「 解 釈 別 記 1」という。)は、 耐 震 重 要 施 設<br />
を 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 の 露 頭 が 無 いことを 確 認 した 地 盤 に 設 置 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 耐 震 重 要 施 設 を 設 置 する 地 盤 における 断 層 の 活 動 性 評 価 について、<br />
敷 地 及 び 敷 地 近 傍 における 変 動 地 形 学 的 調 査 及 び 地 表 地 質 調 査 の 結 果 並 びに 断<br />
層 の 性 状 及 び 上 載 地 層 の 年 代 に 着 目 した 手 法 による 検 討 結 果 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
(1) 耐 震 重 要 施 設 設 置 位 置 には、ボーリング 調 査 、 試 掘 坑 調 査 等 から、G-1<br />
断 層 、G-2・4 断 層 及 びf-16 断 層 の 計 3 条 の 断 層 が 認 められる。<br />
(2) 本 発 電 所 敷 地 内 の 断 層 は、その 性 状 から、「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほ<br />
ぼ 平 行 な 断 層 」、「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 直 交 する 断 層 」 及 び「 佐 世<br />
保 層 群 に 貫 入 した 玢 岩 に 沿 う 断 層 及 び 玢 岩 脈 と 同 系 統 の 断 層 」の3つのタイ<br />
プの 断 層 に 区 分 される。<br />
(3)G-1 断 層 及 びf-16 断 層 は「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 平 行 な 断<br />
層 」、G-2・4 断 層 は「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 直 交 する 断 層 」に 該<br />
当 する。<br />
(4)「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 平 行 な 断 層 」は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 周 辺 で<br />
最 も 規 模 が 大 きいG-1 断 層 を 対 象 に 活 動 性 評 価 を 行 い、 断 層 調 査 坑 での 地<br />
質 観 察 の 結 果 、G-1 断 層 は 東 松 浦 玄 武 岩 類 に 変 位 を 与 えていないことから、<br />
新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武 岩 類 の 噴 出 以 降 の 活 動 はないと 判 断 される。<br />
(5)「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 直 交 する 断 層 」は、 延 長 は 短 く、 破 砕 幅 及<br />
び 変 位 量 も 小 規 模 であり、 基 礎 掘 削 面 に 出 現 するG-2・4 断 層 を 対 象 に 活<br />
動 性 評 価 を 行 い、 基 礎 掘 削 面 での 地 質 観 察 の 結 果 、G-2・4 断 層 は 南 東 側<br />
では 佐 世 保 層 群 中 で 消 滅 し、 北 西 側 では 岩 脈 ( 玢 岩 )に 変 位 を 与 えていない<br />
ことから、 少 なくとも 新 第 三 紀 中 新 世 の 岩 脈 ( 玢 岩 )の 貫 入 以 降 の 活 動 はな<br />
いと 判 断 される。<br />
(6)なお、「 佐 世 保 層 群 に 貫 入 した 玢 岩 に 沿 う 断 層 及 び 玢 岩 脈 と 同 系 統 の 断 層 」<br />
は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 設 置 位 置 に 認 められ、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断<br />
31
層 等 ではないと 評 価 しており、その 評 価 の 詳 細 については、「Ⅳ-3.1 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 の 地 盤 ( 第 38 条 関 係 )」に 示 す。<br />
(7) 東 松 浦 玄 武 岩 類 について、 既 往 文 献 によると、カリウム-アルゴン 法 によ<br />
る 年 代 測 定 を 実 施 した 結 果 、3.0Ma~2.9Ma の 年 代 が 得 られたとされている。<br />
(8) 以 上 のことから、 耐 震 重 要 施 設 設 置 位 置 に 認 められる 3 条 の 断 層 を 含 め、<br />
本 発 電 所 敷 地 内 の 断 層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 ではないと 評 価<br />
した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 各 種 調 査 の 結 果 、 耐 震 重 要 施 設 を 設 置 する 地 盤<br />
における 断 層 の 活 動 性 評 価 手 法 等 が 適 切 であり、 耐 震 重 要 施 設 設 置 位 置 に 分 布 す<br />
る 断 層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 に 該 当 せず、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適<br />
合 していること 及 び 地 質 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
解 釈 別 記 1は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 耐 震 重 要 度 分 類 の 各 クラスに 応 じ<br />
て 算 定 する 地 震 力 ( 耐 震 重 要 施 設 にあっては、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 含 む。)<br />
が 作 用 した 場 合 においても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する 地 盤 に 設 けな<br />
ければならないこと、さらに、 耐 震 重 要 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震<br />
力 が 作 用 することによって 弱 面 上 のずれ 等 が 発 生 しないことを 含 め、 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 に 対 する 支 持 性 能 が 確 保 されていることを 確 認 することを 要 求 し<br />
ている。<br />
申 請 者 は、 解 析 モデルの 設 定 、 動 的 解 析 等 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 設 計 基 準 対 象 施 設 については、 耐 震 重 要 度 分 類 の 各 クラスに 応 じて 算 定 し<br />
た 地 震 力 が 作 用 した 場 合 においても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する<br />
地 盤 に 設 置 する。<br />
(2) 耐 震 重 要 施 設 については、 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 等 を 対 象 に、<br />
基 礎 地 盤 の 支 持 力 、 基 礎 地 盤 のすべり 及 び 基 礎 底 面 の 傾 斜 に 対 する 安 全 性 を<br />
評 価 した。<br />
(3) 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作 用 させた 動 的 解 析 は、 評 価 の 対 象 となる 耐 震<br />
重 要 施 設 の 配 置 、 施 設 周 辺 の 地 形 及 び 地 質 構 造 を 考 慮 し、3・4 号 炉 原 子 炉 格<br />
納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 付 近 の 耐 震 重 要 施 設 に 対 する 解 析 断 面 として 3・<br />
4 号 炉 の 炉 心 で 直 交 する 3 断 面 を 対 象 に 二 次 元 有 限 要 素 法 により 行 った。<br />
(4) 動 的 解 析 に 用 いる 地 盤 パラメータについては、 各 種 の 調 査 結 果 を 基 に 設 定<br />
した。 解 析 に 当 たっては、せん 断 強 度 のばらつき、 地 下 水 位 観 測 結 果 、 入 力<br />
地 震 動 の 位 相 の 反 転 についても 考 慮 した。<br />
(5) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 底<br />
32
面 における 最 大 接 地 圧 は 1.98N/mm 2 であり、 基 礎 地 盤 の 大 部 分 を 占 める○B 級<br />
以 上 の 岩 盤 の 支 持 力 試 験 結 果 から 評 価 した 極 限 支 持 力 (13.7N/mm 2 以 上 )を 下<br />
回 る。<br />
(6) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 地<br />
盤 の 最 小 すべり 安 全 率 は、1.5 を 上 回 る。<br />
(7) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 底<br />
面 に 生 じる 最 大 傾 斜 は、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 を 設 置 する 地 盤 の 評 価 については、 申 請 者 が<br />
行 った 動 的 解 析 の 手 法 、 地 盤 パラメータの 設 定 方 法 等 が 適 切 であり、 当 該 施 設 を<br />
十 分 に 支 持 することができる 地 盤 に 設 けるとしていることから、 解 釈 別 記 1の 規<br />
定 に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3. 地 盤 の 変 形<br />
解 釈 別 記 1は、 耐 震 重 要 施 設 について、 地 震 発 生 に 伴 う 地 殻 変 動 によって 生 じ<br />
る 支 持 地 盤 の 傾 斜 及 び 撓 み 並 びに 地 震 発 生 に 伴 う 建 物 ・ 構 築 物 間 の 不 等 沈 下 、 液<br />
状 化 及 び 揺 すり 込 み 沈 下 等 の 周 辺 地 盤 の 変 状 が 生 じた 場 合 においてもその 安 全<br />
機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないことを 要 求 してい<br />
る。<br />
申 請 者 は、 耐 震 重 要 施 設 の 支 持 地 盤 に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾 斜 に 関<br />
する 評 価 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 耐 震 重 要 施 設 は、 岩 盤 に 支 持 されている、 若 しくはマンメイドロック(コ<br />
ンクリート)による 置 き 換 えにより 岩 盤 に 支 持 される 設 計 としていることか<br />
ら、 揺 すり 込 み 沈 下 や 液 状 化 による 不 等 沈 下 の 影 響 を 受 けるおそれはない。<br />
(2) 耐 震 重 要 施 設 の 支 持 地 盤 の 傾 斜 は、 本 発 電 所 敷 地 内 に 震 源 として 考 慮 する<br />
活 断 層 が 分 布 していないことを 確 認 していることから、 敷 地 において 地 殻 の<br />
広 域 的 な 変 形 による 著 しい 地 盤 の 傾 斜 が 生 じることはないが、 敷 地 に 比 較 的<br />
近 い 竹 木 場 断 層 及 び 城 山 南 断 層 の 活 動 に 伴 い 生 じる 地 盤 の 傾 斜 について、<br />
Wang et al.(2003)の 手 法 により 評 価 した 結 果 、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 地 盤 の 変 形 について、 申 請 者 の 耐 震 重 要 施 設 の 支 持 地 盤 の 変 形<br />
に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾 斜 に 関 する 評 価 が 適 切 であり、 変 形 した 場 合<br />
においてもその 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 当 該 施 設 を 設 けると<br />
していることから、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 ま<br />
えていることを 確 認 した。<br />
33
Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )<br />
第 5 条 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 基 準 津 波 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれる<br />
おそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波<br />
1. 地 震 に 伴 う 津 波<br />
2. 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波<br />
3. 地 震 に 伴 う 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せ<br />
4. 基 準 津 波 の 策 定 等<br />
Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針<br />
1. 防 護 対 象 とする 施 設 の 選 定 方 針<br />
2. 基 本 事 項<br />
3. 津 波 防 護 の 方 針<br />
4. 施 設 又 は 設 備 の 設 計 方 針 及 び 条 件<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 別 記 3( 以 下 「 解 釈 別 記 3」という。)は、 基 準 津 波 につい<br />
て、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 踏 まえ、 波 源 海 域 から 敷 地 周 辺 までの 海 底 地 形 、<br />
地 質 構 造 及 び 地 震 活 動 性 等 の 地 震 学 的 見 地 から 想 定 することが 適 切 なものを 策 定<br />
することを 要 求 している。また、 津 波 の 発 生 要 因 として、 地 震 のほか、 地 すべり、<br />
斜 面 崩 壊 その 他 の 地 震 以 外 の 要 因 、 及 びこれらの 組 合 せによるものを 複 数 選 定 し、<br />
不 確 かさを 考 慮 して 数 値 解 析 を 実 施 し、 策 定 することを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 津 波 評 価 の 内 容 について 審 査 した 結 果 、 本 申 請<br />
における 基 準 津 波 は、 津 波 の 発 生 要 因 として、 地 震 のほか、 地 すべり、 斜 面 崩 壊 そ<br />
の 他 の 地 震 以 外 の 要 因 、 及 びこれらの 組 合 せによるものを 検 討 した 上 で、 地 震 によ<br />
る 津 波 を 複 数 選 定 するとともに、 不 確 かさを 考 慮 して 適 切 に 策 定 していることから、<br />
解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
34
1. 地 震 に 伴 う 津 波<br />
解 釈 別 記 3は、 地 震 に 伴 う 津 波 について、プレート 間 地 震 、 海 洋 プレート 内 地<br />
震 及 び 海 域 の 活 断 層 による 地 殻 内 地 震 に 伴 う 津 波 を 考 慮 し、 津 波 の 発 生 要 因 に 係<br />
る 調 査 及 び 波 源 モデルの 設 定 に 必 要 な 調 査 、 敷 地 周 辺 に 襲 来 した 可 能 性 のある 津<br />
波 に 係 る 調 査 及 び 津 波 の 伝 播 経 路 に 係 る 調 査 を 行 うことを 要 求 している。また、<br />
基 準 津 波 の 策 定 に 当 たっては、 適 切 な 規 模 の 津 波 波 源 を 考 慮 するとともに、 不 確<br />
かさの 考 慮 に 当 たっては、 基 準 津 波 の 策 定 に 及 ぼす 影 響 が 大 きいと 考 えられる 波<br />
源 特 性 の 不 確 かさの 要 因 及 びその 大 きさの 程 度 並 びに 解 釈 の 違 いによる 不 確 か<br />
さを 十 分 踏 まえた 上 で、 適 切 な 手 法 を 用 いることを 要 求 している。さらに、 行 政<br />
機 関 により 敷 地 又 はその 周 辺 の 津 波 が 評 価 されている 場 合 には、 波 源 設 定 の 考 え<br />
方 及 び 解 析 条 件 の 相 違 点 に 着 目 した 上 で、 安 全 側 の 評 価 を 実 施 するとの 観 点 から<br />
必 要 な 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 基 準 津 波 の 策 定 に 反 映 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 に 伴 う 津 波 評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 敷 地 周 辺 の 既 往 津 波 及 び 痕 跡 高 についての 文 献 調 査 の 結 果 、 日 本 周 辺 の 海<br />
域 や 遠 地 で 過 去 に 発 生 した 津 波 を 含 めて、 本 発 電 所 敷 地 周 辺 の 沿 岸 域 に 顕 著<br />
な 影 響 を 及 ぼした 既 往 津 波 は 認 められなかった。<br />
(2) 海 域 活 断 層 による 地 震 に 伴 う 津 波 については、 文 献 調 査 及 び 敷 地 周 辺 の 地<br />
質 調 査 結 果 を 踏 まえ、 後 期 更 新 世 以 降 の 活 動 が 否 定 できない 断 層 について 阿<br />
部 (1989)の 簡 易 予 測 式 により 推 定 津 波 水 位 を 評 価 した 結 果 から、 検 討 対 象<br />
の 海 域 活 断 層 として 警 固 断 層 帯 、 壱 岐 北 東 部 断 層 群 、 西 山 断 層 帯 及 び 対 馬 南<br />
西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 の 4 断 層 を 抽 出 した。<br />
(3) 海 域 活 断 層 の 各 断 層 について、 土 木 学 会 (2002) 及 び 土 木 学 会 (2016)に<br />
基 づき、 傾 斜 、すべり 角 、 断 層 上 縁 深 さを 不 確 かさとして 考 慮 するなど 概 略<br />
数 値 計 算 モデルを 用 いたパラメータスタディを 実 施 し、 波 源 の 選 定 を 行 った。<br />
(4)パラメータスタディの 検 討 結 果 より、 水 位 変 動 量 の 大 きい 対 馬 南 西 沖 断 層<br />
群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 及 び 西 山 断 層 帯 を 詳 細 数 値 計 算 モデルによ<br />
る 検 討 対 象 波 源 として 選 定 した。<br />
(5) 津 波 に 伴 う 水 位 変 動 の 評 価 は、 非 線 形 長 波 理 論 に 基 づき、 差 分 法 による 平<br />
面 二 次 元 モデルによる 津 波 シミュレーションプログラムを 用 いて 実 施 した。<br />
(6) 津 波 シミュレーションに 用 いる 数 値 計 算 モデルについては、 日 本 海 南 西 部<br />
及 び 東 シナ 海 北 部 の 東 西 約 500km、 南 北 約 500km を 計 算 領 域 とし、 計 算 格 子<br />
間 隔 は、 最 大 1,600m から 最 小 6.25m まで 徐 々に 細 かい 格 子 サイズを 設 定 し<br />
た。また、 数 値 シミュレーションに 当 たり、 潮 位 条 件 に 加 えて 断 層 活 動 に 伴<br />
う 地 盤 変 動 を 考 慮 して 検 討 を 行 った。<br />
(7) 行 政 機 関 が 実 施 している 津 波 シミュレーションのうち、 本 発 電 所 へ 比 較 的<br />
大 きな 水 位 変 動 を 与 える 可 能 性 のある 海 域 活 断 層 による 波 源 モデルとして、<br />
35
「 日 本 海 における 大 規 模 地 震 に 関 する 調 査 検 討 会 (2014)」、 佐 賀 県 及 び 福 岡<br />
県 が 想 定 した 西 山 断 層 帯 の 波 源 モデル 並 びに 佐 賀 県 及 び 福 岡 県 が 想 定 した<br />
対 馬 海 峡 東 の 断 層 の 波 源 モデルを 用 いて 津 波 評 価 を 実 施 した。<br />
(8) 太 平 洋 側 に 想 定 されるプレート 間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 による 津 波<br />
については、 想 定 される 津 波 の 規 模 及 び 敷 地 との 位 置 関 係 を 踏 まえ、 敷 地 周<br />
辺 の 海 域 活 断 層 による 地 震 に 伴 う 津 波 に 比 べ 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 は 小 さい<br />
と 考 えられることから、 検 討 対 象 波 源 として 選 定 しなかった。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群<br />
について、それぞれの 断 層 の 位 置 や 走 向 ・ 傾 斜 を 踏 まえ、 海 域 活 断 層 による 地 震<br />
に 伴 う 津 波 の 波 源 として、これらの 断 層 が 連 動 する 場 合 を 考 慮 して 評 価 すること<br />
を 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、これを 反 映 して 海 域 活 断 層 による 地 震 に 伴 う 津 波 の<br />
評 価 を 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 地 震 に 伴 う 津 波 の 評 価 については、 波 源 モデ<br />
ルの 設 定 等 に 必 要 な 調 査 を 実 施 するとともに、 行 政 機 関 が 行 った 津 波 シミュレー<br />
ションも 適 切 に 反 映 し、 不 確 かさを 考 慮 して 海 域 活 断 層 の 特 性 や 位 置 等 から 考 え<br />
られる 適 切 な 規 模 の 津 波 波 源 を 設 定 して 適 切 な 手 法 で 評 価 を 行 っていることか<br />
ら、 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
2. 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波<br />
解 釈 別 記 3は、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 について、 地 すべり、 斜 面 崩 壊 その<br />
他 の 地 震 以 外 の 要 因 を 考 慮 し、 津 波 の 発 生 要 因 に 係 る 調 査 及 び 波 源 モデルの 設 定<br />
に 必 要 な 調 査 、 敷 地 周 辺 に 襲 来 した 可 能 性 のある 津 波 に 係 る 調 査 及 び 津 波 の 伝 播<br />
経 路 に 係 る 調 査 を 行 うことを 要 求 している。また、 基 準 津 波 の 策 定 に 当 たっては、<br />
適 切 な 規 模 の 津 波 波 源 を 考 慮 するとともに、 不 確 かさの 考 慮 に 当 たっては、 基 準<br />
津 波 の 策 定 に 及 ぼす 影 響 が 大 きいと 考 えられる 波 源 特 性 の 不 確 かさの 要 因 及 び<br />
その 大 きさの 程 度 並 びにそれらに 係 る 考 え 方 及 び 解 釈 の 違 いによる 不 確 かさを<br />
十 分 踏 まえた 上 で、 適 切 な 手 法 を 用 いることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 文 献 調 査 の 結 果 、 敷 地 周 辺 において、 海 底 地 すべり、 陸 上 の 斜 面 崩 壊 ( 地<br />
すべり)、 火 山 現 象 等 、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 記 録 は 認 められなかっ<br />
た。<br />
(2) 海 底 地 すべりによる 津 波 については、 文 献 調 査 に 加 え、 海 上 音 波 探 査 記 録<br />
等 による 検 討 の 結 果 、 敷 地 から 半 径 100km 程 度 の 範 囲 に 本 発 電 所 に 影 響 を 及<br />
36
ぼす 可 能 性 のある 海 底 地 すべり 地 形 は 認 められなかった。<br />
(3) 陸 上 地 すべりによる 津 波 については、 国 立 研 究 開 発 法 人 防 災 科 学 技 術 研 究<br />
所 による 地 すべり 地 形 分 布 図 データベース 等 を 基 に 検 討 した 結 果 、 本 発 電 所<br />
の 安 全 性 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 地 すべり 地 形 は 抽 出 されなかった。<br />
(4) 火 山 現 象 に 起 因 する 津 波 については、 過 去 の 火 山 現 象 の 発 生 状 況 から 想 定<br />
される 津 波 の 規 模 及 び 地 形 的 障 害 を 考 慮 すると、 本 発 電 所 の 安 全 性 に 影 響 を<br />
及 ぼすような 津 波 が 到 来 することはないと 考 えられると 評 価 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 評 価 については、<br />
波 源 モデルの 設 定 等 に 必 要 な 調 査 を 実 施 し、 本 発 電 所 への 影 響 を 評 価 しているこ<br />
とから、 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
3. 地 震 に 伴 う 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せ<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 発 生 要 因 に 係 る 敷 地 の 地 学 的 背 景 及 び 津 波 発 生 要 因 の 関 連<br />
性 を 踏 まえ、 地 震 及 び 地 すべり 又 は 斜 面 崩 壊 等 の 組 合 せについて 考 慮 することを<br />
要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 による 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せについて、 地<br />
震 以 外 を 要 因 とする 津 波 については、 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 はないと 考 えられるた<br />
め、これらの 津 波 の 組 合 せは 考 慮 しないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 地 震 に 伴 う 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波<br />
の 組 合 せの 評 価 については、 敷 地 の 地 学 的 背 景 及 び 津 波 発 生 要 因 の 関 連 性 を 踏 ま<br />
えて 検 討 し、 地 震 以 外 を 要 因 とする 津 波 については 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 はないと<br />
考 えられるとして、 組 合 せは 考 慮 しないと 評 価 していることから、 解 釈 別 記 3の<br />
規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
4. 基 準 津 波 の 策 定 等<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 の 時 刻 歴 波 形 について、 敷 地 前 面 海 域 の 海 底 地 形 の 特<br />
徴 を 踏 まえ、 時 刻 歴 波 形 に 対 して 施 設 からの 反 射 波 の 影 響 が 微 少 となるよう、 施<br />
設 から 離 れた 沿 岸 域 における 津 波 を 用 いることを 要 求 している。また、 砂 移 動 の<br />
評 価 に 必 要 な 調 査 を 行 い、 基 準 津 波 による 水 位 変 動 に 伴 う 砂 の 移 動 ・ 堆 積 に 対 し<br />
て 取 水 口 及 び 取 水 路 の 通 水 性 が 確 保 できることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 基 準 津 波 の 策 定 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 基 準 津 波 は、 時 刻 歴 波 形 に 対 して 施 設 からの 反 射 波 の 影 響 が 微 少 となるよ<br />
う、 本 発 電 所 敷 地 北 端 から 北 方 に 約 3 km 離 れた 海 域 の 水 深 約 50m の 地 点 で 定<br />
義 した。<br />
37
(2) 地 震 に 伴 う 津 波 、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 及 びそれらの 組 合 せによる 津<br />
波 について 検 討 した 結 果 、 本 発 電 所 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがある 津 波<br />
として、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 による 地 震 に 伴 う 津<br />
波 及 び 西 山 断 層 帯 による 地 震 に 伴 う 津 波 を 選 定 した。<br />
(3) 水 位 上 昇 側 の 基 準 津 波 として、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の<br />
連 動 で、 基 準 津 波 定 義 位 置 で 最 大 水 位 上 昇 量 は+0.64m、 水 位 下 降 側 の 基 準<br />
津 波 として、 西 山 断 層 帯 で、 基 準 津 波 定 義 位 置 で 最 大 水 位 降 下 量 は-0.92m で<br />
ある。<br />
(4) 基 準 津 波 に 伴 う 砂 移 動 の 数 値 計 算 では、 海 底 土 質 調 査 等 から 砂 の 粒 径 、 密<br />
度 等 を 設 定 し、 藤 井 ほか(1998) 及 び 高 橋 ほか(1999)の 方 法 を 用 いて 砂 の<br />
堆 積 厚 を 評 価 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 設 備 の 取 水 に 支 障 が 生 じないことを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 適 切 な 位 置 で 基 準 津 波 の 時 刻 歴 波 形 を 策 定 するとと<br />
もに、 基 準 津 波 による 水 位 変 動 に 伴 う 砂 移 動 の 評 価 を 適 切 に 行 っていることから、<br />
解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、 基 準 津 波 定 義 位 置 における 基 準 津 波 の 年 超 過 確 率 については、<br />
水 位 上 昇 側 では 10 -5 ~10 -6 程 度 、 水 位 下 降 側 では 10 -6 ~10 -7 程 度 としている。<br />
Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針<br />
1. 防 護 対 象 とする 施 設 の 選 定 方 針<br />
解 釈 別 記 3は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 対 して 基 準 津 波 によって 安 全 機 能 が 損 なわ<br />
れるおそれがないことを 要 求 している。また、 津 波 ガイドでは、 重 要 な 安 全 機 能<br />
を 有 する 施 設 は、 基 準 津 波 に 対 して、その 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 であること<br />
を 基 本 方 針 として 示 している。<br />
申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうち、 耐 震 重 要 度 分 類 におけるSクラスの 施 設<br />
を 防 護 対 象 とする 施 設 として 選 定 する 方 針 としている。これに 加 えて、「 発 電 用<br />
軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 機 能 の 重 要 度 分 類 に 関 する 審 査 指 針 」( 平 成 2 年 8 月 30<br />
日 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 )( 以 下 「 安 全 重 要 度 分 類 指 針 」という。)に 基 づく 安 全<br />
機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 に 対 する 設 計 上 の 考 慮 ( 自 然 現 象 に 対 する 設<br />
計 上 の 考 慮 )を 参 考 にして、 安 全 重 要 度 分 類 におけるクラス1 及 びクラス2に 属<br />
する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 についても 防 護 対 象 とする 施 設 として 選 定 する 方 針 と<br />
している。クラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 については、 代 替 設 備 によっ<br />
て 必 要 な 機 能 を 確 保 する 等 の 対 応 を 行 うよう 設 計 するとしている。<br />
38
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 防 護 対 象 とする 施 設 については、 設 計 基 準 対 象 施 設<br />
のうち 耐 震 重 要 度 分 類 におけるSクラスの 施 設 を 選 定 すること、 重 要 な 安 全 機 能<br />
を 有 する 施 設 に 着 目 して 選 定 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の<br />
規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 基 本 事 項<br />
(1) 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 地 形 と 施 設 の 配 置<br />
津 波 ガイドでは、 耐 津 波 設 計 の 前 提 条 件 に 関 する 基 本 事 項 として、 敷 地 及 び<br />
敷 地 周 辺 における 地 形 、 施 設 の 配 置 等 について、 以 下 の 事 項 を 網 羅 的 に 示 すこ<br />
ととしている。これらの 事 項 は、 遡 上 域 及 び 浸 水 域 の 評 価 並 びに 漂 流 物 の 評 価<br />
において 必 要 な 情 報 である。<br />
1 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 地 形 、 標 高 並 びに 敷 地 周 辺 における 河 川 の 存<br />
在<br />
2 敷 地 における 施 設 の 位 置 、 形 状 等<br />
3 敷 地 周 辺 における 人 工 構 造 物 等 の 位 置 、 形 状 等<br />
申 請 者 は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 形 、 施 設 の 配 置 等 について、 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
1 敷 地 は、 東 松 浦 半 島 の 先 端 部 に 属 し、 玄 界 灘 に 面 し、 北 東 に 外 津 浦 、 南<br />
西 に 八 田 浦 がある。 本 発 電 所 周 辺 の 河 川 としては、 敷 地 から 南 東 方 向 約 2<br />
km の 地 点 を 流 れる 志 礼 川 及 び 敷 地 内 の 八 田 川 がある。<br />
3 敷 地 は、 主 に EL.+11.0m、EL.+16.0m 以 上 の 高 さに 分 かれている。<br />
3 防 護 対 象 とする 施 設 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 は、EL.+11.0m に 位 置 す<br />
る。 屋 外 の 防 護 対 象 である 海 水 ポンプエリアは EL.+11.0m に、 海 水 管 ダ<br />
クト、 燃 料 油 貯 油 そう、 燃 料 油 貯 蔵 タンクは EL.+11.0m の 敷 地 地 下 部 に<br />
位 置 する。<br />
4 津 波 監 視 設 備 として、EL. 約 +8.0m の 位 置 に 取 水 ピット 水 位 計 を、 原 子<br />
炉 周 辺 建 屋 の 壁 面 の EL. 約 +31m の 位 置 に 津 波 監 視 カメラ(3 号 炉 及 び 4<br />
号 炉 共 用 )を 設 置 する。<br />
5 EL. 約 +2.5m の 敷 地 には、 荷 揚 岸 壁 詰 所 、クレーン、 温 室 用 海 水 ポンプ<br />
室 等 がある。<br />
6 港 湾 施 設 として、 敷 地 内 には 荷 揚 岸 壁 があるが、 敷 地 外 には 大 型 の 港 湾<br />
施 設 はない。 外 津 浦 及 び 八 田 浦 側 に 防 波 堤 が 整 備 されている。<br />
7 海 上 設 置 物 として、 周 辺 の 海 域 に 浮 き 筏 及 び 定 置 網 等 が 点 在 しており、<br />
また、 漁 港 には 船 舶 ・ 漁 船 が 多 数 係 留 されているほか、 浮 桟 橋 もある。<br />
8 敷 地 周 辺 には、 民 家 や 倉 庫 等 がある。<br />
39
9 海 上 交 通 については、 本 発 電 所 沖 合 約 4km に 航 路 がある。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 耐 津 波 設 計 の 前 提 条 件 として 必 要 な 事 項 として、<br />
施 設 の 配 置 等 について 図 面 等 を 用 いて 網 羅 的 に 示 しており、これらの 事 項 が 津<br />
波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(2) 基 準 津 波 による 敷 地 周 辺 の 遡 上 域 及 び 浸 水 域<br />
解 釈 別 記 3は、 遡 上 域 及 び 浸 水 域 の 評 価 に 当 たって、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地<br />
形 及 びその 標 高 、 河 川 等 の 存 在 、 沿 岸 域 の 海 底 地 形 、 津 波 の 侵 入 角 度 、 伝 播 経<br />
路 上 の 人 工 構 造 物 等 を 考 慮 した 遡 上 解 析 を 実 施 して、 遡 上 波 の 回 り 込 みを 含 め<br />
敷 地 への 遡 上 の 可 能 性 を 検 討 することを 要 求 している。また、 地 震 時 の 変 状 ( 地<br />
盤 の 液 状 化 ) 又 は 津 波 襲 来 時 の 洗 掘 と 堆 積 を 起 因 とする 地 形 及 び 河 川 流 路 の 変<br />
化 が 可 能 性 として 考 えられる 場 合 は、 敷 地 への 遡 上 経 路 に 及 ぼす 影 響 を 検 討 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり 遡 上 解 析 を 実 施 するとしている。<br />
1 モデル<br />
a. 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 形 のモデル 化 については、 解 析 に 影 響 を 及 ぼ<br />
す 斜 面 、 道 路 等 を 考 慮 する。<br />
b. 津 波 の 伝 播 経 路 上 の 人 工 構 造 物 のモデル 化 については、 図 面 を 基 に<br />
解 析 上 影 響 を 及 ぼす 構 造 物 の 設 置 状 況 を 考 慮 する。<br />
c. 敷 地 沿 岸 域 及 び 海 底 地 形 は、 国 土 地 理 院 発 行 の 数 値 地 図 等 を、 本 発<br />
電 所 近 傍 海 域 の 水 深 データについては、 平 成 23 年 度 及 び 平 成 24 年 度<br />
に 測 定 したデータを、それぞれ 使 用 する。<br />
2 考 慮 事 項<br />
a. 敷 地 前 面 、 側 面 及 びその 周 辺 における 津 波 の 侵 入 角 度 及 び 速 度 並 び<br />
にそれらの 経 時 変 化 を 考 慮 する。<br />
b. 敷 地 の 地 形 、 標 高 の 局 所 的 な 変 化 等 による 遡 上 波 の 敷 地 への 回 り 込<br />
みを 考 慮 する。<br />
c. 地 震 による 液 状 化 、 流 動 化 、すべり、 標 高 変 化 を 考 慮 する。<br />
d. 朔 望 平 均 満 潮 位 のばらつきを 考 慮 する。<br />
e. 埋 立 部 の 変 形 及 び 敷 地 の 沈 下 については、 敷 地 は 堅 固 な 岩 盤 が 浅 く<br />
分 布 していること 及 び 埋 立 部 は 部 分 的 であり 遡 上 解 析 に 与 える 影 響 は<br />
小 さいことから、 考 慮 しない。<br />
f. 敷 地 内 を 流 れる 八 田 川 の 影 響 については、 八 田 川 の 標 高 が EL.+<br />
5.0m 以 下 の 十 分 に 低 い 場 所 に 存 在 し、 敷 地 への 遡 上 波 に 影 響 しないた<br />
40
め、 考 慮 しない。<br />
g. 敷 地 の 周 辺 斜 面 の 影 響 については、 周 辺 斜 面 が 遡 上 波 の 敷 地 への 到<br />
達 に 対 して 障 壁 となっている 箇 所 はないため、 考 慮 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 遡 上 解 析 について、 公 的 機 関 による 信 頼 性 の 高 い<br />
データや 最 新 技 術 に 基 づいたデータを 用 いてモデルを 作 成 すること、 地 震 によ<br />
る 影 響 を 適 切 に 考 慮 した 上 で 実 施 し、 敷 地 への 遡 上 可 能 性 を 検 討 することとし<br />
ており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイド<br />
を 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(3) 入 力 津 波 の 設 定<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 の 波 源 からの 数 値 計 算 により、 各 施 設 、 設 備 等 の 設<br />
置 位 置 において 算 定 される 水 位 変 動 の 時 刻 歴 波 形 を 入 力 津 波 として 設 定 する<br />
ことを 要 求 している。また、 入 力 津 波 の 設 定 に 当 たっては、 津 波 による 港 湾 内<br />
の 局 所 的 な 海 面 振 動 の 励 起 を 適 切 に 評 価 し 考 慮 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 基 準 津 波 の 波 源 から 各 施 設 、 設 備 等 の 設 置 位 置 において、 海 水 面<br />
の 基 準 レベルからの 水 位 変 動 量 を 算 定 し、 時 刻 歴 波 形 として 入 力 津 波 を 設 定 す<br />
るとしている。 入 力 津 波 を 設 計 又 は 評 価 に 用 いるに 当 たっては、 各 施 設 、 設 備<br />
等 の 設 置 位 置 において 算 定 された 津 波 高 さ、 速 度 、 衝 撃 力 等 の 数 値 に 対 して、<br />
保 守 的 な 設 計 又 は 評 価 となるような 配 慮 を 加 えて 入 力 津 波 高 さや 速 度 を 設 定<br />
するとしている。また、 局 所 的 な 海 面 振 動 については、 津 波 シミュレーション<br />
結 果 の 分 析 並 びに 基 準 津 波 定 義 地 点 及 び 取 水 口 等 における 基 準 津 波 による 時<br />
刻 歴 水 位 の 比 較 から 励 起 しないとしている。<br />
なお、 西 山 断 層 帯 による 地 震 に 伴 う 津 波 により 取 水 ピットで 水 位 が 高 くなる<br />
ことも 参 照 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 入 力 津 波 を、 各 施 設 、 設 備 等 の 設 置 位 置 において、<br />
海 水 面 からの 水 位 変 動 量 の 時 刻 歴 波 形 で 設 定 するとともに、 取 水 口 周 辺 の 局 所<br />
的 な 海 面 振 動 の 励 起 に 関 する 評 価 を、 基 準 津 波 定 義 地 点 及 び 取 水 口 等 における<br />
時 刻 歴 水 位 を 基 に 実 施 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定<br />
に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(4) 津 波 防 護 の 方 針 設 定 に 当 たっての 考 慮 事 項 ( 水 位 変 動 、 地 殻 変 動 )<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 並 びに 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
海 水 系 の 評 価 に 当 たって、 潮 汐 に 加 え 高 潮 等 の 要 因 による 水 位 変 動 も 考 慮 して<br />
保 守 的 な 評 価 を 実 施 することを 要 求 している。また、 地 震 に 伴 う 広 域 的 な 地 殻<br />
41
変 動 による 敷 地 の 隆 起 又 は 沈 降 を 考 慮 して 保 守 的 な 評 価 を 実 施 することを 要<br />
求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 評 価 について、<br />
以 下 のとおり 実 施 するとしている。<br />
1 潮 汐 による 水 位 変 動<br />
敷 地 周 辺 の 観 測 地 点 「 唐 津 港 」における 潮 位 観 測 記 録 に 基 づき 求 めた 朔<br />
望 平 均 満 潮 位 を、 入 力 津 波 による 上 昇 側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 するととも<br />
に、 朔 望 平 均 干 潮 位 を 入 力 津 波 による 下 降 側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 する。<br />
また、 観 測 地 点 「 仮 屋 」における 潮 位 観 測 記 録 に 基 づき 求 めた 潮 位 のばら<br />
つきを 考 慮 する。<br />
2 高 潮 による 水 位 変 動<br />
潮 汐 以 外 の 要 因 による 潮 位 変 動 については、 影 響 の 大 きなものとして 高<br />
潮 を 抽 出 する。 観 測 地 点 「 仮 屋 」における 至 近 約 40 年 の 潮 位 観 測 記 録 に<br />
基 づき 高 潮 の 発 生 状 況 の 調 査 及 び 高 潮 のハザードの 評 価 を 行 い、 基 準 津 波<br />
の 年 超 過 確 率 を 踏 まえ、 再 現 期 間 100 年 の 高 潮 を 算 定 し、これと 基 準 津 波<br />
との 重 畳 を 考 慮 する。<br />
3 地 殻 変 動 による 隆 起 又 は 沈 降 の 影 響<br />
地 震 に 伴 う 地 殻 変 動 による 敷 地 の 隆 起 又 は 沈 降 については、 地 殻 変 動 解<br />
析 に 基 づき 設 定 する。 上 昇 側 の 水 位 変 動 を 考 えるときは、 想 定 する 波 源 で<br />
ある 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 による 地 震 の 発 生 に<br />
伴 い、 本 発 電 所 敷 地 では 0.01m の 隆 起 量 が 想 定 されるが、 保 守 的 な 評 価 と<br />
するため 敷 地 の 隆 起 を 考 慮 しない。 一 方 、 下 降 側 の 水 位 変 動 を 考 えるとき<br />
は、 想 定 する 波 源 である 西 山 断 層 帯 による 地 震 の 発 生 に 伴 い、 本 発 電 所 敷<br />
地 では 0.02m の 隆 起 量 が 想 定 され、 保 守 的 な 評 価 とするため 敷 地 の 隆 起 を<br />
考 慮 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 水 位 変 動 、 地 殻 変 動 について、 朔 望 平 均 満 潮 位 を<br />
入 力 津 波 の 上 昇 側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 し、 朔 望 平 均 干 潮 位 を 入 力 津 波 の 下 降<br />
側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 し 保 守 的 な 設 定 をすること、 潮 汐 に 加 えて 影 響 の 大 き<br />
な 高 潮 による 水 位 変 動 をハザードの 評 価 に 基 づき 考 慮 すること、 地 震 によって<br />
発 生 する 広 域 的 な 地 殻 変 動 ( 隆 起 )を 下 降 側 の 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 し 保 守 的<br />
な 評 価 をすることとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
42
3. 津 波 防 護 の 方 針<br />
(1) 津 波 防 護 の 基 本 方 針<br />
津 波 ガイドでは、 津 波 防 護 の 基 本 方 針 について、 敷 地 の 特 性 に 応 じた 方 針 で<br />
あること、また、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 等 、 設 置 するも<br />
のの 概 要 を 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 全 体 図 、 施 設 配 置 図 等 に 明 示 するとしている。<br />
申 請 者 は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 全 体 図 、 施 設 配 置 図 等 を 示 した 上 で、 津 波 防 護<br />
の 基 本 方 針 を 以 下 のとおりとしている。<br />
なお、 申 請 者 は、4.(1)のとおり、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する 施 設 はないと<br />
している。<br />
1 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 及<br />
び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。 以 下 3において 同 じ。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区<br />
画 が 設 置 された 敷 地 には、 基 準 津 波 による 遡 上 波 を 地 上 部 から 到 達 、 流 入<br />
させない 設 計 とする。また、 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 から 流 入 させない 設<br />
計 とする。<br />
2 取 水 施 設 、 放 水 施 設 、 地 下 部 等 については、 漏 水 の 可 能 性 を 考 慮 のうえ、<br />
漏 水 による 浸 水 範 囲 を 限 定 して、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 を<br />
防 止 できる 設 計 とする。<br />
3 1 及 び2の 方 針 のほか、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 を 内 包 す<br />
る 建 屋 及 び 区 画 については、 浸 水 防 護 を 実 施 することにより、 津 波 による<br />
影 響 等 から 隔 離 可 能 な 設 計 とする。<br />
4 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 性 低 下 による 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影<br />
響 を 防 止 できる 設 計 とする。<br />
5 津 波 監 視 設 備 については、 入 力 津 波 に 対 して 津 波 監 視 機 能 が 保 持 できる<br />
設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 防 護 の 基 本 方 針 が、 申 請 者 が 敷 地 の 特 性 に 応<br />
じたものであること 及 び 当 該 方 針 に 基 づく 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 等 の 配<br />
置 を 図 面 により 示 していることから、この 方 針 が 津 波 ガイドを 踏 まえているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(2) 敷 地 への 浸 水 防 止 ( 外 郭 防 護 1)<br />
1 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 の 防 止<br />
解 釈 別 記 3は、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 を 内 包 する 建 屋 及 び 重 要 な<br />
安 全 機 能 を 有 する 屋 外 の 施 設 を、 基 準 津 波 による 遡 上 波 の 到 達 しない 十 分<br />
高 い 場 所 に 設 置 することを 要 求 している。また、 到 達 する 高 さにある 場 合<br />
43
には、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 を 設 置 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 を 防 止 するために、 以 下 の<br />
方 針 を 示 している。<br />
a. 基 準 津 波 による 遡 上 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 最 も 高 い 敷 地 前 面<br />
の 水 位 は EL.+6.0m となる。<br />
b. 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設<br />
備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 が 設 置 され<br />
ている 周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 津 波 による 遡 上 波 は 地 上<br />
部 から 到 達 、 流 入 しない。<br />
c. 津 波 が 遡 上 する EL. 約 +2.5m の 荷 揚 岸 壁 並 びに 1 号 炉 及 び 2 号 炉<br />
放 水 口 付 近 に、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 を 内 包 する 建 屋<br />
及 び 区 画 はない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 の 防 止 につ<br />
いて、 基 準 津 波 による 遡 上 域 を 把 握 するために 実 施 した 解 析 の 結 果 に 基 づ<br />
き、 津 波 防 護 対 象 設 備 を 遡 上 波 が 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しない 位 置 に 設 置<br />
することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 しているこ<br />
と 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 からの 津 波 の 流 入 防 止<br />
解 釈 別 記 3は、 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 からの 津 波 の 流 入 の 可 能 性 につ<br />
いて 検 討 した 上 で、 流 入 の 可 能 性 のある 経 路 ( 扉 、 開 口 部 、 貫 通 部 等 )を<br />
特 定 し、それらに 対 して 浸 水 対 策 を 施 すことにより、 津 波 の 流 入 を 防 止 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 津 波 の 流 入 経 路 を 特 定 した 上 で、 流 入 防 止 対<br />
策 を 施 す 方 針 としている。<br />
a. 流 入 経 路 の 特 定<br />
流 入 の 可 能 性 のある 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 については、 取 水 路 又<br />
は 放 水 路 につながる 海 水 系 、 循 環 水 系 、それ 以 外 の 屋 外 排 水 路 等 それ<br />
ぞれの 設 置 位 置 における 入 力 津 波 高 さと、それらの 開 口 部 等 の 標 高 に<br />
基 づく 許 容 津 波 高 さを 比 較 することにより、その 差 を 裕 度 として 評 価<br />
し、 津 波 が 流 入 する 可 能 性 を 検 討 する。 検 討 に 当 たっては、 高 潮 によ<br />
る 水 位 変 動 を 考 慮 する。 津 波 の 流 入 防 止 等 の 方 針 を 検 討 するために 算<br />
定 した 海 水 ポンプエリア、 取 水 ピット 及 び 放 水 ピットの 入 力 津 波 高 さ<br />
等 に 基 づき 検 討 した 結 果 、 取 水 ピットの 入 力 津 波 高 さ T.P.+7.0m に<br />
44
対 して 海 水 ポンプエリアの 床 面 の 位 置 が EL.+6.0m であることなど<br />
から、 流 入 の 可 能 性 のある 経 路 として、 取 水 路 、 放 水 路 、 屋 外 排 水 路<br />
及 びその 他 のダクト 類 を 特 定 した。なお、T.P. 表 示 と EL. 表 示 は 同 じ<br />
高 さを 示 す。<br />
b. 津 波 の 流 入 防 止 対 策<br />
特 定 した 流 入 経 路 から 津 波 が 流 入 することを 防 止 するため、 浸 水 防<br />
止 設 備 として、 海 水 ポンプエリア 床 面 には 床 ドレンライン 逆 止 弁 を 設<br />
置 するほか、 海 水 ポンプエリア 壁 面 の 貫 通 部 には 止 水 処 置 を 実 施 し、<br />
除 塵 装 置 エリアから 海 水 ポンプエリアへの 連 絡 通 路 には 水 密 扉 を 設<br />
ける。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 から 津 波 の 流 入 する<br />
可 能 性 を 網 羅 的 に 検 討 して 取 水 路 、 放 水 路 、 屋 外 排 水 路 及 びその 他 のダク<br />
ト 類 を 流 入 経 路 として 特 定 した 上 で、 浸 水 防 止 設 備 を 設 置 することにより<br />
津 波 の 流 入 を 防 止 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定<br />
に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(3) 漏 水 による 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 防 止 ( 外 郭 防 護 2)<br />
1 漏 水 対 策<br />
解 釈 別 記 3は、 取 水 設 備 及 び 放 水 設 備 の 構 造 上 の 特 徴 等 を 考 慮 して、 取<br />
水 施 設 、 放 水 施 設 、 地 下 部 等 における 漏 水 の 可 能 性 を 検 討 し、 漏 水 の 継 続<br />
による 浸 水 の 範 囲 を 想 定 ( 以 下 「 浸 水 想 定 範 囲 」という。)するとともに、<br />
同 範 囲 の 境 界 において 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 及 び 浸 水 口 ( 扉 、 開 口 部 、<br />
貫 通 部 等 )を 特 定 し、それらに 対 して 浸 水 対 策 を 施 すことにより、 浸 水 範<br />
囲 を 限 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 浸 水 想 定 範 囲 を 設 定 した 上 で、 浸 水 対 策 を 施<br />
す 方 針 としている。<br />
a. 浸 水 想 定 範 囲<br />
取 水 設 備 及 び 放 水 設 備 の 構 造 上 の 特 徴 等 を 考 慮 して、 取 水 施 設 、 放<br />
水 施 設 、 地 下 部 等 における 漏 水 の 可 能 性 を 検 討 し、 津 波 が 取 水 路 から<br />
流 入 する 可 能 性 があり、 漏 水 が 継 続 するものと 仮 定 して、 海 水 ポンプ<br />
エリアを 浸 水 想 定 範 囲 として 設 定 する。<br />
b. 浸 水 対 策<br />
45
浸 水 想 定 範 囲 への 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 として、 海 水 ポンプエリ<br />
アの 壁 に 貫 通 部 があるため 止 水 処 置 を 実 施 する。 海 水 ポンプエリアの<br />
床 ドレンラインには、 逆 止 弁 を 設 置 する。また、 除 塵 装 置 エリアから<br />
海 水 ポンプエリアへの 連 絡 通 路 には、 水 密 扉 を 設 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 漏 水 の 影 響<br />
防 止 について、 海 水 ポンプエリアを 浸 水 想 定 範 囲 として 設 定 した 上 で、 同<br />
エリアへの 浸 水 経 路 である 壁 貫 通 部 への 止 水 処 置 の 実 施 、 海 水 ポンプエリ<br />
アの 床 ドレンラインへの 逆 止 弁 の 設 置 並 びに 除 塵 装 置 エリアから 海 水 ポ<br />
ンプエリアへの 連 絡 通 路 の 水 密 扉 の 設 置 により 浸 水 範 囲 を 限 定 するとし<br />
ており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガ<br />
イドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価<br />
解 釈 別 記 3は、 浸 水 想 定 範 囲 の 周 辺 に 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 設 備 があ<br />
る 場 合 は、 防 水 区 画 化 するとともに、 必 要 に 応 じて 同 区 画 内 への 浸 水 量 評<br />
価 を 実 施 して、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 がないことを 確 認 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアに 津 波 防 護 対 象 設 備 で<br />
ある 海 水 ポンプを 設 置 しているため、 水 密 扉 及 び 床 ドレンライン 逆 止 弁 を<br />
設 置 することにより 本 エリアを 防 水 区 画 化 するとしている。また、 浸 水 防<br />
止 設 備 として 設 置 する 水 密 扉 及 び 床 ドレンライン 逆 止 弁 について、 漏 水 に<br />
よる 浸 水 経 路 となる 可 能 性 があるため、 浸 水 量 を 評 価 し、 海 水 ポンプへの<br />
影 響 がないことを 確 認 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価 に<br />
ついて、 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアを 防 水 区 画 化 した 上 で、 区<br />
画 内 への 浸 水 量 評 価 によって 海 水 ポンプへの 影 響 がないことを 確 認 する<br />
こととしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及<br />
び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3 排 水 設 備 設 置 の 検 討<br />
解 釈 別 記 3は、 浸 水 想 定 範 囲 における 長 期 間 の 冠 水 が 想 定 される 場 合 は、<br />
排 水 設 備 を 設 置 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアにおける 浸 水 量 評 価 に<br />
基 づき、 長 期 間 の 冠 水 が 想 定 される 場 合 は、 海 水 ポンプエリアに 排 水 設 備<br />
46
を 設 置 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 排 水 設 備 設 置 の 検 討 について、 申 請 者 が「2<br />
重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価 」における「 浸 水 想 定 範 囲 にお<br />
ける 浸 水 量 評 価 」に 基 づき、 長 期 間 の 冠 水 の 有 無 に 応 じて 排 水 設 備 を 設 置<br />
することとしており、この 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及<br />
び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(4) 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 の 隔 離 ( 内 郭 防 護 )<br />
解 釈 別 記 3は、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 設 備 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 につい<br />
て、 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 として 明 確 化 することを 要 求 している。また、 津 波 に<br />
よる 溢 水 を 考 慮 した 浸 水 範 囲 及 び 浸 水 量 を 保 守 的 に 想 定 した 上 で、 浸 水 防 護 重<br />
点 化 範 囲 への 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 及 び 浸 水 口 ( 扉 、 開 口 部 、 貫 通 部 等 )を<br />
特 定 し、それらに 対 して 浸 水 対 策 を 施 すことにより、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する<br />
施 設 を 津 波 による 影 響 等 から 隔 離 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 の 隔 離 について、 以 下 のとおり、 浸<br />
水 防 護 重 点 化 範 囲 を 設 定 した 上 で、 浸 水 対 策 を 施 す 方 針 としている。<br />
1 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 の 設 定<br />
原 子 炉 格 納 容 器 、 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建 屋 、 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 建 屋 、 海 水 ポンプエリア、 海 水 管 ダクト、 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクを 設 定 する。<br />
2 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 の 境 界 における 浸 水 対 策<br />
浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 へ 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 については、 地 震 による<br />
溢 水 の 影 響 も 考 慮 して、タービン 建 屋 から 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建<br />
屋 及 び 海 水 管 ダクト 並 びに 海 水 ポンプエリアへの 浸 水 、また、 地 震 時 の 地<br />
下 水 の 流 入 に 関 して 以 下 のとおり 検 討 し、 浸 水 の 経 路 を 特 定 する。 特 定 し<br />
た 経 路 に 対 して、 水 密 扉 及 び 床 ドレンライン 逆 止 弁 を 設 置 し 並 びに 貫 通 部<br />
止 水 処 置 を 実 施 する。<br />
a. 機 器 及 び 配 管 の 損 傷 によるタービン 建 屋 内 の 津 波 浸 水 量 、 溢<br />
水<br />
ア.タービン 建 屋 内 に 流 入 した 津 波 により、タービン 建 屋 に 隣 接 す<br />
る 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 ( 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建 屋 及 び 海<br />
水 管 ダクト)への 影 響 を 評 価 する。<br />
47
イ. 地 震 に 起 因 する 循 環 水 管 の 伸 縮 継 手 の 全 周 破 損 及 び 耐 震 性 の 低<br />
い 2 次 系 機 器 の 破 損 を 想 定 し、 循 環 水 ポンプ 停 止 までに 生 ずる 溢<br />
水 量 、2 次 系 設 備 の 保 有 水 による 溢 水 量 及 び 循 環 水 管 の 損 傷 箇 所<br />
からの 津 波 流 入 量 の 合 計 が 建 屋 内 に 滞 留 するとして、 浸 水 量 を 算<br />
定 する。<br />
ウ. 循 環 水 系 機 器 及 び 配 管 の 損 傷 による 津 波 浸 水 量 の 算 定 では、 入<br />
力 津 波 の 時 刻 歴 波 形 に 基 づき 津 波 の 繰 り 返 しの 都 度 、 津 波 が 流 入<br />
し、 保 守 的 に 一 度 流 入 したものは 流 出 しないとする。<br />
エ. 地 震 に 起 因 する 地 下 部 外 壁 の 損 傷 による 地 下 水 の 流 入 について<br />
は、タービン 建 屋 の 想 定 溢 水 水 位 と 安 全 側 に 設 定 した 地 下 水 位 を<br />
比 較 して 流 入 量 を 算 定 する。<br />
b. 屋 外 配 管 やタンク 等 の 損 傷 による 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 の 津 波<br />
浸 水 量 、 溢 水<br />
ア. 屋 外 の 循 環 水 管 の 損 傷 箇 所 を 介 して、 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 に 津<br />
波 が 流 入 することが 考 えられるため、 循 環 水 管 から 流 出 した 津 波<br />
が、 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 に 及 ぼす 影 響 を 評 価 する。<br />
イ. 屋 外 の 循 環 水 管 の 損 傷 による 海 水 ポンプエリア 及 び 海 水 管 ダク<br />
トへの 津 波 の 流 入 等 を 防 止 するため、 海 水 ポンプエリア 防 護 壁 、<br />
水 密 扉 、 取 水 ピット 搬 入 口 蓋 、 床 ドレンライン 逆 止 弁 の 設 置 及 び<br />
貫 通 部 止 水 処 置 を 実 施 する。<br />
ウ. 屋 外 タンク 等 の 損 傷 による 溢 水 は、 別 途 溢 水 防 護 に 関 する 影 響<br />
評 価 を 実 施 し、 壁 、 扉 、 堰 等 を 設 置 することにより、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 、 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建 屋 、 燃 料 取 替 用 水 タンク 建<br />
屋 、 海 水 ポンプエリア、 海 水 管 ダクト、 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料<br />
油 貯 蔵 タンクに 流 入 させない 設 計 とする。<br />
c. 地 下 水 の 流 入<br />
1 日 当 たりの 地 下 水 ( 湧 水 ) 量 の 実 績 値 に 対 して 湧 水 サンプポンプ<br />
の 排 出 量 が 大 きく 上 回 ることと、 湧 水 サンプポンプが 耐 震 性 を 有 する<br />
ことから 外 部 の 支 援 を 期 待 することなく 排 水 可 能 である。<br />
d. 施 設 、 設 備 の 施 工 上 生 じうる 隙 間 部<br />
津 波 及 び 溢 水 による 浸 水 を 想 定 するタービン 建 屋 地 下 部 において、<br />
施 工 上 生 じうる 建 屋 間 の 隙 間 部 には、 止 水 処 置 を 行 い、 浸 水 防 護 重 点<br />
化 範 囲 への 浸 水 を 防 止 する 設 計 とする。<br />
48
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 の 隔 離 ( 内 郭 防 護 )<br />
について、 本 発 電 所 の 施 設 の 配 置 、 基 準 津 波 の 特 性 に 応 じた 浸 水 の 可 能 性 のあ<br />
る 津 波 の 流 入 や 溢 水 を 保 守 的 に 評 価 して、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 を 隔 離<br />
することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及<br />
び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(5) 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 性 低 下 による 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影<br />
響 防 止<br />
1 海 水 ポンプの 取 水 性<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 による 水 位 の 低 下 に 対 して 海 水 ポンプが 機 能 保<br />
持 できる 設 計 であることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 海 水 ポンプの 取 水 性 について、 以 下 の 方 針 としている。<br />
a. 海 水 ポンプ 位 置 の 評 価 水 位<br />
基 準 津 波 による 水 位 低 下 に 伴 う 海 水 ポンプ 位 置 での 水 位 を 算 定 す<br />
るため、 取 水 路 の 管 路 形 状 、 材 質 及 び 水 路 表 面 の 状 況 に 応 じた 摩 擦 損<br />
失 を 考 慮 したモデル 化 を 行 い、 管 路 の 水 理 解 析 ( 以 下 「 管 路 解 析 」と<br />
いう。)を 実 施 する。<br />
b. 水 位 低 下 に 対 する 耐 性 の 確 保<br />
管 路 解 析 に 基 づき、 取 水 ピット 内 の 下 降 側 の 入 力 津 波 高 さを、EL.<br />
-4.5m と 算 定 した。この 値 は、 水 理 試 験 結 果 に 基 づく 海 水 ポンプの 取<br />
水 可 能 ( 最 低 ) 水 位 (EL.-5.18m)を 上 回 る 水 位 であり、 水 位 低 下 に<br />
対 して 海 水 ポンプは 機 能 保 持 できる。<br />
c. 循 環 水 ポンプの 運 用<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 と 循 環 水 系 の 水 路 等 が 同 一 であるが、ターボ<br />
機 械 協 会 基 準 「ポンプ 吸 込 水 槽 の 模 型 試 験 方 法 (TSJ S002)」( 一 般 社<br />
団 法 人 ターボ 機 械 協 会 )に 準 拠 した 水 理 模 型 試 験 により 循 環 水 系 の 運<br />
転 が 海 水 ポンプの 取 水 性 に 影 響 を 及 ぼすことがないことを 確 認 して<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 海 水 ポンプ 取 水 可 能 水 位 と、 引 き 波 時 の 下 降<br />
側 の 水 位 を 比 較 し 取 水 性 を 評 価 し、 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 性 低 下 に 対 して 海<br />
水 ポンプの 機 能 を 保 持 できるよう 設 計 すること、また、 循 環 水 ポンプの 運<br />
49
転 による 海 水 ポンプの 取 水 性 への 影 響 もないことから、これらの 方 針 が 解<br />
釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていること<br />
を 確 認 した。<br />
2 津 波 の 二 次 的 な 影 響 に 対 する 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 機 能 保 持<br />
確 認<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 による 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 口 付 近 の 砂 の 移 動 及<br />
び 堆 積 並 びに 漂 流 物 について 適 切 に 評 価 することを 要 求 している。また、<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 については、 砂 の 移 動 及 び 堆 積 並 びに 漂 流 物 に 対 す<br />
る 通 水 性 を 確 保 すること、 混 入 した 浮 遊 砂 に 対 して 機 能 を 保 持 することを<br />
要 求 している。<br />
申 請 者 は、 取 水 口 付 近 の 砂 の 移 動 及 び 堆 積 並 びに 取 水 口 付 近 の 漂 流 物 の<br />
評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 取 水 口 付 近 の 砂 の 移 動 及 び 堆 積<br />
基 準 津 波 に 伴 う 砂 の 堆 積 について、 砂 移 動 解 析 では、 取 水 口 付 近 の<br />
砂 の 堆 積 はほとんどないことから、 取 水 口 は 閉 塞 しない。<br />
b. 混 入 浮 遊 砂 に 対 する 海 水 ポンプの 機 能 保 持<br />
本 発 電 所 で 使 用 している 海 水 ポンプについて、 砂 が 混 入 しても 軸 固<br />
着 しにくい 構 造 とする。 具 体 的 には、 海 水 ポンプ 取 水 時 に 浮 遊 砂 の 一<br />
部 がポンプ 軸 受 に 混 入 したとしても、 約 3.2mm(4 号 炉 は 約 3.7mm)の<br />
異 物 逃 がし 溝 から 排 出 される 構 造 とする。<br />
一 方 で、 本 発 電 所 付 近 の 砂 の 平 均 粒 径 が 0.5mm で、 数 mm 以 上 の 砂<br />
は 僅 かであり、 基 準 津 波 での 海 流 速 では、 数 mm 以 上 の 砂 は 浮 遊 しに<br />
くいことを 踏 まえると、 大 きな 粒 径 の 砂 はほとんど 混 入 せず、 海 水 ポ<br />
ンプの 取 水 機 能 は 保 持 できる。<br />
c. 取 水 口 付 近 の 漂 流 物<br />
基 準 津 波 に 伴 う 取 水 口 付 近 の 漂 流 物 について、 以 下 のとおり 取 水 性<br />
に 影 響 を 与 える 漂 流 物 はないと 評 価 している。<br />
ア. 津 波 シミュレーションの 結 果 を 踏 まえ、 本 発 電 所 構 内 及 び 本 発<br />
電 所 から 半 径 5km の 範 囲 で 漂 流 物 となる 可 能 性 のある 施 設 、 設 備<br />
等 を 網 羅 的 に 調 査 して 抽 出 する。<br />
50
イ. 上 記 について、 地 震 による 損 傷 が 漂 流 物 の 発 生 可 能 性 を 高 める<br />
ことを 考 慮 ( 地 震 で 倒 壊 する 可 能 性 のあるものは 倒 壊 するとみな<br />
す。)して 漂 流 物 を 特 定 する。<br />
ウ. 地 震 に 起 因 する 敷 地 地 盤 の 変 状 、 標 高 変 化 等 を 保 守 的 に 考 慮 し<br />
て 特 定 する。<br />
エ. 本 発 電 所 構 内 で 漂 流 物 となる 可 能 性 があるものとして、 津 波 が<br />
遡 上 する EL. 約 +2.5m の 荷 揚 岸 壁 並 びに 1 号 炉 及 び 2 号 炉 放 水 口<br />
付 近 にある 資 機 材 等 を 特 定 した。 本 発 電 所 は 深 層 取 水 方 式 を 用 い<br />
ており、 取 水 口 は 沖 合 い 海 中 深 くにあること 並 びに 資 機 材 等 の 設<br />
置 位 置 及 び 津 波 の 流 向 を 考 慮 すると、 浮 遊 する 漂 流 物 は 取 水 口 へ<br />
は 向 かわないことから、 取 水 性 への 影 響 はない。<br />
オ. 本 発 電 所 構 内 の 荷 揚 岸 壁 に 停 泊 する 燃 料 等 輸 送 船 は、 津 波 警 報<br />
等 発 令 時 は 緊 急 避 難 するため、 漂 流 物 とはならない。<br />
カ. 本 発 電 所 構 外 で 漂 流 物 となる 可 能 性 があるものとして 本 発 電 所<br />
近 傍 で 航 行 不 能 となった 船 舶 、 漁 船 を 特 定 している。 本 発 電 所 は<br />
深 層 取 水 方 式 を 用 いており、 取 水 口 は 沖 合 い 海 中 深 くにあること<br />
並 びに 船 舶 、 漁 船 の 位 置 及 び 津 波 の 流 向 を 考 慮 すると、これらは<br />
取 水 口 周 辺 には 向 かわないことから 取 水 性 に 影 響 はない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 設 備 の 構 造 等 を 踏 まえた 基 準 津 波 による 取 水<br />
口 付 近 の 砂 の 移 動 及 び 堆 積 、 取 水 口 付 近 の 漂 流 物 の 影 響 も 含 めて 検 討 を 実<br />
施 することにより、 津 波 の 二 次 的 な 影 響 に 対 して 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の<br />
機 能 を 保 持 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合<br />
していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(6) 津 波 監 視<br />
津 波 ガイドでは、 津 波 監 視 設 備 を 設 置 して 敷 地 への 津 波 の 繰 り 返 しの 襲 来 を<br />
察 知 し、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 の 機 能 を 確 実 に 確 保 することを 示 してい<br />
る。<br />
申 請 者 は、 津 波 監 視 設 備 として、 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 壁 面 の EL. 約 +31m の 位<br />
置 に 津 波 監 視 カメラ(3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を、 取 水 ピットの EL. 約 +8.0m<br />
の 位 置 に 取 水 ピット 水 位 計 を 設 置 するとしている。 津 波 監 視 カメラは 赤 外 線 撮<br />
像 機 能 を 有 し、 昼 夜 問 わず 監 視 可 能 な 設 計 とし、 取 水 ピット 水 位 計 は 津 波 水 位<br />
EL. 約 -7.0m~ 約 +8.0m を 測 定 範 囲 として 上 昇 側 及 び 下 降 側 の 津 波 高 さが 計 測<br />
できる 設 計 とし、いずれも 中 央 制 御 室 から 監 視 可 能 な 設 計 としている。<br />
51
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 止 設 備 の 機 能 を 確 保 するために 津 波 監 視 設<br />
備 を 設 置 して、 敷 地 への 津 波 の 繰 り 返 しの 襲 来 を 察 知 すること 及 び 当 該 設 備 に<br />
より 昼 夜 問 わず 原 子 炉 制 御 室 から 監 視 可 能 としており、これらの 方 針 が 津 波 ガ<br />
イドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
4. 施 設 又 は 設 備 の 設 計 方 針 及 び 条 件<br />
津 波 ガイドでは、「3. 津 波 防 護 の 方 針 」を 具 体 化 するために 必 要 な 津 波 防 護<br />
施 設 、 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 等 を 対 象 にして、 個 別 施 設 、 設 備 の 設 計 方 針<br />
及 び 漂 流 物 による 波 及 的 影 響 の 防 止 等 に 係 る 検 討 方 針 を 確 認 することを 示 して<br />
いる。<br />
(1) 津 波 防 護 施 設 の 設 計<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 について、その 構 造 に 応 じ、 波 力 による 侵 食 及<br />
び 洗 掘 に 対 する 抵 抗 性 並 びにすべり 及 び 転 倒 に 対 する 安 定 性 を 評 価 し、 越 流 時<br />
の 耐 性 にも 配 慮 した 上 で、 当 該 施 設 の 設 置 位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 津 波<br />
防 護 機 能 が 十 分 に 保 持 できるよう 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視<br />
設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 の 周 辺 敷 地 高 さは<br />
EL.+11.0m であり、 基 準 津 波 による 遡 上 波 は 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しないこと<br />
及 び 基 準 津 波 による 下 降 側 の 津 波 高 さが、 海 水 ポンプの 取 水 可 能 水 位 を 上 回 る<br />
ことから、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する 施 設 はないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 止<br />
設 備 、 津 波 監 視 設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 の<br />
周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 基 準 津 波 による 遡 上 波 は 地 上 部 から 到 達 、<br />
流 入 しないこと 及 び 基 準 津 波 による 下 降 側 の 津 波 高 さが、 海 水 ポンプの 取 水 可<br />
能 水 位 を 上 回 るとしていることから、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する 施 設 はないこと<br />
を 確 認 した。<br />
(2) 浸 水 防 止 設 備 の 設 計<br />
解 釈 別 記 3は、 浸 水 防 止 設 備 について、 浸 水 想 定 範 囲 における 浸 水 時 及 び 冠<br />
水 後 の 波 圧 等 に 対 する 耐 性 等 を 評 価 し、 越 流 時 の 耐 性 にも 配 慮 した 上 で、 当 該<br />
設 備 の 設 置 位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 浸 水 防 止 機 能 が 十 分 に 保 持 できる<br />
よう 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 防 止 設 備 ( 海 水 ポンプエリア 水 密 扉 等 )については、 浸 水 想<br />
定 範 囲 等 における 浸 水 時 の 波 圧 等 に 対 する 耐 性 及 び 溢 水 による 水 圧 に 対 する<br />
52
水 密 性 を 評 価 し、 当 該 設 備 の 設 置 位 置 における 浸 水 防 止 機 能 が 十 分 に 保 持 でき<br />
るよう 設 計 する 方 針 としている。これに 加 えて、 荷 重 の 組 合 せについては、 漂<br />
流 物 による 荷 重 、 余 震 による 荷 重 、 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 )と 入 力 津 波 によ<br />
る 荷 重 の 組 合 せを 考 慮 するとしている。また、 許 容 限 界 については、 地 震 後 、<br />
津 波 後 の 再 使 用 性 や 津 波 の 繰 り 返 し 作 用 を 想 定 し、 当 該 施 設 が 構 造 全 体 として<br />
変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )に 対 して 十 分 な 余 裕 を 有 するよう、 施 設 又 は 設<br />
備 を 構 成 する 材 料 の 変 形 が 弾 性 域 内 に 収 まることを 基 本 としている。<br />
また、 浸 水 防 止 設 備 のうち 水 密 扉 については、 常 時 開 閉 可 能 であるが、 開 放<br />
後 の 確 実 な 閉 止 操 作 、 中 央 制 御 室 からの 閉 止 確 認 及 び 閉 止 されていない 状 態 が<br />
確 認 された 場 合 の 閉 止 操 作 を 実 施 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 について、 申 請 者 が、 入 力 津<br />
波 に 対 して 浸 水 防 止 機 能 を 十 分 に 保 持 できるよう 設 計 すること、 設 備 に 作 用 す<br />
る 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせること、 地 震 後 、 津 波 後 の 再 使 用 性 や 津 波 の 繰 り 返<br />
し 作 用 に 配 慮 し 十 分 な 余 裕 を 有 するよう 許 容 限 界 を 設 定 すること 及 び 水 密 扉<br />
について 開 放 後 の 確 実 な 閉 止 操 作 等 の 手 順 を 整 備 し、 津 波 襲 来 時 に 閉 止 された<br />
状 態 を 保 持 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 して<br />
いること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(3) 津 波 監 視 設 備 の 設 計<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 監 視 設 備 について、 津 波 の 影 響 ( 波 力 、 漂 流 物 の 衝 突 等 )<br />
を 受 けにくい 位 置 への 設 置 若 しくは 影 響 の 防 止 策 又 は 緩 和 策 等 を 検 討 した 上<br />
で、 当 該 施 設 の 設 置 位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 津 波 監 視 機 能 が 保 持 できる<br />
よう 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 津 波 監 視 設 備 について、 入 力 津 波 高 さに 対 して 波 力 、 漂 流 物 の 影<br />
響 を 受 けない 位 置 に 設 置 し、 津 波 監 視 機 能 を 十 分 に 保 持 できるよう 設 計 する 方<br />
針 としている。これに 加 え、 余 震 による 荷 重 、 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 )と 入<br />
力 津 波 による 荷 重 の 組 合 せを 考 慮 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 監 視 設 備 の 設 計 について、 申 請 者 が 入 力 津 波<br />
及 び 漂 流 物 に 対 して 津 波 監 視 機 能 を 十 分 に 保 持 できるよう 設 置 位 置 を 設 定 す<br />
ることとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び<br />
津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(4) 施 設 、 設 備 等 の 設 計 又 は 評 価 に 係 る 検 討 事 項<br />
1 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 における 検 討 事 項<br />
53
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 に 当 たり、 津 波 に<br />
よる 荷 重 の 設 定 、 余 震 荷 重 の 考 慮 及 び 津 波 の 繰 り 返 し 作 用 の 考 慮 について、<br />
耐 津 波 設 計 上 の 十 分 な 裕 度 を 確 保 する 方 針 であることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 における 検 討 事 項 について、 以 下 の 方<br />
針 としている。これに 加 えて、 津 波 による 荷 重 の 設 定 において、 入 力 津 波<br />
を 算 出 する 数 値 計 算 に 含 まれる 不 確 かさ 及 び 各 施 設 、 設 備 等 の 機 能 損 傷 モ<br />
ードに 対 応 した 荷 重 の 算 定 過 程 に 介 在 する 不 確 かさを 考 慮 する 方 針 とし<br />
ている。<br />
a. 各 施 設 、 設 備 の 機 能 損 傷 モードに 対 応 した 荷 重 ( 浸 水 高 、 波 力 、 波<br />
圧 、 洗 掘 力 、 浮 力 等 )について、 入 力 津 波 から 十 分 な 余 裕 を 考 慮 して<br />
設 定 する。<br />
b. 余 震 の 発 生 の 可 能 性 を 検 討 した 上 で、 必 要 に 応 じて 余 震 による 荷 重<br />
と 入 力 津 波 による 荷 重 との 組 合 せを 考 慮 する。<br />
c. 入 力 津 波 の 時 刻 歴 波 形 に 基 づき、 津 波 の 繰 り 返 しの 襲 来 による 作 用<br />
が 浸 水 防 止 機 能 へ 及 ぼす 影 響 について 検 討 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 に 当 たって、 津 波 荷 重<br />
の 設 定 において 不 確 かさを 十 分 に 考 慮 すること、 余 震 による 荷 重 を 安 全 側<br />
に 組 み 合 わせることなどにより、 耐 津 波 設 計 上 の 十 分 な 裕 度 を 確 保 するこ<br />
ととしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び<br />
津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2 漂 流 物 による 波 及 的 影 響 の 検 討<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 の 外 側 の 発 電 所 敷 地 内 及 び 近 傍 において 建<br />
物 ・ 構 築 物 、 設 置 物 等 が 破 損 、 倒 壊 及 び 漂 流 する 可 能 性 がある 場 合 に、こ<br />
れらの 漂 流 物 が 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 に 波 及 的 影 響 を 及 ぼさな<br />
いよう、 漂 流 物 の 発 生 を 防 止 する 措 置 又 は 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備<br />
への 影 響 を 防 止 する 措 置 を 要 求 している。<br />
申 請 者 は、「 津 波 の 二 次 的 な 影 響 に 対 する 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 機 能<br />
保 持 確 認 」における 漂 流 物 の 可 能 性 の 検 討 及 びその 影 響 評 価 結 果 から、 浸<br />
水 防 止 設 備 は、 本 発 電 所 構 内 及 び 構 外 からの 漂 流 物 の 影 響 を 受 けないとし<br />
ている。 一 方 、 取 水 管 路 及 び 取 水 ピット 内 の 構 造 物 については、 漂 流 物 と<br />
なる 可 能 性 を 評 価 するとしている。その 評 価 結 果 を 踏 まえて、 浸 水 防 止 設<br />
備 を、 入 力 津 波 による 漂 流 物 の 衝 突 力 に 対 して 十 分 耐 え 得 る 構 造 として 設<br />
計 する 方 針 としている。<br />
なお、 津 波 監 視 設 備 については、 津 波 の 影 響 ( 波 力 及 び 漂 流 物 の 衝 突 等 )<br />
54
を 受 けない 位 置 に 設 置 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 護 施 設 が 漂 流 物 による 波 及 的 影 響 を 受<br />
けないよう、 入 力 津 波 による 漂 流 物 の 衝 突 力 に 対 して 十 分 耐 え 得 る 構 造 と<br />
して 設 計 することとしており、この 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3 津 波 影 響 軽 減 施 設 及 び 設 備 の 扱 い<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 に 当 たって、 津 波<br />
影 響 軽 減 施 設 及 び 設 備 の 効 果 を 期 待 する 場 合 は、 当 該 施 設 及 び 設 備 の 設 置<br />
位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 津 波 による 影 響 の 軽 減 機 能 が 保 持 される<br />
よう 設 計 することを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防<br />
止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び<br />
区 画 が 設 置 されている 周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 津 波 による 遡<br />
上 波 は 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しないことから、 津 波 影 響 軽 減 施 設 等 を 設 置<br />
しないとしている。<br />
Ⅲ-4 外 部 からの 衝 撃 による 損 傷 の 防 止 ( 第 6 条 関 係 )<br />
第 6 条 は、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 ( 組 合 せも 含 む。) 及 び 人 為 事 象 ( 故 意 によ<br />
るものを 除 く。 以 下 本 節 において 同 じ。)により、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないような 設 計 とすることなどを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出<br />
1. 自 然 現 象 の 抽 出<br />
2. 人 為 事 象 の 抽 出<br />
Ⅲ-4.2 外 部 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ<br />
Ⅲ-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 する 重<br />
要 安 全 施 設 への 考 慮<br />
55
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出<br />
安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 外 部 事 象 として、 自 然 現 象 ( 地 震 及 び 津<br />
波 を 除 く。) 及 び 人 為 事 象 を 抽 出 する 必 要 がある。<br />
1. 自 然 現 象 の 抽 出<br />
自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 を 検 討 するためには、 自 然 災 害 や 自 然 現 象 の 知 見 ・<br />
情 報 を 広 く 収 集 した 上 で、 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 環 境 を 基 に、 安 全 施 設 の<br />
安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 に 加 え、 当 該 自 然 現 象 に 関 連 して 発 生 する<br />
可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含 めて、 抽 出 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 国 内 外 の 基 準 や 文 献 等 に 基 づき 自 然 現 象 を 収 集 し、 海 外 の 選 定 基 準<br />
を 考 慮 の 上 、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 自 然 環 境 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 個 々の 自 然 現 象 として、 竜 巻 、 火 山 の 影 響 、 森 林 火 災 、 風<br />
( 台 風 )、 降 水 、 落 雷 、 生 物 学 的 事 象 、 凍 結 、 積 雪 、 高 潮 、 洪 水 及 び 地 滑 りの 12<br />
事 象 を 抽 出 している。<br />
また、これらの 自 然 現 象 ごとに、 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含<br />
めている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 自 然 現 象 の 抽 出 が、 自 然 災 害 や 自 然 現 象 に 関 する<br />
国 内 外 の 知 見 ・ 情 報 を 広 く 収 集 した 上 で、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 自 然 環<br />
境 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 を 抽 出 していること、<br />
その 抽 出 した 自 然 現 象 について、 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含 ま<br />
れていること、 及 び 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 具 体 的 に 例 示 した 自 然 現 象 が 全 て 含<br />
まれていることにより、その 抽 出 の 考 え 方 に 合 理 性 があることを 確 認 した。<br />
2. 人 為 事 象 の 抽 出<br />
人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 を 検 討 するためには、 人 為 事 象 に 関 する 知 見 ・ 情 報<br />
を 広 く 収 集 した 上 で、 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 状 況 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全<br />
機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 を 抽 出 する 必 要 がある。<br />
56
申 請 者 は、 国 内 外 の 基 準 や 文 献 等 に 基 づき 人 為 事 象 を 収 集 し、 海 外 の 選 定 基 準<br />
を 考 慮 の 上 、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 状 況 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に<br />
影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 として、 爆 発 、 近 隣 工 場 等 の 火 災 、 有 毒 ガス、 船 舶 の<br />
衝 突 、 電 磁 的 障 害 、 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 ) 及 びダムの 崩 壊 の 7 事 象 を 抽 出 して<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 人 為 事 象 の 抽 出 が、 人 為 事 象 に 関 する 国 内 外 の 知<br />
見 ・ 情 報 を 広 く 収 集 した 上 で、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 状 況 を 基 に、 安 全<br />
施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 を 抽 出 していること、その 抽 出 した<br />
人 為 事 象 について、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 具 体 的 に 例 示 した 人 為 事 象 が 全 て 含<br />
まれていることにより、その 抽 出 の 考 え 方 に 合 理 性 があることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2 外 部 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
原 子 炉 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべき 外 部 事 象 ( 設 計 上 考 慮 すべき<br />
自 然 現 象 及 び 設 計 上 考 慮 すべき 人 為 事 象 )によって、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわ<br />
れない 設 計 とする 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機 能<br />
に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )について、 自 然 現 象 ごと( 関 連 して 発 生 す<br />
る 可 能 性 がある 自 然 現 象 がある 場 合 はそれも 考 慮 に 含 める。)に 原 子 炉 施 設 に 与 え<br />
る 影 響 を 評 価 した 上 で、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 又 は 設 計 上 考<br />
慮 する 必 要 はないとする 設 計 方 針 を 策 定 している。<br />
これらの 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )に 対 する 設<br />
計 方 針 について、 竜 巻 については「Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針 」、 火 山<br />
の 影 響 については「Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 」、 森 林 火 災 に<br />
ついては 外 部 火 災 の 一 部 として「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」、<br />
風 ( 台 風 )、 降 水 、 落 雷 、 生 物 学 的 事 象 、 凍 結 、 積 雪 、 高 潮 、 洪 水 及 び 地 滑 りの 9 事<br />
象 ( 以 下 「その 他 自 然 現 象 」という。)については「Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現<br />
象 に 対 する 設 計 方 針 」において 記 載 している。<br />
また、 申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の2.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安<br />
全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 (7 事 象 )について、 人 為 事 象 ごとに 原 子 炉 施<br />
設 に 与 える 影 響 を 評 価 した 上 で、 設 計 上 考 慮 すべき 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 又 は<br />
設 計 上 考 慮 する 必 要 はないとする 設 計 方 針 を 策 定 している。<br />
これらの 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 (7 事 象 )に 対 する 設<br />
計 方 針 について、 爆 発 、 近 隣 工 場 等 の 火 災 及 び 有 毒 ガスについては 外 部 火 災 の 一 部<br />
として「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」、 船 舶 の 衝 突 、 電 磁 的 障 害 、<br />
57
飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 ) 及 びダムの 崩 壊 の 4 事 象 ( 以 下 「その 他 人 為 事 象 」という。)<br />
については「Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 」において 記 載 し<br />
ている。<br />
Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針<br />
第 6 条 第 1 項 及 び 第 2 項 は、 想 定 される 竜 巻 が 発 生 した 場 合 においても 安 全 施 設<br />
の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 竜 巻 に 対 する 防 護 に 関 して、 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
2. 発 生 を 想 定 する 竜 巻 の 設 定<br />
3. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
4. 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
5. 竜 巻 随 伴 事 象 に 対 する 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
竜 巻 によって 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないことを 確 認 するための 施 設<br />
を 抽 出 することが 必 要 である。この 抽 出 をするための 区 分 としては、 竜 巻 ガイド<br />
において、その 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 防 護 する 必 要 がある 竜 巻 防<br />
護 施 設 と、 竜 巻 防 護 施 設 に 対 して 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 の 双 方 ( 以 下 この 節 にお<br />
いて「 設 計 対 象 施 設 」という。)を 示 している。<br />
(1) 竜 巻 防 護 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
申 請 者 は、 竜 巻 防 護 施 設 として、 安 全 重 要 度 分 類 指 針 に 基 づくクラス1 及 び<br />
クラス2に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 抽 出 する 方 針 としている。また、ク<br />
ラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 は、 竜 巻 により 損 傷 した 場 合 であっても、<br />
代 替 手 段 があることなどにより 安 全 機 能 が 損 なわれないことから 抽 出 しない<br />
方 針 としている。なお、 浸 水 防 止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 については、 竜 巻 と 津<br />
波 は 発 生 原 因 が 異 なり 同 時 に 発 生 するとは 考 えられないことから、 事 象 の 組 合<br />
せは 考 慮 せず、 竜 巻 防 護 施 設 として 抽 出 しない 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 竜 巻 防 護 施 設 を 抽 出 するための 方 針 が、 竜 巻 ガ<br />
イドを 踏 まえたものであり、それぞれの 安 全 機 能 を 勘 案 するとしていることを<br />
確 認 した。<br />
58
(2) 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
申 請 者 は、 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 として、 竜 巻 防 護 施 設 を 内<br />
包 する 施 設 に 隣 接 し 倒 壊 等 により 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 や、 気<br />
圧 差 等 によるダクト 等 の 損 傷 により 竜 巻 防 護 施 設 の 機 能 維 持 に 影 響 を 及 ぼし<br />
得 る 施 設 を 抽 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 を 抽 出 す<br />
る 方 針 について、 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
なお、 竜 巻 防 護 施 設 への 竜 巻 による 影 響 として 飛 来 物 によるものもあるが、<br />
この 点 については「3.(1) 設 計 竜 巻 荷 重 の 設 定 」にて 記 載 している。<br />
申 請 者 は、(1) 及 び(2)に 加 え、 竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 についても 設<br />
計 対 象 施 設 として 抽 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 竜 巻 によって 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないよ<br />
うに 設 計 する 上 で 必 要 な 竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 を 抽 出 するとしているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方<br />
針 が、 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであることに 加 え、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 着 目<br />
した 検 討 が 行 われていることを 確 認 した。<br />
2. 発 生 を 想 定 する 竜 巻 の 設 定<br />
竜 巻 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、 本 発 電 所 敷 地 への 襲 来 を 想 定 する 竜 巻<br />
( 以 下 「 設 計 竜 巻 」という。)を 設 定 することが 必 要 である。この 設 定 に 当 たって<br />
は、 竜 巻 ガイドにおいて、 竜 巻 発 生 の 観 点 から、 発 電 所 が 立 地 する 地 域 及 び 類 似<br />
の 気 象 条 件 等 を 有 する 地 域 ( 竜 巻 検 討 地 域 )を 設 定 した 上 で、 竜 巻 検 討 地 域 への<br />
竜 巻 襲 来 実 績 を 踏 まえて 設 計 対 象 施 設 の 安 全 性 に 影 響 を 与 えるおそれがある 竜<br />
巻 ( 以 下 「 基 準 竜 巻 」という。)を 設 定 することを 示 している。さらに、 発 電 所 が<br />
立 地 する 地 域 の 特 性 を 踏 まえて 基 準 竜 巻 に 対 して 最 大 風 速 を 割 り 増 す 必 要 性 を<br />
検 討 した 上 で、 設 計 竜 巻 を 設 定 することを 示 している。<br />
(1) 竜 巻 検 討 地 域 の 設 定<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 が 立 地 する 地 域 と 気 象 条 件 の 類 似 性 の 観 点 及 び 局 所 的 な<br />
地 域 性 の 観 点 から 検 討 を 行 い、 竜 巻 検 討 地 域 を 設 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 竜 巻 検 討 地 域 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを 踏 まえた<br />
ものであり、 気 象 条 件 に 関 する 公 開 文 献 等 の 知 見 を 踏 まえて 検 討 していること、<br />
単 位 面 積 当 たりの 竜 巻 発 生 数 が 大 きくなるように、かつ、 藤 田 スケール( 以 下<br />
59
「F スケール」という。)が 比 較 的 大 きな 竜 巻 が 含 まれるように、 保 守 的 に 設 定<br />
していることを 確 認 した。<br />
(2) 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定<br />
申 請 者 は、 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定 に 当 たり、 竜 巻 検 討 地 域 において 過 去<br />
に 発 生 した 竜 巻 の 規 模 や 発 生 頻 度 、 最 大 風 速 の 年 超 過 確 率 等 を 考 慮 し、 過 去 に<br />
発 生 した 竜 巻 による 最 大 風 速 (V B1)と、 竜 巻 最 大 風 速 のハザード 曲 線 による 最<br />
大 風 速 (V B2)を 求 め、その 結 果 、 大 きい 方 を 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 として 設 定 し<br />
ている。<br />
具 体 的 に V B1 の 設 定 に 当 たっては、 竜 巻 検 討 地 域 で 過 去 に 発 生 した 竜 巻 の 最<br />
大 風 速 について、 信 頼 性 のあるデータ 等 が 得 られないことから、 日 本 国 内 で 過<br />
去 に 発 生 した 最 大 の 竜 巻 である F スケール 3( 風 速 70~92m/s)の 最 大 値 (92m/s)<br />
を 選 定 している。V B2 の 設 定 に 当 たっては、 竜 巻 検 討 地 域 におけるハザード 曲 線<br />
を 基 に、 年 超 過 確 率 10 -5 に 相 当 する 最 大 風 速 (76.0m/s)を 選 定 している。そ<br />
の 上 で、V B1 と V B2 を 比 較 し、 大 きい 方 の V B1 を 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 と 設 定 してい<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを 踏<br />
まえたものであることに 加 え、データの 信 頼 性 を 考 慮 して、より 保 守 的 な 値 を<br />
選 択 していることを 確 認 した。<br />
(3) 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 等 の 設 定<br />
申 請 者 は、 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定 に 当 たり、 本 発 電 所 の 地 形 等 を 踏 まえ<br />
れば、 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 を 割 り 増 す 必 要 がないが、 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 を 安<br />
全 側 に 切 り 上 げて 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 (100m/s)とするとしている。また、 設<br />
計 竜 巻 の 特 性 値 の 設 定 に 当 たり、 米 国 原 子 力 規 制 委 員 会 (NRC)の 基 準 類 を 参<br />
考 としたモデルを 用 いるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 等 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを<br />
踏 まえたものであることに 加 え、 割 増 しの 要 否 の 検 討 に 当 たって、 本 発 電 所 の<br />
地 域 特 性 や 公 開 文 献 等 の 知 見 を 踏 まえて 検 討 し 設 定 していることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 竜 巻 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを<br />
踏 まえたものであることに 加 え、 保 守 性 を 持 たせるなどの 考 慮 をしたものである<br />
ことを 確 認 した。<br />
3. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
60
竜 巻 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、 設 計 竜 巻 による 荷 重 ( 以 下 「 設 計 竜 巻<br />
荷 重 」という。)とその 他 の 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせた 荷 重 ( 以 下 「 設 計 荷 重 」と<br />
いう。)を 設 定 することが 必 要 である。<br />
(1) 設 計 竜 巻 荷 重 の 設 定<br />
申 請 者 は、 竜 巻 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うため、 設 計 竜 巻 の 設 計 竜 巻 荷 重 とし<br />
ては、「 風 圧 力 による 荷 重 」、「 評 価 対 象 施 設 内 外 の 気 圧 差 による 荷 重 」 及 び「 飛<br />
来 物 の 衝 撃 荷 重 」を 設 定 している。<br />
このうち「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」の 設 定 に 当 たっては、 本 発 電 所 構 内 において<br />
飛 来 物 となり 得 るものを 現 地 調 査 等 により 抽 出 した 上 で、 運 動 エネルギー 及 び<br />
貫 通 力 の 大 きさを 踏 まえ、 設 計 上 考 慮 すべき 飛 来 物 ( 以 下 「 設 計 飛 来 物 」とい<br />
う。)を 設 定 している。その 上 で、 衝 突 時 に 設 計 対 象 施 設 に 与 えるエネルギー<br />
が 設 計 飛 来 物 によるものより 大 きくなるものについては、 浮 き 上 がりや 横 滑 り<br />
の 有 無 を 考 慮 した 上 で、 固 定 、 固 縛 、 建 屋 内 収 納 等 により 確 実 に 飛 来 物 となら<br />
ないようにする 運 用 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 竜 巻 荷 重 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを 踏 まえた<br />
ものであることに 加 え、 衝 撃 荷 重 について、 飛 来 物 となり 得 るものを 抽 出 し 設<br />
計 飛 来 物 を 選 定 した 上 で 設 定 していること、 設 計 飛 来 物 より 運 動 エネルギー 又<br />
は 貫 通 力 が 大 きくなる 場 合 には 固 縛 等 の 飛 来 物 発 生 防 止 対 策 を 講 じる 方 針 と<br />
していることを 確 認 した。<br />
(2) 設 計 竜 巻 荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 の 設 定<br />
申 請 者 は、 設 計 竜 巻 荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 の 設 定 に 当 たり、 設 計 対 象 施 設<br />
に 常 時 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせるとしている。<br />
また、 竜 巻 と 同 時 に 発 生 し 得 る 自 然 現 象 による 荷 重 については、 竜 巻 と 同 時<br />
に 発 生 し 得 る 自 然 現 象 が 与 える 影 響 のモードを 踏 まえた 検 討 により、 設 計 竜 巻<br />
荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 として 考 慮 する 必 要 がないとしている。<br />
さらに、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せを 適 切 に 考 慮 する 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 設 計 竜 巻 荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 を 設 定 するとして<br />
いることについて、 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
なお、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せについては「Ⅲ-4.4 大 きな 影<br />
響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 する 重 要 安 全 施 設 への 考<br />
慮 」で 記 載 している。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、「 風 圧 力 による 荷 重 」、「 評 価 対 象 施 設 内 外 の 気<br />
圧 差 による 荷 重 」 及 び「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」の 設 定 について、 竜 巻 ガイドを 踏 ま<br />
61
えたものであることを 確 認 した。これに 加 え、「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」については、<br />
飛 来 物 となり 得 るものを 抽 出 し 設 計 飛 来 物 を 選 定 した 上 で 設 定 していること、 設<br />
計 飛 来 物 より 運 動 エネルギー 又 は 貫 通 力 が 大 きくなる 場 合 には 固 縛 等 の 飛 来 物<br />
発 生 防 止 対 策 を 講 じる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
4. 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
設 計 対 象 施 設 については、 設 計 荷 重 に 対 してその 構 造 健 全 性 が 維 持 され、 竜 巻<br />
防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とすることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 竜 巻 に 対 して 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
いように 設 計 するとしている。<br />
(1) 建 屋 に 内 包 される 竜 巻 防 護 施 設<br />
竜 巻 防 護 施 設 のうち、 建 屋 等 に 内 包 され 防 護 される 施 設 ( 外 気 と 繋 がって<br />
いる 施 設 を 除 く。) は、 建 屋 等 による 防 護 により、 設 計 荷 重 に 対 して 安 全 機<br />
能 が 損 なわれない 方 針 としている。また、 建 屋 等 の 健 全 性 が 確 保 されず、 貫<br />
通 又 は 裏 面 剥 離 が 発 生 する 場 合 であっても、 防 護 ネット 等 の 防 護 対 策 を 実 施<br />
することにより、 設 計 荷 重 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれない 方 針 としている。<br />
(2) 屋 外 の 竜 巻 防 護 施 設 及 び 建 屋 内 の 施 設 で 外 気 と 繋 がっている 竜 巻 防 護<br />
施 設<br />
屋 外 の 竜 巻 防 護 施 設 は、 設 計 荷 重 による 影 響 により 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
い 設 計 とする。 安 全 機 能 が 損 なわれる 場 合 には、 必 要 に 応 じ 防 護 ネットや 防<br />
護 鋼 板 の 設 置 等 の 防 護 対 策 を 講 じることにより 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計<br />
としている。 建 屋 により 防 護 される 竜 巻 防 護 施 設 のうち、 外 気 と 繋 がる 施 設<br />
は、 設 計 荷 重 の 影 響 を 受 けても、 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としている。<br />
ただし、 設 計 荷 重 によって 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 影 響 を 受 ける 場 合 であ<br />
って、 安 全 上 支 障 のない 期 間 に 補 修 等 を 行 うことができる 場 合 には、 修 復 等<br />
により 確 実 に 復 旧 させる 運 用 としている。<br />
(3) 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設<br />
竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 施 設 に 隣 接 し 倒 壊 等 により 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響<br />
を 及 ぼし 得 る 施 設 や、 気 圧 差 等 によるダクト 等 の 損 傷 により 竜 巻 防 護 施 設 の<br />
機 能 維 持 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 については、 設 計 荷 重 による 影 響 を 受 ける<br />
場 合 においても 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 与 えないように 設 計 するとしている。<br />
62
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであり、 設 計 荷 重 に<br />
よって 生 じる 影 響 を 考 慮 し、 必 要 に 応 じて 竜 巻 防 護 施 設 及 び 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響<br />
を 及 ぼし 得 る 施 設 に 対 して 防 護 対 策 を 講 じることにより、 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機<br />
能 が 損 なわれない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
5. 竜 巻 随 伴 事 象 に 対 する 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
竜 巻 に 伴 い 発 生 が 想 定 される 事 象 ( 以 下 「 竜 巻 随 伴 事 象 」という。)の 考 慮 につ<br />
いては、 竜 巻 ガイドにおいて、 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とす<br />
ることを 示 している。<br />
申 請 者 は、 竜 巻 随 伴 事 象 として、 過 去 の 他 地 域 における 竜 巻 被 害 状 況 及 び 本 発<br />
電 所 のプラント 配 置 から 想 定 される 事 象 として、 火 災 、 溢 水 、 外 部 電 源 喪 失 を 抽<br />
出 している。<br />
火 災 については、 屋 外 にある 危 険 物 タンク 等 からの 火 災 を 想 定 し、 火 災 源 と 竜<br />
巻 防 護 施 設 の 位 置 関 係 を 踏 まえて 熱 影 響 を 評 価 した 上 で、 竜 巻 防 護 施 設 の 許 容 温<br />
度 を 超 えないように 防 護 対 策 を 講 じる 方 針 としている。なお、 詳 細 については、<br />
「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」にて 記 載 する。<br />
また、 竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 内 に 飛 来 物 が 侵 入 する 場 合 でも、 建 屋 開 口<br />
部 付 近 に 安 全 機 能 を 損 なう 可 能 性 のある 発 火 性 又 は 引 火 性 の 物 質 を 内 包 する 機<br />
器 はなく、 火 災 防 護 計 画 により 適 切 に 管 理 する 方 針 としている。<br />
溢 水 については、 屋 外 タンク 等 からの 溢 水 を 想 定 し、 溢 水 源 と 竜 巻 防 護 施 設 の<br />
位 置 関 係 を 踏 まえた 影 響 評 価 を 行 った 上 で、 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないよう 必 要 に 応 じた 防 護 対 策 を 講 じる 方 針 としている。なお、 詳 細 については、<br />
「Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )」にて 記 載 する。<br />
外 部 電 源 喪 失 については、ディーゼル 発 電 機 を 竜 巻 防 護 施 設 として 設 定 し、そ<br />
の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 防 護 する 設 計 とする 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであり、 危 険 物 タン<br />
ク 等 と 竜 巻 防 護 施 設 の 位 置 関 係 を 本 発 電 所 の 図 面 等 により 確 認 する 等 、 竜 巻 随 伴<br />
事 象 の 影 響 を 適 切 に 設 定 した 上 で、その 竜 巻 随 伴 事 象 に 対 して 竜 巻 防 護 施 設 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
第 6 条 第 1 項 及 び 第 2 項 は、 想 定 される 火 山 事 象 が 発 生 した 場 合 においても 安 全<br />
施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
63
1. 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出<br />
2. 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価<br />
3. 火 山 活 動 のモニタリング<br />
4. 原 子 力 発 電 所 への 火 山 事 象 の 影 響 評 価<br />
5. 火 山 活 動 に 対 する 防 護 に 関 して、 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
6. 降 下 火 砕 物 による 影 響 の 選 定<br />
7. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
8. 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
9. 降 下 火 砕 物 の 間 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出<br />
火 山 ガイドは、 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出 について、 地 理 的<br />
領 域 にある 第 四 紀 火 山 の 完 新 世 における 活 動 の 有 無 を 確 認 するとともに、 完 新 世<br />
に 活 動 を 行 っていない 火 山 については 過 去 の 活 動 を 示 す 階 段 ダイヤグラムを 作<br />
成 し、 将 来 の 火 山 活 動 可 能 性 が 否 定 できない 場 合 は、 個 別 評 価 対 象 とすることを<br />
示 している。<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出 について、 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
(1) 文 献 調 査 等 の 結 果 より 敷 地 から 半 径 160km の 地 理 的 領 域 内 にある 49 の 第<br />
うんぜんだけ あ そ<br />
四 紀 火 山 のうち、 完 新 世 に 活 動 を 行 った 火 山 として 雲 仙 岳 、 阿 蘇 カルデラ、<br />
ふくえ<br />
くじゅうさん ゆ ふ だけ つるみだけ 福 江 火 山 群 、 九 重 山 、 由 布 岳 、 鶴 見 岳 の 6 火 山 を 抽 出 した。なお、 地 理 的 領<br />
域 外 についても、 九 州 において 過 去 に 火 山 爆 発 度 指 数 ( 以 下 「VEI」という。)<br />
か く とう こばやし あいら あ た<br />
7 以 上 の 噴 火 が 発 生 した 加 久 藤 ・ 小 林 カルデラ、 姶 良 カルデラ、 阿 多 カルデ<br />
きかい<br />
ラ 及 び 鬼 界 カルデラの 4 火 山 を 抽 出 した。<br />
(2) 完 新 世 に 活 動 を 行 っていない 火 山 について、 階 段 ダイヤグラムを 作 成 し、<br />
最 後 の 活 動 からの 経 過 期 間 等 から 32 火 山 を 将 来 の 活 動 性 がないと 評 価 し、<br />
将 来 の 活 動 可 能 性 が 否 定 できない 火 山 として 11 火 山 を 抽 出 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出 は、<br />
階 段 ダイヤグラムの 作 成 等 により 過 去 の 火 山 活 動 履 歴 を 評 価 して 行 われている<br />
ことから、 火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価<br />
火 山 ガイドは、 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 について、 原 子 力 発 電 所<br />
64
の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 の 可 能 性 を 総 合 的 に 評 価 し、 可 能 性 が 十 分 小 さいと<br />
判 断 できない 場 合 は、 火 山 活 動 の 規 模 及 びその 火 山 事 象 の 影 響 評 価 を 実 施 するこ<br />
とを 示 している。<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価 について、<br />
以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 鹿 児 島 地 溝 ( 加 久 藤 ・ 小 林 カルデラ、 姶 良 カルデラ 及 び 阿 多 カルデラが 含<br />
まれる 地 帯 ) 全 体 としての VEI7 以 上 の 噴 火 の 平 均 発 生 間 隔 は 約 9 万 年 であ<br />
り、 当 該 地 域 における 最 新 の VEI7 以 上 の 噴 火 は 約 3.0 万 年 前 ないし 約 2.8<br />
万 年 前 であることから、 鹿 児 島 地 溝 については VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 間 隔<br />
は、 最 新 の VEI7 以 上 の 噴 火 からの 経 過 時 間 に 比 べて 十 分 長 く、 運 用 期 間 中<br />
における VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 可 能 性 は 十 分 低 いと 評 価 した。<br />
(2)Nagaoka(1988)による 噴 火 ステージ、 鍵 山 編 (2003)、 東 宮 (1997)など<br />
によるマグマ 溜 まりの 浮 力 中 立 点 に 関 する 検 討 及 び Roche and Druitt<br />
(2001)、 篠 原 ほか(2008)などによるメルト 包 有 物 ・ 鉱 物 組 成 等 に 関 する 分<br />
析 結 果 などに 基 づくと、VEI7 以 上 の 噴 火 時 のマグマ 溜 まりは 少 なくとも 地 下<br />
10km 以 浅 にあると 考 えられること、Druitt et al.(2012)が VEI7 以 上 の 噴<br />
火 直 前 の 100 年 程 度 の 間 に 急 激 にマグマが 供 給 されたと 推 定 している 知 見 、<br />
及 び 地 球 物 理 学 的 調 査 の 情 報 からカルデラの 地 下 構 造 を 推 定 した 知 見 等 に<br />
基 づき、 国 土 地 理 院 の 電 子 基 準 点 間 基 線 距 離 の 変 化 率 からマグマ 供 給 の 状 態<br />
を 推 定 し、また、 階 段 ダイヤグラムに 基 づく 噴 火 ステージの 評 価 を 行 うこと<br />
で、 現 在 のマグマ 溜 まりが VEI7 以 上 の 噴 火 直 前 の 状 態 ではないと 評 価 し、<br />
阿 蘇 カルデラ、 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ 及 び 鬼 界 カルデラにおける 運 用 期 間 中<br />
の VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 した。<br />
(3) 運 用 期 間 中 の 噴 火 規 模 について、 阿 蘇 カルデラ、 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ 及<br />
び 鬼 界 カルデラについては 現 在 の 噴 火 ステージにおける 既 往 最 大 規 模 を、そ<br />
の 他 の 16 火 山 については 各 火 山 の 既 往 最 大 規 模 をそれぞれ 考 慮 した。これ<br />
らの 火 山 と 敷 地 は 十 分 に 離 隔 距 離 があること 等 から、 溶 岩 流 、 岩 屑 なだれ、<br />
地 滑 り 及 び 斜 面 崩 壊 、 新 しい 火 口 の 開 口 並 びに 地 殻 変 動 については、 本 発 電<br />
所 に 影 響 を 及 ぼさないと 評 価 した。<br />
(4) 火 砕 物 密 度 流 に 関 しては、 阿 蘇 カルデラ 以 外 の 火 山 については、 敷 地 まで<br />
の 離 隔 距 離 から 評 価 すると 考 慮 する 必 要 がない。 阿 蘇 カルデラは、 地 質 調 査<br />
の 結 果 、 敷 地 から 半 径 30km の 範 囲 には 阿 蘇 4 火 砕 流 堆 積 物 が 複 数 箇 所 で 確<br />
認 されるものの、 敷 地 では 認 められない。<br />
(5)このように、 本 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価 を 行<br />
った 結 果 、 阿 蘇 カルデラ、 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ 及 び 鬼 界 カルデラについて<br />
は 現 在 の 噴 火 ステージにおける 既 往 最 大 規 模 、それ 以 外 の 火 山 は 既 往 最 大 規<br />
65
模 の 噴 火 を 考 慮 しても 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼさないと 評 価 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 本 発 電 所 の 運 用 期 間 中 の 検 討 対 象 火 山 の 活 動<br />
の 評 価 は、 過 去 の 活 動 履 歴 の 把 握 や 地 球 物 理 学 的 調 査 に 基 づいており、これらの<br />
手 法 が 火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 発 電 所 の 運 用 期 間 に 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事<br />
象 が 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 していることは 妥 当<br />
であると 判 断 した。<br />
3. 火 山 活 動 のモニタリング<br />
火 山 ガイドは、 火 山 活 動 のモニタリングに 関 して、 個 別 評 価 により 運 用 期 間 中<br />
に 火 山 活 動 の 可 能 性 が 十 分 小 さいと 評 価 した 火 山 であっても、 設 計 対 応 不 可 能 な<br />
火 山 事 象 が 敷 地 に 到 達 したと 考 えられる 火 山 に 対 しては、 噴 火 可 能 性 が 十 分 小 さ<br />
いことを 継 続 的 に 確 認 することを 目 的 として 運 用 期 間 中 のモニタリングを 行 い、<br />
噴 火 可 能 性 につながるモニタリング 結 果 が 観 測 された 場 合 には、 必 要 な 判 断 ・ 対<br />
応 をとることを 示 している。<br />
申 請 者 は、 過 去 に VEI7 以 上 の 噴 火 を 発 生 させた 阿 蘇 カルデラ、 加 久 藤 ・ 小 林<br />
カルデラ、 姶 良 カルデラ、 阿 多 カルデラ 及 び 鬼 界 カルデラについては、 運 用 期 間<br />
中 の VEI7 以 上 の 噴 火 の 可 能 性 が 十 分 低 いものの、 自 然 現 象 における 不 確 かさ 及<br />
び 敷 地 への 影 響 を 考 慮 した 上 で、これらの 火 山 を 対 象 に、 運 用 期 間 中 のモニタリ<br />
ングについて 以 下 のとおり 方 針 を 示 した。<br />
(1)VEI7 以 上 の 噴 火 の 早 期 の 段 階 であるマグマの 供 給 時 に 変 化 が 現 れる 地 殻<br />
変 動 及 び 地 震 活 動 について、 既 存 観 測 網 等 による 地 殻 変 動 及 び 地 震 活 動 の 観<br />
測 データ、 公 的 機 関 による 発 表 情 報 等 の 収 集 ・ 分 析 を 行 い、 第 三 者 の 火 山 専<br />
門 家 の 助 言 を 得 た 評 価 を 定 期 的 にかつ 警 戒 時 には 臨 時 で 行 うことで 火 山 活<br />
動 状 況 に 変 化 がないことを 定 期 的 に 確 認 する 計 画 とする。<br />
(2) 対 象 火 山 の 状 態 に 変 化 が 生 じた 場 合 は、 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 を 伴 う<br />
VEI7 以 上 の 噴 火 への 発 展 の 可 能 性 を 評 価 し、その 可 能 性 がある 場 合 には、 原<br />
子 炉 の 運 転 の 停 止 、 燃 料 体 等 の 搬 出 等 を 実 施 する 方 針 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 が 敷 地 に 到 達 することは<br />
ないと 評 価 し、 自 然 現 象 における 不 確 かさ 及 び 敷 地 への 影 響 を 考 慮 した 上 で、 九<br />
州 において 過 去 に VEI7 以 上 の 噴 火 が 発 生 した 火 山 を 対 象 に 噴 火 可 能 性 が 十 分 小<br />
さいことを 継 続 的 に 確 認 することを 目 的 として 運 用 期 間 中 のモニタリングを 計<br />
画 していることについては、 監 視 対 象 、 監 視 項 目 及 び 監 視 の 方 法 、 定 期 的 評 価 の<br />
方 針 並 びに 火 山 活 動 の 兆 候 を 把 握 した 場 合 の 対 処 方 針 を 示 していること 等 から、<br />
66
火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
4. 原 子 力 発 電 所 への 火 山 事 象 の 影 響 評 価<br />
火 山 ガイドは、 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 中 において 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象<br />
によって、 安 全 性 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が 十 分 小 さいと 評 価 された 火 山 について、<br />
それが 噴 火 した 場 合 、 原 子 力 発 電 所 の 安 全 性 に 影 響 を 与 える 可 能 性 のある 火 山 事<br />
象 を 原 子 力 発 電 所 との 位 置 関 係 から 抽 出 し、その 影 響 評 価 を 行 うことを 示 してい<br />
る。<br />
申 請 者 は、 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 以 外 の 火 山 事 象 の 影 響 評 価 について、 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
(1) 火 山 性 土 石 流 、 火 山 泥 流 及 び 洪 水 、 火 山 から 発 生 する 飛 来 物 ( 噴 石 )、 火 山<br />
ガス、 津 波 及 び 静 振 、 大 気 現 象 、 火 山 性 地 震 とこれに 関 連 する 事 象 並 びに 熱<br />
水 系 及 び 地 下 水 の 異 常 の 影 響 については、 文 献 調 査 、 地 質 調 査 等 の 結 果 から、<br />
本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 した。<br />
(2) 降 下 火 砕 物 については、 文 献 調 査 及 び 地 質 調 査 の 結 果 、 九 州 において VEI7<br />
以 上 の 噴 火 の 可 能 性 を 否 定 した 火 山 による 広 域 テフラ 以 外 の 降 下 火 砕 物 は<br />
敷 地 及 び 敷 地 付 近 には 認 められない。 敷 地 に 対 して 最 も 影 響 が 大 きい 降 下 火<br />
砕 物 は、 敷 地 からの 距 離 と 噴 出 物 量 との 関 係 から 九 重 山 における 約 5 万 年 前<br />
の 九 重 第 1 噴 火 によるものであり、6.2km 3 規 模 の 噴 火 を 考 慮 し、 移 流 拡 散 モ<br />
デルを 用 いたシミュレーションを 実 施 した 結 果 、 最 大 層 厚 としては、2.2cm<br />
であった。<br />
(3) 以 上 の 検 討 から、 敷 地 における 降 下 火 砕 物 の 最 大 層 厚 を 10cm と 設 定 した。<br />
降 下 火 砕 物 の 粒 径 及 び 密 度 は、 文 献 調 査 結 果 を 踏 まえ、 粒 径 を 2mm 以 下 、 乾<br />
燥 密 度 を 1.0g/cm 3 、 湿 潤 密 度 を 1.7g/cm 3 と 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 九 重 山 を 対 象 とした 降 下 火 山 灰 シミュレ<br />
ーションにおいて、 既 往 文 献 を 踏 まえ、 噴 出 量 を 6.2km 3 とし、 風 向 の 不 確 かさも<br />
考 慮 して 評 価 することを 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 はこれらを 反 映 したケースでも 降 下 火 山 灰 シミュレーシ<br />
ョンを 行 い、 降 下 火 砕 物 の 影 響 評 価 を 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 以 外 の 火 山 事 象 の<br />
影 響 評 価 については、 文 献 調 査 、 地 質 調 査 等 により、 本 発 電 所 への 影 響 を 評 価 す<br />
るとともに、 数 値 シミュレーションによる 降 下 火 砕 物 の 検 討 も 行 っていることか<br />
ら、 火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
67
5. 火 山 活 動 に 対 する 防 護 に 関 して、 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
降 下 火 砕 物 によって 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないようにするために 必<br />
要 な 設 備 を 設 計 上 防 護 すべき 施 設 ( 以 下 この 節 において「 設 計 対 象 施 設 」という。)<br />
として 抽 出 する 方 針 が 示 されることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 の 影 響 を 設 計 に 考 慮 する 施 設 として、 安 全 重 要 度 分 類 指<br />
針 で 規 定 されているクラス1、クラス2 及 びクラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び<br />
機 器 を 抽 出 する 方 針 としている。このうち、クラス 1 及 びクラス2に 属 する 施 設<br />
で 建 屋 に 内 包 される 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 についてはこれらの 施 設 を 内 包 する 建<br />
屋 、 屋 外 に 設 置 されている 施 設 、 降 下 火 砕 物 を 含 む 海 水 及 び 空 気 の 経 路 が 存 在 す<br />
る 施 設 並 びに 外 気 から 取 り 入 れた 屋 内 の 空 気 を 機 器 内 に 取 り 込 む 機 構 を 有 する<br />
施 設 を 設 計 対 象 施 設 としている。また、クラス3に 属 する 施 設 及 びその 他 の 施 設<br />
のうち、 降 下 火 砕 物 の 影 響 によりクラス1 及 びクラス2に 属 する 施 設 に 影 響 を 及<br />
ぼす 可 能 性 がある 施 設 を 設 計 対 象 施 設 としている。それ 以 外 のクラス3に 属 する<br />
施 設 にあっては、 降 下 火 砕 物 による 影 響 を 受 ける 場 合 であっても、 代 替 設 備 があ<br />
ることなどにより 安 全 機 能 が 損 なわれないことから 設 計 対 象 施 設 として 抽 出 し<br />
ない 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方 針 が、 安 全 重 要<br />
度 分 類 指 針 に 従 って、 降 下 火 砕 物 によって 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがある 構<br />
築 物 、 系 統 及 び 機 器 並 びに 上 位 クラスへ 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 について、 火 山 ガ<br />
イドを 踏 まえて 降 下 火 砕 物 の 特 徴 を 考 慮 した 上 で、 適 切 に 抽 出 するものとしてい<br />
ることを 確 認 した。<br />
6. 降 下 火 砕 物 による 影 響 の 選 定<br />
降 下 火 砕 物 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、 設 計 対 象 施 設 の 安 全 機 能 に 及 ぼ<br />
す 影 響 を 選 定 することが 必 要 である。この 選 定 に 当 たっては、 火 山 ガイドにおい<br />
て、 降 下 火 砕 物 が 直 接 及 ぼす 影 響 ( 以 下 「 直 接 的 影 響 」という。)とそれ 以 外 の 影<br />
響 ( 以 下 「 間 接 的 影 響 」という。)をそれぞれ 選 定 することを 示 している。<br />
(1) 直 接 的 影 響<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 の 特 徴 から 荷 重 、 閉 塞 、 摩 耗 、 腐 食 、 大 気 汚 染 、 水 質<br />
汚 染 及 び 絶 縁 低 下 を 設 定 した 上 で、 外 気 吸 入 の 有 無 等 の 特 徴 を 踏 まえ、 直 接 的<br />
影 響 の 主 な 因 子 として、 構 造 物 への 静 的 負 荷 、 建 屋 等 への 粒 子 の 衝 突 、 化 学 的<br />
影 響 ( 腐 食 )、 水 循 環 系 の 閉 塞 、 内 部 における 摩 耗 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )、 換<br />
気 系 、 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 に 対 する 機 械 的 影 響 ( 摩 耗 、 閉 塞 )、 化 学 的 影 響<br />
( 腐 食 )、 発 電 所 周 辺 の 大 気 汚 染 及 び 計 装 盤 の 絶 縁 低 下 を 選 定 している。<br />
68
(2) 間 接 的 影 響<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 が 原 子 力 発 電 所 に 間 接 的 に 与 える 影 響 について、 外 部<br />
電 源 の 喪 失 及 び 本 発 電 所 へのアクセスの 制 限 といった 本 発 電 所 外 で 生 じる 影<br />
響 を 選 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 及 び 間 接 的 影 響 の 選 定 が、<br />
火 山 ガイドを 踏 まえたものであり、 降 下 火 砕 物 の 特 徴 及 び 設 計 対 象 施 設 の 特 徴 を<br />
考 慮 していることを 確 認 した。<br />
7. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
降 下 火 砕 物 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、その 堆 積 荷 重 に 加 え、 火 山 事 象<br />
以 外 の 自 然 事 象 や 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せを 設 定 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うために、 個 々の 設 計 対 象 施 設 に<br />
応 じて 常 時 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせるとしている。 火 山 事<br />
象 以 外 の 自 然 事 象 による 荷 重 との 組 合 せについては、 同 時 発 生 の 可 能 性 のある 風<br />
( 台 風 ) 及 び 積 雪 を 対 象 としている。さらに、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せ<br />
を 適 切 に 考 慮 する 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 荷 重 の 設 定 が、 設 計 対 象 施 設 ごとに 常 時 作 用<br />
する 荷 重 及 び 運 転 時 荷 重 を 考 慮 するものとしていることを 確 認 した。<br />
なお、 同 時 発 生 の 可 能 性 のある 風 ( 台 風 ) 及 び 積 雪 の 組 合 せについては「Ⅲ-<br />
4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ」、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せについては「Ⅲ<br />
-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 する 重 要<br />
安 全 施 設 への 考 慮 」で 記 載 している。<br />
8. 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 によって 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 方 針 とする 必<br />
要 がある。<br />
(1) 構 築 物 等 の 健 全 性 の 維 持 ( 荷 重 )に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 設 計 対 象 施 設 のうち 降 下 火 砕 物 が 堆 積 する 建 屋 及 び 屋 外 施 設 につ<br />
いて、 建 屋 等 の 許 容 荷 重 が 設 計 荷 重 に 対 して 安 全 裕 度 を 有 することにより 構 造<br />
健 全 性 を 失 わず、 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 方 針 としている。また、 降 下 火 砕<br />
物 の 粒 子 の 衝 突 の 影 響 が 考 えられるが、 竜 巻 における 砂 等 の 飛 来 物 の 評 価 に 包<br />
絡 されるとしている。<br />
69
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 について、 建 屋 等 の 許 容 荷 重 が 設 計 荷 重 に 対 し<br />
て 余 裕 を 有 することにより 構 造 健 全 性 を 失 わず、 安 全 機 能 が 損 なわれない 方 針<br />
としていることを 確 認 した。<br />
(2) 外 気 取 入 口 からの 降 下 火 砕 物 の 侵 入 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 屋 外 に 連 通 する 開 口 部 を 有 する 設 計 対 象 施 設 については、 降 下 火<br />
砕 物 が 侵 入 しにくい 設 計 方 針 とするとともに、 腐 食 により 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないように 塗 装 を 行 うとしている。 中 央 制 御 室 は、 降 下 火 砕 物 により 大 気 汚 染<br />
が 本 発 電 所 で 発 生 した 場 合 、 外 気 を 遮 断 するため 中 央 制 御 室 空 調 装 置 の 閉 回 路<br />
循 環 運 転 等 を 実 施 できる 設 計 とした 上 で、 酸 素 濃 度 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 につい<br />
て 評 価 を 行 い、24 時 間 閉 回 路 循 環 運 転 を 実 施 した 場 合 においても 居 住 性 を 確<br />
保 できる 設 計 方 針 としている。また、 摺 動 部 を 有 する 施 設 については、 耐 摩 耗<br />
性 のある 材 料 を 使 用 することで 機 械 的 影 響 ( 摩 耗 )を 受 けないように 設 計 する<br />
としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 降 下 火 砕 物 や 設 計 対 象 施 設 の 特 徴 を 踏 まえて、<br />
降 下 火 砕 物 の 侵 入 による 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 、 摩 耗 )に 対 する 対 策 として、 平 型<br />
フィルタ 等 の 設 置 や 換 気 空 調 系 の 停 止 により、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないようにするとともに、 原 子 炉 制 御 室 にあっては 閉 回 路 循 環 運 転 等 により 居<br />
住 性 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(3)その 他 の 降 下 火 砕 物 が 及 ぼす 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 による 構 造 物 への 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )、 水 循 環 系 の 閉<br />
塞 、 内 部 における 摩 耗 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )、 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 に 対 す<br />
る 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 ) 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 ) 等 によって、 以 下 のとおり 安 全<br />
機 能 が 損 なわれないように 設 計 するとしている。<br />
1 構 造 物 への 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )<br />
設 計 対 象 施 設 である 建 屋 及 び 屋 外 施 設 は、 外 装 塗 装 等 を 実 施 し、 降 下 火<br />
砕 物 に 含 まれる 腐 食 性 ガスによる 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )に 対 して、 安 全 機 能<br />
が 損 なわれないように 設 計 するとしている。<br />
2 水 循 環 系 の 閉 塞 、 内 部 における 摩 耗 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )<br />
設 計 対 象 施 設 である 水 循 環 系 を 有 する 施 設 は、 降 下 火 砕 物 の 粒 径 に 対 し<br />
て、その 施 設 の 狭 隘 部 に 十 分 な 流 路 幅 を 設 け 閉 塞 しないように 設 計 すると<br />
している。 降 下 火 砕 物 の 性 状 の 変 化 による 閉 塞 については、 降 下 火 砕 物 が<br />
粘 土 質 でないため 考 慮 する 必 要 はないとしている。また、 降 下 火 砕 物 から<br />
70
海 水 に 溶 出 した 腐 食 性 成 分 による 腐 食 に 対 しては、 塗 装 又 は 耐 食 性 を 有 す<br />
る 材 料 の 使 用 等 により 影 響 を 及 ぼさないように 設 計 するとしている。 摩 耗<br />
については、 降 下 火 砕 物 の 硬 度 が 砂 よりも 低 くもろいことから、 日 常 保 守<br />
管 理 等 により 補 修 が 可 能 としている。<br />
3 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 に 対 する 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 ) 及 び 化 学 的 影<br />
響 ( 腐 食 )<br />
電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 の 設 計 対 象 施 設 は、 外 気 と 遮 断 された 全 閉 構 造 等<br />
により 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 )を 受 けず、また 塗 装 等 により 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )<br />
を 受 けないように 設 計 するとしている。<br />
4 その 他 の 影 響<br />
設 計 対 象 施 設 への 直 接 的 影 響 としては、 上 記 の1から3の 他 に、 水 質 汚<br />
染 の 影 響 が 考 えられるが、これの 影 響 については、 設 計 対 象 施 設 の 構 造 上 、<br />
有 意 な 影 響 を 受 ける 可 能 性 がないとしている。<br />
また、 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 の 計 装 盤 は、 絶 縁 低 下 しないように 外 気 取<br />
入 口 にフィルタを 設 置 する 等 の 空 調 管 理 された 場 所 に 設 置 するとしてい<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 降 下 火 砕 物 の 特 徴 を 踏 まえ、 設 計 対 象 施 設 に<br />
与 える 化 学 的 影 響 、 機 械 的 影 響 その 他 の 影 響 に 対 して、 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
い 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(4) 降 下 火 砕 物 の 除 去 等 の 対 策<br />
申 請 者 は、 設 計 対 象 施 設 に、 長 期 にわたり 静 的 荷 重 がかかることや 化 学 的 影<br />
響 ( 腐 食 )が 発 生 することを 避 け、 安 全 機 能 を 維 持 するために、 降 下 火 砕 物 の<br />
降 灰 時 の 特 別 点 検 、 除 灰 等 の 対 応 を 適 切 に 実 施 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 降 下 火 砕 物 の 除 去 等 について、 除 灰 作 業 等 に 必 要 な<br />
資 機 材 を 確 保 するとともに、 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 により 安 全 機<br />
能 が 損 なわれないとしており、この 設 計 方 針 が 火 山 ガイドを 踏 まえていることを<br />
確 認 した。<br />
9. 降 下 火 砕 物 の 間 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
71
火 山 ガイドは、 降 下 火 砕 物 による 間 接 的 影 響 として 長 期 間 の 外 部 電 源 の 喪 失 及<br />
び 交 通 の 途 絶 を 想 定 し、 外 部 からの 支 援 がなくても、 原 子 炉 及 び 使 用 済 燃 料 プー<br />
ルの 安 全 性 を 損 なわないように 対 応 が 取 れることを 示 している。<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 及 び 使 用 済 燃 料 ピット(※ 1 )の 安 全 性 を 損 なわないようにデ<br />
ィーゼル 発 電 機 及 びタンクローリを 備 えるとし、7 日 間 の 連 続 運 転 により、 電 力<br />
の 供 給 を 可 能 とする 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 降 下 火 砕 物 の 間 接 的 影 響 として 外 部 電 源 喪 失 及<br />
び 交 通 の 途 絶 を 想 定 し、ディーゼル 発 電 機 及 びタンクローリを 備 え、7 日 間 の 連<br />
続 運 転 を 可 能 とする 方 針 が 火 山 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
第 6 条 第 1 項 から 第 3 項 は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 で 想 定 される 自 然 現 象 及 び 人 為 事<br />
象 による 火 災 等 ( 以 下 「 外 部 火 災 」という。)が 発 生 した 場 合 においても、その 影 響<br />
によって、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 外 部 火 災 に 対 して、 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
2. 考 慮 すべき 外 部 火 災<br />
3. 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
(1) 森 林 火 災<br />
(2) 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発<br />
(3) 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災<br />
(4)ばい 煙 及 び 有 毒 ガス<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
外 部 火 災 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないような 設 計 方 針 を 策 定<br />
するに 当 たり、 外 部 火 災 の 影 響 を 受 け 得 る 施 設 を 抽 出 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 安 全 施 設 が 外 部 火 災 の 影 響 を 受 けた 場 合 において、 原 子 炉 施 設 の 安<br />
全 性 を 確 保 するため、 安 全 重 要 度 分 類 指 針 に 基 づき、 設 計 上 対 処 すべき 施 設 ( 以<br />
下 「 外 部 火 災 防 護 施 設 」という。)として、クラス1、クラス2 及 びクラス3に 属<br />
する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 抽 出 する 方 針 としている。このうち、 建 屋 に 内 包 さ<br />
れる 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 については、 建 屋 を 外 部 火 災 防 護 施 設 として 抽 出 する<br />
(※ 1 ) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 プールに 対 して 申 請 者 が 用 いている 名 称 。<br />
72
方 針 としている。また、 外 部 火 災 の 二 次 的 影 響 に 対 して、 外 気 を 取 り 入 れるクラ<br />
ス1、クラス2 及 びクラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 外 部 火 災 防 護 施 設<br />
として 抽 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 外 部 火 災 防 護 施 設 の 抽 出 方 針 について、 外 部 火 災<br />
によって 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがある 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を、 火 炎 及 び<br />
輻 射 熱 の 影 響 並 びにばい 煙 等 の 二 次 的 影 響 の 特 徴 を 考 慮 した 上 で、 安 全 重 要 度 分<br />
類 指 針 に 従 って 抽 出 するものとしていることを 確 認 した。<br />
2. 考 慮 すべき 外 部 火 災<br />
外 部 火 災 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないような 設 計 方 針 を 策 定<br />
するに 当 たり、 外 部 火 災 ガイドは、 種 々の 火 災 とその 二 次 的 影 響 について、 考 慮<br />
すべきものを 示 している。<br />
申 請 者 は、 外 部 火 災 として、 森 林 火 災 、 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発 及 び 航 空<br />
機 落 下 等 による 火 災 ( 発 電 所 敷 地 内 に 存 在 する 危 険 物 タンク 火 災 等 を 含 む。)を<br />
選 定 し、 二 次 的 影 響 としてばい 煙 及 び 有 毒 ガスによる 影 響 を 選 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 外 部 火 災 の 設 定 が、 外 部 火 災 ガイドを 踏 まえたも<br />
のであることを 確 認 した。<br />
3. 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
(1) 森 林 火 災<br />
森 林 火 災 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うために、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
いように、 外 部 火 災 ガイドは、 発 電 所 周 辺 で 発 生 し 得 る 森 林 火 災 の 設 定 方 法 、<br />
森 林 火 災 による 発 電 所 への 影 響 を 評 価 する 方 法 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり 森 林 火 災 を 設 定 し、その 延 焼 を 防 ぐための 手 段 とし<br />
て 防 火 帯 を 設 けるとした 上 で、 防 火 帯 の 幅 、 危 険 距 離 ( 火 災 の 延 焼 防 止 に 必 要<br />
な 距 離 ) 及 び 火 炎 が 防 火 帯 外 縁 に 到 達 するまでの 時 間 を 評 価 し、 設 計 方 針 を 策<br />
定 している。<br />
1 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 による 影 響 評 価<br />
森 林 火 災 による 影 響 を 評 価 するに 当 たり、 外 部 火 災 ガイドは、 発 生 を 想<br />
定 する 森 林 火 災 の 設 定 方 法 、 延 焼 速 度 、 火 線 強 度 及 び 火 炎 輻 射 強 度 の 算 出<br />
方 法 を 示 すとともに、 延 焼 速 度 を 基 に 発 火 点 から 発 電 所 までの 到 達 時 間 を、<br />
火 線 強 度 を 基 に 防 火 帯 幅 を、 火 炎 輻 射 強 度 を 基 に 危 険 距 離 を 算 出 する 方 法<br />
を 示 している。<br />
73
a. 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定<br />
申 請 者 は、 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定 として、 本 発 電 所 周 辺 の<br />
可 燃 物 の 量 ( 植 生 )、 気 象 条 件 、 発 火 点 等 の 森 林 火 災 の 発 生 に 関 連 す<br />
る 条 件 について、 以 下 のように 設 定 している。<br />
ア. 可 燃 物 の 量 ( 植 生 )の 設 定<br />
申 請 者 は、 佐 賀 県 から 入 手 した 森 林 簿 、 現 地 調 査 等 により 得 ら<br />
れた 樹 種 、 林 齢 に 基 づき、 可 燃 物 となる 植 生 を 設 定 している。<br />
イ. 気 象 条 件 の 設 定<br />
申 請 者 は、 佐 賀 県 における 森 林 火 災 発 生 頻 度 が 年 間 を 通 じて 比<br />
較 的 高 い 月 の 枝 木 、 唐 津 、 平 戸 の 過 去 10 年 間 の 気 象 データの 中<br />
から、 最 小 湿 度 、 最 高 気 温 及 び 最 大 風 速 をそれぞれ 抽 出 し、それ<br />
らの 組 合 せを 気 象 条 件 として 設 定 している。また、 風 向 について<br />
は、 上 記 の 気 象 データの 中 から 最 大 風 速 における 風 向 と 最 多 風 向<br />
の 出 現 回 数 を 調 査 し、これらを 基 に 卓 越 風 向 を 設 定 し、 評 価 に 必<br />
要 なパラメータごとに、より 厳 しい 値 を 採 用 している。<br />
ウ. 発 火 点 の 設 定<br />
申 請 者 は、 発 火 点 の 設 定 について、 人 為 的 行 為 と 卓 越 風 向 を 考<br />
慮 して 発 生 頻 度 が 高 いと 想 定 される 発 電 所 の 東 に 発 火 点 1を 設<br />
定 し、さらに、 卓 越 風 向 とは 異 なるが 人 為 的 行 為 と 最 大 風 速 を 考<br />
慮 して 南 東 の 道 路 沿 いに 発 火 点 2 を 設 定 している。2 つの 発 火 点<br />
を 基 に 評 価 に 必 要 なパラメータを 算 出 し、パラメータごとに、よ<br />
り 厳 しい 値 を 採 用 している。また、いずれの 発 火 点 も、 発 電 所 か<br />
らの 直 線 距 離 が 10km までの 範 囲 内 であり、 発 火 源 として 人 為 的<br />
行 為 を 想 定 している。<br />
エ. 土 地 の 利 用 状 況 及 び 地 形 の 設 定<br />
申 請 者 は、 土 地 の 利 用 状 況 について、 国 土 交 通 省 により 提 供 さ<br />
れている 国 土 数 値 情 報 の 100m メッシュのデータを 用 い、 地 形 デ<br />
ータについては 国 土 地 理 院 により 提 供 されている 基 盤 地 図 情 報<br />
の 10m メッシュの 標 高 データを 用 いている。<br />
オ. 発 火 時 刻 の 設 定<br />
74
申 請 者 は、 森 林 火 災 の 発 火 時 刻 について、 日 照 時 間 に 応 じた 感<br />
度 解 析 を 行 い、 火 線 強 度 又 は 反 応 強 度 が 最 大 となる 時 刻 を 採 用 し<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定 が 外 部<br />
火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 植 生 、 気 象 条 件 等 の 設 定 が 本 発 電<br />
所 周 辺 の 特 徴 を 考 慮 していること、 発 火 時 刻 の 設 定 が 火 線 強 度 又 は 反<br />
応 強 度 を 最 大 にするものであり 保 守 的 なものであることを 確 認 した。<br />
b. 森 林 火 災 による 影 響 評 価<br />
申 請 者 は、 以 上 の 設 定 を 基 に、 森 林 火 災 シミュレーション 解 析 コー<br />
ド(FARSITE)を 用 いて、 延 焼 速 度 、 火 線 強 度 及 び 火 炎 輻 射 強 度 を 算 出<br />
した 上 で、 延 焼 速 度 を 基 に 発 火 点 から 防 火 帯 までの 到 達 時 間 を、 火 線<br />
強 度 を 基 に 防 火 帯 幅 を 算 出 している。 具 体 的 には、 延 焼 速 度 を 1.23m/s<br />
とし、これを 基 に、 発 火 点 から 防 火 帯 までの 火 災 の 到 達 時 間 を 約 0.46<br />
時 間 としている。 防 火 帯 の 外 縁 での 最 大 火 線 強 度 を 14,750 kW/m と<br />
し、これに 必 要 な 防 火 帯 幅 を 29.7m としている。また、 最 大 の 火 炎 輻<br />
射 強 度 を 404kW/m 2 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 の 影 響 評 価 が 外 部 火 災 ガイド<br />
を 踏 まえたものであり、 受 熱 側 の 輻 射 強 度 が 保 守 的 に 評 価 されるよう<br />
森 林 火 災 をモデル 化 するとともに、 延 焼 速 度 、 火 線 強 度 及 び 火 炎 輻 射<br />
強 度 を 評 価 し、 防 火 帯 幅 を 導 出 していることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 の 設 定 及 び 森 林 火 災 による 影 響 評<br />
価 が 外 部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 必 要 なパラメータが 適 切 に 設<br />
定 及 び 算 出 されていることを 確 認 した。<br />
2 森 林 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定 等 に 関 して、 外 部 火 災 ガイドは、 発 火 点<br />
から 発 電 所 敷 地 境 界 までの 到 達 時 間 の 算 出 及 び 防 火 帯 幅 の 設 定 の 考 え 方<br />
を 示 している。<br />
申 請 者 は、 発 火 点 から 防 火 帯 までの 到 達 時 間 が 約 0.46 時 間 と 算 出 され<br />
たことから、 発 電 所 に 常 駐 する 自 衛 消 防 隊 により、 万 が 一 の 飛 び 火 等 によ<br />
る 火 炎 の 延 焼 を 防 止 することが 可 能 であるとしている。<br />
75
必 要 な 防 火 帯 幅 が 29.7 m と 算 出 されたことから、 森 林 伐 採 により 35 m<br />
以 上 の 防 火 帯 幅 を 確 保 するとしている。また、 森 林 火 災 による 熱 影 響 ( 最<br />
大 の 火 炎 輻 射 強 度 )が 404 kW/m 2 と 算 出 されたことから、 設 計 方 針 の 策 定<br />
に 用 いる 火 炎 輻 射 強 度 を 500 kW/m 2 とし、これに 対 する 危 険 距 離 を 算 出 し<br />
た 上 で、 危 険 距 離 に 応 じた 離 隔 距 離 を 確 保 するとしている。<br />
これらの 消 火 活 動 、 防 火 帯 幅 及 び 離 隔 距 離 の 設 定 を 前 提 として、 森 林 火<br />
災 に 対 する 設 計 方 針 を、 以 下 のように 策 定 するとしている。<br />
外 部 火 災 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 について、 防 火 帯 外 縁 における 森 林 火<br />
災 から 最 も 近 い 建 屋 の 外 壁 温 度 が 許 容 値 を 下 回 るように 設 計 するとして<br />
いる。クラス1 及 びクラス2に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 につい<br />
ては、 森 林 火 災 に 伴 う 温 度 上 昇 により 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計<br />
するとしている。また、クラス3に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 に<br />
ついては、 防 火 帯 の 内 側 への 設 置 、 代 替 設 備 の 確 保 、 又 は 火 災 防 護 計 画 に<br />
基 づく 消 火 活 動 により 防 護 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 に 対 する 設 計 が 外 部 火 災 ガイドを<br />
踏 まえたものであり、 必 要 な 防 火 帯 幅 及 び 外 部 火 災 防 護 施 設 との 離 隔 距 離<br />
を 確 保 するとしていること、 代 替 設 備 の 確 保 等 によりクラス3に 属 する 屋<br />
外 の 構 築 物 等 を 防 護 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 に 対 する 設 計 が 森 林 火 災 による 影 響 に<br />
対 して 必 要 な 防 火 帯 幅 等 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(2) 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発<br />
近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない<br />
ように、 発 電 所 敷 地 外 の 石 油 コンビナート 等 を 抽 出 した 上 で、 設 計 方 針 を 策 定<br />
する 必 要 がある。 外 部 火 災 ガイドは、それらに 火 災 ・ 爆 発 が 発 生 した 場 合 の 影<br />
響 ( 飛 来 物 を 含 む。)について 評 価 する 方 法 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼすような 火 災 ・ 爆 発 を 発 生 し 得 る 近 隣 の 産 業<br />
施 設 を 調 査 し、 発 電 所 敷 地 外 の 半 径 10km 以 内 に 石 油 コンビナート 等 に 相 当 す<br />
る 施 設 はないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発 の 発 生 の 想 定 が 外<br />
部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 近 隣 に 石 油 コンビナート 等 に 相 当 する 施<br />
設 はないとしていることを 確 認 した。<br />
76
(3) 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災<br />
航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 対 して 防 護 設 計 を 行 うために、 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 が 損 なわれないように、 外 部 火 災 ガイドは、 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落<br />
下 の 想 定 の 方 法 、この 火 災 による 発 電 所 への 影 響 を 評 価 する 方 法 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のように、 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災 を<br />
設 定 した 上 で、 設 計 方 針 を 策 定 している。その 際 、 航 空 機 落 下 による 火 災 と 発<br />
電 所 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 の 重 畳 を 考 慮 している。<br />
1 発 生 を 想 定 する 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災<br />
の 設 定 等<br />
航 空 機 落 下 による 影 響 を 評 価 するに 当 たり、 外 部 火 災 ガイドは、 落 下 を<br />
想 定 する 航 空 機 の 条 件 及 び 落 下 地 点 の 設 定 方 法 、 輻 射 強 度 の 算 定 方 法 を 示<br />
している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のように、 発 電 所 敷 地 内 への 航 空 機 落 下 による 火 災 だけ<br />
でなく、これに 伴 う 危 険 物 による 火 災 についても 想 定 し、 航 空 機 落 下 によ<br />
る 火 災 とそれに 伴 う 危 険 物 による 火 災 も 考 慮 し、 輻 射 強 度 を 算 出 している。<br />
a. 航 空 機 による 火 災 の 設 定<br />
申 請 者 は、 航 空 機 落 下 事 故 の 発 生 状 況 や 機 種 による 飛 行 形 態 の 違 い<br />
に 関 する 最 新 の 知 見 を 基 に、 航 空 機 を 種 類 別 に 分 類 し、その 種 類 ごと<br />
に 燃 料 積 載 量 が 最 大 の 航 空 機 を 選 定 している。その 航 空 機 ごとの 落 下<br />
確 率 に 関 する 知 見 を 基 に、 敷 地 内 において 航 空 機 落 下 確 率 が 10 -7 回 /<br />
炉 ・ 年 以 上 となる 区 域 を、 選 定 された 航 空 機 ごとに 特 定 し、その 中 で<br />
安 全 施 設 から 最 も 近 い 場 所 に 航 空 機 が 落 下 し、 搭 載 された 全 燃 料 が 発<br />
火 した 場 合 の 火 災 を 想 定 している。なお、 落 下 実 績 がない 航 空 機 につ<br />
いては、 保 守 的 に 落 下 実 績 を 0.5 件 としている。その 上 で、 選 定 され<br />
た 航 空 機 ごとの 燃 料 積 載 量 と 落 下 地 点 から 安 全 施 設 までの 距 離 を 基<br />
に、 輻 射 強 度 が 最 大 となる 航 空 機 の 種 類 を 特 定 し、その 落 下 による 火<br />
災 を 設 計 方 針 の 策 定 のために 設 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 による 火 災 の 設 定 が 外 部 火<br />
災 ガイドを 踏 まえたものであり、 航 空 機 落 下 確 率 が 10 -7 回 / 炉 ・ 年 以<br />
上 となる 範 囲 が 設 定 されていること、 搭 載 された 全 燃 料 が 燃 焼 した 場<br />
合 を 想 定 していること、その 上 で 輻 射 強 度 が 最 大 となる 航 空 機 の 種 類<br />
と 落 下 地 点 を 仮 定 することにより、 航 空 機 落 下 による 火 災 が 保 守 的 に<br />
設 定 されていることを 確 認 した。<br />
77
. 発 電 所 敷 地 内 の 危 険 物 タンクによる 火 災 の 設 定<br />
申 請 者 は、 発 電 所 敷 地 内 に 存 在 する 危 険 物 タンクのうち、 燃 料 保 有<br />
量 が 多 く、 直 接 原 子 炉 施 設 を 臨 むことができるタンク 類 を 選 定 し、タ<br />
ンク 内 の 燃 料 量 と 外 部 火 災 防 護 施 設 からの 距 離 から、 輻 射 強 度 が 最 大<br />
となる 火 災 を 想 定 している。また、 発 電 所 港 湾 内 に 入 港 する 船 舶 の 火<br />
災 として、 大 型 の 船 舶 である 燃 料 等 輸 送 船 を 選 定 し、 燃 料 保 有 量 と 外<br />
部 火 災 防 護 施 設 への 距 離 から、 輻 射 強 度 が 最 大 となる 火 災 を 想 定 して<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 発 電 所 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 の 設<br />
定 が 外 部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 火 災 源 として、 発 電 所 敷<br />
地 内 に 存 在 する 危 険 物 及 び 発 電 所 港 湾 内 に 停 泊 する 船 舶 を 特 定 し、こ<br />
れらによる 火 災 が 設 定 されていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 等 の 火 災 の 設 定 について、 外 部<br />
火 災 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
2 航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
発 生 を 想 定 する 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災 の 設 定<br />
等 に 基 づき、 外 部 火 災 防 護 施 設 に 対 する 設 計 方 針 を 策 定 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 航 空 機 落 下 による 火 災 及 び 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 を 想 定<br />
した 場 合 について、それぞれについて 算 出 した 輻 射 強 度 に 対 し、 外 部 火 災<br />
防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 の 外 壁 温 度 が、 許 容 値 を 下 回 るように 設 計 すると<br />
している。<br />
クラス1 及 びクラス2に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 については、<br />
航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 伴 う 温 度 上 昇 により 安 全 機 能 が 損 なわれない<br />
ように 設 計 するとしている。また、クラス3に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統<br />
及 び 機 器 については、 代 替 設 備 の 確 保 又 は 火 災 防 護 計 画 に 基 づく 消 火 活 動<br />
により 防 護 する 方 針 としている。<br />
さらに、 航 空 機 落 下 による 火 災 と 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 の 重 畳 につ<br />
いて、 同 様 に 建 屋 の 外 壁 温 度 を 評 価 し、 補 助 ボイラ 燃 料 タンクの 燃 料 保 有<br />
量 を 制 限 し、 燃 焼 時 間 を 短 くすることにより、 外 壁 温 度 を 許 容 値 以 下 とす<br />
るとしている。<br />
78
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 対 する 設 計 が 外<br />
部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 航 空 機 火 災 の 設 定 において 発 電 所 敷<br />
地 内 の 危 険 物 による 火 災 との 重 畳 を 考 慮 し、 厳 しい 火 災 に 対 する 輻 射 強 度<br />
が 算 出 されていること、 算 出 された 輻 射 強 度 を 用 いて 外 壁 温 度 を 評 価 し、<br />
建 屋 の 外 壁 温 度 を 許 容 値 以 下 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 等 の 火 災 に 対 する 設 計 が 外 部 火 災 ガ<br />
イドを 踏 まえたものであり、 当 該 火 災 が 保 守 的 に 評 価 された 上 で 策 定 されてい<br />
ることを 確 認 した。<br />
(4)ばい 煙 及 び 有 毒 ガス<br />
外 部 火 災 による 二 次 的 影 響 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないよ<br />
うに、 発 生 を 想 定 する 二 次 的 影 響 を 適 切 に 考 慮 した 上 で、その 二 次 的 影 響 に 対<br />
する 設 計 方 針 について 策 定 する 必 要 がある。 外 部 火 災 ガイドは、 考 慮 すべき 二<br />
次 的 影 響 として、ばい 煙 、 有 毒 ガス 等 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 発 生 を 想 定 する 二 次 的 影 響 として、 火 災 に 伴 い 発 生 するばい 煙 及<br />
び 有 毒 ガスによる 影 響 を 抽 出 している。<br />
その 上 で、それぞれの 影 響 に 対 して、 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがある 構<br />
築 物 、 系 統 及 び 機 器 として、 外 気 を 取 り 込 む 外 部 火 災 防 護 施 設 を 抽 出 した 上 で、<br />
設 計 方 針 を 策 定 している。<br />
これらの 設 備 については、フィルタ 等 によりばい 煙 を 捕 獲 又 はその 侵 入 を 低<br />
減 させることにより、 安 全 機 能 を 損 なわないように 設 計 するとしている。また、<br />
これらの 設 備 のうち、 居 住 性 の 確 保 が 必 要 な 場 所 については、 外 気 取 入 れダン<br />
パを 閉 止 し、 換 気 空 調 系 の 閉 回 路 循 環 運 転 を 行 うこととしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 外 部 火 災 の 二 次 的 影 響 に 対 する 設 計 が、 外 部 火<br />
災 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
原 子 炉 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべきその 他 自 然 現 象 によって、 安<br />
全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機 能<br />
に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )のうち、「Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する<br />
設 計 方 針 」、「Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 」 及 び「Ⅲ-4.2.<br />
3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」に 記 載 したもの 以 外 のその 他 自 然 現 象 (9 事 象 )<br />
79
については、 以 下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないよう 設 計 するとし<br />
ている。<br />
1. 風 ( 台 風 )に 対 しては、 建 築 基 準 法 に 基 づき 風 荷 重 を 設 定 し、これに 対 し 機<br />
械 的 強 度 を 有 する 設 計 とする。<br />
2. 降 水 に 対 しては、 本 発 電 所 近 隣 の 気 象 観 測 所 で 観 測 された 日 最 大 1 時 間 降 水<br />
量 を 上 回 る 処 理 能 力 を 持 つ 構 内 排 水 設 備 を 設 置 して 海 域 に 排 水 する 設 計 とす<br />
る。<br />
3. 落 雷 に 対 しては、 建 屋 等 に 避 雷 針 を 設 置 するなど 雷 害 防 止 対 策 を 行 う 設 計 と<br />
する。<br />
4. 生 物 学 的 事 象 に 対 しては、クラゲ 等 の 発 生 を 考 慮 して 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 設<br />
備 に 除 塵 設 備 を 設 ける 設 計 とする。また、 除 塵 装 置 を 通 過 する 貝 等 の 海 生 生 物<br />
に 対 して、 海 水 ストレーナやスポンジボール 洗 浄 装 置 により 原 子 炉 補 機 冷 却 水<br />
冷 却 器 や 復 水 器 等 への 影 響 を 防 止 する 設 計 とする。 小 動 物 の 侵 入 に 対 して 屋 外<br />
設 置 の 端 子 箱 貫 通 部 等 をシールする 設 計 とする。<br />
5. 凍 結 に 対 しては、 本 発 電 所 近 隣 の 気 象 観 測 所 で 観 測 された 最 低 気 温 を 考 慮 し、<br />
屋 外 機 器 で 凍 結 のおそれがあるものは 保 温 等 の 凍 結 防 止 対 策 を 行 う 設 計 とす<br />
る。<br />
6. 積 雪 に 対 しては、 建 築 基 準 法 に 基 づき 積 雪 荷 重 を 設 定 し、これに 対 し 機 械 的<br />
強 度 を 有 する 設 計 とする。<br />
7. 高 潮 に 対 しては、 本 発 電 所 近 隣 の 検 潮 所 での 過 去 最 高 潮 位 以 上 の 敷 地 高 さに<br />
安 全 施 設 を 設 置 し、 高 潮 により 影 響 を 受 けることのない 設 計 とする。<br />
8. 敷 地 には、 地 滑 り 地 形 等 の 存 在 は 認 められないことから、 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 を 損 なうような 地 滑 り 等 が 生 じることはない。<br />
9. 敷 地 付 近 は、 地 形 及 び 表 流 水 の 状 況 から 判 断 して、 洪 水 による 被 害 は 考 えら<br />
れない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 について、 以 下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損<br />
なわれない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
1. 風 ( 台 風 )に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影<br />
響 として 考 えられる 最 大 の 風 速 を 考 慮 して 風 荷 重 を 設 定 し、これに 対 して 機 械<br />
的 強 度 を 有 する 方 針 としていること。なお、 風 ( 台 風 )に 対 する 防 護 対 策 は、<br />
「Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針 」に 包 絡 される。<br />
2. 降 水 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影 響 とし<br />
て 考 えられる 最 大 の 降 水 量 を 考 慮 して 構 内 排 水 設 備 を 設 計 するとしているこ<br />
と。なお、 降 水 に 対 する 防 護 対 策 は、「Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9<br />
条 関 係 )」に 包 絡 される。<br />
80
3. 落 雷 に 対 しては、 避 雷 設 備 、 接 地 網 等 を 有 する 方 針 としていること。<br />
4. 生 物 学 的 事 象 に 対 しては、 個 々の 生 物 学 的 事 象 に 対 してそれぞれ 防 護 措 置 を<br />
とる 方 針 としていること。<br />
5. 凍 結 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影 響 とし<br />
て 考 えられる 最 低 気 温 を 考 慮 して 凍 結 防 止 対 策 を 行 う 方 針 としていること。<br />
6. 積 雪 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影 響 とし<br />
て 考 えられる 最 大 の 積 雪 量 を 考 慮 して 積 雪 荷 重 を 設 定 し、これに 対 して 機 械 的<br />
強 度 を 有 する 方 針 としていること。なお、 積 雪 に 対 する 防 護 対 策 は、 地 震 及 び<br />
火 山 の 影 響 による 設 計 荷 重 の 評 価 に 包 絡 される( 地 震 に 対 しては「Ⅲ-1 地<br />
震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )」、 火 山 の 影 響 に 対 しては「Ⅲ-4.2.2<br />
火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 」)。<br />
7. 高 潮 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 高 潮 の 影 響 を 受 けない<br />
よう 安 全 施 設 への 影 響 として 考 えられる 最 大 の 潮 位 を 考 慮 して 安 全 施 設 を 設<br />
置 する 方 針 としていること。なお、 高 潮 に 対 する 防 護 対 策 は、「Ⅲ-3 津 波 に<br />
よる 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )」に 包 絡 される。<br />
8. 敷 地 の 状 況 から 判 断 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 を 損 なうような 地 滑 り 等 は 生<br />
じないとしていることは 合 理 性 があること。<br />
9. 地 形 及 び 表 流 水 の 状 況 から 判 断 して、 洪 水 による 被 害 は 考 えられないとして<br />
いることは 合 理 性 があること。<br />
Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
原 子 炉 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべきその 他 人 為 事 象 によって、 安<br />
全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の2.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機 能<br />
に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 (7 事 象 )のうち、「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 す<br />
る 設 計 方 針 」に 記 載 したもの 以 外 のその 他 人 為 事 象 (4 事 象 )については、 以 下 の<br />
とおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としている。<br />
1. 船 舶 の 衝 突 については、 一 般 航 路 は 発 電 所 から 離 隔 距 離 が 確 保 されている。<br />
また、 小 型 船 舶 が 発 電 所 近 傍 で 漂 流 した 場 合 でも、 敷 地 前 面 の 護 岸 等 に 衝 突 し<br />
て 止 まることから 取 水 性 に 影 響 はない。<br />
2. 電 磁 的 障 害 については、 原 子 炉 安 全 保 護 計 装 盤 及 びケーブルに 対 し、 電 磁 波<br />
の 侵 入 防 止 対 策 を 行 う 設 計 とする。<br />
3. 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 )については、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 航 空 機 落 下<br />
確 率 の 評 価 について( 平 成 14・07・29 原 院 第 4 号 )」 等 に 基 づき、 航 空 機 落 下 確<br />
率 を 評 価 した 結 果 、3 号 炉 は 約 6.4×10 -8 回 / 炉 ・ 年 、4 号 炉 は 約 5.9×10 -8 回 /<br />
81
炉 ・ 年 であり、 防 護 設 計 の 要 否 判 断 の 基 準 である 10 -7 回 / 炉 ・ 年 を 超 えないため、<br />
航 空 機 落 下 による 防 護 については、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はない。<br />
4.ダムの 崩 壊 については、 崩 壊 により 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼすようなダムはな<br />
いことから、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 について、 以 下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損<br />
なわれない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
1. 船 舶 の 衝 突 に 対 しては、 本 発 電 所 周 辺 の 航 路 や 船 舶 漂 流 等 の 可 能 性 も 踏 まえ<br />
たものとしていること。<br />
2. 電 磁 的 障 害 に 対 しては、 計 測 制 御 回 路 を 構 成 する 機 器 に 電 磁 波 侵 入 防 止 対 策<br />
を 講 じるとしていること。<br />
3. 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 )に 対 しては、 最 新 の 航 路 、 飛 行 実 績 等 の 情 報 を 踏 ま<br />
えて 航 空 機 落 下 確 率 を 評 価 し、 防 護 設 計 の 要 否 判 断 の 基 準 である 10 -7 回 / 炉 ・ 年<br />
を 超 えていないことから、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はないとしていることは 合 理 性<br />
があること。<br />
4.ダムの 崩 壊 に 対 しては、 本 発 電 所 周 辺 にダムはないことから、 設 計 上 考 慮 す<br />
る 必 要 はないとしていることは 合 理 性 があること。<br />
Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ<br />
安 全 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せを 検 討 する 必<br />
要 がある。なお、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないことを 広 く 確 認 する 観 点 から、<br />
地 震 と 津 波 についても、 組 み 合 わせる 自 然 現 象 の 対 象 に 含 める 必 要 がある。<br />
その 上 で、その 組 合 せによる 影 響 ( 地 震 と 津 波 に 係 る 影 響 は「Ⅲ-1 地 震 によ<br />
る 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )」 及 び「Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )」<br />
において 検 討 していない 影 響 )により、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように<br />
設 計 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機 能<br />
に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )のうち、「Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現<br />
象 に 対 する 設 計 方 針 」で 本 発 電 所 の 敷 地 では 発 生 しないと 評 価 した 洪 水 及 び 地 滑 り<br />
を 除 くとともに、「Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )」において 評 価 し<br />
た 高 潮 を 除 いた 9 事 象 に、 地 震 及 び 津 波 を 加 えた 11 事 象 について、 組 合 せを 検 討<br />
している。その 際 、 各 自 然 現 象 によって 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も<br />
考 慮 し、 自 然 現 象 の 組 合 せについて 網 羅 的 に 検 討 している。<br />
この 組 合 せが 原 子 炉 施 設 に 与 える 影 響 について、1 個 々の 自 然 現 象 ( 関 連 して 発<br />
生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含 む。)の 設 計 に 包 絡 されている、2 原 子 炉 施 設 に<br />
82
与 える 影 響 が 自 然 現 象 を 組 み 合 わせることにより、 個 々の 自 然 現 象 がそれに 与 える<br />
影 響 よりも 小 さくなる、3 同 時 に 発 生 するとは 考 えられない、という 3 つの 観 点 か<br />
ら 検 討 している。<br />
その 結 果 、 上 記 の1から3のいずれかに 該 当 する 自 然 現 象 の 組 合 せについては、<br />
安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないことを 確 認 したとしている。また、1から3の<br />
いずれにも 該 当 しない 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せとして、「 火 山 の 影 響 、<br />
風 ( 台 風 ) 及 び 積 雪 の 組 合 せ」が 抽 出 され、それら 組 合 せに 対 して 安 全 施 設 の 安 全<br />
機 能 が 損 なわれない 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 自 然 現 象 の 組 合 せが、 安 全 施 設 に 与 える 影 響 を 考 慮<br />
して 抽 出 されていること、また、 抽 出 されたもの 以 外 の 自 然 現 象 の 組 合 せによる 安<br />
全 施 設 に 与 える 影 響 に 対 しては、 安 全 機 能 が 損 なわれないとしていることを 確 認 し<br />
た。<br />
なお、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せのうち、「 火 山 の 影 響 、 風 ( 台 風 ) 及 び<br />
積 雪 」に 対 する 設 計 方 針 については、「Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計<br />
方 針 」において 記 載 している。<br />
Ⅲ-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対<br />
する 重 要 安 全 施 設 への 考 慮<br />
重 要 安 全 施 設 の 設 計 に 当 たっては、これに 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想<br />
定 される 自 然 現 象 ( 必 要 に 応 じて 異 種 の 自 然 現 象 を 重 畳 させる)により 作 用 する 力<br />
( 衝 撃 )に 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 ( 応 力 )を 適 切 に 考 慮 する 必 要 があり、それぞれ<br />
の 因 果 関 係 や 時 間 的 変 化 を 踏 まえて、 適 切 に 組 み 合 わせる 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 重 要 安 全 施 設 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現<br />
象 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 自 然 現 象 に 含 まれるとし<br />
ている。また、これらの 自 然 現 象 又 は「Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ」で 抽 出 し<br />
た 自 然 現 象 の 組 合 せにより、 重 要 安 全 施 設 を 含 む 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
い 設 計 としていることから、これらの 自 然 現 象 により 設 計 基 準 事 故 は 発 生 しないた<br />
め、 当 該 自 然 現 象 と 設 計 基 準 事 故 を 組 み 合 わせる 必 要 はないとしている。また、 設<br />
計 基 準 事 故 の 影 響 が 及 ぶ 期 間 に 発 生 すると 考 えられる 自 然 現 象 により 重 要 安 全 施<br />
設 に 作 用 する 衝 撃 と 設 計 基 準 事 故 時 に 生 じる 応 力 を 適 切 に 考 慮 する 設 計 としてい<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 当 該 自 然 現 象 によって 設 計 基 準 事 故 が 発 生 しな<br />
いように 設 計 するとしていること、また、 設 計 基 準 事 故 の 影 響 が 及 ぶ 期 間 に 発 生 す<br />
83
ると 考 えられる 自 然 現 象 により、 重 要 安 全 施 設 に 作 用 する 力 と 設 計 基 準 事 故 時 の 荷<br />
重 を 適 切 に 組 み 合 わせる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-5 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 等 の 防 止 ( 第 7 条 関 係 )<br />
第 7 条 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 、 爆 発 性 又 は 易 燃 性 を 有 する 物<br />
件 等 が 不 正 に 持 ち 込 まれること 及 び 不 正 アクセス 行 為 のそれぞれを 防 止 するため<br />
の 設 備 を 設 けることを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 を 防 止 するため、 区 域 を 設 定 し、その 区 域 を<br />
障 壁 等 により 防 護 し、 人 の 接 近 管 理 及 び 出 入 管 理 が 行 える 設 計 とする。<br />
2. 原 子 炉 施 設 に 不 正 に 爆 発 性 又 は 易 燃 性 を 有 する 物 件 等 の 持 込 み( 郵 便 物 等 に<br />
よる 発 電 所 外 からの 爆 破 物 及 び 有 害 物 質 の 持 込 みを 含 む。)を 防 止 するため、<br />
持 込 み 点 検 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
3. 原 子 炉 施 設 及 び 特 定 核 燃 料 物 質 の 防 護 のために 必 要 な 設 備 又 は 装 置 の 操 作 に<br />
係 る 情 報 システムが、 電 気 通 信 回 線 を 通 じた 不 正 アクセス 行 為 (サイバーテロ<br />
を 含 む。)を 受 けることがないように、 当 該 情 報 システムに 対 する 外 部 からの<br />
アクセスを 遮 断 する 設 計 とする。<br />
4.これらは、 核 物 質 防 護 対 策 の 一 環 として 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 核 物 質 防 護 対 策 として 上 記 の 対 策 1.から3.<br />
を 講 じるとしていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと<br />
判 断 した。<br />
Ⅲ-6 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 8 条 関 係 )<br />
第 8 条 は、 火 災 により 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 安 全 性 が 損 なわれないよう、 火 災 の 発<br />
生 を 防 止 すること、かつ、 早 期 に 火 災 を 感 知 消 火 すること 並 びに 火 災 の 影 響 を 軽 減<br />
することができるように 設 計 することを 要 求 している。また、 消 火 設 備 の 破 損 、 誤<br />
作 動 又 は 誤 操 作 が 起 きた 場 合 においても 発 電 用 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 させるための<br />
機 能 を 損 なわないように 消 火 設 備 を 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 火 災 区 域 及 び 火 災 区 画 の 設 定<br />
2. 火 災 防 護 計 画 を 策 定 するための 方 針<br />
3. 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計 方 針<br />
4. 火 災 の 感 知 及 び 消 火 に 係 る 設 計 方 針<br />
84
5. 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 方 針<br />
6. 特 定 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 対 策 の 設 計 方 針<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 火 災 防 護 基 準 に 則 り、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 火 災 区 域 及 び 火 災 区 画 の 設 定<br />
火 災 防 護 基 準 は、 火 災 の 発 生 防 止 、 火 災 の 感 知 及 び 消 火 並 びに 火 災 の 影 響 軽 減<br />
のそれぞれを 考 慮 した 火 災 防 護 対 策 を 講 じるために、 火 災 区 域 を 設 定 し 必 要 に 応<br />
じて 火 災 区 域 内 に 火 災 区 画 を 設 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 する( 本 節 において、「 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 す<br />
る」とは、 原 子 炉 の 高 温 停 止 及 び 低 温 停 止 を 達 成 し、これを 維 持 することをいう。)<br />
ために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 並 びに 放 射 性 物 質 の 貯 蔵 又<br />
は 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 ( 以 下 「 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 」<br />
という。)を、 火 災 から 防 護 する 対 象 として 抽 出 する 方 針 としている。なお、 発 電<br />
用 原 子 炉 施 設 において 火 災 を 想 定 した 場 合 に、 火 災 を 起 因 とする 事 象 に 対 して 機<br />
能 要 求 が 必 須 でない 機 器 、 代 替 手 段 により 同 一 機 能 を 確 保 できる 機 器 、 火 災 によ<br />
る 誤 動 作 を 考 慮 しても 原 子 炉 の 安 全 停 止 に 影 響 を 及 ぼさない 機 器 及 び 安 全 停 止<br />
を 達 成 する 系 統 上 のタンク 等 の 不 燃 材 で 構 成 される 機 器 等 については、 火 災 から<br />
防 護 する 対 象 として 抽 出 しない 方 針 としている。 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置<br />
する 区 域 であって、 耐 火 壁 によって 他 の 区 域 と 分 離 されている 区 域 を 火 災 区 域 と<br />
して、また、 火 災 区 域 を 耐 火 壁 等 によりさらに 細 分 化 したものを 火 災 区 画 として<br />
設 定 している。<br />
なお、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうち、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 以 外 の 構 築 物 、 系 統<br />
及 び 機 器 については、それぞれについて 火 災 防 護 対 策 を 行 うとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置 する 場 所 を、 火 災 区 域<br />
及 び 火 災 区 画 として 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
2. 火 災 防 護 計 画 を 策 定 するための 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 火 災 防 護 対 策 を 実 施 するために 必 要 な 手 順 、 機 器 及 び 体 制 等<br />
を 定 める 火 災 防 護 計 画 を 策 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 火 災 防 護 対 策 を 適 切 に 実 施 するための 火 災 防 護 計 画 を 定 めるとして<br />
いる。<br />
85
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 以 下 の 内 容 を 含 む 火 災 防 護 計 画 を 策 定 する 方 針 とし<br />
ており、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
(1) 原 子 炉 施 設 全 体 を 対 象 とする 計 画 であること。<br />
(2) 火 災 防 護 対 策 及 び 計 画 を 実 施 するために 必 要 な 手 順 、 防 護 するための 機 器 、<br />
組 織 体 制 を 定 めること。<br />
(3) 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 火 災 から 防 護 するため、 火 災 の 発 生 防 止 、 火 災<br />
の 感 知 及 び 消 火 並 びに 火 災 の 影 響 軽 減 のそれぞれの 目 的 を 達 成 するための<br />
火 災 防 護 対 策 についても 同 計 画 に 定 めること。<br />
3. 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 対 して、 火 災 の 発 生 を 防 止 するための 対<br />
策 を 講 じること、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 に 対 して、 不 燃 性 材 料 又 は 難 燃 性 材 料 、<br />
難 燃 ケーブルを 使 用 すること、 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 に 対<br />
して、 自 然 現 象 によって 火 災 が 発 生 しないように 対 策 を 講 じることを 要 求 してい<br />
る。<br />
(1) 原 子 炉 施 設 における 火 災 の 発 生 防 止<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり 対 策 を 講 じるとしている。<br />
1 火 災 区 域 に、 発 火 性 又 は 引 火 性 物 質 を 内 包 する 設 備 を 設 置 する 場 合 、 発<br />
火 性 又 は 引 火 性 物 質 の 漏 えいやその 拡 大 の 防 止 、 配 置 上 の 考 慮 、 換 気 、 防<br />
爆 、 貯 蔵 を 考 慮 した 設 計 とする。<br />
2 可 燃 性 の 蒸 気 が 滞 留 するおそれがある 火 災 区 域 においては、 換 気 により<br />
可 燃 性 の 蒸 気 を 滞 留 させない。<br />
3 火 災 区 域 には、 可 燃 性 の 微 粉 を 発 生 する 設 備 を 設 置 しない。<br />
4 水 素 を 内 包 する 設 備 を 設 置 する 火 災 区 域 においては、 水 素 の 換 気 及 び 漏<br />
えい 検 知 等 の 対 策 を 図 る。<br />
5 放 射 線 分 解 等 により 発 生 する 水 素 の 蓄 積 防 止 の 対 策 を 図 る。<br />
6 原 子 炉 施 設 には、 火 花 を 発 生 する 設 備 等 発 火 源 となる 設 備 を 設 置 しない。<br />
7 原 子 炉 施 設 には、 電 気 系 統 の 過 電 流 による 過 熱 、 焼 損 の 防 止 等 の 対 策 を<br />
図 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 施 設 における 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計<br />
が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
(2) 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 における 火 災 の 発 生 防 止<br />
86
申 請 者 は、 以 下 のとおり 対 策 を 講 じるとしている。<br />
1 機 器 等 の 支 持 構 造 物 のうち、 主 要 な 構 造 材 には 不 燃 性 材 料 を 使 用 する。<br />
2 建 屋 内 の 変 圧 器 及 び 遮 断 器 は 可 燃 性 物 質 である 絶 縁 油 を 内 包 していな<br />
いものを 使 用 する。<br />
3 難 燃 ケーブルは、 実 証 試 験 によりケーブル 単 体 で 自 己 消 火 性 及 び 延 焼 性<br />
を 確 認 したケーブルを 使 用 する。<br />
4 換 気 設 備 のフィルタは、チャコールフィルタを 除 き 不 燃 性 材 料 又 は 難 燃<br />
性 材 料 を 使 用 する。<br />
5 保 温 材 は、 金 属 等 の 不 燃 性 のものを 使 用 する。<br />
6 建 屋 内 装 材 は、 不 燃 性 材 料 を 使 用 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 における 火 災 の 発 生 防<br />
止 に 係 る 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
ただし、 核 計 装 用 ケーブルは 難 燃 ケーブルではないが、チャンネルごとに 専<br />
用 電 線 管 に 収 納 し、 電 線 管 外 部 からの 酸 素 の 供 給 防 止 のため、 両 端 は 耐 火 性 を<br />
有 するシール 材 で 処 置 する 設 計 とすることにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 され<br />
ることを 確 認 した。<br />
(3) 自 然 現 象 による 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 における 火 災 の<br />
発 生 防 止<br />
申 請 者 は、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 十 分 な 支 持 性 能 をもつ 地 盤 に 設 置 し、<br />
自 らが 破 壊 又 は 倒 壊 することによる 火 災 の 発 生 を 防 止 すること、 設 計 に 当 たっ<br />
ては、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 従 って 設 計 すること、 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、<br />
系 統 及 び 機 器 について、 落 雷 による 火 災 の 発 生 防 止 対 策 として 建 屋 等 に 避 雷 設<br />
備 を 設 置 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 自 然 現 象 により 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、 系<br />
統 及 び 機 器 における 火 災 の 発 生 を 防 止 する 方 針 としており、 火 災 防 護 基 準 の 規<br />
定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計 が、 火<br />
災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
4. 火 災 の 感 知 及 び 消 火 に 係 る 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 について、 早 期 の 火 災 感 知 及 び 消<br />
火 を 行 える 設 計 とすることを 要 求 している。また、これらの 火 災 感 知 設 備 及 び 消<br />
火 設 備 は、 地 震 等 の 自 然 現 象 に 対 して 機 能 及 び 性 能 を 維 持 すること、 消 火 設 備 の<br />
87
破 損 、 誤 作 動 又 は 誤 操 作 が 起 きた 場 合 においても、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれないよう 消 火 設 備 を 設 計 することを 要 求 している。<br />
(1) 火 災 感 知 設 備<br />
申 請 者 は、 火 災 感 知 設 備 について、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 環 境 条 件 や 想 定 される 火 災 の 性 質 を 考<br />
慮 して 設 置 する。<br />
2 早 期 に 火 災 を 感 知 するため、 煙 感 知 器 、 熱 感 知 器 及 び 炎 感 知 器 から 異 な<br />
る 種 類 の 感 知 器 を 組 み 合 わせて 設 置 するとともに、 火 災 の 発 生 場 所 を 特 定<br />
することができるものとする。<br />
3 感 知 器 の 誤 作 動 を 防 止 するため、 平 常 時 の 状 況 ( 温 度 、 煙 の 濃 度 )を 監<br />
視 し、 急 激 な 温 度 上 昇 や 煙 の 濃 度 上 昇 を 把 握 することができる「アナログ<br />
式 の 火 災 感 知 器 」を 使 用 する。<br />
4 外 部 電 源 喪 失 時 においても 火 災 の 感 知 が 可 能 となるよう 蓄 電 池 を 設 置<br />
する。<br />
5 火 災 感 知 設 備 の 作 動 状 況 が 中 央 制 御 室 で 監 視 できる。<br />
6 発 火 源 がなく 可 燃 物 を 置 かない 運 用 とする 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 には、<br />
火 災 感 知 器 を 設 置 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 感 知 設 備 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に<br />
則 っていることを 確 認 した。<br />
ただし、 一 部 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 の 感 知 器 については 火 災 防 護 基 準 が 求<br />
める「アナログ 式 の 火 災 感 知 器 」を 設 置 すると、 誤 作 動 しやすくなるなど 火 災<br />
感 知 器 として 有 効 に 機 能 しない 場 合 がある。そのため、そのような 火 災 区 域 又<br />
は 火 災 区 画 には、 環 境 を 考 慮 し、 以 下 の1から3の 火 災 感 知 器 を 組 み 合 わせて<br />
設 置 することにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 されることを 確 認 した。<br />
1 屋 外 エリアでは、 降 水 等 の 侵 入 による 火 災 感 知 器 の 故 障 を 防 止 するため、<br />
「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 熱 感 知 器 」 及 び「 非 アナログ 式 であり 防 爆<br />
型 の 炎 感 知 器 ( 赤 外 線 方 式 )」を 設 置 する。<br />
2 引 火 性 又 は 発 火 性 の 雰 囲 気 を 形 成 するおそれのある 場 所 では、 火 災 感 知<br />
器 の 作 動 時 の 爆 発 を 防 止 するため、「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 煙 感 知<br />
器 」 及 び「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 熱 感 知 器 」を 設 置 する。<br />
3 「 非 アナログ 式 である 炎 感 知 器 ( 赤 外 線 方 式 )」は、 屋 内 に 設 置 する 場 合<br />
は、 外 光 が 当 たらず 高 温 物 体 が 近 傍 にない 箇 所 に 設 置 し、 屋 外 に 設 置 する<br />
場 合 は、 視 野 角 への 影 響 を 考 慮 した 太 陽 光 の 影 響 を 防 ぐ 遮 光 板 を 設 置 する<br />
こと 及 び 防 爆 型 とする。<br />
88
以 上 の 感 知 器 はそれぞれ 誤 作 動 を 防 止 するため、 熱 感 知 器 は 周 囲 温 度 より 高<br />
い 温 度 で 作 動 するもの、 炎 感 知 器 は 炎 特 有 の 性 質 を 検 知 する 赤 外 線 方 式 のもの<br />
を 採 用 し、 煙 感 知 器 は 蒸 気 等 が 充 満 する 場 所 に 設 置 しない。<br />
(2) 消 火 設 備<br />
申 請 者 は、 消 火 設 備 について、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 により 消 火 活 動 が 困 難 となる 火 災 区 域<br />
又 は 火 災 区 画 に 設 置 する 消 火 設 備 の 設 計 方 針<br />
原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置<br />
する 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 には、 火 災 時 の 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 によ<br />
り 消 火 活 動 が 困 難 となる 場 合 、 中 央 制 御 室 からの 手 動 操 作 が 可 能 な 消 火 設<br />
備 又 は 自 動 消 火 設 備 である 全 域 ハロン 消 火 設 備 等 を 設 置 する。<br />
ただし、 火 災 が 発 生 しても 煙 が 大 気 に 放 出 され 充 満 するおそれがない 火<br />
災 区 域 又 は 火 災 区 画 、 若 しくは、 運 転 員 が 常 駐 し 高 感 度 煙 感 知 器 を 設 置 す<br />
ることにより 早 期 の 消 火 活 動 が 可 能 である 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 におい<br />
ては、 消 火 器 等 で 消 火 する。<br />
また、 放 射 性 物 質 の 貯 蔵 又 は 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機<br />
器 を 設 置 する 火 災 区 域 には、 火 災 時 の 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 により 消<br />
火 活 動 が 困 難 となる 場 合 、 中 央 制 御 室 からの 手 動 操 作 又 は 自 動 起 動 の 消 火<br />
設 備 により 消 火 することとする。ただし、 可 燃 物 がほとんどなく 煙 が 充 満<br />
しにくい 火 災 区 域 においては、 消 火 器 等 で 消 火 する。<br />
2 消 火 用 水 供 給 系 の 多 重 性 又 は 多 様 性 の 確 保 ( 原 子 炉 格 納 容 器 内 )<br />
原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 は、 原 水 タンク 2 基 を、これらが 使 用 でき<br />
ない 場 合 には 燃 料 取 替 用 水 タンク 1 基 を 水 源 とする。 原 子 炉 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 設 備 のポンプは、 格 納 容 器 スプレイポンプ 2 台 を 設 置 し 系 統 の 多 重 性<br />
を 有 する 設 計 とする。 飲 料 水 系 や 所 内 用 水 系 等 と 共 用 する 場 合 には、 隔 離<br />
弁 を 設 置 して 遮 断 する 措 置 により、 消 火 用 水 系 の 供 給 を 優 先 する 設 計 とす<br />
る。<br />
3 消 火 設 備 の 系 統 分 離 に 応 じた 独 立 性 の 確 保<br />
系 統 分 離 を 行 うために 設 けられた 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 に 設 置 するハ<br />
ロン 消 火 設 備 等 は、 動 的 機 器 である 弁 等 の 単 一 故 障 ( 単 一 の 原 因 によって<br />
一 つの 機 械 又 は 器 具 が 所 定 の 安 全 機 能 を 失 うこと( 従 属 要 因 による 多 重 故<br />
89
障 を 含 む。)をいう。)を 仮 定 しても、 同 時 に 消 火 機 能 を 喪 失 することがな<br />
いようにする。<br />
4 火 災 に 対 する 二 次 的 影 響 の 考 慮<br />
煙 等 による 二 次 的 な 影 響 が、 火 災 が 発 生 していない 安 全 機 能 を 有 する 構<br />
築 物 、 系 統 及 び 機 器 に 及 ばない 設 計 とする。<br />
5 消 火 設 備 の 電 源 確 保<br />
作 動 に 電 源 が 必 要 な 消 火 設 備 は、 外 部 電 源 喪 失 時 においても 消 火 が 可 能<br />
となるように、 蓄 電 池 を 有 したものとする。<br />
ただし、 格 納 容 器 スプレイポンプは、 外 部 電 源 喪 失 時 においても 消 火 が<br />
可 能 となるように、 非 常 用 電 源 から 受 電 する 設 計 とする。<br />
6 その 他<br />
上 記 1から5に 加 えて、 以 下 の 対 策 を 講 じる。<br />
a. 消 火 用 水 供 給 系 の 多 重 性 又 は 多 様 性 の 確 保 ( 原 子 炉 格 納 容 器 外 )<br />
b. 消 火 剤 及 び 消 火 用 水 の 確 保<br />
c. 移 動 式 消 火 設 備 の 配 備<br />
d. 中 央 制 御 室 への 故 障 警 報 を 発 するための 吹 鳴 機 能 の 確 保<br />
e. 全 ての 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 の 消 火 活 動 を 可 能 とするための 消 火<br />
栓 の 配 置<br />
f. 固 定 式 ガス 消 火 設 備 の 作 動 前 における 退 出 警 報 を 発 するための 吹<br />
鳴 機 能 の 確 保<br />
g. 管 理 区 域 内 での 消 火 活 動 による、 管 理 区 域 内 から 放 射 性 物 質 を 含 む<br />
おそれがある 排 水 の 流 出 防 止<br />
h. 消 火 活 動 を 行 うために 必 要 となる 照 明 の 設 置<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 消 火 設 備 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っ<br />
ていることを 確 認 した。<br />
ただし、 使 用 済 樹 脂 貯 蔵 タンク 室 に 消 火 設 備 を 設 置 しないとしていることに<br />
ついては、 発 火 源 がなく 可 燃 物 を 置 かない 運 用 とすることで 火 災 を 発 生 させな<br />
いとしていることを 確 認 した。<br />
(3) 地 震 等 の 自 然 現 象 に 対 する 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 の 機 能 等 の 維 持<br />
申 請 者 は、 消 火 設 備 及 び 火 災 感 知 設 備 について、 凍 結 、 風 水 害 及 び 地 震 時 に<br />
おける 地 盤 変 位 を 以 下 のとおり 考 慮 するとしている。<br />
90
1 外 気 温 が 0℃まで 低 下 した 場 合 、 凍 結 を 防 止 するために、 屋 外 の 消 火 栓<br />
を 微 開 し 通 水 する 運 用 とする 設 計 とする。また、 屋 外 の 火 災 感 知 設 備 は-<br />
10℃の 環 境 下 でも 使 用 可 能 なものとする。<br />
2 屋 外 における 消 火 設 備 の 制 御 盤 、ボンベ 等 には 浸 水 防 止 対 策 を 講 じる。<br />
また、 屋 外 の 火 災 感 知 設 備 は、 風 水 害 の 影 響 を 受 けた 場 合 にも、 早 期 に 取<br />
替 えを 行 うことにより 当 該 機 器 の 機 能 及 び 性 能 の 維 持 ができる 運 用 とす<br />
る。<br />
3 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 を、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 耐 震 クラスに<br />
応 じて 火 災 区 域 及 び 火 災 区 画 に 設 置 すること、 耐 震 B、Cクラス 機 器 に 基<br />
準 地 震 動 による 損 傷 に 伴 う 火 災 が 発 生 した 場 合 においても 火 災 防 護 対 象<br />
機 器 等 の 機 能 及 び 性 能 の 維 持 ができるものとする。<br />
4 地 盤 変 位 による 影 響 を 直 接 受 けないように 消 火 配 管 の 建 屋 接 続 部 付 近<br />
に 溶 接 継 手 を 採 用 する。 消 火 配 管 を 地 上 又 はトレンチ 内 に 設 置 する。 消 火<br />
配 管 接 続 口 を 建 屋 の 外 部 に 設 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確<br />
認 した。<br />
(4) 消 火 設 備 の 破 損 、 誤 動 作 又 は 誤 操 作 による 安 全 機 能 への 影 響<br />
申 請 者 は、 消 火 設 備 の 放 水 による 溢 水 に 対 して、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の<br />
安 全 機 能 が 損 なわれないよう 設 計 するとしている。<br />
また、 水 以 外 を 用 いる 消 火 設 備 として、 二 酸 化 炭 素 及 びハロンを 用 いること<br />
としているが、 二 酸 化 炭 素 は 不 活 性 であること 及 びハロンは 電 気 絶 縁 性 が 大 き<br />
く 揮 発 性 も 高 いことから 消 火 設 備 の 破 損 、 誤 作 動 又 は 誤 操 作 により 消 火 剤 が 放<br />
出 されても、 電 気 及 び 機 械 設 備 に 影 響 を 与 えないとしている。なお、 溢 水 に 対<br />
する 防 護 設 計 については、「Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )」<br />
において 記 載 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のことから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 の 設<br />
計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
5. 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 方 針<br />
91
火 災 防 護 基 準 は、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器<br />
等 について、 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 のいかなる 火 災 による 影 響 を 考 慮 しても、 互 い<br />
に 異 なる 系 統 を 分 離 することにより、 多 重 化 された 系 統 が 同 時 に 機 能 を 喪 失 する<br />
ことがないように 設 計 することを 要 求 している。また、 火 災 によって 運 転 時 の 異<br />
常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 にも、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 できる<br />
ように 設 計 することを 要 求 している。<br />
(1) 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置<br />
する 火 災 区 域 の 分 離<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するための 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置 し<br />
ている 屋 内 の 火 災 区 域 は、3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有 する 壁 、 貫 通 部 シール、<br />
防 火 扉 及 び 防 火 ダンパで 分 離 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 火 災 耐 久 試 験 により 耐 火 性 能 を 確 認 した 隔 壁 等 に<br />
より 互 いに 異 なる 系 統 を 分 離 する 設 計 としており、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っ<br />
ていることを 確 認 した。<br />
(2) 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 系 統<br />
分 離<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 施 設 において 火 災 が 発 生 した 場 合 に、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止<br />
するために 必 要 な 機 能 を 確 保 するために 必 要 な 機 器 ( 以 下 「 火 災 防 護 対 象 機 器 」<br />
という。) 及 び 火 災 防 護 対 象 機 器 を 駆 動 若 しくは 制 御 するケーブル( 以 下 「 火<br />
災 防 護 対 象 ケーブル」という。これらを 総 称 して「 火 災 防 護 対 象 機 器 等 」とす<br />
る。)を 防 護 するため、 同 機 器 等 の 相 互 の 系 統 分 離 及 びこれらに 関 連 する 火 災<br />
防 護 対 象 ケーブル 以 外 のケーブルとの 系 統 分 離 を 行 うとしている。 系 統 分 離 に<br />
当 たっては、 火 災 区 画 内 及 び 隣 接 火 災 区 画 間 の 延 焼 を 防 止 するため、 以 下 のい<br />
ずれかに 該 当 する 設 計 とするとしている。<br />
1 3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有 する 隔 壁 等 による 系 統 分 離<br />
互 いに 異 なる 系 統 の 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有<br />
する 耐 火 壁 等 により 分 離 された 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 に 設 置 する。<br />
2 水 平 距 離 6m 以 上 の 離 隔 等 による 系 統 分 離<br />
互 いに 異 なる 系 統 の 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、 互 いの 系 統 間 の 水 平 距 離 を<br />
6m 以 上 とし、その 間 には 仮 置 きするものを 含 め 可 燃 性 物 質 を 置 かないこ<br />
と、かつ、 当 該 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 内 に 火 災 感 知 設 備 及 び 自 動 消 火 設 備<br />
92
を 設 置 する。<br />
3 1 時 間 の 耐 火 能 力 を 有 する 隔 壁 等 による 系 統 分 離<br />
互 いに 異 なる 系 統 の 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、1 時 間 の 耐 火 能 力 を 有 する<br />
隔 壁 等 により 分 離 し、かつ、 当 該 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 内 に 火 災 感 知 設 備<br />
及 び 自 動 消 火 設 備 を 設 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 制 御 室 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 区 画 以 外<br />
に 係 る 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っており、 火 災<br />
耐 久 試 験 により 耐 火 性 能 を 確 認 した 隔 壁 等 により 互 いに 異 なる 系 統 を 分 離 し<br />
た 上 で、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 系 統<br />
分 離 を 図 ることにより、 当 該 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 において 火 災 が 発 生 した 場<br />
合 においても 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 することができるとしていることを 確 認 し<br />
た。<br />
ただし、 原 子 炉 制 御 室 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 区 画 に 係 る 影 響 軽 減 に 係 る 設<br />
計 方 針 については、(3) 及 び(4)で 記 載 している。<br />
(3) 原 子 炉 制 御 室 制 御 盤 内 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策<br />
申 請 者 は、 中 央 制 御 室 中 央 制 御 盤 内 で 発 生 が 想 定 される 火 災 に 対 して、 運 転<br />
員 の 操 作 性 及 び 視 認 性 向 上 を 目 的 として 機 器 等 を 近 接 して 設 置 することから、<br />
上 記 (2)の 系 統 分 離 対 策 を 講 じることができないものの、 以 下 のとおり 対 策<br />
を 講 じるとしている。<br />
1 中 央 制 御 盤 内 における 操 作 スイッチ 及 びケーブルにおいて 火 災 が 発 生<br />
した 場 合 であっても、 近 接 する 他 の 構 成 部 品 に 影 響 がないことを 実 証 試 験<br />
により 確 認 すること。<br />
2 ケーブルは、 当 該 ケーブルに 火 災 が 発 生 しても 延 焼 せず、また、 周 囲 へ<br />
の 火 災 を 与 えない 金 属 外 装 ケーブル、テフロン 電 線 及 び 難 燃 ケーブルを 使<br />
用 すること。<br />
3 中 央 制 御 室 に 設 置 する 異 なる 種 類 の 火 災 感 知 器 とは 別 に、 直 ちに 煙 を 検<br />
知 できる 火 災 感 知 器 を 中 央 制 御 盤 内 に 設 置 すること。<br />
4 常 駐 する 運 転 員 により 早 期 の 消 火 活 動 が 実 施 できるよう 手 順 を 定 めて<br />
訓 練 を 実 施 すること。<br />
5 火 災 の 発 生 箇 所 の 特 定 ができるようサーモグラフィカメラ 等 を 配 備 す<br />
ること。<br />
6 中 央 制 御 盤 の 一 つの 区 画 内 で 火 災 が 発 生 し 当 該 区 画 の 安 全 機 能 が 全 て<br />
喪 失 した 場 合 であっても、 他 の 区 画 の 制 御 盤 による 運 転 操 作 、 現 場 の 遮 断<br />
93
器 等 の 操 作 により 原 子 炉 を 停 止 することができること。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 制 御 室 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策 が、<br />
火 災 防 護 基 準 に 規 定 している 対 策 と 同 一 ではないものの、 複 数 の 運 転 員 が 常 駐<br />
していることを 踏 まえ、 上 記 1から6の 対 策 を 講 じることにより、 火 災 の 発 生<br />
防 止 対 策 、 火 災 による 他 系 統 への 延 焼 を 防 止 する 上 で 必 要 な 火 災 感 知 及 び 消 火<br />
の 対 策 を 講 じること、 中 央 制 御 盤 の 一 つの 区 画 で 火 災 が 発 生 し、 当 該 区 画 の 安<br />
全 機 能 が 全 て 喪 失 した 場 合 であっても、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 することができる<br />
としていることにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 されることを 確 認 した。<br />
(4) 原 子 炉 格 納 容 器 内 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 発 生 が 想 定 される 火 災 に 対 して、ケーブルト<br />
レイが 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 近 接 して 設 置 されていること 並 びに 1 時 間 耐 火 性<br />
能 を 有 している 隔 壁 等 は 事 故 が 発 生 した 場 合 にデブリ 発 生 の 要 因 となり 再 循<br />
環 サンプの 閉 塞 をもたらす 可 能 性 があることから、 上 記 (2)の 系 統 分 離 対 策<br />
を 講 じないものの、 以 下 のとおり 対 策 を 講 じるとしている。<br />
1 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、 蒸 気 発 生 器 のループごとに 設 置 する 等 により、<br />
6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 確 保 すること、また、 異 なる 格 納 容 器 貫<br />
通 部 を 通 って 格 納 容 器 外 に 敷 設 することで 火 災 による 他 系 統 への 延 焼 を<br />
防 止 していること。 火 災 感 知 器 は、 火 災 防 護 対 象 機 器 等 に 延 焼 するおそれ<br />
がある 火 災 を 感 知 する 配 置 とすること。また、ケーブルトレイには、 火 災<br />
の 延 焼 や 火 災 からの 影 響 を 抑 制 するための 蓋 を 設 置 すること。<br />
2 電 気 盤 の 筐 体 、 油 内 包 機 器 のケーシング 等 により、 原 子 炉 格 納 容 器 内 に<br />
おける 火 災 の 影 響 を 限 定 すること。<br />
3 火 災 源 となり 得 る 油 を 内 包 したポンプは、 油 が 漏 れた 場 合 でも 拡 大 しな<br />
いように 設 計 すること。<br />
4 放 射 線 の 影 響 による 誤 動 作 や 水 素 が 発 生 する 事 故 を 考 慮 して、「 非 アナ<br />
ログ 式 であり 防 爆 型 の 煙 感 知 器 」 及 び「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 熱 感<br />
知 器 」を 設 置 すること。<br />
5 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 火 災 が 発 生 した 場 合 の 消 防 要 員 又 は 運 転 員 ( 以 下<br />
「 消 防 要 員 等 」という。)の 進 入 の 可 否 の 判 断 を 含 めた 消 火 手 順 を 定 め、 消<br />
防 要 員 等 が 進 入 可 能 な 場 合 は 要 員 による 早 期 の 消 火 活 動 を 行 う 運 用 とす<br />
ること。<br />
6 消 防 要 員 等 が 進 入 困 難 な 場 合 は、 中 央 制 御 室 で 手 動 操 作 可 能 な 原 子 炉 格<br />
納 容 器 スプレイ 設 備 を 用 いた 消 火 を 行 うこと。<br />
7 原 子 炉 格 納 容 器 内 での 火 災 の 影 響 により 全 ての 動 的 機 器 が 停 止 し、かつ、<br />
94
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 弁 の 遠 隔 操 作 ができなくなることを 仮 定 しても、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 外 に 設 置 される 補 助 給 水 設 備 と 主 蒸 気 系 統 設 備 により 原 子 炉<br />
の 高 温 停 止 を 維 持 し、 火 災 鎮 火 後 、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 電 動 弁 を 手 動 操 作<br />
し 余 熱 除 去 設 備 を 起 動 することで、 原 子 炉 の 低 温 停 止 を 達 成 することがで<br />
きること。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策<br />
が、 火 災 防 護 基 準 に 規 定 している 対 策 と 同 一 ではないものの、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 には 可 燃 物 の 持 込 みが 制 限 されることを 踏 まえ、 申 請 者 が 上 記 1から7の 対<br />
策 を 講 じることにより、 原 子 炉 格 納 容 器 内 において 発 火 源 として 想 定 される 機<br />
器 に 火 災 が 発 生 した 場 合 においても 火 災 の 影 響 を 限 定 し、 火 災 による 他 系 統 へ<br />
の 延 焼 や 火 災 からの 影 響 を 防 止 する 上 で 必 要 な 火 災 感 知 及 び 消 火 の 対 策 を 講<br />
じることにより、 火 災 防 護 対 象 機 器 等 の 機 能 が 損 なわれないとしていること、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 での 火 災 の 影 響 により 全 ての 動 的 機 器 が 停 止 し、かつ、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 の 弁 の 遠 隔 操 作 ができなくなることを 仮 定 しても、 原 子 炉 を 安 全<br />
に 停 止 することができるとしていることにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 される<br />
ことを 確 認 した。<br />
(5)その 他 の 影 響 軽 減 に 対 する 設 計 上 の 考 慮<br />
申 請 者 は、 放 射 性 物 質 の 貯 蔵 及 び 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機<br />
器 が 設 置 される 火 災 区 域 は、3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有 する 壁 等 によって 他 の<br />
火 災 区 域 から 分 離 すること、 他 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 へ 火 炎 、 熱 、 煙 が 悪 影<br />
響 を 及 ぼさないよう 換 気 空 調 設 備 には 防 火 ダンパを 設 置 する 設 計 とすること、<br />
中 央 制 御 室 の 火 災 発 生 時 の 煙 を 排 気 するために 建 築 基 準 法 に 準 拠 した 容 量 の<br />
排 煙 設 備 を 配 備 すること、フロアケーブルダクトはハロン 消 火 設 備 による 消 火<br />
を 行 う 設 計 とすること、 油 タンクはベント 管 等 により 屋 外 へ 排 気 する 設 計 とす<br />
ることとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確<br />
認 した。<br />
(6) 火 災 影 響 評 価<br />
申 請 者 は、 火 災 により 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した<br />
としても 事 故 等 を 収 束 できるよう 設 計 するとしている。<br />
95
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 火 災 による 影 響 を 考 慮 しても、「 発 電 用 軽 水 型 原<br />
子 炉 施 設 の 安 全 評 価 に 関 する 審 査 指 針 」( 平 成 2 年 8 月 30 日 原 子 力 安 全 委 員 会<br />
決 定 )( 以 下 「 安 全 評 価 指 針 」という。)に 基 づき、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又<br />
は 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するための 機 器 の 単 一 故 障 を 想 定 して 多 重 性 をもった<br />
それぞれの 系 統 が 同 時 に 機 能 を 失 うことなく 異 常 状 態 を 収 束 できる 設 計 とす<br />
る 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 が、 火<br />
災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
6. 特 定 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 対 策 の 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 上 記 1.から5.までの 項 目 に 加 え、 安 全 機 能 を 有 する 機 器<br />
等 それぞれの 特 徴 を 考 慮 した 火 災 防 護 対 策 を 講 じた 設 計 とすることを 要 求 して<br />
いる。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1)フロアケーブルダクトは、 運 転 員 が 消 火 活 動 を 行 うことができないことか<br />
ら、 手 動 操 作 によるハロン 消 火 設 備 により 消 火 する 設 計 とする。<br />
(2) 安 全 補 機 開 閉 器 室 は、 電 源 供 給 のみに 使 用 する 設 計 とする。<br />
(3) 蓄 電 池 室 には、 蓄 電 池 のみを 設 置 し 直 流 開 閉 装 置 やインバータは 設 置 しな<br />
い 設 計 とする。 蓄 電 池 室 の 換 気 空 調 設 備 は、 水 素 ガスの 排 気 に 必 要 な 換 気 量<br />
以 上 となるように 設 計 するとともに、 当 該 設 備 が 停 止 した 場 合 には、 中 央 制<br />
御 室 に 警 報 を 発 する 機 能 を 有 する 設 計 とする。<br />
(4)ポンプ 室 には、 煙 を 排 気 できる 可 搬 式 の 排 風 機 を 設 置 できる 設 計 とする。<br />
(5) 中 央 制 御 室 を 含 む 火 災 区 画 の 換 気 空 調 設 備 には、 防 火 ダンパを 設 置 する 設<br />
計 とする。また、 中 央 制 御 室 の 床 面 には、 防 炎 性 を 有 するカーペットを 使 用<br />
する 設 計 とする。<br />
(6) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 設 備 は、 純 水 中 においても 未 臨 界 となるように 使 用 済 燃 料<br />
を 配 置 する 設 計 とする、また、 新 燃 料 貯 蔵 設 備 は、 新 燃 料 を 保 管 するラック<br />
が 一 定 のラック 間 隔 を 有 する 設 計 とするため、 消 火 水 が 入 ったとしても 臨 界<br />
にはならない。<br />
(7) 放 射 性 廃 棄 物 処 理 設 備 及 び 放 射 性 廃 棄 物 貯 蔵 設 備 を 設 置 する 火 災 区 域 は、<br />
換 気 空 調 設 備 が 排 気 筒 に 繋 がるダンパを 閉 止 し 隔 離 できるように 設 計 する。<br />
また、 放 射 性 物 質 を 含 んだ 使 用 済 イオン 交 換 樹 脂 、チャコールフィルタ 及 び<br />
HEPA フィルタは、 固 体 廃 棄 物 として 処 理 を 行 うまでの 間 、 金 属 製 の 容 器 や 不<br />
燃 シートに 包 んで 保 管 する 設 計 とするとともに、 崩 壊 熱 による 火 災 の 発 生 を<br />
考 慮 する 放 射 性 物 質 を 貯 蔵 しない 設 計 とする。<br />
96
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 特 定 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 火 災 防 護 対<br />
策 の 設 計 が 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っており、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 それぞれ<br />
の 特 徴 を 考 慮 した 対 策 を 講 じる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )<br />
第 9 条 第 1 項 は、 安 全 施 設 は 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 における 溢 水 が 発 生 した 場 合 に<br />
おいても 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。また、 同 条<br />
第 2 項 の 規 定 においては、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 の 放 射<br />
性 物 質 を 含 む 液 体 を 内 包 する 容 器 又 は 配 管 の 破 損 によって 当 該 容 器 又 は 配 管 から<br />
放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 があふれ 出 た 場 合 において、 当 該 液 体 が 管 理 区 域 外 へ 漏 えい<br />
しないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 溢 水 に 対 し 防 護 すべき 設 備 ( 以 下 「 防 護 対 象 設 備 」という。)を 抽 出 するため<br />
の 方 針<br />
2. 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 するための 方 針<br />
3. 溢 水 防 護 区 画 及 び 溢 水 経 路 を 設 定 するための 方 針<br />
4. 建 屋 内 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
5. 建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
6. 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋 への 外 部 からの 流 入 防 止 に 関 する 設 計 方 針<br />
7. 放 射 性 物 質 を 含 んだ 液 体 の 管 理 区 域 外 への 漏 えいを 防 止 するための 設 計 方 針<br />
8. 溢 水 によって 発 生 する 外 乱 に 対 する 評 価 方 針<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 防 護 対 象 設 備 を 抽 出 するための 方 針<br />
発 電 用 原 子 炉 施 設 内 で 発 生 する 溢 水 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないようにするために 必 要 な 設 備 を 防 護 対 象 設 備 として 抽 出 する 方 針 が 示 され<br />
ることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 防 護 対 象 設 備 として、 原 子 炉 の 高 温 停 止 、 低 温 停 止 を 達 成 し、これ<br />
を 維 持 するために 必 要 な 設 備 、 放 射 性 物 質 の 閉 じ 込 め 機 能 を 維 持 するために 必 要<br />
な 設 備 並 びに 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 機 能 及 び 給 水 機 能 を 維 持 するために 必 要<br />
97
な 設 備 を 防 護 対 象 設 備 として 抽 出 する 方 針 としている。なお、それらのうち、 溢<br />
水 によって 安 全 機 能 が 損 なわれない 静 的 機 器 、 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 等 を 想 定 し<br />
て 設 置 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 機 器 、 溢 水 の 影 響 を 受 けて 動 作 機 能 を 損 なっても<br />
安 全 機 能 を 維 持 できる 機 器 、 主 給 水 逆 止 弁 の 逆 流 防 止 機 能 により 代 替 できる 主 給<br />
水 隔 離 弁 、 補 助 給 水 ポンプ 出 口 流 量 設 定 弁 により 代 替 できる 補 助 給 水 隔 離 弁 につ<br />
いては、 溢 水 による 影 響 評 価 の 対 象 として 抽 出 しない 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 防 護 対 象 設 備 を 抽 出 するための 方 針 について、 設<br />
置 許 可 基 準 規 則 解 釈 で 規 定 されている 安 全 機 能 を 有 する 設 備 を 全 て 抽 出 すると<br />
していることを 確 認 した。<br />
2. 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 するための 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 の 設 計 方 針 を 検 討 するに 当 たり、 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水<br />
( 以 下 「 破 損 による 溢 水 」という。)、 異 常 状 態 ( 火 災 を 含 む。)の 拡 大 防 止 のため<br />
に 設 置 される 系 統 からの 放 水 による 溢 水 ( 以 下 「 消 火 水 の 放 水 による 溢 水 」とい<br />
う。) 及 び 地 震 等 の 自 然 現 象 による 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水 ( 以 下 「 地 震<br />
等 による 溢 水 」という。)における、 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 する 方 針 が 示 され<br />
ることが 必 要 である。<br />
(1) 破 損 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水 を 想 定 して、<br />
配 管 の 破 損 箇 所 を 溢 水 源 として 設 定 している。 溢 水 量 の 算 出 に 当 たっては、 配<br />
管 の 破 損 箇 所 から 流 出 した 漏 水 量 と 隔 離 範 囲 内 の 系 統 保 有 水 量 を 合 算 して 設<br />
定 する 方 針 としている。ここで、 漏 水 量 は、 配 管 の 破 損 形 状 を 考 慮 した 流 出 流<br />
量 と 漏 水 箇 所 の 隔 離 までに 必 要 な 時 間 ( 以 下 「 隔 離 時 間 」という。)を 乗 じて<br />
設 定 するとし、 配 管 の 破 損 形 状 については、 配 管 が 内 包 する 流 体 のエネルギー<br />
に 応 じて、 配 管 を 高 エネルギー 配 管 と 低 エネルギー 配 管 に 分 類 した 上 で、 応 力<br />
評 価 により 設 定 する 方 針 としている。<br />
なお、 想 定 する 破 損 箇 所 は 防 護 対 象 設 備 への 溢 水 影 響 が 最 も 大 きくなる 位 置<br />
とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 源 及 び 溢 水 量 の 設 定 が、 溢 水 源 については、<br />
全 ての 高 エネルギー 配 管 及 び 低 エネルギー 配 管 を 対 象 として 破 損 を 想 定 する<br />
配 管 を 抽 出 した 上 で、 単 一 の 破 損 を 設 定 する 方 針 であること、また、 溢 水 量 に<br />
ついては、 操 作 時 間 を 踏 まえた 隔 離 時 間 の 設 定 や 漏 水 量 が 最 大 となる 破 損 位 置<br />
等 を 検 討 の 上 、 保 守 性 を 有 するよう 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
98
(2) 消 火 水 の 放 水 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、「Ⅲ-6 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 8 条<br />
関 係 )」において 設 置 するとした 消 火 設 備 からの 放 水 を 溢 水 源 として 設 定 して<br />
いる。 溢 水 量 の 算 出 に 当 たっては、 単 位 時 間 当 たりの 放 水 量 と 放 水 時 間 から 溢<br />
水 量 を 設 定 する 方 針 としている。 消 火 栓 からの 放 水 時 間 の 設 定 は 3 時 間 を 基 本<br />
とし、 火 災 源 が 小 さい 場 合 は、 火 災 荷 重 に 応 じて 放 水 時 間 を 設 定 する 方 針 とし<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 源 及 び 溢 水 量 の 設 定 が、 溢 水 源 については、<br />
火 災 発 生 時 の 消 火 設 備 からの 放 水 とする 方 針 であること、また、 溢 水 量 につい<br />
ては、 保 守 性 を 有 するよう 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(3) 地 震 等 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 により 発 電 所 内 で<br />
発 生 する 溢 水 を 想 定 するとしている。<br />
具 体 的 な 溢 水 源 として、 流 体 を 内 包 する 耐 震 B、Cクラス 機 器 ( 配 管 及 び 容<br />
器 )のうち 基 準 地 震 動 に 対 する 耐 震 性 が 確 保 されない 機 器 及 び 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
トのスロッシングによる 溢 水 を 想 定 している。ただし、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 さ<br />
れていない 水 密 化 区 画 内 で 生 じる 溢 水 は、 溢 水 源 として 想 定 しないとしている。<br />
溢 水 量 の 算 出 に 当 たっては、 配 管 の 破 損 により 生 じる 溢 水 量 は、 流 出 流 量 と<br />
隔 離 時 間 とを 乗 じて 得 られる 漏 水 量 と、 隔 離 範 囲 内 の 保 有 水 量 を 合 算 して 溢 水<br />
量 を 設 定 する 方 針 としている。 容 器 の 破 損 により 生 じる 溢 水 量 は、 容 器 内 保 有<br />
水 の 全 量 流 出 を 基 本 としている。<br />
なお、 漏 水 が 生 じるとした 機 器 については、 防 護 対 象 設 備 への 溢 水 影 響 が 最<br />
も 大 きくなる 位 置 で 漏 水 が 生 じるものとして 評 価 するとしている。<br />
また、 運 転 員 の 手 動 操 作 による 漏 えい 停 止 が 期 待 できる 場 合 には、 隔 離 時 間<br />
を 考 慮 して 設 定 するとしている。<br />
使 用 済 燃 料 ピットからの 溢 水 量 については、 基 準 地 震 動 により 発 生 するスロ<br />
ッシングによるピット 外 への 漏 水 量 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 溢 水 源 については、 流 体 を 内 包 する 全 ての 耐 震 B、<br />
Cクラス 機 器 ( 配 管 及 び 容 器 )を 対 象 として 基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 して<br />
耐 震 性 を 考 慮 し 破 損 を 想 定 する 機 器 を 抽 出 した 上 で、 設 定 する 方 針 としている<br />
こと、また、 溢 水 量 については、 隔 離 時 間 を 考 慮 して 設 定 する 方 針 としている<br />
ことを 確 認 した。<br />
99
(4)その 他 の 要 因 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 竜 巻 その 他 の 地 震 以 外 の 自 然 現 象 による 屋 外 タンク 等 の 破 損 、 地<br />
下 水 の 流 入 、 機 器 の 誤 作 動 その 他 の 要 因 による 溢 水 を 想 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 上 記 の(1)~(3) 以 外 の 要 因 による 溢 水 につ<br />
いても 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 評 価 において 本 発 電 所 の 状 況<br />
を 踏 まえた 検 討 を 行 った 上 で、 溢 水 源 及 び 溢 水 量 の 設 定 を 行 う 方 針 としているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
3. 溢 水 防 護 区 画 及 び 溢 水 経 路 を 設 定 するための 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 の 設 計 方 針 を 検 討 するに 当 たり、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 される 区 画<br />
及 び 溢 水 経 路 を 設 定 する 方 針 が 示 されることが 必 要 である。<br />
(1) 溢 水 防 護 区 画 の 設 定<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえて、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 全 ての 場<br />
所 並 びに 中 央 制 御 室 及 び 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備 へのアクセス 通 路 を 対 象 に 溢<br />
水 防 護 区 画 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 防 護 区 画 の 設 定 が、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 さ<br />
れている 全 ての 区 画 等 を 対 象 に、 壁 、 扉 、 堰 等 又 はそれらの 組 合 せによって 設<br />
定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(2) 溢 水 経 路 の 設 定<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえて、 溢 水 防 護 区 画 内 外 で 発 生 する 溢 水 を 想 定<br />
した 上 で、 床 ドレン、 床 面 開 口 部 、 扉 等 からの 流 入 又 は 流 出 を 保 守 的 に 設 定 し<br />
た 条 件 で 当 該 区 画 の 水 位 が 最 も 高 くなる 経 路 を 溢 水 経 路 として 設 定 する 方 針<br />
としている。ただし、 消 火 活 動 時 に 区 画 の 扉 を 開 放 する 場 合 は、 扉 を 開 放 状 態<br />
と 設 定 するとしている。 溢 水 影 響 を 軽 減 することを 期 待 する 壁 、 扉 、 堰 等 につ<br />
いては、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 し 健 全 性 を 確 認 し、 保 守 管 理 や 水 密 扉 閉<br />
止 等 の 運 用 を 適 切 に 実 施 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 経 路 の 設 定 が、 溢 水 防 護 区 画 の 水 位 が 最 も<br />
高 くなるように 適 切 に 行 われる 方 針 としていること、また、 経 路 上 の 壁 、 扉 、<br />
堰 等 に 溢 水 影 響 の 軽 減 を 期 待 する 場 合 は、 基 準 地 震 動 に 対 する 耐 震 性 を 評 価 す<br />
るとともに、 保 守 管 理 や 運 用 を 適 切 に 実 施 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
100
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 防 護 区 画 及 び 溢 水 経 路 の 設 定<br />
が、 現 場 設 備 等 の 設 置 状 況 を 踏 まえ、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 全 ての 区 画<br />
等 を 対 象 に 溢 水 防 護 区 画 として 設 定 する 方 針 としているとともに、 当 該 区 画 の 水<br />
位 が 最 も 高 くなるような 保 守 的 な 条 件 で 溢 水 経 路 を 設 定 する 方 針 としているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
4. 建 屋 内 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 は、 破 損 、 消 火 水 の 放 水 及 び 地 震 等 による 溢 水 に 関 して、 没 水 影<br />
響 、 被 水 影 響 及 び 蒸 気 影 響 の 観 点 で、 安 全 機 能 が 損 なわれないよう 防 護 される 設<br />
計 方 針 であることが 必 要 である。また、 原 子 炉 制 御 室 及 び 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備<br />
へのアクセス 通 路 に 対 しては、 環 境 条 件 等 を 考 慮 しても、 接 近 の 可 能 性 が 失 われ<br />
ない 設 計 方 針 であることが 必 要 である。<br />
また、 使 用 済 燃 料 ピットが 地 震 に 伴 うスロッシングによってピット 外 へ 漏 水 し<br />
ても、 当 該 ピットの 冷 却 及 び 給 水 ができる 設 計 方 針 であることが 必 要 である。<br />
(1) 没 水 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 没 水 による 影 響 を 受 けて、 防 護 対 象 設 備 が<br />
安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とするとしている。 具 体 的 には、 以 下 のいずれかの<br />
設 計 を 行 う 方 針 としている。<br />
1 溢 水 による 水 位 が、 溢 水 の 影 響 を 受 けて 防 護 対 象 設 備 の 安 全 機 能 を 損 な<br />
うおそれがある 高 さ( 以 下 「 機 能 喪 失 高 さ」という。)を 上 回 らない 設 計 と<br />
する。その 際 、 流 入 状 態 、 溢 水 源 からの 距 離 、 運 転 員 のアクセス 等 による<br />
一 時 的 な 水 位 変 動 を 考 慮 し、 発 生 した 溢 水 水 位 に 対 して 裕 度 を 確 保 する 設<br />
計 とする。<br />
2 防 護 対 象 設 備 が、 多 重 性 又 は 多 様 性 を 有 し、 各 々を 別 区 画 に 設 置 するこ<br />
とにより、 同 時 に 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。その 際 、 溢 水 を 起 因<br />
とする 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 及 び 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するために 必 要<br />
な 機 器 の 単 一 故 障 を 考 慮 する。<br />
3 上 記 1~2のいずれの 設 計 方 針 も 満 足 しない 場 合 は、 壁 、 扉 、 堰 等 によ<br />
る 没 水 対 策 を 実 施 する。<br />
消 火 水 の 放 水 による 溢 水 に 対 しては、 火 災 により 壁 貫 通 部 の 止 水 機 能 が 損 な<br />
われ 当 該 貫 通 部 からの 消 火 水 の 流 入 を 想 定 しても、 防 護 対 象 設 備 が 機 能 喪 失 し<br />
ない 設 計 方 針 としている。また、 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備 に 対 しては、 環 境 条 件<br />
を 考 慮 しても 操 作 場 所 までのアクセスが 可 能 な 設 計 方 針 としている。<br />
101
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、1 防 護 対 象 設 備 ごとに 現 場 の 設 置 状 況 を 踏<br />
まえて 機 能 喪 失 高 さを 評 価 し、 一 時 的 な 水 位 変 動 等 を 考 慮 しても、 溢 水 による<br />
水 位 が、 防 護 対 象 設 備 の 機 能 喪 失 高 さを 上 回 らないように 設 置 すること、2 多<br />
重 性 又 は 多 様 性 を 有 する 安 全 施 設 については、 同 時 に 安 全 機 能 が 損 なわれない<br />
よう 各 々を 別 区 画 に 設 置 すること、3 没 水 対 策 を 講 じることにより、 安 全 機 能<br />
が 損 なわれない 設 計 とすることのいずれかとする 方 針 としていることを 確 認<br />
した。また、 消 火 活 動 時 の 消 火 水 の 放 水 に 伴 う 没 水 水 位 に 対 しては、 機 能 喪 失<br />
高 さを 上 回 らないとする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(2) 被 水 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 被 水 による 影 響 として、 破 損 した 機 器 から<br />
の 飛 散 による 被 水 、 天 井 面 の 開 口 部 や 貫 通 部 からの 被 水 及 び 消 火 水 の 放 水 によ<br />
る 被 水 の 影 響 を 想 定 している。その 上 で、これら 被 水 による 影 響 を 受 けて、 防<br />
護 対 象 設 備 が 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とするとしている。 具 体 的 には、 被 水<br />
による 影 響 を 受 ける 範 囲 に 防 護 対 象 設 備 が 設 置 される 場 合 は、 以 下 のいずれか<br />
の 設 計 を 行 う 方 針 としている。<br />
1 防 護 対 象 設 備 が 被 水 試 験 等 により 確 認 された 防 滴 機 能 を 有 しており 安<br />
全 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。<br />
2 防 護 対 象 設 備 が、 多 重 性 又 は 多 様 性 を 有 し、 各 々を 別 区 画 に 設 置 するこ<br />
とにより、 同 時 に 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。<br />
3 防 護 対 象 設 備 への 保 護 カバー 等 による 被 水 対 策 を 実 施 する。<br />
この 他 、 消 火 水 の 放 水 による 被 水 の 影 響 については、 防 護 対 象 設 備 に 対 して<br />
不 用 意 な 放 水 を 行 わないことで、 安 全 機 能 を 損 なわない 運 用 を 行 う 設 計 として<br />
いる。また、 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備 に 対 しては、 環 境 条 件 を 考 慮 しても 操 作 場<br />
所 までのアクセスが 可 能 な 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、1 被 水 により 安 全 機 能 を 損 なわないよう 防<br />
滴 機 能 を 有 すること、2 多 重 性 又 は 多 様 性 を 有 する 防 護 対 象 設 備 については、<br />
同 時 に 安 全 機 能 が 損 なわれないよう 別 区 画 に 設 置 すること、3 被 水 試 験 により<br />
確 認 された 保 護 カバーによって 防 護 対 象 設 備 に 被 水 対 策 を 講 じることで、 安 全<br />
機 能 が 損 なわれない 設 計 とすることのいずれかとする 方 針 としていることを<br />
確 認 した。<br />
(3) 蒸 気 放 出 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 蒸 気 影 響 を 及 ぼすおそれのある 配 管 等 は、<br />
基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 して 耐 震 性 を 確 保 する 設 計 としている。 高 エネル<br />
ギー 配 管 等 の 破 損 を 想 定 した 場 合 、 発 生 する 漏 えい 蒸 気 に 対 して、 蒸 気 暴 露 試<br />
102
験 又 は 机 上 評 価 によって 防 護 対 象 設 備 の 健 全 性 が 確 認 されている 条 件 ( 圧 力 、<br />
温 度 及 び 湿 度 )を 超 えることがないように 防 護 対 象 施 設 は、 以 下 のいずれかの<br />
設 計 を 行 う 方 針 としている。<br />
1 蒸 気 影 響 を 緩 和 するための 対 策 として、 蒸 気 の 漏 えいを 自 動 検 知 し、 自<br />
動 又 は 手 動 による 隔 離 を 行 う 設 計 とする。<br />
2 上 記 1の 対 策 だけでは、その 防 護 対 象 設 備 の 健 全 性 が 確 保 されない 破 損<br />
想 定 箇 所 については、 防 護 カバーを 設 置 する。<br />
なお、 破 損 想 定 箇 所 の 近 傍 に 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 場 合 は、 漏 えい<br />
蒸 気 の 直 接 噴 出 による 防 護 対 象 設 備 への 影 響 を 考 慮 するとしている。また、 現<br />
場 操 作 が 必 要 な 設 備 に 対 しては、 環 境 条 件 を 考 慮 しても 操 作 場 所 までのアクセ<br />
スが 可 能 な 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 防 護 対 象 設 備 の 健 全 性 が 確 認 されている 条<br />
件 を 超 えることがないようにする 方 針 とし、 必 要 に 応 じて、1 漏 えいの 自 動 検<br />
知 及 び 自 動 又 は 手 動 での 隔 離 による 蒸 気 影 響 緩 和 対 策 又 は、2 破 損 想 定 箇 所 へ<br />
の 防 護 カバーの 設 置 による 緩 和 対 策 を 行 う 方 針 としていることなどを 確 認 し<br />
た。<br />
(4)その 他 の 要 因 による 溢 水 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 竜 巻 その 他 の 地 震 以 外 の 自 然 現 象 による 屋 外 タンク 等 の 破 損 に 対<br />
しては、 溢 水 防 護 区 画 内 に 設 置 される 防 護 対 象 設 備 の 安 全 機 能 が 損 なわれるお<br />
それがある 場 合 、 壁 、 扉 、 堰 等 により 溢 水 防 護 区 画 内 への 浸 水 を 防 止 する 設 計<br />
としている。 地 下 水 に 対 しては、 建 屋 最 下 層 にある 湧 水 サンプに 集 水 する 設 計<br />
とし、 湧 水 サンプポンプにより 溢 水 防 護 区 画 へ 地 下 水 が 流 入 しない 設 計 として<br />
いる。また、 機 器 の 誤 作 動 による 漏 えい 事 象 に 対 して、 漏 えい 検 知 システム 等<br />
による 早 期 検 知 が 可 能 とし、 防 護 対 象 設 備 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とし<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 竜 巻 に 伴 う 屋 外 タンクの 破 損 等 による 溢 水 に 対 し<br />
て、 壁 、 扉 、 堰 等 により 溢 水 防 護 区 画 内 への 浸 水 を 防 止 し、 防 護 対 象 設 備 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としていることを 確 認 した。<br />
(5) 使 用 済 燃 料 ピットのスロッシング 後 の 機 能 維 持 に 関 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 及 び 給 水 機 能 の 維 持 に 必 要 な 設 備 の 没 水 、<br />
被 水 、 蒸 気 放 出 の 影 響 に 対 する 安 全 機 能 維 持 に 係 る 設 計 に 加 え、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
103
ットが、スロッシング 後 においても、ピット 冷 却 機 能 及 び 遮 蔽 機 能 維 持 に 必 要<br />
な 水 位 を 確 保 する 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 使 用 済 燃 料 ピットのスロッシング 後 の 水 位<br />
が 最 も 厳 しい 初 期 条 件 等 を 想 定 しても 水 温 65℃ 以 下 に 維 持 し、 申 請 者 が 規 定<br />
する 使 用 済 燃 料 ピット 中 央 水 面 における 空 間 線 量 率 以 下 に 維 持 するために 必<br />
要 な 水 位 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 に 対 する 設 計 が、 没 水 、 被 水 、 蒸 気 放 出 に 対<br />
して 防 護 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
5. 建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 については、 溢 水 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計<br />
方 針 であることが 要 求 される。<br />
申 請 者 は、 建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 である 海 水 ポンプについて、 海 水 ポンプエリ<br />
ア 内 外 で 生 じる 溢 水 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 方 針 としている。 具 体<br />
的 には 海 水 ポンプエリア 外 で 生 じる 溢 水 が 流 入 しないようにするために、 壁 、 扉 、<br />
堰 等 による 溢 水 伝 播 防 止 対 策 を 図 る 方 針 としている。 当 該 エリア 内 で 生 じる 溢 水<br />
に 対 しては、 床 開 口 部 から 排 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 溢 水 防 護 区 画 内 外 からの 溢 水 に 対 して 壁 、 扉 、<br />
堰 等 による 溢 水 伝 播 防 止 対 策 を 図 ること 及 び 床 開 口 部 から 排 出 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
6. 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋 への 外 部 からの 流 入 防 止 に 関 する 設 計 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 建 屋 については、 建 屋 外 からの 溢 水 の 流 入 の 防<br />
止 を 講 じる 設 計 方 針 であることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 建 屋 外 の 溢 水 源 として、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 溢 水 防 護 区<br />
画 へ 流 入 しないようにするため、 溢 水 防 護 区 画 又 は 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋<br />
に 壁 、 扉 、 堰 等 の 設 置 等 の 流 入 防 止 対 策 を 講 じる 設 計 とするとしている。なお、<br />
タービン 建 屋 内 で 生 じる 溢 水 及 び 地 下 水 による 溢 水 に 対 する 設 計 方 針 について<br />
は、「Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針 」に 記 載 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋 外 からの 溢 水 経<br />
路 を 特 定 した 上 で、それぞれの 流 入 経 路 に 対 して 水 密 扉 の 設 置 等 の 対 策 を 講 じる<br />
方 針 としていることを 確 認 した。<br />
104
7. 放 射 性 物 質 を 含 んだ 液 体 の 管 理 区 域 外 への 漏 えいを 防 止 するための 設 計<br />
方 針<br />
第 9 条 第 2 項 は、 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 を 内 包 する 容 器 又 は 配 管 の 破 損 によっ<br />
て 当 該 容 器 又 は 配 管 から 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 があふれ 出 た 場 合 において、 管 理<br />
区 域 外 へ 漏 えいしないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 を 内 包 する 容 器 又 は 配 管 の 破 損 によって 当 該<br />
容 器 又 は 配 管 から 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 があふれ 出 た 場 合 において、 伝 播 経 路 の<br />
制 限 措 置 を 講 じることにより、 当 該 液 体 が 管 理 区 域 外 へ 漏 えいしない 設 計 方 針 と<br />
している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 建 屋 内 の 壁 、 堰 等 の 設 置 によって、 放 射 性 物<br />
質 を 含 んだ 液 体 の 管 理 区 域 外 への 伝 播 経 路 を 制 限 することにより、 当 該 液 体 が 管<br />
理 区 域 外 へ 漏 えいしない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
8. 溢 水 によって 発 生 する 外 乱 に 対 する 評 価 方 針<br />
溢 水 に 対 する 設 計 方 針 を 踏 まえた 上 で、 溢 水 により 原 子 炉 に 外 乱 が 及 び、かつ、<br />
安 全 保 護 系 、 原 子 炉 停 止 系 の 作 動 が 要 求 される 場 合 には、 溢 水 の 影 響 を 考 慮 して、<br />
安 全 評 価 指 針 に 基 づき 安 全 解 析 を 行 うことが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 防 護 対 象 設 備 が 溢 水 により 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とし、 評 価<br />
に 当 たっては、 安 全 評 価 指 針 に 基 づき、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計 基 準 事<br />
故 に 対 処 するために 必 要 な 機 器 の 単 一 故 障 を 考 慮 しても 異 常 状 態 を 収 束 できる<br />
設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 安 全 評 価 指 針 に 基 づき、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡<br />
変 化 又 は 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するための 機 器 の 単 一 故 障 を 考 慮 しても 異 常 状 態<br />
を 収 束 できる 設 計 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-8 誤 操 作 の 防 止 ( 第 10 条 関 係 )<br />
第 10 条 第 2 項 は、 安 全 施 設 は、 容 易 に 操 作 できるものでなければならないこと<br />
を 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 想 定 される 地 震 や 外 部 電 源 喪 失 等 の 環 境 条 件 下 においても、 運 転 員 が<br />
容 易 に 安 全 施 設 を 操 作 できるよう、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 中 央 制 御 室 の 盤 面 機 器 及 び 盤 面 表 示 は 系 統 ごとにグループ 化 した 配 列 にする<br />
とともに、 操 作 器 は、 形 状 や 色 等 の 視 覚 的 要 素 での 識 別 を 行 う 設 計 とする。<br />
105
2. 現 場 の 弁 等 については、 系 統 等 により 色 分 けし 識 別 管 理 できる 設 計 とする。<br />
3. 中 央 制 御 室 の 制 御 盤 等 は 床 等 に 固 定 することにより、 地 震 発 生 時 においても<br />
運 転 操 作 に 影 響 を 与 えない 設 計 とする。<br />
4. 外 部 電 源 が 喪 失 した 場 合 においても、ディーゼル 発 電 機 等 により 運 転 操 作 に<br />
必 要 な 照 明 を 確 保 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 原 子 炉 制 御 室 や 現 場 で 操 作 する 機 器 等 の 識 別 管<br />
理 及 び 操 作 に 係 る 照 明 等 への 配 慮 を 行 うことによって、 想 定 される 地 震 や 外 部 電 源<br />
喪 失 等 の 環 境 条 件 下 においても、 運 転 員 が 安 全 施 設 を 容 易 に 操 作 できるようにする<br />
としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-9 安 全 避 難 通 路 等 ( 第 11 条 関 係 )<br />
第 11 条 第 3 号 は、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 に 用 いる 照 明 ( 避 難 用 の 照 明 を<br />
除 く。) 及 びその 専 用 の 電 源 を 備 える 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 原 子 炉 の 停 止 、 停 止 後 の 冷 却 、 監 視 等 の 操 作 が 必 要 となる 可 能 性 のある 中 央<br />
制 御 室 、 現 場 操 作 場 所 ( 主 蒸 気 管 配 管 室 等 ) 及 び 当 該 現 場 へのアクセスルート<br />
に、 避 難 用 照 明 とは 別 の 作 業 用 照 明 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
2. 作 業 用 照 明 は、 非 常 用 母 線 に 接 続 してディーゼル 発 電 機 からも 電 力 を 供 給 で<br />
きるもの 及 び 常 用 母 線 に 接 続 して 蓄 電 池 を 内 蔵 した 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 か<br />
ら 給 電 可 能 なものを 併 設 する 設 計 とする。<br />
3. 夜 間 にタンクローリによるディーゼル 発 電 機 燃 料 の 輸 送 を 実 施 する 場 合 に 備<br />
えて、 輸 送 開 始 が 必 要 となる 時 間 までに 可 搬 型 照 明 を 準 備 可 能 な 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 に 用 いる 作 業 用 照<br />
明 及 びその 専 用 の 電 源 を 備 える 方 針 としていること、また、 可 搬 型 照 明 を 時 間 的 余<br />
裕 も 考 慮 し 準 備 可 能 とすることにより、 昼 夜 及 び 場 所 を 問 わず 作 業 可 能 とする 方 針<br />
としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-10 安 全 施 設 ( 第 12 条 関 係 )<br />
第 12 条 第 2 項 は、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 する 系 統 に 対 して、<br />
原 則 として 多 重 性 又 は 多 様 性 及 び 独 立 性 の 確 保 を 要 求 している。 当 該 系 統 のうち 静<br />
的 機 器 については、 長 期 間 (24 時 間 あるいは 運 転 モードの 切 替 え 時 点 を 境 界 とす<br />
106
る。)において 想 定 される 静 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 しても、 所 定 の 安 全 機 能 が 達<br />
成 できるように 設 計 することを 要 求 している。<br />
また、 同 条 第 6 項 においては、 重 要 安 全 施 設 について、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施<br />
設 において 共 用 し、 又 は 相 互 に 接 続 するものであってはならないこととした 上 で、<br />
共 用 又 は 相 互 に 接 続 することによって 当 該 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 安 全 性 が<br />
向 上 する 場 合 は、この 限 りではないとしている。<br />
さらに、 同 条 第 7 項 においては、 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 について、 二 以 上<br />
の 発 電 用 原 子 炉 施 設 における 安 全 施 設 と 相 互 に 接 続 する 場 合 には、 発 電 用 原 子 炉 施<br />
設 の 安 全 性 を 損 なわないものであることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 静 的 機 器 の 多 重 性<br />
2. 共 用 又 は 相 互 接 続 ( 重 要 安 全 施 設 及 び 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 )<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 静 的 機 器 の 多 重 性<br />
第 12 条 第 2 項 は、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 する 系 統 を 構 成<br />
する 設 備 のうち、 静 的 機 器 であって 長 期 間 の 機 能 維 持 を 期 待 するものに 対 して、<br />
最 も 過 酷 な 条 件 である 完 全 機 能 喪 失 を 単 一 故 障 として 想 定 した 場 合 でも、 当 該 系<br />
統 を 構 成 する 機 械 又 は 器 具 の 機 能 、 構 造 及 び 動 作 原 理 を 考 慮 して、 多 重 性 又 は 多<br />
様 性 を 確 保 し、 及 び 独 立 性 を 確 保 した 設 計 とすることを 要 求 している。ただし、<br />
想 定 される 静 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 すべき 長 期 間 の 安 全 機 能 の 評 価 に 当 たっ<br />
ては、 想 定 される 最 も 過 酷 な 条 件 下 においても、その 単 一 故 障 が 安 全 上 支 障 のな<br />
い 期 間 に 除 去 又 は 修 復 できることが 確 実 であれば、その 単 一 故 障 を 仮 定 しなくて<br />
もよい。また、 単 一 故 障 の 発 生 の 可 能 性 が 極 めて 小 さいことが 合 理 的 に 説 明 でき<br />
る 場 合 、あるいは、 単 一 故 障 を 仮 定 することで 系 統 の 機 能 が 失 われる 場 合 であっ<br />
ても、 他 の 系 統 を 用 いて、その 機 能 を 代 替 できることが 安 全 解 析 等 により 確 認 で<br />
きる 場 合 は、 当 該 機 器 に 対 する 多 重 性 の 要 求 は 適 用 しない。<br />
申 請 者 は、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 する 系 統 を 構 成 する 設 備<br />
のうち、 多 重 性 を 有 しない 静 的 機 器 であって、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 に、<br />
長 期 間 にわたり 機 能 が 要 求 される 設 備 として、アニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクト<br />
の 一 部 、 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備 のフィルタユニット 及 びダクトの 一 部 、 試 料 採<br />
107
取 設 備 のうち 事 故 時 に 1 次 冷 却 材 をサンプリングする 設 備 及 び 格 納 容 器 スプレ<br />
イリングを 抽 出 している。<br />
抽 出 された 設 備 については、 以 下 のとおり、(1) 単 一 故 障 を 仮 定 しなくても<br />
よい 場 合 、あるいは、(2) 多 重 性 の 要 求 を 適 用 しない 場 合 に 該 当 するとしてい<br />
る。<br />
(1) 単 一 故 障 を 仮 定 しなくてもよい 場 合<br />
アニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクトの 一 部 並 びに 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備<br />
のフィルタユニット 及 びダクトの 一 部 については、 当 該 設 備 に 要 求 される 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 又 は 放 射 性 物 質 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 から 漏 れ 出 た 場 所 の 雰<br />
囲 気 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 低 減 機 能 が 喪 失 する 単 一 故 障 として、 想 定 される<br />
最 も 過 酷 な 条 件 となる 故 障 を、ダクトについては 全 周 破 断 、フィルタユニッ<br />
トについてはフィルタ 本 体 の 閉 塞 を 想 定 している。いずれの 故 障 においても、<br />
単 一 故 障 による 放 射 性 物 質 の 放 出 に 伴 う 被 ばくの 影 響 を 最 小 限 に 抑 えるよ<br />
う、 安 全 上 支 障 のない 期 間 に 故 障 を 確 実 に 除 去 又 は 修 復 できる 設 計 とし、そ<br />
の 単 一 故 障 を 仮 定 しないとしている。 安 全 上 支 障 のない 期 間 については、 修<br />
復 作 業 を 3 日 間 とし、その 間 における 周 辺 の 公 衆 に 対 する 放 射 線 被 ばくは、<br />
「 添 付 書 類 十 3 . 4 環 境 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な 放 出 」の 評 価 結 果 と 同 程<br />
度 であること、また、 当 該 作 業 に 係 る 作 業 員 の 被 ばくは 緊 急 時 作 業 に 係 る 線<br />
量 限 度 以 下 とすることができるとしている。<br />
(2) 多 重 性 の 要 求 を 適 用 しない 場 合<br />
試 料 採 取 設 備 のうち 事 故 時 に 1 次 冷 却 材 をサンプリングする 設 備 は、 当 該<br />
設 備 に 要 求 される 事 故 時 の 原 子 炉 の 停 止 状 態 を 把 握 する 機 能 が 単 一 故 障 に<br />
よって 喪 失 した 場 合 であっても、1 次 冷 却 材 喪 失 事 故 後 24 時 間 が 経 過 した<br />
時 点 で 燃 料 取 替 用 水 タンクからのほう 酸 水 が 炉 心 に 注 入 されているため、 格<br />
納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 を 測 定 することにより、 注 入 されるほう 酸 量 を 把 握<br />
し 炉 水 中 のほう 素 濃 度 が 未 臨 界 維 持 に 必 要 なほう 素 濃 度 以 上 であることを<br />
確 認 できることから、 当 該 機 器 に 対 する 多 重 性 は 必 要 ないとしている。また、<br />
静 的 機 器 で 単 一 設 計 とするスプレイリングを 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 スプレ<br />
イ 設 備 については、 安 全 機 能 に 最 も 影 響 を 与 える 配 管 一 箇 所 の 全 周 破 断 を 仮<br />
定 した 場 合 であっても、スプレイ 流 量 を 確 保 するための 逆 止 弁 を 設 置 するこ<br />
とにより、 動 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 した 場 合 と 同 等 の 格 納 容 器 の 冷 却 機 能<br />
を 達 成 できるため、 当 該 機 器 に 対 する 多 重 性 は 必 要 ないとしている。<br />
108
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 す<br />
る 系 統 を 構 成 する 設 備 のうち、 静 的 機 器 であって 長 期 間 の 機 能 維 持 を 期 待 するも<br />
のを 抽 出 した 上 で、 以 下 のとおりとしていることを 確 認 した。<br />
(1) 申 請 者 が 単 一 故 障 を 仮 定 しないとしたアニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクトの<br />
一 部 並 びに 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備 のフィルタユニット 及 びダクトの 一 部<br />
については、 設 計 基 準 事 故 時 に、ダクトの 全 周 破 断 又 はフィルタ 本 体 の 閉 塞<br />
を 仮 定 したとしても、 放 射 性 物 質 の 漏 えい 時 の 周 辺 の 公 衆 に 対 する 被 ばくに<br />
よる 実 効 線 量 の 評 価 値 が、「 添 付 書 類 十 3 . 4 環 境 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な<br />
放 出 」の 評 価 結 果 と 同 程 度 となるよう 安 全 上 支 障 のない 期 間 内 に 除 去 又 は 修<br />
復 できる。<br />
(2) 申 請 者 が 単 一 の 設 計 とするとした 1 次 冷 却 材 をサンプリングする 設 備 につ<br />
いては、 当 該 設 備 が 有 する 事 故 時 の 原 子 炉 の 停 止 状 態 の 把 握 機 能 が 失 われる<br />
場 合 であっても、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 を 測 定 することにより、 炉 水 中<br />
のほう 素 濃 度 が 未 臨 界 維 持 に 必 要 なほう 素 濃 度 以 上 であることを 確 認 でき<br />
ることから、 事 故 時 の 原 子 炉 の 停 止 状 態 の 把 握 機 能 を 代 替 することができる<br />
としていること。また、 単 一 の 設 計 とするとした 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設<br />
備 のスプレイリングについては、スプレイ 流 量 を 確 保 するための 逆 止 弁 を 設<br />
置 することにより、 動 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 した 場 合 と 同 等 の 格 納 容 器 の<br />
冷 却 機 能 を 達 成 し、 所 定 の 安 全 機 能 を 維 持 することができるとしていること。<br />
2. 共 用 又 は 相 互 接 続<br />
第 12 条 第 6 項 は、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 における 重 要 安 全 施 設 の 共 用 又<br />
は 相 互 接 続 について、これらを 行 うことは 原 則 せず、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設<br />
の 安 全 性 が 向 上 する 場 合 にのみ 認 められることを 規 定 している。また、 同 条 第 7<br />
項 においては、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 における 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設<br />
について、 共 用 又 は 相 互 に 接 続 する 場 合 、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 安 全 性 が 損 なわれ<br />
ないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 要 安 全 施 設 のうち 中 央 制 御 室 及 び 中 央 制 御 室 空 調 装 置 について、<br />
3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 共 用 するとしている。 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 の<br />
うち、 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 及 び 浸 水 防 護 設 備 については、3 号 炉 及 び 4 号 炉<br />
において 共 用 するとし、 補 助 蒸 気 連 絡 ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )について、3 号 炉 及<br />
び 4 号 炉 において 相 互 に 接 続 するとしている。これらの 設 備 については、 以 下 の<br />
理 由 から 共 用 又 は 相 互 に 接 続 するとしている。<br />
(1) 重 要 安 全 施 設<br />
109
抽 出 された 中 央 制 御 室 は、 共 用 することにより 運 転 員 の 融 通 が 可 能 となり<br />
総 合 的 な 運 転 管 理 ができること、また、 中 央 制 御 室 空 調 装 置 については、 各<br />
号 炉 の 空 調 装 置 を 共 用 することにより、 単 一 の 設 計 とする 中 央 制 御 室 非 常 用<br />
循 環 フィルタユニットも 含 め、 安 全 性 が 向 上 することから、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 の 安 全 性 が 向 上 するとしている。<br />
(2) 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設<br />
抽 出 された 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 及 び 浸 水 防 護 設 備 は、 共 用 することに<br />
より、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 が 損 なわれないとしている。また、 抽 出 さ<br />
れた 補 助 蒸 気 連 絡 ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )は、 相 互 に 接 続 しても 各 号 炉 の 補 助<br />
蒸 気 の 設 計 圧 力 等 が 同 じであり、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 が 損 なわれない<br />
としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 安 全 施 設 の 共 用 又 は 相 互 接 続 の 設 計 について、 重<br />
要 安 全 施 設 である 原 子 炉 制 御 室 及 び 原 子 炉 制 御 室 空 調 装 置 の 共 用 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 の 安 全 性 が 向 上 すると 判 断 した。また、 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 であ<br />
る 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 及 び 浸 水 防 護 設 備 を 共 用 すること 並 びに 補 助 蒸 気 連 絡<br />
ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )を 相 互 に 接 続 することは、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 を 損<br />
なわないと 判 断 した。<br />
Ⅲ-11 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 対 策 設 備 ( 第 14 条 関 係 )<br />
第 14 条 は、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 ( 外 部 電 源 喪 失 と 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
の 重 畳 )に 備 えて、 非 常 用 所 内 直 流 電 源 設 備 は、 原 子 炉 の 安 全 な 停 止 、 停 止 後 の 冷<br />
却 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 の 確 保 のために 必 要 とする 電 気 容 量 を 一 定 時 間 ( 重<br />
大 事 故 等 に 対 処 するための 電 源 設 備 から 電 力 が 供 給 されるまでの 間 ) 確 保 できるよ<br />
うな 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )について、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 時 から 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するための 電 源 設 備 によって 電 力 が 供 給 されるまでの 約 25 分 間 に 対 し、<br />
原 子 炉 を 安 全 に 停 止 し、 停 止 後 の 冷 却 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 確 保 するため<br />
に 必 要 となる 設 備 に 十 分 長 い 間 電 源 供 給 が 可 能 な 容 量 を 備 えた 設 計 とするとして<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 からの 電 力 供 給 が 可 能 とな<br />
るまでの 間 、 原 子 炉 停 止 等 のために 必 要 な 設 備 に 対 し 電 源 供 給 が 可 能 な 容 量 を 有 す<br />
110
る 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )を 備 える 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置<br />
許 可 基 準 規 則 に 適 合 しているものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-12 燃 料 体 等 の 取 扱 施 設 及 び 貯 蔵 施 設 ( 第 16 条 関 係 )<br />
第 16 条 第 2 項 第 2 号 ニは、 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 ( 乾 式 キャスクを 除 く。)に<br />
おいて 想 定 される 燃 料 体 等 の 落 下 時 だけでなく、 他 の 重 量 物 の 落 下 時 においても、<br />
使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 の 機 能 ( 遮 蔽 能 力 、 最 終 ヒートシンクへの 崩 壊 熱 の 輸 送 及 び<br />
漏 えい 検 知 等 )が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
同 条 第 3 項 第 1 号 は、 燃 料 取 扱 場 所 の 放 射 線 量 並 びに 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 及<br />
び 水 温 について、その 異 常 を 検 知 し、 原 子 炉 制 御 室 における 監 視 等 が 可 能 な 設 計 と<br />
することを 要 求 している。 同 第 2 号 は、 外 部 電 源 が 利 用 できない 場 合 であっても、<br />
使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 状 態 を 示 すパラメータの 監 視 が 可 能 な 設 計 とすることを 要 求<br />
している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 内 における 重 量 物 落 下 対 策<br />
2. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 を 監 視 する 機 能 の 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 内 における 重 量 物 落 下 対 策<br />
第 16 条 第 2 項 第 2 号 ニは、 想 定 される 重 量 物 の 落 下 時 においても、 使 用 済 燃<br />
料 の 貯 蔵 施 設 の 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 内 において 落 下 のおそれがある 重 量 物 を 抽 出<br />
した 上 で、それぞれの 重 量 物 の 落 下 を 防 止 できるよう、 以 下 の 設 計 方 針 としてい<br />
る。<br />
(1) 落 下 のおそれがある 重 量 物 の 抽 出<br />
落 下 時 に 使 用 済 燃 料 ピットの 機 能 に 影 響 を 及 ぼす 重 量 物 については、 使 用 済<br />
燃 料 ピット 周 辺 の 状 況 、 現 場 における 作 業 実 績 、 図 面 等 にて 確 認 することによ<br />
り、 落 下 のおそれのある 重 量 物 等 の 落 下 時 のエネルギーを 評 価 し、 気 中 におけ<br />
る 落 下 試 験 時 の 燃 料 集 合 体 の 落 下 エネルギー 以 上 となる 設 備 等 を 抽 出 してい<br />
る( 燃 料 取 扱 棟 の 構 造 物 、 使 用 済 燃 料 ピットクレーン、 燃 料 取 扱 棟 クレーン)。<br />
111
(2) 抽 出 された 各 重 量 物 に 対 する 設 計 又 は 運 用 に 関 する 方 針<br />
抽 出 したそれぞれの 重 量 物 に 対 して、 以 下 のような 対 策 を 講 じる。<br />
1 燃 料 取 扱 棟 の 構 造 物 については、 基 準 地 震 動 に 対 して 使 用 済 燃 料 ピット<br />
内 への 落 下 を 防 止 できるように 設 計 する。<br />
2 使 用 済 燃 料 ピットクレーンについては、 基 準 地 震 動 に 対 して、クレーン<br />
本 体 、 転 倒 防 止 金 具 及 び 走 行 レールに 発 生 する 荷 重 が 許 容 応 力 以 下 となる<br />
ように、 吊 荷 を 考 慮 し 保 守 的 に 設 計 する。<br />
3 燃 料 取 扱 棟 クレーンについては、 使 用 済 燃 料 ピットの 上 部 に 一 部 走 行 レ<br />
ールを 敷 設 しているが、 走 行 範 囲 を 制 限 する 措 置 を 講 ずることで、 仮 に 走<br />
行 レールから 脱 落 したとしても、クレーン 本 体 及 び 吊 荷 が 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
トに 落 下 しない 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 現 場 状 況 及 び 作 業 実 態 を 調 査 した 上 で、 当 該<br />
貯 蔵 施 設 の 機 能 に 影 響 を 与 えないことが 既 に 確 認 されている 燃 料 集 合 体 の 落 下<br />
時 のエネルギーと 比 べて、その 値 が 大 きい 物 を、 落 下 によって 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵<br />
施 設 の 機 能 を 損 なうおそれがある 重 量 物 として 抽 出 する 方 針 とし、それぞれの 重<br />
量 物 に 対 して 落 下 を 防 止 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
2. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 を 監 視 する 機 能 の 確 保<br />
第 16 条 第 3 項 第 1 号 は、 燃 料 取 扱 場 所 の 放 射 線 量 に 加 え、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の 水 位 及 び 水 温 についても、その 異 常 を 検 知 し、 原 子 炉 制 御 室 における 監 視 等 が<br />
可 能 なように 設 計 することを 要 求 している。また、 外 部 電 源 が 利 用 できない 場 合<br />
においても、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 状 態 を 示 すパラメータの 監 視 が 可 能 であること<br />
を 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 及 び 水 温 、 燃 料 取 扱 場 所 の 放 射 線 量 を 中 央<br />
制 御 室 において 監 視 し、 異 常 時 に 警 報 を 発 信 するように 設 計 するとしている。さ<br />
らに、 外 部 電 源 が 利 用 できない 場 合 においても、 非 常 用 所 内 電 源 からの 給 電 によ<br />
り、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 、 水 温 及 び 放 射 線 量 を 監 視 できるように 設 計 すると<br />
している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 を 監 視 するために 必 要 なパ<br />
ラメータとして、 放 射 線 量 に 加 え、 水 位 及 び 水 温 についても、 異 常 の 検 知 や 原 子<br />
炉 制 御 室 における 監 視 を 可 能 とする 方 針 としていること、 外 部 電 源 喪 失 時 におい<br />
ても 監 視 を 可 能 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
112
Ⅲ-13 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ( 第 17 条 関 係 )<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 17 条 第 1 項 第 3 号 ロは、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ<br />
に 接 続 している 配 管 ( 以 下 「 接 続 配 管 」という。)のうち、 通 常 時 及 び 事 故 時 ともに<br />
閉 となるべきにもかかわらず、 通 常 時 又 は 事 故 時 に 開 となるおそれがある 弁 を 有 す<br />
る 配 管 については、 原 子 炉 側 からみて、 第 2 隔 離 弁 を 含 むまでの 範 囲 を、クラス1<br />
機 器 である 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリとすることを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 通 常 時 又 は 事 故 時 に 開 となるおそれがある 通 常 時 閉 及 び 事 故 時 閉 となる 弁 を<br />
有 する 接 続 配 管 は、 原 子 炉 側 からみて、 第 2 隔 離 弁 までの 範 囲 を 原 子 炉 冷 却 材<br />
圧 力 バウンダリとする。<br />
2.なお、 上 記 以 外 の 第 1 隔 離 弁 については、 施 錠 管 理 を 行 うことにより 開 とな<br />
らない 運 用 とする。<br />
3. 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリとなる 機 器 及 び 配 管 については、 原 子 炉 冷 却 材<br />
圧 力 バウンダリに 加 わる 負 荷 に 耐 えるとともに、 瞬 間 的 破 壊 が 生 じないよう 十<br />
分 なじん 性 を 有 する 設 計 とする。また、クラス1 機 器 としての 供 用 期 間 中 検 査<br />
を 可 能 とする。<br />
4. 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 17 条 の 規 定 により 新 たに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウン<br />
ダリとなる 機 器 及 び 配 管 は、いずれもこれまでクラス2 機 器 であったことから、<br />
クラス1 機 器 における 要 求 を 満 足 していることを 確 認 する。 当 該 配 管 と 管 台 の<br />
溶 接 継 手 に 対 して、 非 破 壊 検 査 を 全 数 継 続 的 に 行 い 健 全 性 を 確 認 するとともに、<br />
クラス1 機 器 としての 供 用 期 間 中 検 査 を 行 う。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 新 たに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリとなる 機 器<br />
及 び 配 管 を 抽 出 するとしていること、 当 該 機 器 及 び 配 管 をクラス1 機 器 として 位 置<br />
付 ける 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
Ⅲ-14 安 全 保 護 回 路 ( 第 24 条 関 係 )<br />
第 24 条 第 6 号 は、 不 正 アクセス 行 為 等 による 被 害 を 防 止 できるように 安 全 保 護<br />
回 路 を 設 ける 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 安 全 保 護 系 のアナログ 回 路 は、 盤 の 施 錠 等 により、ハードウェアを 直 接 接 続<br />
させないことで 物 理 的 に 分 離 する 設 計 とする。<br />
2. 安 全 保 護 系 のアナログ 回 路 は、 外 部 ネットワークへのデータ 伝 送 の 必 要 があ<br />
113
る 場 合 は、ゲートウェイを 介 して 一 方 向 通 信 ( 送 信 のみ)に 制 限 することで 機<br />
能 的 に 分 離 する 設 計 とする。<br />
3. 発 電 所 出 入 管 理 による 物 理 的 アクセスの 制 限 により、 不 正 な 変 更 等 による 承<br />
認 されていない 動 作 や 変 更 を 防 止 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 物 理 的 分 離 及 び 機 能 的 分 離 を 適 切 に 講 じるとと<br />
もに、 出 入 管 理 による 物 理 的 アクセスの 制 限 を 行 う 等 、 承 認 されていない 動 作 や 変<br />
更 を 防 ぐことができるとしていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適<br />
合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )<br />
第 33 条 は、 保 安 電 源 設 備 について、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 停 止 することが<br />
ないように 設 計 することを 要 求 している。また、 外 部 電 源 喪 失 時 における 発 電 所 構<br />
内 の 電 源 として、 必 要 な 電 力 を 供 給 するように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 事 項 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 保 安 電 源 の 信 頼 性<br />
(1) 発 電 所 構 内 における 電 気 系 統 の 信 頼 性<br />
(2) 電 線 路 の 独 立 性<br />
(3) 電 線 路 の 物 理 的 分 離<br />
(4) 複 数 号 炉 を 設 置 する 場 合 における 電 力 供 給 確 保<br />
2. 外 部 電 源 喪 失 時 における 発 電 所 構 内 の 電 源 の 確 保<br />
(1) 非 常 用 電 源 設 備 等<br />
(2) 隣 接 する 原 子 炉 施 設 に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 等 への 依 存<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 保 安 電 源 の 信 頼 性<br />
(1) 発 電 所 構 内 における 電 気 系 統 の 信 頼 性<br />
第 33 条 第 3 項 は、 保 安 電 源 設 備 について、 電 線 路 、 発 電 用 原 子 炉 施 設 にお<br />
いて 常 時 使 用 される 発 電 機 及 び 非 常 用 電 源 設 備 から 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給<br />
が 停 止 することがないよう、 機 器 の 損 壊 、 故 障 その 他 の 異 常 を 検 知 するととも<br />
に、その 拡 大 を 防 止 するように 設 計 することを 要 求 している。<br />
114
申 請 者 は、 保 安 電 源 設 備 について、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 停 止 すること<br />
がないように 設 計 するとしている。 安 全 施 設 に 対 する 電 気 系 統 を 構 成 する 機 器<br />
は、 短 絡 、 地 絡 又 は 母 線 の 低 電 圧 、 過 電 流 等 を 検 知 し、 検 知 した 場 合 には 遮 断<br />
器 により 故 障 箇 所 を 隔 離 した 上 で、 故 障 による 影 響 を 局 所 化 することができる<br />
とともに、 他 の 安 全 機 能 への 影 響 を 限 定 できるよう 設 計 するとしている。また、<br />
1 相 開 放 時 は、 電 力 の 供 給 の 安 定 性 を 回 復 できる 設 計 としている。 重 要 安 全 施<br />
設 に 対 する 電 気 系 統 については、 系 統 分 離 を 考 慮 した 500kV 母 線 を 2 母 線 、<br />
220kV 母 線 を 2 母 線 により 構 成 することで、 多 重 性 を 有 し、 系 統 分 離 が 可 能 で<br />
ある 母 線 構 成 としており、 電 気 系 統 を 構 成 する 機 器 は、 規 格 等 で 定 められた 適<br />
切 な 仕 様 とするとともに、 非 常 用 所 内 電 源 系 からの 受 電 時 等 の 母 線 の 切 替 え 操<br />
作 が 容 易 な 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 以 下 の 点 を 考 慮 する 方 針 としていることを<br />
確 認 した。<br />
1 保 安 電 源 設 備 については、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 停 止 することがな<br />
いようにすること、 電 力 系 統 の 異 常 の 検 知 とその 拡 大 防 止 については、 遮<br />
断 器 により 短 絡 等 の 故 障 による 影 響 を 局 所 化 するともに、 他 の 安 全 機 能 へ<br />
の 影 響 を 限 定 できること。<br />
2 外 部 電 源 に 直 接 接 続 している 変 圧 器 の 1 次 側 において、3 相 のうちの 1<br />
相 の 電 路 の 開 放 が 生 じた 場 合 にあっては、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 不 安<br />
定 になったことを 検 知 し、 保 護 継 電 器 が 作 動 することによる 故 障 箇 所 の 隔<br />
離 又 は 非 常 用 母 線 の 接 続 変 更 その 他 の 異 常 の 拡 大 を 防 止 する 対 策 を 行 う<br />
ことによって、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 の 安 定 性 を 回 復 できること。<br />
3 重 要 安 全 施 設 に 対 する 電 気 系 統 については、 系 統 分 離 を 考 慮 した 母 線 に<br />
よって 構 成 されるとともに、 電 気 系 統 を 構 成 する 個 々の 機 器 が 信 頼 性 の 高<br />
いものであって、 非 常 用 所 内 電 源 系 からの 受 電 時 等 の 母 線 の 切 替 え 操 作 が<br />
容 易 であること。<br />
(2) 電 線 路 の 独 立 性<br />
第 33 条 第 4 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 のうち 少 なくとも 2<br />
回 線 について、それぞれ 互 いに 独 立 しているものであって、 当 該 施 設 において<br />
受 電 可 能 なものであり、かつ、それにより 当 該 施 設 を 電 力 系 統 に 連 系 する 設 計<br />
とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 について、 送 受 電 可 能 な 500kV 送 電 線 ( 玄 海 幹 線 )2 ル<br />
ート 2 回 線 と、 受 電 専 用 220kV 送 電 線 ( 玄 海 原 子 力 線 )1 ルート 2 回 線 の 3 ル<br />
ート 4 回 線 で 電 力 系 統 に 連 系 しており、500kV 送 電 線 は、 本 発 電 所 から 約 24 km<br />
115
離 れた 西 九 州 変 電 所 及 び 約 65km 離 れた 脊 振 変 電 所 に 連 系 し、220kV 送 電 線 は、<br />
本 発 電 所 から 約 21 km 離 れた 西 九 州 変 電 所 に 連 系 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 原 子 炉 施 設 に 接 続 する 電 線 路 の 上 流 側 の 接<br />
続 先 の 変 電 所 が 停 止 した 場 合 であっても、 当 該 原 子 炉 施 設 に 接 続 された 送 電 線<br />
による 電 力 の 供 給 が 全 て 停 止 しないとしており、 独 立 性 を 有 する 方 針 とするこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(3) 電 線 路 の 物 理 的 分 離<br />
第 33 条 第 5 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 のうち 少 なくとも 1<br />
回 線 について、 当 該 設 計 基 準 対 象 施 設 において 他 の 回 線 と 物 理 的 に 分 離 して 受<br />
電 できる 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、500kV 送 電 線 ( 玄 海 幹 線 )2 回 線 と 220kV 送 電 線 ( 玄 海 原 子 力 線 )<br />
2 回 線 について、 同 一 の 送 電 鉄 塔 に 架 線 しない 設 計 とした 上 で、 大 規 模 な 盛 り<br />
土 崩 壊 、 大 規 模 な 地 滑 り 等 による 被 害 の 最 小 化 を 図 るため、 鉄 塔 基 礎 の 安 定 性<br />
を 確 保 するとともに、 強 風 発 生 時 の 事 故 防 止 対 策 の 実 施 により、 外 部 電 源 系 か<br />
らの 電 力 供 給 が 同 時 に 停 止 することのないよう 設 計 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 地 滑 り 等 の 共 通 要 因 にて 電 力 の 供 給 が 全 て<br />
同 時 に 停 止 しないように、 電 線 路 を 同 一 の 送 電 鉄 塔 に 架 線 しない 方 針 としてい<br />
ることを 確 認 した。<br />
(4) 複 数 号 炉 を 設 置 する 場 合 における 電 力 供 給 確 保<br />
第 33 条 第 6 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 について、 同 一 の 発<br />
電 所 の 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 を 電 力 系 統 に 連 系 する 場 合 には、いずれの 2<br />
回 線 が 喪 失 した 場 合 においても 電 力 系 統 からこれらの 発 電 用 原 子 炉 施 設 への<br />
電 力 の 供 給 が 同 時 に 停 止 しないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 連 系 する 送 電 線 について、 受 電 可 能 な 4 回 線<br />
を 有 し、いずれの 2 回 線 が 喪 失 しても、それ 以 外 のいずれかの 1 回 線 により 3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 の 停 止 に 必 要 な 電 力 を 供 給 し 得 る 容 量 を 備 える 構 成 としてい<br />
る。500kV 送 電 線 は、 母 線 連 絡 用 遮 断 器 、 主 変 圧 器 及 び 所 内 変 圧 器 を 介 し、3 号<br />
炉 及 び 4 号 炉 に 接 続 するとともに、220kV 送 電 線 はタイライン 及 び 予 備 変 圧 器<br />
を 介 し、3 号 炉 及 び 4 号 炉 に 接 続 する 設 計 としている。また、 開 閉 所 から 主 発<br />
電 機 側 の 送 受 電 設 備 は、 十 分 な 支 持 性 能 を 持 つ 地 盤 に 設 置 する 設 計 とした 上 で、<br />
碍 子 及 び 遮 断 器 等 の 機 器 についても、 耐 震 性 の 高 いものを 使 用 するとしている。<br />
116
また、 当 該 開 閉 所 等 は、 津 波 の 影 響 を 受 けない 敷 地 高 さに 設 置 するとともに、<br />
塩 害 を 考 慮 する 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 のいず<br />
れの 2 回 線 が 喪 失 した 場 合 でも 他 の 1 回 線 によって 3 号 炉 及 び 4 号 炉 に 電 力<br />
を 供 給 できる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
2. 外 部 電 源 喪 失 時 における 発 電 所 構 内 の 電 源 の 確 保<br />
(1) 非 常 用 電 源 設 備 等<br />
第 33 条 第 7 項 は、 非 常 用 電 源 設 備 及 びその 附 属 設 備 について、 多 重 性 又 は<br />
多 様 性 及 び 独 立 性 を 確 保 し、その 系 統 を 構 成 する 機 器 又 は 器 具 の 単 一 故 障 が 発<br />
生 した 場 合 であっても、 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するための 設 備 がその 機 能 を 確 保<br />
するために 十 分 な 容 量 を 有 する 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、ディーゼル 発 電 機 及 びその 附 属 設 備 は、 多 重 性 及 び 独 立 性 を 考 慮<br />
し、 必 要 な 容 量 のものを 各 々 別 の 場 所 に 2 台 備 え、それぞれ 非 常 用 所 内 高 圧 母<br />
線 に 接 続 するとしている。また、 蓄 電 池 は、 非 常 用 2 系 統 を 各 々 別 の 場 所 に 設<br />
置 し、 多 重 性 及 び 独 立 性 を 確 保 する 設 計 とするとしている。<br />
ディーゼル 発 電 機 の 連 続 運 転 に 必 要 な 燃 料 を 貯 蔵 する 設 備 は、7 日 間 の 外 部<br />
電 源 喪 失 を 仮 定 しても、 連 続 運 転 により 必 要 とする 電 力 を 供 給 できるよう、7<br />
日 間 分 の 連 続 運 転 に 必 要 な 容 量 以 上 の 燃 料 を 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵<br />
タンクに 貯 蔵 する 設 計 とするとしている。 燃 料 油 貯 油 そうと 燃 料 油 貯 蔵 タンク<br />
は、 接 続 されていないことから、 連 続 運 転 のためにはタンクローリにより 燃 料<br />
を 輸 送 する 必 要 がある。 輸 送 に 当 たっては、 地 震 等 の 自 然 現 象 及 び 人 為 事 象 ( 故<br />
意 によるものを 除 く。)に 対 して、タンクローリが 同 時 に 機 能 喪 失 しないよう<br />
位 置 的 分 散 等 を 図 り、 輸 送 手 段 を 必 ず1 手 段 確 保 することとしている。これら<br />
により、7 日 間 の 連 続 運 転 に 支 障 のない 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 以 下 の 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
1 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 及 び 蓄 電 池 について、 多 重 性 及 び 独 立 性 を 考 慮<br />
し、それぞれ 別 の 場 所 に 設 置 することにより、その 系 統 を 構 成 する 機 器 又<br />
は 器 具 の 単 一 故 障 が 発 生 した 場 合 であっても、 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するた<br />
めの 設 備 の 機 能 を 確 保 する。<br />
2 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 等 の 7 日 間 連 続 運 転 を 可 能 とするために、 必 要<br />
となる 燃 料 を 貯 蔵 する 設 備 として、 燃 料 油 貯 油 そうに 加 えて 燃 料 油 貯 蔵 タ<br />
ンクを 設 置 し、 地 震 等 の 自 然 現 象 及 び 人 為 事 象 ( 故 意 によるものを 除 く。)<br />
を 想 定 しても、 輸 送 手 段 を 必 ず1 手 段 確 保 し、 燃 料 油 貯 蔵 タンクから 燃 料<br />
117
油 貯 油 そうへの 燃 料 の 輸 送 を 確 実 に 行 う。<br />
(2) 隣 接 する 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 等 への 依 存<br />
第 33 条 第 8 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 隣 接 する 発 電 用 原 子 炉 施 設<br />
に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 及 びその 附 属 設 備 から 受 電 する 場 合 にあっても、これ<br />
に 過 度 に 依 存 しない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 非 常 用 電 源 設 備 及 びその 附 属 設 備 は 号 炉 ごとに 単 独 で 設 置 し、 他<br />
の 原 子 炉 施 設 と 共 用 しない 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 他 の 原 子 炉 施 設 に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 等 を 共 用 し<br />
ない 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
118
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力<br />
東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 を 受 けて 原 子 炉 等 規 制 法 は、 重 大<br />
事 故 ( 炉 心 の 著 しい 損 傷 その 他 の 重 大 な 事 故 )への 対 策 を 規 制 の 対 象 と 位 置 付 け、<br />
平 成 25 年 7 月 に 施 行 された。この 際 、 設 置 許 可 基 準 規 則 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
的 能 力 基 準 が 併 せて 施 行 されている。<br />
本 章 においては、 申 請 者 の 計 画 が 設 置 許 可 基 準 規 則 第 三 章 「 重 大 事 故 等 対 処 施 設 」<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 に 適 合 しているか 否 かを 審 査 した。 審 査 の 概 要<br />
は、 以 下 のとおりである。<br />
1. 重 大 事 故 等 の 拡 大 の 防 止 等 ( 第 37 条 )<br />
申 請 者 は、 事 故 の 想 定 を 幅 広 く 行 い、その 想 定 した 事 故 に 対 して 有 効 な 対 策 を<br />
計 画 しなければならない。<br />
(1) 事 故 の 想 定<br />
事 故 の 原 因 となる 事 象 の 抽 出 、 起 因 事 象 (※ 2 )と 安 全 機 能 の 喪 失 の 組 合 せを<br />
網 羅 的 かつ 体 系 的 に 行 っているかを 審 査 する。<br />
起 因 事 象 と 安 全 機 能 の 喪 失 の 組 合 せは 多 数 存 在 することから、 効 率 的 に 対 策<br />
を 計 画 するため、 起 因 事 象 、 安 全 機 能 の 喪 失 状 況 、 対 策 の 共 通 性 に 着 目 して 少<br />
数 の 事 故 シーケンスグループ 等 に 類 型 化 する。その 上 で、 事 故 シーケンスグル<br />
ープ 等 ごとに 事 故 の 進 展 や 対 策 の 実 施 等 の 観 点 から 最 も 厳 しい 重 要 事 故 シー<br />
ケンス 等 を 選 定 する。すなわち、 重 要 事 故 シーケンス 等 に 対 して 対 策 が 有 効 で<br />
あれば、その 対 策 は 当 該 重 要 事 故 シーケンス 等 が 含 まれる 事 故 シーケンスグル<br />
ープ 等 に 対 して 有 効 であるものと 判 断 できる 重 要 事 故 シーケンス 等 を 選 定 す<br />
る。これらが 適 切 に 行 われているかを 審 査 する。<br />
(2) 有 効 性 評 価<br />
事 故 シーケンスグループ 等 ごとに、 申 請 者 の 計 画 する 対 策 が 当 該 事 故 シーケ<br />
ンスグループ 等 の 特 徴 を 踏 まえたものか 審 査 する。その 上 で、 重 要 事 故 シーケ<br />
ンス 等 に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 対 策 の 有 効 性 について、 適 切 な 解 析 手 法<br />
を 用 いているか、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 たしているか、 解 析 コード 等 の 不 確<br />
かさを 考 慮 しても 評 価 項 目 を 満 たしていることに 変 わりは 無 いかを 審 査 する。<br />
また、 当 該 対 策 が 要 員 及 び 燃 料 等 の 観 点 からも 対 応 可 能 であるかを 審 査 する。<br />
(※ 2 ) 通 常 の 運 転 状 態 を 妨 げる 事 象 であって、 炉 心 損 傷 、 格 納 容 器 破 損 及 び 燃 料 損 傷 に 波 及 する 可 能 性 のある 事<br />
象 ( 外 部 電 源 喪 失 、LOCA 等 )。 以 下 この 章 において 同 じ。<br />
119
2. 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 38 条 ~ 第 41 条 、 第 43 条 ~ 第 62 条 、 重 大 事 故<br />
等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ~1.19 項 )<br />
申 請 者 は、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 を 踏 まえた 対 策 や 前 記 のように 網<br />
羅 的 かつ 体 系 的 に 想 定 した 事 故 への 対 策 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備<br />
する 必 要 がある。さらに、 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 必 要 がある。<br />
(1) 設 備 及 び 手 順 等 に 対 して 要 求 される 共 通 事 項 ( 第 38 条 ~ 第 41 条 、<br />
第 43 条 、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 )<br />
地 震 及 び 津 波 などにより 機 能 を 喪 失 しないこと、 炉 心 損 傷 防 止 などに 必 要 な<br />
容 量 を 確 保 することなどは、 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 設 備 及 び 手 順 に 対 し<br />
て 要 求 される 共 通 の 事 項 であり、これらが 適 切 になされる 方 針 であるか 審 査 す<br />
る。<br />
(2) 機 能 ごとに 要 求 される 事 項 ( 第 44 条 ~ 第 62 条 、 重 大 事 故 等 防 止 技<br />
術 的 能 力 基 準 1.1 項 ~1.19 項 )<br />
1 設 置 許 可 基 準 規 則 等 の 逐 条 において 必 要 とされる 設 備 及 び 手 順<br />
等<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 第 三 章 「 重 大 事 故 等 対 処 施 設 」 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技<br />
術 的 能 力 基 準 第 1 項 では、 主 として 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 から<br />
導 かれた 要 求 事 項 から 構 成 されている。 申 請 者 が 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
る 上 での 申 請 者 の 方 針 が、 要 求 事 項 に 則 った 適 切 なものであるかについて<br />
審 査 する。<br />
2 有 効 性 評 価 において 必 要 とされる 設 備 及 び 手 順 等<br />
上 記 有 効 性 評 価 において 必 要 とされた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手<br />
順 等 の 整 備 が、 適 切 な 方 針 の 下 に 行 われるかを 審 査 する。<br />
3 申 請 者 の 自 主 的 な 設 備 及 び 手 順 等<br />
機 能 喪 失 の 原 因 分 析 などを 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 上 記<br />
以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するなど 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 へ<br />
の 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 する。なお、 有 効 性 評<br />
価 においては 厳 しい 条 件 で 解 析 を 行 うため、 故 障 した 設 備 の 復 旧 などは 見<br />
込 まないが、 実 際 には 復 旧 対 策 などの 自 主 的 な 対 応 が 行 われる。このため、<br />
全 体 としての 対 策 の 実 現 性 を 検 討 するためには、 自 主 的 な 対 応 も 確 認 する<br />
ことが 必 要 である。<br />
120
3. 大 規 模 損 壊 対 策 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 )<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 施 設 が 大 規 模 な 損 壊 に 至 った 場 合 に 対 しても、 事 故 の 影 響 を<br />
緩 和 する 対 策 を 整 備 しておく 必 要 がある。<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 は、 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による<br />
大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムによる 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 大 規 模 な 損 壊<br />
( 以 下 「 大 規 模 損 壊 」という。)が 発 生 した 場 合 における 手 順 書 、 当 該 手 順 書 に 従<br />
って 活 動 を 行 うための 体 制 及 び 資 機 材 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 要 求<br />
している。<br />
大 規 模 損 壊 に 対 する 手 順 書 、 体 制 及 び 資 機 材 の 整 備 については、 大 規 模 損 壊 発<br />
生 時 の 特 徴 を 踏 まえた 適 切 な 方 針 であるかを 審 査 する。<br />
Ⅳ-1 重 大 事 故 等 の 拡 大 の 防 止 等 ( 第 37 条 関 係 )<br />
第 37 条 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発 生 した<br />
場 合 において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じること、 重 大<br />
事 故 が 発 生 した 場 合 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 及 び 発 電 所 外 への 放 射 性 物<br />
質 の 異 常 な 水 準 の 放 出 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じることを 要 求 している。<br />
また、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 体 又 は 使 用 済 燃 料 ( 以 下 「 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 」<br />
という。)の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じること、 運 転 停 止 中 (※<br />
3<br />
)における 発 電 用 原 子 炉 内 の 燃 料 体 ( 以 下 「 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 」という。)<br />
の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定<br />
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コードについて、その 適<br />
用 性 を 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(※ 3 ) 運 転 停 止 中 :「 停 止 中 評 価 ガイド」には、「 原 子 炉 運 転 停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起<br />
動 過 程 における 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 示 している。ただし、 全 燃 料 が 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 に 取 り 出 され、 原 子 炉 に 燃 料 がない 場 合 は 除 くとされている。<br />
121
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。なお、 以 下 において 位 置 付 けた 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 の 整 備 の 方 針 は、Ⅳ-2からⅣ-4に 示 している。<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定<br />
第 37 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、 評 価 対 象 とする 原 子 炉 施 設 において「 想 定<br />
する 事 故 シーケンスグループ(※ 4 )」 若 しくは「 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モード(※<br />
5 )」は、 以 下 に 示 す 事 故 シーケンスグループ 等 を 必 ず 含 めた 上 で、 当 該 プラントに<br />
対 する 確 率 論 的 リスク 評 価 ( 以 下 「PRA」という。)などを 実 施 し、 有 意 な 頻 度 又 は<br />
影 響 がある 事 故 シーケンスグループ 等 が 見 いだされた 場 合 には、これを 追 加 するこ<br />
とを 求 めている。<br />
有 効 性 評 価 ガイドは、 想 定 する 事 故 シーケンスグループごとに、 炉 心 の 著 しい 損<br />
傷 に 至 る 重 要 な 事 故 シーケンス( 以 下 「 重 要 事 故 シーケンス」という。)を 選 定 し、<br />
有 効 性 評 価 の 対 象 とするとしている。また、 格 納 容 器 破 損 モードごとに、 格 納 容 器<br />
の 破 損 に 至 る 重 要 な 事 故 シーケンス( 以 下 「 評 価 事 故 シーケンス」という。)を 選<br />
定 するとしている。<br />
また、SFP 評 価 ガイドは、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 損 傷 防 止 については、 想 定<br />
事 故 1 及 び 想 定 事 故 2を 想 定 するとしている。<br />
さらに、 停 止 中 評 価 ガイドは、 燃 料 の 損 傷 に 至 る 重 要 事 故 シーケンスを 選 定 し、<br />
有 効 性 評 価 の 対 象 とするとしている。<br />
事 故 シーケンスグループ 等 ( 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 において、 必 ず 想 定 すること<br />
を 要 求 しているもの)は、 以 下 のとおり。<br />
1 運 転 中 事 故 シーケンスグループ<br />
a. 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
c. 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失<br />
d. 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失<br />
e. 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
f. ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
g. ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
(※ 4 ) 起 因 事 象 、 安 全 機 能 の 喪 失 状 況 に 着 目 して 事 故 シーケンスを 類 型 化 したもの。 単 数 若 しくは 複 数 の 事 故 シ<br />
ーケンスを 含 む。<br />
(※ 5 ) 格 納 容 器 破 損 に 至 る 格 納 容 器 への 負 荷 の 種 類 に 着 目 して 類 型 化 したもの。<br />
122
h. 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA、 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破<br />
損 )<br />
2 格 納 容 器 破 損 モード<br />
a. 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 ・ 過 温 破 損 )<br />
b. 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
c. 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
d. 水 素 燃 焼<br />
e. 格 納 容 器 直 接 接 触 (シェルアタック)<br />
f. 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
3 想 定 事 故 1 及 び 想 定 事 故 2<br />
a. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 の 喪 失<br />
b. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 小 規 模 な 喪 失<br />
4 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ<br />
a. 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 (RHR の 故 障 による 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
c. 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出<br />
d. 反 応 度 の 誤 投 入<br />
1. 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、 事 故 シーケンスグループ 等 の 特 定 及 び 事 故 シーケンスグループ 等 ご<br />
との 重 要 事 故 シーケンス 等 の 選 定 については、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 運 転 中 原 子 炉 において 炉 心 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
1 事 故 シーケンスグループの 特 定<br />
a. イベントツリーによる 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスの 抽 出<br />
内 部 事 象 (※ 6 )レベル 1PRA の 手 法 を 活 用 し、 各 起 因 事 象 と 炉 心 損<br />
傷 を 防 止 するための 手 段 等 との 組 合 せをイベントツリーで 分 析 し、 炉<br />
心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスを 抽 出 した。また、 地 震 PRA 及 び 津 波 PRA<br />
の 手 法 を 活 用 し、 複 数 機 能 の 同 時 喪 失 を 伴 う 事 象 の 発 生 を 想 定 し、 起<br />
因 事 象 をプラントに 与 える 影 響 度 の 高 いものから 順 に 並 べた 起 因 事<br />
象 階 層 イベントツリーと、 炉 心 損 傷 を 防 止 する 手 段 等 の 状 況 を 示 すイ<br />
(※ 6 )PRA の 方 法 論 には、1 偶 発 故 障 を 仮 定 した PRA と、2 特 定 の 事 象 を 事 故 の 原 因 とする PRA がある。 偶 発 故<br />
障 を 仮 定 した PRA を「 内 部 事 象 PRA」という。<br />
123
ベントツリーによって 分 析 し、 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスを 抽 出<br />
した。<br />
b. PRA に 代 わる 方 法 による 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスの 検<br />
討<br />
内 部 事 象 、 地 震 及 び 津 波 以 外 の 事 象 について、 現 時 点 では、 内 部 事<br />
象 レベル 1PRA の 手 法 と 工 学 的 判 断 により 事 故 シーケンスを 検 討 した。<br />
内 部 溢 水 及 び 内 部 火 災 の 事 故 シーケンスについては、 溢 水 、 火 災 に<br />
より 様 々な 同 時 故 障 が 発 生 しても、 炉 心 損 傷 を 防 止 するための 手 段 等<br />
との 組 合 せは 内 部 事 象 レベル 1PRA と 同 じであるため、 内 部 事 象 レベ<br />
ル 1PRA により 抽 出 された 事 故 シーケンスと 同 じ 事 故 シーケンスにな<br />
ると 推 定 される。<br />
洪 水 、 風 ( 台 風 )、 竜 巻 等 の 事 故 シーケンスは、 安 全 上 の 重 要 度 の<br />
高 い 建 屋 内 部 の 設 備 に 直 接 的 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 低 く、 建 屋 外 部<br />
に 設 置 された 設 備 への 影 響 として 海 水 ポンプ 及 び 変 圧 器 ・ 送 電 線 等 の<br />
機 能 喪 失 による 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 があるが、これは 内 部 事 象 レベル<br />
1PRA の 手 法 を 活 用 したイベントツリーにより 抽 出 済 みの 事 故 シーケ<br />
ンスである。<br />
よって、 新 たに 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスは 抽 出 されなかった。<br />
c. 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループとの 対 応<br />
上 記 a.においてイベントツリーにより 網 羅 的 に 抽 出 した 炉 心 損 傷<br />
に 至 る 事 故 シーケンスを 起 因 事 象 及 び 安 全 機 能 の 喪 失 状 況 に 着 目 し<br />
て 類 型 化 し 事 故 シーケンスグループを 特 定 するため、まず、 抽 出 され<br />
た 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスと、 必 ず 想 定 する 8 つの 事 故 シーケ<br />
ンスグループとの 対 応 関 係 を 整 理 した。その 結 果 、 抽 出 した 炉 心 損 傷<br />
に 至 る 事 故 シーケンスのうち、 地 震 ・ 津 波 特 有 の 5 つの 事 故 シーケン<br />
ス( 原 子 炉 建 屋 損 傷 、 原 子 炉 格 納 容 器 損 傷 、 原 子 炉 補 助 建 屋 損 傷 、 複<br />
数 の 信 号 系 損 傷 、 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 ( 複 数 本 破 損 ))が、 必 ず 想<br />
定 する 事 故 シーケンスグループに 含 まれなかった。<br />
d. PRA の 結 果 を 考 慮 した 事 故 シーケンスグループの 特 定<br />
上 記 の 5 つの 事 故 シーケンスを 新 たな 事 故 シーケンスグループと<br />
して 追 加 するか 否 かの 検 討 を、PRA の 結 果 も 考 慮 し、 頻 度 及 び 影 響 度<br />
の 観 点 から 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループと 比 較 することに<br />
より 行 った。その 結 果 、 頻 度 の 観 点 からは、5 つの 事 故 シーケンスは、<br />
124
全 炉 心 損 傷 頻 度 に 対 する 寄 与 が 極 めて 小 さいことを 確 認 した。また、<br />
影 響 度 の 観 点 からは、 建 屋 損 傷 等 により 機 能 喪 失 する 炉 心 損 傷 を 防 止<br />
するための 設 備 の 組 合 せの 特 定 は 困 難 であり、 影 響 度 に 大 きな 幅 があ<br />
るが、 発 生 する 事 象 の 程 度 に 応 じて 炉 心 損 傷 防 止 対 策 や 格 納 容 器 破 損<br />
防 止 対 策 を 柔 軟 に 活 用 するとともに、 必 要 に 応 じて 大 規 模 損 壊 対 策 に<br />
よる 影 響 緩 和 を 図 ることができることを 確 認 した。 以 上 より、 頻 度 及<br />
び 影 響 度 の 観 点 から 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループと 比 較 し、<br />
総 合 的 に 判 断 して、5 つの 事 故 シーケンスは 新 たに 追 加 する 必 要 はな<br />
いとした。<br />
よって、 想 定 する 事 故 シーケンスグループは、 設 置 許 可 基 準 規 則 解<br />
釈 が 必 ず 想 定 することを 要 求 しているものと 同 一 である。<br />
e. 原 子 炉 格 納 容 器 の 機 能 に 期 待 する 事 故 シーケンス<br />
国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 と 同 等 のものが 講 じられた 上 で、 炉 心 損 傷 防<br />
止 が 困 難 であって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 機 能 に 期 待 できる 事 故 シーケン<br />
スは、 事 故 シーケンスグループに 含 めないが、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
における 評 価 事 故 シーケンスに 包 絡 させるものとする。<br />
2 重 要 事 故 シーケンスの 選 定<br />
有 効 性 評 価 ガイドの 指 定 する 4 つの 着 眼 点 ( 系 統 間 機 能 依 存 性 、 余 裕 時<br />
間 、 設 備 容 量 、 代 表 性 )に 沿 って 事 故 シーケンスグループごとに 重 要 事 故<br />
シーケンスを 選 定 した。4 つの 着 眼 点 の 各 々について、 影 響 度 を「 高 」、<br />
「 中 」、「 低 」で 整 理 し、 選 定 に 用 いた。また、 選 定 の 際 に 複 数 の 事 故 シ<br />
ーケンスが 重 要 事 故 シーケンスの 候 補 となる 場 合 には、 事 象 進 展 が 早 いも<br />
のなど、より 厳 しいシーケンスを 選 定 した。 具 体 的 には 表 Ⅳ-1のとおり。<br />
(2) 運 転 中 原 子 炉 において 格 納 容 器 破 損 に 至 るおそれがある 事 故<br />
1 格 納 容 器 破 損 モードの 抽 出<br />
a. PRA の 知 見 を 活 用 した 格 納 容 器 破 損 モードの 検 討<br />
内 部 事 象 については、プラント 状 態 を 分 類 し、 事 象 の 進 展 に 伴 い 生<br />
じる 格 納 容 器 の 健 全 性 に 影 響 を 与 える 負 荷 を 分 析 して、 格 納 容 器 バイ<br />
パス、 格 納 容 器 隔 離 失 敗 及 び 格 納 容 器 物 理 的 破 損 に 係 る 以 下 の 12 の<br />
格 納 容 器 破 損 モードを 日 本 原 子 力 学 会 の PRA に 関 する 実 施 基 準 (※ 7 )<br />
に 則 って 検 討 対 象 とした。<br />
(※ 7 ) 日 本 原 子 力 学 会 標 準 原 子 力 発 電 所 の 出 力 運 転 状 態 を 対 象 とした 確 率 論 的 安 全 評 価 に 関 する 実 施 基 準<br />
(レベル 2PSA 編 ):2008<br />
125
1) 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 (gモード)<br />
2) インターフェイスシステム LOCA(νモード)<br />
3) 格 納 容 器 隔 離 失 敗 (βモード)<br />
4) 原 子 炉 容 器 内 での 水 蒸 気 爆 発 (αモード)<br />
5) 格 納 容 器 内 の 水 蒸 気 爆 発 又 は 圧 力 スパイク(ηモード)<br />
6) 溶 融 物 直 接 接 触 (μモード)<br />
7) 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 (σモード)<br />
8) 水 素 燃 焼 又 は 水 素 爆 轟 (γモード)<br />
9) ベースマット 溶 融 貫 通 (εモード)<br />
10) 格 納 容 器 貫 通 部 過 温 破 損 (τモード)<br />
11) 水 蒸 気 ・ 非 凝 縮 性 ガス 蓄 積 による 過 圧 破 損 (δモード)<br />
12) 水 蒸 気 蓄 積 による 格 納 容 器 先 行 破 損 (θモード)<br />
b. PRA に 代 わる 方 法 による 格 納 容 器 破 損 モードの 検 討<br />
内 部 事 象 以 外 の 事 象 については、 現 時 点 では、 内 部 事 象 レベル 1.5<br />
(※ 8 )PRA の 手 法 と 工 学 的 な 判 断 により 検 討 を 実 施 した。<br />
検 討 の 結 果 、 地 震 特 有 の 格 納 容 器 破 損 モードとして、βモード、g<br />
モード 及 び 地 震 による 格 納 容 器 破 損 (χモード)が 考 えられるが、β<br />
モード 及 びgモードについては a.の 12 の 破 損 モードで 抽 出 されてい<br />
ること、χモードについては 直 接 的 な 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 喪 失 で<br />
あることから、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 の 対 象 とせず、 大<br />
規 模 損 壊 対 策 で 対 応 することとし、 新 たに 追 加 すべき 格 納 容 器 破 損 モ<br />
ードはないとした。<br />
津 波 、 火 災 、 溢 水 及 びその 他 の 自 然 現 象 については、 内 部 事 象 レベ<br />
ル 1PRA で 抽 出 された 事 故 シーケンス 以 外 の 事 故 シーケンスはなく、<br />
炉 心 損 傷 後 の 格 納 容 器 内 物 理 現 象 についても a.の 12 の 破 損 モードで<br />
想 定 するものと 同 じと 考 えられることから、 新 たに 追 加 すべき 格 納 容<br />
器 破 損 モードはないとした。<br />
c. 評 価 対 象 とする 格 納 容 器 破 損 モードの 抽 出<br />
上 記 a.において 検 討 対 象 とした 12 の 格 納 容 器 破 損 モードには、 必<br />
ず 想 定 する 5 つの 格 納 容 器 破 損 モードが 含 まれる。なお、 必 ず 想 定 す<br />
る 格 納 容 器 破 損 モードのうち、 格 納 容 器 直 接 接 触 (シェルアタック)<br />
については、BWR の 一 部 の 格 納 容 器 に 特 有 の 事 象 とみなされているた<br />
め、PWR である 当 該 評 価 の 対 象 から 除 外 する。<br />
(※ 8 )レベル 1.5PRA とは、 格 納 容 器 破 損 頻 度 を 求 めるまでの PRA をいう。<br />
126
μモードについては、 原 子 炉 容 器 が 高 圧 状 態 で 破 損 した 場 合 に 溶 融<br />
炉 心 が 急 激 に 噴 出 し、 原 子 炉 格 納 容 器 壁 に 付 着 して 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
破 損 に 至 る 事 象 であることから、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する 対<br />
策 は、 本 申 請 では 原 子 炉 容 器 の 破 損 までに 1 次 冷 却 系 を 減 圧 すること<br />
である。1 次 冷 却 系 の 減 圧 により 高 圧 溶 融 物 放 出 を 防 止 できればσモ<br />
ードによる 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 できることから、μモード 及<br />
びσモードへの 対 策 は 同 一 となること。<br />
必 ず 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードに 分 類 されない 2 つの 破 損 モー<br />
ド( α 及 び β モード) 及 び 3 つの 破 損 モード(θ、ν 及 びgモード)<br />
については、 以 下 の 理 由 から 新 たな 格 納 容 器 破 損 モードとして 考 慮 す<br />
る 必 要 はない。<br />
αモードについては、 国 内 外 における 実 験 的 研 究 と 専 門 家 による 物<br />
理 現 象 に 関 する 分 析 により、 発 生 確 率 は 極 めて 低 いと 評 価 されている<br />
こと。<br />
βモードについては、 定 期 検 査 及 び 原 子 炉 起 動 前 の 格 納 容 器 隔 離 機<br />
能 の 確 認 や 手 順 書 に 基 づく 確 実 な 操 作 を 実 施 すること、 原 子 炉 運 転 時<br />
には 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 12 時 間 に 1 回 確 認 する 運 用 であること 及<br />
びエアロック 開 放 時 には 警 報 発 信 により 速 やかに 検 知 可 能 であるこ<br />
と、 事 故 時 において 格 納 容 器 隔 離 信 号 発 信 時 には 隔 離 弁 の 閉 止 状 態 を<br />
運 転 員 が 確 認 する 手 順 となっていることなどにより、 人 的 過 誤 による<br />
発 生 確 率 は 極 めて 低 いと 評 価 したこと。<br />
3 つの 破 損 モード(θ、ν 及 びgモード)については、 事 故 シーケ<br />
ンスグループに 含 め 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 評 価 すること。<br />
なお、gモードのうち 高 温 誘 因 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 については、<br />
発 生 頻 度 が 非 常 に 小 さいことに 加 え、 発 生 を 防 止 するための 1 次 系 強<br />
制 減 圧 を 確 実 に 行 うための 対 策 が 整 備 されていること、1 次 冷 却 系 が<br />
高 温 状 態 でも 1 次 系 強 制 減 圧 ( 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 状 態 )を 維 持 でき<br />
ることを 解 析 により 確 認 していること、 蒸 気 発 生 器 への 給 水 により 炉<br />
心 損 傷 を 回 避 できる 場 合 があることなどから、 発 生 を 防 止 できること。<br />
よって、 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードは、 以 下 の 6 つとする。<br />
• 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )(δモード)<br />
• 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )(τモード)<br />
• 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 (μ、σモード)<br />
• 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 (ηモード)<br />
• 水 素 燃 焼 (γモード)<br />
• 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 (εモード)<br />
127
2 プラント 損 傷 状 態 の 特 定<br />
炉 心 損 傷 後 のプラント 損 傷 状 態 ( 以 下 「PDS」という。)は、 起 因 事 象 と<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 、 炉 心 損 傷 時 期 、 格 納 容 器 内 事 象 進 展 ( 格 納 容 器 破 損 時 期 、<br />
溶 融 炉 心 の 冷 却 手 段 )の 3 種 類 の 属 性 を 用 いて 定 義 した。<br />
レベル 1PRA で 抽 出 された 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスから、さらに<br />
高 圧 注 入 ・ 再 循 環 、 格 納 容 器 スプレイ 注 入 ・ 再 循 環 の 分 岐 ・ヘディングを<br />
考 慮 し、 内 部 事 象 レベル 1.5PRA 評 価 用 のイベントツリーを 作 成 した。こ<br />
れを 用 いて 各 事 故 シーケンスの PDS を 特 定 した 後 、PDS ごとに 事 故 シーケ<br />
ンスを 整 理 した。<br />
さらに、PDS ごとに、 設 備 の 動 作 状 態 及 び 各 種 現 象 の 発 生 状 態 を 検 討 し<br />
て、 格 納 容 器 イベントツリーを 作 成 し、 格 納 容 器 破 損 に 至 る 事 故 シーケン<br />
スが、1c.の 6 つの 格 納 容 器 破 損 モードのいずれかに 対 応 することを 確<br />
認 した。この 結 果 を 用 いて、 格 納 容 器 破 損 モードごとに PDS を 整 理 した。<br />
3 評 価 事 故 シーケンスの 選 定<br />
格 納 容 器 破 損 モードごとの PDS から、 影 響 の 観 点 で 最 も 厳 しくなる PDS<br />
を 選 定 した。この PDS を 構 成 する 事 故 シーケンスから、 事 象 進 展 が 最 も 厳<br />
しくなる 事 故 シーケンスを 抽 出 し、PRA の 過 程 で 選 定 した 評 価 事 故 シーケ<br />
ンスとした。<br />
具 体 的 には 表 Ⅳ-1のとおり。<br />
なお、 有 効 性 評 価 においては、 事 象 進 展 をより 厳 しくする 観 点 などから、<br />
PRA の 過 程 で 選 定 された 評 価 事 故 シーケンスに 加 え、 複 数 の 機 能 の 喪 失 の<br />
重 畳 を 考 慮 している 場 合 もある。<br />
(3) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
想 定 事 故 1 及 び 想 定 事 故 2を 想 定 する。<br />
(4) 運 転 停 止 中 原 子 炉 において 燃 料 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
1 事 故 シーケンスグループの 特 定<br />
運 転 停 止 中 について、 各 起 因 事 象 と 燃 料 損 傷 を 防 止 するための 手 段 等 と<br />
の 組 合 せをイベントツリーで 網 羅 的 に 分 析 し、 燃 料 損 傷 に 至 る 事 故 シーケ<br />
ンスを 抽 出 した。<br />
抽 出 した 燃 料 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスについて、 喪 失 した 機 能 及 び 炉<br />
心 損 傷 に 至 った 主 要 因 の 観 点 から、 必 ず 想 定 する 4 つの 事 故 シーケンスグ<br />
ループとの 関 係 を 整 理 した。その 結 果 、 必 ず 想 定 すべき 事 故 シーケンスグ<br />
128
ループに 含 まれない 燃 料 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスは 新 たに 抽 出 されな<br />
かった。<br />
2 重 要 事 故 シーケンスの 選 定<br />
停 止 中 評 価 ガイドの 指 定 する 3 つの 着 眼 点 ( 余 裕 時 間 、 設 備 容 量 、 代 表<br />
性 )に 沿 って 事 故 シーケンスグループの 中 から 有 効 性 評 価 の 代 表 シーケン<br />
スとする 重 要 事 故 シーケンスの 選 定 を 実 施 した。3 つの 着 眼 点 の 各 々につ<br />
いて、 影 響 度 を「 高 」、「 中 」、「 低 」で 整 理 して、 選 定 に 用 いた。 具 体<br />
的 には 表 Ⅳ-1のとおり。<br />
2. 審 査 結 果<br />
(1) 運 転 中 原 子 炉 において 炉 心 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスの 抽 出 を、 内 部 事 象<br />
については 炉 心 損 傷 イベントツリー、 地 震 及 び 津 波 については 階 層 イベントツ<br />
リーと 炉 心 損 傷 イベントツリーを 構 築 して 行 うという 日 本 原 子 力 学 会 の PRA<br />
に 関 する 実 施 基 準 に 則 った 標 準 的 な 手 法 で 行 っていることを 確 認 した。また、<br />
内 部 事 象 、 地 震 及 び 津 波 以 外 の 事 象 について、 当 該 事 象 を 対 象 とする PRA に 代<br />
わる 方 法 として、 内 部 事 象 レベル 1PRA の 手 法 と 工 学 的 判 断 により 事 故 シーケ<br />
ンスを 検 討 していることは 妥 当 と 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループに 対 応 しない<br />
地 震 及 び 津 波 特 有 の 5 つの 事 故 シーケンスを 新 たな 事 故 シーケンスグループ<br />
として 追 加 しないとしていることについて、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 則 って、<br />
頻 度 は 全 炉 心 損 傷 頻 度 に 対 する 寄 与 が 極 めて 小 さいことを 確 認 し、 加 えて、 大<br />
規 模 損 壊 対 策 などにより 緩 和 措 置 を 図 ることができるとしていることから、 妥<br />
当 であると 判 断 した。<br />
また、 事 故 シーケンスには、 国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 と 同 等 のものを 講 じても、<br />
炉 心 損 傷 の 防 止 が 困 難 なものがあり、 申 請 者 がこれらの 事 故 シーケンスを 炉 心<br />
損 傷 防 止 対 策 における 事 故 シーケンスグループに 含 めず、 格 納 容 器 破 損 防 止 対<br />
策 において 考 慮 するとしたことは、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 則 った 考 え 方 であ<br />
ることから、 妥 当 であると 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループごとの 重 要 事 故 シーケンスの 選 定 は、<br />
有 効 性 評 価 ガイドの 考 え 方 を 踏 まえ 4 つの 着 眼 点 に 沿 って 行 われていること<br />
を 確 認 した。<br />
129
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 特 定 した 事 故 シーケンスグループ 及<br />
び 選 定 した 重 要 事 故 シーケンスは、 上 記 の 確 認 と 判 断 から、 妥 当 なものである<br />
と 判 断 した。<br />
(2) 運 転 中 原 子 炉 において 格 納 容 器 破 損 に 至 るおそれがある 事 故<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 内 部 事 象 による 格 納 容 器 破 損 モードを 日 本 原 子 力 学<br />
会 の PRA に 関 する 実 施 基 準 に 則 って 検 討 対 象 としていることを 確 認 した。また、<br />
申 請 者 が 自 然 現 象 について、 新 たに 追 加 すべき 格 納 容 器 破 損 モードはないとし<br />
ていることは、 最 新 の 技 術 に 基 づく 内 部 事 象 レベル 1.5PRA の 手 法 と 工 学 的 な<br />
判 断 により 検 討 していることから、 妥 当 と 判 断 した。 検 討 対 象 とした 12 つの<br />
格 納 容 器 破 損 モードについては、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 において 評 価 するもの、 発<br />
生 する 可 能 性 が 極 めて 低 いものを 除 き、すべて 評 価 対 象 としていることから、<br />
妥 当 であると 判 断 した。 評 価 対 象 とした 6 つの 格 納 容 器 破 損 モードは、 設 置 許<br />
可 基 準 規 則 解 釈 における 必 ず 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モード(BWR 固 有 のものを<br />
除 く。)と 一 致 することを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 モードごとに 最 も 厳 しいプラント 損 傷<br />
状 態 を 選 定 し、さらにそのプラント 損 傷 状 態 に 至 る 最 も 厳 しい 事 故 シーケンス<br />
を 評 価 事 故 シーケンスとしていることは、 有 効 性 評 価 ガイドを 踏 まえ 厳 しいも<br />
のを 選 定 していることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 特 定 した 格 納 容 器 破 損 モード 及 び 選<br />
定 した 評 価 事 故 シーケンスは、 上 記 の 確 認 と 判 断 から、 妥 当 なものであると 判<br />
断 した。<br />
(3) 運 転 停 止 中 原 子 炉 において 燃 料 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 各 起 因 事 象 と 燃 料 損 傷 に 至 ることを 防 止 するための<br />
手 段 等 との 組 合 せをイベントツリーで 分 析 し、 運 転 停 止 中 に 燃 料 損 傷 に 至 る 事<br />
故 シーケンスを 抽 出 しており、これは 日 本 原 子 力 学 会 の PRA に 関 する 実 施 基 準<br />
に 則 った 標 準 的 な 手 法 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループごとの 重 要 事 故 シーケンスの 選 定 は、<br />
停 止 中 評 価 ガイドの 考 え 方 を 踏 まえ 3 つの 着 眼 点 に 沿 って 行 われていること<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 特 定 した 事 故 シーケンスグループ 及<br />
び 選 定 した 重 要 事 故 シーケンスは、 上 記 の 確 認 から、 妥 当 なものであると 判 断<br />
した。<br />
130
炉<br />
心<br />
損<br />
傷<br />
防<br />
止<br />
対<br />
策<br />
格<br />
納<br />
容<br />
器<br />
破<br />
損<br />
防<br />
止<br />
対<br />
策<br />
運<br />
る 転<br />
燃 停<br />
料 止<br />
損 中<br />
傷 原<br />
防 子<br />
止 炉<br />
対 に<br />
策 お<br />
け<br />
表 Ⅳ-1 申 請 者 の 重 要 事 故 シーケンス 等 の 選 定 について<br />
事 故 シーケンスグループ 重 要 事 故 シーケンス 選 定 理 由<br />
2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機<br />
能 喪 失<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機<br />
能 喪 失<br />
原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
格 納 容 器 バイパス<br />
格 納 容 器 破 損 モード<br />
雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による<br />
静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による<br />
静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )<br />
高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容<br />
器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融<br />
燃 料 ─ 冷 却 材 相 互 作 用<br />
水 素 燃 焼<br />
溶 融 炉 心 ・コンクリート<br />
相 互 作 用<br />
主 給 水 流 量 喪 失 + 補 助 給 水 失<br />
敗<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 +<br />
RCP シール LOCA<br />
大 破 断 LOCA+ 格 納 容 器 スプレ<br />
イ 注 入 失 敗 + 低 圧 再 循 環 失 敗<br />
原 子 炉 トリップが 必 要 な 起 因<br />
事 象 + 原 子 炉 トリップ 失 敗<br />
中 破 断 LOCA+ 高 圧 注 入 失 敗<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 再 循 環 失 敗<br />
+ 高 圧 再 循 環 失 敗<br />
IS-LOCA 及 び 蒸 気 発 生 器 伝 熱<br />
管 破 損 + 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の<br />
隔 離 失 敗<br />
PRA の 過 程 で 選 定 された<br />
評 価 事 故 シーケンス ※<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 +<br />
高 圧 注 入 失 敗 + 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 注 入 失 敗<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 +<br />
格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 失 敗<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 +<br />
高 圧 注 入 失 敗 + 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 注 入 失 敗<br />
主 給 水 が 全 喪 失 することで 1 次 冷 却 系 が 早 期 に 高 温 ・ 高 圧 状 態 となる 事 象 であ<br />
り、 特 に「 主 給 水 流 量 喪 失 」では 原 子 炉 トリップ( 蒸 気 発 生 器 水 位 低 ) 時 点 で<br />
の 蒸 気 発 生 器 水 量 が 少 なく、「 外 部 電 源 喪 失 」と 比 較 して 補 助 給 水 失 敗 時 点 で<br />
の 崩 壊 熱 が 大 きく、 除 熱 の 観 点 でより 厳 しい 事 象 となる。<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 係 る 事 故 シーケンスは「 外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 」のみである。<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 / 安 全 弁 LOCA は 気 相 部 破 断 であり、1 次 冷 却 材 の 漏 えいの 観 点<br />
で RCP シール LOCA の 方 が 厳 しい 事 象 である。<br />
格 納 容 器 スプレイ 注 入 失 敗 時 の 方 が、 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 失 敗 時 に 比 べ 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 ・ 圧 力 上 昇 が 早 いため 余 裕 時 間 が 厳 しく、 破 断 口 径 の 大<br />
きい「 大 破 断 LOCA」は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 冷 却 材 の 流 出 量 が 大 きいため、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 に 必 要 な 設 備 容 量 の 観 点 で 厳 しい。<br />
多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 作 動 に 期 待 する 事 象 のうち、より 多 くの 機 能 を 期 待 する<br />
必 要 があり、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 健 全 性 確 保 の 観 点 で 厳 しい「 主 給<br />
水 流 量 喪 失 」 及 び 圧 力 評 価 が 厳 しい「 負 荷 の 喪 失 」を 選 定 する。<br />
破 断 口 径 が 大 きい「 中 破 断 LOCA」が 1 次 冷 却 材 の 流 出 量 が 多 いため、 操 作 (2<br />
次 系 強 制 冷 却 )の 余 裕 時 間 及 び 要 求 される 設 備 容 量 ( 低 圧 注 入 及 び 蓄 圧 注 入 )<br />
の 観 点 で 厳 しい。<br />
1 次 冷 却 材 の 系 外 への 流 出 が 多 いため 再 循 環 切 替 えまでの 時 間 が 短 く、 再 循 環<br />
切 替 時 点 での 崩 壊 熱 が 大 きくなることを 踏 まえ「 大 破 断 LOCA」を 選 定 する。<br />
格 納 容 器 バイパス 時 の 漏 えい 経 路 の 違 いを 考 慮 し、 両 方 のシーケンスを 選 定 す<br />
る。<br />
選 定 理 由<br />
破 断 規 模 が 大 きく 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 短 時 間 で 大 量 の 冷 却 材 が 放 出 され、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 への 注 水 により 圧 力 上 昇 が 抑 制 されない AED から 選 定 する。AED<br />
のうち 事 故 進 展 が 早 い 大 破 断 LOCA を 選 定 する。<br />
原 子 炉 容 器 破 損 時 に 溶 融 炉 心 が 高 圧 で 格 納 容 器 内 に 分 散 することで 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 雰 囲 気 への 伝 熱 が 大 きく、 補 助 給 水 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 注 水 が<br />
なく 温 度 上 昇 が 抑 制 されない TED から 選 定 する。TED のうち 1 次 冷 却 系 が 高 圧<br />
となり 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 い 全 交 流 動 力 電 源 喪<br />
失 シーケンスを 選 定 する。<br />
1 次 冷 却 系 が 高 圧 で 維 持 され、 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 注 水 がなく 高 圧 溶 融 物 放<br />
出 時 の 格 納 容 器 直 接 加 熱 が 抑 制 されない TED から 選 定 する。TED のうち 1 次 冷<br />
却 系 が 高 圧 となり 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 い 全 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 シーケンスを 選 定 する。<br />
破 断 規 模 が 大 きく 事 故 進 展 が 速 いため、 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱<br />
が 大 きく、 原 子 炉 格 納 容 器 内 が 冷 却 されない AEW から 選 定 する。AEW のうち 事<br />
故 進 展 が 早 い 大 破 断 LOCA を 選 定 する。 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 のサブクール<br />
度 を 小 さくするため、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 を 想 定 する。<br />
破 断 規 模 が 大 きく 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 短 時 間 で 大 量 の 冷 却 材 が 放 出 されるこ<br />
とで 事 故 進 展 に 伴 う 水 素 発 生 速 度 が 大 きく、 格 納 容 器 スプレイによる 水 蒸 気 の<br />
凝 縮 により 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 が 高 くなる AEI から 選 定 する。AEI の<br />
うち 事 故 進 展 の 早 い 大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 を 選 定 する。<br />
破 断 規 模 が 大 きく、 原 子 炉 下 部 キャビティへ 落 下 する 溶 融 炉 心 が 冷 却 されない<br />
AED から 選 定 する。AED のうち 事 故 進 展 が 早 い 大 破 断 LOCA を 選 定 する。<br />
事 故 シーケンスグループ 重 要 事 故 シーケンス 選 定 理 由<br />
崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 冷 却 材 の 流 出<br />
余 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ<br />
機 能 喪 失<br />
余 熱 除 去 系 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 系 の 故 障 は、 事 故 進 展 が 同 じであるため、 余 裕<br />
時 間 の 観 点 から、 代 表 として 余 熱 除 去 系 の 故 障 により 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する<br />
事 象 を 選 定 する。<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 係 る 事 故 シーケンスは 当 該 シーケンスのみである。<br />
いずれのシーケンスも 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 事 象 であり、1 次 冷 却 材 の 流 出 流 量<br />
が 大 きい 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 喪 失 を 選 定 する。<br />
反 応 度 の 誤 投 入 反 応 度 の 誤 投 入 反 応 度 の 誤 投 入 に 係 る 事 故 シーケンスは 当 該 シーケンスのみである。<br />
※ 有 効 性 評 価 における 評 価 事 故 シーケンスでは、 事 象 進 展 をより 厳 しくする 観 点 などから、PRA で 選 定 された 評 価 事 故 シーケンスに 複 数 の 機 能 の 喪<br />
失 の 重 畳 を 考 慮 している。<br />
131
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果<br />
第 37 条 は、 想 定 する 事 故 シーケンスグループ 等 ごとに、その 対 策 に 有 効 性 があ<br />
ることを 確 認 することを 要 求 している。<br />
事 故 シーケンスグループ 等 ごとの 申 請 内 容 、 審 査 結 果 及 び 審 査 過 程 における 主 な<br />
論 点 は 以 下 のとおりである。<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 1 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発<br />
生 した 場 合 において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたもの<br />
でなければならないと 要 求 している。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 において、「 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため<br />
に 必 要 な 措 置 を 講 じたもの」とは、 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があ<br />
ることを 確 認 するという 要 件 を 満 たすものとしている。「 有 効 性 があることを 確 認<br />
する」とは、 以 下 の(a)から(d)の 項 目 ( 以 下 「 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 」<br />
という。)を 概 ね 満 足 することを 確 認 するとしている。<br />
(a) 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 するおそれがないものであり、かつ、 炉 心 を 十 分<br />
に 冷 却 できるものであること。(※ 9 )<br />
(b) 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 の 1.2 倍 又 は 限<br />
界 圧 力 を 下 回 ること。<br />
(c) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下<br />
回 ること。<br />
(d) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温 度 を 下<br />
回 ること。<br />
Ⅳ-1.2.1.1 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において<br />
「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計<br />
基 準 事 故 ( 大 破 断 LOCA 及 び 中 破 断 LOCA を 除 く。)の 発 生 と 2 次 冷 却 系 からの 除 熱<br />
機 能 喪 失 が 重 畳 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
(※ 9 )「 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 するおそれがないものであり、かつ、 炉 心 を 十 分 に 冷 却 できるものであるこ<br />
と」とは、 以 下 に 掲 げる 要 件 を 満 たすものであること。ただし、 燃 料 被 覆 管 の 最 高 温 度 及 び 酸 化 量 につい<br />
て、 十 分 な 科 学 的 根 拠 が 示 される 場 合 には、この 限 りでない。<br />
(a) 燃 料 被 覆 管 の 最 高 温 度 が 1,200℃ 以 下 であること。<br />
(b) 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は、 酸 化 反 応 が 著 しくなる 前 の 被 覆 管 厚 さの 15% 以 下 であること。<br />
132
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 :2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 の 喪 失 に<br />
伴 い 1 次 冷 却 系 が 高 温 ・ 高 圧 状 態 となり、 加 圧 器 安 全 弁 等 からの 冷 却 材 漏<br />
えいが 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 早 期 に 1 次 冷 却 系 を 強 制<br />
的 に 減 圧 するとともに、 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 と 高 圧 注<br />
入 ポンプによる 炉 心 注 水 を 行 う 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードを<br />
実 施 する。このため、 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 :1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードによ<br />
り、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 み、 余 熱 除 去 系 が 使 用 可 能 な 温 度 及 び 圧<br />
力 に 到 達 すれば、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 余 熱<br />
除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 事 象 進 展 解 析 に 用 いるコー<br />
ド( 以 下 「 解 析 コード」という。)の 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 す<br />
る 事 故 」を 選 定 する。これは、 対 策 の 実 施 に 対 する 余 裕 時 間 の 観 点 で<br />
は、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード 開 始 までの 余 裕 時 間 が 短 い<br />
こと、また、 対 策 に 必 要 な 設 備 容 量 の 観 点 では、 主 給 水 系 及 び 補 助 給<br />
水 系 が 喪 失 しているため、 大 きな 容 量 を 必 要 とすることなど、より 厳<br />
しい 事 故 シーケンスであることから 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 加 圧 器 における 気 液 熱 非 平 衡 、 水 位 変 化 及 び 冷 却 材 の<br />
放 出 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 及 び 蒸 気 発 生 器<br />
2 次 側 保 有 水 量 の 変 化 やドライアウト 等 を 取 り 扱 うことができる M-<br />
RELAP5(※ 10 )を 用 いる。<br />
(※ 10 )M-RELAP5 の 適 用 性 については「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」において 記 載 してい<br />
る。 以 下 、SPARKLE-2、MAAP、GOTHIC、COCO についても 同 様 。<br />
133
c. 評 価 上 想 定 する 事 故 の 条 件 ( 以 下 「 事 故 条 件 」という。): 外 部 電<br />
源 はあるものとする。これは、1 次 冷 却 材 ポンプ( 以 下 「RCP」という。)<br />
の 運 転 継 続 による 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 の<br />
促 進 により 蒸 気 発 生 器 ドライアウト 到 達 時 間 が 短 くなり、 炉 心 崩 壊 熱<br />
が 高 い 状 態 で 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードを 開 始 すること<br />
から、 炉 心 冷 却 の 観 点 では 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 機 器 条 件 ( 以 下 「 機 器 条 件 」という。):1 次<br />
冷 却 系 のフィードアンドブリードにおける 炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入<br />
ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 小 注 入 特 性 とする。また、1 次 冷 却 材 の 放 出 に<br />
は、 加 圧 器 逃 がし 弁 2 個 を 使 用 するものとし、1 個 当 たりの 容 量 は 設<br />
計 値 とする。<br />
e. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 操 作 条 件 ( 以 下 「 操 作 条 件 」という。):1 次<br />
冷 却 系 のフィードアンドブリードの 開 始 時 間 は、 蒸 気 発 生 器 広 域 水 位<br />
計 指 示 値 0% 到 達 から 5 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 が 高 温 ・ 高 圧 状<br />
態 となるが、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより、 燃 料 被 覆<br />
管 最 高 温 度 ( 以 下 「PCT」という。)は 約 390℃に、1 次 冷 却 系 の 最 高<br />
圧 力 は 約 16.8MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより 1 次 冷 却 系 の 蒸 気 が 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 に 移 行 することで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上<br />
昇 するが、 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
c. 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減<br />
圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態<br />
へ 移 行 させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 を 用 いて 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードについて<br />
解 析 した 場 合 、 試 験 データと 比 較 して 1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程<br />
134
度 、 温 度 を 数 ℃ 程 度 低 く 評 価 する 傾 向 がある。このため、1 次 冷 却 系<br />
の 減 温 ・ 減 圧 後 の 1 次 冷 却 系 圧 力 は 解 析 結 果 よりも 数 百 kPa 程 度 高 く<br />
なる 可 能 性 があるが、この 影 響 に 対 する 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注<br />
水 流 量 の 減 少 量 はわずかであることから、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小<br />
さい。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 の 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 して<br />
いるため、 蒸 気 発 生 器 の 水 位 低 下 が 速 めに 解 析 されている。このため、<br />
蒸 気 発 生 器 の 水 位 を 起 点 とした 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリー<br />
ド 操 作 を 必 要 とするタイミングが 遅 くなる 可 能 性 があり、この 影 響 を<br />
確 認 するために 操 作 開 始 時 間 を 5 分 遅 らせた 感 度 解 析 を 実 施 した。 結<br />
果 として、 一 時 的 に 炉 心 が 露 出 し、 炉 心 露 出 時 の PCT は 約 880℃とな<br />
るが、 炉 心 の 再 冠 水 によって 燃 料 被 覆 管 の 温 度 は 低 下 し、 炉 心 の 冷 却<br />
には 十 分 な 余 裕 があることから、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
なお、 解 析 条 件 では、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードの 実 施<br />
に 当 たって 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 を 使 用 するとしているが、 使 用 できる<br />
高 圧 注 入 ポンプが 1 台 となるなど、 注 水 量 が 少 ない 場 合 には、 炉 心 の<br />
冷 却 が 十 分 に 行 われない 可 能 性 がある。このため、 高 圧 注 入 ポンプ 1<br />
台 のみを 使 用 した 感 度 解 析 を 実 施 した。この 場 合 でも 炉 心 の 冷 却 には<br />
十 分 な 余 裕 があり、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さいことを 確 認 した。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード 操 作 を 必 要 と<br />
するタイミングが 遅 くなるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 が<br />
あるが、この 操 作 は、 中 央 制 御 室 で 専 任 の 運 転 員 が 担 当 することから、<br />
必 要 なタイミングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 で<br />
あり、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 36 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は、<br />
135
約 612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油<br />
貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの<br />
電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」に<br />
対 して 申 請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 1 次 冷 却 系 のフィードア<br />
ンドブリード 及 び 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 で<br />
あると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」にお<br />
いて 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードを 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析<br />
結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が<br />
使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目<br />
を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析<br />
では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 主 給 水 ポンプ、<br />
補 助 給 水 ポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこ<br />
れらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、<br />
原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策<br />
が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流<br />
量 喪 失 時 に 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことに<br />
より、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損<br />
傷 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故<br />
シーケンスグループ」という。)では、 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 後 、 交 流 動 力 電 源 を<br />
必 要 とする 安 全 機 能 を 有 する 系 統 及 び 機 器 が 機 能 を 喪 失 し、さらに 1 次 冷 却 材 の 補<br />
136
給 を 必 要 とする 規 模 の RCP シール 部 からの 漏 えいが 発 生 する 場 合 (RCP シール LOCA)<br />
と 発 生 しない 場 合 のそれぞれにおいて、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認<br />
した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 交 流 動 力 電 源 を 必 要 とする ECCS に<br />
よる 炉 心 注 水 ができず、さらに RCP シール LOCA 等 により 1 次 冷 却 系 の 保<br />
有 水 量 が 継 続 的 に 減 少 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、2 次 冷 却 系 を 強 制 的 に 減<br />
温 ・ 減 圧 することにより 1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減 圧 するとともに、 代 替 交 流<br />
動 力 電 源 を 確 保 して 代 替 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
また、 長 期 的 には、 最 終 ヒートシンクへの 継 続 的 な 熱 の 輸 送 手 段 を 確 保<br />
する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主<br />
蒸 気 逃 がし 弁 、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位<br />
置 付 ける。<br />
さらに、2 次 系 強 制 冷 却 後 に 代 替 炉 心 注 水 を 実 施 する。このため、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備<br />
するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンクを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け<br />
る。<br />
なお、 主 蒸 気 ライン 隔 離 を 行 い、 主 蒸 気 ライン 圧 力 等 を 監 視 し、 蒸 気 発<br />
生 器 伝 熱 管 からの 漏 えいの 兆 候 が 確 認 された 場 合 には、 健 全 側 蒸 気 発 生 器<br />
の 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 により、 放 射 性 物 質 の 外 部 への 放 出 を 限 定 的 に<br />
する。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 :<br />
a. RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 は、 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 による 冷<br />
却 の 代 わりとして 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるB 高 圧 注 入 ポンプ( 海<br />
水 冷 却 )への 海 水 通 水 後 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 がそれぞれ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 格 納 容 器 再 循<br />
環 サンプを 水 源 とした 高 圧 注 入 ポンプを 用 いた 再 循 環 ( 以 下 「 高 圧 再<br />
循 環 」という。)による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 移 動 式 大 容 量<br />
ポンプ 車 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
137
して 新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 等 を 重 大 事 故 等<br />
対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トへの 海 水 通 水 により 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 する。このため、<br />
移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 す<br />
るとともに、A,B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 位 置 付 ける。<br />
b. RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 は、2 次 系 強 制 冷 却 による 炉 心 冷<br />
却 を 継 続 し、 交 流 動 力 電 源 が 回 復 後 、タービン 動 補 助 給 水 ポンプから<br />
電 動 補 助 給 水 ポンプへの 切 替 えを 行 う。このため、 取 水 用 水 中 ポンプ、<br />
タンクローリ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するととも<br />
に、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP シール LOCA が 発 生 す<br />
る 事 故 」 及 び RCP シール LOCA が 発 生 しない「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常<br />
用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」<br />
を 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する<br />
必 要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」<br />
のみであるが、 共 通 原 因 故 障 、 系 統 間 依 存 性 の 観 点 から、ここでは 従<br />
属 的 に 発 生 する「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」の 重 畳 を 考 慮 する。また、<br />
RCP シールからの 漏 えいの 有 無 による 影 響 を 確 認 する 観 点 から、RCP<br />
シール LOCA が 発 生 しない 場 合 についても 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 からの 冷 却 材 の 放 出 、 蒸 気 発 生 器 におけ<br />
る 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 等 を 取 り 扱 うことができる M-RELAP5 を<br />
用 いる。<br />
138
また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 構 造 材 と 水 蒸 気 との 間 の 熱 伝 達 、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 内 の 構 造 材 内 部 の 熱 伝 導 を 取 り 扱 うことができる COCO を 併<br />
せて 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 、RCP シール 部 からの 漏<br />
えい 率 は、 定 格 圧 力 において 1 台 当 たり 約 109m 3 /h とし、4 台 からの<br />
漏 えいとする。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 については、RCP シール 部 からの<br />
漏 えい 率 は、 定 格 圧 力 において 1 台 当 たり 約 1.5m 3 /h とし、4 台 から<br />
の 漏 えいとする。<br />
d. 機 器 条 件 : 蓄 圧 タンク 保 有 水 量 は、 最 低 保 有 水 量 26.9m 3 / 基 を 用 い<br />
る。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 には、 代 替 炉 心 注 水 流 量 として 常<br />
設 電 動 注 入 ポンプの 注 水 流 量 30m 3 /h を 用 いる。これは、1 次 冷 却 系 圧<br />
力 が 0.7MPa[gage]に 到 達 した 時 点 で 炉 心 注 水 を 開 始 することにより、<br />
想 定 する 漏 えい 流 量 に 対 して 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 維 持 が 可 能 な<br />
流 量 である。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 停 止 圧 力<br />
は、RCP 封 水 戻 りライン 逃 がし 弁 の 閉 止 圧 力 である 0.83MPa[gage]を<br />
用 いる。<br />
e. 操 作 条 件 :2 次 系 強 制 冷 却 の 開 始 時 間 は、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 手 動 に<br />
よる 開 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、 事 象 発 生 から 30 分 後 とする。<br />
その 後 、1 次 冷 却 材 温 度 が 約 208℃(1 次 冷 却 系 圧 力 が 約 1.7MPa[gage])<br />
に 到 達 した 段 階 でその 状 態 を 維 持 する。<br />
代 替 交 流 電 源 が 利 用 できるまでの 時 間 は、RCP シール LOCA が 発 生<br />
する 場 合 には 60 分 とし、RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 には 24 時<br />
間 とする。<br />
蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 す る 時 間 は 、 1 次 冷 却 系 圧 力 約<br />
1.7MPa[gage] 到 達 及 び 代 替 交 流 電 源 が 利 用 できるまでの 時 間 から 10<br />
分 後 とする。<br />
2 次 系 強 制 冷 却 の 再 開 時 間 は、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 の 閉 止 から 10 分<br />
後 とする。その 後 、1 次 冷 却 材 温 度 が 約 170℃(1 次 冷 却 系 圧 力 が 約<br />
0.7MPa[gage])に 到 達 した 段 階 でその 状 態 を 維 持 する。<br />
また、RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 、 代 替 炉 心 注 水 の 開 始 時 間 は<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 が 約 0.7MPa[gage]に 到 達 した 時 点 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
139
RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果<br />
は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 の 発 生 後 、RCP シール LOCA により、1 次 冷 却 系<br />
の 保 有 水 量 が 減 少 するが、2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・<br />
減 圧 及 び 代 替 炉 心 注 水 を 行 うことにより、PCT は 約 390℃に、1 次 冷 却<br />
系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. RCP シール LOCA により、1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいす<br />
ることで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、A、B 格 納 容 器<br />
再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 うことにより、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約 0.130MPa[gage]に、 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
最 高 温 度 は 約 100℃に 抑 えられる。<br />
c. 高 圧 再 循 環 運 転 による 炉 心 冷 却 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 によ<br />
る 原 子 炉 格 納 容 器 内 からの 除 熱 により、 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行<br />
させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結<br />
果 は、 以 下 のとおりである。<br />
d. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 の 発 生 後 、 交 流 動 力 電 源 を 必 要 とする 安 全 機 能<br />
を 有 する 系 統 及 び 機 器 の 機 能 が 喪 失 するが、RCP シール LOCA が 発 生<br />
しないことから、 事 象 初 期 の 1 次 冷 却 系 の 圧 力 の 低 下 及 び 保 有 水 量 の<br />
減 少 は、RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 に 比 べて 緩 やかとなる。2 次<br />
系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 により、 蓄 圧 注 入 系 が 作 動<br />
し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 回 復 することで PCT は 約 390℃に、1 次<br />
冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
e. 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 は、RCP シール LOCA が<br />
発 生 する 場 合 に 比 べて 少 ないことから、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度<br />
の 上 昇 は 小 さなものにとどまり、その 評 価 は RCP シール LOCA が 発 生<br />
する 場 合 の 評 価 に 包 絡 される。<br />
f. 交 流 動 力 電 源 の 回 復 後 、タービン 動 補 助 給 水 ポンプから 電 動 補 助 給<br />
水 ポンプへの 切 替 えを 行 い、2 次 系 強 制 冷 却 を 継 続 することで 原 子 炉<br />
を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることができる。<br />
上 記 d. 及 び e. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
140
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 を 用 いて RCP シール 部 からの 漏 えいについて 解 析 した 場<br />
合 、 試 験 データと 比 較 して 二 相 臨 界 流 量 を 数 十 % 多 く 評 価 する 傾 向 が<br />
ある。 解 析 結 果 によれば、 事 象 発 生 後 の 大 部 分 の 期 間 において、 漏 え<br />
い 流 は 二 相 状 態 である。このため、 実 際 の 漏 えい 流 量 は 解 析 結 果 より<br />
も 少 なくなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 事 象 など、RCP のトリップ 後 の 1 次 冷 却 材 の 自<br />
然 循 環 冷 却 に 期 待 している 場 合 には、この 自 然 循 環 を 阻 害 する 可 能 性<br />
のある 蓄 圧 タンク 内 の 窒 素 ガスの 混 入 を 防 止 するため、 蓄 圧 タンク 内<br />
の 保 有 水 量 が 全 量 注 入 される 前 に、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 する。こ<br />
の 場 合 、 蓄 圧 タンク 内 の 圧 力 変 化 と 気 相 部 体 積 の 膨 張 量 の 関 係 から、<br />
蓄 圧 タンク 内 の 初 期 の 保 有 水 量 が 少 なく 気 相 部 の 初 期 の 体 積 が 大 き<br />
い 方 が、 気 相 部 圧 力 が 持 続 しやすく、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 するま<br />
での 炉 心 への 注 水 量 が 多 くなる。 解 析 条 件 では、 蓄 圧 タンク 保 有 水 量<br />
に 最 低 保 有 水 量 を 設 定 しているため、 蓄 圧 タンク 内 の 初 期 の 気 相 部 の<br />
体 積 が 大 きくなり、 上 記 のとおり 非 保 守 的 な 設 定 となっている。その<br />
ため、この 影 響 について、 蓄 圧 注 入 系 による 炉 心 注 水 が 行 われている<br />
期 間 における 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 観 点 から 検 討 した。 結 果 として、<br />
蓄 圧 注 入 系 による 炉 心 注 水 が 行 われている 間 、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量<br />
は 十 分 多 く、これに 対 して 蓄 圧 タンク 初 期 保 有 水 量 の 設 定 の 影 響 によ<br />
る 炉 心 への 注 水 量 の 減 少 はわずかであり、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小<br />
さい。<br />
解 析 条 件 では、RCP シール 部 からの 漏 えい 率 に 保 守 的 な( 大 きめの)<br />
値 を 設 定 しているため、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 流 量 を 多 めに、かつ、1 次<br />
冷 却 系 の 圧 力 及 び 温 度 低 下 が 速 めに 解 析 されている。このため、 実 際<br />
は 1 次 冷 却 系 の 圧 力 及 び 温 度 を 起 点 とした 運 転 員 操 作 である 2 次 系<br />
強 制 冷 却 操 作 を 必 要 とするタイミングが 遅 くなる 可 能 性 があり、この<br />
影 響 を 確 認 するため、2 次 系 強 制 冷 却 の 開 始 時 間 を 30 分 遅 らせた 場<br />
合 の 解 析 を 実 施 した。 結 果 として、 炉 心 が 露 出 することはなく、 燃 料<br />
被 覆 管 温 度 の 上 昇 もないことから、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
また、 上 記 と 同 様 に 代 替 炉 心 注 水 の 開 始 時 間 が 遅 くなる 可 能 性 があ<br />
るため、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 率 と 炉 心 の 露 出 に 至 る 可 能 性 が<br />
ある 保 有 水 量 との 関 係 から、 代 替 炉 心 注 水 の 開 始 に 関 する 時 間 的 余 裕<br />
141
について 検 討 した。 概 算 評 価 によると、 約 1.1 時 間 程 度 の 遅 れの 範 囲<br />
内 では 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、2 次 系 強 制 冷 却 操 作 を 必 要 とするタイミングが 遅 く<br />
なるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 があるが、この 操 作 は 現<br />
場 で 専 任 の 運 転 員 等 が 担 当 することから、 必 要 なタイミングに 変 動 が<br />
あったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対 策 の 実 施 に 与 える<br />
影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指<br />
揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。なお、<br />
解 析 では 復 旧 を 期 待 していないが、 長 期 的 な 対 策 として 原 子 炉 補 機 冷 却 機<br />
能 等 の 復 旧 作 業 は、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 で 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、2 次 系 強 制 冷 却 を 継 続 して 実 施 するた<br />
めには、 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 の 継 続 が 必 要 となり、その 水 源 は 復 水<br />
タンク(970m 3 )である。この 復 水 タンクへの 補 給 を 行 わない 場 合 、 事 象 発<br />
生 から 約 14.8 時 間 後 に 枯 渇 すると 評 価 している。これに 対 して、それま<br />
での 間 に、 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又 は 海 水 を 取 水 源 として 復 水 タンクへの<br />
補 給 を 開 始 することで、 対 応 が 可 能 である。<br />
燃 料 として、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 の 7 日 間 の 運 転 継 続 に 必 要 な 重 油 量<br />
の 合 計 は 約 284.5kL であり、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷<br />
式 発 電 機 用 燃 料 タンクに 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
本 重 要 事 故 シ ー ケ ン ス の 最 大 電 源 負 荷 は 約 2,550kW(4 号 炉 は 約<br />
2,560kW)であり、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 の 給 電 容 量 3,200kW を 超 えないため、<br />
対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に 対 して 申 請<br />
者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 代 替 交 流 動 力 電 源 を<br />
用 いた 代 替 炉 心 注 水 等 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
142
重 要 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原<br />
子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP シール LOCA が 発 生 する 事 故 」 及 び RCP シール<br />
LOCA が 発 生 しない「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、2 次 系 強 制 冷 却 、 代 替 炉 心 注 水 等 を 行<br />
った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも<br />
満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考<br />
慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 し<br />
た。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能<br />
を 喪 失 した 設 備 ( 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 、 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 等 )の 復 旧 を 期<br />
待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な<br />
炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、2 次 系 強 制 冷 却 や 代 替 炉 心 注 水 等 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子<br />
炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 高 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 への 移 行 や 2 次 系 強<br />
制 冷 却 による 炉 心 冷 却 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 外 部 電 源<br />
喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP<br />
シール LOCA が 発 生 する 事 故 」 及 び RCP シール LOCA が 発 生 しない「 外 部 電 源 喪 失<br />
時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対<br />
して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.3 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本<br />
事 故 シーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 後 、RCP シー<br />
ル LOCA が 発 生 する 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
143
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 がその 機 能 を 喪<br />
失 した 後 、RCP シール LOCA が 発 生 する。RCP シール LOCA により、1 次 冷 却<br />
系 の 保 有 水 量 が 減 少 するが、 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 による 冷 却 が 必 要 な ECCS<br />
による 炉 心 注 水 ができず、 保 有 水 量 の 減 少 が 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、2 次 冷 却 系 を 強 制 的 に 減<br />
温 ・ 減 圧 することにより 1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減 圧 するとともに、 原 子 炉 補<br />
機 冷 却 系 統 による 冷 却 が 不 要 な 代 替 ポンプにより 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を<br />
冷 却 する 必 要 がある。<br />
また、 長 期 的 には、 最 終 ヒートシンクへの 継 続 的 な 熱 の 輸 送 手 段 を 確 保<br />
する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、2 次 系 強 制 冷 却 後 に 代 替 炉 心 注 水 を 実 施 する。このため、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 燃<br />
料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 による 冷 却 の 代 わりと<br />
して 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるB 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )への 海 水<br />
通 水 後 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 がそれぞ<br />
れ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 高 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。<br />
このため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 ) 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ<br />
の 海 水 通 水 により 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 する。このため、 移 動 式<br />
大 容 量 ポンプ 車 等 を 新 たに 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備 するとともに、<br />
A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 は、PRA の 手 法 等 を 踏 まえて、 重 要 事 故 シーケンス「 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
機 能 喪 失 時 に RCP シール LOCA が 発 生 する 事 故 」を 選 定 している。この 事 故 シ<br />
ーケンスは、「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
従 属 して 発 生 する 事 故 シーケンスに 含 まれている。このため、 対 策 に 有 効 性 が<br />
あることを 確 認 するために 評 価 を 行 う 重 要 事 故 シーケンスは、「 外 部 電 源 喪 失<br />
時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP シ<br />
144
ール LOCA が 発 生 する 事 故 」としている。これは、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の<br />
重 畳 を 考 慮 した「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」の 重 要 事 故 シーケンスと 同 一 である。<br />
このため、 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価 については、「 全 交 流 動<br />
力 電 源 喪 失 」と 同 一 であるとしている。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 要 員 数 、 水 源 、 燃 料 及 び 電 源 については、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 一<br />
であり、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」に 対 して<br />
申 請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
系 統 による 冷 却 が 不 要 な 代 替 ポンプを 用 いた 代 替 炉 心 注 水 等 が、 事 象 進 展 の 特 徴<br />
を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 じ 重 要 事 故 シーケンス「 外<br />
部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及<br />
び RCP シール LOCA が 発 生 する 事 故 」を 選 定 していることから、その 解 析 手 法 及<br />
び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価 について、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 一 としてい<br />
ることは 妥 当 と 判 断 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 が「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 一 としていることは 妥 当 と 判 断 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 外 部 電 源<br />
喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP<br />
シール LOCA が 発 生 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策<br />
が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止<br />
対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.4 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、LOCA の 発 生 後 、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
145
の 除 熱 機 能 が 喪 失 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 し<br />
た。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 の 喪 失 に<br />
伴 い、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 上 昇 を 抑 制 できないため、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
の 先 行 破 損 に 至 り、その 後 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 の 減 圧 沸 騰 が 生 じる<br />
ことで 炉 心 注 水 が 継 続 できなくなることから、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納 容 器 内 からの<br />
除 熱 を 行 うための 代 替 策 を 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 高 圧 注 入 ポンプ 等 による 炉 心 注 水 を 実 施 する。このため、<br />
高 圧 注 入 ポンプ、 余 熱 除 去 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 継 続 的 に 実 施 する。このため、 窒 素<br />
ボンベ( 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 するとともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット、A、B 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 がそれぞれ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 高 圧 再 循 環 運 転 に<br />
よる 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 高 圧 注 入 ポンプ、 格 納 容 器 再 循 環 サ<br />
ンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能<br />
及 び 低 圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、 対 策 に 必<br />
要 な 設 備 容 量 の 観 点 では、1 次 冷 却 材 の 流 出 流 量 が 多 いため 大 きな 容<br />
量 を 必 要 とすること、また、 対 策 の 実 施 に 対 する 余 裕 時 間 の 観 点 では、<br />
事 象 初 期 から 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 及 び<br />
146
低 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 ができないため 余 裕 時 間 が 短 いことなど、<br />
より 厳 しい 事 故 シーケンスであることから 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 構 造 材 と 水 蒸 気 との 間 の 熱 伝 達 、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 構 造 材 内 部 の 熱 伝 導 、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに<br />
よる 自 然 対 流 冷 却 モデル 等 を 取 り 扱 うことができる MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 大 破 断 LOCA における 破 断 口 径 は 約 0.7m(27.5 インチ)<br />
の 完 全 両 端 破 断 とする。これは、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 評 価 の<br />
観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
破 断 位 置 は、 低 温 側 配 管 ( 原 子 炉 容 器 と ECCS の 注 水 配 管 の 間 )と<br />
する。これは、 蒸 気 発 生 器 2 次 側 保 有 水 の 保 有 する 熱 量 が 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 に 放 出 されることなどにより、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 評<br />
価 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 外 部 電 源 はあるものとする。これは、ECCS の 作 動 が 早 くなり、<br />
再 循 環 切 替 時 期 が 早 くなることで、より 高 温 の 格 納 容 器 再 循 環 サンプ<br />
水 で 再 循 環 することになり、 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 放 出 されるエネルギ<br />
ーが 大 きくなることから、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 評 価 の 観 点 で<br />
は、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 : 炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 余 熱 除 去 ポンプそ<br />
れぞれ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を 用 いる。 最 大 注 入 特 性 とした 場 合 、<br />
破 断 口 からの 1 次 冷 却 材 の 放 出 量 が 増 加 することで、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 に 放 出 されるエネルギーが 大 きくなることから、 原 子 炉 格 納 容 器 圧<br />
力 及 び 温 度 評 価 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは 2 基 使 用 し、 除 熱 特 性 については<br />
1 基 当 たり、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 100~168℃に 対 して、 除 熱 量 は 約 4.1<br />
~ 約 11.2MW を 用 いる。<br />
e. 操 作 条 件 : 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 時 間 は、 現 場 での 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンクの 加 圧 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 の 最 高 使 用 圧 力 到 達 から 30 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 大 破 断 LOCA の 発 生 後 、 一 時 的 に 炉 心 が 露 出 するものの ECCS による<br />
炉 心 注 水 により 再 冠 水 し、その 後 は 高 圧 再 循 環 により 炉 心 の 冠 水 状 態<br />
が 維 持 される。これらの 期 間 を 通 じて 燃 料 被 覆 管 温 度 が 最 も 上 昇 する<br />
のは、 事 象 初 期 であるため、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 )の 解<br />
析 結 果 を 参 照 する。その 結 果 、PCT は 約 1,006℃であり、1,200℃を 超<br />
147
えることはない。 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は 約 1%であり、15% 以 下 である。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいすることで 原 子 炉 格 納 容 器<br />
圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器<br />
内 自 然 対 流 冷 却 を 行 うことにより、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約<br />
0.408MPa[gage]に、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 温 度 は 約 140℃に 抑 えられ<br />
る。<br />
c. 高 圧 再 循 環 運 転 による 炉 心 冷 却 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 によ<br />
る 原 子 炉 格 納 容 器 内 からの 除 熱 により、 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行<br />
させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP では、LOCA について 解 析 した 場 合 、 試 験 データと 比 較 して 原<br />
子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 数 十 kPa 程 度 、 温 度 を 十 数 ℃ 程 度 高 く 評 価 する 傾<br />
向 があり、 事 象 進 展 の 観 点 では 保 守 的 ( 厳 しめ)な 結 果 を 与 えること<br />
が 示 されている。 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 解 析 結 果 より<br />
も 低 くなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
本 重 要 事 故 シーケンスにおいては、 起 因 事 象 として 破 断 口 径 が 最 も<br />
大 きい 低 温 側 配 管 の 完 全 両 端 破 断 が 発 生 するものとしているため、 解<br />
析 条 件 として 破 断 口 径 を 変 動 させたとしても、 破 断 口 からの 1 次 冷 却<br />
材 の 流 出 流 量 は 少 なくなり、 原 子 炉 格 納 容 器 へ 放 出 されるエネルギー<br />
が 減 少 するため、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 の 上 昇 が 抑 制 されるこ<br />
とから、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
また、 解 析 では 粗 フィルタがある 場 合 の 標 準 値 を 格 納 容 器 再 循 環 ユ<br />
ニットの 除 熱 特 性 としているため、 除 熱 特 性 が 低 い 4 号 炉 の 格 納 容 器<br />
再 循 環 ユニットについて、 粗 フィルタを 撤 去 した 場 合 の 除 熱 特 性 で 感<br />
度 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 僅 かに 大 きく<br />
なる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
148
格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 操 作 の 実 施 前 の 準 備 作 業 は、 事 象 発 生 後 10<br />
分 後 から 60 分 間 で 終 了 し、 実 施 は 解 析 上 事 象 発 生 後 約 8.9 時 間 時 点<br />
としている。 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 実 施 時 に、 現 場 操 作 を 担 当 し<br />
ている 運 転 員 等 は、その 操 作 前 に 他 の 操 作 を 実 施 していない。また、<br />
上 記 のとおり、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 準 備 完 了 から 実 施 まで、 十<br />
分 な 余 裕 がある。<br />
このため、 当 該 操 作 が 必 要 なタイミングに 変 動 があったとしても、<br />
この 変 動 に 対 応 が 可 能 であることから、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はな<br />
い。<br />
なお、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 操 作 が 確 実 に 実 施 できることを 確 認<br />
するため、 操 作 時 間 にどれだけの 余 裕 があるか 確 認 したところ、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 率 の 推 移 により、 操 作 条 件 の 設 定 時 間 よりもさ<br />
らに 12 時 間 程 度 の 余 裕 があることを 確 認 した。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 32 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 電 源 とし<br />
て、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な<br />
電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいた<br />
め、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」に<br />
対 して 申 請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
等 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 及 び 低 圧 再<br />
循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 等 を 行 った 場 合 に 対<br />
する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、<br />
149
さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析<br />
結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請<br />
者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備<br />
( 格 納 容 器 スプレイポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当<br />
たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 等 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を 安<br />
定 停 止 状 態 へ 導 くために、 高 圧 再 循 環 運 転 による 炉 心 冷 却 や 格 納 容 器 内 自 然 対 流<br />
冷 却 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 及 び 低 圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるそ<br />
の 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効<br />
であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損<br />
傷 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.5 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故<br />
シーケンスグループ」という。)では、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 ( 主 給 水 流 量 喪 失<br />
及 び 負 荷 の 喪 失 )の 発 生 後 、 原 子 炉 停 止 機 能 が 喪 失 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防<br />
止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 の 発 生 後 に<br />
原 子 炉 停 止 機 能 が 作 動 せず、 原 子 炉 出 力 を 下 げることができないことから、<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 して、 加 圧 器 安 全 弁 等 からの 1 次 冷 却 材 の<br />
漏 えいが 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 原 子 炉 出 力 を 抑 制 し、1<br />
次 冷 却 系 の 過 圧 を 防 止 する 必 要 がある。<br />
150
3 初 期 の 対 策 : 新 たに 多 様 化 自 動 作 動 設 備 (※ 11 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 整 備 する。また、 主 蒸 気 隔 離 弁 、 補 助 給 水 ポンプ、 蒸 気 発 生 器 及 び<br />
復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 原 子 炉 出 力 の 低 下 後 、 緊 急 ほう 酸 注 入 によ<br />
り 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 により、1 次 冷 却<br />
系 を 減 温 ・ 減 圧 する。1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 み、 余 熱 除 去 系 が 使 用<br />
可 能 な 温 度 及 び 圧 力 に 到 達 すれば、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。<br />
このため、 充 てんポンプ、ほう 酸 ポンプ、ほう 酸 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 、<br />
余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け<br />
る。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能<br />
が 喪 失 する 事 故 」 及 び「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」を 選 定 する。<br />
「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」は、<br />
多 様 化 自 動 作 動 設 備 により 多 くの 機 能 ( 主 蒸 気 ラインの 隔 離 及 び 補<br />
助 給 水 ポンプの 起 動 )を 期 待 することから 選 定 する。<br />
「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」は、1 次<br />
冷 却 系 圧 力 の 評 価 の 観 点 では 厳 しくなる 可 能 性 があることから 選<br />
定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 減 速 材 温 度 フィードバック 効 果 及 びド<br />
ップラフィードバック 効 果 、 加 圧 器 における 気 液 熱 非 平 衡 、 水 位 変<br />
化 及 び 冷 却 材 の 放 出 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝<br />
達 等 を 取 り 扱 うことができ、かつ 炉 心 の 冷 却 状 態 及 び 出 力 分 布 変 化<br />
を 同 時 に 解 析 可 能 な SPARKLE-2 を 用 いる。<br />
c. 初 期 条 件 : 炉 心 熱 出 力 、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 は、 定 格 値 を 用<br />
いる。<br />
(※ 11 ) 多 様 化 自 動 作 動 設 備 とは、 原 子 炉 の 緊 急 停 止 失 敗 時 に、この 設 備 から 作 動 信 号 を 自 動 発 信 することで、<br />
タービントリップ、 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 及 び 補 助 給 水 ポンプの 起 動 を 自 動 で 行 う 設 備 である。この 設 備 によ<br />
り 主 蒸 気 ラインの 隔 離 等 を 行 うことで、1 次 冷 却 系 の 温 度 上 昇 による 負 のフィードバック 効 果 により 原 子 炉<br />
出 力 が 抑 制 される。さらに、この 設 備 により 補 助 給 水 ポンプが 自 動 起 動 されることで、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低<br />
下 を 抑 制 し、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 を 防 止 することで、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健<br />
全 性 を 維 持 する。<br />
151
減 速 材 温 度 係 数 は、 炉 心 サイクル 寿 命 中 の 変 化 、 炉 心 構 成 のばら<br />
つき 等 のプラント 特 性 並 びに 解 析 コードの 不 確 かさを 考 慮 し、 負 の<br />
フィードバック 効 果 が 小 さくなるように、-16pcm/℃を 用 いる。<br />
ドップラ 係 数 は、ウラン 燃 料 を 装 荷 した 平 衡 炉 心 の 特 性 を 設 定 し<br />
た 標 準 値 を 用 いる。<br />
d. 事 故 条 件 : 外 部 電 源 はあるものとする。これは、RCP が 停 止 せず<br />
1 次 冷 却 系 の 冷 却 が 継 続 することで、 負 のフィードバック 効 果 が 小<br />
さくなるため、1 次 冷 却 系 圧 力 の 評 価 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 とな<br />
る。<br />
e. 機 器 条 件 : 多 様 化 自 動 作 動 設 備 からの 作 動 信 号 ( 主 蒸 気 ラインの<br />
隔 離 等 が 自 動 で 行 われるための 信 号 )は、 蒸 気 発 生 器 狭 域 水 位 計 指<br />
示 値 7% 到 達 で 発 信 されるものとする。これは、 作 動 設 定 点 の 設 定 範<br />
囲 の 中 の 下 限 値 となるため、1 次 冷 却 系 圧 力 の 評 価 の 観 点 では、 厳<br />
しい 設 定 である。<br />
f. 操 作 条 件 : 多 様 化 自 動 作 動 設 備 により、 自 動 的 に 主 蒸 気 ラインの<br />
隔 離 等 を 行 うため、 解 析 上 の 運 転 員 操 作 はない。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」の 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 主 給 水 流 量 喪 失 の 発 生 後 、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低 下 に 伴 い、 多 様 化<br />
自 動 作 動 設 備 からの 作 動 信 号 による 主 蒸 気 ラインの 隔 離 により、1<br />
次 冷 却 材 温 度 が 上 昇 し、 負 のフィードバック 効 果 により 原 子 炉 出 力<br />
は 低 下 する。また、1 次 冷 却 材 温 度 の 上 昇 に 伴 い、1 次 冷 却 系 圧 力<br />
が 上 昇 するが、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 により 1 次<br />
冷 却 系 圧 力 の 上 昇 は 抑 制 される。 以 上 により、PCT は 約 360℃に、1<br />
次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 18.6MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 により、1 次 冷 却 材 が 加<br />
圧 器 逃 がしタンクから 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいするが、その 量 は<br />
わずかである。また、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 した 場 合<br />
には、 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
c. 緊 急 ほう 酸 注 入 により 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁<br />
の 開 操 作 等 により、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系<br />
による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることが<br />
できる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
152
している。<br />
申 請 者 が 行 った「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」<br />
の 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
d. 負 荷 の 喪 失 の 発 生 後 、1 次 冷 却 材 温 度 及 び 圧 力 が 上 昇 するが、1 次<br />
冷 却 材 温 度 の 上 昇 による 負 のフィードバック 効 果 により 原 子 炉 出<br />
力 は 低 下 する。その 後 、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低 下 に 伴 う 除 熱 能 力 の 低<br />
下 により、 再 び 1 次 冷 却 材 温 度 は 上 昇 し、 負 のフィードバック 効 果<br />
により 原 子 炉 出 力 はさらに 低 下 する。また、1 次 冷 却 材 温 度 の 上 昇<br />
に 伴 い、1 次 冷 却 系 圧 力 が 上 昇 するが、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器<br />
安 全 弁 の 作 動 により 1 次 冷 却 系 圧 力 の 上 昇 は 抑 制 される。 以 上 によ<br />
り、PCT は 約 360℃に、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 18.9MPa[gage]に<br />
抑 えられる。<br />
e. 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 により、1 次 冷 却 材 が 加<br />
圧 器 逃 がしタンクから 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいするが、その 量 は<br />
わずかである。また、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 した 場 合<br />
には、 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
f. 緊 急 ほう 酸 注 入 により 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁<br />
の 開 操 作 等 により、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系<br />
による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることが<br />
できる。<br />
上 記 d. 及 び e. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
SPARKLE-2 では、ATWS 時 のドップラフィードバック 効 果 を 解 析 す<br />
る 際 に、 核 データライブラリ ENDF/B-Ⅶ.0 を 用 いて 計 算 したドップ<br />
ラ 係 数 を 使 用 している。ドップラ 係 数 に 関 する 計 算 ベンチマークの<br />
解 析 結 果 によれば、ENDF/B-Ⅶ.0 を 含 む 代 表 的 な 核 データライブラ<br />
リを 用 いて 国 内 外 の 解 析 コードで 計 算 したドップラ 係 数 の 標 準 偏<br />
差 は 10% 程 度 と 報 告 されており、この 誤 差 が ATWS の 解 析 結 果 に 影<br />
響 を 与 える 可 能 性 がある。<br />
また、ATWS について 解 析 した 場 合 、 加 圧 器 及 び 蒸 気 発 生 器 の 挙 動<br />
モデルにおいて、 試 験 データと 比 較 して、1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa<br />
153
程 度 、 温 度 を 数 ℃ 程 度 低 く 評 価 する 傾 向 があり、 解 析 結 果 に 影 響 を<br />
与 える 可 能 性 がある。<br />
これらの 影 響 については、 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 との 重 畳 も<br />
考 慮 し、「c. 感 度 解 析 による 影 響 評 価 」に 記 載 する。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
炉 心 熱 出 力 、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 については 定 格 値 を 用 いて<br />
おり、その 不 確 かさとして、 正 側 の 定 常 誤 差 ( 炉 心 熱 出 力 :+2%、<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 :+0.21MPa、1 次 冷 却 材 温 度 :+2.2℃)により、<br />
実 際 には 定 格 値 よりも 大 きくなる 可 能 性 があるとしている。これら<br />
の 影 響 については、 解 析 コードの 不 確 かさの 影 響 との 重 畳 も 考 慮 し、<br />
「c. 感 度 解 析 による 影 響 評 価 」に 記 載 する。<br />
c. 感 度 解 析 による 影 響 評 価<br />
解 析 コードの 不 確 かさとしてドップラフィードバック 効 果 、 解 析<br />
条 件 の 不 確 かさとして 炉 心 熱 出 力 、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 の 正 側<br />
の 定 常 誤 差 があり、これらの 全 てが 厳 しい 方 向 に 重 畳 する 可 能 性 も<br />
あることから、この 重 畳 を 考 慮 した 感 度 解 析 を 実 施 した。なお、ド<br />
ップラフィードバック 効 果 については、 感 度 解 析 において、ドップ<br />
ラ 係 数 の 標 準 値 に 対 して 20% 増 加 させる。<br />
結 果 として、「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 す<br />
る 事 故 」では、1 次 冷 却 系 圧 力 の 最 高 値 は 約 19.4MPa[gage]、「 負<br />
荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」では、1 次 冷 却<br />
系 圧 力 の 最 高 値 は 約 19.6MPa[gage]となる。<br />
さらに、 解 析 コードにおける 加 圧 器 及 び 蒸 気 発 生 器 の 挙 動 モデル<br />
に 起 因 する 不 確 かさとして、1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 、 温 度<br />
を 数 ℃ 程 度 低 く 評 価 する 傾 向 があることを 考 慮 しても、 原 子 炉 冷 却<br />
材 圧 力 バウンダリの 最 高 使 用 圧 力 の 1.2 倍 (20.59MPa[gage])を 下<br />
回 る。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 等 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わ<br />
せて 14 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
154
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。<br />
なお、 電 源 として、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給<br />
量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」に 対 して、 申<br />
請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 自 動 作 動 に<br />
よる 負 のフィードバック 効 果 によって 原 子 炉 出 力 を 抑 制 する 対 策 が、 事 象 進 展 の<br />
特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」<br />
及 び「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において 多 様 化 自 動<br />
作 動 設 備 の 機 能 に 期 待 した 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析<br />
条 件 の 不 確 かさを 考 慮 し、それらを 重 畳 させた 場 合 でも、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を<br />
概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 で<br />
は、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 制 御 棒 駆 動 設 備 、<br />
主 給 水 ポンプ 等 )の 復 旧 や 手 動 による 原 子 炉 トリップ 操 作 等 を 期 待 していないが、<br />
実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 等 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止<br />
対 策 となり 得 る。<br />
また、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 機 能 による 原 子 炉 出 力 の 抑 制 により 炉 心 の 損 傷 を<br />
回 避 した 後 、 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 緊 急 ほう 酸<br />
濃 縮 や 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認<br />
した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 等 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者 の<br />
計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流<br />
量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」 及 び「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 ト<br />
リップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が<br />
本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
155
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が、 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のと<br />
おりである。<br />
(1) 減 速 材 温 度 係 数 の 設 定 の 考 え 方<br />
本 重 要 事 故 シーケンスでは、 原 子 炉 停 止 機 能 が 喪 失 していることから、 負 の<br />
フィードバック 効 果 により 原 子 炉 出 力 を 抑 制 することが 主 要 な 対 策 である。<br />
規 制 委 員 会 は、この 抑 制 の 程 度 を 支 配 するのが 減 速 材 温 度 係 数 であることか<br />
ら、 同 係 数 の 設 定 の 考 え 方 を 明 確 に 示 すよう 求 めた。 申 請 者 は、 炉 心 サイクル<br />
寿 命 中 の 変 化 及 び 炉 心 構 成 のばらつき 等 の 実 機 のプラント 特 性 から 算 出 した<br />
値 に 解 析 コードの 不 確 かさを 考 慮 して、-16pcm/℃に 設 定 していることを 示 し<br />
た。<br />
規 制 委 員 会 は、 減 速 材 温 度 係 数 の 設 定 に 当 たっては、 負 のフィードバック 効<br />
果 が 小 さく 1 次 冷 却 系 圧 力 の 評 価 が 厳 しくなるように、 実 際 の 取 替 炉 心 におけ<br />
る 減 速 材 温 度 係 数 よりも 正 側 となる 保 守 的 な 値 を 用 いていることから、 妥 当 で<br />
あることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故 シ<br />
ーケンスグループ」という。)では、 中 小 破 断 LOCA の 発 生 後 、ECCS 注 水 機 能 が 喪 失<br />
した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 中 小 破 断 LOCA の 発 生 後 、ECCS 注 水<br />
機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 減 少 が 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、2 次 冷 却 系 を 強 制 的 に 減<br />
温 ・ 減 圧 することにより 1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減 圧 するとともに、 炉 心 注 水<br />
を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、2 次 系 強 制 冷 却 により 1 次 冷 却 系 圧 力 が 十 分 低 下 すれば、 低 圧<br />
156
注 入 による 炉 心 冷 却 を 実 施 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 がそれぞれ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 低 圧 再 循 環 による<br />
炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 中 破 断 LOCA 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」を 選 定 する。これは、 対 策 に 必 要 な 設 備 容 量 及 び 対 策 の 実 施 に 対<br />
する 余 裕 時 間 の 観 点 では、 冷 却 材 の 流 出 流 量 が 多 いことから、より 厳<br />
しい 事 故 シーケンスとして 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 からの 冷 却 材 の 放 出 及 び 沸 騰 やボイド 率<br />
の 変 化 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 等 を 取 り 扱 う<br />
ことができる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 破 断 口 径 は、 約 15cm(6 インチ)、 約 10cm(4 インチ)、<br />
約 5cm(2 インチ)とする。これは、 高 圧 注 入 系 が 機 能 喪 失 した 場 合 、<br />
低 圧 注 入 を 行 うために 1 次 冷 却 系 の 減 圧 が 必 要 な 破 断 口 径 の 範 囲 と<br />
して、 不 確 かさも 考 慮 した 設 定 である。<br />
破 断 位 置 は、 低 温 側 配 管 ( 原 子 炉 容 器 と ECCS の 注 水 配 管 の 間 )と<br />
する。この 場 合 、 破 断 ループに 接 続 された ECCS の 注 水 効 果 に 期 待 で<br />
きないことなどにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 常 用 系 機 器 の 機 能 喪 失<br />
及 び 工 学 的 安 全 施 設 の 作 動 遅 れにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 では、 厳 し<br />
い 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 : 蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 は、 最 低 保 有 水 量 26.9m 3 / 基 を 用<br />
いる。<br />
また、 低 圧 注 入 における 炉 心 注 水 流 量 は、 余 熱 除 去 ポンプ 2 台 使 用<br />
時 の 最 小 注 入 特 性 を 用 いる。<br />
e. 操 作 条 件 :2 次 系 強 制 冷 却 操 作 の 開 始 時 間 は、ECCS 作 動 信 号 の 発 信<br />
から 10 分 後 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 に 1 分 を 要 するとする。<br />
157
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. ECCS 注 水 機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 し、6 イン<br />
チ 破 断 及 び 4 インチ 破 断 の 場 合 は、 炉 心 が 露 出 するが、2 次 系 強 制 冷<br />
却 、 蓄 圧 注 入 及 び 低 圧 注 入 により、PCT は 以 下 のとおりとなる。<br />
ア. 6 インチ 破 断 : 約 581℃<br />
イ. 4 インチ 破 断 : 約 891℃<br />
ウ. 2 インチ 破 断 : 約 390℃<br />
4 インチ 破 断 の 場 合 でも、 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は 約 1.7%にとどまる。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は、いずれの 場 合 も 約 16.3MPa[gage]<br />
に 抑 えられる。<br />
b. 中 破 断 LOCA により、1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいする<br />
ことで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
なお、 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 の 性 能 は、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子<br />
炉 冷 却 材 喪 失 事 故 )において、 大 破 断 LOCA を 想 定 した 解 析 で 評 価 し<br />
ており、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約 0.320MPa[gage]に、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 最 高 温 度 は 約 133℃に 抑 えられる。<br />
c. 低 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 さ<br />
せることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 を 用 いて 1 次 冷 却 系 の 挙 動 について 解 析 した 場 合 、 試 験<br />
データと 比 較 して 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 時<br />
に、1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 高 く 評 価 する 傾 向 がある。このた<br />
め、 解 析 結 果 よりも 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 早 くなることで、 実 際<br />
の 漏 えい 流 量 は 少 なくなり 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 について、 全 量 が 炉 心 へ 注 水 される 前 に 蓄 圧<br />
タンク 出 口 弁 を 閉 止 する 場 合 には、 解 析 条 件 として 最 低 保 有 水 量 に 設<br />
158
定 することが 保 守 的 な 設 定 とならない 場 合 がある。これは、 蓄 圧 タン<br />
ク 内 の 圧 力 変 化 と 気 相 部 体 積 の 膨 張 量 の 関 係 から、 蓄 圧 タンク 内 の 初<br />
期 の 保 有 水 量 が 少 なく 気 相 部 の 初 期 の 体 積 が 大 きい 方 が、 気 相 部 圧 力<br />
が 持 続 しやすく、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 するまでの 炉 心 への 注 水 量<br />
が 多 くなるためである。 解 析 条 件 では、 蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 を 最 低<br />
保 有 水 量 に 設 定 していることから、 上 記 の 影 響 を 確 認 するため、 解 析<br />
結 果 において 炉 心 が 露 出 した 6 インチ 破 断 及 び 4 インチ 破 断 におい<br />
て、 蓄 圧 タンクの 初 期 の 保 有 水 量 に 最 高 保 有 水 量 を 与 えた 場 合 の 感 度<br />
解 析 を 実 施 した。 結 果 としては、いずれの 場 合 も 蓄 圧 タンクからの 注<br />
水 流 量 が 少 なくなり、6 インチ 破 断 の 場 合 の PCT は 約 746℃、4 イン<br />
チ 破 断 の 場 合 の PCT は 約 928℃となる。この 結 果 より、PCT が 1,200℃<br />
以 下 であるという 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりはない。<br />
破 断 口 径 の 変 動 を 考 慮 した 場 合 、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 流 量 が 変 動 す<br />
ることで、 解 析 結 果 に 影 響 を 与 える 可 能 性 がある。このため、4 イン<br />
チから 2 インチ 及 び 4 インチから 6 インチの 間 の 破 断 口 径 の 場 合 につ<br />
いて、 事 象 初 期 の 破 断 流 量 、 蓄 圧 注 入 及 び 低 圧 注 入 開 始 時 期 等 の 観 点<br />
から 検 討 した。 結 果 として、いずれの 場 合 も PCT が 低 下 する 傾 向 とな<br />
る。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
2 次 系 強 制 冷 却 操 作 が 必 要 なタイミングが 変 動 する 可 能 性 があるが、<br />
この 操 作 は 中 央 制 御 室 で 専 任 の 運 転 員 が 担 当 することから、 必 要 なタ<br />
イミングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対<br />
策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
なお、 操 作 条 件 の 設 定 時 間 には、 解 析 により 3 分 程 度 の 余 裕 がある<br />
ことを 確 認 した。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 30 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発<br />
電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 は<br />
159
620kL であり 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な<br />
電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいた<br />
め、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者<br />
が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 低 圧 注 入 等 が、 事 象 進<br />
展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 中 破 断 LOCA 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におい<br />
て 2 次 系 強 制 冷 却 、 低 圧 注 入 等 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心<br />
損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析<br />
コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 す<br />
ることに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳<br />
しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 高 圧 注 入 ポンプ 等 )の 復 旧<br />
を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重<br />
要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、2 次 系 強 制 冷 却 、 低 圧 注 入 等 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を<br />
安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 低 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策 が 整 備 さ<br />
れていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 中 破 断 LOCA<br />
時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、<br />
対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故<br />
シーケンスグループ」という。)では、LOCA の 発 生 後 、ECCS 再 循 環 機 能 が 喪 失 した<br />
場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
160
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 :LOCA の 発 生 後 、ECCS 再 循 環 機 能 の<br />
喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 減 少 が 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、ECCS 再 循 環 機 能 の 代 替 策<br />
により 継 続 して 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 余 熱 除 去 系 と 格 納 容 器 スプレイ 系 間 のタイラインを 使 用 す<br />
るB 格 納 容 器 スプレイポンプ( 以 下 「B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS<br />
タイライン 使 用 )」という。)を 用 いた 代 替 再 循 環 運 転 により、 炉 心 冷 却 を<br />
実 施 する。このため、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使<br />
用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、B 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 冷 却 器 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置<br />
付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 代 替 再 循 環 運 転 を 継 続 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 再 循 環 機 能 及 び 高 圧 再<br />
循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、 対 策 に 必 要 な 設 備 容<br />
量 及 び 対 策 の 実 施 に 対 する 余 裕 時 間 の 観 点 では、1 次 冷 却 材 の 流 出 流<br />
量 が 多 いことから、より 厳 しい 事 故 シーケンスとして 選 定 する。<br />
本 事 故 シーケンスグループのうち、 中 小 破 断 LOCA 等 の 発 生 時 に 高<br />
圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 シーケンスでは、 破 断 口 径 が 小 さいこと<br />
から、 大 破 断 LOCA が 発 生 する 場 合 と 比 べて 1 次 冷 却 系 圧 力 の 低 下 が<br />
緩 やかなため、2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 が 必 要 である。<br />
このため、 本 重 要 事 故 シーケンスと 対 策 が 異 なるが、この 対 策 は「ECCS<br />
注 水 機 能 喪 失 」における 対 策 と 同 一 であり、そこでこの 対 策 の 有 効 性<br />
を 確 認 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における 気 液 分 離 や 対 向 流 などを 取 り 扱<br />
うことができる MAAP を 用 いる。<br />
161
なお、MAAP については、 大 破 断 LOCA 時 の 事 象 初 期 の 原 子 炉 容 器 内<br />
水 位 、 燃 料 被 覆 管 温 度 並 びに 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 に 対 する 適<br />
用 性 が 低 い。このため、これらの 事 象 初 期 の 結 果 については、 設 計 基<br />
準 事 故 ( 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 )における 大 破 断 LOCA を 想 定 した 解<br />
析 結 果 を 参 照 する。<br />
c. 事 故 条 件 : 破 断 口 径 は、1 次 冷 却 系 配 管 の 完 全 両 端 破 断 とする。 破<br />
断 位 置 は、 低 温 側 配 管 ( 原 子 炉 容 器 と ECCS の 注 水 配 管 の 間 )とする。<br />
これは、 破 断 ループに 接 続 された ECCS の 注 水 効 果 に 期 待 できないこ<br />
となどにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 外 部 電 源 はあるものとする。これは、ECCS の 作 動 が 早 くなる<br />
ことで、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 時 期 が 早 くなるため、その 時 点 での 炉 心<br />
崩 壊 熱 が 高 くなることで、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 による 炉 心 水 位 の 低<br />
下 が 速 くなり、 炉 心 の 露 出 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 :ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 前 の 炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポ<br />
ンプ 及 び 余 熱 除 去 ポンプそれぞれ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を 用 い<br />
る。 最 大 注 入 特 性 とする 場 合 、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 の 低 下 が 速<br />
くなることで、ECCS 再 循 環 切 替 時 期 が 早 くなるため、その 時 点 での 炉<br />
心 崩 壊 熱 が 高 くなることによって、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 による 炉 心 水<br />
位 の 低 下 が 速 くなり、 炉 心 の 露 出 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
代 替 再 循 環 による 炉 心 注 水 流 量 は、 格 納 容 器 スプレイポンプ 1 台<br />
を 使 用 して 200m 3 /h とする。この 流 量 は、ECCS 再 循 環 切 替 時 点 での 炉<br />
心 崩 壊 熱 に 相 当 する 蒸 発 量 を 上 回 る 値 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 代 替 再 循 環 の 開 始 時 間 は、 現 場 での 代 替 再 循 環 の 系 統 構<br />
成 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 30 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 大 破 断 LOCA により、 事 象 初 期 に、 一 時 的 に 炉 心 が 露 出 するが、ECCS<br />
による 炉 心 注 水 により、 冠 水 状 態 となる。その 後 、ECCS 再 循 環 切 替 失<br />
敗 により 炉 心 水 位 は 低 下 するが、 代 替 再 循 環 による 炉 心 注 水 により 炉<br />
心 水 位 は 回 復 する。これらの 期 間 を 通 じて 燃 料 被 覆 管 温 度 が 最 も 上 昇<br />
するのは、 事 象 初 期 であるため、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事<br />
故 )の 解 析 結 果 を 参 照 する。PCT は 約 1,006℃であり、1,200℃を 超 え<br />
ることはない。 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は 約 1%であり、15% 以 下 である。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は、 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
162
. 大 破 断 LOCA により、1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいする<br />
ことで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
なお、 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 の 性 能 は、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子<br />
炉 冷 却 材 喪 失 事 故 )において 大 破 断 LOCA を 想 定 した 解 析 で 評 価 して<br />
おり、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約 0.320MPa[gage]に、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 の 最 高 温 度 は 約 133℃に 抑 えられる。<br />
c. 代 替 再 循 環 による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 さ<br />
せることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP を 用 いて LOCA について 解 析 した 場 合 、 炉 心 水 位 挙 動 に 対 する<br />
不 確 かさがある。この 影 響 を 確 認 するため、M-RELAP5 と 炉 心 露 出 開 始<br />
時 間 を 比 較 した。 結 果 として MAAP による 炉 心 露 出 開 始 時 間 は、M-<br />
RELAP5 による 炉 心 露 出 開 始 時 間 と 比 べて 約 15 分 程 度 遅 くなるケース<br />
があった。<br />
このため、 不 確 かさの 影 響 の 評 価 として、M-RELAP5 を 用 いて 代 替 再<br />
循 環 切 替 の 開 始 時 間 を ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 後 とした 感 度<br />
解 析 を 実 施 した。 結 果 として、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 以 降 において 燃 料<br />
被 覆 管 温 度 が 上 昇 することはなく、PCT が 1,200℃ 以 下 であるという<br />
評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりはない。 上 記 を 踏 まえると、 本 重 要<br />
事 故 シーケンスの 対 策 である 代 替 再 循 環 切 替 操 作 については、ECCS 再<br />
循 環 切 替 失 敗 から 15 分 後 までに 完 了 する 必 要 があるが、これまでの<br />
訓 練 実 績 を 踏 まえると ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 13 分 後 までに 完 了<br />
できる。<br />
なお、M-RELAP5 を 用 いて LOCA について 解 析 した 場 合 、 炉 心 水 位 挙<br />
動 において、 試 験 データとの 比 較 等 により 炉 心 露 出 予 測 は 保 守 的 な 傾<br />
向 を 示 している。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 の 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 して<br />
いるため、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 が 高 めに 解 析 されている。 炉 心 の<br />
163
崩 壊 熱 として 最 確 値 を 与 えた 場 合 には、1 次 冷 却 系 圧 力 が 低 くなるこ<br />
とで ECCS による 炉 心 注 水 流 量 が 多 くなり、 再 循 環 切 替 水 位 に 到 達 す<br />
る 時 間 が 早 くなる。しかし、 代 替 再 循 環 切 替 操 作 時 間 の 余 裕 を 踏 まえ<br />
ると 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、 代 替 再 循 環 切 替 操 作 が 必 要 なタイミングが 早 くなる<br />
など、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 があるが、 現 場 での 代 替 再 循<br />
環 ライン 系 統 構 成 は 専 任 の 運 転 員 が 担 当 することから、 必 要 なタイミ<br />
ングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対 策 の<br />
実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 電 源 とし<br />
て、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な<br />
電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいた<br />
め、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請<br />
者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 代 替 再 循 環 等 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉<br />
えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 再 循 環 機 能 及 び 高 圧 再 循 環 機 能 が<br />
喪 失 する 事 故 」において 代 替 再 循 環 等 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、<br />
炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した<br />
解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 代 替 再 循 環 切 替 について、<br />
ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 後 までに 完 了 できることを 踏 まえれば、 解 析 結 果<br />
が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が<br />
164
行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 余<br />
熱 除 去 ポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれ<br />
らの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 代 替 再 循 環 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導<br />
くために、 代 替 再 循 環 による 炉 心 冷 却 を 継 続 することを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
本 事 故 シーケンスグループのうち、 中 小 破 断 LOCA 等 の 発 生 時 に 高 圧 再 循 環 機<br />
能 が 喪 失 する 事 故 シーケンスでは、 本 重 要 事 故 シーケンスと 対 策 が 異 なるが、こ<br />
の 対 策 は「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」における 対 策 と 同 一 であり、そこで 対 策 の 有 効 性<br />
を 確 認 したことと 併 せれば、「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事<br />
故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 再 循 環 機 能 及 び 高 圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する<br />
事 故 」における 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループ<br />
に 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.8 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA、<br />
蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 )<br />
事 故 シーケンスグループ「 格 納 容 器 バイパス」( 以 下 この 節 において「 本 事 故 シー<br />
ケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 構 成 する 機 器 の<br />
破 損 等 の 発 生 後 、 破 損 箇 所 の 隔 離 に 失 敗 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有<br />
効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 の<br />
喪 失 に 伴 い、1 次 冷 却 材 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 外 への 漏 えいが 継 続 すること<br />
で、 保 有 水 量 が 減 少 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 炉 心 注 水 を 継 続 するとと<br />
もに、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 を 行 うことで、 原 子 炉 格 納 容 器 内 外 への 漏<br />
165
えいを 抑 制 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧<br />
と 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 により 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 を 実 施 す<br />
る。このため、 高 圧 注 入 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 補 助 給 水 ポンプ、<br />
蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 :<br />
a. インターフェイスシステム LOCA の 場 合 は、 健 全 側 余 熱 除 去 系 によ<br />
る 炉 心 冷 却 を 実 施 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 の 場 合 は、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 み、<br />
余 熱 除 去 系 が 使 用 可 能 な 温 度 及 び 圧 力 に 到 達 すれば、 余 熱 除 去 系 によ<br />
る 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「インターフェイスシステム LOCA」 及 び「 蒸<br />
気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」を<br />
選 定 する。これは、 格 納 容 器 バイパス 時 の 漏 えい 経 路 の 違 いを 考 慮 し<br />
て 両 方 の 事 故 シーケンスを 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 からの 冷 却 材 の 放 出 、 加 圧 器 からの 冷 却<br />
材 の 放 出 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 等 を 取 り 扱<br />
うことができる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :<br />
ア.インターフェイスシステム LOCA<br />
1 次 冷 却 材 の 漏 えい 箇 所 は、 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去<br />
系 機 器 等 とする。<br />
漏 えい 箇 所 は、 余 熱 除 去 系 統 の 圧 力 挙 動 の 評 価 により、 余 熱 除<br />
去 系 機 器 等 に 1 次 冷 却 系 の 圧 力 を 上 回 る 荷 重 がかからないこと、<br />
166
及 び 余 熱 除 去 系 統 配 管 が 破 断 に 至 らないことを 確 認 した 上 で、 設<br />
定 している。<br />
また、 破 断 口 径 は、 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 については 実 機 の 口 径<br />
に 基 づき、 余 熱 除 去 系 機 器 等 については 実 機 における 破 断 面 積 に<br />
係 る 評 価 値 に 余 裕 を 考 慮 した 値 を 設 定 している。<br />
具 体 的 には、 原 子 炉 格 納 容 器 外 の 余 熱 除 去 冷 却 器 出 口 逃 がし 弁<br />
では 等 価 直 径 約 2.5cm( 約 1 インチ) 相 当 、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の<br />
余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃 がし 弁 では 等 価 直 径 約 10cm( 約 4 インチ)<br />
相 当 とする。 余 熱 除 去 系 機 器 等 では、 等 価 直 径 約 2.8cm( 約 1.12<br />
インチ) 相 当 とする。<br />
また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 常 用 系 機 器 の 機 能<br />
喪 失 及 び 工 学 的 安 全 施 設 の 作 動 遅 れにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 で<br />
は、 厳 しい 設 定 となる。<br />
イ. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する<br />
事 故<br />
破 断 位 置 及 び 破 断 口 径 は、1 基 の 蒸 気 発 生 器 の 伝 熱 管 1 本 が 瞬<br />
時 に 両 端 破 断 するものとする。<br />
破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 失 敗 の 想 定 は、 原 子 炉 の 自 動 停 止 後 に<br />
主 蒸 気 逃 がし 弁 が 作 動 した 時 点 で、 破 損 側 蒸 気 発 生 器 につながる<br />
主 蒸 気 安 全 弁 1 個 が 開 固 着 するものとする。<br />
また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 常 用 系 機 器 の 機 能<br />
喪 失 及 び 工 学 的 安 全 施 設 の 作 動 遅 れにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 で<br />
は、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 :<br />
ア.インターフェイスシステム LOCA<br />
炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を<br />
用 いる。これは、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 の 観 点 では、1 次 冷 却 系<br />
からの 漏 えい 量 を 増 加 させるため 厳 しい 設 定 である。<br />
2 次 系 強 制 冷 却 に 使 用 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 は 4 個 とする。<br />
また、 余 熱 除 去 冷 却 器 出 口 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃<br />
がし 弁 の 吹 止 まり 圧 力 は、 設 計 値 を 用 いる。<br />
イ. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する<br />
事 故<br />
炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を<br />
用 いる。これは、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 の 観 点 では、1 次 冷 却 系<br />
からの 漏 えい 量 を 増 加 させるため 厳 しい 設 定 である。<br />
167
また、2 次 系 強 制 冷 却 に 使 用 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 は 健 全 側 の 3<br />
個 とする。<br />
e. 操 作 条 件 :<br />
ア.インターフェイスシステム LOCA<br />
2 次 系 強 制 冷 却 の 開 始 時 間 は、 余 熱 除 去 系 統 からの 漏 えいの 判<br />
断 や 余 熱 除 去 系 統 の 隔 離 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、ECCS 作<br />
動 信 号 発 信 から 25 分 後 とする。<br />
また、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 を、 高 圧 注 入 から 充 てん<br />
注 入 に 切 替 えるための 操 作 開 始 時 間 は、ECCS 停 止 条 件 (1 次 冷 却<br />
材 のサブクール 度 40℃ 以 上 及 び 加 圧 器 水 位 50% 以 上 で 安 定 又 は<br />
上 昇 中 等 ) 成 立 時 点 からとする。<br />
また、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 閉 操 作 は、 以 下 の 条 件 が 成 立 すれば、<br />
1 個 の 加 圧 器 逃 がし 弁 を 開 閉 するものとする。<br />
ⅰ)ECCS 停 止 条 件 成 立 前 は、1 次 冷 却 材 のサブクール 度 60℃<br />
以 上 で 開 とし、サブクール 度 40℃ 以 下 又 は 加 圧 器 水 位 50%<br />
以 上 で 閉 とする。<br />
ⅱ)ECCS 停 止 条 件 成 立 後 は、1 次 冷 却 材 のサブクール 度 20℃<br />
以 上 で 開 とし、サブクール 度 10℃ 以 下 で 閉 とする。<br />
イ. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する<br />
事 故<br />
破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 操 作 の 開 始 時 間 は、 原 子 炉 トリップ 信<br />
号 発 信 の 10 分 後 からとし、 操 作 完 了 に 2 分 を 要 するものとする。<br />
2 次 系 強 制 冷 却 操 作 の 開 始 時 間 は、 破 損 側 蒸 気 発 生 器 隔 離 操 作<br />
の 完 了 時 点 からとし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 完 了 に 1 分 を 要 す<br />
るものとする。<br />
高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 を、 高 圧 注 入 から 充 てん 注 入 に<br />
切 替 えるための 操 作 開 始 時 間 は、ECCS 停 止 条 件 (1 次 冷 却 材 のサ<br />
ブクール 度 40℃ 以 上 及 び 加 圧 器 水 位 50% 以 上 で 安 定 又 は 上 昇 中<br />
等 ) 成 立 時 点 からとし、 操 作 完 了 に 2 分 を 要 するものとする。<br />
また、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 閉 操 作 を 行 う 条 件 は「インターフェ<br />
イスシステム LOCA」と 同 一 である。<br />
2 解 析 結 果<br />
「インターフェイスシステム LOCA」について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結<br />
果 は、 以 下 のとおりである。<br />
168
a. 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去 系 機 器 等 からの 漏 えいにより、1<br />
次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 するが、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 及<br />
び 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 を 行 うことにより、<br />
保 有 水 量 は 回 復 し、PCT は 約 390℃に、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約<br />
16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃 がし 弁 等 から 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 1 次 冷<br />
却 材 の 漏 えいにより、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格<br />
納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
c. 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 からの 漏 え<br />
いが 停 止 する。さらに、 余 熱 除 去 ポンプの 入 口 弁 を 専 用 工 具 にて 非 管<br />
理 区 域 から 遠 隔 操 作 で 閉 止 することにより、 余 熱 除 去 系 機 器 等 からの<br />
漏 えいが 停 止 する。また、 健 全 側 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 を 開 始 す<br />
ることで 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b.より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 し<br />
ている。<br />
「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」<br />
について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は 以 下 のとおりである。<br />
d. 破 損 した 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 から 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 漏 えいによ<br />
り、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 するが、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心<br />
注 水 、2 次 系 強 制 冷 却 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系<br />
の 減 温 ・ 減 圧 を 行 うことにより、 保 有 水 量 は 回 復 し、PCT は 約 350℃<br />
に、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
e. 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 により、1 次 冷 却 材 が 加 圧 器 逃 がしタンク<br />
から 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいするが、その 量 はわずかである。また、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 した 場 合 には、 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
f. 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと 1 次 冷 却 系 圧 力 と 2 次 冷 却 系 圧 力<br />
が 均 圧 することで、 漏 えいが 停 止 する。また、 余 熱 除 去 系 による 炉 心<br />
冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることができる。<br />
上 記 d. 及 び e.より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 し<br />
ている。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
169
M-RELAP5 を 用 いて 1 次 冷 却 系 の 挙 動 について 解 析 した 場 合 、 試 験<br />
データと 比 較 して 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 時<br />
に、1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 高 く 評 価 する 傾 向 がある。そのた<br />
め、 実 際 には 解 析 結 果 よりも 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 早 く、 漏 えい<br />
流 量 は 少 なくなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 の 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 して<br />
いるため、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 が 速 めに 解 析 されている。 崩<br />
壊 熱 に 最 確 値 を 与 えた 場 合 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 は 緩 や<br />
かとなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
2 次 系 強 制 冷 却 操 作 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 開 閉 操 作 が 必 要 なタイミン<br />
グが 変 動 する 可 能 性 があるが、この 操 作 は 中 央 制 御 室 での 操 作 であり、<br />
必 要 なタイミングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 で<br />
あることから、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
また、「インターフェイスシステム LOCA」においては、 漏 えい 側 余<br />
熱 除 去 ポンプ 入 口 弁 を 専 用 工 具 にて 非 管 理 区 域 から 遠 隔 操 作 で 閉 止<br />
し、 漏 えいを 停 止 させることで 事 象 が 収 束 する。この 弁 の 操 作 場 所 は<br />
漏 えいの 影 響 を 受 けにくい 場 所 にあるため、 漏 えい 量 の 変 動 があった<br />
としても、この 弁 の 操 作 を 実 施 し、 漏 えいを 停 止 させることが 可 能 で<br />
あることから 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスグループの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 合 わせて 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本<br />
部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 で<br />
ある。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所<br />
内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 は 620kL<br />
であり 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供<br />
給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対<br />
応 が 可 能 である。<br />
170
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 格 納 容 器 バイパス」に 対 して 申 請 者<br />
が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操<br />
作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 等 が、 事 象 進 展 の 特<br />
徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「インターフェイスシステム LOCA」 及 び「 蒸 気 発 生 器 伝 熱<br />
管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」において 2 次 系 強 制 冷 却 、<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注<br />
水 等 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を<br />
いずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確<br />
かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないこと<br />
を 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 か<br />
ら、 機 能 を 喪 失 した 設 備 (「インターフェイスシステム LOCA」では 余 熱 除 去 系 1<br />
系 統 、「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」で<br />
は 主 蒸 気 安 全 弁 1 個 の 開 固 着 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当<br />
たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を 安 定<br />
停 止 状 態 へ 導 くために、「インターフェイスシステム LOCA」では、 余 熱 除 去 ポン<br />
プ 入 口 弁 を 専 用 工 具 にて 非 管 理 区 域 から 遠 隔 操 作 で 閉 止 するなどにより 漏 えい<br />
を 停 止 させ、 健 全 側 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 を 実 施 する 対 策 が 整 備 されている<br />
ことを 確 認 した。<br />
「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」では、<br />
原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 と 1 次 冷 却 系 圧<br />
力 と 2 次 冷 却 系 圧 力 の 均 圧 により 漏 えいを 停 止 させる 対 策 が 整 備 されているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者 の 計<br />
画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「インター<br />
フェイスシステム LOCA」 及 び「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔<br />
離 に 失 敗 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シ<br />
ーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 格 納 容 器 バイパス」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策 は、<br />
有 効 なものであると 判 断 した。<br />
171
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 2 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 において、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 及 び 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な 水 準 の 放 出 を 防 止 する<br />
ために 必 要 な 措 置 を 講 じたものでなければならないと 要 求 している。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 し、かつ、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 され<br />
ることを 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があることを 確 認 するとしている。「 有 効 性 がある<br />
ことを 確 認 する」とは、 以 下 の(a)から(i)の 項 目 ( 以 下 「 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
の 評 価 項 目 」という。)を 概 ね 満 足 することを 確 認 するとしている。<br />
(a) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下<br />
回 ること。<br />
(b) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温 度 を 下<br />
回 ること。<br />
(c) 放 射 性 物 質 の 総 放 出 量 は、 放 射 性 物 質 による 環 境 への 汚 染 の 視 点 も 含 め、<br />
環 境 への 影 響 をできるだけ 小 さくとどめるものであること(※ 12 )。<br />
(d) 原 子 炉 圧 力 容 器 の 破 損 までに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 は 2.0MPa 以 下 に 低 減 されて<br />
いること。<br />
(e) 急 速 な 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 による 熱 的 ・ 機 械 的<br />
荷 重 によって 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリの 機 能 が 喪 失 しないこと。<br />
(f) 原 子 炉 格 納 容 器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること。( 水<br />
素 濃 度 がドライ 条 件 に 換 算 して 13vol% 以 下 又 は 酸 素 濃 度 が 5vol% 以 下 である<br />
こと)<br />
(g) 可 燃 性 ガスの 蓄 積 、 燃 焼 が 生 じた 場 合 においても、(a)の 要 件 を 満 足 する<br />
こと。<br />
(h) 原 子 炉 格 納 容 器 の 床 上 に 落 下 した 溶 融 炉 心 が 床 面 を 拡 がり 原 子 炉 格 納 容 器<br />
バウンダリと 直 接 接 触 しないこと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること。<br />
(i) 溶 融 炉 心 による 侵 食 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機 能 が 喪<br />
失 しないこと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること。<br />
上 記 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)において、 限 界 圧 力 又 は 限 界 温 度 を 評 価 項 目 とし<br />
て 用 いる 場 合 には、その 根 拠 と 妥 当 性 を 示 すこととしている。<br />
申 請 者 は、 上 記 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)について、 重 大 事 故 時 に 作 用 する 荷 重<br />
として、 自 重 、 圧 力 、 機 械 的 荷 重 を 考 慮 し、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 における 原 子 炉<br />
格 納 容 器 の 放 射 性 物 質 の 閉 じ 込 め 機 能 を 確 認 する 評 価 圧 力 ( 以 下 「 限 界 圧 力 」とい<br />
(※ 12 ) 有 効 性 評 価 ガイドでは、「 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して、Cs-137 の 放 出 量 が 100TBq を 下 回 って<br />
いること」としている。<br />
172
う。) 及 び 評 価 温 度 ( 以 下 「 限 界 温 度 」という。)を 定 めている。 具 体 的 には、プレ<br />
ストレストコンクリート 製 格 納 容 器 ( 以 下 「PCCV」という。)を 構 成 するライナプレ<br />
ート、 鉄 筋 及 びテンドン( 鋼 線 ) 並 びに 実 機 条 件 下 でリークパスとなる 可 能 性 があ<br />
ると 考 えられる 機 器 搬 入 口 、エアロック、 配 管 貫 通 部 等 を 対 象 とした 健 全 性 評 価 等<br />
により 設 定 の 根 拠 と 妥 当 性 が 確 認 された 値 である 最 高 使 用 圧 力 の 2 倍 ( 2Pd)、200℃<br />
としている。<br />
以 上 のことから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 において、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 に 期 待 できる 根 拠 と 妥 当 性 を 示 した 上 で、 評 価 項 目 とし<br />
て 原 子 炉 格 納 容 器 の 限 界 圧 力 及 び 限 界 温 度 を 設 定 していることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.1 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )」<br />
( 以 下 この 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 雰 囲 気 圧 力 によ<br />
る 静 的 負 荷 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原 子 炉 格 納 容 器 破<br />
損 の 防 止 及 び 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されることを 防 止 する 対 策<br />
に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち、「(a)<br />
原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下 回 るこ<br />
と。」、「(b) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温<br />
度 を 下 回 ること。」、「(c) 放 射 性 物 質 の 総 放 出 量 は、 放 射 性 物 質 による 環 境 への 汚<br />
染 の 視 点 も 含 め、 環 境 への 影 響 をできるだけ 小 さくとどめるものであること。」 及<br />
び「(g) 可 燃 性 ガスの 蓄 積 、 燃 焼 が 生 じた 場 合 においても、(a)の 要 件 を 満 足 する<br />
こと。」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 流 出 した 高 温 の 原 子<br />
炉 冷 却 材 、 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 によって 発 生 した 水 蒸 気 及 び 金 属 - 水 反 応 等<br />
によって 発 生 した 非 凝 縮 性 ガスの 蓄 積 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上<br />
昇 する。 事 故 発 生 から 数 時 間 後 には 最 高 使 用 圧 力 に 到 達 し、その 後 、 放 置<br />
すれば 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
173
2 対 策 の 考 え 方 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 雰 囲 気 を 減 温 ・ 減 圧 し、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 を 抑 制 する 必 要 が<br />
ある。また、 非 凝 縮 性 ガスの 発 生 により、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上 昇 する<br />
ことを 抑 制 する 観 点 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冠 水 ・ 冷 却 し、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 が 過 熱 状 態 となることを 防 止 する 観 点 から、 原 子 炉<br />
下 部 キャビティへ 注 水 する 必 要 がある。<br />
さらに、 継 続 的 に 発 生 する 水 素 を 処 理 、 低 減 させるとともに 最 終 的 な 熱<br />
の 逃 がし 場 へ 熱 を 輸 送 することによって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 さ<br />
せる 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減<br />
温 ・ 減 圧 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 を 実 施 する。この<br />
ため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 新 たに 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 復 水 タンク 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 させるため、 格 納<br />
容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 する。このため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環<br />
ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。また、 継 続 的 に 発 生<br />
する 水 素 の 処 理 及 び 水 素 濃 度 の 監 視 を 実 施 する。このため、 静 的 触 媒 式 水<br />
素 再 結 合 装 置 ( 以 下 「PAR」という。)、PAR 動 作 監 視 装 置 、 電 気 式 水 素 燃<br />
焼 装 置 ( 以 下 「イグナイタ」という。)、イグナイタ 動 作 監 視 装 置 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機<br />
能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これ<br />
は、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 上 昇 及 び 時 間 余 裕 の 観 点 から、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 内 への 冷 却 材 放 出 量 が 大 きくなるとともに 炉 心 損 傷 が 早 まること、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 上 昇 の 抑 制 の 観 点 から、ECCS 注 水 機 能 及 び 格 納<br />
容 器 スプレイ 機 能 を 喪 失 していること、 環 境 に 放 出 される 放 射 性 物 質<br />
量 の 観 点 では、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 高 く 推 移 することなど、より 厳<br />
しい 事 故 シーケンスであることから 選 定 する。<br />
174
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用<br />
いた 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 い<br />
た 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 有 効 性 を 評 価 する 観 点 から、 全 交 流 動 力<br />
電 源 喪 失 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 における 区 画 内 や 区 画 間 の 流 動 、 構 造<br />
材 との 熱 伝 達 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによ<br />
る 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 などの 現 象 を 評 価 することが 可 能 な、 原 子<br />
炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 炉 心 損 傷 後 の<br />
シビアアクシデント 特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 するコ<br />
ードとして MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 急 速 な 1 次 冷 却 材 の 喪 失 を 仮 定 し、 事 象 進 展 が 最 も 速 く<br />
厳 しい 設 定 とするため、 起 因 事 象 として 高 温 側 配 管 の 大 破 断 LOCA が<br />
発 生 するものとする。 安 全 機 能 の 喪 失 に 対 する 仮 定 として、 低 圧 注 入<br />
機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 するものと<br />
し、さらに 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を<br />
考 慮 する。 水 素 の 発 生 については、ジルコニウム- 水 反 応 を 考 慮 する。<br />
d. 機 器 条 件 : 蓄 圧 注 入 系 の 保 持 圧 力 を 最 低 圧 力 とし、 蓄 圧 タンクの 保<br />
有 水 量 も 使 用 時 の 最 小 量 を 用 いる。 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 注 水 流<br />
量 は、Cs-137 の 放 出 量 評 価 では 設 計 上 期 待 できる 値 として 140m 3 /h と<br />
し、 事 象 進 展 解 析 では 標 準 値 としてこれより 小 さな 値 である 130m 3 /h<br />
とする。また、PAR については、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 観 点 で 厳 しく<br />
なるように 機 能 することを 期 待 しない。 一 方 、PAR の 水 素 処 理 による<br />
発 熱 反 応 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 への 寄 与 は 考 慮 する。<br />
e. 操 作 条 件 : 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始<br />
時 間 は 炉 心 溶 融 開 始 から 30 分 後 とし、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 による<br />
格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 時 間 は 事 象 発 生 から 24 時 間 後 とする。<br />
f. Cs-137 の 環 境 への 放 出 シナリオ: 事 象 発 生 まで、 定 格 出 力 の 102%<br />
で 長 期 間 にわたって 運 転 されていたものとする。その 運 転 時 間 は、 燃<br />
料 を 1/3 ずつ 取 り 替 えていく 場 合 の 平 衡 炉 心 を 考 えて、 最 高 30,000<br />
時 間 とする。<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 放 出 される Cs-137 の 量 については、 炉 心 損 傷<br />
に 至 る 事 故 シーケンスを 基 にした 代 表 的 なソースタームに 関 する 報<br />
告 書 である NUREG-1465 の 放 出 割 合 を 用 い、 原 子 炉 格 納 容 器 全 体 にイ<br />
175
ンベントリの 75%が 放 出 される。 原 子 炉 格 納 容 器 からは 0.16%/ 日 の 割<br />
合 で 主 にアニュラス 部 へ 漏 えいする。また、アニュラス 部 の 負 圧 達 成<br />
及 びアニュラス 空 気 浄 化 設 備 の 起 動 時 間 の 遅 れを 考 慮 して 約 62 分 間<br />
はアニュラス 空 気 浄 化 設 備 が 作 動 しないものとし、この 間 、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 側 からアニュラス 部 に Cs-137 が 漏 えいした 場 合 には、 漏 えい<br />
した 全 量 が 大 気 に 放 出 されるものとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 による 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 に 伴 い 原 子 炉 が 自 動 停 止 。また、 大 破 断 LOCA<br />
時 に 高 圧 注 入 機 能 及 び 低 圧 注 入 機 能 が 喪 失 することから、 約 22 分 で<br />
炉 心 溶 融 に 至 る。その 後 、 約 52 分 より 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 。<br />
事 故 発 生 から 約 1.4 時 間 後 に 原 子 炉 容 器 が 破 損 する。このときの 原 子<br />
炉 格 納 容 器 圧 力 は 約 0.212MPa[gage]となる。 約 2.6 時 間 後 に 原 子 炉<br />
容 器 からの 溶 融 炉 心 の 流 出 が 停 止 し、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 が 緩<br />
やかになる。<br />
b. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 が 確 立 する<br />
ため 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 はそれぞれ、 約<br />
0.444MPa[gage]、 約 144℃に 抑 えられる。 以 降 、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・<br />
温 度 は、 約 48 時 間 時 点 でも 低 下 傾 向 が 維 持 されており、 安 定 状 態 と<br />
なっている。( 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 ( 以 下<br />
「FCI」という。)、 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 ( 以 下 「MCCI」とい<br />
う。)の 評 価 については、 格 納 容 器 破 損 モード「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の<br />
溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」、「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」を<br />
参 照 。)<br />
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 分 圧 は、 全 圧 0.5MPa[abs] 程 度 に 対 して<br />
0.01MPa[abs] 程 度 である。また、PAR による 水 素 処 理 における 発 熱 量<br />
は 崩 壊 熱 の 約 2%であり、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 しての 影 響 は<br />
軽 微 である。<br />
d. 原 子 炉 格 納 容 器 から 環 境 に 放 出 される Cs-137 の 放 出 量 は、7 日 間<br />
で 約 4.5TBq であり、100TBq を 下 回 っている。<br />
なお、30 日 間 と 100 日 間 では 微 増 するものの、いずれも 約 4.8TBq<br />
であり、 放 出 が 長 期 間 継 続 しても、 放 出 量 は 大 きく 増 加 しない。<br />
上 記 b.、c. 及 び d.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(a)、(b)、(c) 及 び(g)を 満 足 している。<br />
176
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP を 用 いて 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 を 解 析 した 場 合 、HDR 実 験<br />
解 析 等 の 検 証 結 果 より、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 については 1 割 程 度 高 め<br />
に、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 については 十 数 ℃ 高 めに 評 価 する 傾 向 がある<br />
ことから、 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 は 低 めとなるため、 評 価<br />
項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくなる。このことから、<br />
MAAP は 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 して 保 守 的 な( 厳 しい) 結 果 を<br />
与 える。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 してい<br />
るため、 炉 心 溶 融 開 始 時 間 が 早 めに 解 析 されている。このため、 実 際<br />
は 炉 心 溶 融 開 始 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 が 必<br />
要 なタイミングが 遅 くなる。また、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の 上 昇<br />
は 緩 和 され、 評 価 項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
事 故 進 展 解 析 で 設 定 している 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 注 入 流 量 は<br />
小 さめの 値 を 設 定 しているため、 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の<br />
上 昇 は 緩 和 され、 評 価 項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくな<br />
る。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 が 必 要 なタイミン<br />
グが 遅 くなるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 がある。 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 は、 他 の 事 象 進 展 に 影 響 を 及 ぼす 運 転 員 等<br />
操 作 を 実 施 する 運 転 員 等 とは 別 の 運 転 員 等 による 操 作 であるため、タ<br />
イミングに 変 動 があったとしても、 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 への 影<br />
響 はなく、 対 策 実 施 へ 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 評 価 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 となる 要 員 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 合 わせて 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊<br />
急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対<br />
応 が 可 能 である。<br />
177
2 本 評 価 事 故 シーケンスが 発 生 してから 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 量 1,960m 3<br />
が 枯 渇 する 約 12 時 間 後 までに 復 水 タンクとの 連 絡 操 作 を 行 うとともに、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプにより、 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又<br />
は 海 水 を 復 水 タンク 経 由 で 燃 料 取 替 用 水 タンクに 補 給 することで 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイを 継 続 することが 可 能 である。7 日 間 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
等 を 運 転 継 続 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 284.5kL である。これに 対<br />
して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 燃 料 タンク<br />
に 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可 能 である。 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 電 力<br />
供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納<br />
容 器 過 圧 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 が、 事 象 進 展 の 特<br />
徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容<br />
器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれ<br />
による 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格<br />
納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a)、(b)、(c) 及 び(g)を 満 足 している。さら<br />
に 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 (a)、<br />
(b)、(c) 及 び(g)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認 し<br />
た。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能<br />
を 喪 失 した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 及 び 格 納 容 器 スプレイ 系 等 )の 復 旧 を 期 待 していな<br />
いが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破<br />
損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 により<br />
原 子 炉 格 納 容 器 破 損 を 防 止 した 後 、 原 子 炉 格 納 容 器 を 安 定 状 態 へ 導 くために、 格<br />
納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 させるとともに 水 素<br />
濃 度 低 減 及 び 水 素 濃 度 監 視 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに<br />
対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
178
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が 計<br />
画 している 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.2 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」<br />
( 以 下 この 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 雰 囲 気 温 度 によ<br />
る 静 的 負 荷 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原 子 炉 格 納 容 器 破<br />
損 の 防 止 及 び 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されることを 防 止 する 対 策<br />
に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち、「(a)<br />
原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下 回 るこ<br />
と。」、「(b) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温<br />
度 を 下 回 ること。」 及 び「(g) 可 燃 性 ガスの 蓄 積 、 燃 焼 が 生 じた 場 合 においても、<br />
(a)の 要 件 を 満 足 すること。」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 があるか<br />
を 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項 を 省 略 し、 本 格 納<br />
容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 流 出 した 高 温 の 原 子<br />
炉 冷 却 材 、 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 及 び 金 属 - 水 反 応 等 による 化 学 反 応 熱 によっ<br />
て、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 が 上 昇 する。 事 故 発 生 から 数 時 間 後 には 最 高 使 用<br />
温 度 に 到 達 し、その 後 、 放 置 すれば 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 雰 囲 気 を 減 温 ・ 減 圧 し、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 の 上 昇 を 抑 制 する 必 要 が<br />
ある。また、1 次 冷 却 系 が 高 圧 となり、 原 子 炉 容 器 が 破 損 する 際 に 溶 融 物<br />
が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなることを 防 止 する 観 点 から、<br />
原 子 炉 容 器 破 損 前 までに 1 次 冷 却 系 を 減 圧 する 必 要 がある。また、 非 凝 縮<br />
性 ガスの 発 生 により、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上 昇 することを 抑 制 する 観 点<br />
179
及 び 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冠 水 ・ 冷 却 し、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲<br />
気 が 過 熱 状 態 となることを 防 止 する 観 点 から、 原 子 炉 下 部 キャビティへ 注<br />
水 する 必 要 がある。<br />
さらに、 継 続 的 に 発 生 する 水 素 を 処 理 、 低 減 させるとともに 最 終 的 な 熱<br />
の 逃 がし 場 へ 熱 を 輸 送 することによって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 さ<br />
せる 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 ( 以 下 「DCH」とい<br />
う。)を 防 止 する 対 策 である 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧<br />
については、 格 納 容 器 破 損 モード「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加<br />
熱 」を 参 照 。その 他 の 対 策 は、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、1 次 冷<br />
却 系 が 高 圧 となり、 原 子 炉 容 器 が 破 損 する 際 に 溶 融 物 が 原 子 炉 格 納 容<br />
器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなること 及 び ECCS 又 は 格 納 容 器 スプレイ<br />
により 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 の 上 昇 が 抑 制 されないことなど、より 厳 し<br />
いシーケンスであることから 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」<br />
であるが、 条 件 を 厳 しくするため、 補 助 給 水 機 能 の 喪 失 を 追 加 する。<br />
さらに、 本 評 価 事 故 シーケンスにおいては、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用<br />
いた 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 い<br />
た 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 有 効 性 を 評 価 する 観 点 から、 原 子 炉 補 機<br />
冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 における 区 画 内 や 区 画 間 の 流 動 、 構 造<br />
材 との 熱 伝 達 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによ<br />
る 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 加 圧 器 における 冷 却 材 放 出 ( 臨 界 流 、 差<br />
圧 流 )などの 現 象 を 評 価 することが 可 能 な、 原 子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 炉 心 損 傷 後 のシビアアクシデント<br />
180
特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 するコードとして MAAP を 用<br />
いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 起 因 事 象 として 外 部 電 源 が 喪 失 するものとし、 安 全 機 能<br />
の 喪 失 に 対 する 仮 定 として、 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 、 補 助 給 水 機 能<br />
及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 とする。また、RCP からの 漏 えい 率 は、<br />
定 格 圧 力 において、RCP1 台 当 たり 1.5m 3 /h の 漏 えいを RCP 全 台 に 考 慮<br />
し、その 他 の 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリからの 漏 えいについては 考<br />
慮 しない。これは、1 次 冷 却 系 が 高 圧 となり、 原 子 炉 容 器 が 破 損 する<br />
際 に 溶 融 物 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなるため、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 温 度 の 観 点 で 厳 しい 設 定 となる。 水 素 の 発 生 については、<br />
ジルコニウム- 水 反 応 を 考 慮 する。<br />
d. 機 器 条 件 : 加 圧 器 逃 がし 弁 に 関 する 条 件 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 高<br />
圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」を 参 照 。その 他 の 条 件 は、「 格<br />
納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始<br />
時 間 は 炉 心 溶 融 開 始 から 30 分 後 とする。また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 保<br />
有 水 量 が 2,000m 3 に 到 達 した 時 点 で 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧<br />
力 (0.392MPa[gage])に 到 達 していない 場 合 は 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
を 一 旦 停 止 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 使 用 圧 力 到 達 の 30 分 後 に 再 開<br />
するものとする。その 後 、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 に 伴 い 事 象<br />
発 生 から 24 時 間 後 に 停 止 するものとする。 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 に<br />
よる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 時 間 は 事 象 発 生 から 24 時 間 後 と<br />
する。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 による 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 及 び 補 助 給 水 機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系<br />
が 高 温 ・ 高 圧 となるが、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧<br />
により 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 1 次 冷 却 系 圧 力 は 低 く 抑 えられる。<br />
b. 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 に 伴 う 加 圧 器 逃 がしタンクラプチャディスク<br />
の 作 動 及 び 原 子 炉 容 器 破 損 により、1 次 冷 却 系 の 蒸 気 、 溶 融 炉 心 等 が<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 移 行 することで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 は 上 昇<br />
するが、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まってい<br />
る。<br />
c. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 が 確 立 する<br />
た め 、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 は そ れ ぞ れ 、 約<br />
181
0.409MPa[gage]、 約 144℃に 抑 えられる。 以 降 、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・<br />
温 度 は、 約 48 時 間 時 点 でも 低 下 傾 向 が 維 持 されており、 安 定 状 態 と<br />
なっている。<br />
d. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 分 圧 は、 全 圧 0.5MPa[abs] 程 度 に 対 して<br />
0.02MPa[abs] 程 度 である。また、PAR による 水 素 処 理 における 発 熱 量<br />
は 崩 壊 熱 の 約 2%であり、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 しての 影 響 は<br />
軽 微 である。<br />
上 記 c.、d.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a)、(b)<br />
及 び(g)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP を 用 いて 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 を 解 析 した 場 合 、HDR 実 験<br />
解 析 等 の 検 証 結 果 より、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 については 1 割 程 度 高 め<br />
に、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 については 十 数 ℃ 高 めに 評 価 する 傾 向 がある<br />
ことから、 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 は 低 めとなるため、 評 価<br />
項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくなる。このことから、<br />
MAAP は 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 して 保 守 的 な( 厳 しい) 結 果 を<br />
与 える。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 に 保 守 的 に 大 きめの 値 を 設 定 しているた<br />
め、 炉 心 溶 融 開 始 時 間 が 早 めに 解 析 されている。 原 子 炉 格 納 容 器 自 由<br />
体 積 は 保 守 的 に 小 さめの 値 を、ヒートシンクは 保 守 的 に 少 なめの 値 を<br />
設 定 しているため、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の 上 昇 は 早 めに 解 析 さ<br />
れている。このため、 実 際 は 炉 心 溶 融 開 始 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器<br />
スプレイ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器 スプレ<br />
イの 再 開 操 作 が 必 要 なタイミングが 遅 くなる。また、 常 設 電 動 注 入 ポ<br />
ンプによる 注 入 流 量 は 保 守 的 に 小 さめの 値 を 設 定 しているため、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の 上 昇 は 早 めに 解 析 されている。このため、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器 スプレイの 再 開 操 作 が<br />
必 要 なタイミングが 遅 くなる。いずれも 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の<br />
上 昇 は 緩 和 され、 評 価 項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくな<br />
る。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
182
上 記 のとおり、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 開 始 ・ 再 開 操 作 が 必 要 なタイ<br />
ミングが 遅 くなるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 がある。1<br />
次 系 強 制 減 圧 及 び 代 替 格 納 容 器 スプレイは 中 央 制 御 室 において 同 一<br />
の 運 転 員 が 行 う 操 作 であるが、 事 象 進 展 上 重 複 する 操 作 ではなく、 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイの 再 開 操 作 は 代 替 格 納 容 器 スプレイ 開 始 操 作 と<br />
同 一 の 運 転 員 等 による 操 作 であるため、タイミングに 変 動 があったと<br />
しても、 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 への 影 響 はなく、 対 策 実 施 へ 与 え<br />
る 影 響 はない。<br />
なお、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 操 作 から 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 開 始<br />
操 作 への 切 り 替 えが 確 実 に 実 施 できることを 確 認 するため、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 水 量 を 考 慮 し、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 を 継 続 した<br />
場 合 の 原 子 炉 格 納 容 器 注 水 制 限 値 到 達 までの 時 間 を 評 価 した。その 結<br />
果 、 操 作 余 裕 時 間 として 3 時 間 程 度 は 確 保 できる。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 評 価 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 となる 要 員 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 合 わせて 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急<br />
時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応<br />
が 可 能 である。<br />
2 本 評 価 事 故 シーケンスが 発 生 してから 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 量 1,960m 3<br />
が 枯 渇 する 約 14 時 間 後 までに 復 水 タンクとの 連 絡 操 作 を 行 うとともに、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプにより、 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又<br />
は 海 水 を 復 水 タンク 経 由 で 燃 料 取 替 用 水 タンクに 補 給 することで 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイを 継 続 することが 可 能 である。7 日 間 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
等 を 運 転 継 続 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 284.5kL である。これに 対<br />
して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 燃 料 タンク<br />
に 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可 能 である。 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 電 力<br />
供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納<br />
容 器 過 温 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 加<br />
圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによ<br />
183
る 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補 助<br />
給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減<br />
圧 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 を 行 った 場<br />
合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a)、(b) 及<br />
び(g)を 満 足 している。さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 か<br />
さを 考 慮 しても、 評 価 項 目 (a)、(b) 及 び(g)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は<br />
変 わらないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を<br />
設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 補 助 給 水 系 、 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機<br />
能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及<br />
びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 により 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 を 防 止 した<br />
後 、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 の 対 策 を 講 じることにより、 原 子 炉 格 納 容 器 を 安<br />
定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪<br />
失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけ<br />
るその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して 有 効<br />
であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が 計<br />
画 している 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 原 子 炉 容 器 内 に 残 存 する 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 容 器 破 損 後 、 溶 融 炉 心 のほぼ 全 量 が 原 子 炉 下 部 キャビティ<br />
に 落 下 し 継 続 的 に 冷 却 されるとしている。また、 原 子 炉 容 器 内 に 溶 融 炉 心 が 残<br />
存 する 場 合 には、 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 重<br />
要 機 器 及 び 重 要 計 器 が 水 没 しない 限 りは 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 注 水 することを<br />
示 した。これにより、 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 重 要 機 器 及 び 重 要 計<br />
器 が 水 没 しない 限 りは 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 注 水 することで、 炉 心 発 熱 有 効 長 の<br />
184
中 心 高 さまで 冠 水 させることができる 冷 却 手 段 が 整 備 されていることを 確 認<br />
した。<br />
Ⅳ-1.2.2.3 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」( 以 下 この 節 に<br />
おいて「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 原 子 炉 容 器 が 高 い 圧 力 の 状 況 で<br />
損 傷 する 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損<br />
を 防 止 し、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されることを 防 止 する 対 策 に 有<br />
効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(d)<br />
原 子 炉 容 器 の 破 損 までに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 は 2.0MPa 以 下 に 低 減 されていること。」<br />
について、 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 温 破 損 )」( 以 下 「 格 納 容 器 過 温 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項 を 省 略 し、 本 格 納<br />
容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 容 器 が 高 い 圧 力 の 状 況 で 損 傷 し、<br />
溶 融 炉 心 等 が 急 速 に 放 出 され、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 が 直 接 加 熱 されるこ<br />
とで、 急 速 に 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上 昇 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 高 圧 溶 融 物 放 出 に 伴 う 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 す<br />
るためには、 原 子 炉 容 器 破 損 前 までに 1 次 冷 却 系 の 減 圧 を 行 う 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 原 子 炉 容 器 破 損 前 までに 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系<br />
減 圧 を 実 施 する。このため、 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
位 置 付 ける。また、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 時 に 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 を<br />
行 う。このため、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 整 備 する。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
185
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、1 次<br />
冷 却 系 が 高 圧 の 状 態 で 原 子 炉 容 器 が 破 損 した 際 に 溶 融 物 が 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなることなど、より 厳 しいシーケンス<br />
であることから 選 定 している。PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破<br />
損 モードにおける 事 故 シーケンスは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 条 件 を 厳 しくするため、 補 助<br />
給 水 機 能 の 喪 失 を 追 加 する。さらに、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用 いた 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いた 格 納<br />
容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 有 効 性 を 評 価 する 観 点 から、 全 交 流 動 力 電 源 の<br />
喪 失 により 従 属 的 に 発 生 する 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を 考 慮<br />
する。<br />
b. 解 析 コード: 加 圧 器 逃 がし 弁 からの 冷 却 材 放 出 ( 臨 界 流 ・ 差 圧 流 )、<br />
原 子 炉 容 器 における 溶 融 炉 心 のリロケーション、 原 子 炉 容 器 内 溶 融 炉<br />
心 - 冷 却 材 相 互 作 用 、 下 部 プレナムでの 溶 融 炉 心 の 熱 伝 達 、 原 子 炉 容<br />
器 破 損 や 溶 融 等 を 取 り 扱 うことができる MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
d. 機 器 条 件 : 加 圧 器 逃 がし 弁 は、2 個 ( 95t/h/ 個 )の 作 動 を 考 慮 する。<br />
その 他 は、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 強 制 減 圧 は、 炉 心 溶 融<br />
開 始 から 10 分 後 とする。その 他 は、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 で<br />
ある。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 冷 却 系 圧 力 は、 炉 心 溶 融 開 始 後 の 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 1 次 冷 却 系 強 制 減 圧 により 低 下 し、2~3MPa[gage] 近 傍 から 低 下 傾<br />
向 を 維 持 した 後 、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 容 器 下 部 プレナムに 落 下 すること<br />
による 蒸 気 発 生 により 上 昇 する。 下 部 プレナム 水 が 喪 失 すると、1 次<br />
冷 却 系 圧 力 は 減 少 に 転 じ、 原 子 炉 容 器 破 損 の 時 点 の 1 次 冷 却 系 圧 力 は<br />
2.0MPa[gage] 以 下 に 抑 えられる。<br />
b. その 他 の 事 象 進 展 解 析 結 果 は、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
上 記 a. より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (d)を 満 足<br />
186
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 コードには、 炉 心 ヒートアップ、 加 圧 器 逃 がし 弁 からの 冷 却 材<br />
放 出 、 原 子 炉 容 器 における 溶 融 炉 心 のリロケーション、 原 子 炉 容 器 内<br />
溶 融 炉 心 - 冷 却 材 相 互 作 用 、 下 部 プレナムでの 溶 融 炉 心 の 熱 伝 達 、 原<br />
子 炉 容 器 破 損 ・ 溶 融 に 係 る 不 確 かさがある。これらについて、 感 度 解<br />
析 を 実 施 しており(※ 13 )、いずれのケースにおいても、 原 子 炉 容 器 破<br />
損 に 至 るまでの 間 に 1 次 冷 却 系 圧 力 は 2.0MPa [gage]を 下 回 る 結 果 に<br />
なる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 は、 解 析 上 は<br />
保 守 側 ( 対 策 の 実 施 が 遅 くなる 側 )に 10 分 の 操 作 遅 れを 考 慮 してい<br />
るが、 実 際 には 中 央 制 御 室 での 操 作 である。このため、 開 始 が 早 まる<br />
方 向 の 不 確 かさが 存 在 するが、 感 度 解 析 の 結 果 より、 評 価 項 目 に 対 し<br />
て 影 響 は 小 さいことを 確 認 した。また、 影 響 を 与 えると 考 えられる 炉<br />
心 崩 壊 熱 等 を 対 象 に 不 確 かさの 影 響 を 確 認 したが、いずれも 評 価 項 目<br />
に 対 して 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
操 作 遅 れによる 影 響 度 合 いを 把 握 する 観 点 から、 加 圧 器 逃 がし 弁 に<br />
よる 1 次 系 強 制 減 圧 の 開 放 操 作 の 開 始 を 遅 くした 場 合 の 感 度 解 析 を<br />
実 施 し、 操 作 時 間 余 裕 として 炉 心 溶 融 開 始 から 少 なくとも 20 分 程 度<br />
は 確 保 できる。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 については、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 としている。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加<br />
熱 」に 対 して、 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 加 圧 器 逃 がし<br />
弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 が 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 直 接 加 熱 に 至 る 可 能 性 のあ<br />
(※ 13 )「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」 2.(3)MAAP を 参 照 。<br />
187
る 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補<br />
助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 当 該 対 策 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の<br />
解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (d)を 満 足 している。さらに 申 請<br />
者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 を 概 ね 満<br />
足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析<br />
では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 補 助 給 水 系 、<br />
非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 た<br />
ってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、1 次 系 強 制 減 圧 により、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」を<br />
防 止 した 後 、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」への 対 策 と 同 一 の 対 策 をとることにより、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 を 安 定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 につい<br />
ても、 申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源<br />
喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」にお<br />
けるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して 有<br />
効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している<br />
格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のとお<br />
りである。<br />
(1) 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 の 確 実 性<br />
規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 容 器 の 破 損 までに 1 次 冷 却 系 圧 力 を 2.0MPa 以 下 に 低<br />
減 させるためには、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 確 実 に 行 うことが 重 要 である 旨<br />
を 指 摘 した。 申 請 者 は、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 失 敗 時 の 機 能 回 復 のために、<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 備 えて 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 常 設 直 流 電 源<br />
系 喪 失 に 備 えて 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 新 たに 整 備 することを<br />
示 した。さらに、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 をより 確 実 なものとするため、 炉 心<br />
出 口 温 度 が 350℃になった 場 合 には 格 納 容 器 高 レンジエリアモニタ( 高 レンジ)<br />
を 監 視 する 専 属 の 運 転 員 を 配 置 することを 示 した。<br />
188
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 のために 必 要 な 駆 動 源 及 び<br />
電 源 のバックアップを 準 備 するとともに、 炉 心 損 傷 のタイミングを 確 実 に 把 握<br />
するため 監 視 体 制 を 強 化 する 方 針 としていることから、 加 圧 器 逃 がし 弁 による<br />
開 操 作 が 遅 れることなく 実 施 できると 判 断 した。<br />
4. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 の 継 続 性<br />
申 請 者 は、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 によって 1 次 冷 却 系 圧 力 を<br />
2.0MPa[gage] 以 下 に 低 減 できるとしている。このため、 加 圧 器 逃 がし 弁 に 高 温<br />
蒸 気 が 流 入 した 場 合 の 減 圧 継 続 の 支 障 要 因 として、 弁 の 流 路 閉 塞 及 び 弁 閉 止<br />
( 開 維 持 失 敗 )の 2 つを 抽 出 し、その 評 価 を 行 った。その 結 果 、 弁 棒 に 発 生 す<br />
る 熱 応 力 が 小 さいこと 及 びダイヤフラムへの 熱 負 荷 が 小 さいことから 減 圧 継<br />
続 に 支 障 となる 熱 負 荷 ではないと 結 論 づけている。これにより、 規 制 委 員 会 は、<br />
申 請 者 の 熱 応 力 等 の 評 価 手 法 は 適 切 であり、 評 価 結 果 は 構 造 物 を 健 全 と 判 断 す<br />
る 応 力 ・ 温 度 を 下 回 ることから、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 の 継 続<br />
は 可 能 であると 判 断 した。<br />
(2) 蓄 圧 タンクの 初 期 条 件 が 評 価 に 及 ぼす 影 響<br />
申 請 者 は、 蓄 圧 タンク 保 持 圧 力 が 高 い 側 に 設 定 した 解 析 を 実 施 した 結 果 、 蓄<br />
圧 タンクからの 注 水 量 が 多 くなり 炉 心 の 冷 却 が 進 むことで 炉 心 溶 融 進 展 が 遅<br />
くなり、 崩 壊 熱 がより 低 い 状 態 で 原 子 炉 容 器 破 損 に 至 るため、 原 子 炉 容 器 破 損<br />
までに 1 次 冷 却 系 圧 力 は 2.0MPa[gage] 以 下 となることを 示 した。これにより、<br />
規 制 委 員 会 は、 解 析 条 件 の 設 定 は 適 切 であり、 解 析 内 容 は 妥 当 であることを 確<br />
認 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」( 以 下 こ<br />
の 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 原 子 炉 容 器 外 の FCI によ<br />
り 生 じる 一 時 的 な 圧 力 の 急 上 昇 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 し<br />
て 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 の 防 止 及 び 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 される<br />
ことを 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
189
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(e)<br />
急 速 な 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 による 熱 的 ・ 機 械 的 荷 重 によ<br />
って 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリの 機 能 が 喪 失 しないこと」について、 格 納 容 器 破 損<br />
防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項 を 省 略 し、 本 格 納<br />
容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 容 器 外 の FCI には、 衝 撃 を 伴 う 水<br />
蒸 気 爆 発 と、 溶 融 炉 心 から 冷 却 材 への 伝 熱 による 水 蒸 気 発 生 に 伴 う 急 激 な<br />
圧 力 上 昇 ( 以 下 「 圧 力 スパイク」という。)があるが、 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の<br />
可 能 性 は 極 めて 低 いと 考 えられるため、 圧 力 スパイクについて 考 慮 する。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 として、 溶 融 炉 心 と 原 子 炉 容 器 外 の 冷 却 水 が<br />
接 触 して、 圧 力 スパイクが 生 じる 可 能 性 があり、このときに 発 生 するエネ<br />
ルギーが 大 きいと 構 造 物 が 破 壊 され、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 雰 囲 気 を 減 温 ・ 減 圧 し、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 を 抑 制 する 必 要 が<br />
ある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減<br />
温 ・ 減 圧 を 実 施 する。このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電<br />
機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水<br />
タンク、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 する 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機<br />
能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。こ<br />
れは、 溶 融 炉 心 から 冷 却 材 の 伝 熱 による 水 蒸 気 発 生 の 観 点 から、 事 象<br />
190
進 展 が 早 く 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 炉 心 崩 壊 熱 が 高 いこと、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 圧 力 の 上 昇 を 抑 制 する 観 点 から、 原 子 炉 格 納 容 器 の 冷 却 がないこと<br />
など、より 厳 しいシーケンスであることから 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環<br />
機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 事 象 進 展 を 早 める 観 点 から 条 件 を 厳<br />
しくするため、 高 圧 注 入 機 能 の 喪 失 を 追 加 する。さらに、 本 評 価 事 故<br />
シーケンスにおいては、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能<br />
喪 失 の 重 畳 を 考 慮 することにより、 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 は 想<br />
定 せずに、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 を 想 定 する。これは、 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイは 格 納 容 器 スプレイよりも 開 始 時 間 が 遅 く、 流 量<br />
も 小 さいため、 原 子 炉 下 部 キャビティの 冷 却 材 のサブクール 度 が 小 さ<br />
くなり、 事 象 を 厳 しく 評 価 することになる。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 における 区 画 間 や 区 画 内 の 冷 却 材 の 流<br />
動 、 構 造 材 との 熱 伝 達 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 、 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉<br />
容 器 外 の FCI 等 を 評 価 することが 可 能 な、 原 子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 炉 心 損 傷 後 のシビアアクシデント 特<br />
有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
d. 機 器 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 後 、 約 1.4 時 間 後 には 原 子 炉 容 器 破 損 に 至 り、 圧 力 スパイ<br />
クが 生 じることにより 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 が 上 昇 するが、 代 替<br />
格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減 温 ・ 減 圧 及 び 原 子<br />
炉 格 納 容 器 自 由 体 積 の 大 きさもあいまって、 溶 融 燃 料 流 出 停 止 までの<br />
期 間 の 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 はそれぞれ 約<br />
0.343MPa[gage]、 約 133℃に 抑 えられる。 以 降 、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・<br />
温 度 は、 約 48 時 間 時 点 でも 低 下 傾 向 が 維 持 されており、 安 定 状 態 と<br />
なっている。<br />
b. その 他 の 事 象 進 展 解 析 結 果 は、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
上 記 a.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (e)を 満 足<br />
している。<br />
191
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
原 子 炉 容 器 外 の FCI 現 象 に 関 する 大 規 模 実 験 の 知 見 から、 圧 力 スパ<br />
イクへの 影 響 因 子 として、 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 深 、 破 損 口 径 、デ<br />
ブリ 粒 子 の 径 及 びエントレインメント 係 数 を 挙 げ、これらの 影 響 因 子<br />
に 対 する 感 度 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、これらのパラメータが 圧 力<br />
スパイクに 与 える 影 響 は 小 さいことを 確 認 していることから、 解 析 コ<br />
ードの 不 確 かさが 評 価 項 目 となるパラメータに 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 については、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 としている。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相<br />
互 作 用 」において、 申 請 者 が 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いとしている<br />
ことは 妥 当 と 判 断 した。その 上 で、 規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として<br />
申 請 者 が 計 画 している 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減<br />
温 ・ 減 圧 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容<br />
器 スプレイ 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 代 替 格 納 容 器 スプレイを 行 っ<br />
た 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (e)を<br />
満 足 している。さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮<br />
しても、 評 価 項 目 (e)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認<br />
した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機<br />
能 を 喪 失 した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 及 び 格 納 容 器 スプレイ 系 等 )の 復 旧 を 期 待 してい<br />
ないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たっては、これらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容<br />
器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減 温 ・ 減 圧 により<br />
192
原 子 炉 格 納 容 器 破 損 を 防 止 した 後 、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 の 対 策 を 講 じるこ<br />
とにより、 原 子 炉 格 納 容 器 を 安 定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに<br />
対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 して<br />
いる 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 水 蒸 気 爆 発 が 実 機 において 発 生 する 可 能 性<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI のうち、 水 蒸 気 爆 発 は、 実 機 において 発 生 す<br />
る 可 能 性 は 極 めて 低 いとしている。その 根 拠 として、 実 機 において 想 定 される<br />
溶 融 物 ( 二 酸 化 ウランとジルコニウムの 混 合 溶 融 物 )を 用 いた 大 規 模 実 験 とし<br />
て、COTELS、FARO、KROTOS 及 び TROI を 挙 げ、これらのうち、KROTOS、TROI の<br />
一 部 実 験 においてのみ 水 蒸 気 爆 発 が 発 生 していることを 示 すとともに、 水 蒸 気<br />
爆 発 が 発 生 した 実 験 では、 外 乱 を 与 えて 液 - 液 直 接 接 触 を 生 じやすくしている<br />
こと、あるいは、 溶 融 物 の 初 期 の 過 熱 度 を 高 く 設 定 し、 溶 融 物 表 面 が 冷 却 材 中<br />
で 固 化 しにくくさせていることを 示 した。さらに、 大 規 模 実 験 の 条 件 と 実 機 条<br />
件 とを 比 較 した 上 で、 実 機 においては、 液 - 液 直 接 接 触 が 生 じるような 外 乱 と<br />
なり 得 る 要 素 は 考 えにくいこと、 実 機 で 想 定 される 初 期 の 過 熱 度 は 実 験 条 件 よ<br />
りも 低 く、 冷 却 材 中 を 落 下 する 過 程 で 溶 融 物 表 面 の 固 化 が 起 こりやすいことを<br />
示 した。<br />
加 えて、 申 請 者 は、JASMINE コードを 用 いた 水 蒸 気 爆 発 の 評 価 では、 水 蒸 気<br />
爆 発 の 規 模 が 最 も 大 きくなる 時 刻 に、 液 - 液 直 接 接 触 が 生 じるような 外 乱 を 与<br />
え 水 蒸 気 爆 発 を 誘 発 していること、 融 体 ジェット 直 径 分 布 として、0.1~1m の<br />
一 様 分 布 を 与 え、 流 体 の 運 動 エネルギーを 大 きく 評 価 していることを 示 し、こ<br />
れらの 評 価 想 定 は、 実 機 での 想 定 と 異 なることを 示 した。さらに、 上 記 の 水 蒸<br />
気 爆 発 に 関 する 大 規 模 実 験 の 知 見 と 実 機 条 件 との 比 較 及 び JASMINE コードに<br />
おける 評 価 想 定 と 実 機 での 想 定 との 相 違 を 踏 まえ、 実 機 においては、 水 蒸 気 爆<br />
193
発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いとする 根 拠 を 示 した。これにより、 規 制 委 員 会<br />
は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI で 生 じる 事 象 として、 水 蒸 気 爆 発 は 除 外 し 圧 力 スパイ<br />
クを 考 慮 すべきであることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 水 素 燃 焼 」( 以 下 この 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」<br />
という。)では、 水 素 燃 焼 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 し、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されること<br />
を 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(f)<br />
原 子 炉 格 納 容 器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること。( 水 素 濃 度 が<br />
ドライ 条 件 に 換 算 して 13vol% 以 下 又 は 酸 素 濃 度 が 5vol% 以 下 であること)」につい<br />
て、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 この 節 において「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項<br />
を 省 略 し、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 :ジルコニウム- 水 反 応 、MCCI、 水 の 放 射<br />
線 分 解 等 によって 水 素 が 発 生 し、 発 生 した 水 素 と 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 酸 素<br />
が 反 応 することにより 激 しい 燃 焼 が 生 じ、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 水 素 の 爆 轟 を 防 止 するためには、 早 期 に 発 生 する 水 素 及<br />
び 継 続 的 に 発 生 する 水 素 を 処 理 し、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 す<br />
る 必 要 がある。また、MCCI に 伴 う 水 素 発 生 に 対 しては、 原 子 炉 下 部 キャビ<br />
ティへ 注 水 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 :PWR プラントは 原 子 炉 格 納 容 器 自 由 体 積 が 大 きいことによ<br />
り 水 素 濃 度 が 高 濃 度 にならないという 特 徴 がある。その 上 で、 主 に 炉 心 損<br />
傷 時 に 発 生 した 水 素 の 処 理 を 行 う。このため、イグナイタを 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 新 たに 整 備 する。また、 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉<br />
下 部 キャビティへ 注 水 する。このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷<br />
式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 燃 料 取<br />
替 用 水 タンク、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 位 置 付 ける。<br />
194
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 継 続 的 に 発 生 する 水 素 の 処 理 を 行 う。このため、<br />
上 記 3のイグナイタに 加 え、PAR を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備<br />
する。また、 水 素 濃 度 、イグナイタ 及 び PAR の 監 視 を 行 う。このため、 可<br />
搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 、イグナイタ 動 作 監 視 装 置 、PAR 動 作 監 視<br />
装 置 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 する 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 及 び 高 圧 注 入<br />
機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、 事 象 進 展 が 早 くなり、 初<br />
期 から 水 素 放 出 が 開 始 され、かつ 水 素 放 出 速 度 が 大 きくなる 観 点 では、<br />
破 断 口 径 の 大 きい 大 破 断 LOCA であること、 水 蒸 気 が 凝 縮 され 水 素 濃<br />
度 が 相 対 的 に 高 くなる 観 点 では、 格 納 容 器 スプレイが 作 動 する 状 態 で<br />
あることなど、より 厳 しいシーケンスであることから 選 定 する。PRA<br />
の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必<br />
要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケンスは<br />
「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 事 象 進<br />
展 を 早 める 観 点 から 条 件 を 厳 しくするため、 高 圧 注 入 機 能 の 喪 失 を 追<br />
加 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉 容 器 内 の 溶 融 炉 心 のリロケーショ<br />
ン、 原 子 炉 容 器 破 損 、 溶 融 等 の 現 象 を 評 価 することが 可 能 であり、 原<br />
子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 用 いる。また、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 評 価 を 行 うため、 区 画 内 や 区 画 間 の 流 動 、<br />
構 造 材 との 熱 伝 達 等 の 事 象 を 適 切 に 評 価 することが 可 能 な GOTHIC を<br />
用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 水 素 は、 原 子 炉 容 器 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と<br />
反 応 し 発 生 するとする。 外 部 電 源 についてはあるものとする。 外 部 電<br />
源 がある 場 合 、 格 納 容 器 スプレイが 早 期 に 起 動 し、 水 蒸 気 が 凝 縮 され<br />
ることにより、 水 素 濃 度 の 観 点 で 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 :PAR1 基 当 たりの 水 素 処 理 量 は、 設 備 設 計 値 を 基 に<br />
1.2kg/h とし、5 基 の 設 置 とする。イグナイタは、13 基 ( 予 備 1 基 ) 設<br />
置 するが、 水 素 濃 度 の 観 点 で 厳 しくなるように 機 能 することを 期 待 し<br />
195
ない。ただし、MCCI による 水 素 発 生 の 不 確 かさを 考 慮 する 感 度 解 析 に<br />
おいては、イグナイタの 効 果 に 期 待 する。<br />
e. 操 作 条 件 :PAR は、 運 転 員 等 操 作 を 介 することなく 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 の 水 素 を 処 理 するため、 運 転 員 等 操 作 に 関 する 条 件 はない。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 後 、 炉 内 の 水 が 急 激 に 減 少 し 燃 料 の 露 出 が 始 まると、 燃 料<br />
被 覆 管 温 度 が 上 昇 することにより、ジルコニウム- 水 反 応 による 水 素<br />
が 発 生 するとともに、 約 27 分 後 には 炉 心 溶 融 が 開 始 する。<br />
b. 事 故 発 生 から 約 1.4 時 間 後 に 原 子 炉 容 器 が 破 損 するに 至 り、 溶 融 炉<br />
心 が 原 子 炉 容 器 外 に 流 出 するが、 約 1.5 時 間 後 に 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィに 溜 まった 水 が 原 子 炉 容 器 の 破 損 口 を 通 じて 原 子 炉 容 器 内 に 逆 流<br />
すると、 溶 融 炉 心 の 流 出 は 停 止 する。その 後 、 事 故 発 生 の 約 1.6 時 間<br />
後 に 原 子 炉 容 器 外 に 流 出 した 溶 融 炉 心 のジルコニウム- 水 反 応 によ<br />
る 水 素 の 生 成 はほぼ 停 止 する。ドライ 条 件 に 換 算 した 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 水 素 濃 度 は 最 大 約 12.8vol%で 減 少 に 転 じ、13 vol%を 下 回 る。<br />
c. 水 の 放 射 線 分 解 等 によって 発 生 する 水 素 を 考 慮 しても、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 に 設 置 した PAR の 効 果 により 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 は<br />
徐 々に 減 少 し、 事 象 発 生 から 25 時 間 時 点 においても 低 下 傾 向 が 続 い<br />
ている。<br />
d. 1 次 冷 却 材 配 管 の 破 断 区 画 において、ジルコニウム- 水 反 応 により<br />
発 生 した 水 素 が 破 断 口 から 放 出 されることにより、 一 時 的 に 水 素 濃 度<br />
が 高 くなるが、その 期 間 は 短 時 間 であり、 水 蒸 気 を 含 む 雰 囲 気 下 にお<br />
いて 水 素 濃 度 は 爆 轟 領 域 に 達 しない。<br />
e. 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 において、 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 溶 融 炉 心<br />
の 落 下 に 伴 うジルコニウム- 水 反 応 により 発 生 した 水 素 により 水 素<br />
濃 度 が 上 昇 することで、 一 時 的 に 爆 轟 領 域 に 入 る。しかしながら、 実<br />
機 では 気 相 部 に 直 接 起 爆 を 生 ずるようなエネルギー 源 はないこと、 仮<br />
に 燃 焼 が 生 じたとしても 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 の 形 状 等 から 爆<br />
轟 に 遷 移 する 可 能 性 はないことから、 爆 轟 発 生 の 可 能 性 はない。<br />
f. なお、 事 象 初 期 より 格 納 容 器 スプレイが 起 動 しているため、 原 子 炉<br />
下 部 キャビティに 落 下 した 溶 融 炉 心 は、 安 定 して 冷 却 されており、そ<br />
の 後 も 安 定 状 態 を 維 持 できる。<br />
上 記 b.、c.、d. 及 び e.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価<br />
項 目 (f)を 満 足 している。<br />
196
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードの 有 効 性 評 価 では、MAAP で 得 られた 水 素 発<br />
生 量 を 原 子 炉 容 器 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 反 応 するように 補 正<br />
して 評 価 する。 感 度 解 析 のパラメータを 組 み 合 わせた 場 合 、MCCI に 伴<br />
い 発 生 する 水 素 は、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 約 6%である。このこ<br />
とを 考 慮 し、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と 反 応 することに<br />
加 えて、MCCI による 水 素 発 生 を 考 慮 しても、PAR 及 びイグナイタによ<br />
り 水 素 処 理 することで、ドライ 条 件 に 換 算 した 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素<br />
濃 度 は 最 大 約 9.5vol%である。したがって、MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素<br />
の 不 確 かさを 考 慮 して 評 価 しても、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(f)を 満 足 している。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 の 中 で 影 響 を 与 えると 考 えられる 炉 心 崩 壊 熱 、PAR の 性 能<br />
の 変 動 等 を 対 象 に 不 確 かさの 影 響 を 確 認 したが、いずれも 水 素 濃 度 へ<br />
の 影 響 は 小 さい 又 は 濃 度 を 低 くすることとなる。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 評 価 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 燃 料 取 替 用 水 タンク(1,960m 3 )を 水 源 とする 格 納 容 器 スプレイによる 格<br />
納 容 器 注 水 は、 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 が 再 循 環 切 替 水 位 (16%)に 到 達<br />
後 、 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 運 転 に 切 り 替 える。 以 降 は、 格 納 容 器 再 循 環<br />
サンプを 水 源 とし、 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 運 転 を 継 続 する。したがって、<br />
燃 料 取 替 用 水 タンクへの 補 給 は 不 要 である。<br />
3 仮 に 外 部 電 源 が 喪 失 して、ディーゼル 発 電 機 からの 給 電 を 想 定 した 場 合<br />
には、ディーゼル 発 電 機 等 の 7 日 間 の 運 転 を 考 慮 すると 合 計 約 612.5kL の<br />
重 油 が 必 要 となる。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油<br />
貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事<br />
197
故 等 対 策 時 に 必 要 な 負 荷 は 設 計 基 準 事 故 時 に 想 定 している 非 常 用 炉 心 冷<br />
却 設 備 作 動 信 号 により 作 動 する 負 荷 に 含 まれることから、ディーゼル 発 電<br />
機 による 電 源 供 給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 水 素 燃 焼 」に 対 して、 申 請 者 が 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 水 素 濃 度 の 低 減 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対<br />
策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 及 び 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」において、PAR の 設 置 などを 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、<br />
格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (f)を 満 足 している。さらに、MCCI に 伴 い 発<br />
生 する 水 素 の 不 確 かさを 考 慮 して 評 価 しても、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(f)を 満 足 している。これにより、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目<br />
(f)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認 した。なお、 申 請<br />
者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備<br />
( 高 圧 注 入 ポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たっては<br />
これらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、イグナイタにより、 可 燃 状 態 になった 時 点 で 水 素 を 燃 焼 させることによ<br />
って、MCCI による 更 なる 水 素 生 成 がある 場 合 なども 含 めて、 水 素 濃 度 をより 確 実<br />
に 低 く 抑 えることができることを 確 認 した。イグナイタは、 水 素 が 頂 部 に 成 層 化<br />
する 可 能 性 にも 考 慮 して、 原 子 炉 格 納 容 器 ドーム 部 頂 部 付 近 にも 設 置 することを<br />
確 認 した。これらの 水 素 処 理 装 置 には 熱 電 対 を 設 置 して、 作 動 状 況 を 把 握 するこ<br />
とができることを 確 認 した。<br />
水 の 放 射 線 分 解 等 によって 発 生 する 水 素 を 考 慮 しても、PAR の 効 果 により 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 は 徐 々に 減 少 し、 低 下 傾 向 が 続 くことなどから、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 を 安 定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 高 圧 注 入 機 能 及 び 低 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認<br />
したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 水 素 燃 焼 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 な<br />
ものであると 判 断 した。<br />
198
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のとお<br />
りである。<br />
(1) 局 所 的 な 水 素 濃 度 上 昇 による 爆 轟 発 生 の 可 能 性<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 において、 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 溶 融 炉<br />
心 の 落 下 に 伴 う 水 素 発 生 により 水 素 濃 度 が 上 昇 することで 一 時 的 に 爆 轟 領 域<br />
に 入 るが、 実 機 において 爆 轟 が 発 生 することはないとしている。<br />
これに 対 して、 規 制 委 員 会 は、 爆 轟 の 発 生 メカニズムを 整 理 するとともに、<br />
爆 轟 が 発 生 しないとする 根 拠 を 明 確 にするようよう 求 めた。 申 請 者 は、 実 機 で<br />
は 気 相 部 に 衝 撃 波 を 与 えるような 強 いエネルギー 源 はないことから、 直 接 起 爆<br />
による 爆 轟 は 発 生 しないこと、また、 国 内 外 における 知 見 を 踏 まえ、 原 子 炉 下<br />
部 キャビティ 区 画 は、 配 管 やダクトのような 細 長 い 形 状 ではないこと、 片 端 又<br />
は 両 端 が 閉 ざされていないこと、 火 炎 が 加 速 するための 十 分 な 助 走 距 離 がない<br />
こと 及 び 火 炎 の 乱 れを 発 生 させるような 障 害 物 がないことから、 仮 に 燃 焼 が 生<br />
じたとしても 火 炎 が 加 速 され 爆 轟 に 遷 移 する 可 能 性 はないことを 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 爆 轟 の 発 生 メカニズムから 実 機 条 件 下 における 原 子 炉 下 部 キ<br />
ャビティ 区 画 では 直 接 起 爆 による 爆 轟 又 は 火 炎 が 加 速 され 爆 轟 に 遷 移 するこ<br />
とは 考 えにくく、 爆 轟 が 発 生 する 可 能 性 はないと 判 断 した。<br />
(2)イグナイタの 信 頼 性 向 上<br />
申 請 者 は、MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素 発 生 の 不 確 かさを 考 慮 した 場 合 、PAR だ<br />
けではなくイグナイタによる 水 素 処 理 にも 期 待 することで、ドライ 条 件 に 換 算<br />
した 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 は 13vol% 以 下 となるとしている。<br />
これに 対 して、 規 制 委 員 会 は、イグナイタによる 水 素 処 理 に 期 待 することか<br />
ら、イグナイタの 信 頼 性 を 向 上 させる 対 策 を 検 討 することを 求 めた。 申 請 者 は、<br />
各 イグナイタは 当 初 1 系 統 の 電 源 系 統 としていたが、2 系 統 の 電 源 系 統 から 給<br />
電 するものとし、2 系 統 の 電 源 設 備 はそれぞれ 異 なる 区 画 に 設 置 することで 互<br />
いに 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 した 設 計 とすることを 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、イグナイタの 電 源 設 備 を 多 重 性 、 位 置 的 分 散 及 び 独 立 を 考 慮<br />
した 設 計 としたことで、イグナイタによる 水 素 処 理 がより 確 実 に 実 施 されると<br />
判 断 した。<br />
199
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」( 以 下 この 節 において<br />
「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 原 子 炉 容 器 から 流 出 した 溶 融 炉 心 によ<br />
るコンクリートの 侵 食 という 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 し、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されること<br />
を 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(i)<br />
溶 融 炉 心 による 侵 食 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機 能 が 喪 失 しない<br />
こと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有<br />
効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 この 節 において「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項<br />
を 省 略 し、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 容 器 から 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 格 納 容<br />
器 内 の 床 上 に 流 出 し、 溶 融 炉 心 と 接 触 した 床 コンクリートが 溶 融 炉 心 から<br />
の 崩 壊 熱 や 化 学 反 応 により 侵 食 され、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 が 喪 失 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 溶 融 炉 心 を 冷 却 し、 溶 融 炉 心 によるコンクリート 侵 食 を<br />
抑 制 するために、 原 子 炉 下 部 キャビティへ 注 水 する。<br />
3 初 期 の 対 策 : 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉 下 部 キャビティへ 注 水<br />
する。このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵<br />
タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 位 置 付 ける。<br />
なお、 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 状 態 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 水<br />
位 監 視 装 置 の 作 動 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 ( 広 域 )の 上 昇 により 確<br />
認 する。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
200
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 する 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 の 手 法 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入<br />
機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、<br />
大 破 断 LOCA 時 にはより 早 期 に 原 子 炉 容 器 の 破 損 に 至 るため 流 出 する<br />
溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 が 大 きくなること、また、 炉 心 注 水 及 び 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 機 能 の 喪 失 により 原 子 炉 下 部 キャビティへの 水 の 流 入 が 遅 れ<br />
ることから、コンクリート 侵 食 の 観 点 でより 厳 しくなるためである。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器<br />
スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開<br />
始 時 間 を 遅 らせて、より 厳 しい 条 件 とする 観 点 から、 代 替 電 源 の 準 備<br />
が 必 要 となる 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 も 考 慮 する。さらに、 常 設 電 動 注<br />
入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 び 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を<br />
用 いた 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 海 水 通 水 による 格 納 容 器 内 自 然<br />
対 流 冷 却 の 有 効 性 を 確 認 する 観 点 から、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重<br />
畳 を 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉 容 器 内 の 溶 融 炉 心 のリロケーショ<br />
ン、 原 子 炉 容 器 破 損 、 溶 融 等 の 現 象 を 評 価 することが 可 能 であり、 原<br />
子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
d. 機 器 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 炉 心 溶 融 開 始 30 分 後 ( 事 象 発 生 の 約 52 分 後 )に 常 設 電 動 注 入 ポン<br />
プを 用 いた 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉 下 部 キャビティへの<br />
注 水 を 開 始 する。これにより、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 下 部 キャビティに 落<br />
下 する 時 点 ( 事 象 発 生 の 約 1.4 時 間 後 )において 約 1.1m の 原 子 炉 下<br />
部 キャビティ 水 位 が 確 保 され、 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 は 除 去 される。コン<br />
クリートの 侵 食 は 約 5mm であり、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 に 及 ぼす 影 響 はない。<br />
b. その 他 の 事 象 進 展 解 析 結 果 は、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 じである。<br />
201
よって、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (i)を 満 足 して<br />
いる。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
溶 融 炉 心 とコンクリート 間 の 伝 熱 及 びコンクリート 侵 食 挙 動 につ<br />
いては、ACE 実 験 及 び SURC 実 験 、また、より 新 しい DEFOR 実 験 及 び<br />
OECD-MCCI 実 験 の 結 果 との 比 較 により MAAP 解 析 の 妥 当 性 が 確 認 され<br />
ている(※ 14 )。しかし、これらの 現 象 は 不 確 かさが 大 きく、また、<br />
知 見 も 限 られることから、コンクリート 侵 食 量 に 影 響 を 与 えるパラメ<br />
ータについて 検 討 し、 原 子 炉 下 部 キャビティ 床 面 での 溶 融 炉 心 の 拡 が<br />
り 及 び 溶 融 炉 心 と 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 との 伝 熱 の 不 確 かさにつ<br />
いて 感 度 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 保 守 的 にライナプレートがない<br />
と 仮 定 し、 厳 しい 条 件 を 重 畳 させた 場 合 でも、 床 面 及 び 側 面 のコンク<br />
リート 侵 食 量 は 約 16cm であり、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 に 与 える 影 響 はない。なお、 溶 融 炉 心 が 拡 がる 過 程 で 先 端 から 冷 却<br />
が 進 むと 考 えられ、また、 実 験 等 の 知 見 によれば、 側 面 コンクリート<br />
が 侵 食 されて 形 成 されたギャップに 水 が 浸 入 するため、 溶 融 物 の 冷 却<br />
が 促 進 されコンクリート 侵 食 は 抑 制 される。これらにより、 評 価 項 目<br />
(i)に 関 する 判 断 に 影 響 を 及 ぼす 量 には 至 らなかった。また、これ<br />
らの 挙 動 に 関 連 する 運 転 員 等 操 作 はないため、 運 転 員 等 操 作 開 始 時 間<br />
に 与 える 影 響 はない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
炉 心 崩 壊 熱 の 変 動 を 考 慮 して 最 確 条 件 とした 場 合 、 保 守 的 に 設 定 し<br />
た 場 合 より 崩 壊 熱 が 小 さくなるため 炉 心 溶 融 の 開 始 が 遅 くなり、 原 子<br />
炉 下 部 キャビティ 注 水 の 準 備 時 間 の 余 裕 が 大 きくなる。また、 原 子 炉<br />
容 器 破 損 時 間 が 遅 くなるため、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 下 部 キャビティに 落<br />
下 する 時 点 での 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 量 が 多 くなり、 溶 融 炉 心 の 熱<br />
量 も 小 さくなるため、コンクリート 侵 食 量 は 減 少 する。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 操 作 開 始 遅 れが 原 子 炉 下 部 キャビ<br />
ティ 水 量 に 及 ぼす 影 響 を 把 握 するため、 注 水 操 作 開 始 時 間 を 遅 らせた<br />
感 度 解 析 を 実 施 し、 操 作 の 開 始 が 8 分 遅 れても、 原 子 炉 容 器 破 損 時 に<br />
(※ 14 )「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」 2.(3)MAAP を 参 照 。<br />
202
おいて 約 0.9m の 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 位 を 確 保 できることを 確 認<br />
した。この 結 果 より、 評 価 項 目 (i)を 満 足 することに 変 わりはない。<br />
これ 以 外 の 本 事 故 シーケンスの 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 への 影 響<br />
については「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 じであり、 対 策 実 施 に 与 える 影<br />
響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 については、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 としている。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」に 対<br />
して 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると<br />
判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納<br />
容 器 スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 を<br />
行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (i)<br />
を 満 足 している。さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 及 び 現 象 の 不<br />
確 かさを 考 慮 し、コンクリート 侵 食 量 の 感 度 解 析 を 実 施 した 結 果 、 厳 しい 条 件 を<br />
重 畳 させた 場 合 でもコンクリート 侵 食 量 が 支 持 機 能 に 影 響 を 及 ぼす 量 には 至 ら<br />
なかったことから、 評 価 項 目 (i)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらない<br />
ことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観<br />
点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 高 圧 注 入 系 、 余 熱 除 去 系 等 )の 復 旧 を 期 待 してい<br />
ないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して<br />
有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
203
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のとお<br />
りである。<br />
(1) 溶 融 炉 心 落 下 後 における 原 子 炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 への 影 響<br />
PCCV は、 構 造 強 度 を 確 保 する 鉄 筋 コンクリート 部 と 気 密 性 を 確 保 する 鋼 製<br />
ライナプレートから 構 成 されている。PCCV の 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 のうち、<br />
底 面 のライナプレートはコンクリートで 覆 われているものの 側 面 はライナプ<br />
レートが 露 出 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 内 に 落 下 した 際 に 溶 融 炉<br />
心 が 側 面 ライナプレートに 接 触 する 可 能 性 があることから、 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
閉 じ 込 め 機 能 への 影 響 について 詳 細 な 説 明 を 求 めた。 申 請 者 は、 原 子 炉 下 部 キ<br />
ャビティ 室 に 溶 融 炉 心 が 落 下 し、 側 面 のライナプレートに 接 触 して 破 損 した 場<br />
合 でも、 基 礎 コンクリート 及 び 基 礎 コンクリートと 鋼 材 との 付 着 力 を 考 慮 すれ<br />
ば 連 続 した 隙 間 は 生 じるとは 考 え 難 く、また、 外 部 環 境 まで 到 達 するような 長<br />
大 な 割 れが 生 じるとは 考 え 難 いこと、 仮 にリークパスを 想 定 した 場 合 でも、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 からの 漏 えい 量 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 によ<br />
る 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 ) 」における Cs-137 放 出 量 評 価 で 設 定 した 原 子 炉<br />
格 納 容 器 漏 えい 率 の 保 守 性 に 包 絡 されることを 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 内 に 落 下 した 溶 融 炉 心 が 側 面 ライナ<br />
プレートに 接 触 したとしても、 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 通 じる 貫 通 リークパスが 生<br />
じる 可 能 性 は 小 さく、 仮 に 貫 通 リークパスを 想 定 したとしても、 外 部 への 漏 え<br />
いは 有 効 性 評 価 で 設 定 している 漏 えい 率 の 保 守 性 に 包 絡 されることから、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 は 確 保 されると 判 断 した。<br />
なお、 申 請 者 は、さらなる 安 全 性 向 上 対 策 として、 自 主 的 に 原 子 炉 下 部 キャ<br />
ビティ 室 内 に 防 護 壁 を 設 置 し、 原 子 炉 下 部 キャビティ 側 面 ライナプレートと 溶<br />
融 炉 心 の 接 触 を 防 止 するとしている。<br />
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 3 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発<br />
生 した 場 合 において、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 体 又 は 使 用 済 燃 料 ( 以 下 「 貯 蔵 槽<br />
内 燃 料 体 等 」という。)の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたもので<br />
なければならないと 要 求 している。<br />
204
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、「 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 を 防 止 す<br />
るために 必 要 な 措 置 を 講 じたもの」とは、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機<br />
能 が 喪 失 することにより、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 温 度 が 上 昇 し、 蒸 発 により 水<br />
位 が 低 下 する 事 故 ( 以 下 「 想 定 事 故 1」という。) 及 びサイフォン 現 象 等 により 使<br />
用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 小 規 模 な 喪 失 が 発 生 し、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 低 下 す<br />
る 事 故 ( 以 下 「 想 定 事 故 2」という。)に 対 して、 以 下 の(a)から(c)の 項 目 ( 以<br />
下 「 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 」という。)を 満 足 することを 確 認 するとしてい<br />
る。<br />
(a) 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 していること。<br />
(b) 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 水 位 が 確 保 されていること。<br />
(c) 未 臨 界 が 維 持 されていること。<br />
Ⅳ-1.2.3.1 想 定 事 故 1<br />
「 想 定 事 故 1」では、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 が 喪 失 すること<br />
により、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 温 度 が 上 昇 し、 蒸 発 により 水 位 が 低 下 する 場 合<br />
において、 燃 料 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 想 定 事 故 の 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 1」の 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 想 定 事 故 の 特 徴 : 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 の 喪 失 に<br />
より、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 温 が 徐 々に 上 昇 し、 沸 騰 して 蒸 発 すること<br />
によって 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 低 下 し、 燃 料 が 露 出 して 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 必 要 な 水 位 を 維 持 し、 燃 料 の 損 傷 を 防 止 するために、 使<br />
用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 行 う。<br />
3 対 策 : 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 を 行 う。このため、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ット 補 給 用 水 中 ポンプ、 取 水 用 水 中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 中 間 受<br />
槽 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 びタンクローリを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 た<br />
に 整 備 する。また、 使 用 済 燃 料 ピットの 状 態 を 監 視 する。このため、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 周 辺 線 量 率 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 (SA) 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 整 備 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 1」への 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 解 析 手 法 を、 以 下 の<br />
205
とおりとしている。<br />
a. 評 価 の 考 え 方 : 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 が、 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 で<br />
きる 最 低 水 位 ( 放 射 線 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を 維 持 できる 水 位 。<br />
通 常 水 位 - 約 3.27m)に 低 下 するまでの 時 間 を 評 価 し、それよりも 早<br />
期 に 注 水 を 開 始 できることの 確 認 をもって、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 におけ<br />
る 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (b)を 満 たすものとする。 評 価 項 目<br />
(b)が 満 たされる 場 合 は 評 価 項 目 (a)も 同 時 に 満 たされる。<br />
b. 事 故 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピットポンプ 等 の 故 障 により 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
トの 冷 却 機 能 及 び 注 水 機 能 が 喪 失 するものとする。 事 故 発 生 時 の 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 温 は 40℃、 水 位 は 通 常 水 位 -0.09m とする。また、 外<br />
部 電 源 の 有 無 は 事 象 進 展 及 び 運 転 員 等 操 作 時 間 に 影 響 を 及 ぼさない<br />
が、 必 要 な 燃 料 等 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、 外 部 電 源 はないものと<br />
する。<br />
c. 機 器 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 流 量 は 25 m 3 /h と<br />
する。<br />
d. 操 作 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 は、 事 象<br />
発 生 の 確 認 、 注 水 準 備 に 必 要 な 移 動 、 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 して、<br />
事 象 発 生 から 7 時 間 50 分 後 に 開 始 するものとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 機 能 及 び 注 水 機 能 の 喪 失 により、 使 用 済 燃 料<br />
ピット 内 の 水 温 が 約 13 時 間 後 に 100℃に 到 達 し、 水 位 が 緩 慢 に 低 下<br />
し 始 める。<br />
b. 事 故 発 生 後 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 できる 最<br />
低 水 位 まで 低 下 する 時 間 は 約 2.1 日 である。 一 方 、 事 故 発 生 後 、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 の 準 備 に 要 する 時 間 は 7<br />
時 間 50 分 である。よって、 放 射 線 の 遮 蔽 が 失 われる 前 に 注 水 を 開 始<br />
できる。<br />
c. 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 流 量 は 25 m 3 /h であり、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 温 が 100℃に 到 達 した 後 の 崩 壊 熱 による 蒸 発 量 を 上 回<br />
っていることから、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 し、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 さ<br />
れる 水 位 を 確 保 できる。よって、 評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 におけ<br />
る 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)を 満 足 している。<br />
d. 使 用 済 燃 料 ピットは 純 水 冠 水 状 態 においても 未 臨 界 ( 実 効 増 倍 率 約<br />
0.966)であり、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 が 沸 騰 状 態 となり 密 度 が 低<br />
206
下 する 場 合 には 実 効 増 倍 率 が 低 下 するため 未 臨 界 は 維 持 される。 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 のほう 素 濃 度 が 高 い 場 合 、 沸 騰 前 と 沸 騰 状 態 における<br />
実 効 増 倍 率 は 1.0( 臨 界 )に 対 して 十 分 低 く、 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
よって、 評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評<br />
価 項 目 (c)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 用 いた 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 、 初 期 水 位 及 び 初 期 水 温 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、 使 用 済 燃 料<br />
ピット 内 の 水 温 が 変 動 するが、 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプに<br />
よる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 操 作 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 及 び<br />
水 位 を 起 点 に 開 始 する 操 作 ではないことから、 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与<br />
える 影 響 はない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 評 価 結 果 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、 解 析 条 件 として 設 定 している 崩 壊 熱<br />
より 小 さい 側 への 変 動 となり、また、 初 期 水 位 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、<br />
解 析 条 件 として 設 定 している 初 期 水 位 より 高 い 側 への 変 動 となるた<br />
め、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 最 低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 約<br />
2.1 日 より 長 くなる。 初 期 水 温 の 変 動 を 考 慮 し、 解 析 条 件 である 40℃<br />
より 厳 しい 65℃( 使 用 済 燃 料 ピットポンプ 1 台 故 障 時 の 平 均 水 温 の<br />
制 限 値 )として 評 価 した 結 果 、 遮 蔽 が 維 持 できる 最 低 水 位 に 到 達 する<br />
までの 時 間 は 約 1.9 日 となるが、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 は 事 故 発<br />
生 の 7 時 間 50 分 後 から 可 能 であるため、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小<br />
さい。<br />
その 他 の 解 析 条 件 の 不 確 かさ( 水 温 100℃ 未 満 での 水 面 からの 蒸 発<br />
による 水 位 低 下 等 )による 影 響 や、 操 作 開 始 時 間 の 遅 れによる 影 響 を<br />
考 慮 しても、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 できる 最<br />
低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 注 水 開 始 に 必 要 な 時 間 に 対 して 十 分<br />
な 余 裕 を 維 持 することから、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの<br />
注 水 操 作 を 現 場 にて 実 施 する 要 員 は、 同 一 の 運 転 員 等 による 事 象 進 展<br />
上 重 複 する 操 作 がないことから、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
207
申 請 者 は、「 想 定 事 故 1」に 対 する 燃 料 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料<br />
等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 想 定 事 故 が 発 生 した 場 合 の 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 合 わせて 40 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急<br />
時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応<br />
が 可 能 である。<br />
2 本 想 定 事 故 の 対 応 では、25 m 3 /h の 流 量 で 間 欠 的 に 使 用 済 燃 料 ピットへ<br />
の 注 水 を 行 うが、 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 水 源 となる 中 間 受<br />
槽 には、 取 水 用 水 中 ポンプにより 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又 は 海 水 を 取 水 源<br />
として 50 m 3 /h の 流 量 で 供 給 が 可 能 である。<br />
3 本 想 定 事 故 の 対 応 に 必 要 な 燃 料 としては、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を<br />
全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、<br />
発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量<br />
620kL で 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の「 想 定 事 故 1」に 対 して 申 請 者 が 計 画 して<br />
いる 燃 料 損 傷 防 止 対 策 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
「 想 定 事 故 1」において、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 代 替 注 水 を 行 った 場 合 に 対 す<br />
る 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 している。<br />
さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 をいずれ<br />
も 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、<br />
より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 使 用 済 燃 料 ピットポ<br />
ンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備<br />
の 機 能 回 復 も 重 要 な 燃 料 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の「 想 定 事 故 1」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 燃 料 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なも<br />
のであると 判 断 した。<br />
208
Ⅳ-1.2.3.2 想 定 事 故 2<br />
「 想 定 事 故 2」では、サイフォン 現 象 等 により 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 小 規 模<br />
な 喪 失 が 発 生 し、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 低 下 する 場 合 において、 燃 料 損 傷 防 止<br />
対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 想 定 事 故 の 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 2」の 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 想 定 事 故 の 特 徴 :サイフォン 現 象 等 により 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 の<br />
小 規 模 な 喪 失 が 発 生 し、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 低 下 し、 燃 料 が 露 出 して<br />
損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 必 要 な 水 位 を 維 持 し、 燃 料 の 損 傷 を 防 止 するために、 使<br />
用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 行 う。<br />
3 対 策 :「 想 定 事 故 1」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 2」に 対 する 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷<br />
防 止 対 策 の 解 析 手 法 を、 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 の 考 え 方 : 使 用 済 燃 料 ピット 水 の 小 規 模 な 喪 失 により 水 位 が 低<br />
下 した 後 、 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 できる 最 低 水 位 ( 放 射 線 の 遮 蔽 設 計 基<br />
準 値 0.15mSv/h を 維 持 できる 水 位 。 通 常 水 位 - 約 3.27m。)に 低 下 す<br />
るまでの 時 間 を 評 価 し、それよりも 早 期 に 注 水 を 開 始 できることの 確<br />
認 をもって、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(b)を 満 たすものとする。 評 価 項 目 (b)が 満 たされる 場 合 は 評 価 項<br />
目 (a)も 同 時 に 満 たされる。<br />
b. 事 故 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 の 配 管 破 断 によるサイフォン 現<br />
象 等 によりピット 水 の 小 規 模 な 漏 えいが 発 生 し、 使 用 済 燃 料 ピット 出<br />
口 配 管 下 端 ( 通 常 水 位 -1.41m)まで 水 位 が 低 下 すると 想 定 する。この<br />
破 断 により 冷 却 機 能 が 喪 失 するが、 重 畳 して、 注 水 機 能 も 喪 失 するも<br />
のとする。 漏 えいはこの 水 位 で 止 まるが、 水 温 が 上 昇 して 蒸 発 が 起 こ<br />
る 場 合 は 更 なる 水 位 低 下 が 生 じる。 事 故 発 生 時 の 使 用 済 燃 料 ピット 水<br />
温 は 40℃とする。また、 外 部 電 源 の 有 無 は 事 象 進 展 及 び 運 転 員 等 操 作<br />
時 間 に 影 響 を 及 ぼさないが、 必 要 な 燃 料 等 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、<br />
外 部 電 源 はないものとする。<br />
c. 機 器 条 件 :「 想 定 事 故 1」と 同 一 である。<br />
209
d. 操 作 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 は、 事 象<br />
発 生 後 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下<br />
端 に 達 した 時 点 から 準 備 を 開 始 するものとし、 要 員 の 移 動 及 び 注 水 準<br />
備 等 に 必 要 な 時 間 等 を 考 慮 して、 事 象 発 生 から 7 時 間 50 分 後 に 開 始<br />
するものとする。なお、 本 評 価 では 事 象 発 生 から 使 用 済 燃 料 ピット 水<br />
位 が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下 端 に 達 するまでの 時 間 は 考<br />
慮 しない。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 の 配 管 破 断 により 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
が 使 用 済 燃 料 ピット 出 口 配 管 下 端 まで 低 下 した 後 、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
内 の 水 温 が 約 11 時 間 後 に 100℃に 到 達 し、 水 位 が 緩 慢 に 低 下 し 始 め<br />
る。<br />
b. 事 故 発 生 後 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 できる 最<br />
低 水 位 まで 低 下 する 時 間 は 約 1.4 日 である。 一 方 、 事 故 発 生 後 、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 の 準 備 に 要 する 時 間 は 7<br />
時 間 50 分 ( 約 0.3 日 )である。よって、 放 射 線 の 遮 蔽 が 失 われる 前 に<br />
注 水 を 開 始 できる。<br />
c. 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 流 量 は 25 m 3 /h であり、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 温 が 100℃に 到 達 した 後 の 崩 壊 熱 による 蒸 発 量 を 上 回<br />
っていることから、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 し、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 さ<br />
れる 水 位 を 確 保 できる。よって、 評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 におけ<br />
る 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)を 満 足 している。<br />
d. 使 用 済 燃 料 ピットは 純 水 冠 水 状 態 においても 未 臨 界 ( 実 効 増 倍 率 約<br />
0.966)であり、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 が 沸 騰 状 態 となり 密 度 が 低<br />
下 する 場 合 には 実 効 増 倍 率 が 低 下 するため 未 臨 界 は 維 持 される。 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 のほう 素 濃 度 が 高 い 場 合 、 沸 騰 前 と 沸 騰 状 態 における<br />
実 効 増 倍 率 は 臨 界 に 対 して 十 分 低 く、 未 臨 界 は 維 持 される。よって、<br />
評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(c)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与 える 影 響<br />
210
崩 壊 熱 及 び 初 期 水 温 及 び 隣 接 するピットの 状 態 を 最 確 条 件 とした<br />
場 合 、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 上 昇 及 び 水 位 低 下 時 間 は 変 動 する。 使<br />
用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水<br />
準 備 は、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下<br />
端 に 達 した 時 点 から 開 始 するが、 事 象 発 生 から 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下 端 に 達 するまでの 時 間 は 考 慮<br />
しないことから、 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与 える 影 響 はない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 評 価 結 果 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、 解 析 条 件 として 設 定 している 崩 壊 熱<br />
より 小 さい 側 への 変 動 となるため、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 最 低 水<br />
位 に 到 達 するまでの 時 間 は 約 1.4 日 より 長 くなる。また、 初 期 水 温 の<br />
変 動 を 考 慮 し、 解 析 条 件 である 40℃より 厳 しい 65℃( 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットポンプ 1 台 故 障 時 の 平 均 水 温 の 制 限 値 )として 評 価 した 結 果 、 遮<br />
蔽 が 維 持 できる 最 低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 約 1.2 日 となるが、<br />
使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 は 事 故 発 生 の 7 時 間 50 分 ( 約 0.3 日 ) 後 か<br />
ら 可 能 であるため、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
その 他 の 解 析 条 件 の 不 確 かさ( 水 温 100℃ 未 満 での 水 面 からの 蒸 発<br />
による 水 位 低 下 等 )による 影 響 や、 操 作 開 始 時 間 の 遅 れによる 影 響 を<br />
考 慮 しても、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 できる 最<br />
低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 注 水 開 始 に 必 要 な 時 間 に 対 して 十 分<br />
な 余 裕 を 維 持 することから、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの<br />
注 水 操 作 を 現 場 にて 実 施 する 要 員 は、 前 後 に 他 の 操 作 がないことから、<br />
対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 2」に 対 する 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止<br />
対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
本 想 定 事 故 が 発 生 した 場 合 の 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 40 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策<br />
本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 であ<br />
る。<br />
燃 料 等 については「 想 定 事 故 1」と 同 一 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
211
規 制 委 員 会 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の「 想 定 事 故 2」に 対 して 申 請 者 が 計 画 して<br />
いる 燃 料 損 傷 防 止 対 策 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
「 想 定 事 故 2」において、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 代 替 注 水 を 行 った 場 合 に 対 す<br />
る 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 している。<br />
さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 をいずれ<br />
も 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、<br />
より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 冷 却 系 配 管 等 )の 復<br />
旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も<br />
重 要 な 燃 料 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の「 想 定 事 故 2」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 燃 料 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なも<br />
のであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 4 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発<br />
生 した 場 合 において、 運 転 停 止 中 (※ 15 )における 発 電 用 原 子 炉 内 の 燃 料 体 の 著 し<br />
い 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたものでなければならないと 要 求 して<br />
いる。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、「 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 著 しい 損 傷<br />
を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたもの」とは、 想 定 する 運 転 停 止 中 事 故 シーケ<br />
ンスグループに 対 して、 以 下 の(a)から(c)の 項 目 ( 以 下 「 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料<br />
体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 」という。)を 満 足 することを 確 認 するとしている。<br />
(a) 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 していること。<br />
(b) 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 水 位 が 確 保 されていること。<br />
(c) 未 臨 界 が 確 保 されていること(ただし、 通 常 の 運 転 操 作 における 臨 界 、 又 は<br />
燃 料 の 健 全 性 に 影 響 を 与 えない 一 時 的 かつ 僅 かな 出 力 上 昇 を 伴 う 臨 界 は 除<br />
く。)。<br />
(※ 15 ) 運 転 停 止 中 :「 停 止 中 評 価 ガイド」には、「 原 子 炉 運 転 停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉<br />
起 動 過 程 における 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 示 している。ただし、 全 燃 料 が 使 用<br />
済 燃 料 貯 蔵 槽 に 取 り 出 され、 原 子 炉 に 燃 料 がない 場 合 は 除 くとされている。<br />
212
Ⅳ-1.2.4.1 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ( 余 熱 除 去 系 の 故 障 に<br />
よる 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )」( 以 下 この 節 において「 本 事 故 シーケンスグループ」<br />
という。)では、 原 子 炉 運 転 停 止 中 に、 余 熱 除 去 系 の 故 障 等 により 崩 壊 熱 除 去 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 において、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があ<br />
るかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 余 熱 除 去 系 の 故 障 に 伴 う 崩 壊 熱 除 去<br />
機 能 の 喪 失 に 起 因 して、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 が 炉 心 崩 壊 熱 により 継 続 的 に<br />
蒸 発 して 減 少 し、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 が 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 露 出 及 び 損 傷 を 防 止 するた<br />
めには、 炉 心 への 注 水 手 段 を 確 保 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確 保 する 必<br />
要 がある。さらに、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 へ 熱 の 輸 送 を 確 保 し、 原 子 炉 内<br />
燃 料 体 の 崩 壊 熱 の 除 熱 を 継 続 的 に 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 充 てんポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 を 炉 心 に 注 水 し、<br />
1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 維 持 するとともに、 加 圧 器 開 口 部 ( 加 圧 器 安 全 弁<br />
3 弁 を 取 り 外 し 中 )からの 蒸 気 の 放 出 により 崩 壊 熱 を 除 去 する。このため、<br />
充 てんポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク、ディーゼル 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 運 転 に 切<br />
り 替 え、 炉 心 冷 却 を 継 続 するとともに、 必 要 に 応 じて、 格 納 容 器 再 循 環 ユ<br />
ニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 い、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を<br />
継 続 する。このため、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使<br />
用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循<br />
環 サンプ、B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等<br />
を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析<br />
コードの 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
213
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 余 熱 除<br />
去 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。PRA の 手 法 により 抽 出 され、 運<br />
転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必 要 が<br />
あるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける 事 故 シーケンスは、<br />
「 余 熱 除 去 機 能 喪 失 」である。 対 策 実 施 の 余 裕 時 間 及 び 燃 料 損 傷 回 避<br />
に 必 要 な 設 備 容 量 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、 崩 壊 熱 が 高 く、 原 子 炉<br />
冷 却 材 の 保 有 水 量 が 少 ない 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に「 余 熱<br />
除 去 機 能 喪 失 」が 起 こるとする。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 崩 壊 熱 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、 沸 騰 及 びボ<br />
イド 率 変 化 、 気 液 分 離 及 び 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における ECCS 強 制 注 入<br />
等 を 取 り 扱 うことのできる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 余 熱 除 去 ポンプの 故 障 等 による 余 熱 除 去 系 の 機 能 喪 失 が、<br />
2 系 統 で 同 時 に 発 生 することを 想 定 する。 事 象 発 生 の 時 期 については、<br />
定 期 検 査 工 程 上 、 原 子 炉 停 止 から 1 次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 と<br />
して 考 えられる 最 短 時 間 に 余 裕 をみた( 崩 壊 熱 を 高 くする 厳 しめの 設<br />
定 にするために 短 くしている) 時 間 として、 原 子 炉 停 止 後 72 時 間 と<br />
する。また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 燃 料 の 確 保 の 観 点<br />
では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 : 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 流 量 は、37m 3 /h とする。こ<br />
れは、 炉 心 注 水 開 始 を 事 象 発 生 後 50 分 とした 場 合 の 崩 壊 熱 による 蒸<br />
発 量 (36.6m 3 /h)を 上 回 る 流 量 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 の 開 始 は、 事 象 発 生 の<br />
検 知 及 び 判 断 並 びに 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 に 要 する 時 間<br />
を 考 慮 して、 事 象 発 生 から 50 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 の 約 2 分 後 から、1 次 冷 却 材 が 温 度 上 昇 により 沸 騰 し 始 め、<br />
蒸 気 が 加 圧 器 開 口 部 から 流 出 することで 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減<br />
少 し、 炉 心 水 位 は 低 下 する。 事 象 発 生 の 50 分 後 に 充 てんポンプによ<br />
る 炉 心 注 水 を 開 始 することにより、 事 象 発 生 後 約 150 分 で、 加 圧 器 開<br />
口 部 からの 流 出 流 量 と 炉 心 への 注 水 流 量 が 釣 り 合 い、1 次 冷 却 系 の 保<br />
有 水 量 及 び 1 次 冷 却 材 温 度 は 安 定 する。<br />
b. 事 象 発 生 後 、 燃 料 有 効 長 頂 部 のボイド 率 は 最 大 でも 0.7 程 度 であり、<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により、 炉 心 は 露 出 することはなく、 燃<br />
料 有 効 長 頂 部 は 冠 水 している。<br />
214
c. 燃 料 有 効 長 上 端 まで 水 位 が 低 下 しても、 原 子 炉 容 器 ふたは 閉 止 され<br />
ている 状 態 であり、 炉 心 上 部 の 遮 蔽 物 により 空 間 線 量 率 が 抑 えられ、<br />
作 業 員 の 被 ばく 低 減 が 図 られるため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 間 線 量 率<br />
は 燃 料 取 替 え 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を<br />
上 回 ることはない。<br />
d. ほう 素 濃 度 が 高 い 条 件 下 では、 炉 心 崩 壊 熱 による 1 次 冷 却 材 におけ<br />
るボイド 発 生 により 1 次 冷 却 材 の 密 度 が 低 下 すると、1 次 冷 却 材 中 の<br />
ほう 素 密 度 の 低 下 に 伴 う 中 性 子 吸 収 効 果 の 減 少 により、 一 時 的 に 反 応<br />
度 が 上 昇 する 場 合 がある。しかし、その 場 合 であっても 実 効 増 倍 率 が<br />
1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
e. なお、 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 が 再<br />
循 環 切 替 値 に 到 達 後 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHR-CSS タイライ<br />
ン 使 用 )による 代 替 再 循 環 運 転 に 切 替 えるとともに、 格 納 容 器 内 自 然<br />
対 流 冷 却 による 除 熱 を 継 続 することで 原 子 炉 を 安 定 状 態 へ 移 行 可 能<br />
である。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 では、 大 気 圧 程 度 の 低 圧 時 における 炉 心 水 位 の 不 確 かさ<br />
は±10%(±0.4m) 程 度 である。ただし、 実 際 の 炉 心 水 位 が 評 価 値 より<br />
0.4m 程 度 低 くなると 仮 定 しても、 燃 料 有 効 長 頂 部 から 更 に 約 1.0m 高<br />
い 位 置 まで 水 位 が 確 保 されるので、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 しているこ<br />
とには 変 わりはない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 は 保 守 的 ( 大 きい)な 値 に 設 定 されてい<br />
るため 実 際 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 は 解 析 結 果 に 比 べて 抑<br />
制 され、 炉 心 露 出 に 対 する 時 間 的 余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 については、 一 連 の 操 作 が 中 央 制<br />
御 室 で 実 施 され、 他 の 操 作 との 重 複 もないことから、 要 員 の 配 置 によ<br />
る 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
215
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 原 子 炉 内 燃 料 の 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な<br />
要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発<br />
電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL<br />
で 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 対 してディーゼル<br />
発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供 給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ( 余<br />
熱 除 去 系 の 故 障 による 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )」に 対 して、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原<br />
子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 充 てんポンプによる 炉 心 注 水<br />
及 びB 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )を 用 いた 代 替 再 循 環<br />
運 転 による 炉 心 冷 却 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」において、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者<br />
の 解 析 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも<br />
満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮<br />
しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。な<br />
お、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失<br />
した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 の 2 系 統 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に<br />
当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷<br />
防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を 回 避 した 後 、<br />
原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 格 納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 等 に<br />
より、 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出<br />
前 のミッドループ 運 転 中 に 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を<br />
確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判<br />
断 できる。<br />
216
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ( 余 熱 除 去 系 の 故 障 による 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )」<br />
に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なもので<br />
あると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 事 故 が 発 生 した 場 合 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 作 業 員 の 退 避<br />
申 請 者 は、 運 転 停 止 中 に 事 故 が 発 生 した 場 合 の 作 業 員 の 退 避 手 順 及 び 退 避 ル<br />
ートを 具 体 的 に 示 した。これにより、 規 制 委 員 会 は、ミッドループ 運 転 中 の 事<br />
故 時 における 作 業 員 の 放 射 線 防 護 と 原 子 炉 格 納 容 器 の 早 期 隔 離 が 確 実 に 実 施<br />
できるように、 作 業 員 が 原 子 炉 格 納 容 器 から 退 避 する 手 順 と 退 避 ルートが 明 確<br />
化 されていることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.4.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、 送 電 系 統 又 は 所 内 主 発 電 設 備 の<br />
故 障 等 により 外 部 電 源 が 喪 失 するとともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 系 統 が 機 能 喪<br />
失 し、これに 従 属 して 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 場 合 において、 運 転 停 止 中 原<br />
子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 起 因 する 余 熱<br />
除 去 系 の 炉 心 注 水 機 能 喪 失 及 び 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 従 属 して 発 生 する<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 に 起 因 する 余 熱 除 去 系 の 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 に<br />
より、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 が 炉 心 崩 壊 熱 により 継 続 的 に 蒸 発 して 減 少 する<br />
ことで、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 露 出 及 び 損 傷 を 防 止 するた<br />
めには、 炉 心 への 注 水 手 段 を 確 保 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確 保 する 必<br />
217
要 がある。さらに、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 へ 熱 の 輸 送 を 確 保 し、 原 子 炉 内<br />
燃 料 体 の 崩 壊 熱 の 除 熱 を 継 続 的 に 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 常 設 電 動 注 入 ポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 を 炉 心 に<br />
注 水 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 維 持 するとともに、 加 圧 器 開 口 部 ( 加 圧<br />
器 安 全 弁 3 弁 取 り 外 し 中 )からの 蒸 気 の 放 出 により 崩 壊 熱 を 除 去 する。こ<br />
のため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、タンクローリ 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 燃 料 油<br />
貯 蔵 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 再 循 環 サンプと 高 圧 注 入 ポンプを 用 い<br />
た 高 圧 再 循 環 運 転 により 炉 心 への 注 水 を 継 続 する。このため、B 高 圧 注 入<br />
ポンプ( 海 水 冷 却 )、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 等 を<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 位 置 付 ける。また、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに 海 水<br />
を 通 水 させることで 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 し、 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
の 除 熱 を 行 う。このため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、タンクローリ 等 を 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユ<br />
ニットを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析<br />
コードの 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 外 部 電<br />
源 が 喪 失 するとともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 機 能 喪 失 し、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。PRA の 手 法 により 抽 出 さ<br />
れ、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必<br />
要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける 事 故 シーケン<br />
スは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」で<br />
ある。 対 策 実 施 の 余 裕 時 間 及 び 燃 料 損 傷 回 避 に 必 要 な 設 備 容 量 を 厳 し<br />
く 評 価 する 観 点 から、 崩 壊 熱 が 高 く、 原 子 炉 冷 却 材 の 保 有 水 量 が 少 な<br />
い 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内<br />
交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」が 起 こるとする。さらに、 従 属 的 に 発<br />
生 する 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 の 重 畳 も 考 慮 する。<br />
218
. 解 析 コード: 炉 心 における 崩 壊 熱 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、 沸 騰 及 びボ<br />
イド 率 変 化 、 気 液 分 離 及 び 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における ECCS 強 制 注 入<br />
等 を 取 り 扱 うことのできる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 により 余 熱 除 去 系 の 炉 心 注 水 機 能 が<br />
喪 失 し、さらに、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 従 属 して 発 生 する 原 子 炉 補 機<br />
冷 却 機 能 喪 失 により 余 熱 除 去 系 の 崩 壊 熱 除 去 機 能 が 喪 失 するものと<br />
する。 事 象 発 生 の 時 期 については、 定 期 検 査 工 程 上 、 原 子 炉 停 止 から<br />
1 次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 として 考 えられる 最 短 時 間 に 余 裕 を<br />
みた( 崩 壊 熱 を 高 くする 厳 しい 設 定 にするために 短 くしている) 時 間<br />
として、 原 子 炉 停 止 後 72 時 間 とする。<br />
d. 機 器 条 件 : 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 流 量 は、37m 3 /h<br />
とする。これは、 炉 心 注 水 開 始 を 事 象 発 生 後 50 分 とした 場 合 の 崩 壊<br />
熱 による 蒸 発 量 (36.6m 3 /h)を 上 回 る 流 量 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 が 利 用 できるのは、 事 象 発 生 から 25<br />
分 後 以 降 とする。 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 操 作 の 開 始<br />
は、 事 象 発 生 の 検 知 、 判 断 、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 の 準 備 及 び 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 操 作 に 要 する 時 間 を 考 慮 して、 事 象 発 生 か<br />
ら 50 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 の 約 2 分 後 から、1 次 冷 却 材 が 温 度 上 昇 により 沸 騰 し 始 め、<br />
蒸 気 が 加 圧 器 開 口 部 から 流 出 することで 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減<br />
少 し、 炉 心 水 位 は 低 下 する。 事 象 発 生 後 25 分 で 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
が 利 用 可 能 になり、50 分 後 に 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 電 源 とする 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 を 開 始 することにより、 事 象 発 生<br />
後 約 150 分 で、 加 圧 器 開 口 部 からの 流 出 流 量 と 炉 心 への 注 水 流 量 が 釣<br />
り 合 い、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 及 び 1 次 系 温 度 は 安 定 する。<br />
b. 事 象 発 生 後 、 燃 料 有 効 長 頂 部 のボイド 率 は 最 大 でも 0.7 程 度 であり、<br />
常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 により、 炉 心 は 露 出 すること<br />
はなく、 燃 料 有 効 長 頂 部 は 冠 水 している。<br />
c. 燃 料 有 効 長 上 端 まで 水 位 が 低 下 しても、 原 子 炉 容 器 ふたは 閉 止 され<br />
ている 状 態 であり、 炉 心 上 部 の 遮 蔽 物 により 空 間 線 量 率 が 抑 えられ、<br />
作 業 員 の 被 ばく 低 減 が 図 られるため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 間 線 量 率<br />
は 燃 料 取 替 え 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を<br />
上 回 ることはない。<br />
219
d. ほう 素 濃 度 が 高 い 条 件 下 では、 炉 心 崩 壊 熱 による 1 次 冷 却 材 におけ<br />
るボイド 発 生 により 1 次 冷 却 材 の 密 度 が 低 下 すると、1 次 冷 却 材 中 の<br />
ほう 素 密 度 の 低 下 に 伴 う 中 性 子 吸 収 効 果 の 減 少 により、 一 時 的 に 反 応<br />
度 が 上 昇 する 場 合 もある。しかし、そのような 場 合 であっても 実 効 増<br />
倍 率 が 1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから、 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
e. なお、 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 が 再<br />
循 環 切 替 値 に 到 達 後 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いて 高 圧 注 入 ポンプ<br />
及 び 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ 冷 却 水 として 海 水 を 通 水 することで、<br />
B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )を 用 いた 高 圧 再 循 環 運 転 に 切 替 えると<br />
ともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いた 格 納 容 器 内 自 然 対 流<br />
冷 却 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を 継 続 することで、 燃 料 及 び 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 維 持 できる。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 では、 大 気 圧 程 度 の 低 圧 時 における 炉 心 水 位 の 不 確 かさ<br />
は±10%(±0.4m) 程 度 である。ただし、 実 際 の 炉 心 水 位 が 評 価 値 より<br />
0.4m 程 度 低 くなると 仮 定 しても、 燃 料 有 効 長 頂 部 から 更 に 約 1.0m 高<br />
い 地 点 まで 水 位 が 確 保 されるので、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 しているこ<br />
とには 変 わりはない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 は 保 守 的 な( 大 きい) 値 に 設 定 されてい<br />
るため、 実 際 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 は 解 析 結 果 に 比 べて<br />
抑 制 され、 炉 心 露 出 に 対 する 時 間 的 余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 操 作 については、 中 央 制 御<br />
室 及 び 現 場 での 作 業 であるが、それぞれ 別 の 運 転 員 等 による 操 作 であ<br />
り、 同 一 の 運 転 員 による 重 複 する 操 作 はないことから、 要 員 の 配 置 に<br />
よる 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
220
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 による 電 源 供 給 、<br />
移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
への 注 水 を 7 日 間 継 続 する 場 合 等 に 必 要 となる 重 油 量 は、 約 284.5kL であ<br />
る。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
用 燃 料 タンクに 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可 能 である。<br />
また、 電 源 としては、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対<br />
して、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供 給 が<br />
可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に<br />
対 して、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している、<br />
大 容 量 空 冷 式 発 電 機 による 代 替 交 流 電 源 の 確 保 、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用 いた 代<br />
替 炉 心 注 水 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )を 用 いた 高 圧 再 循 環 運 転 及 びA、B<br />
格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉<br />
えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 外 部 電 源 が 喪 失 する<br />
とともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 機 能 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する<br />
事 故 」において、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 を 行 った 場 合 に 対 する<br />
申 請 者 の 解 析 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をい<br />
ずれも 満 足 しており、さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 か<br />
さを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認<br />
した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機<br />
能 を 喪 失 した 設 備 ( 外 部 電 源 、 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 系 統 、 原 子 炉 補 機 冷 却 機<br />
能 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機<br />
能 回 復 も 重 要 な 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 により 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を<br />
回 避 した 後 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )を 用 いた 高 圧 再 循 環 運 転 に 切 替 え、<br />
さらにA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いた 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 による 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を 継 続 することにより、 原 子 炉 を 安 定 状 態 へ 導 くことがで<br />
きることを 確 認 した。<br />
221
さらに 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者 の<br />
計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出<br />
前 のミッドループ 運 転 中 に 外 部 電 源 が 喪 失 するとともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電<br />
源 が 機 能 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確<br />
認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断<br />
できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 運 転 停 止 中 原 子 炉<br />
内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.4.3 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 運 転 停 止 中 に、 原 子 炉 冷<br />
却 材 圧 力 バウンダリに 接 続 された 系 統 から 誤 操 作 等 による 系 外 への 漏 えいが 発 生<br />
する 場 合 において、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを<br />
確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリに 接 続<br />
された 系 統 から 系 外 への 誤 操 作 等 による 漏 えいに 起 因 して 1 次 冷 却 材 が<br />
流 出 することで、 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する。これにより、1 次 冷 却 系 の 保<br />
有 水 が 炉 心 崩 壊 熱 により 継 続 的 に 蒸 発 して 減 少 し、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃<br />
料 体 の 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 露 出 及 び 損 傷 を 防 止 するた<br />
めには、 炉 心 への 注 水 手 段 を 確 保 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確 保 する 必<br />
要 がある。さらに、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 へ 熱 の 輸 送 を 確 保 し、 原 子 炉 内<br />
燃 料 体 の 崩 壊 熱 の 除 熱 を 継 続 的 に 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 充 てんポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 を 炉 心 に 充 てん<br />
注 水 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 維 持 するとともに、 加 圧 器 開 口 部 ( 加 圧<br />
器 安 全 弁 3 弁 取 り 外 し 中 )からの 蒸 気 の 放 出 により 崩 壊 熱 を 除 去 する。こ<br />
222
のため、ディーゼル 発 電 機 、 充 てんポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 運 転 に 切<br />
り 替 え、 炉 心 冷 却 を 継 続 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格<br />
納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 い、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を 継 続 する。この<br />
ため、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 ) 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 、<br />
格 納 容 器 再 循 環 サンプ、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析<br />
コードの 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉<br />
冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 している。PRA の<br />
手 法 により 抽 出 され、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有<br />
効 性 を 確 認 する 必 要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにお<br />
ける 事 故 シーケンスは「 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が 喪 失 する<br />
事 故 」である。 対 策 実 施 の 余 裕 時 間 及 び 燃 料 損 傷 回 避 に 必 要 な 設 備 容<br />
量 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、 崩 壊 熱 が 高 く、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量<br />
が 少 ない 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に「 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
ンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」が 起 こるとする。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 崩 壊 熱 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、 沸 騰 及 びボ<br />
イド 率 変 化 、 気 液 分 離 及 び 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における ECCS 強 制 注<br />
入 、1 次 冷 却 系 における 冷 却 材 放 出 等 を 取 り 扱 うことのできる M-<br />
RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 炉 心 冷 却 の 観 点 から 厳 しくするため、 以 下 の 条 件 を 設 定<br />
している。<br />
ア. 事 象 発 生 の 時 期 については、 定 期 検 査 工 程 上 、 原 子 炉 停 止 から 1<br />
次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 として 考 えられる 最 短 時 間 に 余 裕<br />
をみた( 崩 壊 熱 を 高 くする 厳 しめの 設 定 にするために 短 くしている)<br />
時 間 として、 原 子 炉 停 止 後 72 時 間 とする。また、 外 部 電 源 はない<br />
ものとする。これは、 燃 料 の 確 保 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
223
イ.1 次 冷 却 材 の 流 出 は、 流 量 の 多 い 余 熱 除 去 系 からの 流 出 とし、 余<br />
熱 除 去 ポンプ 1 台 による 浄 化 及 び 冷 却 運 転 時 の 標 準 値 として<br />
450m 3 /h とする。 流 出 する 口 径 は 余 熱 除 去 系 統 の 最 大 口 径 で 約 20cm<br />
(8 インチ) 相 当 とする。<br />
ウ. 余 熱 除 去 機 能 喪 失 後 も 系 外 への 漏 えいの 停 止 を 見 込 まない。<br />
エ.1 次 冷 却 系 の 水 位 が 1 次 系 冷 却 材 管 の 下 端 に 到 達 した 時 点 で 両 系<br />
列 の 余 熱 除 去 系 が 機 能 喪 失 し、さらに 運 転 中 の 余 熱 除 去 系 機 能 喪 失<br />
後 に 待 機 中 の 余 熱 除 去 系 も 機 能 喪 失 するものとする。<br />
d. 機 器 条 件 : 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 流 量 は、 原 子 炉 停 止 72 時<br />
間 後 を 事 象 開 始 として、 余 熱 除 去 系 の 機 能 喪 失 ( 事 象 発 生 から 2 分 後 )<br />
から 20 分 後 ( 事 象 発 生 から 22 分 後 )における 崩 壊 熱 による 蒸 発 量<br />
(36.6m 3 /h)に 加 えて、 流 出 により 低 下 した 水 位 を 回 復 させるための<br />
水 量 を 見 込 み、45m 3 /h とする。<br />
e. 操 作 条 件 : 余 熱 除 去 系 の 機 能 喪 失 を 起 点 ( 事 象 発 生 から 2 分 後 )と<br />
して、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 の 準 備 を 開 始 する。 注 水 準 備<br />
に 必 要 な 時 間 を 20 分 とし、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 が、 事 象 発<br />
生 から 22 分 後 に 開 始 されるとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 後 、1 次 冷 却 材 の 流 出 に 伴 い、1 次 系 水 位 が 低 下 し 約 2 分<br />
で 余 熱 除 去 系 が 機 能 喪 失 することで 流 出 流 量 が 減 少 する。 事 象 発 生 後<br />
約 22 分 で、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 を 開 始 し、 加 圧 器 等 からの<br />
流 出 流 量 と 炉 心 への 注 入 流 量 が 釣 り 合 い、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確<br />
保 することができる。<br />
b. 事 象 発 生 後 、 燃 料 有 効 長 頂 部 のボイド 率 は 最 大 でも 0.7 程 度 であり、<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により、 炉 心 は 露 出 することはなく、 燃<br />
料 有 効 長 頂 部 は 冠 水 している。<br />
c. 燃 料 有 効 長 上 端 まで 水 位 が 低 下 しても、 原 子 炉 容 器 ふたは 閉 止 され<br />
ている 状 態 であり、 炉 心 上 部 の 遮 蔽 物 により 空 間 線 量 率 が 抑 えられ、<br />
作 業 員 の 被 ばく 低 減 が 図 られるため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 間 線 量 率<br />
は 燃 料 取 替 え 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を<br />
上 回 ることはない。<br />
d. ほう 素 濃 度 が 高 い 条 件 下 では、 炉 心 崩 壊 熱 による 1 次 冷 却 材 におけ<br />
るボイド 発 生 により 1 次 冷 却 材 の 密 度 が 低 下 すると、1 次 冷 却 材 中 の<br />
ほう 素 密 度 の 低 下 に 伴 う 中 性 子 吸 収 効 果 の 減 少 により、 一 時 的 に 反 応<br />
224
度 が 上 昇 する 場 合 もある。しかし、その 場 合 であっても 実 効 増 倍 率 が<br />
1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから、 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
e. なお、 原 子 炉 冷 却 材 流 出 系 統 の 隔 離 を 行 った 上 で、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 水 位 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 が 再 循 環 切 替 値 に 到 達 後 、 格<br />
納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 運 転 に 切 替 え、 格 納 容 器 スプレイ<br />
冷 却 器 による 除 熱 を 継 続 することで 燃 料 の 健 全 性 を 維 持 できる。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 では、 大 気 圧 程 度 の 低 圧 時 における 炉 心 水 位 の 不 確 かさは<br />
±10%(±0.4m) 程 度 である。したがって、 実 際 の 炉 心 水 位 が 評 価 値 よ<br />
り 0.4m 程 度 低 くなる 可 能 性 があるが、 燃 料 有 効 長 頂 部 から 更 に 約<br />
1.3m 高 い 位 置 まで 水 位 が 確 保 され、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 している<br />
ことには 変 わりはない。また、1 次 系 冷 却 材 配 管 の 下 端 の 水 位 に 到 達<br />
するまでの 時 間 が 早 まるので、 余 熱 除 去 機 能 喪 失 を 起 点 とする 充 てん<br />
ポンプによる 炉 心 注 水 の 操 作 開 始 は 早 くなるが、 操 作 開 始 が 早 まる 時<br />
間 は 数 十 秒 程 度 であり、 燃 料 の 冷 却 への 影 響 は 小 さい。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 及 び 1 次 冷 却 材 流 出 流 量 は 保 守 的 な( 大<br />
きい) 値 で 設 定 されているため、 実 際 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の<br />
低 下 は 解 析 結 果 に 比 べて 遅 くなり、 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する 1 次 系 冷<br />
却 材 配 管 の 下 端 の 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 が 遅 くなる。よって、 充<br />
てんポンプによる 炉 心 注 水 開 始 は、 余 熱 除 去 機 能 喪 失 を 起 点 としてい<br />
るため 遅 くなる。 操 作 開 始 が 遅 くなる 場 合 には、 操 作 開 始 時 点 におけ<br />
る 崩 壊 熱 が 小 さくなるため、1 次 冷 却 材 の 蒸 散 率 が 小 さくなり、1 次<br />
冷 却 系 の 保 有 水 量 の 減 少 が 抑 制 されるため、 炉 心 露 出 に 対 する 時 間 的<br />
余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 の 一 連 の 操 作 が 中 央 制 御 室 で 実 施 さ<br />
れるため 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
225
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスの 特 徴 を 踏 まえた 重 大 事 故 等 対 策 に 必 要<br />
な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発<br />
電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL<br />
にて 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給<br />
量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供<br />
給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 」に<br />
対 して、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 及 びB 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイラ<br />
イン 使 用 )による 代 替 再 循 環 運 転 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断<br />
した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バ<br />
ウンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 を 行 った<br />
場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の<br />
評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条<br />
件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがない<br />
ことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観<br />
点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 の 2 系 統 )の 復 旧 を 期 待 していないが、<br />
実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 原 子 炉 内 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を<br />
回 避 した 後 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 による 炉 心 冷 却 への 移 行 により、 原 子 炉 を<br />
安 定 状 態 へ 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者<br />
の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出<br />
前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対<br />
して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
226
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が<br />
喪 失 する 事 故 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷<br />
防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.4.4 反 応 度 の 誤 投 入<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 反 応 度 の 誤 投 入 」( 以 下 この 節 において「 本<br />
事 故 シーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 に、 化 学 体 積 制 御<br />
系 の 故 障 、 誤 操 作 等 により 純 水 が 1 次 冷 却 材 中 に 注 入 され 1 次 冷 却 材 中 のほう 素 濃<br />
度 が 低 下 して 反 応 度 が 添 加 されることにより、 臨 界 に 至 る 可 能 性 がある 場 合 におい<br />
て、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 に、 化 学 体 積 制<br />
御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 に 起 因 する 1 次 冷 却 材 中 への 純 水 注 入 により、1 次 冷<br />
却 材 中 のほう 素 濃 度 が 低 下 することで 正 の 反 応 度 が 添 加 され、 臨 界 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 臨 界 を 防 止 するためには、<br />
早 期 に 反 応 度 の 誤 投 入 を 判 断 し、 速 やかに 希 釈 停 止 操 作 を 行 うとともに、<br />
未 臨 界 状 態 が 維 持 されていることを 確 認 し、 必 要 に 応 じてほう 酸 濃 縮 操 作<br />
を 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 :1 次 系 純 水 補 給 ライン 流 量 制 御 弁 の「 閉 」 操 作 及 び 1 次 系<br />
補 給 水 ポンプの 停 止 操 作 により、1 次 冷 却 系 への 純 水 の 注 入 を 停 止 する。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 充 てんポンプによりほう 酸 タンクのほう 酸 水 を<br />
炉 心 に 注 水 し、 未 臨 界 を 維 持 する。このため、ほう 酸 タンク、ほう 酸 ポン<br />
プ、 充 てんポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 評 価 の 考 え 方 、 解 析 条 件 の 設<br />
定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤<br />
227
動 作 等 により 原 子 炉 へ 純 水 が 流 入 する 事 故 」を 選 定 する。PRA の 手 法<br />
により 抽 出 され、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性<br />
を 確 認 する 必 要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける<br />
事 故 シーケンスは「 反 応 度 の 誤 投 入 」である。 定 期 検 査 中 においては、<br />
原 子 炉 起 動 前 までは 純 水 注 入 による 希 釈 が 生 じない 措 置 を 講 じてい<br />
ることを 考 慮 し、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 による 純 水 注 入 は、<br />
原 子 炉 起 動 時 に 起 こり 得 ると 想 定 する。また、 臨 界 到 達 までの 時 間 余<br />
裕 を 厳 しく 評 価 する 観 点 からも 原 子 炉 起 動 時 を 想 定 する。<br />
b. 評 価 の 考 え 方 : 本 重 要 事 故 シーケンスでは、 事 象 発 生 から 臨 界 に 至<br />
るまでの 時 間 が 重 要 である。 中 性 子 束 とほう 素 濃 度 の 関 係 から 導 かれ<br />
た 評 価 式 により、 希 釈 開 始 から「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」<br />
警 報 の 発 信 及 び 臨 界 に 至 るまでの 時 間 を 求 める。これにより、 運 転 員<br />
が 警 報 により 異 常 な 状 態 を 検 知 し、 臨 界 に 至 る 前 に 希 釈 停 止 操 作 を 実<br />
施 するための 時 間 余 裕 を 評 価 する。<br />
c. 初 期 条 件 : 制 御 棒 は 全 挿 入 とする。 水 による 希 釈 率 を 大 きくするた<br />
め、1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 小 さめにし、1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 加<br />
圧 器 、 原 子 炉 容 器 上 部 ドーム 部 、 炉 心 内 バイパス 等 を 除 いた 261m 3 と<br />
する。1 次 冷 却 系 のほう 素 濃 度 については、 初 期 は、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンクの 保 安 規 定 制 限 値 である 2,500ppm とし、 臨 界 時 は 1,800ppm とす<br />
る。<br />
d. 事 故 条 件 : 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により、<br />
1 次 冷 却 材 中 に 純 水 が 注 入 されることを 想 定 する。1 次 冷 却 系 への 純<br />
水 補 給 最 大 流 量 は、1 次 系 補 給 水 ポンプ 2 台 運 転 時 の 全 容 量 (60m 3 /h)<br />
に 余 裕 を 持 たせた 値 81.8m 3 /h とする。1 次 系 補 給 水 ポンプにより 原 子<br />
炉 へ 純 水 が 流 入 して 反 応 度 が 投 入 される 事 象 を 想 定 するため、 外 部 電<br />
源 はあるものとする。<br />
e. 機 器 条 件 : 評 価 上 の「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」 設 定 値 は、<br />
警 報 発 信 から 臨 界 までの 時 間 的 余 裕 を 少 なめに 評 価 するため、 実 際 の<br />
設 定 値 (0.5 デカード 上 )に 余 裕 を 見 込 んだ 値 として、 停 止 時 中 性 子<br />
束 レベルの 0.8 デカード 上 とする。<br />
f. 操 作 条 件 : 希 釈 停 止 操 作 の 開 始 は「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束<br />
高 」 警 報 発 信 から 10 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
228
a. 1 次 冷 却 材 中 のほう 素 濃 度 が 低 下 するが、 事 象 発 生 から 約 51 分 後<br />
に「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」 警 報 が 発 信 する。 警 報 発 信 か<br />
ら 10 分 後 の 約 61 分 後 に 1 次 系 補 給 水 ポンプの 停 止 や 弁 の 閉 止 等 の 純<br />
水 注 入 停 止 操 作 ( 所 要 時 間 は 1 分 )を 実 施 し、1 次 冷 却 材 の 希 釈 を 停<br />
止 する。<br />
b. 希 釈 開 始 から「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」の 警 報 が 発 信 さ<br />
れるまで 約 51 分 を 要 し、 臨 界 (ほう 素 濃 度 :1,800ppm)に 至 るまで<br />
にはさらに 約 11 分 を 要 する。 警 報 発 信 から 10 分 後 に 純 水 注 入 停 止 操<br />
作 を 開 始 することから、 臨 界 到 達 まで 時 間 余 裕 は 約 1 分 であるが、 実<br />
際 に 見 込 まれる 純 水 注 入 停 止 操 作 の 所 要 時 間 が 約 20 秒 であることを<br />
考 慮 すると、 運 転 員 が 異 常 状 態 を 検 知 してから 純 水 注 入 停 止 操 作 の 終<br />
了 までには 時 間 があり、 未 臨 界 を 維 持 することができる。<br />
c. 炉 心 は 満 水 が 維 持 されており、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 している 状 態<br />
である。<br />
d. 原 子 炉 容 器 ふたが 閉 止 されている 状 態 であることから、 放 射 線 の 遮<br />
蔽 は 維 持 されている。<br />
e. ほう 酸 注 入 による 濃 縮 操 作 により 長 期 にわたる 未 臨 界 の 維 持 が 可<br />
能 である。なお、 事 故 によって、1 次 冷 却 系 が 臨 界 ほう 素 濃 度 である<br />
1,800ppm まで 希 釈 された 際 に、 初 期 ほう 素 濃 度 2,500ppm まで 濃 縮 す<br />
るのに 要 する 時 間 は 約 2.2 時 間 である。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
1 次 冷 却 系 への 純 水 補 給 水 量 及 び 臨 界 ほう 素 濃 度 は、 評 価 項 目 のパ<br />
ラメータである 事 象 発 生 から 臨 界 到 達 までの 時 間 に 対 して、 余 裕 が 少<br />
なくなるような 設 定 をしている。よって、1 次 冷 却 系 への 純 水 補 給 水<br />
量 及 び 臨 界 ほう 素 濃 度 を 変 動 させた 場 合 、 事 象 進 展 は 遅 くなるため 臨<br />
界 到 達 までの 時 間 が 長 くなり、 運 転 員 等 の 事 象 検 知 や 操 作 に 要 する 時<br />
間 に 対 する 余 裕 が 増 す。さらに、 臨 界 到 達 時 期 が 遅 くなることにより、<br />
炉 心 露 出 に 対 する 余 裕 が 大 きくなる。<br />
b. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
運 転 員 等 操 作 は 中 央 制 御 室 における 希 釈 停 止 操 作 のみを 想 定 して<br />
いることから、 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
229
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 必 要<br />
な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 18 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 電 源 とし<br />
ては、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル<br />
発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供 給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 反 応 度 の 誤 投 入 」に 対 し<br />
て、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 希 釈<br />
停 止 操 作 及 びほう 酸 濃 縮 操 作 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により<br />
原 子 炉 へ 純 水 が 流 入 する 事 故 」において、 希 釈 停 止 操 作 を 行 った 場 合 に 対 する 申<br />
請 者 の 評 価 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいず<br />
れも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 評 価 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 結 果<br />
が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。<br />
また、 希 釈 停 止 操 作 により 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を 回 避 した 後 、ほ<br />
う 酸 注 入 による 濃 縮 操 作 により 長 期 にわたる 未 臨 界 の 維 持 が 可 能 であることを<br />
確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者<br />
の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 原 子 炉 起<br />
動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により 原 子 炉 へ 純 水 が 流 入 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対<br />
して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により 原 子 炉 へ 純 水 が<br />
230
流 入 する 事 故 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷<br />
防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード<br />
申 請 者 が 使 用 している 解 析 コードのうち、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 で 使 用 する 解 析 コー<br />
ドについては、 炉 心 損 傷 に 至 る 前 の 原 子 炉 を 対 象 としていることから、 原 則 として<br />
従 来 の 設 計 基 準 事 故 を 対 象 とした 安 全 解 析 コードとほぼ 同 等 の 検 証 方 法 が 適 用 可<br />
能 であると 考 えられる。よって、これらのコードに 対 しては、 有 効 性 評 価 ガイドを<br />
踏 まえ、 実 験 等 を 基 に 検 証 され、 適 用 範 囲 が 適 切 なコードを 用 いているかという 観<br />
点 を 主 とし、 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 場 合 に 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 が<br />
行 われているかという 観 点 を 従 として 審 査 を 行 う。<br />
他 方 、 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 で 使 用 する 解 析 コードは、 炉 心 が 損 傷 した 後<br />
の 事 象 進 展 を 解 析 対 象 としており、 個 々の 解 析 モデルについては 部 分 的 に 実 験 によ<br />
る 検 証 が 行 われているものの、 実 験 と 実 機 のスケールの 差 を 含 めた 条 件 の 違 いや、<br />
実 機 の 事 故 では 複 数 の 現 象 が 同 時 進 行 することから、 不 確 かさの 幅 が 大 きいと 考 え<br />
られる。このため、 有 効 性 評 価 ガイドの「 不 確 かさが 大 きいモデルを 使 用 する 場 合 」<br />
に 該 当 すると 見 なし、 有 効 性 評 価 への 適 用 に 際 しては、 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評<br />
価 結 果 から、 解 析 結 果 の 妥 当 性 の 確 認 が 行 われているかという 観 点 を 主 とした 審 査<br />
を 行 う。<br />
以 下 、コードごとに 申 請 内 容 とその 確 認 内 容 について 示 す。<br />
1. 申 請 者 が 使 用 している 解 析 コード<br />
申 請 者 は、 評 価 対 象 の 事 故 シーケンスグループ 及 び 格 納 容 器 破 損 モードで 考 慮<br />
すべき 現 象 を 踏 まえて、 有 効 性 評 価 に 使 用 するコードを 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価<br />
1-1 起 因 事 象 発 生 時 に 原 子 炉 の 停 止 に 成 功 する 事 象 で、 炉 心 の 冷 却 状 態<br />
を 解 析 するうえで 原 子 炉 格 納 容 器 の 状 態 からは 有 意 な 影 響 がない「2<br />
次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイ<br />
パス(インターフェイスシステム LOCA)」、「 格 納 容 器 バイパス( 蒸 気<br />
発 生 器 伝 熱 管 破 損 )」の 評 価 については、2 次 冷 却 系 も 含 めて 炉 心 の 冷<br />
却 状 態 の 解 析 が 可 能 な M-RELAP5 を 使 用 している。また、「 全 交 流 動 力<br />
電 源 喪 失 」の 評 価 においては 原 子 炉 格 納 容 器 内 圧 が 有 意 に 上 昇 するた<br />
め、M-RELAP5 に 加 えて、 原 子 炉 格 納 容 器 内 雰 囲 気 の 解 析 が 可 能 な COCO<br />
を 併 用 している。<br />
231
1-2 起 因 事 象 発 生 時 に 原 子 炉 の 停 止 に 失 敗 し、 炉 心 の 冷 却 状 態 に 応 じて<br />
原 子 炉 出 力 が 変 動 する「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」の 評 価 については、 炉<br />
心 の 冷 却 状 態 及 び 出 力 分 布 変 化 を 同 時 に 解 析 可 能 な SPARKLE-2 を 使<br />
用 している。<br />
2 炉 心 の 冷 却 状 態 を 解 析 するうえで 原 子 炉 格 納 容 器 の 状 態 が 有 意 な 影 響<br />
を 及 ぼす「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」の 評<br />
価 については、 炉 心 の 冷 却 状 態 と 原 子 炉 格 納 容 器 の 状 態 の 相 互 作 用 を 解 析<br />
可 能 な MAAP を 使 用 している。<br />
(2) 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価<br />
1 いずれの 格 納 容 器 破 損 モードについても、 炉 心 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 状<br />
態 の 熱 水 力 挙 動 を 解 析 でき、 炉 心 損 傷 後 特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 及 び 核 分 裂 生<br />
成 物 ( 以 下 「FP」という。) 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 使 用 して<br />
いる。また、「 水 素 燃 焼 」の 評 価 については、MAAP は 格 納 容 器 内 空 間 を 3<br />
次 元 で 模 擬 できずドーム 部 内 の 空 間 分 布 評 価 には 適 さないこと、 水 素 の 発<br />
生 量 をガイドの 条 件 に 設 定 することから、MAAP に 加 えて、 水 素 の 区 画 間 の<br />
移 行 等 を 解 析 可 能 な GOTHIC を 使 用 している。<br />
(3) 運 転 停 止 中 原 子 炉 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価<br />
1 いずれの 事 故 シーケンスグループについても、 余 熱 除 去 系 停 止 時 の 炉 心<br />
における 沸 騰 現 象 とそれに 伴 う 水 位 低 下 を 解 析 可 能 な M-RELAP5 を 使 用 し<br />
ている。<br />
2. 解 析 コードの 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性<br />
(1)M-RELAP5<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、M-RELAP5 の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
a. M-RELAP5 は、 制 御 系 、 熱 水 力 、 熱 構 造 材 、 原 子 炉 動 特 性 (1 点 炉 近<br />
似 ) 等 の 計 算 機 能 を 有 し、 原 子 炉 の 異 常 な 過 渡 ・ 事 故 時 の 熱 流 動 解 析<br />
を 行 う 汎 用 性 の 高 い 計 算 コードである。<br />
b. 米 国 において、US-APWR の 安 全 解 析 ( 小 破 断 LOCA)に 適 用 している。<br />
また、 本 コードがベースとしている RELAP5 は、 欧 米 において Non-LOCA、<br />
LOCA( 大 小 の 双 方 を 含 む。)の 安 全 解 析 への 適 用 例 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 試 験 解 析 により 妥 当<br />
性 評 価 を 行 っている。<br />
232
c.-1 炉 心 における 重 要 現 象 のモデル( 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 モデル、ボ<br />
イドモデル、 流 動 様 式 )については、ORNL/THTF 試 験 、ROSA/LSTF<br />
SB-CL-18 及 び 39 試 験 、PKL/F1.1 試 験 の 解 析 結 果 により 検 証 して<br />
いる。また、 大 気 圧 条 件 における 炉 心 水 位 については、<br />
Winfrith/THETIS 試 験 の 解 析 結 果 により 検 証 している。<br />
c.-2 1 次 冷 却 系 における 重 要 現 象 のモデル( 自 然 循 環 時 の 壁 面 熱 伝<br />
達 モデル、 冷 却 材 放 出 時 の 破 断 流 モデル、 気 液 分 離 ・ 対 向 流 の 流<br />
動 様 式 、 沸 騰 時 の 2 流 体 モデル 及 び 壁 面 熱 伝 達 モデル、ECCS 強 制<br />
注 入 時 のポンプ 特 性 モデル、ECCS 蓄 圧 タンクの 非 凝 縮 性 ガス)に<br />
ついては、PKL/F1.1 試 験 、Marviken 試 験 、 美 浜 2 号 機 の 蒸 気 発<br />
生 器 伝 熱 管 損 傷 解 析 、ROSA/LSTF SB-CL-18 及 び 39 試 験 の 解 析 結<br />
果 により 検 証 している。<br />
c.-3 加 圧 器 における 重 要 現 象 のモデル( 気 液 熱 非 平 衡 及 び 水 位 変 化<br />
の 2 流 体 モデル、 冷 却 材 放 出 時 の 臨 界 流 モデル) については、<br />
LOFT L6-1 及 び L9-3 試 験 、ROSA/LSTF SB-CL-18 及 び 39 試 験 の 解<br />
析 結 果 により 検 証 している。<br />
c.-4 蒸 気 発 生 器 における 重 要 現 象 のモデル(1 次 側 ・2 次 側 の 壁 面<br />
熱 伝 達 モデル、2 次 側 水 位 変 化 ・ドライアウトの 2 流 体 モデル)<br />
については、ROSA/LSTF SB-CL-39 試 験 、PKL/F1.1 試 験 、LOFT L6-<br />
1 及 び L9-3 試 験 の 解 析 結 果 により 検 証 している。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、LOCA 時 における 炉 心 水 位 について、 事 故<br />
時 条 件 と 大 気 圧 条 件 のそれぞれについて 評 価 している。また、LOCA 時<br />
の 破 断 流 量 について、 破 断 面 積 のスペクトル 解 析 により 解 析 結 果 の 保<br />
守 性 を 確 保 している。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、M-RELAP5 についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 の<br />
ように 確 認 した。<br />
a. 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 重 要 事 故 シーケンスにおける 炉 心 及 び 1 次 冷<br />
却 系 の 熱 流 動 に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。<br />
c. 本 コードは、 炉 心 損 傷 に 至 る 前 の 原 子 炉 を 対 象 としており、 原 則 と<br />
して 従 来 の 設 計 基 準 事 故 を 対 象 とした 安 全 解 析 コードとほぼ 同 等 の<br />
検 証 方 法 が 適 用 可 能 である。 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルに<br />
ついて、 実 験 等 を 基 に 検 証 が 行 われ、 適 用 範 囲 が 示 されている。<br />
233
d. 規 制 委 員 会 は、RELAP5/MOD3.3(※ 16 ) 及 び SKETCH-INS(※ 17 )<br />
/TRACE5.0(※ 18 )を 用 いて、モデルプラントを 対 象 に 重 要 事 象 の 解 析<br />
を 実 施 し、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 評 価 する 上 で 重 要 な 現 象 及 び<br />
考 慮 すべき 主 要 な 不 確 かさを 確 認 した。そこで 抽 出 されたものについ<br />
て、 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の M-RELAP5 の<br />
特 性 に 応 じた 使 用 方 法 は、 妥 当 と 判 断 できる。<br />
(2)SPARKLE-2<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、SPARKLE-2 の 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
a. SPARKLE-2 は、M-RELAP5 の 炉 心 動 特 性 を 1 点 炉 近 似 から 3 次 元 動 特<br />
性 に 変 更 したコードであり、1 次 冷 却 系 全 体 の 熱 流 動 と 3 次 元 炉 心 動<br />
特 性 との 相 互 作 用 が 評 価 可 能 なプラント 過 渡 特 性 解 析 コードである。<br />
b. プラント 過 渡 解 析 モデルに 関 しては、M-RELAP5 と 同 様 であり、ベー<br />
スとしている RELAP-3D については、 欧 米 において 実 績 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 計 算 ベンチマークや<br />
試 験 解 析 等 により 妥 当 性 評 価 を 行 っている。<br />
c.-1 炉 心 の 核 特 性 に 係 る 重 要 現 象 ( 中 性 子 動 特 性 、ドップラフィー<br />
ドバック 効 果 、 減 速 材 フィードバック 効 果 )については、TWIGL<br />
ベンチマーク、LMW ベンチマーク、SPERT-Ⅲ E-core 実 験 解 析 、<br />
モンテカルロコードとの 比 較 、 減 速 材 温 度 係 数 測 定 検 査 の 解 析 に<br />
より 検 証 している。<br />
c.-2 炉 心 の 燃 料 に 係 る 重 要 現 象 ( 燃 料 棒 内 温 度 変 化 )については、<br />
FINE コードとの 比 較 、SPERT-Ⅲ E-core 実 験 解 析 により 検 証 して<br />
いる。<br />
c.-3 炉 心 の 熱 流 動 に 係 る 重 要 現 象 のモデル( 沸 騰 ・ボイド 率 変 化 の<br />
二 相 流 圧 力 損 失 モデル、サブクールボイドモデル、 気 液 相 対 速 度 )<br />
については、NUPEC 管 群 ボイド 試 験 の 解 析 により 検 証 している。<br />
(※ 16 )RELAP5/MOD3.3 CODE MANUAL, VOLUME I: CODE STRUCTURE, SYSTEM MODELS, AND SOLUTION METHODS,<br />
December 2001, Information Systems Laboratories, Inc., Rockville, Maryland, Idaho Falls, Idaho.<br />
(※ 17 )( 独 ) 原 子 力 安 全 基 盤 機 構 , “3 次 元 プラント 動 特 性 コード SKETCH-INS/TRAC-BF1 の 改 良 整 備 ”, 04 解 部<br />
報 -0012, 2003<br />
(※ 18 )TRACE V5.0 THEORY MANUAL: Field Equations, Solution Methods, and Physical Models, Division of<br />
Risk Assessment and Special Projects Office of Nuclear Regulatory Research, U. S. Nuclear<br />
Regulatory Commission.<br />
234
c.-4 1 次 冷 却 系 における 重 要 現 象 のモデル(ECCS 強 制 注 入 時 のポン<br />
プ 特 性 モデル)については、PKL/F1.1 試 験 の 解 析 により 検 証 して<br />
いる。<br />
c.-5 加 圧 器 における 重 要 現 象 のモデル( 気 液 熱 非 平 衡 及 び 水 位 変 化<br />
の 2 流 体 モデル 、 冷 却 材 放 出 時 の 二 相 /サブクール 臨 界 流 モデル)<br />
については、LOFT L6-1 及 び L9-3 試 験 の 解 析 により 検 証 してい<br />
る。<br />
c.-6 蒸 気 発 生 器 における 重 要 現 象 のモデル(1 次 側 ・2 次 側 の 伝 熱<br />
管 熱 伝 達 モデル 、2 次 側 水 位 変 化 ・ドライアウトの 2 流 体 モデ<br />
ル)については、LOFT L6-1 及 び L9-3 試 験 の 解 析 により 検 証 して<br />
いる。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」 時 の 過 渡 変 化 に 伴<br />
う 原 子 炉 圧 力 評 価 に 対 して 影 響 が 大 きいと 思 われる 減 速 材 温 度 係 数<br />
初 期 値 、ドップラ 温 度 係 数 について、 減 速 材 温 度 係 数 測 定 検 査 の 解 析<br />
による 妥 当 性 確 認 や 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。また、<br />
評 価 用 炉 心 が 実 際 の 炉 心 の 運 転 状 態 を 包 絡 する 根 拠 として、 燃 料 の 種<br />
類 、 燃 料 装 荷 パターン 及 び 燃 焼 度 が 異 なる 炉 心 間 の 比 較 解 析 により 確<br />
認 している。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、SPARKLE-2 についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下<br />
のように 確 認 した。<br />
a. 「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」 時 の 1 次 冷 却 系 の 熱 流 動 と 炉 心 動 特 性 との<br />
相 互 作 用 に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。<br />
c. 本 コードは、 炉 心 損 傷 に 至 る 前 の 原 子 炉 を 対 象 としており、 原 則 と<br />
して 従 来 の 設 計 基 準 事 故 を 対 象 とした 安 全 解 析 コードとほぼ 同 等 の<br />
検 証 方 法 が 適 用 可 能 である。 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルに<br />
ついて、 計 算 ベンチマークや 実 験 等 を 基 に 検 証 が 行 われ、 適 用 範 囲 が<br />
示 されている。<br />
d. 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 物 理 現 象 を 適 切 に 抽 出 し、 感 度 解 析<br />
による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の SPARKLE-2<br />
の 特 性 に 応 じた 使 用 方 法 はおおむね 妥 当 と 認 められる。<br />
235
(3)MAAP<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、MAAP の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のとお<br />
りとしている。<br />
a. MAAP は、シビアアクシデントの 事 象 進 展 の 各 段 階 を 網 羅 し、 原 子<br />
炉 、1 次 冷 却 系 、 格 納 容 器 内 で 起 こると 考 えられる 重 要 な 事 故 時 の 物<br />
理 現 象 をモデル 化 するとともに、 工 学 的 安 全 施 設 のモデル 化 や 重 大 事<br />
故 等 対 策 として 用 いる 各 種 機 器 の 取 扱 いが 可 能 である。また、 広 範 囲<br />
の 物 理 現 象 を 取 り 扱 うことが 可 能 な 総 合 解 析 コードであり、シビアア<br />
クシデントで 想 定 される 種 々の 事 故 シーケンスについて、 起 因 事 象 か<br />
ら 安 定 した 状 態 、あるいは 過 圧 ・ 過 温 により 格 納 容 器 健 全 性 が 失 われ<br />
る 状 態 まで 計 算 が 可 能 であることが 特 徴 である。<br />
b. 国 内 外 でシビアアクシデント 時 の 評 価 に 広 く 利 用 されており、 欧 米<br />
では 許 認 可 にも 適 用 された 実 績 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 計 算 ベンチマークや<br />
試 験 解 析 等 による 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-1 炉 心 における 重 要 現 象 ( 燃 料 内 温 度 変 化 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、<br />
被 覆 管 酸 化 ・ 変 形 )については、TMI 事 故 ベンチマーク 解 析 によ<br />
り 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-2 加 圧 器 における 重 要 現 象 ( 冷 却 材 放 出 )については、TMI 事 故<br />
ベンチマーク 解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-3 蒸 気 発 生 器 における 重 要 現 象 (1 次 側 ・2 次 側 の 熱 伝 達 、 冷 却<br />
材 放 出 、2 次 側 水 位 変 化 ・ドライアウト)については、MB-2 実 験<br />
解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-4 格 納 容 器 の 重 要 現 象 ( 区 画 間 の 流 動 、 構 造 材 との 熱 伝 達 及 び 内<br />
部 熱 伝 導 、 水 素 濃 度 )については、HDR 実 験 、CSTF 実 験 の 解 析 及<br />
び TMI 事 故 ベンチマーク 解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-5 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉 容 器 における 重 要 現 象 (リロケーション、<br />
下 部 プレナムでの 溶 融 炉 心 の 熱 伝 達 、1 次 系 内 FP 挙 動 )につい<br />
ては、TMI 事 故 ベンチマーク 解 析 及 び PHEBUS-FP 実 験 解 析 により<br />
妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-6 炉 心 損 傷 後 の 格 納 容 器 における 重 要 現 象 ( 格 納 容 器 内 FP 挙 動 )<br />
については、PHEBUS-FP 実 験 、ABCOVE 実 験 の 解 析 により 妥 当 性 確<br />
認 を 行 っている。<br />
c.-7 炉 心 損 傷 後 の 格 納 容 器 における 重 要 現 象 ( 溶 融 炉 心 とコンクリ<br />
ートの 伝 熱 、コンクリート 分 解 及 び 非 凝 縮 性 ガス 発 生 )について<br />
236
は、ACE 試 験 、SURC 試 験 、DEFOR-A 試 験 、OECD-MCCI 試 験 等 の 解 析<br />
により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」 時 の 炉 心 露 出 開 始<br />
時 間 について、M-RELAP5 との 比 較 により 不 確 かさを 評 価 している。 次<br />
に、 溶 融 炉 心 のコンクリート 侵 食 量 について、 最 新 の 実 験 的 知 見 を 反<br />
映 して 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。また、FCI、DCH、<br />
MCCI の 各 事 象 について、 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、MAAP についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 のよう<br />
に 確 認 した。なお、シビアアクシデントの 解 析 は 一 般 的 に 不 確 かさが 大 き<br />
く、 申 請 者 の 解 析 結 果 の 解 釈 においては、 不 確 かさを 踏 まえて 判 断 を 下 す<br />
必 要 がある。<br />
a. 炉 心 損 傷 後 を 含 めたシビアアクシデントの 事 象 進 展 に 係 る 重 要 現<br />
象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. シビアアクシデントの 分 野 においては、 国 際 的 に 広 く 利 用 されてい<br />
る 最 も 代 表 的 なコードのひとつであり、PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解<br />
析 への 豊 富 な 適 用 実 績 がある。<br />
c. 実 験 による 検 証 や 他 のシビアアクシデントコードとのベンチマー<br />
ク 計 算 を 通 じて、 一 定 の 信 頼 性 が 確 認 されている。これを 前 提 として、<br />
上 記 の a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルについて 感 度 解 析 を 行 い、 解<br />
析 結 果 がおおむね 妥 当 と 見 なせることを 確 認 している。<br />
d . 規 制 委 員 会 は、これまでに MELCOR(※ 19-20 )によりモデルプラント<br />
を 対 象 とした 数 多 くの 事 故 シーケンスについて 解 析 を 行 い、 解 析 結 果<br />
の 解 釈 において 考 慮 すべき 主 要 な 不 確 かさ 要 因 について 確 認 してい<br />
る。また、 多 くの 事 故 シーケンスで、MAAP による 解 析 と 比 較 可 能 な 結<br />
果 を 得 ている。これらで 抽 出 された 不 確 かさ 要 因 について、 申 請 者 は<br />
感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の MAAP の 解<br />
析 結 果 の 解 釈 は 現 在 の 技 術 レベルに 照 らして 妥 当 であり、 適 切 に 不 確 かさ<br />
を 考 慮 することで 有 効 性 評 価 に 適 用 が 可 能 と 考 えている。<br />
(※ 19 )R. Gauntt et al., "MELCOR Computer Code Manuals Vol.2:Reference Manuals Ver1.8.5.," NUREG/CR-<br />
6119, Vol.2, Rev.2 / SAND2000-2417/2, (May 2000)<br />
(※ 20 )R. Gauntt et al., "MELCOR Computer Code Manuals Vol.3: Demonstration Problems," NUREG/CR-<br />
6119, Vol.3, NRC. (2001)<br />
237
(4)GOTHIC<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、GOTHIC の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のと<br />
おりとしている。<br />
a. GOTHIC は 質 量 、エネルギー 及 び 運 動 量 の 3 保 存 則 を 気 相 ・ 液 相 ・ 液<br />
滴 相 の 各 流 体 場 に 適 用 し、 状 態 方 程 式 、 熱 伝 導 方 程 式 、 各 種 構 成 式 及<br />
び 相 関 式 などを 解 くことにより 流 体 、 構 造 材 の 相 互 作 用 、 機 器 の 作 動<br />
を 考 慮 した 過 渡 解 析 が 可 能 である。また、ポンプ、バルブ、スプレイ、<br />
ファン、 空 調 機 器 、 熱 交 換 器 、イグナイタ、 水 素 結 合 器 といった 機 器<br />
設 備 の 作 動 及 び 制 御 に 対 しても 模 擬 可 能 である。<br />
b. 米 国 においては、 各 種 プラントの 格 納 容 器 に 対 する DBA 解 析 、SA 解<br />
析 及 び 建 屋 の 設 計 解 析 など 許 認 可 申 請 において 数 多 くの 適 用 例 があ<br />
る。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 試 験 解 析 等 による 妥<br />
当 性 の 確 認 を 行 っている。<br />
c.-1 格 納 容 器 における 重 要 現 象 ( 区 画 間 ・ 区 画 内 の 流 動 、 構 造 材<br />
との 熱 伝 達 及 び 内 部 熱 伝 導 、スプレイ 特 性 、PAR 特 性 、イグナイ<br />
タによる 水 素 燃 焼 )については、NUPEC 試 験 Test M-7-1 及 び Test<br />
M-4-3、THAI 試 験 HR-3 の 解 析 等 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-2 PAR の 性 能 評 価 式 及 び 水 素 処 理 モデルについては、THAI 実 験 に<br />
より 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、 重 大 事 故 時 の 格 納 容 器 内 水 素 混 合 挙 動 につ<br />
いて、 妥 当 性 確 認 が 行 われた 実 験 条 件 と 実 機 条 件 との 違 いを 踏 まえて、<br />
有 効 性 評 価 への 適 用 性 について 検 討 している。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、GOTHIC についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 のよ<br />
うに 確 認 した。<br />
a. シビアアクシデント 時 の 格 納 容 器 挙 動 に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解<br />
析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。なお、 原 子 力<br />
分 野 に 限 らず 一 般 的 な 熱 水 力 系 にも 適 用 可 能 であり、 高 い 汎 用 性 を 有<br />
している。<br />
c. 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルについて、 解 析 結 果 がおおむ<br />
ね 妥 当 と 見 なせることを 確 認 している。<br />
238
d. 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 物 理 現 象 を 適 切 に 抽 出 し、 不 確 かさ<br />
評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の GOTHIC の<br />
特 性 に 応 じた 使 用 方 法 は 妥 当 と 認 められる。<br />
(5)COCO<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、COCO の 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のとおりとし<br />
ている。<br />
a. COCO は、 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 、 温 度<br />
変 化 の 評 価 を 主 目 的 に 開 発 されたコードであり、 原 子 炉 格 納 容 器 内 を<br />
気 相 系 と 液 相 系 に 大 別 し、 各 系 内 では 状 態 は 一 様 とし、 各 々の 系 につ<br />
いて 質 量 及 びエネルギー 保 存 則 を 解 く。また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 構 造<br />
物 との 間 の 熱 の 授 受 もモデルとして 組 み 込 まれている。<br />
b. 国 内 PWR の 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 の 添 付 書 類 十 の 安 全 評 価 に<br />
おいて 使 用 実 績 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 試 験 解 析 等 による 妥<br />
当 性 の 確 認 を 行 っている。<br />
c.-1 格 納 容 器 の 重 要 現 象 ( 構 造 材 との 熱 伝 達 及 び 内 部 熱 伝 導 )につ<br />
いては、CVTR Test-3 実 験 の 解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、シビアアクシデント 時 の 格 納 容 器 圧 力 及 び<br />
格 納 容 器 雰 囲 気 温 度 について、スプレイ 条 件 の 違 いを 踏 まえて、 複 数<br />
の 実 験 による 妥 当 性 確 認 を 行 っている。また、 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トによる 自 然 対 流 冷 却 時 を 含 めた 長 期 的 挙 動 についての 適 用 性 評 価<br />
を 行 っている。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、COCO についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 のよう<br />
に 確 認 した。<br />
a. 「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」 時 の 格 納 容 器 圧 力 及 び 格 納 容 器 雰 囲 気 温 度<br />
に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。<br />
c. 本 コードは、M-RELAP5 で 計 算 された 放 出 質 量 、エネルギー 流 量 を<br />
境 界 条 件 として、 格 納 容 器 内 圧 評 価 を 行 うために 補 助 的 に 使 用 されて<br />
おり、 他 コードと 比 較 して 解 析 モデルや 数 値 解 法 が 単 純 なため、 妥 当<br />
239
性 確 認 は 容 易 である。 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルについて、<br />
解 析 結 果 がおおむね 妥 当 と 見 なせることを 確 認 している。<br />
d. 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 物 理 現 象 を 適 切 に 抽 出 し、 不 確 かさ<br />
評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の COCO の 特<br />
性 に 応 じた 使 用 方 法 は 妥 当 と 認 められる。<br />
Ⅳ-2 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 手 順 等 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 重<br />
大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 関 係 )<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 「 共 通 事 項 」は、 重 大 事 故 等 に 対 処 する<br />
ために 必 要 な 手 順 等 に 関 し 共 通 の 要 求 事 項 、 全 社 的 な 体 制 の 整 備 など 重 大 事 故 等 に<br />
対 処 するための 基 盤 的 な 要 求 事 項 を 満 たす 手 順 等 を、 保 安 規 定 等 において 規 定 する<br />
方 針 であることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 及 び 同 項<br />
の 解 釈 を 踏 まえ 必 要 な 検 討 を 加 えた 上 で 策 定 されており、 重 大 事 故 等 に 対 処 するた<br />
めに 必 要 な 手 順 等 に 関 し、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 基 づいて 整 備 される 設 備 の 運 用 手 順<br />
等 も 含 め、 共 通 の 要 求 事 項 を 満 たす 手 順 等 を 保 安 規 定 等 で 規 定 する 方 針 であること<br />
を 確 認 したことから、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 の 要 求 事 項 に 適 合 す<br />
るものと 判 断 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
なお、 各 手 順 等 における 固 有 の 要 求 に 対 する 審 査 については、Ⅳ-4.1からⅣ<br />
-4.19で 行 っている。<br />
また、 重 大 事 故 等 対 策 については、1 号 炉 及 び 2 号 炉 の 原 子 炉 容 器 に 燃 料 を 装 荷<br />
しないことを 前 提 とした 手 順 等 として 確 認 した。<br />
1. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 手 順 等 に 係 る 共 通 の 要 求 事 項<br />
(1) 切 替 えの 容 易 性<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (1)<br />
1に 則 って、 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 系 統 構 成 を 速 やかに 整 えられるよう<br />
必 要 な 手 順 等 を 整 備 するとともに、 確 実 に 行 えるよう 訓 練 を 実 施 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
(2)アクセスルートの 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (1)<br />
240
2に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 において、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 運 搬 するため、 又 は 他 の 設 備 の 被 害 状 況 を 把 握 するため、 発 電 所 内<br />
の 道 路 及 び 通 路 が 確 保 できるよう、 迂 回 路 も 考 慮 して 複 数 のアクセスルー<br />
トを 確 保 する 方 針 であること。<br />
2 障 害 物 を 除 去 可 能 なホイールローダ 及 びその 他 の 重 機 を 保 管 し、それら<br />
を 運 転 できる 要 員 を 確 保 する 等 、 実 効 性 のある 運 用 管 理 を 行 う 方 針 である<br />
こと。<br />
2. 復 旧 作 業 に 係 る 要 求 事 項<br />
(1) 予 備 品 等 の 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (2)<br />
1に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 優 先 順 位 を 考 慮 して 重 要 安 全 施 設 の 取 替 え 可 能 な 機 器 、 部 品 等 の 復 旧 作<br />
業 を 実 施 することとし、そのために 必 要 な 予 備 品 及 び 予 備 品 への 取 替 えの<br />
ために 必 要 な 資 機 材 等 を 確 保 すること。<br />
2 有 効 な 復 旧 対 策 についての 継 続 的 な 検 討 を 行 うとともに、 必 要 な 予 備 品<br />
の 確 保 に 努 めること。<br />
(2) 保 管 場 所 の 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (2)<br />
2に 則 って、 地 震 による 周 辺 斜 面 の 崩 落 、 津 波 による 浸 水 等 の 外 部 事 象 の 影 響<br />
を 受 けにくい 場 所 に 位 置 的 分 散 を 考 慮 して 予 備 品 等 を 保 管 する 方 針 であるこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(3)アクセスルートの 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (2)<br />
3に 則 って、 設 備 の 復 旧 作 業 を 行 うためのアクセスルートの 確 保 について、「1.<br />
(2)アクセスルートの 確 保 」と 同 じ 運 用 管 理 を 実 施 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3. 支 援 に 係 る 要 求 事 項<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (3)<br />
に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
241
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
(1) 発 電 所 内 であらかじめ 用 意 された 重 大 事 故 等 対 処 設 備 、 予 備 品 、 燃 料 等 に<br />
より、 事 故 発 生 後 7 日 間 は 事 故 収 束 対 応 を 維 持 できる 方 針 であること。<br />
(2)プラントメーカ、 協 力 会 社 、 建 設 会 社 、 燃 料 供 給 会 社 、 他 の 原 子 力 事 業 者<br />
等 関 係 機 関 と 協 議 及 び 合 意 の 上 、 外 部 支 援 計 画 を 定 める 方 針 であること。<br />
(3) 本 発 電 所 は、 発 電 所 外 に 保 有 している 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 同 種 の 設 備 、<br />
予 備 品 、 燃 料 等 により、 事 象 発 生 後 6 日 間 までに 支 援 を 受 けられる 計 画 であ<br />
ること。<br />
4. 手 順 書 の 整 備 、 訓 練 の 実 施 及 び 体 制 の 整 備<br />
(1) 手 順 書 の 整 備<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (4)<br />
解 釈 1に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 情 報 の 収 集 及 び 判 断 基 準 【 解 釈 1a)】<br />
全 ての 交 流 動 力 電 源 及 び 常 設 直 流 電 源 の 喪 失 、 安 全 系 の 機 器 若 しくは 計<br />
測 器 類 の 多 重 故 障 、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 被 災 等 の 過 酷 な 状 態 において、<br />
発 電 用 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 及 び 重 大 事 故 等 対 策 の 適 切 な 判 断 を 行 う<br />
ため、 必 要 な 情 報 が 速 やかに 得 られるように 情 報 の 種 類 及 び 入 手 方 法 を 整<br />
理 するとともに、 判 断 基 準 を 明 確 にし、 手 順 書 にまとめる 方 針 であること。<br />
2 判 断 に 迷 う 操 作 等 の 判 断 基 準 の 明 確 化 【 解 釈 1b)】<br />
海 水 の 使 用 等 、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 ぐため<br />
に 優 先 すべき 操 作 等 の 判 断 基 準 をあらかじめ 明 確 にした 手 順 書 を 整 備 す<br />
る 方 針 であること。<br />
3 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安 全 を 優 先 する 方 針 【 解 釈 1c)】<br />
a. 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安 全 を 優 先 する 共 通 認 識 を 持 ち、 行 動 で<br />
きるよう、 社 長 があらかじめ 方 針 を 示 すこと。<br />
b. 当 直 課 長 が 躊 躇 せず 指 示 できるよう、 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安<br />
全 を 優 先 する 方 針 に 基 づき 定 めた 判 断 基 準 を 運 転 手 順 書 に 整 備 する<br />
方 針 であること。<br />
c. 発 電 所 の 緊 急 時 対 策 本 部 長 が、 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安 全 を 優<br />
先 する 方 針 に 従 った 判 断 を 実 施 すること、 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも<br />
安 全 を 優 先 する 方 針 に 基 づき 定 めた 判 断 基 準 を 緊 急 時 対 策 本 部 用 手<br />
順 書 に 整 備 する 方 針 であること。<br />
4 手 順 書 の 構 成 及 び 手 順 書 相 互 間 の 移 行 基 準 の 明 確 化 【 解 釈 1d)】<br />
242
a. 事 故 の 進 展 状 況 に 応 じて 具 体 的 な 重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 するため<br />
の 運 転 員 用 及 び 支 援 組 織 用 の 手 順 書 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
b. 運 転 手 順 書 は、 事 故 の 進 展 状 況 に 応 じて 構 成 を 明 確 化 し、 手 順 書 相<br />
互 間 の 移 行 基 準 を 明 確 にする 方 針 であること。<br />
5 状 態 の 監 視 及 び 事 象 進 展 の 予 測 に 係 る 手 順 書 の 整 備 【 解 釈 1e)】<br />
a. 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 監 視 することが 必 要 なパラメータを<br />
あらかじめ 選 定 し、 運 転 手 順 書 に 明 記 する 方 針 であること。<br />
b. 重 大 事 故 等 対 策 実 施 時 におけるパラメータ 挙 動 予 測 、 影 響 評 価 すべ<br />
き 項 目 、 監 視 パラメータ 等 を 手 順 書 に 整 理 する 方 針 であること。<br />
c. 有 効 性 評 価 等 にて 整 理 した 有 効 な 情 報 を、 運 転 員 及 び 緊 急 時 対 策 本<br />
部 要 員 が 使 用 する 手 順 書 に 整 理 する 方 針 であること。<br />
6 前 兆 事 象 の 確 認 を 踏 まえた 事 前 の 対 応 手 順 の 整 備 【 解 釈 1f)】<br />
a. 前 兆 事 象 として 把 握 ができるか、 重 大 事 故 を 引 き 起 こす 可 能 性 があ<br />
るかを 考 慮 して、 設 備 の 安 全 機 能 の 維 持 及 び 事 故 の 防 止 対 策 をあらか<br />
じめ 検 討 する 方 針 であること。<br />
b. 前 兆 事 象 を 確 認 した 時 点 で 事 前 の 対 応 ができる 体 制 及 び 手 順 書 を<br />
整 備 する 方 針 であること。<br />
c. 大 津 波 警 報 が 発 令 された 場 合 、 原 則 として 原 子 炉 を 停 止 し、 冷 却 操<br />
作 を 開 始 する 手 順 書 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
(2) 訓 練 の 実 施<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (4)<br />
解 釈 2に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 教 育 及 び 訓 練 の 実 施 方 針 【 解 釈 2a)】<br />
重 大 事 故 等 対 策 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 状 況 に 応 じた 幅 広 い 対 策 が 必 要<br />
であることを 踏 まえ、 重 大 事 故 等 発 生 時 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 挙 動 に 関 す<br />
る 知 識 の 向 上 を 図 る 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 する 方 針 であること。<br />
2 知 識 ベースの 理 解 向 上 に 資 する 教 育 及 び 総 合 的 な 演 習 の 実 施 【 解 釈 2b)】<br />
a. 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 の 役 割 に 応 じて 重 大 事 故 等 の 内 容 、 基 本 的 な 対<br />
処 方 法 等 、 定 期 的 に 知 識 ベースの 理 解 向 上 に 資 する 教 育 を 行 う 方 針 で<br />
あること。<br />
b. 現 場 作 業 を 行 う 重 大 事 故 等 対 策 要 員 と 運 転 員 ( 当 直 員 )が 連 携 して<br />
一 連 の 活 動 を 行 うための 訓 練 及 び 実 施 組 織 と 支 援 組 織 の 実 効 性 等 を<br />
総 合 的 に 確 認 するための 演 習 等 を 定 期 的 に 計 画 する 方 針 であること。<br />
3 保 守 訓 練 の 実 施 【 解 釈 2c)】<br />
243
普 段 から 保 守 点 検 活 動 を 社 員 自 らが 行 って 部 品 交 換 等 の 実 務 経 験 を 積<br />
むことなどにより、 発 電 用 原 子 炉 施 設 、 予 備 品 等 について 熟 知 する 方 針 で<br />
あること。<br />
4 高 線 量 下 等 を 想 定 した 訓 練 の 実 施 【 解 釈 2d)】<br />
高 線 量 下 、 夜 間 、 悪 天 候 等 を 想 定 した 事 故 時 対 応 訓 練 を 実 施 する 方 針 で<br />
あること。<br />
5 マニュアル 等 を 即 時 利 用 可 能 とするための 準 備 【 解 釈 2e)】<br />
設 備 及 び 資 機 材 等 に 関 する 情 報 並 びにマニュアルが 即 時 に 利 用 できる<br />
よう、 普 段 から 保 守 点 検 活 動 等 を 通 じて 準 備 し、それらの 情 報 及 びマニュ<br />
アルを 用 いた 事 故 時 対 応 訓 練 を 行 う 方 針 であること。<br />
(3) 体 制 の 整 備<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (4)<br />
解 釈 3に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 役 割 分 担 及 び 責 任 者 の 明 確 化 【 解 釈 3a)】<br />
a. 重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 する 実 施 組 織 及 び 実 施 組 織 に 対 して 支 援 を<br />
行 う 支 援 組 織 の 役 割 分 担 、 責 任 者 等 を 定 める 方 針 であること。<br />
b. 専 門 性 及 び 経 験 を 考 慮 した 作 業 班 の 構 成 を 行 う 方 針 であること。<br />
c. 指 揮 命 令 系 統 を 明 確 にし、 効 果 的 な 重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 し 得 る 体<br />
制 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
2 実 施 組 織 の 構 成 【 解 釈 3b)】<br />
重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 する 実 施 組 織 を、<br />
a. 運 転 員 等 により 事 故 拡 大 防 止 のための 措 置 を 実 施 する 班<br />
b. 発 電 設 備 の 応 急 復 旧 計 画 の 策 定 及 び 措 置 並 びに 消 火 活 動 を 実 施 す<br />
る 班<br />
c. 発 電 所 及 びその 周 辺 ( 周 辺 海 域 )における 放 射 線 量 並 びに 放 射 性 物<br />
質 の 濃 度 の 状 況 把 握 、 要 員 の 被 ばく 管 理 等 を 実 施 する 班<br />
d. 土 木 建 築 設 備 の 応 急 復 旧 計 画 の 策 定 及 び 措 置 を 実 施 する 班<br />
で 構 成 し、 必 要 な 役 割 分 担 を 行 い 重 大 事 故 等 対 策 が 円 滑 に 実 施 できる 体 制<br />
を 整 備 する 方 針 であること。<br />
3 複 数 号 炉 の 同 時 被 災 への 対 応 【 解 釈 3c)】<br />
a. 3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 同 時 に 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 におい<br />
て、 発 電 所 の 緊 急 時 対 策 本 部 長 の 指 示 により 号 炉 ごとに 指 名 した 指 揮<br />
者 の 指 示 のもと、 号 炉 ごとの 情 報 収 集 や 事 故 対 策 の 検 討 を 行 い、 重 大<br />
事 故 等 対 策 を 実 施 する 方 針 であること。<br />
244
. 必 要 な 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大<br />
事 故 等 対 策 要 員 を 発 電 所 内 及 び 発 電 所 近 傍 に 常 時 確 保 し、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 の 同 時 被 災 等 が 発 生 した 場 合 においても 対 応 できる 体 制 とする<br />
方 針 であること。<br />
4 支 援 組 織 の 構 成 【 解 釈 3d)】<br />
a. 緊 急 時 対 策 本 部 に 支 援 組 織 として、 実 施 組 織 に 対 して 技 術 的 助 言 を<br />
行 う 技 術 支 援 組 織 、 実 施 組 織 が 重 大 事 故 等 対 策 に 専 念 できる 環 境 を 整<br />
える 運 営 支 援 組 織 を 設 ける 方 針 であること。<br />
b. 技 術 支 援 組 織 は、 事 故 拡 大 防 止 のための 運 転 措 置 及 び 保 安 上 の 技 術<br />
的 支 援 を 行 う 班 で 構 成 すること。<br />
c. 運 営 支 援 組 織 は、 緊 急 時 対 策 本 部 の 運 営 及 び 情 報 収 集 を 行 う 班 、 報<br />
道 機 関 等 の 対 応 を 行 う 班 、 防 災 資 機 材 の 整 備 を 行 う 班 、 避 難 者 の 誘 導<br />
を 行 う 班 で 構 成 すること。<br />
5 対 策 本 部 の 設 置 及 び 要 員 の 招 集 【 解 釈 3e)】<br />
a. 所 長 ( 原 子 力 防 災 管 理 者 )を 本 部 長 とする 緊 急 時 対 策 本 部 を 設 置 し、<br />
その 中 に 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 を 設 置 する 方 針 であること。<br />
b. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )において 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に 速 やか<br />
に 対 応 を 行 うため、 発 電 所 内 及 び 近 傍 に、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮<br />
者 等 )4 名 、 重 大 事 故 等 対 策 要 員 36 名 及 び 運 転 員 ( 当 直 員 )12 名 の<br />
合 計 52 名 を 常 時 確 保 する 方 針 であること。<br />
c. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )を 含 めて 必 要 な 要 員 を 非 常 召 集 できるよう、<br />
あらかじめ 定 めた 連 絡 体 制 に 基 づき、 定 期 的 に 連 絡 訓 練 を 実 施 する 方<br />
針 であること。<br />
6 各 班 の 役 割 分 担 及 び 責 任 者 の 明 確 化 【 解 釈 3f)】<br />
重 大 事 故 等 対 策 の 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 について、 上 記 4.(3)2 項<br />
及 び4.(3)4 項 に 示 す 各 班 の 機 能 を 明 確 にするとともに、 各 班 に 責 任<br />
者 である 班 長 及 び 副 班 長 を 配 置 する 方 針 であること。<br />
7 指 揮 命 令 系 統 及 び 代 行 者 の 明 確 化 【 解 釈 3g)】<br />
緊 急 時 対 策 本 部 における 指 揮 命 令 系 統 を 明 確 にするとともに、 指 揮 者 で<br />
ある 本 部 長 の 所 長 ( 原 子 力 防 災 管 理 者 ) 及 び 班 長 が 欠 けた 場 合 に 備 え、 代<br />
行 者 と 代 行 順 位 をあらかじめ 定 め 明 確 にする 方 針 であること。<br />
8 実 効 的 に 活 動 するための 設 備 等 の 整 備 【 解 釈 3h)】<br />
a. 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 が 定 められた 役 割 を 遂 行 するため、 発 電 所 内<br />
外 に 通 信 連 絡 を 行 い 関 係 箇 所 と 連 携 を 図 るための 統 合 原 子 力 防 災 ネ<br />
ットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 (テレビ 会 議 システムを 含 む。)<br />
を 備 えた 代 替 緊 急 時 対 策 所 及 び 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )( 以<br />
245
下 「 緊 急 時 対 策 所 」という。ただし、 必 要 により 記 載 を 書 き 分 ける。)<br />
を 整 備 する 方 針 であること。<br />
b. 中 央 制 御 室 、 緊 急 時 対 策 所 及 び 現 場 との 連 携 を 図 るため、 携 帯 型 通<br />
話 設 備 等 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
9 発 電 所 内 外 への 情 報 提 供 【 解 釈 3i)】<br />
発 電 用 原 子 炉 施 設 の 状 態 及 び 重 大 事 故 等 対 策 の 実 施 状 況 について、 発 電<br />
所 内 外 の 組 織 への 通 報 及 び 連 絡 を 実 施 できるよう、 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 統<br />
合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 を 用 いて、 広 く 情 報<br />
提 供 を 行 うことができる 体 制 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
10 外 部 からの 支 援 体 制 の 整 備 【 解 釈 3j)】<br />
a. 発 電 所 外 部 からの 支 援 を 受 けることができるよう、 緊 急 時 体 制 を 発<br />
令 した 場 合 に 本 店 対 策 本 部 を 設 置 する 等 の 体 制 を 整 備 する 方 針 であ<br />
ること。<br />
b. 本 店 対 策 本 部 は、 緊 急 時 対 策 本 部 が 事 故 対 応 に 専 念 できるよう、 情<br />
報 の 収 集 及 び 災 害 状 況 把 握 を 行 う 班 、 事 故 拡 大 防 止 措 置 の 支 援 を 行 う<br />
班 、 外 部 電 源 や 通 信 連 絡 設 備 に 関 する 支 援 を 行 う 班 、 報 道 対 応 を 行 う<br />
班 及 び 資 機 材 等 の 調 達 運 搬 を 行 う 班 で 構 成 する 方 針 であること。<br />
c. 本 店 対 策 本 部 は、 原 子 力 事 業 所 災 害 対 策 支 援 拠 点 の 設 置 を 行 うこと、<br />
他 の 原 子 力 事 業 者 及 び 原 子 力 緊 急 事 態 支 援 組 織 からの 技 術 的 な 支 援<br />
が 受 けられる 体 制 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
d. 本 店 対 策 本 部 は、 社 長 を 本 店 対 策 本 部 長 とし、 原 子 力 部 門 のみでな<br />
く 他 部 門 を 含 めた 全 社 体 制 にて 原 子 力 災 害 対 策 活 動 を 実 施 する 方 針<br />
であること。<br />
11 事 故 後 の 中 長 期 的 な 対 応 に 備 えた 体 制 の 整 備 【 解 釈 3k)】<br />
a. 重 大 事 故 等 発 生 後 の 中 長 期 的 な 対 応 が 必 要 となる 場 合 に 備 えて、 社<br />
内 外 の 関 係 各 所 と 連 係 し、 適 切 かつ 効 果 的 な 対 応 を 検 討 できる 体 制 を<br />
整 備 する 方 針 であること。<br />
b. 重 大 事 故 等 発 生 時 に、 機 能 喪 失 した 設 備 の 保 守 を 実 施 するための 放<br />
射 線 量 低 減 活 動 、 放 射 性 物 質 を 含 んだ 汚 染 水 が 発 生 した 際 の 汚 染 水 の<br />
処 理 活 動 等 を 円 滑 に 実 施 するため、 平 時 から 必 要 な 対 応 を 検 討 できる<br />
体 制 を 構 築 する 方 針 であること。<br />
Ⅳ-3 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 第 38 条 ~ 第 41<br />
条 及 び 第 43 条 関 係 )<br />
第 38 条 から 第 41 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 して、 必 要 な 機 能 が 地 盤 の 変<br />
246
位 等 、 地 震 、 津 波 及 び 火 災 によって 損 なわれるおそれがないことを 要 求 している。<br />
第 38 条 から 第 41 条 の 審 査 においては、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 設 計 方 針 等 につい<br />
て、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 設 計 方 針 等 との 相 違 を 踏 まえた 審 査 を 行 った。<br />
また、 第 43 条 においては、 重 大 事 故 等 に 対 処 するため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に<br />
ついて、 必 要 な 容 量 の 確 保 や 悪 影 響 の 防 止 等 の 適 切 な 措 置 等 を 講 じることを 要 求 し<br />
ている。<br />
なお、 各 設 備 における 固 有 の 要 求 に 対 する 審 査 内 容 については、Ⅳ-4.1から<br />
Ⅳ-4.19で 示 している。<br />
Ⅳ-3.1 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 地 盤 ( 第 38 条 関 係 )<br />
第 38 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 施 設 の 区 分 に 応 じて 適 用 される 地 震<br />
力 が 作 用 した 場 合 においても、 十 分 に 支 持 することができる 地 盤 に 設 けなければな<br />
らないことを 要 求 している。<br />
また、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩<br />
和 設 備 (※ 21 )が 設 置 されるものに 限 る。)は、 変 形 した 場 合 においても 重 大 事 故 等<br />
に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければなら<br />
ないこと、 及 び 変 位 が 生 ずるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないことを 要 求<br />
している。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )」において 評 価 され<br />
ている 地 盤 以 外 に 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 として、 緊 急 時 対 策 所 機 能 に 係 る<br />
設 備 を 支 持 ・ 内 包 する 緊 急 時 対 策 棟 ( 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 用 燃 料 油 貯 蔵 タンク・<br />
給 油 ポンプ 室 を 含 む。)( 以 下 「 緊 急 時 対 策 棟 」という。)、 代 替 緊 急 時 対 策 所 等 を 対<br />
象 に 評 価 を 行 っている。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 施 設 を 対 象 に 評 価 を 行 うことは 妥 当 であると 判 断 し、 以<br />
下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
3. 地 盤 の 変 形<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(※ 21 )「 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 」 及 び「 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 」は、 第 38 条 において 定 義 されている<br />
ものである。 以 下 同 様 。<br />
247
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
第 38 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 1は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐<br />
震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。 以<br />
下 この 項 において 同 じ。)を 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 の 露 頭 が 無 いこと<br />
を 確 認 した 地 盤 に 設 置 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 を 設 置 する 地 盤 における 断 層 の 活 動 性 評 価 につ<br />
いて、 敷 地 及 び 敷 地 近 傍 における 変 動 地 形 学 的 調 査 及 び 地 表 地 質 調 査 の 結 果 並 び<br />
に 断 層 の 性 状 及 び 上 載 地 層 の 年 代 に 着 目 した 手 法 による 検 討 結 果 を 以 下 のとお<br />
りとしている。<br />
(1) 緊 急 時 対 策 棟 、 取 水 口 及 び 取 水 管 路 設 置 位 置 には、ボーリング 調 査 から、<br />
f-90 断 層 、f-91 断 層 、f-102 断 層 、f-113 断 層 、f-11<br />
4 断 層 、f-119 断 層 及 びf-120 断 層 が 認 められる。<br />
(2)f-102 断 層 は「Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )1.<br />
地 盤 の 変 位 」に 示 す、「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 平 行 な 断 層 」に 該 当 す<br />
ることから、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 ではないと 評 価 した。<br />
(3)f-90 断 層 、f-91 断 層 、f-113 断 層 、f-114 断 層 、f-1<br />
19 断 層 及 びf-120 断 層 は、「 佐 世 保 層 群 に 貫 入 した 玢 岩 に 沿 う 断 層 及<br />
び 玢 岩 脈 と 同 系 統 の 断 層 」に 該 当 し、 当 該 断 層 は、 局 所 的 かつ 小 規 模 なもの<br />
であり、トレンチ 調 査 の 結 果 、 岩 脈 ( 玢 岩 )は 東 松 浦 玄 武 岩 類 に 覆 われ、 岩<br />
脈 ( 玢 岩 )の 貫 入 時 期 は、 佐 世 保 層 群 の 堆 積 後 から 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦<br />
玄 武 岩 類 の 噴 出 前 の 間 であることから、 当 該 断 層 の 生 成 時 期 及 び 活 動 時 期 も<br />
佐 世 保 層 群 の 堆 積 後 から 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武 岩 類 の 噴 出 前 の 間 と<br />
判 断 される。このことから、これらの 断 層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断<br />
層 等 はないと 評 価 した。<br />
(4) 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 エリア 基 礎 、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 タンク 基 礎 及 び 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 設 置 位 置 には、ボーリング 調 査 の 結 果 、 断 層 は 認 められない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 重 大 事 故 等 対 処 施 設 を 設 置 する 地 盤 における 断<br />
層 の 活 動 性 評 価 手 法 等 が 適 切 であり、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 設 置 位 置 に 分 布 する 断<br />
層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 に 該 当 せず、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適 合 し<br />
ていること 及 び 地 質 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
248
第 38 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 1は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、<br />
施 設 の 区 分 に 応 じた 地 震 力 ( 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩<br />
和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 )<br />
が 作 用 した 場 合 においても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する 地 盤 に 設 けな<br />
ければならないこと、さらに、 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故<br />
緩 和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力<br />
が 作 用 することによって 弱 面 上 のずれ 等 が 発 生 しないことを 含 め、 基 準 地 震 動 に<br />
よる 地 震 力 に 対 する 支 持 性 能 が 確 保 されていることを 確 認 することを 要 求 して<br />
いる。<br />
申 請 者 は、 解 析 モデルの 設 定 、 動 的 解 析 等 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 が 作 用 した 場 合 にお<br />
いても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する 地 盤 に 設 置 する。<br />
(2) 緊 急 時 対 策 棟 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 等 を 対 象 に、 基 礎 地 盤 の 支 持 力 、 基 礎<br />
地 盤 のすべり 及 び 基 礎 底 面 の 傾 斜 に 対 する 安 全 性 を 評 価 した。<br />
(3) 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作 用 させた 動 的 解 析 は、 評 価 の 対 象 となる 重 大<br />
事 故 等 対 処 施 設 の 配 置 、 施 設 周 辺 の 地 形 及 び 地 質 構 造 等 を 考 慮 し、 緊 急 時 対<br />
策 棟 を 通 る 1 断 面 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 通 り 直 交 する 2 断 面 を 対 象 に 二 次<br />
元 有 限 要 素 法 により 行 った。<br />
(4) 動 的 解 析 に 用 いる 地 盤 パラメータについては、 各 種 の 調 査 結 果 を 基 に 設 定<br />
した。 解 析 に 当 たっては、せん 断 強 度 のばらつき、 地 下 水 位 観 測 結 果 、 入 力<br />
地 震 動 の 位 相 の 反 転 についても 考 慮 した。<br />
(5) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 緊 急 時 対 策 棟 の 基 礎 底 面 における 最 大 接 地 圧<br />
は 1.70N/mm 2 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 基 礎 底 面 における 最 大 接 地 圧 は 0.24N/mm 2<br />
であり、 基 礎 地 盤 の 大 部 分 を 占 める○B 級 以 上 の 岩 盤 の 支 持 力 試 験 結 果 から 評<br />
価 した 極 限 支 持 力 (13.7N/mm 2 以 上 )を 下 回 る。<br />
(6) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 緊 急 時 対 策 棟 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 基 礎 地<br />
盤 の 最 小 すべり 安 全 率 は、1.5 を 上 回 る。<br />
(7) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 緊 急 時 対 策 棟 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 基 礎 底<br />
面 に 生 じる 最 大 傾 斜 は、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 を 設 置 する 地 盤 の 評 価 については、 申 請 者<br />
が 行 った 動 的 解 析 の 手 法 、 地 盤 パラメータの 設 定 方 法 等 が 適 切 であり、 当 該 施 設<br />
を 十 分 に 支 持 することができる 地 盤 に 設 けるとしていることから、 解 釈 別 記 1の<br />
規 定 に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
249
3. 地 盤 の 変 形<br />
第 38 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 1は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐<br />
震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。 以<br />
下 この 項 において 同 じ。)について、 地 震 発 生 に 伴 う 地 殻 変 動 によって 生 じる 支<br />
持 地 盤 の 傾 斜 及 び 撓 み 並 びに 地 震 発 生 に 伴 う 建 物 ・ 構 築 物 間 の 不 等 沈 下 、 液 状 化<br />
及 び 揺 すり 込 み 沈 下 等 の 周 辺 地 盤 の 変 状 が 生 じた 場 合 においてもその 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければ<br />
ならないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 支 持 地 盤 に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾<br />
斜 に 関 する 評 価 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 岩 盤 に 支 持 されている、 若 しくはマンメイドロッ<br />
ク(コンクリート)による 置 き 換 えにより 岩 盤 に 支 持 される 設 計 としている<br />
ことから、 揺 すり 込 み 沈 下 や 液 状 化 による 不 等 沈 下 の 影 響 を 受 けるおそれは<br />
ない。<br />
(2) 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 支 持 地 盤 の 傾 斜 は、 本 発 電 所 敷 地 内 に 震 源 として 考<br />
慮 する 活 断 層 が 分 布 していないことを 確 認 していることから、 敷 地 において<br />
地 殻 の 広 域 的 な 変 形 による 著 しい 地 盤 の 傾 斜 が 生 じることはないが 敷 地 に<br />
比 較 的 近 い 竹 木 場 断 層 及 び 城 山 南 断 層 の 活 動 に 伴 い 生 じる 地 盤 の 傾 斜 につ<br />
いて、Wang et al.(2003)の 手 法 により 評 価 した 結 果 、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 地 盤 の 変 形 について、 申 請 者 の 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 支 持 地 盤<br />
の 変 形 に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾 斜 に 関 する 評 価 が 適 切 であり、 変 形 し<br />
た 場 合 においてもその 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるお<br />
それがない 地 盤 に 当 該 施 設 を 設 けるとしていることから、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適<br />
合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-3.2 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 39 条 関 係 )<br />
第 39 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 が、 施 設 の 区 分 に 応 じて 適 用 される 地 震 力 に 対<br />
して、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とす<br />
ることなどを 要 求 している。<br />
また、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 及 び 常 設 重 大 事 故 緩<br />
和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。)が、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 によって 生 ずるお<br />
それのある 斜 面 の 崩 壊 に 対 して、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわ<br />
れるおそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
250
1. 耐 震 設 計 方 針<br />
2. 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 耐 震 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐 震 設 計 におけ<br />
る 動 的 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 に 対 する 設 計 方 針 を 踏 襲 し、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の<br />
構 造 上 の 特 徴 、 重 大 事 故 等 における 運 転 状 態 、 重 大 事 故 等 の 状 態 で 施 設 に 作 用 す<br />
る 荷 重 等 を 考 慮 し、 適 用 する 地 震 力 に 対 して 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な<br />
機 能 が 損 なわれるおそれがないことを 目 的 として、 以 下 のとおり 耐 震 設 計 を 行 う<br />
としている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 施 設 区 分 に 応 じた 耐 震 設 計<br />
1 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 基<br />
準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 して、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 に 対 処<br />
するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがないよう 設 計 する。<br />
2 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 以 外 の 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 が 設 置 さ<br />
れる 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 代 替 する 機 能 を 有 する 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
が 属 する 耐 震 重 要 度 分 類 のクラスに 適 用 される 地 震 動 による 地 震 力 及 び<br />
静 的 地 震 力 に 十 分 に 耐 えることができるよう 設 計 する。<br />
3 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 に 対 して、 重 大 事 故 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれ<br />
るおそれがないよう 設 計 する。<br />
(2) 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
地 震 力 の 算 定 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐 震 設 計 に 用 いる 地 震 力 の 算 定 等 を 適<br />
用 する。<br />
(3) 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 設 定 方 針<br />
常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 の 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用 している 荷 重 、 運 転 時<br />
の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 、 設 計 基 準 事 故 の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 及 び<br />
251
重 大 事 故 等 の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 組 み 合<br />
わせた 荷 重 条 件 に 対 して、 構 造 物 全 体 としての 変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )<br />
について 十 分 な 余 裕 を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 し 妥 当 な 安 全 余 裕 を 有 するよう 設 計<br />
する。<br />
常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 の 機 器 ・ 配 管 系 については、 通 常 運 転 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡<br />
変 化 、 設 計 基 準 事 故 及 び 重 大 事 故 等 の 状 態 で 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による<br />
地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条 件 に 対 して、 塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、<br />
その 量 が 小 さなレベルに 留 まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その 施 設<br />
の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない 限 度 に 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 を 許 容 限 界<br />
とする。「 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 、 設 計 基 準 事 故 及 び 重 大 事 故 等 の 状 態 で 作<br />
用 する 荷 重 」のうち、<br />
1 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれのある 事 象 によって 作 用 する 荷 重<br />
は、 地 震 力 と 組 み 合 わせる<br />
2 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれはないが、いったん 発 生 した 場 合 、<br />
長 時 間 継 続 する 事 象 による 荷 重 は、 事 象 の 発 生 頻 度 、 継 続 時 間 及 び 地 震<br />
動 の 年 超 過 確 率 との 関 係 を 踏 まえ、 適 切 な 地 震 力 と 組 み 合 わせる<br />
ものとする。<br />
(4) 波 及 的 影 響 に 係 る 設 計 方 針<br />
常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 は、Bクラス 及 びCクラスの 施 設 等 の 波 及 的 影 響 によって、<br />
重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐<br />
震 設 計 における 動 的 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 に 対 する 設 計 方 針 を 踏 襲 し、 重 大 事 故<br />
等 対 処 施 設 の 構 造 上 の 特 徴 、 重 大 事 故 等 における 運 転 状 態 、 重 大 事 故 等 の 状 態 で<br />
施 設 に 作 用 する 荷 重 等 を 考 慮 し、 適 用 する 地 震 力 に 対 して 重 大 事 故 等 に 対 処 する<br />
ために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがないように 設 計 するとしており、 解 釈 別<br />
記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
2. 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
第 39 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 2は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐<br />
震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。 以<br />
下 この 項 において 同 じ。)の 周 辺 斜 面 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作 用<br />
させた 安 定 解 析 を 行 い、 崩 壊 のおそれがないことを 確 認 するとともに、 崩 壊 のお<br />
252
それがある 場 合 には、 崩 壊 によって 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 影 響 を 及 ぼすことがな<br />
いようにすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 周 辺 斜 面 の 評 価 について、 以 下 のとおりとし<br />
ている。<br />
(1) 安 定 性 評 価 の 対 象 となる 斜 面 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 する 周 辺 斜 面 の<br />
離 隔 距 離 及 び 斜 面 高 さを 考 慮 して 検 討 した 結 果 、 対 象 施 設 と 十 分 な 離 隔 距 離<br />
を 有 していることから、 存 在 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 周 辺 斜 面 について、 申 請 者 が 安 定 性 評 価<br />
の 対 象 となる 斜 面 は 存 在 しないことを 確 認 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定<br />
に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-3.3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 40 条 関 係 )<br />
第 40 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 が 基 準 津 波 に 対 して 重 大 事 故 等 に 対 処 するため<br />
に 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 基 準 津 波 に 対 して、 重 大 事 故 等 に 対 処<br />
するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とするため、 以 下 の 耐 津 波 設<br />
計 方 針 としている。<br />
1. 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 に 設 置 するも<br />
のについては、 設 計 基 準 対 象 施 設 と 同 じ 耐 津 波 設 計 方 針 とする。<br />
2.それ 以 外 の 建 屋 及 び 区 画 に 設 置 する 緊 急 時 対 策 棟 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 、 大 容<br />
量 空 冷 式 発 電 機 、モニタリングステーション 及 びモニタリングポストについて<br />
は、 基 準 津 波 による 遡 上 波 を 地 上 部 から 到 達 、 流 入 させない 設 計 とするなど、<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐 津 波 設 計 方 針 に 準 じた 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 準 じ<br />
た 耐 津 波 設 計 により、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれ<br />
がないとしていることから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅳ-3.4 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 41 条 関 係 )<br />
第 41 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 が、 火 災 によって 必 要 な 機 能 を 損 なうおそれが<br />
ないよう、 火 災 の 発 生 を 防 止 すること、かつ、 火 災 を 感 知 及 び 消 火 することを 要 求<br />
している。<br />
253
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 火 災 により 必 要 な 機 能 を 損 なうおそれがない<br />
よう、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 火 災 防 護 対 策 に 準 じて、 火 災 の 発 生 防 止 、 火 災 の 感 知 及<br />
び 消 火 のそれぞれを 考 慮 した 火 災 防 護 対 策 を 講 じた 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 火 災 防 護 基 準 に 基 づく 火 災 防 護 設<br />
計 が 行 われる 方 針 であり、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅳ-3.5 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 関 係 )<br />
第 43 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 に 対 して、 共 通 事 項 として 以 下 の 項 目 を 要<br />
求 している。<br />
1 環 境 条 件 及 び 荷 重 条 件 (43-1-1(※ 22 ))<br />
2 操 作 性 (43-1-2)<br />
3 試 験 又 は 検 査 (43-1-3)<br />
4 切 替 えの 容 易 性 (43-1-4)<br />
5 他 の 設 備 に 対 する 悪 影 響 防 止 (43-1-5)<br />
6 現 場 の 作 業 環 境 (43-1-6)<br />
また、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 に 対 して、 共 通 事 項 として 以 下 の 項 目 を 要 求<br />
している。<br />
1 容 量 (43-2-1)<br />
2 共 用 の 禁 止 (43-2-2)<br />
3 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 との 多 様 性 (43-2-3)<br />
さらに、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 に 対 して、 共 通 事 項 として 以 下 の 項 目 を<br />
要 求 している。<br />
1 容 量 (43-3-1)<br />
2 確 実 な 接 続 (43-3-2)<br />
3 複 数 の 接 続 口 (43-3-3)<br />
4 現 場 の 作 業 環 境 (43-3-4)<br />
5 保 管 場 所 (43-3-5)<br />
6 アクセスルートの 確 保 (43-3-6)<br />
7 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 及 び 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 との 多 様 性 (43-3-7)<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
なお、 各 設 備 が 第 43 条 に 適 合 しているかはⅣ-4.1からⅣ-4.19で 示 し<br />
(※ 22 )「 43-1-1」は、 第 43 条 において 該 当 する 条 項 「 第 43 条 第 1 項 第 1 号 」を 示 す。 以 下 同 様 。<br />
254
ている。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 審 査 確 認 事 項<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 第 1 項 関 係 )<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 について、 以 下 のとおり 設 計 する 方 針 と<br />
している。<br />
1 環 境 条 件 及 び 荷 重 条 件<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 における<br />
温 度 、 放 射 線 、 荷 重 その 他 の 使 用 条 件 において、その 機 能 が 有 効 に 発 揮 で<br />
きるよう、その 設 置 ( 使 用 )・ 保 管 場 所 に 応 じた 耐 環 境 性 を 有 する 設 計 と<br />
するとともに、 操 作 できる 設 計 とする。<br />
2 操 作 性<br />
想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても、 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
の 操 作 を 確 実 なものとするため、 重 大 事 故 等 時 の 環 境 条 件 に 対 し、 操 作 場<br />
所 で 操 作 できる 設 計 とする。<br />
3 試 験 又 は 検 査<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 健 全 性 及 び 能 力 を 確 認 するため、 原 子 炉 の 運 転<br />
中 又 は 停 止 中 に 必 要 な 箇 所 の 保 守 点 検 、 試 験 又 は 検 査 を 実 施 できるよう、<br />
機 能 ・ 性 能 の 確 認 、 漏 えいの 有 無 の 確 認 、 分 解 点 検 等 ができる 構 造 とする。<br />
4 切 替 えの 容 易 性<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 のうち、 本 来 の 用 途 以 外 の 用 途 として 重 大 事 故 等 に<br />
対 処 するために 使 用 する 設 備 にあっては、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 でも、<br />
通 常 時 の 系 統 から 弁 又 は 遮 断 器 操 作 等 にて 速 やかに 切 り 替 えできる 設 計<br />
とする。<br />
5 他 の 設 備 に 対 する 悪 影 響 防 止<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 原 子 炉 施 設 ( 他 号 炉 (※ 23 )を 含 む。) 内 の 他 の<br />
設 備 ( 設 計 基 準 対 象 施 設 だけでなく、 当 該 重 大 事 故 等 対 処 設 備 以 外 の 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 も 含 む。)に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とする。<br />
6 現 場 の 作 業 環 境<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 置 場 所 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場<br />
合 においても 操 作 及 び 復 旧 作 業 に 支 障 がないように、 遮 蔽 の 設 置 や 線 源 か<br />
らの 離 隔 距 離 により 放 射 線 量 が 高 くなるおそれの 少 ない 場 所 を 選 定 した<br />
上 で 設 置 場 所 で 操 作 でき、 放 射 線 の 影 響 を 受 けない 異 なる 区 画 又 は 離 れた<br />
(※ 23 ) 他 号 炉 とは、3 号 炉 に 対 しては 4 号 炉 、4 号 炉 に 対 しては 3 号 炉 を 指 す。<br />
255
場 所 から 遠 隔 で 操 作 できる 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 備 共 通 の 設 計 方 針 等 とし、<br />
他 の 設 備 に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 方 針 とするなど、 第 43 条 第 1 項 及<br />
び 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 としていることから、 適 切<br />
なものであると 判 断 した。<br />
(2) 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 第 2 項 関 係 )<br />
申 請 者 は、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 について、 以 下 のとおり 設 計 する 方<br />
針 としている。<br />
1 容 量<br />
常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 において、 想<br />
定 する 事 象 及 びその 事 象 の 進 展 等 を 考 慮 し、 重 大 事 故 等 時 に 必 要 な 目 的 を<br />
果 たすために、 系 統 の 目 的 に 応 じて 必 要 となる 容 量 等 を 有 する 設 計 とする。<br />
2 共 用 の 禁 止<br />
常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 二 以 上 の 原 子 炉 施 設 において 共 用 しない 設<br />
計 とする。ただし、 共 用 対 象 の 施 設 ごとに 要 求 される 技 術 的 要 件 ( 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するための 必 要 な 機 能 )を 満 たしつつ、 二 以 上 の 原 子 炉 施 設 と<br />
共 用 することによって、 安 全 性 が 向 上 する 場 合 であって、 更 に 同 一 の 発 電<br />
所 内 の 他 の 原 子 炉 施 設 に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼさない 場 合 は、 共 用 できる 設<br />
計 とする。<br />
3 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 との 多 様 性<br />
常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 安 全 機 能 又 は 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 若 しくは 注 水 機 能 と、 環 境 条 件 、 地 震 、 津 波 その 他<br />
の 自 然 現 象 、 外 部 人 為 事 象 、 溢 水 、 火 災 及 びサポート 系 の 故 障 による 共 通<br />
要 因 によって 同 時 にその 機 能 が 損 なわれるおそれがないよう、 可 能 な 限 り<br />
多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 ることを 考 慮 して 適 切 な 措 置 を<br />
講 じた 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 備 共 通 の 設 計 方 針 等<br />
について、 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 な 容 量 を 有 する 設 計 とするなど、<br />
第 43 条 第 2 項 及 び 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 として<br />
いることから、 適 切 なものであると 判 断 した。<br />
(3) 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 第 3 項 関 係 )<br />
申 請 者 は、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 について、 以 下 のとおり 設 計 する<br />
256
方 針 としている。<br />
1 容 量<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 において、<br />
想 定 する 事 象 及 びその 事 象 の 進 展 を 考 慮 し、 系 統 の 目 的 に 応 じて 1 セット<br />
で 必 要 な 容 量 等 を 有 する 設 計 とする。これを 複 数 セット 保 有 することによ<br />
り、 必 要 な 容 量 等 に 加 え、 十 分 に 余 裕 のある 容 量 等 を 有 する 設 計 とする。<br />
2 確 実 な 接 続<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 常 設 設 備 と 接 続 するものについては、 容 易<br />
かつ 確 実 に 接 続 できるように、 原 則 として、ケーブルについてはコネクタ<br />
又 はプラグを 用 い、 配 管 については 口 径 や 内 部 流 体 の 圧 力 を 考 慮 し、 大 口<br />
径 又 は 高 圧 のものにおいてはフランジを、 小 口 径 かつ 低 圧 のものについて<br />
は 簡 便 な 接 続 規 格 を 用 いる 設 計 とする。また、 原 子 炉 施 設 が 相 互 に 使 用 す<br />
ることができるように 3 号 炉 及 び 4 号 炉 とも 同 一 規 格 又 は 同 一 形 状 とす<br />
るとともに、 同 一 ポンプを 接 続 する 配 管 のうち、 当 該 ポンプを 同 容 量 かつ<br />
同 揚 程 で 使 用 する 系 統 では 同 口 径 の 接 続 とする 等 、 複 数 の 系 統 での 規 格 の<br />
統 一 も 考 慮 する。<br />
3 複 数 の 接 続 口<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 のうち、 原 子 炉 建 屋 の 外 から 水 又 は 電 力 を 供<br />
給 する 設 備 と 常 設 設 備 との 接 続 口 は、 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他<br />
のテロリズム 等 の 共 通 要 因 によって 接 続 することができなくなることを<br />
防 止 するため、 屋 内 又 は 建 屋 面 に 設 置 する 場 合 は 建 屋 の 異 なる 面 の 隣 接 し<br />
ない 位 置 に、また、 屋 外 に 設 置 する 場 合 は 接 続 口 から 建 屋 又 は 地 中 の 配 管<br />
ダクトまでの 経 路 が 互 いに 十 分 な 離 隔 距 離 を 確 保 した 位 置 に、 複 数 箇 所 設<br />
置 する。<br />
4 現 場 の 作 業 環 境<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 置 場 所 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生<br />
した 場 合 においても 設 置 及 び 常 設 設 備 との 接 続 に 支 障 がないように、 遮 蔽<br />
の 設 置 や 線 源 からの 離 隔 距 離 により 放 射 線 量 が 高 くなるおそれの 少 ない<br />
場 所 を 選 定 することにより、 当 該 設 備 の 設 置 及 び 常 設 設 備 と 接 続 できる 設<br />
計 とする。<br />
5 保 管 場 所<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 地 震 、 津 波 その 他 の 自 然 現 象 又 は 故 意 に<br />
よる 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムによる 影 響 、 設 計 基 準 事 故 対 処<br />
設 備 並 びに 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 設 備 及 び 注 水 設 備 ( 以 下 「 設 計 基 準 事<br />
故 対 処 設 備 等 」という。)、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 配 置 その 他 の 条 件 を<br />
考 慮 した 上 で、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 及 び 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 設<br />
257
置 されている 建 屋 並 びに 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 又 は 常 設 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 から 100m の 離 隔 距 離 を 確 保 した 上 で、 複 数 箇 所 に 分 散 する<br />
などして 保 管 する。<br />
6 アクセスルートの 確 保<br />
想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 において、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 運 搬 し、 又 は 他 の 設 備 の 被 害 状 況 を 把 握 するため、 発 電 所 内 の 道 路<br />
及 び 通 路 が 確 保 できるよう 設 計 する。<br />
屋 内 及 び 屋 外 において、 想 定 される 重 大 事 故 等 への 対 処 に 必 要 な 可 搬 型<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 保 管 場 所 から 設 置 場 所 及 び 接 続 場 所 まで 運 搬 する<br />
ためのアクセスルート 又 は 他 の 設 備 の 被 害 状 況 を 把 握 するためのアクセ<br />
スルートは、 自 然 現 象 、 外 部 人 為 事 象 、 溢 水 及 び 火 災 を 想 定 し、 迂 回 路 も<br />
考 慮 して 複 数 を 確 保 する。<br />
屋 外 アクセスルートに 対 する 地 震 による 影 響 その 他 自 然 現 象 による 影<br />
響 を 想 定 し、 複 数 のアクセスルートの 中 から、 早 期 に 復 旧 可 能 なアクセス<br />
ルートを 確 保 するため、 障 害 物 を 除 去 可 能 なホイールローダを 3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 で 1 台 使 用 する。ホイールローダの 保 有 数 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 で<br />
1 台 、 故 障 時 及 び 保 守 点 検 による 待 機 除 外 時 のバックアップ 用 として 1 台<br />
の 合 計 2 台 (3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を 分 散 して 保 管 する 設 計 とする。<br />
7 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 及 び 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 との 多 様 性<br />
可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 安 全 機 能 、 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 若 しくは 注 水 機 能 又 は 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 の 重<br />
大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 と、 環 境 条 件 、<br />
地 震 、 津 波 その 他 の 自 然 現 象 、 外 部 人 為 事 象 、 溢 水 、 火 災 及 びサポート 系<br />
の 故 障 による 共 通 要 因 によって 同 時 にその 機 能 が 損 なわれるおそれがな<br />
いよう、 可 能 な 限 り 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 ることを 考<br />
慮 して 適 切 な 措 置 を 講 じた 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 共 通 の 設 計 方 針 につ<br />
いて、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 及 び 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 設 置 されている<br />
建 屋 並 びに 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 又 は 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 から<br />
100m の 離 隔 距 離 を 確 保 した 場 所 に 複 数 箇 所 に 分 散 して 保 管 するなど、 第 43<br />
条 第 3 項 及 び 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 としているこ<br />
とから、 適 切 なものであると 判 断 した。<br />
258
Ⅳ-4 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等<br />
第 44 条 から 第 62 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項 から1.19<br />
項 は、 原 子 炉 設 置 者 に 対 し、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 することを 要 求 している。このうち、 手 順 等 については、 保 安 規 定 等 において<br />
規 定 する 方 針 であることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 要 求 事 項 に 対 応 し、 適 切 に 整 備 する 方 針 で<br />
あるか、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順<br />
等 を 含 み、 適 切 に 整 備 する 方 針 であるかを 審 査 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対<br />
応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 審 査 した。<br />
Ⅳ-4.1 緊 急 停 止 失 敗 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 未 臨 界 にするための 設 備 及<br />
び 手 順 等 ( 第 44 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項 関 係 )<br />
本 節 では、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にするために 申 請 者 が 計 画 する 設 備<br />
及 び 手 順 等 が、1 第 44 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項 ( 以 下 「 第<br />
44 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 で<br />
あるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的<br />
な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 44 条 等 は、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 において 原 子 炉 の 運 転 を 緊 急 に 停<br />
止 することができない 事 象 が 発 生 するおそれがある 場 合 又 は 当 該 事 象 が 発 生<br />
した 場 合 においても 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
ンダリ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 維 持 するとともに、 原 子 炉 を 未 臨 界 に 移<br />
行 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 44 条 等 における「 原 子 炉 を 未 臨 界 に 移 行 するために 必 要 な 設 備 及 び 手<br />
順 等 」とは、「 原 子 炉 の 運 転 を 緊 急 に 停 止 することができない 事 象 が 発 生 する<br />
おそれがある 場 合 」において、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 手 動 による 原 子 炉 の 緊 急 停 止 操 作 を 実 施 する 手 順 等 。<br />
ロ) 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するため、 補 助 給 水 系 ポンプを 自 動 的 に 起 動 させる 設<br />
備 及 び 手 順 等 と 蒸 気 タービンを 自 動 で 停 止 させる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するため、 補 助 給 水 系 ポンプが 自 動 起 動 しない 場 合 又<br />
は 蒸 気 タービンが 自 動 停 止 しない 場 合 は、 手 動 操 作 により 実 施 する 手 順 等 。<br />
259
ニ) 化 学 体 積 制 御 設 備 又 は 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 による 十 分 な 量 のほう 酸 水 注<br />
入 を 実 施 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 44 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 手 動 による 原 子 炉 の 緊 急 停 止 操 作 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するためにタービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止<br />
を 自 動 作 動 させるとともに、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 のために 補 助 給 水 ポ<br />
ンプを 自 動 起 動 させるため、 作 動 信 号 を 自 動 発 信 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 主 蒸 気 隔 離 弁 が 自 動 閉 止 しなかった 場 合 は、 手 動 により 閉 止 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 、また、 補 助 給 水 ポンプが 自 動 起 動 しない 場 合 は、 手 動 に<br />
より 起 動 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
4 化 学 体 積 制 御 設 備 による 十 分 な 量 のほう 酸 水 を 注 入 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未<br />
臨 界 にするための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針<br />
としている。<br />
1 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するためにタービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止<br />
を 自 動 作 動 させるとともに、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 のために 補 助 給 水 ポ<br />
ンプを 自 動 起 動 させるため、 作 動 信 号 を 自 動 発 信 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 化 学 体 積 制 御 設 備 による 十 分 な 量 のほう 酸 水 を 注 入 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にするために 申 請 者 が 計 画<br />
する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 44 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 44 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 及 び 重 大 事 故 等<br />
防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 。 以 下 「 第 43 条 等 」という。) 等 に 従 って 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
260
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 44 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 44 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 手 動 による 原 子 炉 緊 急 停 止 。そのため、 原 子 炉 トリップスイッチを<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. タービントリップ 及 び 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 の 自 動 作 動 による 原 子<br />
炉 出 力 の 抑 制 と 補 助 給 水 ポンプの 自 動 起 動 による 1 次 冷 却 系 統 の 過<br />
圧 防 止 。そのため、 主 蒸 気 隔 離 弁 、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 主 蒸 気 隔 離 弁 の 手 動 閉 止 による 原 子 炉 出 力 の 抑 制 と 補 助 給 水 ポン<br />
プの 手 動 起 動 による 1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 。そのため、 主 蒸 気 隔 離<br />
弁 、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
d. 化 学 体 積 制 御 設 備 又 は 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 を 用 いたほう 酸 水 の 注<br />
入 による 原 子 炉 の 未 臨 界 への 移 行 。そのため、 充 てんポンプ、ほう 酸<br />
タンク、 緊 急 ほう 酸 注 入 弁 、ほう 酸 ポンプ 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクを<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 44 条 等 要 求 事 項 ロ)、 上 記 c.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ハ)、 上 記<br />
d.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 多 様 化 自 動 作 動 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 化 学 体 積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 原 子 炉 トリップ 失 敗<br />
の 場 合 に 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 にするために 必 要 な 量 のほう 酸 水 を 原<br />
子 炉 に 注 入 できる 設 計 とする。<br />
c. 化 学 体 積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設<br />
261
備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 多 様 化 自 動 作 動 設 備 は、 設 計<br />
基 準 事 故 対 処 設 備 である 原 子 炉 保 護 設 備 に 対 して、 原 子 炉 補 助 建 屋 内 の 独<br />
立 した 盤 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、b) 化 学 体<br />
積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 原 子 炉 停 止 失 敗 時 において 原 子 炉<br />
を 未 臨 界 に 移 行 するために 必 要 な 量 のほう 酸 水 を 注 入 できる 設 備 である<br />
こと、c) 化 学 体 積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処<br />
設 備 である 原 子 炉 保 護 設 備 に 対 して、 建 屋 内 の 異 なる 区 画 に 設 置 すること<br />
で、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 原 子 炉 の 自 動 トリップ 失 敗 を 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 により 確 認<br />
し、 出 力 領 域 中 性 子 束 計 の 指 示 値 が 5% 以 上 又 は 中 間 領 域 起 動 率 計 の<br />
指 示 値 が 正 となった 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 である 原 子 炉 トリ<br />
ップスイッチによる 原 子 炉 緊 急 停 止 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 で 実 施 する。<br />
b. 原 子 炉 緊 急 停 止 が 必 要 な 原 子 炉 トリップ 設 定 値 に 到 達 したにもか<br />
かわらず、 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 の 機 能 喪 失 による 原 子 炉 自 動 トリ<br />
ップに 失 敗 したことを 検 知 した 際 に 作 動 する、「 多 様 化 自 動 作 動 設 備<br />
作 動 」 警 報 が 発 信 した 場 合 には、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 作 動 確 認 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 確 認 を 運 転 員 ( 当 直 員 )<br />
等 1 名 で 実 施 する。<br />
c. 多 様 化 自 動 作 動 設 備 により 自 動 で 原 子 炉 出 力 抑 制 ができない 場 合 、<br />
主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 、 補 助 給 水 ポンプの 起 動 を 手 動 で 実 施 する 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等<br />
1 名 が 約 3 分 で 実 施 する。<br />
d. b. 及 び c.の 原 子 炉 出 力 の 抑 制 を 図 った 後 、 手 動 による 原 子 炉 緊 急<br />
停 止 の 失 敗 を 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 により 確 認 した 際 (※ 24 )に、<br />
(※ 24 ) 原 子 炉 出 力 抑 制 を 図 った 後 も、a.の 原 子 炉 手 動 トリップや 後 述 の3.(1)1 及 び2の 多 様 性 拡 張 設 備<br />
((※ 26 )において 説 明 する。)による 原 子 炉 トリップ 操 作 を 継 続 して 実 施 する。 原 子 炉 トリップが 成 功 した<br />
場 合 は、 原 子 炉 出 力 が 5% 未 満 かつ 中 間 領 域 起 動 率 は 負 になるので、 早 急 なほう 酸 水 注 入 は 不 要 となる。<br />
262
出 力 領 域 中 性 子 束 計 の 指 示 値 が 5% 以 上 又 は 中 間 領 域 起 動 率 計 の 指 示<br />
値 が 正 であり、ほう 酸 タンク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、ほ<br />
う 酸 水 注 入 操 作 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 でのほ<br />
う 酸 水 注 入 の 準 備 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 が 約 5 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、 手 順 の 優 先 順 位 を、a.、b.、c.、<br />
d.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 により、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 イ)、1b.の<br />
対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ロ)、1c.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ハ)、1d.の<br />
対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対 応 するものであること、1a.から d.に 掲 げ<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 され<br />
る 方 針 であることから、 第 44 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未<br />
臨 界 にするために、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 により 原 子 炉 出 力 を 抑 制 すること 及 び<br />
化 学 体 積 制 御 設 備 を 用 いたほう 酸 水 の 注 入 により 原 子 炉 を 未 臨 界 に 移 行 する<br />
ことを 必 要 な 対 策 としている。<br />
これらの 対 策 は、(1)1b. 及 び d.と 同 じであるため、 必 要 な 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 も 同 じである。また、これらに 関 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及<br />
び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 緊 急 停<br />
止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にするための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
て 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
263
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未<br />
臨 界 にする 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 (※ 25 )<br />
の 機 能 を 回 復 するための 多 様 性 拡 張 設 備 (※ 26 ) 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしてい<br />
る。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にする 機 能 を 構 成 するフロン<br />
トライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.1-1 参 照 。)を 用 い<br />
た 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 原 子 炉 トリップスイッチによる 原 子 炉 手 動 トリップが 失 敗 した 場 合 に<br />
は、 中 央 制 御 室 において、 常 用 系 パワーセンタ 母 線 遮 断 器 の 開 操 作 による<br />
電 動 発 電 機 電 源 の 遮 断 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を<br />
運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 により 約 2 分 で 実 施 する。<br />
2 上 記 1に 失 敗 した 場 合 には、 中 央 制 御 室 において、 手 動 操 作 により 制 御<br />
棒 を 原 子 炉 に 挿 入 するとともに、 現 場 にて、 電 動 発 電 機 モータ 遮 断 器 スイ<br />
ッチの 開 操 作 による 電 動 発 電 機 電 源 の 遮 断 に 着 手 する。さらに、 電 動 発 電<br />
機 電 源 の 遮 断 に 失 敗 した 場 合 には、 現 場 で 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 の 開 操<br />
作 を 行 う。この 一 連 の 手 順 は、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等<br />
1 名 、 現 場 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 により 約 22 分 で 実 施 する。<br />
3 多 様 化 自 動 作 動 設 備 が 作 動 しても、 原 子 炉 出 力 が 抑 制 されていない 場 合<br />
には、タービントリップスイッチの 操 作 により、タービン 手 動 トリップを<br />
行 う。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 によ<br />
り 約 3 分 で 行 う。なお、この 手 順 は、2.(1)3c.の 主 蒸 気 隔 離 弁 の 手<br />
動 閉 止 と 補 助 給 水 ポンプの 手 動 起 動 を 行 う 前 に 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への<br />
対 処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.1-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 け<br />
た 理 由<br />
(※ 25 ) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 駆 動 源 及 び 冷 却 系 などをサポート 系 といい、それ 以 外 の 設 備 をフロントライン<br />
系 ( 例 えば、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 安 全 機 能 を 直 接 的 に 担 保 する 設 備 )という。 以 下 同 じ。<br />
(※ 26 ) 申 請 者 は、 自 主 的 対 策 における 設 備 の 一 部 を「 多 様 性 拡 張 設 備 」と 呼 び、「 多 様 性 拡 張 設 備 : 技 術 基 準 上<br />
の 全 ての 要 求 を 満 たすことや 全 てのプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるが、プラントの 状 況 に<br />
よっては、 事 故 対 応 に 有 効 な 設 備 」と 定 義 している。 以 下 同 じ。<br />
264
電 動 発 電 機 電 源 ( 所 内 常 用 母 線 440V 遮<br />
断 器 操 作 スイッチ)、 電 動 発 電 機 電 源<br />
( 電 動 発 電 機 出 力 遮 断 器 スイッチ)、<br />
電 動 発 電 機 電 源 ( 電 動 発 電 機 モータ 遮<br />
断 器 スイッチ) 及 び 原 子 炉 トリップ 遮<br />
断 器 スイッチ<br />
制 御 棒 操 作 スイッチ<br />
タービントリップスイッチ<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐<br />
震 性 としては 十 分 ではないものの、<br />
サポート 系 である 電 源 を 遮 断 するこ<br />
とにより 制 御 棒 を 全 挿 入 できるため<br />
、 原 子 炉 を 緊 急 停 止 する 代 替 手 段 と<br />
なり 得 る。<br />
制 御 棒 全 挿 入 完 了 までは 時 間 を 要 す<br />
るものの、 上 記 の 電 源 遮 断 操 作 完 了<br />
までの 間 又 はこれが 実 施 できない 場<br />
合 に 原 子 炉 を 停 止 する 手 段 となり 得<br />
る。<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐<br />
震 性 としては 十 分 ではないものの、<br />
中 央 制 御 室 にて 速 やかな 操 作 が 可 能<br />
であるため、 原 子 炉 出 力 を 抑 制 する<br />
代 替 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 45 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.<br />
2 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 45 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的<br />
能 力 基 準 1.2 項 ( 以 下 「 第 45 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 け<br />
た 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 し<br />
た。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 す<br />
る 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 45 条 等 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 であって、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 冷 却 機 能 (※ 27 )が 喪 失 した 場 合 においても<br />
炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、 原 子 炉 を 冷 却 するために 必 要 な 設 備 及 び 手<br />
(※ 27 ) 申 請 者 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 における 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の<br />
冷 却 機 能 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
・2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能<br />
265
順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 45 条 等 における「 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれら<br />
と 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
1-1 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 及 び 常 設 直 流 電 源 系 統 の 喪 失 を 想 定 し、ター<br />
ビン 動 補 助 給 水 ポンプにより 原 子 炉 を 冷 却 するため、 以 下 の 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 整 備 すること。<br />
イ) 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備<br />
現 場 での 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 ( 可 搬 型 バッテリ 又 は 窒 素 ボンベ<br />
等 )を 用 いた 弁 の 操 作 によりタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 起 動 及 び 十<br />
分 な 期 間 (※ 28 )の 運 転 継 続 を 行 う 設 備 及 び 手 順 等 (ただし、 下 記 ロ)<br />
の 人 力 による 措 置 が 容 易 に 行 える 場 合 を 除 く。)。<br />
ロ) 現 場 操 作<br />
現 場 での 人 力 による 弁 の 操 作 により、タービン 動 補 助 給 水 ポンプの<br />
起 動 及 び 十 分 な 期 間 の 運 転 継 続 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 監 視 及 び 制 御<br />
ハ)-1 原 子 炉 水 位 及 び 蒸 気 発 生 器 水 位 を 推 定 する 手 順 等 。<br />
ハ)-2 タービン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 の 安 全 上 重 要 な 設 備 の 作 動 状 況<br />
を 確 認 する 手 順 等 。<br />
ハ)-3 原 子 炉 水 位 又 は 蒸 気 発 生 器 水 位 を 制 御 する 手 順 等 。<br />
1-2 電 動 補 助 給 水 ポンプに 代 替 交 流 電 源 を 接 続 することにより、 起 動 及<br />
び 十 分 な 期 間 の 運 転 継 続 ができる 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 45 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
2-1 現 場 での 人 力 による 弁 の 操 作 により、タービン 動 補 助 給 水 ポンプを<br />
起 動 ・ 運 転 継 続 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2-2 計 測 設 備 により 監 視 及 び 制 御 するための 手 順 等 。<br />
a. 加 圧 器 水 位 及 び 蒸 気 発 生 器 水 位 を 監 視 又 は 推 定 するための 手 順 等<br />
(※ 29 )。<br />
b. 補 助 給 水 ポンプの 作 動 状 況 を 確 認 するための 手 順 等 。<br />
c. 加 圧 器 水 位 及 び 蒸 気 発 生 器 水 位 の 制 御 のための 手 順 等 (※ 30 )。<br />
2-3 代 替 交 流 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 )により 電 動 補 助 給 水 ポン<br />
(※ 28 )「 十 分 な 期 間 」とは、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 対 策 及 び 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 の<br />
冷 却 対 策 の 準 備 が 整 うまでの 期 間 のことをいう。<br />
(※ 29 ) 監 視 又 は 推 定 するための 手 順 等 については、「Ⅳ-4.15 計 装 設 備 及 びその 手 順 等 」において 整 理 。<br />
(※ 30 ) 制 御 のための 手 順 等 については、「Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び<br />
手 順 」、「Ⅳ-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 」<br />
において 整 理 。<br />
266
プを 起 動 及 び 運 転 継 続 するための 設 備 及 び 手 順 等 (※ 31 )。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 32 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
ンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 1 次 系 のフィードアンドブリードのための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 現 場 で 人 力 により 主 蒸 気 逃 がし 弁 を 操 作 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、1 次 系 が 高 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計 画 する<br />
設 備 及 び 手 順 等 が、 第 45 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切<br />
に 整 備 される 方 針 であることから、 第 45 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。ま<br />
た、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順<br />
等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の<br />
原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 を<br />
より 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 45 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 45 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. タービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 回 復 。そのために、タービン 動 補<br />
助 給 水 ポンプ( 蒸 気 加 減 弁 付 )( 手 動 )、タービン 動 補 助 給 水 ポンプ 駆<br />
動 蒸 気 入 口 弁 ( 手 動 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 補 助 給 水 ポンプの 作 動 状 況 確 認 。そのために、 補 助 給 水 流 量 計 、 復<br />
水 タンク 水 位 計 、 蒸 気 発 生 器 水 位 計 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置<br />
(※ 31 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
(※ 32 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「2 次 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、<br />
「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパ<br />
ス」をいう。<br />
267
付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 45 条 等 要 求 事 項 ロ)、1b.の 対 策 が 第<br />
45 条 等 要 求 事 項 ハ)-2に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 主 な 設 計 方 針 として、ター<br />
ビン 動 補 助 給 水 ポンプの 蒸 気 加 減 弁 及 び 駆 動 蒸 気 入 口 弁 は、 設 計 基 準 事 故<br />
対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 する 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、タービン 動 補 助 給 水 ポンプの 蒸<br />
気 加 減 弁 及 び 駆 動 蒸 気 入 口 弁 は、 現 場 での 手 動 操 作 によるものとし、 設 計<br />
基 準 事 故 対 処 設 備 である 常 設 直 流 電 源 系 統 による 駆 動 源 に 対 して 多 様 性<br />
を 有 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 必 要 であり、 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 認 でき<br />
ない 際 、 復 水 タンク 等 の 水 源 が 確 保 されている 場 合 には、 現 場 での 手<br />
動 操 作 によりタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 を 回 復 させる 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 現 場 でのタービン 動 補 助 給 水 ポンプ 注 油 器<br />
による 軸 受 への 潤 滑 油 の 供 給 、 手 動 操 作 によるタービン 動 補 助 給 水 ポ<br />
ンプの 蒸 気 加 減 弁 及 び 駆 動 蒸 気 入 口 弁 の 開 操 作 、タービン 動 補 助 給 水<br />
ポンプの 流 量 調 整 等 を 計 5 名 により、 約 30 分 で 実 施 する。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 水 位 が 低 下 した 際 、 補 助 給 水 ポンプが 自 動 起 動 又 は 手 動<br />
により 起 動 した 場 合 には、 補 助 給 水 ポンプの 作 動 状 況 確 認 の 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では、 現 場 及 び 中 央 制 御 室 で 補 助 給 水 ポンプの 運 転<br />
状 況 の 確 認 を 計 2 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 を 設 定 して 明 確 化 してい<br />
ること、b) 人 力 によるタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 回 復 の 手 順 等 につ<br />
268
いて、 弁 の 手 動 操 作 、ポンプの 流 量 調 整 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 によ<br />
り 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要<br />
な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、e) 弁 の 手 動 操 作 、ポンプの 流 量 調 整 等 を<br />
行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 45 条 等 要 求 事 項 ロ)、1b.<br />
の 対 策 が 第 45 条 等 要 求 事 項 ハ)-2に 対 応 するものであること、1a. 及 び b.<br />
に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整<br />
備 される 方 針 であることから、 第 45 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 系 が 高 圧 時 に 原 子 炉<br />
を 冷 却 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 1 次 冷 却 系 を 減 圧 するとともに 原 子 炉 への 注 水 を 行 う 1 次 系 のフィ<br />
ードアンドブリード。そのため、 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 及<br />
び 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 現 場 手 動 操 作 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 。そのため、 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 ( 手 動 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 系 のフィードアンドブリードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して<br />
多 様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクは、1 次<br />
系 のフィードアンドブリードによる 炉 心 冷 却 に 必 要 な 流 量 、 容 量 等 を<br />
有 する 設 計 とする。<br />
269
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)1 次 系 のフィードアンドブリ<br />
ードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設<br />
備 である 2 次 冷 却 系 の 除 熱 機 能 を 有 するタービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 等 に 対 して 多 様 性 を 有 すること、b)3 号 炉 においては、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 し、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 補 助 建 屋<br />
内 に 設 置 し、 燃 料 取 替 用 水 タンクは 燃 料 取 替 用 水 タンク 建 屋 に 設 置 するこ<br />
とで、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のタービン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 と 位 置 的 分 散 を 図<br />
る 設 計 とし、4 号 炉 においては、 加 圧 器 逃 がし 弁 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設<br />
置 し、 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 燃 料 取 替 用 水 ピットは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のター<br />
ビン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 とは 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分<br />
散 を 図 る 設 計 とすることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発 生 器 水 位 が 低 下 し、 全 ての 蒸<br />
気 発 生 器 が 除 熱 を 期 待 できない 水 位 ( 蒸 気 発 生 器 広 域 水 位 計 指 示 値<br />
10% 未 満 )になった 際 に、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 用 い<br />
た 1 次 系 のフィードアンドブリードの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
高 圧 注 入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 )<br />
等 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 で 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない<br />
際 に、 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保 されている 場 合 には、 人 力 で 操 作 す<br />
る 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 現 場<br />
での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 4 名 により、 約 20 分<br />
で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 着 手 の 判 断 基 準 が 明 確<br />
であること、b)1 次 系 のフィードアンドブリードの 手 順 等 について、 高 圧<br />
注 入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 開 操 作 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を<br />
確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
270
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 冷 却 系 が 高<br />
圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付<br />
けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを<br />
確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、2 次 系 からの 除 熱 機 能 が 喪 失<br />
した 場 合 に、その 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復<br />
するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 の 機 能<br />
を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.2-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプが 使 用 できない 場 合 には、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気<br />
発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 に<br />
より 実 施 する。<br />
2 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 補 助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 に<br />
は、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ホ<br />
ース、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 の 運 搬 及 び 起 動 、 蒸 気 発 生 器 への 注<br />
水 を 計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
3 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 確 認 できない 場 合 であって、 外 部 電 源<br />
が 確 保 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている 場 合 には、タービンバイパ<br />
ス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1<br />
名 により 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
271
申 請 者 は、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 を 構 成 するサポート 系 の 機 能 を 回 復<br />
させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.2-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のと<br />
おりとしている。<br />
1 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 駆 動 用 空 気 が 喪 失 し、 操 作 場 所 である 主 蒸 気 管 室 が 高<br />
温 又 は 高 線 量 である 場 合 、 窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 用 )による 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 の 機 能 回 復 手 順 に 着 手 する。また、この 手 順 では、 系 統 構 成 、 主<br />
蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 2 名 により、 約 10 分 で 実 施 する。<br />
2 直 流 電 源 が 枯 渇 した 場 合 又 は 枯 渇 するおそれがある 場 合 に、タービン 動<br />
補 助 給 水 ポンプの 再 起 動 が 必 要 となれば、 可 搬 型 バッテリ(タービン 動 補<br />
助 給 水 ポンプ 補 助 ( 非 常 用 ) 油 ポンプ 用 )を 用 いたタービン 動 補 助 給 水 ポ<br />
ンプの 機 能 回 復 に 着 手 する。また、この 手 順 では、 同 バッテリの 接 続 、タ<br />
ービン 動 補 助 給 水 ポンプ 補 助 油 ポンプの 起 動 等 を 計 4 名 により、 約 50 分<br />
で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が、 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 へ<br />
の 対 処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.2-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 主 給 水 ポンプ 常 用 系 設 備 であるため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定<br />
等<br />
されるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であ<br />
るものの、 補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼル 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 に<br />
注 入 ポンプ 等 は 期 待 できないものの、 補 助 給 水 ポンプの 故 障 に 際 し<br />
て、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 による 長 期 的 な 事 故 収 束 のた<br />
めの 設 備 となり 得 る。<br />
タービンバイパス 常 用 系 設 備 であるため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定<br />
弁<br />
されるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であ<br />
るものの、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 窒 素 ボンベの 容 量 から 使 用 できる 時 間 に 制 限 があるも<br />
逃 がし 弁 用 ) のの、 現 場 の 環 境 が 悪 化 した 場 合 でも 中 央 制 御 室 から<br />
の 遠 隔 操 作 により、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させ<br />
る 設 備 となり 得 る。<br />
可 搬 型 バッテリ(タ 使 用 開 始 までに 時 間 を 要 するものの、 直 流 電 源 が 枯 渇<br />
ービン 動 補 助 給 水 した 場 合 又 は 枯 渇 するおそれがある 場 合 において、タ<br />
272
ポンプ 補 助 ( 非 常<br />
用 ) 油 ポンプ 用 )<br />
ービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 回 復 のための 設 備 とな<br />
り 得 る。<br />
Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 ( 第 46 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 冷 却 材 圧 力<br />
バウンダリを 減 圧 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 46 条 及 び<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 項 ( 以 下 「 第 46 条 等 」という。)における 要<br />
求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )<br />
において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針<br />
であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 を<br />
より 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 46 条 等 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 であって、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 減 圧 機 能 (※ 33 )が 喪 失 した 場 合 においても<br />
炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリを 減 圧 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求<br />
している。 第 46 条 等 における「 炉 心 の 著 しい 損 傷 」を「 防 止 するため、 原 子<br />
炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下<br />
に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
としている。<br />
イ) 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備<br />
イ)-1 常 設 直 流 電 源 系 統 喪 失 時 においても、 減 圧 用 の 弁 ( 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 )を 作 動 させ 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの<br />
減 圧 操 作 が 行 える 手 動 設 備 又 は 可 搬 型 代 替 直 流 電 源 設 備 及 び 手 順<br />
等 。<br />
イ)-2 減 圧 用 の 弁 が 空 気 作 動 弁 である 場 合 、 減 圧 用 の 弁 を 作 動 させ 原 子<br />
炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 操 作 が 行 える 可 搬 型 コンプレッサ<br />
ー 又 は 窒 素 ボンベ 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 常 設 直 流 電 源 喪 失 時 においても、 減 圧 用 の 弁 を 作 動 させ 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリの 減 圧 操 作 が 行 える 代 替 電 源 による 復 旧 手 順 等 。<br />
(※ 33 ) 申 請 者 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 における 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の<br />
減 圧 機 能 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
・ 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 及 び 蒸 気 放 出 による 1 次 冷 却 系 統 の 減 圧 機 能 。<br />
273
ハ) 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 において、 破 損 した 蒸 気 発 生 器 を 隔 離 する<br />
ための 手 順 等 。 隔 離 できない 場 合 に 加 圧 器 逃 がし 弁 を 作 動 させることなど<br />
により 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 操 作 が 行 える 手 順 等 。<br />
ニ)インターフェイスシステム LOCA 発 生 時 において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バ<br />
ウンダリの 損 傷 箇 所 を 隔 離 するための 手 順 等 。 隔 離 できない 場 合 に 原 子 炉<br />
を 減 圧 し、 原 子 炉 冷 却 材 の 漏 えいを 抑 制 するために、 主 蒸 気 逃 がし 弁 及 び<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 を 作 動 させることなどにより 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダ<br />
リの 減 圧 操 作 が 行 える 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)-1 及 びイ)-2については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ホ)イ)-1 及 びイ)-2の 減 圧 用 の 弁 は、 作 動 可 能 な 環 境 条 件 を 明 確 にす<br />
るとともに、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 環 境 条 件 において 確<br />
実 に 作 動 すること。<br />
申 請 者 は、 第 46 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 常 設 直 流 電 源 系 統 喪 失 時 において、 主 蒸 気 逃 がし 弁 、 加 圧 器 逃 がし 弁 の<br />
機 能 を 回 復 するための 設 備 ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 )、 可 搬 型 バッテリ( 加<br />
圧 器 逃 がし 弁 用 ) 及 び 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )) 及 び 手 順 等 。<br />
2 上 記 1の 設 備 については、 減 圧 用 の 弁 の 作 動 可 能 な 環 境 条 件 を 明 確 にす<br />
るとともに、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 環 境 条 件 において 確<br />
実 に 作 動 する 設 計 とする。<br />
3 常 設 直 流 電 源 喪 失 時 においても 減 圧 用 の 弁 を 作 動 させ 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリの 減 圧 操 作 を 行 うため、 代 替 電 源 による 復 旧 を 行 うための 手<br />
順 等 (※ 34 )。<br />
4 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 又 はインターフェイスシステム LOCA 発 生<br />
時 において、 損 傷 箇 所 の 隔 離 と 1 次 冷 却 系 の 減 圧 を 行 うための 設 備 及 び 手<br />
順 等 。<br />
5 炉 心 損 傷 時 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 高 圧 状 態 が 継 続 する 場 合<br />
において、 高 圧 溶 融 物 放 出 及 び 格 納 容 器 内 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 するため、<br />
1 次 冷 却 系 を 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 35 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
(※ 34 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
(※ 35 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、<br />
「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパス」、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の<br />
うち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加<br />
熱 」をいう。<br />
274
ンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 減 圧 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 として 整 備 するものは、 上 記 1、4、5に 加 え、 以 下 の 設 備 及 び 手 順<br />
等 としている。<br />
1 1 次 系 のフィードアンドブリードのための 設 備 ( 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧<br />
器 逃 がし 弁 等 ) 及 び 手 順 等 。<br />
2 2 次 冷 却 系 の 注 水 及 び 蒸 気 放 出 による 2 次 系 強 制 冷 却 のための 設 備 ( 電<br />
動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 ) 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を<br />
減 圧 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 46 条 等 における 各 々<br />
の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 46 条<br />
等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付<br />
けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であること<br />
を 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の<br />
原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 を<br />
より 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 46 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 46 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 等 を 用 いた 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。このために、<br />
現 場 で 人 力 により 操 作 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 )を 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 として 位 置 付 けるとともに、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、<br />
窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新<br />
たに 整 備 する。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 及 びインターフェイスシステム LOCA<br />
発 生 時 の 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
275
c. 炉 心 損 傷 時 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 高 圧 状 態 が 継 続 する<br />
場 合 、 高 圧 溶 融 物 放 出 及 び 格 納 容 器 内 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 する 1 次<br />
冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
して 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 46 条 等 要 求 事 項 イ)-1、イ)-2、<br />
1b.の 対 策 が 第 46 条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)に 対 応 するものであることを<br />
確 認 した。<br />
1c.の 対 策 が 第 46 条 のうち 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための<br />
対 策 に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 冷 却 系 の 減 圧 に 用 いる 減 圧 用 の 弁 ( 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 )は 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 環 境 条 件 におい<br />
て 確 実 に 作 動 する。<br />
b. 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし<br />
弁 用 )は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 備 え、 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とする。<br />
c. 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし<br />
弁 用 )は、 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 加 圧 器 逃 がし 弁 は、 駆 動 用 の<br />
窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )から 供 給 される 駆 動 用 窒 素 の 設 定 圧 力 に<br />
ついて、 格 納 容 器 最 高 使 用 圧 力 に 対 し 十 分 な 余 裕 を 考 慮 して 設 定 している<br />
こと、 主 蒸 気 逃 がし 弁 は、 人 力 により 現 場 の 手 動 ハンドルにて 操 作 するが、<br />
重 大 事 故 等 時 の 環 境 条 件 においては 必 要 に 応 じて 要 員 の 防 護 措 置 を 講 じ<br />
ることにより 確 実 に 操 作 できること、b) 加 圧 器 逃 がし 弁 は、 電 磁 弁 の 電 源<br />
を 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )から 給 電 し、 駆 動 用 窒 素 を 窒 素 ボ<br />
ンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )から 供 給 すること、 主 蒸 気 逃 がし 弁 は、 手 動 ハ<br />
ンドルを 設 けること、これらにより、 常 設 直 流 電 源 及 び 制 御 用 空 気 を 用 い<br />
た 弁 操 作 に 対 して 多 様 性 を 有 していること、c) 加 圧 器 逃 がし 弁 は 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 に 設 置 し、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 主 蒸 気 逃 がし 弁 と 離 れた 位 置 に 設<br />
置 されていること、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )は、 通 常 時 は 接<br />
続 せず、 原 子 炉 周 辺 建 屋 及 び 原 子 炉 補 助 建 屋 内 の 常 設 直 流 電 源 と 異 なる 区<br />
276
画 に 分 散 して 保 管 し、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )は、 通 常 時 は 接 続<br />
せず、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のディーゼル 発 電 機 と 異 なる 区 画 に 保 管 すること<br />
で 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、d) 可<br />
搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 ) 及 び 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )<br />
は、 弁 の 作 動 時 間 、 作 動 回 数 を 考 慮 した 上 、 予 備 を 確 保 することにより 必<br />
要 な 容 量 以 上 を 確 保 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、<br />
第 46 条 等 要 求 事 項 ホ)に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 直 流 電 源 喪 失 時 であって、1 次 冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため 加 圧 器 逃<br />
がし 弁 の 開 操 作 が 必 要 な 場 合 には、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁<br />
用 )による 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 を 行 うための 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、バッテリ 接 続 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 3 名 に<br />
より、 約 40 分 で 実 施 する。<br />
b. 駆 動 用 空 気 喪 失 時 であって、1 次 冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 の 開 操 作 が 必 要 な 場 合 には、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )<br />
による 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 を 行 うための 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、 窒 素 ボンベ 接 続 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 3 名 によ<br />
り、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
c. 1 次 冷 却 系 圧 力 の 低 下 及 び 破 損 蒸 気 発 生 器 水 位 、 圧 力 の 上 昇 等 によ<br />
り 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 と 判 断 し、 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 操 作<br />
完 了 後 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 したと 判 断 した 場 合 には、1<br />
次 冷 却 系 の 漏 えい 抑 制 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 加 圧 器 逃 が<br />
し 弁 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 、 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 等 を 計 7 名 によ<br />
り 実 施 する。<br />
d. 1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 加 圧 器 水 位 の 低 下 、 余 熱 除 去 ポンプ 出 口 圧 力 上<br />
昇 等 により 余 熱 除 去 系 への 漏 えいと 判 断 した 場 合 には、インターフェ<br />
イスシステム LOCA 発 生 時 の 1 次 冷 却 系 の 漏 えい 抑 制 の 手 順 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 、 余<br />
277
熱 除 去 系 の 隔 離 等 を 計 10 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 を 明 確 化 していること、<br />
b) 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )による 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 の 手<br />
順 等 について、 系 統 構 成 、 設 定 圧 力 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとと<br />
もに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 で<br />
のアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手<br />
段 を 確 保 していること、e) 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )の 接 続 等 を 行<br />
う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a. 及 び b.の 対 策 が 第 46 条 等 要 求 事 項<br />
イ)、ハ)、ニ)に 対 応 するものであること、1c.の 対 策 が 第 46 条 のうち 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 対 策 に 対 応 するものであること、1a.<br />
に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 46 条 等 要 求 事 項 ホ)に 適 合 する 設 計 方 針<br />
であること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に<br />
従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 46 条 等 に 適 合 するものと<br />
判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウン<br />
ダリを 減 圧 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 等 を 用 いた 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。そのため、<br />
現 場 で 人 力 により 操 作 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
して 位 置 付 け、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 窒 素 ボンベ( 加<br />
圧 器 逃 がし 弁 用 )を 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 及 びインターフェイスシステム LOCA<br />
発 生 時 の 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
c. 炉 心 損 傷 時 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 高 圧 状 態 が 継 続 する<br />
場 合 、 高 圧 溶 融 物 放 出 及 び 格 納 容 器 内 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 する 1 次<br />
278
冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
して 位 置 付 ける。<br />
d. 1 次 系 のフィードアンドブリード。このために、 高 圧 注 入 ポンプ、<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
e. 2 次 系 強 制 冷 却 。このために、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 系 のフィードアンドブリードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 、 燃 料 取 替 用 水 タンクは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多<br />
様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 2 次 系 強 制 冷 却 を 用 いた 1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 として 使 用 する 復 水<br />
タンクは、 十 分 な 容 量 を 有 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)1 次 系 のフィードアンドブリ<br />
ードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設<br />
備 である 2 次 冷 却 系 の 除 熱 機 能 を 有 するタービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 等 に 対 して 多 様 性 を 有 すること、b)3 号 炉 においては、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 し、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 補 助 建 屋<br />
内 に 設 置 することで、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のタービン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 と<br />
位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、4 号 炉 においては、 加 圧 器 逃 がし 弁 は<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 し、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のタービ<br />
ン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 とは 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とすること、c) 復 水 タンクは、 蒸 気 発 生 器 への 給 水 量 に 対 し、<br />
淡 水 又 は 海 水 を 補 給 するまでの 間 、 水 源 を 確 保 する 設 計 であることなどを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保 され、 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 で 主 蒸<br />
279
気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない 場 合 には、 手 動 による 主 蒸 気 逃 がし 弁<br />
を 用 いた 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 減 圧 の 手 順 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 現 場 での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 4 名<br />
により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
b. 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発 生 器 水 位 が 低 下 し、 全 ての 蒸<br />
気 発 生 器 が 除 熱 を 期 待 できない 水 位 ( 蒸 気 発 生 器 広 域 水 位 計 指 示 10%<br />
未 満 )になった 際 、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 を 用 いた 1 次 系<br />
のフィードアンドブリードの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 高 圧 注<br />
入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 開 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 着 手 の 判 断 基 準 が 明 確<br />
であること、b)1 次 系 のフィードアンドブリードの 手 順 等 について、 高 圧<br />
注 入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 開 操 作 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 す<br />
るとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 冷 却 材<br />
圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 減 圧 するための 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って<br />
適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能<br />
を 構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復 するための 多 様 性 拡<br />
張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
280
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 の 機 能 を 回<br />
復 させる 設 備 ( 表 Ⅳ-4.3-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により、 補 助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 に<br />
おいて、 外 部 電 源 により 所 内 常 用 電 源 が 受 電 され、2 次 冷 却 系 の 設 備 が 運<br />
転 中 の 場 合 、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
2 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 蒸 気 発 生 器 蒸 気 圧 力 等 で 確 認 できな<br />
い 場 合 であって、 外 部 電 源 が 確 保 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている<br />
場 合 、タービンバイパス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中<br />
央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
3 加 圧 器 逃 がし 弁 の 故 障 等 により 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 機<br />
能 が 喪 失 した 場 合 であって、 充 てんポンプの 運 転 及 び 体 積 制 御 タンク 等 の<br />
水 位 が 確 保 され 充 てんラインが 使 用 可 能 な 場 合 、 加 圧 器 補 助 スプレイ 弁 を<br />
用 いた 1 次 冷 却 系 減 圧 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を<br />
1 名 により 実 施 する。<br />
4 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により、 補 助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 に<br />
は、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ホ<br />
ース、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 の 運 搬 及 び 起 動 、 蒸 気 発 生 器 への 注<br />
水 を 計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 を 構 成 するサポート 系 の 機 能 を 回 復 させる<br />
ための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.3-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 全 交 流 動 力<br />
電 源 喪 失 の 発 生 により 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 駆 動 用 空 気 が 喪 失 し、 操 作 場 所 である<br />
主 蒸 気 管 室 が 高 温 又 は 高 線 量 である 場 合 、 窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 用 )に<br />
よる 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 着 手 を 挙 げている。この 手 順 では、 系 統 構 成 、<br />
主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 2 名 により、 約 10 分 で 実 施 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対<br />
処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.3-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
281
電 動 主 給 水 ポン<br />
プ 等<br />
タービンバイパ<br />
ス 弁<br />
加 圧 器 補 助 スプ<br />
レイ 弁 等<br />
可 搬 型 ディーゼ<br />
ル 注 入 ポンプ 等<br />
窒 素 ボンベ( 主<br />
蒸 気 逃 が し 弁<br />
用 )<br />
常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 され<br />
るプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、<br />
補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 され<br />
るプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、<br />
主 蒸 気 逃 がし 弁 の 故 障 に 際 して、 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 され<br />
るプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
可 搬 型 ホース、ポンプ 車 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 に 時 間 を 要 す<br />
るため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には 期 待 できないものの、<br />
補 助 給 水 ポンプの 故 障 に 際 して、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 に<br />
よる 長 期 的 な 事 故 収 束 のための 設 備 となり 得 る。<br />
使 用 できる 時 間 に 制 限 があるものの、 現 場 の 環 境 が 悪 化 し<br />
た 場 合 でも 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 が 可 能 となり、 運 転<br />
員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく 低 減 となることから、 主 蒸 気 逃 が<br />
し 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 47 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.<br />
4 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するために 申 請 者<br />
が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 について、1 第 47 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基<br />
準 1.4 項 ( 以 下 「 第 47 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切<br />
に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さら<br />
に、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 で<br />
あるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 47 条 等 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 低 圧 の 状 態 であって、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 冷 却 機 能 (※ 36 )が 喪 失 した 場 合 においても<br />
(※ 36 ) 申 請 者 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 低 圧 の 状 態 における 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の<br />
冷 却 機 能 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
・1 次 冷 却 材 が 喪 失 している 場 合 : 安 全 注 入 設 備 を 用 いた 原 子 炉 への 注 水 による 原 子 炉 の 冷 却 機 能 。ま<br />
た、 余 熱 除 去 設 備 の 再 循 環 運 転 による 原 子 炉 の 冷 却 機 能 。<br />
282
炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉 を 冷 却 す<br />
るために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 47 条 等 に<br />
おける「 炉 心 の 著 しい 損 傷 」を「 防 止 するため、 原 子 炉 を 冷 却 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 。その 運 搬 、 接 続 及 び 操 作 に 関 する 手 順 等 。<br />
ロ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 に 至 るまでの 時 間 的 余 裕 のない 場 合 には、これに 対 応<br />
するための 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 。<br />
ハ) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 代 替 電 源 を 接 続 することにより、 起 動 及 び 十 分<br />
な 期 間 の 運 転 継 続 ができる 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ) 及 びロ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の<br />
効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ニ) 上 記 イ) 及 びロ)の 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 し<br />
て、 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
申 請 者 は、 第 47 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 代 替 炉 心 注 入 のための 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 手 順 等 。<br />
2 代 替 炉 心 注 入 のためのB 充 てんポンプ、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 及 び 手 順<br />
等 。<br />
3 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 を 想 定 した 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 ) 及<br />
び 手 順 等 (※ 37 )。<br />
4 上 記 1 及 び2の 設 備 については、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性<br />
及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
5 原 子 炉 圧 力 容 器 に 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 38 )において、1 次 冷 却 系 低 圧 時 に 原<br />
子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する<br />
方 針 としている。<br />
1 2 次 冷 却 系 の 注 水 及 び 減 圧 のための 設 備 及 び 手 順 。<br />
2 代 替 交 流 電 源 の 確 保 及 び 代 替 炉 心 注 入 のための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 代 替 設 備 を 用 いた 代 替 再 循 環 運 転 のための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
・1 次 冷 却 材 が 喪 失 していない 場 合 又 は 運 転 停 止 中 : 余 熱 除 去 設 備 による 除 熱 による 原 子 炉 の 冷 却 機 能 。<br />
(※ 37 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
(※ 38 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、<br />
「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA)」、<br />
格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )」、 運 転 停 止 中 の 炉 心<br />
損 傷 防 止 対 策 をいう。<br />
283
(3) 規 制 委 員 会 は、1 次 冷 却 系 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計 画 す<br />
る 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 47 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適<br />
切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 47 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の<br />
原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 を<br />
より 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 47 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 47 条 等 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策 とそのための 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 を 用 いた 代 替 炉 心 注 入 。そのため、 可 搬 型<br />
ディーゼル 注 入 ポンプ 等 を 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新 たに 整<br />
備 する。<br />
b. 炉 心 の 著 しい 損 傷 に 至 るまでの 時 間 的 余 裕 のない 場 合 に 対 応 する<br />
ための 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 を 用 いた 代 替 炉 心 注 入 。そのため、B 充<br />
てんポンプを 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。<br />
c. 原 子 炉 圧 力 容 器 に 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 炉 心 冷 却 。そ<br />
のため、 格 納 容 器 スプレイポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 復 水 タン<br />
クを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 常 設 電 動 注 入 ポ<br />
ンプを 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 47 条 等 要 求 事 項 イ)、1b.の 対 策 が 第<br />
47 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
また、1c.の 対 策 が 第 47 条 のうち、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する<br />
ための 対 策 に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
284
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 代 替 炉 心 注 入 に 用 いる 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプ 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、<br />
位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. B 充 てんポンプ、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポン<br />
プは、 代 替 炉 心 注 入 のために 必 要 な 流 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ<br />
は、その 駆 動 源 をディーゼル 方 式 とし、 海 水 又 は 代 替 淡 水 源 から 補 給 でき<br />
る 中 間 受 槽 を 水 源 とすることにより、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 余 熱 除<br />
去 ポンプ 及 び 高 圧 注 入 ポンプ( 駆 動 源 は 非 常 用 母 線 からの 交 流 電 源 、 水 源<br />
は 淡 水 のみ)に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 していること、 可 搬 型 ディー<br />
ゼル 注 入 ポンプは 屋 外 に 分 散 して 保 管 されることにより 設 計 基 準 事 故 対<br />
処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、b) 常 設 電 動 注 入 ポンプ<br />
の 駆 動 源 は 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 とし、 独 立 した 電 源 供 給 ラインから 供 給 さ<br />
れることなどにより、 余 熱 除 去 ポンプ 及 び 高 圧 注 入 ポンプに 対 して 多 様 性<br />
及 び 独 立 性 を 有 していること、 常 設 電 動 注 入 ポンプは 余 熱 除 去 ポンプ 及 び<br />
高 圧 注 入 ポンプとは 原 子 炉 補 助 建 屋 (4 号 炉 においては「 原 子 炉 周 辺 建 屋 」<br />
と 読 み 替 える。) 内 において 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 につい<br />
て、 第 47 条 等 要 求 事 項 ニ)に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 で<br />
あることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 1 次 冷 却 材 喪 失 事 象 発 生 後 、1 系 列 以 上 の 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 によ<br />
る 原 子 炉 への 注 水 を 余 熱 除 去 流 量 等 により 確 認 できない 場 合 であっ<br />
て、かつ、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、B<br />
格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS‐CSS タイライン 使 用 )による 代 替 炉<br />
285
心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 及 び 現 場 での 操<br />
作 等 を 計 3 名 により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )による 原<br />
子 炉 への 注 水 がB 余 熱 除 去 流 量 等 により 確 認 できない 場 合 であって、<br />
かつ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ 等 による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 で<br />
は、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水 を 計 6<br />
名 により、 約 1 時 間 15 分 で 実 施 する。<br />
c. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )による 原<br />
子 炉 への 注 水 がB 余 熱 除 去 流 量 等 により 確 認 できない 場 合 には、 可 搬<br />
型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ホー<br />
ス 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 並 びに 原<br />
子 炉 への 注 水 を 計 16 名 により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
d. 炉 心 の 著 しい 損 傷 、 溶 融 が 発 生 し、 格 納 容 器 圧 力 と 温 度 の 上 昇 又 は<br />
可 搬 型 温 度 計 測 装 置 ( 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 入 口 温 度 / 出 口 温 度 (SA)<br />
用 )の 温 度 差 の 変 化 により 原 子 炉 格 納 容 器 内 が 過 熱 状 態 であると 判 断<br />
した 場 合 には、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 圧 力 容 器 に 残 存 する 場 合 の 冷 却 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 の 圧 力 及 び 温 度 の 監 視 、 注 水 の 停 止 等 を 1 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.、c.<br />
の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 に<br />
よる 代 替 炉 心 注 入 等 の 手 順 等 について、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、<br />
炉 心 注 入 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとし<br />
ていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 してい<br />
ること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 による 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、e)<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 の 運 搬 、 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、<br />
温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 47 条 等 要 求 事 項 イ)、1b.<br />
の 対 策 が 第 47 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1c.の 対 策 が<br />
286
第 47 条 のうち、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 対 策 に 対 応 するも<br />
のであること、1a.から c.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第<br />
43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 47 条 等 に 適 合<br />
するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 冷 却 系 が 低 圧 時 に 原<br />
子 炉 を 冷 却 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 による 2 次<br />
系 強 制 冷 却 (※ 39 )。このために、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、タービン 動 補<br />
助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 位 置 付 ける。<br />
b. 代 替 交 流 電 源 の 確 保 及 び 代 替 炉 心 注 入 。そのため、 大 容 量 空 冷 式 発<br />
電 機 、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 代 替 設 備 を 用 いた 代 替 再 循 環 運 転 。このために、B 格 納 容 器 スプレ<br />
イポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ、 格 納<br />
容 器 再 循 環 サンプスクリーン、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 ) 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等<br />
を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 2 次 系 強 制 冷 却 に 用 いる 電 動 補 助 給 水 ポンプの 駆 動 源 、 主 蒸 気 逃 が<br />
し 弁 ( 手 動 )は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、 位 置<br />
的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 電 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 ) 等 は、2 次 冷 却 系 の<br />
除 熱 機 能 として 必 要 な 流 量 等 を 確 保 する。<br />
c. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 ) 等 は、 代<br />
替 再 循 環 運 転 に 必 要 な 流 量 を 確 保 する。<br />
(※ 39 ) 申 請 者 は、「 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 注 水 )」、「 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 蒸 気 放<br />
出 )」と 記 載 しているが、 分 かりやすく 本 節 では「2 次 系 強 制 冷 却 」と 記 載 。<br />
287
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 電 動 補 助 給 水 ポンプは、その<br />
駆 動 源 を 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 に 手 動 操 作 用 のハンド<br />
ルを 設 けることにより、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 電 源 であるディーゼル 発<br />
電 機 を 使 用 した 電 源 に 対 して 多 様 性 を 有 していること、b) 電 動 補 助 給 水 ポ<br />
ンプの 駆 動 源 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 は、ディーゼル 発 電 機 とは 異 なる 区 画 に<br />
設 置 することにより 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とすること、c)B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )、<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 等 は、 余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 とは<br />
原 子 炉 補 助 建 屋 (4 号 炉 においては「 原 子 炉 周 辺 建 屋 」と 読 み 替 える。) 内<br />
において 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする<br />
ことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 を 非 常 用 高 圧 母 線 電 圧 又<br />
は 原 子 炉 補 機 冷 却 水 供 給 母 管 流 量 等 により 確 認 できない 際 、 蒸 気 発 生<br />
器 への 注 水 に 必 要 な 復 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 電<br />
動 補 助 給 水 ポンプ 又 はタービン 動 補 助 給 水 ポンプによる 2 次 系 強 制<br />
冷 却 ( 注 水 )の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作<br />
を 1 名 で 実 施 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 し、 中 央 制 御 室 から<br />
の 遠 隔 操 作 で 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない 際 、 補 助 給 水 流 量 等<br />
により 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保 されている 場 合 には、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 ( 手 動 )による 2 次 系 強 制 冷 却 ( 蒸 気 放 出 )の 手 順 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 現 場 での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 4 名 に<br />
より 約 20 分 で 実 施 する。<br />
c. 余 熱 除 去 ポンプの 故 障 等 により 再 循 環 運 転 による 原 子 炉 への 注 水<br />
が 余 熱 除 去 流 量 等 にて 確 認 できない 場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポ<br />
ンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )による 代 替 再 循 環 運 転 の 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水<br />
を 計 3 名 により、 約 15 分 で 実 施 する。<br />
d. 運 転 停 止 中 に、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 等 により 余 熱 除 去 系 の 機 能 が 喪<br />
288
失 した 場 合 又 は 原 子 炉 冷 却 材 が 流 出 した 場 合 、 若 しくは 中 性 子 源 領 域<br />
炉 停 止 時 中 性 子 束 高 警 報 が 発 信 した 場 合 には、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 作<br />
業 員 を 退 避 させる 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 退 避 指 示 、 作 業 員<br />
の 退 域 確 認 、エアロック 閉 止 作 業 を 計 3 名 により、 約 35 分 で 実 施 す<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の 順<br />
に 設 定 して 明 確 化 していること、b)B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS<br />
タイライン 使 用 ) 等 による 代 替 再 循 環 運 転 の 手 順 等 について、 系 統 構 成 、<br />
ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するととも<br />
に 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 での<br />
アクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 による 必 要 な 連 絡 手<br />
段 を 確 保 していること、e) 現 場 で 系 統 構 成 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、<br />
温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 冷 却 系 低<br />
圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付<br />
けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であること<br />
を 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、1 次 冷 却 系 が 低 圧 時 に 原 子 炉<br />
を 冷 却 するために 必 要 となる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するととも<br />
に、1 次 冷 却 系 の 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を<br />
構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復 するための 多 様 性 拡 張<br />
設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
1 対 策 と 設 備<br />
289
申 請 者 は、 上 記 2. 以 外 の 設 備 として、1 次 冷 却 系 が 低 圧 時 に 原 子 炉 を<br />
冷 却 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 と 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 する<br />
としている。<br />
a. 格 納 容 器 再 循 環 サンプスクリーン 閉 塞 時 の 炉 心 注 入 。そのため、 高<br />
圧 注 入 ポンプ、 充 てんポンプ 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクを 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 2 次 側 のフィードアンドブリード。このために、 電 動 補<br />
助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 主 な 設 計 方 針 として、 炉 心<br />
注 入 に 用 いる 燃 料 取 替 用 水 タンクは、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 等 に 対 して 多<br />
様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 充 てんポ<br />
ンプは、その 水 源 を 燃 料 取 替 用 水 タンクとすることにより、 格 納 容 器 再 循<br />
環 サンプスクリーン 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプに 対 して 多 様 性 を 有 して<br />
いること、b) 電 動 補 助 給 水 ポンプは、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のディーゼル 発 電<br />
機 と 異 なる 区 画 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることなど<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 余 熱 除 去 ポンプ、 高 圧 注 入 ポンプ 等 により 再 循 環 運 転 を 行 っている<br />
際 に、 各 ポンプの 流 量 低 下 等 により 格 納 容 器 再 循 環 サンプスクリーン<br />
に 閉 塞 の 兆 候 を 確 認 した 場 合 、 同 兆 候 が 現 れた 際 の 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 水<br />
源 からの 補 給 操 作 、 同 タンクを 水 源 とした 原 子 炉 への 注 水 等 を 計 10<br />
名 により 実 施 する。<br />
b. 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 )による 2 次 冷 却 系 からの 冷 却 効 果 がなくな<br />
り、 低 温 停 止 に 移 行 する 場 合 で、かつ、 補 助 給 水 流 量 等 により 蒸 気 発<br />
生 器 への 注 水 が 確 保 されている 場 合 には、 主 蒸 気 管 ドレンライン 使 用<br />
による 蒸 気 発 生 器 2 次 側 のフィードアンドブリードの 手 順 に 着 手 す<br />
290
る。この 手 順 は 計 3 名 により 約 1 時 間 10 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 格 納 容 器 再 循 環 サンプスクリ<br />
ーン 閉 塞 時 の 炉 心 注 入 の 手 順 等 について、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 燃 料<br />
取 替 用 水 タンクへの 補 給 、 原 子 炉 への 注 水 の 継 続 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を<br />
確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、b)ヘッドライト 等 に<br />
より 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、c) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必<br />
要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、d) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 燃 料 取 替<br />
用 水 タンクへの 補 給 、 原 子 炉 への 注 水 の 継 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、<br />
温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 と<br />
して 自 主 的 に 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備<br />
する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
(2)その 他 の 自 主 的 対 策 設 備<br />
(2)-1.フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 する 機 能 を 構 成 するフロント<br />
ライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.4-1 参 照 。)を 用 いた<br />
主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 を AM 用 消 火 水 積<br />
算 流 量 等 にて 確 認 できない 場 合 であって、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されて<br />
おり、かつ 消 火 用 として 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 又 は 消 防<br />
自 動 車 が 必 要 ない 場 合 、 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 又 は 消 防<br />
自 動 車 による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 電 動 消<br />
火 ポンプ 等 の 起 動 、 原 子 炉 への 注 水 を 計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
2 高 圧 注 入 ポンプによる 原 子 炉 への 注 水 を 高 圧 注 入 ポンプ 流 量 等 にて 確<br />
認 できない 場 合 であって、 格 納 容 器 再 循 環 サンプの 水 位 が 確 保 されている<br />
場 合 、AM 用 代 替 再 循 環 ポンプによる 代 替 再 循 環 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
系 統 構 成 、AM 用 代 替 再 循 環 ポンプの 起 動 、 原 子 炉 への 注 水 を 計 3 名 によ<br />
り、 約 30 分 で 実 施 する。<br />
3 電 動 補 助 給 水 ポンプ 及 びタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により、 補<br />
助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 には、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気 発 生<br />
291
器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により<br />
実 施 する。<br />
4 電 動 補 助 給 水 ポンプ 及 びタービン 動 補 助 給 水 ポンプが 使 用 できない 場<br />
合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ホ<br />
ース 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 並 びに 復 水<br />
タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を 計 16 名 により 約<br />
5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
5 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 確 認 できない 場 合 であって、 外 部 電 源<br />
が 確 保 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている 場 合 には、タービンバイパ<br />
ス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1<br />
名 により 実 施 する。<br />
(2)-2.サポート 系 の 機 能 を 回 復 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 する 機 能 を 構 成 するサポート<br />
系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.4-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手<br />
順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )の 機 能 喪 失 により、 原 子 炉 への 注 水 を 確 認<br />
できない 場 合 において、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合<br />
には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )<br />
による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 ス<br />
プレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の 起 動 及 び 運 転 、<br />
原 子 炉 への 注 水 を 計 5 名 により 約 50 分 で 実 施 する。<br />
2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 に、 余 熱 除 去 設 備 の<br />
崩 壊 熱 除 去 機 能 が 喪 失 し、 原 子 炉 への 注 水 を 余 熱 除 去 流 量 等 にて 確 認 でき<br />
ない 場 合 において、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク( 重 力 注 入 )による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手<br />
順 では 系 統 構 成 、 余 熱 除 去 ポンプ 燃 料 取 替 用 水 タンク 側 入 口 電 動 弁 の 開 操<br />
作 、 燃 料 取 替 用 水 タンクからの 重 力 注 入 による 原 子 炉 への 注 水 を 1 名 によ<br />
り 約 20 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への<br />
対 処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.4-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
292
電 動 消 火 ポ ン<br />
プ、ディーゼル<br />
消 火 ポンプ 等<br />
電 動 主 給 水 ポン<br />
プ 等<br />
タービンバイパ<br />
ス 弁<br />
B 格 納 容 器 スプ<br />
レイポンプ( 自<br />
己 冷 却 )(RHRS-<br />
CSS タイライン<br />
使 用 ) 等<br />
燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク( 重 力 注 入 )<br />
消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される<br />
信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 炉 心 注 入 の 代 替 手 段 となり<br />
得 る。<br />
常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるもの<br />
の、 補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるもの<br />
の、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 故 障 に 際 して 代 替 設 備 となり 得 る。<br />
系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
期 待 できないものの、 流 量 が 大 きく、 炉 心 注 入 として 有 効<br />
な 手 段 となり 得 る。<br />
燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 頭 圧 が 1 次 冷 却 材 の 圧 力 を 下 回 っ<br />
た 場 合 は 炉 心 へ 注 水 できない 可 能 性 があるものの、 比 較 的<br />
早 い 代 替 炉 心 注 入 の 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.5 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 4<br />
8 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.5 項 関 係 )<br />
本 節 では、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 最 終 ヒ<br />
ートシンクへ 熱 を 輸 送 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 48 条<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.5 項 ( 以 下 「 第 48 条 等 」という。)におけ<br />
る 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 3<br />
7 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 され<br />
る 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への<br />
対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 48 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送<br />
する 機 能 (※ 40 )が 喪 失 した 場 合 において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納<br />
容 器 の 破 損 ( 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 する 前 に 生 ずるものに 限 る。)を 防 止 す<br />
(※ 40 ) 申 請 者 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 は 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
・ 原 子 炉 補 機 冷 却 水 設 備 ( 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 冷 却 器 等 ) 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 海<br />
水 設 備 ( 海 水 ポンプ 等 )による 冷 却 機 能<br />
293
るため、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備<br />
することを 要 求 している。 第 48 条 等 における「 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送<br />
するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこ<br />
れらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 等 を 防 止 するための 重 大 事 故 防 止 設 備 。<br />
ロ) 取 水 機 能 の 喪 失 により 最 終 ヒートシンクが 喪 失 することを 想 定 した 上 で、<br />
タービン 動 補 助 給 水 ポンプ 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 2 次 冷 却 系 からの<br />
除 熱 により、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 への 熱 の 輸 送 ができる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 す<br />
る 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 上 記 イ)の 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して、 多 重<br />
性 又 は 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
申 請 者 は、 第 48 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、タービン 動 補 助 給 水 ポン<br />
プ 等 により 蒸 気 発 生 器 2 次 側 へ 給 水 するとともに、 主 蒸 気 逃 がし 弁 から 蒸 気 を<br />
放 出 する 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 41 )において、 最 終 ヒートシンクへ 熱<br />
を 輸 送 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針<br />
としている。<br />
1 主 蒸 気 逃 がし 弁 から 蒸 気 を 放 出 するとともに 蒸 気 発 生 器 2 次 側 へ 給 水<br />
する 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いたA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット(※ 42 )<br />
による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いて 代 替 補 機 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するために 申 請 者 が 計 画 する 設<br />
備 及 び 手 順 等 が、 第 48 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に<br />
整 備 される 方 針 であることから、 第 48 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、<br />
有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
(※ 41 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、 格<br />
納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 ・ 過 温 破 損 )」、「 高 圧 溶 融 物 放<br />
出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」、「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」、「 溶 融 炉 心 ・コンクリート<br />
相 互 作 用 」、 運 転 停 止 中 の 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」をいう。<br />
(※ 42 ) 申 請 者 は、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 時 に、 保 有 する 格 納 容 器 再 循 環 ユニットのうちA、B 号 機 を 使 用 す<br />
るとしている。 以 下 同 じ。<br />
294
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 48 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は 第 48 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するため、その 対 策 として<br />
2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 するとし、そのため、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、タービ<br />
ン 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 防 止 設 備<br />
として 位 置 付 けるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 の 対 策 が 第 48 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)に 対 応 する<br />
ものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 は、<br />
2 次 系 強 制 冷 却 に 用 いるタービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 は、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図<br />
る 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心<br />
冷 却 に 用 いるタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 駆 動 源 を 蒸 気 とし、 電 動 補 助 給<br />
水 ポンプの 電 源 を 代 替 電 源 からの 給 電 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 はハンドルを<br />
設 け 手 動 操 作 とすることにより、 非 常 用 電 源 から 給 電 される 設 計 基 準 事 故<br />
対 処 設 備 である 電 動 駆 動 の 海 水 ポンプ 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプに 対<br />
して 駆 動 源 又 は 電 源 について 多 様 性 を 有 すること、b)3 号 炉 においては、<br />
ア)タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 タンク 及 び 主<br />
蒸 気 逃 がし 弁 は 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のディーゼル 発 電 機 と 異 なる 区 画 に 設<br />
置 し、イ) 蒸 気 発 生 器 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 することで 原 子 炉 補 助 建<br />
屋 内 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 及 び 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 冷 却 器 と 異 なる 建 屋 並 びに 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 であ<br />
る 海 水 ポンプと 離 れた 位 置 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立<br />
295
性 を 有 する 設 計 とし、4 号 炉 においては、ウ)タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、<br />
電 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 ピット 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 は 原 子 炉 周 辺 建 屋 内<br />
の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
水 冷 却 器 及 びディーゼル 発 電 機 と 異 なる 区 画 に 設 置 し、エ) 蒸 気 発 生 器 は<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 することで 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である<br />
海 水 ポンプと 離 れた 位 置 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性<br />
を 有 する 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、<br />
第 48 条 等 要 求 事 項 ハ)に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 故 障 等 により 最 終 ヒートシ<br />
ンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 際 に、 復 水 タンクの 水 位 が 確 保 さ<br />
れている 場 合 には、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 又 はタービン 動 補 助 給 水 ポン<br />
プを 用 いた 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 注 水 )の 手 順 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 等 の 故 障 により、 最 終 ヒート<br />
シンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 際 に、 補 助 給 水 流 量 等 により 蒸<br />
気 発 生 器 への 注 水 が 確 認 された 場 合 には、 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気<br />
発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 蒸 気 放 出 )の 手 順 に 着 手 する。この 手<br />
順 では、 現 場 での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 4 名 によ<br />
り 約 20 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 現 場 での 手 動 操 作 等 の 手 順 等<br />
について 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしてい<br />
ること、b)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 しているこ<br />
と、c) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、d) 現 場 で<br />
の 手 動 操 作 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確<br />
認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
296
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 48 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)に 対<br />
応 するものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 48 条 等 要 求 事 項<br />
ハ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその<br />
手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 48 条<br />
等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を<br />
輸 送 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
を 整 備 するとしている。<br />
a. 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 。そのため、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、タービン<br />
動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 。そのため、A、B 格 納 容 器 再 循 環<br />
ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
c. 代 替 補 機 冷 却 を 実 施 。そのため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 に 用 いるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等<br />
は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 代 替 補 機 冷 却 に 用 いる 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 は、 設 計 基 準 事 故 対<br />
処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 に 用<br />
いる 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は 駆 動 方 式 をディーゼル 駆 動 とすることによ<br />
り、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 電 動 駆 動 の 海 水 ポンプ 及 び 原 子 炉 補 機 冷<br />
却 水 ポンプに 対 して 駆 動 源 について 多 様 性 を 有 していること、b)A、B 格<br />
納 容 器 再 循 環 ユニットは 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 すること、また、 移 動 式<br />
297
大 容 量 ポンプ 車 は 海 水 ポンプに 対 して 離 れた 屋 外 に 保 管 することにより、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 海 水 ポンプ 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプに<br />
対 して 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 する 設 計 とすることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 故 障 等 により 最 終 ヒートシ<br />
ンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車<br />
を 用 いたA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷<br />
却 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、<br />
可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ<br />
の 通 水 作 業 等 を 計 17 名 により 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
b. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 故 障 等 により 最 終 ヒートシ<br />
ンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車<br />
による 補 機 冷 却 海 水 通 水 による 代 替 補 機 冷 却 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 系<br />
統 構 成 等 を 計 17 名 により 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、<br />
可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 系 統 構 成 、 通 水 作 業 の 手 順 等 について 定 め、 必 要<br />
な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、b)ヘッドラ<br />
イト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、c) 携 帯 型 通 話 設<br />
備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、d) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配<br />
置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 が<br />
ないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
298
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 最 終 ヒートシンク<br />
へ 熱 を 輸 送 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及<br />
び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、フロントライン 系 及 びサポー<br />
ト 系 の 機 能 が 喪 失 し、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 機 能 が 喪 失 した 場<br />
合 に、その 機 能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしてい<br />
る。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 喪 失 時 に 最 終 ヒートシンクに 熱 を 輸 送 する 機<br />
能 を 代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 を 回 復 させるための 設 備<br />
( 表 Ⅳ-4.5-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプが 使 用 できない 場 合 には、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気<br />
発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 に<br />
より 実 施 する。<br />
2 補 助 給 水 ポンプ 及 び 電 動 主 給 水 ポンプが 使 用 できない 場 合 には、 復 水 タ<br />
ンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 蒸 気<br />
発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル<br />
注 入 ポンプの 起 動 、 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を 計 16 名<br />
により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
3 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 等 の 故 障 により、 制 御 用 圧 縮 空 気<br />
が 供 給 されない 場 合 には、 所 内 用 空 気 圧 縮 機 による 代 替 空 気 供 給 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 は、 自 動 作 動 により 実 施 する。<br />
4 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 確 認 できない 場 合 であって、 外 部 電 源<br />
が 受 電 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている 場 合 には、タービンバイパ<br />
ス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1<br />
名 により 実 施 する。<br />
5 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 等 の 故 障 により、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送<br />
する 機 能 が 喪 失 した 場 合 であって、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 炉 心 への 注<br />
水 が AM 用 消 火 水 積 算 流 量 にて 確 認 できず、A 余 熱 除 去 ポンプ( 空 調 用 冷<br />
水 )により 炉 心 へ 注 水 する 場 合 には、 空 調 用 冷 水 ポンプによるA 余 熱 除 去<br />
299
ポンプ 代 替 補 機 冷 却 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 通 水 作 業 等 を<br />
計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 喪 失 時 に 最 終 ヒートシンクに 熱 を 輸 送 する 機 能 を 代<br />
替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 を 回 復 させるための 設 備<br />
( 表 Ⅳ-4.5-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発 生 器 への 注 水 ができない 場 合 に<br />
は、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 デ<br />
ィーゼル 注 入 ポンプの 起 動 、 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を<br />
計 16 名 により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
2 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 駆 動 用 空 気 が 喪 失 し、 操 作 場 所 である 主 蒸 気 管 室 が 高<br />
温 又 は 高 線 量 である 場 合 、 窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 用 )による 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 の 機 能 回 復 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 の 開 操 作 等 を 計 2 名 により、 約 10 分 で 実 施 する。<br />
3 制 御 用 空 気 圧 縮 機 への 補 機 冷 却 水 が 喪 失 することにより、 制 御 用 空 気 圧<br />
縮 機 が 停 止 し 駆 動 用 空 気 が 喪 失 した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用<br />
いたB 制 御 用 空 気 圧 縮 機 の 補 機 冷 却 海 水 通 水 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機<br />
能 回 復 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、 可 搬 型<br />
ホースの 接 続 等 を 計 17 名 により 約 12 時 間 42 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.5-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 主 給 水 ポンプ 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
等<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
タービンバイパス 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
弁<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
所 内 用 空 気 圧 縮 機 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
300
空 調 用 冷 水 ポンプ<br />
(A 余 熱 除 去 ポン<br />
プ 冷 却 用 )<br />
窒 素 ボンベ( 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 用 )<br />
B 制 御 用 空 気 圧 縮<br />
機 ( 海 水 冷 却 )<br />
のの、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 となり 得<br />
る。<br />
常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
窒 素 ボンベの 容 量 から 使 用 できる 時 間 に 制 限 があるもの<br />
の、 現 場 の 環 境 が 悪 化 した 場 合 でも、 中 央 制 御 室 からの<br />
遠 隔 操 作 が 可 能 となり、 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく 低<br />
減 となることから、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる<br />
設 備 となり 得 る。<br />
系 統 構 成 に 時 間 を 要 するものの、 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操<br />
作 により、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 となり<br />
得 る。<br />
Ⅳ-4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 49 条<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.6 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
が、1 第 49 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.6 項 ( 以 下 「 第 49 条 等 」<br />
という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2<br />
有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により<br />
重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 49 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、また、 炉 心 の 著 し<br />
い 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 並 びに 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 低 下 させるために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 49 条 等 における「 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 並 びに 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 低 下 させるために 必<br />
要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以<br />
上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 機 能 (※ 43 )が<br />
喪 失 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、 格 納 容 器 スプレ<br />
(※ 43 ) 申 請 者 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させる 機 能 は 以 下 の<br />
301
イ 注 水 設 備 (ポンプ 又 は 水 源 )が 機 能 喪 失 しているものとして、 格 納 容 器<br />
スプレイ 代 替 注 水 設 備 により、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 さ<br />
せるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
するため、 格 納 容 器 スプレイ 注 水 設 備 (ポンプ 又 は 水 源 )が 機 能 喪 失 して<br />
いるものとして、 格 納 容 器 スプレイ 代 替 注 水 設 備 により、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 の 圧 力 及 び 温 度 並 びに 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 低 下 させるために 必 要 な 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ) 及 びロ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効<br />
果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 上 記 イ) 及 びロ)の 格 納 容 器 スプレイ 代 替 注 水 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対<br />
処 設 備 に 対 して、 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
申 請 者 は、 第 49 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止<br />
及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 の<br />
ため 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施<br />
するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 44 )において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防<br />
止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等<br />
のための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針 としてい<br />
る。<br />
1 A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施<br />
するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 が、 第 49 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることから、 第 49 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有<br />
とおりとしている。<br />
・ 格 納 容 器 スプレイポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 による 原 子 炉 格 納 容 器 への 注<br />
水 機 能<br />
(※ 44 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、<br />
「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納<br />
容 器 過 圧 ・ 過 温 破 損 )」、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」、「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却<br />
材 相 互 作 用 」、「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」、 運 転 停 止 中 の 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源<br />
喪 失 」をいう。<br />
302
効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含<br />
み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 49 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 49 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 炉 心 の 著 し<br />
い 損 傷 の 防 止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 の 冷 却 等 のため 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整<br />
備 するとしている。<br />
a. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 。そのため、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
ト 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 代 替 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.<br />
の 対 策 が 第 49 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、それぞ<br />
れ 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除 熱 できる 設 計 とする。<br />
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 放 射 性 物 質 濃 度 を 低 下 できる 設 計 とする。<br />
303
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 代 替 格 納 容 器 スプレイに 用 い<br />
る 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 代 替 電 源 設 備 から 給 電 することにより、 非 常 用<br />
電 源 設 備 から 給 電 される 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプレイポン<br />
プに 対 して、 電 源 について 多 様 性 を 有 すること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷<br />
却 に 用 いるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格<br />
納 容 器 スプレイポンプに 対 して、 冷 却 方 式 が 異 なることから 多 様 性 を 有 し<br />
ていること、c) 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、<br />
それぞれ 格 納 容 器 スプレイポンプとは 異 なる 区 画 に 設 置 することにより<br />
位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 すること、d) 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 炉 心<br />
崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 必 要 なスプレイ 流<br />
量 を 有 すること、e)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 格 納 容 器 内 自 然 対<br />
流 冷 却 の 圧 力 損 失 を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損<br />
を 防 止 するために 必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、f) 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
を 行 うことにより 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 放 射 性 物 質 濃 度 を 低 下 できること<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 につい<br />
て、 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、ハ)、1b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 につ<br />
いて、 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、ハ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること<br />
を 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 格 納 容 器 圧 力 が 格 納 容 器 スプレイ 作 動 設 定 値 (196kPa[gage]) 以 上<br />
であり、 格 納 容 器 スプレイポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 に 注<br />
水 できない 場 合 には、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いる 格 納 容<br />
器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、A、<br />
B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を 計 5 名 により 約 1 時 間<br />
10 分 で 実 施 する。<br />
b. 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 であり、 格 納 容<br />
器 スプレイポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 へ 注 水 されない 場<br />
合 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 格 納 容 器 圧 力 が 低 下 しない 場<br />
合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に 着<br />
304
手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 及 び 運<br />
転 、 格 納 容 器 への 注 水 を 計 8 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の 順<br />
に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 代 替 格 納 容<br />
器 スプレイ 等 について、 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通<br />
水 作 業 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 等 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保<br />
するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c) 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境<br />
( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していること、d)ヘッドラ<br />
イト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、e) 携 帯 型 通 話 設<br />
備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a. 及 び b.の 対 策 が 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、<br />
ロ)、ハ)に 対 応 するものであること、1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることか<br />
ら、 第 49 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止<br />
及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却<br />
等 のために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整<br />
備 するとしている。<br />
a. 代 替 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 。そのため、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
ト 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 移 動 式 大 容 量<br />
ポンプ 車 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
305
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、それぞ<br />
れ 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除 熱 できる 設 計 とする。<br />
c. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 代 替 格 納 容 器 スプレイに 用 い<br />
る 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 代 替 電 源 設 備 から 給 電 されることから、 非 常 用<br />
電 源 設 備 から 給 電 される 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプレイポン<br />
プに 対 して、 電 源 について 多 様 性 を 有 すること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷<br />
却 に 用 いるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格<br />
納 容 器 スプレイポンプに 対 して、 冷 却 方 式 について 多 様 性 を 有 しているこ<br />
と、c) 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、それぞ<br />
れ 格 納 容 器 スプレイポンプとは 異 なる 区 画 に 設 置 することによる 位 置 的<br />
分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 すること、d) 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 炉 心 崩 壊 熱<br />
による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 必 要 なスプレイ 流 量 を 有<br />
すること、e)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 自 然 対 流 冷 却 の 圧 力 損 失<br />
を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために<br />
必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、f) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、 格 納 容 器 内 自<br />
然 対 流 冷 却 を 行 うために 必 要 な 量 の 水 をA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ<br />
通 水 できるものであること、g) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 で 2 セット 2 台 (バックアップを 含 め 合 計 3 台 (3 号 及 び 4 号 炉 共 用 ))<br />
を 保 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 に、1 次 冷 却 材<br />
喪 失 事 象 が 発 生 し、 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以<br />
上 であって、さらに 原 子 炉 格 納 容 器 へ 注 水 されない 場 合 には、 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に 着 手 する。この 手<br />
306
順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 及 び 運 転 、 格 納 容 器 へ<br />
の 注 水 を 計 7 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 水 系 の 機 能 が 喪 失 した 場 合 に<br />
は、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いたA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに<br />
よる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統<br />
構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を 計 17 名 によ<br />
り 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 着 手 の 判 断 基 準 を 明 確 化<br />
していること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 等 につ<br />
いて、 可 搬 型 ホースの 運 搬 、 接 続 作 業 等 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 によ<br />
り 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要<br />
な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、e) 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温<br />
度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
の 冷 却 等 のため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手<br />
順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、フロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 が 喪 失 し、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を 代 替 する<br />
ための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 喪 失 時 に 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための<br />
機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
307
申 請 者 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 に<br />
おける 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ<br />
-4.6-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 炉 心 損 傷 前 において、 格 納 容 器 雰 囲 気 の 状 態 に 応 じて、A、B 格 納 容 器<br />
再 循 環 ファンの 運 転 が 可 能 な 場 合 には、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ファンによ<br />
る 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 に 着 手 する。この 手 順 は 通 常 の 運 転 操 作 により<br />
実 施 する。<br />
2 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 であり、 常 設 電 動 注<br />
入 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 に 注 水 できない 場 合 には、 電 動 消<br />
火 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統<br />
構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の 起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 する。<br />
3 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイができない 場 合 には、<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 準 備 に 着 手<br />
する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を<br />
計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 喪 失 時 に 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 を<br />
代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 に<br />
おける 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ<br />
-4.6-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 できない<br />
場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )による 代 替 格 納 容 器 ス<br />
プレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ<br />
( 自 己 冷 却 )の 起 動 等 を 計 5 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.6-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
A、B 格 納 容 器 再 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 、 蒸 気 の 影 響 を 受 ける 可 能 性 があ<br />
循 環 ファン るものの、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 気 を 強 制 的 に 循 環 できる<br />
ため、 原 子 炉 格 納 容 器 を 効 率 的 に 冷 却 する 手 段 となり 得<br />
る。<br />
308
電 動 消 火 ポンプ、<br />
ディーゼル 消 火 ポ<br />
ンプ 等<br />
可 搬 型 ディーゼル<br />
注 入 ポンプ 等<br />
B 格 納 容 器 スプレ<br />
イポンプ( 自 己 冷<br />
却 ) 等<br />
消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される<br />
信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手<br />
段 となり 得 る。<br />
系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
期 待 できないものの、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手 段 となり<br />
得 る。<br />
自 己 冷 却 で 使 用 した 場 合 、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 に 放 射 性 物 質<br />
が 流 れ 込 み 汚 染 する 可 能 性 があることから 再 循 環 運 転 で<br />
使 用 することはできないものの、 流 量 が 大 きく 高 い 減 圧 効<br />
果 が 見 込 める 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.7 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
( 第 50 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 が、1 第 50 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 項 ( 以 下 「 第 5<br />
0 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であ<br />
るか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順<br />
等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な<br />
対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 50 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必<br />
要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 50 条 等 における「 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、<br />
以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手<br />
順 等 をいう。<br />
イ) 格 納 容 器 圧 力 逃 がし 装 置 又 は 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 及 びそれら 設 備 に<br />
より 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 な 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 50 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 45 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧<br />
力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として、 全 交 流<br />
(※ 45 ) 有 効 性 評 価 において、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 をいう。<br />
309
動 力 電 源 喪 失 時 における 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 申 請 者 が<br />
計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 50 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 50 条 等 に 適 合 するものと 判 断<br />
した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をよ<br />
り 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 50 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 50 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 格 納 容 器 内<br />
自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するとし、そのために、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
ト、A、B 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ、A 原 子 炉 補 機 冷 却 水 冷 却 器 、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンク、A、B 海 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 位 置 付 けるとともに、 窒 素 ボンベ( 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 用 )<br />
を 新 たに 整 備 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 の 対 策 が 第 50 条 等 要 求 事 項 イ)に 対 応 するもので<br />
あることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 は、<br />
A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除 熱 でき<br />
る 容 量 を 確 保 することであるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トは、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 を 通 水 することにより、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
の 圧 力 損 失 を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
310
するために 必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、b) 窒 素 ボンベ( 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
水 サージタンク 用 )は、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の 沸 騰 を 防 止 するため、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンク 気 相 部 を 必 要 な 圧 力 まで 加 圧 できる 容 量 を 確 保<br />
することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
圧 力 が 格 納 容 器 スプレイ 作 動 設 定 値 (196kPa[gage]) 以 上 であり、 格 納 容<br />
器 スプレイ 流 量 が 確 認 できない 場 合 には、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順<br />
に 着 手 するとしている。この 手 順 では、 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環<br />
ユニットへの 通 水 作 業 を 計 5 名 により 約 1 時 間 10 分 で 実 施 するとしてい<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対<br />
流 冷 却 について、a) 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 等<br />
の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとして<br />
いること、b) 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を<br />
行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していること、<br />
c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携<br />
帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 50 条 等 要 求 事 項 イ)に 対 応 す<br />
るものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条<br />
等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 50 条 等 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
311
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及<br />
び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 となる 対 策 として、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 時<br />
に 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するとし、そのために、A、B 格 納 容 器<br />
再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 移 動<br />
式 大 容 量 ポンプ 車 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとしてい<br />
る。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除<br />
熱 できる 容 量 を 確 保 する。<br />
b. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トは、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 を 通 水 することにより、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
の 圧 力 損 失 を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
するために 必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、b) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 で 同 時 に 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 うために 必 要 な 量<br />
の 水 をA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ 通 水 できるものであること、c) 移<br />
動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 で 2 セット 2 台 (バックアップ<br />
を 含 め、 合 計 3 台 (3 号 及 び 4 号 炉 共 用 ))を 保 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 していることを 非<br />
常 用 母 線 電 圧 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 水 供 給 母 管 流 量 等 にて 確 認 した 場<br />
合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順<br />
に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 及 び 可 搬 型<br />
ホースの 接 続 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を 計 17<br />
名 により 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
312
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 について、a) 移 動 式 大 容 量 ポン<br />
プ 車 の 配 置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 通 水 作 業 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人<br />
員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、b) 移 動 式 大 容 量<br />
ポンプ 車 の 配 置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度<br />
等 )に 支 障 がないことを 確 認 していること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間<br />
等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡<br />
手 段 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
て 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するために 必 要 と<br />
なる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとともに、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子<br />
炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 、 喪 失 した 場 合 のそれぞれについて、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
るとしている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 上 記 2. 以 外 の 設 備 として、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温<br />
度 を 低 下 させるために 必 要 となる 以 下 の 対 策 と 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整<br />
備 するとしている。<br />
a. 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 格 納 容 器 スプレイポンプ、 燃 料 取 替<br />
用 水 タンクを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 位 置 付 ける。<br />
313
. 代 替 設 備 を 用 いた 代 替 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 燃 料 取 替 用 水<br />
タンク 及 び 復 水 タンクを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け、 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として、 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 の 冷 却 に 必 要 な<br />
容 量 を 確 保 する。<br />
b. 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 復 水 タンクは、 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 常 設 電 動 注 入 ポンプは 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイとして 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 の 冷 却 に 必 要 な 容 量 を<br />
確 保 すること、b) 代 替 格 納 容 器 スプレイの 水 源 である 燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
及 び 復 水 タンクは、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 量 に 対 し、 淡 水 又 は 海 水 を 補<br />
給 するまでの 間 に 必 要 な 容 量 を 確 保 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 で 格 納 容<br />
器 スプレイポンプが 起 動 していないことを 格 納 容 器 スプレイ 流 量 等<br />
により 確 認 した 場 合 、かつ、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されて<br />
いる 場 合 には、 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 で 格 納 容<br />
器 スプレイポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 で<br />
きない 場 合 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力<br />
が 低 下 しない 場 合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプ<br />
レイの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポン<br />
プの 起 動 及 び 運 転 、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 7 名 により 約 40 分<br />
で 実 施 する。<br />
314
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の 順<br />
に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 格 納 容 器 スプレイ、 代 替 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 等 について 格 納 容 器 スプレイの 実 施 、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプ<br />
の 起 動 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 う<br />
としていること、c) 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 が<br />
ないことを 確 認 していること、d)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセ<br />
ス 性 を 確 保 していること、e) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 し<br />
ていることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低<br />
下 させるための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 自 主 的 に 位 置 付 けた 設<br />
備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 し<br />
た。<br />
(2)その 他 の 自 主 的 対 策 設 備<br />
(2)-1 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合<br />
申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 において、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 機 能 を 回 復 させる 設 備 ( 表<br />
Ⅳ-4.7-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 さ<br />
れない 場 合 であって、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 電 動<br />
消 火 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系<br />
統 構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の 起 動 、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 2 名 によ<br />
り 約 25 分 で 実 施 する。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 格 納 容 器 スプレイができない 場 合 には、 可 搬<br />
型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイの 準 備 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を 計<br />
16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
(2)-2 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合<br />
315
申 請 者 は、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 において、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 機 能 を 回 復 させる 設 備 ( 表<br />
Ⅳ-4.7-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 であり、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 ができない 場 合<br />
であって、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、B 格 納<br />
容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 起 動<br />
及 び 運 転 、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 5 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
2 B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器<br />
への 注 水 ができない 場 合 であって 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場<br />
合 には、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 系 統 構 成 、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 の 起 動 及 び 運 転 、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.7-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポ ン 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 信<br />
プ、ディーゼル 頼 性 は 十 分 ではないものの、 格 納 容 器 スプレイの 代 替 手 段 と<br />
消 火 ポンプ 等 なり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するものの、 水 源 を 特 定 せず 原 子 炉 格 納<br />
ル 注 入 ポンプ 等 容 器 への 注 水 に 使 用 できる 設 備 となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には 期<br />
レイポンプ( 自 待 できないものの、 流 量 が 大 きく 高 い 減 圧 効 果 が 見 込 める 手<br />
己 冷 却 ) 等 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.8 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手<br />
順 等 ( 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計 画 する 設<br />
備 及 び 手 順 等 について、1 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 項 ( 以<br />
下 「 第 51 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方<br />
針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
316
び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自<br />
主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認<br />
した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 51 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
破 損 を 防 止 するため、 溶 融 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 下 部 に 落 下 した 炉 心 を 冷 却 す<br />
るために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 51 条 等 に<br />
おける「 溶 融 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 下 部 に 落 下 した 炉 心 を 冷 却 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 注 水 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 を 遅 延 又 は 防 止 するため、 原 子<br />
炉 圧 力 容 器 へ 注 水 する 手 順 等 。<br />
また、 上 記 の 設 備 及 び 手 順 等 については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 可 搬 型 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 の 場 合 は、 接 続 する 建 屋 内 の 流 路<br />
をあらかじめ 敷 設 すること。<br />
ニ) 上 記 イ)の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 は 多 重 性 又 は 多 様 性 及 び 独 立 性<br />
を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること(ただし、 建 屋 内 の 構 造 上 の 流<br />
路 及 び 配 管 を 除 く。)。<br />
ホ) 上 記 イ)の 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 が 必 要 な 場 合 は、 代 替 電 源 からの<br />
給 電 を 可 能 とすること。<br />
申 請 者 は、 第 51 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 格 納 容 器 スプレイポンプによる 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉<br />
心 の 冷 却 を 行 う 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の<br />
冷 却 を 行 う 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 高 圧 注 入 ポンプ 又 は 余 熱 除 去 ポンプによる 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器<br />
下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 を 行 う 炉 心 注 入 を 実 施 するための 手 順 等 。<br />
4 B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 ) 又 は 常 設 電 動 注<br />
入 ポンプによる 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
を 行 う 代 替 炉 心 注 入 を 実 施 するための 手 順 等 。<br />
317
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 46 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部<br />
の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として、 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計<br />
画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 51 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 51 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をよ<br />
り 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 51 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 51 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 格 納 容 器<br />
スプレイ。そのために、 格 納 容 器 スプレイポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 代 替 格 納<br />
容 器 スプレイ。そのために、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 のための<br />
炉 心 注 入 。そのために、 高 圧 注 入 ポンプ、 余 熱 除 去 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
d. 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 のための<br />
代 替 炉 心 注 入 。そのために、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タ<br />
イライン 使 用 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、<br />
(※ 46 ) 有 効 性 評 価 において、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 をいう。<br />
318
常 設 電 動 注 入 ポンプ、B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 ) 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 51 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 c.<br />
及 び d.の 対 策 が 第 51 条 等 基 準 要 求 ロ)に 対 応 するものであることを 確<br />
認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプは、 格 納 容 器 スプレイポンプに 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を<br />
有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し<br />
た 場 合 でも 代 替 電 源 設 備 により 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。さらに、 格<br />
納 容 器 スプレイ 水 は 溶 融 炉 心 が 落 下 するまでに 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィに 十 分 な 水 量 を 蓄 水 できる 設 計 とする。<br />
b. 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 のための<br />
常 設 電 動 注 入 ポンプは、 格 納 容 器 スプレイポンプに 対 して 多 様 性 を 有<br />
し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した<br />
場 合 でも 代 替 電 源 設 備 により 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 代 替<br />
電 源 設 備 から 給 電 されるため、 非 常 用 電 源 設 備 から 給 電 される 設 計 基 準 事<br />
故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプレイポンプに 対 して、 電 源 について 多 様 性 を 有<br />
すること、b) 常 設 電 動 注 入 ポンプは 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプ<br />
レイポンプが 設 置 されている 原 子 炉 補 助 建 屋 (4 号 炉 においては「 原 子 炉<br />
周 辺 建 屋 」と 読 み 替 える。)の 異 なる 区 画 に 設 置 されることにより 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 に 対 する 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 すること、c) 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプは 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した 場 合 でも 代 替 電 源 設 備 の 大<br />
容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 が 可 能 な 設 計 とすること、d) 格 納 容 器 スプレイ<br />
水 が 格 納 容 器 とフロア 最 外 周 部 間 の 隙 間 等 を 通 じ 格 納 容 器 最 下 部 フロア<br />
まで 流 下 し、さらに 小 扉 及 び 連 通 穴 を 経 由 して 原 子 炉 下 部 キャビティへ 流<br />
入 することで、 溶 融 炉 心 が 落 下 するまでに 原 子 炉 下 部 キャビティに 十 分 な<br />
水 量 を 蓄 水 できる 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
319
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
について、 第 51 条 等 要 求 事 項 ニ) 及 びホ)に 適 合 する 設 計 方 針 であるこ<br />
とを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 の 計 画 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 として 可<br />
搬 型 の 設 備 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 としていないことから 第 51 条 等 要 求<br />
事 項 ハ)に 適 合 する 必 要 はない。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
3-1) 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
a. 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 し、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 広 域 水 位 が 75%<br />
未 満 の 場 合 において、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水<br />
タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 広 域 水 位 が 75% 未 満 であり、 格 納 容 器 スプレ<br />
イポンプの 故 障 等 ( 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 系 喪 失 を<br />
含 む。)により 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 において、 格 納<br />
容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 の 水 位 が 確 保 さ<br />
れている 場 合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの<br />
起 動 操 作 等 を 計 8 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
3-2) 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
a. 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 、かつ、 原 子 炉 へ 注 水 するために<br />
必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 高 圧 注<br />
入 ポンプ 又 は 余 熱 除 去 ポンプによる 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 高 圧 注 入 ポンプ 又 は 余 熱 除 去 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 への 注<br />
水 が 確 認 できない 場 合 において、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料<br />
取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 充 てんポンプによ<br />
る 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御 室 での 通 常 の 運<br />
転 操 作 を1 名 により 実 施 する。<br />
c. 充 てんポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合<br />
において、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位<br />
が 確 保 されている 場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タ<br />
イライン 使 用 )による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
320
系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の<br />
起 動 操 作 等 を 計 3 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
d. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の 故 障 等 に<br />
より 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 において、 原 子 炉 へ 注 水 する<br />
ために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 の 水 位 が 確 保 され、 代 替 格 納 容 器<br />
スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代<br />
替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注<br />
入 ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水 を 計 6 名 により 約 1 時 間 15 分 で<br />
実 施 する。<br />
e. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 において、 原 子<br />
炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されて<br />
いる 場 合 には、B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )による 代 替 炉 心 注 入 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )<br />
の 起 動 等 を 計 5 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 手 順 として3-1)a.、b.<br />
の 順 に、また、 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 の<br />
ための 手 順 として、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 な 場 合 は<br />
3-2)a.、b.、c.、d.の 順 に、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 は3-2)e.、d.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b)<br />
代 替 格 納 容 器 スプレイ、 代 替 炉 心 注 入 等 について 現 場 での 手 動 操 作 等 の 手<br />
順 等 について 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとし<br />
ていること、c) 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 し<br />
ていること、d)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 してい<br />
ること、e) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から d.に 掲 げる 設 備<br />
を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順<br />
等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 上 記 3-2)の 手 順 等 が 第 51 条 等 要 求 事 項 ロ)<br />
に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a. 及 び b.の 対 策 が 第 51 条 等 要 求 事 項 イ)<br />
に、1c. 及 び d.の 対 策 が 第 51 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、<br />
321
1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 51 条 等 要 求 事 項 ニ)、ホ)に 適<br />
合 する 設 計 方 針 であること、1a.から d.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びそ<br />
の 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 51<br />
条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉<br />
心 を 冷 却 するために、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用 いた 代 替 格 納 容 器 スプレイによ<br />
る 格 納 容 器 下 部 への 注 水 を 必 要 な 対 策 としている。この 対 策 は、(1)1b.と<br />
同 じであるため 必 要 な 重 大 事 故 等 対 処 設 備 も 同 じである。また、これらに 関 す<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 原 子 炉 格<br />
納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として<br />
位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 な 場 合<br />
又 は 喪 失 した 場 合 において、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機<br />
能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整<br />
備 するとしている。<br />
(1) 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 時 に 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 にお<br />
いて、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 回 復 する 設<br />
備 ( 表 Ⅳ-4.8-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
a. 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 、かつ、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故<br />
障 等 により、 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 格 納 容<br />
322
器 へ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合<br />
には、 電 動 消 火 ポンプ 又 はディーゼル 消 火 ポンプによる 代 替 格 納 容 器<br />
スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の<br />
起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 する。<br />
b. 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 格 納 容 器 へのスプレイが 確 認 できない<br />
場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレ<br />
イの 準 備 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、<br />
接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を 計 16 名 により 約<br />
5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
2 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 にお<br />
いて、 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 するための<br />
機 能 を 回 復 する 設 備 ( 表 Ⅳ-4.8-2 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できな<br />
い 場 合 であって、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が<br />
確 保 され、 代 替 格 納 容 器 スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、 電 動<br />
消 火 ポンプ 又 はディーゼル 消 火 ポンプによる 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の 起 動 等 を 計 2 名 に<br />
より 約 25 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の 故 障 等 に<br />
より、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 代 替 格 納 容 器 ス<br />
プレイに 使 用 されていない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプ 及 び 可 搬 型 ホースの 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポ<br />
ンプの 起 動 並 びに 原 子 炉 への 注 水 を 計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実<br />
施 する。<br />
(2) 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 時 に 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
申 請 者 は、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 にお<br />
いて、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 回 復 する 設<br />
備 ( 表 Ⅳ-4.8-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとして<br />
323
いる。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 でき<br />
ない 場 合 であって、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ<br />
( 自 己 冷 却 )による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、<br />
系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 起 動 等 を 計 5 名<br />
により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 故 障 等 により、 格 納 容 器<br />
への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必<br />
要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、ディーゼル 消 火 ポ<br />
ンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構<br />
成 、ディーゼル 消 火 ポンプの 起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 す<br />
る。<br />
c. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 格 納 容 器 へのスプレイが 確 認<br />
できない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容<br />
器 スプレイの 準 備 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース<br />
等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を 計 16 名<br />
により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
2 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
申 請 者 は、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 にお<br />
いて、 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 するための<br />
機 能 を 回 復 する 設 備 ( 表 Ⅳ-4.8-2 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できな<br />
い 場 合 であって、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
クの 水 位 が 確 保 され、 代 替 格 納 容 器 スプレイに 使 用 されていない 場 合<br />
には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン<br />
使 用 )による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B<br />
格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の<br />
起 動 等 を 計 5 名 により 約 50 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )<br />
の 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 格 納<br />
容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 され、 代 替 格 納<br />
容 器 スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、ディーゼル 消 火 ポンプに<br />
324
よる 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、ディーゼル<br />
消 火 ポンプの 起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 する。<br />
c. B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )の 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確<br />
認 できない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注<br />
入 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ 及 び 可 搬 型 ホースの 運 搬 、 接 続<br />
作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 並 びに 原 子 炉 への 注 水 を 計<br />
16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.8-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
( 落 下 溶 融 炉 心 の 冷 却 )<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポンプ、デ 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 され<br />
ィーゼル 消 火 ポン る 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 格 納 容 器 スプレイの 代<br />
プ 等<br />
替 手 段 となり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼル 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 に<br />
注 入 ポンプ 等 は 期 待 できないものの、 水 源 を 特 定 せず 格 納 容 器 スプレ<br />
イの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプレ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 に<br />
イポンプ( 自 己 冷 は 期 待 できないものの、 流 量 が 大 きく 下 部 キャビティへ<br />
却 ) 等<br />
の 注 水 が 見 込 める 手 段 となり 得 る。<br />
表 Ⅳ-4.8-2 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
( 溶 融 炉 心 の 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 )<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポンプ、デ 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 され<br />
ィーゼル 消 火 ポンプ る 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 炉 心 注 入 の 代 替 手 段 と<br />
等<br />
なり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 に<br />
入 ポンプ 等<br />
は 期 待 できないものの、 水 源 を 特 定 せず 炉 心 注 入 の 代 替<br />
手 段 となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 に<br />
ポンプ( 自 己 冷 却 ) は 期 待 できないものの、 流 量 が 大 きく 炉 心 注 入 として 有<br />
効 な 手 段 となり 得 る。<br />
325
(RHRS-CSS タイライ<br />
ン 使 用 ) 等<br />
Ⅳ-4.9 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 設 備<br />
及 び 手 順 等 ( 第 52 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.9 項 関 係 )<br />
本 節 では、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 申 請 者 が 計 画<br />
する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 52 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.9 項 ( 以<br />
下 「 第 52 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方<br />
針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自<br />
主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認<br />
した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 52 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
における 水 素 による 爆 発 ( 以 下 「 水 素 爆 発 」という。)による 破 損 を 防 止 する 必<br />
要 がある 場 合 には、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 必<br />
要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 52 条 等 における「 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため<br />
に 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ)PWR のうち 必 要 な 場 合 には、 水 素 濃 度 制 御 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 水 素 ガスを 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 排 出 する 場 合 には、 排 出 経 路 での 水 素 爆<br />
発 を 防 止 する 設 備 、 放 射 性 物 質 を 低 減 する 設 備 、 水 素 及 び 放 射 性 物 質 濃 度<br />
を 測 定 する 設 備 及 びそれらの 手 順 等 。<br />
ハ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 時 に 水 素 濃 度 が 変 動 する 可 能 性 のある 範 囲 で 測 定 でき<br />
る 水 素 濃 度 監 視 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)、ロ) 及 びハ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ニ) 上 記 イ)からハ)の 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 を 必 要 とする 場 合 は 代 替<br />
電 源 設 備 からの 給 電 を 可 能 とすること。<br />
ホ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 後 、 水 -ジルコニウム 反 応 及 び 水 の 放 射 線 分 解 による<br />
水 素 及 び 酸 素 の 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する 手 順 等<br />
を 整 備 すること。<br />
326
申 請 者 は、 第 52 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 するための PAR 等 及 び 手 順 等 。<br />
2 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 するためのイグナイタ 等 及 び 手 順<br />
等 。<br />
3 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 監 視 するための 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃<br />
度 計 測 装 置 等 及 び 手 順 等 (※ 47 )。<br />
4 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 ) 及 び 手 順 等 (※<br />
48 )。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容<br />
器 の 破 損 を 防 止 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備<br />
する 方 針 としている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 監 視 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 申 請<br />
者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 52 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 52 条 等 に 適 合 するものと 判<br />
断 した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をよ<br />
り 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 52 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 52 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
(※ 47 ) 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 にサンプルガスの 海 水 冷 却 に 用 いる 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 に 関 す<br />
る 手 順 等 については、「Ⅳ-4.5 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順 等 」 及 び「Ⅳ-<br />
4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」において 整 理 。<br />
(※ 48 ) 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」において 整 理 。<br />
327
a. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 低 減 。そのために、PAR( 電 源 を 必<br />
要 としない) 及 び PAR 動 作 監 視 装 置 を 新 たに 整 備 する。(5 基 )<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 低 減 。そのために、イグナイタ 及 び<br />
イグナイタ 動 作 監 視 装 置 を 新 たに 整 備 する。(13 個 及 び 予 備 1 個 )<br />
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 監 視 。そのために、 可 搬 型 格 納 容 器<br />
水 素 濃 度 計 測 装 置 、 可 搬 型 ガスサンプリング 冷 却 器 用 冷 却 ポンプ、 可<br />
搬 型 代 替 ガスサンプリング 圧 縮 装 置 等 を 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 52 条 等 要 求 事 項 イ)に、c.<br />
の 対 策 が 同 ハ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
なお、 水 素 ガスを 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 排 出 する 方 針 ではないため、 第 5<br />
2 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 する 対 策 はない。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 水 素 濃 度 制 御 及 び 水 素 濃 度 監 視 のための 設 備 は、 他 の 設 備 に 悪 影 響<br />
を 及 ぼさない 設 計 とする。<br />
b. 水 素 濃 度 制 御 のための 設 備 は、 適 切 な 位 置 に 配 置 され、 水 素 濃 度 を<br />
低 減 できる 設 計 とする。<br />
c. 水 素 濃 度 制 御 及 び 水 素 濃 度 監 視 のための 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源<br />
が 必 要 な 場 合 は 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)PAR 及 びイグナイタは、 作 動<br />
時 の 水 素 燃 焼 による 温 度 上 昇 が 重 大 事 故 等 対 処 に 必 要 となる 他 の 設 備 に<br />
悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とすること、それぞれの 温 度 監 視 装 置 は 水 素 処 理<br />
能 力 へ 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とすること、 水 素 濃 度 を 計 測 するための 格<br />
納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 は 通 常 時 には 接 続 先 の 系 統 から 分 離 され 重 大<br />
事 故 等 発 生 時 には 系 統 構 成 可 能 とすること 並 びに 設 置 場 所 にて 固 定 する<br />
ことで 他 の 設 備 に 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とすること、b)PAR は、 水 素 の<br />
効 率 的 な 低 減 を 考 慮 して 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 させた 配 置 とし、 水 素 再<br />
結 合 反 応 開 始 の 不 確 かさを 考 慮 しても 水 素 濃 度 を 低 減 できる 設 計 とする<br />
こと、イグナイタは、 水 素 を 計 画 的 に 燃 焼 させ、 水 素 濃 度 ピークを 抑 制 す<br />
るため、 水 素 放 出 の 想 定 箇 所 に 加 えその 隣 接 区 画 、 水 素 の 主 要 な 通 過 経 路<br />
及 び 上 部 ドーム 部 に 配 置 する 設 計 とすること、c)PAR 動 作 監 視 装 置 、イグ<br />
ナイタ、イグナイタ 動 作 監 視 装 置 、 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 は<br />
328
代 替 電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とす<br />
ることを 確 認 した。<br />
上 記 a.、b. 等 の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要<br />
求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 c.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 従 って 整 備 する<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 52 条 等 要 求 事 項 ニ)を 満 たす 設 計 方 針<br />
であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. PAR は、 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 上 昇 に 伴 って 触 媒 反 応 を 開 始 するた<br />
め、 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 による 準 備 や 起 動 操 作 は 不 要 である。 炉 心 出<br />
口 温 度 等 により 炉 心 損 傷 発 生 と 判 断 した 場 合 には、 作 動 状 況 確 認 の 手<br />
順 に 着 手 する。 電 源 が 喪 失 している 場 合 には、 代 替 電 源 設 備 からの 給<br />
電 (※ 49 )を 確 認 した 後 に 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御 室<br />
において 1 名 により 行 う。<br />
b. 炉 心 出 口 温 度 計 の 指 示 値 が 350℃に 到 達 又 は 安 全 注 入 作 動 を 伴 う 1<br />
次 冷 却 材 喪 失 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、イグナイタによ<br />
る 水 素 濃 度 低 減 の 手 順 に 着 手 する。 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した 場 合 に<br />
は、 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 後 に 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、イ<br />
グナイタの 起 動 及 び 作 動 状 況 の 確 認 を 中 央 制 御 室 において 1 名 によ<br />
り 行 う。<br />
c. 炉 心 出 口 温 度 計 の 指 示 値 が 350℃に 到 達 又 は 安 全 注 入 作 動 を 伴 う 1<br />
次 冷 却 材 喪 失 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、 可 搬 型 格 納 容 器<br />
水 素 濃 度 計 測 装 置 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 の 監 視 の 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 計 測 装 置 の 接 続 、 系 統 構 成 等 を 計 5 名 によ<br />
り 約 35 分 で 実 施 する。 全 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪<br />
失 した 場 合 についても、 計 9 名 により 約 35 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 水 素 濃 度 低 減 の 手 順 等 を 明 確<br />
化 していること、b) 水 素 濃 度 測 定 の 手 順 等 について、 機 器 の 運 搬 、 接 続 作<br />
業 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うこと、c)ヘ<br />
(※ 49 )「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」より、 代 替 電 源 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等<br />
からの 給 電 の 準 備 に 要 する 時 間 は 約 15 分 である。さらに、 有 効 性 評 価 では 事 象 発 生 時 の 状 況 判 断 のための<br />
10 分 間 を 考 慮 し、 代 替 電 源 からの 給 電 開 始 を 事 象 発 生 の 約 25 分 後 としている。<br />
329
ッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 事 故 環<br />
境 下 でも 使 用 可 能 な 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 連 絡 手 段 を 確 保 していること、e)<br />
操 作 エリアにおいて 通 常 運 転 状 態 と 同 等 の 室 温 が 確 保 されることなどを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 上 記 c.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用<br />
いた 手 順 等 について、 第 52 条 等 要 求 事 項 ホ)を 満 たす 手 順 等 を 整 備 する<br />
方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 が、<br />
第 52 条 等 要 求 事 項 イ)、ハ)、ニ) 及 びホ)に 対 応 するものであること、また、<br />
第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 52 条 等 に 適 合<br />
するものと 判 断 した。<br />
なお、 水 素 ガスを 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 排 出 する 方 針 ではないため、 第 52 条<br />
等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 する 対 策 はない。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 評 価 項 目 (f)「 原 子 炉 格 納 容<br />
器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること」を 満 足 するために 必 要<br />
な 対 策 を、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 低 減 、 水 素 濃 度 の 監 視 、 及 びそれら<br />
の 設 備 の 代 替 給 電 としている。これらの 対 策 は(1)1と 同 じであるため、 必<br />
要 な 重 大 事 故 等 対 処 設 備 も 同 じである。また、これらに 関 する 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 水 素 燃<br />
焼 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する<br />
方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 にするため、<br />
更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
330
これに 対 して、 申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 監 視 手 段 の 多 様 性 を 拡<br />
げるための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとした。<br />
(1) 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 監 視 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 を 監 視 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.9<br />
-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 炉 心 損 傷 が 発 生 し 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 による 監 視 ができ<br />
ない 場 合 であって、 現 場 の 放 射 線 量 が 低 下 し、 現 場 操 作 が 可 能 となった 場<br />
合 には、ガス 分 析 計 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 の 監 視 に 着 手 する。<br />
この 手 順 は、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 ガスを 試 料 採 取 管 に 採 取 し、 化 学 室 に<br />
おける 手 分 析 で 間 欠 的 に 水 素 濃 度 を 計 測 するものであり、 現 場 対 応 の 計 3<br />
名 により 約 1 時 間 20 分 で 実 施 する。 制 御 用 空 気 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の<br />
供 給 機 能 が 喪 失 している 場 合 についても、 計 3 名 により 約 1 時 間 20 分 で<br />
実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.9-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
ガス 分 析 計 事 故 初 期 の 放 射 線 量 が 高 い 環 境 下 での 使 用 が 困 難 であり、ま<br />
た、 中 央 制 御 室 からの 監 視 に 対 応 していないものの、 事 象 が<br />
長 期 的 に 安 定 した 場 合 に 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置<br />
の 代 替 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.10 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するための 設 備<br />
及 び 手 順 等 ( 第 53 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.10 項 関 係 )<br />
本 節 では、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 申 請 者 が 計 画 す<br />
る 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 53 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.10 項 ( 以<br />
下 「 第 53 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方<br />
針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
331
(1) 第 53 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 建 屋 その 他<br />
の 原 子 炉 格 納 容 器 から 漏 えいする 気 体 状 の 放 射 性 物 質 を 格 納 するための 施 設<br />
( 以 下 「 原 子 炉 建 屋 等 」という。)の 水 素 爆 発 による 損 傷 を 防 止 する 必 要 があ<br />
る 場 合 には、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 53 条 等 における「 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために<br />
必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等<br />
以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 水 素 濃 度 制 御 設 備 ( 制 御 により 原 子 炉 建 屋 等 で 水 素 爆 発 のおそれがない<br />
ことを 示 すこと。) 又 は 水 素 排 出 設 備 ( 動 的 機 器 等 に 水 素 爆 発 を 防 止 する<br />
機 能 を 付 けること。 放 射 性 物 質 低 減 機 能 を 付 けること。)。その 設 備 により、<br />
水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 手 順 等 。<br />
ロ) 想 定 される 事 故 時 に 水 素 濃 度 が 変 動 する 可 能 性 のある 範 囲 で 推 定 できる<br />
監 視 設 備 。<br />
また、 上 記 イ) 及 びロ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効<br />
果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 上 記 イ) 及 びロ)の 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 を 必 要 とする 場 合 は 代 替<br />
電 源 設 備 からの 給 電 を 可 能 とすること。<br />
申 請 者 は、 第 53 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 水 素 排 出 及 び 放 射 性 物 質 低 減 のためのアニュラス 空 気 浄 化 ファン、アニ<br />
ュラス 空 気 浄 化 フィルタユニット 等 及 び 手 順 等 。<br />
2 水 素 濃 度 を 測 定 し 監 視 するためのアニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 及 び<br />
手 順 等 。<br />
3 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 ) 及 び 手 順 等 (※<br />
50<br />
)。<br />
(2) 規 制 委 員 会 は、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 申 請 者<br />
が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 53 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 53 条 等 に 適 合 するものと 判<br />
断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
(※ 50 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
332
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)<br />
以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実<br />
に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 53 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 53 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. アニュラス 空 気 浄 化 設 備 を 用 いたアニュラスからの 水 素 排 出 (アニ<br />
ュラス 内 に 水 素 が 滞 留 しない 設 計 とすることにより 水 素 爆 発 を 防 止<br />
すること 及 びフィルタを 介 して 水 素 を 含 む 空 気 を 排 出 する 設 計 とす<br />
ることにより 放 射 性 物 質 を 低 減 することを 含 む)。そのために、アニ<br />
ュラス 空 気 浄 化 ファン、アニュラス 空 気 浄 化 フィルタユニット 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 窒 素 ボンベ(アニュラ<br />
ス 空 気 浄 化 ファン 弁 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 格 納 容 器 の 水 素 濃 度 監 視 設 備 を 用 いたアニュラス 水 素 濃 度 測 定 及<br />
び 監 視 。そのために、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 、 大 容 量 空 冷 式 発<br />
電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 53 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 53 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. アニュラス 空 気 浄 化 ファン 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 としての 機<br />
能 を 使 用 することによりアニュラス 内 の 水 素 を 屋 外 に 排 出 すること<br />
ができるため、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 としての 仕 様 と 同 じとするが、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 低 減 機 能 等 と 相 まって、 水 素 爆 発 による<br />
原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 できる 排 出 容 量 を 確 保 する。<br />
b. アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 は、アニュラス 内 の 水 素 濃 度 の 測 定 が<br />
できる 計 測 範 囲 とする。<br />
333
c. アニュラス 空 気 浄 化 ファン、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 は、 交<br />
流 又 は 直 流 電 源 が 必 要 な 場 合 は 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 に 対 応 した<br />
設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)アニュラス 空 気 浄 化 ファン 等<br />
は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 用 いている 格 納 容 器 漏 えい 率<br />
(0.16%/ 日 ) 等 を 条 件 として 評 価 した 結 果 により、アニュラス 内 水 素 濃 度<br />
を 可 燃 限 界 未 満 とすることができる 排 出 容 量 を 確 保 していること、b)アニ<br />
ュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 は、 計 測 誤 差 を 考 慮 した 上 で、0~20vol%を 計 測<br />
範 囲 としていることにより、 適 切 な 計 測 範 囲 を 確 保 していること、c)アニ<br />
ュラス 空 気 浄 化 ファン、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 は 代 替 電 源 設 備 であ<br />
る 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 c.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 従 って 整 備 する<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 53 条 等 要 求 事 項 ハ)を 満 たす 設 計 方 針<br />
であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いる 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 作 動 信 号 が 発 信 した 場 合 には、 交 流 動 力 電 源 及<br />
び 直 流 電 源 が 健 全 な 場 合 のアニュラス 空 気 浄 化 ファン 等 による 水 素<br />
排 出 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、アニュラス 空 気 浄 化 ファン 自<br />
動 起 動 の 中 央 制 御 室 での 確 認 等 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 直 流 電 源 の 喪 失 と 判 断 した 場 合 には、 全 交 流 動<br />
力 電 源 又 は 直 流 電 源 が 喪 失 した 場 合 のBアニュラス 空 気 浄 化 ファン<br />
等 による 水 素 排 出 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 現 場 での 代 替 空<br />
気 ( 窒 素 ) 供 給 ホースの 接 続 作 業 、 水 素 排 出 のための 系 統 構 成 、Bア<br />
ニュラス 空 気 浄 化 ファンの 起 動 等 を 計 2 名 により 約 50 分 で 実 施 する。<br />
c. 炉 心 出 口 温 度 等 により 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 したと 判 断 した 場<br />
合 には、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 による 水 素 濃 度 測 定 の 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御 室 において 1 名 により 実 施 する。<br />
334
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 必 要 な 手 順 を 明 確 化 している<br />
こと、b) 空 気 供 給 操 作 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がな<br />
いことを 確 認 していること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス<br />
性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 して<br />
いることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 53 条 等 要 求 事 項 イ)からハ)に<br />
対 応 するものであること、1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等<br />
が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 53 条 等 に 適 合<br />
するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、アニュラス 内 の 水 素 濃 度 を 推<br />
定 し 監 視 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとした。<br />
(1) 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 測 定 値 によるアニュラス 水 素 濃 度 推 定 のた<br />
めの 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、アニュラス 内 の 水 素 濃 度 推 定 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.10-1<br />
参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 の 故 障 等 に<br />
より 水 素 濃 度 監 視 ができない 場 合 には、 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 測 定 値 によ<br />
るアニュラス 水 素 濃 度 推 定 に 着 手 するとしている。この 手 順 では、 中 央 制 御 室<br />
での 推 定 を 1 名 により 実 施 するとしている。<br />
以 上 により、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事<br />
故 等 への 対 処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.10-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
335
可 搬 型 格 納 容 器<br />
水 素 濃 度 計 測 装<br />
置 、 格 納 容 器 内<br />
高 レンジエリア<br />
モニタ( 高 レン<br />
ジ)、 排 気 筒 高 レ<br />
ンジガスモニタ<br />
等<br />
排 気 筒 高 レンジガスモニタは 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 さ<br />
れる 耐 震 性 が 十 分 ではないものの、 設 備 が 健 全 である 場 合<br />
は、アニュラス 部 の 水 素 濃 度 を 推 定 する 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 54<br />
条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.11 項 関 係 )<br />
本 節 では、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
が、1 第 54 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.11 項 ( 以 下 「 第 54 条 等 」<br />
という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2<br />
有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により<br />
重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 54 条 等 の 第 1 項 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 が 喪 失 ( 以<br />
下 「 想 定 事 故 1」という。)し、 又 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 からの 水 の 漏 えいその 他<br />
の 要 因 ( 以 下 「 想 定 事 故 2」という。)により 当 該 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 低<br />
下 した 場 合 において 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 を 冷 却 し、 放 射 線 を 遮 蔽 し、 及 び 臨 界 を<br />
防 止 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。また、<br />
第 54 条 等 の 第 2 項 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 からの 大 量 の 水 の 漏 えいその 他 の 要<br />
因 により 当 該 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 異 常 に 低 下 した 場 合 において 貯 蔵 槽<br />
内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 の 進 行 を 緩 和 し、 及 び 臨 界 を 防 止 するために 必 要 な 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 54 条 等 における「 想 定 事 故 1」 又 は「 想 定 事 故 2」に 対 する「 貯 蔵 槽 内<br />
燃 料 体 等 を 冷 却 し、 放 射 線 を 遮 蔽 し、 及 び 臨 界 を 防 止 するために 必 要 な 設 備 及<br />
び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を<br />
有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 可 搬 型 代 替 注 水 設 備 ( 注 水 ライン、ポンプ 等 ) 及 びその 手 順 等 。<br />
大 量 の 水 の 漏 えいその 他 の 要 因 による 水 位 の 異 常 な 低 下 に 対 する「 貯 蔵 槽 内<br />
燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 の 進 行 を 緩 和 し、 及 び 臨 界 を 防 止 するために 必 要 な 設 備<br />
336
及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果<br />
を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
ロ) 可 搬 型 スプレイ 設 備 (スプレイヘッダ、スプレイライン、ポンプ 等 ) 及<br />
びその 手 順 等 。<br />
ハ) 燃 料 損 傷 時 に、できる 限 り 環 境 への 放 射 性 物 質 の 放 出 を 低 減 するための<br />
設 備 及 びその 手 順 等 。<br />
さらに、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 監 視 のための 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する<br />
としている。<br />
ニ) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 、 水 温 及 び 上 部 の 空 間 線 量 率 を 計 測 するための<br />
設 備 及 びその 手 順 等 。<br />
ホ) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 状 態 をカメラにより 監 視 するための 設 備 及 びその 手<br />
順 等 。<br />
また、 上 記 イ)、ロ) 及 びニ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ヘ) 上 記 イ)の 代 替 注 水 設 備 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 冷 却 設 備 及 び 注 水 設 備<br />
が 機 能 喪 失 し、 又 は 小 規 模 な 漏 えいがあった 場 合 でも、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の 水 位 を 維 持 できるものであること。<br />
ト) 上 記 ロ)のスプレイ 設 備 は、 代 替 注 水 設 備 によって 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の<br />
水 位 が 維 持 できない 場 合 でも、 燃 料 損 傷 を 緩 和 できるものであること。<br />
チ) 上 記 ニ)の 計 測 設 備 は、 燃 料 貯 蔵 設 備 に 係 る 重 大 事 故 等 により 変 動 する<br />
可 能 性 のある 範 囲 にわたり 測 定 可 能 であること。<br />
リ) 上 記 ニ)の 計 測 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 が 必 要 な 場 合 は 代 替 電 源 設 備<br />
からの 給 電 を 可 能 とすること。<br />
申 請 者 は、 第 54 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 のための 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中<br />
ポンプ 等 及 び 手 順 等 。<br />
2 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイのための 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ<br />
及 び 使 用 済 燃 料 ピットスプレイヘッダ 等 並 びに 手 順 等 。<br />
3 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 のための 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 等 並 び<br />
に 手 順 等 (※ 51 )。<br />
4 状 態 監 視 設 備 ( 使 用 済 燃 料 ピット 温 度 、 水 位 等 を 監 視 するための 計 測 設<br />
備 ) 及 び 手 順 等 。<br />
(※ 51 ) 放 水 砲 等 を 用 いた 使 用 済 燃 料 ピットへの 放 水 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.12 発 電<br />
所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等 」において 整 理 。<br />
337
5 状 態 監 視 設 備 に 給 電 するための 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 )<br />
及 び 手 順 等 (※ 52 )。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、「 想 定 事 故 1」 及 び「 想 定 事 故<br />
2」における 燃 料 損 傷 を 防 止 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として<br />
以 下 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 使 用 済 燃 料 ピットを 監 視 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 が、 第 54 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることから、 第 54 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有<br />
効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含<br />
み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 54 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 54 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 。そのために、 使 用 済 燃 料 ピット 補<br />
給 用 水 中 ポンプ 等 を 新 たに 整 備 する。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイ 注 水 及 び 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 砲 等<br />
による 放 水 。そのために、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ、 移 動 式 大 容<br />
量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 を 新 たに 整 備 する。<br />
c. 使 用 済 燃 料 ピットの 状 態 監 視 。そのために、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
計 (SA)(※ 53 )、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 計 ( 広 域 )(※ 53 )、 使 用 済 燃 料<br />
(※ 52 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
(※ 53 ) 申 請 者 が 用 いている 水 位 計 及 び 温 度 計 の 名 称 は 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 (SA)、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 ( 広<br />
338
ピット 温 度 計 (SA)(※ 53 )、 使 用 済 燃 料 ピット 周 辺 線 量 率 計 、 使 用 済<br />
燃 料 ピット 状 態 監 視 カメラを 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 54 条 等 要 求 事 項 イ)に、b.の 対 策 が<br />
同 ロ) 及 びハ)に、c.の 対 策 が 同 ニ) 及 びホ)に 対 応 するものであること<br />
を 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットからの 大 量 の 水 の 漏 えいが 発 生 した<br />
場 合 の 未 臨 界 の 維 持 について、 詳 細 な 成 立 性 の 説 明 をしていなかった。こ<br />
のため、 規 制 委 員 会 は、 未 臨 界 を 維 持 できる 根 拠 について、 詳 細 な 説 明 を<br />
求 めた。これに 対 し、 申 請 者 は、 燃 料 タイプ、 燃 料 の 燃 焼 度 及 び 濃 縮 度 に<br />
よる 貯 蔵 領 域 を 設 定 して 実 効 増 倍 率 を 定 量 的 に 評 価 し、 未 臨 界 を 維 持 でき<br />
ることを 示 した。これにより、 規 制 委 員 会 は、 未 臨 界 性 評 価 が 妥 当 である<br />
と 判 断 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 による 代 替 注 水 は、 設 計 基 準<br />
対 象 施 設 の 注 水 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、また、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 設 備 及 び 状 態 監 視 設 備 は 他 の 設 備<br />
に 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とする。<br />
c. 代 替 注 水 設 備 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 設 備 又 は 注 水 設 備 が 機 能<br />
喪 失 し、 又 は 水 の 漏 えいその 他 の 要 因 により 水 位 が 低 下 した 場 合 にお<br />
いて、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 燃 料 体 等 を 冷 却 し、 放 射 線 を 遮 蔽 し、 及<br />
び 臨 界 を 防 止 することができる 設 計 とする。<br />
d. スプレイ 設 備 は、 使 用 済 燃 料 ピットからの 大 量 の 水 の 漏 えいが 発 生<br />
し、 可 搬 型 代 替 注 水 設 備 によっても 水 位 が 使 用 済 燃 料 ピット 下 限 水 位<br />
より 低 く、かつ、 水 位 の 低 下 が 継 続 する 場 合 に、 燃 料 損 傷 の 進 行 を 緩<br />
和 できる 設 計 とする。<br />
e. 状 態 監 視 設 備 は、 重 大 事 故 等 により 変 動 する 可 能 性 のある 範 囲 にわ<br />
たり 測 定 可 能 な 設 計 とする。<br />
f. 状 態 監 視 設 備 は、 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とする。<br />
域 )、 使 用 済 燃 料 ピット 温 度 (SA)であるが、 本 節 では 計 測 器 であることがわかるように 水 位 計 、 温 度 計 と 記<br />
載 している。<br />
339
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 代 替 注 水 に 使 用 する 使 用 済 燃<br />
料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプは、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 から 給 電 可 能 であり、<br />
淡 水 又 は 海 水 を 補 給 できる 中 間 受 槽 を 水 源 とすることで、 設 計 基 準 対 象 施<br />
設 の 注 水 設 備 である 燃 料 取 替 用 水 ポンプ 等 に 対 して 多 様 性 を 有 し、また、<br />
これらのポンプを 離 れた 位 置 に 分 散 して 保 管 することで 位 置 的 分 散 を 図<br />
る 設 計 とすること、b)ポンプ 類 、 発 電 機 類 、 水 位 計 、 温 度 計 、 線 量 率 計 等<br />
は 他 の 設 備 に 悪 影 響 を 及 ぼさないよう 通 常 運 転 時 には 系 統 から 分 離 可 能<br />
な 設 計 とすること、c) 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 が 必 要 な 水 位<br />
を 維 持 するために 必 要 な 容 量 を 有 すること、d) 燃 料 損 傷 を 緩 和 するため、<br />
スプレイ 設 備 は 使 用 済 燃 料 ピット 全 域 に 必 要 な 流 量 でスプレイできる 設<br />
計 とすること、e) 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 計 (SA)の 測 定 可 能 範 囲 を 使 用 済<br />
燃 料 ピット 水 位 計 ( 広 域 )で 補 うなどして、 重 大 事 故 等 により 変 動 する 可<br />
能 性 のある 範 囲 にわたり 状 態 監 視 が 可 能 な 設 計 とすること、f) 状 態 監 視 設<br />
備 は 代 替 電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計<br />
とすることを 確 認 した。<br />
上 記 a.、b. 等 の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要<br />
求 事 項 )を 満 たす 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 c.から f.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 従 って<br />
整 備 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 54 条 等 要 求 事 項 ヘ)からリ)<br />
を 満 たす 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピットポンプが 全 台 停 止 した 場 合 、 使 用 済 燃 料 ピットの<br />
水 温 が 65℃を 超 える 場 合 、 又 は 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m<br />
未 満 まで 低 下 した 場 合 には、 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 に<br />
よる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 使<br />
用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 設 置 、 系<br />
統 構 成 等 を 計 12 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m 未 満 に 低 下 し、かつ、 水 位 低<br />
下 が 継 続 する 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットスプレイヘッダ 等 による 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイのため<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、<br />
340
接 続 作 業 、ポンプの 起 動 、 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイ 等 を 計 25 名<br />
により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 のうち、 常 設 設 備 である 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
計 (SA)、 使 用 済 燃 料 ピット 温 度 計 (SA) 及 び 使 用 済 燃 料 ピット 状 態 監<br />
視 カメラは 設 置 作 業 等 を 必 要 としないため、 通 常 時 から 継 続 的 に 状 態<br />
の 監 視 が 可 能 である。 使 用 済 燃 料 ピットポンプが 全 台 停 止 した 場 合 、<br />
使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 が 65℃を 超 える 場 合 、 又 は 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
ト 水 位 が EL.+10.75m 未 満 まで 低 下 した 場 合 には、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
水 位 計 ( 広 域 ) 及 び 使 用 済 燃 料 ピット 周 辺 線 量 率 計 等 を 用 いた 使 用 済<br />
燃 料 ピットの 状 態 監 視 のための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 可 搬<br />
型 設 備 の 運 搬 、 設 置 、 接 続 等 を 計 3 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。ま<br />
た、 交 流 又 は 直 流 電 源 が 喪 失 している 場 合 には、 代 替 電 源 設 備 からの<br />
給 電 後 に 手 順 に 着 手 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 着 手 条 件 を 明 確 化 して<br />
いること、b) 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 による 代 替 注 水 の 手 順<br />
等 について、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 注 水 等 を 定 め、 必 要 な 人<br />
員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うこと、c) 可 搬 型 設 備 保 管 エリア、<br />
運 搬 ルート、 設 置 エリア 周 辺 には 作 業 を 行 う 上 で 支 障 となる 設 備 がないこ<br />
と、d)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、<br />
e) 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 ) 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 を 満 たす 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 が、<br />
第 54 条 等 要 求 事 項 イ)からリ)に 対 応 するものであること、また、 第 43 条<br />
等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることから、 第 54 条 等 に 適 合 するものと<br />
判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、「 想 定 事 故 1」 及 び「 想 定 事 故<br />
2」に 対 する 対 策 を、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 、 使 用 済 燃 料 ピットの 監 視 、<br />
及 びそれらの 設 備 への 代 替 給 電 としている。これらの 対 策 は(1)1a. 及 び c.<br />
341
と 同 じであるため、 必 要 な 重 大 事 故 等 対 処 設 備 も 同 じである。また、これらに<br />
関 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 け<br />
た 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 にするため、<br />
更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 、 状 態 監 視 及 び 漏 え<br />
い 抑 制 のための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとした。<br />
(1) 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.11-<br />
1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 使 用 済 燃 料 ピットポンプの 計 画 外 全 台 停 止 等 により 冷 却 機 能 が 喪 失 し<br />
た 場 合 、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 が 65℃を 超 える 場 合 、 又 は 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ット 水 位 が EL.+10.75m 未 満 まで 低 下 した 場 合 、かつ 燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 による 使 用 済<br />
燃 料 ピットへの 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 注 水 操 作 を 1<br />
名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
2 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 ができない 場<br />
合 、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 さ<br />
れている 場 合 、かつ 重 大 事 故 等 対 処 に 悪 影 響 を 与 える 火 災 が 発 生 していな<br />
いことを 確 認 した 場 合 には、 原 水 タンクから 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル<br />
消 火 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
系 統 構 成 、 消 火 ポンプ 等 の 起 動 、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 計 6 名 によ<br />
り 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
3 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 による<br />
使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 ができない 場 合 、かつ 重 大 事 故 等 対 処 に 悪 影 響<br />
を 与 える 火 災 が 発 生 していないことを 確 認 した 場 合 には、 原 水 タンク 又 は<br />
防 火 水 槽 等 を 水 源 とした 消 防 自 動 車 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 消 防 自 動 車 等 の 起 動 、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットへの 注 水 を 計 10 名 により 約 30 分 で 実 施 する。<br />
342
(2) 使 用 済 燃 料 ピットの 空 間 線 量 率 を 計 測 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 空 間 線 量 率 を 計 測 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.<br />
11-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 に 関 し、 使 用 済 燃 料 ピットエリアモニタ<br />
は 通 常 時 から 使 用 している 設 備 であり、 重 大 事 故 等 発 生 時 において 既 に 使 用 可<br />
能 な 状 態 にあるとしている。<br />
(3) 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 を 計 測 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 を 計 測 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.11<br />
-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 に 関 し、 常 設 及 び 可 搬 型 の 使 用 済 燃 料 ピット<br />
水 位 計 が 故 障 した 場 合 には、ロープ 式 水 位 計 により 水 位 を 測 定 するとしている。<br />
(4) 使 用 済 燃 料 ピットからの 水 の 漏 えいを 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットからの 大 量 の 水 の 漏 えいを 抑 制 するための 設 備<br />
( 表 Ⅳ-4.11-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 に 関 し、 使 用 済 燃 料 ピット 水<br />
位 が EL.+9.46m( 使 用 済 燃 料 ピット 出 口 配 管 下 端 ) 以 下 となり、かつ 水 位 低 下<br />
が 継 続 する 場 合 には、 使 用 済 燃 料 ピットにおいて、ステンレス 鋼 板 、ガスケッ<br />
ト 材 、ロープ( 吊 り 降 ろし 用 ) 等 を 用 いた 水 の 漏 えい 抑 制 に 着 手 するとしてい<br />
る。この 手 順 では、 漏 えい 部 への 鋼 板 の 設 置 等 を 計 4 名 により 約 2 時 間 で 実 施<br />
するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.11-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 は 、 事 故 時 に 炉 心 等 へ 注 水 す<br />
等<br />
る 必 要 がある 場 合 に 水 源 として 使 用 すること、 定 期 検<br />
査 時 において 燃 料 取 替 時 の 原 子 炉 キャビティへの 水 張<br />
りに 使 用 することから、 必 要 な 水 量 が 確 保 できない 場<br />
合 があるが、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 できる 場 合 には<br />
有 効 である。<br />
343
燃 料 取 替 用 水 補 助 タ<br />
ンク 等<br />
電 動 消 火 ポンプ、デ<br />
ィーゼル 消 火 ポンプ<br />
等<br />
2 次 系 補 給 水 ポン<br />
プ、2 次 系 純 水 タン<br />
ク<br />
使 用 済 燃 料 ピットエ<br />
リアモニタ<br />
ロープ 式 水 位 計<br />
消 防 自 動 車 等<br />
燃 料 取 替 用 水 補 助 タンク 等 は、 共 用 設 備 であり 定 期 検<br />
査 時 等 には 燃 料 検 査 ピット 等 への 水 張 りに 使 用 するこ<br />
とから、 必 要 な 水 量 が 確 保 できない 場 合 があり、ま<br />
た、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては<br />
十 分 ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 できる<br />
場 合 には 有 効 である。<br />
消 火 を 目 的 とする 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 として 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットへの 注 水 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分<br />
ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 できる 場 合<br />
には 有 効 である。<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分<br />
ではないものの、 重 大 事 故 等 の 発 生 直 後 から 空 間 線 量<br />
率 を 把 握 する 手 段 として 有 効 である。<br />
使 用 済 燃 料 ピットに 接 近 可 能 な 場 合 にしか 使 用 できな<br />
いものの、 水 位 を 把 握 する 手 段 として 有 効 である。<br />
消 火 を 目 的 とする 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 として 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットへの 注 水 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 項 関 係 )<br />
本 節 では、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 又 は 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 の<br />
著 しい 損 傷 に 至 った 場 合 において 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するため<br />
に 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 について、 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的<br />
能 力 基 準 1.12 項 ( 以 下 「 第 55 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 によ<br />
り 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 55 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 又 は 貯 蔵 槽 内 燃<br />
料 体 等 の 著 しい 損 傷 に 至 った 場 合 において 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を<br />
抑 制 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 の 整 備 を 要 求 している。<br />
344
第 55 条 等 における「 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 原 子 炉 建 屋 に 放 水 できる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 海 洋 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 す<br />
る 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 放 水 設 備 は、 原 子 炉 建 屋 周 辺 における 航 空 機 衝 突 による 航 空 機 燃 料 火 災<br />
に 対 応 できること。<br />
ニ) 放 水 設 備 は、 移 動 等 により、 複 数 の 方 向 から 原 子 炉 建 屋 に 向 けて 放 水 す<br />
ることが 可 能 なこと。<br />
ホ) 放 水 設 備 は、 複 数 の 原 子 炉 施 設 の 同 時 使 用 を 想 定 し、 発 電 所 内 原 子 炉 施<br />
設 基 数 の 半 数 以 上 を 配 備 すること。<br />
申 請 者 は、 第 55 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 及 びアニュラス 部 ( 以 下 「 原 子 炉 格 納 容 器 等 」という。)<br />
又 は 原 子 炉 周 辺 建 屋 のうち 燃 料 取 扱 棟 ( 以 下 「 燃 料 取 扱 棟 」という。)へ 放<br />
水 するための 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 流 出 経 路 の 3 号 炉 及 び 4 号 炉 放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 等 に 放 射 性 物 質<br />
吸 着 剤 ( 以 下 「 吸 着 剤 」)という。)を 設 置 及 び 海 洋 への 流 出 箇 所 にシルト<br />
フェンスを 設 置 して、 汚 染 水 の 海 洋 への 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手<br />
順 等 。<br />
3 航 空 機 燃 料 火 災 に 対 して 泡 消 火 するための 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水<br />
砲 等 の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 規 制 委 員 会 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 又 は 貯 蔵 槽 内 燃<br />
料 体 等 の 著 しい 損 傷 に 至 った 場 合 において 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を<br />
抑 制 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 55 条 等 における 各 々<br />
の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 55 条<br />
等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 自 主 的 に(1) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備<br />
することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを<br />
確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
345
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 55 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 55 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 放 水 設 備 を 用 いた 屋 外 から 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 への<br />
放 水 。そのために、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 による 海 洋 への 放 射 性<br />
物 質 の 拡 散 の 抑 制 。そのために、 吸 着 剤 、シルトフェンス 及 び 小 型 船<br />
舶 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 55 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 55 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 は、 海 を 水 源 とし、 車 両 等 により<br />
運 搬 、 移 動 でき、 複 数 の 方 向 から 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 に<br />
向 けて 放 水 できるとともに 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 点 である 頂 部 に 放<br />
水 できる 容 量 を 有 する 設 計 とする。 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、1 台 で 3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 両 方 に 同<br />
時 に 放 水 できる 容 量 を 有 するものを 3 号 炉 及 び 4 号 炉 で 1 台 、バック<br />
アップ 用 として 1 台 の 合 計 2 台 ( 3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )、 放 水 砲 は、<br />
3 号 炉 、 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、3 号 炉 、4 号 炉 それぞれで 1<br />
台 (3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を 保 管 する。<br />
b. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 による 原 子 炉 建 屋 周 辺 への 泡 消<br />
火 は、 泡 消 火 薬 剤 と 混 合 しながら 原 子 炉 建 屋 周 辺 に 向 けて 放 水 できる<br />
設 計 とする。また、 車 両 等 により 運 搬 、 移 動 でき、 複 数 の 方 向 から 原<br />
子 炉 建 屋 周 辺 に 向 けて 放 水 できる 設 計 とする。<br />
c. 海 洋 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するシルトフェンスは、 設 置 場 所<br />
に 応 じた 高 さ 及 び 幅 を 有 する 設 計 とする。 保 有 数 は、6 箇 所 の 設 置 場<br />
所 に 各 2 組 ( 設 置 場 所 で 異 なるが、 最 大 で 5 本 を 1 組 とし、2 組 分 で<br />
は 最 大 10 本 とバックアップ 1 本 を 保 管 )とする。<br />
346
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水<br />
砲 等 は、 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するために 原 子 炉 格 納 容 器 の 頂 部 まで 放<br />
水 できること、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 は、 車 両 等 により 運 搬 、<br />
移 動 できるため、 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 等 に 対 して、 複 数 の 方<br />
向 から 放 水 できること、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 の 保 有 数 は、3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、それぞれ、 原 子 炉 基 数 の 半 数 以 上 を<br />
保 管 すること、b) 航 空 機 衝 突 による 航 空 機 燃 料 火 災 に 対 しては、 移 動 式 大<br />
容 量 ポンプ 車 内 蔵 の 泡 薬 剤 ポンプにより、 泡 消 火 薬 剤 を 混 合 し、 放 水 砲 に<br />
よる 泡 消 火 ができる 仕 様 であることを 確 認 した。<br />
なお、 放 水 砲 による 放 水 後 の 放 射 性 物 質 の 海 洋 への 流 出 に 対 しては、 発<br />
電 所 から 海 洋 への 流 出 箇 所 の 3 号 炉 及 び 4 号 炉 取 水 ピット、3 号 炉 及 び 4<br />
号 炉 放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 放 水 箇 所 付 近 等 にシルトフェンスを 設 置 し、<br />
放 射 性 物 質 の 拡 散 の 抑 制 を 図 る 方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 について 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 55<br />
条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)、ホ)に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いる 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 炉 心 出 口 温 度 が 350℃ 以 上 かつ 格 納 容 器 内 高 レンジエリアモニタ<br />
( 高 レンジ)が 1×10 5 mSv/h 以 上 になり、 原 子 炉 格 納 容 器 へのスプレ<br />
イが 格 納 容 器 スプレイ 流 量 等 で 確 認 できない 場 合 には、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 等 への 放 水 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ<br />
車 を 取 水 箇 所 周 辺 に 配 置 し、 取 水 準 備 及 び 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 から<br />
放 水 砲 まで 可 搬 型 ホースを 布 設 後 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 起 動 し、<br />
放 水 砲 により 放 水 開 始 するまでの 作 業 を 計 13 名 により 約 4 時 間 で 実<br />
施 する。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m 未 満 まで 低 下 し、かつ 水 位 低<br />
下 が 継 続 しており、さらに 燃 料 取 扱 棟 の 損 壊 又 は 使 用 済 燃 料 ピットエ<br />
リアモニタの 指 示 値 上 昇 により 燃 料 取 扱 棟 に 近 づけないと 判 断 され<br />
る 場 合 には、 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
放 水 砲 の 放 水 先 が 原 子 炉 格 納 容 器 等 から 燃 料 取 扱 棟 に 変 わるだけで<br />
347
その 他 の 手 順 は 上 記 a.の 場 合 と 同 様 である。<br />
なお、 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイの 本 操 作 手 順 は、「Ⅳ-4.<br />
11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」において<br />
確 認 する。<br />
c. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 による 放 射 性 物 質 の 大 気 への 拡 散<br />
抑 制 を 行 うと 判 断 した 場 合 には、 併 せて 汚 染 水 の 海 洋 への 拡 散 抑 制 の<br />
手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 吸 着 剤 を 設 置 する 3 号 炉 及 び 4 号 炉<br />
放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 、3 号 炉 及 び 4 号 炉 取 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽<br />
については 計 12 名 により 約 3 時 間 で 実 施 後 、 放 水 する。その 後 、シ<br />
ルトフェンスを 3 号 炉 及 び 4 号 炉 放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 放 水 箇 所<br />
付 近 等 の 設 置 場 所 へ 運 搬 し、 小 型 船 舶 等 を 使 って 展 張 する 作 業 (4 箇<br />
所 設 置 )を 計 30 名 により 約 22 時 間 で 実 施 する。<br />
また、1 号 炉 及 び 2 号 炉 側 については、 吸 着 剤 を 吐 口 水 槽 、 八 田 浦<br />
雨 水 枡 へ 計 15 名 により 約 2 時 間 で 設 置 する。その 後 、シルトフェン<br />
スを 吐 口 水 槽 及 び 八 田 浦 雨 水 枡 放 水 箇 所 付 近 の 設 置 場 所 へ 運 搬 し、 小<br />
型 船 舶 等 を 使 って 展 張 する 作 業 (2 箇 所 設 置 )を 計 30 名 により 約 14<br />
時 間 で 実 施 する。<br />
d. 航 空 機 燃 料 火 災 が 発 生 した 場 合 には、 原 子 炉 建 屋 周 辺 への 泡 消 火 を<br />
行 うための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を<br />
取 水 箇 所 周 辺 に 配 置 し、 取 水 準 備 及 び 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 から 放 水<br />
砲 まで 可 搬 型 ホースを 布 設 後 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 起 動 し、 放 水<br />
砲 による 泡 消 火 を 開 始 する。 以 上 の 作 業 を 計 13 名 により 約 4 時 間 で<br />
実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲<br />
等 により、 原 子 炉 格 納 容 器 等 へ 放 水 するための 手 順 等 について、 重 大 事 故<br />
等 時 に 原 子 炉 格 納 容 器 等 への 放 水 を 的 確 かつ 柔 軟 に 対 処 できるよう 人 員<br />
を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、ヘッドライト 等 に<br />
より 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 )<br />
等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 の 移 動 、<br />
接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認<br />
した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
348
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 1a.の 対 策 が 第 55 条 等 要 求 事 項 イ)、 上<br />
記 1b.の 対 策 が 第 55 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1a.に 掲 げ<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 55 条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)、ホ)に 適 合 する 設 計 方 針<br />
であること、1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43<br />
条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 55 条 等 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 航 空 機 衝 突 による 航 空 機 燃 料 火 災 等 時 に 泡 消 火 を 実<br />
施 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 航 空 機 燃 料 火 災 に 対 する 初 期 対 応 における 延 焼 を 防 止 するための 設 備<br />
及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 泡 消 火 を 実 施 することによって 初 期 対 応 における 延 焼 を 防 止 する<br />
ための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.12-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
1 航 空 機 燃 料 火 災 が 発 生 した 場 合 において、 放 水 砲 等 による 消 火 が 開 始 さ<br />
れる 前 の 初 動 対 応 の 場 合 には、 化 学 消 防 自 動 車 及 び 小 型 動 力 ポンプ 付 水 槽<br />
車 による 泡 消 火 に 着 手 する。この 手 順 では、 水 源 近 傍 に 小 型 動 力 ポンプ 付<br />
水 槽 車 を 設 置 し、 可 搬 型 ホースにより 水 源 と 小 型 動 力 ポンプ 付 水 槽 車 を 接<br />
続 し、さらに 消 火 活 動 場 所 に 配 置 された 化 学 消 防 自 動 車 と 可 搬 型 ホースで<br />
接 続 し、 化 学 消 防 自 動 車 等 による 泡 消 火 を 開 始 する。 以 上 の 作 業 を 計 8 名<br />
により 約 30 分 で 実 施 する。 水 源 として 他 の 防 火 水 槽 、 八 田 浦 貯 水 池 、 海<br />
等 を 用 いた 場 合 も 同 様 な 手 順 である。<br />
2 航 空 機 燃 料 火 災 が 発 生 した 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び<br />
小 型 放 水 砲 による 泡 消 火 に 着 手 する。この 手 順 では、 水 源 近 傍 に 可 搬 型 デ<br />
ィーゼル 注 入 ポンプを 設 置 し、 可 搬 型 ホースを 小 型 放 水 砲 と 接 続 し、 小 型<br />
放 水 砲 による 泡 消 火 を 開 始 する。 以 上 の 作 業 を 計 25 名 により 約 2 時 間 で<br />
実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
349
表 Ⅳ-4.12-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
化 学 消 防 自 動 車 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 に 比 べ、 流 量 が 少 ないため、 重 大 事<br />
小 型 動 力 ポ ン プ 故 等 対 処 設 備 と 同 等 の 放 水 効 果 は 得 られにくいものの、ア<br />
付 水 槽 車 、 クセス 道 路 及 び 航 空 機 燃 料 飛 散 による 建 屋 への 延 焼 拡 大<br />
可 搬 型 デ ィ ー ゼ を 防 止 するための 設 備 となり 得 る。<br />
ル 注 入 ポンプ、 小<br />
型 放 水 砲 等<br />
Ⅳ-4.13 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 の 供 給 設 備 及 び 手 順 等 ( 第<br />
56 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.13 項 関 係 )<br />
本 節 では、 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するために 申 請 者 が 計 画 する<br />
設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 56 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.13 項 ( 以<br />
下 「 第 56 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方<br />
針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自<br />
主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認<br />
した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 56 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 の 収 束 に 必 要 な 水 源 とは 別 に、 重 大 事 故 等 の 収<br />
束 に 必 要 となる 十 分 な 量 の 水 を 有 する 水 源 を 確 保 することに 加 えて、 設 計 基 準<br />
事 故 対 処 設 備 及 び 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 対 して 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 とな<br />
る 十 分 な 量 の 水 を 供 給 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要<br />
求 している。<br />
第 56 条 等 における「 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 の 供 給 設 備 及 び 手 順<br />
等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する<br />
設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 までの 間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できる 設 備<br />
及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 複 数 の 代 替 淡 水 源 ( 貯 水 槽 、ダム 又 は 貯 水 池 等 )が 確 保 されていること。<br />
ハ) 海 を 水 源 として 利 用 できること。<br />
ニ) 原 子 炉 格 納 容 器 を 水 源 とする 再 循 環 設 備 は、 代 替 再 循 環 設 備 等 により、<br />
多 重 性 又 は 多 様 性 を 確 保 すること。<br />
350
また、 上 記 イ)、ロ)、ハ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の<br />
効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ホ) 各 水 源 からの 移 送 ルートが 確 保 されていること。<br />
ヘ) 代 替 水 源 からの 移 送 ホース 及 びポンプを 準 備 しておくこと。<br />
ト) 水 の 供 給 が 中 断 することがないよう、 水 源 の 切 替 え 手 順 等 を 定 めること。<br />
申 請 者 は、 第 56 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 代 替 水 源 から 中 間 受 槽 へ 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 蒸 気 発 生 器 2 次 側 へ 注 水 するための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 するた<br />
めの 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 炉 心 注 入 をするための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 。<br />
4 格 納 容 器 スプレイをするための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 格 納 容 器 再 循 環 サンプを 水 源 とする 代 替 再 循 環 運 転 をするための 設 備<br />
及 び 手 順 等 。<br />
6 使 用 済 燃 料 ピットへ 水 を 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 重 大 事 故 等 の 収 束 までの 間 、<br />
十 分 な 量 の 水 を 供 給 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方<br />
針 は(1)の 第 56 条 等 で 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方<br />
針 と 同 じであるとしている。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するために 申 請 者 が<br />
計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 56 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 56 条 等 に 適 合 するものと 判 断<br />
した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 第 56 条 等 と 同 じく 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
351
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順<br />
(1) 第 56 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 56 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 代 替 水 源 から 中 間 受 槽 への 供 給 。そのために、 中 間 受 槽 、 取 水 用 水<br />
中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 びタンクローリ<br />
を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 1 次 系 のフィードアンドブリード。そのために、 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク、 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
位 置 付 ける。<br />
c. 復 水 タンクへの 淡 水 又 は 海 水 の 供 給 。そのために、 中 間 受 槽 、 復 水<br />
タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵<br />
タンク 及 びタンクローリを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
d. 燃 料 取 替 用 水 タンクから 復 水 タンクへの 水 源 切 替 及 び 復 水 タンク<br />
からの 代 替 炉 心 注 入 又 は 代 替 格 納 容 器 スプレイ、 中 間 受 槽 を 水 源 とす<br />
る 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 入 。そのために、 復<br />
水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 格 納 容 器 再 循 環 サンプを 水 源 とする 代 替 再 循 環 運 転 。そのために、<br />
格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )、B 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 冷 却 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
f. 使 用 済 燃 料 ピットへ 海 水 を 注 水 。そのために、 中 間 受 槽 、 使 用 済 燃<br />
料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク<br />
及 びタンクローリを 重 大 事 故 等 防 止 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.、b.、d.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、<br />
ハ)、ホ)、 上 記 c.、f.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 イ)、ハ)、ヘ)、 上 記<br />
e.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 代 替 炉 心 注 入 に 使 用 する 中 間 受 槽 は、 海 水 又 は 淡 水 を 補 給 するもの<br />
であり、 燃 料 取 替 用 水 タンク 並 びに 復 水 タンクに 対 して 異 なる 系 統 の<br />
水 源 として 設 計 する。また、 中 間 受 槽 は、3 号 炉 の 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
352
ク 建 屋 内 の 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 復 水 タンク、<br />
並 びに 4 号 炉 の 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 燃 料 取 替 用 水 ピット 及 び 復 水 ピ<br />
ットと 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 1 次 系 のフィードアンドブリードに 使 用 する 燃 料 取 替 用 水 タンクは、<br />
復 水 タンクに 対 して 異 なる 系 統 の 代 替 水 源 として 設 計 する。3 号 炉 に<br />
おいては、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 補 助 建 屋 内 に 設 置 し、 原 子 炉 周 辺<br />
建 屋 内 に 設 置 する 復 水 タンクと 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とし、4 号 炉 に<br />
おいては、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 復 水 ピットと 異 なる<br />
区 画 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、3 号 炉<br />
においては、 燃 料 取 替 用 水 タンクは 燃 料 取 替 用 水 タンク 建 屋 内 に 設 置<br />
することで、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 復 水 タンクと 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計<br />
とし、4 号 炉 においては、 燃 料 取 替 用 水 ピットは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の<br />
復 水 ピットと 異 なる 区 画 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 と<br />
する。<br />
c. 中 間 受 槽 を 水 源 とする 復 水 タンクへの 供 給 において 使 用 する 中 間<br />
受 槽 、 復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ 及 び 水 中 ポンプ 用 発 電<br />
機 並 びに 可 搬 型 ホース 等 は、 屋 外 の 異 なる 位 置 に 分 散 して 保 管 するこ<br />
とで 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 に 設 置 する 復 水 タンクと 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とする。また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 復 水 タンクの 枯 渇 に 対<br />
する 代 替 淡 水 源 として、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 八 田 浦 貯 水 池 、2 次 系<br />
純 水 タンク 及 び 原 水 タンクによる 複 数 の 淡 水 源 を 確 保 する 設 計 とす<br />
る。<br />
d. 代 替 炉 心 注 入 及 び 代 替 格 納 容 器 スプレイに 使 用 する 復 水 タンク 及<br />
び 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 スプレイに 使 用 する<br />
燃 料 取 替 用 水 タンクに 対 して 異 なる 系 統 の 水 源 として 設 計 する。<br />
e. 代 替 再 循 環 運 転 をするためのB 格 納 容 器 スプレイポンプ、B 格 納 容<br />
器 スプレイ 冷 却 器 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 重 性 を 有 し、<br />
位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
f. 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に 使 用 する 中 間 受 槽 は、 海 水 又 は 淡 水 を<br />
補 給 し、 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 2 次 系 純 水 タンクに 対 して 異 なる 系<br />
統 の 水 源 として 設 計 する。また、 中 間 受 槽 等 は、3 号 炉 の 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 建 屋 内 の 燃 料 取 替 用 水 タンク、4 号 炉 の 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の<br />
燃 料 取 替 用 水 ピット、 及 び 屋 外 の 2 次 系 純 水 タンクと 離 れた 位 置 に 分<br />
散 して 保 管 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
353
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である<br />
復 水 タンク、 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 使 用 済 燃 料 ピットに 対 して 蒸 気 発 生<br />
器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 、 炉 心 注 入 、 格 納 容 器 スプレイ 及 び 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットへの 注 水 をするための 代 替 注 水 として 淡 水 又 は 海 水 を 補 給 できるこ<br />
と、b)3 号 炉 においては、 中 間 受 槽 に 水 を 供 給 する 取 水 用 水 中 ポンプ、 取<br />
水 用 水 中 ポンプ 用 発 電 機 等 は、 屋 外 に 分 散 して 保 管 し、 重 大 事 故 等 の 収 束<br />
までの 間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できること、 復 水 タンクは、 原 子 炉 周 辺 建<br />
屋 内 に 配 置 し 燃 料 取 替 用 水 タンク 建 屋 内 に 燃 料 取 替 用 水 タンクを 配 置 す<br />
ることで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
の 水 源 枯 渇 に 対 する 代 替 淡 水 源 として、 複 数 の 淡 水 源 が 確 保 できること、<br />
4 号 炉 においては、 中 間 受 槽 に 水 を 供 給 する 取 水 用 水 中 ポンプ、 取 水 用 水<br />
中 ポンプ 用 発 電 機 等 は、 屋 外 に 分 散 して 保 管 し、 重 大 事 故 等 の 収 束 までの<br />
間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できること、 復 水 ピットは、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の<br />
燃 料 取 替 用 水 ピットと 異 なる 区 画 に 配 置 することで 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とすること、また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 水 源 枯 渇 に 対 する 代 替 淡 水<br />
源 として、 複 数 の 淡 水 源 が 確 保 できること、c)B 格 納 容 器 スプレイポンプ、<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 等 による 代 替 再 循 環 設 備 は、 余 熱 除 去 ポンプ 及<br />
び 余 熱 除 去 冷 却 器 による 再 循 環 設 備 に 対 して 多 重 性 を 有 していること、ま<br />
た、B 格 納 容 器 スプレイポンプ 等 に 対 しては、 余 熱 除 去 ポンプ 等 と 異 なる<br />
区 画 に 設 置 することで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 )<br />
に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いる 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 重 大 事 故 等 の 発 生 時 において、 復 水 タンク 又 は 燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
が 枯 渇 するおそれがあることを 水 位 により 確 認 等 した 場 合 において、<br />
蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 注 水 )のために 必 要 な 水 源 である<br />
復 水 タンクへの 供 給 等 が 必 要 になった 場 合 には、 代 替 水 源 から 中 間 受<br />
槽 に 供 給 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 取 水 用 水 中 ポンプ、 可<br />
搬 型 ホース 等 を 準 備 、 布 設 し、 取 水 用 水 中 ポンプを 起 動 し、 淡 水 又 は<br />
海 水 を 中 間 受 槽 へ 供 給 する 作 業 を 計 12 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施<br />
する。<br />
b. 重 大 事 故 等 の 発 生 時 において 復 水 タンクの 枯 渇 、 破 損 等 による 2 次<br />
354
冷 却 系 への 注 水 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、 燃 料 取 替 用 水 タンクを 水 源 と<br />
する 1 次 系 のフィードアンドブリードにより 原 子 炉 を 冷 却 するため<br />
の 手 順 の 整 備 については「Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ<br />
高 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 等 」における 手<br />
順 等 と 同 じである。<br />
c. 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に 2 次 冷 却 系 による 炉 心 冷 却 中 に 復 水 タンク<br />
の 水 位 が 低 下 し 続 け、 供 給 が 必 要 であることを 確 認 した 場 合 には、 中<br />
間 受 槽 を 用 いて 復 水 タンクに 供 給 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 を 準 備 し、<br />
現 場 で 復 水 タンクまで 布 設 し、 復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポン<br />
プを 起 動 し、 淡 水 又 は 海 水 を 復 水 タンクへ 供 給 する 作 業 を 計 6 名 によ<br />
り 約 3 時 間 で 実 施 する。<br />
d. 重 大 事 故 等 発 生 時 において 炉 心 注 入 又 は 格 納 容 器 スプレイ 中 に 燃<br />
料 取 替 用 水 タンクが 枯 渇 するおそれのある 場 合 には、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンクから 復 水 タンクへの 水 源 切 替 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
現 場 で 燃 料 取 替 用 水 タンクから 復 水 タンクへの 水 源 切 替 を 行 い、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプを 起 動 し、 代 替 炉 心 注 入 又 は 代 替 格 納 容 器 スプレイを<br />
行 う 作 業 を 計 2 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
e. 重 大 事 故 等 の 発 生 により、 再 循 環 運 転 中 に 格 納 容 器 再 循 環 サンプを<br />
水 源 とした 代 替 再 循 環 運 転 を 行 うための 手 順 の 整 備 については、「Ⅳ<br />
-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却<br />
するための 設 備 及 び 手 順 等 」における 手 順 等 と 同 じである。<br />
f. 重 大 事 故 等 の 発 生 により、 使 用 済 燃 料 ピットへの 水 の 補 給 が 必 要 な<br />
場 合 に 海 水 から 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 のための 手 順 の 整 備 につ<br />
いては、「Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及<br />
び 手 順 等 」における 手 順 等 と 同 じである。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、 復 水 タンクが 水 源 として 使 用 で<br />
きない 場 合 、2 次 系 純 水 タンクから 海 水 までの 代 替 水 源 の 選 択 を 明 確 化 し<br />
て 水 の 供 給 が 中 断 することがないように 水 源 切 替 えの 優 先 順 位 を 設 定 し、<br />
重 大 事 故 等 の 収 束 までの 間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できることを 確 認 した。<br />
また、 代 替 水 源 から 水 を 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等 について、 可 搬 型<br />
ホース 及 び 移 送 ルートの 確 保 、 接 続 作 業 等 を 定 め、 重 大 事 故 等 時 に 的 確 か<br />
つ 柔 軟 に 対 処 できるよう 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとし<br />
ていること、ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 している<br />
こと、 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 ) 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 すること、 復 水<br />
355
タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ 等 の 運 搬 、 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作<br />
業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1b.に 掲 げる 対 策 について、 第 56 条 等<br />
要 求 事 項 ホ)、ト)に 適 合 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 1a.、b.、c.、d.、f.の 対 策 が 第 56 条<br />
等 要 求 事 項 イ)からハ)、ヘ)、 上 記 1e.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対<br />
応 するものであること、1a.、b.、c.、d.、f.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が<br />
第 56 条 等 要 求 事 項 ホ)からト)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1に 掲 げる<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であることから、 第 56 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 炉 心 を 十 分 に 冷 却 するため、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため 及 び 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 をするた<br />
めに 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 、 代 替 炉 心 注 入 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
及 び 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 注 水 に 必 要 な 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。これらの 対 策 と 設 備 、 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 は2.(1) 第 56 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び<br />
手 順 等 と 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 重 大 事<br />
故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等<br />
として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針<br />
であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 にするため、<br />
フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の<br />
抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するための<br />
多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
356
(1) 代 替 淡 水 源 から 中 間 受 槽 へ 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 代 替 淡 水 源 である 2 次 系 純 水 タンク 及 び 原 水 タンクから 中 間 受 槽<br />
へ 供 給 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおり。<br />
1 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 復 水 タンク 又 は 燃 料 取 替 用 水 タンクが 枯 渇 する<br />
おそれがあることを 水 位 により 確 認 等 した 場 合 において、2 次 系 純 水 タン<br />
クの 水 位 が 確 保 され 使 用 できることを 確 認 した 場 合 には、2 次 系 純 水 タン<br />
クから 中 間 受 槽 に 供 給 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 間 受 槽 、 可<br />
搬 型 ホースを 設 置 、 布 設 し、2 次 系 純 水 タンク 予 備 弁 を 開 弁 し 中 間 受 槽 へ<br />
供 給 する 操 作 を 計 12 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
2 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、2 次 系 純 水 タンクから 中 間 受 槽 に 供 給 ができな<br />
い 場 合 において、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 され 使 用 できることを 確 認 した<br />
場 合 には、 原 水 タンクから 中 間 受 槽 への 供 給 を 行 うための 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 中 間 受 槽 、 可 搬 型 ホースを 設 置 、 布 設 し、 原 水 タンク 予 備<br />
弁 を 開 弁 し 中 間 受 槽 に 供 給 する 操 作 を 計 12 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
(2) 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 のための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給<br />
する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 をするための 代 替 水 源 の 確 保 と<br />
水 の 供 給 をするための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等<br />
は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 中 間 受 槽 から 復 水 タンクへの 供 給 準 備 が 完 了 し、<br />
復 水 タンク 水 位 計 指 示 値 が 3% 以 下 となった 場 合 、 又 は 復 水 タンクが 枯 渇<br />
するおそれのある 場 合 において、2 次 系 純 水 タンクの 水 位 が 確 保 され、 使<br />
用 できることを 確 認 できた 場 合 には、 復 水 タンクから 2 次 系 純 水 タンクへ<br />
の 水 源 切 替 えを 行 うための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、2 次 系 純 水 タ<br />
ンク 側 入 口 弁 の 開 弁 、 復 水 タンク 側 入 口 弁 の 閉 止 操 作 を 1 名 により 実 施 す<br />
る。 復 水 タンクから 2 次 系 純 水 タンクへの 水 源 切 替 えについては 電 動 補 助<br />
給 水 ポンプ 及 びタービン 動 補 助 給 水 ポンプを 停 止 することなく 切 替 えが<br />
できる。<br />
2 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 を 用 いた 2 次 冷 却 系 による 原 子 炉 冷 却<br />
の 手 順 については、「Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高 圧 時 に 発<br />
電 用 原 子 炉 を 冷 却 するための 手 順 等 」と 同 じである。<br />
3 水 源 となるタンクの 切 替 え 完 了 後 、 引 き 続 き 次 の 水 源 からの 送 水 準 備 を<br />
開 始 することで、 水 源 が 枯 渇 しないようにし、 切 り 替 える 手 順 とする。<br />
357
(3) 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 冷 却 のための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 する 設<br />
備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 冷 却 をするための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供<br />
給 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
1 1 次 冷 却 材 喪 失 事 象 が 発 生 した 場 合 において、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が<br />
燃 料 取 替 用 水 タンクへの 補 給 可 能 水 位 であることを 確 認 できた 場 合 、 使 用<br />
済 燃 料 ピットからほう 酸 水 の 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 使 用 済 燃 料 ピットから 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 のための<br />
系 統 構 成 を 行 う 操 作 を 計 3 名 により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
2 1 次 冷 却 材 喪 失 事 象 が 発 生 した 場 合 において、1 次 系 純 水 タンク 及 びほ<br />
う 酸 タンクの 水 位 が 確 保 され、 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 に 使 用 できる<br />
ことを 確 認 できた 場 合 には、1 次 系 純 水 タンク 水 及 びほう 酸 タンク 水 の 混<br />
合 による 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 に 着 手 する。この 手 順 では、1 次 系<br />
純 水 タンク 及 びほう 酸 タンクから 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 ラインの<br />
系 統 構 成 を 行 い、1 次 系 補 給 水 ポンプ 及 びほう 酸 ポンプの 起 動 操 作 を 計 3<br />
名 により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
3 重 大 事 故 等 の 発 生 時 において、 燃 料 取 替 用 水 タンクが 枯 渇 するおそれが<br />
ある 場 合 に、1 次 系 純 水 タンク 水 及 びほう 酸 タンク 水 の 混 合 による 燃 料 取<br />
替 用 水 タンクへの 供 給 ができない 場 合 に、 燃 料 取 替 用 水 補 助 タンクを 水 源<br />
とし、 燃 料 取 替 用 水 ポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンクへ 供 給 する 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では 燃 料 取 替 用 水 補 助 タンクから 燃 料 取 替 用 水 タンクへ<br />
の 供 給 ラインの 系 統 構 成 を 行 い、 燃 料 取 替 用 水 ポンプの 起 動 操 作 を 計 2 名<br />
により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
4 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 又 は 消 防 自 動 車 により 原 子 炉 格<br />
納 容 器 へスプレイする 手 順 については、「Ⅳ-4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」における 手 順 等 と 同 じである。<br />
(4) 使 用 済 燃 料 ピットへ 水 を 供 給 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットへ 水 を 供 給 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-<br />
1 参 照 。)を 活 用 した 手 順 等 の 方 針 については、「Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯<br />
蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」における 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 する<br />
手 順 と 同 じであるとしている。<br />
358
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.13-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
2 次 系 純 水 タン 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
ク<br />
ないものの、 復 水 タンクの 故 障 に 際 して、 代 替 水 源 としての<br />
設 備 となり 得 る。<br />
原 水 タンク 消 火 を 目 的 として 配 備 しており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要<br />
求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではないものの、 火 災 が 発 生<br />
していなければ 代 替 水 源 としての 設 備 となり 得 る。<br />
電 動 消 火 ポ ン 消 火 を 目 的 として 配 備 しており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要<br />
プ、ディーゼル 求 される 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 格 納 容 器 スプレイ<br />
消 火 ポンプ 等 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
1 次 系 純 水 タン 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
ク、ほう 酸 タン ないものの、 代 替 水 源 としての 設 備 となり 得 る。<br />
ク<br />
Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 ( 第 57 条 及 び 重 大<br />
事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 項 関 係 )<br />
本 節 では、 電 源 の 確 保 に 関 して 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 57 条<br />
第 1 項 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 項 ( 以 下 「 第 57 条 等 」という。)<br />
における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価<br />
( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整<br />
備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故<br />
等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 57 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 電 源 が 喪 失 したことにより 重 大 事 故<br />
等 が 発 生 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 、 貯 蔵 槽<br />
内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 及 び 運 転 停 止 中 における 原 子 炉 内 の 燃 料 体 の 著 しい<br />
損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 電 力 を 確 保 するため、 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整<br />
備 することを 要 求 している。 第 57 条 等 における「 必 要 な 電 力 を 確 保 するため<br />
に 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
359
イ) 可 搬 型 代 替 電 源 設 備 ( 電 源 車 及 びバッテリ 等 ) 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 常 設 代 替 電 源 設 備 として 交 流 電 源 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 上 記 イ) 及 びロ)の 代 替 電 源 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して、<br />
独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
ニ) 所 内 常 設 蓄 電 式 直 流 電 源 設 備 は、 負 荷 切 り 離 しを 行 わずに 8 時 間 、 電 気<br />
の 給 電 が 可 能 であること。ただし、「 負 荷 の 切 り 離 しを 行 わず」には 原 子<br />
炉 制 御 室 又 は 隣 接 する 電 気 室 等 において 簡 易 な 操 作 で 負 荷 の 切 り 離 しを<br />
行 う 場 合 を 含 まない。その 後 、 必 要 な 負 荷 以 外 を 切 り 離 して 残 り 16 時 間<br />
の 合 計 24 時 間 にわたり、 電 気 の 給 電 を 行 うことが 可 能 であること。<br />
ホ)24 時 間 にわたり、 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 な 設 備 に 電 気 ( 直 流 )の 給 電<br />
を 行 うことが 可 能 である 可 搬 型 直 流 電 源 設 備 。<br />
ヘ) 所 内 直 流 電 源 設 備 から 給 電 されている 24 時 間 内 に、 十 分 な 余 裕 を 持 っ<br />
て 可 搬 型 代 替 交 流 電 源 設 備 を 繋 ぎ 込 み、 給 電 が 開 始 できる 手 順 等 。<br />
ト) 複 数 号 機 が 設 置 されている 発 電 所 では、 号 機 間 の 電 力 融 通 を 行 えるよう<br />
にあらかじめ 手 動 で 接 続 可 能 なケーブル 等 を 敷 設 しておくこと。また、 敷<br />
設 したケーブル 等 が 利 用 できない 状 況 に 備 え、 予 備 のケーブル 等 を 用 意 す<br />
る 手 順 等 。<br />
チ) 所 内 電 気 設 備 (モーターコントロールセンター(MCC)、パワーセンター<br />
(P/C) 及 び 金 属 閉 鎖 配 電 盤 (メタクラ)(MC) 等 )は、 代 替 所 内 電 気 設 備<br />
を 設 けることなどにより 共 通 要 因 で 機 能 を 失 うことなく、 少 なくとも 一 系<br />
統 は 機 能 の 維 持 及 び 人 の 接 近 性 の 確 保 を 図 る。<br />
申 請 者 は、 第 57 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 常 設 代 替 電 源 ( 交 流 )として 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 により 給 電 を 実 施 する<br />
ための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 号 炉 間 の 電 力 融 通 による 代 替 電 源 ( 交 流 )として 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 又<br />
は 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )を 使 用 した 号 炉 間 融 通 により 給 電 を<br />
実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 可 搬 型 代 替 電 源 ( 交 流 )(※ 54 )として 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容<br />
量 発 電 機 車 )により 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
4 常 設 代 替 電 源 ( 直 流 )として 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処<br />
用 )により 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 可 搬 型 代 替 電 源 ( 直 流 )として 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器<br />
により 給 電 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(※ 54 ) 可 搬 型 代 替 電 源 ( 交 流 )のうち、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 に 関 する 設 備<br />
及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 」において 整 理 。<br />
360
6 代 替 所 内 電 気 設 備 により 代 替 電 源 から 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 電 源 の 確 保 に 関 する 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 ( 交 流 )として 給 電 を 実 施 するための 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
2 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )を 代 替 電 源 ( 直 流 )とし<br />
て 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 電 源 の 確 保 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第<br />
57 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であ<br />
ることから、 第 57 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 3<br />
7 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 57 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 57 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 常 設 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 。そのために、 大 容 量 空 冷 式 発 電<br />
機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 他 号 炉 からの 給 電 。そのために、 他 号 炉 のディーゼル 発 電 機 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 及<br />
び 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新<br />
たに 整 備 する。<br />
c. 可 搬 型 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 。そのために、 発 電 機 車 ( 高 圧<br />
発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに<br />
整 備 する。<br />
361
d. 常 設 代 替 電 源 ( 直 流 )からの 給 電 。そのために、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護<br />
系 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 蓄 電 池 ( 重<br />
大 事 故 等 対 処 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 可 搬 型 代 替 電 源 ( 直 流 )からの 給 電 。そのために、 直 流 電 源 用 発 電<br />
機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備<br />
する。<br />
f. 代 替 所 内 電 気 設 備 による 給 電 。そのために、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧<br />
器 受 電 盤 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 57 条 等 要 求 事 項 ロ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 57 条 等 要 求 事 項 ト)、 上 記 c. 及 び e.の 対 策 が 第 57 条 等 要 求 事 項<br />
イ)、 上 記 d.の 対 策 が、 第 57 条 等 要 求 事 項 ニ)、 上 記 f.の 対 策 が 第 57<br />
条 等 要 求 事 項 チ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 非 常 用 高 圧 母 線 に 接 続 された 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 及 び 発 電 機 車 ( 高<br />
圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 )は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 のディー<br />
ゼル 発 電 機 に 対 して 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )は、 必 要 な 期 間 にわ<br />
たり 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
c. 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
の 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )に 対 して 独 立 性 を 有<br />
し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬<br />
型 直 流 変 換 器 は、 必 要 な 期 間 にわたり 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
d. 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 は、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 所 内 電 気 設 備 に 対 して 独 立 性 を 有 し、 位 置 的<br />
分 散 を 図 る 設 計 とする。また、これらは 設 置 場 所 で 操 作 が 可 能 な 設 計<br />
とする。<br />
e. 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 は、 所 内 電 気 設 備 に 対 して<br />
独 立 性 を 有 し、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 所 内 電 気 設 備 に 対 して 位 置 的<br />
分 散 を 図 る 設 計 とする。また、これらは 設 置 場 所 で 操 作 が 可 能 な 設 計<br />
とする。<br />
362
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 発 電 機<br />
車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 )、 直 流 電 源 用 発 電 機 、 可 搬 型 直 流<br />
変 換 器 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 は、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 独 立 した 電 路 で 接 続 されることなどによ<br />
り 独 立 性 を 有 していること、b) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 とは 異 なる 区 画 にお<br />
いて 整 備 するなど 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、c) 発 電 機 車 ( 高 圧 発<br />
電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 は、 燃 料 の 補 給 が 可 能 であり 24 時 間 にわ<br />
たり 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とすること、d) 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重<br />
大 事 故 等 対 処 用 )は、 負 荷 の 切 離 しを 行 わずに 8 時 間 、 必 要 な 負 荷 以 外 を<br />
切 離 して 計 24 時 間 の 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とすること、e) 所 内 電 気 設<br />
備 は、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 等 を 設<br />
けることなどにより 少 なくとも 一 系 統 は 機 能 が 維 持 され、これらは 中 央 制<br />
御 室 及 び 設 置 場 所 で 操 作 が 可 能 であり 接 近 性 を 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から f.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から f.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
について、 第 57 条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)、ホ)、チ)に 適 合 する 設 計 方 針 で<br />
あることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 外 部 電 源 及 びディーゼル 発 電 機 からの 給 電 ができない 場 合 には、 大<br />
容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 ( 交 流 )とした 給 電 の 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 電 路 の 構 成 、 起 動 操 作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 3 名 により<br />
約 15 分 で 実 施 する。<br />
b. 予 備 変 圧 器 2 次 側 電 路 ( 多 様 性 拡 張 設 備 )を 使 用 した 号 炉 間 融 通 が<br />
できない 場 合 には、 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 による 他 号 炉 からの 電 力 融 通<br />
による 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
ケーブルの 接 続 、 給 電 操 作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 6 名 により 約 30 分 で<br />
実 施 する。<br />
c. 後 備 送 電 線 連 絡 高 圧 電 路 ( 多 様 性 拡 張 設 備 )による 給 電 ができない<br />
場 合 には、 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 を 代 替 電<br />
源 ( 交 流 )とした 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 発 電 機 車 ( 高<br />
363
圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 の 配 置 、ケーブルの 敷 設 、 給 電 操<br />
作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 6 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
d. 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 )による 給 電 ができな<br />
い 場 合 には、 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )による 他 号 炉 からの<br />
電 力 融 通 による 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、ケーブルの 敷 設 、 給 電 操 作 等 を 計 14 名 により 約 4 時 間 で<br />
実 施 する。<br />
e. 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 交 流 電 源 からの 非 常 用 直 流 母 線 への 直 流<br />
電 源 の 給 電 が 喪 失 した 場 合 には、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )を 代 替 電 源<br />
( 直 流 )とした 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は 自 動 動 作 となるた<br />
め、 動 作 状 況 を 非 常 用 直 流 母 線 電 圧 等 で 確 認 する。<br />
f. 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した 場 合 において、 交 流 動 力 電 源 が 復 旧 する<br />
見 込 みがない 場 合 で 直 流 母 線 電 圧 が 許 容 最 低 電 圧 を 維 持 できない 場<br />
合 には、 蓄 電 池 ( 重 大 事 故 等 対 処 用 )を 代 替 電 源 ( 直 流 )とした 給 電<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 直 流 母 線 の 受 電 等 を 計 2 名 により<br />
約 10 分 で 実 施 する。さらに、8 時 間 以 降 に 現 場 で 不 要 直 流 負 荷 の 切 り<br />
離 しを 計 3 名 により 約 10 分 で 実 施 する。<br />
g. 代 替 電 源 ( 交 流 )から 非 常 用 直 流 母 線 へ 給 電 できない 場 合 には、 直<br />
流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 による 代 替 電 源 ( 直 流 )からの<br />
給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、ケーブル 敷 設 、 電 源 からの 給<br />
電 操 作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 6 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
h. 所 内 電 気 設 備 の 2 系 統 が 同 時 に 機 能 喪 失 して 電 源 からの 給 電 がで<br />
きない 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 及 び 重 大 事 故 等 対 処<br />
用 変 圧 器 盤 を 用 いた 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 とした 給 電 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 電 路 の 構 成 、 電 源 からの 給 電 操 作 、 受<br />
電 の 確 認 等 を 計 7 名 により 約 1 時 間 で 実 施 する。<br />
i. 各 発 電 機 の 燃 料 が 規 定 油 量 以 上 であることを 確 認 した 上 で 運 転 開<br />
始 後 、 燃 料 補 給 作 業 着 手 時 間 に 達 した 場 合 には、 燃 料 油 貯 蔵 タンクよ<br />
り 燃 料 油 貯 油 そう( 他 号 炉 )、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 燃 料 タンク、 発<br />
電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 への 燃 料 補 給 の 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、タンクローリの 準 備 、 可 搬 型 ホースの 敷 設 、<br />
給 油 等 を 計 2 名 により、 燃 料 油 貯 油 そう( 他 号 炉 ) 及 び 大 容 量 空 冷 式<br />
発 電 機 用 燃 料 タンクに 対 して 約 2 時 間 30 分 、 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機<br />
車 ) 及 び 直 流 電 源 用 発 電 機 に 対 して 約 1 時 間 55 分 、 発 電 機 車 ( 中 容<br />
量 発 電 機 車 )に 対 して 約 2 時 間 5 分 で 実 施 する。<br />
364
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を 交 流 電 源 喪<br />
失 時 の 対 応 手 順 として a.、b.、c.、d.の 順 に、また、 直 流 電 源 喪 失 時 の 対<br />
応 手 順 として e.、f.、g.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 代 替 電 源<br />
からの 給 電 、 燃 料 補 給 の 手 順 等 について、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに<br />
必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのア<br />
クセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確<br />
保 していること、e) 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなど<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 上 記 c. 及 び h.の 手 順 等 が 第 57 条 等 要 求 事 項 へ)<br />
に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 57 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、ニ)、<br />
ト)、チ)に 対 応 すること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 がハ)、ニ)、ホ)、<br />
チ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、3c. 及 び h.の 手 順 等 が 第 57 条 等 要 求 事<br />
項 ヘ)に 対 応 するものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手<br />
順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 57 条 等<br />
に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 必 要 な 電 力 を 確 保 するために、<br />
大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 ( 交 流 )とした 給 電 、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及<br />
び 重 大 事 故 等 対 処 用 )を 代 替 電 源 ( 直 流 )とした 給 電 を 必 要 な 対 策 としている。<br />
これらの 対 策 は、(1)1a. 及 び d.と 同 じであるため、 必 要 な 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 も 同 じである。また、これらに 関 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及 び<br />
手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 電 源 の<br />
確 保 に 関 して 必 要 となる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設<br />
備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 し<br />
た。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
365
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 電 源 の 確 保 に 関 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機<br />
能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 電 源 の 確 保 に 関 する 機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 電 源 の 確 保 に 関 する 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.1<br />
4-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 による 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 ができない 場 合<br />
において、 当 該 電 路 が 健 全 であること 及 び 他 号 炉 の 交 流 電 源 が 健 全 な 場 合<br />
には、 予 備 変 圧 器 2 次 側 電 路 による 他 号 炉 からの 電 力 融 通 による 代 替 電 源<br />
( 交 流 )からの 給 電 に 着 手 する。この 手 順 では、 給 電 準 備 、 給 電 操 作 等 を<br />
計 6 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
2 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 を 使 用 した 号 炉 間 融 通 による 代 替 電 源 ( 交 流 )から<br />
の 給 電 ができない 場 合 において、 当 該 電 路 が 健 全 で 外 部 電 源 (66kV 送 電<br />
線 )を 受 電 可 能 な 場 合 には、 後 備 送 電 線 連 絡 高 圧 電 路 による 代 替 電 源 ( 交<br />
流 )からの 給 電 に 着 手 する。この 手 順 では、 給 電 準 備 、 給 電 操 作 等 を 計 4<br />
名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.14-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
( 交 流 電 源 喪 失 時 )<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
予 備 変 圧 器 2 次 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
側 電 路 ないものの、 他 号 炉 の 交 流 電 源 が 健 全 な 場 合 は 電 力 融 通 の 手<br />
段 となり 得 る。<br />
後 備 送 電 線 連 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
絡 高 圧 電 路 ないものの、 外 部 電 源 (66kV 送 電 線 )を 受 電 可 能 な 場 合 は 電<br />
力 融 通 の 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.15 計 装 設 備 及 びその 手 順 等 ( 第 58 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
366
的 能 力 基 準 1.15 項 関 係 )<br />
本 節 では、 計 測 機 器 ( 非 常 用 のものを 含 む。 以 下 同 じ。)の 故 障 により、 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 となった 場 合 におい<br />
て、 当 該 パラメータを 推 定 するための 有 効 な 情 報 を 把 握 するために 申 請 者 が 計 画 す<br />
る 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 について、 第 58 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.<br />
15 項 ( 以 下 「 第 58 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整<br />
備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故<br />
等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 58 条 等 は、 計 測 機 器 の 故 障 により、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 監 視 す<br />
ることが 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 となった 場 合 において、 当 該<br />
パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報 を 把 握 するための 必 要 な 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 58 条 等 における「 当 該 重 大 事 故 等 に<br />
対 処 するために 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 とな<br />
った 場 合 において 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報 を 把 握 するた<br />
めの 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )を 超 えた 場 合 の 原<br />
子 炉 施 設 の 状 態 を 推 定 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
イ)-1 原 子 炉 圧 力 容 器 内 の 温 度 、 圧 力 及 び 水 位 。<br />
イ)-2 原 子 炉 圧 力 容 器 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 量 。<br />
イ)-3 推 定 するために 必 要 なパラメータについて、 複 数 のパラメータの<br />
中 から 確 からしさを 考 慮 した 優 先 順 位 を 定 める。<br />
ロ) 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 、 圧 力 、 水 位 、 水 素 濃 度 及 び 放 射 線 量 率 など 想<br />
定 される 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 となるパラメータを 計 測 又 は 監 視 及 び<br />
記 録 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 直 流 電 源 喪 失 時 に、 特 に 重 要 なパラメータを 計 測 又 は 監 視 する 手 順 等 (テ<br />
スター 又 は 換 算 表 等 )。<br />
また、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととし<br />
ている。<br />
ニ) 設 計 基 準 を 超 える 状 態 における 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 を 明 確 化 す<br />
る。( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )<br />
申 請 者 は、 第 58 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
367
1 パラメータの 値 が 計 器 の 計 測 範 囲 を 超 えた 場 合 に 原 子 炉 施 設 の 状 態 を<br />
把 握 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 計 測 に 必 要 な 計 器 電 源 が 喪 失 した 場 合 の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 重 大 事 故 等 時 のパラメータを 記 録 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
4 パラメータを 計 測 する 計 器 の 故 障 時 に 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 把 握 するた<br />
めの 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 設 計 基 準 を 超 える 状 態 における 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 を 明 確 化<br />
する( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )。<br />
(2) 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 するこ<br />
とが 困 難 となった 場 合 において、 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報<br />
を 把 握 するために 申 請 者 が 計 画 する 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 58 条 等 に 基<br />
づく 要 求 事 項 に 対 応 し、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 58 条 等 に<br />
適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1) 以 外 の 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 す<br />
る 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 58 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 58 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )を 超 えた 場 合<br />
において、 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 把 握 するためのパラメータの 推 定 及 び<br />
優 先 順 位 の 設 定 。そのために、 重 要 監 視 パラメータ( 表 Ⅳ-4.15<br />
-1 参 照 。)を 選 定 し、 代 替 パラメータを 計 測 する 計 器 ( 以 下 「 重 要<br />
代 替 計 器 」という。)を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け、 可 搬 型<br />
計 測 器 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
368
. 計 器 電 源 が 喪 失 するおそれがある 場 合 の 給 電 。そのために、 大 容 量<br />
空 冷 式 発 電 機 等 (※ 55 )、 可 搬 型 計 測 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 時 のパラメータの 記 録 。そのために、 緊 急 時 運 転 パラメ<br />
ータ 伝 送 システム(SPDS)( 以 下 「SPDS」という。)、SPDS データ 表 示<br />
装 置 及 び 可 搬 型 温 度 計 測 装 置 ( 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 入 口 温 度 / 出<br />
口 温 度 (SA) 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
d. 重 大 事 故 等 の 対 処 に 必 要 なパラメータを 計 測 する 計 器 の 故 障 時 に<br />
おいて、 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 把 握 するためのパラメータの 他 チャンネ<br />
ル(※ 56 ) 又 は 他 ループによる 計 測 及 び 代 替 パラメータによる 推 定 。<br />
そのために、 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他 ループの 重 要 計 器<br />
( 以 下 「 重 要 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」(※ 57 )という。) 及<br />
び 重 要 代 替 計 器 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、1b.の 対 策<br />
が 第 58 条 等 要 求 事 項 ハ)、1c. 及 び d.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 ロ)<br />
に 対 応 するものであること、1d.の 対 策 が 第 58 条 のうち、 計 測 機 器 の 故<br />
障 により、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 すること<br />
が 困 難 となった 場 合 において 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情<br />
報 を 得 るための 対 策 に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.15-1 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 設 備 により 計 測 する 重 要 監 視<br />
パラメータ<br />
代 替 パラメータ( 代 表 )(※ 59 )<br />
重 要 監 視 主 要 パラメータ 設 計 基<br />
主 要 パラメータを 計 主 要 パラメータを 計<br />
パラメー ( 代 表 )(※ 58 ) 準 事 故<br />
測 する 計 器 に 故 障 の 測 する 計 器 の 計 測 範<br />
タ ( 計 測 範 囲 ) 時 の 値<br />
疑 いがある 場 合 囲 を 超 えた 場 合 (※ 60 )<br />
(※ 55 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
(※ 56 ) 申 請 者 は、「 重 要 な 監 視 計 器 については、 単 一 故 障 を 想 定 してもパラメータを 監 視 できなくならないよう<br />
に 1 つのパラメータを 複 数 の 計 器 で 監 視 しており、 複 数 の 計 器 の 1 つを 指 すときにチャンネル」と 定 義 して<br />
いる。<br />
(※ 57 ) 申 請 者 は、「 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他 ループの 重 要 計 器 」と 記 載 しているが、 分 かりやす<br />
く 本 節 では「 重 要 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」と 記 載 。<br />
(※ 58 ) 複 数 ある 主 要 パラメータの 代 表 を 記 載 。<br />
(※ 59 ) 複 数 ある 代 替 パラメータの 代 表 を 記 載 。<br />
(※ 60 ) 計 測 範 囲 を 超 えない 場 合 は、その 理 由 を 記 載 。<br />
369
炉 心 損 傷 の 判 断 値<br />
原 子 炉 容<br />
器 内 の 温<br />
度<br />
1 次 冷 却 材 高 温<br />
側 温 度 ( 広 域 )<br />
(0~400℃)<br />
344℃<br />
1 次 冷 却 材 低 温 側 温<br />
度 ( 広 域 )<br />
(350℃)を 監 視 可 能 。<br />
さらに 可 搬 型 計 測 器<br />
にて 0~500℃まで 計<br />
測 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 容<br />
器 内 の 圧<br />
力<br />
1 次 冷 却 材 圧 力<br />
( 0 ~ 21.0MPa<br />
(※ 61 ))<br />
17.9MPa<br />
1 次 冷 却 材 高 温 側 温<br />
度 ( 広 域 )<br />
て、1 次 系 最 高 使 用 圧<br />
力 ( 17.16MPa)の 1.2 倍<br />
(20.59MPa)を 監 視 可<br />
能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 容<br />
器 内 の 水<br />
位<br />
加 圧 器 水 位<br />
(0~100%)<br />
91% 以 下 原 子 炉 容 器 水 位<br />
て、 加 圧 器 の 下 部 に 位<br />
置 する 原 子 炉 容 器 水<br />
位 計 にて 原 子 炉 容 器<br />
頂 部 から 底 部 まで 監<br />
視 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 常 設<br />
原 子 炉 容<br />
器 への 注<br />
水 量<br />
AM 用 消 火 水 積 算<br />
流 量 ( 0 ~<br />
200m 3 /h)<br />
-<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
水 位<br />
電 動 注 入 ポンプによ<br />
る 原 子 炉 容 器 への 注<br />
水 流 量 (30m 3 /h)を 監<br />
視 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 常 設<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 へ<br />
の 注 水 量<br />
AM 用 消 火 水 積 算<br />
流 量<br />
(0~200m 3 /h)<br />
-<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
水 位<br />
電 動 注 入 ポンプによ<br />
る 原 子 炉 格 納 容 器 へ<br />
の 注 水 流 量 (140m 3 /h)<br />
を 監 視 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 格 納<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 温 度<br />
格 納 容 器 内 温 度<br />
(0~220℃)<br />
133℃ 格 納 容 器 内 温 度 (SA)<br />
容 器 最 高 温 度 (144℃)<br />
を 監 視 可 能 (さらに 可<br />
搬 型 計 測 器 にて 計 測<br />
可 能 )。<br />
(※ 61 ) 圧 力 はゲージ 圧 。 以 下 、この 表 において 同 じ。<br />
370
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 圧 力<br />
格 納 容 器 圧 力<br />
(-50~450kPa) 320kPa<br />
AM 用 格 納 容 器 圧 力<br />
(0~1.5MPa)<br />
て、 格 納 容 器 最 高 使 用<br />
圧 力 (392kPa)の 2 倍<br />
(0.784MPa)を AM 用<br />
格 納 容 器 圧 力 にて 監<br />
視 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 水 位<br />
原 子 炉 下 部 キャ<br />
ビティ 水 位 (※<br />
62 )<br />
-<br />
格 納 容 器 再 循 環 サン<br />
プ 水 位 ( 広 域 )<br />
て、 必 要 な 水 量 が 原 子<br />
炉 下 部 キャビティ 室<br />
にあることを 監 視 可<br />
能 。<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 水 素 濃<br />
度<br />
格 納 容 器 水 素 濃<br />
度<br />
(0~20vol%)<br />
-<br />
主 要 パラメータの 予<br />
備<br />
PAR 動 作 監 視 装 置<br />
イグナイタ 動 作 監 視<br />
装 置<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
て、ジルコニウム- 水<br />
反 応 等 による 水 素 濃<br />
度 (13vol%)を 監 視 可<br />
能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
アニュラ<br />
アニュラス 水 素<br />
主 要 パラメータの 予<br />
て、 変 動 範 囲 (0 ~<br />
ス 部 の 水<br />
濃 度<br />
-<br />
備<br />
1vol%)を 監 視 可 能 。<br />
素 濃 度<br />
(0~20vol%)<br />
(0~20vol%)<br />
計 測 範 囲 は、 格 納 容 器<br />
内 水 素 濃 度 と 同 様 。<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 放 射 線<br />
量 率<br />
格 納 容 器 内 高 レ<br />
ンジエリアモニ<br />
タ( 高 レンジ)<br />
(10 3 ~<br />
10 8 mSv/h)<br />
(10 5 mSv<br />
/h)<br />
格 納 容 器 内 高 レンジ<br />
エリアモニタ( 低 レ<br />
ンジ)<br />
炉 心 損 傷 の 判 断 値<br />
(10 5 mSv/h)を 監 視 可<br />
能 。<br />
(※ 62 ) 申 請 者 は、 商 業 機 密 のため、 非 公 開 としている。<br />
371
設 計 基 準 事 故 ( 制 御 棒<br />
飛 び 出 し) 初 期 は 中 性<br />
子 束 が 急 激 に 上 昇 し、<br />
一 時 的 に 計 測 範 囲 を<br />
未 臨 界 の<br />
出 力 領 域 中 性 子<br />
定 格 出<br />
超 えるが、 負 のドップ<br />
維 持 又 は<br />
束<br />
力 の 約<br />
中 間 領 域 中 性 子 束<br />
ラフィードバック 効<br />
監 視<br />
(0~120%)<br />
41 倍<br />
果 により 抑 制 され 急<br />
峻 に 低 下 するため、 現<br />
状 の 計 測 範 囲 で 事 故<br />
対 応 が 可 能 。 重 大 事 故<br />
等 時 も 同 様 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 格 納<br />
格 納 容 器 再 循 環<br />
容 器 最 高 温 度 (144℃)<br />
最 終 ヒー<br />
トシンク<br />
の 確 保<br />
ユニット 入 口 温<br />
度 / 出 口 温 度<br />
(SA)<br />
-<br />
格 納 容 器 内 温 度<br />
格 納 容 器 圧 力<br />
を 監 視 可 能 。さらに 格<br />
納 容 器 内 温 度 及 び 格<br />
納 容 器 圧 力 の 低 下 に<br />
(0~200℃)<br />
より 除 熱 状 態 を 監 視<br />
可 能 。<br />
重 大 事 故 時 の 蒸 気 発<br />
生 器 水 位 の 変 動 を 蒸<br />
格 納 容 器<br />
蒸 気 発 生 器 狭 域<br />
気 発 生 器 広 域 水 位 に<br />
バイパス<br />
水 位<br />
-<br />
蒸 気 発 生 器 広 域 水 位<br />
て 監 視 可 能 。 蒸 気 発 生<br />
の 監 視<br />
(0~100%)<br />
器 広 域 水 位 の 上 昇 に<br />
より 蒸 気 発 生 器 伝 熱<br />
管 破 損 を 推 定 。<br />
水 源 の 確<br />
保<br />
燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 水 位<br />
(0~100%)<br />
100%<br />
格 納 容 器 再 循 環 サン<br />
プ 水 位 ( 広 域 )<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
て、 水 位 (0~100%)を<br />
監 視 可 能 。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 設 計 基 準 を 超 える 状 態 における 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高<br />
計 測 可 能 温 度 等 )を 明 確 にする。<br />
b. 設 計 基 準 を 超 える 状 態 において 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 推 定 するため<br />
の 計 測 範 囲 を 有 する 設 計 とする。<br />
372
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 、 圧 力 、 水 位 、 水 素 濃 度 及 び 放 射 線 量 率 等<br />
想 定 される 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 となるパラメータを 計 測 又 は 監<br />
視 及 び 記 録 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 全 ての 監 視 パラメータから 事<br />
象 判 別 も 含 めた 重 大 事 故 等 の 対 処 に 必 要 なパラメータを 抽 出 し、 炉 心 損 傷<br />
防 止 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 係 る 判 断 に 関 する 重 要 監 視 パラ<br />
メータ 及 び 重 要 代 替 監 視 パラメータを 選 定 し、それらを 計 測 する 計 器 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに 設 計 基 準 を 超 える 状 態 にお<br />
ける 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高 計 測 可 能 温 度 、 圧 力 、 水 位 、 注 水<br />
量 等 )を 明 確 にしていること、b) 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 設 計 基 準 を 超 え<br />
る 状 態 において、 代 替 パラメータ 及 び 可 搬 型 計 測 器 により 原 子 炉 施 設 の 状<br />
態 を 推 定 するための 計 測 範 囲 を 有 していること、c) SPDS 等 により 重 大 事<br />
故 等 の 対 応 に 必 要 となるパラメータが 一 定 期 間 保 存 される 容 量 を 有 する<br />
こと、 計 測 又 は 監 視 及 び 記 録 する 機 能 を 有 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、<br />
第 58 条 等 要 求 事 項 ニ)に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 する 多 重<br />
化 された 重 要 計 器 のチャンネル 故 障 が 疑 われる 場 合 には、 主 要 パラメ<br />
ータの 他 チャンネル 又 は 他 ループによる 重 要 計 器 の 計 測 の 手 順 に 着<br />
手 する。<br />
b. 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 する 計 器<br />
の 故 障 が 疑 われた 場 合 、 又 は 重 大 事 故 等 時 に 監 視 している 必 要 なパラ<br />
メータの 値 が 計 器 の 計 測 範 囲 を 外 れ 確 認 できない 場 合 には、 重 要 代 替<br />
計 器 によるパラメータの 推 定 の 手 順 に 着 手 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 時 に 監 視 している 必 要 なパラメータの 値 が 計 器 の 計 測<br />
範 囲 を 外 れ 確 認 できない 場 合 、 又 は 重 大 事 故 等 時 に 直 流 電 源 が 喪 失 し<br />
た 場 合 において、 中 央 制 御 室 でのパラメータ 監 視 が 確 認 できない 場 合<br />
373
には、 可 搬 型 計 測 器 によるパラメータの 計 測 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、1 計 測 点 当 たり 可 搬 型 計 測 器 の 接 続 、 計 測 等 を 計 2 名 によ<br />
り 約 20 分 で 実 施 する。<br />
d. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 には、SPDS 等 によるパラメータの 記 録<br />
の 手 順 に 着 手 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 推 定 する 手 順 の 優 先 順 位 を a.、<br />
b.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 計 測 される 値 の 確 からしさを 判<br />
断 の 上 で 使 用 するパラメータの 優 先 順 位 を 定 めて 有 効 な 情 報 を 把 握 する<br />
としていること、c) 可 搬 型 計 測 器 によるパラメータの 監 視 手 順 については、<br />
計 測 範 囲 、 測 定 場 所 を 明 確 にするとともに 換 算 表 等 を 定 め 必 要 な 教 育 を 行<br />
うこととしていること、d)SPDS 等 により 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 となる<br />
パラメータが 記 録 容 量 を 超 える 前 に 定 期 的 に 記 録 媒 体 に 保 存 すること、e)<br />
ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、f) 携 帯<br />
型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、g) 作 業 環 境 ( 作 業 空<br />
間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、1<br />
b.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 ハ)、1c. 及 び d.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 ロ)<br />
に 対 応 するものであること、1d.の 対 策 が 第 58 条 のうち、 計 測 機 器 の 故 障 によ<br />
り、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 となっ<br />
た 場 合 において 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報 を 得 るための 対 策<br />
に 対 応 するものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 58 条 等 要 求 事<br />
項 ニ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその<br />
手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 58 条 等<br />
に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 している。<br />
374
これに 対 して、 申 請 者 は、 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを<br />
計 測 する 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復 するた<br />
めの 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 重 要 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)、 重 要 代 替 計 器 の 故 障 を<br />
想 定 し、 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 するフロント<br />
ライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.15-2 参 照 。)を 用 い<br />
た 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 重 大 事 故 等 時 に 監 視 している 必 要 なパラメータの 値 を 計 測 する 多 重 化<br />
された 重 要 計 器 のチャンネル 故 障 が 疑 われた 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 としての 要 求 事 項 を 満 たさない 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他<br />
ループの 常 用 計 器 ( 以 下 「 常 用 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」(※ 63 )<br />
という。)によるパラメータの 推 定 に 着 手 する。<br />
2 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータの 値 が 計 器 の 計 測 範<br />
囲 を 外 れた 場 合 、 若 しくは 主 要 パラメータを 計 測 する 計 器 の 故 障 が 疑 われ<br />
た 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 としての 要 求 事 項 を 満 たさない 主 要 パラ<br />
メータの 代 替 パラメータを 計 測 する 常 用 代 替 計 器 ( 以 下 「 常 用 代 替 計 器 」<br />
という。)によるパラメータの 推 定 に 着 手 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 直 流 電 源 の 喪 失 を 想 定 し、 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 な<br />
パラメータを 計 測 するサポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.<br />
15-2 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 直 流 電 源 喪 失 により、 炉 外 核 計<br />
装 装 置 、 放 射 線 監 視 設 備 のパラメータが 監 視 できない 場 合 には、 可 搬 型 バッテ<br />
リ( 炉 外 核 計 装 装 置 用 、 放 射 線 監 視 設 備 用 )による 電 源 機 能 回 復 に 着 手 すると<br />
している。この 手 順 では、 炉 外 核 計 装 装 置 の 回 復 操 作 を 計 3 名 により 約 40 分 、<br />
放 射 線 監 視 設 備 の 回 復 操 作 を 計 3 名 により 約 40 分 で 実 施 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.15-2 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
(※ 63 ) 申 請 者 は、「 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他 ループの 常 用 計 器 」と 記 載 しているが、 分 かりやす<br />
く 本 節 では「 常 用 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」と 記 載 。<br />
375
主 要 パラメータの<br />
常 用 計 器 ( 他 チャ<br />
ンネル 又 は 他 ルー<br />
プ) 及 び 常 用 代 替<br />
計 器<br />
可 搬 型 バ ッ テ リ<br />
( 炉 外 核 計 装 装 置<br />
用 、 放 射 線 監 視 設<br />
備 用 )<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 又 は 耐 環 境 性 が<br />
ないか、 若 しくは 電 源 が 非 常 用 電 源 から 供 給 されていない<br />
ものの、 使 用 可 能 な 場 合 は 事 故 対 応 時 に 有 効 な 手 段 となり<br />
得 る。<br />
例 ) 炉 心 出 口 温 度 (0~650℃)は、1 次 系 冷 却 材 高 温 側 温<br />
度 ( 広 域 )の 常 用 代 替 監 視 パラメータであり、 可 搬 型 計 測<br />
器 を 接 続 することで、 約 1,300℃まで 計 測 可 能 となる。<br />
代 替 電 源 による 給 電 ができない 場 合 において、バッテリの<br />
容 量 に 限 度 があるものの、 炉 外 核 計 装 装 置 又 は 放 射 線 監 視<br />
設 備 の 専 用 電 源 とすることで、 格 納 容 器 内 高 レンジエリア<br />
モニタ、 炉 外 中 性 子 束 の 重 要 監 視 パラメータの 定 期 的 な 傾<br />
向 監 視 を 行 う 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.16 原 子 炉 制 御 室 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 26 条 、<br />
第 59 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.16 項 関 係 )<br />
本 節 では 原 子 炉 制 御 室 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 機<br />
能 を 有 することから 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確 認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 26 条 第 1 項 第 2 号 に 基 づき 追 加 要 求 となった、<br />
原 子 炉 制 御 室 に 原 子 炉 施 設 外 の 状 況 を 把 握 できる 設 備 を 有 することを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても 運 転 員 が 原 子<br />
炉 制 御 室 にとどまるために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 59 条 及 び 重 大<br />
事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.16 項 ( 以 下 「 第 59 条 等 」という。)における 要 求<br />
事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者<br />
が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを<br />
確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 26 条 第 1 項 第 2 号 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 外 の 状 況 を 把 握 する 設 備 を 有<br />
することを 要 求 している。また、 第 26 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 2 項 は、<br />
原 子 炉 制 御 室 から、 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 自 然 現 象 等<br />
を 把 握 できることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 設 備 を 整 備 する 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 59 条 等 は、 原 子 炉 制 御 室 には、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても 運 転<br />
員 がとどまるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 要 求 している。 第 59 条 等 におけ<br />
376
る「 運 転 員 がとどまるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 措 置<br />
又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
ている。<br />
イ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 の 原 子 炉 制 御 室 の 居 住 性 については 次<br />
の 要 件 を 満 たすものであること。<br />
イ)-1 第 37 条 において 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードのうち、 原 子 炉 制<br />
御 室 の 運 転 員 の 被 ばくの 観 点 から 結 果 が 最 も 厳 しくなる 事 故 収 束<br />
に 成 功 した 事 故 シーケンス( 例 えば、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 後 、 格 納<br />
容 器 圧 力 逃 がし 装 置 等 の 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 が 有 効 に 機 能 した<br />
場 合 )を 想 定 すること。<br />
イ)-2 運 転 員 はマスクの 着 用 を 考 慮 してもよい。ただし、その 場 合 は、<br />
実 施 のための 体 制 を 整 備 すること。<br />
イ)-3 交 代 要 員 体 制 を 考 慮 してもよい。ただし、その 場 合 は、 実 施 のた<br />
めの 体 制 を 整 備 すること。<br />
イ)-4 判 断 基 準 は、 運 転 員 の 被 ばくによる 実 効 線 量 が 7 日 間 で 100mSv<br />
を 超 えないこと。<br />
ロ) 原 子 炉 制 御 室 の 外 側 が 放 射 性 物 質 により 汚 染 したような 状 況 下 において、<br />
原 子 炉 制 御 室 への 汚 染 の 持 込 みを 防 止 するため、モニタリング、 作 業 服 の<br />
着 替 え 等 を 行 うための 区 画 を 設 けること。<br />
ハ) 原 子 炉 制 御 室 用 の 電 源 ( 空 調 及 び 照 明 等 )への 代 替 交 流 電 源 設 備 からの<br />
給 電 を 可 能 とする 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 59 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 中 央 制 御 室 遮 へいによる 適 切 な 遮 蔽 、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン、 中<br />
央 制 御 室 空 調 ファン、 中 央 制 御 室 循 環 ファン、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 フィ<br />
ルタユニットによる 室 内 の 適 切 な 空 調 管 理 のための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 による 中 央 制 御 室 内 の 濃 度 を 確 認 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 運 転 員 等 の 全 面 マスク 着 用 及 び 運 転 員 等 の 交 代 により、 運 転 員 等 の 被 ば<br />
く 線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超 えないための 体 制 の 整 備 。<br />
4 チェンジングエリア 用 資 機 材 により、 中 央 制 御 室 の 外 側 からの 汚 染 の 持<br />
込 みを 防 止 するためにチェンジングエリアを 設 ける 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 により、 中 央 制 御 室 用 の 空 調 及 び 照 明 を<br />
維 持 するための 設 備 及 び 手 順 等 (※ 64 )。<br />
(※ 64 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順<br />
等 」において 整 理 。<br />
377
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても、 運 転 員<br />
が 原 子 炉 制 御 室 にとどまるために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 59<br />
条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるこ<br />
とから、 第 59 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 自 主 的 に 上 記 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
ることにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 26 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 26 条 の 規 定 に 適 合 するため、 同 条 第 1 項 第 2 号 の 追 加 要 求 規<br />
定 について、 以 下 の 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
1 原 子 炉 施 設 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 自 然 現 象 等 や 発 電 所 構 内 の 状<br />
況 ( 海 側 、 山 側 )を 昼 夜 にわたり 把 握 するため、 暗 視 機 能 等 を 持 った 監 視<br />
カメラや 気 象 観 測 設 備 等 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
2 公 的 機 関 からの 地 震 、 津 波 、 竜 巻 情 報 等 について、 中 央 制 御 室 において<br />
把 握 できる 装 置 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 監 視 カメラ、 気 象 観 測 設 備 等 を 設 置 するこ<br />
とにより、 原 子 炉 制 御 室 から 原 子 炉 施 設 外 の 状 況 を 昼 夜 にわたり 把 握 すること<br />
ができる 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 す<br />
るものと 判 断 した。<br />
(2) 第 59 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 59 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 中 央 制 御 室 遮 へい、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 等 の 中 央 制 御 室 空<br />
調 装 置 により、 重 大 事 故 時 に 環 境 に 放 出 された 放 射 性 物 質 による 放 射<br />
線 被 ばくから 運 転 員 等 を 防 護 し 居 住 性 を 確 保 。そのために、 中 央 制 御<br />
室 遮 へい、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 位 置 付 ける。また、 運 転 員 等 の 全 面 マスクの 着 用 のための 手 順 等 及<br />
378
び 運 転 員 等 の 交 代 のための 体 制 を 整 備 し、 事 故 シーケンスを 想 定 した<br />
上 で 運 転 員 等 の 被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超<br />
えないようにする。<br />
b. 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 により 中 央 制 御 室 内 の 濃 度 を 確<br />
認 。そのため、 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 を 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 可 搬 型 照 明 (SA)により 中 央 制 御 室 の 照 明 を 確 保 。そのために、 可<br />
搬 型 照 明 (SA)を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
d. チェンジングエリアを 設 けることにより、 中 央 制 御 室 への 汚 染 の 持<br />
込 みを 防 止 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 応 が 第 59 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 d.の 対 応<br />
が 第 59 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン、 中 央 制 御 室 空 調 ファン 及 び 中 央 制 御<br />
室 循 環 ファンは、2 系 統 を 有 し、また 3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 によって<br />
多 重 性 を 備 える。<br />
b. 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 は、 保 管 場 所 を 分 散 させるととも<br />
に、 必 要 な 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 する。<br />
c. 可 搬 型 照 明 (SA)は 中 央 制 御 室 照 明 に 対 して 多 様 性 を 備 え、その 保<br />
管 場 所 を 分 散 させるとともに、 必 要 な 数 (バックアップを 含 む。)を<br />
確 保 する。<br />
d. 中 央 制 御 室 の 空 調 及 び 照 明 に 対 して、 代 替 電 源 設 備 から 給 電 ができ<br />
る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 中 央 制 御 室 遮 へいによる 遮 蔽 、<br />
中 央 制 御 室 空 調 ファン、 中 央 制 御 室 循 環 ファンによる 空 調 管 理 に 加 え、 外<br />
気 を 遮 断 し、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 及 び 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 フィ<br />
ルタユニットを 介 することによる 適 切 な 空 調 管 理 により 居 住 性 を 確 保 で<br />
きること、また、 全 面 マスクの 着 用 及 び 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 交 代 を 考 慮<br />
することで 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばくによる 実 効 線 量 の 低 減 を 図 り、 運<br />
転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超<br />
えない 方 針 であること、b) 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 により、 外 気<br />
の 遮 断 以 降 、 室 内 の 濃 度 の 確 認 ができること、c) 可 搬 型 照 明 (SA)は、デ<br />
ィーゼル 発 電 機 に 対 して 多 様 性 を 持 った 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 で<br />
379
きること、d) 中 央 制 御 室 の 代 替 電 源 設 備 は、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 とし、 独<br />
立 した 電 源 供 給 ラインより 給 電 が 可 能 であることから、 外 部 電 源 及 びディ<br />
ーゼル 発 電 機 に 対 して 多 様 性 、 独 立 性 を 有 していること 及 び 異 なる 区 画 に<br />
設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
なお、3 号 炉 及 び 4 号 炉 重 大 事 故 発 生 時 の 中 央 制 御 室 内 での 運 転 員 ( 当<br />
直 員 ) 等 の 被 ばくによる 実 効 線 量 については、 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ば<br />
くの 観 点 から、 最 も 結 果 が 厳 しくなる 事 故 収 束 に 成 功 したシーケンスとし<br />
て、 過 圧 破 損 ( 大 破 断 LOCA+ECCS 注 入 失 敗 + 格 納 容 器 スプレイ 失 敗 )を<br />
想 定 し、 遮 蔽 、 空 調 管 理 、 全 面 マスクの 着 用 及 び 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 交<br />
代 を 考 慮 した 上 で、7 日 間 で 約 21mSv であることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から c.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.に 掲 げる 対 策 が 第 59 条 等 要 求 事 項<br />
イ)-4に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 作 動 信 号 発 信 又 は 中 央 制 御 室 エリアモニタ 線<br />
量 率 高 信 号 発 信 による 中 央 制 御 室 換 気 系 隔 離 信 号 の 発 信 が 確 認 され<br />
た 場 合 には、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 等 で 構 成 する 中 央 制 御 室 空<br />
調 装 置 の 起 動 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 非 常 用 循<br />
環 ファンの 起 動 、 中 央 制 御 室 外 気 取 入 ダンパ 及 び 中 央 制 御 室 排 気 ライ<br />
ンの 全 てのダンパの 閉 止 、 中 央 制 御 室 事 故 時 外 気 隔 離 モードの 運 転 を<br />
中 央 制 御 室 において 1 名 で 確 認 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 により、 中 央 制 御 室 空 調 装 置 が 中 央 制 御 室 事 故<br />
時 外 気 隔 離 モードにできない 場 合 には、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 系 の 起<br />
動 操 作 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 系 を<br />
運 転 するため、 現 場 でのダンパの 開 操 作 を 計 3 名 により 約 1 時 間 35<br />
分 で 実 施 する。<br />
c. 重 大 事 故 が 発 生 し、 炉 心 出 口 温 度 等 により 炉 心 損 傷 が 予 想 される 事<br />
態 となった 場 合 又 は 炉 心 損 傷 に 至 った 場 合 には、 運 転 員 等 の 内 部 被 ば<br />
くを 低 減 するために 全 面 マスクの 着 用 及 び 運 転 員 事 故 時 勤 務 体 制 へ<br />
移 行 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 にとどまる 運 転<br />
員 等 が 全 面 マスクを 着 用 する。<br />
380
d. 中 央 制 御 室 空 調 装 置 が 中 央 制 御 室 事 故 時 外 気 隔 離 モードとなった<br />
場 合 には、 中 央 制 御 室 内 の 酸 素 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 の 測 定 を 行 う 手 順<br />
に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 の 酸 素 濃 度 及 び 二 酸 化 炭 素 濃<br />
度 の 測 定 を 1 名 で 実 施 する。<br />
e. 中 央 非 常 用 照 明 が 使 用 できない 場 合 には、 可 搬 型 照 明 (SA)による<br />
中 央 制 御 室 の 照 明 を 確 保 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御<br />
室 において 照 明 を 確 保 するもので、1 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
f. 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 ( 平 成 11 年 法 律 第 156 号 ) 第 10 条 特<br />
定 事 象 が 発 生 した 場 合 には、 中 央 制 御 室 への 汚 染 の 持 込 みを 防 止 する<br />
ため、 身 体 サーベイ、 防 護 具 の 着 替 え 等 を 行 うためのチェンジングエ<br />
リアを 設 置 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、チェンジングエリア<br />
の 設 置 を 計 2 名 により 約 1 時 間 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、<br />
b) 中 央 制 御 室 の 居 住 性 を 確 保 するための 手 順 等 について、 中 央 制 御 室 の 適<br />
切 な 空 調 管 理 を 行 うための 手 順 等 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保 するととも<br />
に 必 要 な 訓 練 を 実 施 するとしていること、c) 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく<br />
線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超 えないための 手 順 等 を 整 備<br />
していること、d) 可 搬 型 照 明 (SA)の 保 管 、 配 備 のための 手 順 等 を 整 備 し<br />
ていること、e) 中 央 制 御 室 に 汚 染 を 持 ち 込 まないようにするための 手 順 等<br />
を 整 備 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から d.に 掲 げる 設 備<br />
を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順<br />
等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 59 条 等 要 求 事 項 イ)、1d.の<br />
対 策 が 第 59 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1a.の 対 策 が 第 59<br />
条 等 要 求 事 項 イ)-4に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1a.から d.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 で<br />
あることから、 第 59 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
381
これに 対 して、 申 請 者 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても 運 転 員 等 が 中 央<br />
制 御 室 にとどまるための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 中 央 制 御 室 の 照 明 確 保 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 中 央 制 御 室 内 の 照 明 確 保 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.16-1 参 照 。)<br />
を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 設 備 が 健 全 である 場 合 、 中 央 非 常 用 照 明 は 通 常 時<br />
に 使 用 する 設 備 であり、 継 続 して 使 用 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ―4.16-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
中 央 非 常 用 照 明 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
ないものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 には、 可 搬 型 照 明 (SA)<br />
の 代 替 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.17 監 視 測 定 設 備 及 び 監 視 測 定 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 31 条 、 第<br />
60 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.17 項 関 係 )<br />
本 節 では、 監 視 測 定 設 備 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の<br />
機 能 を 有 することから、 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確 認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 31 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 5 項 に 基 づき 追<br />
加 要 求 となった、モニタリングポストを 非 常 用 所 内 電 源 に 接 続 しない 場 合 には 無 停<br />
電 電 源 等 により 電 源 復 旧 まで 電 力 を 供 給 できる 設 計 であること、また、モニタリン<br />
グポストの 伝 送 系 は 多 様 性 を 有 する 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に 発 電 所 及 びその 周 辺<br />
( 発 電 所 の 周 辺 海 域 を 含 む。)において 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃<br />
度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を 記 録 すること、また、 風<br />
向 、 風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 するために 申 請 者 が 計 画<br />
する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 60 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.17 項 ( 以<br />
下 「 第 60 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方<br />
針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
382
(1) 第 31 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 5 項 は、モニタリングポストについて、<br />
非 常 用 所 内 電 源 に 接 続 しない 場 合 には 無 停 電 電 源 等 により 電 源 復 旧 までの 期<br />
間 を 担 保 できる 設 計 であること、また、モニタリングポストの 伝 送 系 は 多 様 性<br />
を 有 する 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 設 備 を 整 備 する 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 60 条 等 は、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に 発 電 所 及 びその 周 辺 ( 発 電 所 の<br />
周 辺 海 域 を 含 む。)において 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び<br />
放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を 記 録 すること、また、 風 向 、<br />
風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 することができる 設 備 及<br />
び 手 順 等 の 整 備 を 要 求 している。 第 60 条 等 における「 原 子 炉 施 設 から 放 出 さ<br />
れる 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を<br />
記 録 することができる 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又<br />
はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 が 発 生 した 場 合 に 放 出 され<br />
ると 想 定 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並<br />
びにその 結 果 を 記 録 できる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 常 設 モニタリング 設 備 (モニタリングポスト 等 )が 機 能 喪 失 しても 代 替<br />
し 得 る 十 分 な 台 数 のモニタリングカー 又 は 可 搬 型 代 替 モニタリング 設 備<br />
の 配 備 。<br />
ハ) 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に、 発 電 所 において 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象<br />
条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 できる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ニ) 代 替 交 流 電 源 設 備 から 常 設 モニタリング 設 備 への 給 電 を 可 能 とする 設 備<br />
及 び 手 順 等 。<br />
ホ) 敷 地 外 でのモニタリングについて、 他 の 機 関 との 適 切 な 連 携 体 制 を 構 築<br />
する 手 順 等 。<br />
へ) 事 故 後 の 周 辺 汚 染 により 測 定 ができなくなることを 避 けるため、バック<br />
グラウンド 低 減 対 策 手 段 の 検 討 。<br />
申 請 者 は、 第 60 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 重 大 事 故 等 時 の 発 電 所 敷 地 境 界 付 近 の 放 射 線 量 は、モニタリングステー<br />
ション 及 びモニタリングポストにより 監 視 及 び 測 定 し、その 結 果 を 記 録 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 モニタリングステーション 又 はモニタリングポストが 機 能 喪 失 した 場<br />
383
合 に、 可 搬 型 モニタリングポストによる 放 射 線 量 の 代 替 測 定 及 びその 結 果<br />
を 記 録 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 モニタリングカー 搭 載 機 器 が 機 能 喪 失 した 場 合 に、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器<br />
等 による 放 射 性 物 質 の 濃 度 の 代 替 測 定 及 びその 結 果 を 記 録 するための 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
4 発 電 所 及 びその 周 辺 ( 周 辺 海 域 を 含 む。)において、 可 搬 型 放 射 線 計 測<br />
器 等 により、 発 電 所 から 放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 の 測 定<br />
とその 結 果 を 記 録 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 気 象 観 測 設 備 が 機 能 喪 失 した 場 合 に 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 による 風 向 、 風<br />
速 その 他 の 気 象 条 件 の 代 替 測 定 及 びその 結 果 を 記 録 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 。<br />
6 代 替 交 流 電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 により、モニタ<br />
リングステーション 及 びモニタリングポストでの 放 射 線 量 の 監 視 、 測 定 を<br />
継 続 するための 設 備 及 び 手 順 等 (※ 65 )。<br />
7 敷 地 外 でのモニタリングについては、 国 、 地 方 公 共 団 体 と 連 携 して 策 定<br />
されるモニタリング 計 画 に 従 って 実 施 する 体 制 の 構 築 。<br />
8 バックグラウンド 低 減 対 策 により、 事 故 後 の 周 辺 汚 染 による 測 定 不 能 状<br />
態 を 回 避 するための 手 順 等 。<br />
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても、 発 電 所<br />
及 びその 周 辺 ( 周 辺 海 域 を 含 む。)において 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 性<br />
物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を 記 録 するこ<br />
と、 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 するために 申<br />
請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 について、 第 60 条 等 における 各 々の 要 求 事 項<br />
に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 60 条 等 に 適 合 す<br />
るものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 以 外<br />
の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実<br />
施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
(※ 65 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
384
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 31 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 31 条 の 規 定 に 適 合 するため、 第 31 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解<br />
釈 第 5 項 の 追 加 要 求 規 定 について、 以 下 の 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
1 モニタリングステーション 及 びモニタリングポストは、 非 常 用 所 内 電 源<br />
に 接 続 するとともに、モニタリングステーション 及 びモニタリングポスト<br />
専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 を 有 し、 電 源 切 替 え 時 の 短 時 間 の 停 電 時 に 電 源 を 供<br />
給 できる 設 計 とする。<br />
2 中 央 制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 までのデータの 伝 送 系 は、 有 線 及 び 無 線 に<br />
より 多 様 性 を 有 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 監 視 測 定 設 備 の 設 計 において、モニタリングス<br />
テーション 及 びモニタリングポストは、 非 常 用 所 内 電 源 に 接 続 するとともに、<br />
電 源 切 替 え 時 の 停 電 時 に 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 により 電 源 供 給 することで、 電<br />
源 復 旧 までの 期 間 を 担 保 することができる 方 針 としていること、また、これら<br />
の 伝 送 系 は 有 線 及 び 無 線 によって 多 様 性 を 有 するものとする 方 針 としている<br />
ことを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 しているものと 判 断 した。<br />
(2) 第 60 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 60 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
a. 重 大 事 故 等 時 の 発 電 所 敷 地 境 界 付 近 の 放 射 線 量 は、モニタリングス<br />
テーション 及 びモニタリングポストにより 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 び<br />
にその 結 果 を 記 録 する。そのために、モニタリングステーション 及 び<br />
モニタリングポストを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 位 置 付 ける。<br />
b. モニタリングステーション 又 はモニタリングポストが 機 能 喪 失 し<br />
た 場 合 、 可 搬 型 モニタリングポストにより、 放 射 線 量 を 代 替 測 定 し、<br />
その 結 果 を 記 録 する。そのために、 可 搬 型 モニタリングポストを 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. モニタリングカー 搭 載 機 器 が 機 能 喪 失 した 場 合 、 可 搬 型 放 射 線 計 測<br />
器 (GM 汚 染 サーベイメータ 及 び NaI シンチレーションサーベイメー<br />
タ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラにより、 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 代 替 測 定<br />
し、その 結 果 を 記 録 する。そのために、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染<br />
サーベイメータ 及 び NaI シンチレーションサーベイメータ) 及 び 可 搬<br />
型 ダストサンプラを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
385
d. 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ、NaI シンチレーショ<br />
ンサーベイメータ、ZnS シンチレーションサーベイメータ 及 び 電 離 箱<br />
サーベイメータ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラにより、 発 電 所 及 びその<br />
周 辺 ( 周 辺 海 域 測 定 時 は 小 型 船 舶 に 積 載 )において、 原 子 炉 施 設 から<br />
放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 測 定 し、その 結 果 を 記 録<br />
する。そのために、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ、NaI<br />
シンチレーションサーベイメータ、ZnS シンチレーションサーベイメ<br />
ータ 及 び 電 離 箱 サーベイメータ)、 可 搬 型 ダストサンプラ 及 び 小 型 船<br />
舶 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 気 象 観 測 設 備 が 機 能 喪 失 した 場 合 、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 により 風 向 、<br />
風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 代 替 測 定 し、その 結 果 を 記 録 する。そのため<br />
に、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
f. 敷 地 外 でのモニタリングについては、 国 、 地 方 公 共 団 体 と 連 携 して<br />
策 定 するモニタリング 計 画 に 従 って 実 施 する 体 制 を 構 築 する。<br />
g. 重 大 事 故 等 による 周 辺 汚 染 に 対 しては、 検 出 器 等 の 養 生 、 周 辺 土 壌<br />
の 撤 去 、 樹 木 の 伐 採 等 により、モニタリングステーション、モニタリ<br />
ングポストのバックグラウンドの 低 減 対 策 を 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.から d.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 イ) 及 びロ)、<br />
上 記 e.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ハ)、 上 記 f.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求<br />
事 項 ホ)、 上 記 g.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 へ)に 対 応 するものである<br />
ことを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 可 搬 型 モニタリングポストは、モニタリングステーション、モニタ<br />
リングポストに 対 して 多 様 性 を 備 えた 設 計 とし、 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とするとともに、 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
b. 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ、NaI シンチレーショ<br />
ンサーベイメータ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラは、モニタリングカー<br />
搭 載 機 器 に 対 して 多 様 性 を 備 えた 設 計 とし、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 と<br />
するとともに、 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
c. 電 離 箱 サーベイメータは、 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
d. 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 については、 気 象 観 測 設 備 に 対 する 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とするとともに、 代 替 測 定 に 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
386
e. 小 型 船 舶 は、 周 辺 海 域 での 放 射 線 量 等 の 測 定 に 必 要 な 台 数 を 確 保 す<br />
る。<br />
f. モニタリングステーション 又 はモニタリングポストに 対 して、 代 替<br />
電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 できる 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 可 搬 型 モニタリングポストは、<br />
モニタリングステーション 及 びモニタリングポストに 対 して、 放 射 線 量 の<br />
代 替 測 定 に 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 するとともに、モ<br />
ニタリングステーション 及 びモニタリングポストに 対 して、 異 なる 場 所 で<br />
かつ 耐 震 性 を 有 する 建 屋 内 に 保 管 することで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とす<br />
ること、b) 電 離 箱 サーベイメータは、 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)<br />
を 確 保 すること、c) 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 は、 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象 条 件<br />
の 代 替 測 定 に 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 するとともに、<br />
気 象 観 測 設 備 に 対 して、 異 なる 場 所 でかつ 耐 震 性 を 有 する 建 屋 内 に 保 管 す<br />
ることで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、d) 小 型 船 舶 は、 周 辺 海 域 での<br />
放 射 性 物 質 の 濃 度 、 放 射 線 量 の 測 定 を 行 うために 必 要 な 測 定 装 置 及 び 要 員<br />
を 積 載 できるとともに、 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 する<br />
こと、e)モニタリングステーション 及 びモニタリングポストは、 代 替 電 源<br />
設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とすることを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から f.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1の 方 針 に 従 って 整 備 する 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
a. モニタリングステーション 及 びモニタリングポストは、 通 常 時 から<br />
放 射 線 量 を 連 続 測 定 し、その 結 果 を 記 録 する。モニタリングステーシ<br />
ョン 及 びモニタリングポストによる 放 射 線 量 の 測 定 は、 手 順 を 要 する<br />
ものではなく 自 動 的 な 連 続 測 定 である。<br />
b. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 後 、モニタリングステーション 又 はモニタリ<br />
ングポストの 放 射 線 量 の 測 定 機 能 が 喪 失 したことを 中 央 制 御 室 の 指<br />
示 値 及 び 警 報 表 示 により 確 認 した 場 合 、 可 搬 型 モニタリングポストに<br />
よる 放 射 線 量 の 代 替 測 定 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 計 2 名 で 可<br />
387
搬 型 モニタリングポストを 順 次 3 個 配 置 する 場 合 には 約 1 時 間 50 分<br />
で 実 施 する。 測 定 データは、 緊 急 時 対 策 所 に 自 動 伝 送 され、 記 録 され<br />
る。<br />
c. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 後 、モニタリングカーに 搭 載 しているダス<br />
ト・よう 素 サンプラ 又 はダスト・よう 素 測 定 装 置 が 測 定 機 能 を 喪 失 し<br />
た 場 合 、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ 及 び NaI シンチ<br />
レーションサーベイメータ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラによる 空 気 中<br />
の 放 射 性 物 質 の 濃 度 の 測 定 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 計 2 名<br />
で 車 両 にて 移 動 後 、 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 最 も 時 間 を 要 する 場 合 にお<br />
いても 1 箇 所 当 たり 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
d. 排 気 筒 ガスモニタ 等 の 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、 測 定 が 必<br />
要 と 判 断 した 場 合 、 空 気 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 する 手 順 に 着 手<br />
する。この 手 順 では、 計 2 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 最 も 時 間 を 要 す<br />
る 場 合 においても 1 箇 所 当 たり 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
e. 廃 棄 物 処 理 設 備 排 水 モニタの 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、 排<br />
水 に 放 射 性 物 質 が 放 出 された 場 合 、 又 はそのおそれがある 場 合 に、 水<br />
中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 計<br />
3 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 約 6 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
f. 排 気 筒 ガスモニタ 等 の 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、 測 定 が 必<br />
要 と 判 断 した 場 合 、 土 壌 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 する 手 順 に 着 手<br />
する。この 手 順 では、 計 2 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 最 も 時 間 を 要 す<br />
る 場 合 においても 1 箇 所 当 たり 約 1 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
g. 排 気 筒 ガスモニタの 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、モニタリン<br />
グが 必 要 と 判 断 された 場 合 には、 小 型 船 舶 を 用 いた 海 上 モニタリング<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 船 舶 の 着 水 までの 作 業 を 計 3 名 で<br />
約 1 時 間 で 実 施 し、 測 定 場 所 への 移 動 、 試 料 採 取 、 測 定 及 び 記 録 を 含<br />
め 計 3 名 で 1 箇 所 当 たり 約 1 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
h. 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 第 10 条 特 定 事 象 と 判 断 した 場 合 、 可 搬<br />
型 エリアモニタによる 放 射 線 量 を 測 定 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順<br />
では、 計 2 名 で 順 次 8 台 配 置 する 場 合 には 約 3 時 間 で 実 施 する。 測 定<br />
データは、 緊 急 時 対 策 所 に 自 動 伝 送 され、 記 録 される。<br />
i. 気 象 観 測 設 備 の 測 定 機 能 が 喪 失 したことを 中 央 制 御 室 の 指 示 値 及<br />
び 警 報 表 示 により 確 認 した 場 合 、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 による 風 向 、 風<br />
速 その 他 の 気 象 条 件 の 測 定 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 装 置 の<br />
配 置 を 計 4 名 、 約 3 時 間 で 実 施 する。 測 定 データは、 緊 急 時 対 策 所 に<br />
自 動 伝 送 され、 記 録 される。<br />
388
j. 敷 地 外 でのモニタリングについては、 国 が 立 ち 上 げる 緊 急 時 モニタ<br />
リングセンターにおいて、 国 、 地 方 公 共 団 体 と 連 携 して 策 定 するモニ<br />
タリング 計 画 に 従 って 実 施 する。<br />
k. 放 射 性 物 質 放 出 のおそれがあると 判 断 した 場 合 、バックグラウンド<br />
低 減 対 策 の 手 順 に 着 手 し、モニタリングステーション、モニタリング<br />
ポストの 検 出 器 等 の 養 生 を 実 施 する。また、バックグラウンド 値 が 通<br />
常 より 高 い 場 合 には、 設 備 の 除 染 、 土 壌 の 撤 去 、 周 辺 樹 木 の 伐 採 等 に<br />
より、バックグラウンド 低 減 対 策 を 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、<br />
b) 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 線 量 の 測 定 について、 可 搬 型 モニタリン<br />
グポストの 運 搬 、 機 器 据 え 付 け、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保<br />
していること、c) 空 気 中 、 水 中 及 び 土 壌 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 の 測 定 につ<br />
いて、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 の 運 搬 、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 していること、d) 海 上 での 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 の 測 定 につい<br />
て、 小 型 船 舶 の 準 備 、 電 離 箱 サーベイメータ 及 び 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 の 運<br />
搬 、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保 していること、e) 風 向 、 風 速<br />
その 他 の 気 象 条 件 の 測 定 について、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 の 運 搬 、 機 器 据 え<br />
付 け、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保 していること、f) 敷 地 外 で<br />
のモニタリングについての 国 、 地 方 公 共 団 体 との 連 携 体 制 を 整 備 している<br />
こと、g) 周 辺 汚 染 により 測 定 ができなくなることを 避 けるためのバックグ<br />
ラウンド 低 減 対 策 の 手 順 等 を 整 備 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から g.に 掲 げる 設 備<br />
を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順<br />
等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.から d.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 イ) 及<br />
びロ)、1e.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ハ)、1f.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項<br />
ホ)、1g.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ヘ)に 対 応 するものであること、1a.か<br />
ら g.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に<br />
整 備 される 方 針 であることから、 第 60 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 適 合 するものと<br />
判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 応 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
389
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 対 処 のための 設 備 及 び 手 順 等 の 多<br />
様 性 を 拡 げることにより 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するため、 更 なる<br />
対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 放 射 線 量 等 を 監 視 測 定 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 放 射 線 量 等 の 測 定 のための 自 主 的 な 対 策 としての 設 備 及 び 手 順<br />
申 請 者 は、 放 射 線 量 等 の 測 定 を 行 うための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.17-1 参 照 。)<br />
を 用 いた 主 な 手 順 等 の 方 針 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 モニタリングカーは、 通 常 時 より 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 しているもの<br />
であり、 重 大 事 故 等 発 生 時 においてもその 機 能 が 健 全 であれば 継 続 して 使<br />
用 する。<br />
2 プラント 状 況 によって、 事 故 対 応 に 有 効 な 場 合 、 重 大 事 故 等 発 生 時 にお<br />
いてもその 機 能 が 健 全 であれば Geγ 線 多 重 波 高 分 析 装 置 、 可 搬 型 Geγ 線<br />
多 重 波 高 分 析 装 置 、β 線 自 動 計 数 装 置 及 び ZnS シンチレーション 計 数 装 置<br />
による 測 定 に 着 手 する。<br />
3 気 象 観 測 設 備 は、 通 常 時 より 風 向 、 風 速 等 の 気 象 データを 連 続 的 に 測 定<br />
しているものであり、 重 大 事 故 等 発 生 時 においてもその 機 能 が 健 全 であれ<br />
ば 継 続 して 使 用 する。<br />
(2) 放 射 線 量 等 の 測 定 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、モニタリングステーション 及 びモニタリングポストへの 交 流 電 源<br />
の 供 給 が 途 絶 えた 場 合 の 給 電 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.17-1 参 照 。)を 用<br />
いた 主 な 設 備 及 び 手 順 等 の 方 針 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 モニタリングステーション 又 はモニタリングポストの 交 流 電 源 が 喪 失<br />
した 場 合 、 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 及 び 非 常 用 発 電 機 から 給 電 を 開 始 する。<br />
給 電 状 況 は 中 央 制 御 室 において 確 認 する。<br />
2 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からC 特 高 開 閉 所 コントロールセンタを 経 由 して<br />
モニタリングステーション 又 はモニタリングポストへの 給 電 が 開 始 され<br />
た 場 合 、 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 及 び 非 常 用 発 電 機 から 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
に 自 動 で 切 り 替 わる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.17-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
390
設 備 名<br />
モ ニ タ リ ン グ<br />
カー<br />
Ge γ 線 多 重 波<br />
高 分 析 装 置 、 可<br />
搬 型 Geγ 線 多<br />
重 波 高 分 析 装<br />
置 、ZnS シンチ<br />
レ ー シ ョ ン 計<br />
数 装 置 、β 線 自<br />
動 計 数 装 置<br />
気 象 観 測 設 備<br />
モ ニ タ リ ン グ<br />
ス テ ー シ ョ ン<br />
及 び モ ニ タ リ<br />
ン グ ポ ス ト 専<br />
用 の 無 停 電 電<br />
源 装 置 及 び 非<br />
常 用 発 電 機<br />
多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
通 常 時 より 使 用 しており、 重 大 事 故 等 時 に 使 用 できる 場 合 は、<br />
測 定 手 段 として 有 効 である。<br />
耐 震 性 としては 十 分 でなく、また、 同 様 な 機 能 を 有 する 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 と 比 較 し、 測 定 終 了 までに 時 間 を 要 するため、 重<br />
大 事 故 発 生 後 初 期 には 期 待 できないものの、 放 射 性 物 質 の 濃 度<br />
測 定 手 段 となり 得 る。<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
いものの、 設 備 が 健 全 な 場 合 には、 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象 条<br />
件 の 監 視 、 測 定 及 び 記 録 する 手 段 として 有 効 である。<br />
モニタリングステーション 又 はモニタリングポストの 受 電 設<br />
備 の 故 障 等 のため、 受 電 ができない 場 合 に 対 して、モニタリン<br />
グステーション 又 はモニタリングポストの 機 能 維 持 に 有 効 で<br />
ある。<br />
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、<br />
第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 項 関 係 )<br />
本 節 では、3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 である 緊 急 時 対 策 所 について、 設 計 基 準 対 象 施<br />
設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 機 能 を 有 することから 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確<br />
認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 34 条 に 基 づき、 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 異 常 が 発 生<br />
した 場 合 に 適 切 な 措 置 をとるため、 緊 急 時 対 策 所 を 原 子 炉 制 御 室 以 外 の 場 所 に 設 け<br />
る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 緊 急 時 対 策 所 に 関 し、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合<br />
においても 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 適 切 な 措 置 が 講 じられるために 申 請 者 が<br />
計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18<br />
項 ( 以 下 「 第 61 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 さ<br />
れる 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 へ<br />
391
の 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
本 申 請 では 緊 急 時 対 策 所 として、 代 替 緊 急 時 対 策 所 と 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策<br />
棟 内 )を 設 置 するとしている。また、 本 申 請 では、 初 めに 緊 急 時 対 策 所 として 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 が 整 備 され、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 ) 設 置 後 においては、 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 は、その 機 能 に 係 る 設 備 も 含 めて 緊 急 時 対 策 所 として 使 用 しないと<br />
している。<br />
本 節 では、 緊 急 時 対 策 所 としての 対 策 、 設 計 方 針 等 がほぼ 同 一 であることから、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 について 記 述 し、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )については 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 と 異 なる 箇 所 についてのみ 記 述 することとした。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 34 条 は、 一 次 冷 却 材 系 統 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 損 壊 その 他 の 異 常 が<br />
発 生 した 場 合 に 適 切 な 措 置 をとるために、 緊 急 時 対 策 所 を 原 子 炉 制 御 室 以 外 の<br />
場 所 に 設 置 することを 追 加 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 緊 急 時 対 策 所 を 整<br />
備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 61 条 等 は、 緊 急 時 対 策 所 に 関 し、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても<br />
当 該 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 適 切 な 措 置 が 講 じられるよう、1 重 大 事 故 等<br />
に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う 対 策 要 員 がとどまることができる 適 切 な<br />
措 置 を 講 じること、2 必 要 な 指 示 ができるよう、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために<br />
必 要 な 情 報 を 把 握 できる 設 備 を 設 けること、3 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必<br />
要 のある 場 所 と 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 を 設 けること、4 重 大 事 故 等<br />
に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要 員 を 収 容 できること 及 びこれらの 手 順 等<br />
を 整 備 することを 要 求 している。 第 61 条 等 における 緊 急 時 対 策 所 とは、 以 下<br />
に 掲 げる 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うための 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 整 備 したものとしている。<br />
イ) 基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 し、 免 震 機 能 等 により、 緊 急 時 対 策 所 の 機<br />
能 を 喪 失 しないようにするとともに、 基 準 津 波 の 影 響 を 受 けないこと。<br />
ロ) 緊 急 時 対 策 所 と 原 子 炉 制 御 室 は 共 通 要 因 により 同 時 に 機 能 喪 失 しないこ<br />
と。<br />
ハ) 緊 急 時 対 策 所 は、 代 替 交 流 電 源 からの 給 電 を 可 能 とすること。また、 当<br />
該 代 替 電 源 設 備 を 含 めて 緊 急 時 対 策 所 の 電 源 設 備 は、 多 重 性 又 は 多 様 性 を<br />
有 すること。<br />
ニ) 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 が 確 保 され、 対 策 要 員 がとどまることができるよ<br />
うに、 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 を 行 うこと。<br />
392
ホ) 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 については、 第 61 条 等 に 定 める 要 件 (※ 66 )に<br />
適 合 するものとすること。<br />
へ) 対 策 要 員 の 装 備 ( 線 量 計 及 びマスク 等 )が 配 備 され、 放 射 線 管 理 が 十 分<br />
できること。<br />
ト) 資 機 材 及 び 対 策 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 整 備 すること。<br />
チ) 少 なくとも 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 、 活 動 するための 飲 料 水 及 び 食<br />
料 等 を 備 蓄 すること。<br />
リ) 緊 急 時 対 策 所 の 外 側 が 放 射 性 物 質 により 汚 染 したような 状 況 下 において、<br />
緊 急 時 対 策 所 への 汚 染 の 持 込 みを 防 止 するため、モニタリング 及 び 作 業 服<br />
の 着 替 え 等 を 行 うための 区 画 を 設 けること。<br />
また、「 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要 員 」とは、「 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う 対 策 要 員 」に 加 え、 少 なくとも 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 破 損 等 による 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 対 策<br />
に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要 員 を 含 むものとする。<br />
申 請 者 は、 第 61 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 措 置 を 行 うための<br />
設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 緊 急 時 対 策 所 は、 耐 震 構 造 とし、 基 準 津 波 の 影 響 を 受 けない 位 置 に 設 置 。<br />
2 緊 急 時 対 策 所 は、 中 央 制 御 室 に 対 して 共 通 要 因 故 障 を 防 止 するため 位 置<br />
的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 保 。<br />
3 代 替 電 源 設 備 ( 代 替 緊 急 時 対 策 所 においては 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 、<br />
緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )においては 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 )か<br />
らの 給 電 を 可 能 とする 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとともに、 緊 急 時 対 策 所<br />
の 電 源 設 備 は 多 重 性 を 確 保 。<br />
4 遮 蔽 、 空 気 浄 化 ファン 等 により 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 を 確 保 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 については、 第 61 条 等 に 定 める 要 件 に 適 合 する<br />
ものとする。<br />
6 要 員 の 装 備 ( 線 量 計 、マスク 等 )の 配 備 。 放 射 線 管 理 のための 手 順 等 。<br />
7 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 対 策 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 整 備 するため<br />
の 手 順 等 。<br />
(※ 66 )<br />
・ 想 定 する 放 射 性 物 質 の 放 出 量 等 は 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 と 同 等 とすること。<br />
・プルーム 通 過 時 等 に 特 別 な 防 護 措 置 を 講 じる 場 合 を 除 き、 対 策 要 員 は 緊 急 時 対 策 所 内 でのマスクの 着 用 なし<br />
として 評 価 すること。<br />
・ 交 代 要 員 体 制 、 安 定 ヨウ 素 剤 の 服 用 、 仮 設 設 備 等 を 考 慮 してもよい。ただし、その 場 合 は、 実 施 のための 体<br />
制 を 整 備 すること。<br />
・ 判 断 基 準 は、 対 策 要 員 の 被 ばくによる 実 効 線 量 が 7 日 間 で 100mSv を 超 えないこと。<br />
393
8 少 なくとも 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 、 活 動 するために 必 要 な 飲 料 水<br />
及 び 食 料 等 を 備 蓄 等 するための 手 順 等 。<br />
9 身 体 サーベイ 及 び 作 業 服 の 着 替 え 等 を 行 うためのチェンジングエリア<br />
を 設 置 するための 資 機 材 及 び 手 順 等 。<br />
10 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 情 報 把 握 及 び 通 信 連 絡 を 行 うため<br />
の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
11 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 要 員 を 収 容 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するための 適 切 な 措 置 が 講 じられるために 申 請 者 が 計 画 する 設 備<br />
及 び 手 順 等 が、 第 61 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整<br />
備 される 方 針 であることから、 第 61 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 以 外 の 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針<br />
であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 34 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 34 条 の 追 加 要 求 規 定 に 適 合 するため、 以 下 の 設 備 を 整 備 する<br />
方 針 としている。<br />
原 子 炉 施 設 に 異 常 が 発 生 した 場 合 に、 発 電 所 内 の 対 応 と 状 況 の 把 握 等 適 切 な<br />
措 置 をとるため、 緊 急 時 対 策 所 を 3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 中 央 制 御 室 以 外 の 場 所 に<br />
設 置 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 緊 急 時 対 策 所 の 設 計 において、 原 子 炉 施 設 に 異<br />
常 が 発 生 した 場 合 に 適 切 な 措 置 をとるため、 原 子 炉 制 御 室 以 外 の 場 所 に 設 置 す<br />
る 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
(2) 第 61 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
394
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 61 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 代 替 電 源 からの 給 電 。そのために、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び<br />
緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 す<br />
る。<br />
b. 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 の 確 保 。そのために、 代 替 緊 急 時 対 策 所 にお<br />
いては、 緊 急 時 対 策 所 遮 へい( 代 替 緊 急 時 対 策 所 )、 緊 急 時 対 策 所 換<br />
気 設 備 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 、 酸 素 濃 度 計 、 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタ、 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモ<br />
ニタを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。 緊 急 時 対 策 所<br />
( 緊 急 時 対 策 棟 内 )においては、 緊 急 時 対 策 所 遮 へい( 緊 急 時 対 策 棟 内 )、<br />
緊 急 時 対 策 所 換 気 設 備 、 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 、 酸 素 濃 度 計 、 二 酸 化<br />
炭 素 濃 度 計 、 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタ、 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型<br />
エリアモニタを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 要 員 の 収 容 。そのために、<br />
要 員 の 装 備 ( 線 量 計 、マスク 等 )、 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 活 動<br />
するための 飲 料 水 、 食 料 等 、チェンジングエリア 設 営 用 資 機 材 等 を 新<br />
たに 整 備 する。また、 重 大 事 故 等 対 策 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 新 たに 整<br />
備 する。<br />
d. 緊 急 時 対 策 所 から 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う<br />
ために 必 要 な 情 報 の 把 握 。そのために、SPDS、SPDS データ 表 示 装 置 を<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 緊 急 時 対 策 所 と 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 のある 場 所 との<br />
通 信 連 絡 の 実 施 。そのために、 携 帯 型 通 話 設 備 、 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、<br />
無 線 連 絡 設 備 、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 61 条 等 基 準 要 求 ハ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 61 条 基 準 要 求 ニ)、 上 記 c.の 対 策 が 第 61 条 等 基 準 要 求 ヘ)、ト)、<br />
チ) 及 びリ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 61 条 等 のうち1 重 大 事 故 等 に 対 処 す<br />
るために 必 要 な 指 示 を 行 う 対 策 要 員 がとどまるための 対 策 、 上 記 c.の 対<br />
策 が 第 61 条 等 のうち4 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要<br />
員 を 収 容 するための 対 策 、 上 記 d.の 対 策 が 第 61 条 等 のうち2 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 な 情 報 を 把 握 するための 対 策 、 上 記 e.の 対 策 が<br />
395
第 61 条 等 のうち3 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 のある 場 所 と 通 信<br />
連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 を 設 けることの 対 策 に 対 応 するものである<br />
ことを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 緊 急 時 対 策 所 は、 地 震 力 により 機 能 を 喪 失 しないとともに、 基 準 津<br />
波 の 影 響 を 受 けない 位 置 に 設 置 。<br />
b. 緊 急 時 対 策 所 は、 中 央 制 御 室 とは 離 れた 位 置 に 設 置 することで、 位<br />
置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
c. 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 は 代 替 緊 急 時 対 策 所 に、 緊 急 時 対 策 所 用<br />
発 電 機 車 は 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )に 給 電 するため、 多 重 性<br />
を 確 保 する。<br />
d. 緊 急 時 対 策 所 は、 居 住 性 を 確 保 し、 要 員 がとどまることができるよ<br />
うに、 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 緊 急 時 対 策 所 は、 基 準 地 震 動<br />
に 対 する 地 震 力 に 対 し、 耐 震 構 造 とすることにより 機 能 を 喪 失 しないよう<br />
にするとともに、 基 準 津 波 の 影 響 を 受 けない 位 置 に 設 置 すること、b) 緊 急<br />
時 対 策 所 は、 中 央 制 御 室 とは 離 れた 位 置 の 別 建 屋 に 設 置 することで 位 置 的<br />
分 散 を 図 る 設 計 とすること、c) 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 は、 代 替 緊 急 時<br />
対 策 所 に 給 電 するために 必 要 な 容 量 を 有 するものを 予 備 も 含 めて 3 台 保<br />
管 することで 多 重 性 を 確 保 し、 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 は 緊 急 時 対 策 所<br />
( 緊 急 時 対 策 棟 内 )に 給 電 するために 必 要 な 容 量 を 有 するものを 予 備 も 含<br />
めて 3 台 保 管 することで 多 重 性 を 確 保 すること、d) 代 替 緊 急 時 対 策 所 は、<br />
建 屋 と 一 体 となった 遮 蔽 、 緊 急 時 対 策 所 換 気 設 備 ( 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気<br />
浄 化 ファン、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 フィルタユニット 及 び 代 替 緊 急 時<br />
対 策 所 加 圧 設 備 ) 及 び 気 密 性 により、 代 替 緊 急 時 対 策 所 にとどまる 要 員 の<br />
被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 事 故 後 7 日 間 で 100mSv を 超 えない 設 計 と<br />
することを 確 認 した。 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )は、 建 屋 と 一 体 と<br />
なった 遮 蔽 、 緊 急 時 対 策 所 換 気 設 備 ( 緊 急 時 対 策 所 非 常 用 空 気 浄 化 ファン、<br />
緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 フィルタユニット 及 び 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 ) 及 び<br />
気 密 性 により、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )にとどまる 要 員 の 被 ばく<br />
線 量 が 実 効 線 量 において 事 故 後 7 日 間 で 100mSv を 超 えない 設 計 とするこ<br />
とを 確 認 した。<br />
396
なお、 要 員 の 被 ばくによる 実 効 線 量 の 評 価 については、 想 定 する 放 射 性<br />
物 質 の 放 出 量 等 を 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 と 同 等 とし、マスク<br />
の 着 用 、 交 代 要 員 体 制 、 安 定 ヨウ 素 剤 の 服 用 、 仮 設 設 備 等 を 条 件 に 入 れて<br />
いない 評 価 を 行 い、 代 替 緊 急 時 対 策 所 は 7 日 間 で 約 64mSv、 緊 急 時 対 策 所<br />
( 緊 急 時 対 策 棟 内 )は 7 日 間 で 約 24mSv であることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から e.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から e.に 従 って 整 備 する 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 について、 第 61 条 等 要 求 事 項 イ)からホ)に 適 合 する 設 計 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 活 用 した 手 順 等 について、 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
緊 急 時 対 策 所 は、 重 大 事 故 が 発 生 するおそれがある 場 合 等 、 緊 急 時 対 策<br />
本 部 を 設 置 する 準 備 として、 立 ち 上 げる。<br />
3-1 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 の 手 順<br />
a. 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 立 ち 上 げる 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電<br />
機 の 準 備 及 び 起 動 の 手 順 に 着 手 する。これらの 手 順 では、 代 替 緊 急 時<br />
対 策 所 用 発 電 機 の 準 備 操 作 を 総 括 班 他 計 2 名 により 約 20 分 で、 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 の 給 電 操 作 を 総 括 班 他 計 2 名 により 約 10 分 で<br />
実 施 する。<br />
3-2 居 住 性 を 確 保 するための 手 順 等<br />
a. 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 立 ち 上 げる 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄<br />
化 装 置 を 運 転 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 代 替 緊 急 時 対 策 所<br />
空 気 浄 化 装 置 の 操 作 等 を 総 括 班 他 計 4 名 により 約 30 分 で 実 施 する。<br />
b. 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモニタの 指 示 が 10mSv/h 以 上 と<br />
なった 場 合 又 は 代 替 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタの 指 示 が 0.5mSv/h 以<br />
上 となった 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 を 停 止 し、 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 による 代 替 緊 急 時 対 策 所 内 の 加 圧 を 実 施 する<br />
手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 代 替 緊 急 時 対 策 所 排 気 手 動 ダンパ 及<br />
び 流 量 調 整 ユニット 流 量 調 整 弁 等 の 操 作 を 総 括 班 他 計 3 名 により 約 2<br />
分 で 実 施 する。<br />
c. 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモニタ 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 エ<br />
リアモニタの 指 示 がプルーム 接 近 時 の 指 示 値 に 比 べ 急 激 に 低 下 した<br />
397
場 合 には、 希 ガスの 放 出 の 収 束 により、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装<br />
置 を 起 動 し、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 による 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 加<br />
圧 を 停 止 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧<br />
設 備 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 給 気 手 動 ダ<br />
ンパ、 流 量 調 整 ユニット 出 口 弁 等 の 操 作 を 総 括 班 他 計 3 名 により 約 2<br />
分 で 実 施 する。<br />
d. プルーム 通 過 中 において、 緊 急 時 対 策 所 にとどまる 要 員 は、 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う 要 員 49 名 と、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 の 破 損 等 による 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するために<br />
必 要 な 要 員 30 名 との 合 計 79 名 と 想 定 している。プルーム 放 出 のおそ<br />
れがある 場 合 、この 要 員 数 を 目 安 とし、 最 大 収 容 可 能 人 数 (100 名 )<br />
の 範 囲 で 緊 急 時 対 策 所 にとどまる 要 員 を 判 断 する。<br />
3-3 必 要 な 数 の 対 策 要 員 の 収 容 に 係 る 手 順 等<br />
a. 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 第 10 条 特 定 事 象 が 発 生 した 場 合 には、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 のチェンジングエリアの 運 用 を 開 始 する 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 は、 床 面 養 生 、 簡 易 テント 及 び 各 資 機 材 の 設 置 等 を<br />
安 全 管 理 班 員 計 2 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
b. 緊 急 時 対 策 所 には、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う<br />
要 員 に 加 え、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 等 による 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質<br />
の 拡 散 を 抑 制 するための 対 策 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 要 員 を 含<br />
めて 最 大 100 名 収 容 する。このため、 要 員 の 装 備 ( 線 量 計 、マスク 等 )<br />
を 配 備 するとともに、 少 なくとも 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 、 活 動<br />
を 続 けるために 必 要 な 飲 料 水 及 び 食 料 等 を 備 蓄 し、これらを 維 持 ・ 管<br />
理 する。<br />
3-4 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 情 報 把 握 及 び 通 信 連 絡 に 係 る<br />
手 順 等<br />
a. SPDS データ 表 示 装 置 は、 緊 急 時 対 策 所 立 ち 上 げ 時 に 総 括 班 他 1 名<br />
により 操 作 する。<br />
b. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 緊 急 時 対 策 所 に<br />
配 備 し、 常 に 最 新 となるよう 維 持 ・ 管 理 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、b)<br />
緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 を 確 保 するため、 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 、 排 気 手 動<br />
ダンパ 等 の 操 作 手 順 等 を 整 備 していること、c) 代 替 緊 急 時 対 策 所 においては 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )においては 緊 急 時<br />
対 策 所 用 発 電 機 車 からの 給 電 について、 起 動 、ケーブル 接 続 、 給 油 等 の 操 作 手<br />
398
順 等 を 整 備 していること、d) 緊 急 時 対 策 所 に 要 員 をとどめるための 身 体 サーベ<br />
イ、 作 業 服 の 着 替 え 等 を 行 うためのチェンジングエリアの 設 置 等 の 手 順 等 を 定<br />
めていること、e) 要 員 が 7 日 間 外 部 からの 支 援 がなくても 緊 急 時 対 策 所 の 機 能<br />
を 維 持 できる 資 機 材 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から e.に 掲 げる 設 備 を 用<br />
いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 技 術 的 能 力 基 準 ( 手 順 等 に 関 する 共 通 的 な 要<br />
求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.から e.の 対 策 が 第 61 条 等 要 求 事 項 ハ)、<br />
ニ)、へ)からリ) 及 び 情 報 把 握 、 通 信 連 絡 、 収 容 数 に 関 する 要 求 に 対 応 するもの<br />
であること、1a.から e.に 従 って 整 備 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 61 条 等 要<br />
求 事 項 イ)からホ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1a.から e.に 掲 げる 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であ<br />
ることから、 第 61 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
4 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
申 請 者 は 当 初 、 重 大 事 故 等 対 処 活 動 を 指 揮 できるよう 代 替 緊 急 時 対 策 所<br />
を 設 置 するとともに、 平 成 27 年 度 に 完 成 予 定 の 免 震 重 要 棟 内 に 新 たに 緊<br />
急 時 対 策 所 を 設 置 することとし、 代 替 緊 急 時 対 策 所 から 免 震 重 要 棟 内 の 緊<br />
急 時 対 策 所 に 機 能 を 移 転 する 計 画 としていた。<br />
その 後 、 申 請 者 からは、 当 初 申 請 の 後 、 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
(Ss-5) 及 び 免 震 重 要 棟 設 計 用 基 準 地 震 動 (Ss-L)の 追 加 等 を 踏 まえ 検 討 を<br />
重 ねたところ、 免 震 重 要 棟 で 計 画 していた 一 般 の 免 震 装 置 をそのまま 原 子<br />
力 施 設 に 採 用 することは 困 難 であり、 新 たな 免 震 装 置 の 設 置 には 長 期 間 を<br />
要 する 一 方 、 耐 震 構 造 の 建 物 であれば 免 震 構 造 と 比 べて 2 年 程 度 早 い 運 用<br />
開 始 が 可 能 となる 等 の 理 由 から、 免 震 重 要 棟 の 設 置 に 替 えて 実 績 のある 耐<br />
震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 を 建 設 し、 同 棟 内 に 緊 急 時 対 策 所 を 設 置 する 計 画 に<br />
変 更 したいとの 説 明 があった。<br />
規 制 委 員 会 は、 耐 震 構 造 の 建 物 に 設 置 する 緊 急 時 対 策 所 が、 免 震 重 要 棟<br />
内 に 設 置 するものと 同 等 以 上 の 性 能 を 有 すること、 免 震 重 要 棟 を 設 置 する<br />
とした 場 合 の 具 体 的 見 通 し 等 を 示 すことを 求 めた。<br />
これに 対 し 申 請 者 は、 免 震 重 要 棟 を 設 置 するためには、 新 たな 仕 様 の 免<br />
震 装 置 の 設 計 や 性 能 の 実 証 が 必 要 であり、 現 段 階 では 免 震 装 置 の 設 計 の 成<br />
立 の 見 通 しを 得 ることができなくなったとして 説 明 を 変 更 した。また、 耐<br />
震 構 造 であっても、 免 震 構 造 と 同 様 に 基 準 地 震 動 に 対 して 建 屋 を 弾 性 範 囲<br />
内 に 収 めることにより、 建 屋 の 構 造 体 全 体 の 信 頼 性 を 確 保 すること、 地 震<br />
399
時 の 居 住 性 についても 設 計 上 の 配 慮 により 改 善 を 図 るとの 方 針 を 示 した。<br />
以 上 により、 規 制 委 員 会 は、 代 替 緊 急 時 対 策 所 に 替 わる 緊 急 時 対 策 所 を<br />
免 震 重 要 棟 内 ではなく 耐 震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 内 に 設 置 するとの 申 請 者<br />
の 方 針 が 第 61 条 等 に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 発 電 所 外 との 通 信 連 絡 を 行 うための 多 様 性 拡 張 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 発 電 所 外 との 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 発 電 所 外 との 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.18-1 参<br />
照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 設 備 が 健 全 である 場 合 、 電 力 保 安 通 信 用 電<br />
話 設 備 、テレビ 会 議 システム( 社 内 ) 及 び 加 入 電 話 設 備 を 使 用 するとしており、<br />
その 手 順 は、「Ⅳ-4.19 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 通 信 連 絡<br />
に 関 する 手 順 等 」において 記 載 のとおりとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.18-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
運 転 指 令 設 備 、 電 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
力 保 安 通 信 用 電 ないものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 は、 通 信 連 絡 設 備 の 代 替<br />
話 設 備 、テレビ 会 設 備 となり 得 る。<br />
議 システム( 社<br />
内 )、 無 線 連 絡 設<br />
備 (モニタリング<br />
用 )、 加 入 電 話<br />
Ⅳ-4.19 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 通 信 連 絡 に 関 する 手<br />
順 等 ( 第 35 条 、 第 62 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.19 項<br />
400
関 係 )<br />
本 節 では、 通 信 連 絡 設 備 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の<br />
機 能 を 有 することから、 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確 認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 35 条 第 1 項 及 び 同 条 第 2 項 に 基 づき 追 加 要 求 と<br />
なった、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 において 発 電 所 内 の 人 に 必 要 な 指 示 をするた<br />
めに 多 様 性 を 確 保 した 通 信 連 絡 設 備 を 設 ける 設 計 とすること、また、 発 電 所 外 の 必<br />
要 な 場 所 と 通 信 連 絡 するために 多 様 性 を 確 保 した 専 用 通 信 回 線 を 設 ける 設 計 とす<br />
ることを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 原 子 炉 施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 がある 場<br />
所 との 通 信 連 絡 を 行 うために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 62 条 及 び 重<br />
大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.19 項 ( 以 下 「 第 62 条 等 」という。)における 要<br />
求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請<br />
者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるか<br />
を 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 35 条 第 1 項 は、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 において、 発 電 所 内 の 人 に<br />
必 要 な 指 示 をするために 多 様 性 を 確 保 した 通 信 連 絡 設 備 を 設 ける 設 計 とする<br />
ことを 追 加 要 求 している。また、 同 条 第 2 項 は、 発 電 所 外 の 必 要 な 場 所 と 通 信<br />
連 絡 するために 多 様 性 を 確 保 した 専 用 通 信 回 線 を 設 ける 設 計 とすることを 追<br />
加 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 設 備 を 整 備 する 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 62 条 等 は、 原 子 炉 施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 がある 場 所 との 通 信<br />
連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 6<br />
2 条 等 における「 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 のある 場 所 と<br />
通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手<br />
順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 通 信 連 絡 設 備 が、 代 替 電 源 設 備 ( 電 池 等 の 予 備 電 源 設 備 を 含 む。)からの<br />
給 電 を 可 能 とするための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータを 必 要 な 場 所 で 共 有 する 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 62 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用 発<br />
電 機 車 並 びに 手 順 等 (※ 67 )。<br />
(※ 67 ) 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関<br />
401
2 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータを 発 電 所 内 外 の 必 要 な 場 所 で 共<br />
有 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても 原 子 炉<br />
施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 がある 場 所 との 通 信 連 絡 を 行 うために 申 請<br />
者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 62 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 62 条 等 に 適 合 するものと 判<br />
断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 自 主 的 に 上 記 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
ることにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 35 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 35 条 第 1 項 の 追 加 要 求 規 定 に 適 合 するために、 以 下 の 設 備 を<br />
整 備 するとしている。<br />
1 本 発 電 所 内 の 通 信 連 絡 設 備 として、 多 様 性 を 確 保 した 通 信 設 備 を 設 置 す<br />
る 設 計 とする。<br />
2 緊 急 時 対 策 所 へ 事 故 状 態 等 の 把 握 に 必 要 なデータを 伝 送 できる 設 備 と<br />
して、データ 伝 送 設 備 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
3 これらの 設 備 については、 非 常 用 所 内 電 源 及 び 無 停 電 電 源 に 接 続 する 設<br />
計 とする。<br />
また、 第 35 条 第 2 項 の 追 加 要 求 規 定 に 適 合 するために、 以 下 の 設 備 を 整 備<br />
するとしている。<br />
1 本 発 電 所 外 の 本 店 、 国 、 地 方 公 共 団 体 、その 他 関 係 機 関 等 へ 連 絡 できる<br />
よう、 通 信 設 備 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
2 緊 急 時 対 策 支 援 システム(ERSS) 等 へ 必 要 なデータを 伝 送 する 設 備 とし<br />
て、データ 伝 送 設 備 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
3 通 信 設 備 及 びデータ 伝 送 設 備 は、 有 線 、 無 線 又 は 衛 星 回 線 による 多 様 性<br />
を 備 えた 専 用 通 信 回 線 に 接 続 するとともに、 輻 輳 等 による 制 限 を 受 けるこ<br />
する 手 順 等 」において 整 理 。 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 については、「Ⅳ-4.<br />
18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 」において 整 理 。<br />
402
となく 常 時 使 用 できる 設 計 とする。<br />
4 これらの 設 備 については、 非 常 用 所 内 電 源 又 は 無 停 電 電 源 に 接 続 する 設<br />
計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 が、 以 下 の 方 針 としていることを 確 認 した<br />
ことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
1 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 において、 本 発 電 所 内 の 人 に 必 要 な 指 示 を<br />
するため、 共 通 要 因 又 は 従 属 要 因 によって 同 時 に 機 能 が 損 なわれないよう<br />
に 多 様 性 を 確 保 した 通 信 連 絡 設 備 を 設 ける。<br />
2 本 発 電 所 外 の 必 要 な 場 所 と 通 信 連 絡 するため、 通 信 設 備 及 びデータ 伝 送<br />
設 備 が 常 時 使 用 できるよう、 専 用 通 信 回 線 は、 共 通 要 因 又 は 従 属 要 因 によ<br />
って 同 時 に 機 能 が 損 なわれないように 通 信 方 式 の 多 様 性 を 有 し、 輻 輳 等 に<br />
よる 制 限 を 受 けることなく 使 用 できる。<br />
3 これら 通 信 設 備 等 は 非 常 用 所 内 電 源 又 は 無 停 電 電 源 に 接 続 する。<br />
(2) 第 62 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 62 条 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策 と<br />
そのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに<br />
接 続 する 通 信 連 絡 設 備 、SPDS、SPDS データ 表 示 装 置 へ 給 電 。そのため、<br />
大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用<br />
発 電 機 車 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータの 必 要 な 場 所 での 共 有 。その<br />
ため、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 (テレビ<br />
会 議 システム、IP 電 話 、 衛 星 通 信 装 置 ( 電 話 )、IP-FAX)を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 し、 衛 星 携 帯 電 話 設 備 及 び 無 線 連 絡 設 備<br />
(モニタリング 用 は 除 く) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 62 条 等 基 準 要 求 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 62 条 基 準 要 求 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 衛 星 携 帯 電 話 ( 固 定 )、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通<br />
403
信 連 絡 設 備 及 び SPDS は、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 又 は 緊 急 時 対 策<br />
所 用 発 電 機 車 若 しくは 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 され、 多 様 性 を 有<br />
する。<br />
b. 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 、 携 帯 型 通 話 設 備 、SPDS 及 び 統 合<br />
原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 は 多 様 性 を 有 す<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 衛 星 携 帯 電 話 ( 固 定 型 )、SPDS<br />
等 は、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 又 は 緊 急 時 対 策 所<br />
用 発 電 機 車 から 給 電 され、この 電 源 は、 水 冷 式 であるディーゼル 発 電 機 等<br />
に 対 し 空 冷 式 であることから、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 としての 電 源 に 対 し<br />
て 多 様 性 又 は 多 重 性 を 有 していること、b) 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設<br />
備 、SPDS 等 は、 有 線 系 、 無 線 系 又 は 衛 星 系 回 線 による 通 信 方 式 を 備 えるこ<br />
とで、 多 様 性 を 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
3-1 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータの 必 要 な 場 所 での 共 有<br />
a. 発 電 所 内<br />
特 に 重 要 なパラメータを 可 搬 型 の 計 測 器 にて 計 測 した 場 合 、その 結<br />
果 を 現 場 と 中 央 制 御 室 との 間 では 携 帯 型 通 話 設 備 、 衛 星 携 帯 電 話 設 備<br />
又 は 無 線 連 絡 設 備 を 使 用 し、 現 場 若 しくは 中 央 制 御 室 と 緊 急 時 対 策 所<br />
との 間 では 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 又 は 携 帯 型 通 話 設 備 によ<br />
り 共 有 する 手 順 に 着 手 する。これらのうち 携 帯 型 通 話 設 備 に 関 する 手<br />
順 は、 使 用 する 端 末 と 中 継 コードの 接 続 、 乾 電 池 残 量 の 確 認 、 連 絡 等<br />
を 現 場 又 は 中 央 制 御 室 と 緊 急 時 対 策 所 で 実 施 する。<br />
b. 発 電 所 外<br />
特 に 重 要 なパラメータを 可 搬 型 の 計 測 器 にて 計 測 した 場 合 、その 結<br />
果 を 衛 星 携 帯 電 話 設 備 及 び 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する<br />
通 信 連 絡 設 備 等 により、 緊 急 時 対 策 所 と 本 店 、 国 、 地 方 公 共 団 体 等 と<br />
の 間 で 共 有 する 手 順 に 着 手 する。これらのうち 統 合 原 子 力 防 災 ネット<br />
404
ワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 による 通 信 連 絡 のための 手 順 は、テレ<br />
ビ 会 議 システムの 起 動 、 通 信 状 態 の 確 認 等 を 緊 急 時 対 策 所 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、<br />
b) 衛 星 携 帯 電 話 ( 固 定 型 )、 無 線 連 絡 設 備 、 携 帯 型 通 話 設 備 及 び 統 合 原 子<br />
力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 は、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 又 は 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 等 に 接 続 された<br />
所 内 の 電 源 系 統 から 給 電 できる 手 順 等 を 整 備 すること、c) 炉 心 損 傷 防 止 及<br />
び 格 納 容 器 破 損 防 止 に 必 要 なパラメータ 等 は、 携 帯 型 通 話 設 備 、 衛 星 携 帯<br />
電 話 設 備 及 び 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 に<br />
より 発 電 所 内 外 で 共 有 される 手 順 等 を 整 備 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 設 備<br />
を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 1a.の 対 策 が 第 62 条 等 要 求 事 項 イ)、<br />
上 記 1b.の 対 策 が 第 62 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1a. 及<br />
び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切<br />
に 整 備 される 方 針 であることから、 第 62 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 を 行 うための 多 様 性 拡 張 設 備 、<br />
手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 (Ⅳ-4.19-1 参 照 。)<br />
を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 設 備 が 健 全 である 場 合 、 運 転 指 令 設 備 、 電 力 保 安<br />
通 信 用 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 (モニタリング 用 )、 加 入 電 話 設 備 及 びテレビ<br />
会 議 システム( 社 内 )は、 通 常 時 使 用 されている 設 備 であり、 重 大 事 故 等 時 に<br />
おいても 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 に 用 いるとしている。<br />
405
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.19-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
運 転 指 令 設 備 、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
電 力 保 安 通 信 用 ないものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 は、 通 信 連 絡 設 備 の 代 替<br />
電 話 設 備 、 無 線 設 備 となり 得 る。<br />
連 絡 設 備 (モニ<br />
タリング 用 )、 加<br />
入 電 話 設 備 、テ<br />
レビ 会 議 システ<br />
ム( 社 内 )<br />
Ⅳ-5 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロ<br />
リズムへの 対 応 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 関 係 )<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 は、 大 規 模 損 壊 ( 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は<br />
故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムによる 原 子 炉 施 設 の 大 規 模 な 損<br />
壊 )が 発 生 した 場 合 における 体 制 の 整 備 に 関 し、 申 請 者 において、 以 下 の 項 目 につ<br />
いての 手 順 書 が 適 切 に 整 備 されていること 又 は 整 備 される 方 針 が 示 されているこ<br />
と、 加 えて、 当 該 手 順 書 に 従 って 活 動 を 行 うための 体 制 及 び 資 機 材 が 適 切 に 整 備 さ<br />
れていること 又 は 整 備 される 方 針 が 示 されていることを 要 求 している。<br />
一 大 規 模 な 火 災 が 発 生 した 場 合 における 消 火 活 動 に 関 すること。<br />
二 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 緩 和 するための 対 策 に 関 すること。<br />
三 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 緩 和 するための 対 策 に 関 すること。<br />
四 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 を 確 保 するための 対 策 及 び 燃 料 体 の 著 しい 損 傷 を<br />
緩 和 するための 対 策 に 関 すること。<br />
五 放 射 性 物 質 の 放 出 を 低 減 するための 対 策 に 関 すること。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 手 順 書 の 整 備<br />
2. 体 制 の 整 備<br />
3. 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 及 び 同 項<br />
406
の 解 釈 を 踏 まえて 必 要 な 検 討 を 加 えた 上 で 策 定 されており、 大 規 模 損 壊 が 発 生 した<br />
場 合 における 体 制 の 整 備 に 関 して 必 要 な 手 順 書 、 体 制 及 び 資 機 材 等 が 適 切 に 整 備 さ<br />
れる 方 針 であることを 確 認 したことから、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1に<br />
適 合 しているものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 手 順 書 の 整 備<br />
申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 が 発 生 した 場 合 の 手 順 書 の 整 備 について、 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
(1) 手 順 書 の 策 定 に 際 しては、 設 計 基 準 を 超 えるような 規 模 の 自 然 災 害 が 原 子<br />
炉 施 設 の 安 全 性 に 与 える 影 響 、 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリ<br />
ズムによる 施 設 の 広 範 囲 にわたる 損 壊 、 不 特 定 多 数 の 機 器 の 機 能 喪 失 、 大 規<br />
模 な 火 災 等 の 発 生 、 有 効 性 評 価 において 想 定 する 事 故 シーケンスグループに<br />
追 加 しなかった 地 震 及 び 津 波 特 有 の 事 故 シーケンス(Ⅳ-1.1 事 故 の 想<br />
定 参 照 。)などを 考 慮 する。<br />
(2) 大 規 模 損 壊 によって 原 子 炉 施 設 が 受 ける 被 害 範 囲 は 不 確 定 性 が 大 きく、あ<br />
らかじめシナリオを 設 定 した 対 応 操 作 は 困 難 であると 考 えられることなど<br />
から、 環 境 への 放 射 性 物 質 の 放 出 低 減 を 最 優 先 に 考 えた 対 応 を 行 うこととし、<br />
重 大 事 故 等 対 策 において 整 備 する 手 順 等 に 加 えて、 可 搬 型 設 備 による 対 応 を<br />
中 心 とした 多 様 性 及 び 柔 軟 性 を 有 する 手 順 等 を 以 下 のとおり 整 備 する。<br />
1 原 子 炉 施 設 の 被 害 状 況 を 速 やかに 把 握 するための 手 順 及 び 対 応 操 作 の<br />
実 行 判 断 を 行 うための 手 順 を 整 備 する。<br />
2 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 による 大 規 模 な 航 空 機 燃 料 火 災 を 想 定 し、<br />
放 水 砲 等 を 用 いた 泡 消 火 についての 手 順 を 整 備 する。また、 事 故 対 応 を 行<br />
うためのアクセスルート、 操 作 場 所 に 支 障 となる 火 災 等 の 消 火 活 動 も 想 定<br />
して 手 順 を 整 備 する。<br />
3 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 手 順 は、 中 央 制 御 室 での 監 視 及 び 操 作 が 行 えな<br />
い 場 合 も 想 定 し、 原 子 炉 施 設 の 状 況 把 握 が 困 難 な 場 合 及 び 状 況 把 握 がある<br />
程 度 可 能 な 場 合 を 想 定 し、 状 況 に 応 じた 対 応 が 可 能 となるよう 以 下 の 2 つ<br />
の 対 応 を 考 慮 して 手 順 を 整 備 する。<br />
a. 中 央 制 御 室 の 監 視 機 能 及 び 制 御 機 能 の 喪 失 により 状 況 把 握 が 困 難<br />
な 場 合 には、 外 からの 目 視 による 確 認 又 は 可 搬 型 計 測 器 により、 優 先<br />
順 位 に 従 った 内 部 の 状 況 確 認 を 順 次 行 い、 必 要 の 都 度 緩 和 措 置 を 行 う。<br />
b. 中 央 制 御 室 又 は 緊 急 時 対 策 所 での 監 視 機 能 の 一 部 が 健 全 であり、 速<br />
やかな 安 全 機 能 等 の 状 況 把 握 が 可 能 な 場 合 には、 内 部 の 状 況 から 全 体<br />
407
を 速 やかに 把 握 し、 優 先 順 位 を 付 けて 喪 失 した 機 能 を 回 復 又 は 代 替 さ<br />
せる 等 により 緩 和 措 置 を 行 う。<br />
4 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 の 一 から 五 までの 活 動 を 行 うた<br />
めの 手 順 書 として、 重 大 事 故 等 対 策 で 整 備 する 設 備 を 活 用 した 手 順 等 に 加<br />
えて、 事 象 進 展 の 抑 制 及 び 緩 和 に 資 するための 多 様 性 を 持 たせた 手 順 等 を<br />
整 備 する。<br />
5 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 の「1. 重 大 事 故 等 対 策 における 要 求 事<br />
項 」における1.2 項 から1.14 項 の 要 求 事 項 に 基 づき 整 備 する 手 順 等<br />
に 加 えて、 大 規 模 損 壊 の 発 生 を 想 定 し、 中 央 制 御 室 での 監 視 及 び 制 御 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 も 対 応 できるよう 現 場 にてプラントパラメータを 監 視 す<br />
る 手 順 、 現 場 において 直 接 機 器 を 作 動 させるための 手 段 等 を 追 加 して 整 備<br />
する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 手 順 書 の 整 備 の 計 画 が、 大 規 模 損 壊 の 発 生 により 重 大<br />
事 故 等 発 生 時 の 手 順 がどのような 影 響 を 受 けるか 検 討 を 行 うなど、 大 規 模 損 壊 発<br />
生 時 の 特 徴 を 踏 まえた 手 順 書 を 整 備 する 方 針 としていることから、 適 切 なものと<br />
判 断 した。<br />
2. 体 制 の 整 備<br />
申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 体 制 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 教 育 及 び 訓 練<br />
大 規 模 損 壊 への 対 応 のための 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 への 教 育 及 び 訓 練 につい<br />
ては、 重 大 事 故 等 対 策 にて 実 施 する 教 育 及 び 訓 練 を 基 に、 大 規 模 損 壊 発 生 時 を 想<br />
定 し、 通 常 の 指 揮 命 令 系 統 が 機 能 しない 場 合 を 想 定 した 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指<br />
揮 者 等 )の 個 別 の 教 育 訓 練 を 実 施 する。さらに、 要 員 の 役 割 に 応 じて 付 与 される<br />
力 量 に 加 え、 流 動 性 をもって 対 応 できるような 力 量 を 確 保 していくことにより、<br />
期 待 する 要 員 以 外 の 要 員 でも 対 応 できるよう 教 育 訓 練 の 充 実 を 図 る。また、 最 低<br />
限 必 要 な 要 員 以 外 の 人 員 は 原 則 、 発 電 所 外 に 退 避 するが、 発 電 所 内 に 勤 務 する 人<br />
員 を 最 大 限 に 活 用 しなければならない 事 態 を 想 定 して、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 以<br />
外 の 人 員 に 対 して 教 育 を 実 施 する。<br />
(2) 体 制 の 整 備<br />
1 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 体 制 については、 通 常 の 原 子 力 防 災 組 織 の 体 制 を 基<br />
本 としつつ、 通 常 とは 異 なる 対 応 が 必 要 となる 状 況 においても 流 動 性 を 持<br />
って 対 応 できるようにするとともに、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 手 順 に 従 っ<br />
408
て 活 動 を 行 うことを 前 提 として、 以 下 の 基 本 的 な 考 え 方 に 基 づき 整 備 する。<br />
a. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )においても 発 電 所 構 内 又 は 近 傍 に 運 転 員 ( 当<br />
直 員 )12 名 、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 )4 名 、 重 大 事 故 等 対 策<br />
要 員 36 名 及 び 専 属 自 衛 消 防 隊 員 8 名 を 確 保 し、 大 規 模 損 壊 の 発 生 に<br />
より 中 央 制 御 室 ( 運 転 員 ( 当 直 員 )を 含 む。)が 機 能 しない 場 合 におい<br />
ても、 対 応 できるよう 体 制 を 整 備 する。<br />
b. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )における 副 原 子 力 防 災 管 理 者 を 含 む 対 応 要 員<br />
は、 地 震 、 津 波 等 の 大 規 模 な 自 然 災 害 及 び 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝<br />
突 その 他 のテロリズムが 発 生 した 場 合 にも 対 応 できるよう、 分 散 して<br />
待 機 する。<br />
c. 地 震 、 津 波 等 の 大 規 模 な 自 然 災 害 及 び 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突<br />
その 他 のテロリズムの 発 生 により、 通 常 の 原 子 力 防 災 体 制 での 指 揮 命<br />
令 系 統 が 機 能 しなくなる 可 能 性 を 考 慮 する。<br />
d. 建 物 の 損 壊 等 により 対 応 要 員 が 被 災 するような 状 況 においても、 構<br />
内 に 勤 務 している 他 の 要 員 に、 緊 急 時 対 策 本 部 での 役 務 を 割 り 当 てる<br />
等 の 柔 軟 な 対 応 をとる。<br />
e. 大 規 模 損 壊 発 生 時 において、 社 員 寮 、 社 宅 等 からの 召 集 に 時 間 を 要<br />
する 場 合 も 想 定 し、 発 電 所 構 内 及 び 近 傍 の 最 低 要 員 数 により 当 面 の 間<br />
は 事 故 対 応 を 行 えるよう 体 制 を 整 える。<br />
f. プルーム 放 出 時 には、 最 低 限 必 要 な 要 員 は 緊 急 時 対 策 所 に 留 まり、<br />
プルーム 通 過 後 、 活 動 を 再 開 する。プルーム 通 過 時 、 最 低 限 必 要 な 要<br />
員 以 外 の 要 員 は、 発 電 所 外 へ 一 時 避 難 し、その 後 、 最 低 限 必 要 な 要 員<br />
と 交 代 する 要 員 として 発 電 所 へ 再 度 非 常 召 集 する。<br />
2 大 規 模 損 壊 が 発 生 した 場 合 において、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 が 活 動 を 行<br />
うに 当 たっての 拠 点 は、 中 央 制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 を 基 本 とするが、 中<br />
央 制 御 室 等 が 機 能 喪 失 する 場 合 も 想 定 し、 緊 急 時 対 策 所 以 外 にも 代 替 可 能<br />
なスペースも 状 況 に 応 じて 活 用 する。<br />
3 大 規 模 損 壊 発 生 時 における 発 電 所 外 部 からの 支 援 体 制 として、 本 店 対 策<br />
本 部 が 速 やかに 確 立 できるよう 体 制 を 整 備 する。また、 他 の 原 子 力 事 業 者<br />
及 び 原 子 力 緊 急 事 態 支 援 組 織 へ 応 援 要 請 し、 技 術 的 な 支 援 が 受 けられるよ<br />
う 体 制 を 整 備 する。さらに、 協 力 会 社 及 び 建 設 会 社 より 現 場 作 業 や 資 機 材<br />
輸 送 等 に 係 る 要 員 の 派 遣 を 要 請 できる 体 制 、プラントメーカによる 技 術 的<br />
支 援 を 受 けられる 体 制 を 構 築 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 体 制 の 整 備 の 計 画 が 大 規 模 損 壊 の 発 生 により 重 大 事 故<br />
等 発 生 時 の 体 制 がどのような 影 響 を 受 けるか 検 討 を 行 うなど、 大 規 模 損 壊 発 生 時<br />
409
の 特 徴 を 踏 まえた 体 制 を 整 備 する 方 針 としていることから、 適 切 なものと 判 断 し<br />
た。<br />
3. 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備<br />
申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 に 必 要 な 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備 について、 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
(1) 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 手 順 に 従 って 活 動 を 行 うために 必 要 な 可 搬 型 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 は、 以 下 の 事 項 を 考 慮 して 整 備 する。<br />
1 共 通 要 因 による 同 等 の 機 能 を 有 する 設 備 の 損 傷 の 防 止<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 同 等 の 機 能 を 有 する 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
及 び 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 同 時 に 機 能 喪 失 することのないよう、 外 部<br />
事 象 の 影 響 を 受 けにくい 場 所 に 保 管 する。<br />
2 共 通 要 因 による 複 数 の 可 搬 型 設 備 の 損 傷 の 防 止<br />
同 時 に 複 数 の 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 機 能 喪 失 しないよう、 可 搬 型 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 同 士 の 距 離 を 十 分 に 離 して、 複 数 箇 所 に 分 散 して 配 置 す<br />
る。<br />
(2) 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 に 必 要 な 資 機 材 は、 重 大 事 故 等 対 策 で 配 備 する 資 機<br />
材 の 基 本 的 な 考 え 方 を 基 に、 以 下 のとおり 配 備 する。また、 大 規 模 損 壊 発 生 時<br />
においても 使 用 を 期 待 できるよう、 原 子 炉 建 屋 及 び 原 子 炉 補 助 建 屋 から 100m<br />
以 上 離 隔 をとった 場 所 に 配 備 する。<br />
1 地 震 及 び 津 波 の 大 規 模 な 自 然 災 害 による 油 タンク 火 災 、 又 は 故 意 による<br />
大 型 航 空 機 の 衝 突 による 大 規 模 な 燃 料 火 災 の 発 生 時 において、 必 要 な 消 火<br />
活 動 を 実 施 するために 着 用 する 防 護 具 、 消 火 剤 等 の 資 機 材 、 小 型 放 水 砲 等<br />
を 配 備 する。<br />
2 高 線 量 の 環 境 下 において、 事 故 対 応 を 行 うために 高 線 量 対 応 防 護 服 等 の<br />
必 要 な 資 機 材 を 配 備 する。<br />
3 大 規 模 損 壊 の 発 生 時 において、 指 揮 者 と 現 場 間 、 発 電 所 外 等 との 連 絡 に<br />
必 要 な 通 信 手 段 を 確 保 するため、 多 様 な 通 信 手 段 を 複 数 配 備 する。また、<br />
消 火 活 動 専 用 の 通 信 連 絡 設 備 を 配 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備 の 計 画 が、 共 通 要 因 により 同 時<br />
に 機 能 喪 失 しないよう 十 分 な 配 慮 を 行 うなど、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 特 徴 を 踏 まえ<br />
た 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備 を 行 う 方 針 としていることから、 適 切 なものと 判 断 した。<br />
410
Ⅴ 審 査 結 果<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 提 出 した「 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申<br />
請 書 (3 号 及 び 4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )」( 平 成 25 年 7 月 12 日 申 請 、 平 成<br />
28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 1 月 5 日 補 正 )を 審 査 した<br />
結 果 、 当 該 申 請 は、 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に<br />
係 る 部 分 に 限 る。)、 第 3 号 及 び 第 4 号 に 適 合 しているものと 認 められる。<br />
411
略 語 等<br />
本 審 査 書 で 用 いられる 主 な 略 語 等 は 以 下 のとおり<br />
略 語 等<br />
安 全 重 要 度 分 類 指 針<br />
安 全 評 価 指 針<br />
溢 水 ガイド<br />
解 釈 別 記 1<br />
解 釈 別 記 2<br />
解 釈 別 記 3<br />
外 部 火 災 ガイド<br />
格 納 容 器 破 損 モード<br />
火 災 防 護 基 準<br />
火 山 ガイド<br />
機 器 条 件<br />
技 術 的 能 力 指 針<br />
規 制 委 員 会<br />
原 子 炉 等 規 制 法<br />
事 故 シーケンスグル<br />
ープ<br />
事 故 条 件<br />
地 震 ガイド<br />
地 盤 ガイド<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
的 能 力 基 準<br />
名 称 又 は 説 明<br />
発 電 用 軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 機 能 の 重 要 度 分 類 に<br />
関 する 審 査 指 針<br />
発 電 用 軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 評 価 に 関 する 審 査 指<br />
針<br />
原 子 力 発 電 所 の 内 部 溢 水 影 響 評 価 ガイド<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 別 記 1<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 別 記 2<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 別 記 3<br />
原 子 力 発 電 所 の 外 部 火 災 影 響 評 価 ガイド<br />
格 納 容 器 破 損 に 至 る 格 納 容 器 への 負 荷 の 種 類 に 着 目<br />
して 類 型 化 したもの<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 火 災 防 護 に 係<br />
る 審 査 基 準<br />
原 子 力 発 電 所 の 火 山 影 響 評 価 ガイド<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 機 器 条 件<br />
原 子 力 事 業 者 の 技 術 的 能 力 に 関 する 審 査 指 針<br />
原 子 力 規 制 委 員 会<br />
核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法<br />
律<br />
炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスを、 起 因 事 象 、 安 全 機<br />
能 の 喪 失 状 況 に 着 目 して、 類 型 化 したもの<br />
評 価 上 想 定 する 事 故 の 条 件<br />
基 準 地 震 動 及 び 耐 震 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド<br />
基 礎 地 盤 及 び 周 辺 斜 面 の 安 定 性 評 価 に 係 る 審 査 ガイ<br />
ド<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 の 重 大<br />
事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必 要 な 措 置 を 実 施 する<br />
ために 必 要 な 技 術 的 能 力 に 係 る 審 査 基 準<br />
412
重 要 事 故 シーケンス 各 事 故 シーケンスグループにおいて 事 象 進 展 や 対 策<br />
の 実 施 の 観 点 から 最 も 厳 しい 事 故 シーケンス<br />
申 請 者<br />
九 州 電 力 株 式 会 社<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
釈<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈<br />
操 作 条 件<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 操 作 条 件<br />
大 規 模 損 壊<br />
大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突<br />
その 他 のテロリズムによる 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 大 規<br />
模 な 損 壊<br />
竜 巻 ガイド<br />
原 子 力 発 電 所 の 竜 巻 影 響 評 価 ガイド<br />
地 質 ガイド<br />
敷 地 内 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 調 査 に 係 る 審 査<br />
ガイド<br />
津 波 ガイド<br />
基 準 津 波 及 び 耐 津 波 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド<br />
停 止 中 評 価 ガイド 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 運 転 停 止 中 原 子 炉 における<br />
燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド<br />
評 価 事 故 シーケンス 各 格 納 容 器 破 損 モードにおいて 事 象 進 展 や 対 策 の 実<br />
施 の 観 点 から 最 も 厳 しい 事 故 シーケンス<br />
保 安 規 定<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所 原 子 炉 施 設 保 安 規 定<br />
本 申 請<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請<br />
書 (3 号 及 び 4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )」( 平 成 25<br />
年 7 月 12 日 申 請 、 平 成 28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、<br />
11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 1 月 5 日 補 正 )<br />
本 発 電 所<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所<br />
有 効 性 評 価 ガイド 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 炉 心 損 傷 防 止 対 策 及 び 格 納<br />
容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド<br />
AED 大 中 破 断 LOCA が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、<br />
さらに、 溶 融 炉 心 の 冷 却 と、 原 子 炉 格 納 容 器 内 除 熱 が<br />
行 われないため、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る 可 能 性<br />
があるシーケンス<br />
AEI 大 中 破 断 LOCA が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、<br />
さらに、 溶 融 炉 心 の 冷 却 と、 原 子 炉 格 納 容 器 内 除 熱 が<br />
行 われるが、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る 可 能 性 があ<br />
るシーケンス<br />
413
AEW 大 中 破 断 LOCA が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、<br />
さらに、 溶 融 炉 心 の 冷 却 はできるが、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 除 熱 が 行 われないため、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至<br />
る 可 能 性 があるシーケンス<br />
ATWS<br />
BWR<br />
DCH<br />
ECCS<br />
EL.<br />
ERSS<br />
FCI<br />
LOCA<br />
MCCI<br />
PAR<br />
PCT<br />
PDS<br />
PRA<br />
PWR<br />
RCP<br />
SFP 評 価 ガイド<br />
SPDS<br />
TED<br />
T.P.<br />
運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 に 対 して、 原 子 炉 の 緊 急 停 止<br />
が 要 求 された( 必 要 とされた)にもかかわらず、 原 子<br />
炉 安 全 保 護 系 (あるいは 停 止 系 )の 故 障 等 により 原 子<br />
炉 が 緊 急 停 止 しない 事 象<br />
沸 騰 水 型 原 子 炉<br />
格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
非 常 用 炉 心 冷 却 装 置<br />
標 高<br />
緊 急 時 対 策 支 援 システム<br />
溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
冷 却 材 喪 失 事 故<br />
溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
静 的 触 媒 式 水 素 再 結 合 装 置<br />
燃 料 被 覆 管 最 高 温 度<br />
プラント 損 傷 状 態<br />
確 率 論 的 リスク 評 価<br />
加 圧 水 型 原 子 炉<br />
1 次 冷 却 材 ポンプ<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における<br />
燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド<br />
緊 急 時 運 転 パラメータ 伝 送 システム(SPDS)<br />
過 渡 事 象 が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、さらに、<br />
溶 融 炉 心 の 冷 却 と、 原 子 炉 格 納 容 器 内 除 熱 が 行 われな<br />
いため、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る 可 能 性 があるシ<br />
ーケンス<br />
東 京 湾 平 均 海 面<br />
414
( 案 )<br />
別 紙 6<br />
番 号<br />
年 月 日<br />
九 州 電 力 株 式 会 社<br />
代 表 取 締 役 社 長 瓜 生 道 明 宛 て<br />
原 子 力 規 制 委 員 会<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 変 更 (3 号 及 び4 号 発 電<br />
用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )について<br />
平 成 25 年 7 月 12 日 付 け 発 本 原 第 93 号 ( 平 成 28 年 9 月 20 日 付 け 発 本<br />
原 第 110 号 、 平 成 28 年 10 月 28 日 付 け 発 本 原 第 146 号 、 平 成 28 年 11<br />
月 4 日 付 け 発 本 原 第 162 号 及 び 平 成 29 年 1 月 5 日 付 け 発 本 原 第 214 号 を<br />
もって 一 部 補 正 )をもって、 申 請 のあった 上 記 の 件 については、 核 原 料 物 質 、 核<br />
燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 第 43 条 の3の8 第 1 項 の 規 定 に 基 づ<br />
き、 許 可 します。
参 考 資 料<br />
( 修 正 案 )<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 玄 海 原 子 力 発 電 所<br />
の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書<br />
( 3 号 及 び 4 号 発 電 用 原<br />
子 炉 施 設 の 変 更 )に 関 する 審 査 書<br />
( 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に<br />
関 する 法 律 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術<br />
的 能 力 に 係 るもの)、 第 3 号 及 び 第 4 号 関 連 )<br />
平 成 298 年 111 月 189 日<br />
原 子 力 規 制 委 員 会
目 次<br />
Ⅰ はじめに ............................................................... 1<br />
Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力 ........................... 4<br />
Ⅲ 設 計 基 準 対 象 施 設 ...................................................... 10<br />
Ⅲ-1 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 ).............................. 10<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動 ................................................ 10<br />
Ⅲ-1.2 周 辺 斜 面 の 安 定 性 .......................................... 20<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針 .............................................. 21<br />
Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )............................ 30<br />
Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 ).............................. 34<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波 .................................................. 34<br />
Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針 ............................................ 38<br />
Ⅲ-4 外 部 からの 衝 撃 による 損 傷 の 防 止 ( 第 6 条 関 係 ).................... 55<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 ............................................ 56<br />
Ⅲ-4.2 外 部 事 象 に 対 する 設 計 方 針 .................................. 57<br />
Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針 ................................ 58<br />
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 .......................... 64<br />
Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 ............................ 72<br />
Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 ...................... 80<br />
Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 ...................... 81<br />
Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ .......................................... 82<br />
Ⅲ-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 す<br />
る 重 要 安 全 施 設 への 考 慮 .................................... 83<br />
Ⅲ-5 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 等 の 防 止 ( 第 7 条 関 係 ) ........ 84<br />
Ⅲ-6 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 8 条 関 係 ).............................. 85<br />
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 ) ............................ 97<br />
Ⅲ-8 誤 操 作 の 防 止 ( 第 10 条 関 係 )................................... 106<br />
Ⅲ-9 安 全 避 難 通 路 等 ( 第 11 条 関 係 )................................. 106<br />
Ⅲ-10 安 全 施 設 ( 第 12 条 関 係 )..................................... 107<br />
Ⅲ-11 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 対 策 設 備 ( 第 14 条 関 係 )................... 110<br />
Ⅲ-12 燃 料 体 等 の 取 扱 施 設 及 び 貯 蔵 施 設 ( 第 16 条 関 係 ) ............... 111<br />
Ⅲ-13 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ( 第 17 条 関 係 )................... 113<br />
Ⅲ-14 安 全 保 護 回 路 ( 第 24 条 関 係 )................................. 114<br />
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )................................. 114<br />
i
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 ................. 119<br />
Ⅳ-1 重 大 事 故 等 の 拡 大 の 防 止 等 ( 第 37 条 関 係 )....................... 121<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 ............................................... 122<br />
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果 ......................................... 132<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策 ................................... 132<br />
Ⅳ-1.2.1.1 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 ................. 132<br />
Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 ........................... 136<br />
Ⅳ-1.2.1.3 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 ....................... 143<br />
Ⅳ-1.2.1.4 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 ................. 146<br />
Ⅳ-1.2.1.5 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 ........................... 150<br />
Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注 水 機 能 喪 失 ............................ 156<br />
Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 .......................... 161<br />
Ⅳ-1.2.1.8 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム<br />
LOCA、 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 ) ................ 165<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 ............................... 172<br />
Ⅳ-1.2.2.1 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
173<br />
Ⅳ-1.2.2.2 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )<br />
................................................................. 179<br />
Ⅳ-1.2.2.3 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 ........ 185<br />
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 ... 190<br />
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼 ..................................... 194<br />
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 ............... 200<br />
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 ........... 205<br />
Ⅳ-1.2.3.1 想 定 事 故 1 ................................... 205<br />
Ⅳ-1.2.3.2 想 定 事 故 2 ................................... 209<br />
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策 ............... 212<br />
Ⅳ-1.2.4.1 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ........................... 213<br />
Ⅳ-1.2.4.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 ........................... 217<br />
Ⅳ-1.2.4.3 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 ........................... 222<br />
Ⅳ-1.2.4.4 反 応 度 の 誤 投 入 ............................... 227<br />
Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード ....................... 231<br />
Ⅳ-2 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 手 順 等 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 重 大 事<br />
故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 関 係 ) .......................... 240<br />
Ⅳ-3 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 第 38 条 ~ 第 41 条 及<br />
び 第 43 条 関 係 ) ............................................... 247<br />
ii
Ⅳ-3.1 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 地 盤 ( 第 38 条 関 係 )................. 247<br />
Ⅳ-3.2 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 39 条 関 係 )..................... 251<br />
Ⅳ-3.3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 40 条 関 係 )..................... 253<br />
Ⅳ-3.4 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 41 条 関 係 )..................... 254<br />
Ⅳ-3.5 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 関 係 )....................... 254<br />
Ⅳ-4 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 ................................... 259<br />
Ⅳ-4.1 緊 急 停 止 失 敗 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 未 臨 界 にするための 設 備 及 び<br />
手 順 等 ( 第 44 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項<br />
関 係 ) ................................................... 259<br />
Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 45 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能<br />
力 基 準 1.2 項 関 係 ) ..................................... 265<br />
Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
( 第 46 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 項 関 係 ).. 273<br />
Ⅳ-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 47 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能<br />
力 基 準 1.4 項 関 係 ) ..................................... 282<br />
Ⅳ-4.5 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 4<br />
8 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.5 項 関 係 ) ....... 293<br />
Ⅳ-4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 49 条<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.6 項 関 係 )........... 301<br />
Ⅳ-4.7 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
( 第 50 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 項 関 係 )<br />
........................................................ 309<br />
Ⅳ-4.8 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 ( 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 項 関 係 )<br />
........................................................ 316<br />
Ⅳ-4.9 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 ( 第 52 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.9<br />
項 関 係 )................................................. 326<br />
Ⅳ-4.10 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 ( 第 53 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1<br />
0 項 関 係 )............................................... 331<br />
Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 54<br />
条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.11 項 関 係 )....... 336<br />
iii
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手<br />
順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 項<br />
関 係 )................................................... 344<br />
Ⅳ-4.13 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 の 供 給 設 備 及 び 手 順 等 ( 第<br />
56 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.13 項 関 係 )... 350<br />
Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 ( 第 57 条 及 び 重 大<br />
事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 項 関 係 )................. 359<br />
Ⅳ-4.15 計 装 設 備 及 びその 手 順 等 ( 第 58 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
的 能 力 基 準 1.15 項 関 係 )............................... 366<br />
Ⅳ-4.16 原 子 炉 制 御 室 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 26 条 、<br />
第 59 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.16 項 関 係 )<br />
........................................................ 376<br />
Ⅳ-4.17 監 視 測 定 設 備 及 び 監 視 測 定 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 31 条 、 第<br />
60 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.17 項 関 係 )... 382<br />
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、<br />
第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 項 関 係 )<br />
........................................................ 391<br />
Ⅳ-4.19 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 通 信 連 絡 に 関 する 手 順<br />
等 ( 第 35 条 、 第 62 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準<br />
1.19 項 関 係 )......................................... 400<br />
Ⅳ-5 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリ<br />
ズムへの 対 応 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 関 係 ) ....... 406<br />
Ⅴ 審 査 結 果 ............................................................. 411<br />
略 語 等 ................................................................. 412<br />
iv
Ⅰ はじめに<br />
1. 本 審 査 書 の 位 置 付 け<br />
本 審 査 書 は、「 核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法 律 」( 昭 和<br />
32 年 法 律 第 166 号 。 以 下 「 原 子 炉 等 規 制 法 」という。) 第 43 条 の3の8 第 1 項<br />
に 基 づいて、 九 州 電 力 株 式 会 社 ( 以 下 「 申 請 者 」という。)が 原 子 力 規 制 委 員 会<br />
( 以 下 「 規 制 委 員 会 」という。)に 提 出 した「 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉<br />
設 置 変 更 許 可 申 請 書 (3 号 及 び 4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )」( 平 成 25 年 7 月<br />
12 日 申 請 、 平 成 28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 11 月 54<br />
日 補 正 )( 以 下 「 本 申 請 」という。)の 内 容 が、<br />
(1) 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の8 第 2 項 で 準 用 する 第 43 条 の3の6 第 1 項<br />
第 2 号 の 規 定 ( 発 電 用 原 子 炉 を 設 置 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 及 び 経 理 的 基<br />
礎 があること。)のうち、 技 術 的 能 力 に 係 るもの、<br />
(2) 同 条 同 項 第 3 号 の 規 定 ( 重 大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必 要 な 措 置 を 実 施<br />
するために 必 要 な 技 術 的 能 力 その 他 の 発 電 用 原 子 炉 の 運 転 を 適 確 に 遂 行 する<br />
に 足 りる 技 術 的 能 力 があること。)、 及 び、<br />
(3) 同 条 同 項 第 4 号 の 規 定 ( 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 が 核 燃 料 物<br />
質 若 しくは 核 燃 料 物 質 によって 汚 染 された 物 又 は 発 電 用 原 子 炉 による 災 害 の<br />
防 止 上 支 障 がないものとして 原 子 力 規 制 委 員 会 規 則 で 定 める 基 準 に 適 合 する<br />
ものであること。)<br />
に 適 合 しているかどうかを 審 査 した 結 果 を 取 りまとめたものである。<br />
なお、 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 1 号 の 規 定 ( 発 電 用 原 子 炉 が<br />
平 和 の 目 的 以 外 に 利 用 されるおそれがないこと。) 及 び 第 2 号 の 規 定 のうち 経 理<br />
的 基 礎 に 係 るものに 関 する 審 査 結 果 は、 別 途 取 りまとめる。<br />
2. 判 断 基 準 及 び 審 査 方 針<br />
本 審 査 では、 以 下 の 基 準 等 に 適 合 しているかどうかを 確 認 した。<br />
(1) 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 の 規 定 のうち、 技 術 的 能 力 に<br />
係 るものに 関 する 審 査 においては、 原 子 力 事 業 者 の 技 術 的 能 力 に 関 する 審 査 指<br />
針 ( 平 成 16 年 5 月 27 日 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 。 以 下 「 技 術 的 能 力 指 針 」とい<br />
う。)<br />
(2) 同 条 同 項 第 3 号 の 規 定 に 関 する 審 査 においては、 技 術 的 能 力 指 針 及 び 実 用 発<br />
電 用 原 子 炉 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 の 重 大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必<br />
要 な 措 置 を 実 施 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 に 係 る 審 査 基 準 ( 原 規 技 発 第<br />
1306197 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 重 大 事 故 等 防<br />
止 技 術 的 能 力 基 準 」という。)<br />
1
(3) 同 条 同 項 第 4 号 の 規 定 に 関 する 審 査 においては、 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその<br />
附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 ( 平 成 25 年 6 月 28 日 原 子<br />
力 規 制 委 員 会 規 則 第 5 号 。 以 下 「 設 置 許 可 基 準 規 則 」という。) 及 び 実 用 発 電<br />
用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び 設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈<br />
( 原 規 技 発 第 1306193 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下<br />
「 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 」という。)<br />
同 条 同 項 第 4 号 の 規 定 に 関 する 審 査 においては、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 にお<br />
いて 規 定 される、 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 火 災 防 護 に 係 る 審 査 基<br />
準 ( 原 規 技 発 第 1306195 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以<br />
下 「 火 災 防 護 基 準 」という。)に 適 合 しているかどうかについても 確 認 した。<br />
また、 本 審 査 においては、 規 制 委 員 会 が 定 めた 以 下 のガイド 等 を 参 照 するとと<br />
もに、その 他 法 令 で 定 める 基 準 、 学 協 会 規 格 等 も 参 照 した。<br />
(1) 原 子 力 発 電 所 の 火 山 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061910 号 ( 平 成 25 年 6<br />
月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 火 山 ガイド」という。)<br />
(2) 原 子 力 発 電 所 の 竜 巻 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061911 号 ( 平 成 25 年 6<br />
月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 竜 巻 ガイド」という。)<br />
(3) 原 子 力 発 電 所 の 外 部 火 災 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061912 号 ( 平 成 25<br />
年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 外 部 火 災 ガイド」という。)<br />
(4) 原 子 力 発 電 所 の 内 部 溢 水 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061913 号 ( 平 成 25<br />
年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 溢 水 ガイド」という。)<br />
(5) 原 子 力 発 電 所 の 内 部 火 災 影 響 評 価 ガイド( 原 規 技 発 第 13061914 号 ( 平 成 25<br />
年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。)<br />
(6) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 炉 心 損 傷 防 止 対 策 及 び 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061915 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原<br />
子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 有 効 性 評 価 ガイド」という。)<br />
(7) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061916 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原<br />
子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「SFP 評 価 ガイド」という。)<br />
(8) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 運 転 停 止 中 原 子 炉 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061917 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原<br />
子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 停 止 中 評 価 ガイド」という。)<br />
(9) 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 重 大 事 故 時 の 制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 に 係<br />
る 被 ばく 評 価 に 関 する 審 査 ガイド( 原 規 技 発 第 13061918 号 ( 平 成 25 年 6 月 19<br />
日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。)<br />
2
(10) 敷 地 内 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 調 査 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第<br />
1306191 号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 地 質 ガイド」<br />
という。)<br />
(11) 基 準 地 震 動 及 び 耐 震 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第 1306192 号 ( 平<br />
成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 地 震 ガイド」という。)<br />
(12) 基 準 津 波 及 び 耐 津 波 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第 1306193 号 ( 平<br />
成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 津 波 ガイド」という。)<br />
(13) 基 礎 地 盤 及 び 周 辺 斜 面 の 安 定 性 評 価 に 係 る 審 査 ガイド( 原 管 地 発 第 1306194<br />
号 ( 平 成 25 年 6 月 19 日 原 子 力 規 制 委 員 会 決 定 )。 以 下 「 地 盤 ガイド」という。)<br />
なお、 本 審 査 は、1 号 炉 及 び 2 号 炉 の 原 子 炉 容 器 には 燃 料 を 装 荷 しない 前 提 と<br />
している。このうち 1 号 炉 については、 廃 止 措 置 計 画 認 可 申 請 書 が 提 出 されてい<br />
る。<br />
3. 本 審 査 書 の 構 成<br />
「Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力 」には、 技 術 的 能 力 指<br />
針 への 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 を 示 した。<br />
「Ⅲ 設 計 基 準 対 象 施 設 」には、 設 置 許 可 基 準 規 則 のうち 設 計 基 準 対 象 施 設 を<br />
含 む 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 適 用 される 規 定 への 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 を 示 した。<br />
「Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力 」には、 設 置<br />
許 可 基 準 規 則 のうち 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 適 用 される 規 定 及 び 重 大 事 故 等 防 止<br />
技 術 的 能 力 基 準 への 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 を 示 した。<br />
「Ⅴ 審 査 結 果 」には、 規 制 委 員 会 としての 結 論 を 示 した。<br />
なお、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 双 方 の 機 能 を 有 する 施 設 の<br />
うち、 原 子 炉 制 御 室 等 、 監 視 設 備 、 緊 急 時 対 策 所 及 び 通 信 連 絡 設 備 に 関 する 審 査<br />
内 容 については、「Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能<br />
力 」において、 設 計 基 準 対 象 施 設 としての 基 準 適 合 性 に 関 する 審 査 内 容 と 併 せて<br />
示 した。<br />
また、3 号 炉 と 4 号 炉 の 審 査 内 容 が 共 通 する 場 合 には、 号 炉 ごとではなく、ま<br />
とめて 記 載 した。そのため、4 号 炉 においては、「 復 水 タンク」を「 復 水 ピット」<br />
に、「 燃 料 取 替 用 水 タンク」を「 燃 料 取 替 用 水 ピット」に 読 み 替 える。ただし、<br />
必 要 により 3 号 炉 及 び 4 号 炉 について 各 々 記 載 した。<br />
3
本 審 査 書 においては、 法 令 の 規 定 等 や 申 請 書 の 内 容 について、 必 要 に 応 じ、 文<br />
章 の 要 約 や 言 い 換 え 等 を 行 っている。<br />
本 審 査 書 で 用 いる 条 番 号 は、 断 りのない 限 り 設 置 許 可 基 準 規 則 のものである。<br />
Ⅱ 発 電 用 原 子 炉 の 設 置 及 び 運 転 のための 技 術 的 能 力<br />
原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力 に 係 る 部 分 に 限 る。)<br />
は、 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 に 発 電 用 原 子 炉 を 設 置 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 がある<br />
ことを、 同 項 第 3 号 は、 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 に 重 大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必<br />
要 な 措 置 を 実 施 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 その 他 の 発 電 用 原 子 炉 の 運 転 を 適 確<br />
に 遂 行 するに 足 りる 技 術 的 能 力 があることを 要 求 している。<br />
このうち、 本 章 においては、 原 子 炉 を 設 置 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 及 び 原 子<br />
炉 の 運 転 を 適 確 に 遂 行 するに 足 りる 技 術 的 能 力 についての 審 査 結 果 を 記 載 する。 重<br />
大 事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必 要 な 措 置 を 実 施 するために 必 要 な 技 術 的 能 力 に<br />
ついての 審 査 結 果 は、Ⅳ-2、Ⅳ-4 及 びⅣ-5で 記 載 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 技 術 的 能 力 を 技 術 的 能 力 指 針 に 沿 って 審 査 した。 具 体 的<br />
には、 本 申 請 が 既 に 運 転 実 績 を 有 する 原 子 炉 に 関 するものであることにかんがみ、<br />
技 術 的 能 力 指 針 の 項 目 を 以 下 の 項 目 に 整 理 して 審 査 を 行 った。<br />
1. 組 織<br />
2. 技 術 者 の 確 保<br />
3. 経 験<br />
4. 品 質 保 証 活 動 体 制<br />
5. 技 術 者 に 対 する 教 育 ・ 訓 練<br />
6. 原 子 炉 主 任 技 術 者 等 の 選 任 ・ 配 置<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 技 術 的 能 力 指 針 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 組 織<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 原 子 炉 施 設 の 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 を 実 施 する<br />
ために、 役 割 分 担 が 明 確 化 された 組 織 を 構 築 すること 又 は 構 築 する 方 針 を 示 すこ<br />
とを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
4
(1) 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 業 務 は、 玄 海 原 子 力 発 電 所 原 子 炉 施 設<br />
保 安 規 定 ( 以 下 「 保 安 規 定 」という。)で 定 めた 業 務 所 掌 に 基 づき 実 施 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 の 業 務 は、 発 電 本 部 の 各 担 当 部 門 及 び 技 術 本 部 の 原 子 力 土 木<br />
部 門 ( 以 下 「 原 子 力 関 連 部 門 」という。) 並 びに 本 発 電 所 の 担 当 課 それぞれ<br />
において 実 施 する。なお、 設 計 及 び 工 事 の 業 務 のうち、 現 地 における 管 理 は<br />
本 発 電 所 の 担 当 課 において 実 施 する。<br />
(3) 運 転 及 び 保 守 の 業 務 は、 本 発 電 所 の 担 当 課 において 実 施 する。なお、 自 然<br />
災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 非 常 事 態 に 際 しては、 本 発 電 所 に 設 置 する 原 子 力 防 災<br />
組 織 により、 運 転 及 び 保 守 の 業 務 を 実 施 する。また、これらの 組 織 は、 本 店<br />
に 設 置 する 原 子 力 防 災 組 織 とも 連 携 する。<br />
(4) 保 安 規 定 等 の 法 令 上 の 手 続 きを 要 するものについては、 本 店 の 原 子 力 発 電<br />
安 全 委 員 会 において 審 議 し、 本 発 電 所 で 使 用 する 手 順 については、 本 発 電 所<br />
の 玄 海 原 子 力 発 電 安 全 運 営 委 員 会 において 審 議 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 業 務 を 実 施 する 原 子 力 関 連<br />
部 門 及 び 本 発 電 所 の 担 当 課 並 びに 原 子 力 発 電 安 全 委 員 会 及 び 原 子 力 発 電 安 全 運<br />
営 委 員 会 については、 本 店 と 本 発 電 所 の 役 割 分 担 を 明 確 化 するとしており、 更 に<br />
自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 非 常 事 態 に 対 応 するための 組 織 として、 原 子 力 防 災 組<br />
織 を 設 置 し、 対 応 するとしていることなど、 申 請 者 の 組 織 の 構 築 については 適 切<br />
なものであることを 確 認 した。<br />
2. 技 術 者 の 確 保<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 を 行 うための 専 門 知 識 、<br />
技 術 及 び 技 能 を 有 する 技 術 者 を 確 保 すること 又 は 確 保 する 方 針 を 示 すことを 要<br />
求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 原 子 力 関 連 部 門 及 び 本 発 電 所 においては、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保<br />
守 に 必 要 な 技 術 者 の 人 数 を 確 保 するとともに、 原 子 炉 主 任 技 術 者 、 放 射 線 取<br />
扱 主 任 者 、ボイラー・タービン 主 任 技 術 者 等 の 資 格 を 有 する 技 術 者 を 確 保 す<br />
る。さらに、 本 発 電 所 では、 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 な 大 型 自<br />
動 車 等 を 運 転 する 資 格 を 有 する 技 術 者 を 確 保 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 に 必 要 な 技 術 者 は、 業 務 の 各 工 程 において 必 要 な 人 数 を 配 置<br />
する。また、 運 転 及 び 保 守 に 必 要 な 技 術 者 及 び 有 資 格 者 である 技 術 者 につい<br />
ても、 業 務 を 実 施 するために 必 要 な 人 数 を 配 置 する。<br />
(3)さらに、 必 要 な 技 術 者 については、 採 用 、 教 育 及 び 訓 練 を 行 うことにより、<br />
今 後 とも 継 続 的 に 確 保 する 方 針 とする。<br />
5
規 制 委 員 会 は、 原 子 力 関 連 部 門 及 び 本 発 電 所 における、 技 術 者 数 の 推 移 、 採 用<br />
実 績 、 教 育 及 び 訓 練 実 績 により、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 必 要 な 技 術<br />
者 及 び 有 資 格 者 である 技 術 者 を 確 保 していること、 及 び、 今 後 とも 計 画 的 かつ 継<br />
続 的 に 採 用 、 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 するとしていることなど、 申 請 者 における 技 術<br />
者 の 確 保 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
3. 経 験<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 必 要 な 経 験 として、 本<br />
申 請 と 同 等 又 は 類 似 の 施 設 の 経 験 を 有 していること 又 は 経 験 を 蓄 積 する 方 針 を<br />
示 すことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 本 発 電 所 4 基 及 び 川 内 原 子 力 発 電 所 2 基 の 建 設 及 び 改 造 を 通 じた 設 計 及 び<br />
工 事 の 経 験 に 加 えて、 約 40 年 にわたる 運 転 及 び 保 守 の 経 験 を 有 する。<br />
(2)また、アクシデントマネジメント 対 策 である 代 替 再 循 環 、 代 替 補 機 冷 却 、<br />
格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 及 び 格 納 容 器 内 注 水 を 可 能 とするための 設 備 改 造<br />
を 実 施 した 経 験 を 有 していることに 加 えて、 経 済 産 業 大 臣 の 指 示 に 基 づき 実<br />
施 した 緊 急 安 全 対 策 である 空 冷 式 非 常 用 発 電 装 置 、 電 源 車 、 消 防 ポンプ 等 の<br />
配 備 を 通 じた 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 経 験 を 有 する。<br />
(3)さらに、 国 内 外 の 関 連 施 設 への 技 術 者 の 派 遣 、トラブル 対 応 に 関 する 情 報<br />
の 収 集 及 び 活 用 により、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 経 験 を 蓄 積 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 緊 急 安 全 対 策 も 含 めたこれまでの 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び<br />
保 守 の 経 験 に 加 えて、 国 内 外 の 関 連 施 設 への 技 術 者 派 遣 実 績 並 びにトラブル 対 応<br />
情 報 の 収 集 及 び 活 用 の 実 績 があること、また、 今 後 ともこれらを 適 切 に 継 続 する<br />
方 針 であることなど、 申 請 者 の 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 経 験 並 びに 経<br />
験 を 蓄 積 する 方 針 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
4. 品 質 保 証 活 動 体 制<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 を 遂 行 するために 必 要 な<br />
品 質 保 証 活 動 を 行 う 体 制 を 構 築 すること 又 は 構 築 する 方 針 を 示 すことを 要 求 し<br />
ている。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 社 内 の 体 制<br />
1 品 質 保 証 活 動 の 実 施 に 当 たっては、 原 子 力 発 電 所 の 安 全 を 達 成 、 維 持<br />
及 び 向 上 することを 目 的 として、 安 全 文 化 を 醸 成 するための 活 動 並 びに<br />
6
関 係 法 令 及 び 保 安 規 定 の 遵 守 に 対 する 意 識 の 向 上 を 図 るための 活 動 を<br />
含 めた 品 質 マネジメントシステムを 構 築 するため「 原 子 力 発 電 所 におけ<br />
る 安 全 のための 品 質 保 証 規 程 (JEAC4111-2009)」 及 び「 実 用 発 電 用 原 子<br />
炉 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 の 設 計 及 び 工 事 に 係 る 品 質 管 理 の 方 法 及<br />
びその 検 査 のための 組 織 の 技 術 基 準 に 関 する 規 則 ( 平 成 25 年 6 月 28 日<br />
原 子 力 規 制 委 員 会 規 則 第 8 号 )」に 基 づいて 原 子 力 発 電 所 品 質 マニュア<br />
ル( 要 則 )( 以 下 「 品 質 マニュアル( 要 則 )」という。)を 定 める。<br />
2 本 店 各 部 門 及 び 本 発 電 所 並 びに 監 査 部 門 である 本 店 の 原 子 力 ・ 保 安 監<br />
査 部 においては、 品 質 マニュアル( 要 則 )に 基 づき、 手 順 及 び 記 録 に 関<br />
する 文 書 体 系 を 定 める。<br />
3 社 長 は、 品 質 マニュアル( 要 則 )に 基 づく 方 針 を 定 め、 原 子 力 安 全 の<br />
重 要 性 を 組 織 内 に 周 知 する。また、 実 施 部 門 の 管 理 責 任 者 である 発 電 本<br />
部 長 の 下 、 各 業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 は、 同 方 針 に 基 づき 各 部 門 におけ<br />
る 品 質 保 証 活 動 に 関 する 計 画 を 策 定 、 実 施 、 評 価 及 び 改 善 する。<br />
4 監 査 部 門 の 管 理 責 任 者 である 原 子 力 ・ 保 安 監 査 部 長 は、 実 施 部 門 とは<br />
独 立 した 立 場 で 監 査 を 実 施 する。<br />
5 社 長 は、 管 理 責 任 者 から 品 質 保 証 活 動 に 関 する 報 告 を 受 け、その 実 施<br />
状 況 を 踏 まえた 改 善 の 必 要 性 についてマネジメントレビューを 行 う。<br />
6 さらに、 品 質 マネジメントシステムの 有 効 性 を 維 持 あるいは 向 上 させ<br />
るために、 実 施 部 門 に 共 通 する 活 動 については 本 店 の 原 子 力 品 質 保 証 委<br />
員 会 において 審 議 し、 一 方 、 本 発 電 所 において 実 施 する 活 動 は 品 質 保 証<br />
委 員 会 において 審 議 し、それぞれの 審 議 結 果 を 業 務 へ 反 映 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 関 する 品 質 保 証 活 動<br />
1 設 計 及 び 工 事 は、 各 業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 が、 品 質 マニュアル( 要<br />
則 )に 従 い、その 重 要 度 に 応 じて 実 施 する。 調 達 する 場 合 には、 供 給 者<br />
に 対 して 要 求 事 項 を 明 確 にするとともに、 重 要 度 に 応 じて 管 理 を 行 い、<br />
試 験 及 び 検 査 等 により 調 達 する 製 品 等 が 要 求 事 項 を 満 足 していること<br />
を 確 認 する。<br />
2 運 転 及 び 保 守 は、 各 業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 が、 品 質 マニュアル( 要<br />
則 )に 従 って、 個 々の 業 務 を 計 画 し、 実 施 する。 調 達 する 場 合 には、 設<br />
計 及 び 工 事 と 同 様 に 管 理 、 確 認 する。<br />
3 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 において 不 適 合 が 発 生 した 場 合 、 各<br />
業 務 を 主 管 する 組 織 の 長 は、 不 適 合 を 除 去 し、 原 因 を 特 定 した 上 で 是 正<br />
処 置 を 実 施 する。 調 達 においては、これらを 供 給 者 に 行 わせ、 各 業 務 を<br />
主 管 する 組 織 の 長 が 確 認 する。<br />
7
規 制 委 員 会 は、 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 の 業 務 における 品 質 保 証 活 動<br />
については、 品 質 マニュアル( 要 則 )を 定 めた 上 で、その 品 質 マニュアル( 要 則 )<br />
等 の 下 で 調 達 管 理 を 含 めた 品 質 保 証 活 動 に 関 する 計 画 、 実 施 、 評 価 、 改 善 を 実 施<br />
する 仕 組 み 及 び 役 割 を 明 確 化 した 体 制 を 構 築 していることなど、 申 請 者 の 品 質 保<br />
証 活 動 体 制 の 構 築 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
5. 技 術 者 に 対 する 教 育 ・ 訓 練<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 技 術 者 に 対 して、 専 門 知 識 、 技 術 及 び 技 能 を 維 持 及 び 向 上<br />
させるための 教 育 及 び 訓 練 を 行 う 方 針 を 示 すことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 新 たに 配 属 された 技 術 者 に 対 しては、 原 子 力 発 電 の 基 礎 知 識 の 習 得 を 図 る<br />
ため、 現 場 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 する。<br />
(2) 設 計 及 び 工 事 並 びに 運 転 及 び 保 守 に 従 事 する 技 術 者 に 対 しては、 専 門 知 識 、<br />
技 術 及 び 技 能 の 習 得 を 図 るため、 原 子 力 訓 練 センターに 加 え、 株 式 会 社 原 子<br />
力 発 電 訓 練 センター 及 び 日 本 原 子 力 発 電 株 式 会 社 等 の 国 内 の 原 子 力 関 係 機<br />
関 において 能 力 に 応 じた 机 上 教 育 及 び 実 技 訓 練 を 実 施 する。<br />
(3) 教 育 ・ 訓 練 は、 専 門 知 識 、 技 術 及 び 技 能 の 習 得 状 況 に 応 じて 対 象 者 、 内 容<br />
及 び 時 間 等 に 関 する 実 施 計 画 を 策 定 し 実 施 する。<br />
(4) 自 然 災 害 及 び 重 大 事 故 等 に 対 応 する 技 術 者 、 事 務 系 社 員 及 び 協 力 会 社 社 員<br />
に 対 しては、 各 役 割 に 応 じて 必 要 な 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 技 術 者 に 対 しては 専 門 知 識 、 技 術 及 び 技 能 を 維 持 及 び 向 上 させ<br />
るため、 教 育 訓 練 基 準 を 策 定 した 上 で 必 要 な 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 すること、 更 に<br />
事 務 系 職 員 及 び 協 力 会 社 社 員 に 対 しても、 自 然 災 害 対 応 等 の 役 割 に 応 じて、 教 育<br />
及 び 訓 練 を 実 施 することなど、 申 請 者 の 技 術 者 等 に 対 する 教 育 及 び 訓 練 の 方 針 は<br />
適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
6. 原 子 炉 主 任 技 術 者 等 の 選 任 ・ 配 置<br />
技 術 的 能 力 指 針 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 及 び 運 転 責 任 者 をその 職 務 が 適 切 に 遂 行<br />
できるよう 配 置 していること 又 は 配 置 する 方 針 を 示 すことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 原 子 炉 主 任 技 術 者 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 の 免 状 を 有 し、 実 務 経 験 を 有 する<br />
者 から、 原 子 炉 ごとに 選 任 する。<br />
(2) 原 子 炉 主 任 技 術 者 は、 原 子 炉 施 設 の 運 転 に 関 し 保 安 の 監 督 を 誠 実 かつ 最 優<br />
先 に 行 うこととし、 原 子 炉 施 設 の 運 転 に 関 して 必 要 な 指 示 ができるよう、 職<br />
務 の 独 立 性 を 確 保 するために 社 長 が 選 任 し 配 置 する。<br />
8
(3) 原 子 炉 主 任 技 術 者 の 代 行 者 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 の 要 件 を 有 する 課 長 以 上<br />
から 選 任 する。<br />
(4) 運 転 責 任 者 は、 規 制 委 員 会 が 定 める 基 準 に 適 合 した 者 の 中 から 選 任 し、 当<br />
直 の 責 任 者 である 当 直 課 長 の 職 位 として 配 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 主 任 技 術 者 については、 必 要 な 要 件 を 踏 まえた 上 で 選 任<br />
し、 独 立 性 を 確 保 した 職 位 として 配 置 すること、 運 転 責 任 者 については、 基 準 に<br />
適 合 した 者 の 中 から 選 任 し、 当 直 課 長 の 職 位 として 配 置 することなど、 申 請 者 の<br />
有 資 格 者 等 の 選 任 及 び 配 置 の 方 針 については 適 切 なものであることを 確 認 した。<br />
9
Ⅲ 設 計 基 準 対 象 施 設<br />
本 章 においては、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 関 して 変 更 申 請 がなされた 内 容 について 審<br />
査 した 結 果 を、 設 置 許 可 基 準 規 則 の 条 項 ごとに 示 した。<br />
Ⅲ-1 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )<br />
第 4 条 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 耐 震 重 要 度 に 応 じて 算 定 した 地 震 力 に 十<br />
分 に 耐 えることができる 設 計 とすることを、また、 耐 震 重 要 施 設 については、 基 準<br />
地 震 動 による 地 震 力 及 び 基 準 地 震 動 によって 生 ずるおそれがある 斜 面 の 崩 壊 に 対<br />
してその 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動<br />
1. 地 下 構 造 モデル<br />
2. 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動<br />
3. 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
4. 基 準 地 震 動 の 策 定<br />
Ⅲ-1.2 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針<br />
1. 耐 震 重 要 度 分 類 の 方 針<br />
2. 弾 性 設 計 用 地 震 動 の 設 定 方 針<br />
3. 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 及 び 静 的 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
4. 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 設 定 方 針<br />
5. 波 及 的 影 響 に 係 る 設 計 方 針<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
Ⅲ-1.1 基 準 地 震 動<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 別 記 2( 以 下 「 解 釈 別 記 2」という。)は、 基 準 地 震 動 に<br />
ついて、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 踏 まえ、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 、<br />
地 盤 構 造 並 びに 地 震 活 動 性 等 の 地 震 学 及 び 地 震 工 学 的 見 地 から 想 定 することが 適<br />
切 なものを 策 定 することを 要 求 している。また、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定<br />
する 地 震 動 」 及 び「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 敷 地 の 解 放 基 盤 表<br />
10
面 における 水 平 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 としてそれぞれ 策 定 することを 要 求 し<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 地 震 動 評 価 の 内 容 について 審 査 した 結 果 、 本 申 請<br />
における 基 準 地 震 動 は、 各 種 の 不 確 かさを 考 慮 して、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を<br />
踏 まえ、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 、 地 盤 構 造 並 びに 地 震 活 動 性 等 の 地 震<br />
学 及 び 地 震 工 学 的 見 地 から 適 切 に 策 定 されていることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適<br />
合 していることを 確 認 した。<br />
1. 地 下 構 造 モデル<br />
(1) 解 放 基 盤 表 面 の 設 定<br />
解 釈 別 記 2は、 解 放 基 盤 表 面 について、 著 しい 高 低 差 がなく、ほぼ 水 平 で 相<br />
当 な 拡 がりを 持 って 想 定 される 自 由 表 面 であり、せん 断 波 速 度 ( 以 下 「S 波 速<br />
度 」という。)がおおむね 700m/s 以 上 の 硬 質 地 盤 であって、 著 しい 風 化 を 受 け<br />
ていないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 解 放 基 盤 表 面 の 設 定 に 関 する 評 価 について、 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 発 電 所 敷 地 内 で 実 施 した 地 質 調 査 及 び 試 掘 坑 内 弾 性 波 探 査 の 結 果 よ<br />
り、S 波 速 度 が 約 1.35km/s の 岩 盤 が 相 当 の 広 範 囲 にわたり 基 盤 を 構 成 し<br />
ていることを 確 認 した。 以 上 のことから、 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺<br />
建 屋 基 礎 底 盤 位 置 の 標 高 ( 以 下 「EL.」という。)-15.0m の 位 置 に 解 放 基 盤<br />
表 面 を 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 設 定 している 解 放 基 盤 表 面 は、 必 要 な 特 性 を 有 し、<br />
要 求 されるS 波 速 度 を 持 つ 硬 質 地 盤 の 表 面 に 設 定 されていることから、 解 釈 別<br />
記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
(2) 敷 地 地 盤 の 地 下 構 造 の 評 価<br />
解 釈 別 記 2は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 下 構 造 ( 深 部 ・ 浅 部 地 盤 構 造 )が 地 震<br />
波 の 伝 播 特 性 に 与 える 影 響 を 検 討 するため、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 地 層 の<br />
傾 斜 、 断 層 及 び 褶 曲 構 造 等 の 地 質 構 造 を 評 価 するとともに、 地 震 基 盤 の 位 置 及<br />
び 形 状 、 岩 相 ・ 岩 質 の 不 均 一 性 並 びに 地 震 波 速 度 構 造 等 の 地 下 構 造 及 び 地 盤 の<br />
減 衰 特 性 を 評 価 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 敷 地 地 盤 の 地 下 構 造 の 評 価 について、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における<br />
地 質 調 査 等 に 基 づき 以 下 のとおりとしている。<br />
1 地 質 調 査 の 結 果 、 敷 地 及 び 敷 地 近 傍 の 地 質 には 古 第 三 紀 漸 新 世 ~ 新 第 三<br />
さ せ ぼ<br />
紀 前 期 中 新 世 の 佐 世 保<br />
ひがしまつうら<br />
層 群 、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦<br />
玄 武 岩 類 並 びに 第<br />
11
四 紀 の 段 丘 堆 積 物 及 び 沖 積 層 等 が 分 布 する。 地 盤 は 古 第 三 紀 漸 新 世 ~ 新 第<br />
ひんがん<br />
三 紀 前 期 中 新 世 の 佐 世 保 層 群 を 基 盤 岩 とし、これに 岩 脈 ( 玢 岩 )が 貫 入 し、<br />
はち<br />
ノ<br />
の<br />
く<br />
ぼ<br />
これらを 新 第 三 紀 中 新 世 の 八 久 保 砂 礫 層 、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武<br />
岩 類 及 び 第 四 紀 の 堆 積 物 が 不 整 合 で 覆 う。<br />
2 本 発 電 所 敷 地 内 で 得 られた 地 震 観 測 記 録 (M3.1~M7.3)のうち、M5.0<br />
以 上 の 地 震 により 得 られた 地 震 観 測 記 録 の 応 答 スペクトルと Noda et al.<br />
(2002)による 標 準 的 な 応 答 スペクトルの 比 を、 到 来 方 向 別 に 算 定 し、 比<br />
較 検 討 した 結 果 、 特 異 な 増 幅 傾 向 はない。<br />
3 本 発 電 所 敷 地 内 で 得 られた 地 震 観 測 記 録 を、 地 震 波 の 到 来 方 向 別 に 比 較<br />
検 討 した 結 果 、 増 幅 特 性 が 異 なるような 傾 向 はない。<br />
4 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 地 盤 は 佐 世 保 層 群 を 基 盤 と<br />
し、その 速 度 層 は、PS 検 層 及 び 地 質 調 査 等 の 結 果 、 均 質 かつ 水 平 な 速 度 構<br />
造 を 示 していることから、 水 平 成 層 構 造 として 一 次 元 の 速 度 構 造 をモデル<br />
化 した。<br />
5 一 次 元 の 地 下 構 造 モデルは、 速 度 構 造 及 び 減 衰 構 造 については、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 基 礎 底 盤 位 置 の 解 放 基 盤 表 面 EL.-15m から<br />
EL.-200m までは 試 掘 坑 内 弾 性 波 探 査 結 果 及 びボーリング 孔 による PS 検 層<br />
結 果 等 を 参 考 に 設 定 した。また、EL.-200m から EL.-33,015m までは 地 震 調<br />
査 委 員 会 (2007)により、さらに、 深 部 については、 地 震 調 査 委 員 会 (2003)<br />
を 参 考 に 設 定 した。<br />
6 当 該 地 下 構 造 モデルから 理 論 的 に 求 まる 伝 達 関 数 が、 本 発 電 所 敷 地 内 で<br />
の 観 測 記 録 から 求 まる 伝 達 関 数 と 整 合 的 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 発 電 所 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 下 構 造 の 評 価 に 関 して、 申 請 者<br />
が 行 った 調 査 の 手 法 は、 地 質 ガイドを 踏 まえているとともに、 調 査 結 果 に 基 づき<br />
地 下 構 造 を 水 平 成 層 かつ 均 質 と 評 価 し、 一 次 元 地 下 構 造 モデルを 設 定 しており、<br />
当 該 地 下 構 造 モデルは 地 震 波 の 伝 播 特 性 に 与 える 影 響 を 評 価 するに 当 たって 適<br />
切 なものであることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
2. 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動<br />
解 釈 別 記 2は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」は、 内 陸 地 殻 内<br />
地 震 、プレート 間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 について、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与<br />
えると 予 想 される 地 震 ( 以 下 「 検 討 用 地 震 」という。)を 複 数 選 定 し、 選 定 した<br />
検 討 用 地 震 ごとに、 不 確 かさを 考 慮 して 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 及 び<br />
断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 を、 解 放 基 盤 表 面 までの 地 震 波 の 伝 播<br />
特 性 を 反 映 して 策 定 することを 要 求 している。<br />
12
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」<br />
の 評 価 については、 複 数 選 定 した 検 討 用 地 震 ごとに、 不 確 かさを 考 慮 して「 応 答<br />
スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評<br />
価 」を 適 切 な 手 法 で 行 っていることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること<br />
を 確 認 した。<br />
(1) 震 源 として 考 慮 する 活 断 層<br />
解 釈 別 記 2は、 内 陸 地 殻 内 地 震 に 関 し、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 の 評 価 に<br />
当 たっては、 調 査 地 域 の 地 形 及 び 地 質 条 件 に 応 じ、 既 存 文 献 の 調 査 、 変 動 地 形<br />
学 的 調 査 、 地 質 調 査 、 地 球 物 理 学 的 調 査 等 の 特 性 を 活 かし、これらを 適 切 に 組<br />
み 合 わせた 調 査 を 実 施 した 上 で、その 結 果 を 総 合 的 に 評 価 し 活 断 層 の 位 置 、 形<br />
状 、 活 動 性 等 を 明 らかにすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 調 査 内 容 、 調 査 結 果 及 びその 評 価 について、 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 敷 地 周 辺 の 地 質 及 び 地 質 構 造 を 把 握 するため、 陸 域 については、 文 献 調<br />
査 、 変 動 地 形 学 的 調 査 、 地 表 地 質 調 査 及 び 地 球 物 理 学 的 調 査 を 実 施 した。<br />
また、 海 域 については、 文 献 調 査 のほか、 海 上 音 波 探 査 及 び 他 機 関 によっ<br />
て 実 施 された 海 上 音 波 探 査 記 録 の 解 析 等 を 行 い、 地 質 ・ 地 質 構 造 の 検 討 を<br />
実 施 した。<br />
たけ こ ば<br />
いまふく<br />
じょうやまみなみ<br />
2 敷 地 周 辺 では、 調 査 結 果 に 基 づき、 竹 木 場 断 層 、 今 福 断 層 、 城 山 南 断<br />
くす く<br />
くにみ<br />
ま な ご あらたにとうげ<br />
ほこ の きやま<br />
層 、 楠 久 断 層 、 国 見 断 層 、 真 名 子 - 荒 谷 峠 断 層 、 鉾 ノ 木 山 リニアメント、<br />
け ご<br />
さ が<br />
ひなたとうげ おかさぎとうげ<br />
にしやま<br />
警 固 断 層 帯 、 佐 賀 平 野 北 縁 断 層 帯 、 日 向 峠 - 小 笠 木 峠 断 層 帯 、 西 山 断 層<br />
いとしま<br />
い<br />
き<br />
つしま<br />
帯 、 糸 島 半 島 沖 断 層 、F-h 断 層 、 壱 岐 北 東 部 断 層 群 、 対 馬 南 方 沖 断 層 、 対<br />
いづはら<br />
馬 南 西 沖 断 層 群 、 厳 原 東 方 沖 断 層 群 、 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 等 を 震 源 として<br />
考 慮 する 活 断 層 として 抽 出 し、 活 断 層 の 位 置 、 形 状 等 を 評 価 した。<br />
う<br />
く しま<br />
な ご や<br />
3 敷 地 近 傍 においては、 文 献 調 査 及 び 変 動 地 形 学 的 調 査 の 結 果 、 名 護 屋 断<br />
層 及 びそれに 対 応 するリニアメント 並 びに 名 護 屋 南 断 層 を 抽 出 した。これ<br />
らの 断 層 について 調 査 を 実 施 した 結 果 、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 は 認 め<br />
られないと 評 価 した。<br />
4 敷 地 においては、 文 献 調 査 、 変 動 地 形 学 的 調 査 、 地 表 地 質 調 査 、ボーリ<br />
ング 調 査 、 試 掘 坑 調 査 等 の 結 果 、 規 模 が 大 きく、 地 質 構 造 を 規 制 する 断 層<br />
は 認 められないものの、 小 規 模 な 断 層 が 認 められ、その 性 状 及 び 上 載 地 層<br />
の 年 代 に 着 目 した 手 法 による 検 討 結 果 から 少 なくとも 後 期 更 新 世 以 降 活<br />
動 していないと 考 えられ、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 は 認 められないと 評<br />
価 した。<br />
13
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 申 請 者 が 当 初 、 壱 岐 北 東 部 に 複 数 の 断<br />
層 が 分 布 するが、 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 ではないと 評 価 していたため、 断<br />
層 評 価 を 再 検 討 するよう 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 壱 岐 北 東 部 に 分 布 する 断 層 群 を 一 連 の 断 層 とし、<br />
震 源 として 考 慮 する 活 断 層 として 評 価 を 見 直 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 震 源 として 考 慮 する 活 断 層 の 評 価 は、 調 査<br />
地 域 の 地 形 ・ 地 質 条 件 に 応 じて 適 切 な 手 法 、 範 囲 及 び 密 度 で 調 査 を 実 施 した 上<br />
で、その 結 果 を 総 合 的 に 評 価 し、 活 断 層 の 位 置 、 形 状 、 活 動 性 等 を 明 らかにし<br />
ていることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
(2) 検 討 用 地 震 の 選 定<br />
解 釈 別 記 2は、 内 陸 地 殻 内 地 震 、プレート 間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 に<br />
ついて、 活 断 層 の 性 質 や 地 震 発 生 状 況 を 精 査 し、 中 ・ 小 ・ 微 小 地 震 の 分 布 、 応<br />
力 場 及 び 地 震 発 生 様 式 (プレートの 形 状 ・ 運 動 ・ 相 互 作 用 を 含 む。)に 関 する<br />
既 往 の 研 究 成 果 等 を 総 合 的 に 検 討 し、 検 討 用 地 震 を 複 数 選 定 することを 要 求 し<br />
ている。また、 震 源 モデルの 形 状 及 び 震 源 特 性 パラメータ 等 の 評 価 に 当 たって<br />
は、 孤 立 した 短 い 活 断 層 の 扱 いに 留 意 するとともに、 複 数 の 活 断 層 の 連 動 を 考<br />
慮 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 検 討 用 地 震 の 選 定 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
1 内 陸 地 殻 内 地 震<br />
内 陸 地 殻 内 地 震 については、 気 象 庁 震 度 階 級 関 連 解 説 表 の 記 載 によると、<br />
地 震 によって 建 物 等 に 被 害 が 発 生 するのは 震 度 5 弱 ( 1996 年 以 前 は 震 度 Ⅴ)<br />
程 度 以 上 であると 考 えられることを 踏 まえて、 過 去 の 地 震 及 び 活 断 層 によ<br />
る 地 震 を 評 価 し、 敷 地 に 影 響 を 及 ぼすものを 抽 出 した。<br />
このように 抽 出 した 敷 地 に 影 響 を 及 ぼす 地 震 について、Noda et al.<br />
(2002)の 方 法 により 求 めた 応 答 スペクトルの 比 較 を 行 った 結 果 、 竹 木 場<br />
断 層 による 地 震 及 び 城 山 南 断 層 による 地 震 を 検 討 用 地 震 として 選 定 した。<br />
2 プレート 間 地 震<br />
プレート 間 地 震 については、 過 去 の 地 震 から、 敷 地 における 揺 れは、 建<br />
物 等 に 被 害 が 発 生 するとされている 震 度 5 弱 (1996 年 以 前 は 震 度 V) 程 度<br />
以 上 とは 推 定 されず、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 える 地 震 ではないことから、<br />
検 討 用 地 震 を 選 定 しない。<br />
14
3 海 洋 プレート 内 地 震<br />
海 洋 プレート 内 地 震 については、 発 生 位 置 から 敷 地 までの 距 離 が 十 分 に<br />
離 れているため、 建 物 等 に 被 害 が 発 生 するとされている 震 度 5 弱 (1996 年<br />
以 前 は 震 度 V) 程 度 以 上 とは 推 定 されず、 敷 地 に 大 きな 影 響 を 与 える 地 震<br />
ではないことから、 検 討 用 地 震 を 選 定 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 申 請 者 が 当 初 、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇<br />
久 島 北 西 沖 断 層 群 の 同 時 活 動 を 考 慮 する 必 要 はないと 評 価 していたため、それ<br />
ぞれの 断 層 の 位 置 や 走 向 ・ 傾 斜 を 踏 まえ、 検 討 用 地 震 の 選 定 に 際 しては、これ<br />
らの 断 層 が 連 動 する 場 合 を 考 慮 して 評 価 することを 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、これらを 反 映 して 検 討 用 地 震 の 選 定 に 係 る 評 価 を<br />
示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 検 討 用 地 震 の 選 定 に 係 る 評 価 は、 活 断 層 の<br />
性 質 や 地 震 発 生 状 況 を 精 査 し、 既 往 の 研 究 成 果 等 を 総 合 的 に 検 討 することによ<br />
り 検 討 用 地 震 を 複 数 選 定 するとともに、 評 価 に 当 たっては 複 数 の 活 断 層 の 連 動<br />
も 考 慮 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
(3) 地 震 動 評 価<br />
解 釈 別 記 2は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」について、 検<br />
討 用 地 震 ごとに、 敷 地 における 地 震 観 測 記 録 を 踏 まえて、 地 震 発 生 様 式 及 び 地<br />
震 波 の 伝 播 経 路 等 に 応 じた 諸 特 性 を 十 分 に 考 慮 して、「 応 答 スペクトルに 基 づ<br />
く 地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」を 実 施 して<br />
策 定 することを 要 求 している。また、 基 準 地 震 動 の 策 定 過 程 に 伴 う 各 種 の 不 確<br />
かさについては、 敷 地 における 地 震 動 評 価 に 大 きな 影 響 を 与 えると 考 えられる<br />
支 配 的 なパラメータについて 分 析 した 上 で、 必 要 に 応 じて 不 確 かさを 組 み 合 わ<br />
せるなど 適 切 な 手 法 を 用 いて 考 慮 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 検 討 用 地 震 として 選 定 した 竹 木 場 断 層 による 地 震 及 び 城 山 南 断 層<br />
による 地 震 について、 震 源 モデル 及 び 震 源 特 性 パラメータの 設 定 並 びに 地 震 動<br />
評 価 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 竹 木 場 断 層 による 地 震<br />
a. 基 本 ケースは、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)を 踏 まえ、 本 発 電 所 敷 地 内<br />
で 得 られた 2005 年 福 岡 県 西 方 沖 地 震 の 地 震 観 測 記 録 を 用 いて 検 討 し、<br />
「 震 源 断 層 を 特 定 した 地 震 の 強 震 動 予 測 手 法 (「レシピ」)」( 以 下 「レ<br />
シピ」という。)(2009) 及 びレシピ(2016)に 基 づき、 震 源 モデル 及<br />
び 震 源 特 性 パラメータを 設 定 した。<br />
15
. 基 本 ケースにおける 主 なパラメータとして、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)、<br />
本 発 電 所 敷 地 周 辺 の 速 度 構 造 及 び 微 小 地 震 の 発 生 状 況 から、 断 層 上 端<br />
深 さを 3km、 断 層 下 端 深 さを 20km と 設 定 した。また、 断 層 長 さにつ<br />
いては、 地 質 調 査 の 結 果 4.9km と 評 価 したが、「 孤 立 した 短 い 活 断 層 」<br />
として、 断 層 長 さを 断 層 幅 と 同 様 に 17.3km、 傾 斜 角 については、 断<br />
層 露 頭 の 観 察 結 果 及 び 国 内 で 発 生 した 横 ずれ 断 層 タイプの 地 震 の 震<br />
源 メカニズム 解 による 検 討 結 果 に 基 づき、 傾 斜 角 80°の 右 横 ずれ 断<br />
層 と 設 定 した。アスペリティ 位 置 は、 地 質 調 査 結 果 で 得 られた 地 表 ト<br />
レースの 範 囲 内 で 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 の 断 層 上 端 に 配 置 し、 破 壊 開 始<br />
点 は 破 壊 の 進 行 方 向 が 敷 地 に 向 かう 方 向 となるように、 断 層 面 南 下 端<br />
に 設 定 した。<br />
c. 設 定 した 基 本 ケースに 対 して、 地 震 動 評 価 に 影 響 が 大 きいと 考 えら<br />
れるパラメータの 不 確 かさを 考 慮 したケースとして、 応 力 降 下 量 を 基<br />
本 震 源 モデルの 1.5 倍 としたケース、 傾 斜 角 を 60°としたケース、<br />
断 層 長 さ 及 び 震 源 断 層 の 広 がりを 考 慮 して 断 層 長 さを 20km としたケ<br />
ースについても 設 定 した。また、 不 確 かさを 考 慮 したケースのすべて<br />
において、アスペリティを 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 となるように 配 置 し、<br />
破 壊 開 始 点 は 断 層 面 下 端 及 びアスペリティ 下 端 に 複 数 設 定 した。<br />
d. 「 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」は、 岩 盤 における 観 測 記 録<br />
に 基 づいて 提 案 された 距 離 減 衰 式 で、 解 放 基 盤 表 面 における 水 平 方 向<br />
及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 の 応 答 スペクトルを 評 価 することができる<br />
Noda et al.(2002)の 方 法 を 用 いた。 地 震 動 評 価 に 当 たって 使 用 す<br />
るマグニチュードは、 断 層 長 さから 松 田 (1975)により 求 めた。なお、<br />
内 陸 地 殻 内 地 震 の 補 正 係 数 は 適 用 しないものとした。<br />
e. 「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」は、 福 岡 県 西 方 沖 地<br />
震 の 余 震 (2005 年 3 月 22 日 、M5.4)の 本 発 電 所 敷 地 内 での 地 震 観 測<br />
記 録 を 要 素 地 震 として 適 切 なものと 評 価 した 上 で、 短 周 期 領 域 は 経 験<br />
的 グリーン 関 数 法 を、 長 周 期 領 域 は 離 散 化 波 数 法 を 用 いて 評 価 し、そ<br />
れらを 組 み 合 わせることにより 評 価 するハイブリッド 合 成 法 により<br />
評 価 した。<br />
f. 震 源 特 性 パラメータのうち、 地 震 モーメントは 入 倉 ・ 三 宅 (2001)<br />
により 断 層 面 積 から、 平 均 応 力 降 下 量 は 円 形 クラックの 式 により、ア<br />
スペリティの 面 積 は 短 周 期 レベルを 介 し、アスペリティの 応 力 降 下 量<br />
は、 平 均 応 力 降 下 量 及 びアスペリティ 面 積 比 から 設 定 した。<br />
2 城 山 南 断 層 による 地 震<br />
16
a. 基 本 ケースは、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)を 踏 まえ、 本 発 電 所 敷 地 内<br />
で 得 られた 2005 年 福 岡 県 西 方 沖 地 震 の 地 震 観 測 記 録 を 用 いて 検 討 し、<br />
レシピ(2009) 及 びレシピ(2016)に 基 づき、 震 源 モデル 及 び 震 源 特<br />
性 パラメータを 設 定 した。<br />
b. 基 本 ケースにおける 主 なパラメータとして、 地 震 調 査 委 員 会 (2007)<br />
並 びに 本 発 電 所 敷 地 周 辺 の 速 度 構 造 及 び 微 小 地 震 の 発 生 状 況 から、 断<br />
層 上 端 深 さを 3km、 断 層 下 端 深 さを 20km と 設 定 した。また、 断 層 長 さ<br />
については、 地 質 調 査 結 果 に 基 づき 19.5km、 傾 斜 角 については、 地 質<br />
調 査 結 果 及 び 原 子 力 安 全 基 盤 機 構 (2005)に 基 づき 傾 斜 角 90°の 左 横<br />
ずれ 断 層 と 設 定 した。アスペリティ 位 置 は、 地 質 調 査 結 果 で 得 られた<br />
地 表 トレースの 範 囲 内 で 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 の 断 層 上 端 に 配 置 し、 破<br />
壊 開 始 点 は 破 壊 の 進 行 方 向 が 敷 地 に 向 かう 方 向 となるように、 断 層 面<br />
東 下 端 に 設 定 した。<br />
c. 設 定 した 基 本 ケースに 対 して、 地 震 動 評 価 に 影 響 が 大 きいと 考 えら<br />
れるパラメータの 不 確 かさを 考 慮 したケースとして、 応 力 降 下 量 を 基<br />
本 震 源 モデルの 1.5 倍 としたケース、 傾 斜 角 を 60°としたケース、 断<br />
層 長 さ 及 び 震 源 断 層 の 広 がりを 考 慮 して 断 層 長 さを 20km としたケー<br />
スについても 設 定 した。また、 不 確 かさを 考 慮 したケースのすべてに<br />
おいて、アスペリティを 敷 地 に 最 も 近 い 位 置 となるように 配 置 し、 破<br />
壊 開 始 点 は 断 層 面 下 端 及 びアスペリティ 下 端 に 複 数 設 定 した。<br />
d. 「 応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 」は、 竹 木 場 断 層 による 地 震<br />
と 同 様 、Noda et al.(2002)の 方 法 を 用 いた。 地 震 動 評 価 に 当 たって<br />
使 用 するマグニチュードは、 断 層 長 さから 松 田 (1975)により 求 めた。<br />
なお、 内 陸 地 殻 内 地 震 の 補 正 係 数 は 適 用 しないものとした。<br />
e. 「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」は、 福 岡 県 西 方 沖 地<br />
震 の 余 震 (2005 年 3 月 22 日 、M5.4)の 本 発 電 所 敷 地 内 での 地 震 観 測<br />
記 録 を 要 素 地 震 として 適 切 なものと 評 価 した 上 で、 短 周 期 領 域 は 経 験<br />
的 グリーン 関 数 法 を、 長 周 期 領 域 は 離 散 化 波 数 法 を 用 いて 評 価 し、そ<br />
れらを 組 み 合 わせることにより 評 価 するハイブリッド 合 成 法 により 評<br />
価 した。<br />
f. 震 源 特 性 パラメータのうち、 地 震 モーメントは 入 倉 ・ 三 宅 (2001)<br />
により 断 層 面 積 から、 平 均 応 力 降 下 量 は 円 形 クラックの 式 により、ア<br />
スペリティの 面 積 は 短 周 期 レベルを 介 し、アスペリティの 応 力 降 下 量<br />
は、 平 均 応 力 降 下 量 及 びアスペリティ 面 積 比 から 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 竹 木 場 断 層 の 震 源 特 性 パラメータのう<br />
17
ち 基 本 ケースの 傾 斜 角 については、 申 請 者 が 当 初 、90°に 設 定 していたため、<br />
地 質 調 査 結 果 を 考 慮 して 検 討 するよう 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 断 層 露 頭 での 傾 斜 角 の 傾 向 や 近 年 、 日 本 で 発 生 し<br />
た 大 規 模 な 地 震 のうち 横 ずれタイプの 地 震 の 震 源 メカニズム 解 を 踏 まえ、 基 本<br />
ケースの 傾 斜 角 を 西 傾 斜 80°に 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震<br />
動 」の 評 価 については、 検 討 用 地 震 ごとに、 不 確 かさを 考 慮 して「 応 答 スペク<br />
トルに 基 づく 地 震 動 評 価 」 及 び「 断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 」<br />
に 基 づき 策 定 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認<br />
した。<br />
3. 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
解 釈 別 記 2は、「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 震 源 と 活 断 層 を<br />
関 連 づけることが 困 難 な 過 去 の 内 陸 地 殻 内 の 地 震 について 得 られた 震 源 近 傍 に<br />
おける 観 測 記 録 を 収 集 し、これらを 基 に、 各 種 の 不 確 かさを 考 慮 して 敷 地 の 地 盤<br />
物 性 に 応 じた 応 答 スペクトルを 設 定 して 策 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 ガイドに 例 示 された 収 集 対 象 となる 内 陸 地 殻 内 地 震 の 評 価 につ<br />
いて、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 地 震 規 模 がモーメントマグニチュード( 以 下 「Mw」という。)6.5 以 上 の 地<br />
震 については、2008 年 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震 と 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 を 検 討<br />
対 象 とした。<br />
(2)2008 年 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震 については、 震 源 域 周 辺 は、ひずみ 集 中 帯 に 位<br />
置 しており、 逆 断 層 を 主 体 とする 地 域 である。また、 震 源 域 周 辺 には 新 第 三<br />
紀 以 降 の 火 山 岩 類 及 び 堆 積 岩 類 が 厚 く 複 雑 に 堆 積 し、 顕 著 な 褶 曲 ・ 撓 曲 構 造<br />
が 発 達 している。 一 方 、 本 発 電 所 敷 地 周 辺 は、 概 ね 東 西 方 向 の 圧 縮 場 におけ<br />
る 横 ずれ 断 層 を 主 体 とする 地 域 である。また、 古 生 代 の 変 成 岩 類 、 中 生 代 白<br />
亜 紀 の 花 崗 岩 類 、 古 第 三 紀 ~ 新 第 三 紀 の 堆 積 岩 類 が 分 布 し、これらを 新 第 三<br />
紀 鮮 新 世 の 玄 武 岩 類 が 不 整 合 関 係 で 覆 っており、 顕 著 な 褶 曲 ・ 撓 曲 構 造 は 認<br />
められない。したがって、2008 年 岩 手 ・ 宮 城 内 陸 地 震 の 震 源 域 は、 本 発 電 所<br />
周 辺 地 域 とは 地 質 学 的 ・ 地 震 学 的 背 景 が 異 なるとして、 観 測 記 録 収 集 対 象 外<br />
とした。<br />
(3)2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 については、 震 源 域 周 辺 と 本 発 電 所 周 辺 地 域 につい<br />
ては、 地 形 ・ 地 質 構 造 による 活 断 層 像 や 地 震 活 動 と 地 殻 構 造 の 観 点 から、 両<br />
地 域 の 地 質 学 的 ・ 地 震 学 的 背 景 に 差 はあるものの、 一 方 で、 両 地 域 について<br />
は、 顕 著 な 活 断 層 が 分 布 しないこと、 横 ずれ 断 層 を 主 体 とすること、 相 対 的<br />
18
にひずみ 速 度 が 小 さいこと 等 、 明 確 な 差 異 が 認 められないことから、 観 測 記<br />
録 を 収 集 し、その 地 震 動 レベル 及 び 地 盤 特 性 を 評 価 し、 震 源 近 傍 に 位 置 する<br />
か しょう<br />
賀 祥 ダムの 観 測 記 録 を、 地 盤 補 正 を 行 わずにそのまま「 震 源 を 特 定 せず 策<br />
定 する 地 震 動 」として 採 用 した。<br />
(4)また、Mw6.5 未 満 の 地 震 については、 収 集 した 観 測 記 録 を、 加 藤 ほか(2004)<br />
の 地 震 動 レベルと 対 比 させ、その 結 果 から 敷 地 に 及 ぼす 影 響 が 大 きいものと<br />
るもい<br />
して、5 地 震 (2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 、2011 年 和 歌 山 県 北 部 地 震 、<br />
2011 年 茨 城 県 北 部 地 震 、2011 年 長 野 県 北 部 地 震 、2013 年 栃 木 県 北 部 地 震 )<br />
を 抽 出 した。このうち、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 については、 佐 藤 ほ<br />
か(2013)でボーリング 調 査 等 による 精 度 の 高 い 地 盤 情 報 を 基 に 基 盤 地 震 動<br />
が 推 定 されており、これに 不 確 かさを 考 慮 した 地 震 動 を、「 震 源 を 特 定 せず<br />
策 定 する 地 震 動 」として 採 用 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 の 評 価 で<br />
収 集 対 象 となる 内 陸 地 殻 内 の 地 震 の 例 として 地 震 ガイドに 示 している 16 地 震 に<br />
ついて 観 測 記 録 等 を 収 集 していなかったことから、これらすべての 地 震 について<br />
観 測 記 録 等 の 分 析 ・ 評 価 を 実 施 することを 求 めた。このうち 2000 年 鳥 取 県 西 部<br />
地 震 については、 鳥 取 県 西 部 地 震 震 源 域 と 本 発 電 所 周 辺 地 域 との 間 に 地 質 学 的 背<br />
景 に 大 きな 地 域 差 が 認 められないことを 指 摘 した。また、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁<br />
南 部 地 震 については、その 地 震 観 測 記 録 について、 既 往 の 知 見 である 微 動 探 査 等<br />
に 基 づく 地 盤 モデルによるはぎとり 解 析 のみならず、 適 切 な 地 質 調 査 データに 基<br />
づく 地 盤 モデルによるはぎとり 解 析 等 を 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 の 観 測 記 録 を 収 集 し、その 地<br />
震 動 レベル 及 び 地 盤 特 性 を 評 価 し、 震 源 近 傍 の 観 測 記 録 を「 震 源 を 特 定 せず 策 定<br />
する 地 震 動 」として 採 用 した。また、2004 年 北 海 道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 については、<br />
佐 藤 ほか(2013)で 推 定 された 基 盤 地 震 動 に 不 確 かさを 考 慮 した 地 震 動 を、「 震<br />
源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」として 採 用 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」の 評 価 に<br />
ついては、 過 去 の 内 陸 地 殻 内 の 地 震 について 得 られた 震 源 近 傍 における 観 測 記 録<br />
を 精 査 し、 各 種 の 不 確 かさ 及 び 敷 地 の 地 盤 物 性 を 考 慮 して 策 定 していることから、<br />
解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
4. 基 準 地 震 動 の 策 定<br />
解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」<br />
及 び「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」について、 解 放 基 盤 表 面 における 水 平 方<br />
19
向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 としてそれぞれ 策 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 施 設 の 耐 震 設 計 に 用 いる 基 準 地 震 動 について、 敷 地 の 解 放 基 盤 表 面<br />
における 水 平 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 として 基 準 地 震 動 Ss-1 から Ss-5 を 以 下<br />
のとおり 策 定 している。<br />
(1) 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動<br />
1 基 準 地 震 動 Ss-1( 最 大 加 速 度 : 水 平 方 向 540cm/s 2 、 鉛 直 方 向 360cm/s 2 )<br />
応 答 スペクトルに 基 づく 地 震 動 評 価 結 果 を 包 絡 するように 設 定 した 地<br />
震 動<br />
2 基 準 地 震 動 Ss-2 及 び Ss-3( 最 大 加 速 度 : 水 平 方 向 524cm/s 2 、 鉛 直 方 向<br />
372cm/s 2 )<br />
断 層 モデルを 用 いた 手 法 による 地 震 動 評 価 結 果 のうち 一 部 の 周 期 帯 で<br />
基 準 地 震 動 Ss-1 の 応 答 スペクトルを 上 回 る 2 ケースの 地 震 動<br />
(2) 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
1 基 準 地 震 動 Ss-4 及 び Ss-5( 最 大 加 速 度 : 水 平 方 向 620cm/s 2 、 鉛 直 方 向<br />
485cm/s 2 )<br />
一 部 の 周 期 帯 で 基 準 地 震 動 Ss-1 の 応 答 スペクトルを 上 回 る 2004 年 北 海<br />
道 留 萌 支 庁 南 部 地 震 を 考 慮 した 地 震 動 及 び 2000 年 鳥 取 県 西 部 地 震 におけ<br />
る 賀 祥 ダムの 観 測 記 録 による 地 震 動<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」 及 び<br />
「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」に 関 し、 敷 地 の 解 放 基 盤 表 面 における 水 平 方<br />
向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 動 として 基 準 地 震 動 を 策 定 していることから、 解 釈 別 記 2<br />
の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、「 敷 地 ごとに 震 源 を 特 定 して 策 定 する 地 震 動 」Ss-1 から Ss-3<br />
の 年 超 過 確 率 は 10 -4 ~10 -6 程 度 、「 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動 」Ss-4 及 び Ss-5<br />
の 年 超 過 確 率 は 10 -4 ~10 -6 程 度 としている。<br />
Ⅲ-1.2 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 施 設 の 周 辺 斜 面 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作<br />
用 させた 安 定 解 析 を 行 い、 崩 壊 のおそれがないことを 確 認 するとともに、 崩 壊 のお<br />
それがある 場 合 には、 崩 壊 によって 耐 震 重 要 施 設 に 影 響 を 及 ぼすことがないように<br />
することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 耐 震 重 要 施 設 の 周 辺 斜 面 の 評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
20
1. 安 定 性 評 価 の 対 象 となる 斜 面 は、 耐 震 重 要 施 設 に 対 する 周 辺 斜 面 の 離 隔 距 離<br />
及 び 斜 面 高 さを 考 慮 して 検 討 した 結 果 、 対 象 施 設 と 十 分 な 離 隔 距 離 を 有 してい<br />
ることから、 存 在 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 耐 震 重 要 施 設 の 周 辺 斜 面 について、 申 請 者 が 安 定 性 評 価 の 対 象 と<br />
なる 斜 面 は 存 在 しないことを 確 認 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 して<br />
いること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-1.3 耐 震 設 計 方 針<br />
1. 耐 震 重 要 度 分 類 の 方 針<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 度 に 応 じて、Sクラス、Bクラス、Cクラスに 設 計 基<br />
準 対 象 施 設 を 分 類 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 耐 震 重 要 度 分 類 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
(1) 施 設 の 分 類<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 については、 耐 震 重 要 度 に 応 じて、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 す<br />
る 施 設 及 び 地 震 に 伴 って 発 生 するおそれがある 津 波 による 安 全 機 能 の 喪 失 を<br />
防 止 するために 必 要 となる 施 設 をSクラス、これと 比 べて 安 全 機 能 を 喪 失 した<br />
場 合 の 影 響 の 小 さいものをBクラス、これら 以 外 の 一 般 産 業 施 設 、 公 共 施 設 と<br />
同 等 の 安 全 性 が 要 求 される 施 設 をCクラスに 分 類 する。<br />
(2) 設 備 の 区 分<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 を 構 成 する 設 備 については、その 施 設 に 要 求 される 安 全 機<br />
能 の 役 割 に 応 じて、 主 要 設 備 、 補 助 設 備 、 直 接 支 持 構 造 物 、 間 接 支 持 構 造 物 及<br />
び 波 及 的 影 響 を 評 価 すべき 施 設 に 区 分 する。<br />
(3) 検 討 用 地 震 動 の 設 定<br />
間 接 支 持 構 造 物 及 び 波 及 的 影 響 を 評 価 すべき 施 設 については、それぞれに 関<br />
連 する 主 要 設 備 、 補 助 設 備 及 び 直 接 支 持 構 造 物 の 耐 震 設 計 に 適 用 する 地 震 力 を<br />
踏 まえ、 検 討 用 地 震 動 ( 当 該 施 設 を 支 持 する 構 造 物 の 支 持 機 能 が 維 持 されるこ<br />
とを 確 認 する 地 震 動 及 び 当 該 施 設 に 波 及 的 影 響 を 及 ぼさないことを 確 認 する<br />
地 震 動 )を 設 定 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 耐 震 重 要 度 分 類 の 適 用 について、 地 震 に 伴 って 発 生<br />
するおそれがある 津 波 による 安 全 機 能 の 喪 失 を 防 止 するために 必 要 となる 施 設<br />
21
を 含 む 設 計 基 準 対 象 施 設 を、 耐 震 重 要 度 に 応 じて、Sクラス、Bクラス、Cクラ<br />
スに 分 類 する 方 針 としていること、さらに、 分 類 した 施 設 を、 安 全 機 能 の 役 割 に<br />
応 じた 設 備 に 区 分 する 方 針 とし、 安 全 機 能 に 間 接 的 な 役 割 を 担 う 設 備 については、<br />
それに 関 連 する 設 備 に 適 用 する 地 震 力 を 踏 まえ 検 討 用 地 震 動 を 設 定 する 方 針 と<br />
していることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地<br />
震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 弾 性 設 計 用 地 震 動 の 設 定 方 針<br />
解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの 比 率 が 目 安 として 0.5 を 下 回<br />
らないような 値 で、 工 学 的 判 断 に 基 づいて、 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 設 定 することを<br />
要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
(1) 地 震 動 設 定 の 条 件<br />
基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの 比 率 については、 工 学 的 判 断 として 以 下 を<br />
考 慮 し 0.6 と 設 定 する。<br />
1 基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの 比 率 は、 弾 性 限 界 と 安 全 機 能 限 界 に 対<br />
する 入 力 荷 重 の 比 率 に 対 応 し、その 値 は 0.5 程 度 である。<br />
2 弾 性 設 計 用 地 震 動 は、「 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 関 する 耐 震 設 計 審 査 指 針 」<br />
( 昭 和 56 年 7 月 20 日 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 、 平 成 13 年 3 月 29 日 一 部 改<br />
訂 )における 基 準 地 震 動 S 1 が 耐 震 設 計 上 果 たしてきた 役 割 を 一 部 担 うもの<br />
であることを 踏 まえ、その 応 答 スペクトルは、 基 準 地 震 動 S 1 の 応 答 スペク<br />
トルをおおむね 下 回 らないようにする。<br />
(2) 弾 性 設 計 用 地 震 動<br />
前 項 の 条 件 で 設 定 する 弾 性 設 計 用 地 震 動 は、 最 大 加 速 度 が Sd-1 については<br />
水 平 方 向 324cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向 216cm/s 2 、Sd-2 については 水 平 方 向 161cm/s 2<br />
及 び 鉛 直 方 向 103cm/s 2 、Sd-3 については 水 平 方 向 314cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向<br />
223cm/s 2 、Sd-4 については 水 平 方 向 372cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向 192cm/s 2 、Sd-5 に<br />
ついては 水 平 方 向 319 cm/s 2 及 び 鉛 直 方 向 291cm/s 2 である。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 弾 性 限 界 と 安 全 機 能 限 界 に 対 する 入 力 荷 重 の 比 率 を<br />
考 慮 すること 及 び 基 準 地 震 動 S 1 の 応 答 スペクトルをおおむね 下 回 らないように<br />
考 慮 すること、これらの 工 学 的 判 断 に 基 づき、 基 準 地 震 動 との 応 答 スペクトルの<br />
比 率 を 0.6 として 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 適 切 に 設 定 する 方 針 としており、この 方 針<br />
が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを<br />
22
確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、 弾 性 設 計 用 地 震 動 の 年 超 過 確 率 は 10 -3 ~10 -5 程 度 としている。<br />
3. 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 及 び 静 的 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
(1) 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力<br />
解 釈 別 記 2は、 基 準 地 震 動 又 は 弾 性 設 計 用 地 震 動 を 用 いて、 水 平 2 方 向 及 び<br />
鉛 直 方 向 について 適 切 に 組 み 合 わせたものとして、 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力<br />
を 算 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 を 算 定 する 方 針 として<br />
いる。<br />
1 Sクラスの 施 設 の 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
基 準 地 震 動 及 び 弾 性 設 計 用 地 震 動 から 定 まる 入 力 地 震 動 を 用 いて、 建<br />
物 ・ 構 築 物 の 三 次 元 応 答 性 状 及 び 機 器 ・ 配 管 系 への 影 響 を 考 慮 し、 水 平 2<br />
方 向 及 び 鉛 直 方 向 について 適 切 に 組 み 合 わせ、 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力<br />
を 算 定 する。なお、 地 震 応 答 解 析 には、 建 物 ・ 構 築 物 と 地 盤 との 相 互 作 用 、<br />
地 盤 等 の 非 線 形 性 を 考 慮 する。<br />
2 Bクラスの 施 設 の 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
Bクラスの 施 設 のうち 共 振 のおそれのある 施 設 の 影 響 検 討 に 当 たって<br />
は、 弾 性 設 計 用 地 震 動 に 2 分 の 1 を 乗 じたものから 定 まる 入 力 地 震 動 ( 以<br />
下 「 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震 動 」という。)を 用 いることとし、 加 えてSク<br />
ラスと 同 様 に、 水 平 2 方 向 及 び 鉛 直 方 向 について 適 切 に 組 み 合 わせ、 地 震<br />
力 を 算 定 する。<br />
3 入 力 地 震 動 の 設 定 方 針<br />
建 物 ・ 構 築 物 の 地 震 応 答 解 析 における 入 力 地 震 動 については、 対 象 建<br />
物 ・ 構 築 物 の 地 盤 条 件 を 考 慮 し、 必 要 に 応 じて 二 次 元 有 限 要 素 法 又 は 一 次<br />
元 波 動 理 論 を 用 いて 設 定 する。この 際 、 地 盤 条 件 については、 敷 地 全 体 の<br />
地 下 構 造 との 関 係 に 留 意 し、 地 盤 の 非 線 形 応 答 に 関 する 動 的 変 形 特 性 を 考<br />
慮 する。<br />
また、 必 要 に 応 じて 敷 地 における 観 測 記 録 による 検 証 や 最 新 の 科 学 的 ・<br />
技 術 的 知 見 を 踏 まえる。<br />
4 地 震 応 答 解 析 方 法<br />
23
対 象 施 設 の 形 状 、 構 造 特 性 、 振 動 特 性 等 を 踏 まえ、 解 析 手 法 の 適 用 性 、<br />
適 用 限 界 等 を 考 慮 のうえ、 地 震 応 答 解 析 方 法 を 選 定 するとともに、 十 分 な<br />
調 査 に 基 づく 解 析 条 件 を 設 定 する。また、 対 象 とする 施 設 の 形 状 、 構 造 特<br />
性 等 を 踏 まえたモデル 化 を 行 う。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 施 設 、 地 盤 等 の 構 造 特 性 、 振 動 等 の 施 設 の 応 答 特<br />
性 、 施 設 と 地 盤 との 相 互 作 用 及 び 地 盤 の 非 線 形 性 を 適 切 に 考 慮 し、 水 平 2 方 向<br />
及 び 鉛 直 方 向 を 適 切 に 組 み 合 わせたものとして 地 震 応 答 解 析 による 地 震 力 を<br />
算 定 する 方 針 としていることから、この 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(2) 静 的 地 震 力<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 度 分 類 に 応 じて 水 平 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 静 的 地 震 力<br />
を 算 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 静 的 地 震 力 を 算 定 する 方 針 としている。<br />
1 建 物 ・ 構 築 物 の 水 平 地 震 力<br />
水 平 地 震 力 については、 地 震 層 せん 断 力 係 数 に、 施 設 の 重 要 度 分 類 に 応<br />
じた 係 数 (Sクラスは 3.0、Bクラスは 1.5 及 びCクラスは 1.0)を 乗 じ、<br />
さらに 当 該 層 以 上 の 重 量 を 乗 じて 算 定 する。<br />
ここで、 地 震 層 せん 断 力 係 数 は、 標 準 せん 断 力 係 数 を 0.2 以 上 とし、 建<br />
物 ・ 構 築 物 の 振 動 特 性 、 地 盤 の 種 類 等 を 考 慮 して 求 められる 値 とする。<br />
2 建 物 ・ 構 築 物 の 保 有 水 平 耐 力<br />
保 有 水 平 耐 力 については、 必 要 保 有 水 平 耐 力 を 上 回 るものとし、 必 要 保<br />
有 水 平 耐 力 については、 地 震 層 せん 断 力 係 数 に 乗 じる 係 数 を 1.0、 標 準 せ<br />
ん 断 力 係 数 を 1.0 以 上 として 算 定 する。<br />
3 建 物 ・ 構 築 物 の 鉛 直 地 震 力<br />
鉛 直 地 震 力 については、 震 度 0.3 以 上 を 基 準 とし、 建 物 ・ 構 築 物 の 振 動<br />
特 性 及 び 地 盤 の 種 類 等 を 考 慮 し、 高 さ 方 向 に 一 定 として 求 めた 鉛 直 震 度 よ<br />
り 算 定 する。<br />
4 機 器 ・ 配 管 系 の 地 震 力<br />
機 器 ・ 配 管 系 の 地 震 力 については、 建 物 ・ 構 築 物 で 算 定 した 地 震 層 せん<br />
断 力 係 数 に 施 設 の 耐 震 クラスに 応 じた 係 数 を 乗 じたものを 水 平 震 度 と 見<br />
なし、その 水 平 震 度 と 建 物 ・ 構 築 物 の 鉛 直 震 度 をそれぞれ 20% 増 しとして<br />
24
算 定 する。<br />
5 水 平 地 震 力 と 鉛 直 地 震 力 の 組 合 せ<br />
Sクラスの 施 設 については、 水 平 地 震 力 と 鉛 直 地 震 力 が 同 時 に 不 利 な 方<br />
向 の 組 合 せで 作 用 するものとする。<br />
6 標 準 せん 断 力 係 数 等 の 割 増 し 係 数<br />
標 準 せん 断 力 係 数 等 の 割 増 し 係 数 については、 耐 震 性 向 上 の 観 点 から、<br />
一 般 産 業 施 設 及 び 公 共 施 設 等 の 耐 震 基 準 との 関 係 を 考 慮 して 設 定 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 施 設 の 振 動 特 性 等 を 考 慮 し、 算 定 に 用 いる 係 数 等<br />
の 割 増 しをして 求 めた 水 平 震 度 及 び 鉛 直 震 度 より 静 的 地 震 力 を 算 定 する 方 針<br />
としていることから、この 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地<br />
震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
4. 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 設 定 方 針<br />
(1) 建 物 ・ 構 築 物<br />
解 釈 別 記 2は、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうちの 建 物 ・ 構 築 物 についての 荷 重 の 組<br />
合 せと 許 容 限 界 の 考 え 方 に 対 し、 以 下 を 満 たすことを 要 求 している。<br />
1 Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用 している 荷 重 及 び 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合 せに 対 して、 構 造 物 全<br />
体 としての 変 形 能 力 について 十 分 な 余 裕 を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 し 妥 当 な 安<br />
全 余 裕 を 有 していること。<br />
2 Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用<br />
している 荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 と、 弾 性 設 計 用 地 震 動 (Bクラス<br />
は 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震 動 、Cクラスは 考 慮 せず。)による 地 震 力 又 は 静<br />
的 地 震 力 を 組 み 合 わせ、その 結 果 発 生 する 応 力 に 対 して、 建 築 基 準 法 等 の<br />
安 全 上 適 切 と 認 められる 規 格 及 び 基 準 による 許 容 応 力 度 を 許 容 限 界 とす<br />
ること。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 建 物 ・ 構 築 物 の 荷 重 の 組 合 せ 及 び 許 容 限 界 を 設 定<br />
する 方 針 としている。<br />
1 荷 重 の 組 合 せ<br />
Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 、 弾 性 設 計<br />
用 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 常 時 作 用 し<br />
ている 荷 重 ( 固 定 荷 重 、 積 載 荷 重 、 土 圧 、 水 圧 及 び 通 常 の 気 象 条 件 による<br />
25
荷 重 )、 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 ( 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 及 び 運 転 時 の<br />
異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 )、 事 故 時 に 生 じる 荷 重 ( 事 故 が 発 生 し 長<br />
時 間 継 続 する 事 象 による 荷 重 ) 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )と<br />
する。Bクラス 及 びCクラスの 建 物 ・ 構 築 物 について、 共 振 影 響 検 討 用 の<br />
地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 常 時 作 用 して<br />
いる 荷 重 、 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )<br />
とする。なお、 運 転 時 及 び 事 故 時 の 荷 重 には、 機 器 ・ 配 管 系 から 作 用 する<br />
荷 重 が 含 まれるものとし、 地 震 力 には、 地 震 時 土 圧 、 機 器 ・ 配 管 系 からの<br />
反 力 、スロッシング 等 による 荷 重 が 含 まれるものとする。<br />
2 許 容 限 界<br />
Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合<br />
せにおいて、 構 造 物 全 体 としての 変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )が 十 分 な<br />
余 裕 を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 し 妥 当 な 安 全 余 裕 を 有 することとする。なお、<br />
終 局 耐 力 は、 建 物 ・ 構 築 物 に 対 する 荷 重 又 は 応 力 が 漸 次 増 大 し、その 変 形<br />
又 はひずみが 著 しく 増 加 するに 至 る 限 界 の 最 大 耐 力 とし、 既 往 の 実 験 式 等<br />
に 基 づき 定 めるものとする。Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 建 物 ・ 構<br />
築 物 については、 基 準 地 震 動 以 外 の 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と<br />
の 組 合 せにおいて、 建 築 基 準 法 等 の 安 全 上 適 切 と 認 められる 規 格 及 び 基 準<br />
による 許 容 応 力 度 を 許 容 限 界 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 荷 重 の 組 合 せについて、 耐 震 重 要 度 分 類 に 応 じて<br />
常 時 作 用 している 荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 を 地 震 力 と 適 切 に 組 み 合 わ<br />
せる 方 針 としており、 荷 重 の 組 合 せに 対 する 許 容 限 界 については、 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、 構 造 物 全 体 としての 変 形 能 力 に 十 分 な 余 裕<br />
を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 して 妥 当 な 安 全 余 裕 を 有 するようにする、また、その 他<br />
の 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、 安 全 上 適 切 と 認 められる 規 格 及 び 基 準 による 許<br />
容 応 力 度 とする 方 針 としていることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規 定 に<br />
適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていること、これらに 加 え、 事 故 時<br />
に 生 じる 荷 重 及 び 自 然 事 象 による 荷 重 についても 適 切 に 考 慮 する 方 針 として<br />
いることを 確 認 した。<br />
(2) 機 器 ・ 配 管 系<br />
解 釈 別 記 2は、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうちの 機 器 ・ 配 管 系 について、 荷 重 の 組<br />
合 せと 許 容 限 界 の 考 え 方 に 対 し、 以 下 を 満 たすことを 要 求 している。<br />
1 Sクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時<br />
26
の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 又 は 事 故 時 に 生 じる 荷 重 と 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条 件 に 対 して、その 施 設 に 要 求 される 機<br />
能 を 保 持 すること。 組 合 せ 荷 重 により 塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、<br />
その 量 が 小 さなレベルに 留 まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その<br />
施 設 に 要 求 される 機 能 に 影 響 を 及 ぼさないこと。<br />
2 Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 通 常 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 又 は 事 故 時 に 生<br />
じる 荷 重 と、 弾 性 設 計 用 地 震 動 (Bクラスは 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震 動 、C<br />
クラスは 考 慮 せず。)による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条<br />
件 に 対 して、 応 答 が 全 体 的 におおむね 弾 性 状 態 に 留 まること。<br />
3 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 及 び 事 故 時 に 生 じる 荷 重 については、 次 の 荷<br />
重 を 考 慮 すること。<br />
a. 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれのある 事 象 により 生 じる 荷 重<br />
b. 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれのない 事 象 であっても、 事 象 の<br />
発 生 頻 度 、 継 続 時 間 及 び 地 震 動 の 年 超 過 確 率 との 関 係 を 踏 まえ 長 時 間<br />
継 続 する 荷 重<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 機 器 ・ 配 管 系 の 荷 重 の 組 合 せ 及 び 許 容 限 界 を 設 定<br />
する 方 針 としている。<br />
1 荷 重 の 組 合 せ<br />
Sクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 、 弾 性 設 計<br />
用 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 通 常 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 、 事 故 時 に 生 じ<br />
る 荷 重 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )とする。<br />
Bクラス 及 びCクラスの 機 器 ・ 配 管 系 について、 共 振 影 響 検 討 用 の 地 震<br />
動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 通 常 運 転 時 に 作 用<br />
する 荷 重 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 及 び 設 計 用 自 然 条 件<br />
( 積 雪 、 風 荷 重 等 )とする。<br />
なお、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 及 び 事 故 時 に 生 じる 荷 重 は、 地 震 によ<br />
って 引 き 起 こされるおそれのある 事 象 による 荷 重 及 び 地 震 によって 引 き<br />
起 こされるおそれはないが、 事 象 の 発 生 頻 度 、 継 続 時 間 及 び 地 震 動 の 年 超<br />
過 確 率 との 関 係 を 踏 まえ 長 時 間 継 続 する 事 象 による 荷 重 とする。<br />
2 許 容 限 界<br />
Sクラスの 機 器 ・ 配 管 系 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合<br />
せにおいて、 塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、その 量 が 小 さなレベル<br />
27
に 留 まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及<br />
ぼすことがない 限 度 に 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 を 許 容 限 界 とする。なお、<br />
地 震 時 又 は 地 震 後 の 機 器 等 の 動 的 機 能 要 求 については、 実 証 試 験 等 により<br />
確 認 されている 機 能 維 持 加 速 度 等 を 許 容 限 界 とする。<br />
Sクラス、Bクラス 及 びCクラスの 機 器 ・ 配 管 系 については、 基 準 地 震<br />
動 以 外 の 地 震 動 による 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 との 組 合 せにおいて、 応 答 が<br />
全 体 的 におおむね 弾 性 状 態 に 留 まることを 許 容 限 界 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 荷 重 の 組 合 せについて、 耐 震 重 要 度 分 類 に 応 じて<br />
運 転 状 態 の 荷 重 を 地 震 力 と 適 切 に 組 み 合 わせる 方 針 としており、 荷 重 の 組 合 せ<br />
に 対 する 許 容 限 界 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、<br />
破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その 施 設 の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない<br />
ように、また、その 他 の 地 震 力 との 組 合 せの 場 合 は、 応 答 全 体 がおおむね 弾 性<br />
状 態 に 留 まるように、 適 切 に 設 定 する 方 針 としていることから、これらの 方 針<br />
が 解 釈 別 記 2の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていること、<br />
これらに 加 え、 自 然 事 象 による 荷 重 についても 適 切 に 考 慮 する 方 針 としている<br />
ことを 確 認 した。<br />
(3) 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等<br />
解 釈 別 記 2は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 が 設 置 された 建 物 ・ 構 築 物 並<br />
びに 浸 水 防 止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 についての 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 考<br />
え 方 に 対 し、 以 下 を 満 たすことを 要 求 している。<br />
1 常 時 作 用 している 荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による<br />
地 震 力 の 組 合 せに 対 して、その 施 設 、 設 備 に 要 求 される 機 能 ( 津 波 防 護 機<br />
能 、 浸 水 防 止 機 能 及 び 津 波 監 視 機 能 )を 保 持 すること。<br />
2 これらの 荷 重 の 組 合 せに 関 しては、 地 震 と 津 波 が 同 時 に 作 用 する 可 能 性<br />
について 検 討 し、 必 要 に 応 じて 基 準 地 震 動 による 地 震 力 と 津 波 による 荷 重<br />
の 組 合 せを 考 慮 すること。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 荷 重 の 組 合 せ 及<br />
び 許 容 限 界 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
1 荷 重 の 組 合 せ<br />
基 準 地 震 動 による 地 震 力 と 組 み 合 わせる 荷 重 は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水<br />
防 止 設 備 が 設 置 された 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用 している 荷 重 ( 固<br />
定 荷 重 、 積 載 荷 重 、 土 圧 、 水 圧 及 び 通 常 の 気 象 条 件 による 荷 重 )、 運 転 時<br />
に 作 用 する 荷 重 ( 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 及 び 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化<br />
28
時 に 生 じる 荷 重 ) 及 び 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 )とする。 浸 水 防<br />
止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 については、 通 常 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 、 運 転 時<br />
の 異 常 な 過 渡 変 化 時 に 生 じる 荷 重 、 設 計 用 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 等 ) 及<br />
び 事 故 時 に 生 じる 荷 重 とする。また、 必 要 に 応 じて 津 波 による 荷 重 の 組 合<br />
せを 考 慮 する。なお、 津 波 以 外 の 地 震 力 に 組 み 合 わせる 荷 重 は、(1) 又<br />
は(2)の 荷 重 の 組 合 せの 荷 重 に 準 じるものとする。<br />
2 許 容 限 界<br />
津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 が 設 置 された 建 物 ・ 構 築 物 の 許 容 限 界 は、<br />
構 造 全 体 としての 変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )が 十 分 な 余 裕 を 有 し、そ<br />
の 施 設 に 要 求 される 津 波 防 護 機 能 及 び 浸 水 防 止 機 能 を 保 持 できることと<br />
する。また、 浸 水 防 止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 について、 常 時 作 用 している<br />
荷 重 及 び 運 転 時 に 作 用 する 荷 重 等 と 基 準 地 震 動 による 地 震 力 の 組 合 せに<br />
対 して、 要 求 される 浸 水 防 止 機 能 及 び 津 波 監 視 機 能 が 保 持 できることを 許<br />
容 限 界 とする。<br />
なお、Ⅲ―3.2、4.(1)に 記 載 するように、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する<br />
施 設 はないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 荷 重 の 組 合 せと<br />
許 容 限 界 について、Sクラスの 建 物 ・ 構 築 物 又 は 機 器 ・ 配 管 系 に 準 じて 設 定 す<br />
る 方 針 とすること、また、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 には 必 要 に 応 じて 津 波 によ<br />
る 荷 重 を 組 み 合 わせる 方 針 としていることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2の<br />
規 定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
5. 波 及 的 影 響 に 係 る 設 計 方 針<br />
解 釈 別 記 2は、 耐 震 重 要 度 分 類 の 下 位 のクラスに 属 する 施 設 の 波 及 的 影 響 によ<br />
って、 耐 震 重 要 施 設 の 安 全 機 能 を 損 なわないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 及 び 影 響 評 価 を 行<br />
う 方 針 としている。<br />
(1) 敷 地 全 体 を 俯 瞰 した 調 査 ・ 検 討 の 内 容 等 を 含 めて、 以 下 に 示 す 4 つの 影 響<br />
( 視 点 )について、 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 を 行 う。<br />
1 設 置 地 盤 及 び 地 震 応 答 性 状 の 相 違 等 に 起 因 する 相 対 変 位 又 は 不 等 沈<br />
下 による 影 響<br />
2 耐 震 重 要 施 設 と 下 位 のクラスの 施 設 との 接 続 部 における 相 互 影 響<br />
3 建 屋 内 における 下 位 のクラスの 施 設 の 損 傷 、 転 倒 、 落 下 等 による 耐 震<br />
29
重 要 施 設 への 影 響<br />
4 建 屋 外 における 下 位 のクラスの 施 設 の 損 傷 、 転 倒 、 落 下 等 による 耐 震<br />
重 要 施 設 への 影 響<br />
(2)これら 4 つの 影 響 ( 視 点 ) 以 外 に 追 加 すべきものがないかを、 原 子 力 発 電<br />
所 の 地 震 被 害 情 報 をもとに 確 認 し、 新 たな 検 討 事 象 が 抽 出 された 場 合 には、<br />
その 影 響 ( 視 点 )を 追 加 する。<br />
(3) 各 影 響 ( 視 点 )より 選 定 した 事 象 に 対 して 波 及 的 影 響 の 評 価 を 行 い、 波 及<br />
的 影 響 を 考 慮 すべき 施 設 を 摘 出 する。<br />
(4) 波 及 的 影 響 の 評 価 に 当 たっては、 耐 震 重 要 施 設 の 設 計 に 用 いる 地 震 動 又 は<br />
地 震 力 を 適 用 する。なおまた、 水 平 2 方 向 及 び 鉛 直 方 向 の 地 震 力 が 同 時 に 作<br />
用 しする 場 合 の、これらの 地 震 力 により 影 響 も 考 慮 してを 及 ぼす 可 能 性 のあ<br />
る 施 設 ・ 設 備 を 選 定 し、 評 価 する。<br />
(5) 波 及 的 影 響 の 評 価 においては、 溢 水 防 護 及 び 火 災 防 護 の 観 点 からの 波 及 的<br />
影 響 についても 確 認 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 及 び 影 響 評 価 につ<br />
いて、 以 下 のとおりの 方 針 としていることから、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 2の 規<br />
定 に 適 合 していること 及 び 地 震 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(1) 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 については、 敷 地 全 体 を 俯 瞰 した 調 査 ・<br />
検 討 の 内 容 等 を 含 めて 波 及 的 影 響 の 評 価 に 係 る 事 象 選 定 を 行 う 方 針 として<br />
いることに 加 え、 原 子 力 発 電 所 の 地 震 被 害 情 報 についても 併 せて 検 討 する 方<br />
針 としていること。<br />
(2) 影 響 評 価 については、 選 定 された 事 象 による 波 及 的 影 響 を 評 価 して 考 慮 す<br />
べき 施 設 を 摘 出 する 方 針 としていることに 加 え、 溢 水 防 護 及 び 火 災 防 護 の 観<br />
点 も 踏 まえて 考 慮 すべき 施 設 を 摘 出 する 方 針 としていること。<br />
Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )<br />
第 3 条 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 は、 当 該 設 計 基 準 対 象 施 設 を 十 分 に 支 持 することが<br />
できる 地 盤 に 設 けなければならないこと 並 びに 耐 震 重 要 施 設 は、 変 形 した 場 合 にお<br />
いてもその 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないこと<br />
及 び 変 位 が 生 ずるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないことを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
3. 地 盤 の 変 形<br />
30
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 別 記 1( 以 下 「 解 釈 別 記 1」という。)は、 耐 震 重 要 施<br />
設 を 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 の 露 頭 が 無 いことを 確 認 した 地 盤 に 設 置<br />
することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 耐 震 重 要 施 設 を 設 置 する 地 盤 における 断 層 の 活 動 性 評 価 について、<br />
敷 地 及 び 敷 地 近 傍 における 変 動 地 形 学 的 調 査 及 び 地 表 地 質 調 査 の 結 果 並 びに 断<br />
層 の 性 状 及 び 上 載 地 層 の 年 代 に 着 目 した 手 法 による 検 討 結 果 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
(1) 耐 震 重 要 施 設 設 置 位 置 には、ボーリング 調 査 、 試 掘 坑 調 査 等 から、G-1<br />
断 層 、G-2・4 断 層 及 びf-16 断 層 の 計 3 条 の 断 層 が 認 められる。<br />
(2) 本 発 電 所 敷 地 内 の 断 層 は、その 性 状 から、「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほ<br />
ぼ 平 行 な 断 層 」、「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 直 交 する 断 層 」 及 び「 佐 世<br />
保 層 群 に 貫 入 した 玢 岩 に 沿 う 断 層 及 び 玢 岩 脈 と 同 系 統 の 断 層 」の3つのタイ<br />
プの 断 層 に 区 分 される。<br />
(3)G-1 断 層 及 びf-16 断 層 は「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 平 行 な 断<br />
層 」、G-2・4 断 層 は「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 直 交 する 断 層 」に<br />
該 当 する。<br />
(4)「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 平 行 な 断 層 」は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 周 辺<br />
で 最 も 規 模 が 大 きいG-1 断 層 を 対 象 に 活 動 性 評 価 を 行 い、 断 層 調 査 坑 での<br />
地 質 観 察 の 結 果 、G-1 断 層 は 東 松 浦 玄 武 岩 類 に 変 位 を 与 えていないことか<br />
ら、 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武 岩 類 の 噴 出 以 降 の 活 動 はないと 判 断 される。<br />
(5)「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 直 交 する 断 層 」は、 延 長 は 短 く、 破 砕 幅<br />
及 び 変 位 量 も 小 規 模 であり、 基 礎 掘 削 面 に 出 現 するG-2・4 断 層 を 対 象 に<br />
活 動 性 評 価 を 行 い、 基 礎 掘 削 面 での 地 質 観 察 の 結 果 、G-2・4 断 層 は 南 東<br />
側 では 佐 世 保 層 群 中 で 消 滅 し、 北 西 側 では 岩 脈 ( 玢 岩 )に 変 位 を 与 えていな<br />
いことから、 少 なくとも 新 第 三 紀 中 新 世 の 岩 脈 ( 玢 岩 )の 貫 入 以 降 の 活 動 は<br />
ないと 判 断 される。<br />
(6)なお、「 佐 世 保 層 群 に 貫 入 した 玢 岩 に 沿 う 断 層 及 び 玢 岩 脈 と 同 系 統 の 断 層 」<br />
は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 設 置 位 置 に 認 められ、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断<br />
層 等 ではないと 評 価 しており、その 評 価 の 詳 細 については、「Ⅳ-3.1 重<br />
31
大 事 故 等 対 処 施 設 の 地 盤 ( 第 38 条 関 係 )」に 示 す。<br />
(7) 東 松 浦 玄 武 岩 類 について、 既 往 文 献 によると、カリウム-アルゴン 法 によ<br />
る 年 代 測 定 を 実 施 した 結 果 、3.0Ma~2.9Ma の 年 代 が 得 られたとされている。<br />
(8) 以 上 のことから、 耐 震 重 要 施 設 設 置 位 置 に 認 められる 3 条 の 断 層 を 含 め、<br />
本 発 電 所 敷 地 内 の 断 層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 ではないと 評 価<br />
した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 各 種 調 査 の 結 果 、 耐 震 重 要 施 設 を 設 置 する 地 盤<br />
における 断 層 の 活 動 性 評 価 手 法 等 が 適 切 であり、 耐 震 重 要 施 設 設 置 位 置 に 分 布 す<br />
る 断 層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 に 該 当 せず、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適<br />
合 していること 及 び 地 質 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
解 釈 別 記 1は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 耐 震 重 要 度 分 類 の 各 クラスに 応 じ<br />
て 算 定 する 地 震 力 ( 耐 震 重 要 施 設 にあっては、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 含 む。)<br />
が 作 用 した 場 合 においても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する 地 盤 に 設 けな<br />
ければならないこと、さらに、 耐 震 重 要 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震<br />
力 が 作 用 することによって 弱 面 上 のずれ 等 が 発 生 しないことを 含 め、 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 に 対 する 支 持 性 能 が 確 保 されていることを 確 認 することを 要 求 し<br />
ている。<br />
申 請 者 は、 解 析 モデルの 設 定 、 動 的 解 析 等 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 設 計 基 準 対 象 施 設 については、 耐 震 重 要 度 分 類 の 各 クラスに 応 じて 算 定 し<br />
た 地 震 力 が 作 用 した 場 合 においても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する<br />
地 盤 に 設 置 する。<br />
(2) 耐 震 重 要 施 設 については、 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 等 を 対 象 に、<br />
基 礎 地 盤 の 支 持 力 、 基 礎 地 盤 のすべり 及 び 基 礎 底 面 の 傾 斜 に 対 する 安 全 性 を<br />
評 価 した。<br />
(3) 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作 用 させた 動 的 解 析 は、 評 価 の 対 象 となる 耐 震<br />
重 要 施 設 の 配 置 、 施 設 周 辺 の 地 形 及 び 地 質 構 造 を 考 慮 し、3・4 号 炉 原 子 炉 格<br />
納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 付 近 の 耐 震 重 要 施 設 に 対 する 解 析 断 面 として 3・4<br />
号 炉 の 炉 心 で 直 交 する 3 断 面 を 対 象 に 二 次 元 有 限 要 素 法 により 行 った。<br />
(4) 動 的 解 析 に 用 いる 地 盤 パラメータについては、 各 種 の 調 査 結 果 を 基 に 設 定<br />
した。 解 析 に 当 たっては、せん 断 強 度 のばらつき、 地 下 水 位 観 測 結 果 、 入 力<br />
地 震 動 の 位 相 の 反 転 についても 考 慮 した。<br />
(5) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 底<br />
面 における 最 大 接 地 圧 は 1.98N/mm 2 であり、 基 礎 地 盤 の 大 部 分 を 占 める○B 級<br />
32
以 上 の 岩 盤 の 支 持 力 試 験 結 果 から 評 価 した 極 限 支 持 力 (13.7N/mm 2 以 上 )を<br />
下 回 る。<br />
(6) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 地<br />
盤 の 最 小 すべり 安 全 率 は、1.5 を 上 回 る。<br />
(7) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 原 子 炉 格 納 容 器 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 基 礎 底<br />
面 に 生 じる 最 大 傾 斜 は、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 を 設 置 する 地 盤 の 評 価 については、 申 請 者 が<br />
行 った 動 的 解 析 の 手 法 、 地 盤 パラメータの 設 定 方 法 等 が 適 切 であり、 当 該 施 設 を<br />
十 分 に 支 持 することができる 地 盤 に 設 けるとしていることから、 解 釈 別 記 1の 規<br />
定 に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3. 地 盤 の 変 形<br />
解 釈 別 記 1は、 耐 震 重 要 施 設 について、 地 震 発 生 に 伴 う 地 殻 変 動 によって 生 じ<br />
る 支 持 地 盤 の 傾 斜 及 び 撓 み 並 びに 地 震 発 生 に 伴 う 建 物 ・ 構 築 物 間 の 不 等 沈 下 、 液<br />
状 化 及 び 揺 すり 込 み 沈 下 等 の 周 辺 地 盤 の 変 状 が 生 じた 場 合 においてもその 安 全<br />
機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないことを 要 求 してい<br />
る。<br />
申 請 者 は、 耐 震 重 要 施 設 の 支 持 地 盤 に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾 斜 に 関<br />
する 評 価 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 耐 震 重 要 施 設 は、 岩 盤 に 支 持 されている、 若 しくはマンメイドロック(コ<br />
ンクリート)による 置 き 換 え 等 により 岩 盤 に 支 持 される 設 計 としていること<br />
から、 揺 すり 込 み 沈 下 や 液 状 化 による 不 等 沈 下 の 影 響 を 受 けるおそれはない。<br />
(2) 耐 震 重 要 施 設 の 支 持 地 盤 の 傾 斜 は、 本 発 電 所 敷 地 内 に 震 源 として 考 慮 する<br />
活 断 層 が 分 布 していないことを 確 認 していることから、 敷 地 において 地 殻 の<br />
広 域 的 な 変 形 による 著 しい 地 盤 の 傾 斜 が 生 じることはないが、 敷 地 に 比 較 的<br />
近 い 竹 木 場 断 層 及 び 城 山 南 断 層 の 活 動 に 伴 い 生 じる 地 盤 の 傾 斜 について、<br />
Wang et al.(2003)の 手 法 により 評 価 した 結 果 、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 地 盤 の 変 形 について、 申 請 者 の 耐 震 重 要 施 設 の 支 持 地 盤 の 変 形<br />
に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾 斜 に 関 する 評 価 が 適 切 であり、 変 形 した 場 合<br />
においてもその 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 当 該 施 設 を 設 けると<br />
していることから、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 ま<br />
えていることを 確 認 した。<br />
33
Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )<br />
第 5 条 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 基 準 津 波 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれる<br />
おそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波<br />
1. 地 震 に 伴 う 津 波<br />
2. 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波<br />
3. 地 震 に 伴 う 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せ<br />
4. 基 準 津 波 の 策 定 等<br />
Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針<br />
1. 防 護 対 象 とする 施 設 の 選 定 方 針<br />
2. 基 本 事 項<br />
3. 津 波 防 護 の 方 針<br />
4. 施 設 又 は 設 備 の 設 計 方 針 及 び 条 件<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
Ⅲ-3.1 基 準 津 波<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 別 記 3( 以 下 「 解 釈 別 記 3」という。)は、 基 準 津 波 につ<br />
いて、 最 新 の 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 踏 まえ、 波 源 海 域 から 敷 地 周 辺 までの 海 底 地 形 、<br />
地 質 構 造 及 び 地 震 活 動 性 等 の 地 震 学 的 見 地 から 想 定 することが 適 切 なものを 策 定<br />
することを 要 求 している。また、 津 波 の 発 生 要 因 として、 地 震 のほか、 地 すべり、<br />
斜 面 崩 壊 その 他 の 地 震 以 外 の 要 因 、 及 びこれらの 組 合 せによるものを 複 数 選 定 し、<br />
不 確 かさを 考 慮 して 数 値 解 析 を 実 施 し、 策 定 することを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 津 波 評 価 の 内 容 について 審 査 した 結 果 、 本 申 請<br />
における 基 準 津 波 は、 津 波 の 発 生 要 因 として、 地 震 のほか、 地 すべり、 斜 面 崩 壊 そ<br />
の 他 の 地 震 以 外 の 要 因 、 及 びこれらの 組 合 せによるものを 検 討 した 上 で、 地 震 によ<br />
る 津 波 を 複 数 選 定 するとともに、 不 確 かさを 考 慮 して 適 切 に 策 定 していることから、<br />
解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
1. 地 震 に 伴 う 津 波<br />
34
解 釈 別 記 3は、 地 震 に 伴 う 津 波 について、プレート 間 地 震 、 海 洋 プレート 内 地<br />
震 及 び 海 域 の 活 断 層 による 地 殻 内 地 震 に 伴 う 津 波 を 考 慮 し、 津 波 の 発 生 要 因 に 係<br />
る 調 査 及 び 波 源 モデルの 設 定 に 必 要 な 調 査 、 敷 地 周 辺 に 襲 来 した 可 能 性 のある 津<br />
波 に 係 る 調 査 及 び 津 波 の 伝 播 経 路 に 係 る 調 査 を 行 うことを 要 求 している。また、<br />
基 準 津 波 の 策 定 に 当 たっては、 適 切 な 規 模 の 津 波 波 源 を 考 慮 するとともに、 不 確<br />
かさの 考 慮 に 当 たっては、 基 準 津 波 の 策 定 に 及 ぼす 影 響 が 大 きいと 考 えられる 波<br />
源 特 性 の 不 確 かさの 要 因 及 びその 大 きさの 程 度 並 びに 解 釈 の 違 いによる 不 確 か<br />
さを 十 分 踏 まえた 上 で、 適 切 な 手 法 を 用 いることを 要 求 している。さらに、 行 政<br />
機 関 により 敷 地 又 はその 周 辺 の 津 波 が 評 価 されている 場 合 には、 波 源 設 定 の 考 え<br />
方 及 び 解 析 条 件 の 相 違 点 に 着 目 した 上 で、 安 全 側 の 評 価 を 実 施 するとの 観 点 から<br />
必 要 な 科 学 的 ・ 技 術 的 知 見 を 基 準 津 波 の 策 定 に 反 映 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 に 伴 う 津 波 評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 敷 地 周 辺 の 既 往 津 波 及 び 痕 跡 高 についての 文 献 調 査 の 結 果 、 日 本 周 辺 の 海<br />
域 や 遠 地 で 過 去 に 発 生 した 津 波 を 含 めて、 本 発 電 所 敷 地 周 辺 の 沿 岸 域 に 顕 著<br />
な 影 響 を 及 ぼした 既 往 津 波 は 認 められなかった。<br />
(2) 海 域 活 断 層 による 地 震 に 伴 う 津 波 については、 文 献 調 査 及 び 敷 地 周 辺 の 地<br />
質 調 査 結 果 を 踏 まえ、 後 期 更 新 世 以 降 の 活 動 が 否 定 できない 断 層 について 阿<br />
部 (1989)の 簡 易 予 測 式 により 推 定 津 波 水 位 を 評 価 した 結 果 から、 検 討 対 象<br />
の 海 域 活 断 層 として 警 固 断 層 帯 、 壱 岐 北 東 部 断 層 群 、 西 山 断 層 帯 及 び 対 馬 南<br />
西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 の 4 断 層 を 抽 出 した。<br />
(3) 海 域 活 断 層 の 各 断 層 について、 土 木 学 会 (2002) 及 び 土 木 学 会 (2016)に<br />
基 づき、 傾 斜 、すべり 角 、 断 層 上 縁 深 さを 不 確 かさとして 考 慮 するなど 概 略<br />
数 値 計 算 モデルを 用 いたパラメータスタディを 実 施 し、 波 源 の 選 定 を 行 った。<br />
(4)パラメータスタディの 検 討 結 果 より、 水 位 変 動 量 の 大 きい 対 馬 南 西 沖 断 層<br />
群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 及 び 西 山 断 層 帯 を 詳 細 数 値 計 算 モデルによ<br />
る 検 討 対 象 波 源 として 選 定 した。<br />
(5) 津 波 に 伴 う 水 位 変 動 の 評 価 は、 非 線 形 長 波 理 論 に 基 づき、 差 分 法 による 平<br />
面 二 次 元 モデルによる 津 波 シミュレーションプログラムを 用 いて 実 施 した。<br />
(6) 津 波 シミュレーションに 用 いる 数 値 計 算 モデルについては、 日 本 海 南 西 部<br />
及 び 東 シナ 海 北 部 の 東 西 約 500km、 南 北 約 500km を 計 算 領 域 とし、 計 算 格 子<br />
間 隔 は、 最 大 1,600m から 最 小 6.25m まで 徐 々に 細 かい 格 子 サイズを 設 定 し<br />
た。また、 数 値 シミュレーションに 当 たり、 潮 位 条 件 に 加 えて 断 層 活 動 に 伴<br />
う 地 盤 変 動 を 考 慮 して 検 討 を 行 った。<br />
(7) 行 政 機 関 が 実 施 している 津 波 シミュレーションのうち、 本 発 電 所 へ 比 較 的<br />
大 きな 水 位 変 動 を 与 える 可 能 性 のある 海 域 活 断 層 による 波 源 モデルとして、<br />
「 日 本 海 における 大 規 模 地 震 に 関 する 調 査 検 討 会 (2014)」、 佐 賀 県 及 び 福 岡<br />
35
県 が 想 定 した 西 山 断 層 帯 の 波 源 モデル 並 びに 佐 賀 県 及 び 福 岡 県 が 想 定 した<br />
対 馬 海 峡 東 の 断 層 の 波 源 モデルを 用 いて 津 波 評 価 を 実 施 した。<br />
(8) 太 平 洋 側 に 想 定 されるプレート 間 地 震 及 び 海 洋 プレート 内 地 震 による 津 波<br />
については、 想 定 される 津 波 の 規 模 及 び 敷 地 との 位 置 関 係 を 踏 まえ、 敷 地 周<br />
辺 の 海 域 活 断 層 による 地 震 に 伴 う 津 波 に 比 べ 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 は 小 さい<br />
と 考 えられることから、 検 討 対 象 波 源 として 選 定 しなかった。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群<br />
について、それぞれの 断 層 の 位 置 や 走 向 ・ 傾 斜 を 踏 まえ、 海 域 活 断 層 による 地 震<br />
に 伴 う 津 波 の 波 源 として、これらの 断 層 が 連 動 する 場 合 を 考 慮 して 評 価 すること<br />
を 求 めた。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、これを 反 映 して 海 域 活 断 層 による 地 震 に 伴 う 津 波 の<br />
評 価 を 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 地 震 に 伴 う 津 波 の 評 価 については、 波 源 モデ<br />
ルの 設 定 等 に 必 要 な 調 査 を 実 施 するとともに、 行 政 機 関 が 行 った 津 波 シミュレー<br />
ションも 適 切 に 反 映 し、 不 確 かさを 考 慮 して 海 域 活 断 層 の 特 性 や 位 置 等 から 考 え<br />
られる 適 切 な 規 模 の 津 波 波 源 を 設 定 して 適 切 な 手 法 で 評 価 を 行 っていることか<br />
ら、 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
2. 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波<br />
解 釈 別 記 3は、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 について、 地 すべり、 斜 面 崩 壊 その<br />
他 の 地 震 以 外 の 要 因 を 考 慮 し、 津 波 の 発 生 要 因 に 係 る 調 査 及 び 波 源 モデルの 設 定<br />
に 必 要 な 調 査 、 敷 地 周 辺 に 襲 来 した 可 能 性 のある 津 波 に 係 る 調 査 及 び 津 波 の 伝 播<br />
経 路 に 係 る 調 査 を 行 うことを 要 求 している。また、 基 準 津 波 の 策 定 に 当 たっては、<br />
適 切 な 規 模 の 津 波 波 源 を 考 慮 するとともに、 不 確 かさの 考 慮 に 当 たっては、 基 準<br />
津 波 の 策 定 に 及 ぼす 影 響 が 大 きいと 考 えられる 波 源 特 性 の 不 確 かさの 要 因 及 び<br />
その 大 きさの 程 度 並 びにそれらに 係 る 考 え 方 及 び 解 釈 の 違 いによる 不 確 かさを<br />
十 分 踏 まえた 上 で、 適 切 な 手 法 を 用 いることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 文 献 調 査 の 結 果 、 敷 地 周 辺 において、 海 底 地 すべり、 陸 上 の 斜 面 崩 壊 ( 地<br />
すべり)、 火 山 現 象 等 、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 記 録 は 認 められなかっ<br />
た。<br />
(2) 海 底 地 すべりによる 津 波 については、 文 献 調 査 に 加 え、 海 上 音 波 探 査 記 録<br />
等 による 検 討 の 結 果 、 敷 地 から 半 径 100km 程 度 の 範 囲 に 本 発 電 所 に 影 響 を 及<br />
ぼす 可 能 性 のある 海 底 地 すべり 地 形 は 認 められなかった。<br />
36
(3) 陸 上 地 すべりによる 津 波 については、 国 立 研 究 開 発 法 人 防 災 科 学 技 術 研 究<br />
所 による 地 すべり 地 形 分 布 図 データベース 等 を 基 に 検 討 した 結 果 、 本 発 電 所<br />
の 安 全 性 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 地 すべり 地 形 は 抽 出 されなかった。<br />
(4) 火 山 現 象 に 起 因 する 津 波 については、 過 去 の 火 山 現 象 の 発 生 状 況 から 想 定<br />
される 津 波 の 規 模 及 び 地 形 的 障 害 を 考 慮 すると、 本 発 電 所 の 安 全 性 に 影 響 を<br />
及 ぼすような 津 波 が 到 来 することはないと 考 えられると 評 価 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 評 価 については、<br />
波 源 モデルの 設 定 等 に 必 要 な 調 査 を 実 施 し、 本 発 電 所 への 影 響 を 評 価 しているこ<br />
とから、 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
3. 地 震 に 伴 う 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せ<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 発 生 要 因 に 係 る 敷 地 の 地 学 的 背 景 及 び 津 波 発 生 要 因 の 関 連<br />
性 を 踏 まえ、 地 震 及 び 地 すべり 又 は 斜 面 崩 壊 等 の 組 合 せについて 考 慮 することを<br />
要 求 している。<br />
申 請 者 は、 地 震 による 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 の 組 合 せについて、 地<br />
震 以 外 を 要 因 とする 津 波 については、 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 はないと 考 えられるた<br />
め、これらの 津 波 の 組 合 せは 考 慮 しないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 地 震 に 伴 う 津 波 と 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波<br />
の 組 合 せの 評 価 については、 敷 地 の 地 学 的 背 景 及 び 津 波 発 生 要 因 の 関 連 性 を 踏 ま<br />
えて 検 討 し、 地 震 以 外 を 要 因 とする 津 波 については 発 電 所 に 及 ぼす 影 響 はないと<br />
考 えられるとして、 組 合 せは 考 慮 しないと 評 価 していることから、 解 釈 別 記 3の<br />
規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
4. 基 準 津 波 の 策 定 等<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 の 時 刻 歴 波 形 について、 敷 地 前 面 海 域 の 海 底 地 形 の 特<br />
徴 を 踏 まえ、 時 刻 歴 波 形 に 対 して 施 設 からの 反 射 波 の 影 響 が 微 少 となるよう、 施<br />
設 から 離 れた 沿 岸 域 における 津 波 を 用 いることを 要 求 している。また、 砂 移 動 の<br />
評 価 に 必 要 な 調 査 を 行 い、 基 準 津 波 による 水 位 変 動 に 伴 う 砂 の 移 動 ・ 堆 積 に 対 し<br />
て 取 水 口 及 び 取 水 路 の 通 水 性 が 確 保 できることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 基 準 津 波 の 策 定 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 基 準 津 波 は、 時 刻 歴 波 形 に 対 して 施 設 からの 反 射 波 の 影 響 が 微 少 となるよ<br />
う、 本 発 電 所 敷 地 北 端 から 北 方 に 約 3 km 離 れた 海 域 の 水 深 約 50m の 地 点 で 定<br />
義 した。<br />
(2) 地 震 に 伴 う 津 波 、 地 震 以 外 の 要 因 による 津 波 及 びそれらの 組 合 せによる 津<br />
37
波 について 検 討 した 結 果 、 本 発 電 所 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがある 津 波<br />
として、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 による 地 震 に 伴 う 津<br />
波 及 び 西 山 断 層 帯 による 地 震 に 伴 う 津 波 を 選 定 した。<br />
(3) 水 位 上 昇 側 の 基 準 津 波 として、 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の<br />
連 動 で、 基 準 津 波 定 義 位 置 で 最 大 水 位 上 昇 量 は+0.64m、 水 位 下 降 側 の 基 準<br />
津 波 として、 西 山 断 層 帯 で、 基 準 津 波 定 義 位 置 で 最 大 水 位 降 下 量 は-0.92m<br />
である。<br />
(4) 基 準 津 波 に 伴 う 砂 移 動 の 数 値 計 算 では、 海 底 土 質 調 査 等 から 砂 の 粒 径 、 密<br />
度 等 を 設 定 し、 藤 井 ほか(1998) 及 び 高 橋 ほか(1999)の 方 法 を 用 いて 砂 の<br />
堆 積 厚 を 評 価 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 設 備 の 取 水 に 支 障 が 生 じないことを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 適 切 な 位 置 で 基 準 津 波 の 時 刻 歴 波 形 を 策 定 するとと<br />
もに、 基 準 津 波 による 水 位 変 動 に 伴 う 砂 移 動 の 評 価 を 適 切 に 行 っていることから、<br />
解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、 基 準 津 波 定 義 位 置 における 基 準 津 波 の 年 超 過 確 率 については、<br />
水 位 上 昇 側 では 10 -5 ~10 -6 程 度 、 水 位 下 降 側 では 10 -6 ~10 -7 程 度 としている。<br />
Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針<br />
1. 防 護 対 象 とする 施 設 の 選 定 方 針<br />
解 釈 別 記 3は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 対 して 基 準 津 波 によって 安 全 機 能 が 損 なわ<br />
れるおそれがないことを 要 求 している。また、 津 波 ガイドでは、 重 要 な 安 全 機 能<br />
を 有 する 施 設 は、 基 準 津 波 に 対 して、その 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 であること<br />
を 基 本 方 針 として 示 している。<br />
申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうち、 耐 震 重 要 度 分 類 におけるSクラスの 施 設<br />
を 防 護 対 象 とする 施 設 として 選 定 する 方 針 としている。これに 加 えて、「 発 電 用<br />
軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 機 能 の 重 要 度 分 類 に 関 する 審 査 指 針 」( 平 成 2 年 8 月 30<br />
日 原 子 力 安 全 委 員 会 決 定 )( 以 下 「 安 全 重 要 度 分 類 指 針 」という。)に 基 づく 安 全<br />
機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 に 対 する 設 計 上 の 考 慮 ( 自 然 現 象 に 対 する 設<br />
計 上 の 考 慮 )を 参 考 にして、 安 全 重 要 度 分 類 におけるクラス1 及 びクラス2に 属<br />
する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 についても 防 護 対 象 とする 施 設 として 選 定 する 方 針 と<br />
している。クラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 については、 代 替 設 備 によっ<br />
て 必 要 な 機 能 を 確 保 する 等 の 対 応 を 行 うよう 設 計 するとしている。<br />
38
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 防 護 対 象 とする 施 設 については、 設 計 基 準 対 象 施 設<br />
のうち 耐 震 重 要 度 分 類 におけるSクラスの 施 設 を 選 定 すること、 重 要 な 安 全 機 能<br />
を 有 する 施 設 に 着 目 して 選 定 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の<br />
規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 基 本 事 項<br />
(1) 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 地 形 と 施 設 の 配 置<br />
津 波 ガイドでは、 耐 津 波 設 計 の 前 提 条 件 に 関 する 基 本 事 項 として、 敷 地 及 び<br />
敷 地 周 辺 における 地 形 、 施 設 の 配 置 等 について、 以 下 の 事 項 を 網 羅 的 に 示 すこ<br />
ととしている。これらの 事 項 は、 遡 上 域 及 び 浸 水 域 の 評 価 並 びに 漂 流 物 の 評 価<br />
において 必 要 な 情 報 である。<br />
1 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 における 地 形 、 標 高 並 びに 敷 地 周 辺 における 河 川 の 存<br />
在<br />
2 敷 地 における 施 設 の 位 置 、 形 状 等<br />
3 敷 地 周 辺 における 人 工 構 造 物 等 の 位 置 、 形 状 等<br />
申 請 者 は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 形 、 施 設 の 配 置 等 について、 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
1 敷 地 は、 東 松 浦 半 島 の 先 端 部 に 属 し、 玄 界 灘 に 面 し、 北 東 に 外 津 浦 、 南<br />
西 に 八 田 浦 がある。 本 発 電 所 周 辺 の 河 川 としては、 敷 地 から 南 東 方 向 約 2<br />
km の 地 点 を 流 れる 志 礼 川 及 び 敷 地 内 の 八 田 川 がある。<br />
3 敷 地 は、 主 に EL.+11.0m、EL.+16.0m 以 上 の 高 さに 分 かれている。<br />
3 防 護 対 象 とする 施 設 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 は、EL.+11.0m に 位 置 す<br />
る。 屋 外 の 防 護 対 象 とする 施 設 である 海 水 ポンプエリアは EL.+11.0m に、<br />
海 水 管 ダクト、 燃 料 油 貯 油 そう、 燃 料 油 貯 蔵 タンクは EL.+11.0m の 敷 地<br />
地 下 部 に 位 置 する。<br />
4 津 波 監 視 設 備 として、EL. 約 +8.0m の 位 置 に 取 水 ピット 水 位 計 を、 原 子<br />
炉 周 辺 建 屋 の 壁 面 の EL. 約 +31m の 位 置 に 津 波 監 視 カメラ(3 号 炉 及 び 4<br />
号 炉 共 用 )を 設 置 する。<br />
5 EL. 約 +2.5m の 敷 地 には、 荷 揚 岸 壁 詰 所 、クレーン、 温 室 用 海 水 ポンプ<br />
室 等 がある。<br />
6 港 湾 施 設 として、 敷 地 内 には 荷 揚 岸 壁 があるが、 敷 地 外 には 大 型 の 港 湾<br />
施 設 はない。 外 津 浦 及 び 八 田 浦 側 に 防 波 堤 が 整 備 されている。<br />
7 海 上 設 置 物 として、 周 辺 の 海 域 に 浮 き 筏 及 び 定 置 網 等 が 点 在 しており、<br />
また、 漁 港 には 船 舶 ・ 漁 船 が 多 数 係 留 されているほか、 浮 桟 橋 もある。<br />
8 敷 地 周 辺 には、 民 家 や 倉 庫 等 がある。<br />
9 海 上 交 通 については、 本 発 電 所 沖 合 約 4km に 航 路 がある。<br />
39
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 耐 津 波 設 計 の 前 提 条 件 として 必 要 な 事 項 として、<br />
申 請 者 が、 施 設 の 配 置 等 について 図 面 等 を 用 いて 網 羅 的 に 示 しており、これら<br />
の 事 項 が 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(2) 基 準 津 波 による 敷 地 周 辺 の 遡 上 域 及 び 浸 水 域<br />
解 釈 別 記 3は、 遡 上 域 及 び 浸 水 域 の 評 価 に 当 たって、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地<br />
形 及 びその 標 高 、 河 川 等 の 存 在 、 沿 岸 域 の 海 底 地 形 、 津 波 の 侵 入 角 度 、 伝 播 経<br />
路 上 の 人 工 構 造 物 等 を 考 慮 した 遡 上 解 析 を 実 施 して、 遡 上 波 の 回 り 込 みを 含 め<br />
敷 地 への 遡 上 の 可 能 性 を 検 討 することを 要 求 している。また、 地 震 時 の 変 状 ( 地<br />
盤 の 液 状 化 ) 又 は 津 波 襲 来 時 の 洗 掘 と 堆 積 を 起 因 とする 地 形 及 び 河 川 流 路 の 変<br />
化 が 可 能 性 として 考 えられる 場 合 は、 敷 地 への 遡 上 経 路 に 及 ぼす 影 響 を 検 討 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり 遡 上 解 析 を 実 施 するとしている。<br />
1 モデル<br />
a. 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 地 形 のモデル 化 については、 解 析 に 影 響 を 及 ぼ<br />
す 斜 面 、 道 路 等 を 考 慮 する。<br />
b. 津 波 の 伝 播 経 路 上 の 人 工 構 造 物 のモデル 化 については、 図 面 を 基 に<br />
解 析 上 影 響 を 及 ぼす 構 造 物 の 設 置 状 況 を 考 慮 する。<br />
c. 敷 地 沿 岸 域 及 び 海 底 地 形 は、 国 土 地 理 院 発 行 の 数 値 地 図 等 を、 本 発<br />
電 所 近 傍 海 域 の 水 深 データについては、 平 成 23 年 度 及 び 平 成 24 年 度<br />
に 測 定 したデータを、それぞれ 使 用 する。<br />
2 考 慮 事 項<br />
a. 敷 地 前 面 、 側 面 及 びその 周 辺 における 津 波 の 侵 入 角 度 及 び 速 度 並 び<br />
にそれらの 経 時 変 化 を 考 慮 する。<br />
b. 敷 地 の 地 形 、 標 高 の 局 所 的 な 変 化 等 による 遡 上 波 の 敷 地 への 回 り 込<br />
みを 考 慮 する。<br />
c. 地 震 による 液 状 化 、 流 動 化 、すべり、 標 高 変 化 を 考 慮 する。<br />
d. 朔 望 平 均 満 潮 位 のばらつきを 考 慮 する。<br />
e. 埋 立 部 の 変 形 及 び 敷 地 の 沈 下 については、 敷 地 は 堅 固 な 岩 盤 が 浅 く<br />
分 布 していること 及 び 埋 立 部 は 部 分 的 であり 遡 上 解 析 に 与 える 影 響 は<br />
小 さいことから、 考 慮 しない。<br />
f. 敷 地 内 を 流 れる 八 田 川 の 影 響 については、 八 田 川 の 標 高 が EL.+<br />
5.0m 以 下 の 十 分 に 低 い 場 所 に 存 在 し、 敷 地 への 遡 上 波 に 影 響 しないた<br />
め、 考 慮 しない。<br />
40
g. 敷 地 の 周 辺 斜 面 の 影 響 については、 周 辺 斜 面 が 遡 上 波 の 敷 地 への 到<br />
達 に 対 して 障 壁 となっている 箇 所 はないため、 考 慮 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 遡 上 解 析 について、 公 的 機 関 による 信 頼 性 の 高 い<br />
データや 最 新 技 術 に 基 づいたデータを 用 いてモデルを 作 成 すること、 地 震 によ<br />
る 影 響 を 適 切 に 考 慮 した 上 で 実 施 し、 敷 地 への 遡 上 可 能 性 を 検 討 することとし<br />
ており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイド<br />
を 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(3) 入 力 津 波 の 設 定<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 の 波 源 からの 数 値 計 算 により、 各 施 設 、 設 備 等 の 設<br />
置 位 置 において 算 定 される 水 位 変 動 の 時 刻 歴 波 形 を 入 力 津 波 として 設 定 する<br />
ことを 要 求 している。また、 入 力 津 波 の 設 定 に 当 たっては、 津 波 による 港 湾 内<br />
の 局 所 的 な 海 面 振 動 の 励 起 を 適 切 に 評 価 し 考 慮 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 基 準 津 波 の 波 源 から 各 施 設 、 設 備 等 の 設 置 位 置 において、 海 水 面<br />
の 基 準 レベルからの 水 位 変 動 量 を 算 定 し、 時 刻 歴 波 形 として 入 力 津 波 を 設 定 す<br />
るとしている。 入 力 津 波 を 設 計 又 は 評 価 に 用 いるに 当 たっては、 各 施 設 、 設 備<br />
等 の 設 置 位 置 において 算 定 された 津 波 高 さ、 速 度 、 衝 撃 力 等 の 数 値 に 対 して、<br />
保 守 的 な 設 計 又 は 評 価 となるような 配 慮 を 加 えて 入 力 津 波 高 さや 速 度 を 設 定<br />
するとしている。また、 局 所 的 な 海 面 振 動 については、 津 波 シミュレーション<br />
結 果 の 分 析 並 びに 基 準 津 波 定 義 地 点 及 び 取 水 口 等 における 基 準 津 波 による 時<br />
刻 歴 水 位 の 比 較 から 励 起 しないとしている。<br />
なお、 西 山 断 層 帯 による 地 震 に 伴 う 津 波 により 取 水 ピットで 水 位 が 高 くなる<br />
ことも 参 照 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 入 力 津 波 を、 各 施 設 、 設 備 等 の 設 置 位 置 において、<br />
海 水 面 からの 水 位 変 動 量 の 時 刻 歴 波 形 で 設 定 するとともに、 取 水 口 周 辺 の 局 所<br />
的 な 海 面 振 動 の 励 起 に 関 する 評 価 を、 基 準 津 波 定 義 地 点 及 び 取 水 口 等 における<br />
時 刻 歴 水 位 を 基 に 実 施 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定<br />
に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(4) 津 波 防 護 の 方 針 設 定 に 当 たっての 考 慮 事 項 ( 水 位 変 動 、 地 殻 変 動 )<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 並 びに 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
海 水 系 の 評 価 に 当 たって、 潮 汐 に 加 え 高 潮 等 の 要 因 による 水 位 変 動 も 考 慮 して<br />
保 守 的 な 評 価 を 実 施 することを 要 求 している。また、 地 震 に 伴 う 広 域 的 な 地 殻<br />
41
変 動 による 敷 地 の 隆 起 又 は 沈 降 を 考 慮 して 保 守 的 な 評 価 を 実 施 することを 要<br />
求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 評 価 について、<br />
以 下 のとおり 実 施 するとしている。<br />
1 潮 汐 による 水 位 変 動<br />
敷 地 周 辺 の 観 測 地 点 「 唐 津 港 」における 潮 位 観 測 記 録 に 基 づき 求 めた 朔<br />
望 平 均 満 潮 位 を、 入 力 津 波 による 上 昇 側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 するととも<br />
に、 朔 望 平 均 干 潮 位 を 入 力 津 波 による 下 降 側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 する。<br />
また、 観 測 地 点 「 仮 屋 」における 潮 位 観 測 記 録 に 基 づき 求 めた 潮 位 のばら<br />
つきを 考 慮 する。<br />
2 高 潮 による 水 位 変 動<br />
潮 汐 以 外 の 要 因 による 潮 位 変 動 については、 影 響 の 大 きなものとして 高<br />
潮 を 抽 出 する。 観 測 地 点 「 仮 屋 」における 至 近 約 40 年 の 潮 位 観 測 記 録 に<br />
基 づき 高 潮 の 発 生 状 況 の 調 査 及 び 高 潮 のハザードの 評 価 を 行 い、 基 準 津 波<br />
の 年 超 過 確 率 を 踏 まえ、 再 現 期 間 100 年 の 高 潮 を 算 定 し、これと 基 準 津 波<br />
との 重 畳 を 考 慮 する。<br />
3 地 殻 変 動 による 隆 起 又 は 沈 降 の 影 響<br />
地 震 に 伴 う 地 殻 変 動 による 敷 地 の 隆 起 又 は 沈 降 については、 地 殻 変 動 解<br />
析 に 基 づき 設 定 する。 上 昇 側 の 水 位 変 動 を 考 えるときは、 想 定 する 波 源 で<br />
ある 対 馬 南 西 沖 断 層 群 と 宇 久 島 北 西 沖 断 層 群 の 連 動 による 地 震 の 発 生 に<br />
伴 い、 本 発 電 所 敷 地 では 0.01m の 隆 起 量 が 想 定 されるが、 保 守 的 な 評 価 と<br />
するため 敷 地 の 隆 起 を 考 慮 しない。 一 方 、 下 降 側 の 水 位 変 動 を 考 えるとき<br />
は、 想 定 する 波 源 である 西 山 断 層 帯 による 地 震 の 発 生 に 伴 い、 本 発 電 所 敷<br />
地 では 0.02m の 隆 起 量 が 想 定 され、 保 守 的 な 評 価 とするため 敷 地 の 隆 起 を<br />
考 慮 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 水 位 変 動 、 地 殻 変 動 について、 朔 望 平 均 満 潮 位 を<br />
入 力 津 波 の 上 昇 側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 し、 朔 望 平 均 干 潮 位 を 入 力 津 波 の 下 降<br />
側 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 し 保 守 的 な 設 定 をすること、 潮 汐 に 加 えて 影 響 の 大 き<br />
な 高 潮 による 水 位 変 動 をハザードの 評 価 に 基 づき 考 慮 すること、 地 震 によって<br />
発 生 する 広 域 的 な 地 殻 変 動 ( 隆 起 )を 下 降 側 の 水 位 変 動 に 対 して 考 慮 し 保 守 的<br />
な 評 価 をすることとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
42
3. 津 波 防 護 の 方 針<br />
(1) 津 波 防 護 の 基 本 方 針<br />
津 波 ガイドでは、 津 波 防 護 の 基 本 方 針 について、 敷 地 の 特 性 に 応 じた 方 針 で<br />
あること、また、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 等 、 設 置 するも<br />
のの 概 要 を 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 全 体 図 、 施 設 配 置 図 等 に 明 示 するとしている。<br />
申 請 者 は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 全 体 図 、 施 設 配 置 図 等 を 示 した 上 で、 津 波 防 護<br />
の 基 本 方 針 を 以 下 のとおりとしている。<br />
なお、 申 請 者 は、4.(1)のとおり、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する 施 設 はない<br />
としている。<br />
1 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 及<br />
び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。 以 下 3において 同 じ。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区<br />
画 が 設 置 された 敷 地 には、 基 準 津 波 による 遡 上 波 を 地 上 部 から 到 達 、 流 入<br />
させない 設 計 とする。また、 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 から 流 入 させない 設<br />
計 とする。<br />
2 取 水 施 設 、 放 水 施 設 、 地 下 部 等 については、 漏 水 の 可 能 性 を 考 慮 のうえ、<br />
漏 水 による 浸 水 範 囲 を 限 定 して、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 を<br />
防 止 できる 設 計 とする。<br />
3 1 及 び2の 方 針 のほか、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 を 内 包 す<br />
る 建 屋 及 び 区 画 については、 浸 水 防 護 を 実 施 することにより、 津 波 による<br />
影 響 等 から 隔 離 可 能 な 設 計 とする。<br />
4 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 性 低 下 による 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影<br />
響 を 防 止 できる 設 計 とする。<br />
5 津 波 監 視 設 備 については、 入 力 津 波 に 対 して 津 波 監 視 機 能 が 保 持 できる<br />
設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 防 護 の 基 本 方 針 が、 申 請 者 が 敷 地 の 特 性 に 応<br />
じたものであること 及 び 当 該 方 針 に 基 づく 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 等 の 配<br />
置 を 図 面 により 示 していることから、この 方 針 が 津 波 ガイドを 踏 まえているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(2) 敷 地 への 浸 水 防 止 ( 外 郭 防 護 1)<br />
1 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 の 防 止<br />
解 釈 別 記 3は、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 を 内 包 する 建 屋 及 び 重 要 な<br />
安 全 機 能 を 有 する 屋 外 の 施 設 を、 基 準 津 波 による 遡 上 波 の 到 達 しない 十 分<br />
高 い 場 所 に 設 置 することを 要 求 している。また、 到 達 する 高 さにある 場 合<br />
43
には、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 を 設 置 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 を 防 止 するために、 以 下 の<br />
方 針 を 示 している。<br />
a. 基 準 津 波 による 遡 上 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 遡 上 高 さは 最 も 高<br />
い 敷 地 前 面 の 水 位 はところで EL.+6.0m となる。<br />
b. 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設<br />
備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 が 設 置 され<br />
ている 周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 津 波 による 遡 上 波 は 地 上<br />
部 から 到 達 、 流 入 しない。<br />
c. 津 波 が 遡 上 する EL. 約 +2.5m の 荷 揚 岸 壁 及 び 並 びに 1 号 炉 及 び 2 号<br />
炉 放 水 口 付 近 に、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 を 内 包 する 建<br />
屋 及 び 区 画 はない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 遡 上 波 の 地 上 部 からの 到 達 、 流 入 の 防 止 につ<br />
いて、 基 準 津 波 による 遡 上 域 を 把 握 するために 実 施 した 解 析 の 結 果 に 基 づ<br />
き、 津 波 防 護 対 象 設 備 を 遡 上 波 が 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しない 位 置 に 設 置<br />
することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 しているこ<br />
と 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 からの 津 波 の 流 入 防 止<br />
解 釈 別 記 3は、 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 からの 津 波 の 流 入 の 可 能 性 につ<br />
いて 検 討 した 上 で、 流 入 の 可 能 性 のある 経 路 ( 扉 、 開 口 部 、 貫 通 部 等 )を<br />
特 定 し、それらに 対 して 浸 水 対 策 を 施 すことにより、 津 波 の 流 入 を 防 止 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 津 波 の 流 入 経 路 を 特 定 した 上 で、 流 入 防 止 対<br />
策 を 施 す 方 針 としている。<br />
a. 流 入 経 路 の 特 定<br />
流 入 の 可 能 性 のある 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 については、 取 水 路 又<br />
は 放 水 路 につながる 海 水 系 、 循 環 水 系 、それ 以 外 の 屋 外 排 水 路 等 それ<br />
ぞれの 設 置 位 置 における 入 力 津 波 高 さと、それらの 開 口 部 等 の 標 高 に<br />
基 づく 許 容 津 波 高 さを 比 較 することにより、その 差 を 裕 度 として 評 価<br />
し、 津 波 が 流 入 する 可 能 性 を 検 討 する。 検 討 に 当 たっては、 高 潮 によ<br />
る 水 位 変 動 を 考 慮 する。 津 波 の 流 入 防 止 等 の 方 針 を 検 討 するために 算<br />
定 した 海 水 ポンプエリア、 取 水 ピット 及 び 放 水 ピットの 入 力 津 波 高 さ<br />
等 に 基 づき 検 討 した 結 果 、 海 水 ポンプエリア 取 水 ピットの 入 力 津 波 高<br />
44
さ T.P.+7.0m に 対 して 海 水 ポンプエリアの 床 面 の 位 置 が EL.+6.0m<br />
であることなどから、 流 入 の 可 能 性 のある 経 路 として、 取 水 路 、 放 水<br />
路 、 屋 外 排 水 路 及 びその 他 のダクト 類 を 特 定 した。なお、T.P. 表 示 と<br />
EL. 表 示 は 同 じ 高 さを 示 す。<br />
b. 津 波 の 流 入 防 止 対 策<br />
特 定 した 流 入 経 路 から 津 波 が 流 入 することを 防 止 するため、 浸 水 防<br />
止 設 備 として、 海 水 ポンプエリア 床 面 には 床 ドレンライン 逆 止 弁 を 設<br />
置 するほか、 海 水 ポンプエリア 壁 面 の 貫 通 部 には 止 水 処 置 を 実 施 し、<br />
除 塵 装 置 エリアから 海 水 ポンプエリアへの 連 絡 通 路 には 水 密 扉 を 設<br />
ける。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 取 水 路 、 放 水 路 等 の 経 路 から 津 波 の 流 入 する<br />
可 能 性 を 網 羅 的 に 検 討 して 取 水 路 、 放 水 路 、 屋 外 排 水 路 及 びその 他 のダク<br />
ト 類 を 流 入 経 路 として 特 定 した 上 で、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 を 設<br />
置 することにより 津 波 の 流 入 を 防 止 することとしており、これらの 方 針 が<br />
解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(3) 漏 水 による 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 防 止 ( 外 郭 防 護 2)<br />
1 漏 水 対 策<br />
解 釈 別 記 3は、 取 水 設 備 及 び 放 水 設 備 の 構 造 上 の 特 徴 等 を 考 慮 して、 取<br />
水 施 設 、 放 水 施 設 、 地 下 部 等 における 漏 水 の 可 能 性 を 検 討 し、 漏 水 の 継 続<br />
による 浸 水 の 範 囲 を 想 定 ( 以 下 「 浸 水 想 定 範 囲 」という。)するとともに、<br />
同 範 囲 の 境 界 において 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 及 び 浸 水 口 ( 扉 、 開 口 部 、<br />
貫 通 部 等 )を 特 定 し、それらに 対 して 浸 水 対 策 を 施 すことにより、 浸 水 範<br />
囲 を 限 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 浸 水 想 定 範 囲 を 設 定 した 上 で、 浸 水 対 策 を 施<br />
す 方 針 としている。<br />
a. 浸 水 想 定 範 囲<br />
取 水 設 備 及 び 放 水 設 備 の 構 造 上 の 特 徴 等 を 考 慮 して、 取 水 施 設 、 放<br />
水 施 設 、 地 下 部 等 における 漏 水 の 可 能 性 を 検 討 し、 津 波 が 取 水 路 から<br />
流 入 する 可 能 性 があり、 漏 水 が 継 続 するものと 仮 定 して、 海 水 ポンプ<br />
エリアを 浸 水 想 定 範 囲 として 設 定 する。<br />
45
. 浸 水 対 策<br />
浸 水 想 定 範 囲 への 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 として、 海 水 ポンプエリ<br />
アの 壁 に 貫 通 部 があるため 止 水 処 置 を 実 施 する。 海 水 ポンプエリアの<br />
床 ドレンラインには、 逆 止 弁 を 設 置 する。また、 除 塵 装 置 エリアから<br />
海 水 ポンプエリアへの 連 絡 通 路 には、 水 密 扉 を 設 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 漏 水 の 影 響<br />
防 止 について、 海 水 ポンプエリアを 浸 水 想 定 範 囲 として 設 定 した 上 で、 同<br />
エリアへの 浸 水 経 路 である 壁 貫 通 部 への 止 水 処 置 の 実 施 、 海 水 ポンプエリ<br />
アの 床 ドレンラインへの 逆 止 弁 の 設 置 並 びに 除 塵 装 置 エリアから 海 水 ポ<br />
ンプエリアへの 連 絡 通 路 の 水 密 扉 の 設 置 により 浸 水 範 囲 を 限 定 するとし<br />
ており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガ<br />
イドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価<br />
解 釈 別 記 3は、 浸 水 想 定 範 囲 の 周 辺 に 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 設 備 があ<br />
る 場 合 は、 防 水 区 画 化 するとともに、 必 要 に 応 じて 同 区 画 内 への 浸 水 量 評<br />
価 を 実 施 して、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 がないことを 確 認 す<br />
ることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアに 津 波 防 護 対 象 設 備 で<br />
ある 海 水 ポンプを 設 置 しているため、 水 密 扉 及 び 床 ドレンライン 逆 止 弁 を<br />
設 置 することにより 本 エリアを 防 水 区 画 化 するとしている。また、 浸 水 防<br />
止 設 備 として 設 置 する 水 密 扉 及 び 床 ドレンライン 逆 止 弁 について、 漏 水 に<br />
よる 浸 水 経 路 となる 可 能 性 があるため、 浸 水 量 を 評 価 し、 海 水 ポンプへの<br />
影 響 がないことを 確 認 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価 に<br />
ついて、 申 請 者 が 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアを 防 水 区 画 化 した<br />
上 で、 区 画 内 への 浸 水 量 評 価 によって 海 水 ポンプへの 影 響 がないことを 確<br />
認 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 している<br />
こと 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3 排 水 設 備 設 置 の 検 討<br />
解 釈 別 記 3は、 浸 水 想 定 範 囲 における 長 期 間 の 冠 水 が 想 定 される 場 合 は、<br />
排 水 設 備 を 設 置 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 想 定 範 囲 である 海 水 ポンプエリアにおける 浸 水 量 評 価 に<br />
46
基 づき、 長 期 間 の 冠 水 が 想 定 される 場 合 は、 海 水 ポンプエリアに 排 水 設 備<br />
を 設 置 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 排 水 設 備 設 置 の 検 討 について、 申 請 者 が「2<br />
重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影 響 評 価 」における「 浸 水 想 定 範 囲 にお<br />
ける 浸 水 量 評 価 」に 基 づき、 長 期 間 の 冠 水 の 有 無 に 応 じて 排 水 設 備 を 設 置<br />
することとしており、この 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及<br />
び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(4) 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 の 隔 離 ( 内 郭 防 護 )<br />
解 釈 別 記 3は、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 設 備 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 につい<br />
て、 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 として 明 確 化 することを 要 求 している。また、 津 波 に<br />
よる 溢 水 を 考 慮 した 浸 水 範 囲 及 び 浸 水 量 を 保 守 的 に 想 定 した 上 で、 浸 水 防 護 重<br />
点 化 範 囲 への 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 及 び 浸 水 口 ( 扉 、 開 口 部 、 貫 通 部 等 )を<br />
特 定 し、それらに 対 して 浸 水 対 策 を 施 すことにより、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する<br />
施 設 を 津 波 による 影 響 等 から 隔 離 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 の 隔 離 について、 以 下 のとおり、 浸<br />
水 防 護 重 点 化 範 囲 を 設 定 した 上 で、 浸 水 対 策 を 施 す 方 針 としている。<br />
1 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 の 設 定<br />
原 子 炉 格 納 容 器 、 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建 屋 、 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 建 屋 、 海 水 ポンプエリア、 海 水 管 ダクト、 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクを 設 定 する。<br />
2 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 の 境 界 における 浸 水 対 策<br />
浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 へ 浸 水 の 可 能 性 のある 経 路 については、 地 震 による<br />
溢 水 の 影 響 も 考 慮 して、タービン 建 屋 から 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建<br />
屋 及 び 海 水 管 ダクト 並 びに 海 水 ポンプエリアへの 浸 水 、また、 地 震 時 の 地<br />
下 水 の 流 入 に 関 して 以 下 のとおり 検 討 し、 浸 水 の 経 路 を 特 定 する。 特 定 し<br />
た 経 路 に 対 して、 水 密 扉 及 び 床 ドレンライン 逆 止 弁 を 設 置 し 並 びに 貫 通 部<br />
止 水 処 置 を 実 施 する。<br />
a. 機 器 及 び 配 管 の 損 傷 によるタービン 建 屋 内 の 津 波 浸 水 量 、 溢<br />
水<br />
47
ア.タービン 建 屋 内 に 流 入 した 津 波 により、タービン 建 屋 に 隣 接 す<br />
る 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 ( 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建 屋 及 び 海<br />
水 管 ダクト)への 影 響 を 評 価 する。<br />
イ. 地 震 に 起 因 する 循 環 水 管 の 伸 縮 継 手 の 全 周 破 損 及 び 耐 震 性 の 低<br />
い 2 次 系 機 器 の 破 損 を 想 定 し、 循 環 水 ポンプ 停 止 までに 生 ずる 溢<br />
水 量 、2 次 系 設 備 の 保 有 水 による 溢 水 量 及 び 循 環 水 管 の 損 傷 箇 所<br />
からの 津 波 流 入 量 の 合 計 が 建 屋 内 に 滞 留 するとして、 浸 水 量 を 算<br />
定 する。<br />
ウ. 循 環 水 系 機 器 及 び 配 管 の 損 傷 による 津 波 浸 水 量 の 算 定 では、 入<br />
力 津 波 の 時 刻 歴 波 形 に 基 づき 津 波 の 繰 り 返 しの 都 度 、 津 波 が 流 入<br />
し、 保 守 的 に 一 度 流 入 したものは 流 出 しないとする。<br />
エ. 地 震 に 起 因 する 地 下 部 外 壁 の 損 傷 による 地 下 水 の 流 入 について<br />
は、タービン 建 屋 の 想 定 溢 水 水 位 と 安 全 側 に 設 定 した 地 下 水 位 を<br />
比 較 して 流 入 量 を 算 定 する。<br />
b. 屋 外 配 管 やタンク 等 の 損 傷 による 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 の 津 波<br />
浸 水 量 、 溢 水<br />
ア. 屋 外 の 循 環 水 管 の 損 傷 箇 所 を 介 して、 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 に 津<br />
波 が 流 入 することが 考 えられるため、 循 環 水 管 から 流 出 した 津 波<br />
が、 浸 水 防 護 重 点 化 範 囲 に 及 ぼす 影 響 を 評 価 する。<br />
イ. 屋 外 の 循 環 水 管 の 損 傷 による 海 水 ポンプエリア 及 び 海 水 管 ダク<br />
トへの 津 波 の 流 入 等 を 防 止 するため、 海 水 ポンプエリア 防 護 壁 、<br />
水 密 扉 、 取 水 ピット 搬 入 口 蓋 、 床 ドレンライン 逆 止 弁 の 設 置 及 び<br />
貫 通 部 止 水 処 置 を 実 施 する。<br />
ウ. 屋 外 タンク 等 の 損 傷 による 溢 水 は、 別 途 溢 水 防 護 に 関 する 影 響<br />
評 価 を 実 施 し、 壁 、 扉 、 堰 等 を 設 置 することにより、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 、 原 子 炉 周 辺 建 屋 、 原 子 炉 補 助 建 屋 、 燃 料 取 替 用 水 タンク 建<br />
屋 、 海 水 ポンプエリア、 海 水 管 ダクト、 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料<br />
油 貯 蔵 タンクに 流 入 させない 設 計 とする。<br />
c. 地 下 水 の 流 入<br />
1 日 当 たりの 地 下 水 ( 湧 水 ) 量 の 実 績 値 に 対 して 湧 水 サンプポンプ<br />
の 排 出 量 が 大 きく 上 回 ることと、 湧 水 サンプポンプが 耐 震 性 を 有 する<br />
ことから 外 部 の 支 援 を 期 待 することなく 排 水 可 能 である。<br />
d. 施 設 、 設 備 の 施 工 上 生 じうる 隙 間 部<br />
48
津 波 及 び 溢 水 による 浸 水 を 想 定 するタービン 建 屋 地 下 部 において、<br />
施 工 上 生 じうる 建 屋 間 の 隙 間 部 には、 止 水 処 置 を 行 い、 浸 水 防 護 重 点<br />
化 範 囲 への 浸 水 を 防 止 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 の 隔 離 ( 内 郭 防 護 )<br />
について、 申 請 者 が 本 発 電 所 の 施 設 の 配 置 、 基 準 津 波 の 特 性 に 応 じた 浸 水 の 可<br />
能 性 のある 津 波 の 流 入 や 溢 水 を 保 守 的 に 評 価 して、 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施<br />
設 を 隔 離 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(5) 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 性 低 下 による 重 要 な 安 全 機 能 を 有 する 施 設 への 影<br />
響 防 止<br />
1 海 水 ポンプの 取 水 性<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 による 水 位 の 低 下 に 対 して 海 水 ポンプが 機 能 保<br />
持 できる 設 計 であることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 海 水 ポンプの 取 水 性 について、 以 下 の 方 針 としている。<br />
a. 海 水 ポンプ 位 置 の 評 価 水 位<br />
基 準 津 波 による 水 位 低 下 に 伴 う 海 水 ポンプ 位 置 での 水 位 を 算 定 す<br />
るため、 取 水 路 の 管 路 形 状 、 材 質 及 び 水 路 表 面 の 状 況 に 応 じた 摩 擦 損<br />
失 を 考 慮 したモデル 化 を 行 い、 管 路 の 水 理 解 析 ( 以 下 「 管 路 解 析 」と<br />
いう。)を 実 施 する。<br />
b. 水 位 低 下 に 対 する 耐 性 の 確 保<br />
管 路 解 析 に 基 づき、 取 水 ピット 内 の 基 準 津 波 による 下 降 側 の 入 力 津<br />
波 高 さ 水 位 を、EL.-4.5m と 算 定 した。この 値 は、 水 理 試 験 結 果 に 基<br />
づく 海 水 ポンプの 取 水 可 能 ( 最 低 ) 水 位 (EL.-5.18m)を 上 回 る 水 位<br />
であり、 水 位 低 下 に 対 して 海 水 ポンプは 機 能 保 持 できる。<br />
c. 循 環 水 ポンプの 運 用<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 と 循 環 水 系 の 水 路 等 が 同 一 であるが、ターボ<br />
機 械 協 会 基 準 「ポンプ 吸 込 水 槽 の 模 型 試 験 方 法 (TSJ S002)」( 一 般 社<br />
団 法 人 ターボ 機 械 協 会 )に 準 拠 した 水 理 模 型 試 験 により 循 環 水 系 の 運<br />
転 が 海 水 ポンプの 取 水 性 に 影 響 を 及 ぼすことがないことを 確 認 して<br />
いる。<br />
49
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 海 水 ポンプ 取 水 可 能 水 位 と、 引 き 波 時 の 下 降<br />
側 の 水 位 を 比 較 し 取 水 性 を 評 価 し、 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 性 低 下 に 対 して 海<br />
水 ポンプの 機 能 を 保 持 できるよう 設 計 すること、また、 循 環 水 ポンプの 運<br />
転 による 海 水 ポンプの 取 水 性 への 影 響 もないことから、これらの 方 針 が 解<br />
釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていること<br />
を 確 認 した。<br />
2 津 波 の 二 次 的 な 影 響 に 対 する 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 機 能 保 持<br />
確 認<br />
解 釈 別 記 3は、 基 準 津 波 による 水 位 変 動 に 伴 う 取 水 口 付 近 の 砂 の 移 動 及<br />
び 堆 積 並 びに 漂 流 物 について 適 切 に 評 価 することを 要 求 している。また、<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 については、 砂 の 移 動 及 び 堆 積 並 びに 漂 流 物 に 対 す<br />
る 通 水 性 を 確 保 すること、 混 入 した 浮 遊 砂 に 対 して 機 能 を 保 持 することを<br />
要 求 している。<br />
申 請 者 は、 取 水 口 付 近 の 砂 の 移 動 及 び 堆 積 並 びに 取 水 口 付 近 の 漂 流 物 の<br />
評 価 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 取 水 口 付 近 の 砂 の 移 動 及 び 堆 積<br />
基 準 津 波 に 伴 う 砂 の 堆 積 について、 砂 移 動 解 析 では、 取 水 口 付 近 の<br />
砂 の 堆 積 はほとんどないことから、 取 水 口 は 閉 塞 しない。<br />
b. 混 入 浮 遊 砂 に 対 する 海 水 ポンプの 機 能 保 持<br />
本 発 電 所 で 使 用 している 海 水 ポンプについて、 砂 が 混 入 しても 軸 固<br />
着 しにくい 構 造 とする。 具 体 的 には、 海 水 ポンプ 取 水 時 に 浮 遊 砂 の 一<br />
部 がポンプ 軸 受 に 混 入 したとしても、 約 3.2mm(4 号 炉 は 約 3.7mm)<br />
の 異 物 逃 がし 溝 から 排 出 される 構 造 とする。<br />
一 方 で、 本 発 電 所 付 近 の 砂 の 平 均 粒 径 が 0.5mm で、 数 mm 以 上 の 砂<br />
は 僅 かであり、 基 準 津 波 での 海 流 速 では、 数 mm 以 上 の 砂 は 浮 遊 しに<br />
くいことを 踏 まえると、 大 きな 粒 径 の 砂 はほとんど 混 入 せず、 海 水 ポ<br />
ンプの 取 水 機 能 は 保 持 できる。<br />
c. 取 水 口 付 近 の 漂 流 物<br />
基 準 津 波 に 伴 う 取 水 口 付 近 の 漂 流 物 について、 以 下 のとおり 取 水 性<br />
に 影 響 を 与 える 漂 流 物 はないと 評 価 している。<br />
50
ア. 津 波 シミュレーションの 結 果 を 踏 まえ、 本 発 電 所 構 内 及 び 本 発<br />
電 所 近 傍 から 半 径 5km の 範 囲 で 漂 流 物 となる 可 能 性 のある 施 設 、<br />
設 備 等 を 網 羅 的 に 調 査 して 抽 出 する。<br />
イ. 上 記 について、 地 震 による 損 傷 が 漂 流 物 の 発 生 可 能 性 を 高 める<br />
ことを 考 慮 ( 地 震 で 倒 壊 する 可 能 性 のあるものは 倒 壊 するとみな<br />
す。)して 漂 流 物 を 特 定 する。<br />
ウ. 地 震 に 起 因 する 敷 地 地 盤 の 変 状 、 標 高 変 化 等 を 保 守 的 に 考 慮 し<br />
て 特 定 する。<br />
エ. 本 発 電 所 構 内 で 漂 流 物 となる 可 能 性 があるものとして、 津 波 が<br />
遡 上 する EL. 約 +2.5m の 荷 揚 岸 壁 並 びに 1 号 炉 及 び 2 号 炉 放 水 口<br />
付 近 にある 資 機 材 等 を 特 定 した。 本 発 電 所 は 深 層 取 水 方 式 を 用 い<br />
ており、 取 水 口 は 沖 合 い 海 中 深 くにあること 並 びに 資 機 材 等 の 設<br />
置 位 置 及 び 津 波 の 流 向 を 考 慮 すると、 浮 遊 する 漂 流 物 は 取 水 口 へ<br />
は 向 かわないことから、 取 水 性 への 影 響 はない。<br />
オ. 本 発 電 所 構 内 の 荷 揚 岸 壁 に 停 泊 する 燃 料 等 輸 送 船 は、 津 波 警 報<br />
等 発 令 時 は 緊 急 避 難 するため、 漂 流 物 とはならない。<br />
カ. 本 発 電 所 構 外 で 漂 流 物 となる 可 能 性 があるものとして 本 発 電 所<br />
近 傍 で 航 行 不 能 となった 船 舶 、 漁 船 を 特 定 している。 本 発 電 所 は<br />
深 層 取 水 方 式 を 用 いており、 取 水 口 は 沖 合 い 海 中 深 くにあること<br />
並 びに 船 舶 、 漁 船 の 位 置 及 び 津 波 の 流 向 を 考 慮 すると、これらは<br />
取 水 口 周 辺 には 向 かわないことから 取 水 性 に 影 響 はない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 設 備 の 構 造 等 を 踏 まえた 基 準 津 波 による 取 水<br />
口 付 近 の 砂 の 移 動 及 び 堆 積 、 取 水 口 付 近 の 漂 流 物 の 影 響 も 含 めて 検 討 を 実<br />
施 することにより、 津 波 の 二 次 的 な 影 響 に 対 して 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の<br />
機 能 を 保 持 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合<br />
していること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(6) 津 波 監 視<br />
津 波 ガイドでは、 津 波 監 視 設 備 を 設 置 して 敷 地 への 津 波 の 繰 り 返 しの 襲 来 を<br />
察 知 し、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 の 機 能 を 確 実 に 確 保 することを 示 してい<br />
る。<br />
申 請 者 は、 津 波 監 視 設 備 として、 原 子 炉 周 辺 建 屋 の 壁 面 の EL. 約 +31m の 位<br />
置 に 津 波 監 視 カメラ(3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を、 取 水 ピットの EL. 約 +8.0m<br />
の 位 置 に 取 水 ピット 水 位 計 を 設 置 するとしている。 津 波 監 視 カメラは 赤 外 線 撮<br />
像 機 能 を 有 し、 昼 夜 問 わず 監 視 可 能 な 設 計 とし、 潮 取 水 ピット 水 位 計 は 津 波 水<br />
51
位 約 EL. 約 -7.0m~ 約 +8.0m を 測 定 範 囲 として 上 昇 側 及 び 下 降 側 の 津 波 高 さ<br />
が 計 測 できる 設 計 とし、いずれも 中 央 制 御 室 から 監 視 可 能 な 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 止 設 備 の 機 能 を 確 保 するために 津 波 監 視 設<br />
備 を 設 置 して、 敷 地 への 津 波 の 繰 り 返 しの 襲 来 を 察 知 すること 及 び 当 該 設 備 に<br />
より 昼 夜 問 わず 原 子 炉 制 御 室 から 監 視 可 能 としており、これらの 方 針 が 津 波 ガ<br />
イドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
4. 施 設 又 は 設 備 の 設 計 方 針 及 び 条 件<br />
津 波 ガイドでは、「3. 津 波 防 護 の 方 針 」を 具 体 化 するために 必 要 な 津 波 防 護<br />
施 設 、 浸 水 防 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 等 を 対 象 にして、 個 別 施 設 、 設 備 の 設 計 方 針<br />
及 び 漂 流 物 による 波 及 的 影 響 の 防 止 等 に 係 る 検 討 方 針 を 確 認 することを 示 して<br />
いる。<br />
(1) 津 波 防 護 施 設 の 設 計<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 について、その 構 造 に 応 じ、 波 力 による 侵 食 及<br />
び 洗 掘 に 対 する 抵 抗 性 並 びにすべり 及 び 転 倒 に 対 する 安 定 性 を 評 価 し、 越 流 時<br />
の 耐 性 にも 配 慮 した 上 で、 当 該 施 設 の 設 置 位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 津 波<br />
防 護 機 能 が 十 分 に 保 持 できるよう 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 護 止 設 備 、 津 波 監<br />
視 設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 の 周 辺 敷 地 高 さ<br />
は EL.+11.0m であり、 基 準 津 波 による 遡 上 波 は 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しない<br />
こと 及 び 基 準 津 波 による 下 降 側 の 津 波 高 さが、 海 水 ポンプの 取 水 可 能 水 位 を 上<br />
回 ることから、 津 波 防 護 施 設 に 該 当 する 施 設 はないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 防 護 施 設 の 設 計 について、 設 計 基 準 対 象 施 設<br />
の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防 護 止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除<br />
く。)を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 の 周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 基 準 津 波<br />
による 遡 上 波 は 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しないこと 及 び 基 準 津 波 による 下 降 側 の<br />
津 波 高 さが、 海 水 ポンプの 取 水 可 能 水 位 を 上 回 るとしていることから、 津 波 防<br />
護 施 設 に 該 当 する 施 設 はないことを 確 認 した。<br />
(2) 浸 水 防 止 設 備 の 設 計<br />
解 釈 別 記 3は、 浸 水 防 止 設 備 について、 浸 水 想 定 範 囲 における 浸 水 時 及 び 冠<br />
水 後 の 波 圧 等 に 対 する 耐 性 等 を 評 価 し、 越 流 時 の 耐 性 にも 配 慮 した 上 で、 当 該<br />
52
設 備 の 設 置 位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 浸 水 防 止 機 能 が 十 分 に 保 持 できる<br />
よう 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 防 止 設 備 ( 海 水 ポンプエリア 水 密 扉 等 )については、 浸 水 想<br />
定 範 囲 等 における 浸 水 時 の 波 圧 等 に 対 する 耐 性 及 び 溢 水 による 水 圧 に 対 する<br />
水 密 性 を 評 価 し、 当 該 設 備 の 設 置 位 置 における 浸 水 防 止 機 能 が 十 分 に 保 持 でき<br />
るよう 設 計 する 方 針 としている。これに 加 えて、 荷 重 の 組 合 せについては、 漂<br />
流 物 による 荷 重 、 余 震 による 荷 重 、 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 )と 入 力 津 波 によ<br />
る 荷 重 の 組 合 せを 考 慮 するとしている。また、 許 容 限 界 については、 地 震 後 、<br />
津 波 後 の 再 使 用 性 や 津 波 の 繰 り 返 し 作 用 を 想 定 し、 当 該 施 設 が 構 造 全 体 として<br />
変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )に 対 して 十 分 な 余 裕 を 有 するよう、 施 設 又 は 設<br />
備 を 構 成 する 材 料 の 変 形 が 弾 性 域 内 に 収 まることを 基 本 としている。<br />
また、 浸 水 防 止 設 備 のうち 水 密 扉 については、 常 時 開 閉 可 能 であるが、 開 放<br />
後 の 確 実 な 閉 止 操 作 、 中 央 制 御 室 からの 閉 止 確 認 及 び 閉 止 されていない 状 態 が<br />
確 認 された 場 合 の 閉 止 操 作 を 実 施 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 について、 申 請 者 が、 入 力 津<br />
波 に 対 して 浸 水 防 止 機 能 を 十 分 に 保 持 できるよう 設 計 すること、 設 備 に 作 用 す<br />
る 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせること、 地 震 後 、 津 波 後 の 再 使 用 性 や 津 波 の 繰 り 返<br />
し 作 用 に 配 慮 し 十 分 な 余 裕 を 有 するよう 許 容 限 界 を 設 定 すること 及 び 水 密 扉<br />
について 開 放 後 の 確 実 な 閉 止 操 作 等 の 手 順 を 整 備 し、 津 波 襲 来 時 に 閉 止 された<br />
状 態 を 保 持 することとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 して<br />
いること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(3) 津 波 監 視 設 備 の 設 計<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 監 視 設 備 について、 津 波 の 影 響 ( 波 力 、 漂 流 物 の 衝 突 等 )<br />
を 受 けにくい 位 置 への 設 置 若 しくは 影 響 の 防 止 策 又 は 緩 和 策 等 を 検 討 した 上<br />
で、 当 該 施 設 の 設 置 位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 津 波 監 視 機 能 が 保 持 できる<br />
よう 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 津 波 監 視 設 備 について、 入 力 津 波 高 さに 対 して 波 力 、 漂 流 物 の 影<br />
響 を 受 けない 位 置 に 設 置 し、 津 波 監 視 機 能 を 十 分 に 保 持 できるよう 設 計 する 方<br />
針 としている。これに 加 え、 余 震 による 荷 重 、 自 然 条 件 ( 積 雪 、 風 荷 重 )と 入<br />
力 津 波 による 荷 重 の 組 合 せを 考 慮 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 津 波 監 視 設 備 の 設 計 について、 申 請 者 が 入 力 津 波<br />
及 び 漂 流 物 に 対 して 津 波 監 視 機 能 を 十 分 に 保 持 できるよう 設 置 位 置 を 設 定 す<br />
53
ることとしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び<br />
津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
(4) 施 設 、 設 備 等 の 設 計 又 は 評 価 に 係 る 検 討 事 項<br />
1 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 における 検 討 事 項<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 に 当 たり、 津 波 に<br />
よる 荷 重 の 設 定 、 余 震 荷 重 の 考 慮 及 び 津 波 の 繰 り 返 し 作 用 の 考 慮 について、<br />
耐 津 波 設 計 上 の 十 分 な 裕 度 を 確 保 する 方 針 であることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 における 検 討 事 項 について、 以 下 の 方<br />
針 としている。これに 加 えて、 津 波 による 荷 重 の 設 定 において、 入 力 津 波<br />
を 算 出 する 数 値 計 算 に 含 まれる 不 確 かさ 及 び 各 施 設 、 設 備 等 の 機 能 損 傷 モ<br />
ードに 対 応 した 荷 重 の 算 定 過 程 に 介 在 する 不 確 かさを 考 慮 する 方 針 とし<br />
ている。<br />
a. 各 施 設 、 設 備 の 機 能 損 傷 モードに 対 応 した 荷 重 ( 浸 水 高 、 波 力 、 波<br />
圧 、 洗 掘 力 、 浮 力 等 )について、 入 力 津 波 から 十 分 な 余 裕 を 考 慮 して<br />
設 定 する。<br />
b. 余 震 の 発 生 の 可 能 性 を 検 討 した 上 で、 必 要 に 応 じて 余 震 による 荷 重<br />
と 入 力 津 波 による 荷 重 との 組 合 せを 考 慮 する。<br />
c. 入 力 津 波 の 時 刻 歴 波 形 に 基 づき、 津 波 の 繰 り 返 しの 襲 来 による 作 用<br />
が 浸 水 防 止 機 能 へ 及 ぼす 影 響 について 検 討 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 止 設 備 等 の 設 計 に 当 たって、 津 波 荷 重<br />
の 設 定 において 不 確 かさを 十 分 に 考 慮 すること、 余 震 による 荷 重 を 安 全 側<br />
に 組 み 合 わせることなどにより、 耐 津 波 設 計 上 の 十 分 な 裕 度 を 確 保 するこ<br />
ととしており、これらの 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 していること 及 び<br />
津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2 漂 流 物 による 波 及 的 影 響 の 検 討<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 の 外 側 の 発 電 所 敷 地 内 及 び 近 傍 において 建<br />
物 ・ 構 築 物 、 設 置 物 等 が 破 損 、 倒 壊 及 び 漂 流 する 可 能 性 がある 場 合 に、こ<br />
れらの 漂 流 物 が 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 に 波 及 的 影 響 を 及 ぼさな<br />
いよう、 漂 流 物 の 発 生 を 防 止 する 措 置 又 は 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備<br />
への 影 響 を 防 止 する 措 置 を 要 求 している。<br />
申 請 者 は、「 津 波 の 二 次 的 な 影 響 に 対 する 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 系 の 機 能<br />
保 持 確 認 」における 漂 流 物 の 可 能 性 の 検 討 及 びその 影 響 評 価 結 果 から、 浸<br />
水 防 止 設 備 は、 本 発 電 所 構 内 及 び 構 外 からの 漂 流 物 の 影 響 を 受 けないとし<br />
54
ている。 一 方 、 取 水 管 路 及 び 取 水 ピット 内 の 構 造 物 については、 漂 流 物 と<br />
なる 可 能 性 を 評 価 するとしている。その 評 価 結 果 を 踏 まえて、 浸 水 防 止 設<br />
備 を、 入 力 津 波 による 漂 流 物 の 衝 突 力 に 対 して 十 分 耐 え 得 る 構 造 として 設<br />
計 する 方 針 としている。<br />
なお、 津 波 監 視 設 備 については、 津 波 の 影 響 ( 波 力 及 び 漂 流 物 の 衝 突 等 )<br />
を 受 けない 位 置 に 設 置 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 浸 水 防 護 施 設 が 漂 流 物 による 波 及 的 影 響 を 受<br />
けないよう、 入 力 津 波 による 漂 流 物 の 衝 突 力 に 対 して 十 分 耐 え 得 る 構 造 と<br />
して 設 計 することとしており、この 方 針 が 解 釈 別 記 3の 規 定 に 適 合 してい<br />
ること 及 び 津 波 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3 津 波 影 響 軽 減 施 設 及 び 設 備 の 扱 い<br />
解 釈 別 記 3は、 津 波 防 護 施 設 及 び 浸 水 防 止 設 備 の 設 計 に 当 たって、 津 波<br />
影 響 軽 減 施 設 及 び 設 備 の 効 果 を 期 待 する 場 合 は、 当 該 施 設 及 び 設 備 の 設 置<br />
位 置 における 入 力 津 波 に 対 して 津 波 による 影 響 の 軽 減 機 能 が 保 持 される<br />
よう 設 計 することを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 ( 浸 水 防<br />
止 設 備 、 津 波 監 視 設 備 及 び 非 常 用 取 水 設 備 を 除 く。)を 内 包 する 建 屋 及 び<br />
区 画 が 設 置 されている 周 辺 敷 地 高 さは EL.+11.0m であり、 津 波 による 遡<br />
上 波 は 地 上 部 から 到 達 、 流 入 しないことから、 津 波 影 響 軽 減 施 設 等 を 設 置<br />
しないとしている。<br />
Ⅲ-4 外 部 からの 衝 撃 による 損 傷 の 防 止 ( 第 6 条 関 係 )<br />
第 6 条 は、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 ( 組 合 せも 含 む。) 及 び 人 為 事 象 ( 故 意 に<br />
よるものを 除 く。 以 下 本 節 において 同 じ。)により、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわ<br />
れないような 設 計 とすることなどを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出<br />
1. 自 然 現 象 の 抽 出<br />
2. 人 為 事 象 の 抽 出<br />
Ⅲ-4.2 外 部 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
55
Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ<br />
Ⅲ-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 する 重<br />
要 安 全 施 設 への 考 慮<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出<br />
安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 外 部 事 象 として、 自 然 現 象 ( 地 震 及 び 津<br />
波 を 除 く。) 及 び 人 為 事 象 を 抽 出 する 必 要 がある。<br />
1. 自 然 現 象 の 抽 出<br />
自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 を 検 討 するためには、 自 然 災 害 や 自 然 現 象 の 知 見 ・<br />
情 報 を 広 く 収 集 した 上 で、 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 環 境 を 基 に、 安 全 施 設 の<br />
安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 に 加 え、 当 該 自 然 現 象 に 関 連 して 発 生 する<br />
可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含 めて、 抽 出 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 国 内 外 の 基 準 や 文 献 等 に 基 づき 自 然 現 象 を 収 集 し、 海 外 の 選 定 基 準<br />
を 考 慮 の 上 、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 自 然 環 境 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 個 々の 自 然 現 象 として、 竜 巻 、 火 山 の 影 響 、 森 林 火 災 、 風<br />
( 台 風 )、 降 水 、 落 雷 、 生 物 学 的 事 象 、 凍 結 、 積 雪 、 高 潮 、 洪 水 及 び 地 滑 りの 12<br />
事 象 を 抽 出 している。<br />
また、これらの 自 然 現 象 ごとに、 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含<br />
めている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 自 然 現 象 の 抽 出 が、 自 然 災 害 や 自 然 現 象 に 関 する<br />
国 内 外 の 知 見 ・ 情 報 を 広 く 収 集 した 上 で、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 自 然 環<br />
境 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 を 抽 出 していること、<br />
その 抽 出 した 自 然 現 象 について、 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含 ま<br />
れていること、 及 び 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 具 体 的 に 例 示 した 自 然 現 象 が 全 て 含<br />
まれていることにより、その 抽 出 の 考 え 方 に 合 理 性 があることを 確 認 した。<br />
56
2. 人 為 事 象 の 抽 出<br />
人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 を 検 討 するためには、 人 為 事 象 に 関 する 知 見 ・ 情 報<br />
を 広 く 収 集 した 上 で、 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 状 況 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全<br />
機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 を 抽 出 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 国 内 外 の 基 準 や 文 献 等 に 基 づき 人 為 事 象 を 収 集 し、 海 外 の 選 定 基 準<br />
を 考 慮 の 上 、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 状 況 を 基 に、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に<br />
影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 として、 爆 発 、 近 隣 工 場 等 の 火 災 、 有 毒 ガス、 船 舶 の<br />
衝 突 、 電 磁 的 障 害 、 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 ) 及 びダムの 崩 壊 の 7 事 象 を 抽 出 して<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 人 為 事 象 の 抽 出 が、 人 為 事 象 に 関 する 国 内 外 の 知<br />
見 ・ 情 報 を 広 く 収 集 した 上 で、 本 発 電 所 の 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 の 状 況 を 基 に、 安 全<br />
施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 を 抽 出 していること、その 抽 出 した<br />
人 為 事 象 について、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 具 体 的 に 例 示 した 人 為 事 象 が 全 て 含<br />
まれていることにより、その 抽 出 の 考 え 方 に 合 理 性 があることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2 外 部 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
原 子 炉 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべき 外 部 事 象 ( 設 計 上 考 慮 すべき<br />
自 然 現 象 及 び 設 計 上 考 慮 すべき 人 為 事 象 )によって、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわ<br />
れない 設 計 とする 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )について、 自 然 現 象 ごと( 関 連 して 発<br />
生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 がある 場 合 はそれも 考 慮 に 含 める。)に 原 子 炉 施 設 に<br />
与 える 影 響 を 評 価 した 上 で、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 又 は 設 計<br />
上 考 慮 する 必 要 はないとする 設 計 方 針 を 策 定 している。<br />
これらの 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )に 対 する<br />
設 計 方 針 について、 竜 巻 については「Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針 」、<br />
火 山 の 影 響 については「Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 」、 森 林 火<br />
災 については 外 部 火 災 の 一 部 として「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」、<br />
風 ( 台 風 )、 降 水 、 落 雷 、 生 物 学 的 事 象 、 凍 結 、 積 雪 、 高 潮 、 洪 水 及 び 地 滑 りの 9<br />
事 象 ( 以 下 「その 他 自 然 現 象 」という。)については「Ⅲ-4.2.4 その 他 自<br />
然 現 象 に 対 する 設 計 方 針 」において 記 載 している。<br />
また、 申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の2.で 抽 出 した 安 全 施 設 の<br />
安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 (7 事 象 )について、 人 為 事 象 ごとに 原 子 炉<br />
57
施 設 に 与 える 影 響 を 評 価 した 上 で、 設 計 上 考 慮 すべき 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 又<br />
は 設 計 上 考 慮 する 必 要 はないとする 設 計 方 針 を 策 定 している。<br />
これらの 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 (7 事 象 )に 対 する 設<br />
計 方 針 について、 爆 発 、 近 隣 工 場 等 の 火 災 及 び 有 毒 ガスについては 外 部 火 災 の 一 部<br />
として「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」、 船 舶 の 衝 突 、 電 磁 的 障 害 、<br />
飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 ) 及 びダムの 崩 壊 の 4 事 象 ( 以 下 「その 他 人 為 事 象 」という。)<br />
については「Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針 」において 記 載 し<br />
ている。<br />
Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針<br />
第 6 条 第 1 項 及 び 第 2 項 は、 想 定 される 竜 巻 が 発 生 した 場 合 においても 安 全 施 設<br />
の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 竜 巻 に 対 する 防 護 に 関 して、 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
2. 発 生 を 想 定 する 竜 巻 の 設 定<br />
3. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
4. 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
5. 竜 巻 随 伴 事 象 に 対 する 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
竜 巻 によって 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないことを 確 認 するための 施 設<br />
を 抽 出 することが 必 要 である。この 抽 出 をするための 区 分 としては、 竜 巻 ガイド<br />
において、その 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 防 護 する 必 要 がある 竜 巻 防<br />
護 施 設 と、 竜 巻 防 護 施 設 に 対 して 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 の 双 方 ( 以 下 この 節 にお<br />
いて「 設 計 対 象 施 設 」という。)を 示 している。<br />
(1) 竜 巻 防 護 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
申 請 者 は、 竜 巻 防 護 施 設 として、 安 全 重 要 度 分 類 指 針 に 基 づくクラス1 及 び<br />
クラス2に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 抽 出 する 方 針 としている。また、ク<br />
ラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 は、 竜 巻 により 損 傷 した 場 合 であっても、<br />
代 替 手 段 があることなどにより 安 全 機 能 が 損 なわれないことから 抽 出 しない<br />
方 針 としている。なお、 浸 水 防 止 設 備 及 び 津 波 監 視 設 備 については、 竜 巻 と 津<br />
58
波 は 発 生 原 因 が 異 なり 同 時 に 発 生 するとは 考 えられないことから、 事 象 の 組 合<br />
せは 考 慮 せず、 竜 巻 防 護 施 設 として 抽 出 しない 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 竜 巻 防 護 施 設 を 抽 出 するための 方 針 が、 竜 巻 ガ<br />
イドを 踏 まえたものであり、それぞれの 安 全 機 能 を 勘 案 するとしていることを<br />
確 認 した。<br />
(2) 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
申 請 者 は、 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 として、 竜 巻 防 護 施 設 を 内<br />
包 する 施 設 に 隣 接 し 倒 壊 等 により 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 や、 気<br />
圧 差 等 によるダクト 等 の 損 傷 により 竜 巻 防 護 施 設 の 機 能 維 持 に 影 響 を 及 ぼし<br />
得 る 施 設 を 抽 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 を 抽 出 す<br />
る 方 針 について、 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
なお、 竜 巻 防 護 施 設 への 竜 巻 による 影 響 として 飛 来 物 によるものもあるが、<br />
この 点 については「3.(1) 設 計 竜 巻 荷 重 の 設 定 」にて 記 載 している。<br />
申 請 者 は、(1) 及 び(2)に 加 え、 竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 についても<br />
設 計 対 象 施 設 として 抽 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 竜 巻 によって 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないよ<br />
うに 設 計 する 上 で 必 要 な 竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 を 抽 出 するとしているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方<br />
針 が、 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであることに 加 え、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 に 着 目<br />
した 検 討 が 行 われていることを 確 認 した。<br />
2. 発 生 を 想 定 する 竜 巻 の 設 定<br />
竜 巻 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、 本 発 電 所 敷 地 への 襲 来 を 想 定 する 竜 巻<br />
( 以 下 「 設 計 竜 巻 」という。)を 設 定 することが 必 要 である。この 設 定 に 当 たっ<br />
ては、 竜 巻 ガイドにおいて、 竜 巻 発 生 の 観 点 から、 発 電 所 が 立 地 する 地 域 及 び 類<br />
似 の 気 象 条 件 等 を 有 する 地 域 ( 竜 巻 検 討 地 域 )を 設 定 した 上 で、 竜 巻 検 討 地 域 へ<br />
の 竜 巻 襲 来 実 績 を 踏 まえて 設 計 対 象 施 設 の 安 全 性 に 影 響 を 与 えるおそれがある<br />
竜 巻 ( 以 下 「 基 準 竜 巻 」という。)を 設 定 することを 示 している。さらに、 発 電<br />
所 が 立 地 する 地 域 の 特 性 を 踏 まえて 基 準 竜 巻 に 対 して 最 大 風 速 を 割 り 増 す 必 要<br />
性 を 検 討 した 上 で、 設 計 竜 巻 を 設 定 することを 示 している。<br />
59
(1) 竜 巻 検 討 地 域 の 設 定<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 が 立 地 する 地 域 と 気 象 条 件 の 類 似 性 の 観 点 及 び 局 所 的 な<br />
地 域 性 の 観 点 から 検 討 を 行 い、 竜 巻 検 討 地 域 を 設 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 竜 巻 検 討 地 域 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを 踏 まえた<br />
ものであり、 気 象 条 件 に 関 する 公 開 文 献 等 の 知 見 を 踏 まえて 検 討 していること、<br />
単 位 面 積 当 たりの 竜 巻 発 生 数 が 大 きくなるように、かつ、 藤 田 スケール( 以 下<br />
「F スケール」という。)が 比 較 的 大 きな 竜 巻 が 含 まれるように、 保 守 的 に 設<br />
定 していることを 確 認 した。<br />
(2) 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定<br />
申 請 者 は、 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定 に 当 たり、 竜 巻 検 討 地 域 において 過 去<br />
に 発 生 した 竜 巻 の 規 模 や 発 生 頻 度 、 最 大 風 速 の 年 超 過 確 率 等 を 考 慮 し、 過 去 に<br />
発 生 した 竜 巻 による 最 大 風 速 (V B1)と、 竜 巻 最 大 風 速 のハザード 曲 線 による 最<br />
大 風 速 (V B2)を 求 め、その 結 果 、 大 きい 方 を 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 として 設 定 し<br />
ている。<br />
具 体 的 に V B1 の 設 定 に 当 たっては、 竜 巻 検 討 地 域 で 過 去 に 発 生 した 竜 巻 の 最<br />
大 風 速 について、 信 頼 性 のあるデータ 等 が 得 られないことから、 日 本 国 内 で 過<br />
去 に 発 生 した 最 大 の 竜 巻 である F スケール 3( 風 速 70~92m/s)の 最 大 値 (92m/s)<br />
を 選 定 している。V B2 の 設 定 に 当 たっては、 竜 巻 検 討 地 域 におけるハザード 曲<br />
線 を 基 に、 年 超 過 確 率 10 -5 に 相 当 する 最 大 風 速 (76.0m/s)を 選 定 している。<br />
その 上 で、V B1 と V B2 を 比 較 し、 大 きい 方 の V B1 を 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 と 設 定 し<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを 踏<br />
まえたものであることに 加 え、データの 信 頼 性 を 考 慮 して、より 保 守 的 な 値 を<br />
選 択 していることを 確 認 した。<br />
(3) 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 等 の 設 定<br />
申 請 者 は、 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 の 設 定 に 当 たり、 本 発 電 所 の 地 形 等 を 踏 まえ<br />
れば、 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 を 割 り 増 す 必 要 がないが、 基 準 竜 巻 の 最 大 風 速 を 安<br />
全 側 に 切 り 上 げて 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 (100m/s)とするとしている。また、 設<br />
計 竜 巻 の 特 性 値 の 設 定 に 当 たり、 米 国 原 子 力 規 制 委 員 会 (NRC)の 基 準 類 を 参<br />
考 としたモデルを 用 いるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 竜 巻 の 最 大 風 速 等 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを<br />
踏 まえたものであることに 加 え、 割 増 しの 要 否 の 検 討 に 当 たって、 本 発 電 所 の<br />
地 域 特 性 や 公 開 文 献 等 の 知 見 を 踏 まえて 検 討 し 設 定 していることを 確 認 した。<br />
60
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 竜 巻 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを<br />
踏 まえたものであることに 加 え、 保 守 性 を 持 たせるなどの 考 慮 をしたものである<br />
ことを 確 認 した。<br />
3. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
竜 巻 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、 設 計 竜 巻 による 荷 重 ( 以 下 「 設 計 竜 巻<br />
荷 重 」という。)とその 他 の 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせた 荷 重 ( 以 下 「 設 計 荷 重 」<br />
という。)を 設 定 することが 必 要 である。<br />
(1) 設 計 竜 巻 荷 重 の 設 定<br />
申 請 者 は、 竜 巻 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うため、 設 計 竜 巻 の 設 計 竜 巻 荷 重 と<br />
しては、「 風 圧 力 による 荷 重 」、「 評 価 対 象 施 設 内 外 の 気 圧 差 による 荷 重 」 及 び<br />
「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」を 設 定 している。<br />
このうち「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」の 設 定 に 当 たっては、 本 発 電 所 構 内 において<br />
飛 来 物 となり 得 るものを 現 地 調 査 等 により 抽 出 した 上 で、 運 動 エネルギー 及 び<br />
貫 通 力 の 大 きさを 踏 まえ、 設 計 上 考 慮 すべき 飛 来 物 ( 以 下 「 設 計 飛 来 物 」とい<br />
う。)を 設 定 している。その 上 で、 衝 突 時 に 設 計 対 象 施 設 に 与 えるエネルギー<br />
が 設 計 飛 来 物 によるものより 大 きくなるものについては、 浮 き 上 がりや 横 滑 り<br />
の 有 無 を 考 慮 した 上 で、 固 定 、 固 縛 、 建 屋 内 収 納 等 により 確 実 に 飛 来 物 となら<br />
ないようにする 運 用 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 竜 巻 荷 重 の 設 定 が、 竜 巻 ガイドを 踏 まえた<br />
ものであることに 加 え、 衝 撃 荷 重 について、 飛 来 物 となり 得 るものを 抽 出 し 設<br />
計 飛 来 物 を 選 定 した 上 で 設 定 していること、 設 計 飛 来 物 より 運 動 エネルギー 又<br />
は 貫 通 力 が 大 きくなる 場 合 には 固 縛 等 の 飛 来 物 発 生 防 止 対 策 を 講 じる 方 針 と<br />
していることを 確 認 した。<br />
(2) 設 計 竜 巻 荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 の 設 定<br />
申 請 者 は、 設 計 竜 巻 荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 の 設 定 に 当 たり、 設 計 対 象 施 設<br />
に 常 時 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせるとしている。<br />
また、 竜 巻 と 同 時 に 発 生 し 得 る 自 然 現 象 による 荷 重 については、 竜 巻 と 同 時<br />
に 発 生 し 得 る 自 然 現 象 が 与 える 影 響 のモードを 踏 まえた 検 討 により、 設 計 竜 巻<br />
荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 として 考 慮 する 必 要 がないとしている。<br />
さらに、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せを 適 切 に 考 慮 する 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 設 計 竜 巻 荷 重 と 組 み 合 わせる 荷 重 を 設 定 するとして<br />
いることについて、 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
61
なお、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せについては「Ⅲ-4.4 大 きな 影<br />
響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 する 重 要 安 全 施 設 への 考<br />
慮 」で 記 載 している。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、「 風 圧 力 による 荷 重 」、「 評 価 対 象 施 設 内 外 の 気<br />
圧 差 による 荷 重 」 及 び「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」の 設 定 について、 竜 巻 ガイドを 踏 ま<br />
えたものであることを 確 認 した。これに 加 え、「 飛 来 物 の 衝 撃 荷 重 」については、<br />
飛 来 物 となり 得 るものを 抽 出 し 設 計 飛 来 物 を 選 定 した 上 で 設 定 していること、 設<br />
計 飛 来 物 より 運 動 エネルギー 又 は 貫 通 力 が 大 きくなる 場 合 には 固 縛 等 の 飛 来 物<br />
発 生 防 止 対 策 を 講 じる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
4. 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
設 計 対 象 施 設 については、 設 計 荷 重 に 対 してその 構 造 健 全 性 が 維 持 され、 竜 巻<br />
防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とすることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり、 竜 巻 に 対 して 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
いように 設 計 するとしている。<br />
(1) 建 屋 に 内 包 される 竜 巻 防 護 施 設<br />
竜 巻 防 護 施 設 のうち、 建 屋 等 に 内 包 され 防 護 される 施 設 ( 外 気 と 繋 がって<br />
いる 施 設 を 除 く。) は、 建 屋 等 による 防 護 により、 設 計 荷 重 に 対 して 安 全 機<br />
能 が 損 なわれない 方 針 としている。また、 建 屋 等 の 健 全 性 が 確 保 されず、 貫<br />
通 又 は 裏 面 剥 離 が 発 生 する 場 合 であっても、 防 護 ネット 等 の 防 護 対 策 を 実 施<br />
することにより、 設 計 荷 重 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれない 方 針 としている。<br />
(2) 屋 外 の 竜 巻 防 護 施 設 及 び 建 屋 内 の 施 設 で 外 気 と 繋 がっている 竜 巻 防 護<br />
施 設<br />
屋 外 の 竜 巻 防 護 施 設 は、 設 計 荷 重 による 影 響 により 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
い 設 計 とする。 安 全 機 能 が 損 なわれる 場 合 には、 必 要 に 応 じ 防 護 ネットや 防<br />
護 鋼 板 の 設 置 等 の 防 護 対 策 を 講 じることにより 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計<br />
としている。 建 屋 により 防 護 される 竜 巻 防 護 施 設 のうち、 外 気 と 繋 がる 施 設<br />
は、 設 計 荷 重 の 影 響 を 受 けても、 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としている。<br />
ただし、 設 計 荷 重 によって 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 影 響 を 受 ける 場 合 であ<br />
って、 安 全 上 支 障 のない 期 間 に 補 修 等 を 行 うことができる 場 合 には、 修 復 等<br />
により 確 実 に 復 旧 させる 運 用 としている。<br />
(3) 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設<br />
62
竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 施 設 に 隣 接 し 倒 壊 等 により 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響<br />
を 及 ぼし 得 る 施 設 や、 気 圧 差 等 によるダクト 等 の 損 傷 により 竜 巻 防 護 施 設 の<br />
機 能 維 持 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 については、 設 計 荷 重 による 影 響 を 受 ける<br />
場 合 においても 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響 を 与 えないように 設 計 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであり、 設 計 荷 重 に<br />
よって 生 じる 影 響 を 考 慮 し、 必 要 に 応 じて 竜 巻 防 護 施 設 及 び 竜 巻 防 護 施 設 に 影 響<br />
を 及 ぼし 得 る 施 設 に 対 して 防 護 対 策 を 講 じることにより、 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機<br />
能 が 損 なわれない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
5. 竜 巻 随 伴 事 象 に 対 する 設 計 対 象 施 設 の 設 計 方 針<br />
竜 巻 に 伴 い 発 生 が 想 定 される 事 象 ( 以 下 「 竜 巻 随 伴 事 象 」という。)の 考 慮 に<br />
ついては、 竜 巻 ガイドにおいて、 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 と<br />
することを 示 している。<br />
申 請 者 は、 竜 巻 随 伴 事 象 として、 過 去 の 他 地 域 における 竜 巻 被 害 状 況 及 び 本 発<br />
電 所 のプラント 配 置 から 想 定 される 事 象 として、 火 災 、 溢 水 、 外 部 電 源 喪 失 を 抽<br />
出 している。<br />
火 災 については、 屋 外 にある 危 険 物 タンク 等 からの 火 災 を 想 定 し、 火 災 源 と 竜<br />
巻 防 護 施 設 の 位 置 関 係 を 踏 まえて 熱 影 響 を 評 価 した 上 で、 竜 巻 防 護 施 設 の 許 容 温<br />
度 を 超 えないように 防 護 対 策 を 講 じる 方 針 としている。なお、 詳 細 については、<br />
「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」にて 記 載 する。<br />
また、 竜 巻 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 内 に 飛 来 物 が 侵 入 する 場 合 でも、 建 屋 開 口<br />
部 付 近 に 安 全 機 能 を 損 なう 可 能 性 のある 発 火 性 又 は 引 火 性 の 物 質 を 内 包 する 機<br />
器 はなく、 火 災 防 護 計 画 により 適 切 に 管 理 する 方 針 としている。<br />
溢 水 については、 屋 外 タンク 等 からの 溢 水 を 想 定 し、 溢 水 源 と 竜 巻 防 護 施 設 の<br />
位 置 関 係 を 踏 まえた 影 響 評 価 を 行 った 上 で、 竜 巻 防 護 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないよう 必 要 に 応 じた 防 護 対 策 を 講 じる 方 針 としている。なお、 詳 細 については、<br />
「Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )」にて 記 載 する。<br />
外 部 電 源 喪 失 については、ディーゼル 発 電 機 を 竜 巻 防 護 施 設 として 設 定 し、そ<br />
の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 防 護 する 設 計 とする 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 竜 巻 ガイドを 踏 まえたものであり、 危 険 物 タン<br />
ク 等 と 竜 巻 防 護 施 設 の 位 置 関 係 を 本 発 電 所 の 図 面 等 により 確 認 する 等 、 竜 巻 随 伴<br />
事 象 の 影 響 を 適 切 に 設 定 した 上 で、その 竜 巻 随 伴 事 象 に 対 して 竜 巻 防 護 施 設 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
63
Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
第 6 条 第 1 項 及 び 第 2 項 は、 想 定 される 火 山 事 象 が 発 生 した 場 合 においても 安 全<br />
施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出<br />
2. 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価<br />
3. 火 山 活 動 のモニタリング<br />
4. 原 子 力 発 電 所 への 火 山 事 象 の 影 響 評 価<br />
5. 火 山 活 動 に 対 する 防 護 に 関 して、 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
6. 降 下 火 砕 物 による 影 響 の 選 定<br />
7. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
8. 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
9. 降 下 火 砕 物 の 間 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出<br />
火 山 ガイドは、 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出 について、 地 理 的<br />
領 域 にある 第 四 紀 火 山 の 完 新 世 における 活 動 の 有 無 を 確 認 するとともに、 完 新 世<br />
に 活 動 を 行 っていない 火 山 については 過 去 の 活 動 を 示 す 階 段 ダイヤグラムを 作<br />
成 し、 将 来 の 火 山 活 動 可 能 性 が 否 定 できない 場 合 は、 個 別 評 価 対 象 とすることを<br />
示 している。<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出 について、 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
(1) 文 献 調 査 等 の 結 果 より 敷 地 から 半 径 160km の 地 理 的 領 域 内 にある 49 の 第<br />
うんぜんだけ あ そ<br />
四 紀 火 山 のうち、 完 新 世 に 活 動 を 行 った 火 山 として 雲 仙 岳 、 阿 蘇 カルデラ、<br />
ふくえ<br />
くじゅうさん ゆ ふ だけ つるみだけ 福 江 火 山 群 、 九 重 山 、 由 布 岳 、 鶴 見 岳 の 6 火 山 を 抽 出 した。なお、 地 理 的 領<br />
域 外 についても、 九 州 において 過 去 に 火 山 爆 発 度 指 数 ( 以 下 「VEI」という。)<br />
か く とう こばやし あいら あ た<br />
7 以 上 の 噴 火 が 発 生 した 加 久 藤 ・ 小 林 カルデラ、 姶 良 カルデラ、 阿 多 カルデ<br />
きかい<br />
ラ 及 び 鬼 界 カルデラの 4 火 山 を 抽 出 した。<br />
(2) 完 新 世 に 活 動 を 行 っていない 火 山 について、 階 段 ダイヤグラムを 作 成 し、<br />
最 後 の 活 動 からの 経 過 期 間 等 から 32 火 山 を 将 来 の 活 動 性 がないと 評 価 し、<br />
将 来 の 活 動 可 能 性 が 否 定 できない 火 山 として 11 火 山 を 抽 出 した。<br />
64
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 の 抽 出 は、<br />
階 段 ダイヤグラムの 作 成 等 により 過 去 の 火 山 活 動 履 歴 を 評 価 して 行 われている<br />
ことから、 火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価<br />
火 山 ガイドは、 原 子 力 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 火 山 について、 原 子 力 発 電 所<br />
の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 の 可 能 性 を 総 合 的 に 評 価 し、 可 能 性 が 十 分 小 さいと<br />
判 断 できない 場 合 は、 火 山 活 動 の 規 模 及 びその 火 山 事 象 の 影 響 評 価 を 実 施 するこ<br />
とを 示 している。<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価 について、<br />
以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 鹿 児 島 地 溝 ( 加 久 藤 ・ 小 林 カルデラ、 姶 良 カルデラ 及 び 阿 多 カルデラが 含<br />
まれる 地 帯 ) 全 体 としての VEI7 以 上 の 噴 火 の 平 均 発 生 間 隔 は 約 9 万 年 であ<br />
り、 当 該 地 域 における 最 新 の VEI7 以 上 の 噴 火 は 約 3.0 万 年 前 ないし 約 2.8<br />
万 年 前 であることから、 鹿 児 島 地 溝 については VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 間 隔<br />
は、 最 新 の VEI7 以 上 の 噴 火 からの 経 過 時 間 に 比 べて 十 分 長 く、 運 用 期 間 中<br />
における VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 可 能 性 は 十 分 低 いと 評 価 した。<br />
(2)Nagaoka(198898)による 噴 火 ステージ、 鍵 山 編 (2003)、 東 宮 (1997)な<br />
どによるマグマ 溜 まりの 浮 力 中 立 点 に 関 する 検 討 及 び Roche and Druitt<br />
(2001)、 篠 原 ほか(2008)などによるメルト 包 有 物 ・ 鉱 物 組 成 等 に 関 する<br />
分 析 結 果 などに 基 づくと、VEI7 以 上 の 噴 火 時 のマグマ 溜 まりは 少 なくとも 地<br />
下 10km 以 浅 にあると 考 えられること、Druitt et al.(2012)が VEI7 以 上<br />
の 噴 火 直 前 の 100 年 程 度 の 間 に 急 激 にマグマが 供 給 されたと 推 定 している 知<br />
見 、 及 び 地 球 物 理 学 的 調 査 の 情 報 からカルデラの 地 下 構 造 を 推 定 した 知 見 等<br />
に 基 づき、 国 土 地 理 院 の 電 子 基 準 点 間 基 線 距 離 の 変 化 率 からマグマ 供 給 の 状<br />
態 を 推 定 し、また、 階 段 ダイヤグラムに 基 づく 噴 火 ステージの 評 価 を 行 うこ<br />
とで、 現 在 のマグマ 溜 まりが VEI7 以 上 の 噴 火 直 前 の 状 態 ではないと 評 価 し、<br />
阿 蘇 カルデラ、 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ 及 び 鬼 界 カルデラにおける 運 用 期 間 中<br />
の VEI7 以 上 の 噴 火 の 活 動 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 した。<br />
(3) 運 用 期 間 中 の 噴 火 規 模 について、 阿 蘇 カルデラ、 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ 及<br />
び 鬼 界 カルデラについては 現 在 の 噴 火 ステージにおける 噴 火 は VEI6 以 下 の<br />
既 往 最 大 規 模 を、その 他 の 16 火 山 については 各 火 山 の 既 往 最 大 規 模 をそれ<br />
ぞれ 考 慮 した。これらの 火 山 と 敷 地 は 十 分 に 離 隔 距 離 があること 等 から、 溶<br />
岩 流 、 岩 屑 なだれ、 地 滑 り 及 び 斜 面 崩 壊 、 新 しい 火 口 の 開 口 並 びに 地 殻 変 動<br />
については、 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼさないす 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 し<br />
た。<br />
65
(4) 火 砕 物 密 度 流 に 関 しては、 阿 蘇 カルデラ 以 外 の 火 山 については、 敷 地 まで<br />
の 離 隔 距 離 から 評 価 すると 考 慮 する 必 要 がない。 阿 蘇 カルデラは、 地 質 調 査<br />
の 結 果 、 敷 地 から 半 径 30km の 範 囲 には 阿 蘇 4 火 砕 流 堆 積 物 が 複 数 箇 所 で 確<br />
認 されるものの、 敷 地 では 認 められない。<br />
(5)このように、 本 発 電 所 の 運 用 期 間 における 火 山 活 動 に 関 する 個 別 評 価 を 行<br />
った 結 果 、 阿 蘇 カルデラ、 鹿 児 島 地 溝 のカルデラ 及 び 鬼 界 カルデラについて<br />
は 現 在 の 噴 火 ステージにおけるは VEI6 以 下 の 既 往 最 大 規 模 、それ 以 外 の 火<br />
山 は 既 往 最 大 規 模 の 噴 火 を 考 慮 しても 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼさないと 評 価<br />
した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 本 発 電 所 の 運 用 期 間 中 の 検 討 対 象 火 山 の 活 動<br />
の 評 価 は、 過 去 の 活 動 履 歴 の 把 握 や 地 球 物 理 学 的 調 査 に 基 づいており、これらの<br />
手 法 が 火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 発 電 所 の 運 用 期 間 に 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事<br />
象 が 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 していることは 妥 当<br />
であると 判 断 した。<br />
3. 火 山 活 動 のモニタリング<br />
火 山 ガイドは、 火 山 活 動 のモニタリングに 関 して、 個 別 評 価 により 運 用 期 間 中<br />
に 火 山 活 動 の 可 能 性 が 十 分 小 さいと 評 価 した 火 山 であっても、 設 計 対 応 不 可 能 な<br />
火 山 事 象 が 敷 地 に 到 達 したと 考 えられる 火 山 に 対 しては、 噴 火 可 能 性 が 十 分 小 さ<br />
いことを 継 続 的 に 確 認 することを 目 的 として 運 用 期 間 中 のモニタリングを 行 い、<br />
噴 火 可 能 性 につながるモニタリング 結 果 が 観 測 された 場 合 には、 必 要 な 判 断 ・ 対<br />
応 をとることを 示 している。<br />
申 請 者 は、 過 去 に VEI7 以 上 の 噴 火 を 発 生 させた 阿 蘇 カルデラ、 加 久 藤 ・ 小 林<br />
カルデラ、 姶 良 カルデラ、 阿 多 カルデラ 及 び 鬼 界 カルデラについては、 運 用 期 間<br />
中 の VEI7 以 上 の 噴 火 の 可 能 性 が 十 分 低 いものの、 自 然 現 象 における 不 確 かさ 及<br />
び 敷 地 への 影 響 を 考 慮 した 上 で、これらの 火 山 を 対 象 に、 運 用 期 間 中 のモニタリ<br />
ングについて 以 下 のとおり 方 針 を 示 した。<br />
(1)VEI7 以 上 の 噴 火 の 早 期 の 段 階 であるマグマの 供 給 時 に 変 化 が 現 れる 地 殻<br />
変 動 及 び 地 震 活 動 について、 既 存 観 測 網 等 による 地 殻 変 動 及 び 地 震 活 動 の 観<br />
測 データ、 公 的 機 関 による 発 表 情 報 等 の 収 集 ・ 分 析 を 行 い、 第 三 者 の 火 山 専<br />
門 家 の 助 言 を 得 た 評 価 を 定 期 的 にかつ 警 戒 時 には 臨 時 で 行 うことで 火 山 活<br />
動 状 況 に 変 化 がないことを 定 期 的 に 確 認 する 計 画 とする。<br />
(2) 対 象 火 山 の 状 態 に 変 化 が 生 じた 場 合 は、 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 を 伴 う<br />
VEI7 以 上 の 噴 火 への 発 展 の 可 能 性 を 評 価 し、その 可 能 性 がある 場 合 には、 原<br />
66
子 炉 の 運 転 の 停 止 、 燃 料 体 等 の 搬 出 等 を 実 施 する 方 針 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 が 敷 地 に 到 達 することは<br />
ないと 評 価 し、 自 然 現 象 における 不 確 かさ 及 び 敷 地 への 影 響 を 考 慮 した 上 で、 九<br />
州 において 過 去 に VEI7 以 上 の 噴 火 が 発 生 した 火 山 を 対 象 に 噴 火 可 能 性 が 十 分 小<br />
さいことを 継 続 的 に 確 認 することを 目 的 として 運 用 期 間 中 のモニタリングを 計<br />
画 していることについては、 監 視 対 象 、 監 視 項 目 及 び 監 視 の 方 法 、 定 期 的 評 価 の<br />
方 針 並 びに 火 山 活 動 の 兆 候 を 把 握 した 場 合 の 対 処 方 針 を 示 していること 等 から、<br />
火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
4. 原 子 力 発 電 所 への 火 山 事 象 の 影 響 評 価<br />
火 山 ガイドは、 原 子 力 発 電 所 の 運 用 期 間 中 において 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象<br />
によって、 安 全 性 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 が 十 分 小 さいと 評 価 された 火 山 について、<br />
それが 噴 火 した 場 合 、 原 子 力 発 電 所 の 安 全 性 に 影 響 を 与 える 可 能 性 のある 火 山 事<br />
象 を 原 子 力 発 電 所 との 位 置 関 係 から 抽 出 し、その 影 響 評 価 を 行 うことを 示 してい<br />
る。<br />
申 請 者 は、 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 以 外 の 火 山 事 象 の 影 響 評 価 について、 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
(1) 火 山 性 土 石 流 、 火 山 泥 流 及 び 洪 水 、 火 山 から 発 生 する 飛 来 物 ( 噴 石 )、 火<br />
山 ガス、 津 波 及 び 静 振 、 大 気 現 象 、 火 山 性 地 震 とこれに 関 連 する 事 象 並 びに<br />
熱 水 系 及 び 地 下 水 の 異 常 の 影 響 については、 文 献 調 査 、 地 質 調 査 等 の 結 果<br />
から、 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 十 分 に 小 さいと 評 価 した。<br />
(2) 降 下 火 砕 物 については、 文 献 調 査 及 び 地 質 調 査 の 結 果 、 九 州 において VEI7<br />
以 上 の 噴 火 の 可 能 性 を 否 定 した 火 山 による 広 域 テフラ 以 外 の 降 下 火 砕 物 は<br />
敷 地 及 び 敷 地 付 近 には 認 められない。 敷 地 に 対 して 最 も 影 響 が 大 きい 降 下 火<br />
砕 物 は、 敷 地 からの 距 離 と 噴 出 物 量 との 関 係 から 九 重 山 における 約 5 万 年 前<br />
の 九 重 第 1 噴 火 によるものであり、6.2km 3 規 模 の 噴 火 を 考 慮 し、 移 流 拡 散 モ<br />
デルを 用 いたシミュレーションを 実 施 した 結 果 、 最 大 層 厚 としては、2.2cm<br />
であった。<br />
(3) 以 上 の 検 討 から、 敷 地 における 降 下 火 砕 物 の 最 大 層 厚 を 10cm と 設 定 した。<br />
降 下 火 砕 物 の 粒 径 及 び 密 度 は、 文 献 調 査 結 果 を 踏 まえ、 粒 径 を 2mm 以 下 、 乾<br />
燥 密 度 を 1.0g/cm 3 、 湿 潤 密 度 を 1.7g/cm 3 と 設 定 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 審 査 の 過 程 において、 九 重 山 を 対 象 とした 降 下 火 山 灰 シミュレ<br />
ーションにおいて、 既 往 文 献 を 踏 まえ、 噴 出 量 を 6.2km 3 とし、 風 向 の 不 確 かさも<br />
考 慮 して 評 価 することを 求 めた。<br />
67
これに 対 して、 申 請 者 はこれらを 反 映 したケースでも 降 下 火 山 灰 シミュレーシ<br />
ョンを 行 い、 降 下 火 砕 物 の 影 響 評 価 を 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 実 施 した 設 計 対 応 不 可 能 な 火 山 事 象 以 外 の 火 山 事 象 の<br />
影 響 評 価 については、 文 献 調 査 、 地 質 調 査 等 により、 本 発 電 所 への 影 響 を 評 価 す<br />
るとともに、 数 値 シミュレーションによる 降 下 火 砕 物 の 検 討 も 行 っていることか<br />
ら、 火 山 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
5. 火 山 活 動 に 対 する 防 護 に 関 して、 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
降 下 火 砕 物 によって 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないようにするために 必<br />
要 な 設 備 を 設 計 上 防 護 すべき 施 設 ( 以 下 この 節 において「 設 計 対 象 施 設 」という。)<br />
として 抽 出 する 方 針 が 示 されることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 の 影 響 を 設 計 に 考 慮 する 施 設 として、 安 全 重 要 度 分 類 指<br />
針 で 規 定 されているクラス1、クラス2 及 びクラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び<br />
機 器 を 抽 出 する 方 針 としている。このうち、クラス 1 及 びクラス2に 属 する 施 設<br />
で 建 屋 に 内 包 される 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 についてはこれらの 施 設 を 内 包 する 建<br />
屋 、 屋 外 に 設 置 されている 施 設 、 降 下 火 砕 物 を 含 む 海 水 及 び 空 気 の 経 路 が 存 在 す<br />
る 施 設 並 びに 外 気 から 取 り 入 れた 屋 内 の 空 気 を 機 器 内 に 取 り 込 む 機 構 を 有 する<br />
施 設 を 設 計 対 象 施 設 としている。また、クラス3に 属 する 施 設 及 びその 他 の 施 設<br />
のうち、 降 下 火 砕 物 の 影 響 によりクラス1 及 びクラス2に 属 する 施 設 に 影 響 を 及<br />
ぼす 可 能 性 がある 施 設 を 防 護 設 計 対 象 施 設 としている。それ 以 外 のクラス3に 属<br />
する 施 設 にあっては、 降 下 火 砕 物 による 影 響 を 受 ける 場 合 であっても、 代 替 設 備<br />
があることなどにより 安 全 機 能 が 損 なわれないことから 設 計 対 象 施 設 として 抽<br />
出 しない 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 対 象 施 設 を 抽 出 するための 方 針 が、 安 全 重 要<br />
度 分 類 指 針 に 従 って、 降 下 火 砕 物 によって 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがある 構<br />
築 物 、 系 統 及 び 機 器 並 びに 上 位 クラスへ 影 響 を 及 ぼし 得 る 施 設 について、 火 山 ガ<br />
イドを 踏 まえて 降 下 火 砕 物 の 特 徴 を 考 慮 した 上 で、 適 切 に 抽 出 するものとしてい<br />
ることを 確 認 した。<br />
6. 降 下 火 砕 物 による 影 響 の 選 定<br />
降 下 火 砕 物 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、 設 計 対 象 施 設 の 安 全 機 能 に 及 ぼ<br />
す 影 響 を 選 定 することが 必 要 である。この 選 定 に 当 たっては、 火 山 ガイドにおい<br />
て、 降 下 火 砕 物 が 直 接 及 ぼす 影 響 ( 以 下 「 直 接 的 影 響 」という。)とそれ 以 外 の<br />
影 響 ( 以 下 「 間 接 的 影 響 」という。)をそれぞれ 選 定 することを 示 している。<br />
68
(1) 直 接 的 影 響<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 の 特 徴 から 荷 重 、 閉 塞 、 摩 耗 、 腐 食 、 大 気 汚 染 、 水 質<br />
汚 染 及 び 絶 縁 低 下 を 設 定 した 上 で、 外 気 吸 入 の 有 無 等 の 特 徴 を 踏 まえ、 直 接 的<br />
影 響 の 主 な 因 子 として、 構 造 物 への 静 的 負 荷 、 建 屋 等 への 粒 子 の 衝 突 、 化 学 的<br />
影 響 ( 腐 食 )、 水 循 環 系 の 閉 塞 、 内 部 における 摩 耗 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )、 換<br />
気 系 、 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 に 対 する 機 械 的 影 響 ( 摩 耗 、 閉 塞 )、 化 学 的 影 響<br />
( 腐 食 )、 発 電 所 周 辺 の 大 気 汚 染 及 び 計 装 盤 の 絶 縁 低 下 を 選 定 している。<br />
(2) 間 接 的 影 響<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 が 原 子 力 発 電 所 に 間 接 的 に 与 える 影 響 について、 外 部<br />
電 源 の 喪 失 及 び 本 発 電 所 へのアクセスの 制 限 といった 本 発 電 所 外 で 生 じる 影<br />
響 を 選 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 及 び 間 接 的 影 響 の 選 定 が、<br />
火 山 ガイドを 踏 まえたものであり、 降 下 火 砕 物 の 特 徴 及 び 設 計 対 象 施 設 の 特 徴 を<br />
考 慮 していることを 確 認 した。<br />
7. 設 計 荷 重 の 設 定<br />
降 下 火 砕 物 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うためには、その 堆 積 荷 重 に 加 え、 火 山 事 象<br />
以 外 の 自 然 事 象 や 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せを 設 定 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うために、 個 々の 設 計 対 象 施 設 に<br />
応 じて 常 時 作 用 する 荷 重 、 運 転 時 荷 重 を 適 切 に 組 み 合 わせるとしている。 火 山 事<br />
象 以 外 の 自 然 事 象 による 荷 重 との 組 合 せについては、 同 時 発 生 の 可 能 性 のある 風<br />
( 台 風 ) 及 び 積 雪 を 対 象 としている。さらに、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せ<br />
を 適 切 に 考 慮 する 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 荷 重 の 設 定 が、 設 計 対 象 施 設 ごとに 常 時 作 用<br />
する 荷 重 及 び 運 転 時 荷 重 を 考 慮 するものとしていることを 確 認 した。<br />
なお、 同 時 発 生 の 可 能 性 のある 風 ( 台 風 ) 及 び 積 雪 の 組 合 せについては「Ⅲ-<br />
4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ」、 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 との 組 合 せについては「Ⅲ<br />
-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対 する 重 要<br />
安 全 施 設 への 考 慮 」で 記 載 している。<br />
8. 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
69
降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 によって 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 方 針 とする 必<br />
要 がある。<br />
(1) 構 築 物 等 の 健 全 性 の 維 持 ( 荷 重 )に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 設 計 対 象 施 設 のうち 降 下 火 砕 物 が 堆 積 する 建 屋 及 び 屋 外 施 設 につ<br />
いて、 建 屋 等 の 許 容 荷 重 が 設 計 荷 重 に 対 して 安 全 裕 度 を 有 することにより 構 造<br />
健 全 性 を 失 わず、 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 方 針 としている。また、 降 下 火 砕<br />
物 の 粒 子 の 衝 突 の 影 響 が 考 えられるが、 竜 巻 における 砂 等 の 飛 来 物 の 評 価 に 包<br />
絡 されるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 について、 建 屋 等 の 許 容 荷 重 が 設 計 荷 重 に 対 し<br />
て 余 裕 を 有 することにより 構 造 健 全 性 を 失 わず、 安 全 機 能 が 損 なわれない 方 針<br />
としていることを 確 認 した。<br />
(2) 外 気 取 入 口 からの 降 下 火 砕 物 の 侵 入 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 屋 外 に 連 通 する 開 口 部 を 有 する 設 計 対 象 施 設 については、 降 下 火<br />
砕 物 が 侵 入 しにくい 設 計 方 針 とするとともに、 腐 食 により 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないように 塗 装 を 行 うとしている。 中 央 制 御 室 は、 降 下 火 砕 物 により 大 気 汚 染<br />
が 本 発 電 所 で 発 生 した 場 合 、 外 気 を 遮 断 するため 中 央 制 御 室 空 調 装 置 の 閉 回 路<br />
循 環 運 転 等 を 実 施 できる 設 計 とした 上 で、 酸 素 濃 度 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 につい<br />
て 評 価 を 行 い、24 時 間 閉 回 路 循 環 運 転 を 実 施 した 場 合 においても 居 住 性 を 確<br />
保 できる 設 計 方 針 としている。また、 摺 動 部 を 有 する 施 設 については、 耐 摩 耗<br />
性 のある 材 料 を 使 用 することで 機 械 的 影 響 ( 摩 耗 )を 受 けないように 設 計 する<br />
としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 降 下 火 砕 物 や 設 計 対 象 施 設 の 特 徴 を 踏 まえて、<br />
降 下 火 砕 物 の 侵 入 による 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 、 摩 耗 )に 対 する 対 策 として、 平 型<br />
フィルタ 等 の 設 置 や 換 気 空 調 系 の 停 止 により、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないようにするとともに、 原 子 炉 制 御 室 にあっては 閉 回 路 循 環 運 転 等 により 居<br />
住 性 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(3)その 他 の 降 下 火 砕 物 が 及 ぼす 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 降 下 火 砕 物 による 構 造 物 への 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )、 水 循 環 系 の 閉<br />
塞 、 内 部 における 摩 耗 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )、 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 に 対 す<br />
る 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 ) 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 ) 等 によって、 以 下 のとおり 安 全<br />
機 能 が 損 なわれないように 設 計 するとしている。<br />
1 構 造 物 への 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )<br />
70
設 計 対 象 施 設 である 建 屋 及 び 屋 外 施 設 は、 外 装 塗 装 等 を 実 施 し、 降 下 火<br />
砕 物 に 含 まれる 腐 食 性 ガスによる 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )に 対 して、 安 全 機 能<br />
が 損 なわれないように 設 計 するとしている。<br />
2 水 循 環 系 の 閉 塞 、 内 部 における 摩 耗 及 び 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )<br />
設 計 対 象 施 設 である 水 循 環 系 を 有 する 施 設 は、 降 下 火 砕 物 の 粒 径 に 対 し<br />
て、その 施 設 の 狭 隘 部 に 十 分 な 流 路 幅 を 設 け 閉 塞 しないように 設 計 すると<br />
している。 降 下 火 砕 物 の 性 状 の 変 化 による 閉 塞 については、 降 下 火 砕 物 が<br />
粘 土 質 でないため 考 慮 する 必 要 はないとしている。また、 降 下 火 砕 物 から<br />
海 水 に 溶 出 した 腐 食 性 成 分 による 腐 食 に 対 しては、 塗 装 又 は 耐 食 性 を 有 す<br />
る 材 料 の 使 用 等 により 影 響 を 及 ぼさないように 設 計 するとしている。 摩 耗<br />
については、 降 下 火 砕 物 の 硬 度 が 砂 よりも 低 くもろいことから、 日 常 保 守<br />
管 理 等 により 補 修 が 可 能 としている。<br />
3 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 に 対 する 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 ) 及 び 化 学 的 影<br />
響 ( 腐 食 )<br />
電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 の 設 計 対 象 施 設 は、 外 気 と 遮 断 された 全 閉 構 造 等<br />
により 機 械 的 影 響 ( 閉 塞 )を 受 けず、また 塗 装 等 により 化 学 的 影 響 ( 腐 食 )<br />
を 受 けないように 設 計 するとしている。<br />
4 その 他 の 影 響<br />
設 計 対 象 施 設 への 直 接 的 影 響 としては、 上 記 の1から3の 他 に、 水 質 汚<br />
染 の 影 響 が 考 えられるが、これの 影 響 については、 設 計 対 象 施 設 の 構 造 上 、<br />
有 意 な 影 響 を 受 ける 可 能 性 がないとしている。<br />
また、 電 気 系 及 び 計 装 制 御 系 の 計 装 盤 は、 絶 縁 低 下 しないように 外 気 取<br />
入 口 にフィルタを 設 置 する 等 の 空 調 管 理 された 場 所 に 設 置 するとしてい<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 降 下 火 砕 物 の 特 徴 を 踏 まえ、 設 計 対 象 施 設 に<br />
与 える 化 学 的 影 響 、 機 械 的 影 響 その 他 の 影 響 に 対 して、 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
い 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(4) 降 下 火 砕 物 の 除 去 等 の 対 策<br />
申 請 者 は、 設 計 対 象 施 設 に、 長 期 にわたり 静 的 荷 重 がかかることや 化 学 的 影<br />
響 ( 腐 食 )が 発 生 することを 避 け、 安 全 機 能 を 維 持 するために、 降 下 火 砕 物 の<br />
降 灰 時 の 特 別 点 検 、 除 灰 等 の 対 応 を 適 切 に 実 施 する 方 針 としている。<br />
71
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 降 下 火 砕 物 の 除 去 等 について、 除 灰 作 業 等 に 必 要 な<br />
資 機 材 を 確 保 するとともに、 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 降 下 火 砕 物 の 直 接 的 影 響 により 安 全 機<br />
能 が 損 なわれないとしており、この 設 計 方 針 が 火 山 ガイドを 踏 まえていることを<br />
確 認 した。<br />
9. 降 下 火 砕 物 の 間 接 的 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
火 山 ガイドは、 降 下 火 砕 物 による 間 接 的 影 響 として 長 期 間 の 外 部 電 源 の 喪 失 及<br />
び 交 通 の 途 絶 を 想 定 し、 外 部 からの 支 援 がなくても、 原 子 炉 及 び 使 用 済 燃 料 プー<br />
ルの 安 全 性 を 損 なわないように 対 応 が 取 れることを 示 している。<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 及 び 使 用 済 燃 料 ピット(※ 1 )の 安 全 性 を 損 なわないように<br />
ディーゼル 発 電 機 及 びタンクローリを 備 えるとし、7 日 間 の 連 続 運 転 により、 電<br />
力 の 供 給 を 可 能 とする 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が 降 下 火 砕 物 の 間 接 的 影 響 として 外 部 電 源 喪 失 及<br />
び 交 通 の 途 絶 を 想 定 し、ディーゼル 発 電 機 及 びタンクローリを 備 え、7 日 間 の 連<br />
続 運 転 を 可 能 とする 方 針 が 火 山 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
第 6 条 第 1 項 から 第 3 項 は、 敷 地 及 び 敷 地 周 辺 で 想 定 される 自 然 現 象 及 び 人 為 事<br />
象 による 火 災 等 ( 以 下 「 外 部 火 災 」という。)が 発 生 した 場 合 においても、その 影<br />
響 によって、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 してい<br />
る。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 外 部 火 災 に 対 して、 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
2. 考 慮 すべき 外 部 火 災<br />
3. 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
(1) 森 林 火 災<br />
(2) 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発<br />
(3) 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災<br />
(4)ばい 煙 及 び 有 毒 ガス<br />
(※ 1 ) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 プールに 対 して 申 請 者 が 用 いている 名 称 。<br />
72
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 設 計 上 対 処 すべき 施 設 を 抽 出 するための 方 針<br />
外 部 火 災 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないような 設 計 方 針 を 策 定<br />
するに 当 たり、 外 部 火 災 の 影 響 を 受 け 得 る 施 設 を 抽 出 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 安 全 施 設 が 外 部 火 災 の 影 響 を 受 けた 場 合 において、 原 子 炉 施 設 の 安<br />
全 性 を 確 保 するため、 安 全 重 要 度 分 類 指 針 に 基 づき、 設 計 上 対 処 すべき 施 設 ( 以<br />
下 「 外 部 火 災 防 護 施 設 」という。)として、クラス1、クラス2 及 びクラス3に<br />
属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 抽 出 する 方 針 としている。このうち、 建 屋 に 内 包<br />
される 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 については、 建 屋 を 外 部 火 災 防 護 施 設 として 抽 出 す<br />
る 方 針 としている。また、 外 部 火 災 の 二 次 的 影 響 に 対 して、 外 気 を 取 り 入 れるク<br />
ラス1、クラス2 及 びクラス3に 属 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を 外 部 火 災 防 護 施<br />
設 として 抽 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 外 部 火 災 防 護 施 設 の 抽 出 方 針 について、 外 部 火 災<br />
によって 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがある 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 を、 火 炎 及 び<br />
輻 射 熱 の 影 響 並 びにばい 煙 等 の 二 次 的 影 響 の 特 徴 を 考 慮 した 上 で、 安 全 重 要 度 分<br />
類 指 針 に 従 って 抽 出 するものとしていることを 確 認 した。<br />
2. 考 慮 すべき 外 部 火 災<br />
外 部 火 災 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないような 設 計 方 針 を 策 定<br />
するに 当 たり、 外 部 火 災 ガイドは、 種 々の 火 災 とその 二 次 的 影 響 について、 考 慮<br />
すべきものを 示 している。<br />
申 請 者 は、 外 部 火 災 として、 森 林 火 災 、 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発 及 び 航 空<br />
機 落 下 等 による 火 災 ( 発 電 所 敷 地 内 に 存 在 する 危 険 物 タンク 火 災 等 を 含 む。)を<br />
選 定 し、 二 次 的 影 響 としてばい 煙 及 び 有 毒 ガスによる 影 響 を 選 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 外 部 火 災 の 設 定 が、 外 部 火 災 ガイドを 踏 まえたも<br />
のであることを 確 認 した。<br />
3. 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
(1) 森 林 火 災<br />
森 林 火 災 に 対 する 防 護 設 計 を 行 うために、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
いように、 外 部 火 災 ガイドは、 発 電 所 周 辺 で 発 生 し 得 る 森 林 火 災 の 設 定 方 法 、<br />
森 林 火 災 による 発 電 所 への 影 響 を 評 価 する 方 法 を 示 している。<br />
73
申 請 者 は、 以 下 のとおり 森 林 火 災 を 設 定 し、その 延 焼 を 防 ぐための 手 段 とし<br />
て 防 火 帯 を 設 けるとした 上 で、 防 火 帯 の 幅 、 危 険 距 離 ( 火 災 の 延 焼 防 止 に 必 要<br />
な 距 離 ) 及 び 火 炎 が 防 火 帯 外 縁 に 到 達 するまでの 時 間 を 評 価 し、 設 計 方 針 を 策<br />
定 している。<br />
1 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 による 影 響 評 価<br />
森 林 火 災 による 影 響 を 評 価 するに 当 たり、 外 部 火 災 ガイドは、 発 生 を 想<br />
定 する 森 林 火 災 の 設 定 方 法 、 延 焼 速 度 、 火 線 強 度 及 び 火 炎 輻 射 強 度 の 算 出<br />
方 法 を 示 すとともに、 延 焼 速 度 を 基 に 発 火 点 から 発 電 所 までの 到 達 時 間 を、<br />
火 線 強 度 を 基 に 防 火 帯 幅 を、 火 炎 輻 射 強 度 を 基 に 危 険 距 離 を 算 出 する 方 法<br />
を 示 している。<br />
a. 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定<br />
申 請 者 は、 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定 として、 本 発 電 所 周 辺 の<br />
可 燃 物 の 量 ( 植 生 )、 気 象 条 件 、 発 火 点 等 の 森 林 火 災 の 発 生 に 関 連 す<br />
る 条 件 について、 以 下 のように 設 定 している。<br />
ア. 可 燃 物 の 量 ( 植 生 )の 設 定<br />
申 請 者 は、 佐 賀 県 から 入 手 した 森 林 簿 、 現 地 調 査 等 により 得 ら<br />
れた 樹 種 、 林 齢 に 基 づき、 可 燃 物 となる 植 生 を 設 定 している。<br />
イ. 気 象 条 件 の 設 定<br />
申 請 者 は、 佐 賀 県 における 森 林 火 災 発 生 頻 度 が 年 間 を 通 じて 比<br />
較 的 高 い 月 の 枝 木 、 唐 津 、 平 戸 の 過 去 10 年 間 の 気 象 データの 中<br />
から、 最 小 湿 度 、 最 高 気 温 及 び 最 大 風 速 をそれぞれ 抽 出 し、それ<br />
らの 組 合 せを 気 象 条 件 として 設 定 している。また、 風 向 について<br />
は、 上 記 の 気 象 データの 中 から 最 大 風 速 における 風 向 と 最 多 風 向<br />
の 出 現 回 数 を 調 査 し、これらを 基 に 卓 越 風 向 を 設 定 し、 評 価 に 必<br />
要 なパラメータごとに、より 厳 しい 値 を 採 用 している。<br />
ウ. 発 火 点 の 設 定<br />
申 請 者 は、 発 火 点 の 設 定 について、 人 為 的 行 為 と 卓 越 風 向 を 考<br />
慮 して 発 生 頻 度 が 高 いと 想 定 される 発 電 所 の 東 に 発 火 点 1を 設<br />
定 し、さらに、 卓 越 風 向 とは 異 なるが 人 為 的 行 為 と 最 大 風 速 を 考<br />
慮 して 南 東 の 道 路 沿 いに 発 火 点 2 を 設 定 している。2 つの 発 火 点<br />
を 基 に 評 価 に 必 要 なパラメータを 算 出 し、パラメータごとに、よ<br />
74
り 厳 しい 値 を 採 用 している。また、いずれの 発 火 点 も、 発 電 所 か<br />
らの 直 線 距 離 が 10km までの 範 囲 内 であり、 発 火 源 として 人 為 的<br />
行 為 を 想 定 している。<br />
エ. 土 地 の 利 用 状 況 及 び 地 形 の 設 定<br />
申 請 者 は、 土 地 の 利 用 状 況 について、 国 土 交 通 省 により 提 供 さ<br />
れている 国 土 数 値 情 報 の 100m メッシュのデータを 用 い、 地 形 デ<br />
ータについては 国 土 地 理 院 により 提 供 されている 基 盤 地 図 情 報<br />
の 10m メッシュの 標 高 データを 用 いている。<br />
オ. 発 火 時 刻 の 設 定<br />
申 請 者 は、 森 林 火 災 の 発 火 時 刻 について、 日 照 時 間 に 応 じた 感<br />
度 解 析 を 行 い、 火 線 強 度 又 は 反 応 強 度 が 最 大 となる 時 刻 を 採 用 し<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定 が 外 部<br />
火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 植 生 、 気 象 条 件 等 の 設 定 が 本 発 電<br />
所 周 辺 の 特 徴 を 考 慮 していること、 発 火 時 刻 の 設 定 が 火 線 強 度 又 は 反<br />
応 強 度 を 最 大 にするものであり 保 守 的 なものであることを 確 認 した。<br />
b. 森 林 火 災 による 影 響 評 価<br />
申 請 者 は、 以 上 の 設 定 を 基 に、 森 林 火 災 シミュレーション 解 析 コー<br />
ド(FARSITE)を 用 いて、 延 焼 速 度 、 火 線 強 度 及 び 火 炎 輻 射 強 度 を 算 出<br />
した 上 で、 延 焼 速 度 を 基 に 発 火 点 から 防 火 帯 までの 到 達 時 間 を、 火 線<br />
強 度 を 基 に 防 火 帯 幅 を 算 出 している。 具 体 的 には、 延 焼 速 度 を 1.23m/s<br />
とし、これを 基 に、 発 火 点 から 防 火 帯 までの 火 災 の 到 達 時 間 を 約 0.46<br />
時 間 としている。 防 火 帯 の 外 縁 での 最 大 火 線 強 度 を 14,750 kW/m とし、<br />
これに 必 要 な 防 火 帯 幅 を 29.7m としている。また、 最 大 の 火 炎 輻 射 強<br />
度 を 404kW/m 2 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 の 影 響 評 価 が 外 部 火 災 ガイド<br />
を 踏 まえたものであり、 受 熱 側 の 輻 射 強 度 が 保 守 的 に 評 価 されるよう<br />
森 林 火 災 をモデル 化 するとともに、 延 焼 速 度 、 火 線 強 度 及 び 火 炎 輻 射<br />
強 度 を 評 価 し、 防 火 帯 幅 を 導 出 していることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 の 設 定 及 び 森 林 火 災 による 影 響 評<br />
75
価 が 外 部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 必 要 なパラメータが 適 切 に 設<br />
定 及 び 算 出 されていることを 確 認 した。<br />
2 森 林 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
発 生 を 想 定 する 森 林 火 災 の 設 定 等 に 関 して、 外 部 火 災 ガイドは、 発 火 点<br />
から 発 電 所 敷 地 境 界 までの 到 達 時 間 の 算 出 及 び 防 火 帯 幅 の 設 定 の 考 え 方<br />
を 示 している。<br />
申 請 者 は、 発 火 点 から 防 火 帯 までの 到 達 時 間 が 約 0.46 時 間 と 算 出 され<br />
たことから、 発 電 所 に 常 駐 する 自 衛 消 防 隊 により、 万 が 一 の 飛 び 火 等 によ<br />
る 火 炎 の 延 焼 を 防 止 することが 可 能 であるとしている。<br />
必 要 な 防 火 帯 幅 が 29.7 m と 算 出 されたことから、 森 林 伐 採 により 35 m<br />
以 上 の 防 火 帯 幅 を 確 保 するとしている。また、 森 林 火 災 による 熱 影 響 ( 最<br />
大 の 火 炎 輻 射 強 度 )が 404 kW/m 2 と 算 出 されたことから、 設 計 方 針 の 策 定<br />
に 用 いる 火 炎 輻 射 強 度 を 500 kW/m 2 とし、これに 対 する 危 険 距 離 を 算 出 し<br />
た 上 で、 危 険 距 離 に 応 じた 離 隔 距 離 を 確 保 するとしている。<br />
これらの 消 火 活 動 、 防 火 帯 幅 及 び 離 隔 距 離 の 設 定 を 前 提 として、 森 林 火<br />
災 に 対 する 設 計 方 針 を、 以 下 のように 策 定 するとしている。<br />
外 部 火 災 防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 について、 防 火 帯 外 縁 における 森 林 火<br />
災 から 最 も 近 い 建 屋 の 外 壁 温 度 が 許 容 値 を 下 回 るように 設 計 するとして<br />
いる。クラス1 及 びクラス2に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 につい<br />
ては、 森 林 火 災 に 伴 う 温 度 上 昇 により 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計<br />
するとしている。また、クラス3に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 に<br />
ついては、 防 火 帯 の 内 側 への 設 置 、 代 替 設 備 の 確 保 、 又 は 火 災 防 護 計 画 に<br />
基 づく 消 火 活 動 により 防 護 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 に 対 する 設 計 が 外 部 火 災 ガイドを<br />
踏 まえたものであり、 必 要 な 防 火 帯 幅 及 び 外 部 火 災 防 護 施 設 との 離 隔 距 離<br />
を 確 保 するとしていること、 代 替 設 備 の 確 保 等 によりクラス3に 属 する 屋<br />
外 の 構 築 物 等 を 防 護 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 森 林 火 災 に 対 する 設 計 が 森 林 火 災 による 影 響 に<br />
対 して 必 要 な 防 火 帯 幅 等 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(2) 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発<br />
近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない<br />
ように、 発 電 所 敷 地 外 の 石 油 コンビナート 等 を 抽 出 した 上 で、 設 計 方 針 を 策 定<br />
76
する 必 要 がある。 外 部 火 災 ガイドは、それらに 火 災 ・ 爆 発 が 発 生 した 場 合 の 影<br />
響 ( 飛 来 物 を 含 む。)について 評 価 する 方 法 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼすような 火 災 ・ 爆 発 を 発 生 し 得 る 近 隣 の 産 業<br />
施 設 を 調 査 し、 発 電 所 敷 地 外 の 半 径 10km 以 内 に 石 油 コンビナート 等 に 相 当 す<br />
る 施 設 はないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 近 隣 の 産 業 施 設 の 火 災 ・ 爆 発 の 発 生 の 想 定 が 外<br />
部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 近 隣 に 石 油 コンビナート 等 に 相 当 する 施<br />
設 はないとしていることを 確 認 した。<br />
(3) 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災<br />
航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 対 して 防 護 設 計 を 行 うために、 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 が 損 なわれないように、 外 部 火 災 ガイドは、 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落<br />
下 の 想 定 の 方 法 、この 火 災 による 発 電 所 への 影 響 を 評 価 する 方 法 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のように、 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災 を<br />
設 定 した 上 で、 設 計 方 針 を 策 定 している。その 際 、 航 空 機 落 下 による 火 災 と 発<br />
電 所 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 の 重 畳 を 考 慮 している。<br />
1 発 生 を 想 定 する 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災<br />
の 設 定 等<br />
航 空 機 落 下 による 影 響 を 評 価 するに 当 たり、 外 部 火 災 ガイドは、 落 下 を<br />
想 定 する 航 空 機 の 条 件 及 び 落 下 地 点 の 設 定 方 法 、 輻 射 強 度 の 算 定 方 法 を 示<br />
している。<br />
申 請 者 は、 以 下 のように、 発 電 所 敷 地 内 への 航 空 機 落 下 による 火 災 だけ<br />
でなく、これに 伴 う 危 険 物 による 火 災 についても 想 定 し、 航 空 機 落 下 によ<br />
る 火 災 とそれに 伴 う 危 険 物 による 火 災 も 考 慮 し、 輻 射 強 度 を 算 出 している。<br />
a. 航 空 機 による 火 災 の 設 定<br />
申 請 者 は、 航 空 機 落 下 事 故 の 発 生 状 況 や 機 種 による 飛 行 形 態 の 違 い<br />
に 関 する 最 新 の 知 見 を 基 に、 航 空 機 を 種 類 別 に 分 類 し、その 種 類 ごと<br />
に 燃 料 積 載 量 が 最 大 の 航 空 機 を 選 定 している。その 航 空 機 ごとの 落 下<br />
確 率 に 関 する 知 見 を 基 に、 敷 地 内 において 航 空 機 落 下 確 率 が 10 -7 回 /<br />
炉 ・ 年 以 上 となる 区 域 を、 選 定 された 航 空 機 ごとに 特 定 し、その 中 で<br />
安 全 施 設 から 最 も 近 い 場 所 に 航 空 機 が 落 下 し、 搭 載 された 全 燃 料 が 発<br />
火 した 場 合 の 火 災 を 想 定 している。なお、 落 下 実 績 がない 航 空 機 につ<br />
いては、 保 守 的 に 落 下 実 績 を 0.5 件 としている。その 上 で、 選 定 され<br />
77
た 航 空 機 ごとの 燃 料 積 載 量 と 落 下 地 点 から 安 全 施 設 までの 距 離 を 基<br />
に、 輻 射 強 度 が 最 大 となる 航 空 機 の 種 類 を 特 定 し、その 落 下 による 火<br />
災 を 設 計 方 針 の 策 定 のために 設 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 による 火 災 の 設 定 が 外 部 火<br />
災 ガイドを 踏 まえたものであり、 航 空 機 落 下 確 率 が 10 -7 回 / 炉 ・ 年 以<br />
上 となる 範 囲 が 設 定 されていること、 搭 載 された 全 燃 料 が 燃 焼 した 場<br />
合 を 想 定 していること、その 上 で 輻 射 強 度 が 最 大 となる 航 空 機 の 種 類<br />
と 落 下 地 点 を 仮 定 することにより、 航 空 機 落 下 による 火 災 が 保 守 的 に<br />
設 定 されていることを 確 認 した。<br />
b. 発 電 所 敷 地 内 の 危 険 物 タンクによる 火 災 の 設 定<br />
申 請 者 は、 発 電 所 敷 地 内 に 存 在 する 危 険 物 タンクのうち、 燃 料 保 有<br />
量 が 多 く、 直 接 原 子 炉 施 設 を 臨 むことができるタンク 類 を 選 定 し、タ<br />
ンク 内 の 燃 料 量 と 外 部 火 災 防 護 施 設 からの 距 離 から、 輻 射 強 度 が 最 大<br />
となる 火 災 を 想 定 している。また、 発 電 所 港 湾 内 に 入 港 する 船 舶 の 火<br />
災 として、 大 型 の 船 舶 である 燃 料 等 輸 送 船 を 選 定 し、 燃 料 保 有 量 と 外<br />
部 火 災 防 護 施 設 への 距 離 から、 輻 射 強 度 が 最 大 となる 火 災 を 想 定 して<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 発 電 所 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 の 設<br />
定 が 外 部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 火 災 源 として、 発 電 所 敷<br />
地 内 に 存 在 する 危 険 物 及 び 発 電 所 港 湾 内 に 停 泊 する 船 舶 を 特 定 し、こ<br />
れらによる 火 災 が 設 定 されていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 等 の 火 災 の 設 定 について、 外 部<br />
火 災 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
2 航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 対 する 設 計 方 針<br />
発 生 を 想 定 する 発 電 所 敷 地 内 における 航 空 機 落 下 等 による 火 災 の 設 定<br />
等 に 基 づき、 外 部 火 災 防 護 施 設 に 対 する 設 計 方 針 を 策 定 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、 航 空 機 落 下 による 火 災 及 び 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 を 想 定<br />
した 場 合 について、それぞれについて 算 出 した 輻 射 強 度 に 対 し、 外 部 火 災<br />
防 護 施 設 を 内 包 する 建 屋 の 外 壁 温 度 が、 許 容 値 を 下 回 るように 設 計 すると<br />
している。<br />
78
クラス1 及 びクラス2に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 については、<br />
航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 伴 う 温 度 上 昇 により 安 全 機 能 が 損 なわれない<br />
ように 設 計 するとしている。また、クラス3に 属 する 屋 外 の 構 築 物 、 系 統<br />
及 び 機 器 については、 代 替 設 備 の 確 保 又 は 火 災 防 護 計 画 に 基 づく 消 火 活 動<br />
により 防 護 する 方 針 としている。<br />
さらに、 航 空 機 落 下 による 火 災 と 敷 地 内 の 危 険 物 による 火 災 の 重 畳 につ<br />
いて、 同 様 に 建 屋 の 外 壁 温 度 を 評 価 し、 補 助 ボイラ 燃 料 タンクの 燃 料 保 有<br />
量 を 制 限 し、 燃 焼 時 間 を 短 くすることにより、 外 壁 温 度 を 許 容 値 以 下 とす<br />
るとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 等 による 火 災 に 対 する 設 計 が 外<br />
部 火 災 ガイドを 踏 まえたものであり、 航 空 機 火 災 の 設 定 において 発 電 所 敷<br />
地 内 の 危 険 物 による 火 災 との 重 畳 を 考 慮 し、 厳 しい 火 災 に 対 する 輻 射 強 度<br />
が 算 出 されていること、 算 出 された 輻 射 強 度 を 用 いて 外 壁 温 度 を 評 価 し、<br />
建 屋 の 外 壁 温 度 を 許 容 値 以 下 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 航 空 機 落 下 等 の 火 災 に 対 する 設 計 が 外 部 火 災 ガ<br />
イドを 踏 まえたものであり、 当 該 火 災 が 保 守 的 に 評 価 された 上 で 策 定 されてい<br />
ることを 確 認 した。<br />
(4)ばい 煙 及 び 有 毒 ガス<br />
外 部 火 災 による 二 次 的 影 響 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないよ<br />
うに、 発 生 を 想 定 する 二 次 的 影 響 を 適 切 に 考 慮 した 上 で、その 二 次 的 影 響 に 対<br />
する 設 計 方 針 について 策 定 する 必 要 がある。 外 部 火 災 ガイドは、 考 慮 すべき 二<br />
次 的 影 響 として、ばい 煙 、 有 毒 ガス 等 を 示 している。<br />
申 請 者 は、 発 生 を 想 定 する 二 次 的 影 響 として、 火 災 に 伴 い 発 生 するばい 煙 及<br />
び 有 毒 ガスによる 影 響 を 抽 出 している。<br />
その 上 で、それぞれの 影 響 に 対 して、 安 全 機 能 が 損 なわれるおそれがある 構<br />
築 物 、 系 統 及 び 機 器 として、 外 気 を 取 り 込 む 外 部 火 災 防 護 施 設 を 抽 出 した 上 で、<br />
設 計 方 針 を 策 定 している。<br />
これらの 設 備 については、フィルタ 等 によりばい 煙 を 捕 獲 又 はその 侵 入 を 低<br />
減 させることにより、 安 全 機 能 を 損 なわないように 設 計 するとしている。また、<br />
これらの 設 備 のうち、 居 住 性 の 確 保 が 必 要 な 場 所 については、 外 気 取 入 れダン<br />
パを 閉 止 し、 換 気 空 調 系 の 閉 回 路 循 環 運 転 を 行 うこととしている。<br />
79
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 外 部 火 災 の 二 次 的 影 響 に 対 する 設 計 が、 外 部 火<br />
災 ガイドを 踏 まえたものであることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然 現 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
原 子 炉 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべきその 他 自 然 現 象 によって、 安<br />
全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )のうち、「Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 す<br />
る 設 計 方 針 」、「Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 」 及 び「Ⅲ-4.2.<br />
3 外 部 火 災 に 対 する 設 計 方 針 」に 記 載 したもの 以 外 のその 他 自 然 現 象 (9 事 象 )<br />
については、 以 下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないよう 設 計 するとし<br />
ている。<br />
1. 風 ( 台 風 )に 対 しては、 建 築 基 準 法 に 基 づき 風 荷 重 を 設 定 し、これに 対 し 機<br />
械 的 強 度 を 有 する 設 計 とする。<br />
2. 降 水 に 対 しては、 本 発 電 所 近 隣 の 気 象 観 測 所 で 観 測 された 日 最 大 1 時 間 降 水<br />
量 を 上 回 る 処 理 能 力 を 持 つ 構 内 排 水 設 備 を 設 置 して 海 域 に 排 水 する 設 計 とす<br />
る。<br />
3. 落 雷 に 対 しては、 建 屋 等 に 避 雷 針 を 設 置 するなど 雷 害 防 止 対 策 を 行 う 設 計 と<br />
する。<br />
4. 生 物 学 的 事 象 に 対 しては、クラゲ 等 の 発 生 を 考 慮 して 原 子 炉 補 機 冷 却 海 水 設<br />
備 に 除 塵 設 備 を 設 ける 設 計 とする。また、 除 塵 装 置 を 通 過 する 貝 等 の 海 生 生 物<br />
に 対 して、 海 水 ストレーナやスポンジボール 洗 浄 装 置 により 原 子 炉 補 機 冷 却 水<br />
冷 却 器 や 復 水 器 等 への 影 響 を 防 止 する 設 計 とする。 小 動 物 の 侵 入 に 対 して 屋 外<br />
設 置 の 端 子 箱 貫 通 部 等 をシールする 設 計 とする。<br />
5. 凍 結 に 対 しては、 本 発 電 所 近 隣 の 気 象 観 測 所 で 観 測 された 最 低 気 温 を 考 慮 し、<br />
屋 外 機 器 で 凍 結 のおそれがあるものは 保 温 等 の 凍 結 防 止 対 策 を 行 う 設 計 とす<br />
る。<br />
6. 積 雪 に 対 しては、 建 築 基 準 法 に 基 づき 積 雪 荷 重 を 設 定 し、これに 対 し 機 械 的<br />
強 度 を 有 する 設 計 とする。<br />
7. 高 潮 に 対 しては、 本 発 電 所 近 隣 の 検 潮 所 での 過 去 最 高 潮 位 以 上 の 敷 地 高 さに<br />
安 全 施 設 を 設 置 し、 高 潮 により 影 響 を 受 けることのない 設 計 とする。<br />
8. 敷 地 には、 地 滑 り 地 形 等 の 存 在 は 認 められないことから、 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 を 損 なうような 地 滑 り 等 が 生 じることはない。<br />
9. 敷 地 付 近 は、 地 形 及 び 表 流 水 の 状 況 から 判 断 して、 洪 水 による 被 害 は 考 えら<br />
れない。<br />
80
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 について、 以 下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損<br />
なわれない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
1. 風 ( 台 風 )に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影<br />
響 として 考 えられる 最 大 の 風 速 を 考 慮 して 風 荷 重 を 設 定 し、これに 対 して 機 械<br />
的 強 度 を 有 する 方 針 としていること。なお、 風 ( 台 風 )に 対 する 防 護 対 策 は、<br />
「Ⅲ-4.2.1 竜 巻 に 対 する 設 計 方 針 」に 包 絡 される。<br />
2. 降 水 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影 響 とし<br />
て 考 えられる 最 大 の 降 水 量 を 考 慮 して 構 内 排 水 設 備 を 設 計 するとしているこ<br />
と。なお、 降 水 に 対 する 防 護 対 策 は、「Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第<br />
9 条 関 係 )」に 包 絡 される。<br />
3. 落 雷 に 対 しては、 避 雷 設 備 、 接 地 網 等 を 有 する 方 針 としていること。<br />
4. 生 物 学 的 事 象 に 対 しては、 個 々の 生 物 学 的 事 象 に 対 してそれぞれ 防 護 措 置 を<br />
とる 方 針 としていること。<br />
5. 凍 結 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影 響 とし<br />
て 考 えられる 最 低 気 温 を 考 慮 して 凍 結 防 止 対 策 を 行 う 方 針 としていること。<br />
6. 積 雪 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 安 全 施 設 への 影 響 とし<br />
て 考 えられる 最 大 の 積 雪 量 を 考 慮 して 積 雪 荷 重 を 設 定 し、これに 対 して 機 械 的<br />
強 度 を 有 する 方 針 としていること。なお、 積 雪 に 対 する 防 護 対 策 は、 地 震 及 び<br />
火 山 の 影 響 による 設 計 荷 重 の 評 価 に 包 絡 される( 地 震 に 対 しては「Ⅲ-1 地<br />
震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )」、 火 山 の 影 響 に 対 しては「Ⅲ-4.2.2<br />
火 山 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針 」)。<br />
7. 高 潮 に 対 しては、 信 頼 性 のある 過 去 の 記 録 を 調 査 し、 高 潮 の 影 響 を 受 けない<br />
よう 安 全 施 設 への 影 響 として 考 えられる 最 大 の 潮 位 を 考 慮 して 安 全 施 設 を 設<br />
置 する 方 針 としていること。なお、 高 潮 に 対 する 防 護 対 策 は、「Ⅲ-3 津 波<br />
による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )」に 包 絡 される。<br />
8. 敷 地 の 状 況 から 判 断 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 を 損 なうような 地 滑 り 等 は 生<br />
じないとしていることは 合 理 性 があること。<br />
9. 地 形 及 び 表 流 水 の 状 況 から 判 断 して、 洪 水 による 被 害 は 考 えられないとして<br />
いることは 合 理 性 があること。<br />
Ⅲ-4.2.5 その 他 人 為 事 象 に 対 する 設 計 方 針<br />
原 子 炉 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべきその 他 人 為 事 象 によって、 安<br />
全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とする 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の2.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
81
能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 人 為 事 象 (7 事 象 )のうち、「Ⅲ-4.2.3 外 部 火 災 に<br />
対 する 設 計 方 針 」に 記 載 したもの 以 外 のその 他 人 為 事 象 (4 事 象 )については、 以<br />
下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としている。<br />
1. 船 舶 の 衝 突 については、 一 般 航 路 は 発 電 所 から 離 隔 距 離 が 確 保 されている。<br />
また、 小 型 船 舶 が 発 電 所 近 傍 で 漂 流 した 場 合 でも、 敷 地 前 面 の 護 岸 等 に 衝 突 し<br />
て 止 まることから 取 水 性 に 影 響 はない。<br />
2. 電 磁 的 障 害 については、 原 子 炉 安 全 保 護 計 装 盤 及 びケーブルに 対 し、 電 磁 波<br />
の 侵 入 防 止 対 策 を 行 う 設 計 とする。<br />
3. 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 )については、「 実 用 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 航 空 機 落<br />
下 確 率 の 評 価 について( 平 成 14・07・29 原 院 第 4 号 )」 等 に 基 づき、 航 空 機 落 下<br />
確 率 を 評 価 した 結 果 、3 号 炉 は 約 6.4×10 -8 回 / 炉 ・ 年 、4 号 炉 は 約 5.9×10 -8 回<br />
/ 炉 ・ 年 であり、 防 護 設 計 の 要 否 判 断 の 基 準 である 10 -7 回 / 炉 ・ 年 を 超 えないため、<br />
航 空 機 落 下 による 防 護 については、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はない。<br />
4.ダムの 崩 壊 については、 崩 壊 により 本 発 電 所 に 影 響 を 及 ぼすようなダムはな<br />
いことから、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 について、 以 下 のとおり、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損<br />
なわれない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
1. 船 舶 の 衝 突 に 対 しては、 本 発 電 所 周 辺 の 航 路 や 船 舶 漂 流 等 の 可 能 性 も 踏 まえ<br />
たものとしていること。<br />
2. 電 磁 的 障 害 に 対 しては、 計 測 制 御 回 路 を 構 成 する 機 器 に 電 磁 波 侵 入 防 止 対 策<br />
を 講 じるとしていること。<br />
3. 飛 来 物 ( 航 空 機 落 下 等 )に 対 しては、 最 新 の 航 路 、 飛 行 実 績 等 の 情 報 を 踏 ま<br />
えて 航 空 機 落 下 確 率 を 評 価 し、 防 護 設 計 の 要 否 判 断 の 基 準 である 10 -7 回 / 炉 ・ 年<br />
を 超 えていないことから、 設 計 上 考 慮 する 必 要 はないとしていることは 合 理 性<br />
があること。<br />
4.ダムの 崩 壊 に 対 しては、 本 発 電 所 周 辺 にダムはないことから、 設 計 上 考 慮 す<br />
る 必 要 はないとしていることは 合 理 性 があること。<br />
Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ<br />
安 全 施 設 の 設 計 に 当 たっては、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せを 検 討 する 必<br />
要 がある。なお、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないことを 広 く 確 認 する 観 点 から、<br />
地 震 と 津 波 についても、 組 み 合 わせる 自 然 現 象 の 対 象 に 含 める 必 要 がある。<br />
その 上 で、その 組 合 せによる 影 響 ( 地 震 と 津 波 に 係 る 影 響 は「Ⅲ-1 地 震 によ<br />
る 損 傷 の 防 止 ( 第 4 条 関 係 )」 及 び「Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )」<br />
82
において 検 討 していない 影 響 )により、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないように<br />
設 計 する 必 要 がある。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 安 全 施 設 の 安 全 機<br />
能 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 自 然 現 象 (12 事 象 )のうち、「Ⅲ-4.2.4 その 他 自 然<br />
現 象 に 対 する 設 計 方 針 」で 本 発 電 所 の 敷 地 では 発 生 しないと 評 価 した 洪 水 及 び 地 滑<br />
りを 除 くとともに、「Ⅲ-3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 5 条 関 係 )」において 評 価<br />
した 高 潮 を 除 いた 9 事 象 に、 地 震 及 び 津 波 を 加 えた 11 事 象 について、 組 合 せを 検<br />
討 している。その 際 、 各 自 然 現 象 によって 関 連 して 発 生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象<br />
も 考 慮 し、 自 然 現 象 の 組 合 せについて 網 羅 的 に 検 討 している。<br />
この 組 合 せが 原 子 炉 施 設 に 与 える 影 響 について、1 個 々の 自 然 現 象 ( 関 連 して 発<br />
生 する 可 能 性 がある 自 然 現 象 も 含 む。)の 設 計 に 包 絡 されている、2 原 子 炉 施 設 に<br />
与 える 影 響 が 自 然 現 象 を 組 み 合 わせることにより、 個 々の 自 然 現 象 がそれに 与 える<br />
影 響 よりも 小 さくなる、3 同 時 に 発 生 するとは 考 えられない、という 3 つの 観 点 か<br />
ら 検 討 している。<br />
その 結 果 、 上 記 の1から3のいずれかに 該 当 する 自 然 現 象 の 組 合 せについては、<br />
安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれないことを 確 認 したとしている。また、1から3の<br />
いずれにも 該 当 しない 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せとして、「 火 山 の 影 響 、<br />
風 ( 台 風 ) 及 び 積 雪 の 組 合 せ」が 抽 出 され、それら 組 合 せに 対 して 安 全 施 設 の 安 全<br />
機 能 が 損 なわれない 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 自 然 現 象 の 組 合 せが、 安 全 施 設 に 与 える 影 響 を 考 慮<br />
して 抽 出 されていること、また、 抽 出 されたもの 以 外 の 自 然 現 象 の 組 合 せによる 安<br />
全 施 設 に 与 える 影 響 に 対 しては、 安 全 機 能 が 損 なわれないとしていることを 確 認 し<br />
た。<br />
なお、 設 計 上 考 慮 すべき 自 然 現 象 の 組 合 せのうち、「 火 山 の 影 響 、 風 ( 台 風 ) 及<br />
び 積 雪 」に 対 する 設 計 方 針 については、「Ⅲ-4.2.2 火 山 の 影 響 に 対 する 設<br />
計 方 針 」において 記 載 している。<br />
Ⅲ-4.4 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現 象 に 対<br />
する 重 要 安 全 施 設 への 考 慮<br />
重 要 安 全 施 設 の 設 計 に 当 たっては、これに 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想<br />
定 される 自 然 現 象 ( 必 要 に 応 じて 異 種 の 自 然 現 象 を 重 畳 させる)により 作 用 する 力<br />
( 衝 撃 )に 設 計 基 準 事 故 時 の 荷 重 ( 応 力 )を 適 切 に 考 慮 する 必 要 があり、それぞれ<br />
の 因 果 関 係 や 時 間 的 変 化 を 踏 まえて、 適 切 に 組 み 合 わせる 必 要 がある。<br />
83
申 請 者 は、 重 要 安 全 施 設 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすおそれがあると 想 定 される 自 然 現<br />
象 は、「Ⅲ-4.1 外 部 事 象 の 抽 出 」の1.で 抽 出 した 自 然 現 象 に 含 まれるとし<br />
ている。また、これらの 自 然 現 象 又 は「Ⅲ-4.3 自 然 現 象 の 組 合 せ」で 抽 出 し<br />
た 自 然 現 象 の 組 合 せにより、 重 要 安 全 施 設 を 含 む 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれな<br />
い 設 計 としていることから、これらの 自 然 現 象 により 設 計 基 準 事 故 は 発 生 しないた<br />
め、 当 該 自 然 現 象 と 設 計 基 準 事 故 を 組 み 合 わせる 必 要 はないとしている。また、 設<br />
計 基 準 事 故 の 影 響 が 及 ぶ 期 間 に 発 生 すると 考 えられる 自 然 現 象 により 重 要 安 全 施<br />
設 に 作 用 する 衝 撃 と 設 計 基 準 事 故 時 に 生 じる 応 力 を 適 切 に 考 慮 する 設 計 としてい<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 当 該 自 然 現 象 によって 設 計 基 準 事 故 が 発 生 しな<br />
いように 設 計 するとしていること、また、 設 計 基 準 事 故 の 影 響 が 及 ぶ 期 間 に 発 生 す<br />
ると 考 えられる 自 然 現 象 により、 重 要 安 全 施 設 に 作 用 する 力 と 設 計 基 準 事 故 時 の 荷<br />
重 を 適 切 に 組 み 合 わせる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-5 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 等 の 防 止 ( 第 7 条 関 係 )<br />
第 7 条 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 、 爆 発 性 又 は 易 燃 性 を 有 する 物<br />
件 等 が 不 正 に 持 ち 込 まれること 及 び 不 正 アクセス 行 為 のそれぞれを 防 止 するため<br />
の 設 備 を 設 けることを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 原 子 炉 施 設 への 人 の 不 法 な 侵 入 を 防 止 するため、 区 域 を 設 定 し、その 区 域 を<br />
障 壁 等 により 防 護 し、 人 の 接 近 管 理 及 び 出 入 管 理 が 行 える 設 計 とする。<br />
2. 原 子 炉 施 設 に 不 正 に 爆 発 性 又 は 易 燃 性 を 有 する 物 件 等 の 持 込 み( 郵 便 物 等 に<br />
よる 発 電 所 外 からの 爆 破 物 及 び 有 害 物 質 の 持 込 みを 含 む。)を 防 止 するため、<br />
持 込 み 点 検 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
3. 原 子 炉 施 設 及 び 特 定 核 燃 料 物 質 の 防 護 のために 必 要 な 設 備 又 は 装 置 の 操 作 に<br />
係 る 情 報 システムが、 電 気 通 信 回 線 を 通 じた 不 正 アクセス 行 為 (サイバーテロ<br />
を 含 む。)を 受 けることがないように、 当 該 情 報 システムに 対 する 外 部 からの<br />
アクセスを 遮 断 する 設 計 とする。<br />
4.これらは、 核 物 質 防 護 対 策 の 一 環 として 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 核 物 質 防 護 対 策 として 上 記 の 対 策 1.から3.<br />
を 講 じるとしていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと<br />
判 断 した。<br />
84
Ⅲ-6 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 8 条 関 係 )<br />
第 8 条 は、 火 災 により 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 安 全 性 が 損 なわれないよう、 火 災 の 発<br />
生 を 防 止 すること、かつ、 早 期 に 火 災 を 感 知 消 火 すること 並 びに 火 災 の 影 響 を 軽 減<br />
することができるように 設 計 することを 要 求 している。また、 消 火 設 備 の 破 損 、 誤<br />
作 動 又 は 誤 操 作 が 起 きた 場 合 においても 発 電 用 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 させるための<br />
機 能 を 損 なわないように 消 火 設 備 を 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 火 災 区 域 及 び 火 災 区 画 の 設 定<br />
2. 火 災 防 護 計 画 を 策 定 するための 方 針<br />
3. 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計 方 針<br />
4. 火 災 の 感 知 及 び 消 火 に 係 る 設 計 方 針<br />
5. 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 方 針<br />
6. 特 定 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 対 策 の 設 計 方 針<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 火 災 防 護 基 準 に 則 り、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 火 災 区 域 及 び 火 災 区 画 の 設 定<br />
火 災 防 護 基 準 は、 火 災 の 発 生 防 止 、 火 災 の 感 知 及 び 消 火 並 びに 火 災 の 影 響 軽 減<br />
のそれぞれを 考 慮 した 火 災 防 護 対 策 を 講 じるために、 火 災 区 域 を 設 定 し 必 要 に 応<br />
じて 火 災 区 域 内 に 火 災 区 画 を 設 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 する( 本 節 において、「 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 す<br />
る」とは、 原 子 炉 の 高 温 停 止 及 び 低 温 停 止 を 達 成 し、これを 維 持 することをいう。)<br />
ために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 並 びに 放 射 性 物 質 の 貯 蔵 又<br />
は 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 ( 以 下 「 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 」<br />
という。)を、 火 災 から 防 護 する 対 象 として 抽 出 する 方 針 としている。なお、 発<br />
電 用 原 子 炉 施 設 において 火 災 を 想 定 した 場 合 に、 火 災 を 起 因 とする 事 象 に 対 して<br />
機 能 要 求 が 必 須 でない 機 器 、 代 替 手 段 により 同 一 機 能 を 確 保 できる 機 器 、 火 災 に<br />
よる 誤 動 作 を 考 慮 しても 原 子 炉 の 安 全 停 止 に 影 響 を 及 ぼさない 機 器 及 び 安 全 停<br />
止 を 達 成 する 系 統 上 のタンク 等 の 不 燃 材 で 構 成 される 機 器 等 については、 火 災 か<br />
ら 防 護 する 対 象 として 抽 出 しない 方 針 としている。 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設<br />
置 する 区 域 であって、 耐 火 壁 によって 他 の 区 域 と 分 離 されている 区 域 を 火 災 区 域<br />
85
として、また、 火 災 区 域 を 耐 火 壁 等 によりさらに 細 分 化 したものを 火 災 区 画 とし<br />
て 設 定 している。<br />
なお、 設 計 基 準 対 象 施 設 のうち、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 以 外 の 構 築 物 、 系 統<br />
及 び 機 器 については、それぞれについて 火 災 防 護 対 策 を 行 うとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置 する 場 所 を、 火 災 区 域<br />
及 び 火 災 区 画 として 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
2. 火 災 防 護 計 画 を 策 定 するための 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 火 災 防 護 対 策 を 実 施 するために 必 要 な 手 順 、 機 器 及 び 体 制 等<br />
を 定 める 火 災 防 護 計 画 を 策 定 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 火 災 防 護 対 策 を 適 切 に 実 施 するための 火 災 防 護 計 画 を 定 めるとして<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 以 下 の 内 容 を 含 む 火 災 防 護 計 画 を 策 定 する 方 針 とし<br />
ており、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
(1) 原 子 炉 施 設 全 体 を 対 象 とする 計 画 であること。<br />
(2) 火 災 防 護 対 策 及 び 計 画 を 実 施 するために 必 要 な 手 順 、 防 護 するための 機 器 、<br />
組 織 体 制 を 定 めること。<br />
(3) 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 火 災 から 防 護 するため、 火 災 の 発 生 防 止 、 火 災<br />
の 感 知 及 び 消 火 並 びに 火 災 の 影 響 軽 減 のそれぞれの 目 的 を 達 成 するための<br />
火 災 防 護 対 策 についても 同 計 画 に 定 めること。<br />
3. 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 対 して、 火 災 の 発 生 を 防 止 するための 対<br />
策 を 講 じること、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 に 対 して、 不 燃 性 材 料 又 は 難 燃 性 材 料 、<br />
難 燃 ケーブルを 使 用 すること、 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 に 対<br />
して、 自 然 現 象 によって 火 災 が 発 生 しないように 対 策 を 講 じることを 要 求 してい<br />
る。<br />
(1) 原 子 炉 施 設 における 火 災 の 発 生 防 止<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり 対 策 を 講 じるとしている。<br />
1 火 災 区 域 に、 発 火 性 又 は 引 火 性 物 質 を 内 包 する 設 備 を 設 置 する 場 合 、 発<br />
火 性 又 は 引 火 性 物 質 の 漏 えいやその 拡 大 の 防 止 、 配 置 上 の 考 慮 、 換 気 、 防<br />
爆 、 貯 蔵 を 考 慮 した 設 計 とする。<br />
2 可 燃 性 の 蒸 気 が 滞 留 するおそれがある 火 災 区 域 においては、 換 気 により<br />
86
可 燃 性 の 蒸 気 を 滞 留 させない。<br />
3 火 災 区 域 には、 可 燃 性 の 微 粉 を 発 生 する 設 備 を 設 置 しない。<br />
4 水 素 を 内 包 する 設 備 を 設 置 する 火 災 区 域 においては、 水 素 の 換 気 及 び 漏<br />
えい 検 知 等 の 対 策 を 図 る。<br />
5 放 射 線 分 解 等 により 発 生 する 水 素 の 蓄 積 防 止 の 対 策 を 図 る。<br />
6 原 子 炉 施 設 には、 火 花 を 発 生 する 設 備 等 発 火 源 となる 設 備 を 設 置 しない。<br />
7 原 子 炉 施 設 には、 電 気 系 統 の 過 電 流 による 過 熱 、 焼 損 の 防 止 等 の 対 策 を<br />
図 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 施 設 における 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計<br />
が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
(2) 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 における 火 災 の 発 生 防 止<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおり 対 策 を 講 じるとしている。<br />
1 機 器 等 の 支 持 構 造 物 のうち、 主 要 な 構 造 材 には 不 燃 性 材 料 を 使 用 する。<br />
2 建 屋 内 の 変 圧 器 及 び 遮 断 器 は 可 燃 性 物 質 である 絶 縁 油 を 内 包 していな<br />
いものを 使 用 する。<br />
3 難 燃 ケーブルは、 実 証 試 験 によりケーブル 単 体 で 自 己 消 火 性 及 び 延 焼 性<br />
を 確 認 したケーブルを 使 用 する。<br />
4 換 気 設 備 のフィルタは、チャコールフィルタを 除 き 不 燃 性 材 料 又 は 難 燃<br />
性 材 料 を 使 用 する。<br />
5 保 温 材 は、 金 属 等 の 不 燃 性 のものを 使 用 する。<br />
6 建 屋 内 装 材 は、 不 燃 性 材 料 を 使 用 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 における 火 災 の 発 生 防<br />
止 に 係 る 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
ただし、 核 計 装 用 ケーブルは 難 燃 ケーブルではないが、チャンネルごとに 専<br />
用 電 線 管 に 収 納 し、 電 線 管 外 部 からの 酸 素 の 供 給 防 止 のため、 両 端 は 耐 火 性 を<br />
有 するシール 材 で 処 置 する 設 計 とすることにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 され<br />
ることを 確 認 した。<br />
(3) 自 然 現 象 による 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、 系 統 及 び 機 器 における 火 災 の<br />
発 生 防 止<br />
申 請 者 は、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 十 分 な 支 持 性 能 をもつ 地 盤 に 設 置 し、<br />
自 らが 破 壊 又 は 倒 壊 することによる 火 災 の 発 生 を 防 止 すること、 設 計 に 当 たっ<br />
ては、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 従 って 設 計 すること、 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、<br />
87
系 統 及 び 機 器 について、 落 雷 による 火 災 の 発 生 防 止 対 策 として 建 屋 等 に 避 雷 設<br />
備 を 設 置 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 自 然 現 象 により 原 子 炉 施 設 内 の 構 築 物 、 系<br />
統 及 び 機 器 における 火 災 の 発 生 を 防 止 する 方 針 としており、 火 災 防 護 基 準 の 規<br />
定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 の 発 生 防 止 に 係 る 設 計 が、 火<br />
災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
4. 火 災 の 感 知 及 び 消 火 に 係 る 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 について、 早 期 の 火 災 感 知 及 び 消<br />
火 を 行 える 設 計 とすることを 要 求 している。また、これらの 火 災 感 知 設 備 及 び 消<br />
火 設 備 は、 地 震 等 の 自 然 現 象 に 対 して 機 能 及 び 性 能 を 維 持 すること、 消 火 設 備 の<br />
破 損 、 誤 作 動 又 は 誤 操 作 が 起 きた 場 合 においても、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれないよう 消 火 設 備 を 設 計 することを 要 求 している。<br />
(1) 火 災 感 知 設 備<br />
申 請 者 は、 火 災 感 知 設 備 について、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 環 境 条 件 や 想 定 される 火 災 の 性 質 を 考<br />
慮 して 設 置 する。<br />
2 早 期 に 火 災 を 感 知 するため、 煙 感 知 器 、 熱 感 知 器 及 び 炎 感 知 器 から 異 な<br />
る 種 類 の 感 知 器 を 組 み 合 わせて 設 置 するとともに、 火 災 の 発 生 場 所 を 特 定<br />
することができるものとする。<br />
3 感 知 器 の 誤 作 動 を 防 止 するため、 平 常 時 の 状 況 の( 温 度 、や 煙 の 濃 度 )<br />
を 監 視 し、 急 激 な 温 度 上 昇 や 煙 の 濃 度 上 昇 を 把 握 することができる「アナ<br />
ログ 式 の 火 災 感 知 器 」を 使 用 する。<br />
4 外 部 電 源 喪 失 時 においても 火 災 の 感 知 が 可 能 となるよう 蓄 電 池 を 設 置<br />
する。<br />
5 火 災 感 知 設 備 の 作 動 状 況 が 中 央 制 御 室 で 監 視 できる。<br />
6 発 火 源 がなく 可 燃 物 を 置 かない 運 用 とする 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 には、<br />
火 災 感 知 器 を 設 置 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 感 知 設 備 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に<br />
則 っていることを 確 認 した。<br />
ただし、 一 部 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 の 感 知 器 については 火 災 防 護 基 準 が 求<br />
める「アナログ 式 の 火 災 感 知 器 」を 設 置 すると、 誤 作 動 しやすくなるなど 火 災<br />
88
感 知 器 として 有 効 に 機 能 しない 場 合 がある。そのため、そのような 火 災 区 域 又<br />
は 火 災 区 画 には、 環 境 を 考 慮 し、 以 下 の1から3の 火 災 感 知 器 を 組 み 合 わせて<br />
設 置 することにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 されることを 確 認 した。<br />
1 屋 外 エリアでは、 降 水 等 の 侵 入 による 火 災 感 知 器 の 故 障 を 防 止 するため、<br />
「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 熱 感 知 器 」 及 び「 非 アナログ 式 であり 防 爆<br />
型 の 炎 感 知 器 ( 赤 外 線 方 式 )」を 設 置 する。<br />
2 引 火 性 又 は 発 火 性 の 雰 囲 気 を 形 成 するおそれのある 場 所 では、 火 災 感 知<br />
器 の 作 動 時 の 爆 発 を 防 止 するため、「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 煙 感 知<br />
器 」 及 び「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 熱 感 知 器 」を 設 置 する。<br />
3 「 非 アナログ 式 である 炎 感 知 器 ( 赤 外 線 方 式 )」は、 屋 内 に 設 置 する 場<br />
合 は、 外 光 が 当 たらず 高 温 物 体 が 近 傍 にない 箇 所 に 設 置 し、 屋 外 に 設 置 す<br />
る 場 合 は、 視 野 角 への 影 響 を 考 慮 した 太 陽 光 の 影 響 を 防 ぐ 遮 光 板 を 設 置 す<br />
ること 及 び 防 爆 型 とする。<br />
以 上 の 感 知 器 はそれぞれ 誤 作 動 を 防 止 するため、 熱 感 知 器 は 周 囲 温 度 より 高<br />
い 温 度 で 作 動 するもの、 炎 感 知 器 は 炎 特 有 の 性 質 を 検 知 する 赤 外 線 方 式 のもの<br />
を 採 用 し、 煙 感 知 器 は 蒸 気 等 が 充 満 する 場 所 に 設 置 しない。<br />
(2) 消 火 設 備<br />
申 請 者 は、 消 火 設 備 について、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 により 消 火 活 動 が 困 難 となる 火 災 区 域<br />
又 は 火 災 区 画 に 設 置 する 消 火 設 備 の 設 計 方 針<br />
原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置<br />
する 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 には、 火 災 時 の 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 によ<br />
り 消 火 活 動 が 困 難 となる 場 合 、 中 央 制 御 室 からの 手 動 操 作 が 可 能 な 消 火 設<br />
備 又 は 自 動 消 火 設 備 である 全 域 ハロン 消 火 設 備 等 を 設 置 する。<br />
ただし、 火 災 が 発 生 しても 煙 が 大 気 に 放 出 され 充 満 するおそれがない 火<br />
災 区 域 又 は 火 災 区 画 、 若 しくは、 運 転 員 が 常 駐 し 高 感 度 煙 感 知 器 を 設 置 す<br />
ることにより 早 期 の 消 火 活 動 が 可 能 である 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 におい<br />
ては、 消 火 器 等 で 消 火 する。<br />
また、 放 射 性 物 質 の 貯 蔵 又 は 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機<br />
器 を 設 置 する 火 災 区 域 には、 火 災 時 の 煙 の 充 満 及 び 放 射 線 の 影 響 により 消<br />
火 活 動 が 困 難 となる 場 合 、 中 央 制 御 室 からの 手 動 操 作 又 は 自 動 起 動 の 消 火<br />
設 備 により 消 火 することとする。ただし、 可 燃 物 がほとんどなく 煙 が 充 満<br />
しにくい 火 災 区 域 においては、 消 火 器 等 で 消 火 する。<br />
89
2 消 火 用 水 供 給 系 の 多 重 性 又 は 多 様 性 の 確 保 ( 原 子 炉 格 納 容 器 内 )<br />
原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 は、 原 水 タンク 2 基 を、これらが 使 用 でき<br />
ない 場 合 には 燃 料 取 替 用 水 タンク 1 基 を 水 源 とする。 原 子 炉 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 設 備 のポンプは、 格 納 容 器 スプレイポンプ 2 台 を 設 置 し 系 統 の 多 重 性<br />
を 有 する 設 計 とする。 飲 料 水 系 や 所 内 用 水 系 等 と 共 用 する 場 合 には、 隔 離<br />
弁 を 設 置 して 遮 断 する 措 置 により、 消 火 用 水 系 の 供 給 を 優 先 する 設 計 とす<br />
る。<br />
3 消 火 設 備 の 系 統 分 離 に 応 じた 独 立 性 の 確 保<br />
系 統 分 離 を 行 うために 設 けられた 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 に 設 置 するハ<br />
ロン 消 火 設 備 等 は、 動 的 機 器 である 弁 等 の 単 一 故 障 ( 単 一 の 原 因 によって<br />
一 つの 機 械 又 は 器 具 が 所 定 の 安 全 機 能 を 失 うこと( 従 属 要 因 による 多 重 故<br />
障 を 含 む。)をいう。)を 仮 定 しても、 同 時 に 消 火 機 能 を 喪 失 することがな<br />
いようにする。<br />
4 火 災 に 対 する 二 次 的 影 響 の 考 慮<br />
煙 等 による 二 次 的 な 影 響 が、 火 災 が 発 生 していない 安 全 機 能 を 有 する 構<br />
築 物 、 系 統 及 び 機 器 に 及 ばない 設 計 とする。<br />
5 消 火 設 備 の 電 源 確 保<br />
作 動 に 電 源 が 必 要 な 消 火 設 備 は、 外 部 電 源 喪 失 時 においても 消 火 が 可 能<br />
となるように、 蓄 電 池 を 有 したものとする。<br />
ただし、 格 納 容 器 スプレイポンプは、 外 部 電 源 喪 失 時 においても 消 火 が<br />
可 能 となるように、 非 常 用 電 源 から 受 電 する 設 計 とする。<br />
6 その 他<br />
上 記 1から5に 加 えて、 以 下 の 対 策 を 講 じる。<br />
a. 消 火 用 水 供 給 系 の 多 重 性 又 は 多 様 性 の 確 保 ( 原 子 炉 格 納 容 器 外 )<br />
b. 消 火 剤 及 び 消 火 用 水 の 確 保<br />
c. 移 動 式 消 火 設 備 の 配 備<br />
d. 中 央 制 御 室 への 故 障 警 報 を 発 するための 吹 鳴 機 能 の 確 保<br />
e. 全 ての 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 の 消 火 活 動 を 可 能 とするための 消 火<br />
栓 の 配 置<br />
f. 固 定 式 ガス 消 火 設 備 の 作 動 前 における 退 出 警 報 を 発 するための 吹<br />
鳴 機 能 の 確 保<br />
90
g. 管 理 区 域 内 での 消 火 活 動 を 行 うことによるり、 管 理 区 域 内 から 放 射<br />
性 物 質 を 含 むおそれがある 排 水 の 流 出 防 止<br />
h. 消 火 活 動 を 行 うために 必 要 となる 照 明 の 設 置<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 消 火 設 備 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っ<br />
ていることを 確 認 した。<br />
ただし、 使 用 済 樹 脂 貯 蔵 タンク 室 に 消 火 設 備 を 設 置 しないとしていることに<br />
ついては、 発 火 源 がなく 可 燃 物 を 置 かない 運 用 とすることで 火 災 を 発 生 させな<br />
いとしていることを 確 認 した。<br />
(3) 地 震 等 の 自 然 現 象 に 対 する 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 の 機 能 等 の 維 持<br />
申 請 者 は、 消 火 設 備 及 び 火 災 感 知 設 備 について、 凍 結 、 風 水 害 及 び 地 震 時 に<br />
おける 地 盤 変 位 を 以 下 のとおり 考 慮 するとしている。<br />
1 外 気 温 が 0℃まで 低 下 した 場 合 、 凍 結 を 防 止 するために、 屋 外 の 消 火 栓<br />
を 微 開 し 通 水 する 運 用 とする 設 計 とする。また、 屋 外 の 火 災 感 知 設 備 は-<br />
10℃の 環 境 下 でも 使 用 可 能 なものとする。<br />
2 屋 外 における 消 火 設 備 の 制 御 盤 、ボンベ 等 には 浸 水 防 止 対 策 を 講 じる。<br />
また、 屋 外 の 火 災 感 知 設 備 は、 風 水 害 の 影 響 を 受 けた 場 合 にも、 早 期 に 取<br />
替 えを 行 うことにより 当 該 機 器 の 機 能 及 び 性 能 の 維 持 ができる 運 用 とす<br />
る。<br />
3 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 を、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 耐 震 クラスに<br />
応 じて 火 災 区 域 及 び 火 災 区 画 に 設 置 すること、 耐 震 B、Cクラス 機 器 に 基<br />
準 地 震 動 による 損 傷 に 伴 う 火 災 が 発 生 した 場 合 においても 火 災 防 護 対 象<br />
機 器 等 の 機 能 及 び 性 能 の 維 持 ができるものとする。<br />
4 地 盤 変 位 による 影 響 を 直 接 受 けないように 消 火 配 管 の 建 屋 接 続 部 付 近<br />
に 溶 接 継 手 を 採 用 する。 消 火 配 管 を 地 上 又 はトレンチ 内 に 設 置 する。 消 火<br />
配 管 接 続 口 を 建 屋 の 外 部 に 設 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確<br />
認 した。<br />
(4) 消 火 設 備 の 破 損 、 誤 動 作 又 は 誤 操 作 による 安 全 機 能 への 影 響<br />
申 請 者 は、 消 火 設 備 の 放 水 による 溢 水 に 対 して、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の<br />
安 全 機 能 が 損 なわれないよう 設 計 するとしている。<br />
また、 水 以 外 を 用 いる 消 火 設 備 として、 二 酸 化 炭 素 及 びハロンを 用 いること<br />
としているが、 二 酸 化 炭 素 は 不 活 性 であること 及 びハロンは 電 気 絶 縁 性 が 大 き<br />
91
く 揮 発 性 も 高 いことから 消 火 設 備 の 破 損 、 誤 作 動 又 は 誤 操 作 により 消 火 剤 が 放<br />
出 されても、 電 気 及 び 機 械 設 備 に 影 響 を 与 えないとしている。なお、 溢 水 に 対<br />
する 防 護 設 計 については、「Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )」<br />
において 記 載 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のことから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 感 知 設 備 及 び 消 火 設 備 の 設<br />
計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
5. 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器<br />
等 について、 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 のいかなる 火 災 による 影 響 を 考 慮 しても、 互 い<br />
に 異 なる 系 統 を 分 離 することにより、 多 重 化 された 系 統 が 同 時 に 機 能 を 喪 失 する<br />
ことがないように 設 計 することを 要 求 している。また、 火 災 によって 運 転 時 の 異<br />
常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 にも、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 できる<br />
ように 設 計 することを 要 求 している。<br />
(1) 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置<br />
する 火 災 区 域 の 分 離<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するための 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 を 設 置 し<br />
ている 屋 内 の 火 災 区 域 は、3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有 する 壁 、 貫 通 部 シール、<br />
防 火 扉 及 び 防 火 ダンパで 分 離 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 火 災 耐 久 試 験 により 耐 火 性 能 を 確 認 した 隔 壁 等 に<br />
より 互 いに 異 なる 系 統 を 分 離 する 設 計 としており、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っ<br />
ていることを 確 認 した。<br />
(2) 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 系 統<br />
分 離<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 施 設 において 火 災 が 発 生 した 場 合 に、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止<br />
するために 必 要 な 機 能 を 確 保 するために 必 要 な 機 器 ( 以 下 「 火 災 防 護 対 象 機 器 」<br />
という。) 及 び 火 災 防 護 対 象 機 器 を 駆 動 若 しくは 制 御 するケーブル( 以 下 「 火<br />
災 防 護 対 象 ケーブル」という。これらを 総 称 して「 火 災 防 護 対 象 機 器 等 」とす<br />
る。)を 防 護 するため、 同 機 器 等 の 相 互 の 系 統 分 離 及 びこれらに 関 連 する 火 災<br />
92
防 護 対 象 ケーブル 以 外 のケーブルとの 系 統 分 離 を 行 うとしている。 系 統 分 離 に<br />
当 たっては、 火 災 区 画 内 及 び 隣 接 火 災 区 画 間 の 延 焼 を 防 止 するため、 以 下 のい<br />
ずれかに 該 当 する 設 計 とするとしている。<br />
1 3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有 する 隔 壁 等 による 系 統 分 離<br />
互 いに 異 なる 系 統 の 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有<br />
する 耐 火 壁 等 により 分 離 された 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 に 設 置 する。<br />
2 水 平 距 離 6m 以 上 の 離 隔 等 による 系 統 分 離<br />
互 いに 異 なる 系 統 の 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、 互 いの 系 統 間 の 水 平 距 離 を<br />
6m 以 上 とし、その 間 には 仮 置 きするものを 含 め 可 燃 性 物 質 を 置 かないこ<br />
と、かつ、 当 該 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 内 に 火 災 感 知 設 備 及 び 自 動 消 火 設 備<br />
を 設 置 する。<br />
3 1 時 間 の 耐 火 能 力 を 有 する 隔 壁 等 による 系 統 分 離<br />
互 いに 異 なる 系 統 の 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、1 時 間 の 耐 火 能 力 を 有 する<br />
隔 壁 等 により 分 離 し、かつ、 当 該 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 内 に 火 災 感 知 設 備<br />
及 び 自 動 消 火 設 備 を 設 置 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 制 御 室 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 区 画 以 外<br />
に 係 る 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っており、 火 災<br />
耐 久 試 験 により 耐 火 性 能 を 確 認 した 隔 壁 等 により 互 いに 異 なる 系 統 を 分 離 し<br />
た 上 で、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 するために 必 要 な 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 の 系 統<br />
分 離 を 図 ることにより、 当 該 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 において 火 災 が 発 生 した 場<br />
合 においても 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 することができるとしていることを 確 認 し<br />
た。<br />
ただし、 原 子 炉 制 御 室 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 区 画 に 係 る 影 響 軽 減 に 係 る 設<br />
計 方 針 については、(3) 及 び(4)で 記 載 している。<br />
(3) 原 子 炉 制 御 室 制 御 盤 内 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策<br />
申 請 者 は、 中 央 制 御 室 中 央 制 御 盤 内 で 発 生 が 想 定 される 火 災 に 対 して、 運 転<br />
員 の 操 作 性 及 び 視 認 性 向 上 を 目 的 として 機 器 等 を 近 接 して 設 置 することから、<br />
上 記 (2)の 系 統 分 離 対 策 を 講 じることができないものの、 以 下 のとおり 対 策<br />
を 講 じるとしている。<br />
1 中 央 制 御 盤 内 における 操 作 スイッチ 及 びケーブルにおいて 火 災 が 発 生<br />
した 場 合 であっても、 近 接 する 他 の 構 成 部 品 に 影 響 がないことを 実 証 試 験<br />
93
により 確 認 すること。<br />
2 ケーブルは、 当 該 ケーブルに 火 災 が 発 生 しても 延 焼 せず、また、 周 囲 へ<br />
の 火 災 を 与 えない 金 属 外 装 ケーブル、テフロン 電 線 及 び 難 燃 ケーブルを 使<br />
用 すること。<br />
3 中 央 制 御 室 に 設 置 する 異 なる 種 類 の 火 災 感 知 器 とは 別 に、 直 ちに 煙 を 検<br />
知 できる 火 災 感 知 器 を 中 央 制 御 盤 内 に 設 置 すること。<br />
4 常 駐 する 運 転 員 により 早 期 の 消 火 活 動 が 実 施 できるよう 手 順 を 定 めて<br />
訓 練 を 実 施 すること。<br />
5 火 災 の 発 生 箇 所 の 特 定 ができるようサーモグラフィカメラ 等 を 配 備 す<br />
ること。<br />
6 中 央 制 御 盤 の 一 つの 区 画 内 で 火 災 が 発 生 し 当 該 区 画 の 安 全 機 能 が 全 て<br />
喪 失 した 場 合 であっても、 他 の 区 画 の 制 御 盤 による 運 転 操 作 、 現 場 の 遮 断<br />
器 等 の 操 作 により 原 子 炉 を 停 止 することができること。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 制 御 室 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策 が、<br />
火 災 防 護 基 準 に 規 定 している 対 策 と 同 一 ではないものの、 複 数 の 運 転 員 が 常 駐<br />
していることを 踏 まえ、 上 記 1から6の 対 策 を 講 じることにより、 火 災 の 発 生<br />
防 止 対 策 、 火 災 による 他 系 統 への 延 焼 を 防 止 する 上 で 必 要 な 火 災 感 知 及 び 消 火<br />
の 対 策 を 講 じること、 中 央 制 御 盤 の 一 つの 区 画 で 火 災 が 発 生 し、 当 該 区 画 の 安<br />
全 機 能 が 全 て 喪 失 した 場 合 であっても、 原 子 炉 を 安 全 に 停 止 することができる<br />
としていることにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 されることを 確 認 した。<br />
(4) 原 子 炉 格 納 容 器 内 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 発 生 が 想 定 される 火 災 に 対 して、ケーブルト<br />
レイが 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 近 接 して 設 置 されていること 並 びに 1 時 間 耐 火 性<br />
能 を 有 している 隔 壁 等 は 事 故 が 発 生 した 場 合 にデブリ 発 生 の 要 因 となり 再 循<br />
環 サンプの 閉 塞 をもたらす 可 能 性 があることから、 上 記 (2)の 系 統 分 離 対 策<br />
を 講 じないものの、 以 下 のとおり 対 策 を 講 じるとしている。<br />
1 火 災 防 護 対 象 機 器 等 は、 蒸 気 発 生 器 のループごと 毎 に 設 置 する 等 により、<br />
6m 以 上 の 水 平 距 離 を 可 能 な 範 囲 で 確 保 離 隔 すること、また、 異 なる 格 納 容<br />
器 貫 通 部 を 通 って 格 納 容 器 外 に 敷 設 することで 火 災 による 他 系 統 への 延<br />
焼 を 防 止 していること。 火 災 感 知 器 は、 火 災 防 護 対 象 機 器 等 に 延 焼 するお<br />
それがある 火 災 を 感 知 する 配 置 とすること。また、ケーブルトレイには、<br />
火 災 の 延 焼 や 火 災 からの 影 響 を 抑 制 するための 蓋 を 設 置 すること。<br />
2 電 気 盤 の 筐 体 、 油 内 包 機 器 のケーシング 等 により、 原 子 炉 格 納 容 器 内 に<br />
おける 火 災 の 影 響 を 限 定 すること。<br />
94
3 火 災 源 となり 得 る 油 を 内 包 したポンプは、 油 が 漏 れた 場 合 でも 拡 大 しな<br />
いように 設 計 すること。<br />
4 放 射 線 の 影 響 による 誤 動 作 や 水 素 が 発 生 する 事 故 を 考 慮 して、「 非 アナ<br />
ログ 式 であり 防 爆 型 の 煙 感 知 器 」 及 び「 非 アナログ 式 であり 防 爆 型 の 熱 感<br />
知 器 」を 設 置 すること。<br />
5 原 子 炉 格 納 容 器 内 で 火 災 が 発 生 した 場 合 の 消 防 要 員 又 は 運 転 員 ( 以 下<br />
「 消 防 要 員 等 」という。)の 進 入 の 可 否 の 判 断 を 含 めた 消 火 手 順 を 定 め、<br />
消 防 要 員 等 が 進 入 可 能 な 場 合 は 要 員 による 早 期 の 消 火 活 動 を 行 う 運 用 と<br />
すること。<br />
6 消 防 要 員 等 が 進 入 困 難 な 場 合 は、 中 央 制 御 室 で 手 動 操 作 可 能 な 原 子 炉 格<br />
納 容 器 スプレイ 設 備 を 用 いた 消 火 を 行 うこと。<br />
7 原 子 炉 格 納 容 器 内 での 火 災 の 影 響 により 全 ての 動 的 機 器 が 停 止 し、かつ、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 弁 の 遠 隔 操 作 ができなくなることを 仮 定 しても、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 外 に 設 置 される 補 助 給 水 設 備 と 主 蒸 気 系 統 設 備 により 原 子 炉<br />
の 高 温 停 止 を 維 持 し、 火 災 鎮 火 後 、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 電 動 弁 を 手 動 操 作<br />
し 余 熱 除 去 設 備 を 起 動 することで、 原 子 炉 の 低 温 停 止 を 達 成 することがで<br />
きること。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 における 火 災 の 影 響 軽 減 対 策<br />
が、 火 災 防 護 基 準 に 規 定 している 対 策 と 同 一 ではないものの、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 には 可 燃 物 の 持 込 みが 制 限 されることを 踏 まえ、 申 請 者 が 上 記 1から7の 対<br />
策 を 講 じることにより、 原 子 炉 格 納 容 器 内 において 発 火 源 として 想 定 される 機<br />
器 に 火 災 が 発 生 した 場 合 においても 火 災 の 影 響 を 限 定 し、 火 災 による 他 系 統 へ<br />
の 延 焼 や 火 災 からの 影 響 を 防 止 する 上 で 必 要 な 火 災 感 知 及 び 消 火 の 対 策 を 講<br />
じることにより、 火 災 防 護 対 象 機 器 等 の 機 能 が 損 なわれないとしていること、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 での 火 災 の 影 響 により 全 ての 動 的 機 器 が 停 止 し、かつ、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 の 弁 の 遠 隔 操 作 ができなくなることを 仮 定 しても、 原 子 炉 を 安 全<br />
に 停 止 することができるとしていることにより、 十 分 な 保 安 水 準 が 確 保 される<br />
ことを 確 認 した。<br />
(5)その 他 の 影 響 軽 減 に 対 する 設 計 上 の 考 慮<br />
申 請 者 は、 放 射 性 物 質 の 貯 蔵 及 び 閉 じ 込 め 機 能 を 有 する 構 築 物 、 系 統 及 び 機<br />
器 が 設 置 される 火 災 区 域 は、3 時 間 以 上 の 耐 火 能 力 を 有 する 壁 等 によって 他 の<br />
火 災 区 域 から 分 離 すること、 他 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 へ 火 炎 、 熱 、 煙 が 悪 影<br />
響 を 及 ぼさないよう 換 気 空 調 設 備 には 防 火 ダンパを 設 置 する 設 計 とすること、<br />
中 央 制 御 室 の 火 災 発 生 時 の 煙 を 排 気 するために 建 築 基 準 法 に 準 拠 した 容 量 の<br />
95
排 煙 設 備 を 配 備 すること、フロアケーブルダクトはハロン 消 火 設 備 による 消 火<br />
を 行 う 設 計 とすること、 油 タンクはベント 管 等 により 屋 外 へ 排 気 する 設 計 とす<br />
ることとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確<br />
認 した。<br />
(6) 火 災 影 響 評 価<br />
申 請 者 は、 火 災 により 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した<br />
としても 事 故 等 を 収 束 できるよう 設 計 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 火 災 による 影 響 を 考 慮 しても、「 発 電 用 軽 水 型 原<br />
子 炉 施 設 の 安 全 評 価 に 関 する 審 査 指 針 」( 平 成 2 年 8 月 30 日 原 子 力 安 全 委 員 会<br />
決 定 )( 以 下 「 安 全 評 価 指 針 」という。)に 基 づき、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又<br />
は 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するための 機 器 の 単 一 故 障 を 想 定 して 多 重 性 をもった<br />
それぞれの 系 統 が 同 時 に 機 能 を 失 うことなく 異 常 状 態 を 収 束 できる 設 計 とす<br />
る 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 火 災 の 影 響 軽 減 に 係 る 設 計 が、 火<br />
災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っていることを 確 認 した。<br />
6. 特 定 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 対 策 の 設 計 方 針<br />
火 災 防 護 基 準 は、 上 記 1.から5.までの 項 目 に 加 え、 安 全 機 能 を 有 する 機 器<br />
等 それぞれの 特 徴 を 考 慮 した 火 災 防 護 対 策 を 講 じた 設 計 とすることを 要 求 して<br />
いる。<br />
申 請 者 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1)フロアケーブルダクトは、 運 転 員 が 消 火 活 動 を 行 うことができないことか<br />
ら、 手 動 操 作 によるハロン 消 火 設 備 により 消 火 する 設 計 とする。<br />
(2) 安 全 補 機 開 閉 器 室 は、 電 源 供 給 のみに 使 用 する 設 計 とする。<br />
(3) 蓄 電 池 室 には、 蓄 電 池 のみを 設 置 し 直 流 開 閉 装 置 やインバータは 設 置 しな<br />
い 設 計 とする。 蓄 電 池 室 の 換 気 空 調 設 備 は、 水 素 ガスの 排 気 に 必 要 な 換 気 量<br />
以 上 となるように 設 計 するとともに、 当 該 設 備 が 停 止 した 場 合 には、 中 央 制<br />
御 室 に 警 報 を 発 する 機 能 を 有 する 設 計 とする。<br />
(4)ポンプ 室 には、 煙 を 排 気 できる 可 搬 式 の 排 風 機 を 設 置 できる 設 計 とする。<br />
(5) 中 央 制 御 室 を 含 む 火 災 区 画 の 換 気 空 調 設 備 には、 防 火 ダンパを 設 置 する 設<br />
計 とする。また、 中 央 制 御 室 の 床 面 には、 防 炎 性 を 有 するカーペットを 使 用<br />
96
する 設 計 とする。<br />
(6) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 設 備 は、 純 水 中 においても 未 臨 界 となるように 使 用 済 燃 料<br />
を 配 置 する 設 計 とする、また、 新 燃 料 貯 蔵 設 備 は、 新 燃 料 を 保 管 するラック<br />
が 一 定 のラック 間 隔 を 有 する 設 計 とするため、 消 火 水 が 入 ったとしても 臨 界<br />
にはならない。<br />
(7) 放 射 性 廃 棄 物 処 理 設 備 及 び 放 射 性 廃 棄 物 貯 蔵 設 備 を 設 置 する 火 災 区 域 は、<br />
換 気 空 調 設 備 が 排 気 筒 に 繋 がるダンパを 閉 止 し 隔 離 できるように 設 計 する。<br />
また、 放 射 性 物 質 を 含 んだ 使 用 済 イオン 交 換 樹 脂 、チャコールフィルタ 及 び<br />
HEPA フィルタは、 固 体 廃 棄 物 として 処 理 を 行 うまでの 間 、 金 属 製 の 容 器 や 不<br />
燃 シートに 包 んで 保 管 する 設 計 とするとともに、 崩 壊 熱 による 火 災 の 発 生 を<br />
考 慮 する 放 射 性 物 質 を 貯 蔵 しない 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 特 定 の 火 災 区 域 又 は 火 災 区 画 における 火 災 防 護 対<br />
策 の 設 計 が 火 災 防 護 基 準 の 規 定 に 則 っており、 安 全 機 能 を 有 する 機 器 等 それぞれ<br />
の 特 徴 を 考 慮 した 対 策 を 講 じる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-7 溢 水 による 損 傷 の 防 止 等 ( 第 9 条 関 係 )<br />
第 9 条 第 1 項 は、 安 全 施 設 は 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 における 溢 水 が 発 生 した 場 合 に<br />
おいても 安 全 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。また、 同 条<br />
第 2 項 の 規 定 においては、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 発 電 用 原 子 炉 施 設 内 の 放 射<br />
性 物 質 を 含 む 液 体 を 内 包 する 容 器 又 は 配 管 の 破 損 によって 当 該 容 器 又 は 配 管 から<br />
放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 があふれ 出 た 場 合 において、 当 該 液 体 が 管 理 区 域 外 へ 漏 えい<br />
しないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 溢 水 に 対 し 防 護 すべき 設 備 ( 以 下 「 防 護 対 象 設 備 」という。)を 抽 出 するた<br />
めの 方 針<br />
2. 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 するための 方 針<br />
3. 溢 水 防 護 区 画 及 び 溢 水 経 路 を 設 定 するための 方 針<br />
4. 建 屋 内 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
5. 建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
6. 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋 への 外 部 からの 流 入 防 止 に 関 する 設 計 方 針<br />
7. 放 射 性 物 質 を 含 んだ 液 体 の 管 理 区 域 外 への 漏 えいを 防 止 するための 設 計 方 針<br />
8. 溢 水 によって 発 生 する 外 乱 に 対 する 評 価 方 針<br />
97
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 防 護 対 象 設 備 を 抽 出 するための 方 針<br />
発 電 用 原 子 炉 施 設 内 で 発 生 する 溢 水 に 対 して、 安 全 施 設 の 安 全 機 能 が 損 なわれ<br />
ないようにするために 必 要 な 設 備 を 防 護 対 象 設 備 として 抽 出 する 方 針 が 示 され<br />
ることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 防 護 対 象 設 備 として、 原 子 炉 の 高 温 停 止 、 低 温 停 止 を 達 成 し、これ<br />
を 維 持 するために 必 要 な 設 備 、 放 射 性 物 質 の 閉 じ 込 め 機 能 を 維 持 するために 必 要<br />
な 設 備 並 びに 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 機 能 及 び 給 水 機 能 を 維 持 するために 必 要<br />
な 設 備 を 防 護 対 象 設 備 として 抽 出 する 方 針 としている。なお、それらのうち、 溢<br />
水 によって 安 全 機 能 が 損 なわれない 静 的 機 器 、 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 等 を 想 定 し<br />
て 設 置 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 機 器 、 溢 水 の 影 響 を 受 けて 動 作 機 能 を 損 なっても<br />
安 全 機 能 を 維 持 できる 機 器 、 主 給 水 逆 止 弁 の 逆 流 防 止 機 能 により 代 替 できる 主 給<br />
水 隔 離 弁 、 補 助 給 水 ポンプ 出 口 流 量 設 定 弁 により 代 替 できる 補 助 給 水 隔 離 弁 につ<br />
いては、 溢 水 による 影 響 評 価 の 対 象 として 抽 出 しない 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 防 護 対 象 設 備 を 抽 出 するための 方 針 について、 設<br />
置 許 可 基 準 規 則 解 釈 で 規 定 されている 安 全 機 能 を 有 する 設 備 を 全 て 抽 出 すると<br />
していることを 確 認 した。<br />
2. 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 するための 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 の 設 計 方 針 を 検 討 するに 当 たり、 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水<br />
( 以 下 「 破 損 による 溢 水 」という。)、 異 常 状 態 ( 火 災 を 含 む。)の 拡 大 防 止 のた<br />
めに 設 置 される 系 統 からの 放 水 による 溢 水 ( 以 下 「 消 火 水 の 放 水 による 溢 水 」と<br />
いう。) 及 び 地 震 等 の 自 然 現 象 による 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水 ( 以 下 「 地<br />
震 等 による 溢 水 」という。)における、 溢 水 源 及 び 溢 水 量 を 設 定 する 方 針 が 示 さ<br />
れることが 必 要 である。<br />
(1) 破 損 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 機 器 の 破 損 等 により 生 じる 溢 水 を 想 定 して、<br />
配 管 の 破 損 箇 所 を 溢 水 源 として 設 定 している。 溢 水 量 の 算 出 に 当 たっては、 配<br />
管 の 破 損 箇 所 から 流 出 した 漏 水 量 と 隔 離 範 囲 内 の 系 統 保 有 水 量 を 合 算 して 設<br />
定 する 方 針 としている。ここで、 漏 水 量 は、 配 管 の 破 損 形 状 を 考 慮 した 流 出 流<br />
98
量 と 漏 水 箇 所 の 隔 離 までに 必 要 な 時 間 ( 以 下 「 隔 離 時 間 」という。)を 乗 じて<br />
設 定 するとし、 配 管 の 破 損 形 状 については、 配 管 が 内 包 する 流 体 のエネルギー<br />
に 応 じて、 配 管 を 高 エネルギー 配 管 と 低 エネルギー 配 管 に 分 類 した 上 で、 応 力<br />
評 価 により 設 定 する 方 針 としている。<br />
なお、 想 定 する 破 損 箇 所 は 防 護 対 象 設 備 への 溢 水 影 響 が 最 も 大 きくなる 位 置<br />
とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 源 及 び 溢 水 量 の 設 定 が、 溢 水 源 については、<br />
全 ての 高 エネルギー 配 管 及 び 低 エネルギー 配 管 を 対 象 として 破 損 を 想 定 する<br />
配 管 を 抽 出 した 上 で、 単 一 の 破 損 を 設 定 する 方 針 であること、また、 溢 水 量 に<br />
ついては、 操 作 時 間 を 踏 まえた 隔 離 時 間 の 設 定 や 漏 水 量 が 最 大 となる 破 損 位 置<br />
等 を 検 討 の 上 、 保 守 性 を 有 するよう 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(2) 消 火 水 の 放 水 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、「Ⅲ-6 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 8 条<br />
関 係 )」において 設 置 するとした 消 火 設 備 からの 放 水 を 溢 水 源 として 設 定 して<br />
いる。 溢 水 量 の 算 出 に 当 たっては、 単 位 時 間 当 たりの 放 水 量 と 放 水 時 間 から 溢<br />
水 量 を 設 定 する 方 針 としている。 消 火 栓 からの 放 水 時 間 の 設 定 は 3 時 間 を 基 本<br />
とし、 火 災 源 が 小 さい 場 合 は、 火 災 荷 重 に 応 じて 放 水 時 間 を 設 定 する 方 針 とし<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 源 及 び 溢 水 量 の 設 定 が、 溢 水 源 については、<br />
火 災 発 生 時 の 消 火 設 備 からの 放 水 とする 方 針 であること、また、 溢 水 量 につい<br />
ては、 保 守 性 を 有 するよう 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(3) 地 震 等 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 により 発 電 所 内 で<br />
発 生 する 溢 水 を 想 定 するとしている。<br />
具 体 的 な 溢 水 源 として、 流 体 を 内 包 する 耐 震 B、Cクラス 機 器 ( 配 管 及 び 容<br />
器 )のうち 基 準 地 震 動 に 対 する 耐 震 性 が 確 保 されない 機 器 及 び 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
トのスロッシングによる 溢 水 を 想 定 している。ただし、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 さ<br />
れていない 水 密 化 区 画 内 で 生 じる 溢 水 は、 溢 水 源 として 想 定 しないとしている。<br />
溢 水 量 の 算 出 に 当 たっては、 配 管 の 破 損 により 生 じる 溢 水 量 は、 流 出 流 量 と<br />
隔 離 時 間 とを 乗 じて 得 られる 漏 水 量 と、 隔 離 範 囲 内 の 保 有 水 量 を 合 算 して 溢 水<br />
量 を 設 定 する 方 針 としている。 容 器 の 破 損 により 生 じる 溢 水 量 は、 容 器 内 保 有<br />
水 の 全 量 流 出 を 基 本 としている。<br />
99
なお、 漏 水 が 生 じるとした 機 器 については、 防 護 対 象 設 備 への 溢 水 影 響 が 最<br />
も 大 きくなる 位 置 で 漏 水 が 生 じるものとして 評 価 するとしている。<br />
また、 運 転 員 の 手 動 操 作 による 漏 えい 停 止 が 期 待 できる 場 合 には、 隔 離 時 間<br />
を 考 慮 して 設 定 するとしている。<br />
使 用 済 燃 料 ピットからの 溢 水 量 については、 基 準 地 震 動 により 発 生 するスロ<br />
ッシングによるピット 外 への 漏 水 量 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 溢 水 源 については、 流 体 を 内 包 する 全 ての 耐 震 B、<br />
Cクラス 機 器 ( 配 管 及 び 容 器 )を 対 象 として 基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 して<br />
耐 震 性 を 考 慮 し 破 損 を 想 定 する 機 器 を 抽 出 した 上 で、 設 定 する 方 針 としている<br />
こと、また、 溢 水 量 については、 隔 離 時 間 を 考 慮 して 設 定 する 方 針 としている<br />
ことを 確 認 した。<br />
(4)その 他 の 要 因 による 溢 水<br />
申 請 者 は、 竜 巻 その 他 の 地 震 以 外 の 自 然 現 象 による 屋 外 タンク 等 の 破 損 、 地<br />
下 水 の 流 入 、 機 器 の 誤 作 動 その 他 の 要 因 による 溢 水 を 想 定 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 上 記 の(1)~(3) 以 外 の 要 因 による 溢 水 につ<br />
いても 設 定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 評 価 において 本 発 電 所 の 状 況<br />
を 踏 まえた 検 討 を 行 った 上 で、 溢 水 源 及 び 溢 水 量 の 設 定 を 行 う 方 針 としているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
3. 溢 水 防 護 区 画 及 び 溢 水 経 路 を 設 定 するための 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 の 設 計 方 針 を 検 討 するに 当 たり、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 される 区 画<br />
及 び 溢 水 経 路 を 設 定 する 方 針 が 示 されることが 必 要 である。<br />
(1) 溢 水 防 護 区 画 の 設 定<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえて、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 全 ての 場<br />
所 並 びに 中 央 制 御 室 及 び 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備 へのアクセス 通 路 を 対 象 に 溢<br />
水 防 護 区 画 を 設 定 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 防 護 区 画 の 設 定 が、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 さ<br />
れている 全 ての 区 画 等 を 対 象 に、 壁 、 扉 、 堰 等 又 はそれらの 組 合 せによって 設<br />
定 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
100
(2) 溢 水 経 路 の 設 定<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえて、 溢 水 防 護 区 画 内 外 で 発 生 する 溢 水 を 想 定<br />
した 上 で、 床 ドレン、 床 面 開 口 部 、 扉 等 からの 流 入 又 は 流 出 を 保 守 的 に 設 定 し<br />
た 条 件 で 当 該 区 画 の 水 位 が 最 も 高 くなる 経 路 を 溢 水 経 路 として 設 定 する 方 針<br />
としている。ただし、 消 火 活 動 時 に 区 画 の 扉 を 開 放 する 場 合 は、 扉 を 開 放 状 態<br />
と 設 定 するとしている。 溢 水 影 響 を 軽 減 することを 期 待 する 壁 、 扉 、 堰 等 につ<br />
いては、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 し 健 全 性 を 確 認 し、 保 守 管 理 や 水 密 扉 閉<br />
止 等 の 運 用 を 適 切 に 実 施 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 経 路 の 設 定 が、 溢 水 防 護 区 画 の 水 位 が 最 も<br />
高 くなるように 適 切 に 行 われる 方 針 としていること、また、 経 路 上 の 壁 、 扉 、<br />
堰 等 に 溢 水 影 響 の 軽 減 を 期 待 する 場 合 は、 基 準 地 震 動 に 対 する 耐 震 性 を 評 価 す<br />
るとともに、 保 守 管 理 や 運 用 を 適 切 に 実 施 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 防 護 区 画 及 び 溢 水 経 路 の 設 定<br />
が、 現 場 設 備 等 の 設 置 状 況 を 踏 まえ、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 全 ての 区 画<br />
等 を 対 象 に 溢 水 防 護 区 画 として 設 定 する 方 針 としているとともに、 当 該 区 画 の 水<br />
位 が 最 も 高 くなるような 保 守 的 な 条 件 で 溢 水 経 路 を 設 定 する 方 針 としているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
4. 建 屋 内 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 は、 破 損 、 消 火 水 の 放 水 及 び 地 震 等 による 溢 水 に 関 して、 没 水 影<br />
響 、 被 水 影 響 及 び 蒸 気 影 響 の 観 点 で、 安 全 機 能 が 損 なわれないよう 防 護 される 設<br />
計 方 針 であることが 必 要 である。また、 原 子 炉 制 御 室 及 び 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備<br />
へのアクセス 通 路 に 対 しては、 環 境 条 件 等 を 考 慮 しても、 接 近 の 可 能 性 が 失 われ<br />
ない 設 計 方 針 であることが 必 要 である。<br />
また、 使 用 済 燃 料 ピットが 地 震 に 伴 うスロッシングによってピット 外 へ 漏 水 し<br />
ても、 当 該 ピットの 冷 却 及 び 給 水 ができる 設 計 方 針 であることが 必 要 である。<br />
(1) 没 水 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 没 水 による 影 響 を 受 けて、 防 護 対 象 設 備 が<br />
安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とするとしている。 具 体 的 には、 以 下 のいずれかの<br />
設 計 を 行 う 方 針 としている。<br />
1 溢 水 による 水 位 が、 溢 水 の 影 響 を 受 けて 防 護 対 象 設 備 の 安 全 機 能 を 損 な<br />
うおそれがある 高 さ( 以 下 「 機 能 喪 失 高 さ」という。)を 上 回 らない 設 計<br />
とする。その 際 、 流 入 状 態 、 溢 水 源 からの 距 離 、 運 転 員 のアクセス 等 によ<br />
る 一 時 的 な 水 位 変 動 を 考 慮 し、 発 生 した 溢 水 水 位 に 対 して 裕 度 を 確 保 する<br />
101
設 計 とする。<br />
2 防 護 対 象 設 備 が、 多 重 性 又 は 多 様 性 を 有 し、 各 々を 別 区 画 に 設 置 するこ<br />
とにより、 同 時 に 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。その 際 、 溢 水 を 起 因<br />
とする 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 及 び 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するために 必 要<br />
な 機 器 の 単 一 故 障 を 考 慮 する。<br />
3 上 記 1~2のいずれの 設 計 方 針 も 満 足 しない 場 合 は、 壁 、 扉 、 堰 等 によ<br />
る 没 水 対 策 を 実 施 する。<br />
消 火 水 の 放 水 による 溢 水 に 対 しては、 火 災 により 壁 貫 通 部 の 止 水 機 能 が 損 な<br />
われ 当 該 貫 通 部 からの 消 火 水 の 流 入 を 想 定 しても、 防 護 対 象 設 備 が 機 能 喪 失 し<br />
ない 設 計 方 針 としている。また、 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備 に 対 しては、 環 境 条 件<br />
を 考 慮 しても 操 作 場 所 までのアクセスが 可 能 な 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、1 防 護 対 象 設 備 ごとに 現 場 の 設 置 状 況 を 踏<br />
まえて 機 能 喪 失 高 さを 評 価 し、 一 時 的 な 水 位 変 動 等 を 考 慮 しても、 溢 水 による<br />
水 位 が、 防 護 対 象 設 備 の 機 能 喪 失 高 さを 上 回 らないように 設 置 すること、2 多<br />
重 性 又 は 多 様 性 を 有 する 安 全 施 設 については、 同 時 に 安 全 機 能 が 損 なわれない<br />
よう 各 々を 別 区 画 に 設 置 すること、3 没 水 対 策 を 講 じることにより、 安 全 機 能<br />
が 損 なわれない 設 計 とすることのいずれかとする 方 針 としていることを 確 認<br />
した。また、 消 火 活 動 時 の 消 火 水 の 放 水 に 伴 う 没 水 水 位 に 対 しては、 機 能 喪 失<br />
高 さを 上 回 らないとする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
(2) 被 水 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 被 水 による 影 響 として、 破 損 した 機 器 から<br />
の 飛 散 による 被 水 、 天 井 面 の 開 口 部 や 貫 通 部 からの 被 水 及 び 消 火 水 の 放 水 によ<br />
る 被 水 の 影 響 を 想 定 している。その 上 で、これら 被 水 による 影 響 を 受 けて、 防<br />
護 対 象 設 備 が 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とするとしている。 具 体 的 には、 被 水<br />
による 影 響 を 受 ける 範 囲 に 防 護 対 象 設 備 が 設 置 される 場 合 は、 以 下 のいずれか<br />
の 設 計 を 行 う 方 針 としている。<br />
1 防 護 対 象 設 備 が 被 水 試 験 等 により 確 認 された 防 滴 機 能 を 有 しており 安<br />
全 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。<br />
2 防 護 対 象 設 備 が、 多 重 性 又 は 多 様 性 を 有 し、 各 々を 別 区 画 に 設 置 するこ<br />
とにより、 同 時 に 安 全 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。<br />
3 防 護 対 象 設 備 への 保 護 カバー 等 による 被 水 対 策 を 実 施 する。<br />
この 他 、 消 火 水 の 放 水 による 被 水 の 影 響 については、 防 護 対 象 設 備 に 対 して<br />
不 用 意 な 放 水 を 行 わないことで、 安 全 機 能 を 損 なわない 運 用 を 行 う 設 計 として<br />
102
いる。また、 現 場 操 作 が 必 要 な 設 備 に 対 しては、 環 境 条 件 を 考 慮 しても 操 作 場<br />
所 までのアクセスが 可 能 な 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、1 被 水 により 安 全 機 能 を 損 なわないよう 防<br />
滴 機 能 を 有 すること、2 多 重 性 又 は 多 様 性 を 有 する 防 護 対 象 設 備 については、<br />
同 時 に 安 全 機 能 が 損 なわれないよう 別 区 画 に 設 置 すること、3 被 水 試 験 により<br />
確 認 された 保 護 カバーによって 防 護 対 象 設 備 に 被 水 対 策 を 講 じることで、 安 全<br />
機 能 が 損 なわれない 設 計 とすることのいずれかとする 方 針 としていることを<br />
確 認 した。<br />
(3) 蒸 気 放 出 の 影 響 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 溢 水 ガイドを 踏 まえ、 蒸 気 影 響 を 及 ぼすおそれのある 配 管 等 は、<br />
基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 して 耐 震 性 を 確 保 する 設 計 としている。 高 エネル<br />
ギー 配 管 等 の 破 損 を 想 定 した 場 合 、 発 生 する 漏 えい 蒸 気 に 対 して、 蒸 気 暴 露 試<br />
験 又 は 机 上 評 価 によって 防 護 対 象 設 備 の 健 全 性 が 確 認 されている 条 件 ( 圧 力 、<br />
温 度 及 び 湿 度 )を 超 えることがないように 防 護 対 象 施 設 は、 以 下 のいずれかの<br />
設 計 を 行 う 方 針 としている。<br />
1 蒸 気 影 響 を 緩 和 するための 対 策 として、 蒸 気 の 漏 えいを 自 動 検 知 し、 自<br />
動 又 は 手 動 による 隔 離 を 行 う 設 計 とする。<br />
2 上 記 1の 対 策 だけでは、その 防 護 対 象 設 備 の 健 全 性 が 確 保 されない 破 損<br />
想 定 箇 所 については、 防 護 カバーを 設 置 する。<br />
なお、 破 損 想 定 箇 所 の 近 傍 に 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 場 合 は、 漏 えい<br />
蒸 気 の 直 接 噴 出 による 防 護 対 象 設 備 への 影 響 を 考 慮 するとしている。また、 現<br />
場 操 作 が 必 要 な 設 備 に 対 しては、 環 境 条 件 を 考 慮 しても 操 作 場 所 までのアクセ<br />
スが 可 能 な 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 防 護 対 象 設 備 の 健 全 性 が 確 認 されている 条<br />
件 を 超 えることがないようにする 方 針 とし、 必 要 に 応 じて、1 漏 えいの 自 動 検<br />
知 及 び 自 動 又 は 手 動 での 隔 離 による 蒸 気 影 響 緩 和 対 策 又 は、2 破 損 想 定 箇 所 へ<br />
の 防 護 カバーの 設 置 による 緩 和 対 策 を 行 う 方 針 としていることなどを 確 認 し<br />
た。<br />
(4)その 他 の 要 因 による 溢 水 に 対 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 竜 巻 その 他 の 地 震 以 外 の 自 然 現 象 による 屋 外 タンク 等 の 破 損 に 対<br />
しては、 溢 水 防 護 区 画 内 に 設 置 される 防 護 対 象 設 備 の 安 全 機 能 が 損 なわれるお<br />
それがある 場 合 、 壁 、 扉 、 堰 等 により 溢 水 防 護 区 画 内 への 浸 水 を 防 止 する 設 計<br />
としている。 地 下 水 に 対 しては、 建 屋 最 下 層 にある 湧 水 サンプに 集 水 する 設 計<br />
103
とし、 湧 水 サンプポンプにより 溢 水 防 護 区 画 へ 地 下 水 が 流 入 しない 設 計 として<br />
いる。また、 機 器 の 誤 作 動 による 漏 えい 事 象 に 対 して、 漏 えい 検 知 システム 等<br />
による 早 期 検 知 が 可 能 とし、 防 護 対 象 設 備 の 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とし<br />
ている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が、 竜 巻 に 伴 う 屋 外 タンクの 破 損 等 による 溢 水 に 対 し<br />
て、 壁 、 扉 、 堰 等 により 溢 水 防 護 区 画 内 への 浸 水 を 防 止 し、 防 護 対 象 設 備 の 安<br />
全 機 能 が 損 なわれない 設 計 としていることを 確 認 した。<br />
(5) 使 用 済 燃 料 ピットのスロッシング 後 の 機 能 維 持 に 関 する 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 及 び 給 水 機 能 の 維 持 に 必 要 な 設 備 の 没 水 、<br />
被 水 、 蒸 気 放 出 の 影 響 に 対 する 安 全 機 能 維 持 に 係 る 設 計 に 加 え、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットが、スロッシング 後 においても、ピット 冷 却 機 能 及 び 遮 蔽 機 能 維 持 に 必 要<br />
な 水 位 を 確 保 する 設 計 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 使 用 済 燃 料 ピットのスロッシング 後 の 水 位<br />
が 最 も 厳 しい 初 期 条 件 等 を 想 定 しても 水 温 65℃ 以 下 に 維 持 し、 申 請 者 が 規 定<br />
する 使 用 済 燃 料 ピット 中 央 水 面 における 空 間 線 量 率 以 下 に 維 持 するために 必<br />
要 な 水 位 を 確 保 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 溢 水 に 対 する 設 計 が、 没 水 、 被 水 、 蒸 気 放 出 に 対<br />
して 防 護 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
5. 建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 を 防 護 するための 設 計 方 針<br />
建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 については、 溢 水 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計<br />
方 針 であることが 要 求 される。<br />
申 請 者 は、 建 屋 外 の 防 護 対 象 設 備 である 海 水 ポンプについて、 海 水 ポンプエリ<br />
ア 内 外 で 生 じる 溢 水 に 対 して 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 方 針 としている。 具 体<br />
的 には 海 水 ポンプエリア 外 で 生 じる 溢 水 が 流 入 しないようにするために、 壁 、 扉 、<br />
堰 等 による 溢 水 伝 播 防 止 対 策 を 図 る 方 針 としている。 当 該 エリア 内 で 生 じる 溢 水<br />
に 対 しては、 床 開 口 部 から 排 出 する 方 針 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 溢 水 防 護 区 画 内 外 からの 溢 水 に 対 して 壁 、 扉 、<br />
堰 等 による 溢 水 伝 播 防 止 対 策 を 図 ること 及 び 床 開 口 部 から 排 出 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
104
6. 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋 への 外 部 からの 流 入 防 止 に 関 する 設 計 方 針<br />
防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 建 屋 については、 建 屋 外 からの 溢 水 の 流 入 の 防<br />
止 を 講 じる 設 計 方 針 であることが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 建 屋 外 の 溢 水 源 として、 防 護 対 象 設 備 が 設 置 されている 溢 水 防 護 区<br />
画 へ 流 入 しないようにするため、 溢 水 防 護 区 画 又 は 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋<br />
に 壁 、 扉 、 堰 等 の 設 置 等 の 流 入 防 止 対 策 を 講 じる 設 計 とするとしている。なお、<br />
タービン 建 屋 内 で 生 じる 溢 水 及 び 地 下 水 による 溢 水 に 対 する 設 計 方 針 について<br />
は、「Ⅲ-3.2 耐 津 波 設 計 方 針 」に 記 載 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 溢 水 防 護 区 画 を 内 包 する 建 屋 外 からの 溢 水 経<br />
路 を 特 定 した 上 で、それぞれの 流 入 経 路 に 対 して 水 密 扉 の 設 置 等 の 対 策 を 講 じる<br />
方 針 としていることを 確 認 した。<br />
7. 放 射 性 物 質 を 含 んだ 液 体 の 管 理 区 域 外 への 漏 えいを 防 止 するための 設 計<br />
方 針<br />
第 9 条 第 2 項 は、 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 を 内 包 する 容 器 又 は 配 管 の 破 損 によっ<br />
て 当 該 容 器 又 は 配 管 から 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 があふれ 出 た 場 合 において、 管 理<br />
区 域 外 へ 漏 えいしないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 を 内 包 する 容 器 又 は 配 管 の 破 損 によって 当 該<br />
容 器 又 は 配 管 から 放 射 性 物 質 を 含 む 液 体 があふれ 出 た 場 合 において、 伝 播 経 路 の<br />
制 限 措 置 を 講 じることにより、 当 該 液 体 が 管 理 区 域 外 へ 漏 えいしない 設 計 方 針 と<br />
している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 建 屋 内 の 壁 、 堰 等 の 設 置 によって、 放 射 性 物<br />
質 を 含 んだ 液 体 の 管 理 区 域 外 への 伝 播 経 路 を 制 限 することにより、 当 該 液 体 が 管<br />
理 区 域 外 へ 漏 えいしない 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
8. 溢 水 によって 発 生 する 外 乱 に 対 する 評 価 方 針<br />
溢 水 に 対 する 設 計 方 針 を 踏 まえた 上 で、 溢 水 により 原 子 炉 に 外 乱 が 及 び、かつ、<br />
安 全 保 護 系 、 原 子 炉 停 止 系 の 作 動 が 要 求 される 場 合 には、 溢 水 の 影 響 を 考 慮 して、<br />
安 全 評 価 指 針 に 基 づき 安 全 解 析 を 行 うことが 必 要 である。<br />
申 請 者 は、 防 護 対 象 設 備 が 溢 水 により 安 全 機 能 が 損 なわれない 設 計 とし、 評 価<br />
に 当 たっては、 安 全 評 価 指 針 に 基 づき、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又 は 設 計 基 準 事<br />
故 に 対 処 するために 必 要 な 機 器 の 単 一 故 障 を 考 慮 しても 異 常 状 態 を 収 束 できる<br />
設 計 とするとしている。<br />
105
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 安 全 評 価 指 針 に 基 づき、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡<br />
変 化 又 は 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するための 機 器 の 単 一 故 障 を 考 慮 しても 異 常 状 態<br />
を 収 束 できる 設 計 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-8 誤 操 作 の 防 止 ( 第 10 条 関 係 )<br />
第 10 条 第 2 項 は、 安 全 施 設 は、 容 易 に 操 作 できるものでなければならないこと<br />
を 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 想 定 される 地 震 や 外 部 電 源 喪 失 等 の 環 境 条 件 下 においても、 運 転 員 が<br />
容 易 に 安 全 施 設 を 操 作 できるよう、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 中 央 制 御 室 の 盤 面 機 器 及 び 盤 面 表 示 は 系 統 ごとにグループ 化 した 配 列 にする<br />
とともに、 操 作 器 は、 形 状 や 色 等 の 視 覚 的 要 素 での 識 別 を 行 う 設 計 とする。<br />
2. 現 場 の 弁 等 については、 系 統 等 により 色 分 けし 識 別 管 理 できる 設 計 とする。<br />
3. 中 央 制 御 室 の 制 御 盤 等 は 床 等 に 固 定 することにより、 地 震 発 生 時 においても<br />
運 転 操 作 に 影 響 を 与 えない 設 計 とする。<br />
4. 外 部 電 源 が 喪 失 した 場 合 においても、ディーゼル 発 電 機 等 により 運 転 操 作 に<br />
必 要 な 照 明 を 確 保 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 原 子 炉 制 御 室 や 現 場 で 操 作 する 機 器 等 の 識 別 管<br />
理 及 び 操 作 に 係 る 照 明 等 への 配 慮 を 行 うことによって、 想 定 される 地 震 や 外 部 電 源<br />
喪 失 等 の 環 境 条 件 下 においても、 運 転 員 が 安 全 施 設 を 容 易 に 操 作 できるようにする<br />
としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-9 安 全 避 難 通 路 等 ( 第 11 条 関 係 )<br />
第 11 条 第 3 号 は、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 に 用 いる 照 明 ( 避 難 用 の 照 明 を<br />
除 く。) 及 びその 専 用 の 電 源 を 備 える 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 原 子 炉 の 停 止 、 停 止 後 の 冷 却 、 監 視 等 の 操 作 が 必 要 となる 可 能 性 のある 中 央<br />
制 御 室 、 現 場 操 作 場 所 ( 主 蒸 気 管 配 管 室 等 ) 及 び 当 該 現 場 へのアクセスルート<br />
に、 避 難 用 照 明 とは 別 の 作 業 用 照 明 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
2. 作 業 用 照 明 は、 非 常 用 母 線 に 接 続 してディーゼル 発 電 機 からも 電 力 を 供 給 で<br />
きるもの 及 び 常 用 母 線 に 接 続 して 蓄 電 池 を 内 蔵 した 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 か<br />
ら 給 電 可 能 なものを 併 設 する 設 計 とする。<br />
3. 夜 間 にタンクローリによるディーゼル 発 電 機 燃 料 の 輸 送 を 実 施 する 場 合 に 備<br />
えて、 輸 送 開 始 が 必 要 となる 時 間 までに 可 搬 型 照 明 を 準 備 可 能 な 設 計 とする。<br />
106
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 に 用 いる 作 業 用 照<br />
明 及 びその 専 用 の 電 源 を 備 える 方 針 としていること、また、 可 搬 型 照 明 を 時 間 的 余<br />
裕 も 考 慮 し 準 備 可 能 とすることにより、 昼 夜 及 び 場 所 を 問 わず 作 業 可 能 とする 方 針<br />
としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-10 安 全 施 設 ( 第 12 条 関 係 )<br />
第 12 条 第 2 項 は、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 する 系 統 に 対 して、<br />
原 則 として 多 重 性 又 は 多 様 性 及 び 独 立 性 の 確 保 を 要 求 している。 当 該 系 統 のうち 静<br />
的 機 器 については、 長 期 間 (24 時 間 あるいは 運 転 モードの 切 替 え 時 点 を 境 界 とす<br />
る。)において 想 定 される 静 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 しても、 所 定 の 安 全 機 能 が 達<br />
成 できるように 設 計 することを 要 求 している。<br />
また、 同 条 第 6 項 においては、 重 要 安 全 施 設 について、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施<br />
設 において 共 用 し、 又 は 相 互 に 接 続 するものであってはならないこととした 上 で、<br />
共 用 又 は 相 互 に 接 続 することによって 当 該 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 安 全 性 が<br />
向 上 する 場 合 は、この 限 りではないとしている。<br />
さらに、 同 条 第 7 項 においては、 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 について、 二 以 上<br />
の 発 電 用 原 子 炉 施 設 における 安 全 施 設 と 相 互 に 接 続 する 場 合 には、 発 電 用 原 子 炉 施<br />
設 の 安 全 性 を 損 なわないものであることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 静 的 機 器 の 多 重 性<br />
2. 共 用 又 は 相 互 接 続 ( 重 要 安 全 施 設 及 び 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 )<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 静 的 機 器 の 多 重 性<br />
第 12 条 第 2 項 は、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 する 系 統 を 構 成<br />
する 設 備 のうち、 静 的 機 器 であって 長 期 間 の 機 能 維 持 を 期 待 するものに 対 して、<br />
最 も 過 酷 な 条 件 である 完 全 機 能 喪 失 を 単 一 故 障 として 想 定 した 場 合 でも、 当 該 系<br />
統 を 構 成 する 機 械 又 は 器 具 の 機 能 、 構 造 及 び 動 作 原 理 を 考 慮 して、 多 重 性 又 は 多<br />
様 性 を 確 保 し、 及 び 独 立 性 を 確 保 した 設 計 とすることを 要 求 している。ただし、<br />
想 定 される 静 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 すべき 長 期 間 の 安 全 機 能 の 評 価 に 当 たっ<br />
107
ては、 想 定 される 最 も 過 酷 な 条 件 下 においても、その 単 一 故 障 が 安 全 上 支 障 のな<br />
い 期 間 に 除 去 又 は 修 復 できることが 確 実 であれば、その 単 一 故 障 を 仮 定 しなくて<br />
もよい。また、 単 一 故 障 の 発 生 の 可 能 性 が 極 めて 小 さいことが 合 理 的 に 説 明 でき<br />
る 場 合 、あるいは、 単 一 故 障 を 仮 定 することで 系 統 の 機 能 が 失 われる 場 合 であっ<br />
ても、 他 の 系 統 を 用 いて、その 機 能 を 代 替 できることが 安 全 解 析 等 により 確 認 で<br />
きる 場 合 は、 当 該 機 器 に 対 する 多 重 性 の 要 求 は 適 用 しない。<br />
申 請 者 は、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 する 系 統 を 構 成 する 設 備<br />
のうち、 多 重 性 を 有 しない 静 的 機 器 であって、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 に、<br />
長 期 間 にわたり 機 能 が 要 求 される 設 備 として、アニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクト<br />
の 一 部 、 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備 のフィルタユニット 及 びダクトの 一 部 、 試 料 採<br />
取 設 備 のうち 事 故 時 に 1 次 冷 却 材 をサンプリングする 設 備 及 び 格 納 容 器 スプレ<br />
イリングを 抽 出 している。<br />
抽 出 された 設 備 については、 以 下 のとおり、(1) 単 一 故 障 を 仮 定 しなくても<br />
よい 場 合 、あるいは、(2) 多 重 性 の 要 求 を 適 用 しない 場 合 に 該 当 するとしてい<br />
る。<br />
(1) 単 一 故 障 を 仮 定 しなくてもよい 場 合<br />
アニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクトの 一 部 並 びに 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備<br />
のフィルタユニット 及 びダクトの 一 部 については、 当 該 設 備 に 要 求 される 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 又 は 放 射 性 物 質 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 から 漏 れ 出 た 場 所 の 雰<br />
囲 気 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 低 減 機 能 が 喪 失 する 単 一 故 障 として、 想 定 される<br />
最 も 過 酷 な 条 件 となる 故 障 を、ダクトについては 全 周 破 断 、フィルタユニッ<br />
トについてはフィルタ 本 体 の 閉 塞 を 想 定 している。いずれの 故 障 においても、<br />
単 一 故 障 による 放 射 性 物 質 の 放 出 に 伴 う 被 ばくの 影 響 を 最 小 限 に 抑 えるよ<br />
う、 安 全 上 支 障 のない 期 間 に 故 障 を 確 実 に 除 去 又 は 修 復 できる 設 計 とし、そ<br />
の 単 一 故 障 を 仮 定 しないとしている。 安 全 上 支 障 のない 期 間 については、 修<br />
復 作 業 を 3 日 間 とし、その 間 における 周 辺 の 公 衆 に 対 する 放 射 線 被 ばくは、<br />
「 添 付 書 類 十 3 . 4 環 境 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な 放 出 」の 評 価 結 果 と 同 程<br />
度 であること、また、 当 該 作 業 に 係 る 作 業 員 の 被 ばくは 緊 急 時 作 業 に 係 る 線<br />
量 限 度 以 下 とすることができるとしている。<br />
(2) 多 重 性 の 要 求 を 適 用 しない 場 合<br />
試 料 採 取 設 備 のうち 事 故 時 に 1 次 冷 却 材 をサンプリングする 設 備 は、 当 該<br />
設 備 に 要 求 される 事 故 時 の 原 子 炉 の 停 止 状 態 を 把 握 する 機 能 が 単 一 故 障 に<br />
よって 喪 失 した 場 合 であっても、1 次 冷 却 材 喪 失 事 故 後 24 時 間 が 経 過 した<br />
時 点 でほう 酸 注 入 タンク 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクからのほう 酸 水 が 炉 心 に<br />
108
注 入 されているため、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 を 測 定 することにより、 注<br />
入 されるほう 酸 量 を 把 握 し 炉 水 中 のほう 素 濃 度 が 未 臨 界 維 持 に 必 要 なほう<br />
素 濃 度 以 上 であることを 確 認 できることから、 当 該 機 器 に 対 する 多 重 性 は 必<br />
要 ないとしている。また、 静 的 機 器 で 単 一 設 計 とするスプレイリングを 有 す<br />
る 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 については、 安 全 機 能 に 最 も 影 響 を 与 える 配<br />
管 一 箇 所 の 全 周 破 断 を 仮 定 した 場 合 であっても、スプレイ 流 量 を 確 保 するた<br />
めの 逆 止 弁 を 設 置 することにより、 動 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 した 場 合 と 同<br />
等 の 格 納 容 器 の 冷 却 機 能 を 達 成 できるため、 当 該 機 器 に 対 する 多 重 性 は 必 要<br />
ないとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 安 全 機 能 の 重 要 度 が 特 に 高 い 安 全 機 能 を 有 す<br />
る 系 統 を 構 成 する 設 備 のうち、 静 的 機 器 であって 長 期 間 の 機 能 維 持 を 期 待 するも<br />
のを 抽 出 した 上 で、 以 下 のとおりとしていることを 確 認 した。<br />
(1) 申 請 者 が 単 一 故 障 を 仮 定 しないとしたアニュラス 空 気 浄 化 設 備 のダクトの<br />
一 部 並 びに 安 全 補 機 室 空 気 浄 化 設 備 のフィルタユニット 及 びダクトの 一 部<br />
については、 設 計 基 準 事 故 時 に、ダクトの 全 周 破 断 又 はフィルタ 本 体 の 閉 塞<br />
を 仮 定 したとしても、 放 射 性 物 質 の 漏 えい 時 の 周 辺 の 公 衆 に 対 する 被 ばくに<br />
よる 実 効 線 量 の 評 価 値 が、「 添 付 書 類 十 3 . 4 環 境 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な<br />
放 出 」の 評 価 結 果 と 同 程 度 等 となるよう 安 全 上 支 障 のない 期 間 内 に 除 去 又 は<br />
修 復 できる。<br />
(2) 申 請 者 が 単 一 の 設 計 とするとした 1 次 冷 却 材 をサンプリングする 設 備 につ<br />
いては、 当 該 設 備 が 有 する 事 故 時 の 原 子 炉 の 停 止 状 態 の 把 握 機 能 が 失 われる<br />
場 合 であっても、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 を 測 定 することにより、 炉 水 中<br />
のほう 素 濃 度 が 未 臨 界 維 持 に 必 要 なほう 素 濃 度 以 上 であることを 確 認 でき<br />
ることから、 事 故 時 の 原 子 炉 の 停 止 状 態 の 把 握 機 能 を 代 替 することができる<br />
としていること。また、 単 一 の 設 計 とするとした 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設<br />
備 のスプレイリングについては、スプレイ 流 量 を 確 保 するための 逆 止 弁 を 設<br />
置 することにより、 動 的 機 器 の 単 一 故 障 を 仮 定 した 場 合 と 同 等 の 格 納 容 器 の<br />
冷 却 機 能 を 達 成 し、 所 定 の 安 全 機 能 を 維 持 することができるとしていること。<br />
2. 共 用 又 は 相 互 接 続<br />
第 12 条 第 6 項 は、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 における 重 要 安 全 施 設 の 共 用 又<br />
は 相 互 接 続 について、これらを 行 うことは 原 則 せず、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設<br />
の 安 全 性 が 向 上 する 場 合 にのみ 認 められることを 規 定 している。また、 同 条 第 7<br />
項 においては、 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 における 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設<br />
109
について、 共 用 又 は 相 互 に 接 続 する 場 合 、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 安 全 性 が 損 なわれ<br />
ないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 要 安 全 施 設 のうち 中 央 制 御 室 及 び 中 央 制 御 室 空 調 装 置 について、<br />
3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 共 用 するとしている。 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 の<br />
うち、 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 及 び 浸 水 防 護 設 備 については、3 号 炉 及 び 4 号 炉<br />
において 共 用 するとし、 補 助 蒸 気 連 絡 ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )について、3 号 炉 及<br />
び 4 号 炉 において 相 互 に 接 続 するとしている。これらの 設 備 については、 以 下 の<br />
理 由 から 共 用 又 は 相 互 に 接 続 するとしている。<br />
(1) 重 要 安 全 施 設<br />
抽 出 された 中 央 制 御 室 は、 共 用 することにより 運 転 員 の 融 通 が 可 能 となり<br />
総 合 的 な 運 転 管 理 ができること、また、 中 央 制 御 室 空 調 装 置 については、 各<br />
号 炉 の 空 調 装 置 を 共 用 することにより、 単 一 の 設 計 とする 中 央 制 御 室 非 常 用<br />
循 環 フィルタユニットも 含 め、 安 全 性 が 向 上 することから、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 の 安 全 性 が 向 上 するとしている。<br />
(2) 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設<br />
抽 出 された 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 及 び 浸 水 防 護 設 備 は、 共 用 することに<br />
より、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 が 損 なわれないとしている。また、 抽 出 さ<br />
れた 補 助 蒸 気 連 絡 ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )は、 相 互 に 接 続 しても 各 号 炉 の 補 助<br />
蒸 気 の 設 計 圧 力 等 が 同 じであり、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 が 損 なわれない<br />
としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 安 全 施 設 の 共 用 又 は 相 互 接 続 の 設 計 について、 重<br />
要 安 全 施 設 である 原 子 炉 制 御 室 及 び 原 子 炉 制 御 室 空 調 装 置 の 共 用 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 の 安 全 性 が 向 上 すると 判 断 した。また、 重 要 安 全 施 設 以 外 の 安 全 施 設 であ<br />
る 火 災 感 知 設 備 、 消 火 設 備 及 び 浸 水 防 護 設 備 を 共 用 すること 並 びに 補 助 蒸 気 連 絡<br />
ライン( 高 圧 ・ 低 圧 )を 相 互 に 接 続 することは、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 安 全 性 を 損<br />
なわないと 判 断 した。<br />
Ⅲ-11 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 対 策 設 備 ( 第 14 条 関 係 )<br />
第 14 条 は、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 ( 外 部 電 源 喪 失 と 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
の 重 畳 )に 備 えて、 非 常 用 所 内 直 流 電 源 設 備 は、 原 子 炉 の 安 全 な 停 止 、 停 止 後 の 冷<br />
却 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 の 確 保 のために 必 要 とする 電 気 容 量 を 一 定 時 間 ( 重<br />
110
大 事 故 等 に 対 処 するための 電 源 設 備 から 電 力 が 供 給 されるまでの 間 ) 確 保 できるよ<br />
うな 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )について、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 時 から 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するための 電 源 設 備 によって 電 力 が 供 給 されるまでの 約 25 分 間 に 対 し、<br />
原 子 炉 を 安 全 に 停 止 し、 停 止 後 の 冷 却 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 確 保 するため<br />
に 必 要 となる 設 備 に 十 分 長 い 間 電 源 供 給 が 可 能 な 容 量 を 備 えた 設 計 とするとして<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 からの 電 力 供 給 が 可 能 とな<br />
るまでの 間 、 原 子 炉 停 止 等 のために 必 要 な 設 備 に 対 し 電 源 供 給 が 可 能 な 容 量 を 有 す<br />
る 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )を 備 える 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置<br />
許 可 基 準 規 則 に 適 合 しているものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-12 燃 料 体 等 の 取 扱 施 設 及 び 貯 蔵 施 設 ( 第 16 条 関 係 )<br />
第 16 条 第 2 項 第 2 号 ニは、 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 ( 乾 式 キャスクを 除 く。)に<br />
おいて 想 定 される 燃 料 体 等 の 落 下 時 だけでなく、 他 の 重 量 物 の 落 下 時 においても、<br />
使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 の 機 能 ( 遮 蔽 能 力 、 最 終 ヒートシンクへの 崩 壊 熱 の 輸 送 及 び<br />
漏 えい 検 知 等 )が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
同 条 第 3 項 第 1 号 は、 燃 料 取 扱 場 所 の 放 射 線 量 並 びに 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 及<br />
び 水 温 について、その 異 常 を 検 知 し、 原 子 炉 制 御 室 における 監 視 等 が 可 能 な 設 計 と<br />
することを 要 求 している。 同 第 2 号 は、 外 部 電 源 が 利 用 できない 場 合 であっても、<br />
使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 状 態 を 示 すパラメータの 監 視 が 可 能 な 設 計 とすることを 要 求<br />
している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 内 における 重 量 物 落 下 対 策<br />
2. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 を 監 視 する 機 能 の 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 内 における 重 量 物 落 下 対 策<br />
第 16 条 第 2 項 第 2 号 ニは、 想 定 される 重 量 物 の 落 下 時 においても、 使 用 済 燃<br />
料 の 貯 蔵 施 設 の 機 能 が 損 なわれないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
111
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵 施 設 内 において 落 下 のおそれがある 重 量 物 を 抽 出<br />
した 上 で、それぞれの 重 量 物 の 落 下 を 防 止 できるよう、 以 下 の 設 計 方 針 としてい<br />
る。<br />
(1) 落 下 のおそれがある 重 量 物 の 抽 出<br />
落 下 時 に 使 用 済 燃 料 ピットの 機 能 に 影 響 を 及 ぼす 重 量 物 については、 使 用 済<br />
燃 料 ピット 周 辺 の 状 況 、 現 場 における 作 業 実 績 、 図 面 等 にて 確 認 することによ<br />
り、 落 下 のおそれのある 重 量 物 等 の 落 下 時 のエネルギーを 評 価 し、 気 中 におけ<br />
る 落 下 試 験 時 の 燃 料 集 合 体 の 落 下 エネルギー 以 上 となる 設 備 等 を 抽 出 してい<br />
る( 燃 料 取 扱 棟 の 構 造 物 、 使 用 済 燃 料 ピットクレーン、 燃 料 取 扱 棟 クレーン)。<br />
(2) 抽 出 された 各 重 量 物 に 対 する 設 計 又 は 運 用 に 関 する 方 針<br />
抽 出 したそれぞれの 重 量 物 に 対 して、 以 下 のような 対 策 を 講 じる。<br />
1 燃 料 取 扱 棟 の 構 造 物 については、 基 準 地 震 動 に 対 して 使 用 済 燃 料 ピット<br />
内 への 落 下 を 防 止 できるように 設 計 する。<br />
2 使 用 済 燃 料 ピットクレーンについては、 基 準 地 震 動 に 対 して、クレーン<br />
本 体 、 転 倒 防 止 金 具 及 び 走 行 レールに 発 生 する 荷 重 が 許 容 応 力 以 下 となる<br />
ように、 吊 荷 を 考 慮 し 保 守 的 に 設 計 する。<br />
3 燃 料 取 扱 棟 クレーンについては、 使 用 済 燃 料 ピットの 上 部 に 一 部 走 行 レ<br />
ールを 敷 設 しているが、 走 行 範 囲 を 制 限 する 措 置 を 講 ずることで、 仮 に 走<br />
行 レールから 脱 落 したとしても、クレーン 本 体 及 び 吊 荷 が 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
トに 落 下 しない 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 現 場 状 況 及 び 作 業 実 態 を 調 査 した 上 で、 当 該<br />
貯 蔵 施 設 の 機 能 に 影 響 を 与 えないことが 既 に 確 認 されている 燃 料 集 合 体 の 落 下<br />
時 のエネルギーと 比 べて、その 値 が 大 きい 物 を、 落 下 によって 使 用 済 燃 料 の 貯 蔵<br />
施 設 の 機 能 を 損 なうおそれがある 重 量 物 として 抽 出 する 方 針 とし、それぞれの 重<br />
量 物 に 対 して 落 下 を 防 止 する 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
2. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 を 監 視 する 機 能 の 確 保<br />
第 16 条 第 3 項 第 1 号 は、 燃 料 取 扱 場 所 の 放 射 線 量 に 加 え、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の 水 位 及 び 水 温 についても、その 異 常 を 検 知 し、 原 子 炉 制 御 室 における 監 視 等 が<br />
可 能 なように 設 計 することを 要 求 している。また、 外 部 電 源 が 利 用 できない 場 合<br />
においても、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 状 態 を 示 すパラメータの 監 視 が 可 能 であること<br />
を 要 求 している。<br />
112
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 及 び 水 温 、 燃 料 取 扱 場 所 の 放 射 線 量 を 中 央<br />
制 御 室 において 監 視 し、 異 常 時 に 警 報 を 発 信 するように 設 計 するとしている。さ<br />
らに、 外 部 電 源 が 利 用 できない 場 合 においても、 非 常 用 所 内 電 源 からの 給 電 によ<br />
り、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 、 水 温 及 び 放 射 線 量 を 監 視 できるように 設 計 すると<br />
している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 を 監 視 するために 必 要 なパ<br />
ラメータとして、 放 射 線 量 に 加 え、 水 位 及 び 水 温 についても、 異 常 の 検 知 や 原 子<br />
炉 制 御 室 における 監 視 を 可 能 とする 方 針 としていること、 外 部 電 源 喪 失 時 におい<br />
ても 監 視 を 可 能 とする 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
Ⅲ-13 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ( 第 17 条 関 係 )<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 17 条 第 1 項 第 3 号 ロは、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ<br />
に 接 続 している 配 管 ( 以 下 「 接 続 配 管 」という。)のうち、 通 常 時 及 び 事 故 時 とも<br />
に 閉 となるべきにもかかわらず、 通 常 時 又 は 事 故 時 に 開 となるおそれがある 弁 を 有<br />
する 配 管 については、 原 子 炉 側 からみて、 第 2 隔 離 弁 を 含 むまでの 範 囲 を、クラス<br />
1 機 器 である 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリとすることを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 通 常 時 又 は 事 故 時 に 開 となるおそれがある 通 常 時 閉 及 び 事 故 時 閉 となる 弁 を<br />
有 する 接 続 配 管 は、 原 子 炉 側 からみて、 第 2 隔 離 弁 までの 範 囲 を 原 子 炉 冷 却 材<br />
圧 力 バウンダリとする。<br />
2.なお、 上 記 以 外 の 第 1 隔 離 弁 については、 施 錠 管 理 を 行 うことにより 開 とな<br />
らない 運 用 とする。<br />
3. 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリとなる 機 器 及 び 配 管 については、 原 子 炉 冷 却 材<br />
圧 力 バウンダリに 加 わる 負 荷 に 耐 えるとともに、 瞬 間 的 破 壊 が 生 じないよう 十<br />
分 なじん 性 を 有 する 設 計 とする。また、クラス1 機 器 としての 供 用 期 間 中 検 査<br />
を 可 能 とする。<br />
4. 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 17 条 の 規 定 により 新 たに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウン<br />
ダリとなる 機 器 及 び 配 管 は、いずれもこれまでクラス2 機 器 であったことから、<br />
クラス1 機 器 における 要 求 を 満 足 していることを 確 認 する。 当 該 配 管 と 管 台 の<br />
溶 接 継 手 に 対 して、 非 破 壊 検 査 を 全 数 継 続 的 に 行 い 健 全 性 を 確 認 するとともに、<br />
クラス1 機 器 としての 供 用 期 間 中 検 査 を 行 う。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 新 たに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリとなる 機 器<br />
及 び 配 管 を 抽 出 するとしていること、 当 該 機 器 及 び 配 管 をクラス1 機 器 として 位 置<br />
113
付 ける 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
Ⅲ-14 安 全 保 護 回 路 ( 第 24 条 関 係 )<br />
第 24 条 第 6 号 は、 不 正 アクセス 行 為 等 による 被 害 を 防 止 できるように 安 全 保 護<br />
回 路 を 設 ける 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
これに 対 し、 申 請 者 は、 以 下 の 設 計 方 針 としている。<br />
1. 安 全 保 護 系 のアナログ 回 路 は、 盤 の 施 錠 等 により、ハードウェアを 直 接 接 続<br />
させないことで 物 理 的 に 分 離 する 設 計 とする。<br />
2. 安 全 保 護 系 のアナログ 回 路 は、 外 部 ネットワークへのデータ 伝 送 の 必 要 があ<br />
る 場 合 は、ゲートウェイを 介 して 一 方 向 通 信 ( 送 信 のみ)に 制 限 することで 機<br />
能 的 に 分 離 する 設 計 とする。<br />
3. 発 電 所 出 入 管 理 による 物 理 的 アクセスの 制 限 により、 不 正 な 変 更 等 による 承<br />
認 されていない 動 作 や 変 更 を 防 止 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 物 理 的 分 離 及 び 機 能 的 分 離 を 適 切 に 講 じるとと<br />
もに、 出 入 管 理 による 物 理 的 アクセスの 制 限 を 行 う 等 、 承 認 されていない 動 作 や 変<br />
更 を 防 ぐことができるとしていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適<br />
合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅲ-15 保 安 電 源 設 備 ( 第 33 条 関 係 )<br />
第 33 条 は、 保 安 電 源 設 備 について、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 停 止 することが<br />
ないように 設 計 することを 要 求 している。また、 外 部 電 源 喪 失 時 における 発 電 所 構<br />
内 の 電 源 として、 必 要 な 電 力 を 供 給 するように 設 計 することを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 事 項 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 保 安 電 源 の 信 頼 性<br />
(1) 発 電 所 構 内 における 電 気 系 統 の 信 頼 性<br />
(2) 電 線 路 の 独 立 性<br />
(3) 電 線 路 の 物 理 的 分 離<br />
(4) 複 数 号 炉 を 設 置 する 場 合 における 電 力 供 給 確 保<br />
2. 外 部 電 源 喪 失 時 における 発 電 所 構 内 の 電 源 の 確 保<br />
(1) 非 常 用 電 源 設 備 等<br />
(2) 隣 接 する 原 子 炉 施 設 に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 等 への 依 存<br />
114
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 保 安 電 源 の 信 頼 性<br />
(1) 発 電 所 構 内 における 電 気 系 統 の 信 頼 性<br />
第 33 条 第 3 項 は、 保 安 電 源 設 備 について、 電 線 路 、 発 電 用 原 子 炉 施 設 にお<br />
いて 常 時 使 用 される 発 電 機 及 び 非 常 用 電 源 設 備 から 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給<br />
が 停 止 することがないよう、 機 器 の 損 壊 、 故 障 その 他 の 異 常 を 検 知 するととも<br />
に、その 拡 大 を 防 止 するように 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 保 安 電 源 設 備 について、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 停 止 すること<br />
がないように 設 計 するとしている。 安 全 施 設 に 対 する 電 気 系 統 を 構 成 する 機 器<br />
は、 短 絡 、 地 絡 又 は 母 線 の 低 電 圧 、 過 電 流 等 を 検 知 し、 検 知 した 場 合 には 遮 断<br />
器 により 故 障 箇 所 を 隔 離 した 上 で、 故 障 による 影 響 を 局 所 化 することができる<br />
とともに、 他 の 安 全 機 能 への 影 響 を 限 定 できるよう 設 計 するとしている。また、<br />
1 相 開 放 時 は、 電 力 の 供 給 の 安 定 性 を 回 復 できる 設 計 としている。 重 要 安 全 施<br />
設 に 対 する 電 気 系 統 については、 系 統 分 離 を 考 慮 した 500kV 母 線 を 2 母 線 、<br />
220kV 母 線 を 2 母 線 により 構 成 することで、 多 重 性 を 有 し、 系 統 分 離 が 可 能 で<br />
ある 母 線 構 成 としており、 電 気 系 統 を 構 成 する 機 器 は、 規 格 等 で 定 められた 適<br />
切 な 仕 様 とするとともに、 非 常 用 所 内 電 源 系 からの 受 電 時 等 の 母 線 の 切 替 え 操<br />
作 が 容 易 な 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 以 下 の 点 を 考 慮 する 方 針 としていることを<br />
確 認 した。<br />
1 保 安 電 源 設 備 については、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 停 止 することがな<br />
いようにすること、 電 力 系 統 の 異 常 の 検 知 とその 拡 大 防 止 については、 遮<br />
断 器 により 短 絡 等 の 故 障 による 影 響 を 局 所 化 するともに、 他 の 安 全 機 能 へ<br />
の 影 響 を 限 定 できること。<br />
2 外 部 電 源 に 直 接 接 続 している 変 圧 器 の 1 次 側 において、3 相 のうちの 1<br />
相 の 電 路 の 開 放 が 生 じた 場 合 にあっては、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 が 不 安<br />
定 になったことを 検 知 し、 保 護 継 電 器 が 作 動 することによる 故 障 箇 所 の 隔<br />
離 又 は 非 常 用 母 線 の 接 続 変 更 その 他 の 異 常 の 拡 大 を 防 止 する 対 策 を 行 う<br />
ことによって、 安 全 施 設 への 電 力 の 供 給 の 安 定 性 を 回 復 できること。<br />
3 重 要 安 全 施 設 に 対 する 電 気 系 統 については、 系 統 分 離 を 考 慮 した 母 線 に<br />
よって 構 成 されるとともに、 電 気 系 統 を 構 成 する 個 々の 機 器 が 信 頼 性 の 高<br />
115
いものであって、 非 常 用 所 内 電 源 系 からの 受 電 時 等 の 母 線 の 切 替 え 操 作 が<br />
容 易 であること。<br />
(2) 電 線 路 の 独 立 性<br />
第 33 条 第 4 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 のうち 少 なくとも 2<br />
回 線 について、それぞれ 互 いに 独 立 しているものであって、 当 該 施 設 において<br />
受 電 可 能 なものであり、かつ、それにより 当 該 施 設 を 電 力 系 統 に 連 系 する 設 計<br />
とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 本 発 電 所 について、 送 受 電 可 能 な 500kV 送 電 線 ( 玄 海 幹 線 )2 ル<br />
ート 2 回 線 と、 受 電 専 用 220kV 送 電 線 ( 玄 海 原 子 力 線 )1 ルート 2 回 線 の 3 ル<br />
ート 4 回 線 で 電 力 系 統 に 連 系 しており、500kV 送 電 線 は、 本 発 電 所 から 約 24<br />
km 離 れた 西 九 州 変 電 所 及 び 約 65km 離 れた 脊 振 変 電 所 に 連 系 し、220kV 送 電 線<br />
は、 本 発 電 所 から 約 21 km 離 れた 西 九 州 変 電 所 に 連 系 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 原 子 炉 施 設 に 接 続 する 電 線 路 の 上 流 側 の 接<br />
続 先 の 変 電 所 が 停 止 した 場 合 であっても、 当 該 原 子 炉 施 設 に 接 続 された 送 電 線<br />
による 電 力 の 供 給 が 全 て 停 止 しないとしており、 独 立 性 を 有 する 方 針 とするこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(3) 電 線 路 の 物 理 的 分 離<br />
第 33 条 第 5 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 のうち 少 なくとも 1<br />
回 線 について、 当 該 設 計 基 準 対 象 施 設 において 他 の 回 線 と 物 理 的 に 分 離 して 受<br />
電 できる 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、500kV 送 電 線 ( 玄 海 幹 線 )2 回 線 と 220kV 送 電 線 ( 玄 海 原 子 力 線 )<br />
2 回 線 について、 同 一 の 送 電 鉄 塔 に 架 線 しない 設 計 とした 上 で、 大 規 模 な 盛 り<br />
土 崩 壊 、 大 規 模 な 地 滑 り 等 による 被 害 の 最 小 化 を 図 るため、 鉄 塔 基 礎 の 安 定 性<br />
を 確 保 するとともに、 強 風 発 生 時 の 事 故 防 止 対 策 の 実 施 により、 外 部 電 源 系 か<br />
らの 電 力 供 給 が 同 時 に 停 止 することのないよう 設 計 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 地 滑 り 等 の 共 通 要 因 にて 電 力 の 供 給 が 全 て<br />
同 時 に 停 止 しないように、 電 線 路 を 同 一 の 送 電 鉄 塔 に 架 線 しない 方 針 としてい<br />
ることを 確 認 した。<br />
(4) 複 数 号 炉 を 設 置 する 場 合 における 電 力 供 給 確 保<br />
第 33 条 第 6 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 について、 同 一 の 発<br />
電 所 の 二 以 上 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 を 電 力 系 統 に 連 系 する 場 合 には、いずれの 2<br />
116
回 線 が 喪 失 した 場 合 においても 電 力 系 統 からこれらの 発 電 用 原 子 炉 施 設 への<br />
電 力 の 供 給 が 同 時 に 停 止 しないように 設 計 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 連 系 する 送 電 線 について、 受 電 可 能 な 4 回 線<br />
を 有 し、いずれの 2 回 線 が 喪 失 しても、それ 以 外 のいずれかの 1 回 線 により 3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 の 停 止 に 必 要 な 電 力 を 供 給 し 得 る 容 量 を 備 える 構 成 としてい<br />
る。500kV 送 電 線 は、 母 線 連 絡 用 遮 断 器 、 主 変 圧 器 及 び 所 内 変 圧 器 を 介 し、3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 に 接 続 するとともに、220kV 送 電 線 はタイライン 及 び 予 備 変 圧<br />
器 を 介 し、3 号 炉 及 び 4 号 炉 に 接 続 する 設 計 としている。また、 開 閉 所 から 主<br />
発 電 機 側 の 送 受 電 設 備 は、 十 分 な 支 持 性 能 を 持 つ 地 盤 に 設 置 する 設 計 とした 上<br />
で、 碍 子 及 び 遮 断 器 等 の 機 器 についても、 耐 震 性 の 高 いものを 使 用 するとして<br />
いる。また、 当 該 開 閉 所 等 は、 津 波 の 影 響 を 受 けない 敷 地 高 さに 設 置 するとと<br />
もに、 塩 害 を 考 慮 する 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 接 続 する 電 線 路 のいず<br />
れの 2 回 線 が 喪 失 した 場 合 でも 他 の 1 回 線 によって 3 号 炉 及 び 4 号 炉 に 電 力 を<br />
供 給 できる 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
2. 外 部 電 源 喪 失 時 における 発 電 所 構 内 の 電 源 の 確 保<br />
(1) 非 常 用 電 源 設 備 等<br />
第 33 条 第 7 項 は、 非 常 用 電 源 設 備 及 びその 附 属 設 備 について、 多 重 性 又 は<br />
多 様 性 及 び 独 立 性 を 確 保 し、その 系 統 を 構 成 する 機 器 又 は 器 具 の 単 一 故 障 が 発<br />
生 した 場 合 であっても、 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するための 設 備 がその 機 能 を 確 保<br />
するために 十 分 な 容 量 を 有 する 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、ディーゼル 発 電 機 及 びその 附 属 設 備 は、 多 重 性 及 び 独 立 性 を 考 慮<br />
し、 必 要 な 容 量 のものを 各 々 別 の 場 所 に 2 台 備 え、それぞれ 非 常 用 所 内 高 圧 母<br />
線 に 接 続 するとしている。また、 蓄 電 池 は、 非 常 用 2 系 統 を 各 々 別 の 場 所 に 設<br />
置 し、 多 重 性 及 び 独 立 性 を 確 保 する 設 計 とするとしている。<br />
ディーゼル 発 電 機 の 連 続 運 転 に 必 要 な 燃 料 を 貯 蔵 する 設 備 は、7 日 間 の 外 部<br />
電 源 喪 失 を 仮 定 しても、 連 続 運 転 により 必 要 とする 電 力 を 供 給 できるよう、7<br />
日 間 分 の 連 続 運 転 に 必 要 な 容 量 以 上 の 燃 料 を 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵<br />
タンクに 貯 蔵 する 設 計 とするとしている。 燃 料 油 貯 油 そうと 燃 料 油 貯 蔵 タンク<br />
は、 接 続 されていないことから、 連 続 運 転 のためにはタンクローリにより 燃 料<br />
を 輸 送 する 必 要 がある。 輸 送 に 当 たっては、 地 震 等 の 自 然 現 象 及 び 人 為 事 象 ( 故<br />
意 によるものを 除 く。)に 対 して、タンクローリが 同 時 に 機 能 喪 失 しないよう<br />
位 置 的 分 散 等 を 図 り、 輸 送 手 段 を 必 ず1 手 段 確 保 することとしている。これら<br />
により、7 日 間 の 連 続 運 転 に 支 障 のない 設 計 としている。<br />
117
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 以 下 の 方 針 としていることを 確 認 した。<br />
1 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 及 び 蓄 電 池 について、 多 重 性 及 び 独 立 性 を 考 慮<br />
し、それぞれ 別 の 場 所 に 設 置 することにより、その 系 統 を 構 成 する 機 器 又<br />
は 器 具 の 単 一 故 障 が 発 生 した 場 合 であっても、 設 計 基 準 事 故 に 対 処 するた<br />
めの 設 備 の 機 能 を 確 保 する。<br />
2 非 常 用 ディーゼル 発 電 機 等 の 7 日 間 連 続 運 転 を 可 能 とするために、 必 要<br />
となる 燃 料 を 貯 蔵 する 設 備 として、 燃 料 油 貯 油 そうに 加 えて 燃 料 油 貯 蔵 タ<br />
ンクを 設 置 し、 地 震 等 の 自 然 現 象 及 び 人 為 事 象 ( 故 意 によるものを 除 く。)<br />
を 想 定 しても、 輸 送 手 段 を 必 ず1 手 段 確 保 し、 燃 料 油 貯 蔵 タンクから 燃 料<br />
油 貯 油 そうへの 燃 料 の 輸 送 を 確 実 に 行 う。<br />
(2) 隣 接 する 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 等 への 依 存<br />
第 33 条 第 8 項 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 について、 隣 接 する 発 電 用 原 子 炉 施 設<br />
に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 及 びその 附 属 設 備 から 受 電 する 場 合 にあっても、これ<br />
に 過 度 に 依 存 しない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 非 常 用 電 源 設 備 及 びその 附 属 設 備 は 号 炉 毎 ごとに 単 独 で 設 置 し、<br />
他 の 原 子 炉 施 設 と 共 用 しない 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 他 の 原 子 炉 施 設 に 属 する 非 常 用 電 源 設 備 等 を 共 用 し<br />
ない 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
118
Ⅳ 重 大 事 故 等 対 処 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 に 係 る 技 術 的 能 力<br />
東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 を 受 けて 原 子 炉 等 規 制 法 は、 重 大<br />
事 故 ( 炉 心 の 著 しい 損 傷 その 他 の 重 大 な 事 故 )への 対 策 を 規 制 の 対 象 と 位 置 付 け、<br />
平 成 25 年 7 月 に 施 行 された。この 際 、 設 置 許 可 基 準 規 則 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
的 能 力 基 準 が 併 せて 施 行 されている。<br />
本 章 においては、 申 請 者 の 計 画 が 設 置 許 可 基 準 規 則 第 三 章 「 重 大 事 故 等 対 処 施 設 」<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 に 適 合 しているか 否 かを 審 査 した。 審 査 の 概 要<br />
は、 以 下 のとおりである。<br />
1. 重 大 事 故 等 の 拡 大 の 防 止 等 ( 第 37 条 )<br />
申 請 者 は、 事 故 の 想 定 を 幅 広 く 行 い、その 想 定 した 事 故 に 対 して 有 効 な 対 策 を<br />
計 画 しなければならない。<br />
(1) 事 故 の 想 定<br />
事 故 の 原 因 となる 事 象 の 抽 出 、 起 因 事 象 (※ 2 )と 安 全 機 能 の 喪 失 の 組 合 せ<br />
を 網 羅 的 かつ 体 系 的 に 行 っているかを 審 査 する。<br />
起 因 事 象 と 安 全 機 能 の 喪 失 の 組 合 せは 多 数 存 在 することから、 効 率 的 に 対 策<br />
を 計 画 するため、 起 因 事 象 、 安 全 機 能 の 喪 失 状 況 、 対 策 の 共 通 性 に 着 目 して 少<br />
数 の 事 故 シーケンスグループ 等 に 類 型 化 する。その 上 で、 事 故 シーケンスグル<br />
ープ 等 ごとに 事 故 の 進 展 や 対 策 の 実 施 等 の 観 点 から 最 も 厳 しい 重 要 事 故 シー<br />
ケンス 等 を 選 定 する。すなわち、 重 要 事 故 シーケンス 等 に 対 して 対 策 が 有 効 で<br />
あれば、その 対 策 は 当 該 重 要 事 故 シーケンス 等 が 含 まれる 事 故 シーケンスグル<br />
ープ 等 に 対 して 有 効 であるものと 判 断 できる 重 要 事 故 シーケンス 等 を 選 定 す<br />
る。これらが 適 切 に 行 われているかを 審 査 する。<br />
(2) 有 効 性 評 価<br />
事 故 シーケンスグループ 等 ごとに、 申 請 者 の 計 画 する 対 策 が 当 該 事 故 シーケ<br />
ンスグループ 等 の 特 徴 を 踏 まえたものか 審 査 する。その 上 で、 重 要 事 故 シーケ<br />
ンス 等 に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 対 策 の 有 効 性 について、 適 切 な 解 析 手 法<br />
を 用 いているか、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 たしているか、 解 析 コード 等 の 不 確<br />
かさを 考 慮 しても 評 価 項 目 を 満 たしていることに 変 わりは 無 いかを 審 査 する。<br />
また、 当 該 対 策 が 要 員 及 び 燃 料 等 の 観 点 からも 対 応 可 能 であるかを 審 査 する。<br />
(※ 2 ) 通 常 の 運 転 状 態 を 妨 げる 事 象 であって、 炉 心 損 傷 、 格 納 容 器 破 損 及 び 燃 料 損 傷 に 波 及 する 可 能 性 のある 事<br />
象 ( 外 部 電 源 喪 失 、LOCA 等 )。 以 下 この 章 において 同 じ。<br />
119
2. 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 38 条 ~ 第 41 条 、 第 43 条 ~ 第 62 条 、 重 大 事 故<br />
等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ~1.19 項 )<br />
申 請 者 は、 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 を 踏 まえた 対 策 や 前 記 のように 網<br />
羅 的 かつ 体 系 的 に 想 定 した 事 故 への 対 策 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備<br />
する 必 要 がある。さらに、 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 必 要 がある。<br />
(1) 設 備 及 び 手 順 等 に 対 して 要 求 される 共 通 事 項 ( 第 38 条 ~ 第 41 条 、<br />
第 43 条 、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 )<br />
地 震 及 び 津 波 などにより 機 能 を 喪 失 しないこと、 炉 心 損 傷 防 止 などに 必 要 な<br />
容 量 を 確 保 することなどは、 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 設 備 及 び 手 順 に 対 し<br />
て 要 求 される 共 通 の 事 項 であり、これらが 適 切 になされる 方 針 であるか 審 査 す<br />
る。<br />
(2) 機 能 ごとに 要 求 される 事 項 ( 第 44 条 ~ 第 62 条 、 重 大 事 故 等 防 止 技<br />
術 的 能 力 基 準 1.1 項 ~1.19 項 )<br />
1 設 置 許 可 基 準 規 則 等 の 逐 条 において 必 要 とされる 設 備 及 び 手 順<br />
等<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 第 三 章 「 重 大 事 故 等 対 処 施 設 」 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技<br />
術 的 能 力 基 準 第 1 項 では、 主 として 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 教 訓 から<br />
導 かれた 要 求 事 項 から 構 成 されている。 申 請 者 が 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
る 上 での 申 請 者 の 方 針 が、 要 求 事 項 に 則 った 適 切 なものであるかについて<br />
審 査 する。<br />
2 有 効 性 評 価 において 必 要 とされる 設 備 及 び 手 順 等<br />
上 記 有 効 性 評 価 において 必 要 とされた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手<br />
順 等 の 整 備 が、 適 切 な 方 針 の 下 に 行 われるかを 審 査 する。<br />
3 申 請 者 の 自 主 的 な 設 備 及 び 手 順 等<br />
機 能 喪 失 の 原 因 分 析 などを 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 上 記<br />
以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するなど 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 へ<br />
の 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 する。なお、 有 効 性 評<br />
価 においては 厳 しい 条 件 で 解 析 を 行 うため、 故 障 した 設 備 の 復 旧 などは 見<br />
込 まないが、 実 際 には 復 旧 対 策 などの 自 主 的 な 対 応 が 行 われる。このため、<br />
全 体 としての 対 策 の 実 現 性 を 検 討 するためには、 自 主 的 な 対 応 も 確 認 する<br />
ことが 必 要 である。<br />
120
3. 大 規 模 損 壊 対 策 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 )<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 施 設 が 大 規 模 な 損 壊 に 至 った 場 合 に 対 しても、 事 故 の 影 響 を<br />
緩 和 する 対 策 を 整 備 しておく 必 要 がある。<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 は、 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による<br />
大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムによる 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 大 規 模 な 損 壊<br />
( 以 下 「 大 規 模 損 壊 」という。)が 発 生 した 場 合 における 手 順 書 、 当 該 手 順 書 に<br />
従 って 活 動 を 行 うための 体 制 及 び 資 機 材 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 要<br />
求 している。<br />
大 規 模 損 壊 に 対 する 手 順 書 、 体 制 及 び 資 機 材 の 整 備 については、 大 規 模 損 壊 発<br />
生 時 の 特 徴 を 踏 まえた 適 切 な 方 針 であるかを 審 査 する。<br />
Ⅳ-1 重 大 事 故 等 の 拡 大 の 防 止 等 ( 第 37 条 関 係 )<br />
第 37 条 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発 生 した<br />
場 合 において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じること、 重 大<br />
事 故 が 発 生 した 場 合 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 及 び 発 電 所 外 への 放 射 性 物<br />
質 の 異 常 な 水 準 の 放 出 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じることを 要 求 している。<br />
また、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 体 又 は 使 用 済 燃 料 ( 以 下 「 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 」<br />
という。)の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じること、 運 転 停 止 中 (※<br />
3<br />
)における 発 電 用 原 子 炉 内 の 燃 料 体 ( 以 下 「 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 」という。)<br />
の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定<br />
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コードについて、その 適<br />
用 性 を 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(※ 3 ) 運 転 停 止 中 :「 停 止 中 評 価 ガイド」には、「 原 子 炉 運 転 停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起<br />
動 過 程 における 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 示 している。ただし、 全 燃 料 が 使 用 済 燃<br />
料 貯 蔵 槽 に 取 り 出 され、 原 子 炉 に 燃 料 がない 場 合 は 除 くとされている。<br />
121
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。なお、 以 下 において 位 置 付 けた 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 の 整 備 の 方 針 は、Ⅳ-2からⅣ-4に 示 している。<br />
Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定<br />
第 37 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、 評 価 対 象 とする 原 子 炉 施 設 において「 想 定<br />
する 事 故 シーケンスグループ(※ 4 )」 若 しくは「 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モード(※<br />
5 )」は、 以 下 に 示 す 事 故 シーケンスグループ 等 を 必 ず 含 めた 上 で、 当 該 プラント<br />
に 対 する 確 率 論 的 リスク 評 価 ( 以 下 「PRA」という。)などを 実 施 し、 有 意 な 頻 度<br />
又 は 影 響 がある 事 故 シーケンスグループ 等 が 見 いだされた 場 合 には、これを 追 加 す<br />
ることを 求 めている。<br />
有 効 性 評 価 ガイドは、 想 定 する 事 故 シーケンスグループごとに、 炉 心 の 著 しい 損<br />
傷 に 至 る 重 要 な 事 故 シーケンス( 以 下 「 重 要 事 故 シーケンス」という。)を 選 定 し、<br />
有 効 性 評 価 の 対 象 とするとしている。また、 格 納 容 器 破 損 モードごとに、 格 納 容 器<br />
の 破 損 に 至 る 重 要 な 事 故 シーケンス( 以 下 「 評 価 事 故 シーケンス」という。)を 選<br />
定 するとしている。<br />
また、SFP 評 価 ガイドは、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 損 傷 防 止 については、 想 定<br />
事 故 1 及 び 想 定 事 故 2を 想 定 するとしている。<br />
さらに、 停 止 中 評 価 ガイドは、 燃 料 の 損 傷 に 至 る 重 要 事 故 シーケンスを 選 定 し、<br />
有 効 性 評 価 の 対 象 とするとしている。<br />
事 故 シーケンスグループ 等 ( 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 において、 必 ず 想 定 すること<br />
を 要 求 しているもの)は、 以 下 のとおり。<br />
1 運 転 中 事 故 シーケンスグループ<br />
a. 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
c. 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失<br />
d. 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失<br />
e. 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
f. ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
g. ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
(※ 4 ) 起 因 事 象 、 安 全 機 能 の 喪 失 状 況 に 着 目 して 事 故 シーケンスを 類 型 化 したもの。 単 数 若 しくは 複 数 の 事 故 シ<br />
ーケンスを 含 む。<br />
(※ 5 ) 格 納 容 器 破 損 に 至 る 格 納 容 器 への 負 荷 の 種 類 に 着 目 して 類 型 化 したもの。<br />
122
h. 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA、 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管<br />
破 損 )<br />
2 格 納 容 器 破 損 モード<br />
a. 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 ・ 過 温 破 損 )<br />
b. 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
c. 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
d. 水 素 燃 焼<br />
e. 格 納 容 器 直 接 接 触 (シェルアタック)<br />
f. 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
3 想 定 事 故 1 及 び 想 定 事 故 2<br />
a. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 の 喪 失<br />
b. 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 小 規 模 な 喪 失<br />
4 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ<br />
a. 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 (RHR の 故 障 による 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
c. 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出<br />
d. 反 応 度 の 誤 投 入<br />
1. 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、 事 故 シーケンスグループ 等 の 特 定 及 び 事 故 シーケンスグループ 等 ご<br />
との 重 要 事 故 シーケンス 等 の 選 定 については、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 運 転 中 原 子 炉 において 炉 心 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
1 事 故 シーケンスグループの 特 定<br />
a. イベントツリーによる 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスの 抽 出<br />
内 部 事 象 (※ 6 )レベル 1PRA の 手 法 を 活 用 し、 各 起 因 事 象 と 炉 心 損<br />
傷 を 防 止 するための 手 段 等 との 組 合 せをイベントツリーで 分 析 し、 炉<br />
心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスを 抽 出 した。また、 地 震 PRA 及 び 津 波<br />
PRA の 手 法 を 活 用 し、 複 数 機 能 の 同 時 喪 失 を 伴 う 事 象 の 発 生 を 想 定 し、<br />
起 因 事 象 をプラントに 与 える 影 響 度 の 高 いものから 順 に 並 べた 起 因<br />
事 象 階 層 イベントツリーと、 炉 心 損 傷 を 防 止 する 手 段 等 の 状 況 を 示 す<br />
(※ 6 )PRA の 方 法 論 には、1 偶 発 故 障 を 仮 定 した PRA と、2 特 定 の 事 象 を 事 故 の 原 因 とする PRA がある。 偶 発 故<br />
障 を 仮 定 した PRA を「 内 部 事 象 PRA」という。<br />
123
イベントツリーによって 分 析 し、 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスを 抽<br />
出 した。<br />
b. PRA に 代 わる 方 法 による 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスの 検<br />
討<br />
内 部 事 象 、 地 震 及 び 津 波 以 外 の 事 象 について、 現 時 点 では、 内 部 事<br />
象 レベル 1PRA の 手 法 と 工 学 的 判 断 により 事 故 シーケンスを 検 討 した。<br />
内 部 溢 水 及 び 内 部 火 災 の 事 故 シーケンスについては、 溢 水 、 火 災 に<br />
より 様 々な 同 時 故 障 が 発 生 しても、 炉 心 損 傷 を 防 止 するための 手 段 等<br />
との 組 合 せは 内 部 事 象 レベル 1PRA と 同 じであるため、 内 部 事 象 レベ<br />
ル 1PRA により 抽 出 された 事 故 シーケンスと 同 じ 事 故 シーケンスにな<br />
ると 推 定 される。<br />
洪 水 、 風 ( 台 風 )、 竜 巻 等 の 事 故 シーケンスは、 安 全 上 の 重 要 度 の<br />
高 い 建 屋 内 部 の 設 備 に 直 接 的 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 は 低 く、 建 屋 外 部<br />
に 設 置 された 設 備 への 影 響 として 海 水 ポンプ 及 び 変 圧 器 ・ 送 電 線 等 の<br />
機 能 喪 失 による 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 があるが、これは 内 部 事 象 レベル<br />
1PRA の 手 法 を 活 用 したイベントツリーにより 抽 出 済 みの 事 故 シーケ<br />
ンスである。<br />
よって、 新 たに 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスは 抽 出 されなかった。<br />
c. 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループとの 対 応<br />
上 記 a.においてイベントツリーにより 網 羅 的 に 抽 出 した 炉 心 損 傷<br />
に 至 る 事 故 シーケンスを 起 因 事 象 及 び 安 全 機 能 の 喪 失 状 況 に 着 目 し<br />
て 類 型 化 し 事 故 シーケンスグループを 特 定 するため、まず、 抽 出 され<br />
た 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスと、 必 ず 想 定 する 8 つの 事 故 シーケ<br />
ンスグループとの 対 応 関 係 を 整 理 した。その 結 果 、 抽 出 した 炉 心 損 傷<br />
に 至 る 事 故 シーケンスのうち、 地 震 ・ 津 波 特 有 の 5 つの 事 故 シーケン<br />
ス( 原 子 炉 建 屋 損 傷 、 原 子 炉 格 納 容 器 損 傷 、 原 子 炉 補 助 建 屋 損 傷 、 複<br />
数 の 信 号 系 損 傷 、 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 ( 複 数 本 破 損 ))が、 必 ず 想<br />
定 する 事 故 シーケンスグループに 含 まれなかった。<br />
d. PRA の 結 果 を 考 慮 した 事 故 シーケンスグループの 特 定<br />
上 記 の 5 つの 事 故 シーケンスを 新 たな 事 故 シーケンスグループと<br />
して 追 加 するか 否 かの 検 討 を、PRA の 結 果 も 考 慮 し、 頻 度 及 び 影 響 度<br />
の 観 点 から 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループと 比 較 することに<br />
より 行 った。その 結 果 、 頻 度 の 観 点 からは、5 つの 事 故 シーケンスは、<br />
124
全 炉 心 損 傷 頻 度 に 対 する 寄 与 が 極 めて 小 さいことを 確 認 した。また、<br />
影 響 度 の 観 点 からは、 建 屋 損 傷 等 により 機 能 喪 失 する 炉 心 損 傷 を 防 止<br />
するための 設 備 の 組 合 せの 特 定 は 困 難 であり、 影 響 度 に 大 きな 幅 があ<br />
るが、 発 生 する 事 象 の 程 度 に 応 じて 炉 心 損 傷 防 止 対 策 や 格 納 容 器 破 損<br />
防 止 対 策 を 柔 軟 に 活 用 するとともに、 必 要 に 応 じて 大 規 模 損 壊 対 策 に<br />
よる 影 響 緩 和 を 図 ることができることを 確 認 した。 以 上 より、 頻 度 及<br />
び 影 響 度 の 観 点 から 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループと 比 較 し、<br />
総 合 的 に 判 断 して、5 つの 事 故 シーケンスは 新 たに 追 加 する 必 要 はな<br />
いとした。<br />
よって、 想 定 する 事 故 シーケンスグループは、 設 置 許 可 基 準 規 則 解<br />
釈 が 必 ず 想 定 することを 要 求 しているものと 同 一 である。<br />
e. 原 子 炉 格 納 容 器 の 機 能 に 期 待 する 事 故 シーケンス<br />
国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 と 同 等 のものが 講 じられた 上 で、 炉 心 損 傷 防<br />
止 が 困 難 であって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 機 能 に 期 待 できる 事 故 シーケン<br />
スは、 事 故 シーケンスグループに 含 めないが、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
における 評 価 事 故 シーケンスに 包 絡 させるものとする。<br />
2 重 要 事 故 シーケンスの 選 定<br />
有 効 性 評 価 ガイドの 指 定 する 4 つの 着 眼 点 ( 系 統 間 機 能 依 存 性 、 余 裕 時<br />
間 、 設 備 容 量 、 代 表 性 )に 沿 って 事 故 シーケンスグループごとに 重 要 事 故<br />
シーケンスを 選 定 した。4 つの 着 眼 点 の 各 々について、 影 響 度 を「 高 」、<br />
「 中 」、「 低 」で 整 理 し、 選 定 に 用 いた。また、 選 定 の 際 に 複 数 の 事 故 シ<br />
ーケンスが 重 要 事 故 シーケンスの 候 補 となる 場 合 には、 事 象 進 展 が 早 いも<br />
のなど、より 厳 しいシーケンスを 選 定 した。 具 体 的 には 表 Ⅳ-1のとおり。<br />
(2) 運 転 中 原 子 炉 において 格 納 容 器 破 損 に 至 るおそれがある 事 故<br />
1 格 納 容 器 破 損 モードの 抽 出<br />
a. PRA の 知 見 を 活 用 した 格 納 容 器 破 損 モードの 検 討<br />
内 部 事 象 については、プラント 状 態 を 分 類 し、 事 象 の 進 展 に 伴 い 生<br />
じる 格 納 容 器 の 健 全 性 に 影 響 を 与 える 負 荷 を 分 析 して、 格 納 容 器 バイ<br />
パス、 格 納 容 器 隔 離 失 敗 及 び 格 納 容 器 物 理 的 破 損 に 係 る 以 下 の 12 の<br />
格 納 容 器 破 損 モードを 日 本 原 子 力 学 会 の PRA に 関 する 実 施 基 準 (※ 7 )<br />
に 則 って 検 討 対 象 とした。<br />
(※ 7 ) 日 本 原 子 力 学 会 標 準 原 子 力 発 電 所 の 出 力 運 転 状 態 を 対 象 とした 確 率 論 的 安 全 評 価 に 関 する 実 施 基 準 (レ<br />
ベル 2PSA 編 ):2008<br />
125
1) 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 (gモード)<br />
2) インターフェイスシステム LOCA(νモード)<br />
3) 格 納 容 器 隔 離 失 敗 (βモード)<br />
4) 原 子 炉 容 器 内 での 水 蒸 気 爆 発 (αモード)<br />
5) 格 納 容 器 内 の 水 蒸 気 爆 発 又 は 圧 力 スパイク(ηモード)<br />
6) 溶 融 物 直 接 接 触 (μモード)<br />
7) 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 (σモード)<br />
8) 水 素 燃 焼 又 は 水 素 爆 轟 (γモード)<br />
9) ベースマット 溶 融 貫 通 (εモード)<br />
10) 格 納 容 器 貫 通 部 過 温 破 損 (τモード)<br />
11) 水 蒸 気 ・ 非 凝 縮 性 ガス 蓄 積 による 過 圧 破 損 (δモード)<br />
12) 水 蒸 気 蓄 積 による 格 納 容 器 先 行 破 損 (θモード)<br />
b. PRA に 代 わる 方 法 による 格 納 容 器 破 損 モードの 検 討<br />
内 部 事 象 以 外 の 事 象 については、 現 時 点 では、 内 部 事 象 レベル 1.5<br />
(※ 8 )PRA の 手 法 と 工 学 的 な 判 断 により 検 討 を 実 施 した。<br />
検 討 の 結 果 、 地 震 特 有 の 格 納 容 器 破 損 モードとして、βモード、g<br />
モード 及 び 地 震 による 格 納 容 器 破 損 (χモード)が 考 えられるが、β<br />
モード 及 びgモードについては a.の 12 の 破 損 モードで 抽 出 されてい<br />
ること、χモードについては 直 接 的 な 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 喪 失 で<br />
あることから、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 の 対 象 とせず、 大<br />
規 模 損 壊 対 策 で 対 応 することとし、 新 たに 追 加 すべき 格 納 容 器 破 損 モ<br />
ードはないとした。<br />
津 波 、 火 災 、 溢 水 及 びその 他 の 自 然 現 象 については、 内 部 事 象 レベ<br />
ル 1PRA で 抽 出 された 事 故 シーケンス 以 外 の 事 故 シーケンスはなく、<br />
炉 心 損 傷 後 の 格 納 容 器 内 物 理 現 象 についても a.の 12 の 破 損 モードで<br />
想 定 するものと 同 じと 考 えられることから、 新 たに 追 加 すべき 格 納 容<br />
器 破 損 モードはないとした。<br />
c. 評 価 対 象 とする 格 納 容 器 破 損 モードの 抽 出<br />
上 記 a.において 検 討 対 象 とした 12 の 格 納 容 器 破 損 モードには、 必<br />
ず 想 定 する 5 つの 格 納 容 器 破 損 モードが 含 まれる。なお、 必 ず 想 定 す<br />
る 格 納 容 器 破 損 モードのうち、 格 納 容 器 直 接 接 触 (シェルアタック)<br />
については、BWR の 一 部 の 格 納 容 器 に 特 有 の 事 象 とみなされているた<br />
め、PWR である 当 該 評 価 の 対 象 から 除 外 する。<br />
(※ 8 )レベル 1.5PRA とは、 格 納 容 器 破 損 頻 度 を 求 めるまでの PRA をいう。<br />
126
μモードについては、 原 子 炉 容 器 が 高 圧 状 態 で 破 損 した 場 合 に 溶 融<br />
炉 心 が 急 激 に 噴 出 し、 原 子 炉 格 納 容 器 壁 に 付 着 して 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
破 損 に 至 る 事 象 であることから、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する 対<br />
策 は、 本 申 請 では 原 子 炉 容 器 の 破 損 までに 1 次 冷 却 系 を 減 圧 すること<br />
である。1 次 冷 却 系 の 減 圧 により 高 圧 溶 融 物 放 出 を 防 止 できればσモ<br />
ードによる 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 できることから、μモード 及<br />
びσモードへの 対 策 は 同 一 となること。<br />
必 ず 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードに 分 類 されない 2 つの 破 損 モー<br />
ド( α 及 び β モード) 及 び 3 つの 破 損 モード(θ、ν 及 びgモード)<br />
については、 以 下 の 理 由 から 新 たな 格 納 容 器 破 損 モードとして 考 慮 す<br />
る 必 要 はない。<br />
αモードについては、 国 内 外 における 実 験 的 研 究 と 専 門 家 による 物<br />
理 現 象 に 関 する 分 析 により、 発 生 確 率 は 極 めて 低 いと 評 価 されている<br />
こと。<br />
βモードについては、 定 期 検 査 及 び 原 子 炉 起 動 前 の 格 納 容 器 隔 離 機<br />
能 の 確 認 や 手 順 書 に 基 づく 確 実 な 操 作 を 実 施 すること、 原 子 炉 運 転 時<br />
には 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 12 時 間 に 1 回 確 認 する 運 用 であること 及<br />
びエアロック 開 放 時 には 警 報 発 信 により 速 やかに 検 知 可 能 であるこ<br />
と、 事 故 時 において 格 納 容 器 隔 離 信 号 発 信 時 には 隔 離 弁 の 閉 止 状 態 を<br />
運 転 員 が 確 認 する 手 順 となっていることなどにより、 人 的 過 誤 による<br />
発 生 確 率 は 極 めて 低 いと 評 価 したこと。<br />
3 つの 破 損 モード(θ、ν 及 びgモード)については、 事 故 シーケ<br />
ンスグループに 含 め 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 評 価 すること。<br />
なお、gモードのうち 高 温 誘 因 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 については、<br />
発 生 頻 度 が 非 常 に 小 さいことに 加 え、 発 生 を 防 止 するための 1 次 系 強<br />
制 減 圧 を 確 実 に 行 うための 対 策 が 整 備 されていること、1 次 冷 却 系 が<br />
高 温 状 態 でも 1 次 系 強 制 減 圧 ( 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 状 態 )を 維 持 でき<br />
ることを 解 析 により 確 認 していること、 蒸 気 発 生 器 への 給 水 により 炉<br />
心 損 傷 を 回 避 できる 場 合 があることなどから、 発 生 を 防 止 できること。<br />
よって、 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードは、 以 下 の 6 つとする。<br />
• 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )(δモード)<br />
• 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )(τモード)<br />
• 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 (μ、σモード)<br />
• 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 (ηモード)<br />
• 水 素 燃 焼 (γモード)<br />
• 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 (εモード)<br />
127
2 プラント 損 傷 状 態 の 特 定<br />
炉 心 損 傷 後 のプラント 損 傷 状 態 ( 以 下 「PDS」という。)は、 起 因 事 象<br />
と 1 次 冷 却 系 圧 力 、 炉 心 損 傷 時 期 、 格 納 容 器 内 事 象 進 展 ( 格 納 容 器 破 損 時<br />
期 、 溶 融 炉 心 の 冷 却 手 段 )の 3 種 類 の 属 性 を 用 いて 定 義 した。<br />
レベル 1PRA で 抽 出 された 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスから、さらに<br />
高 圧 注 入 ・ 再 循 環 、 格 納 容 器 スプレイ 注 入 ・ 再 循 環 の 分 岐 ・ヘディングを<br />
考 慮 し、 内 部 事 象 レベル 1.5PRA 評 価 用 のイベントツリーを 作 成 した。こ<br />
れを 用 いて 各 事 故 シーケンスの PDS を 特 定 した 後 、PDS ごとに 事 故 シーケ<br />
ンスを 整 理 した。<br />
さらに、PDS ごとに、 設 備 の 動 作 状 態 及 び 各 種 現 象 の 発 生 状 態 を 検 討 し<br />
て、 格 納 容 器 イベントツリーを 作 成 し、 格 納 容 器 破 損 に 至 る 事 故 シーケン<br />
スが、1c.の 6 つの 格 納 容 器 破 損 モードのいずれかに 対 応 することを 確<br />
認 した。この 結 果 を 用 いて、 格 納 容 器 破 損 モードごとに PDS を 整 理 した。<br />
3 評 価 事 故 シーケンスの 選 定<br />
格 納 容 器 破 損 モードごとの PDS から、 影 響 の 観 点 で 最 も 厳 しくなる PDS<br />
を 選 定 した。この PDS を 構 成 する 事 故 シーケンスから、 事 象 進 展 が 最 も 厳<br />
しくなる 事 故 シーケンスを 抽 出 し、PRA の 過 程 で 選 定 した 評 価 事 故 シーケ<br />
ンスとした。<br />
具 体 的 には 表 Ⅳ-1のとおり。<br />
なお、 有 効 性 評 価 においては、 事 象 進 展 をより 厳 しくする 観 点 などから、<br />
PRA の 過 程 で 選 定 された 評 価 事 故 シーケンスに 加 え、 複 数 の 機 能 の 喪 失 の<br />
重 畳 を 考 慮 している 場 合 もある。<br />
(3) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
想 定 事 故 1 及 び 想 定 事 故 2を 想 定 する。<br />
(4) 運 転 停 止 中 原 子 炉 において 燃 料 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
1 事 故 シーケンスグループの 特 定<br />
運 転 停 止 中 について、 各 起 因 事 象 と 燃 料 損 傷 を 防 止 するための 手 段 等 と<br />
の 組 合 せをイベントツリーで 網 羅 的 に 分 析 し、 燃 料 損 傷 に 至 る 事 故 シーケ<br />
ンスを 抽 出 した。<br />
抽 出 した 燃 料 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスについて、 喪 失 した 機 能 及 び 炉<br />
心 損 傷 に 至 った 主 要 因 の 観 点 から、 必 ず 想 定 する 4 つの 事 故 シーケンスグ<br />
ループとの 関 係 を 整 理 した。その 結 果 、 必 ず 想 定 すべき 事 故 シーケンスグ<br />
128
ループに 含 まれない 燃 料 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスは 新 たに 抽 出 されな<br />
かった。<br />
2 重 要 事 故 シーケンスの 選 定<br />
停 止 中 評 価 ガイドの 指 定 する 3 つの 着 眼 点 ( 余 裕 時 間 、 設 備 容 量 、 代 表<br />
性 )に 沿 って 事 故 シーケンスグループの 中 から 有 効 性 評 価 の 代 表 シーケン<br />
スとする 重 要 事 故 シーケンスの 選 定 を 実 施 した。3 つの 着 眼 点 の 各 々につ<br />
いて、 影 響 度 を「 高 」、「 中 」、「 低 」で 整 理 して、 選 定 に 用 いた。 具 体<br />
的 には 表 Ⅳ-1のとおり。<br />
2. 審 査 結 果<br />
(1) 運 転 中 原 子 炉 において 炉 心 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスの 抽 出 を、 内 部 事 象<br />
については 炉 心 損 傷 イベントツリー、 地 震 及 び 津 波 については 階 層 イベントツ<br />
リーと 炉 心 損 傷 イベントツリーを 構 築 して 行 うという 日 本 原 子 力 学 会 の PRA<br />
に 関 する 実 施 基 準 に 則 った 標 準 的 な 手 法 で 行 っていることを 確 認 した。また、<br />
内 部 事 象 、 地 震 及 び 津 波 以 外 の 事 象 について、 当 該 事 象 を 対 象 とする PRA に 代<br />
わる 方 法 として、 内 部 事 象 レベル 1PRA の 手 法 と 工 学 的 判 断 により 事 故 シーケ<br />
ンスを 検 討 していることは 妥 当 と 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 必 ず 想 定 する 事 故 シーケンスグループに 対 応 しない<br />
地 震 及 び 津 波 特 有 の 5 つの 事 故 シーケンスを 新 たな 事 故 シーケンスグループ<br />
として 追 加 しないとしていることについて、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 則 って、<br />
頻 度 は 全 炉 心 損 傷 頻 度 に 対 する 寄 与 が 極 めて 小 さいことを 確 認 し、 加 えて、 大<br />
規 模 損 壊 対 策 などにより 緩 和 措 置 を 図 ることができるとしていることから、 妥<br />
当 であると 判 断 した。<br />
また、 事 故 シーケンスには、 国 内 外 の 先 進 的 な 対 策 と 同 等 のものを 講 じても、<br />
炉 心 損 傷 の 防 止 が 困 難 なものがあり、 申 請 者 がこれらの 事 故 シーケンスを 炉 心<br />
損 傷 防 止 対 策 における 事 故 シーケンスグループに 含 めず、 格 納 容 器 破 損 防 止 対<br />
策 において 考 慮 するとしたことは、 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 に 則 った 考 え 方 であ<br />
ることから、 妥 当 であると 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループごとの 重 要 事 故 シーケンスの 選 定 は、<br />
有 効 性 評 価 ガイドの 考 え 方 を 踏 まえ 4 つの 着 眼 点 に 沿 って 行 われていること<br />
を 確 認 した。<br />
129
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 特 定 した 事 故 シーケンスグループ 及<br />
び 選 定 した 重 要 事 故 シーケンスは、 上 記 の 確 認 と 判 断 から、 妥 当 なものである<br />
と 判 断 した。<br />
(2) 運 転 中 原 子 炉 において 格 納 容 器 破 損 に 至 るおそれがある 事 故<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 内 部 事 象 による 格 納 容 器 破 損 モードを 日 本 原 子 力 学<br />
会 の PRA に 関 する 実 施 基 準 に 則 って 検 討 対 象 としていることを 確 認 した。また、<br />
申 請 者 が 自 然 現 象 について、 新 たに 追 加 すべき 格 納 容 器 破 損 モードはないとし<br />
ていることは、 最 新 の 技 術 に 基 づく 内 部 事 象 レベル 1.5PRA の 手 法 と 工 学 的 な<br />
判 断 により 検 討 していることから、 妥 当 と 判 断 した。 検 討 対 象 とした 12 つの<br />
格 納 容 器 破 損 モードについては、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 において 評 価 するもの、 発<br />
生 する 可 能 性 が 極 めて 低 いものを 除 き、すべて 評 価 対 象 としていることから、<br />
妥 当 であると 判 断 した。 評 価 対 象 とした 6 つの 格 納 容 器 破 損 モードは、 設 置 許<br />
可 基 準 規 則 解 釈 における 必 ず 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モード(BWR 固 有 のものを<br />
除 く。)と 一 致 することを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 モードごとに 最 も 厳 しいプラント 損 傷<br />
状 態 を 選 定 し、さらにそのプラント 損 傷 状 態 に 至 る 最 も 厳 しい 事 故 シーケンス<br />
を 評 価 事 故 シーケンスとしていることは、 有 効 性 評 価 ガイドを 踏 まえ 厳 しいも<br />
のを 選 定 していることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 特 定 した 格 納 容 器 破 損 モード 及 び 選<br />
定 した 評 価 事 故 シーケンスは、 上 記 の 確 認 と 判 断 から、 妥 当 なものであると 判<br />
断 した。<br />
(3) 運 転 停 止 中 原 子 炉 において 燃 料 損 傷 に 至 るおそれがある 事 故<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 各 起 因 事 象 と 燃 料 損 傷 に 至 ることを 防 止 するための<br />
手 段 等 との 組 合 せをイベントツリーで 分 析 し、 運 転 停 止 中 に 燃 料 損 傷 に 至 る 事<br />
故 シーケンスを 抽 出 しており、これは 日 本 原 子 力 学 会 の PRA に 関 する 実 施 基 準<br />
に 則 った 標 準 的 な 手 法 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループごとの 重 要 事 故 シーケンスの 選 定 は、<br />
停 止 中 評 価 ガイドの 考 え 方 を 踏 まえ 3 つの 着 眼 点 に 沿 って 行 われていること<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 特 定 した 事 故 シーケンスグループ 及<br />
び 選 定 した 重 要 事 故 シーケンスは、 上 記 の 確 認 から、 妥 当 なものであると 判 断<br />
した。<br />
130
炉<br />
心<br />
損<br />
傷<br />
防<br />
止<br />
対<br />
策<br />
格<br />
納<br />
容<br />
器<br />
破<br />
損<br />
防<br />
止<br />
対<br />
策<br />
表 Ⅳ-1 申 請 者 の 重 要 事 故 シーケンス 等 の 選 定 について<br />
事 故 シーケンスグループ 重 要 事 故 シーケンス 選 定 理 由<br />
2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機<br />
能 喪 失<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機<br />
能 喪 失<br />
原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
格 納 容 器 バイパス<br />
格 納 容 器 破 損 モード<br />
雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による<br />
静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による<br />
静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )<br />
高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容<br />
器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融<br />
燃 料 ─ 冷 却 材 相 互 作 用<br />
主 給 水 流 量 喪 失 + 補 助 給 水 失<br />
敗<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 +<br />
RCP シール LOCA<br />
大 破 断 LOCA+ 格 納 容 器 スプレ<br />
イ 注 入 失 敗 + 低 圧 再 循 環 失 敗<br />
原 子 炉 トリップが 必 要 な 起 因<br />
事 象 + 原 子 炉 トリップ 失 敗<br />
中 破 断 LOCA+ 高 圧 注 入 失 敗<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 再 循 環 失 敗<br />
+ 高 圧 再 循 環 失 敗<br />
IS-LOCA 及 び 蒸 気 発 生 器 伝 熱<br />
管 破 損 + 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の<br />
隔 離 失 敗<br />
PRA の 過 程 で 選 定 された<br />
評 価 事 故 シーケンス ※<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 +<br />
高 圧 注 入 失 敗 + 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 注 入 失 敗<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 +<br />
格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 失 敗<br />
主 給 水 が 全 喪 失 することで 1 次 冷 却 系 が 早 期 に 高 温 ・ 高 圧 状 態 となる 事 象 であ<br />
り、 特 に「 主 給 水 流 量 喪 失 」では 原 子 炉 トリップ( 蒸 気 発 生 器 水 位 異 常 低 ) 時<br />
点 での 蒸 気 発 生 器 水 量 が 少 なく、「 外 部 電 源 喪 失 」と 比 較 して 補 助 給 水 失 敗 時<br />
点 での 崩 壊 熱 が 大 きく、 除 熱 の 観 点 でより 厳 しい 事 象 となる。<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 係 る 事 故 シーケンスは「 外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 」のみである。<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 / 安 全 弁 LOCA は 気 相 部 破 断 であり、1 次 冷 却 材 の 漏 えいの 観 点<br />
で RCP シール LOCA の 方 が 厳 しい 事 象 である。<br />
格 納 容 器 スプレイ 注 入 失 敗 時 の 方 が、 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 失 敗 時 に 比 べ 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 ・ 圧 力 上 昇 が 早 いため 余 裕 時 間 が 厳 しく、 破 断 口 径 の 大<br />
きい「 大 破 断 LOCA」は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 冷 却 材 の 流 出 量 が 大 きいため、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 に 必 要 な 設 備 容 量 の 観 点 で 厳 しい。<br />
多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 作 動 に 期 待 する 事 象 のうち、より 多 くの 機 能 を 期 待 する<br />
必 要 があり、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 健 全 性 確 保 の 観 点 で 厳 しい「 主 給<br />
水 流 量 喪 失 」 及 び 圧 力 評 価 が 厳 しい「 負 荷 の 喪 失 」を 選 定 する。<br />
破 断 口 径 が 大 きい「 中 破 断 LOCA」が 1 次 冷 却 材 の 流 出 量 が 多 いため、 操 作 (2<br />
次 系 強 制 冷 却 )の 余 裕 時 間 及 び 要 求 される 設 備 容 量 ( 低 圧 注 入 及 び 蓄 圧 注 入 )<br />
の 観 点 で 厳 しい。<br />
1 次 冷 却 材 の 系 外 への 流 出 が 多 いため 再 循 環 切 替 えまでの 時 間 が 短 く、 再 循 環<br />
切 替 時 点 での 崩 壊 熱 が 大 きくなることを 踏 まえ「 大 破 断 LOCA」を 選 定 する。<br />
格 納 容 器 バイパス 時 の 漏 えい 経 路 の 違 いを 考 慮 し、 両 方 のシーケンスを 選 定 す<br />
る。<br />
選 定 理 由<br />
破 断 規 模 が 大 きく 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 短 時 間 で 大 量 の 冷 却 材 が 放 出 され、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 への 注 水 により 圧 力 上 昇 が 抑 制 されない AED から 選 定 する。AED<br />
のうち 事 故 進 展 が 早 い 大 破 断 LOCA を 選 定 する。<br />
原 子 炉 容 器 破 損 時 に 溶 融 炉 心 が 高 圧 で 格 納 容 器 内 に 分 散 することで 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 雰 囲 気 への 伝 熱 が 大 きく、 補 助 給 水 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 注 水 が<br />
なく 温 度 上 昇 が 抑 制 されない TED から 選 定 する。TED のうち 1 次 冷 却 系 が 高 圧<br />
となり 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 い 全 交 流 動 力 電 源 喪<br />
失 シーケンスを 選 定 する。<br />
1 次 冷 却 系 が 高 圧 で 維 持 され、 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 注 水 がなく 高 圧 溶 融 物 放<br />
出 時 の 格 納 容 器 直 接 加 熱 が 抑 制 されない TED から 選 定 する。TED のうち 1 次 冷<br />
却 系 が 高 圧 となり 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 い 全 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 シーケンスを 選 定 する。<br />
破 断 規 模 が 大 きく 事 故 進 展 が 速 いため、 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱<br />
が 大 きく、 原 子 炉 格 納 容 器 内 が 冷 却 されない AEW から 選 定 する。AEW のうち 事<br />
故 進 展 が 早 い 大 破 断 LOCA を 選 定 する。 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 のサブクール<br />
度 を 小 さくするため、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 を 想 定 する。<br />
運<br />
る 転<br />
燃 停<br />
料 止<br />
損 中<br />
傷 原<br />
防 子<br />
止 炉<br />
対 に<br />
策 お<br />
け<br />
水 素 燃 焼<br />
溶 融 炉 心 ・コンクリート<br />
相 互 作 用<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗<br />
大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 +<br />
高 圧 注 入 失 敗 + 格 納 容 器 スプ<br />
レイ 注 入 失 敗<br />
破 断 規 模 が 大 きく 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 短 時 間 で 大 量 の 冷 却 材 が 放 出 されるこ<br />
とで 事 故 進 展 に 伴 う 水 素 発 生 速 度 が 大 きく、 格 納 容 器 スプレイによる 水 蒸 気 の<br />
凝 縮 により 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 が 高 くなる AEI から 選 定 する。AEI の<br />
うち 事 故 進 展 の 早 い 大 破 断 LOCA+ 低 圧 注 入 失 敗 を 選 定 する。<br />
破 断 規 模 が 大 きく、 原 子 炉 下 部 キャビティへ 落 下 する 溶 融 炉 心 が 冷 却 されない<br />
AED から 選 定 する。AED のうち 事 故 進 展 が 早 い 大 破 断 LOCA を 選 定 する。<br />
事 故 シーケンスグループ 重 要 事 故 シーケンス 選 定 理 由<br />
崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 冷 却 材 の 流 出<br />
余 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
外 部 電 源 喪 失 + 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 喪 失<br />
原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ<br />
機 能 喪 失<br />
余 熱 除 去 系 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 系 の 故 障 は、 事 故 進 展 が 同 じであるため、 余 裕<br />
時 間 の 観 点 から、 代 表 として 余 熱 除 去 系 の 故 障 により 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する<br />
事 象 を 選 定 する。<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 係 る 事 故 シーケンスは 当 該 シーケンスのみである。<br />
いずれのシーケンスも 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 事 象 であり、1 次 冷 却 材 の 流 出 流 量<br />
が 大 きい 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 喪 失 を 選 定 する。<br />
反 応 度 の 誤 投 入 反 応 度 の 誤 投 入 反 応 度 の 誤 投 入 に 係 る 事 故 シーケンスは 当 該 シーケンスのみである。<br />
※ 有 効 性 評 価 における 評 価 事 故 シーケンスでは、 事 象 進 展 をより 厳 しくする 観 点 などから、PRA で 選 定 された 評 価 事 故 シーケンスに 複 数 の 機 能 の 喪<br />
失 の 重 畳 を 考 慮 している。<br />
131
Ⅳ-1.2 有 効 性 評 価 の 結 果<br />
第 37 条 は、 想 定 する 事 故 シーケンスグループ 等 ごとに、その 対 策 に 有 効 性 があ<br />
ることを 確 認 することを 要 求 している。<br />
事 故 シーケンスグループ 等 ごとの 申 請 内 容 、 審 査 結 果 及 び 審 査 過 程 における 主 な<br />
論 点 は 以 下 のとおりである。<br />
Ⅳ-1.2.1 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 1 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発<br />
生 した 場 合 において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたもの<br />
でなければならないと 要 求 している。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 において、「 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため<br />
に 必 要 な 措 置 を 講 じたもの」とは、 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があ<br />
ることを 確 認 するという 要 件 を 満 たすものとしている。「 有 効 性 があることを 確 認<br />
する」とは、 以 下 の(a)から(d)の 項 目 ( 以 下 「 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 」<br />
という。)を 概 ね 満 足 することを 確 認 するとしている。<br />
(a) 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 するおそれがないものであり、かつ、 炉 心 を 十 分<br />
に 冷 却 できるものであること。(※ 9 )<br />
(b) 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 の 1.2 倍 又 は 限<br />
界 圧 力 を 下 回 ること。<br />
(c) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下<br />
回 ること。<br />
(d) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温 度 を 下<br />
回 ること。<br />
Ⅳ-1.2.1.1 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 又 は 設<br />
計 基 準 事 故 ( 大 破 断 LOCA 及 び 中 破 断 LOCA を 除 く。)の 発 生 と 2 次 冷 却 系 からの 除<br />
熱 機 能 喪 失 が 重 畳 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 し<br />
た。<br />
(※ 9 )「 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 するおそれがないものであり、かつ、 炉 心 を 十 分 に 冷 却 できるものであること」<br />
とは、 以 下 に 掲 げる 要 件 を 満 たすものであること。ただし、 燃 料 被 覆 管 の 最 高 温 度 及 び 酸 化 量 について、 十 分<br />
な 科 学 的 根 拠 が 示 される 場 合 には、この 限 りでない。<br />
(a) 燃 料 被 覆 管 の 最 高 温 度 が 1,200℃ 以 下 であること。<br />
(b) 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は、 酸 化 反 応 が 著 しくなる 前 の 被 覆 管 厚 さの 15% 以 下 であること。<br />
132
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 :2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 の 喪 失 に<br />
伴 い 1 次 冷 却 系 が 高 温 ・ 高 圧 状 態 となり、 加 圧 器 安 全 弁 等 からの 冷 却 材 漏<br />
えいが 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 早 期 に 1 次 冷 却 系 を 強 制<br />
的 に 減 圧 するとともに、 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 と 高 圧 注<br />
入 ポンプによる 炉 心 注 水 を 行 う 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードを<br />
実 施 する。このため、 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 :1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードによ<br />
り、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 み、 余 熱 除 去 系 が 使 用 可 能 な 温 度 及 び 圧<br />
力 に 到 達 すれば、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 余 熱<br />
除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 事 象 進 展 解 析 に 用 いるコー<br />
ド( 以 下 「 解 析 コード」という。)の 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとお<br />
りとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 す<br />
る 事 故 」を 選 定 する。これは、 対 策 の 実 施 に 対 する 余 裕 時 間 の 観 点 で<br />
は、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード 開 始 までの 余 裕 時 間 が 短 い<br />
こと、また、 対 策 に 必 要 な 設 備 容 量 の 観 点 では、 主 給 水 系 及 び 補 助 給<br />
水 系 が 喪 失 しているため、 大 きな 容 量 を 必 要 とすることなど、より 厳<br />
しい 事 故 シーケンスであることから 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 加 圧 器 における 気 液 熱 非 平 衡 、 水 位 変 化 及 び 冷 却 材 の<br />
放 出 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 及 び 蒸 気 発 生 器<br />
2 次 側 保 有 水 量 の 変 化 やドライアウト 等 を 取 り 扱 うことができる<br />
M-RELAP5(※ 10 )を 用 いる。<br />
(※ 10 )M-RELAP5 の 適 用 性 については「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」において 記 載 している。<br />
133
c. 評 価 上 想 定 する 事 故 の 条 件 ( 以 下 「 事 故 条 件 」という。): 外 部 電<br />
源 はあるものとする。これは、1 次 冷 却 材 ポンプ( 以 下 「RCP」とい<br />
う。)の 運 転 継 続 による 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝<br />
達 の 促 進 により 蒸 気 発 生 器 ドライアウト 到 達 時 間 が 短 くなり、 炉 心 崩<br />
壊 熱 が 高 い 状 態 で 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードを 開 始 する<br />
ことから、 炉 心 冷 却 の 観 点 では 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 機 器 条 件 ( 以 下 「 機 器 条 件 」という。):1<br />
次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにおける 炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注<br />
入 ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 小 注 入 特 性 とする。また、1 次 冷 却 材 の 放 出<br />
には、 加 圧 器 逃 がし 弁 2 個 を 使 用 するものとし、1 個 当 たりの 容 量 は<br />
設 計 値 とする。<br />
e. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 操 作 条 件 ( 以 下 「 操 作 条 件 」という。):1<br />
次 冷 却 系 のフィードアンドブリードの 開 始 時 間 は、 蒸 気 発 生 器 広 域 水<br />
位 計 指 示 値 0% 到 達 から 5 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 が 高 温 ・ 高 圧 状<br />
態 となるが、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより、 燃 料 被 覆<br />
管 最 高 温 度 ( 以 下 「PCT」という。)は 約 390℃に、1 次 冷 却 系 の 最 高<br />
圧 力 は 約 16.8MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより 1 次 冷 却 系 の 蒸 気 が 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 に 移 行 することで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上<br />
昇 するが、 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
c. 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減<br />
圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態<br />
へ 移 行 させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
以 下 、SPARKLE-2、MAAP、GOTHIC、COCO についても 同 様 。<br />
134
M-RELAP5 を 用 いて 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードについて<br />
解 析 した 場 合 、 試 験 データと 比 較 して 1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 、<br />
温 度 を 数 ℃ 程 度 低 く 評 価 する 傾 向 がある。このため、1 次 冷 却 系 の 減<br />
温 ・ 減 圧 後 の 1 次 冷 却 系 圧 力 は 解 析 結 果 よりも 数 百 kPa 程 度 高 くなる<br />
可 能 性 があるが、この 影 響 に 対 する 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 流<br />
量 の 減 少 量 はわずかであることから、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 の 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 して<br />
いるため、 蒸 気 発 生 器 の 水 位 低 下 が 速 めに 解 析 されている。このため、<br />
蒸 気 発 生 器 の 水 位 を 起 点 とした 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリー<br />
ド 操 作 を 必 要 とするタイミングが 遅 くなる 可 能 性 があり、この 影 響 を<br />
確 認 するために 操 作 開 始 時 間 を 5 分 遅 らせた 感 度 解 析 を 実 施 した。 結<br />
果 として、 一 時 的 に 炉 心 が 露 出 し、 炉 心 露 出 時 の PCT は 約 880℃とな<br />
るが、 炉 心 の 再 冠 水 によって 燃 料 被 覆 管 の 温 度 は 低 下 し、 炉 心 の 冷 却<br />
には 十 分 な 余 裕 があることから、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
なお、 解 析 条 件 では、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードの 実 施<br />
に 当 たって 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 を 使 用 するとしているが、 使 用 できる<br />
高 圧 注 入 ポンプが 1 台 となるなど、 注 水 量 が 少 ない 場 合 には、 炉 心 の<br />
冷 却 が 十 分 に 行 われない 可 能 性 がある。このため、 高 圧 注 入 ポンプ 1<br />
台 のみを 使 用 した 感 度 解 析 を 実 施 した。この 場 合 でも 炉 心 の 冷 却 には<br />
十 分 な 余 裕 があり、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さいことを 確 認 した。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード 操 作 を 必 要 と<br />
するタイミングが 遅 くなるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 が<br />
あるが、この 操 作 は、 中 央 制 御 室 で 専 任 の 運 転 員 が 担 当 することから、<br />
必 要 なタイミングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 で<br />
あり、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 36 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
135
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は、<br />
約 612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油<br />
貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの<br />
電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」に<br />
対 して 申 請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 1 次 冷 却 系 のフィードア<br />
ンドブリード 及 び 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 で<br />
あると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」にお<br />
いて 1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードを 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析<br />
結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が<br />
使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目<br />
を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析<br />
では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 主 給 水 ポンプ、<br />
補 助 給 水 ポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこ<br />
れらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、1 次 冷 却 系 のフィードアンドブリードにより 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、<br />
原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策<br />
が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流<br />
量 喪 失 時 に 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことに<br />
より、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損<br />
傷 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故<br />
シーケンスグループ」という。)では、 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 後 、 交 流 動 力 電 源 を<br />
136
必 要 とする 安 全 機 能 を 有 する 系 統 及 び 機 器 が 機 能 を 喪 失 し、さらに 1 次 冷 却 材 の 補<br />
給 を 必 要 とする 規 模 の RCP シール 部 からの 漏 えいが 発 生 する 場 合 (RCP シール LOCA)<br />
と 発 生 しない 場 合 のそれぞれにおいて、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認<br />
した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 交 流 動 力 電 源 を 必 要 とする ECCS に<br />
よる 炉 心 注 水 ができず、さらに RCP シール LOCA 等 により 1 次 冷 却 系 の 保<br />
有 水 量 が 継 続 的 に 減 少 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、2 次 冷 却 系 を 強 制 的 に 減<br />
温 ・ 減 圧 することにより 1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減 圧 するとともに、 代 替 交 流<br />
動 力 電 源 を 確 保 して 代 替 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
また、 長 期 的 には、 最 終 ヒートシンクへの 継 続 的 な 熱 の 輸 送 手 段 を 確 保<br />
する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主<br />
蒸 気 逃 がし 弁 、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位<br />
置 付 ける。<br />
さらに、2 次 系 強 制 冷 却 後 に 代 替 炉 心 注 水 を 実 施 する。このため、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備<br />
するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンクを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け<br />
る。<br />
なお、 主 蒸 気 ライン 隔 離 を 行 い、 主 蒸 気 ライン 圧 力 等 を 監 視 し、 蒸 気 発<br />
生 器 伝 熱 管 からの 漏 えいの 兆 候 が 確 認 された 場 合 には、 健 全 側 蒸 気 発 生 器<br />
の 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 により、 放 射 性 物 質 の 外 部 への 放 出 を 限 定 的 に<br />
する。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 :<br />
a. RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 は、 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 による 冷<br />
却 の 代 わりとして 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるB 高 圧 注 入 ポンプ( 海<br />
水 冷 却 )への 海 水 通 水 後 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 がそれぞれ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 格 納 容 器 再 循<br />
環 サンプを 水 源 とした 高 圧 注 入 ポンプを 用 いた 再 循 環 ( 以 下 「 高 圧 再<br />
循 環 」という。)による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 移 動 式 大 容<br />
137
量 ポンプ 車 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 等 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トへの 海 水 通 水 により 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 する。このため、<br />
移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 す<br />
るとともに、A,B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 位 置 付 ける。<br />
b. RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 は、2 次 系 強 制 冷 却 による 炉 心 冷<br />
却 を 継 続 し、 交 流 動 力 電 源 が 回 復 後 、タービン 動 補 助 給 水 ポンプから<br />
電 動 補 助 給 水 ポンプへの 切 替 えを 行 う。このため、 取 水 用 水 中 ポンプ、<br />
タンクローリ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するととも<br />
に、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP シール LOCA が 発 生 す<br />
る 事 故 」 及 び RCP シール LOCA が 発 生 しない「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常<br />
用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」<br />
を 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する<br />
必 要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」<br />
のみであるが、 共 通 原 因 故 障 、 系 統 間 依 存 性 の 観 点 から、ここでは 従<br />
属 的 に 発 生 する「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」の 重 畳 を 考 慮 する。また、<br />
RCP シールからの 漏 えいの 有 無 による 影 響 を 確 認 する 観 点 から、RCP<br />
シール LOCA が 発 生 しない 場 合 についても 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 からの 冷 却 材 の 放 出 、 蒸 気 発 生 器 におけ<br />
る 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 等 を 取 り 扱 うことができる M-RELAP5 を<br />
用 いる。<br />
138
また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 構 造 材 と 水 蒸 気 との 間 の 熱 伝 達 、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 内 の 構 造 材 内 部 の 熱 伝 導 を 取 り 扱 うことができる COCO を 併<br />
せて 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 、RCP シール 部 からの 漏<br />
えい 率 は、 定 格 圧 力 において 1 台 当 たり 約 109m 3 /h とし、4 台 からの<br />
漏 えいとする。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 については、RCP シール 部 からの<br />
漏 えい 率 は、 定 格 圧 力 において 1 台 当 たり 約 1.5m 3 /h とし、4 台 から<br />
の 漏 えいとする。<br />
d. 機 器 条 件 : 蓄 圧 タンク 保 有 水 量 は、 最 低 保 有 水 量 26.9m 3 / 基 を 用 い<br />
る。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 には、 代 替 炉 心 注 水 流 量 として 常<br />
設 電 動 注 入 ポンプの 注 水 流 量 30m 3 /h を 用 いる。これは、1 次 冷 却 系 圧<br />
力 が 0.7MPa[gage]に 到 達 した 時 点 で 炉 心 注 水 を 開 始 することにより、<br />
想 定 する 漏 えい 流 量 に 対 して 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 維 持 が 可 能 な<br />
流 量 である。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 停 止 圧 力 は、<br />
RCP 封 水 戻 りライン 逃 がし 弁 の 閉 止 圧 力 である 0.83MPa[gage]を 用 い<br />
る。<br />
e. 操 作 条 件 :2 次 系 強 制 冷 却 の 開 始 時 間 は、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 手 動 に<br />
よる 開 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、 事 象 発 生 から 30 分 後 とする。<br />
その 後 、1 次 冷 却 材 温 度 が 約 208℃(1 次 冷 却 系 圧 力 が 約 1.7MPa[gage])<br />
に 到 達 した 段 階 でその 状 態 を 維 持 する。<br />
代 替 交 流 電 源 が 利 用 できるまでの 時 間 は、RCP シール LOCA が 発 生<br />
する 場 合 には 60 分 とし、RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 には 24<br />
時 間 とする。<br />
蓄 圧 タ ン ク 出 口 弁 を 閉 止 す る 時 間 は 、 1 次 冷 却 系 圧 力 約<br />
1.7MPa[gage] 到 達 及 び 代 替 交 流 電 源 が 利 用 できるまでの 時 間 から 10<br />
分 後 とする。<br />
2 次 系 強 制 冷 却 の 再 開 時 間 は、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 の 閉 止 から 10 分<br />
後 とする。その 後 、1 次 冷 却 材 温 度 が 約 170℃(1 次 冷 却 系 圧 力 が 約<br />
0.7MPa[gage])に 到 達 した 段 階 でその 状 態 を 維 持 する。<br />
また、RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 、 代 替 炉 心 注 水 の 開 始 時 間<br />
は 1 次 冷 却 系 圧 力 が 約 0.7MPa[gage]に 到 達 した 時 点 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
139
RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果<br />
は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 の 発 生 後 、RCP シール LOCA により、1 次 冷 却 系<br />
の 保 有 水 量 が 減 少 するが、2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・<br />
減 圧 及 び 代 替 炉 心 注 水 を 行 うことにより、PCT は 約 390℃に、1 次 冷<br />
却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. RCP シール LOCA により、1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいす<br />
ることで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、A、B 格 納 容 器<br />
再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 うことにより、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約 0.130MPa[gage]に、 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
最 高 温 度 は 約 100℃に 抑 えられる。<br />
c. 高 圧 再 循 環 運 転 による 炉 心 冷 却 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 によ<br />
る 原 子 炉 格 納 容 器 内 からの 除 熱 により、 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行<br />
させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
RCP シール LOCA が 発 生 しない 場 合 について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結<br />
果 は、 以 下 のとおりである。<br />
d. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 の 発 生 後 、 交 流 動 力 電 源 を 必 要 とする 安 全 機 能<br />
を 有 する 系 統 及 び 機 器 の 機 能 が 喪 失 するが、RCP シール LOCA が 発 生<br />
しないことから、 事 象 初 期 の 1 次 冷 却 系 の 圧 力 の 低 下 及 び 保 有 水 量 の<br />
減 少 は、RCP シール LOCA が 発 生 する 場 合 に 比 べて 緩 やかとなる。2 次<br />
系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 により、 蓄 圧 注 入 系 が 作 動<br />
し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 回 復 することで PCT は 約 390℃に、1 次<br />
冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
e. 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 は、RCP シール LOCA<br />
が 発 生 する 場 合 に 比 べて 少 ないことから、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温<br />
度 の 上 昇 は 小 さなものにとどまり、その 評 価 は RCP シール LOCA が 発<br />
生 する 場 合 の 評 価 に 包 絡 される。<br />
f. 交 流 動 力 電 源 の 回 復 後 、タービン 動 補 助 給 水 ポンプから 電 動 補 助 給<br />
水 ポンプへの 切 替 えを 行 い、2 次 系 強 制 冷 却 を 継 続 することで 原 子 炉<br />
を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることができる。<br />
上 記 d. 及 び e. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
140
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 を 用 いて RCP シール 部 からの 漏 えいについて 解 析 した 場<br />
合 、 試 験 データと 比 較 して 二 相 臨 界 流 量 を 数 十 % 多 く 評 価 する 傾 向 が<br />
ある。 解 析 結 果 によれば、 事 象 発 生 後 の 大 部 分 の 期 間 において、 漏 え<br />
い 流 は 二 相 状 態 である。このため、 実 際 の 漏 えい 流 量 は 解 析 結 果 より<br />
も 少 なくなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 事 象 など、RCP のトリップ 後 の 1 次 冷 却 材 の 自<br />
然 循 環 冷 却 に 期 待 している 場 合 には、この 自 然 循 環 を 阻 害 する 可 能 性<br />
のある 蓄 圧 タンク 内 の 窒 素 ガスの 混 入 を 防 止 するため、 蓄 圧 タンク 内<br />
の 保 有 水 量 が 全 量 注 入 される 前 に、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 する。こ<br />
の 場 合 、 蓄 圧 タンク 内 の 圧 力 変 化 と 気 相 部 体 積 の 膨 張 量 の 関 係 から、<br />
蓄 圧 タンク 内 の 初 期 の 保 有 水 量 が 少 なく 気 相 部 の 初 期 の 体 積 が 大 き<br />
い 方 が、 気 相 部 圧 力 が 持 続 しやすく、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 するま<br />
での 炉 心 への 注 水 量 が 多 くなる。 解 析 条 件 では、 蓄 圧 タンク 保 有 水 量<br />
に 最 低 保 有 水 量 を 設 定 しているため、 蓄 圧 タンク 内 の 初 期 の 気 相 部 の<br />
体 積 が 大 きくなり、 上 記 のとおり 非 保 守 的 な 設 定 となっている。その<br />
ため、この 影 響 について、 蓄 圧 注 入 系 による 炉 心 注 水 が 行 われている<br />
期 間 における 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 観 点 から 検 討 した。 結 果 として、<br />
蓄 圧 注 入 系 による 炉 心 注 水 が 行 われている 間 、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量<br />
は 十 分 多 く、これに 対 して 蓄 圧 タンク 初 期 保 有 水 量 の 設 定 の 影 響 によ<br />
る 炉 心 への 注 水 量 の 減 少 はわずかであり、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小<br />
さい。<br />
解 析 条 件 では、RCP シール 部 からの 漏 えい 率 に 保 守 的 な( 大 きめの)<br />
値 を 設 定 しているため、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 流 量 を 多 めに、かつ、1<br />
次 冷 却 系 の 圧 力 及 び 温 度 低 下 が 速 めに 解 析 されている。このため、 実<br />
際 は 1 次 冷 却 系 の 圧 力 及 び 温 度 を 起 点 とした 運 転 員 操 作 である 2 次 系<br />
強 制 冷 却 操 作 を 必 要 とするタイミングが 遅 くなる 可 能 性 があり、この<br />
影 響 を 確 認 するため、2 次 系 強 制 冷 却 の 開 始 時 間 を 30 分 遅 らせた 場<br />
合 の 解 析 を 実 施 した。 結 果 として、 炉 心 が 露 出 することはなく、 燃 料<br />
被 覆 管 温 度 の 上 昇 もないことから、 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
また、 上 記 と 同 様 に 代 替 炉 心 注 水 の 開 始 時 間 が 遅 くなる 可 能 性 があ<br />
るため、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 率 と 炉 心 の 露 出 に 至 る 可 能 性 が<br />
ある 保 有 水 量 との 関 係 から、 代 替 炉 心 注 水 の 開 始 に 関 する 時 間 的 余 裕<br />
141
について 検 討 した。 概 算 評 価 によると、 約 1.1 時 間 程 度 の 遅 れの 範 囲<br />
内 では 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、2 次 系 強 制 冷 却 操 作 を 必 要 とするタイミングが 遅 く<br />
なるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 があるが、この 操 作 は 現<br />
場 で 専 任 の 運 転 員 等 が 担 当 することから、 必 要 なタイミングに 変 動 が<br />
あったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対 策 の 実 施 に 与 える<br />
影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指<br />
揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。なお、<br />
解 析 では 復 旧 を 期 待 していないが、 長 期 的 な 対 策 として 原 子 炉 補 機 冷 却 機<br />
能 等 の 復 旧 作 業 は、 緊 急 時 安 全 対 策 本 部 要 員 等 で 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、2 次 系 強 制 冷 却 を 継 続 して 実 施 するた<br />
めには、 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 の 継 続 が 必 要 となり、その 水 源 は 復 水<br />
タンク(970m 3 )である。この 復 水 タンクへの 補 給 を 行 わない 場 合 、 事 象<br />
発 生 から 約 14.8 時 間 後 に 枯 渇 すると 評 価 している。これに 対 して、それ<br />
までの 間 に、 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又 は 海 水 を 取 水 源 として 復 水 タンクへ<br />
の 補 給 を 開 始 することで、 対 応 が 可 能 である。<br />
燃 料 として、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 の 7 日 間 の 運 転 継 続 に 必 要 な 重 油 量<br />
の 合 計 は 約 284.5kL であり、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷<br />
式 発 電 機 用 燃 料 タンクに 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
本 重 要 事 故 シ ー ケ ン ス の 最 大 電 源 負 荷 は 約 2,550kW(4 号 炉 は 約<br />
2,560kW)であり、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 の 給 電 容 量 3,200kW を 超 えないため、<br />
対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に 対 して 申 請<br />
者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 代 替 交 流 動 力 電 源 を<br />
用 いた 代 替 炉 心 注 水 等 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
142
重 要 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原<br />
子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP シール LOCA が 発 生 する 事 故 」 及 び RCP シール<br />
LOCA が 発 生 しない「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子<br />
炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、2 次 系 強 制 冷 却 、 代 替 炉 心 注 水 等 を<br />
行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれ<br />
も 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを<br />
考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認<br />
した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機<br />
能 を 喪 失 した 設 備 ( 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 、 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 等 )の 復 旧 を<br />
期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要<br />
な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、2 次 系 強 制 冷 却 や 代 替 炉 心 注 水 等 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子<br />
炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 高 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 への 移 行 や 2 次 系 強<br />
制 冷 却 による 炉 心 冷 却 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 外 部 電 源<br />
喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP<br />
シール LOCA が 発 生 する 事 故 」 及 び RCP シール LOCA が 発 生 しない「 外 部 電 源 喪 失<br />
時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対<br />
して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.3 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本<br />
事 故 シーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 後 、RCP シ<br />
ール LOCA が 発 生 する 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 し<br />
た。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
143
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 がその 機 能 を 喪<br />
失 した 後 、RCP シール LOCA が 発 生 する。RCP シール LOCA により、1 次 冷<br />
却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 するが、 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 による 冷 却 が 必 要 な<br />
ECCS による 炉 心 注 水 ができず、 保 有 水 量 の 減 少 が 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至<br />
る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、2 次 冷 却 系 を 強 制 的 に 減<br />
温 ・ 減 圧 することにより 1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減 圧 するとともに、 原 子 炉 補<br />
機 冷 却 系 統 による 冷 却 が 不 要 な 代 替 ポンプにより 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を<br />
冷 却 する 必 要 がある。<br />
また、 長 期 的 には、 最 終 ヒートシンクへの 継 続 的 な 熱 の 輸 送 手 段 を 確 保<br />
する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、2 次 系 強 制 冷 却 後 に 代 替 炉 心 注 水 を 実 施 する。このため、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 燃<br />
料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 原 子 炉 補 機 冷 却 系 統 による 冷 却 の 代 わりと<br />
して 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるB 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )への 海 水<br />
通 水 後 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 がそれぞ<br />
れ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 高 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。<br />
このため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 ) 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 によるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ<br />
の 海 水 通 水 により 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 する。このため、 移 動 式<br />
大 容 量 ポンプ 車 等 を 新 たに 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備 するとともに、<br />
A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 は、PRA の 手 法 等 を 踏 まえて、 重 要 事 故 シーケンス「 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
機 能 喪 失 時 に RCP シール LOCA が 発 生 する 事 故 」を 選 定 している。この 事 故 シ<br />
ーケンスは、「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
従 属 して 発 生 する 事 故 シーケンスに 含 まれている。このため、 対 策 に 有 効 性 が<br />
144
あることを 確 認 するために 評 価 を 行 う 重 要 事 故 シーケンスは、「 外 部 電 源 喪 失<br />
時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP シ<br />
ール LOCA が 発 生 する 事 故 」としている。これは、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の<br />
重 畳 を 考 慮 した「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」の 重 要 事 故 シーケンスと 同 一 である。<br />
このため、 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価 については、「 全 交 流 動<br />
力 電 源 喪 失 」と 同 一 であるとしている。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 要 員 数 、 水 源 、 燃 料 及 び 電 源 については、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同<br />
一 であり、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」に 対 して<br />
申 請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
系 統 による 冷 却 が 不 要 な 代 替 ポンプを 用 いた 代 替 炉 心 注 水 等 が、 事 象 進 展 の 特 徴<br />
を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 じ 重 要 事 故 シーケンス「 外<br />
部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及<br />
び RCP シール LOCA が 発 生 する 事 故 」を 選 定 していることから、その 解 析 手 法 及<br />
び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価 について、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 一 としてい<br />
ることは 妥 当 と 判 断 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 が「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」と 同 一 としていることは 妥 当 と 判 断 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 外 部 電 源<br />
喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 及 び RCP<br />
シール LOCA が 発 生 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策<br />
が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止<br />
対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
145
Ⅳ-1.2.1.4 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、LOCA の 発 生 後 、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
の 除 熱 機 能 が 喪 失 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 し<br />
た。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 の 喪 失 に<br />
伴 い、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 上 昇 を 抑 制 できないため、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
の 先 行 破 損 に 至 り、その 後 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 の 減 圧 沸 騰 が 生 じる<br />
ことで 炉 心 注 水 が 継 続 できなくなることから、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納 容 器 内 からの<br />
除 熱 を 行 うための 代 替 策 を 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 高 圧 注 入 ポンプ 等 による 炉 心 注 水 を 実 施 する。このため、<br />
高 圧 注 入 ポンプ、 余 熱 除 去 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 継 続 的 に 実 施 する。このため、 窒 素<br />
ボンベ( 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 するとともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット、A、B 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 がそれぞれ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 高 圧 再 循 環 運 転 に<br />
よる 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 高 圧 注 入 ポンプ、 格 納 容 器 再 循 環 サ<br />
ンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能<br />
及 び 低 圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、 対 策 に 必<br />
146
要 な 設 備 容 量 の 観 点 では、1 次 冷 却 材 の 流 出 流 量 が 多 いため 大 きな 容<br />
量 を 必 要 とすること、また、 対 策 の 実 施 に 対 する 余 裕 時 間 の 観 点 では、<br />
事 象 初 期 から 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 及 び<br />
低 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 ができないため 余 裕 時 間 が 短 いことなど、<br />
より 厳 しい 事 故 シーケンスであることから 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 構 造 材 と 水 蒸 気 との 間 の 熱 伝 達 、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 構 造 材 内 部 の 熱 伝 導 、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに<br />
よる 自 然 対 流 冷 却 モデル 等 を 取 り 扱 うことができる MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 大 破 断 LOCA における 破 断 口 径 は 約 0.7m(27.5 インチ)<br />
の 完 全 両 端 破 断 とする。これは、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 評 価 の<br />
観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
破 断 位 置 は、 低 温 側 配 管 ( 原 子 炉 容 器 と ECCS の 注 水 配 管 の 間 )と<br />
する。これは、 蒸 気 発 生 器 2 次 側 保 有 水 の 保 有 する 熱 量 が 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 に 放 出 されることなどにより、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 評<br />
価 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 外 部 電 源 はあるものとする。これは、ECCS の 作 動 が 早 くな<br />
り、 再 循 環 切 替 時 期 が 早 くなることで、より 高 温 の 格 納 容 器 再 循 環 サ<br />
ンプ 水 で 再 循 環 することになり、 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 放 出 されるエネ<br />
ルギーが 大 きくなることから、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 評 価 の 観<br />
点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 : 炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 余 熱 除 去 ポンプそ<br />
れぞれ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を 用 いる。 最 大 注 入 特 性 とした 場 合 、<br />
破 断 口 からの 1 次 冷 却 材 の 放 出 量 が 増 加 することで、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 に 放 出 されるエネルギーが 大 きくなることから、 原 子 炉 格 納 容 器 圧<br />
力 及 び 温 度 評 価 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは 2 基 使 用 し、 除 熱 特 性 については<br />
1 基 当 たり、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 100~168℃に 対 して、 除 熱 量 は 約<br />
4.1~ 約 11.2MW を 用 いる。<br />
e. 操 作 条 件 : 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 時 間 は、 現 場 での 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンクの 加 圧 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 の 最 高 使 用 圧 力 到 達 から 30 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 大 破 断 LOCA の 発 生 後 、 一 時 的 に 炉 心 が 露 出 するものの ECCS による<br />
炉 心 注 水 により 再 冠 水 し、その 後 は 高 圧 再 循 環 により 炉 心 の 冠 水 状 態<br />
147
が 維 持 される。これらの 期 間 を 通 じて 燃 料 被 覆 管 温 度 が 最 も 上 昇 する<br />
のは、 事 象 初 期 であるため、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 )の 解<br />
析 結 果 を 参 照 する。その 結 果 、PCT は 約 1,006℃であり、1,200℃を 超<br />
えることはない。 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は 約 1%であり、15% 以 下 である。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいすることで 原 子 炉 格 納 容 器<br />
圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器<br />
内 自 然 対 流 冷 却 を 行 うことにより、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約<br />
0.408MPa[gage]に、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 温 度 は 約 140℃に 抑 えられ<br />
る。<br />
c. 高 圧 再 循 環 運 転 による 炉 心 冷 却 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 によ<br />
る 原 子 炉 格 納 容 器 内 からの 除 熱 により、 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行<br />
させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP では、LOCA について 解 析 した 場 合 、 試 験 データと 比 較 して 原<br />
子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 数 十 kPa 程 度 、 温 度 を 十 数 ℃ 程 度 高 く 評 価 する 傾<br />
向 があり、 事 象 進 展 の 観 点 では 保 守 的 ( 厳 しめ)な 結 果 を 与 えること<br />
が 示 されている。 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 解 析 結 果 より<br />
も 低 くなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
本 重 要 事 故 シーケンスにおいては、 起 因 事 象 として 破 断 口 径 が 最 も<br />
大 きい 低 温 側 配 管 の 完 全 両 端 破 断 が 発 生 するものとしているため、 解<br />
析 条 件 として 破 断 口 径 を 変 動 させたとしても、 破 断 口 からの 1 次 冷 却<br />
材 の 流 出 流 量 は 少 なくなり、 原 子 炉 格 納 容 器 へ 放 出 されるエネルギー<br />
が 減 少 するため、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 の 上 昇 が 抑 制 されるこ<br />
とから、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
また、 解 析 では 粗 フィルタがある 場 合 の 標 準 値 を 格 納 容 器 再 循 環 ユ<br />
ニットの 除 熱 特 性 としているため、 除 熱 特 性 が 低 い 4 号 炉 の 格 納 容 器<br />
再 循 環 ユニットについて、 粗 フィルタを 撤 去 した 場 合 の 除 熱 特 性 で 感<br />
度 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 僅 かに 大 きく<br />
148
なる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 操 作 の 実 施 前 の 準 備 作 業 は、 事 象 発 生 後<br />
10 分 後 から 60 分 間 で 終 了 し、 実 施 は 解 析 上 事 象 発 生 後 約 8.9 時 間 時<br />
点 としている。 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 実 施 時 に、 現 場 操 作 を 担 当<br />
している 運 転 員 等 は、その 操 作 前 に 他 の 操 作 を 実 施 していない。また、<br />
上 記 のとおり、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 準 備 完 了 から 実 施 まで、 十<br />
分 な 余 裕 がある。<br />
このため、 当 該 操 作 が 必 要 なタイミングに 変 動 があったとしても、<br />
この 変 動 に 対 応 が 可 能 であることから、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はな<br />
い。<br />
なお、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 操 作 が 確 実 に 実 施 できることを 確 認<br />
するため、 操 作 時 間 にどれだけの 余 裕 があるか 確 認 したところ、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 率 の 推 移 により、 操 作 条 件 の 設 定 時 間 よりもさ<br />
らに 12 時 間 程 度 の 余 裕 があることを 確 認 した。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 32 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 電 源 とし<br />
て、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な<br />
電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいた<br />
め、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」に<br />
対 して 申 請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
等 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
149
重 要 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 及 び 低 圧 再<br />
循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 等 を 行 った 場 合 に 対<br />
する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、<br />
さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析<br />
結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請<br />
者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備<br />
( 格 納 容 器 スプレイポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当<br />
たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 等 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を 安<br />
定 停 止 状 態 へ 導 くために、 高 圧 再 循 環 運 転 による 炉 心 冷 却 や 格 納 容 器 内 自 然 対 流<br />
冷 却 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 大 破 断<br />
LOCA 時 に 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 及 び 低 圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」にお<br />
けるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 し<br />
て 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損<br />
傷 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.5 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故<br />
シーケンスグループ」という。)では、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 ( 主 給 水 流 量 喪 失<br />
及 び 負 荷 の 喪 失 )の 発 生 後 、 原 子 炉 停 止 機 能 が 喪 失 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防<br />
止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 の 発 生 後 に<br />
原 子 炉 停 止 機 能 が 作 動 せず、 原 子 炉 出 力 を 下 げることができないことから、<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 して、 加 圧 器 安 全 弁 等 からの 1 次 冷 却 材 の<br />
150
漏 えいが 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 原 子 炉 出 力 を 抑 制 し、1<br />
次 冷 却 系 の 過 圧 を 防 止 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 新 たに 多 様 化 自 動 作 動 設 備 (※ 11 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 整 備 する。また、 主 蒸 気 隔 離 弁 、 補 助 給 水 ポンプ、 蒸 気 発 生 器 及 び<br />
復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 原 子 炉 出 力 の 低 下 後 、 緊 急 ほう 酸 注 入 によ<br />
り 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 により、1 次 冷 却<br />
系 を 減 温 ・ 減 圧 する。1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 み、 余 熱 除 去 系 が 使 用<br />
可 能 な 温 度 及 び 圧 力 に 到 達 すれば、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 に 移 行 する。<br />
このため、 充 てんポンプ、ほう 酸 ポンプ、ほう 酸 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 、<br />
余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け<br />
る。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能<br />
が 喪 失 する 事 故 」 及 び「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」を 選 定 する。<br />
「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」は、<br />
多 様 化 自 動 作 動 設 備 により 多 くの 機 能 ( 主 蒸 気 ラインの 隔 離 及 び 補<br />
助 給 水 ポンプの 起 動 )を 期 待 することから 選 定 する。<br />
「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」は、1 次<br />
冷 却 系 圧 力 の 評 価 の 観 点 では 厳 しくなる 可 能 性 があることから 選<br />
定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 減 速 材 温 度 フィードバック 効 果 及 びド<br />
ップラフィードバック 効 果 、 加 圧 器 における 気 液 熱 非 平 衡 、 水 位 変<br />
化 及 び 冷 却 材 の 放 出 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝<br />
達 等 を 取 り 扱 うことができ、かつ 炉 心 の 冷 却 状 態 及 び 出 力 分 布 変 化<br />
(※ 11 ) 多 様 化 自 動 作 動 設 備 とは、 原 子 炉 の 緊 急 停 止 失 敗 時 に、この 設 備 から 作 動 信 号 を 自 動 発 信 することで、タ<br />
ービントリップ、 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 及 び 補 助 給 水 ポンプの 起 動 を 自 動 で 行 う 設 備 である。この 設 備 により 主<br />
蒸 気 ラインの 隔 離 等 を 行 うことで、1 次 冷 却 系 の 温 度 上 昇 による 負 のフィードバック 効 果 により 原 子 炉 出 力 が<br />
抑 制 される。さらに、この 設 備 により 補 助 給 水 ポンプが 自 動 起 動 されることで、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低 下 を 抑 制<br />
し、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 を 防 止 することで、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 維 持<br />
する。<br />
151
を 同 時 に 解 析 可 能 な SPARKLE-2 を 用 いる。<br />
c. 初 期 条 件 : 炉 心 熱 出 力 、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 は、 定 格 値 を 用<br />
いる。<br />
減 速 材 温 度 係 数 は、 炉 心 サイクル 寿 命 中 の 変 化 、 炉 心 構 成 のばら<br />
つき 等 のプラント 特 性 並 びに 解 析 コードの 不 確 かさ 等 を 考 慮 し、 負<br />
のフィードバック 効 果 が 小 さくなるように、-16pcm/℃を 用 いる。<br />
ドップラ 係 数 は、ウラン 燃 料 を 装 荷 した 平 衡 炉 心 の 特 性 を 設 定 し<br />
た 標 準 値 を 用 いる。<br />
d. 事 故 条 件 : 外 部 電 源 はあるものとする。これは、RCP が 停 止 せず<br />
1 次 冷 却 系 の 冷 却 が 継 続 することで、 負 のフィードバック 効 果 が 小<br />
さくなるため、1 次 冷 却 系 圧 力 の 評 価 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 とな<br />
る。<br />
e. 機 器 条 件 : 多 様 化 自 動 作 動 設 備 からの 作 動 信 号 ( 主 蒸 気 ラインの<br />
隔 離 等 が 自 動 で 行 われるための 信 号 )は、 蒸 気 発 生 器 狭 域 水 位 計 指<br />
示 値 7% 到 達 で 発 信 されるものとする。これは、 作 動 設 定 点 の 設 定<br />
範 囲 の 中 の 下 限 値 となるため、1 次 冷 却 系 圧 力 の 評 価 の 観 点 では、<br />
厳 しい 設 定 である。<br />
f. 操 作 条 件 : 多 様 化 自 動 作 動 設 備 により、 自 動 的 に 主 蒸 気 ラインの<br />
隔 離 等 を 行 うため、 解 析 上 の 運 転 員 操 作 はない。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」の 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 主 給 水 流 量 喪 失 の 発 生 後 、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低 下 に 伴 い、 多 様 化<br />
自 動 作 動 設 備 からの 作 動 信 号 による 主 蒸 気 ラインの 隔 離 により、1<br />
次 冷 却 材 温 度 が 上 昇 し、 負 のフィードバック 効 果 により 原 子 炉 出 力<br />
は 低 下 する。また、1 次 冷 却 材 温 度 の 上 昇 に 伴 い、1 次 冷 却 系 圧 力<br />
が 上 昇 するが、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 により 1 次<br />
冷 却 系 圧 力 の 上 昇 は 抑 制 される。 以 上 により、PCT は 約 360℃に、1<br />
次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 18.6MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 により、1 次 冷 却 材 が 加<br />
圧 器 逃 がしタンクから 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいするが、その 量 は<br />
わずかである。また、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 した 場 合<br />
には、 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
c. 緊 急 ほう 酸 注 入 により 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁<br />
の 開 操 作 等 により、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系<br />
152
による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることが<br />
できる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
申 請 者 が 行 った「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」<br />
の 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
d. 負 荷 の 喪 失 の 発 生 後 、1 次 冷 却 材 温 度 及 び 圧 力 が 上 昇 するが、1<br />
次 冷 却 材 温 度 の 上 昇 による 負 のフィードバック 効 果 により 原 子 炉<br />
出 力 は 低 下 する。その 後 、 蒸 気 発 生 器 水 位 の 低 下 に 伴 う 除 熱 能 力 の<br />
低 下 により、 再 び 1 次 冷 却 材 温 度 は 上 昇 し、 負 のフィードバック 効<br />
果 により 原 子 炉 出 力 はさらに 低 下 する。また、1 次 冷 却 材 温 度 の 上<br />
昇 に 伴 い、1 次 冷 却 系 圧 力 が 上 昇 するが、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧<br />
器 安 全 弁 の 作 動 により 1 次 冷 却 系 圧 力 の 上 昇 は 抑 制 される。 以 上 に<br />
より、PCT は 約 360℃に、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 18.9MPa[gage]<br />
に 抑 えられる。<br />
e. 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 により、1 次 冷 却 材 が 加<br />
圧 器 逃 がしタンクから 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいするが、その 量 は<br />
わずかである。また、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 した 場 合<br />
には、 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
f. 緊 急 ほう 酸 注 入 により 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁<br />
の 開 操 作 等 により、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系<br />
による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることが<br />
できる。<br />
上 記 d. 及 び e. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
SPARKLE-2 では、ATWS 時 のドップラフィードバック 効 果 を 解 析 す<br />
る 際 に、 核 データライブラリ ENDF/B-Ⅶ.0 を 用 いて 計 算 したドップ<br />
ラ 係 数 を 使 用 している。ドップラ 係 数 に 関 する 計 算 ベンチマークの<br />
解 析 結 果 によれば、ENDF/B-Ⅶ.0 を 含 む 代 表 的 な 核 データライブラ<br />
リを 用 いて 国 内 外 の 解 析 コードで 計 算 したドップラ 係 数 の 標 準 偏<br />
差 は 10% 程 度 と 報 告 されており、この 誤 差 が ATWS の 解 析 結 果 に 影<br />
153
響 を 与 える 可 能 性 がある。<br />
また、ATWS について 解 析 した 場 合 、 加 圧 器 及 び 蒸 気 発 生 器 の 挙<br />
動 モデルにおいて、 試 験 データと 比 較 して、1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百<br />
kPa 程 度 、 温 度 を 数 ℃ 程 度 低 く 評 価 する 傾 向 があり、 解 析 結 果 に 影<br />
響 を 与 える 可 能 性 がある。<br />
これらの 影 響 については、 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 との 重 畳 も<br />
考 慮 し、「c. 感 度 解 析 による 影 響 評 価 」に 記 載 する。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
炉 心 熱 出 力 、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 については 定 格 値 を 用 いて<br />
おり、その 不 確 かさとして、 正 側 の 定 常 誤 差 ( 炉 心 熱 出 力 :+2%、<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 :+0.21MPa、1 次 冷 却 材 温 度 :+2.2℃)により、<br />
実 際 には 定 格 値 よりも 大 きくなる 可 能 性 があるとしている。これら<br />
の 影 響 については、 解 析 コードの 不 確 かさの 影 響 との 重 畳 も 考 慮 し、<br />
「c. 感 度 解 析 による 影 響 評 価 」に 記 載 する。<br />
c. 感 度 解 析 による 影 響 評 価<br />
解 析 コードの 不 確 かさとしてドップラフィードバック 効 果 、 解 析<br />
条 件 の 不 確 かさとして 炉 心 熱 出 力 、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 の 正 側<br />
の 定 常 誤 差 があり、これらの 全 てが 厳 しい 方 向 に 重 畳 する 可 能 性 も<br />
あることから、この 重 畳 を 考 慮 した 感 度 解 析 を 実 施 した。なお、ド<br />
ップラフィードバック 効 果 については、 感 度 解 析 において、ドップ<br />
ラ 係 数 の 標 準 値 に 対 して 20% 増 加 させる。<br />
結 果 として、「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 す<br />
る 事 故 」では、1 次 冷 却 系 圧 力 の 最 高 値 は 約 19.4MPa[gage]、「 負<br />
荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」では、1 次 冷 却<br />
系 圧 力 の 最 高 値 は 約 19.6MPa[gage]となる。<br />
さらに、 解 析 コードにおける 加 圧 器 及 び 蒸 気 発 生 器 の 挙 動 モデル<br />
に 起 因 する 不 確 かさとして、1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 、 温 度<br />
を 数 ℃ 程 度 低 く 評 価 する 傾 向 があることを 考 慮 しても、 原 子 炉 冷 却<br />
材 圧 力 バウンダリの 最 高 使 用 圧 力 の 1.2 倍 (20.59MPa[gage])を 下<br />
回 る。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 等 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わ<br />
せて 14 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
154
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。<br />
なお、 電 源 として、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給<br />
量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」に 対 して、 申<br />
請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 自 動 作 動 に<br />
よる 負 のフィードバック 効 果 によって 原 子 炉 出 力 を 抑 制 する 対 策 が、 事 象 進 展 の<br />
特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流 量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」<br />
及 び「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において 多 様 化 自 動<br />
作 動 設 備 の 機 能 に 期 待 した 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析<br />
条 件 の 不 確 かさを 考 慮 し、それらを 重 畳 させた 場 合 でも、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を<br />
概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 で<br />
は、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 制 御 棒 駆 動 設 備 、<br />
主 給 水 ポンプ 等 )の 復 旧 や 手 動 による 原 子 炉 トリップ 操 作 等 を 期 待 していないが、<br />
実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 等 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止<br />
対 策 となり 得 る。<br />
また、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 機 能 による 原 子 炉 出 力 の 抑 制 により 炉 心 の 損 傷 を<br />
回 避 した 後 、 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 とし、 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 緊 急 ほう 酸<br />
濃 縮 や 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認<br />
した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 等 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者 の<br />
計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 主 給 水 流<br />
量 喪 失 時 に 原 子 炉 トリップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」 及 び「 負 荷 の 喪 失 時 に 原 子 炉 ト<br />
リップ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が<br />
本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
155
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が、 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のと<br />
おりである。<br />
(1) 減 速 材 温 度 係 数 の 設 定 の 考 え 方<br />
本 重 要 事 故 シーケンスでは、 原 子 炉 停 止 機 能 が 喪 失 していることから、 負 の<br />
フィードバック 効 果 により 原 子 炉 出 力 を 抑 制 することが 主 要 な 対 策 である。<br />
規 制 委 員 会 は、この 抑 制 の 程 度 を 支 配 するのが 減 速 材 温 度 係 数 であることか<br />
ら、 同 係 数 の 設 定 の 考 え 方 を 明 確 に 示 すよう 求 めた。 申 請 者 は、 炉 心 サイクル<br />
寿 命 中 の 変 化 及 び 炉 心 構 成 のばらつき 等 の 実 機 のプラント 特 性 から 算 出 した<br />
値 に 解 析 コードの 不 確 かさを 考 慮 して、-16pcm/℃に 設 定 していることを 示 し<br />
た。<br />
規 制 委 員 会 は、 減 速 材 温 度 係 数 の 設 定 に 当 たっては、 負 のフィードバック 効<br />
果 反 応 度 が 小 さく 1 次 冷 却 系 圧 力 の 評 価 が 厳 しくなるように、 実 際 の 取 替 炉 心<br />
における 減 速 材 温 度 係 数 よりも 正 側 となる 保 守 的 な 値 を 用 いていることから、<br />
妥 当 であることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注 水 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故 シ<br />
ーケンスグループ」という。)では、 中 小 破 断 LOCA の 発 生 後 、ECCS 注 水 機 能 が 喪<br />
失 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 中 小 破 断 LOCA の 発 生 後 、ECCS 注 水<br />
機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 減 少 が 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、2 次 冷 却 系 を 強 制 的 に 減<br />
温 ・ 減 圧 することにより 1 次 冷 却 系 を 減 温 ・ 減 圧 するとともに、 炉 心 注 水<br />
156
を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
さらに、2 次 系 強 制 冷 却 により 1 次 冷 却 系 圧 力 が 十 分 低 下 すれば、 低 圧<br />
注 入 による 炉 心 冷 却 を 実 施 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 及 び 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 がそれぞれ 再 循 環 切 替 条 件 に 到 達 すれば、 低 圧 再 循 環 による<br />
炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 中 破 断 LOCA 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」を 選 定 する。これは、 対 策 に 必 要 な 設 備 容 量 及 び 対 策 の 実 施 に 対<br />
する 余 裕 時 間 の 観 点 では、 冷 却 材 の 流 出 流 量 が 多 いことから、より 厳<br />
しい 事 故 シーケンスとして 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 からの 冷 却 材 の 放 出 及 び 沸 騰 やボイド 率<br />
の 変 化 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 等 を 取 り 扱 う<br />
ことができる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 破 断 口 径 は、 約 15cm(6 インチ)、 約 10cm(4 インチ)、<br />
約 5cm(2 インチ)とする。これは、 高 圧 注 入 系 が 機 能 喪 失 した 場 合 、<br />
低 圧 注 入 を 行 うために 1 次 冷 却 系 の 減 圧 が 必 要 な 破 断 口 径 の 範 囲 と<br />
して、 不 確 かさも 考 慮 した 設 定 である。<br />
破 断 位 置 は、 低 温 側 配 管 ( 原 子 炉 容 器 と ECCS の 注 水 配 管 の 間 )と<br />
する。この 場 合 、 破 断 ループに 接 続 された ECCS の 注 水 効 果 に 期 待 で<br />
きないことなどにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 常 用 系 機 器 の 機 能 喪 失<br />
及 び 工 学 的 安 全 施 設 の 作 動 遅 れにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 では、 厳 し<br />
い 設 定 となる。<br />
157
d. 機 器 条 件 : 蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 は、 最 低 保 有 水 量 26.9m 3 / 基 を 用<br />
いる。<br />
また、 低 圧 注 入 における 炉 心 注 水 流 量 は、 余 熱 除 去 ポンプ 2 台 使 用<br />
時 の 最 小 注 入 特 性 を 用 いる。<br />
e. 操 作 条 件 :2 次 系 強 制 冷 却 操 作 の 開 始 時 間 は、ECCS 作 動 信 号 の 発 信<br />
から 10 分 後 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 に 1 分 を 要 するとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. ECCS 注 水 機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 し、6 イン<br />
チ 破 断 及 び 4 インチ 破 断 の 場 合 は、 炉 心 が 露 出 するが、2 次 系 強 制 冷<br />
却 、 蓄 圧 注 入 及 び 低 圧 注 入 により、PCT は 以 下 のとおりとなる。<br />
ア. 6 インチ 破 断 : 約 581℃<br />
イ. 4 インチ 破 断 : 約 891℃<br />
ウ. 2 インチ 破 断 : 約 390℃<br />
4 インチ 破 断 の 場 合 でも、 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は 約 1.7%にとどまる。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は、いずれの 場 合 も 約 16.3MPa[gage]<br />
に 抑 えられる。<br />
b. 中 破 断 LOCA により、1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいする<br />
ことで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
なお、 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 の 性 能 は、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子<br />
炉 冷 却 材 喪 失 事 故 )において、 大 破 断 LOCA を 想 定 した 解 析 で 評 価 し<br />
ており、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約 0.320MPa[gage]に、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 の 最 高 温 度 は 約 133℃に 抑 えられる。<br />
c. 低 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 さ<br />
せることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 を 用 いて 1 次 冷 却 系 の 挙 動 について 解 析 した 場 合 、 試 験<br />
データと 比 較 して 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 時 に、<br />
158
1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 高 く 評 価 する 傾 向 がある。このため、<br />
解 析 結 果 よりも 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 早 くなることで、 実 際 の 漏<br />
えい 流 量 は 少 なくなり 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 について、 全 量 が 炉 心 へ 注 水 される 前 に 蓄 圧<br />
タンク 出 口 弁 を 閉 止 する 場 合 には、 解 析 条 件 として 最 低 保 有 水 量 に 設<br />
定 することが 保 守 的 な 設 定 とならない 場 合 がある。これは、 蓄 圧 タン<br />
ク 内 の 圧 力 変 化 と 気 相 部 体 積 の 膨 張 量 の 関 係 から、 蓄 圧 タンク 内 の 初<br />
期 の 保 有 水 量 が 少 なく 気 相 部 の 初 期 の 体 積 が 大 きい 方 が、 気 相 部 圧 力<br />
が 持 続 しやすく、 蓄 圧 タンク 出 口 弁 を 閉 止 するまでの 炉 心 への 注 水 量<br />
が 多 くなるためである。 解 析 条 件 では、 蓄 圧 タンクの 保 有 水 量 を 最 低<br />
保 有 水 量 に 設 定 していることから、 上 記 の 影 響 を 確 認 するため、 解 析<br />
結 果 において 炉 心 が 露 出 した 6 インチ 破 断 及 び 4 インチ 破 断 において、<br />
蓄 圧 タンクの 初 期 の 保 有 水 量 に 最 高 保 有 水 量 を 与 えた 場 合 の 感 度 解<br />
析 を 実 施 した。 結 果 としては、いずれの 場 合 も 蓄 圧 タンクからの 注 水<br />
流 量 が 少 なくなり、6 インチ 破 断 の 場 合 の PCT は 約 746℃、4 インチ<br />
破 断 の 場 合 の PCT は 約 928℃となる。この 結 果 より、PCT が 1,200℃<br />
以 下 であるという 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりはない。<br />
破 断 口 径 の 変 動 を 考 慮 した 場 合 、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 流 量 が 変 動 す<br />
ることで、 解 析 結 果 に 影 響 を 与 える 可 能 性 がある。このため、4 イン<br />
チから 2 インチ 及 び 4 インチから 6 インチの 間 の 破 断 口 径 の 場 合 につ<br />
いて、 事 象 初 期 の 破 断 流 量 、 蓄 圧 注 入 及 び 低 圧 注 入 開 始 時 期 等 の 観 点<br />
から 検 討 した。 結 果 として、いずれの 場 合 も PCT が 低 下 する 傾 向 とな<br />
る。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
2 次 系 強 制 冷 却 操 作 が 必 要 なタイミングが 変 動 する 可 能 性 があるが、<br />
この 操 作 は 中 央 制 御 室 で 専 任 の 運 転 員 が 担 当 することから、 必 要 なタ<br />
イミングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対<br />
策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
なお、 操 作 条 件 の 設 定 時 間 には、 解 析 により 3 分 程 度 の 余 裕 がある<br />
ことを 確 認 した。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
159
4 号 炉 合 わせて 30 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発<br />
電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 は<br />
620kL であり 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な<br />
電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいた<br />
め、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請<br />
者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 低 圧 注 入 等 が、 事 象<br />
進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 中 破 断 LOCA 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におい<br />
て 2 次 系 強 制 冷 却 、 低 圧 注 入 等 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心<br />
損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析<br />
コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 す<br />
ることに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳<br />
しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 高 圧 注 入 ポンプ 等 )の 復 旧<br />
を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重<br />
要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、2 次 系 強 制 冷 却 、 低 圧 注 入 等 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を<br />
安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 低 圧 再 循 環 による 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策 が 整 備 さ<br />
れていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 中 破 断<br />
LOCA 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことに<br />
より、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策<br />
は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
160
Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再 循 環 機 能 喪 失<br />
事 故 シーケンスグループ「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」( 以 下 この 節 において「 本 事 故<br />
シーケンスグループ」という。)では、LOCA の 発 生 後 、ECCS 再 循 環 機 能 が 喪 失 した<br />
場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 :LOCA の 発 生 後 、ECCS 再 循 環 機 能 の<br />
喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 減 少 が 継 続 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、ECCS 再 循 環 機 能 の 代 替<br />
策 により 継 続 して 炉 心 注 水 を 行 い、 炉 心 を 冷 却 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 余 熱 除 去 系 と 格 納 容 器 スプレイ 系 間 のタイラインを 使 用 す<br />
るB 格 納 容 器 スプレイポンプ( 以 下 「B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS<br />
タイライン 使 用 )」という。)を 用 いた 代 替 再 循 環 運 転 により、 炉 心 冷 却 を<br />
実 施 する。このため、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン<br />
使 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、B 格 納 容 器<br />
スプレイ 冷 却 器 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位<br />
置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 : 代 替 再 循 環 運 転 を 継 続 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 再 循 環 機 能 及 び 高 圧 再<br />
循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、 対 策 に 必 要 な 設 備 容<br />
量 及 び 対 策 の 実 施 に 対 する 余 裕 時 間 の 観 点 では、1 次 冷 却 材 の 流 出 流<br />
量 が 多 いことから、より 厳 しい 事 故 シーケンスとして 選 定 する。<br />
本 事 故 シーケンスグループのうち、 中 小 破 断 LOCA 等 の 発 生 時 に 高<br />
圧 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 シーケンスでは、 破 断 口 径 が 小 さいこと<br />
から、 大 破 断 LOCA が 発 生 する 場 合 と 比 べて 1 次 冷 却 系 圧 力 の 低 下 が<br />
緩 やかなため、2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 が 必 要 である。<br />
このため、 本 重 要 事 故 シーケンスと 対 策 が 異 なるが、この 対 策 は「ECCS<br />
161
注 水 機 能 喪 失 」における 対 策 と 同 一 であり、そこでこの 対 策 の 有 効 性<br />
を 確 認 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における 気 液 分 離 や 対 向 流 などを 取 り 扱<br />
うことができる MAAP を 用 いる。<br />
なお、MAAP については、 大 破 断 LOCA 時 の 事 象 初 期 の 原 子 炉 容 器 内<br />
水 位 、 燃 料 被 覆 管 温 度 並 びに 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 に 対 する 適<br />
用 性 が 低 い。このため、これらの 事 象 初 期 の 結 果 については、 設 計 基<br />
準 事 故 ( 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 )における 大 破 断 LOCA を 想 定 した 解<br />
析 結 果 を 参 照 する。<br />
c. 事 故 条 件 : 破 断 口 径 は、1 次 冷 却 系 配 管 の 完 全 両 端 破 断 とする。 破<br />
断 位 置 は、 低 温 側 配 管 ( 原 子 炉 容 器 と ECCS の 注 水 配 管 の 間 )とする。<br />
これは、 破 断 ループに 接 続 された ECCS の 注 水 効 果 に 期 待 できないこ<br />
となどにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
また、 外 部 電 源 はあるものとする。これは、ECCS の 作 動 が 早 くな<br />
ることで、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 時 期 が 早 くなるため、その 時 点 での<br />
炉 心 崩 壊 熱 が 高 くなることで、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 による 炉 心 水 位<br />
の 低 下 が 速 くなり、 炉 心 の 露 出 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 :ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 前 の 炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポ<br />
ンプ 及 び 余 熱 除 去 ポンプそれぞれ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を 用 いる。<br />
最 大 注 入 特 性 とする 場 合 、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 の 低 下 が 速 くな<br />
ることで、ECCS 再 循 環 切 替 時 期 が 早 くなるため、その 時 点 での 炉 心 崩<br />
壊 熱 が 高 くなることによって、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 による 炉 心 水 位 の<br />
低 下 が 速 くなり、 炉 心 の 露 出 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
代 替 再 循 環 による 炉 心 注 水 流 量 は、 格 納 容 器 スプレイポンプ 1 台<br />
を 使 用 して 200m 3 /h とする。この 流 量 は、ECCS 再 循 環 切 替 時 点 での 炉<br />
心 崩 壊 熱 に 相 当 する 蒸 発 量 を 上 回 る 値 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 代 替 再 循 環 の 開 始 時 間 は、 現 場 での 代 替 再 循 環 の 系 統 構<br />
成 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 30 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 大 破 断 LOCA により、 事 象 初 期 に、 一 時 的 に 炉 心 が 露 出 するが、ECCS<br />
による 炉 心 注 水 により、 冠 水 状 態 となる。その 後 、ECCS 再 循 環 切 替<br />
失 敗 により 炉 心 水 位 は 低 下 するが、 代 替 再 循 環 による 炉 心 注 水 により<br />
炉 心 水 位 は 回 復 する。これらの 期 間 を 通 じて 燃 料 被 覆 管 温 度 が 最 も 上<br />
162
昇 するのは、 事 象 初 期 であるため、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子 炉 冷 却 材 喪 失<br />
事 故 )の 解 析 結 果 を 参 照 する。PCT は 約 1,006℃であり、1,200℃を 超<br />
えることはない。 燃 料 被 覆 管 の 酸 化 量 は 約 1%であり、15% 以 下 である。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は、 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 大 破 断 LOCA により、1 次 冷 却 材 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいする<br />
ことで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
なお、 原 子 炉 格 納 容 器 スプレイ 設 備 の 性 能 は、 設 計 基 準 事 故 ( 原 子<br />
炉 冷 却 材 喪 失 事 故 )において 大 破 断 LOCA を 想 定 した 解 析 で 評 価 して<br />
おり、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 は 約 0.320MPa[gage]に、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 最 高 温 度 は 約 133℃に 抑 えられる。<br />
c. 代 替 再 循 環 による 炉 心 冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 さ<br />
せることができる。<br />
上 記 a. 及 び b. より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP を 用 いて LOCA について 解 析 した 場 合 、 炉 心 水 位 挙 動 に 対 する<br />
不 確 かさがある。この 影 響 を 確 認 するため、M-RELAP5 と 炉 心 露 出 開<br />
始 時 間 を 比 較 した。 結 果 として MAAP による 炉 心 露 出 開 始 時 間 は、<br />
M-RELAP5 による 炉 心 露 出 開 始 時 間 と 比 べて 約 15 分 程 度 遅 くなるケー<br />
スがあった。<br />
このため、 不 確 かさの 影 響 の 評 価 として、M-RELAP5 を 用 いて 代 替<br />
再 循 環 切 替 の 開 始 時 間 を ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 後 とした 感 度<br />
解 析 を 実 施 した。 結 果 として、ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 以 降 において 燃<br />
料 被 覆 管 温 度 が 上 昇 することはなく、PCT が 1,200℃ 以 下 であるとい<br />
う 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりはない。 上 記 を 踏 まえると、 本 重<br />
要 事 故 シーケンスの 対 策 である 代 替 再 循 環 切 替 操 作 については、ECCS<br />
再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 後 までに 完 了 する 必 要 があるが、これまで<br />
の 訓 練 実 績 を 踏 まえると ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 13 分 後 までに 完 了<br />
できる。<br />
163
なお、M-RELAP5 を 用 いて LOCA について 解 析 した 場 合 、 炉 心 水 位 挙<br />
動 において、 試 験 データとの 比 較 等 により 炉 心 露 出 予 測 は 保 守 的 な 傾<br />
向 を 示 している。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 の 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 して<br />
いるため、1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 温 度 が 高 めに 解 析 されている。 炉 心 の<br />
崩 壊 熱 として 最 確 値 を 与 えた 場 合 には、1 次 冷 却 系 圧 力 が 低 くなるこ<br />
とで ECCS による 炉 心 注 水 流 量 が 多 くなり、 再 循 環 切 替 水 位 に 到 達 す<br />
る 時 間 が 早 くなる。しかし、 代 替 再 循 環 切 替 操 作 時 間 の 余 裕 を 踏 まえ<br />
ると 解 析 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、 代 替 再 循 環 切 替 操 作 が 必 要 なタイミングが 早 くなる<br />
など、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 があるが、 現 場 での 代 替 再 循<br />
環 ライン 系 統 構 成 は 専 任 の 運 転 員 が 担 当 することから、 必 要 なタイミ<br />
ングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 であり、 対 策 の<br />
実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 電 源 とし<br />
て、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な<br />
電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいた<br />
め、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」に 対 して 申<br />
請 者 が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 代 替 再 循 環 等 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を<br />
捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
164
重 要 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 再 循 環 機 能 及 び 高 圧 再 循 環 機 能 が<br />
喪 失 する 事 故 」において 代 替 再 循 環 等 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、<br />
炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した<br />
解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 代 替 再 循 環 切 替 について、<br />
ECCS 再 循 環 切 替 失 敗 から 15 分 後 までに 完 了 できることを 踏 まえれば、 解 析 結 果<br />
が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が<br />
行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 余<br />
熱 除 去 ポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれ<br />
らの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 代 替 再 循 環 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導<br />
くために、 代 替 再 循 環 による 炉 心 冷 却 を 継 続 することを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
本 事 故 シーケンスグループのうち、 中 小 破 断 LOCA 等 の 発 生 時 に 高 圧 再 循 環 機<br />
能 が 喪 失 する 事 故 シーケンスでは、 本 重 要 事 故 シーケンスと 対 策 が 異 なるが、こ<br />
の 対 策 は「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」における 対 策 と 同 一 であり、そこで 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 したことと 併 せれば、「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重<br />
要 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 再 循 環 機 能 及 び 高 圧 再 循 環 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」における 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグル<br />
ープに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対<br />
策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.1.8 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA、<br />
蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 )<br />
事 故 シーケンスグループ「 格 納 容 器 バイパス」( 以 下 この 節 において「 本 事 故 シ<br />
ーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 構 成 する 機 器<br />
の 破 損 等 の 発 生 後 、 破 損 箇 所 の 隔 離 に 失 敗 した 場 合 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に<br />
有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
165
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 の<br />
喪 失 に 伴 い、1 次 冷 却 材 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 外 への 漏 えいが 継 続 すること<br />
で、 保 有 水 量 が 減 少 し、 炉 心 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 炉 心 損 傷 を 防 止 するためには、 炉 心 注 水 を 継 続 するとと<br />
もに、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 を 行 うことで、 原 子 炉 格 納 容 器 内 外 への 漏<br />
えいを 抑 制 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 2 次 系 強 制 冷 却 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 と<br />
高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 により 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 を 実 施 する。<br />
このため、 高 圧 注 入 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 補 助 給 水 ポンプ、 蒸 気<br />
発 生 器 、 復 水 タンク、 主 蒸 気 逃 がし 弁 、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 停 止 状 態 に 向 けた 対 策 :<br />
a. インターフェイスシステム LOCA の 場 合 は、 健 全 側 余 熱 除 去 系 によ<br />
る 炉 心 冷 却 2 次 系 強 制 冷 却 を 実 施 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、<br />
余 熱 除 去 冷 却 器 補 助 給 水 ポンプ、 蒸 気 発 生 器 、 復 水 タンク、 主 蒸 気 逃<br />
がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 の 場 合 は、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 み、<br />
余 熱 除 去 系 が 使 用 可 能 な 温 度 及 び 圧 力 に 到 達 すれば、 余 熱 除 去 系 によ<br />
る 炉 心 冷 却 に 移 行 する。このため、 余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「インターフェイスシステム LOCA」 及 び「 蒸<br />
気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」を<br />
選 定 する。これは、 格 納 容 器 バイパス 時 の 漏 えい 経 路 の 違 いを 考 慮 し<br />
て 両 方 の 事 故 シーケンスを 選 定 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 1 次 冷 却 材 の 沸 騰 やボイド 率 の 変 化 、 気<br />
液 分 離 や 対 向 流 、1 次 冷 却 系 からの 冷 却 材 の 放 出 、 加 圧 器 からの 冷 却<br />
材 の 放 出 、 蒸 気 発 生 器 における 1 次 側 と 2 次 側 との 熱 伝 達 等 を 取 り 扱<br />
うことができる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
166
c. 事 故 条 件 :<br />
ア.インターフェイスシステム LOCA<br />
1 次 冷 却 材 の 漏 えい 箇 所 は、 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去<br />
系 機 器 等 とする。<br />
漏 えい 箇 所 は、 余 熱 除 去 系 統 の 圧 力 挙 動 の 評 価 により、 余 熱 除<br />
去 系 機 器 等 に 1 次 冷 却 系 の 圧 力 を 上 回 る 荷 重 がかからないこと、<br />
及 び 余 熱 除 去 系 統 配 管 が 破 断 に 至 らないことを 確 認 した 上 で、 設<br />
定 している。<br />
また、 破 断 口 径 は、 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 については 実 機 の 口 径<br />
に 基 づき、 余 熱 除 去 系 機 器 等 については 実 機 における 破 断 面 積 に<br />
係 る 評 価 値 に 余 裕 を 考 慮 した 値 を 設 定 している。<br />
具 体 的 には、 原 子 炉 格 納 容 器 外 の 余 熱 除 去 冷 却 器 出 口 逃 がし 弁<br />
では 等 価 直 径 約 2.5cm( 約 1 インチ) 相 当 、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の<br />
余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃 がし 弁 では 等 価 直 径 約 10cm( 約 4 インチ)<br />
相 当 とする。 余 熱 除 去 系 機 器 等 では、 等 価 直 径 約 2.8cm( 約 1.12<br />
インチ) 相 当 とする。<br />
また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 常 用 系 機 器 の 機 能<br />
喪 失 及 び 工 学 的 安 全 施 設 の 作 動 遅 れにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 で<br />
は、 厳 しい 設 定 となる。<br />
イ. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する<br />
事 故<br />
破 断 位 置 及 び 破 断 口 径 は、1 基 の 蒸 気 発 生 器 の 伝 熱 管 1 本 が 瞬<br />
時 に 両 端 破 断 するものとする。<br />
破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 失 敗 の 想 定 は、 原 子 炉 の 自 動 停 止 後 に<br />
主 蒸 気 逃 がし 弁 が 作 動 した 時 点 で、 破 損 側 蒸 気 発 生 器 につながる<br />
主 蒸 気 安 全 弁 1 個 が 開 固 着 するものとする。<br />
また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 常 用 系 機 器 の 機 能<br />
喪 失 及 び 工 学 的 安 全 施 設 の 作 動 遅 れにより、 炉 心 の 冷 却 の 観 点 で<br />
は、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 :<br />
ア.インターフェイスシステム LOCA<br />
炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を<br />
用 いる。これは、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 の 観 点 では、1 次 冷 却 系<br />
からの 漏 えい 量 を 増 加 させるため 厳 しい 設 定 である。<br />
2 次 系 強 制 冷 却 に 使 用 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 は 4 個 とする。<br />
167
また、 余 熱 除 去 冷 却 器 出 口 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃<br />
がし 弁 の 吹 止 まり 圧 力 は、 設 計 値 を 用 いる。<br />
イ. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する<br />
事 故<br />
炉 心 注 水 流 量 は、 高 圧 注 入 ポンプ 2 台 使 用 時 の 最 大 注 入 特 性 を<br />
用 いる。これは、1 次 冷 却 材 の 漏 えい 量 の 観 点 では、1 次 冷 却 系<br />
からの 漏 えい 量 を 増 加 させるため 厳 しい 設 定 である。<br />
また、2 次 系 強 制 冷 却 に 使 用 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 は 健 全 側 の 3<br />
個 とする。<br />
e. 操 作 条 件 :<br />
ア.インターフェイスシステム LOCA<br />
2 次 系 強 制 冷 却 の 開 始 時 間 は、 余 熱 除 去 系 統 からの 漏 えいの 判<br />
断 や 余 熱 除 去 系 統 の 隔 離 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 し、ECCS 作<br />
動 信 号 発 信 から 25 分 後 とする。<br />
また、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 を、 高 圧 注 入 から 充 てん<br />
注 入 に 切 替 えるための 操 作 開 始 時 間 は、ECCS 停 止 条 件 (1 次 冷 却<br />
材 のサブクール 度 40℃ 以 上 及 び 加 圧 器 水 位 50% 以 上 で 安 定 又 は<br />
上 昇 中 等 ) 成 立 時 点 からとする。<br />
また、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 閉 操 作 は、 以 下 の 条 件 が 成 立 すれば、<br />
1 個 の 加 圧 器 逃 がし 弁 を 開 閉 するものとする。<br />
ⅰ)ECCS 停 止 条 件 成 立 前 は、1 次 冷 却 材 のサブクール 度 60℃<br />
以 上 で 開 とし、サブクール 度 40℃ 以 下 又 は 加 圧 器 水 位 50%<br />
以 上 で 閉 とする。<br />
ⅱ)ECCS 停 止 条 件 成 立 後 は、1 次 冷 却 材 のサブクール 度 20℃<br />
以 上 で 開 とし、サブクール 度 10℃ 以 下 で 閉 とする。<br />
イ. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する<br />
事 故<br />
破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 操 作 の 開 始 時 間 は、 原 子 炉 トリップ 信<br />
号 発 信 の 10 分 後 からとし、 操 作 完 了 に 2 分 を 要 するものとする。<br />
2 次 系 強 制 冷 却 操 作 の 開 始 時 間 は、 破 損 側 蒸 気 発 生 器 隔 離 操 作<br />
の 完 了 時 点 からとし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 完 了 に 1 分 を 要 す<br />
るものとする。<br />
高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 を、 高 圧 注 入 から 充 てん 注 入 に<br />
切 替 えるための 操 作 開 始 時 間 は、ECCS 停 止 条 件 (1 次 冷 却 材 のサ<br />
ブクール 度 40℃ 以 上 及 び 加 圧 器 水 位 50% 以 上 で 安 定 又 は 上 昇 中<br />
等 ) 成 立 時 点 からとし、 操 作 完 了 に 2 分 を 要 するものとする。<br />
168
また、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 閉 操 作 を 行 う 条 件 は「インターフェ<br />
イスシステム LOCA」と 同 一 である。<br />
2 解 析 結 果<br />
「インターフェイスシステム LOCA」について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の<br />
結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 及 び 余 熱 除 去 系 機 器 等 からの 漏 えいにより、1<br />
次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 するが、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 及<br />
び 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 を 行 うことにより、<br />
保 有 水 量 は 回 復 し、PCT は 約 390℃に、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約<br />
16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
b. 余 熱 除 去 ポンプ 入 口 逃 がし 弁 等 から 原 子 炉 格 納 容 器 内 への 1 次 冷<br />
却 材 の 漏 えいにより、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 は 上 昇 するが、 格<br />
納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
c. 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと、 余 熱 除 去 系 逃 がし 弁 からの 漏 え<br />
いが 停 止 する。さらに、 余 熱 除 去 ポンプの 入 口 弁 を 専 用 工 具 にて 非 管<br />
理 区 域 から 遠 隔 操 作 で 閉 止 することにより、 余 熱 除 去 系 機 器 等 からの<br />
漏 えいが 停 止 する。また、 健 全 側 余 熱 除 去 系 2 次 系 強 制 冷 却 による 炉<br />
心 冷 却 を 開 始 することでの 継 続 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行<br />
させることができる。<br />
上 記 a. 及 び b.より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 し<br />
ている。<br />
「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」<br />
について、 申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は 以 下 のとおりである。<br />
d. 破 損 した 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 から 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 漏 えいによ<br />
り、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減 少 するが、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心<br />
注 水 、2 次 系 強 制 冷 却 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系<br />
の 減 温 ・ 減 圧 を 行 うことにより、 保 有 水 量 は 回 復 し、PCT は 約 350℃<br />
に、1 次 冷 却 系 の 最 高 圧 力 は 約 16.3MPa[gage]に 抑 えられる。<br />
e. 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 により、1 次 冷 却 材 が 加 圧 器 逃 がしタンク<br />
から 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 漏 えいするが、その 量 はわずかである。また、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 及 び 温 度 が 上 昇 した 場 合 には、 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まっている。<br />
f. 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 進 むと 1 次 冷 却 系 圧 力 と 2 次 冷 却 系 圧 力<br />
が 均 圧 することで、 漏 えいが 停 止 する。また、 余 熱 除 去 系 による 炉 心<br />
冷 却 により 原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 移 行 させることができる。<br />
169
上 記 d. 及 び e.より、 解 析 結 果 は 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 し<br />
ている。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 を 用 いて 1 次 冷 却 系 の 挙 動 について 解 析 した 場 合 、 試 験<br />
データと 比 較 して 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 時 に、<br />
1 次 冷 却 系 圧 力 を 数 百 kPa 程 度 高 く 評 価 する 傾 向 がある。そのため、<br />
実 際 には 解 析 結 果 よりも 1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 が 早 く、 漏 えい 流 量<br />
は 少 なくなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 の 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 して<br />
いるため、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 が 速 めに 解 析 されている。 崩<br />
壊 熱 に 最 確 値 を 与 えた 場 合 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 は 緩 や<br />
かとなり、 評 価 項 目 に 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
2 次 系 強 制 冷 却 操 作 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 開 閉 操 作 が 必 要 なタイミン<br />
グが 変 動 する 可 能 性 があるが、この 操 作 は 中 央 制 御 室 での 操 作 であり、<br />
必 要 なタイミングに 変 動 があったとしても、この 変 動 に 対 応 が 可 能 で<br />
あることから、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
また、「インターフェイスシステム LOCA」においては、 漏 えい 側 余<br />
熱 除 去 ポンプ 入 口 弁 を 専 用 工 具 にて 非 管 理 区 域 から 遠 隔 操 作 で 閉 止<br />
し、 漏 えいを 停 止 させることで 事 象 が 収 束 する。この 弁 の 操 作 場 所 は<br />
漏 えいの 影 響 を 受 けにくい 場 所 にあるため、 漏 えい 量 の 変 動 があった<br />
としても、この 弁 の 操 作 を 実 施 し、 漏 えいを 停 止 させることが 可 能 で<br />
あることから 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 炉 心 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃<br />
料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスグループの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 合 わせて 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本<br />
部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 で<br />
ある。<br />
170
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所<br />
内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 は 620kL<br />
であり 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供<br />
給 量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対<br />
応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 事 故 シーケンスグループ「 格 納 容 器 バイパス」に 対 して 申 請 者<br />
が 炉 心 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 2 次 系 強 制 冷 却 、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操<br />
作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 等 が、 事 象 進 展 の 特<br />
徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「インターフェイスシステム LOCA」 及 び「 蒸 気 発 生 器 伝<br />
熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」において 2 次 系 強 制 冷 却 、<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 による 1 次 冷 却 系 の 減 圧 、 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注<br />
水 等 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 を<br />
いずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確<br />
かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 概 ね 満 足 することに 変 わりがないこと<br />
を 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 か<br />
ら、 機 能 を 喪 失 した 設 備 (「インターフェイスシステム LOCA」では 余 熱 除 去 系 21<br />
系 統 、「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」で<br />
は 主 蒸 気 安 全 弁 1 個 の 開 固 着 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当<br />
たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 炉 心 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、1 次 冷 却 系 の 減 温 ・ 減 圧 により 炉 心 の 損 傷 を 回 避 した 後 、 原 子 炉 を 安 定<br />
停 止 状 態 へ 導 くために、「インターフェイスシステム LOCA」では、 余 熱 除 去 ポン<br />
プ 入 口 弁 を 専 用 工 具 にて 非 管 理 区 域 から 遠 隔 操 作 で 閉 止 するなどにより 漏 えい<br />
を 停 止 させ、 健 全 側 余 熱 除 去 系 2 次 系 強 制 冷 却 による 炉 心 冷 却 を 実 施 継 続 する 対<br />
策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 する 事 故 」では、<br />
原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 余 熱 除 去 系 による 炉 心 冷 却 と 1 次 冷 却 系 圧<br />
力 と 2 次 冷 却 系 圧 力 の 均 圧 により 漏 えいを 停 止 させる 対 策 が 整 備 されているこ<br />
とを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者 の 計<br />
画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「インター<br />
フェイスシステム LOCA」 及 び「 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 時 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の<br />
171
隔 離 に 失 敗 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故<br />
シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 格 納 容 器 バイパス」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 炉 心 損 傷 防 止 対 策 は、<br />
有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.2 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 2 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 において、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 及 び 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 異 常 な 水 準 の 放 出 を 防 止 する<br />
ために 必 要 な 措 置 を 講 じたものでなければならないと 要 求 している。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 し、かつ、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 され<br />
ることを 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があることを 確 認 するとしている。「 有 効 性 がある<br />
ことを 確 認 する」とは、 以 下 の(a)から(i)の 項 目 ( 以 下 「 格 納 容 器 破 損 防 止 対<br />
策 の 評 価 項 目 」という。)を 概 ね 満 足 することを 確 認 するとしている。<br />
(a) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下<br />
回 ること。<br />
(b) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温 度 を 下<br />
回 ること。<br />
(c) 放 射 性 物 質 の 総 放 出 量 は、 放 射 性 物 質 による 環 境 への 汚 染 の 視 点 も 含 め、<br />
環 境 への 影 響 をできるだけ 小 さくとどめるものであること(※ 12 )。<br />
(d) 原 子 炉 圧 力 容 器 の 破 損 までに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 は 2.0MPa 以 下 に 低 減 されて<br />
いること。<br />
(e) 急 速 な 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 による 熱 的 ・ 機 械 的<br />
荷 重 によって 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリの 機 能 が 喪 失 しないこと。<br />
(f) 原 子 炉 格 納 容 器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること。( 水<br />
素 濃 度 がドライ 条 件 に 換 算 して 13vol% 以 下 又 は 酸 素 濃 度 が 5vol% 以 下 である<br />
こと)<br />
(g) 可 燃 性 ガスの 蓄 積 、 燃 焼 が 生 じた 場 合 においても、(a)の 要 件 を 満 足 する<br />
こと。<br />
(h) 原 子 炉 格 納 容 器 の 床 上 に 落 下 した 溶 融 炉 心 が 床 面 を 拡 がり 原 子 炉 格 納 容 器<br />
バウンダリと 直 接 接 触 しないこと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること。<br />
(※ 12 ) 有 効 性 評 価 ガイドでは、「 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して、Cs-137 の 放 出 量 が 100TBq を 下 回 ってい<br />
ること」としている。<br />
172
(i) 溶 融 炉 心 による 侵 食 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機 能 が 喪<br />
失 しないこと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること。<br />
上 記 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)において、 限 界 圧 力 又 は 限 界 温 度 を 評 価 項 目 とし<br />
て 用 いる 場 合 には、その 根 拠 と 妥 当 性 を 示 すこととしている。<br />
申 請 者 は、 上 記 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)について、 重 大 事 故 時 に 作 用 する 荷 重<br />
として、 自 重 、 圧 力 、 機 械 的 荷 重 を 考 慮 し、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 における 原 子 炉<br />
格 納 容 器 の 放 射 性 物 質 の 閉 じ 込 め 機 能 を 確 認 する 評 価 圧 力 ( 以 下 「 限 界 圧 力 」とい<br />
う。) 及 び 評 価 温 度 ( 以 下 「 限 界 温 度 」という。)を 定 めている。 具 体 的 には、プレ<br />
ストレストコンクリート 製 格 納 容 器 ( 以 下 「PCCV」という。)を 構 成 するライナプレ<br />
ート、 鉄 筋 及 びテンドン( 鋼 線 ) 並 びに 実 機 条 件 下 でリークパスとなる 可 能 性 があ<br />
ると 考 えられる 機 器 搬 入 口 、エアロック、 配 管 貫 通 部 等 を 対 象 とした 健 全 性 評 価 等<br />
により 設 定 の 根 拠 と 妥 当 性 が 確 認 された 値 である 最 高 使 用 圧 力 の 2 倍 ( 2Pd)、200℃<br />
としている。<br />
以 上 のことから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 において、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 に 期 待 できる 根 拠 と 妥 当 性 を 示 した 上 で、 評 価 項 目 とし<br />
て 原 子 炉 格 納 容 器 の 限 界 圧 力 及 び 限 界 温 度 を 設 定 していることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.1 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 )<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )」<br />
( 以 下 この 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 雰 囲 気 圧 力 によ<br />
る 静 的 負 荷 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原 子 炉 格 納 容 器 破<br />
損 の 防 止 及 び 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されることを 防 止 する 対 策<br />
に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち、「(a)<br />
原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下 回 るこ<br />
と。」、「(b) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温<br />
度 を 下 回 ること。」、「(c) 放 射 性 物 質 の 総 放 出 量 は、 放 射 性 物 質 による 環 境 への<br />
汚 染 の 視 点 も 含 め、 環 境 への 影 響 をできるだけ 小 さくとどめるものであること。」<br />
及 び「(g) 可 燃 性 ガスの 蓄 積 、 燃 焼 が 生 じた 場 合 においても、(a)の 要 件 を 満 足 す<br />
ること。」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
173
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 流 出 した 高 温 の 原 子<br />
炉 冷 却 材 、 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 によって 発 生 した 水 蒸 気 及 び 金 属 - 水 反 応 等<br />
によって 発 生 した 非 凝 縮 性 ガスの 蓄 積 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上<br />
昇 する。 事 故 発 生 から 数 時 間 後 には 最 高 使 用 圧 力 に 到 達 し、その 後 、 放 置<br />
すれば 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 雰 囲 気 を 減 温 ・ 減 圧 し、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 を 抑 制 する 必 要 が<br />
ある。また、 非 凝 縮 性 ガスの 発 生 により、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上 昇 する<br />
ことを 抑 制 する 観 点 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冠 水 ・ 冷 却 し、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 が 過 熱 状 態 となることを 防 止 する 観 点 から、 原 子 炉<br />
下 部 キャビティへ 注 水 する 必 要 がある。<br />
さらに、 継 続 的 に 発 生 する 水 素 を 処 理 、 低 減 させるとともに 最 終 的 な 熱<br />
の 逃 がし 場 へ 熱 を 輸 送 することによって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 さ<br />
せる 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減<br />
温 ・ 減 圧 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 を 実 施 する。この<br />
ため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 新 たに 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 復 水 タンク 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 させるため、 格 納<br />
容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 する。このため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環<br />
ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。また、 継 続 的 に 発 生<br />
する 水 素 の 処 理 及 び 水 素 濃 度 の 監 視 を 実 施 する。このため、 静 的 触 媒 式 水<br />
素 再 結 合 装 置 ( 以 下 「PAR」という。)、PAR 動 作 監 視 装 置 、 電 気 式 水 素<br />
燃 焼 装 置 ( 以 下 「イグナイタ」という。)、イグナイタ 動 作 監 視 装 置 等 を<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
174
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機<br />
能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これ<br />
は、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 上 昇 及 び 時 間 余 裕 の 観 点 から、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 内 への 冷 却 材 放 出 量 が 大 きくなるとともに 炉 心 損 傷 が 早 まること、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 上 昇 の 抑 制 の 観 点 から、ECCS 注 水 機 能 及 び 格 納<br />
容 器 スプレイ 機 能 を 喪 失 していること、 環 境 に 放 出 される 放 射 性 物 質<br />
量 の 観 点 では、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 高 く 推 移 することなど、より 厳<br />
しい 事 故 シーケンスであることから 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用<br />
いた 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 い<br />
た 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 有 効 性 を 評 価 する 観 点 から、 全 交 流 動 力<br />
電 源 喪 失 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 における 区 画 内 や 区 画 間 の 流 動 、 構 造<br />
材 との 熱 伝 達 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによ<br />
る 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 などの 現 象 を 評 価 することが 可 能 な、 原 子<br />
炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 炉 心 損 傷 後 の<br />
シビアアクシデント 特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 するコ<br />
ードとして MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 急 速 な 1 次 冷 却 材 の 喪 失 を 仮 定 し、 事 象 進 展 が 最 も 速 く<br />
厳 しい 設 定 とするため、 起 因 事 象 として 高 温 側 配 管 の 大 破 断 LOCA が<br />
発 生 するものとする。 安 全 機 能 の 喪 失 に 対 する 仮 定 として、 低 圧 注 入<br />
機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 するものと<br />
し、さらに 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を<br />
考 慮 する。 水 素 の 発 生 については、ジルコニウム- 水 反 応 を 考 慮 する。<br />
d. 機 器 条 件 : 蓄 圧 注 入 系 の 保 持 圧 力 を 最 低 圧 力 とし、 蓄 圧 タンクの 保<br />
有 水 量 も 使 用 時 の 最 小 量 を 用 いる。 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 注 水 流<br />
量 は、Cs-137 の 放 出 量 評 価 では 設 計 上 期 待 できる 値 として 140m 3 /h と<br />
し、 事 象 進 展 解 析 では 標 準 値 としてこれより 小 さな 値 である 130m 3 /h<br />
とする。また、PAR については、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 観 点 で 厳 しく<br />
なるように 機 能 することを 期 待 しない。 一 方 、PAR の 水 素 処 理 による<br />
発 熱 反 応 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 への 寄 与 は 考 慮 する。<br />
175
e. 操 作 条 件 : 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始<br />
時 間 は 炉 心 溶 融 開 始 から 30 分 後 とし、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 による<br />
格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 時 間 は 事 象 発 生 から 24 時 間 後 とする。<br />
f. Cs-137 の 環 境 への 放 出 シナリオ: 事 象 発 生 まで、 定 格 出 力 の 102%<br />
で 長 期 間 にわたって 運 転 されていたものとする。その 運 転 時 間 は、 燃<br />
料 を 1/3 ずつ 取 り 替 えていく 場 合 の 平 衡 炉 心 を 考 えて、 最 高 30,000<br />
時 間 とする。<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 放 出 される Cs-137 の 量 については、 炉 心 損 傷<br />
に 至 る 事 故 シーケンスを 基 にした 代 表 的 なソースタームに 関 する 報<br />
告 書 である NUREG-1465 の 放 出 割 合 を 用 い、 原 子 炉 格 納 容 器 全 体 にイ<br />
ンベントリの 75%が 放 出 される。 原 子 炉 格 納 容 器 からは 0.16%/ 日 の 割<br />
合 で 主 にアニュラス 部 へ 漏 えいする。また、アニュラス 部 の 負 圧 達 成<br />
及 びアニュラス 空 気 浄 化 設 備 の 起 動 時 間 の 遅 れを 考 慮 して 約 62 分 間<br />
はアニュラス 空 気 浄 化 設 備 が 作 動 しないものとし、この 間 、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 側 からアニュラス 部 に Cs-137 が 漏 えいした 場 合 には、 漏 えい<br />
した 全 量 が 大 気 に 放 出 されるものとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 による 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 に 伴 い 原 子 炉 が 自 動 停 止 。また、 大 破 断 LOCA<br />
時 に 高 圧 注 入 機 能 及 び 低 圧 注 入 機 能 が 喪 失 することから、 約 22 分 で<br />
炉 心 溶 融 に 至 る。その 後 、 約 52 分 より 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 。<br />
事 故 発 生 から 約 1.4 時 間 後 に 原 子 炉 容 器 が 破 損 する。このときの 原 子<br />
炉 格 納 容 器 圧 力 は 約 0.212MPa[gage]となる。 約 2.6 時 間 後 に 原 子 炉<br />
容 器 からの 溶 融 炉 心 の 流 出 が 停 止 し、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 が 緩<br />
やかになる。<br />
b. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 が 確 立 する<br />
ため 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 はそれぞれ、 約<br />
0.444MPa[gage]、 約 144℃に 抑 えられる。 以 降 、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・<br />
温 度 は、 約 48 時 間 時 点 でも 低 下 傾 向 が 維 持 されており、 安 定 状 態 と<br />
なっている。( 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 ( 以 下<br />
「FCI」という。)、 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 ( 以 下 「MCCI」と<br />
いう。)の 評 価 については、 格 納 容 器 破 損 モード「 原 子 炉 圧 力 容 器 外<br />
の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」、「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」<br />
を 参 照 。)<br />
176
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 分 圧 は、 全 圧 0.5MPa[abs] 程 度 に 対 して<br />
0.01MPa[abs] 程 度 である。また、PAR による 水 素 処 理 における 発 熱 量<br />
は 崩 壊 熱 の 約 2%であり、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 しての 影 響<br />
は 軽 微 である。<br />
d. 原 子 炉 格 納 容 器 から 環 境 に 放 出 される Cs-137 の 放 出 量 は、7 日 間<br />
で 約 4.5TBq であり、100TBq を 下 回 っている。<br />
なお、30 日 間 と 100 日 間 では 微 増 するものの、いずれも 約 4.8TBq<br />
であり、 放 出 が 長 期 間 継 続 しても、 放 出 量 は 大 きく 増 加 しない。<br />
上 記 b.、c. 及 び d.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(a)、(b)、(c) 及 び(g)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP を 用 いて 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 を 解 析 した 場 合 、HDR 実 験<br />
解 析 等 の 検 証 結 果 より、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 については 1 割 程 度 高 め<br />
に、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 については 十 数 ℃ 高 めに 評 価 する 傾 向 がある<br />
ことから、 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 は 低 めとなるため、 評 価<br />
項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくなる。このことから、<br />
MAAP は 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 して 保 守 的 な( 厳 しい) 結 果<br />
を 与 える。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 に 保 守 的 な( 大 きめの) 値 を 設 定 してい<br />
るため、 炉 心 溶 融 開 始 時 間 が 早 めに 解 析 されている。このため、 実 際<br />
は 炉 心 溶 融 開 始 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 が 必<br />
要 なタイミングが 遅 くなる。また、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の 上 昇<br />
は 緩 和 され、 評 価 項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくなる。<br />
事 故 進 展 解 析 で 設 定 している 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 注 入 流 量 は<br />
小 さめの 値 を 設 定 しているため、 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の<br />
上 昇 は 緩 和 され、 評 価 項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくな<br />
る。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 が 必 要 なタイミン<br />
グが 遅 くなるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 がある。 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 は、 他 の 事 象 進 展 に 影 響 を 及 ぼす 運 転 員 等<br />
177
操 作 を 実 施 する 運 転 員 等 とは 別 の 運 転 員 等 による 操 作 であるため、タ<br />
イミングに 変 動 があったとしても、 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 への 影<br />
響 はなく、 対 策 実 施 へ 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 評 価 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 となる 要 員 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 合 わせて 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊<br />
急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対<br />
応 が 可 能 である。<br />
2 本 評 価 事 故 シーケンスが 発 生 してから 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 量 1,960m 3<br />
が 枯 渇 する 約 12 時 間 後 までに 復 水 タンクとの 連 絡 操 作 を 行 うとともに、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプにより、 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又<br />
は 海 水 を 復 水 タンク 経 由 で 燃 料 取 替 用 水 タンクに 補 給 することで 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイを 継 続 することが 可 能 である。7 日 間 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
等 を 運 転 継 続 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 284.5kL である。これに 対<br />
して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 燃 料 タンク<br />
に 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可 能 である。 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 電 力<br />
供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納<br />
容 器 過 圧 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 が、 事 象 進 展 の 特<br />
徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容<br />
器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれ<br />
による 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格<br />
納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a)、(b)、(c) 及 び(g)を 満 足 している。さら<br />
に 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 (a)、<br />
(b)、(c) 及 び(g)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認 し<br />
た。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能<br />
を 喪 失 した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 及 び 格 納 容 器 スプレイ 系 等 )の 復 旧 を 期 待 していな<br />
いが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破<br />
178
損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 により<br />
原 子 炉 格 納 容 器 破 損 を 防 止 した 後 、 原 子 炉 格 納 容 器 を 安 定 状 態 へ 導 くために、 格<br />
納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 させるとともに 水 素<br />
濃 度 低 減 及 び 水 素 濃 度 監 視 を 継 続 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 注 入 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに<br />
対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が<br />
計 画 している 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.2 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 )<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」<br />
( 以 下 この 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 雰 囲 気 温 度 によ<br />
る 静 的 負 荷 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原 子 炉 格 納 容 器 破<br />
損 の 防 止 及 び 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されることを 防 止 する 対 策<br />
に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち、「(a)<br />
原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 又 は 限 界 圧 力 を 下 回 るこ<br />
と。」、「(b) 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリにかかる 温 度 が 最 高 使 用 温 度 又 は 限 界 温<br />
度 を 下 回 ること。」 及 び「(g) 可 燃 性 ガスの 蓄 積 、 燃 焼 が 生 じた 場 合 においても、<br />
(a)の 要 件 を 満 足 すること。」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 があるか<br />
を 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項 を 省 略 し、 本 格 納<br />
容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
179
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 流 出 した 高 温 の 原 子<br />
炉 冷 却 材 、 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 及 び 金 属 - 水 反 応 等 による 化 学 反 応 熱 によっ<br />
て、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 が 上 昇 する。 事 故 発 生 から 数 時 間 後 には 最 高 使 用<br />
温 度 に 到 達 し、その 後 、 放 置 すれば 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 雰 囲 気 を 減 温 ・ 減 圧 し、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 の 上 昇 を 抑 制 する 必 要 が<br />
ある。また、1 次 冷 却 系 が 高 圧 となり、 原 子 炉 容 器 が 破 損 する 際 に 溶 融 物<br />
が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなることを 防 止 する 観 点 から、<br />
原 子 炉 容 器 破 損 前 までに 1 次 冷 却 系 を 減 圧 する 必 要 がある。また、 非 凝 縮<br />
性 ガスの 発 生 により、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上 昇 することを 抑 制 する 観 点<br />
及 び 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冠 水 ・ 冷 却 し、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲<br />
気 が 過 熱 状 態 となることを 防 止 する 観 点 から、 原 子 炉 下 部 キャビティへ 注<br />
水 する 必 要 がある。<br />
さらに、 継 続 的 に 発 生 する 水 素 を 処 理 、 低 減 させるとともに 最 終 的 な 熱<br />
の 逃 がし 場 へ 熱 を 輸 送 することによって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 を 確 立 さ<br />
せる 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 ( 以 下 「DCH」とい<br />
う。)を 防 止 する 対 策 である 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧<br />
については、 格 納 容 器 破 損 モード「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加<br />
熱 」を 参 照 。その 他 の 対 策 は、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、1 次<br />
冷 却 系 が 高 圧 となり、 原 子 炉 容 器 が 破 損 する 際 に 溶 融 物 が 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなること 及 び ECCS 又 は 格 納 容 器 スプレ<br />
イにより 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 の 上 昇 が 抑 制 されないことなど、より 厳<br />
しいシーケンスであることから 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
180
ンスは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」<br />
であるが、 条 件 を 厳 しくするため、 補 助 給 水 機 能 の 喪 失 を 追 加 する。<br />
さらに、 本 評 価 事 故 シーケンスにおいては、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用<br />
いた 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 い<br />
た 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 有 効 性 を 評 価 する 観 点 から、 原 子 炉 補 機<br />
冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 における 区 画 内 や 区 画 間 の 流 動 、 構 造<br />
材 との 熱 伝 達 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによ<br />
る 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 加 圧 器 における 冷 却 材 放 出 ( 臨 界 流 、 差<br />
圧 流 )などの 現 象 を 評 価 することが 可 能 な、 原 子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 炉 心 損 傷 後 のシビアアクシデント<br />
特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 するコードとして MAAP を 用<br />
いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 起 因 事 象 として 外 部 電 源 が 喪 失 するものとし、 安 全 機 能<br />
の 喪 失 に 対 する 仮 定 として、 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 、 補 助 給 水 機 能<br />
及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 とする。また、RCP からの 漏 えい 率 は、<br />
定 格 圧 力 において、RCP1 台 当 たり 1.5m 3 /h の 漏 えいを RCP 全 台 に 考 慮<br />
し、その 他 の 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリからの 漏 えいについては 考<br />
慮 しない。これは、1 次 冷 却 系 が 高 圧 となり、 原 子 炉 容 器 が 破 損 する<br />
際 に 溶 融 物 が 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなるため、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 温 度 の 観 点 で 厳 しい 設 定 となる。 水 素 の 発 生 については、<br />
ジルコニウム- 水 反 応 を 考 慮 する。<br />
d. 機 器 条 件 : 加 圧 器 逃 がし 弁 に 関 する 条 件 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 高<br />
圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」を 参 照 。その 他 の 条 件 は、「 格<br />
納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始<br />
時 間 は 炉 心 溶 融 開 始 から 30 分 後 とする。また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 保<br />
有 水 量 が 2,000m 3 に 到 達 した 時 点 で 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧<br />
力 (0.392MPa[gage])に 到 達 していない 場 合 は 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
を 一 旦 停 止 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 使 用 圧 力 到 達 の 30 分 後 に 再 開<br />
するものとする。その 後 、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 に 伴 い 事 象<br />
発 生 から 24 時 間 後 に 停 止 するものとする。 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 に<br />
よる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 開 始 時 間 は 事 象 発 生 から 24 時 間 後 と<br />
する。<br />
2 解 析 結 果<br />
181
申 請 者 による 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 及 び 補 助 給 水 機 能 の 喪 失 に 伴 い 1 次 冷 却 系<br />
が 高 温 ・ 高 圧 となるが、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧<br />
により 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 1 次 冷 却 系 圧 力 は 低 く 抑 えられる。<br />
b. 加 圧 器 安 全 弁 の 作 動 に 伴 う 加 圧 器 逃 がしタンクラプチャディスク<br />
の 作 動 及 び 原 子 炉 容 器 破 損 により、1 次 冷 却 系 の 蒸 気 、 溶 融 炉 心 等 が<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 移 行 することで 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 は 上 昇<br />
するが、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 抑 制 が 可 能 な 範 囲 に 収 まってい<br />
る。<br />
c. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 が 確 立 する<br />
た め 、 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 は そ れ ぞ れ 、 約<br />
0.409MPa[gage]、 約 144℃に 抑 えられる。 以 降 、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・<br />
温 度 は、 約 48 時 間 時 点 でも 低 下 傾 向 が 維 持 されており、 安 定 状 態 と<br />
なっている。<br />
d. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 分 圧 は、 全 圧 0.5MPa[abs] 程 度 に 対 して<br />
0.02MPa[abs] 程 度 である。また、PAR による 水 素 処 理 における 発 熱 量<br />
は 崩 壊 熱 の 約 2%であり、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 しての 影 響<br />
は 軽 微 である。<br />
上 記 c.、d.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a)、(b)<br />
及 び(g)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
MAAP を 用 いて 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 を 解 析 した 場 合 、HDR 実 験<br />
解 析 等 の 検 証 結 果 より、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 については 1 割 程 度 高 め<br />
に、 原 子 炉 格 納 容 器 温 度 については 十 数 ℃ 高 めに 評 価 する 傾 向 がある<br />
ことから、 実 際 の 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 は 低 めとなるため、 評 価<br />
項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくなる。このことから、<br />
MAAP は 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 に 対 して 保 守 的 な( 厳 しい) 結 果<br />
を 与 える。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 に 保 守 的 に 大 きめの 値 を 設 定 しているた<br />
め、 炉 心 溶 融 開 始 時 間 が 早 めに 解 析 されている。 原 子 炉 格 納 容 器 自 由<br />
体 積 は 保 守 的 に 小 さめの 値 を、ヒートシンクは 保 守 的 に 少 なめの 値 を<br />
182
設 定 しているため、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の 上 昇 は 早 めに 解 析 さ<br />
れている。このため、 実 際 は 炉 心 溶 融 開 始 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器<br />
スプレイ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器 スプレ<br />
イの 再 開 操 作 が 必 要 なタイミングが 遅 くなる。また、 常 設 電 動 注 入 ポ<br />
ンプによる 注 入 流 量 は 保 守 的 に 小 さめの 値 を 設 定 しているため、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の 上 昇 は 早 めに 解 析 されている。このため、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 圧 力 を 起 点 とした 代 替 格 納 容 器 スプレイの 再 開 操 作 が<br />
必 要 なタイミングが 遅 くなる。いずれも 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 の<br />
上 昇 は 緩 和 され、 評 価 項 目 となるパラメータに 対 する 余 裕 は 大 きくな<br />
る。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
上 記 のとおり、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 開 始 ・ 再 開 操 作 が 必 要 なタイ<br />
ミングが 遅 くなるなど、そのタイミングは 変 動 する 可 能 性 がある。1<br />
次 系 強 制 減 圧 及 び 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開 始 操 作 は 中 央 制 御 室 に<br />
おいて 同 一 の 運 転 員 が 行 う 操 作 であるが、 事 象 進 展 上 重 複 する 操 作 で<br />
はなく 他 の 事 象 進 展 に 影 響 を 及 ぼす 運 転 員 等 操 作 を 実 施 する 運 転 員<br />
等 とは 別 の 運 転 員 等 による 操 作 であり、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 再 開<br />
操 作 は 代 替 格 納 容 器 スプレイ 開 始 操 作 と 同 一 の 運 転 員 等 による 操 作<br />
であるため、タイミングに 変 動 があったとしても、 要 員 の 配 置 による<br />
他 の 操 作 への 影 響 はなく、 対 策 実 施 へ 与 える 影 響 はない。<br />
なお、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 操 作 から 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 開 始<br />
操 作 への 切 り 替 えが 確 実 に 実 施 できることを 確 認 するため、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 水 量 を 考 慮 し、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 を 継 続 した<br />
場 合 の 原 子 炉 格 納 容 器 注 水 制 限 値 到 達 までの 時 間 を 評 価 した。その 結<br />
果 、 操 作 余 裕 時 間 として 3 時 間 程 度 は 確 保 できる。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 評 価 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 となる 要 員 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 合 わせて 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急<br />
時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応<br />
が 可 能 である。<br />
2 本 評 価 事 故 シーケンスが 発 生 してから 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 量 1,960m 3<br />
が 枯 渇 する 約 14 時 間 後 までに 復 水 タンクとの 連 絡 操 作 を 行 うとともに、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプにより、 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又<br />
183
は 海 水 を 復 水 タンク 経 由 で 燃 料 取 替 用 水 タンクに 補 給 することで 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイを 継 続 することが 可 能 である。7 日 間 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
等 を 運 転 継 続 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 284.5kL である。これに 対<br />
して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 燃 料 タンク<br />
に 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可 能 である。 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 電 力<br />
供 給 量 が 十 分 大 きいため、 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納<br />
容 器 過 温 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 加<br />
圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによ<br />
る 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補 助<br />
給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減<br />
圧 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 を 行 った 場<br />
合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a)、(b) 及<br />
び(g)を 満 足 している。さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確<br />
かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 (a)、(b) 及 び(g)を 概 ね 満 足 しているという 判<br />
断 は 変 わらないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条<br />
件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 補 助 給 水 系 、 非 常 用 所 内 交 流 動 力<br />
電 源 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備<br />
の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 の 強 制 減 圧 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及<br />
びこれによる 原 子 炉 下 部 キャビティ 注 水 により 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 を 防 止 した<br />
後 、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 の 対 策 を 講 じることにより、 原 子 炉 格 納 容 器 を 安<br />
定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪<br />
失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけ<br />
るその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して 有 効<br />
であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」に 対 して 申 請 者 が<br />
184
計 画 している 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 原 子 炉 容 器 内 に 残 存 する 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 容 器 破 損 後 、 溶 融 炉 心 のほぼ 全 量 が 原 子 炉 下 部 キャビティ<br />
に 落 下 し 継 続 的 に 冷 却 されるとしている。また、 原 子 炉 容 器 内 に 溶 融 炉 心 が 残<br />
存 する 場 合 には、 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 重<br />
要 機 器 及 び 重 要 計 器 が 水 没 しない 限 りは 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 注 水 することを<br />
示 した。これにより、 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 重 要 機 器 及 び 重 要 計<br />
器 が 水 没 しない 限 りは 原 子 炉 格 納 容 器 内 へ 注 水 することで、 炉 心 発 熱 有 効 長 の<br />
中 心 高 さまで 冠 水 させることができる 冷 却 手 段 が 整 備 されていることを 確 認<br />
した。<br />
Ⅳ-1.2.2.3 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」( 以 下 この 節 に<br />
おいて「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 原 子 炉 容 器 が 高 い 圧 力 の 状 況 で<br />
損 傷 する 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損<br />
を 防 止 し、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されることを 防 止 する 対 策 に 有<br />
効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(d)<br />
原 子 炉 容 器 の 破 損 までに 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 は 2.0MPa 以 下 に 低 減 されていること。」<br />
について、 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 温 破 損 )」( 以 下 「 格 納 容 器 過 温 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項 を 省 略 し、 本 格<br />
納 容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 容 器 が 高 い 圧 力 の 状 況 で 損 傷 し、<br />
溶 融 炉 心 等 が 急 速 に 放 出 され、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 が 直 接 加 熱 されるこ<br />
とで、 急 速 に 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 上 昇 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
185
2 対 策 の 考 え 方 : 高 圧 溶 融 物 放 出 に 伴 う 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 す<br />
るためには、 原 子 炉 容 器 破 損 前 までに 1 次 冷 却 系 の 減 圧 を 行 う 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 原 子 炉 容 器 破 損 前 までに 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系<br />
減 圧 を 実 施 する。このため、 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
位 置 付 ける。また、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 時 に 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 を<br />
行 う。このため、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 整 備 する。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源<br />
が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、1 次<br />
冷 却 系 が 高 圧 の 状 態 で 原 子 炉 容 器 が 破 損 した 際 に 溶 融 物 が 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 に 分 散 する 割 合 が 多 くなることなど、より 厳 しいシーケンス<br />
であることから 選 定 している。PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破<br />
損 モードにおける 事 故 シーケンスは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交<br />
流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 条 件 を 厳 しくするため、 補 助<br />
給 水 機 能 の 喪 失 を 追 加 する。さらに、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用 いた 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いた 格 納<br />
容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 有 効 性 を 評 価 する 観 点 から、 全 交 流 動 力 電 源 の<br />
喪 失 により 従 属 的 に 発 生 する 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重 畳 を 考 慮<br />
する。<br />
b. 解 析 コード: 加 圧 器 逃 がし 弁 からの 冷 却 材 放 出 ( 臨 界 流 ・ 差 圧 流 )、<br />
原 子 炉 容 器 における 溶 融 炉 心 のリロケーション、 原 子 炉 容 器 内 溶 融 炉<br />
心 - 冷 却 材 相 互 作 用 、 下 部 プレナムでの 溶 融 炉 心 の 熱 伝 達 、 原 子 炉 容<br />
器 破 損 や 溶 融 等 を 取 り 扱 うことができる MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
d. 機 器 条 件 : 加 圧 器 逃 がし 弁 は、2 個 ( 95t/h/ 個 )の 作 動 を 考 慮 する。<br />
その 他 は、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
186
e. 操 作 条 件 : 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 冷 却 系 強 制 減 圧 は、 炉 心 溶 融<br />
開 始 から 10 分 後 とする。その 他 は、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 で<br />
ある。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 冷 却 系 圧 力 は、 炉 心 溶 融 開 始 後 の 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 によ<br />
る 1 次 冷 却 系 強 制 減 圧 により 低 下 し、2~3MPa[gage] 近 傍 から 低 下 傾<br />
向 を 維 持 した 後 、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 容 器 下 部 プレナムに 落 下 すること<br />
による 蒸 気 発 生 により 上 昇 する。 下 部 プレナム 水 が 喪 失 すると、1 次<br />
冷 却 系 圧 力 は 減 少 に 転 じ、 原 子 炉 容 器 破 損 の 時 点 の 1 次 冷 却 系 圧 力 は<br />
2.0MPa[gage] 以 下 に 抑 えられる。<br />
b. その 他 の 事 象 進 展 解 析 結 果 は、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 である。<br />
上 記 a. より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (d)を 満<br />
足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 コードには、 炉 心 ヒートアップ、 加 圧 器 逃 がし 弁 からの 冷 却 材<br />
放 出 、 原 子 炉 容 器 における 溶 融 炉 心 のリロケーション、 原 子 炉 容 器 内<br />
溶 融 炉 心 - 冷 却 材 相 互 作 用 、 下 部 プレナムでの 溶 融 炉 心 の 熱 伝 達 、 原<br />
子 炉 容 器 破 損 ・ 溶 融 に 係 る 不 確 かさがある。これらについて、 感 度 解<br />
析 を 実 施 しており(※ 13 )、いずれのケースにおいても、 原 子 炉 容 器 破<br />
損 に 至 るまでの 間 に 1 次 冷 却 系 圧 力 は 2.0MPa [gage]を 下 回 る 結 果 に<br />
なる。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 は、 解 析 上 は<br />
保 守 側 ( 対 策 の 実 施 が 遅 くなる 側 )に 10 分 の 操 作 遅 れを 考 慮 してい<br />
るが、 実 際 には 中 央 制 御 室 での 操 作 である。このため、 開 始 が 早 まる<br />
方 向 の 不 確 かさが 存 在 するが、 感 度 解 析 の 結 果 より、 評 価 項 目 に 対 し<br />
て 影 響 は 小 さいことを 確 認 した。また、 影 響 を 与 えると 考 えられる 炉<br />
心 崩 壊 熱 等 を 対 象 に 不 確 かさの 影 響 を 確 認 したが、いずれも 評 価 項 目<br />
に 対 して 影 響 は 小 さい。<br />
(※ 13 )「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」 2.(3)MAAP を 参 照 。<br />
187
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
操 作 遅 れによる 影 響 度 合 いを 把 握 する 観 点 から、 加 圧 器 逃 がし 弁 に<br />
よる 1 次 系 強 制 減 圧 の 開 放 操 作 の 開 始 を 遅 くした 場 合 の 感 度 解 析 を<br />
実 施 し、 操 作 時 間 余 裕 として 炉 心 溶 融 開 始 から 少 なくとも 20 分 程 度<br />
は 確 保 できる。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 については、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」と 同 一 としている。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加<br />
熱 」に 対 して、 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 加 圧 器 逃 がし<br />
弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 が 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 直 接 加 熱 に 至 る 可 能 性 のあ<br />
る 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補<br />
助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 当 該 対 策 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の<br />
解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (d)を 満 足 している。さらに 申<br />
請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 を 概 ね<br />
満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解<br />
析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 補 助 給 水 系 、<br />
非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 た<br />
ってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、1 次 系 強 制 減 圧 により、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」を<br />
防 止 した 後 、「 格 納 容 器 過 温 破 損 」への 対 策 と 同 一 の 対 策 をとることにより、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 を 安 定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 につい<br />
ても、 申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 外 部 電 源<br />
喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 補 助 給 水 機 能 が 喪 失 する 事 故 」にお<br />
けるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して 有<br />
効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している<br />
格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
188
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のとお<br />
りである。<br />
(1) 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 の 確 実 性<br />
規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 容 器 の 破 損 までに 1 次 冷 却 系 圧 力 を 2.0MPa 以 下 に 低<br />
減 させるためには、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 確 実 に 行 うことが 重 要 である 旨<br />
を 指 摘 した。 申 請 者 は、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 失 敗 時 の 機 能 回 復 のために、<br />
全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 備 えて 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 常 設 直 流 電 源<br />
系 喪 失 に 備 えて 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 新 たに 整 備 することを<br />
示 した。さらに、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 をより 確 実 なものとするため、 炉 心<br />
出 口 温 度 が 350℃になった 場 合 には 格 納 容 器 高 レンジエリアモニタ( 高 レンジ)<br />
を 監 視 する 専 属 の 運 転 員 を 配 置 することを 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 のために 必 要 な 駆 動 源 及 び<br />
電 源 のバックアップを 準 備 するとともに、 炉 心 損 傷 のタイミングを 確 実 に 把 握<br />
するため 監 視 体 制 を 強 化 する 方 針 としていることから、 加 圧 器 逃 がし 弁 による<br />
開 操 作 が 遅 れることなく 実 施 できると 判 断 した。<br />
4. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 の 継 続 性<br />
申 請 者 は、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 によって 1 次 冷 却 系 圧 力 を<br />
2.0MPa[gage] 以 下 に 低 減 できるとしている。このため、 加 圧 器 逃 がし 弁 に 高 温<br />
蒸 気 が 流 入 した 場 合 の 減 圧 継 続 の 支 障 要 因 として、 弁 の 流 路 閉 塞 及 び 弁 閉 止<br />
( 開 維 持 失 敗 )の 2 つを 抽 出 し、その 評 価 を 行 った。その 結 果 、 弁 棒 に 発 生 す<br />
る 熱 応 力 が 小 さいこと 及 びダイヤフラムへの 熱 負 荷 が 小 さいことから 減 圧 継<br />
続 に 支 障 となる 熱 負 荷 ではないと 結 論 づけている。これにより、 規 制 委 員 会 は、<br />
申 請 者 の 熱 応 力 等 の 評 価 手 法 は 適 切 であり、 評 価 結 果 は 構 造 物 を 健 全 と 判 断 す<br />
る 応 力 ・ 温 度 を 下 回 ることから、 加 圧 器 逃 がし 弁 による 1 次 系 強 制 減 圧 の 継 続<br />
は 可 能 であると 判 断 した。<br />
(2) 蓄 圧 タンクの 初 期 条 件 が 評 価 に 及 ぼす 影 響<br />
申 請 者 は、 蓄 圧 タンク 保 持 圧 力 が 高 い 側 に 設 定 した 解 析 を 実 施 した 結 果 、 蓄<br />
189
圧 タンクからの 注 水 量 が 多 くなり 炉 心 の 冷 却 が 進 むことで 炉 心 溶 融 進 展 が 遅<br />
くなり、 崩 壊 熱 がより 低 い 状 態 で 原 子 炉 容 器 破 損 に 至 るため、 原 子 炉 容 器 破 損<br />
までに 1 次 冷 却 系 圧 力 は 2.0MPa[gage] 以 下 となることを 示 した。これにより、<br />
規 制 委 員 会 は、 解 析 条 件 の 設 定 は 適 切 であり、 解 析 内 容 は 妥 当 であることを 確<br />
認 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.4 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」( 以 下 こ<br />
の 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 原 子 炉 容 器 外 の FCI によ<br />
り 生 じる 一 時 的 な 圧 力 の 急 上 昇 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 し<br />
て 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 の 防 止 及 び 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 される<br />
ことを 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(e)<br />
急 速 な 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 による 熱 的 ・ 機 械 的 荷 重 によ<br />
って 原 子 炉 格 納 容 器 バウンダリの 機 能 が 喪 失 しないこと」について、 格 納 容 器 破 損<br />
防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項 を 省 略 し、 本 格 納<br />
容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 容 器 外 の FCI には、 衝 撃 を 伴 う 水<br />
蒸 気 爆 発 と、 溶 融 炉 心 から 冷 却 材 への 伝 熱 による 水 蒸 気 発 生 に 伴 う 急 激 な<br />
圧 力 上 昇 ( 以 下 「 圧 力 スパイク」という。)があるが、 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の<br />
可 能 性 は 極 めて 低 いと 考 えられるため、 圧 力 スパイクについて 考 慮 する。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 として、 溶 融 炉 心 と 原 子 炉 容 器 外 の 冷 却 水 が<br />
接 触 して、 圧 力 スパイクが 生 じる 可 能 性 があり、このときに 発 生 するエネ<br />
ルギーが 大 きいと 構 造 物 が 破 壊 され、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するためには、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 雰 囲 気 を 減 温 ・ 減 圧 し、 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 の 上 昇 を 抑 制 する 必 要 が<br />
ある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減<br />
190
温 ・ 減 圧 を 実 施 する。このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電<br />
機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水<br />
タンク、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 する 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機<br />
能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。こ<br />
れは、 溶 融 炉 心 から 冷 却 材 の 伝 熱 による 水 蒸 気 発 生 の 観 点 から、 事 象<br />
進 展 が 早 く 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 炉 心 崩 壊 熱 が 高 いこと、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 圧 力 の 上 昇 を 抑 制 する 観 点 から、 原 子 炉 格 納 容 器 の 冷 却 がないこと<br />
など、より 厳 しいシーケンスであることから 選 定 する。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環<br />
機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 事 象 進 展 を 早 める 観 点 から 条 件 を 厳<br />
しくするため、 高 圧 注 入 機 能 の 喪 失 を 追 加 する。さらに、 本 評 価 事 故<br />
シーケンスにおいては、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能<br />
喪 失 の 重 畳 を 考 慮 することにより、 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 は 想<br />
定 せずに、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 注 水 を 想 定 する。これは、 代<br />
替 格 納 容 器 スプレイは 格 納 容 器 スプレイよりも 開 始 時 間 が 遅 く、 流 量<br />
も 小 さいため、 原 子 炉 下 部 キャビティの 冷 却 材 のサブクール 度 が 小 さ<br />
くなり、 事 象 を 厳 しく 評 価 することになる。<br />
b. 解 析 コード: 原 子 炉 格 納 容 器 における 区 画 間 や 区 画 内 の 冷 却 材 の 流<br />
動 、 構 造 材 との 熱 伝 達 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 、 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉<br />
容 器 外 の FCI 等 を 評 価 することが 可 能 な、 原 子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 炉 心 損 傷 後 のシビアアクシデント 特<br />
有 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
d. 機 器 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
191
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 後 、 約 1.4 時 間 後 には 原 子 炉 容 器 破 損 に 至 り、 圧 力 スパイ<br />
クが 生 じることにより 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 ・ 温 度 が 上 昇 するが、 代 替<br />
格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減 温 ・ 減 圧 及 び 原 子<br />
炉 格 納 容 器 自 由 体 積 の 大 きさもあいまって、 溶 融 燃 料 流 出 停 止 までの<br />
期 間 の 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 圧 力 ・ 最 高 温 度 はそれぞれ 約<br />
0.343444MPa[gage]、 約 13344℃に 抑 えられる。 以 降 、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 圧 力 ・ 温 度 は、 約 48 時 間 時 点 でも 低 下 傾 向 が 維 持 されており、 安<br />
定 状 態 となっている。<br />
b. その 他 の 事 象 進 展 解 析 結 果 は、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
上 記 a.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (e)を 満 足<br />
している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
原 子 炉 容 器 外 の FCI 現 象 に 関 する 大 規 模 実 験 の 知 見 から、 圧 力 スパ<br />
イクへの 影 響 因 子 として、 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 深 、 破 損 口 径 、デ<br />
ブリ 粒 子 の 径 及 びエントレインメント 係 数 を 挙 げ、これらの 影 響 因 子<br />
に 対 する 感 度 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、これらのパラメータが 圧 力<br />
スパイクに 与 える 影 響 は 小 さいことを 確 認 していることから、 解 析 コ<br />
ードの 不 確 かさが 評 価 項 目 となるパラメータに 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 については、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 としている。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相<br />
互 作 用 」において、 申 請 者 が 水 蒸 気 爆 発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いとしている<br />
192
ことは 妥 当 と 判 断 した。その 上 で、 規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として<br />
申 請 者 が 計 画 している 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減<br />
温 ・ 減 圧 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容<br />
器 スプレイ 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 代 替 格 納 容 器 スプレイを 行 っ<br />
た 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (e)を<br />
満 足 している。さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮<br />
しても、 評 価 項 目 (e)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認<br />
した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機<br />
能 を 喪 失 した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 及 び 格 納 容 器 スプレイ 系 等 )の 復 旧 を 期 待 してい<br />
ないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たっては、これらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容<br />
器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 代 替 格 納 容 器 スプレイによる 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 の 減 温 ・ 減 圧 により<br />
原 子 炉 格 納 容 器 破 損 を 防 止 した 後 、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 の 対 策 を 講 じるこ<br />
とにより、 原 子 炉 格 納 容 器 を 安 定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA<br />
時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに<br />
対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 して<br />
いる 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 水 蒸 気 爆 発 が 実 機 において 発 生 する 可 能 性<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI のうち、 水 蒸 気 爆 発 は、 実 機 において 発 生 す<br />
る 可 能 性 は 極 めて 低 いとしている。その 根 拠 として、 実 機 において 想 定 される<br />
溶 融 物 ( 二 酸 化 ウランとジルコニウムの 混 合 溶 融 物 )を 用 いた 大 規 模 実 験 とし<br />
て、COTELS、FARO、KROTOS 及 び TROI を 挙 げ、これらのうち、KROTOS、TROI の<br />
一 部 実 験 においてのみ 水 蒸 気 爆 発 が 発 生 していることを 示 すとともに、 水 蒸 気<br />
爆 発 が 発 生 した 実 験 では、 外 乱 を 与 えて 液 - 液 直 接 接 触 を 生 じやすくしている<br />
193
こと、あるいはるか、 溶 融 物 の 初 期 の 過 熱 度 を 高 く 設 定 することによりし、 溶<br />
融 物 表 面 がを 冷 却 材 中 で 表 面 固 化 しにくくさせることで、 液 - 液 直 接 接 触 を 生<br />
ているじやすくしていることを 示 した。さらに、 大 規 模 実 験 の 条 件 と 実 機 条 件<br />
とを 比 較 した 上 で、 実 機 においては、 液 - 液 直 接 接 触 が 生 じるような、 外 乱 と<br />
なり 得 る 要 素 は 考 えにくいこと、 実 機 で 想 定 される 初 期 の 過 熱 度 は 実 験 条 件 よ<br />
りも 低 いく、 冷 却 材 中 を 落 下 する 過 程 で 溶 融 物 表 面 の 固 化 が 起 こりやすいこと<br />
を 示 した。<br />
加 えて、 申 請 者 は、JASMINE コードを 用 いた 水 蒸 気 爆 発 の 評 価 では、 水 蒸 気<br />
爆 発 の 規 模 が 最 も 大 きくなる 時 刻 に、 液 - 液 直 接 接 触 が 生 じるような 外 乱 を 与<br />
え 水 蒸 気 爆 発 を 誘 発 していること、 融 体 ジェット 直 径 分 布 として、0.1~1m の<br />
一 様 分 布 を 与 え、 流 体 の 運 動 エネルギーを 大 きく 評 価 していることを 示 し、こ<br />
れらの 評 価 想 定 は、 実 機 での 想 定 と 異 なることを 示 した。さらに、 上 記 の 水 蒸<br />
気 爆 発 に 関 する 大 規 模 実 験 の 知 見 と 実 機 条 件 との 比 較 及 び JASMINE コードに<br />
おける 評 価 想 定 と 実 機 での 想 定 との 相 違 を 踏 まえ、 実 機 においては、 水 蒸 気 爆<br />
発 の 発 生 の 可 能 性 は 極 めて 低 いとする 根 拠 を 示 した。これにより、 規 制 委 員 会<br />
は、 原 子 炉 容 器 外 の FCI で 生 じる 事 象 として、 水 蒸 気 爆 発 は 除 外 し 圧 力 スパイ<br />
クを 考 慮 すべきであることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.5 水 素 燃 焼<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 水 素 燃 焼 」( 以 下 この 節 において「 本 格 納 容 器 破 損 モード」<br />
という。)では、 水 素 燃 焼 の 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 し、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されること<br />
を 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(f)<br />
原 子 炉 格 納 容 器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること。( 水 素 濃 度 が<br />
ドライ 条 件 に 換 算 して 13vol% 以 下 又 は 酸 素 濃 度 が 5vol% 以 下 であること)」につい<br />
て、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 この 節 において「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項<br />
を 省 略 し、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
194
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 :ジルコニウム- 水 反 応 、MCCI、 水 の 放 射<br />
線 分 解 等 によって 水 素 が 発 生 し、 発 生 した 水 素 と 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 酸 素<br />
が 反 応 することにより 激 しい 燃 焼 が 生 じ、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 水 素 の 爆 轟 を 防 止 するためには、 早 期 に 発 生 する 水 素 及<br />
び 継 続 的 に 発 生 する 水 素 を 処 理 し、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 す<br />
る 必 要 がある。また、MCCI に 伴 う 水 素 発 生 に 対 しては、 原 子 炉 下 部 キャ<br />
ビティへ 注 水 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 :PWR プラントは 原 子 炉 格 納 容 器 自 由 体 積 が 大 きいことによ<br />
り 水 素 濃 度 が 高 濃 度 にならないという 特 徴 がある。その 上 で、 主 に 炉 心 損<br />
傷 時 に 発 生 した 水 素 の 処 理 を 行 う。このため、イグナイタを 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 新 たに 整 備 する。また、 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉<br />
下 部 キャビティへ 注 水 する。このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷<br />
式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 燃 料 取<br />
替 用 水 タンク、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 継 続 的 に 発 生 する 水 素 の 処 理 を 行 う。このため、<br />
上 記 3のイグナイタに 加 え、PAR を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備<br />
する。また、 水 素 濃 度 、イグナイタ 及 び PAR の 監 視 を 行 う。このため、 可<br />
搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 、イグナイタ 動 作 監 視 装 置 、PAR 動 作 監 視<br />
装 置 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 する 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 を 確 認 するために、 評 価 事 故 シーケンス 及 び 解 析 コードの 選 定 、 解 析 条<br />
件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 及 び 高 圧 注 入<br />
機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、 事 象 進 展 が 早 くなり、 初<br />
期 から 水 素 放 出 が 開 始 され、かつ 水 素 放 出 速 度 が 大 きくなる 観 点 では、<br />
破 断 口 径 の 大 きい 大 破 断 LOCA であること、 水 蒸 気 が 凝 縮 され 水 素 濃<br />
度 が 相 対 的 に 高 くなる 観 点 では、 格 納 容 器 スプレイが 作 動 する 状 態 で<br />
あることなど、より 厳 しいシーケンスであることから 選 定 する。PRA<br />
の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必<br />
要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケンスは<br />
「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 事 象 進<br />
展 を 早 める 観 点 から 条 件 を 厳 しくするため、 高 圧 注 入 機 能 の 喪 失 を 追<br />
加 する。<br />
195
. 解 析 コード: 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉 容 器 内 の 溶 融 炉 心 のリロケーショ<br />
ン、 原 子 炉 容 器 破 損 、 溶 融 等 の 現 象 を 評 価 することが 可 能 であり、 原<br />
子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 用 いる。また、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 評 価 を 行 うため、 区 画 内 や 区 画 間 の 流 動 、<br />
構 造 材 との 熱 伝 達 等 の 事 象 を 適 切 に 評 価 することが 可 能 な GOTHIC を<br />
用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 水 素 は、 原 子 炉 容 器 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と<br />
反 応 し 発 生 するとする。 外 部 電 源 についてはあるものとする。 外 部 電<br />
源 がある 場 合 、 格 納 容 器 スプレイが 早 期 に 起 動 し、 水 蒸 気 が 凝 縮 され<br />
ることにより、 水 素 濃 度 の 観 点 で 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 :PAR1 基 当 たりの 水 素 処 理 量 は、 設 備 設 計 値 を 基 に<br />
1.2kg/h とし、5 基 の 設 置 とする。イグナイタは、13 基 ( 予 備 1 基 ) 設<br />
置 するが、 水 素 濃 度 の 観 点 で 厳 しくなるように 機 能 することを 期 待 し<br />
ない。ただし、MCCI による 水 素 発 生 の 不 確 かさを 考 慮 する 感 度 解 析<br />
においては、イグナイタの 効 果 に 期 待 する。<br />
e. 操 作 条 件 :PAR は、 運 転 員 等 操 作 を 介 することなく 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 の 水 素 を 処 理 するため、 運 転 員 等 操 作 に 関 する 条 件 はない。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 後 、 炉 内 の 水 が 急 激 に 減 少 し 燃 料 の 露 出 が 始 まると、 燃 料<br />
被 覆 管 温 度 が 上 昇 することにより、ジルコニウム- 水 反 応 による 水 素<br />
が 発 生 するとともに、 約 27 分 後 には 炉 心 溶 融 が 開 始 する。<br />
b. 事 故 発 生 から 約 1.4 時 間 後 に 原 子 炉 容 器 が 破 損 するに 至 り、 溶 融 炉<br />
心 が 原 子 炉 容 器 外 に 流 出 するが、 約 1.5 時 間 後 に 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィに 溜 まった 水 が 原 子 炉 容 器 の 破 損 口 を 通 じて 原 子 炉 容 器 内 に 逆 流<br />
すると、 溶 融 炉 心 の 流 出 は 停 止 する。その 後 、 事 故 発 生 の 約 1.6 時 間<br />
後 に 原 子 炉 容 器 外 に 流 出 した 溶 融 炉 心 のジルコニウム- 水 反 応 によ<br />
る 水 素 の 生 成 はほぼ 停 止 する。ドライ 条 件 に 換 算 した 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 水 素 濃 度 は 最 大 約 12.8vol%で 減 少 に 転 じ、13 vol%を 下 回 る。<br />
c. 水 の 放 射 線 分 解 等 によって 発 生 する 水 素 を 考 慮 しても、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 に 設 置 した PAR の 効 果 により 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 は<br />
徐 々に 減 少 し、 事 象 発 生 から 25 時 間 時 点 においても 低 下 傾 向 が 続 い<br />
ている。<br />
196
d. 1 次 冷 却 材 配 管 の 破 断 区 画 において、ジルコニウム- 水 反 応 により<br />
発 生 した 水 素 が 破 断 口 から 放 出 されることにより、 一 時 的 に 水 素 濃 度<br />
が 高 くなるが、その 期 間 は 短 時 間 であり、 水 蒸 気 を 含 む 雰 囲 気 下 にお<br />
いて 水 素 濃 度 は 爆 轟 領 域 に 達 しない。<br />
e. 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 において、 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 溶 融 炉 心<br />
の 落 下 に 伴 うジルコニウム- 水 反 応 により 発 生 した 水 素 により 水 素<br />
濃 度 が 上 昇 することで、 一 時 的 に 爆 轟 領 域 に 入 る。しかしながら、 実<br />
機 では 気 相 部 に 直 接 起 爆 を 生 ずるようなエネルギー 源 はないこと、 仮<br />
に 燃 焼 が 生 じたとしても 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 の 形 状 等 から 爆<br />
轟 に 遷 移 する 可 能 性 はないことから、 爆 轟 発 生 の 可 能 性 はない。<br />
f. なお、 事 象 初 期 より 格 納 容 器 スプレイが 起 動 しているため、 原 子 炉<br />
下 部 キャビティに 落 下 した 溶 融 炉 心 は、 安 定 して 冷 却 されており、そ<br />
の 後 も 安 定 状 態 を 維 持 できる。<br />
上 記 b.、c.、d. 及 び e.より、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価<br />
項 目 (f)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードの 有 効 性 評 価 では、MAAP で 得 られた 水 素 発<br />
生 量 を 原 子 炉 容 器 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 反 応 するように 補 正<br />
して 評 価 する。 感 度 解 析 のパラメータを 組 み 合 わせた 場 合 、MCCI に<br />
伴 い 発 生 する 水 素 は、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 約 67%である。こ<br />
のことを 考 慮 し、 炉 心 内 の 全 ジルコニウム 量 の 75%が 水 と 反 応 するこ<br />
とに 加 えて、MCCI による 水 素 発 生 を 考 慮 しても、PAR 及 びイグナイタ<br />
により 水 素 処 理 することで、ドライ 条 件 に 換 算 した 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
水 素 濃 度 は 最 大 約 9.5vol%である。したがって、MCCI に 伴 い 発 生 する<br />
水 素 の 不 確 かさを 考 慮 して 評 価 しても、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価<br />
項 目 (f)を 満 足 している。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 の 中 で 影 響 を 与 えると 考 えられる 炉 心 崩 壊 熱 、PAR の 性 能<br />
の 変 動 等 を 対 象 に 不 確 かさの 影 響 を 確 認 したが、いずれも 水 素 濃 度 へ<br />
の 影 響 は 小 さい 又 は 濃 度 を 低 くすることとなる。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
197
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 評 価 事 故 シーケンスの 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対<br />
策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可<br />
能 である。<br />
2 燃 料 取 替 用 水 タンク(1,960m 3 )を 水 源 とする 格 納 容 器 スプレイによる<br />
格 納 容 器 注 水 は、 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 が 再 循 環 切 替 水 位 (16%)に 到<br />
達 後 、 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 運 転 に 切 り 替 える。 以 降 は、 格 納 容 器 再 循<br />
環 サンプを 水 源 とし、 格 納 容 器 スプレイ 再 循 環 運 転 を 継 続 する。したがっ<br />
て、 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 補 給 は 不 要 である。<br />
3 仮 に 外 部 電 源 が 喪 失 して、ディーゼル 発 電 機 からの 給 電 を 想 定 した 場 合<br />
には、ディーゼル 発 電 機 等 の 7 日 間 の 運 転 を 考 慮 すると 合 計 約 61221.5kL<br />
の 重 油 が 必 要 となる。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料<br />
油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 重 大<br />
事 故 等 対 策 時 に 必 要 な 負 荷 は 設 計 基 準 事 故 時 に 想 定 している 非 常 用 炉 心<br />
冷 却 設 備 作 動 信 号 により 作 動 する 負 荷 に 含 まれることから、ディーゼル 発<br />
電 機 による 電 源 供 給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 水 素 燃 焼 」に 対 して、 申 請 者 が 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 水 素 濃 度 の 低 減 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対<br />
策 であると 判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 及 び 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」において、PAR の 設 置 などを 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、<br />
格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (f)を 満 足 している。さらに、MCCI に 伴 い 発<br />
生 する 水 素 の 不 確 かさを 考 慮 して 評 価 しても、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(f)を 満 足 している。これにより、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項<br />
目 (f)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらないことを 確 認 した。なお、 申<br />
請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設<br />
備 ( 高 圧 注 入 ポンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たって<br />
はこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、イグナイタにより、 可 燃 状 態 になった 時 点 で 水 素 を 燃 焼 させることによ<br />
って、MCCI による 更 なる 水 素 生 成 がある 場 合 なども 含 めて、 水 素 濃 度 をより 確<br />
実 に 低 く 抑 えることができることを 確 認 した。イグナイタは、 水 素 が 頂 部 に 成 層<br />
化 する 可 能 性 にも 考 慮 して、 原 子 炉 格 納 容 器 ドーム 部 頂 部 付 近 にも 設 置 すること<br />
198
を 確 認 した。これらの 水 素 処 理 装 置 には 熱 電 対 を 設 置 して、 作 動 状 況 を 把 握 する<br />
ことができることを 確 認 した。<br />
水 の 放 射 線 分 解 等 によって 発 生 する 水 素 を 考 慮 しても、PAR の 効 果 により 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 は 徐 々に 減 少 し、 低 下 傾 向 が 続 くことなどから、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 を 安 定 状 態 に 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断<br />
LOCA 時 に 高 圧 注 入 機 能 及 び 低 圧 注 入 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性<br />
を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 して 有 効 であると 判 断<br />
できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 水 素 燃 焼 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 は、 有 効 な<br />
ものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のとお<br />
りである。<br />
(1) 局 所 的 な 水 素 濃 度 上 昇 による 爆 轟 発 生 の 可 能 性<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 区 画 において、 原 子 炉 容 器 破 損 時 の 溶 融 炉<br />
心 の 落 下 に 伴 う 水 素 発 生 により 水 素 濃 度 が 上 昇 することで 一 時 的 に 爆 轟 領 域<br />
に 入 るが、 実 機 において 爆 轟 が 発 生 することはないとしている。<br />
これに 対 して、 規 制 委 員 会 は、 爆 轟 の 発 生 メカニズムを 整 理 するとともに、<br />
爆 轟 が 発 生 しないとする 根 拠 を 明 確 にするようよう 求 めた。 申 請 者 は、 実 機 で<br />
は 気 相 部 に 衝 撃 波 を 与 えるような 強 いエネルギー 源 はないことから、 直 接 起 爆<br />
による 爆 轟 は 発 生 しないこと、また、 国 内 外 における 知 見 を 踏 まえ、 原 子 炉 下<br />
部 キャビティ 区 画 は、 配 管 やダクトのような 細 長 い 形 状 ではないこと、 片 端 又<br />
は 両 端 が 閉 ざされていないこと、 火 炎 が 加 速 するための 十 分 な 助 走 距 離 がない<br />
こと 及 び 火 炎 の 乱 れを 発 生 させるような 障 害 物 がないことから、 仮 に 燃 焼 が 生<br />
じたとしても 火 炎 が 加 速 され 爆 轟 に 遷 移 する 可 能 性 はないことを 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 爆 轟 の 発 生 メカニズムから 実 機 条 件 下 における 原 子 炉 下 部 キ<br />
ャビティ 区 画 では 直 接 起 爆 による 爆 轟 又 は 火 炎 が 加 速 され 爆 轟 に 遷 移 するこ<br />
とは 考 えにくく、 爆 轟 が 発 生 する 可 能 性 はないと 判 断 した。<br />
199
(2)イグナイタの 信 頼 性 向 上<br />
申 請 者 は、MCCI に 伴 い 発 生 する 水 素 発 生 の 不 確 かさを 考 慮 した 場 合 、PAR だ<br />
けではなくイグナイタによる 水 素 処 理 にも 期 待 することで、ドライ 条 件 に 換 算<br />
した 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 は 13vol% 以 下 となるとしている。<br />
これに 対 して、 規 制 委 員 会 は、イグナイタによる 水 素 処 理 に 期 待 することか<br />
ら、イグナイタの 信 頼 性 を 向 上 させる 対 策 を 検 討 することを 求 めた。 申 請 者 は、<br />
各 イグナイタは 当 初 1 系 統 の 電 源 系 統 としていたが、2 系 統 の 電 源 系 統 から 給<br />
電 するものとし、2 系 統 の 電 源 設 備 はそれぞれ 異 なる 区 画 に 設 置 することで 互<br />
いに 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 した 設 計 とすることを 示 した。<br />
規 制 委 員 会 は、イグナイタの 電 源 設 備 を 多 重 性 、 位 置 的 分 散 及 び 独 立 を 考 慮<br />
した 設 計 としたことで、イグナイタによる 水 素 処 理 がより 確 実 に 実 施 されると<br />
判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.2.6 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
格 納 容 器 破 損 モード「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」( 以 下 この 節 において<br />
「 本 格 納 容 器 破 損 モード」という。)では、 原 子 炉 容 器 から 流 出 した 溶 融 炉 心 によ<br />
るコンクリートの 侵 食 という 観 点 から 厳 しいシーケンスを 選 定 し、これに 対 して 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 し、 放 射 性 物 質 が 異 常 な 水 準 で 敷 地 外 へ 放 出 されること<br />
を 防 止 する 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
本 格 納 容 器 破 損 モードにおいては、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 のうち「(i)<br />
溶 融 炉 心 による 侵 食 によって、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機 能 が 喪 失 しない<br />
こと 及 び 溶 融 炉 心 が 適 切 に 冷 却 されること」について、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 有<br />
効 性 があるかを 確 認 した。<br />
この 節 では、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 破 損 )」( 以 下 この 節 において「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」という。)と 共 通 する 事 項<br />
を 省 略 し、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 特 有 の 事 項 を 中 心 に 記 載 する。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
1 本 格 納 容 器 破 損 モードの 特 徴 : 原 子 炉 容 器 から 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 格 納 容<br />
器 内 の 床 上 に 流 出 し、 溶 融 炉 心 と 接 触 した 床 コンクリートが 溶 融 炉 心 から<br />
200
の 崩 壊 熱 や 化 学 反 応 により 侵 食 され、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 が 喪 失 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 溶 融 炉 心 を 冷 却 し、 溶 融 炉 心 によるコンクリート 侵 食 を<br />
抑 制 するために、 原 子 炉 下 部 キャビティへ 注 水 する。<br />
3 初 期 の 対 策 : 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉 下 部 キャビティへ 注 水<br />
する。このため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵<br />
タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 位 置 付 ける。<br />
なお、 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 状 態 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 水<br />
位 監 視 装 置 の 作 動 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 ( 広 域 )の 上 昇 により 確<br />
認 する。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 格 納 容 器 破 損 モードに 対 する 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効<br />
性 評 価 の 手 法 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 事 故 シーケンス:「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入<br />
機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。これは、<br />
大 破 断 LOCA 時 にはより 早 期 に 原 子 炉 容 器 の 破 損 に 至 るため 流 出 する<br />
溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 が 大 きくなること、また、 炉 心 注 水 及 び 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 機 能 の 喪 失 により 原 子 炉 下 部 キャビティへの 水 の 流 入 が 遅 れ<br />
ることから、コンクリート 侵 食 の 観 点 でより 厳 しくなるためである。<br />
PRA の 手 法 により 抽 出 され、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認<br />
する 必 要 があるとされた 本 格 納 容 器 破 損 モードにおける 事 故 シーケ<br />
ンスは「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器<br />
スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」であるが、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 開<br />
始 時 間 を 遅 らせて、より 厳 しい 条 件 とする 観 点 から、 代 替 電 源 の 準 備<br />
が 必 要 となる 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 も 考 慮 する。さらに、 常 設 電 動 注<br />
入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイ 及 び 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を<br />
用 いた 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 海 水 通 水 による 格 納 容 器 内 自 然<br />
対 流 冷 却 の 有 効 性 を 確 認 する 観 点 から、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 の 重<br />
畳 を 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉 容 器 内 の 溶 融 炉 心 のリロケーショ<br />
ン、 原 子 炉 容 器 破 損 、 溶 融 等 の 現 象 を 評 価 することが 可 能 であり、 原<br />
201
子 炉 系 、 原 子 炉 格 納 容 器 系 の 熱 水 力 モデルを 備 え、かつ、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 の 溶 融 炉 心 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
d. 機 器 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
e. 操 作 条 件 :「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 である。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 炉 心 溶 融 開 始 30 分 後 ( 事 象 発 生 の 約 52 分 後 )に 常 設 電 動 注 入 ポン<br />
プを 用 いた 代 替 格 納 容 器 スプレイにより 原 子 炉 下 部 キャビティへの<br />
注 水 を 開 始 する。これにより、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 下 部 キャビティに 落<br />
下 する 時 点 ( 事 象 発 生 の 約 1.4 時 間 後 )において 約 1.1m の 原 子 炉 下<br />
部 キャビティ 水 位 が 確 保 され、 溶 融 炉 心 の 崩 壊 熱 は 除 去 される。コン<br />
クリートの 侵 食 は 約 5mm であり、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 に 及 ぼす 影 響 はない。<br />
b. その 他 の 事 象 進 展 解 析 結 果 は、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 じである。<br />
よって、 解 析 結 果 は 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (i)を 満 足 して<br />
いる。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
溶 融 炉 心 とコンクリート 間 の 伝 熱 及 びコンクリート 侵 食 挙 動 につ<br />
いては、ACE 実 験 及 び SURC 実 験 、また、より 新 しい DEFOR 実 験 及 び<br />
OECD-MCCI 実 験 の 結 果 との 比 較 により MAAP 解 析 の 妥 当 性 が 確 認 され<br />
ている(※ 14 )。しかし、これらの 現 象 は 不 確 かさが 大 きく、また、<br />
知 見 も 限 られることから、コンクリート 侵 食 量 に 影 響 を 与 えるパラメ<br />
ータについて 検 討 し、 原 子 炉 下 部 キャビティ 床 面 での 溶 融 炉 心 の 拡 が<br />
り 及 び 溶 融 炉 心 と 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 との 伝 熱 の 不 確 かさにつ<br />
いて 感 度 解 析 を 実 施 した。その 結 果 、 保 守 的 にライナプレートがない<br />
と 仮 定 し、 厳 しい 条 件 を 重 畳 させた 場 合 でも、 床 面 及 び 側 面 のコンク<br />
リート 侵 食 量 は 約 16cm であり、 原 子 炉 格 納 容 器 の 構 造 部 材 の 支 持 機<br />
能 に 与 える 影 響 はない。なお、 溶 融 炉 心 が 拡 がる 過 程 で 先 端 から 冷 却<br />
が 進 むと 考 えられ、また、 実 験 等 の 知 見 によれば、 側 面 コンクリート<br />
(※ 14 )「Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード」 2.(3)MAAP を 参 照 。<br />
202
が 侵 食 されて 形 成 されたギャップに 水 が 浸 入 するため、 溶 融 物 の 冷 却<br />
が 促 進 されコンクリート 侵 食 は 抑 制 される。これらにより、 評 価 項 目<br />
(i)に 関 する 判 断 に 影 響 を 及 ぼす 量 には 至 らなかった。また、これ<br />
らの 挙 動 に 関 連 する 運 転 員 等 操 作 はないため、 運 転 員 等 操 作 開 始 時 間<br />
に 与 える 影 響 はない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
炉 心 崩 壊 熱 の 変 動 を 考 慮 して 最 確 条 件 とした 場 合 、 保 守 的 に 設 定 し<br />
た 場 合 より 崩 壊 熱 が 小 さくなるため 炉 心 溶 融 の 開 始 が 遅 くなり、 原 子<br />
炉 下 部 キャビティ 注 水 の 準 備 時 間 の 余 裕 が 大 きくなる。また、 原 子 炉<br />
容 器 破 損 時 間 が 遅 くなるため、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 下 部 キャビティに 落<br />
下 する 時 点 での 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 量 が 多 くなり、 溶 融 炉 心 の 熱<br />
量 も 小 さくなるため、コンクリート 侵 食 量 は 減 少 する。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 操 作 開 始 遅 れが 原 子 炉 下 部 キャビ<br />
ティ 水 量 に 及 ぼす 影 響 を 把 握 するため、 注 水 操 作 開 始 時 間 を 遅 らせた<br />
感 度 解 析 を 実 施 し、 操 作 の 開 始 が 8 分 遅 れても、 原 子 炉 容 器 破 損 時 に<br />
おいて 約 0.9m の 原 子 炉 下 部 キャビティ 水 位 を 確 保 できることを 確 認<br />
した。この 結 果 より、 評 価 項 目 (i)を 満 足 することに 変 わりはない。<br />
これ 以 外 の 本 事 故 シーケンスの 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 への 影 響<br />
については「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 じであり、 対 策 実 施 に 与 える 影<br />
響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスへの 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及<br />
び 燃 料 等 については、「 格 納 容 器 過 圧 破 損 」と 同 一 としている。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」に 対<br />
して 申 請 者 が 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 として 計 画 している 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
による 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると<br />
判 断 した。<br />
評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断 LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納<br />
容 器 スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 原 子 炉 下 部 キャビティへの 注 水 を<br />
行 った 場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (i)<br />
を 満 足 している。さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 及 び 現 象 の 不<br />
確 かさを 考 慮 し、コンクリート 侵 食 量 の 感 度 解 析 を 実 施 した 結 果 、 厳 しい 条 件 を<br />
203
重 畳 させた 場 合 でもコンクリート 侵 食 量 が 支 持 機 能 に 影 響 を 及 ぼす 量 には 至 ら<br />
なかったことから、 評 価 項 目 (i)を 概 ね 満 足 しているという 判 断 は 変 わらない<br />
ことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観<br />
点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 高 圧 注 入 系 、 余 熱 除 去 系 等 )の 復 旧 を 期 待 してい<br />
ないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」で 示 したように、 評 価 事 故 シーケンス「 大 破 断<br />
LOCA 時 に 低 圧 注 入 機 能 、 高 圧 注 入 機 能 及 び 格 納 容 器 スプレイ 機 能 が 喪 失 する 事<br />
故 」におけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 格 納 容 器 破 損 モードに<br />
対 して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 格 納 容 器 破 損 モー<br />
ド「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 特 に 指 摘 を 行 い、 確 認 した 点 は 以 下 のとお<br />
りである。<br />
(1) 溶 融 炉 心 落 下 後 における 原 子 炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 への 影 響<br />
PCCV は、 構 造 強 度 を 確 保 する 鉄 筋 コンクリート 部 と 気 密 性 を 確 保 する 鋼 製<br />
ライナプレートから 構 成 されている。PCCV の 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 のうち、<br />
底 面 のライナプレートはコンクリートで 覆 われているものの 側 面 はライナプ<br />
レートが 露 出 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 内 に 落 下 した 際 に 溶 融 炉<br />
心 が 側 面 ライナプレートに 接 触 する 可 能 性 があることから、 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
閉 じ 込 め 機 能 への 影 響 について 詳 細 な 説 明 を 求 めた。 申 請 者 は、 原 子 炉 下 部 キ<br />
ャビティ 室 に 溶 融 炉 心 が 落 下 し、 側 面 のライナプレートに 接 触 して 破 損 した 場<br />
合 でも、 基 礎 コンクリート 及 び 基 礎 コンクリートと 鋼 材 との 付 着 力 を 考 慮 すれ<br />
ば 連 続 した 隙 間 は 生 じるとは 考 え 難 く、また、 外 部 環 境 まで 到 達 するような 長<br />
大 な 割 れが 生 じるとは 考 え 難 いこと、 仮 にリークパスを 想 定 した 場 合 でも、 原<br />
子 炉 格 納 容 器 からの 漏 えい 量 は、 格 納 容 器 破 損 モード「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 によ<br />
る 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 ) 」における Cs-137 放 出 量 評 価 で 設 定 した 原 子 炉<br />
格 納 容 器 漏 えい 率 の 保 守 性 に 包 絡 されることを 示 した。<br />
204
規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 下 部 キャビティ 室 内 に 落 下 した 溶 融 炉 心 が 側 面 ライナ<br />
プレートに 接 触 したとしても、 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 通 じる 貫 通 リークパスが 生<br />
じる 可 能 性 は 小 さく、 仮 に 貫 通 リークパスを 想 定 したとしても、 外 部 への 漏 え<br />
いは 有 効 性 評 価 で 設 定 している 漏 えい 率 の 保 守 性 に 包 絡 されることから、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 閉 じ 込 め 機 能 は 確 保 されると 判 断 した。<br />
なお、 申 請 者 は、さらなる 安 全 性 向 上 対 策 として、 自 主 的 に 原 子 炉 下 部 キャ<br />
ビティ 室 内 に 防 護 壁 を 設 置 し、 原 子 炉 下 部 キャビティ 側 面 ライナプレートと 溶<br />
融 炉 心 の 接 触 を 防 止 するとしている。<br />
Ⅳ-1.2.3 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 3 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発<br />
生 した 場 合 において、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 燃 料 体 又 は 使 用 済 燃 料 ( 以 下 「 貯 蔵 槽<br />
内 燃 料 体 等 」という。)の 著 しい 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたもので<br />
なければならないと 要 求 している。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、「 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 を 防 止 す<br />
るために 必 要 な 措 置 を 講 じたもの」とは、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機<br />
能 が 喪 失 することにより、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 温 度 が 上 昇 し、 蒸 発 により 水<br />
位 が 低 下 する 事 故 ( 以 下 「 想 定 事 故 1」という。) 及 びサイフォン 現 象 等 により 使<br />
用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 小 規 模 な 喪 失 が 発 生 し、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 低 下 す<br />
る 事 故 ( 以 下 「 想 定 事 故 2」という。)に 対 して、 以 下 の(a)から(c)の 項 目 ( 以<br />
下 「 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 」という。)を 満 足 することを 確 認 するとしてい<br />
る。<br />
(a) 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 していること。<br />
(b) 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 水 位 が 確 保 されていること。<br />
(c) 未 臨 界 が 維 持 されていること。<br />
Ⅳ-1.2.3.1 想 定 事 故 1<br />
「 想 定 事 故 1」では、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 が 喪 失 すること<br />
により、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 温 度 が 上 昇 し、 蒸 発 により 水 位 が 低 下 する 場 合<br />
において、 燃 料 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 想 定 事 故 の 特 徴 及 びその 対 策<br />
205
申 請 者 は、「 想 定 事 故 1」の 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 想 定 事 故 の 特 徴 : 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 の 喪 失 に<br />
より、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 温 が 徐 々に 上 昇 し、 沸 騰 して 蒸 発 すること<br />
によって 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 低 下 し、 燃 料 が 露 出 して 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 必 要 な 水 位 を 維 持 し、 燃 料 の 損 傷 を 防 止 するために、 使<br />
用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 行 う。<br />
3 対 策 : 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 を 行 う。このため、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ット 補 給 用 水 中 ポンプ、 取 水 用 水 中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 中 間 受<br />
槽 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 びタンクローリを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 た<br />
に 整 備 する。また、 使 用 済 燃 料 ピットの 状 態 を 監 視 する。このため、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 周 辺 線 量 率 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 (SA) 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 整 備 する。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 1」への 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 解 析 手 法 を、 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
a. 評 価 の 考 え 方 : 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 が、 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 で<br />
きる 最 低 水 位 ( 放 射 線 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を 維 持 できる 水 位 。<br />
通 常 水 位 - 約 3.27m)に 低 下 するまでの 時 間 を 評 価 し、それよりも 早<br />
期 に 注 水 を 開 始 できることの 確 認 をもって、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 におけ<br />
る 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (b)を 満 たすものとする。 評 価 項 目<br />
(b)が 満 たされる 場 合 は 評 価 項 目 (a)も 同 時 に 満 たされる。<br />
b. 事 故 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピットポンプ 等 の 故 障 により 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
トの 冷 却 機 能 及 び 注 水 機 能 が 喪 失 するものとする。 事 故 発 生 時 の 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 温 は 40℃、 水 位 は 通 常 水 位 -0.09m とする。また、 外<br />
部 電 源 の 有 無 は 事 象 進 展 及 び 運 転 員 等 操 作 時 間 に 影 響 を 及 ぼさない<br />
が、 必 要 な 燃 料 等 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、 外 部 電 源 はないものと<br />
する。<br />
c. 機 器 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 流 量 は 25 m 3 /h と<br />
する。<br />
d. 操 作 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 は、 事 象<br />
発 生 の 確 認 、 注 水 準 備 に 必 要 な 移 動 、 操 作 等 に 必 要 な 時 間 を 考 慮 して、<br />
事 象 発 生 から 7 時 間 50 分 後 に 開 始 するものとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
206
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 機 能 及 び 注 水 機 能 の 喪 失 により、 使 用 済 燃 料<br />
ピット 内 の 水 温 が 約 13 時 間 後 に 100℃に 到 達 し、 水 位 が 緩 慢 に 低 下<br />
し 始 める。<br />
b. 事 故 発 生 後 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 できる 最<br />
低 水 位 まで 低 下 する 時 間 は 約 2.1 日 である。 一 方 、 事 故 発 生 後 、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 の 準 備 に 要 する 時 間 は 7<br />
時 間 50 分 である。よって、 放 射 線 の 遮 蔽 が 失 われる 前 に 注 水 を 開 始<br />
できる。<br />
c. 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 流 量 は 25 m 3 /h であり、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 温 が 100℃に 到 達 した 後 の 崩 壊 熱 による 蒸 発 量 を 上 回<br />
っていることから、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 し、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 さ<br />
れる 水 位 を 確 保 できる。よって、 評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 におけ<br />
る 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)を 満 足 している。<br />
d. 使 用 済 燃 料 ピットは 純 水 冠 水 状 態 においても 未 臨 界 ( 実 効 増 倍 率 約<br />
0.966)であり、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 が 沸 騰 状 態 となり 密 度 が 低<br />
下 する 場 合 には 実 効 増 倍 率 が 低 下 するため 未 臨 界 は 維 持 される。 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 のほう 素 酸 濃 度 が 高 い 場 合 、 沸 騰 前 と 沸 騰 状 態 におけ<br />
る 実 効 増 倍 率 は 1.0( 臨 界 )に 対 して 十 分 低 く、 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
よって、 評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評<br />
価 項 目 (c)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 用 いた 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 、 初 期 水 位 及 び 初 期 水 温 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、 使 用 済 燃 料<br />
ピット 内 の 水 温 が 変 動 するが、 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプに<br />
よる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 操 作 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 及 び<br />
水 位 を 起 点 に 開 始 する 操 作 ではないことから、 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与<br />
える 影 響 はない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 評 価 結 果 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、 解 析 条 件 として 設 定 している 崩 壊 熱<br />
より 小 さい 側 への 変 動 となり、また、 初 期 水 位 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、<br />
解 析 条 件 として 設 定 している 初 期 水 位 より 高 い 側 への 変 動 となるた<br />
め、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 最 低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 約<br />
2.1 日 より 長 くなる。 初 期 水 温 の 変 動 を 考 慮 し、 解 析 条 件 である 40℃<br />
207
より 厳 しい 65℃( 使 用 済 燃 料 ピットポンプ 1 台 故 障 時 の 平 均 水 温 の<br />
制 限 値 )として 評 価 した 結 果 、 遮 蔽 が 維 持 できる 最 低 水 位 に 到 達 する<br />
までの 時 間 は 約 1.9 日 となるが、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 は 事 故 発<br />
生 の 7 時 間 50 分 後 から 可 能 であるため、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小<br />
さい。<br />
その 他 の 解 析 条 件 の 不 確 かさ( 水 温 100℃ 未 満 での 水 面 からの 蒸 発<br />
による 水 位 低 下 等 )による 影 響 や、 操 作 開 始 時 間 の 遅 れによる 影 響 を<br />
考 慮 しても、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 できる 最<br />
低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 注 水 開 始 に 必 要 な 時 間 に 対 して 十 分<br />
な 余 裕 を 維 持 することから、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの<br />
注 水 操 作 を 現 場 にて 実 施 する 要 員 は、 同 一 の 運 転 員 等 による 事 象 進 展<br />
上 重 複 する 操 作 がないことから、 対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 1」に 対 する 燃 料 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料<br />
等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 想 定 事 故 が 発 生 した 場 合 の 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 合 わせて 40 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急<br />
時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応<br />
が 可 能 である。<br />
2 本 想 定 事 故 の 対 応 では、25 m 3 /h の 流 量 で 間 欠 的 に 使 用 済 燃 料 ピットへ<br />
の 注 水 を 行 うが、 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 水 源 となる 中 間 受<br />
槽 には、 取 水 用 水 中 ポンプにより 淡 水 ( 八 田 浦 貯 水 池 ) 又 は 海 水 を 取 水 源<br />
として 50 m 3 /h の 流 量 で 供 給 が 可 能 である。<br />
3 本 想 定 事 故 の 対 応 に 必 要 な 燃 料 としては、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を<br />
全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、<br />
発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量<br />
620kL で 対 応 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の「 想 定 事 故 1」に 対 して 申 請 者 が 計 画 して<br />
いる 燃 料 損 傷 防 止 対 策 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
「 想 定 事 故 1」において、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 代 替 注 水 を 行 った 場 合 に 対 す<br />
る 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 している。<br />
208
さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 をいずれ<br />
も 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、<br />
より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 使 用 済 燃 料 ピットポ<br />
ンプ 等 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備<br />
の 機 能 回 復 も 重 要 な 燃 料 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の「 想 定 事 故 1」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 燃 料 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なも<br />
のであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.3.2 想 定 事 故 2<br />
「 想 定 事 故 2」では、サイフォン 現 象 等 により 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 内 の 水 の 小 規 模<br />
な 喪 失 が 発 生 し、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 低 下 する 場 合 において、 燃 料 損 傷 防 止<br />
対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 想 定 事 故 の 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 2」の 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 想 定 事 故 の 特 徴 :サイフォン 現 象 等 により 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 の<br />
小 規 模 な 喪 失 が 発 生 し、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 低 下 し、 燃 料 が 露 出 して<br />
損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 必 要 な 水 位 を 維 持 し、 燃 料 の 損 傷 を 防 止 するために、 使<br />
用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 行 う。<br />
3 対 策 :「 想 定 事 故 1」と 同 一 である。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 2」に 対 する 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷<br />
防 止 対 策 の 解 析 手 法 を、 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 評 価 の 考 え 方 : 使 用 済 燃 料 ピット 水 の 小 規 模 な 喪 失 により 水 位 が 低<br />
下 した 後 、 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 できる 最 低 水 位 ( 放 射 線 の 遮 蔽 設 計 基<br />
準 値 0.15mSv/h を 維 持 できる 水 位 。 通 常 水 位 - 約 3.27m。)に 低 下 す<br />
るまでの 時 間 を 評 価 し、それよりも 早 期 に 注 水 を 開 始 できることの 確<br />
209
認 をもって、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(b)を 満 たすものとする。 評 価 項 目 (b)が 満 たされる 場 合 は 評 価 項<br />
目 (a)も 同 時 に 満 たされる。<br />
b. 事 故 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 の 配 管 破 断 によるサイフォン 現<br />
象 等 によりピット 水 の 小 規 模 な 漏 えいが 発 生 し、 使 用 済 燃 料 ピット 出<br />
口 配 管 下 端 ( 通 常 水 位 -1.41m)まで 水 位 が 低 下 すると 想 定 する。こ<br />
の 破 断 により 冷 却 機 能 が 喪 失 するが、 重 畳 して、 注 水 機 能 も 喪 失 する<br />
ものとする。 漏 えいはこの 水 位 で 止 まるが、 水 温 が 上 昇 して 蒸 発 が 起<br />
こる 場 合 は 更 なる 水 位 低 下 が 生 じる。 事 故 発 生 時 の 使 用 済 燃 料 ピット<br />
水 温 は 40℃とする。また、 外 部 電 源 の 有 無 は 事 象 進 展 及 び 運 転 員 等 操<br />
作 時 間 に 影 響 を 及 ぼさないが、 必 要 な 燃 料 等 を 厳 しく 評 価 する 観 点 か<br />
ら、 外 部 電 源 はないものとする。<br />
c. 機 器 条 件 :「 想 定 事 故 1」と 同 一 である。<br />
d. 操 作 条 件 : 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 は、 事 象<br />
発 生 後 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下<br />
端 に 達 した 時 点 から 準 備 を 開 始 するものとし、 要 員 の 移 動 及 び 注 水 準<br />
備 等 に 必 要 な 時 間 等 を 考 慮 して、 事 象 発 生 から 7 時 間 50 分 後 に 開 始<br />
するものとする。なお、 本 評 価 では 事 象 発 生 から 使 用 済 燃 料 ピット 水<br />
位 が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下 端 に 達 するまでの 時 間 は 考<br />
慮 しない。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 の 配 管 破 断 により 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
が 使 用 済 燃 料 ピット 出 口 配 管 下 端 まで 低 下 した 後 、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
内 の 水 温 が 約 11 時 間 後 に 100℃に 到 達 し、 水 位 が 緩 慢 に 低 下 し 始 め<br />
る。<br />
b. 事 故 発 生 後 、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 を 維 持 できる 最<br />
低 水 位 まで 低 下 する 時 間 は 約 1.4 日 である。 一 方 、 事 故 発 生 後 、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 注 水 の 準 備 に 要 する 時 間 は 7<br />
時 間 50 分 ( 約 0.3 日 )である。よって、 放 射 線 の 遮 蔽 が 失 われる 前 に<br />
注 水 を 開 始 できる。<br />
c. 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプの 流 量 は 25 m 3 /h であり、 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 温 が 100℃に 到 達 した 後 の 崩 壊 熱 による 蒸 発 量 を 上 回<br />
っていることから、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 し、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 さ<br />
210
れる 水 位 を 確 保 できる。よって、 評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 におけ<br />
る 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 (a) 及 び(b)を 満 足 している。<br />
d. 使 用 済 燃 料 ピットは 純 水 冠 水 状 態 においても 未 臨 界 ( 実 効 増 倍 率 約<br />
0.966)であり、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 水 が 沸 騰 状 態 となり 密 度 が 低<br />
下 する 場 合 には 実 効 増 倍 率 が 低 下 するため 未 臨 界 は 維 持 される。 使 用<br />
済 燃 料 ピット 水 のほう 素 酸 濃 度 が 高 い 場 合 、 沸 騰 前 と 沸 騰 状 態 におけ<br />
る 実 効 増 倍 率 は 臨 界 に 対 して 十 分 低 く、 未 臨 界 は 維 持 される。よって、<br />
評 価 結 果 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目<br />
(c)を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 及 び 初 期 水 温 及 び 隣 接 するピットの 状 態 を 最 確 条 件 とした<br />
場 合 、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 上 昇 及 び 水 位 低 下 時 間 は 変 動 する。 使<br />
用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水<br />
準 備 は、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下<br />
端 に 達 した 時 点 から 開 始 するが、 事 象 発 生 から 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
が 使 用 済 燃 料 ピット 冷 却 系 出 口 配 管 下 端 に 達 するまでの 時 間 は 考 慮<br />
しないことから、 運 転 員 等 操 作 時 間 に 与 える 影 響 はない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさが 評 価 結 果 に 与 える 影 響<br />
崩 壊 熱 の 最 確 値 を 用 いた 場 合 、 解 析 条 件 として 設 定 している 崩 壊 熱<br />
より 小 さい 側 への 変 動 となるため、 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 最 低 水<br />
位 に 到 達 するまでの 時 間 は 約 1.4 日 より 長 くなる。また、 初 期 水 温 の<br />
変 動 を 考 慮 し、 解 析 条 件 である 40℃より 厳 しい 65℃( 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットポンプ 1 台 故 障 時 の 平 均 水 温 の 制 限 値 )として 評 価 した 結 果 、 遮<br />
蔽 が 維 持 できる 最 低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 約 1.2 日 となるが、<br />
使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 は 事 故 発 生 の 7 時 間 50 分 ( 約 0.3 日 ) 後 か<br />
ら 可 能 であるため、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
その 他 の 解 析 条 件 の 不 確 かさ( 水 温 100℃ 未 満 での 水 面 からの 蒸 発<br />
による 水 位 低 下 等 )による 影 響 や、 操 作 開 始 時 間 の 遅 れによる 影 響 を<br />
考 慮 しても、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 が 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 できる 最<br />
低 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 は 注 水 開 始 に 必 要 な 時 間 に 対 して 十 分<br />
な 余 裕 を 維 持 することから、 評 価 結 果 に 与 える 影 響 は 小 さい。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
211
使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの<br />
注 水 操 作 を 現 場 にて 実 施 する 要 員 は、 前 後 に 他 の 操 作 がないことから、<br />
対 策 の 実 施 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、「 想 定 事 故 2」に 対 する 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における 燃 料 損 傷 防 止<br />
対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
本 想 定 事 故 が 発 生 した 場 合 の 対 応 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 合 わせて 40 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策<br />
本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 であ<br />
る。<br />
燃 料 等 については「 想 定 事 故 1」と 同 一 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の「 想 定 事 故 2」に 対 して 申 請 者 が 計 画 して<br />
いる 燃 料 損 傷 防 止 対 策 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
「 想 定 事 故 2」において、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 代 替 注 水 を 行 った 場 合 に 対 す<br />
る 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも 満 足 している。<br />
さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 項 目 をいずれ<br />
も 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、<br />
より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 冷 却 系 配 管 等 )の 復<br />
旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も<br />
重 要 な 燃 料 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の「 想 定 事 故 2」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 燃 料 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なも<br />
のであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.4 運 転 停 止 中 の 原 子 炉 の 燃 料 損 傷 防 止 対 策<br />
第 37 条 第 4 項 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 は、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 が 発<br />
生 した 場 合 において、 運 転 停 止 中 (※ 15 )における 発 電 用 原 子 炉 内 の 燃 料 体 の 著 し<br />
(※ 15 ) 運 転 停 止 中 :「 停 止 中 評 価 ガイド」には、「 原 子 炉 運 転 停 止 の 過 程 における 主 発 電 機 の 解 列 から、 原 子 炉 起<br />
動 過 程 における 主 発 電 機 の 並 列 まで」を 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 の 期 間 と 示 している。ただし、 全 燃 料 が 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 に 取 り 出 され、 原 子 炉 に 燃 料 がない 場 合 は 除 くとされている。<br />
212
い 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたものでなければならないと 要 求 して<br />
いる。<br />
同 条 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 は、「 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 著 しい 損 傷<br />
を 防 止 するために 必 要 な 措 置 を 講 じたもの」とは、 想 定 する 運 転 停 止 中 事 故 シーケ<br />
ンスグループに 対 して、 以 下 の(a)から(c)の 項 目 ( 以 下 「 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料<br />
体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 」という。)を 満 足 することを 確 認 するとしている。<br />
(a) 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 していること。<br />
(b) 放 射 線 の 遮 蔽 が 維 持 される 水 位 が 確 保 されていること。<br />
(c) 未 臨 界 が 確 保 されていること(ただし、 通 常 の 運 転 操 作 における 臨 界 、 又<br />
は 燃 料 の 健 全 性 に 影 響 を 与 えない 一 時 的 かつ 僅 かな 出 力 上 昇 を 伴 う 臨 界 は<br />
除 く。)。<br />
Ⅳ-1.2.4.1 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ( 余 熱 除 去 系 の 故 障 に<br />
よる 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )」( 以 下 この 節 において「 本 事 故 シーケンスグループ」<br />
という。)では、 原 子 炉 運 転 停 止 中 に、 余 熱 除 去 系 の 故 障 等 により 崩 壊 熱 除 去 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 において、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があ<br />
るかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 余 熱 除 去 系 の 故 障 に 伴 う 崩 壊 熱 除 去<br />
機 能 の 喪 失 に 起 因 して、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 が 炉 心 崩 壊 熱 により 継 続 的 に<br />
蒸 発 して 減 少 し、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 が 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 露 出 及 び 損 傷 を 防 止 するた<br />
めには、 炉 心 への 注 水 手 段 を 確 保 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確 保 する 必<br />
要 がある。さらに、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 へ 熱 の 輸 送 を 確 保 し、 原 子 炉 内<br />
燃 料 体 の 崩 壊 熱 の 除 熱 を 継 続 的 に 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 充 てんポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 を 炉 心 に 注 水 し、<br />
1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 維 持 するとともに、 加 圧 器 開 口 部 ( 加 圧 器 安 全 弁<br />
3 弁 を 取 り 外 し 中 )からの 蒸 気 の 放 出 により 崩 壊 熱 を 除 去 する。このため、<br />
充 てんポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク、ディーゼル 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
213
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 運 転 に 切<br />
り 替 え、 炉 心 冷 却 を 継 続 するとともに、 必 要 に 応 じて、 格 納 容 器 再 循 環 ユ<br />
ニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 い、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を<br />
継 続 する。このため、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン<br />
使 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再<br />
循 環 サンプ、B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析<br />
コードの 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 余 熱 除<br />
去 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。PRA の 手 法 により 抽 出 され、 運<br />
転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必 要 が<br />
あるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける 事 故 シーケンスは、<br />
「 余 熱 除 去 機 能 喪 失 」である。 対 策 実 施 の 余 裕 時 間 及 び 燃 料 損 傷 回 避<br />
に 必 要 な 設 備 容 量 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、 崩 壊 熱 が 高 く、 原 子 炉<br />
冷 却 材 の 保 有 水 量 が 少 ない 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に「 余 熱<br />
除 去 機 能 喪 失 」が 起 こるとする。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 崩 壊 熱 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、 沸 騰 及 びボ<br />
イド 率 変 化 、 気 液 分 離 及 び 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における ECCS 強 制 注<br />
入 等 を 取 り 扱 うことのできる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 余 熱 除 去 ポンプの 故 障 等 による 余 熱 除 去 系 の 機 能 喪 失 が、<br />
2 系 統 で 同 時 に 発 生 することを 想 定 する。 事 象 発 生 の 時 期 については、<br />
定 期 検 査 工 程 上 、 原 子 炉 停 止 から 1 次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 と<br />
して 考 えられる 最 短 時 間 に 余 裕 をみた( 崩 壊 熱 を 高 くする 厳 しめの 設<br />
定 にするために 短 くしている) 時 間 として、 原 子 炉 停 止 後 72 時 間 と<br />
する。また、 外 部 電 源 はないものとする。これは、 燃 料 の 確 保 の 観 点<br />
では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
d. 機 器 条 件 : 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 流 量 は、37m 3 /h とする。こ<br />
れは、 炉 心 注 水 開 始 を 事 象 発 生 後 50 分 とした 場 合 の 崩 壊 熱 による 蒸<br />
発 量 (36.6m 3 /h)を 上 回 る 流 量 である。<br />
214
e. 操 作 条 件 : 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 の 開 始 は、 事 象 発 生 の<br />
検 知 及 び 判 断 並 びに 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 に 要 する 時 間<br />
を 考 慮 して、 事 象 発 生 から 50 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 の 約 2 分 後 から、1 次 冷 却 材 が 温 度 上 昇 により 沸 騰 し 始 め、<br />
蒸 気 が 加 圧 器 開 口 部 から 流 出 することで 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減<br />
少 し、 炉 心 水 位 は 低 下 する。 事 象 発 生 の 50 分 後 に 充 てんポンプによ<br />
る 炉 心 注 水 を 開 始 することにより、 事 象 発 生 後 約 150 分 で、 加 圧 器 開<br />
口 部 からの 流 出 流 量 と 炉 心 への 注 水 流 量 が 釣 り 合 い、1 次 冷 却 系 の 保<br />
有 水 量 及 び 1 次 冷 却 材 温 度 は 安 定 する。<br />
b. 事 象 発 生 後 、 燃 料 有 効 長 頂 部 のボイド 率 は 最 大 でも 0.7 程 度 であり、<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により、 炉 心 は 露 出 することはなく、 燃<br />
料 有 効 長 頂 部 は 冠 水 している。<br />
c. 燃 料 有 効 長 上 端 まで 水 位 が 低 下 しても、 原 子 炉 容 器 ふたは 閉 止 され<br />
ている 状 態 であり、 炉 心 上 部 の 遮 蔽 物 により 空 間 線 量 率 が 抑 えられ、<br />
作 業 員 の 被 ばく 低 減 が 図 られるため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 間 線 量 率<br />
は 燃 料 取 替 え 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を<br />
上 回 ることはない。<br />
d. ほう 素 濃 度 が 高 い 条 件 下 では、 炉 心 崩 壊 熱 による 1 次 冷 却 材 におけ<br />
るボイド 発 生 により 1 次 冷 却 材 の 密 度 が 低 下 すると、1 次 冷 却 材 中 の<br />
ほう 素 密 度 の 低 下 に 伴 う 中 性 子 吸 収 効 果 の 減 少 により、 一 時 的 に 反 応<br />
度 が 上 昇 する 場 合 がある。しかし、その 場 合 であっても 実 効 増 倍 率 が<br />
1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
e. なお、 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 が 再<br />
循 環 切 替 値 に 到 達 後 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHR-CSS タイライ<br />
ン 使 用 )による 代 替 再 循 環 運 転 に 切 替 えるとともに、 格 納 容 器 内 自 然<br />
対 流 冷 却 による 除 熱 を 継 続 することで 原 子 炉 を 安 定 状 態 へ 移 行 可 能<br />
である。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
215
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 では、 大 気 圧 程 度 の 低 圧 時 における 炉 心 水 位 の 不 確 かさ<br />
は±10%(±0.4m) 程 度 である。ただし、 実 際 の 炉 心 水 位 が 評 価 値 よ<br />
り 0.4m 程 度 低 くなると 仮 定 しても、 燃 料 有 効 長 頂 部 から 更 に 約 1.0m<br />
高 い 位 置 まで 水 位 が 確 保 されるので、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 している<br />
ことには 変 わりはない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 は 保 守 的 ( 大 きい)な 値 に 設 定 されてい<br />
るため 実 際 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 は 解 析 結 果 に 比 べて 抑<br />
制 され、 炉 心 露 出 に 対 する 時 間 的 余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 については、 一 連 の 操 作 が 中 央 制<br />
御 室 で 実 施 され、 他 の 操 作 との 重 複 もないことから、 要 員 の 配 置 によ<br />
る 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 原 子 炉 内 燃 料 の 損 傷 防 止 対 策 に 必 要 な<br />
要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 等 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、<br />
発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量<br />
620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 対 してディ<br />
ーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供 給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ( 余<br />
熱 除 去 系 の 故 障 による 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )」に 対 して、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原<br />
子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 充 てんポンプによる 炉 心 注 水<br />
及 びB 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )を 用 いた 代 替 再 循<br />
環 運 転 による 炉 心 冷 却 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失<br />
する 事 故 」において、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 を 行 った 場 合 に 対 する 申 請 者<br />
の 解 析 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいずれも<br />
216
満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 かさを 考 慮<br />
しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。な<br />
お、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機 能 を 喪 失<br />
した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 の 2 系 統 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に<br />
当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷<br />
防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を 回 避 した 後 、<br />
原 子 炉 を 安 定 停 止 状 態 へ 導 くために、 格 納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 等 に<br />
より、 炉 心 冷 却 へ 移 行 する 対 策 が 整 備 されていることを 確 認 した。<br />
さらに 規 制 委 員 会 は、 対 策 及 び 復 旧 作 業 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、<br />
申 請 者 の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出<br />
前 のミッドループ 運 転 中 に 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を<br />
確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判<br />
断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 ( 余 熱 除 去 系 の 故 障 による 停 止 時 冷 却 機 能 喪 失 )」<br />
に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なもので<br />
あると 判 断 した。<br />
3. 審 査 過 程 におけるその 他 の 確 認 事 項<br />
審 査 の 過 程 において、 規 制 委 員 会 が 確 認 した 点 は 以 下 のとおりである。<br />
(1) 事 故 が 発 生 した 場 合 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 作 業 員 の 退 避<br />
申 請 者 は、 運 転 停 止 中 に 事 故 が 発 生 した 場 合 の 作 業 員 の 退 避 手 順 及 び 退 避 ル<br />
ートを 具 体 的 に 示 した。これにより、 規 制 委 員 会 は、ミッドループ 運 転 中 の 事<br />
故 時 における 作 業 員 の 放 射 線 防 護 と 原 子 炉 格 納 容 器 の 早 期 隔 離 が 確 実 に 実 施<br />
できるように、 作 業 員 が 原 子 炉 格 納 容 器 から 退 避 する 手 順 と 退 避 ルートが 明 確<br />
化 されていることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-1.2.4.2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、 送 電 系 統 又 は 所 内 主 発 電 設 備 の<br />
故 障 等 により 外 部 電 源 が 喪 失 するとともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 系 統 が 機 能 喪<br />
217
失 し、これに 従 属 して 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 場 合 において、 運 転 停 止 中 原<br />
子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 起 因 する 余 熱<br />
除 去 系 の 炉 心 注 水 機 能 喪 失 及 び 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 従 属 して 発 生 する<br />
原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 に 起 因 する 余 熱 除 去 系 の 崩 壊 熱 除 去 機 能 喪 失 に<br />
より、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 が 炉 心 崩 壊 熱 により 継 続 的 に 蒸 発 して 減 少 する<br />
ことで、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 露 出 及 び 損 傷 を 防 止 するた<br />
めには、 炉 心 への 注 水 手 段 を 確 保 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確 保 する 必<br />
要 がある。さらに、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 へ 熱 の 輸 送 を 確 保 し、 原 子 炉 内<br />
燃 料 体 の 崩 壊 熱 の 除 熱 を 継 続 的 に 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 常 設 電 動 注 入 ポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 を 炉 心 に<br />
注 水 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 維 持 するとともに、 加 圧 器 開 口 部 ( 加 圧<br />
器 安 全 弁 3 弁 取 り 外 し 中 )からの 蒸 気 の 放 出 により 崩 壊 熱 を 除 去 する。こ<br />
のため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、タンクローリ 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 整 備 するとともに、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 燃 料 油<br />
貯 蔵 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 再 循 環 サンプと 高 圧 注 入 ポンプを 用 い<br />
た 高 圧 再 循 環 運 転 により 炉 心 への 注 水 を 継 続 する。このため、B 高 圧 注 入<br />
ポンプ( 海 水 冷 却 )、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 等 を<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 位 置 付 ける。また、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに 海 水<br />
を 通 水 させることで 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 し、 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
の 除 熱 を 行 う。このため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、タンクローリ 等 を 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユ<br />
ニットを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
218
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析<br />
コードの 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 外 部 電<br />
源 が 喪 失 するとともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 機 能 喪 失 し、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 する。PRA の 手 法 により 抽 出 さ<br />
れ、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 する 必<br />
要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける 事 故 シーケン<br />
スは「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」で<br />
ある。 対 策 実 施 の 余 裕 時 間 及 び 燃 料 損 傷 回 避 に 必 要 な 設 備 容 量 を 厳 し<br />
く 評 価 する 観 点 から、 崩 壊 熱 が 高 く、 原 子 炉 冷 却 材 の 保 有 水 量 が 少 な<br />
い 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に「 外 部 電 源 喪 失 時 に 非 常 用 所 内<br />
交 流 動 力 電 源 が 喪 失 する 事 故 」が 起 こるとする。さらに、 従 属 的 に 発<br />
生 する 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 の 喪 失 の 重 畳 も 考 慮 する。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 崩 壊 熱 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、 沸 騰 及 びボ<br />
イド 率 変 化 、 気 液 分 離 及 び 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における ECCS 強 制 注 入<br />
等 を 取 り 扱 うことのできる M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 により 余 熱 除 去 系 の 炉 心 注 水 機 能 が<br />
喪 失 し、さらに、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 に 従 属 して 発 生 する 原 子 炉 補 機<br />
冷 却 機 能 喪 失 により 余 熱 除 去 系 の 崩 壊 熱 除 去 機 能 が 喪 失 するものと<br />
する。 事 象 発 生 の 時 期 については、 定 期 検 査 工 程 上 、 原 子 炉 停 止 から<br />
1 次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 として 考 えられる 最 短 時 間 に 余 裕 を<br />
みた( 崩 壊 熱 を 高 くする 厳 しい 設 定 にするために 短 くしている) 時 間<br />
として、 原 子 炉 停 止 後 72 時 間 とする。<br />
d. 機 器 条 件 : 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 流 量 は、37m 3 /h<br />
とする。これは、 炉 心 注 水 開 始 を 事 象 発 生 後 50 分 とした 場 合 の 崩 壊<br />
熱 による 蒸 発 量 (36.6m 3 /h)を 上 回 る 流 量 である。<br />
e. 操 作 条 件 : 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 が 利 用 できるのは、 事 象 発 生 から<br />
25 分 後 以 降 とする。 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 操 作 の 開<br />
始 は、 事 象 発 生 の 検 知 、 判 断 、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 の 準 備 及 び 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 操 作 に 要 する 時 間 を 考 慮 して、 事 象 発 生<br />
から 50 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
219
a. 事 象 発 生 の 約 2 分 後 から、1 次 冷 却 材 が 温 度 上 昇 により 沸 騰 し 始 め、<br />
蒸 気 が 加 圧 器 開 口 部 から 流 出 することで 1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 が 減<br />
少 し、 炉 心 水 位 は 低 下 する。 事 象 発 生 後 25 分 で 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
が 利 用 可 能 になり、50 分 後 に 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 電 源 とする 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 を 開 始 することにより、 事 象 発 生<br />
後 約 150 分 で、 加 圧 器 開 口 部 からの 流 出 流 量 と 炉 心 への 注 水 流 量 が 釣<br />
り 合 い、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 及 び 1 次 系 温 度 は 安 定 する。<br />
b. 事 象 発 生 後 、 燃 料 有 効 長 頂 部 のボイド 率 は 最 大 でも 0.7 程 度 であり、<br />
常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 により、 炉 心 は 露 出 すること<br />
はなく、 燃 料 有 効 長 頂 部 は 冠 水 している。<br />
c. 燃 料 有 効 長 上 端 まで 水 位 が 低 下 しても、 原 子 炉 容 器 ふたは 閉 止 され<br />
ている 状 態 であり、 炉 心 上 部 の 遮 蔽 物 により 空 間 線 量 率 が 抑 えられ、<br />
作 業 員 の 被 ばく 低 減 が 図 られるため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 間 線 量 率<br />
は 燃 料 取 替 え 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を<br />
上 回 ることはない。<br />
d. ほう 素 濃 度 が 高 い 条 件 下 では、 炉 心 崩 壊 熱 による 1 次 冷 却 材 におけ<br />
るボイド 発 生 により 1 次 冷 却 材 の 密 度 が 低 下 すると、1 次 冷 却 材 中 の<br />
ほう 素 密 度 の 低 下 に 伴 う 中 性 子 吸 収 効 果 の 減 少 により、 一 時 的 に 反 応<br />
度 が 上 昇 する 場 合 もある。しかし、そのような 場 合 であっても 実 効 増<br />
倍 率 が 1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから、 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
e. なお、 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 位 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 が 再<br />
循 環 切 替 値 に 到 達 後 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いて 高 圧 注 入 ポンプ<br />
及 び 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ 冷 却 水 として 海 水 を 通 水 することで、<br />
B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )を 用 いた 高 圧 再 循 環 運 転 に 切 替 えると<br />
ともに、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いた 格 納 容 器 内 自 然 対 流<br />
冷 却 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を 継 続 することで、 燃 料 及 び 原 子<br />
炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 維 持 できる。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 では、 大 気 圧 程 度 の 低 圧 時 における 炉 心 水 位 の 不 確 かさ<br />
は±10%(±0.4m) 程 度 である。ただし、 実 際 の 炉 心 水 位 が 評 価 値 よ<br />
220
り 0.4m 程 度 低 くなると 仮 定 しても、 燃 料 有 効 長 頂 部 から 更 に 約 1.0m<br />
高 い 地 点 まで 水 位 が 確 保 されるので、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 している<br />
ことには 変 わりはない。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 は 保 守 的 な( 大 きい) 値 に 設 定 されてい<br />
るため、 実 際 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の 低 下 は 解 析 結 果 に 比 べて<br />
抑 制 され、 炉 心 露 出 に 対 する 時 間 的 余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 操 作 については、 中 央 制 御<br />
室 及 び 現 場 での 作 業 であるが、それぞれ 別 の 運 転 員 等 による 操 作 であ<br />
り、 同 一 の 運 転 員 による 重 複 する 操 作 はないことから、 要 員 の 配 置 に<br />
よる 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 52 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 による 電 源 供 給 、<br />
移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
への 注 水 を 7 日 間 継 続 する 場 合 等 に 必 要 となる 重 油 量 は、 約 284.5kL であ<br />
る。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 び 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
用 燃 料 タンクに 備 蓄 された 使 用 可 能 な 重 油 量 376kL で 対 応 が 可 能 である。<br />
また、 電 源 としては、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対<br />
して、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供 給 が<br />
可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に<br />
対 して、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している、<br />
大 容 量 空 冷 式 発 電 機 による 代 替 交 流 電 源 の 確 保 、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用 いた 代<br />
替 炉 心 注 水 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )を 用 いた 高 圧 再 循 環 運 転 及 びA、B<br />
格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉<br />
えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
221
重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 外 部 電 源 が 喪 失 する<br />
とともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 が 機 能 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する<br />
事 故 」において、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 を 行 った 場 合 に 対 する<br />
申 請 者 の 解 析 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をい<br />
ずれも 満 足 しており、さらに、 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条 件 の 不 確 か<br />
さを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認<br />
した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観 点 から、 機<br />
能 を 喪 失 した 設 備 ( 外 部 電 源 、 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電 源 系 統 、 原 子 炉 補 機 冷 却 機<br />
能 )の 復 旧 を 期 待 していないが、 実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機<br />
能 回 復 も 重 要 な 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 水 により 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を<br />
回 避 した 後 、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 )を 用 いた 高 圧 再 循 環 運 転 に 切 替 え、<br />
さらにA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いた 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 による 原<br />
子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を 継 続 することにより、 原 子 炉 を 安 定 状 態 へ 導 くことがで<br />
きることを 確 認 した。<br />
さらに 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者 の<br />
計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出<br />
前 のミッドループ 運 転 中 に 外 部 電 源 が 喪 失 するとともに 非 常 用 所 内 交 流 動 力 電<br />
源 が 機 能 喪 失 し、 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 する 事 故 」におけるその 有 効 性 を 確<br />
認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対 して 有 効 であると 判 断<br />
できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 運 転 停 止 中 原 子 炉<br />
内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.4.3 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 」( 以 下 この 節 におい<br />
て「 本 事 故 シーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 運 転 停 止 中 に、 原 子 炉 冷<br />
却 材 圧 力 バウンダリに 接 続 された 系 統 から 誤 操 作 等 による 系 外 への 漏 えいが 発 生<br />
する 場 合 において、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを<br />
確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
222
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリに 接 続<br />
された 系 統 から 系 外 への 誤 操 作 等 による 漏 えいに 起 因 して 1 次 冷 却 材 が<br />
流 出 することで、 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する。これにより、1 次 冷 却 系 の 保<br />
有 水 が 炉 心 崩 壊 熱 により 継 続 的 に 蒸 発 して 減 少 し、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃<br />
料 体 の 損 傷 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 露 出 及 び 損 傷 を 防 止 するた<br />
めには、 炉 心 への 注 水 手 段 を 確 保 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確 保 する 必<br />
要 がある。さらに、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 へ 熱 の 輸 送 を 確 保 し、 原 子 炉 内<br />
燃 料 体 の 崩 壊 熱 の 除 熱 を 継 続 的 に 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 : 充 てんポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンク 水 を 炉 心 に 充 てん<br />
注 水 し、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 維 持 するとともに、 加 圧 器 開 口 部 ( 加 圧<br />
器 安 全 弁 3 弁 取 り 外 し 中 )からの 蒸 気 の 放 出 により 崩 壊 熱 を 除 去 する。こ<br />
のため、ディーゼル 発 電 機 、 充 てんポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 格 納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 運 転 に 切<br />
り 替 え、 炉 心 冷 却 を 継 続 するとともに、 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格<br />
納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 い、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 除 熱 を 継 続 する。この<br />
ため、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 ) 等 を 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとともに、B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却<br />
器 、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 重 要 事 故 シーケンス 及 び 解 析<br />
コードの 選 定 、 解 析 条 件 の 設 定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉<br />
冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」を 選 定 している。PRA の<br />
手 法 により 抽 出 され、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有<br />
効 性 を 確 認 する 必 要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにお<br />
ける 事 故 シーケンスは「 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が 喪 失 する<br />
事 故 」である。 対 策 実 施 の 余 裕 時 間 及 び 燃 料 損 傷 回 避 に 必 要 な 設 備 容<br />
223
量 を 厳 しく 評 価 する 観 点 から、 崩 壊 熱 が 高 く、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量<br />
が 少 ない 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に「 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
ンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」が 起 こるとする。<br />
b. 解 析 コード: 炉 心 における 崩 壊 熱 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、 沸 騰 及 びボ<br />
イド 率 変 化 、 気 液 分 離 及 び 対 向 流 、1 次 冷 却 系 における ECCS 強 制 注<br />
入 、1 次 冷 却 系 における 冷 却 材 放 出 等 を 取 り 扱 うことのできる<br />
M-RELAP5 を 用 いる。<br />
c. 事 故 条 件 : 炉 心 冷 却 の 観 点 から 厳 しくするため、 以 下 の 条 件 を 設 定<br />
している。<br />
ア. 事 象 発 生 の 時 期 については、 定 期 検 査 工 程 上 、 原 子 炉 停 止 から 1<br />
次 冷 却 材 水 抜 き 完 了 までの 時 間 として 考 えられる 最 短 時 間 に 余 裕<br />
をみた( 崩 壊 熱 を 高 くする 厳 しめの 設 定 にするために 短 くしている)<br />
時 間 として、 原 子 炉 停 止 後 72 時 間 とする。また、 外 部 電 源 はない<br />
ものとする。これは、 燃 料 の 確 保 の 観 点 では、 厳 しい 設 定 となる。<br />
イ.1 次 冷 却 材 の 流 出 は、 流 量 の 多 い 余 熱 除 去 系 からの 流 出 とし、 余<br />
熱 除 去 ポンプ 1 台 による 浄 化 及 び 冷 却 運 転 時 の 標 準 値 として<br />
450m 3 /h とする。 流 出 する 口 径 は 余 熱 除 去 系 統 の 最 大 口 径 で 約 20cm<br />
(8 インチ) 相 当 とする。<br />
ウ. 余 熱 除 去 機 能 喪 失 後 も 系 外 への 漏 えいの 停 止 を 見 込 まない。<br />
エ.1 次 冷 却 系 の 水 位 が 1 次 系 冷 却 材 管 の 下 端 に 到 達 した 時 点 で 両 系<br />
列 の 余 熱 除 去 系 が 機 能 喪 失 し、さらに 運 転 中 の 余 熱 除 去 系 機 能 喪 失<br />
後 に 待 機 中 の 余 熱 除 去 系 も 機 能 喪 失 するものとする。<br />
d. 機 器 条 件 : 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 流 量 は、 原 子 炉 停 止 72 時<br />
間 後 を 事 象 開 始 として、 余 熱 除 去 系 の 機 能 喪 失 ( 事 象 発 生 から 2 分 後 )<br />
から 20 分 後 ( 事 象 発 生 から 22 分 後 )における 崩 壊 熱 による 蒸 発 量<br />
(36.6m 3 /h)に 加 えて、 流 出 により 低 下 した 水 位 を 回 復 させるための<br />
水 量 を 見 込 み、45m 3 /h とする。<br />
e. 操 作 条 件 : 余 熱 除 去 系 の 機 能 喪 失 を 起 点 ( 事 象 発 生 から 2 分 後 )と<br />
して、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 操 作 の 準 備 を 開 始 する。 注 水 準 備<br />
に 必 要 な 時 間 を 20 分 とし、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 が、 事 象 発<br />
生 から 22 分 後 に 開 始 されるとする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 事 象 発 生 後 、1 次 冷 却 材 の 流 出 に 伴 い、1 次 系 水 位 が 低 下 し 約 2 分<br />
で 余 熱 除 去 系 が 機 能 喪 失 することで 流 出 流 量 が 減 少 する。 事 象 発 生 後<br />
224
約 22 分 で、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 を 開 始 し、 加 圧 器 等 からの<br />
流 出 流 量 と 炉 心 への 注 入 流 量 が 釣 り 合 い、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 を 確<br />
保 することができる。<br />
b. 事 象 発 生 後 、 燃 料 有 効 長 頂 部 のボイド 率 は 最 大 でも 0.7 程 度 であり、<br />
充 てん/ 高 圧 注 入 ポンプによる 炉 心 注 水 により、 炉 心 は 露 出 すること<br />
はなく、 燃 料 有 効 長 頂 部 は 冠 水 している。<br />
c. 燃 料 有 効 長 上 端 まで 水 位 が 低 下 しても、 原 子 炉 容 器 ふたは 閉 止 され<br />
ている 状 態 であり、 炉 心 上 部 の 遮 蔽 物 により 空 間 線 量 率 が 抑 えられ、<br />
作 業 員 の 被 ばく 低 減 が 図 られるため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 間 線 量 率<br />
は 燃 料 取 替 え 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 遮 蔽 設 計 基 準 値 0.15mSv/h を<br />
上 回 ることはない。<br />
d. ほう 素 濃 度 が 高 い 条 件 下 では、 炉 心 崩 壊 熱 による 1 次 冷 却 材 におけ<br />
るボイド 発 生 により 1 次 冷 却 材 の 密 度 が 低 下 すると、1 次 冷 却 材 中 の<br />
ほう 素 密 度 の 低 下 に 伴 う 中 性 子 吸 収 効 果 の 減 少 により、 一 時 的 に 反 応<br />
度 が 上 昇 する 場 合 もある。しかし、その 場 合 であっても 実 効 増 倍 率 が<br />
1.0( 臨 界 )より 十 分 に 低 いことから、 未 臨 界 は 維 持 される。<br />
e. なお、 原 子 炉 冷 却 材 流 出 系 統 の 隔 離 を 行 った 上 で、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 水 位 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 水 位 が 再 循 環 切 替 値 に 到 達 後 、 格<br />
納 容 器 スプレイ 系 による 代 替 再 循 環 運 転 に 切 替 え、 格 納 容 器 スプレイ<br />
冷 却 器 による 除 熱 を 継 続 することで 燃 料 の 健 全 性 を 維 持 できる。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 コード 及 び 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下<br />
のとおりである。<br />
a. 解 析 コードにおける 不 確 かさの 影 響<br />
M-RELAP5 では、 大 気 圧 程 度 の 低 圧 時 における 炉 心 水 位 の 不 確 かさは<br />
±10%(±0.4m) 程 度 である。したがって、 実 際 の 炉 心 水 位 が 評 価 値<br />
より 0.4m 程 度 低 くなる 可 能 性 があるが、 燃 料 有 効 長 頂 部 から 更 に 約<br />
1.3m 高 い 位 置 まで 水 位 が 確 保 され、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 している<br />
ことには 変 わりはない。また、1 次 系 冷 却 材 配 管 の 下 端 の 水 位 に 到 達<br />
するまでの 時 間 が 早 まるので、 余 熱 除 去 機 能 喪 失 を 起 点 とする 充 てん<br />
ポンプによる 炉 心 注 水 の 操 作 開 始 は 早 くなるが、 操 作 開 始 が 早 まる 時<br />
間 は 数 十 秒 程 度 であり、 燃 料 の 冷 却 への 影 響 は 小 さい。<br />
b. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
225
解 析 条 件 では、 炉 心 崩 壊 熱 及 び 1 次 冷 却 材 流 出 流 量 は 保 守 的 な( 大<br />
きい) 値 で 設 定 されているため、 実 際 には、1 次 冷 却 系 の 保 有 水 量 の<br />
低 下 は 解 析 結 果 に 比 べて 遅 くなり、 余 熱 除 去 機 能 が 喪 失 する 1 次 系 冷<br />
却 材 配 管 の 下 端 の 水 位 に 到 達 するまでの 時 間 が 遅 くなる。よって、 充<br />
てんポンプによる 炉 心 注 水 開 始 は、 余 熱 除 去 機 能 喪 失 を 起 点 としてい<br />
るため 遅 くなる。 操 作 開 始 が 遅 くなる 場 合 には、 操 作 開 始 時 点 におけ<br />
る 崩 壊 熱 が 小 さくなるため、1 次 冷 却 材 の 蒸 散 率 が 小 さくなり、1 次<br />
冷 却 系 の 保 有 水 量 の 減 少 が 抑 制 されるため、 炉 心 露 出 に 対 する 時 間 的<br />
余 裕 は 大 きくなる。<br />
c. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 の 一 連 の 操 作 が 中 央 制 御 室 で 実 施 さ<br />
れるため 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 評 価 事 故 シーケンスの 特 徴 を 踏 まえた 重 大 事 故 等 対 策 に 必 要<br />
な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 28 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、7 日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で<br />
運 転 した 場 合 に 必 要 となる 重 油 量 は 約 612.5kL である。これに 対 して、 発<br />
電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯 蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL<br />
にて 対 応 が 可 能 である。また、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給<br />
量 に 対 して、ディーゼル 発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供<br />
給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 原 子 炉 冷 却 材 の 流 出 」に<br />
対 して、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している<br />
充 てんポンプによる 炉 心 注 水 及 びB 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイラ<br />
イン 使 用 )による 代 替 再 循 環 運 転 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断<br />
した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バ<br />
ウンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」において、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 を 行 った<br />
場 合 に 対 する 申 請 者 の 解 析 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の<br />
評 価 項 目 をいずれも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 使 用 した 解 析 コード、 解 析 条<br />
226
件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 解 析 結 果 が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがない<br />
ことを 確 認 した。なお、 申 請 者 が 行 った 解 析 では、より 厳 しい 条 件 を 設 定 する 観<br />
点 から、 機 能 を 喪 失 した 設 備 ( 余 熱 除 去 系 の 2 系 統 )の 復 旧 を 期 待 していないが、<br />
実 際 の 事 故 対 策 に 当 たってはこれらの 設 備 の 機 能 回 復 も 重 要 な 原 子 炉 内 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 となり 得 る。<br />
また、 充 てんポンプによる 炉 心 注 水 により 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を<br />
回 避 した 後 、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 による 炉 心 冷 却 への 移 行 により、 原 子 炉 を<br />
安 定 状 態 へ 導 くことができることを 確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者<br />
の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 燃 料 取 出<br />
前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が 喪 失 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対<br />
して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 燃 料 取 出 前 のミッドループ 運 転 中 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 機 能 が<br />
喪 失 する 事 故 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷<br />
防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.4.4 反 応 度 の 誤 投 入<br />
運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 反 応 度 の 誤 投 入 」( 以 下 この 節 において「 本<br />
事 故 シーケンスグループ」という。)では、 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 に、 化 学 体 積 制 御<br />
系 の 故 障 、 誤 操 作 等 により 純 水 が 1 次 冷 却 材 中 に 注 入 され 1 次 冷 却 材 中 のほう 素 濃<br />
度 が 低 下 して 反 応 度 が 添 加 されることにより、 臨 界 に 至 る 可 能 性 がある 場 合 におい<br />
て、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 有 効 性 があるかを 確 認 した。<br />
1. 申 請 内 容<br />
(1) 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 及 びその 対 策 を 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 本 事 故 シーケンスグループの 特 徴 : 原 子 炉 の 運 転 停 止 中 に、 化 学 体 積 制<br />
御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 に 起 因 する 1 次 冷 却 材 中 への 純 水 注 入 により、1 次 冷<br />
却 材 中 のほう 素 濃 度 が 低 下 することで 正 の 反 応 度 が 添 加 され、 臨 界 に 至 る。<br />
2 対 策 の 考 え 方 : 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 臨 界 を 防 止 するためには、<br />
早 期 に 反 応 度 の 誤 投 入 を 判 断 し、 速 やかに 希 釈 停 止 操 作 を 行 うとともに、<br />
227
未 臨 界 状 態 が 維 持 されていることを 確 認 し、 必 要 に 応 じてほう 酸 濃 縮 操 作<br />
を 実 施 する 必 要 がある。<br />
3 初 期 の 対 策 :1 次 系 純 水 補 給 ライン 流 量 制 御 弁 の「 閉 」 操 作 及 び 1 次 系<br />
補 給 水 ポンプの 停 止 操 作 により、1 次 冷 却 系 への 純 水 の 注 入 を 停 止 する。<br />
4 安 定 状 態 に 向 けた 対 策 : 充 てんポンプによりほう 酸 タンクのほう 酸 水 を<br />
炉 心 に 注 水 し、 未 臨 界 を 維 持 する。このため、ほう 酸 タンク、ほう 酸 ポン<br />
プ、 充 てんポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
(2) 解 析 手 法 及 び 結 果 、 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
1 解 析 手 法<br />
申 請 者 は、 本 事 故 シーケンスグループにおける 運 転 停 止 中 原 子 炉 燃 料 体<br />
の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 確 認 するために、 評 価 の 考 え 方 、 解 析 条 件 の 設<br />
定 を 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 重 要 事 故 シーケンス:「 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤<br />
動 作 等 により 原 子 炉 へ 純 水 が 流 入 する 事 故 」を 選 定 する。PRA の 手 法<br />
により 抽 出 され、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性<br />
を 確 認 する 必 要 があるとされた 本 事 故 シーケンスグループにおける<br />
事 故 シーケンスは「 反 応 度 の 誤 投 入 」である。 定 期 検 査 中 においては、<br />
原 子 炉 起 動 前 までは 純 水 注 入 による 希 釈 が 生 じない 措 置 を 講 じてい<br />
ることを 考 慮 し、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 による 純 水 注 入 は、<br />
原 子 炉 起 動 時 に 起 こり 得 ると 想 定 する。また、 臨 界 到 達 までの 時 間 余<br />
裕 を 厳 しく 評 価 する 観 点 からも 原 子 炉 起 動 時 を 想 定 する。<br />
b. 評 価 の 考 え 方 : 本 重 要 事 故 シーケンスでは、 事 象 発 生 から 臨 界 に 至<br />
るまでの 時 間 が 重 要 である。 中 性 子 束 とほう 素 濃 度 の 関 係 から 導 かれ<br />
た 評 価 式 により、 希 釈 開 始 から「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」<br />
警 報 の 発 信 及 び 臨 界 に 至 るまでの 時 間 を 求 める。これにより、 運 転 員<br />
が 警 報 により 異 常 な 状 態 を 検 知 し、 臨 界 に 至 る 前 に 希 釈 停 止 操 作 を 実<br />
施 するための 時 間 余 裕 を 評 価 する。<br />
c. 初 期 条 件 : 制 御 棒 は 全 挿 入 とする。 水 による 希 釈 率 を 大 きくするた<br />
め、1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 小 さめにし、1 次 冷 却 系 の 有 効 体 積 は 加<br />
圧 器 、 原 子 炉 容 器 上 部 ドーム 部 、 炉 心 内 バイパス 等 を 除 いた 261m 3 と<br />
する。1 次 冷 却 系 のほう 素 濃 度 については、 初 期 は、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンクの 保 安 規 定 制 限 値 である 2,500ppm とし、 臨 界 時 は 1,800ppm とす<br />
る。<br />
d. 事 故 条 件 : 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により、<br />
1 次 冷 却 材 中 に 純 水 が 注 入 されることを 想 定 する。1 次 冷 却 系 への 純<br />
228
水 補 給 最 大 流 量 は、1 次 系 補 給 水 ポンプ 2 台 運 転 時 の 全 容 量 (60m 3 /h)<br />
に 余 裕 を 持 たせた 値 81.8m 3 /h とする。1 次 系 補 給 水 ポンプにより 原 子<br />
炉 へ 純 水 が 流 入 して 反 応 度 が 投 入 される 事 象 を 想 定 するため、 外 部 電<br />
源 はあるものとする。<br />
e. 機 器 条 件 : 評 価 上 の「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」 設 定 値 は、<br />
警 報 発 信 から 臨 界 までの 時 間 的 余 裕 を 少 なめに 評 価 するため、 実 際 の<br />
設 定 値 (0.5 デカード 上 )に 余 裕 を 見 込 んだ 値 として、 停 止 時 中 性 子<br />
束 レベルの 0.8 デカード 上 とする。<br />
f. 操 作 条 件 : 希 釈 停 止 操 作 の 開 始 は「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束<br />
高 」 警 報 発 信 から 10 分 後 とする。<br />
2 解 析 結 果<br />
申 請 者 が 行 った 事 象 進 展 解 析 の 結 果 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 1 次 冷 却 材 中 のほう 素 濃 度 が 低 下 するが、 事 象 発 生 から 約 51 分 後<br />
に「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」 警 報 が 発 信 する。 警 報 発 信 か<br />
ら 10 分 後 の 約 61 分 後 に 1 次 系 補 給 水 ポンプの 停 止 や 弁 の 閉 止 等 の 純<br />
水 注 入 停 止 操 作 ( 所 要 時 間 は 1 分 )を 実 施 し、1 次 冷 却 材 の 希 釈 を 停<br />
止 する。<br />
b. 希 釈 開 始 から「 中 性 子 源 領 域 炉 停 止 時 中 性 子 束 高 」の 警 報 が 発 信 さ<br />
れるまで 約 51 分 を 要 し、 臨 界 (ほう 素 濃 度 :1,800ppm)に 至 るまで<br />
にはさらに 約 11 分 を 要 する。 警 報 発 信 から 10 分 後 に 純 水 注 入 停 止 操<br />
作 を 開 始 することから、 臨 界 到 達 まで 時 間 余 裕 は 約 1 分 であるが、 実<br />
際 に 見 込 まれる 純 水 注 入 停 止 操 作 の 所 要 時 間 が 約 20 秒 であることを<br />
考 慮 すると、 運 転 員 が 異 常 状 態 を 検 知 してから 純 水 注 入 停 止 操 作 の 終<br />
了 までには 時 間 があり、 未 臨 界 を 維 持 することができる。<br />
c. 炉 心 は 満 水 が 維 持 されており、 燃 料 有 効 長 頂 部 が 冠 水 している 状 態<br />
である。<br />
d. 原 子 炉 容 器 ふたが 閉 止 されている 状 態 であることから、 放 射 線 の 遮<br />
蔽 は 維 持 されている。<br />
e. ほう 酸 注 入 による 濃 縮 操 作 により 長 期 にわたる 未 臨 界 の 維 持 が 可<br />
能 である。なお、 事 故 によって、1 次 冷 却 系 が 臨 界 ほう 素 濃 度 である<br />
1,800ppm まで 希 釈 された 際 に、 初 期 ほう 素 濃 度 2,500ppm まで 濃 縮 す<br />
るのに 要 する 時 間 は 約 2.2 時 間 である。<br />
上 記 a.から e.より、 解 析 結 果 は 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止<br />
対 策 の 評 価 項 目 を 満 足 している。<br />
229
3 不 確 かさの 影 響 評 価<br />
申 請 者 が 行 った 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響 評 価 は、 以 下 のとおりである。<br />
a. 解 析 条 件 の 不 確 かさの 影 響<br />
1 次 冷 却 系 への 純 水 補 給 水 量 及 び 臨 界 ほう 素 濃 度 は、 評 価 項 目 のパ<br />
ラメータである 事 象 発 生 から 臨 界 到 達 までの 時 間 に 対 して、 余 裕 が 少<br />
なくなるような 設 定 をしている。よって、1 次 冷 却 系 への 純 水 補 給 水<br />
量 及 び 臨 界 ほう 素 濃 度 を 変 動 させた 場 合 、 事 象 進 展 は 遅 くなるため 臨<br />
界 到 達 までの 時 間 が 長 くなり、 運 転 員 等 の 事 象 検 知 や 操 作 に 要 する 時<br />
間 に 対 する 余 裕 が 増 す。さらに、 臨 界 到 達 時 期 が 遅 くなることにより、<br />
炉 心 露 出 に 対 する 余 裕 が 大 きくなる。<br />
b. 対 策 の 実 施 への 影 響<br />
運 転 員 等 操 作 は 中 央 制 御 室 における 希 釈 停 止 操 作 のみを 想 定 して<br />
いることから、 要 員 の 配 置 による 他 の 操 作 に 与 える 影 響 はない。<br />
(3) 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等<br />
申 請 者 は、 本 重 要 事 故 シーケンスへの 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 に 必 要<br />
な 要 員 及 び 燃 料 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 本 重 要 事 故 シーケンスの 対 応 に 必 要 な 要 員 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 合 わせ<br />
て 18 名 である。これに 対 して、 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員<br />
( 指 揮 者 等 ) 及 び 重 大 事 故 等 対 策 要 員 は 52 名 であり 対 応 が 可 能 である。<br />
2 本 重 要 事 故 シーケンスが 発 生 し、 仮 に 外 部 電 源 の 喪 失 を 仮 定 しても、7<br />
日 間 ディーゼル 発 電 機 等 を 全 出 力 で 運 転 した 場 合 に 必 要 な 重 油 量 は 約<br />
612.5kL である。これに 対 して、 発 電 所 内 の 燃 料 油 貯 油 そう 及 び 燃 料 油 貯<br />
蔵 タンクに 備 蓄 された 重 油 量 620kL で 対 応 が 可 能 である。また、 電 源 とし<br />
ては、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 体 に 必 要 な 電 力 供 給 量 に 対 して、ディーゼル<br />
発 電 機 からの 電 力 供 給 量 が 十 分 に 大 きいため、 供 給 が 可 能 である。<br />
2. 審 査 結 果<br />
規 制 委 員 会 は、 運 転 停 止 中 事 故 シーケンスグループ「 反 応 度 の 誤 投 入 」に 対 し<br />
て、 申 請 者 が 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 として 計 画 している 希 釈<br />
停 止 操 作 及 びほう 酸 濃 縮 操 作 が、 事 象 進 展 の 特 徴 を 捉 えた 対 策 であると 判 断 した。<br />
重 要 事 故 シーケンス「 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により<br />
原 子 炉 へ 純 水 が 流 入 する 事 故 」において、 希 釈 停 止 操 作 を 行 った 場 合 に 対 する 申<br />
請 者 の 評 価 結 果 は、 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 防 止 対 策 の 評 価 項 目 をいず<br />
れも 満 足 しており、さらに 申 請 者 が 評 価 条 件 の 不 確 かさを 考 慮 しても、 評 価 結 果<br />
が 評 価 項 目 を 満 足 することに 変 わりがないことを 確 認 した。<br />
230
また、 希 釈 停 止 操 作 により 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷 を 回 避 した 後 、ほ<br />
う 酸 注 入 による 濃 縮 操 作 により 長 期 にわたる 未 臨 界 の 維 持 が 可 能 であることを<br />
確 認 した。<br />
さらに、 規 制 委 員 会 は、 当 該 対 策 に 必 要 な 要 員 及 び 燃 料 等 についても、 申 請 者<br />
の 計 画 が 十 分 なものであることを 確 認 した。<br />
「Ⅳ-1.1 事 故 の 想 定 」に 示 したように、 重 要 事 故 シーケンス「 原 子 炉 起<br />
動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により 原 子 炉 へ 純 水 が 流 入 する 事 故 」に<br />
おけるその 有 効 性 を 確 認 したことにより、 対 策 が 本 事 故 シーケンスグループに 対<br />
して 有 効 であると 判 断 できる。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 の 確 認 及 び 判 断 により、 事 故 シーケンスグ<br />
ループ「 原 子 炉 起 動 時 に、 化 学 体 積 制 御 系 の 弁 の 誤 動 作 等 により 原 子 炉 へ 純 水 が<br />
流 入 する 事 故 」に 対 して 申 請 者 が 計 画 している 運 転 停 止 中 原 子 炉 内 燃 料 体 の 損 傷<br />
防 止 対 策 は、 有 効 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-1.2.5 有 効 性 評 価 に 用 いた 解 析 コード<br />
申 請 者 が 使 用 している 解 析 コードのうち、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 で 使 用 する 解 析 コー<br />
ドについては、 炉 心 損 傷 に 至 る 前 の 原 子 炉 を 対 象 としていることから、 原 則 として<br />
従 来 の 設 計 基 準 事 故 を 対 象 とした 安 全 解 析 コードとほぼ 同 等 の 検 証 方 法 が 適 用 可<br />
能 であると 考 えられる。よって、これらのコードに 対 しては、 有 効 性 評 価 ガイドを<br />
踏 まえ、 実 験 等 を 基 に 検 証 され、 適 用 範 囲 が 適 切 なコードを 用 いているかという 観<br />
点 を 主 とし、 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 場 合 に 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 が<br />
行 われているかという 観 点 を 従 として 審 査 を 行 う。<br />
他 方 、 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 で 使 用 する 解 析 コードは、 炉 心 が 損 傷 した 後<br />
の 事 象 進 展 を 解 析 対 象 としており、 個 々の 解 析 モデルについては 部 分 的 に 実 験 によ<br />
る 検 証 が 行 われているものの、 実 験 と 実 機 のスケールの 差 を 含 めた 条 件 の 違 いや、<br />
実 機 の 事 故 では 複 数 の 現 象 が 同 時 進 行 することから、 不 確 かさの 幅 が 大 きいと 考 え<br />
られる。このため、 有 効 性 評 価 ガイドの「 不 確 かさが 大 きいモデルを 使 用 する 場 合 」<br />
に 該 当 すると 見 なし、 有 効 性 評 価 への 適 用 に 際 しては、 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評<br />
価 結 果 から、 解 析 結 果 の 妥 当 性 の 確 認 が 行 われているかという 観 点 を 主 とした 審 査<br />
を 行 う。<br />
以 下 、コードごとに 申 請 内 容 とその 確 認 内 容 について 示 す。<br />
1. 申 請 者 が 使 用 している 解 析 コード<br />
申 請 者 は、 評 価 対 象 の 事 故 シーケンスグループ 及 び 格 納 容 器 破 損 モードで 考 慮<br />
231
すべき 現 象 を 踏 まえて、 有 効 性 評 価 に 使 用 するコードを 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価<br />
1-1 起 因 事 象 発 生 時 に 原 子 炉 の 停 止 に 成 功 する 事 象 で、 炉 心 の 冷 却 状 態<br />
を 解 析 するうえで 原 子 炉 格 納 容 器 の 状 態 からは 有 意 な 影 響 がない「2<br />
次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バ<br />
イパス(インターフェイスシステム LOCA)」、「 格 納 容 器 バイパス( 蒸<br />
気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 )」の 評 価 については、2 次 冷 却 系 も 含 めて 炉 心<br />
の 冷 却 状 態 の 解 析 が 可 能 な M-RELAP5 を 使 用 している。また、「 全 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 」の 評 価 においては 原 子 炉 格 納 容 器 内 圧 が 有 意 に 上 昇 す<br />
るため、M-RELAP5 に 加 えて、 原 子 炉 格 納 容 器 内 雰 囲 気 の 解 析 が 可 能<br />
な COCO を 併 用 している。<br />
1-2 起 因 事 象 発 生 時 に 原 子 炉 の 停 止 に 失 敗 し、 炉 心 の 冷 却 状 態 に 応 じて<br />
原 子 炉 出 力 が 変 動 する「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」の 評 価 については、 炉<br />
心 の 冷 却 状 態 及 び 出 力 分 布 変 化 を 同 時 に 解 析 可 能 な SPARKLE-2 を 使<br />
用 している。<br />
2 炉 心 の 冷 却 状 態 を 解 析 するうえで 原 子 炉 格 納 容 器 の 状 態 が 有 意 な 影 響<br />
を 及 ぼす「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」の<br />
評 価 については、 炉 心 の 冷 却 状 態 と 原 子 炉 格 納 容 器 の 状 態 の 相 互 作 用 を 解<br />
析 可 能 な MAAP を 使 用 している。<br />
(2) 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価<br />
1 いずれの 格 納 容 器 破 損 モードについても、 炉 心 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 状<br />
態 の 熱 水 力 挙 動 を 解 析 でき、 炉 心 損 傷 後 特 有 の 溶 融 炉 心 挙 動 及 び 核 分 裂 生<br />
成 物 ( 以 下 「FP」という。) 挙 動 に 関 するモデルを 有 する MAAP を 使 用 して<br />
いる。また、「 水 素 燃 焼 」の 評 価 については、MAAP は 格 納 容 器 内 空 間 を 3<br />
次 元 で 模 擬 できずドーム 部 内 の 空 間 分 布 評 価 には 適 さないこと、 水 素 の 発<br />
生 量 をガイドの 条 件 に 設 定 することから、MAAP に 加 えて、 水 素 の 区 画 間<br />
の 移 行 等 を 解 析 可 能 な GOTHIC を 使 用 している。<br />
(3) 運 転 停 止 中 原 子 炉 における 燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価<br />
1 いずれの 事 故 シーケンスグループについても、 余 熱 除 去 系 停 止 時 の 炉 心<br />
における 沸 騰 現 象 とそれに 伴 う 水 位 低 下 を 解 析 可 能 な M-RELAP5 を 使 用 し<br />
ている。<br />
2. 解 析 コードの 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性<br />
232
(1)M-RELAP5<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、M-RELAP5 の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
a. M-RELAP5 は、 制 御 系 、 熱 水 力 、 熱 構 造 材 、 原 子 炉 動 特 性 (1 点 炉 近<br />
似 ) 等 の 計 算 機 能 を 有 し、 原 子 炉 の 異 常 な 過 渡 ・ 事 故 時 の 熱 流 動 解 析<br />
を 行 う 汎 用 性 の 高 い 計 算 コードである。<br />
b. 米 国 において、US-APWR の 安 全 解 析 ( 小 破 断 LOCA)に 適 用 している。<br />
また、 本 コードがベースとしている RELAP5 は、 欧 米 において Non-LOCA、<br />
LOCA( 大 小 の 双 方 を 含 む。)の 安 全 解 析 への 適 用 例 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 試 験 解 析 により 妥 当<br />
性 評 価 を 行 っている。<br />
c.-1 炉 心 における 重 要 現 象 のモデル( 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 モデル、ボ<br />
イドモデル、 流 動 様 式 )については、ORNL/THTF 試 験 、ROSA/LSTF<br />
SB-CL-18 及 び 39 試 験 、PKL/F1.1 試 験 の 解 析 結 果 により 検 証 して<br />
いる。また、 大 気 圧 条 件 における 炉 心 水 位 については、<br />
Winfrith/THETIS 試 験 の 解 析 結 果 により 検 証 している。<br />
c.-2 1 次 冷 却 系 における 重 要 現 象 のモデル( 自 然 循 環 時 の 壁 面 熱 伝<br />
達 モデル、 冷 却 材 放 出 時 の 破 断 流 モデル、 気 液 分 離 ・ 対 向 流 の 流<br />
動 様 式 、 沸 騰 時 の 2 流 体 モデル 及 び 壁 面 熱 伝 達 モデル、ECCS 強<br />
制 注 入 時 のポンプ 特 性 モデル、ECCS 蓄 圧 タンクの 非 凝 縮 性 ガス)<br />
については、PKL/F1.1 試 験 、Marviken 試 験 、 美 浜 2 号 機 の 蒸 気<br />
発 生 器 伝 熱 管 損 傷 解 析 、ROSA/LSTF SB-CL-18 及 び 39 試 験 の 解 析<br />
結 果 により 検 証 している。<br />
c.-3 加 圧 器 における 重 要 現 象 のモデル( 気 液 熱 非 平 衡 及 び 水 位 変 化<br />
の 2 流 体 モデル、 冷 却 材 放 出 時 の 臨 界 流 モデル) については、<br />
LOFT L6-1 及 び L9-3 試 験 、ROSA/LSTF SB-CL-18 及 び 39 試 験 の 解<br />
析 結 果 により 検 証 している。<br />
c.-4 蒸 気 発 生 器 における 重 要 現 象 のモデル(1 次 側 ・2 次 側 の 壁 面<br />
熱 伝 達 モデル、2 次 側 水 位 変 化 ・ドライアウトの 2 流 体 モデル)<br />
については、ROSA/LSTF SB-CL-39 試 験 、PKL/F1.1 試 験 、LOFT L6-1<br />
及 び L9-3 試 験 の 解 析 結 果 により 検 証 している。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、LOCA 時 における 炉 心 水 位 について、 事 故<br />
時 条 件 と 大 気 圧 条 件 のそれぞれについて 評 価 している。また、LOCA<br />
時 の 破 断 流 量 について、 破 断 面 積 のスペクトル 解 析 により 解 析 結 果 の<br />
保 守 性 を 確 保 している。<br />
233
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、M-RELAP5 についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下<br />
のように 確 認 した。<br />
a. 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 重 要 事 故 シーケンスにおける 炉 心 及 び 1 次 冷<br />
却 系 の 熱 流 動 に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。<br />
c. 本 コードは、 炉 心 損 傷 に 至 る 前 の 原 子 炉 を 対 象 としており、 原 則 と<br />
して 従 来 の 設 計 基 準 事 故 を 対 象 とした 安 全 解 析 コードとほぼ 同 等 の<br />
検 証 方 法 が 適 用 可 能 である。 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルに<br />
ついて、 実 験 等 を 基 に 検 証 が 行 われ、 適 用 範 囲 が 示 されている。<br />
d. 規 制 委 員 会 は、RELAP5/MOD3.3(※ 16 ) 及 び SKETCH-INS(※ 17 )<br />
/TRACE5.0(※ 18 )を 用 いて、モデルプラントを 対 象 に 重 要 事 象 の 解 析<br />
を 実 施 し、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 を 評 価 する 上 で 重 要 な 現 象 及 び<br />
考 慮 すべき 主 要 な 不 確 かさを 確 認 した。そこで 抽 出 されたものについ<br />
て、 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の M-RELAP5<br />
の 特 性 に 応 じた 使 用 方 法 は、 妥 当 と 判 断 できる。<br />
(2)SPARKLE-2<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、SPARKLE-2 の 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
a. SPARKLE-2 は、M-RELAP5 の 炉 心 動 特 性 を 1 点 炉 近 似 から 3 次 元 動 特<br />
性 に 変 更 したコードであり、1 次 冷 却 系 全 体 の 熱 流 動 と 3 次 元 炉 心 動<br />
特 性 との 相 互 作 用 が 評 価 可 能 なプラント 過 渡 特 性 解 析 コードである。<br />
b. プラント 過 渡 解 析 モデルに 関 しては、M-RELAP5 と 同 様 であり、ベ<br />
ースとしている RELAP-3D については、 欧 米 において 実 績 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 計 算 ベンチマークや<br />
試 験 解 析 等 により 妥 当 性 評 価 を 行 っている。<br />
(※ 16 )RELAP5/MOD3.3 CODE MANUAL, VOLUME I: CODE STRUCTURE, SYSTEM MODELS, AND SOLUTION METHODS, December<br />
2001, Information Systems Laboratories, Inc., Rockville, Maryland, Idaho Falls, Idaho.<br />
(※ 17 )( 独 ) 原 子 力 安 全 基 盤 機 構 , “3 次 元 プラント 動 特 性 コード SKETCH-INS/TRAC-BF1 の 改 良 整 備 ”, 04 解 部<br />
報 -0012, 2003<br />
(※ 18 )TRACE V5.0 THEORY MANUAL: Field Equations, Solution Methods, and Physical Models, Division of Risk<br />
Assessment and Special Projects Office of Nuclear Regulatory Research, U. S. Nuclear Regulatory<br />
Commission.<br />
234
c.-1 炉 心 の 核 特 性 に 係 る 重 要 現 象 ( 中 性 子 動 特 性 、ドップラフィー<br />
ドバック 効 果 、 減 速 材 フィードバック 効 果 )については、TWIGL<br />
ベンチマーク、LMW ベンチマーク、SPERT-Ⅲ E-core 実 験 解 析 、<br />
モンテカルロコードとの 比 較 、 減 速 材 温 度 係 数 測 定 検 査 の 解 析 に<br />
より 検 証 している。<br />
c.-2 炉 心 の 燃 料 に 係 る 重 要 現 象 ( 燃 料 棒 内 温 度 変 化 )については、<br />
FINE コードとの 比 較 、SPERT-Ⅲ E-core 実 験 解 析 により 検 証 して<br />
いる。<br />
c.-3 炉 心 の 熱 流 動 に 係 る 重 要 現 象 のモデル( 沸 騰 ・ボイド 率 変 化 の<br />
二 相 流 圧 力 損 失 モデル、サブクールボイドモデル、 気 液 相 対 速 度 )<br />
については、NUPEC 管 群 ボイド 試 験 の 解 析 により 検 証 している。<br />
c.-4 1 次 冷 却 系 における 重 要 現 象 のモデル(ECCS 強 制 注 入 時 のポン<br />
プ 特 性 モデル)については、PKL/F1.1 試 験 の 解 析 により 検 証 し<br />
ている。<br />
c.-5 加 圧 器 における 重 要 現 象 のモデル( 気 液 熱 非 平 衡 及 び 水 位 変 化<br />
の 2 流 体 モデル 、 冷 却 材 放 出 時 の 二 相 /サブクール 臨 界 流 モデル)<br />
については、LOFT L6-1 及 び L9-3 試 験 の 解 析 により 検 証 してい<br />
る。<br />
c.-6 蒸 気 発 生 器 における 重 要 現 象 のモデル(1 次 側 ・2 次 側 の 伝 熱<br />
管 熱 伝 達 モデル 、2 次 側 水 位 変 化 ・ドライアウトの 2 流 体 モデ<br />
ル)については、LOFT L6-1 及 び L9-3 試 験 の 解 析 により 検 証 し<br />
ている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」 時 の 過 渡 変 化 に 伴<br />
う 原 子 炉 圧 力 評 価 に 対 して 影 響 が 大 きいと 思 われる 減 速 材 温 度 係 数<br />
初 期 値 、ドップラ 温 度 係 数 について、 減 速 材 温 度 係 数 測 定 検 査 の 解 析<br />
による 妥 当 性 確 認 や 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。また、<br />
評 価 用 炉 心 が 実 際 の 炉 心 の 運 転 状 態 を 包 絡 する 根 拠 として、 燃 料 の 種<br />
類 、 燃 料 装 荷 パターン 及 び 燃 焼 度 が 異 なる 炉 心 間 の 比 較 解 析 により 確<br />
認 している。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、SPARKLE-2 についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下<br />
のように 確 認 した。<br />
a. 「 原 子 炉 停 止 機 能 喪 失 」 時 の 1 次 冷 却 系 の 熱 流 動 と 炉 心 動 特 性 との<br />
相 互 作 用 に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。<br />
235
c. 本 コードは、 炉 心 損 傷 に 至 る 前 の 原 子 炉 を 対 象 としており、 原 則 と<br />
して 従 来 の 設 計 基 準 事 故 を 対 象 とした 安 全 解 析 コードとほぼ 同 等 の<br />
検 証 方 法 が 適 用 可 能 である。 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルにつ<br />
いて、 計 算 ベンチマークや 実 験 等 を 基 に 検 証 が 行 われ、 適 用 範 囲 が 示<br />
されている。<br />
d. 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 物 理 現 象 を 適 切 に 抽 出 し、 感 度 解 析<br />
による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の SPARKLE-2<br />
の 特 性 に 応 じた 使 用 方 法 はおおむね 妥 当 と 認 められる。<br />
(3)MAAP<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、MAAP の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のとお<br />
りとしている。<br />
a. MAAP は、シビアアクシデントの 事 象 進 展 の 各 段 階 を 網 羅 し、 原 子<br />
炉 、1 次 冷 却 系 、 格 納 容 器 内 で 起 こると 考 えられる 重 要 な 事 故 時 の 物<br />
理 現 象 をモデル 化 するとともに、 工 学 的 安 全 施 設 のモデル 化 や 重 大 事<br />
故 等 対 策 として 用 いる 各 種 機 器 の 取 扱 いが 可 能 である。また、 広 範 囲<br />
の 物 理 現 象 を 取 り 扱 うことが 可 能 な 総 合 解 析 コードであり、シビアア<br />
クシデントで 想 定 される 種 々の 事 故 シーケンスについて、 起 因 事 象 か<br />
ら 安 定 した 状 態 、あるいは 過 圧 ・ 過 温 により 格 納 容 器 健 全 性 が 失 われ<br />
る 状 態 まで 計 算 が 可 能 であることが 特 徴 である。<br />
b. 国 内 外 でシビアアクシデント 時 の 評 価 に 広 く 利 用 されており、 欧 米<br />
では 許 認 可 にも 適 用 された 実 績 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 計 算 ベンチマークや<br />
試 験 解 析 等 による 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-1 炉 心 における 重 要 現 象 ( 燃 料 内 温 度 変 化 、 燃 料 棒 表 面 熱 伝 達 、<br />
被 覆 管 酸 化 ・ 変 形 )については、TMI 事 故 ベンチマーク 解 析 によ<br />
り 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-2 加 圧 器 における 重 要 現 象 ( 冷 却 材 放 出 )については、TMI 事 故<br />
ベンチマーク 解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-3 蒸 気 発 生 器 における 重 要 現 象 (1 次 側 ・2 次 側 の 熱 伝 達 、 冷 却<br />
材 放 出 、2 次 側 水 位 変 化 ・ドライアウト)については、MB-2 実 験<br />
解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-4 格 納 容 器 の 重 要 現 象 ( 区 画 間 の 流 動 、 構 造 材 との 熱 伝 達 及 び 内<br />
236
部 熱 伝 導 、 沸 騰 ・ 水 素 濃 度 )については、HDR 実 験 、CSTF 実 験 の<br />
解 析 及 び TMI 事 故 ベンチマーク 解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 ってい<br />
る。<br />
c.-5 炉 心 損 傷 後 の 原 子 炉 容 器 における 重 要 現 象 (リロケーション、<br />
下 部 プレナムでの 溶 融 炉 心 の 熱 伝 達 、1 次 系 内 FP 挙 動 )につい<br />
ては、TMI 事 故 ベンチマーク 解 析 及 び PHEBUS-FP 実 験 解 析 により<br />
妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-6 炉 心 損 傷 後 の 格 納 容 器 における 重 要 現 象 ( 格 納 容 器 内 FP 挙 動 )<br />
については、PHEBUS-FP 実 験 、ABCOVE 実 験 の 解 析 により 妥 当 性 確<br />
認 を 行 っている。<br />
c.-7 炉 心 損 傷 後 の 格 納 容 器 における 重 要 現 象 ( 溶 融 炉 心 とコンクリ<br />
ートの 伝 熱 、コンクリート 分 解 及 び 非 凝 縮 性 ガス 発 生 )について<br />
は、ACE 試 験 、SURC 試 験 、DEFOR-A 試 験 、OECD-MCCI 試 験 等 の 解<br />
析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」 時 の 炉 心 露 出 開 始<br />
時 間 について、M-RELAP5 との 比 較 により 不 確 かさを 評 価 している。<br />
次 に、 溶 融 炉 心 のコンクリート 侵 食 量 について、 最 新 の 実 験 的 知 見 を<br />
反 映 して 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。また、FCI、DCH、<br />
MCCI の 各 事 象 について、 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、MAAP についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 のよ<br />
うに 確 認 した。なお、シビアアクシデントの 解 析 は 一 般 的 に 不 確 かさが 大<br />
きく、 申 請 者 の 解 析 結 果 の 解 釈 においては、 不 確 かさを 踏 まえて 判 断 を 下<br />
す 必 要 がある。<br />
a. 炉 心 損 傷 後 を 含 めたシビアアクシデントの 事 象 進 展 に 係 る 重 要 現<br />
象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. シビアアクシデントの 分 野 においては、 国 際 的 に 広 く 利 用 されてい<br />
る 最 も 代 表 的 なコードのひとつであり、PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解<br />
析 への 豊 富 な 適 用 実 績 がある。<br />
c. 実 験 による 検 証 や 他 のシビアアクシデントコードとのベンチマー<br />
ク 計 算 を 通 じて、 一 定 の 信 頼 性 が 確 認 されている。これを 前 提 として、<br />
上 記 の a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルについて 感 度 解 析 を 行 い、 解<br />
析 結 果 がおおむね 妥 当 と 見 なせることを 確 認 している。<br />
237
d . 規 制 委 員 会 は、これまでに MELCOR(※ 19-20 )によりモデルプラン<br />
トを 対 象 とした 数 多 くの 事 故 シーケンスについて 解 析 を 行 い、 解 析 結<br />
果 の 解 釈 において 考 慮 すべき 主 要 な 不 確 かさ 要 因 について 確 認 して<br />
いる。また、 多 くの 事 故 シーケンスで、MAAP による 解 析 と 比 較 可 能<br />
な 結 果 を 得 ている。これらで 抽 出 された 不 確 かさ 要 因 について、 申 請<br />
者 は 感 度 解 析 による 不 確 かさ 評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の MAAP の 解<br />
析 結 果 の 解 釈 は 現 在 の 技 術 レベルに 照 らして 妥 当 であり、 適 切 に 不 確 かさ<br />
を 考 慮 することで 有 効 性 評 価 に 適 用 が 可 能 と 考 えている。<br />
(4)GOTHIC<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、GOTHIC の 妥 当 性 確 認 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のと<br />
おりとしている。<br />
a. GOTHIC は 質 量 、エネルギー 及 び 運 動 量 の 3 保 存 則 を 気 相 ・ 液 相 ・<br />
液 滴 相 の 各 流 体 場 に 適 用 し、 状 態 方 程 式 、 熱 伝 導 方 程 式 、 各 種 構 成 式<br />
及 び 相 関 式 などを 解 くことにより 流 体 、 構 造 材 の 相 互 作 用 、 機 器 の 作<br />
動 を 考 慮 した 過 渡 解 析 が 可 能 である。また、ポンプ、バルブ、スプレ<br />
イ、ファン、 空 調 機 器 、 熱 交 換 器 、イグナイタ、 水 素 結 合 器 といった<br />
機 器 設 備 の 作 動 及 び 制 御 に 対 しても 模 擬 可 能 である。<br />
b. 米 国 においては、 各 種 プラントの 格 納 容 器 に 対 する DBA 解 析 、SA<br />
解 析 及 び 建 屋 の 設 計 解 析 など 許 認 可 申 請 において 数 多 くの 適 用 例 が<br />
ある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 試 験 解 析 等 による 妥<br />
当 性 の 確 認 を 行 っている。<br />
c.-1 格 納 容 器 における 重 要 現 象 ( 区 画 間 ・ 区 画 内 の 流 動 、 構 造 材<br />
との 熱 伝 達 及 び 内 部 熱 伝 導 、スプレイ 特 性 、PAR 特 性 、イグナイ<br />
タによる 水 素 燃 焼 )については、NUPEC 試 験 Test M-7-1 及 び Test<br />
M-4-3、THAI 試 験 HR-3 の 解 析 等 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
c.-2 PAR の 性 能 評 価 式 及 び 水 素 処 理 モデルについては、THAI 実 験 に<br />
より 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、 重 大 事 故 時 の 格 納 容 器 内 水 素 混 合 挙 動 につ<br />
(※ 19 )R. Gauntt et. al., "MELCOR Computer Code Manuals Vol.2:Reference Manuals Ver1.8.5.," NUREG/CR-6119,<br />
Vol.2, Rev.2 / SAND2000-2417/2, (May 2000).<br />
(※ 20 )R. Gauntt et. al., "MELCOR Computer Code Manuals Vol.3: Demonstration Problems," NUREG/CR-6119,<br />
Vvol.3, NRC. (2001)<br />
238
いて、 妥 当 性 確 認 が 行 われた 実 験 条 件 と 実 機 条 件 との 違 いを 踏 まえて、<br />
有 効 性 評 価 への 適 用 性 について 検 討 している。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、GOTHIC についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 の<br />
ように 確 認 した。<br />
a. シビアアクシデント 時 の 格 納 容 器 挙 動 に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解<br />
析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。なお、 原 子 力<br />
分 野 に 限 らず 一 般 的 な 熱 水 力 系 にも 適 用 可 能 であり、 高 い 汎 用 性 を 有<br />
している。<br />
c. 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルについて、 解 析 結 果 がおおむ<br />
ね 妥 当 と 見 なせることを 確 認 している。<br />
d. 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 物 理 現 象 を 適 切 に 抽 出 し、 不 確 かさ<br />
評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の GOTHIC の<br />
特 性 に 応 じた 使 用 方 法 は 妥 当 と 認 められる。<br />
(5)COCO<br />
1 申 請 内 容<br />
申 請 者 は、COCO の 検 証 及 び 有 効 性 評 価 への 適 用 性 を 以 下 のとおりとし<br />
ている。<br />
a. COCO は、 原 子 炉 冷 却 材 喪 失 事 故 時 の 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 、 温<br />
度 変 化 の 評 価 を 主 目 的 に 開 発 されたコードであり、 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
を 気 相 系 と 液 相 系 に 大 別 し、 各 系 内 では 状 態 は 一 様 とし、 各 々の 系 に<br />
ついて 質 量 及 びエネルギー 保 存 則 を 解 く。また、 原 子 炉 格 納 容 器 内 構<br />
造 物 との 間 の 熱 の 授 受 もモデルとして 組 み 込 まれている。<br />
b. 国 内 PWR の 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請 書 の 添 付 書 類 十 の 安 全 評 価 に<br />
おいて 使 用 実 績 がある。<br />
c. 重 要 現 象 の 解 析 モデルについて、 以 下 のように 試 験 解 析 等 による 妥<br />
当 性 の 確 認 を 行 っている。<br />
c.-1 格 納 容 器 の 重 要 現 象 ( 構 造 材 との 熱 伝 達 及 び 内 部 熱 伝 導 )につ<br />
いては、CVTR Test-3 実 験 の 解 析 により 妥 当 性 確 認 を 行 っている。<br />
d. 不 確 かさ 評 価 としては、シビアアクシデント 時 の 格 納 容 器 圧 力 及 び<br />
格 納 容 器 雰 囲 気 温 度 について、スプレイ 条 件 の 違 いを 踏 まえて、 複 数<br />
239
の 実 験 による 妥 当 性 確 認 を 行 っている。また、 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トによる 自 然 対 流 冷 却 時 を 含 めた 長 期 的 挙 動 についての 適 用 性 評 価<br />
を 行 っている。<br />
2 確 認 内 容<br />
規 制 委 員 会 は、COCO についての 申 請 者 の 説 明 内 容 について、 以 下 のよ<br />
うに 確 認 した。<br />
a. 「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」 時 の 格 納 容 器 圧 力 及 び 格 納 容 器 雰 囲 気 温 度<br />
に 係 る 重 要 現 象 に 対 する 解 析 モデルが 説 明 されている。<br />
b. PWR 実 機 を 対 象 とした 安 全 解 析 への 適 用 実 績 がある。<br />
c. 本 コードは、M-RELAP5 で 計 算 された 放 出 質 量 、エネルギー 流 量 を<br />
境 界 条 件 として、 格 納 容 器 内 圧 評 価 を 行 うために 補 助 的 に 使 用 されて<br />
おり、 他 コードと 比 較 して 解 析 モデルや 数 値 解 法 が 単 純 なため、 妥 当<br />
性 確 認 は 容 易 である。 上 記 a.の 重 要 現 象 に 係 る 解 析 モデルについて、<br />
解 析 結 果 がおおむね 妥 当 と 見 なせることを 確 認 している。<br />
d. 不 確 かさ 幅 が 大 きいと 思 われる 物 理 現 象 を 適 切 に 抽 出 し、 不 確 かさ<br />
評 価 を 行 っている。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 有 効 性 評 価 における 申 請 者 の COCO の 特<br />
性 に 応 じた 使 用 方 法 は 妥 当 と 認 められる。<br />
Ⅳ-2 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 手 順 等 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 重<br />
大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 関 係 )<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 「 共 通 事 項 」は、 重 大 事 故 等 に 対 処 する<br />
ために 必 要 な 手 順 等 に 関 し 共 通 の 要 求 事 項 、 全 社 的 な 体 制 の 整 備 など 重 大 事 故 等 に<br />
対 処 するための 基 盤 的 な 要 求 事 項 を 満 たす 手 順 等 を、 保 安 規 定 等 において 規 定 する<br />
方 針 であることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 及 び 同 項<br />
の 解 釈 を 踏 まえ 必 要 な 検 討 を 加 えた 上 で 策 定 されており、 重 大 事 故 等 に 対 処 するた<br />
めに 必 要 な 手 順 等 に 関 し、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 基 づいて 整 備 される 設 備 の 運 用 手 順<br />
等 も 含 め、 共 通 の 要 求 事 項 を 満 たす 手 順 等 を 保 安 規 定 等 で 規 定 する 方 針 であること<br />
を 確 認 したことから、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 の 要 求 事 項 に 適 合 す<br />
るものと 判 断 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
240
なお、 各 手 順 等 における 固 有 の 要 求 に 対 する 審 査 については、Ⅳ-4.1からⅣ<br />
-4.19で 行 っている。<br />
また、 重 大 事 故 等 対 策 については、1 号 炉 及 び 2 号 炉 の 原 子 炉 容 器 に 燃 料 を 装 荷<br />
しないことを 前 提 とした 手 順 等 として 確 認 した。<br />
1. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 手 順 等 に 係 る 共 通 の 要 求 事 項<br />
(1) 切 替 えの 容 易 性<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (1)<br />
1に 則 って、 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 系 統 構 成 を 速 やかに 整 えられるよう<br />
必 要 な 手 順 等 を 整 備 するとともに、 確 実 に 行 えるよう 訓 練 を 実 施 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
(2)アクセスルートの 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (1)<br />
2に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 において、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 運 搬 するため、 又 は 他 の 設 備 の 被 害 状 況 を 把 握 するため、 発 電 所 内<br />
の 道 路 及 び 通 路 が 確 保 できるよう、 迂 回 路 も 考 慮 して 複 数 のアクセスルー<br />
トを 確 保 する 方 針 であること。<br />
2 障 害 物 を 除 去 可 能 なホイールローダ 及 びその 他 の 重 機 を 保 管 し、それら<br />
を 運 転 できる 要 員 を 確 保 する 等 、 実 効 性 のある 運 用 管 理 を 行 う 方 針 である<br />
こと。<br />
2. 復 旧 作 業 に 係 る 要 求 事 項<br />
(1) 予 備 品 等 の 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (2)<br />
1に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 優 先 順 位 を 考 慮 して 重 要 安 全 施 設 の 取 替 え 可 能 な 機 器 、 部 品 等 の 復 旧 作<br />
業 を 実 施 することとし、そのために 必 要 な 予 備 品 及 び 予 備 品 への 取 替 えの<br />
ために 必 要 な 資 機 材 等 を 確 保 すること。<br />
2 有 効 な 復 旧 対 策 についての 継 続 的 な 検 討 を 行 うとともに、 必 要 な 予 備 品<br />
の 確 保 に 努 めること。<br />
(2) 保 管 場 所 の 確 保<br />
241
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (2)<br />
2に 則 って、 地 震 による 周 辺 斜 面 の 崩 落 、 津 波 による 浸 水 等 の 外 部 事 象 の 影 響<br />
を 受 けにくい 場 所 に 位 置 的 分 散 を 考 慮 して 予 備 品 等 を 保 管 する 方 針 であるこ<br />
とを 確 認 した。<br />
(3)アクセスルートの 確 保<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (2)<br />
3に 則 って、 設 備 の 復 旧 作 業 を 行 うためのアクセスルートの 確 保 について、「1.<br />
(2)アクセスルートの 確 保 」と 同 じ 運 用 管 理 を 実 施 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3. 支 援 に 係 る 要 求 事 項<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (3)<br />
に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
(1) 発 電 所 内 であらかじめ 用 意 された 重 大 事 故 等 対 処 設 備 、 予 備 品 、 燃 料 等 に<br />
より、 事 故 発 生 後 7 日 間 は 事 故 収 束 対 応 を 維 持 できる 方 針 であること。<br />
(2)プラントメーカ、 協 力 会 社 、 建 設 会 社 、 燃 料 供 給 会 社 、 他 の 原 子 力 事 業 者<br />
等 関 係 機 関 と 協 議 及 び 合 意 の 上 、 外 部 支 援 計 画 を 定 める 方 針 であること。<br />
(3) 本 発 電 所 は、 発 電 所 外 に 保 有 している 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 同 種 の 設 備 、<br />
予 備 品 、 燃 料 等 により、 事 象 発 生 後 6 日 間 までに 支 援 を 受 けられる 計 画 であ<br />
ること。<br />
4. 手 順 書 の 整 備 、 訓 練 の 実 施 及 び 体 制 の 整 備<br />
(1) 手 順 書 の 整 備<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (4)<br />
解 釈 1に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 情 報 の 収 集 及 び 判 断 基 準 【 解 釈 1a)】<br />
全 ての 交 流 動 力 電 源 及 び 常 設 直 流 電 源 の 喪 失 、 安 全 系 の 機 器 若 しくは 計<br />
測 器 類 の 多 重 故 障 、3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 被 災 等 の 過 酷 な 状 態 において、<br />
発 電 用 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 及 び 重 大 事 故 等 対 策 の 適 切 な 判 断 を 行 う<br />
ため、 必 要 な 情 報 が 速 やかに 得 られるように 情 報 の 種 類 及 び 入 手 方 法 を 整<br />
理 するとともに、 判 断 基 準 を 明 確 にし、 手 順 書 にまとめる 方 針 であること。<br />
2 判 断 に 迷 う 操 作 等 の 判 断 基 準 の 明 確 化 【 解 釈 1b)】<br />
海 水 の 使 用 等 、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 ぐため<br />
242
に 優 先 すべき 操 作 等 の 判 断 基 準 をあらかじめ 明 確 にした 手 順 書 を 整 備 す<br />
る 方 針 であること。<br />
3 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安 全 を 優 先 する 方 針 【 解 釈 1c)】<br />
a. 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安 全 を 優 先 する 共 通 認 識 を 持 ち、 行 動 で<br />
きるよう、 社 長 があらかじめ 方 針 を 示 すこと。<br />
b. 当 直 課 長 が 躊 躇 せず 指 示 できるよう、 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安<br />
全 を 優 先 する 方 針 に 基 づき 定 めた 判 断 基 準 を 運 転 手 順 書 に 整 備 する<br />
方 針 であること。<br />
c. 発 電 所 の 緊 急 時 対 策 本 部 長 が、 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも 安 全 を 優<br />
先 する 方 針 に 従 った 判 断 を 実 施 すること、 財 産 ( 設 備 等 ) 保 護 よりも<br />
安 全 を 優 先 する 方 針 に 基 づき 定 めた 判 断 基 準 を 緊 急 時 対 策 本 部 用 手<br />
順 書 に 整 備 する 方 針 であること。<br />
4 手 順 書 の 構 成 及 び 手 順 書 相 互 間 の 移 行 基 準 の 明 確 化 【 解 釈 1d)】<br />
a. 事 故 の 進 展 状 況 に 応 じて 具 体 的 な 重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 するため<br />
の 運 転 員 用 及 び 支 援 組 織 用 の 手 順 書 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
b. 運 転 手 順 書 は、 事 故 の 進 展 状 況 に 応 じて 構 成 を 明 確 化 し、 手 順 書 相<br />
互 間 の 移 行 基 準 を 明 確 にする 方 針 であること。<br />
5 状 態 の 監 視 及 び 事 象 進 展 の 予 測 に 係 る 手 順 書 の 整 備 【 解 釈 1e)】<br />
a. 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 監 視 することが 必 要 なパラメータを<br />
あらかじめ 選 定 し、 運 転 手 順 書 に 明 記 する 方 針 であること。<br />
b. 重 大 事 故 等 対 策 実 施 時 におけるパラメータ 挙 動 予 測 、 影 響 評 価 すべ<br />
き 項 目 、 監 視 パラメータ 等 を 手 順 書 に 整 理 する 方 針 であること。<br />
c. 有 効 性 評 価 等 にて 整 理 した 有 効 な 情 報 を、 運 転 員 及 び 緊 急 時 対 策 本<br />
部 要 員 が 使 用 する 手 順 書 に 整 理 する 方 針 であること。<br />
6 前 兆 事 象 の 確 認 を 踏 まえた 事 前 の 対 応 手 順 の 整 備 【 解 釈 1f)】<br />
a. 前 兆 事 象 として 把 握 ができるか、 重 大 事 故 を 引 き 起 こす 可 能 性 があ<br />
るかを 考 慮 して、 設 備 の 安 全 機 能 の 維 持 及 び 事 故 の 防 止 対 策 をあらか<br />
じめ 検 討 する 方 針 であること。<br />
b. 前 兆 事 象 を 確 認 した 時 点 で 事 前 の 対 応 ができる 体 制 及 び 手 順 書 を<br />
整 備 する 方 針 であること。<br />
c. 大 津 波 警 報 が 発 令 された 場 合 、 原 則 として 原 子 炉 を 停 止 し、 冷 却 操<br />
作 を 開 始 する 手 順 書 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
(2) 訓 練 の 実 施<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (4)<br />
解 釈 2に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
243
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 教 育 及 び 訓 練 の 実 施 方 針 【 解 釈 2a)】<br />
重 大 事 故 等 対 策 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 状 況 に 応 じた 幅 広 い 対 策 が 必 要<br />
であることを 踏 まえ、 重 大 事 故 等 発 生 時 の 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 挙 動 に 関 す<br />
る 知 識 の 向 上 を 図 る 教 育 及 び 訓 練 を 実 施 する 方 針 であること。<br />
2 知 識 ベースの 理 解 向 上 に 資 する 教 育 及 び 総 合 的 な 演 習 の 実 施 【 解 釈 2b)】<br />
a. 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 の 役 割 に 応 じて 重 大 事 故 等 の 内 容 、 基 本 的 な 対<br />
処 方 法 等 、 定 期 的 に 知 識 ベースの 理 解 向 上 に 資 する 教 育 を 行 う 方 針 で<br />
あること。<br />
b. 現 場 作 業 を 行 う 重 大 事 故 等 対 策 要 員 と 運 転 員 ( 当 直 員 )が 連 携 して<br />
一 連 の 活 動 を 行 うための 訓 練 及 び 実 施 組 織 と 支 援 組 織 の 実 効 性 等 を<br />
総 合 的 に 確 認 するための 演 習 等 を 定 期 的 に 計 画 する 方 針 であること。<br />
3 保 守 訓 練 の 実 施 【 解 釈 2c)】<br />
普 段 から 保 守 点 検 活 動 を 社 員 自 らが 行 って 部 品 交 換 等 の 実 務 経 験 を 積<br />
むことなどにより、 発 電 用 原 子 炉 施 設 、 予 備 品 等 について 熟 知 する 方 針 で<br />
あること。<br />
4 高 線 量 下 等 を 想 定 した 訓 練 の 実 施 【 解 釈 2d)】<br />
高 線 量 下 、 夜 間 、 悪 天 候 等 を 想 定 した 事 故 時 対 応 訓 練 を 実 施 する 方 針 で<br />
あること。<br />
5 マニュアル 等 を 即 時 利 用 可 能 とするための 準 備 【 解 釈 2e)】<br />
設 備 及 び 資 機 材 等 に 関 する 情 報 並 びにマニュアルが 即 時 に 利 用 できる<br />
よう、 普 段 から 保 守 点 検 活 動 等 を 通 じて 準 備 し、それらの 情 報 及 びマニュ<br />
アルを 用 いた 事 故 時 対 応 訓 練 を 行 う 方 針 であること。<br />
(3) 体 制 の 整 備<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 (4)<br />
解 釈 3に 則 ったものであることを 確 認 した。<br />
具 体 的 には、 以 下 のとおり 確 認 した。<br />
1 役 割 分 担 及 び 責 任 者 の 明 確 化 【 解 釈 3a)】<br />
a. 重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 する 実 施 組 織 及 び 実 施 組 織 に 対 して 支 援 を<br />
行 う 支 援 組 織 の 役 割 分 担 、 責 任 者 等 を 定 める 方 針 であること。<br />
b. 専 門 性 及 び 経 験 を 考 慮 した 作 業 班 の 構 成 を 行 う 方 針 であること。<br />
c. 指 揮 命 令 系 統 を 明 確 にし、 効 果 的 な 重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 し 得 る 体<br />
制 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
2 実 施 組 織 の 構 成 【 解 釈 3b)】<br />
重 大 事 故 等 対 策 を 実 施 する 実 施 組 織 を、<br />
244
a. 運 転 員 等 により 事 故 拡 大 防 止 のための 措 置 を 実 施 する 班<br />
b. 発 電 設 備 の 応 急 復 旧 計 画 の 策 定 及 び 措 置 並 びに 消 火 活 動 を 実 施 す<br />
る 班<br />
c. 発 電 所 及 びその 周 辺 ( 周 辺 海 域 )における 放 射 線 量 並 びに 放 射 性 物<br />
質 の 濃 度 の 状 況 把 握 、 要 員 の 被 ばく 管 理 等 を 実 施 する 班<br />
d. 土 木 建 築 設 備 の 応 急 復 旧 計 画 の 策 定 及 び 措 置 を 実 施 する 班<br />
で 構 成 し、 必 要 な 役 割 分 担 を 行 い 重 大 事 故 等 対 策 が 円 滑 に 実 施 できる 体 制<br />
を 整 備 する 方 針 であること。<br />
3 複 数 号 炉 の 同 時 被 災 への 対 応 【 解 釈 3c)】<br />
a. 3 号 炉 及 び 4 号 炉 において 同 時 に 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 におい<br />
て、 発 電 所 の 緊 急 時 対 策 本 部 長 の 指 示 により 号 炉 ごとに 指 名 した 指 揮<br />
者 の 指 示 のもと、 号 炉 ごとの 情 報 収 集 や 事 故 対 策 の 検 討 を 行 い、 重 大<br />
事 故 等 対 策 を 実 施 する 方 針 であること。<br />
b. 必 要 な 運 転 員 ( 当 直 員 )、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 ) 及 び 重<br />
大 事 故 等 対 策 要 員 を 発 電 所 内 及 び 発 電 所 近 傍 に 常 時 確 保 し、3 号 炉 及<br />
び 4 号 炉 の 同 時 被 災 等 が 発 生 した 場 合 においても 対 応 できる 体 制 と<br />
する 方 針 であること。<br />
4 支 援 組 織 の 構 成 【 解 釈 3d)】<br />
a. 緊 急 時 対 策 本 部 に 支 援 組 織 として、 実 施 組 織 に 対 して 技 術 的 助 言 を<br />
行 う 技 術 支 援 組 織 、 実 施 組 織 が 重 大 事 故 等 対 策 に 専 念 できる 環 境 を 整<br />
える 運 営 支 援 組 織 を 設 ける 方 針 であること。<br />
b. 技 術 支 援 組 織 は、 事 故 拡 大 防 止 のための 運 転 措 置 及 び 保 安 上 の 技 術<br />
的 支 援 を 行 う 班 で 構 成 すること。<br />
c. 運 営 支 援 組 織 は、 緊 急 時 対 策 本 部 の 運 営 及 び 情 報 収 集 を 行 う 班 、 報<br />
道 機 関 等 の 対 応 を 行 う 班 、 防 災 資 機 材 の 整 備 を 行 う 班 、 避 難 者 の 誘 導<br />
を 行 う 班 で 構 成 すること。<br />
5 対 策 本 部 の 設 置 及 び 要 員 の 招 集 【 解 釈 3e)】<br />
a. 所 長 ( 原 子 力 防 災 管 理 者 )を 本 部 長 とする 緊 急 時 対 策 本 部 を 設 置 し、<br />
その 中 に 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 を 設 置 する 方 針 であること。<br />
b. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )において 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に 速 やか<br />
に 対 応 を 行 うため、 発 電 所 内 及 び 近 傍 に、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮<br />
者 等 )4 名 、 重 大 事 故 等 対 策 要 員 36 名 及 び 運 転 員 ( 当 直 員 )12 名 の<br />
合 計 52 名 を 常 時 確 保 する 方 針 であること。<br />
c. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )を 含 めて 必 要 な 要 員 を 非 常 召 集 できるよう、<br />
あらかじめ 定 めた 連 絡 体 制 に 基 づき、 定 期 的 に 連 絡 訓 練 を 実 施 する 方<br />
針 であること。<br />
245
6 各 班 の 役 割 分 担 及 び 責 任 者 の 明 確 化 【 解 釈 3f)】<br />
重 大 事 故 等 対 策 の 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 について、 上 記 4.(3)2 項<br />
及 び4.(3)4 項 に 示 す 各 班 の 機 能 を 明 確 にするとともに、 各 班 に 責 任<br />
者 である 班 長 及 び 副 班 長 を 配 置 する 方 針 であること。<br />
7 指 揮 命 令 系 統 及 び 代 行 者 の 明 確 化 【 解 釈 3g)】<br />
緊 急 時 対 策 本 部 における 指 揮 命 令 系 統 を 明 確 にするとともに、 指 揮 者 で<br />
ある 本 部 長 の 所 長 ( 原 子 力 防 災 管 理 者 ) 及 び 班 長 が 欠 けた 場 合 に 備 え、 代<br />
行 者 と 代 行 順 位 をあらかじめ 定 め 明 確 にする 方 針 であること。<br />
8 実 効 的 に 活 動 するための 設 備 等 の 整 備 【 解 釈 3h)】<br />
a. 実 施 組 織 及 び 支 援 組 織 が 定 められた 役 割 を 遂 行 するため、 発 電 所 内<br />
外 に 通 信 連 絡 を 行 い 関 係 箇 所 と 連 携 を 図 るための 統 合 原 子 力 防 災 ネ<br />
ットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 (テレビ 会 議 システムを 含 む。)<br />
を 備 えた 代 替 緊 急 時 対 策 所 及 び 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )( 以<br />
下 「 緊 急 時 対 策 所 」という。ただし、 必 要 により 記 載 を 書 き 分 ける。)<br />
を 整 備 する 方 針 であること。<br />
b. 中 央 制 御 室 、 緊 急 時 対 策 所 及 び 現 場 との 連 携 を 図 るため、 携 帯 型 通<br />
話 設 備 等 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
9 発 電 所 内 外 への 情 報 提 供 【 解 釈 3i)】<br />
発 電 用 原 子 炉 施 設 の 状 態 及 び 重 大 事 故 等 対 策 の 実 施 状 況 について、 発 電<br />
所 内 外 の 組 織 への 通 報 及 び 連 絡 を 実 施 できるよう、 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 統<br />
合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 を 用 いて、 広 く 情 報<br />
提 供 を 行 うことができる 体 制 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
10 外 部 からの 支 援 体 制 の 整 備 【 解 釈 3j)】<br />
a. 発 電 所 外 部 からの 支 援 を 受 けることができるよう、 緊 急 時 体 制 を 発<br />
令 した 場 合 に 本 店 対 策 本 部 を 設 置 する 等 の 体 制 を 整 備 する 方 針 であ<br />
ること。<br />
b. 本 店 対 策 本 部 は、 緊 急 時 対 策 本 部 が 事 故 対 応 に 専 念 できるよう、 情<br />
報 の 収 集 及 び 災 害 状 況 把 握 を 行 う 班 、 事 故 拡 大 防 止 措 置 の 支 援 を 行 う<br />
班 、 外 部 電 源 や 通 信 連 絡 設 備 に 関 する 支 援 を 行 う 班 、 報 道 対 応 を 行 う<br />
班 及 び 資 機 材 等 の 調 達 運 搬 を 行 う 班 で 構 成 する 方 針 であること。<br />
c. 本 店 対 策 本 部 は、 原 子 力 事 業 所 災 害 対 策 支 援 拠 点 の 設 置 を 行 うこと、<br />
他 の 原 子 力 事 業 者 及 び 原 子 力 緊 急 事 態 支 援 組 織 からの 技 術 的 な 支 援<br />
が 受 けられる 体 制 を 整 備 する 方 針 であること。<br />
d. 本 店 対 策 本 部 は、 社 長 を 本 店 対 策 本 部 長 とし、 原 子 力 部 門 のみでな<br />
く 他 部 門 を 含 めた 全 社 体 制 にて 原 子 力 災 害 対 策 活 動 を 実 施 する 方 針<br />
であること。<br />
246
11 事 故 後 の 中 長 期 的 な 対 応 に 備 えた 体 制 の 整 備 【 解 釈 3k)】<br />
a. 重 大 事 故 等 発 生 後 の 中 長 期 的 な 対 応 が 必 要 となる 場 合 に 備 えて、 社<br />
内 外 の 関 係 各 所 と 連 係 し、 適 切 かつ 効 果 的 な 対 応 を 検 討 できる 体 制 を<br />
整 備 する 方 針 であること。<br />
b. 重 大 事 故 等 発 生 時 に、 機 能 喪 失 した 設 備 の 保 守 を 実 施 するための 放<br />
射 線 量 低 減 活 動 、 放 射 性 物 質 を 含 んだ 汚 染 水 が 発 生 した 際 の 汚 染 水 の<br />
処 理 活 動 等 を 円 滑 に 実 施 するため、 平 時 から 必 要 な 対 応 を 検 討 できる<br />
体 制 を 構 築 する 方 針 であること。<br />
Ⅳ-3 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 する 共 通 の 要 求 事 項 ( 第 38 条 ~ 第 41<br />
条 及 び 第 43 条 関 係 )<br />
第 38 条 から 第 41 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 して、 必 要 な 機 能 が 地 盤 の 変<br />
位 等 、 地 震 、 津 波 及 び 火 災 によって 損 なわれるおそれがないことを 要 求 している。<br />
第 38 条 から 第 41 条 の 審 査 においては、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 設 計 方 針 等 につい<br />
て、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 設 計 方 針 等 との 相 違 を 踏 まえた 審 査 を 行 った。<br />
また、 第 43 条 においては、 重 大 事 故 等 に 対 処 するため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に<br />
ついて、 必 要 な 容 量 の 確 保 や 悪 影 響 の 防 止 等 の 適 切 な 措 置 等 を 講 じることを 要 求 し<br />
ている。<br />
なお、 各 設 備 における 固 有 の 要 求 に 対 する 審 査 内 容 については、Ⅳ-4.1から<br />
Ⅳ-4.19で 示 している。<br />
Ⅳ-3.1 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 地 盤 ( 第 38 条 関 係 )<br />
第 38 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 施 設 の 区 分 に 応 じて 適 用 される 地 震<br />
力 が 作 用 した 場 合 においても、 十 分 に 支 持 することができる 地 盤 に 設 けなければな<br />
らないことを 要 求 している。<br />
また、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩<br />
和 設 備 (※ 21 )が 設 置 されるものに 限 る。)は、 変 形 した 場 合 においても 重 大 事 故 等<br />
に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければなら<br />
ないこと、 及 び 変 位 が 生 ずるおそれがない 地 盤 に 設 けなければならないことを 要 求<br />
している。<br />
申 請 者 は、「Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )」において 評 価 され<br />
ている 地 盤 以 外 に 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 として、 緊 急 時 対 策 所 機 能 に 係 る<br />
(※ 21 )「 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 」 及 び「 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 」は、 第 38 条 において 定 義 されている<br />
ものである。 以 下 同 様 。<br />
247
設 備 を 支 持 ・ 内 包 する 緊 急 時 対 策 棟 ( 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 用 燃 料 油 貯 蔵 タン<br />
ク・ 給 油 ポンプ 室 を 含 む。)( 以 下 「 緊 急 時 対 策 棟 」という。)、 代 替 緊 急 時 対 策 所 等<br />
を 対 象 に 評 価 を 行 っている。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 施 設 を 対 象 に 評 価 を 行 うことは 妥 当 であると 判 断 し、 以<br />
下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
3. 地 盤 の 変 形<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 地 盤 の 変 位<br />
第 38 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 1は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐<br />
震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。 以<br />
下 この 項 において 同 じ。)を 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 の 露 頭 が 無 いこと<br />
を 確 認 した 地 盤 に 設 置 することを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 を 設 置 する 地 盤 における 断 層 の 活 動 性 評 価 につ<br />
いて、 敷 地 及 び 敷 地 近 傍 における 変 動 地 形 学 的 調 査 及 び 地 表 地 質 調 査 の 結 果 並 び<br />
に 断 層 の 性 状 及 び 上 載 地 層 の 年 代 に 着 目 した 手 法 による 検 討 結 果 を 以 下 のとお<br />
りとしている。<br />
(1) 緊 急 時 対 策 棟 、 取 水 口 及 び 取 水 管 路 設 置 位 置 には、ボーリング 調 査 から、<br />
f-90 断 層 、f-91 断 層 、f-102 断 層 、f-113 断 層 、f-11<br />
4 断 層 、f-119 断 層 及 びf-120 断 層 が 認 められる。<br />
(2)f-102 断 層 は「Ⅲ-2 設 計 基 準 対 象 施 設 の 地 盤 ( 第 3 条 関 係 )1.<br />
地 盤 の 変 位 」に 示 す、「 佐 世 保 層 群 の 層 理 に 走 向 がほぼ 平 行 な 断 層 」に 該 当<br />
することから、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 ではないと 評 価 した。<br />
(3)f-90 断 層 、f-91 断 層 、f-113 断 層 、f-114 断 層 、f-1<br />
19 断 層 及 びf-120 断 層 は、「 佐 世 保 層 群 に 貫 入 した 玢 岩 に 沿 う 断 層 及<br />
び 玢 岩 脈 と 同 系 統 の 断 層 」に 該 当 し、 当 該 断 層 は、 局 所 的 かつ 小 規 模 なもの<br />
であり、トレンチ 調 査 の 結 果 、 岩 脈 ( 玢 岩 )は 東 松 浦 玄 武 岩 類 に 覆 われ、 岩<br />
脈 ( 玢 岩 )の 貫 入 時 期 は、 佐 世 保 層 群 の 堆 積 後 から 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦<br />
248
玄 武 岩 類 の 噴 出 前 の 間 であることから、 当 該 断 層 の 生 成 時 期 及 び 活 動 時 期 も<br />
佐 世 保 層 群 の 堆 積 後 から 新 第 三 紀 鮮 新 世 の 東 松 浦 玄 武 岩 類 の 噴 出 前 の 間 と<br />
判 断 される。このことから、これらの 断 層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断<br />
層 等 はないと 評 価 した。<br />
(4) 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 エリア 基 礎 、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 タンク 基 礎 及 び 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 設 置 位 置 には、ボーリング 調 査 の 結 果 、 断 層 は 認 められない。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 行 った 重 大 事 故 等 対 処 施 設 を 設 置 する 地 盤 における 断<br />
層 の 活 動 性 評 価 手 法 等 が 適 切 であり、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 設 置 位 置 に 分 布 する 断<br />
層 は、 将 来 活 動 する 可 能 性 のある 断 層 等 に 該 当 せず、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適 合 し<br />
ていること 及 び 地 質 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
2. 地 盤 の 支 持<br />
第 38 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 1は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、<br />
施 設 の 区 分 に 応 じた 地 震 力 ( 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩<br />
和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 )<br />
が 作 用 した 場 合 においても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する 地 盤 に 設 けな<br />
ければならないこと、さらに、 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故<br />
緩 和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力<br />
が 作 用 することによって 弱 面 上 のずれ 等 が 発 生 しないことを 含 め、 基 準 地 震 動 に<br />
よる 地 震 力 に 対 する 支 持 性 能 が 確 保 されていることを 確 認 することを 要 求 して<br />
いる。<br />
申 請 者 は、 解 析 モデルの 設 定 、 動 的 解 析 等 の 内 容 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 については、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 が 作 用 した 場 合 にお<br />
いても、 接 地 圧 に 対 する 十 分 な 支 持 力 を 有 する 地 盤 に 設 置 する。<br />
(2) 緊 急 時 対 策 棟 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 等 を 対 象 に、 基 礎 地 盤 の 支 持 力 、 基 礎<br />
地 盤 のすべり 及 び 基 礎 底 面 の 傾 斜 に 対 する 安 全 性 を 評 価 した。<br />
(3) 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作 用 させた 動 的 解 析 は、 評 価 の 対 象 となる 重 大<br />
事 故 等 対 処 施 設 の 配 置 、 施 設 周 辺 の 地 形 及 び 地 質 構 造 等 を 考 慮 し、 緊 急 時 対<br />
策 棟 を 通 る 1 断 面 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 通 り 直 交 する 2 断 面 を 対 象 に 二 次<br />
元 有 限 要 素 法 により 行 った。<br />
(4) 動 的 解 析 に 用 いる 地 盤 パラメータについては、 各 種 の 調 査 結 果 を 基 に 設 定<br />
した。 解 析 に 当 たっては、せん 断 強 度 のばらつき、 地 下 水 位 観 測 結 果 、 入 力<br />
地 震 動 の 位 相 の 反 転 についても 考 慮 した。<br />
(5) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 緊 急 時 対 策 棟 の 基 礎 底 面 における 最 大 接 地 圧<br />
249
は 1.70N/mm 2 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 基 礎 底 面 における 最 大 接 地 圧 は 0.24N/mm 2<br />
であり、 基 礎 地 盤 の 大 部 分 を 占 める○B 級 以 上 の 岩 盤 の 支 持 力 試 験 結 果 から 評<br />
価 した 極 限 支 持 力 (13.7N/mm 2 以 上 )を 下 回 る。<br />
(6) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 緊 急 時 対 策 棟 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 基 礎 地<br />
盤 の 最 小 すべり 安 全 率 は、1.5 を 上 回 る。<br />
(7) 動 的 解 析 の 結 果 から 得 られた 緊 急 時 対 策 棟 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 基 礎 底<br />
面 に 生 じる 最 大 傾 斜 は、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 を 設 置 する 地 盤 の 評 価 については、 申 請 者<br />
が 行 った 動 的 解 析 の 手 法 、 地 盤 パラメータの 設 定 方 法 等 が 適 切 であり、 当 該 施 設<br />
を 十 分 に 支 持 することができる 地 盤 に 設 けるとしていることから、 解 釈 別 記 1の<br />
規 定 に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
3. 地 盤 の 変 形<br />
第 38 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 1は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐<br />
震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。 以<br />
下 この 項 において 同 じ。)について、 地 震 発 生 に 伴 う 地 殻 変 動 によって 生 じる 支<br />
持 地 盤 の 傾 斜 及 び 撓 み 並 びに 地 震 発 生 に 伴 う 建 物 ・ 構 築 物 間 の 不 等 沈 下 、 液 状 化<br />
及 び 揺 すり 込 み 沈 下 等 の 周 辺 地 盤 の 変 状 が 生 じた 場 合 においてもその 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 地 盤 に 設 けなければ<br />
ならないことを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 支 持 地 盤 に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾<br />
斜 に 関 する 評 価 を 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 岩 盤 に 支 持 されている、 若 しくはマンメイドロッ<br />
ク(コンクリート)による 置 き 換 え 等 により 岩 盤 に 支 持 される 設 計 としてい<br />
ることから、 揺 すり 込 み 沈 下 や 液 状 化 による 不 等 沈 下 の 影 響 を 受 けるおそれ<br />
はない。<br />
(2) 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 支 持 地 盤 の 傾 斜 は、 本 発 電 所 敷 地 内 に 震 源 として 考<br />
慮 する 活 断 層 が 分 布 していないことを 確 認 していることから、 敷 地 において<br />
地 殻 の 広 域 的 な 変 形 による 著 しい 地 盤 の 傾 斜 が 生 じることはないが 敷 地 に<br />
比 較 的 近 い 竹 木 場 断 層 及 び 城 山 南 断 層 の 活 動 に 伴 い 生 じる 地 盤 の 傾 斜 につ<br />
いて、Wang et al.(2003)の 手 法 により 評 価 した 結 果 、1/2,000 を 下 回 る。<br />
規 制 委 員 会 は、 地 盤 の 変 形 について、 申 請 者 の 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 支 持 地 盤<br />
の 変 形 に 係 る 設 計 方 針 、 地 殻 変 動 による 傾 斜 に 関 する 評 価 が 適 切 であり、 変 形 し<br />
た 場 合 においてもその 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるお<br />
250
それがない 地 盤 に 当 該 施 設 を 設 けるとしていることから、 解 釈 別 記 1の 規 定 に 適<br />
合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-3.2 地 震 による 損 傷 の 防 止 ( 第 39 条 関 係 )<br />
第 39 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 が、 施 設 の 区 分 に 応 じて 適 用 される 地 震 力 に 対<br />
して、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とす<br />
ることなどを 要 求 している。<br />
また、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 及 び 常 設 重 大 事 故 緩<br />
和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。)が、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 によって 生 ずるお<br />
それのある 斜 面 の 崩 壊 に 対 して、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわ<br />
れるおそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 耐 震 設 計 方 針<br />
2. 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 耐 震 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐 震 設 計 におけ<br />
る 動 的 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 に 対 する 設 計 方 針 を 踏 襲 し、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の<br />
構 造 上 の 特 徴 、 重 大 事 故 等 における 運 転 状 態 、 重 大 事 故 等 の 状 態 で 施 設 に 作 用 す<br />
る 荷 重 等 を 考 慮 し、 適 用 する 地 震 力 に 対 して 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な<br />
機 能 が 損 なわれるおそれがないことを 目 的 として、 以 下 のとおり 耐 震 設 計 を 行 う<br />
としている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 施 設 区 分 に 応 じた 耐 震 設 計<br />
1 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 基<br />
準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 して、 重 大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 に 対 処<br />
するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがないよう 設 計 する。<br />
2 常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 以 外 の 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 が 設 置 さ<br />
れる 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 代 替 する 機 能 を 有 する 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
が 属 する 耐 震 重 要 度 分 類 のクラスに 適 用 される 地 震 動 による 地 震 力 及 び<br />
251
静 的 地 震 力 に 十 分 に 耐 えることができるよう 設 計 する。<br />
3 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 基 準 地 震 動<br />
による 地 震 力 に 対 して、 重 大 事 故 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれ<br />
るおそれがないよう 設 計 する。<br />
(2) 地 震 力 の 算 定 方 針<br />
地 震 力 の 算 定 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐 震 設 計 に 用 いる 地 震 力 の 算 定 等 を 適<br />
用 する。<br />
(3) 荷 重 の 組 合 せと 許 容 限 界 の 設 定 方 針<br />
常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 の 建 物 ・ 構 築 物 については、 常 時 作 用 している 荷 重 、 運 転 時<br />
の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 、 設 計 基 準 事 故 の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 及 び<br />
重 大 事 故 等 の 状 態 で 施 設 に 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 組 み 合<br />
わせた 荷 重 条 件 に 対 して、 構 造 物 全 体 としての 変 形 能 力 ( 終 局 耐 力 時 の 変 形 )<br />
について 十 分 な 余 裕 を 有 し、 終 局 耐 力 に 対 し 妥 当 な 安 全 余 裕 を 有 するよう 設 計<br />
する。<br />
常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 の 機 器 ・ 配 管 系 については、 通 常 運 転 、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡<br />
変 化 、 設 計 基 準 事 故 及 び 重 大 事 故 等 の 状 態 で 作 用 する 荷 重 と 基 準 地 震 動 による<br />
地 震 力 を 組 み 合 わせた 荷 重 条 件 に 対 して、 塑 性 ひずみが 生 じる 場 合 であっても、<br />
その 量 が 小 さなレベルに 留 まって 破 断 延 性 限 界 に 十 分 な 余 裕 を 有 し、その 施 設<br />
の 機 能 に 影 響 を 及 ぼすことがない 限 度 に 応 力 、 荷 重 等 を 制 限 する 値 を 許 容 限 界<br />
とする。「 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 、 設 計 基 準 事 故 及 び 重 大 事 故 等 の 状 態 で 作<br />
用 する 荷 重 」のうち、<br />
1 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれのある 事 象 によって 作 用 する 荷 重<br />
は、 地 震 力 と 組 み 合 わせる<br />
2 2 地 震 によって 引 き 起 こされるおそれはないが、いったん 発 生 した 場<br />
合 、 長 時 間 継 続 する 事 象 による 荷 重 は、 事 象 の 発 生 頻 度 、 継 続 時 間 及 び<br />
地 震 動 の 年 超 過 確 率 との 関 係 を 踏 まえ、 適 切 な 地 震 力 と 組 み 合 わせる<br />
ものとする。<br />
(4) 波 及 的 影 響 に 係 る 設 計 方 針<br />
常 設 耐 震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 される 重<br />
大 事 故 等 対 処 施 設 は、Bクラス 及 びCクラスの 施 設 等 の 波 及 的 影 響 によって、<br />
重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 を 損 なわない 設 計 とする。<br />
252
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐<br />
震 設 計 における 動 的 地 震 力 又 は 静 的 地 震 力 に 対 する 設 計 方 針 を 踏 襲 し、 重 大 事 故<br />
等 対 処 施 設 の 構 造 上 の 特 徴 、 重 大 事 故 等 における 運 転 状 態 、 重 大 事 故 等 の 状 態 で<br />
施 設 に 作 用 する 荷 重 等 を 考 慮 し、 適 用 する 地 震 力 に 対 して 重 大 事 故 等 に 対 処 する<br />
ために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがないように 設 計 するとしており、 解 釈 別<br />
記 2の 規 定 に 適 合 していることを 確 認 した。<br />
2. 周 辺 斜 面 の 安 定 性<br />
第 39 条 において 準 じて 適 用 する 解 釈 別 記 2は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 ( 常 設 耐<br />
震 重 要 重 大 事 故 防 止 設 備 又 は 常 設 重 大 事 故 緩 和 設 備 が 設 置 されるものに 限 る。 以<br />
下 この 項 において 同 じ。)の 周 辺 斜 面 について、 基 準 地 震 動 による 地 震 力 を 作 用<br />
させた 安 定 解 析 を 行 い、 崩 壊 のおそれがないことを 確 認 するとともに、 崩 壊 のお<br />
それがある 場 合 には、 崩 壊 によって 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 影 響 を 及 ぼすことがな<br />
いようにすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 周 辺 斜 面 の 評 価 について、 以 下 のとおりとし<br />
ている。<br />
(1) 安 定 性 評 価 の 対 象 となる 斜 面 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 に 対 する 周 辺 斜 面 の<br />
離 隔 距 離 及 び 斜 面 高 さを 考 慮 して 検 討 した 結 果 、 対 象 施 設 と 十 分 な 離 隔 距 離<br />
を 有 していることから、 存 在 しない。<br />
規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 周 辺 斜 面 について、 申 請 者 が 安 定 性 評 価<br />
の 対 象 となる 斜 面 は 存 在 しないことを 確 認 していることから、 解 釈 別 記 2の 規 定<br />
に 適 合 していること 及 び 地 盤 ガイドを 踏 まえていることを 確 認 した。<br />
Ⅳ-3.3 津 波 による 損 傷 の 防 止 ( 第 40 条 関 係 )<br />
第 40 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 が 基 準 津 波 に 対 して 重 大 事 故 等 に 対 処 するため<br />
に 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 基 準 津 波 に 対 して、 重 大 事 故 等 に 対 処<br />
するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれがない 設 計 とするため、 以 下 の 耐 津 波 設<br />
計 方 針 としている。<br />
1. 設 計 基 準 対 象 施 設 の 津 波 防 護 対 象 設 備 を 内 包 する 建 屋 及 び 区 画 に 設 置 するも<br />
のについては、 設 計 基 準 対 象 施 設 と 同 じ 耐 津 波 設 計 方 針 とする。<br />
2.それ 以 外 の 建 屋 及 び 区 画 に 設 置 する 緊 急 時 対 策 棟 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 、 大 容<br />
量 空 冷 式 発 電 機 、モニタリングステーション 及 びモニタリングポストについて<br />
253
は、 基 準 津 波 による 遡 上 波 を 地 上 部 から 到 達 、 流 入 させない 設 計 とするなど、<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 の 耐 津 波 設 計 方 針 に 準 じた 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 に 準 じ<br />
た 耐 津 波 設 計 により、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 が 損 なわれるおそれ<br />
がないとしていることから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅳ-3.4 火 災 による 損 傷 の 防 止 ( 第 41 条 関 係 )<br />
第 41 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 が、 火 災 によって 必 要 な 機 能 を 損 なうおそれが<br />
ないよう、 火 災 の 発 生 を 防 止 すること、かつ、 火 災 を 感 知 及 び 消 火 することを 要 求<br />
している。<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 は、 火 災 により 必 要 な 機 能 を 損 なうおそれがない<br />
よう、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 火 災 防 護 対 策 に 準 じて、 火 災 の 発 生 防 止 、 火 災 の 感 知 及<br />
び 消 火 のそれぞれを 考 慮 した 火 災 防 護 対 策 を 講 じた 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 対 処 施 設 について、 火 災 防 護 基 準 に 基 づく 火 災 防 護 設<br />
計 が 行 われる 方 針 であり、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
Ⅳ-3.5 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 関 係 )<br />
第 43 条 は、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 に 対 して、 共 通 事 項 として 以 下 の 項 目 を 要<br />
求 している。<br />
1 環 境 条 件 及 び 荷 重 条 件 (43-1-1(※ 22 ))<br />
2 操 作 性 (43-1-2)<br />
3 試 験 又 は 検 査 (43-1-3)<br />
4 切 替 えの 容 易 性 (43-1-4)<br />
5 他 の 設 備 に 対 する 悪 影 響 防 止 (43-1-5)<br />
6 現 場 の 作 業 環 境 (43-1-6)<br />
また、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 に 対 して、 共 通 事 項 として 以 下 の 項 目 を 要 求<br />
している。<br />
1 容 量 (43-2-1)<br />
2 共 用 の 禁 止 (43-2-2)<br />
3 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 との 多 様 性 (43-2-3)<br />
さらに、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 に 対 して、 共 通 事 項 として 以 下 の 項 目 を<br />
(※ 22 )「 43-1-1」は、 第 43 条 において 該 当 する 条 項 「 第 43 条 第 1 項 第 1 号 」を 示 す。 以 下 同 様 。<br />
254
要 求 している。<br />
1 容 量 (43-3-1)<br />
2 確 実 な 接 続 (43-3-2)<br />
3 複 数 の 接 続 口 (43-3-3)<br />
4 現 場 の 作 業 環 境 (43-3-4)<br />
5 保 管 場 所 (43-3-5)<br />
6 アクセスルートの 確 保 (43-3-6)<br />
7 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 及 び 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 との 多 様 性 (43-3-7)<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 項 目 について、 以 下 のとおり 本 申 請 の 内 容 を 確 認 した 結<br />
果 、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
なお、 各 設 備 が 第 43 条 に 適 合 しているかはⅣ-4.1からⅣ-4.19で 示 し<br />
ている。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 審 査 確 認 事 項<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 第 1 項 関 係 )<br />
申 請 者 は、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 について、 以 下 のとおり 設 計 する 方 針 と<br />
している。<br />
1 環 境 条 件 及 び 荷 重 条 件<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 における<br />
温 度 、 放 射 線 、 荷 重 その 他 の 使 用 条 件 において、その 機 能 が 有 効 に 発 揮 で<br />
きるよう、その 設 置 ( 使 用 )・ 保 管 場 所 に 応 じた 耐 環 境 性 を 有 する 設 計 と<br />
するとともに、 操 作 できる 設 計 とする。<br />
2 操 作 性<br />
想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても、 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
の 操 作 を 確 実 なものとするため、 重 大 事 故 等 時 の 環 境 条 件 に 対 し、 操 作 場<br />
所 で 操 作 できる 設 計 とする。<br />
3 試 験 又 は 検 査<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 健 全 性 及 び 能 力 を 確 認 するため、 原 子 炉 の 運 転<br />
中 又 は 停 止 中 に 必 要 な 箇 所 の 保 守 点 検 、 試 験 又 は 検 査 を 実 施 できるよう、<br />
機 能 ・ 性 能 の 確 認 、 漏 えいの 有 無 の 確 認 、 分 解 点 検 等 ができる 構 造 とする。<br />
4 切 替 えの 容 易 性<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 のうち、 本 来 の 用 途 以 外 の 用 途 として 重 大 事 故 等 に<br />
対 処 するために 使 用 する 設 備 にあっては、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 でも、<br />
255
通 常 時 の 系 統 から 弁 又 は 遮 断 器 操 作 等 にて 速 やかに 切 り 替 えできる 設 計<br />
とする。<br />
5 他 の 設 備 に 対 する 悪 影 響 防 止<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 原 子 炉 施 設 ( 他 号 炉 (※ 23 )を 含 む。) 内 の 他 の<br />
設 備 ( 設 計 基 準 対 象 施 設 だけでなく、 当 該 重 大 事 故 等 対 処 設 備 以 外 の 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 も 含 む。)に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とする。<br />
6 現 場 の 作 業 環 境<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 置 場 所 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場<br />
合 においても 操 作 及 び 復 旧 作 業 に 支 障 がないように、 遮 蔽 の 設 置 や 線 源 か<br />
らの 離 隔 距 離 により 放 射 線 量 が 高 くなるおそれの 少 ない 場 所 を 選 定 した<br />
上 で 設 置 場 所 で 操 作 でき、 放 射 線 の 影 響 を 受 けない 異 なる 区 画 又 は 離 れた<br />
場 所 から 遠 隔 で 操 作 できる 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 備 共 通 の 設 計 方 針 等 とし、<br />
他 の 設 備 に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 方 針 とするなど、 第 43 条 第 1 項 及<br />
び 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 としていることから、 適 切<br />
なものであると 判 断 した。<br />
(2) 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 第 2 項 関 係 )<br />
申 請 者 は、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 について、 以 下 のとおり 設 計 する 方<br />
針 としている。<br />
1 容 量<br />
常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 において、 想<br />
定 する 事 象 及 びその 事 象 の 進 展 等 を 考 慮 し、 重 大 事 故 等 時 に 必 要 な 目 的 を<br />
果 たすために、 系 統 の 目 的 に 応 じて 必 要 となる 容 量 等 を 有 する 設 計 とする。<br />
2 共 用 の 禁 止<br />
常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 各 機 器 は、 二 以 上 の 原 子 炉 施 設 において 共 用<br />
しない 設 計 とする。ただし、 共 用 対 象 の 施 設 ごとに 要 求 される 技 術 的 要 件<br />
( 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 必 要 な 機 能 )を 満 たしつつ、 二 以 上 の 原 子<br />
炉 施 設 と 共 用 することによって、 安 全 性 が 向 上 する 場 合 であって、 更 に 同<br />
一 の 発 電 所 内 の 他 の 原 子 炉 施 設 に 対 して 悪 影 響 を 及 ぼさない 場 合 は、 共 用<br />
できる 設 計 とする。<br />
3 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 との 多 様 性<br />
常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 安 全 機 能 又 は 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 若 しくは 注 水 機 能 と、 環 境 条 件 、 地 震 、 津 波 その 他<br />
(※ 23 ) 他 号 炉 とは、3 号 炉 に 対 しては 4 号 炉 、4 号 炉 に 対 しては 3 号 炉 を 指 す。<br />
256
の 自 然 現 象 、 外 部 人 為 事 象 、 溢 水 、 火 災 及 びサポート 系 の 故 障 による 共 通<br />
要 因 によって 同 時 にその 機 能 が 損 なわれるおそれがないよう、 可 能 な 限 り<br />
多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 ることを 考 慮 して 適 切 な 措 置 を<br />
講 じた 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 備 共 通 の 設 計 方 針 等<br />
について、 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 な 容 量 を 有 する 設 計 とするなど、<br />
第 43 条 第 2 項 及 び 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 として<br />
いることから、 適 切 なものであると 判 断 した。<br />
(3) 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 ( 第 43 条 第 3 項 関 係 )<br />
申 請 者 は、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 全 般 について、 以 下 のとおり 設 計 する<br />
方 針 としている。<br />
1 容 量<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 において、<br />
想 定 する 事 象 及 びその 事 象 の 進 展 を 考 慮 し、 系 統 の 目 的 に 応 じて 1 セット<br />
で 必 要 な 容 量 等 を 有 する 設 計 とする。これを 複 数 セット 保 有 することによ<br />
り、 必 要 な 容 量 等 に 加 え、 十 分 に 余 裕 のある 容 量 等 を 有 する 設 計 とする。<br />
2 確 実 な 接 続<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 常 設 設 備 と 接 続 するものについては、 容 易<br />
かつ 確 実 に 接 続 できるように、 原 則 として、ケーブルについてはコネクタ<br />
又 はプラグを 用 い、 配 管 については 口 径 や 内 部 流 体 の 圧 力 を 考 慮 し、 大 口<br />
径 又 は 高 圧 のものにおいてはフランジを、 小 口 径 かつ 低 圧 のものについて<br />
は 簡 便 な 接 続 規 格 を 用 いる 設 計 とする。また、 原 子 炉 施 設 が 相 互 に 使 用 す<br />
ることができるように 3 号 炉 及 び 4 号 炉 とも 同 一 規 格 又 は 同 一 形 状 とする<br />
とともに、 同 一 ポンプを 接 続 する 配 管 のうち、 当 該 ポンプを 同 容 量 かつ 同<br />
揚 程 で 使 用 する 系 統 では 同 口 径 の 接 続 とする 等 、 複 数 の 系 統 での 規 格 の 統<br />
一 も 考 慮 する。<br />
3 複 数 の 接 続 口<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 のうち、 原 子 炉 建 屋 の 外 から 水 又 は 電 力 を 供<br />
給 する 設 備 と 常 設 設 備 との 接 続 口 は、 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他<br />
のテロリズム 等 の 共 通 要 因 によって 接 続 することができなくなることを<br />
防 止 するため、 屋 内 又 は 建 屋 面 に 設 置 する 場 合 は 建 屋 の 異 なる 面 の 隣 接 し<br />
ない 位 置 に、また、 屋 外 に 設 置 する 場 合 は 接 続 口 から 建 屋 又 は 地 中 の 配 管<br />
ダクトまでの 経 路 が 互 いに 十 分 な 離 隔 距 離 を 確 保 した 位 置 に、 複 数 箇 所 設<br />
置 する。<br />
257
4 現 場 の 作 業 環 境<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 置 場 所 は、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生<br />
した 場 合 においても 設 置 及 び 常 設 設 備 との 接 続 に 支 障 がないように、 遮 蔽<br />
の 設 置 や 線 源 からの 離 隔 距 離 により 放 射 線 量 が 高 くなるおそれの 少 ない<br />
場 所 を 選 定 することにより、 当 該 設 備 の 設 置 及 び 常 設 設 備 と 接 続 できる 設<br />
計 とする。<br />
5 保 管 場 所<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 地 震 、 津 波 その 他 の 自 然 現 象 又 は 故 意 に<br />
よる 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムによる 影 響 、 設 計 基 準 事 故 対 処<br />
設 備 並 びに 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 設 備 及 び 注 水 設 備 ( 以 下 「 設 計 基 準 事<br />
故 対 処 設 備 等 」という。)、 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 配 置 その 他 の 条 件 を<br />
考 慮 した 上 で、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 及 び 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 設<br />
置 されている 建 屋 並 びに 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 又 は 常 設 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 から 100m の 離 隔 距 離 を 確 保 した 上 で、 複 数 箇 所 に 分 散 する<br />
などして 保 管 する。<br />
6 アクセスルートの 確 保<br />
想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 において、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 を 運 搬 し、 又 は 他 の 設 備 の 被 害 状 況 を 把 握 するため、 発 電 所 内 の 道 路<br />
及 び 通 路 が 確 保 できるよう 設 計 する。<br />
屋 内 及 び 屋 外 において、 想 定 される 重 大 事 故 等 への 対 処 に 必 要 な 可 搬 型<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 保 管 場 所 から 設 置 場 所 及 び 接 続 場 所 まで 運 搬 する<br />
ためのアクセスルート 又 は 他 の 設 備 の 被 害 状 況 を 把 握 するためのアクセ<br />
スルートは、 自 然 現 象 、 外 部 人 為 事 象 、 溢 水 及 び 火 災 を 想 定 し、 迂 回 路 も<br />
考 慮 して 複 数 を 確 保 する。<br />
屋 外 アクセスルートに 対 する 地 震 による 影 響 その 他 自 然 現 象 による 影<br />
響 を 想 定 し、 複 数 のアクセスルートの 中 から、 早 期 に 復 旧 可 能 なアクセス<br />
ルートを 確 保 するため、 障 害 物 を 除 去 可 能 なホイールローダを 3 号 炉 及 び<br />
4 号 炉 で 1 台 使 用 する。ホイールローダの 保 有 数 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 で<br />
1 台 、 故 障 時 及 び 保 守 点 検 による 待 機 除 外 時 のバックアップ 用 として 1 台<br />
の 合 計 2 台 (3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を 分 散 して 保 管 する 設 計 とする。<br />
7 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 及 び 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 との 多 様 性<br />
可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 安 全 機 能 、 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 若 しくは 注 水 機 能 又 は 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 の 重<br />
大 事 故 に 至 るおそれがある 事 故 に 対 処 するために 必 要 な 機 能 と、 環 境 条 件 、<br />
地 震 、 津 波 その 他 の 自 然 現 象 、 外 部 人 為 事 象 、 溢 水 、 火 災 及 びサポート 系<br />
の 故 障 による 共 通 要 因 によって 同 時 にその 機 能 が 損 なわれるおそれがな<br />
258
いよう、 可 能 な 限 り 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 ることを 考<br />
慮 して 適 切 な 措 置 を 講 じた 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 本 申 請 が、 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 共 通 の 設 計 方 針 につ<br />
いて、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 及 び 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 設 置 されている<br />
建 屋 並 びに 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 等 又 は 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 から<br />
100m の 離 隔 距 離 を 確 保 した 場 所 に 複 数 箇 所 に 分 散 して 保 管 するなど、 第 43<br />
条 第 3 項 及 び 同 項 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 を 踏 まえた 設 計 方 針 としているこ<br />
とから、 適 切 なものであると 判 断 した。<br />
Ⅳ-4 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等<br />
第 44 条 から 第 62 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項 から1.19<br />
項 は、 原 子 炉 設 置 者 に 対 し、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 することを 要 求 している。このうち、 手 順 等 については、 保 安 規 定 等 において<br />
規 定 する 方 針 であることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 要 求 事 項 に 対 応 し、 適 切 に 整 備 する 方 針 で<br />
あるか、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順<br />
等 を 含 み、 適 切 に 整 備 する 方 針 であるかを 審 査 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対<br />
応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 審 査 した。<br />
Ⅳ-4.1 緊 急 停 止 失 敗 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 未 臨 界 にするための 設 備 及<br />
び 手 順 等 ( 第 44 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項 関 係 )<br />
本 節 では、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にするために 申 請 者 が 計 画 する 設 備<br />
及 び 手 順 等 が、1 第 44 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.1 項 ( 以 下 「 第<br />
44 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 で<br />
あるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的<br />
な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 44 条 等 は、 運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 時 において 原 子 炉 の 運 転 を 緊 急 に 停<br />
止 することができない 事 象 が 発 生 するおそれがある 場 合 又 は 当 該 事 象 が 発 生<br />
した 場 合 においても 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
259
ンダリ 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 健 全 性 を 維 持 するとともに、 原 子 炉 を 未 臨 界 に 移<br />
行 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 44 条 等 における「 原 子 炉 を 未 臨 界 に 移 行 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順<br />
等 」とは、「 原 子 炉 の 運 転 を 緊 急 に 停 止 することができない 事 象 が 発 生 するお<br />
それがある 場 合 」において、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以<br />
上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 手 動 による 原 子 炉 の 緊 急 停 止 操 作 を 実 施 する 手 順 等 。<br />
ロ) 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するため、 補 助 給 水 系 ポンプを 自 動 的 に 起 動 させる 設<br />
備 及 び 手 順 等 と 蒸 気 タービンを 自 動 で 停 止 させる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するため、 補 助 給 水 系 ポンプが 自 動 起 動 しない 場 合 又<br />
は 蒸 気 タービンが 自 動 停 止 しない 場 合 は、 手 動 操 作 により 実 施 する 手 順 等 。<br />
ニ) 化 学 体 積 制 御 設 備 又 は 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 による 十 分 な 量 のほう 酸 水 注<br />
入 を 実 施 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 44 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 手 動 による 原 子 炉 の 緊 急 停 止 操 作 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するためにタービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止<br />
を 自 動 作 動 させるとともに、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 のために 補 助 給 水 ポ<br />
ンプを 自 動 起 動 させるため、 作 動 信 号 を 自 動 発 信 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 主 蒸 気 隔 離 弁 が 自 動 閉 止 しなかった 場 合 は、 手 動 により 閉 止 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 、また、 補 助 給 水 ポンプが 自 動 起 動 しない 場 合 は、 手 動 に<br />
より 起 動 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
4 化 学 体 積 制 御 設 備 による 十 分 な 量 のほう 酸 水 を 注 入 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未<br />
臨 界 にするための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針<br />
としている。<br />
1 原 子 炉 出 力 を 抑 制 するためにタービントリップと 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止<br />
を 自 動 作 動 させるとともに、1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 のために 補 助 給 水 ポ<br />
ンプを 自 動 起 動 させるため、 作 動 信 号 を 自 動 発 信 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 化 学 体 積 制 御 設 備 による 十 分 な 量 のほう 酸 水 を 注 入 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にするために 申 請 者 が 計 画<br />
する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 44 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、<br />
260
適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 44 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 及 び 重 大 事 故 等<br />
防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 に 関 する 共 通 的<br />
な 要 求 事 項 。 以 下 「 第 43 条 等 」という。) 等 に 従 って 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 44 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 44 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 手 動 による 原 子 炉 緊 急 停 止 。そのため、 原 子 炉 トリップスイッチを<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. タービントリップ 及 び 主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 の 自 動 作 動 による 原 子<br />
炉 出 力 の 抑 制 と 補 助 給 水 ポンプの 自 動 起 動 による 1 次 冷 却 系 統 の 過<br />
圧 防 止 。そのため、 主 蒸 気 隔 離 弁 、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 主 蒸 気 隔 離 弁 の 手 動 閉 止 による 原 子 炉 出 力 の 抑 制 と 補 助 給 水 ポン<br />
プの 手 動 起 動 による 1 次 冷 却 系 統 の 過 圧 防 止 。そのため、 主 蒸 気 隔 離<br />
弁 、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
d. 化 学 体 積 制 御 設 備 又 は 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 を 用 いたほう 酸 水 の 注<br />
入 による 原 子 炉 の 未 臨 界 への 移 行 。そのため、 充 てんポンプ、ほう 酸<br />
タンク、 緊 急 ほう 酸 注 入 弁 、ほう 酸 ポンプ 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクを<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 44 条 等 要 求 事 項 ロ)、 上 記 c.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ハ)、 上<br />
261
記 d.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対 応 するものであることを 確 認<br />
した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 多 様 化 自 動 作 動 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 化 学 体 積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 原 子 炉 トリップ 失 敗<br />
の 場 合 に 原 子 炉 を 未 臨 界 状 態 にするために 必 要 な 量 のほう 酸 水 を 原<br />
子 炉 に 注 入 できる 設 計 とする。<br />
c. 化 学 体 積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設<br />
備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 多 様 化 自 動 作 動 設 備 は、 設 計<br />
基 準 事 故 対 処 設 備 である 原 子 炉 保 護 設 備 に 対 して、 原 子 炉 補 助 建 屋 内 の 独<br />
立 した 盤 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、b) 化 学 体<br />
積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 原 子 炉 停 止 失 敗 時 において 原 子 炉<br />
を 未 臨 界 に 移 行 するために 必 要 な 量 のほう 酸 水 を 注 入 できる 設 備 である<br />
こと、c) 化 学 体 積 制 御 設 備 及 び 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処<br />
設 備 である 原 子 炉 保 護 設 備 に 対 して、 建 屋 内 の 異 なる 区 画 に 設 置 すること<br />
で、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 原 子 炉 の 自 動 トリップ 失 敗 を 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 により 確 認<br />
し、 出 力 領 域 中 性 子 束 計 の 指 示 値 が 5% 以 上 又 は 中 間 領 域 起 動 率 計 の<br />
指 示 値 が 正 となった 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 である 原 子 炉 トリ<br />
ップスイッチによる 原 子 炉 緊 急 停 止 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 で 実 施 する。<br />
b. 原 子 炉 緊 急 停 止 が 必 要 な 原 子 炉 トリップ 設 定 値 に 到 達 したにもか<br />
かわらず、 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 の 機 能 喪 失 による 原 子 炉 自 動 トリ<br />
262
ップに 失 敗 したことを 検 知 した 際 に 作 動 する、「 多 様 化 自 動 作 動 設 備<br />
作 動 」 警 報 が 発 信 した 場 合 には、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 の 作 動 確 認 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 確 認 を 運 転 員 ( 当 直 員 )<br />
等 1 名 で 実 施 する。<br />
c. 多 様 化 自 動 作 動 設 備 により 自 動 で 原 子 炉 出 力 抑 制 ができない 場 合 、<br />
主 蒸 気 隔 離 弁 の 閉 止 、 補 助 給 水 ポンプの 起 動 を 手 動 で 実 施 する 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等<br />
1 名 が 約 3 分 で 実 施 する。<br />
d. b. 及 び c.の 原 子 炉 出 力 の 抑 制 を 図 った 後 、 手 動 による 原 子 炉 緊 急<br />
停 止 の 失 敗 を 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 により 確 認 した 際 (※ 24 )に、<br />
出 力 領 域 中 性 子 束 計 の 指 示 値 が 5% 以 上 又 は 中 間 領 域 起 動 率 計 の 指 示<br />
値 が 正 であり、ほう 酸 タンク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、ほ<br />
う 酸 水 注 入 操 作 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 でのほ<br />
う 酸 水 注 入 の 準 備 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 が 約 5 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、 手 順 の 優 先 順 位 を、a.、b.、c.、<br />
d.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 により、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 イ)、1b.の<br />
対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ロ)、1c.の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ハ)、1d.<br />
の 対 策 が 第 44 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対 応 するものであること、1a.から d.に<br />
掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることから、 第 44 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未<br />
臨 界 にするために、 多 様 化 自 動 作 動 設 備 により 原 子 炉 出 力 を 抑 制 すること 及 び<br />
化 学 体 積 制 御 設 備 を 用 いたほう 酸 水 の 注 入 により 原 子 炉 を 未 臨 界 に 移 行 する<br />
ことを 必 要 な 対 策 としている。<br />
これらの 対 策 は、(1)1b. 及 び d.と 同 じであるため、 必 要 な 重 大 事 故 等 対<br />
(※ 24 ) 原 子 炉 出 力 抑 制 を 図 った 後 も、a.の 原 子 炉 手 動 トリップや 後 述 の3.(1)1 及 び2の 多 様 性 拡 張 設 備 ((※<br />
2726<br />
)において 説 明 する。)による 原 子 炉 トリップ 操 作 を 継 続 して 実 施 する。 原 子 炉 トリップが 成 功 した 場 合 は、<br />
原 子 炉 出 力 が 5% 未 満 かつ 中 間 領 域 起 動 率 は 負 になるので、 早 急 なほう 酸 水 注 入 は 不 要 となる。<br />
263
処 設 備 も 同 じである。また、これらに 関 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及<br />
び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 緊 急 停<br />
止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にするための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
て 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未<br />
臨 界 にする 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 (※ 25 )<br />
の 機 能 を 回 復 するための 多 様 性 拡 張 設 備 (※ 26 ) 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしてい<br />
る。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 緊 急 停 止 失 敗 時 に 原 子 炉 を 未 臨 界 にする 機 能 を 構 成 するフロント<br />
ライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.1-1 参 照 。)を 用 いた<br />
主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 原 子 炉 トリップスイッチによる 原 子 炉 手 動 トリップが 失 敗 した 場 合 に<br />
は、 中 央 制 御 室 において、 常 用 系 パワーセンタ 母 線 遮 断 器 の 開 操 作 による<br />
電 動 発 電 機 電 源 の 遮 断 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を<br />
運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 により 約 2 分 で 実 施 する。<br />
2 上 記 1に 失 敗 した 場 合 には、 中 央 制 御 室 において、 手 動 操 作 により 制 御<br />
棒 を 原 子 炉 に 挿 入 するとともに、 現 場 にて、 電 動 発 電 機 モータ 遮 断 器 スイ<br />
ッチの 開 操 作 による 電 動 発 電 機 電 源 の 遮 断 に 着 手 する。さらに、 電 動 発 電<br />
機 電 源 の 遮 断 に 失 敗 した 場 合 には、 現 場 で 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 等 の 開 操<br />
作 を 行 う。この 一 連 の 手 順 は、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等<br />
1 名 、 現 場 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 により 約 22 分 で 実 施 する。<br />
(※ 25 ) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 駆 動 源 及 び 冷 却 系 などをサポート 系 といい、それ 以 外 の 設 備 をフロントライン 系<br />
( 例 えば、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 安 全 機 能 を 直 接 的 に 担 保 する 設 備 )という。 以 下 同 じ。<br />
(※ 26 ) 申 請 者 は、 自 主 的 対 策 における 設 備 の 一 部 を「 多 様 性 拡 張 設 備 」と 呼 び、「 多 様 性 拡 張 設 備 : 技 術 基 準 上<br />
の 全 ての 要 求 を 満 たすことや 全 てのプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるが、プラントの 状 況 によ<br />
っては、 事 故 対 応 に 有 効 な 設 備 」と 定 義 している。 以 下 同 じ。<br />
264
3 多 様 化 自 動 作 動 設 備 が 作 動 しても、 原 子 炉 出 力 が 抑 制 されていない 場 合<br />
には、タービントリップスイッチの 操 作 により、タービン 手 動 トリップを<br />
行 う。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 1 名 によ<br />
り 約 3 分 で 行 う。なお、この 手 順 は、2.(1)3c.の 主 蒸 気 隔 離 弁 の 手<br />
動 閉 止 と 補 助 給 水 ポンプの 手 動 起 動 を 行 う 前 に 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対<br />
処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.1-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた<br />
理 由<br />
電 動 発 電 機 電 源 ( 所 内 常 用 母 線 440V 遮 断 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震<br />
器 操 作 スイッチ)、 電 動 発 電 機 電 源 ( 電 性 としては 十 分 ではないものの、サポ<br />
動 発 電 機 出 力 遮 断 器 スイッチ)、 電 動 発 ート 系 である 電 源 を 遮 断 することによ<br />
電 機 電 源 ( 電 動 発 電 機 モータ 遮 断 器 スイ り 制 御 棒 を 全 挿 入 できるため、 原 子 炉<br />
ッチ) 及 び 原 子 炉 トリップ 遮 断 器 スイッ を 緊 急 停 止 する 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
チ<br />
制 御 棒 操 作 スイッチ<br />
制 御 棒 全 挿 入 完 了 までは 時 間 を 要 する<br />
ものの、 上 記 の 電 源 遮 断 操 作 完 了 まで<br />
の 間 又 はこれが 実 施 できない 場 合 に 原<br />
子 炉 を 停 止 する 手 段 となり 得 る。<br />
タービントリップスイッチ<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震<br />
性 としては 十 分 ではないものの、 中 央<br />
制 御 室 にて 速 やかな 操 作 が 可 能 である<br />
ため、 原 子 炉 出 力 を 抑 制 する 代 替 手 段<br />
となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 45 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.<br />
2 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 45 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的<br />
能 力 基 準 1.2 項 ( 以 下 「 第 45 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 け<br />
265
た 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 し<br />
た。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 す<br />
る 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 45 条 等 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 であって、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 冷 却 機 能 (※ 27 )が 喪 失 した 場 合 においても<br />
炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、 原 子 炉 を 冷 却 するために 必 要 な 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 45 条 等 における「 原 子 炉 を 冷 却 する<br />
ために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれら<br />
と 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
1-1 全 交 流 動 力 電 源 の 喪 失 及 び 常 設 直 流 電 源 系 統 の 喪 失 を 想 定 し、ター<br />
ビン 動 補 助 給 水 ポンプにより 原 子 炉 を 冷 却 するため、 以 下 の 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 整 備 すること。<br />
イ) 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備<br />
現 場 での 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 ( 可 搬 型 バッテリ 又 は 窒 素 ボンベ<br />
等 )を 用 いた 弁 の 操 作 によりタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 起 動 及 び 十<br />
分 な 期 間 (※ 28 )の 運 転 継 続 を 行 う 設 備 及 び 手 順 等 (ただし、 下 記 ロ)<br />
の 人 力 による 措 置 が 容 易 に 行 える 場 合 を 除 く。)。<br />
ロ) 現 場 操 作<br />
現 場 での 人 力 による 弁 の 操 作 により、タービン 動 補 助 給 水 ポンプの<br />
起 動 及 び 十 分 な 期 間 の 運 転 継 続 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 監 視 及 び 制 御<br />
ハ)-1 原 子 炉 水 位 及 び 蒸 気 発 生 器 水 位 を 推 定 する 手 順 等 。<br />
ハ)-2 タービン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 の 安 全 上 重 要 な 設 備 の 作 動 状 況<br />
を 確 認 する 手 順 等 。<br />
ハ)-3 原 子 炉 水 位 又 は 蒸 気 発 生 器 水 位 を 制 御 する 手 順 等 。<br />
1-2 電 動 補 助 給 水 ポンプに 代 替 交 流 電 源 を 接 続 することにより、 起 動 及<br />
び 十 分 な 期 間 の 運 転 継 続 ができる 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 45 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
2-1 現 場 での 人 力 による 弁 の 操 作 により、タービン 動 補 助 給 水 ポンプを<br />
(※ 27 ) 申 請 者 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 における 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 冷<br />
却 機 能 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
・2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能<br />
(※ 28 )「 十 分 な 期 間 」とは、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 対 策 及 び 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 の<br />
冷 却 対 策 の 準 備 が 整 うまでの 期 間 のことをいう。<br />
266
起 動 ・ 運 転 継 続 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2-2 計 測 設 備 により 監 視 及 び 制 御 するための 手 順 等 。<br />
a. 加 圧 器 水 位 及 び 蒸 気 発 生 器 水 位 を 監 視 又 は 推 定 するための 手 順 等<br />
(※ 29 )。<br />
b. 補 助 給 水 ポンプの 作 動 状 況 を 確 認 するための 手 順 等 。<br />
c. 加 圧 器 水 位 及 び 蒸 気 発 生 器 水 位 の 制 御 のための 手 順 等 (※ 30 )。<br />
2-3 代 替 交 流 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 )により 電 動 補 助 給 水 ポン<br />
プを 起 動 及 び 運 転 継 続 するための 設 備 及 び 手 順 等 (※ 31 )。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 32 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
ンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 1 次 系 のフィードアンドブリードのための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 現 場 で 人 力 により 主 蒸 気 逃 がし 弁 を 操 作 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、1 次 系 が 高 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計 画 する<br />
設 備 及 び 手 順 等 が、 第 45 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切<br />
に 整 備 される 方 針 であることから、 第 45 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。ま<br />
た、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順<br />
等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(※ 29 ) 監 視 又 は 推 定 するための 手 順 等 については、「Ⅳ-4.15 計 装 設 備 及 びその 手 順 等 」において 整 理 。<br />
(※ 30 ) 制 御 のための 手 順 等 については、「Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び<br />
手 順 」、「Ⅳ-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 」に<br />
おいて 整 理 。<br />
(※ 31 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
(※ 32 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「2 次 系 からの 除 熱 機 能 喪 失 」、「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原<br />
子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、「 原 子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパス」を<br />
いう。<br />
267
(1) 第 45 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 45 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. タービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 回 復 。そのために、タービン 動 補<br />
助 給 水 ポンプ( 蒸 気 加 減 弁 付 )( 手 動 )、タービン 動 補 助 給 水 ポンプ 駆<br />
動 蒸 気 入 口 弁 ( 手 動 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 補 助 給 水 ポンプの 作 動 状 況 確 認 。そのために、 補 助 給 水 流 量 計 、 復<br />
水 タンク 水 位 計 、 蒸 気 発 生 器 水 位 計 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置<br />
付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 45 条 等 要 求 事 項 ロ)、1b.の 対 策 が 第<br />
45 条 等 要 求 事 項 ハ)-2に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 主 な 設 計 方 針 として、ター<br />
ビン 動 補 助 給 水 ポンプの 蒸 気 加 減 弁 及 び 駆 動 蒸 気 入 口 弁 は、 設 計 基 準 事 故<br />
対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 する 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、タービン 動 補 助 給 水 ポンプの 蒸<br />
気 加 減 弁 及 び 駆 動 蒸 気 入 口 弁 は、 現 場 での 手 動 操 作 によるものとし、 設 計<br />
基 準 事 故 対 処 設 備 である 常 設 直 流 電 源 系 統 による 駆 動 源 に 対 して 多 様 性<br />
を 有 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 必 要 であり、 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 認 でき<br />
ない 際 、 復 水 タンク 等 の 水 源 が 確 保 されている 場 合 には、 現 場 での 手<br />
動 操 作 によりタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 を 回 復 させる 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 現 場 でのタービン 動 補 助 給 水 ポンプ 注 油 器<br />
による 軸 受 への 潤 滑 油 の 供 給 、 手 動 操 作 によるタービン 動 補 助 給 水 ポ<br />
268
ンプの 蒸 気 加 減 弁 及 び 駆 動 蒸 気 入 口 弁 の 開 操 作 、タービン 動 補 助 給 水<br />
ポンプの 流 量 調 整 等 を 計 5 名 により、 約 30 分 で 実 施 する。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 水 位 が 低 下 した 際 、 補 助 給 水 ポンプが 自 動 起 動 又 は 手 動<br />
により 起 動 した 場 合 には、 補 助 給 水 ポンプの 作 動 状 況 確 認 の 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では、 現 場 及 び 中 央 制 御 室 で 補 助 給 水 ポンプの 運 転<br />
状 況 の 確 認 を 計 2 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 を 設 定 して 明 確 化 してい<br />
ること、b) 人 力 によるタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 機 能 回 復 の 手 順 等 につ<br />
いて、 弁 の 手 動 操 作 、ポンプの 流 量 調 整 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 によ<br />
り 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要<br />
な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、e) 弁 の 手 動 操 作 、ポンプの 流 量 調 整 等 を<br />
行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 45 条 等 要 求 事 項 ロ)、1b.<br />
の 対 策 が 第 45 条 等 要 求 事 項 ハ)-2に 対 応 するものであること、1a. 及 び<br />
b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に<br />
整 備 される 方 針 であることから、 第 45 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 系 が 高 圧 時 に 原 子 炉<br />
を 冷 却 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 1 次 冷 却 系 を 減 圧 するとともに 原 子 炉 への 注 水 を 行 う 1 次 系 のフィ<br />
ードアンドブリード。そのため、 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 及<br />
び 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 現 場 手 動 操 作 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 。そのため、 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 ( 手 動 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
269
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 系 のフィードアンドブリードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して<br />
多 様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクは、1 次<br />
系 のフィードアンドブリードによる 炉 心 冷 却 に 必 要 な 流 量 、 容 量 等 を<br />
有 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)1 次 系 のフィードアンドブリ<br />
ードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設<br />
備 である 2 次 冷 却 系 の 除 熱 機 能 を 有 するタービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 等 に 対 して 多 様 性 を 有 すること、b)3 号 炉 においては、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 し、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 補 助 建 屋<br />
内 に 設 置 し、 燃 料 取 替 用 水 タンクは 燃 料 取 替 用 水 タンク 建 屋 に 設 置 するこ<br />
とで、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のタービン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 と 位 置 的 分 散 を 図<br />
る 設 計 とし、4 号 炉 においては、 加 圧 器 逃 がし 弁 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設<br />
置 し、 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 燃 料 取 替 用 水 ピットは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のター<br />
ビン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 とは 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分<br />
散 を 図 る 設 計 とすることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発 生 器 水 位 が 低 下 し、 全 ての 蒸<br />
気 発 生 器 が 除 熱 を 期 待 できない 水 位 ( 蒸 気 発 生 器 広 域 水 位 計 指 示 値<br />
10% 未 満 )になった 際 に、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 用 い<br />
た 1 次 系 のフィードアンドブリードの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
高 圧 注 入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 運 転 員 ( 当 直 員 )<br />
等 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 で 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない<br />
際 に、 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保 されている 場 合 には、 人 力 で 操 作 す<br />
270
る 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 現 場<br />
での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 4 名 により、 約 20 分<br />
で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 着 手 の 判 断 基 準 が 明 確<br />
であること、b)1 次 系 のフィードアンドブリードの 手 順 等 について、 高 圧<br />
注 入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 開 操 作 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を<br />
確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 冷 却 系 が 高<br />
圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付<br />
けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを<br />
確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、2 次 系 からの 除 熱 機 能 が 喪 失<br />
した 場 合 に、その 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復<br />
するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 の 機 能 を<br />
回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.2-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下<br />
のとおりとしている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプが 使 用 できない 場 合 には、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気<br />
発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 に<br />
より 実 施 する。<br />
2 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 補 助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 に<br />
は、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ホ<br />
271
ース、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 の 運 搬 及 び 起 動 、 蒸 気 発 生 器 への 注<br />
水 を 計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
3 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 確 認 できない 場 合 であって、 外 部 電 源<br />
が 確 保 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている 場 合 には、タービンバイパ<br />
ス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1<br />
名 により 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 機 能 を 構 成 するサポート 系 の 機 能 を 回 復 さ<br />
せるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.2-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとお<br />
りとしている。<br />
1 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 駆 動 用 空 気 が 喪 失 し、 操 作 場 所 である 主 蒸 気 管 室 が 高<br />
温 又 は 高 線 量 である 場 合 、 窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 用 )による 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 の 機 能 回 復 手 順 に 着 手 する。また、この 手 順 では、 系 統 構 成 、 主<br />
蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 2 名 により、 約 10 分 で 実 施 する。<br />
2 直 流 電 源 が 枯 渇 した 場 合 又 は 枯 渇 するおそれがある 場 合 に、タービン 動<br />
補 助 給 水 ポンプの 再 起 動 が 必 要 となれば、 可 搬 型 バッテリ(タービン 動 補<br />
助 給 水 ポンプ 補 助 ( 非 常 用 ) 油 ポンプ 用 )を 用 いたタービン 動 補 助 給 水 ポ<br />
ンプの 機 能 回 復 に 着 手 する。また、この 手 順 では、 同 バッテリの 接 続 、タ<br />
ービン 動 補 助 給 水 ポンプ 補 助 油 ポンプの 起 動 等 を 計 4 名 により、 約 50 分<br />
で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が、 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への<br />
対 処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.2-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 主 給 水 ポンプ 等 常 用 系 設 備 であるため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
水 入 ポンプ 等 期 待 できないものの、 補 助 給 水 ポンプの 故 障 に 際 して、2<br />
次 冷 却 系 からの 除 熱 による 長 期 的 な 事 故 収 束 のための 設<br />
備 となり 得 る。<br />
タービンバイパス 弁 常 用 系 設 備 であるため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
272
窒 素 ボンベ( 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 用 )<br />
可 搬 型 バッテリ(タ<br />
ービン 動 補 助 給 水 ポ<br />
ンプ 補 助 ( 非 常 用 )<br />
油 ポンプ 用 )<br />
のの、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
窒 素 ボンベの 容 量 から 使 用 できる 時 間 に 制 限 があるもの<br />
の、 現 場 の 環 境 が 悪 化 した 場 合 でも 中 央 制 御 室 からの 遠 隔<br />
操 作 により、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 とな<br />
り 得 る。<br />
使 用 開 始 までに 時 間 を 要 するものの、 直 流 電 源 が 枯 渇 した<br />
場 合 又 は 枯 渇 するおそれがある 場 合 において、タービン 動<br />
補 助 給 水 ポンプの 機 能 回 復 のための 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.3 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 ( 第 46 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 冷 却 材 圧 力<br />
バウンダリを 減 圧 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 46 条 及 び<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.3 項 ( 以 下 「 第 46 条 等 」という。)における<br />
要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37<br />
条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対<br />
処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 46 条 等 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 であって、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 減 圧 機 能 (※ 33 )が 喪 失 した 場 合 においても<br />
炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリを 減 圧 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求<br />
している。 第 46 条 等 における「 炉 心 の 著 しい 損 傷 」を「 防 止 するため、 原 子<br />
炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリを 減 圧 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下<br />
に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
としている。<br />
イ) 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備<br />
イ)-1 常 設 直 流 電 源 系 統 喪 失 時 においても、 減 圧 用 の 弁 ( 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 )を 作 動 させ 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの<br />
減 圧 操 作 が 行 える 手 動 設 備 又 は 可 搬 型 代 替 直 流 電 源 設 備 及 び 手 順<br />
(※ 33 ) 申 請 者 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 における 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 減<br />
圧 機 能 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
・ 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 及 び 蒸 気 放 出 による 1 次 冷 却 系 統 の 減 圧 機 能 。<br />
273
等 。<br />
イ)-2 減 圧 用 の 弁 が 空 気 作 動 弁 である 場 合 、 減 圧 用 の 弁 を 作 動 させ 原 子<br />
炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 操 作 が 行 える 可 搬 型 コンプレッサ<br />
ー 又 は 窒 素 ボンベ 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 常 設 直 流 電 源 喪 失 時 においても、 減 圧 用 の 弁 を 作 動 させ 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリの 減 圧 操 作 が 行 える 代 替 電 源 による 復 旧 手 順 等 。<br />
ハ) 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 において、 破 損 した 蒸 気 発 生 器 を 隔 離 する<br />
ための 手 順 等 。 隔 離 できない 場 合 に 加 圧 器 逃 がし 弁 を 作 動 させることなど<br />
により 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 操 作 が 行 える 手 順 等 。<br />
ニ)インターフェイスシステム LOCA 発 生 時 において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バ<br />
ウンダリの 損 傷 箇 所 を 隔 離 するための 手 順 等 。 隔 離 できない 場 合 に 原 子 炉<br />
を 減 圧 し、 原 子 炉 冷 却 材 の 漏 えいを 抑 制 するために、 主 蒸 気 逃 がし 弁 及 び<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 を 作 動 させることなどにより 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダ<br />
リの 減 圧 操 作 が 行 える 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)-1 及 びイ)-2については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等<br />
以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ホ)イ)-1 及 びイ)-2の 減 圧 用 の 弁 は、 作 動 可 能 な 環 境 条 件 を 明 確 にす<br />
るとともに、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 環 境 条 件 において 確<br />
実 に 作 動 すること。<br />
申 請 者 は、 第 46 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 常 設 直 流 電 源 系 統 喪 失 時 において、 主 蒸 気 逃 がし 弁 、 加 圧 器 逃 がし 弁 の<br />
機 能 を 回 復 するための 設 備 ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 )、 可 搬 型 バッテリ( 加<br />
圧 器 逃 がし 弁 用 ) 及 び 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )) 及 び 手 順 等 。<br />
2 上 記 1の 設 備 については、 減 圧 用 の 弁 の 作 動 可 能 な 環 境 条 件 を 明 確 にす<br />
るとともに、 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 環 境 条 件 において 確<br />
実 に 作 動 する 設 計 とする。<br />
3 常 設 直 流 電 源 喪 失 時 においても 減 圧 用 の 弁 を 作 動 させ 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリの 減 圧 操 作 を 行 うため、 代 替 電 源 による 復 旧 を 行 うための 手<br />
順 等 (※ 34 )。<br />
4 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 又 はインターフェイスシステム LOCA 発 生<br />
時 において、 損 傷 箇 所 の 隔 離 と 1 次 冷 却 系 の 減 圧 を 行 うための 設 備 及 び 手<br />
順 等 。<br />
5 炉 心 損 傷 時 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 高 圧 状 態 が 継 続 する 場 合<br />
(※ 34 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
274
において、 高 圧 溶 融 物 放 出 及 び 格 納 容 器 内 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 するため、<br />
1 次 冷 却 系 を 減 圧 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 35 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウ<br />
ンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 減 圧 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及<br />
び 手 順 等 として 整 備 するものは、 上 記 1、4、5に 加 え、 以 下 の 設 備 及 び 手 順<br />
等 としている。<br />
1 1 次 系 のフィードアンドブリードのための 設 備 ( 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧<br />
器 逃 がし 弁 等 ) 及 び 手 順 等 。<br />
2 2 次 冷 却 系 の 注 水 及 び 蒸 気 放 出 による 2 次 系 強 制 冷 却 のための 設 備 ( 電<br />
動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 ) 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を<br />
減 圧 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 46 条 等 における 各 々<br />
の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 46 条<br />
等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付<br />
けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であること<br />
を 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 46 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 46 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 等 を 用 いた 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。このために、<br />
現 場 で 人 力 により 操 作 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 )を 重 大 事 故 等 対 処<br />
(※ 35 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、「 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、「ECCS 注 水 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパス」、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰<br />
囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」をいう。<br />
275
設 備 として 位 置 付 けるとともに、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、<br />
窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )を 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新<br />
たに 整 備 する。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 及 びインターフェイスシステム LOCA<br />
発 生 時 の 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
c. 炉 心 損 傷 時 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 高 圧 状 態 が 継 続 する<br />
場 合 、 高 圧 溶 融 物 放 出 及 び 格 納 容 器 内 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 する 1 次<br />
冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
して 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 46 条 等 要 求 事 項 イ)-1、イ)-2、<br />
1b.の 対 策 が 第 46 条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)に 対 応 するものであることを<br />
確 認 した。<br />
1c.の 対 策 が 第 46 条 のうち 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための<br />
対 策 に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 冷 却 系 の 減 圧 に 用 いる 減 圧 用 の 弁 ( 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 )は 想 定 される 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 環 境 条 件 におい<br />
て 確 実 に 作 動 する。<br />
b. 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし<br />
弁 用 )は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 備 え、 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とする。<br />
c. 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし<br />
弁 用 )は、 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 加 圧 器 逃 がし 弁 は、 駆 動 用 の<br />
窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )から 供 給 される 駆 動 用 窒 素 の 設 定 圧 力 に<br />
ついて、 格 納 容 器 最 高 使 用 圧 力 に 対 し 十 分 な 余 裕 を 考 慮 して 設 定 している<br />
こと、 主 蒸 気 逃 がし 弁 は、 人 力 により 現 場 の 手 動 ハンドルにて 操 作 するが、<br />
重 大 事 故 等 時 の 環 境 条 件 においては 必 要 に 応 じて 要 員 の 防 護 措 置 を 講 じ<br />
ることにより 確 実 に 操 作 できること、b) 加 圧 器 逃 がし 弁 は、 電 磁 弁 の 電 源<br />
を 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )から 給 電 し、 駆 動 用 窒 素 を 窒 素 ボ<br />
276
ンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )から 供 給 すること、 主 蒸 気 逃 がし 弁 は、 手 動 ハ<br />
ンドルを 設 けること、これらにより、 常 設 直 流 電 源 及 び 制 御 用 空 気 を 用 い<br />
た 弁 操 作 に 対 して 多 様 性 を 有 していること、c) 加 圧 器 逃 がし 弁 は 原 子 炉 格<br />
納 容 器 内 に 設 置 し、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 主 蒸 気 逃 がし 弁 と 離 れた 位 置 に 設<br />
置 されていること、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )は、 通 常 時 は 接<br />
続 せず、 原 子 炉 周 辺 建 屋 及 び 原 子 炉 補 助 建 屋 内 の 常 設 直 流 電 源 と 異 なる 区<br />
画 に 分 散 して 保 管 し、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )は、 通 常 時 は 接 続<br />
せず、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のディーゼル 発 電 機 と 異 なる 区 画 に 保 管 すること<br />
で 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、d)<br />
可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 ) 及 び 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )<br />
は、 弁 の 作 動 時 間 、 作 動 回 数 を 考 慮 した 上 、 予 備 を 確 保 することにより 必<br />
要 な 容 量 以 上 を 確 保 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、<br />
第 46 条 等 要 求 事 項 ホ)に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 直 流 電 源 喪 失 時 であって、1 次 冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため 加 圧 器 逃<br />
がし 弁 の 開 操 作 が 必 要 な 場 合 には、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁<br />
用 )による 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 を 行 うための 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、バッテリ 接 続 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 3 名 に<br />
より、 約 40 分 で 実 施 する。<br />
b. 駆 動 用 空 気 喪 失 時 であって、1 次 冷 却 系 圧 力 を 減 圧 するため 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 の 開 操 作 が 必 要 な 場 合 には、 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )<br />
による 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 を 行 うための 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、 窒 素 ボンベ 接 続 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 3 名 によ<br />
り、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
c. 1 次 冷 却 系 圧 力 の 低 下 及 び 破 損 蒸 気 発 生 器 水 位 、 圧 力 の 上 昇 等 によ<br />
り 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 と 判 断 し、 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 操 作<br />
完 了 後 に 破 損 側 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 に 失 敗 したと 判 断 した 場 合 には、1<br />
次 冷 却 系 の 漏 えい 抑 制 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 加 圧 器 逃 が<br />
277
し 弁 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 、 蒸 気 発 生 器 の 隔 離 等 を 計 7 名 によ<br />
り 実 施 する。<br />
d. 1 次 冷 却 系 圧 力 及 び 加 圧 器 水 位 の 低 下 、 余 熱 除 去 ポンプ 出 口 圧 力 上<br />
昇 等 により 余 熱 除 去 系 への 漏 えいと 判 断 した 場 合 には、インターフェ<br />
イスシステム LOCA 発 生 時 の 1 次 冷 却 系 の 漏 えい 抑 制 の 手 順 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 、 余<br />
熱 除 去 系 の 隔 離 等 を 計 10 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 を 明 確 化 していること、<br />
b) 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )による 加 圧 器 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 の 手<br />
順 等 について、 系 統 構 成 、 設 定 圧 力 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとと<br />
もに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 で<br />
のアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手<br />
段 を 確 保 していること、e) 窒 素 ボンベ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )の 接 続 等 を 行<br />
う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a. 及 び b.の 対 策 が 第 46 条 等 要 求 事 項 イ)、<br />
ハ)、ニ)に 対 応 するものであること、1c.の 対 策 が 第 46 条 のうち 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 対 策 に 対 応 するものであること、1a.に 掲 げる<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 46 条 等 要 求 事 項 ホ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、<br />
1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に<br />
整 備 される 方 針 であることから、 第 46 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウン<br />
ダリを 減 圧 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 等 を 用 いた 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。そのため、<br />
現 場 で 人 力 により 操 作 する 主 蒸 気 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
して 位 置 付 け、 可 搬 型 バッテリ( 加 圧 器 逃 がし 弁 用 )、 窒 素 ボンベ( 加<br />
圧 器 逃 がし 弁 用 )を 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
278
. 蒸 気 発 生 器 伝 熱 管 破 損 発 生 時 及 びインターフェイスシステム LOCA<br />
発 生 時 の 1 次 冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 及 び 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
c. 炉 心 損 傷 時 に 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 高 圧 状 態 が 継 続 する<br />
場 合 、 高 圧 溶 融 物 放 出 及 び 格 納 容 器 内 雰 囲 気 直 接 加 熱 を 防 止 する 1 次<br />
冷 却 系 の 減 圧 。このために、 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と<br />
して 位 置 付 ける。<br />
d. 1 次 系 のフィードアンドブリード。このために、 高 圧 注 入 ポンプ、<br />
加 圧 器 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
e. 2 次 系 強 制 冷 却 。このために、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 、 復 水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 1 次 系 のフィードアンドブリードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 、 燃 料 取 替 用 水 タンクは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多<br />
様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 2 次 系 強 制 冷 却 を 用 いた 1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 として 使 用 する 復 水<br />
タンクは、 十 分 な 容 量 を 有 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)1 次 系 のフィードアンドブリ<br />
ードに 用 いる 高 圧 注 入 ポンプ、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設<br />
備 である 2 次 冷 却 系 の 除 熱 機 能 を 有 するタービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 等 に 対 して 多 様 性 を 有 すること、b)3 号 炉 においては、 加 圧 器<br />
逃 がし 弁 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 し、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 補 助 建 屋<br />
内 に 設 置 することで、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のタービン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 と<br />
位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、4 号 炉 においては、 加 圧 器 逃 がし 弁 は<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 し、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のタービ<br />
ン 動 補 助 給 水 ポンプ 等 とは 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とすること、c) 復 水 タンクは、 蒸 気 発 生 器 への 給 水 量 に 対 し、<br />
淡 水 又 は 海 水 を 補 給 するまでの 間 、 水 源 を 確 保 する 設 計 であることなどを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
279
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保 され、 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 で 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない 場 合 には、 手 動 による 主 蒸 気 逃 がし 弁<br />
を 用 いた 2 次 系 強 制 冷 却 による 1 次 冷 却 系 減 圧 の 手 順 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 現 場 での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 4 名<br />
により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
b. 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発 生 器 水 位 が 低 下 し、 全 ての 蒸<br />
気 発 生 器 が 除 熱 を 期 待 できない 水 位 ( 蒸 気 発 生 器 広 域 水 位 計 指 示 10%<br />
未 満 )になった 際 、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 加 圧 器 逃 がし 弁 等 を 用 いた 1 次 系<br />
のフィードアンドブリードの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 高 圧 注<br />
入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 開 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 着 手 の 判 断 基 準 が 明 確<br />
であること、b)1 次 系 のフィードアンドブリードの 手 順 等 について、 高 圧<br />
注 入 ポンプの 起 動 、 加 圧 器 逃 がし 弁 開 操 作 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 す<br />
るとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 冷 却 材 圧<br />
力 バウンダリが 高 圧 の 状 態 において 原 子 炉 を 減 圧 するための 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切<br />
に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
280
これに 対 して、 申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能<br />
を 構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復 するための 多 様 性 拡<br />
張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 の 機 能 を 回 復<br />
させる 設 備 ( 表 Ⅳ-4.3-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりと<br />
している。<br />
1 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により、 補 助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 に<br />
おいて、 外 部 電 源 により 所 内 常 用 電 源 が 受 電 され、2 次 冷 却 系 の 設 備 が 運<br />
転 中 の 場 合 、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
2 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 蒸 気 発 生 器 蒸 気 圧 力 等 で 確 認 できな<br />
い 場 合 であって、 外 部 電 源 が 確 保 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている<br />
場 合 、タービンバイパス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中<br />
央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
3 加 圧 器 逃 がし 弁 の 故 障 等 により 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリの 減 圧 機<br />
能 が 喪 失 した 場 合 であって、 充 てんポンプの 運 転 及 び 体 積 制 御 タンク 等 の<br />
水 位 が 確 保 され 充 てんラインが 使 用 可 能 な 場 合 、 加 圧 器 補 助 スプレイ 弁 を<br />
用 いた 1 次 冷 却 系 減 圧 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を<br />
1 名 により 実 施 する。<br />
4 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により、 補 助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 に<br />
は、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ホ<br />
ース、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 の 運 搬 及 び 起 動 、 蒸 気 発 生 器 への 注<br />
水 を 計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 減 圧 機 能 を 構 成 するサポート 系 の 機 能 を 回 復 させる<br />
ための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.3-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 全 交 流 動<br />
力 電 源 喪 失 の 発 生 により 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 駆 動 用 空 気 が 喪 失 し、 操 作 場 所 であ<br />
る 主 蒸 気 管 室 が 高 温 又 は 高 線 量 である 場 合 、 窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 用 )<br />
による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 回 復 着 手 を 挙 げている。この 手 順 では、 系 統 構 成 、<br />
主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 2 名 により、 約 10 分 で 実 施 する としている。<br />
281
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.3-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 主 給 水 ポン 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 される<br />
プ 等<br />
プラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、 補 助<br />
給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
タービンバイパ 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 される<br />
ス 弁<br />
プラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 の 故 障 に 際 して、 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
充 てんポンプ 加 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 される<br />
圧 器 補 助 スプレ プラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、 加 圧<br />
イ 弁 等<br />
器 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼ 可 搬 型 ホース、ポンプ 車 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 に 時 間 を 要 するた<br />
ル 注 入 ポンプ 等 め、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には 期 待 できないものの、 補 助 給 水<br />
ポンプの 故 障 に 際 して、2 次 冷 却 系 からの 除 熱 による 長 期 的 な<br />
事 故 収 束 のための 設 備 となり 得 る。<br />
窒 素 ボンベ( 主 使 用 できる 時 間 に 制 限 があるものの、 現 場 の 環 境 が 悪 化 した<br />
蒸 気 逃 が し 弁 場 合 でも 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操 作 が 可 能 となり、 運 転 員 ( 当<br />
用 )<br />
直 員 ) 等 の 被 ばく 低 減 となることから、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機<br />
能 を 回 復 させる 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 47 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.<br />
4 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するために 申 請 者<br />
が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 について、1 第 47 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基<br />
準 1.4 項 ( 以 下 「 第 47 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適<br />
切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さ<br />
らに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針<br />
であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
282
(1) 第 47 条 等 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 低 圧 の 状 態 であって、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 冷 却 機 能 (※ 36 )が 喪 失 した 場 合 においても<br />
炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉 を 冷 却 す<br />
るために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 47 条 等 に<br />
おける「 炉 心 の 著 しい 損 傷 」を「 防 止 するため、 原 子 炉 を 冷 却 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 。その 運 搬 、 接 続 及 び 操 作 に 関 する 手 順 等 。<br />
ロ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 に 至 るまでの 時 間 的 余 裕 のない 場 合 には、これに 対 応<br />
するための 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 。<br />
ハ) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 代 替 電 源 を 接 続 することにより、 起 動 及 び 十 分<br />
な 期 間 の 運 転 継 続 ができる 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ) 及 びロ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効<br />
果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ニ) 上 記 イ) 及 びロ)の 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 し<br />
て、 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
申 請 者 は、 第 47 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 代 替 炉 心 注 入 のための 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 手 順 等 。<br />
2 代 替 炉 心 注 入 のためのB 充 てんポンプ、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 及 び 手 順<br />
等 。<br />
3 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 を 想 定 した 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 ) 及<br />
び 手 順 等 (※ 37 )。<br />
4 上 記 1 及 び2の 設 備 については、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性<br />
及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
5 原 子 炉 圧 力 容 器 に 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 38 )において、1 次 冷 却 系 低 圧 時 に 原<br />
子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する<br />
方 針 としている。<br />
(※ 36 ) 申 請 者 は、 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリが 低 圧 の 状 態 における 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 の 冷<br />
却 機 能 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
・1 次 冷 却 材 が 喪 失 している 場 合 : 安 全 注 入 設 備 を 用 いた 原 子 炉 への 注 水 による 原 子 炉 の 冷 却 機 能 。また、<br />
余 熱 除 去 設 備 の 再 循 環 運 転 による 原 子 炉 の 冷 却 機 能 。<br />
・1 次 冷 却 材 が 喪 失 していない 場 合 又 は 運 転 停 止 中 : 余 熱 除 去 設 備 による 除 熱 による 原 子 炉 の 冷 却 機 能 。<br />
(※ 37 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
(※ 38 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、「ECCS<br />
注 水 機 能 喪 失 」、「ECCS 再 循 環 機 能 喪 失 」、「 格 納 容 器 バイパス(インターフェイスシステム LOCA)」、 格 納 容 器<br />
破 損 防 止 対 策 のうち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 過 圧 破 損 )」、 運 転 停 止 中 の 炉 心 損 傷 防 止 対<br />
策 をいう。<br />
283
1 2 次 冷 却 系 の 注 水 及 び 減 圧 のための 設 備 及 び 手 順 。<br />
2 代 替 交 流 電 源 の 確 保 及 び 代 替 炉 心 注 入 のための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 代 替 設 備 を 用 いた 代 替 再 循 環 運 転 のための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、1 次 冷 却 系 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計 画 す<br />
る 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 47 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適<br />
切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 47 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 47 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 47 条 等 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策 とそのための 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 を 用 いた 代 替 炉 心 注 入 。そのため、 可 搬 型<br />
ディーゼル 注 入 ポンプ 等 を 可 搬 型 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新 たに 整<br />
備 する。<br />
b. 炉 心 の 著 しい 損 傷 に 至 るまでの 時 間 的 余 裕 のない 場 合 に 対 応 する<br />
ための 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 を 用 いた 代 替 炉 心 注 入 。そのため、B 充<br />
てんポンプを 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。<br />
c. 原 子 炉 圧 力 容 器 に 残 存 する 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 炉 心 冷 却 。そ<br />
のため、 格 納 容 器 スプレイポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 復 水 タン<br />
クを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 常 設 電 動 注 入 ポ<br />
ンプを 常 設 重 大 事 故 防 止 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 47 条 等 要 求 事 項 イ)、1b.の 対 策 が 第<br />
284
47 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
また、1c.の 対 策 が 第 47 条 のうち、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する<br />
ための 対 策 に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 代 替 炉 心 注 入 に 用 いる 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプ 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、<br />
位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. B 充 てんポンプ、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポン<br />
プは、 代 替 炉 心 注 入 のために 必 要 な 流 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ<br />
は、その 駆 動 源 をディーゼル 方 式 とし、 海 水 又 は 代 替 淡 水 源 から 補 給 でき<br />
る 中 間 受 槽 を 水 源 とすることにより、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 余 熱 除<br />
去 ポンプ 及 び 高 圧 注 入 ポンプ( 駆 動 源 は 非 常 用 母 線 からの 交 流 電 源 、 水 源<br />
は 淡 水 のみ)に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 していること、 可 搬 型 ディー<br />
ゼル 注 入 ポンプは 屋 外 に 分 散 して 保 管 されることにより 設 計 基 準 事 故 対<br />
処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、b) 常 設 電 動 注 入 ポンプ<br />
の 駆 動 源 は 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 とし、 独 立 した 電 源 供 給 ラインから 供 給 さ<br />
れることなどにより、 余 熱 除 去 ポンプ 及 び 高 圧 注 入 ポンプに 対 して 多 様 性<br />
及 び 独 立 性 を 有 していること、 常 設 電 動 注 入 ポンプは 余 熱 除 去 ポンプ 及 び<br />
高 圧 注 入 ポンプとは 原 子 炉 補 助 建 屋 (4 号 炉 においては「 原 子 炉 周 辺 建 屋 」<br />
と 読 み 替 える。) 内 において 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 につい<br />
て、 第 47 条 等 要 求 事 項 ニ)に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 で<br />
あることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 1 次 冷 却 材 喪 失 事 象 発 生 後 、1 系 列 以 上 の 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 によ<br />
285
る 原 子 炉 への 注 水 を 余 熱 除 去 流 量 等 により 確 認 できない 場 合 であっ<br />
て、かつ、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、B<br />
格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS‐CSS タイライン 使 用 )による 代 替 炉<br />
心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 及 び 現 場 での 操<br />
作 等 を 計 3 名 により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )による 原<br />
子 炉 への 注 水 がB 余 熱 除 去 流 量 等 により 確 認 できない 場 合 であって、<br />
かつ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ 等 による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 で<br />
は、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水 を 計 6<br />
名 により、 約 1 時 間 15 分 で 実 施 する。<br />
c. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )による 原<br />
子 炉 への 注 水 がB 余 熱 除 去 流 量 等 により 確 認 できない 場 合 には、 可 搬<br />
型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ホー<br />
ス 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 並 びに 原<br />
子 炉 への 注 水 を 計 16 名 により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
d. 炉 心 の 著 しい 損 傷 、 溶 融 が 発 生 し、 格 納 容 器 圧 力 と 温 度 の 上 昇 又 は<br />
可 搬 型 温 度 計 測 装 置 ( 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 入 口 温 度 / 出 口 温 度 (SA)<br />
用 )の 温 度 差 の 変 化 により 原 子 炉 格 納 容 器 内 が 過 熱 状 態 であると 判 断<br />
した 場 合 には、 溶 融 炉 心 が 原 子 炉 圧 力 容 器 に 残 存 する 場 合 の 冷 却 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 、 原 子 炉 格 納<br />
容 器 の 圧 力 及 び 温 度 の 監 視 、 注 水 の 停 止 等 を 1 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.、<br />
c.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等<br />
による 代 替 炉 心 注 入 等 の 手 順 等 について、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 接 続 作<br />
業 、 炉 心 注 入 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 う<br />
としていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 し<br />
ていること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 による 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、<br />
e) 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 の 運 搬 、 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空<br />
間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
286
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 47 条 等 要 求 事 項 イ)、1b.<br />
の 対 策 が 第 47 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1c.の 対 策 が 第<br />
47 条 のうち、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 対 策 に 対 応 するもので<br />
あること、1a.から c.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43<br />
条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 47 条 等 に 適 合 するも<br />
のと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 冷 却 系 が 低 圧 時 に 原<br />
子 炉 を 冷 却 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 蒸 気 発 生 器 2 次 側 への 注 水 と 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 による 2 次<br />
系 強 制 冷 却 (※ 39 )。このために、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、タービン 動 補<br />
助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 位 置 付 ける。<br />
b. 代 替 交 流 電 源 の 確 保 及 び 代 替 炉 心 注 入 。そのため、 大 容 量 空 冷 式 発<br />
電 機 、 常 設 電 動 注 入 ポンプ、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 代 替 設 備 を 用 いた 代 替 再 循 環 運 転 。このために、B 格 納 容 器 スプレ<br />
イポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ、 格<br />
納 容 器 再 循 環 サンプスクリーン、B 高 圧 注 入 ポンプ( 海 水 冷 却 ) 等 を<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 2 次 系 強 制 冷 却 に 用 いる 電 動 補 助 給 水 ポンプの 駆 動 源 、 主 蒸 気 逃 が<br />
し 弁 ( 手 動 )は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、 位 置<br />
的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 電 動 補 助 給 水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 ) 等 は、2 次 冷 却 系 の<br />
除 熱 機 能 として 必 要 な 流 量 等 を 確 保 する。<br />
(※ 39 ) 申 請 者 は、「 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 注 水 )」、「 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 蒸 気 放 出 )」<br />
と 記 載 しているが、 分 かりやすく 本 節 では「2 次 系 強 制 冷 却 」と 記 載 。<br />
287
c. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 ) 等 は、 代<br />
替 再 循 環 運 転 に 必 要 な 流 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 電 動 補 助 給 水 ポンプは、その<br />
駆 動 源 を 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 に 手 動 操 作 用 のハンド<br />
ルを 設 けることにより、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 電 源 であるディーゼル 発<br />
電 機 を 使 用 した 電 源 に 対 して 多 様 性 を 有 していること、b) 電 動 補 助 給 水 ポ<br />
ンプの 駆 動 源 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 は、ディーゼル 発 電 機 とは 異 なる 区 画 に<br />
設 置 することにより 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とすること、c)B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )、<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 等 は、 余 熱 除 去 ポンプ、 余 熱 除 去 冷 却 器 等 とは<br />
原 子 炉 補 助 建 屋 (4 号 炉 においては「 原 子 炉 周 辺 建 屋 」と 読 み 替 える。)<br />
内 において 異 なる 区 画 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とす<br />
ることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 を 非 常 用 高 圧 母 線 電 圧 又<br />
は 原 子 炉 補 機 冷 却 水 供 給 母 管 流 量 等 により 確 認 できない 際 、 蒸 気 発 生<br />
器 への 注 水 に 必 要 な 復 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 電<br />
動 補 助 給 水 ポンプ 又 はタービン 動 補 助 給 水 ポンプによる 2 次 系 強 制<br />
冷 却 ( 注 水 )の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作<br />
を 1 名 で 実 施 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 し、 中 央 制 御 室 から<br />
の 遠 隔 操 作 で 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 ができない 際 、 補 助 給 水 流 量 等<br />
により 蒸 気 発 生 器 への 注 水 が 確 保 されている 場 合 には、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 ( 手 動 )による 2 次 系 強 制 冷 却 ( 蒸 気 放 出 )の 手 順 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 現 場 での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 を 計 4 名 に<br />
より 約 20 分 で 実 施 する。<br />
c. 余 熱 除 去 ポンプの 故 障 等 により 再 循 環 運 転 による 原 子 炉 への 注 水<br />
が 余 熱 除 去 流 量 等 にて 確 認 できない 場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポ<br />
ンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )による 代 替 再 循 環 運 転 の 手 順 に 着<br />
288
手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水<br />
を 計 3 名 により、 約 15 分 で 実 施 する。<br />
d. 運 転 停 止 中 に、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 等 により 余 熱 除 去 系 の 機 能 が 喪<br />
失 した 場 合 又 は 原 子 炉 冷 却 材 が 流 出 した 場 合 、 若 しくは 中 性 子 源 領 域<br />
炉 停 止 時 中 性 子 束 高 警 報 が 発 信 した 場 合 には、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 作<br />
業 員 を 退 避 させる 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 退 避 指 示 、 作 業 員<br />
の 退 域 確 認 、エアロック 閉 止 作 業 を 計 3 名 により、 約 35 分 で 実 施 す<br />
る。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の<br />
順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b)B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS<br />
-CSS タイライン 使 用 ) 等 による 代 替 再 循 環 運 転 の 手 順 等 について、 系 統<br />
構 成 、ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 する<br />
とともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間<br />
等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 による 必 要 な<br />
連 絡 手 段 を 確 保 していること、e) 現 場 で 系 統 構 成 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業<br />
空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、1 次 冷 却 系 低 圧<br />
時 に 原 子 炉 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 け<br />
た 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、1 次 冷 却 系 が 低 圧 時 に 原 子 炉<br />
を 冷 却 するために 必 要 となる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するととも<br />
に、1 次 冷 却 系 の 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を<br />
構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復 するための 多 様 性 拡 張<br />
設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
289
(1) 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 上 記 2. 以 外 の 設 備 として、1 次 冷 却 系 が 低 圧 時 に 原 子 炉 を<br />
冷 却 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 と 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 する<br />
としている。<br />
a. 格 納 容 器 再 循 環 サンプスクリーン 閉 塞 時 の 炉 心 注 入 。そのため、 高<br />
圧 注 入 ポンプ、 充 てんポンプ 及 び 燃 料 取 替 用 水 タンクを 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 蒸 気 発 生 器 2 次 側 のフィードアンドブリード。このために、 電 動 補<br />
助 給 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 主 な 設 計 方 針 として、 炉 心<br />
注 入 に 用 いる 燃 料 取 替 用 水 タンクは、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 等 に 対 して 多<br />
様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 としている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 充 てんポ<br />
ンプは、その 水 源 を 燃 料 取 替 用 水 タンクとすることにより、 格 納 容 器 再 循<br />
環 サンプスクリーン 及 び 格 納 容 器 再 循 環 サンプに 対 して 多 様 性 を 有 して<br />
いること、b) 電 動 補 助 給 水 ポンプは、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のディーゼル 発 電<br />
機 と 異 なる 区 画 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることなど<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 余 熱 除 去 ポンプ、 高 圧 注 入 ポンプ 等 により 再 循 環 運 転 を 行 っている<br />
際 に、 各 ポンプの 流 量 低 下 等 により 格 納 容 器 再 循 環 サンプスクリーン<br />
に 閉 塞 の 兆 候 を 確 認 した 場 合 、 同 兆 候 が 現 れた 際 の 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 水<br />
源 からの 補 給 操 作 、 同 タンクを 水 源 とした 原 子 炉 への 注 水 等 を 計 710<br />
名 により 実 施 する。<br />
b. 主 蒸 気 逃 がし 弁 ( 手 動 )による 2 次 冷 却 系 からの 冷 却 効 果 がなくな<br />
290
り、 低 温 停 止 に 移 行 する 場 合 で、かつ、 補 助 給 水 流 量 等 により 蒸 気 発<br />
生 器 への 注 水 が 確 保 されている 場 合 には、 主 蒸 気 管 ドレンライン 使 用<br />
による 蒸 気 発 生 器 2 次 側 のフィードアンドブリードの 手 順 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 は 計 3 名 により 約 1 時 間 10 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 格 納 容 器 再 循 環 サンプスクリ<br />
ーン 閉 塞 時 の 炉 心 注 入 の 手 順 等 について、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 燃 料<br />
取 替 用 水 タンクへの 補 給 、 原 子 炉 への 注 水 の 継 続 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を<br />
確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、b)ヘッドライト 等 に<br />
より 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、c) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必<br />
要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、d) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 燃 料 取 替<br />
用 水 タンクへの 補 給 、 原 子 炉 への 注 水 の 継 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、<br />
温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 とし<br />
て 自 主 的 に 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する<br />
方 針 であることを 確 認 した。<br />
(2)その 他 の 自 主 的 対 策 設 備<br />
(2)-1.フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 する 機 能 を 構 成 するフロント<br />
ライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.4-1 参 照 。)を 用 いた<br />
主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 を AM 用 消 火 水 積<br />
算 流 量 等 にて 確 認 できない 場 合 であって、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されて<br />
おり、かつ 消 火 用 として 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 又 は 消 防<br />
自 動 車 が 必 要 ない 場 合 、 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 又 は 消 防<br />
自 動 車 による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 電 動 消<br />
火 ポンプ 等 の 起 動 、 原 子 炉 への 注 水 を 計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
2 高 圧 注 入 ポンプによる 原 子 炉 への 注 水 を 高 圧 注 入 ポンプ 流 量 等 にて 確<br />
認 できない 場 合 であって、 格 納 容 器 再 循 環 サンプの 水 位 が 確 保 されている<br />
場 合 、AM 用 代 替 再 循 環 ポンプによる 代 替 再 循 環 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
系 統 構 成 、AM 用 代 替 再 循 環 ポンプの 起 動 、 原 子 炉 への 注 水 を 計 3 名 により、<br />
291
約 30 分 で 実 施 する。<br />
3 電 動 補 助 給 水 ポンプ 及 びタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により、 補<br />
助 給 水 流 量 等 が 確 認 できない 場 合 には、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気 発 生<br />
器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 計 1 名 によ<br />
り 実 施 する。<br />
4 電 動 補 助 給 水 ポンプ 及 びタービン 動 補 助 給 水 ポンプが 使 用 できない 場<br />
合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ホ<br />
ース 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 並 びに 復 水<br />
タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を 計 16 名 により 約<br />
5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
5 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 確 認 できない 場 合 であって、 外 部 電 源<br />
が 確 保 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている 場 合 には、タービンバイパ<br />
ス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1<br />
名 により 実 施 する。<br />
(2)-2.サポート 系 の 機 能 を 回 復 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、1 次 冷 却 系 の 低 圧 時 に 原 子 炉 を 冷 却 する 機 能 を 構 成 するサポート<br />
系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.4-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手<br />
順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )の 機 能 喪 失 により、 原 子 炉 への 注 水 を 確 認<br />
できない 場 合 において、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合<br />
には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )<br />
による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 ス<br />
プレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の 起 動 及 び 運 転 、<br />
原 子 炉 への 注 水 を 計 5 名 により 約 50 分 で 実 施 する。<br />
2 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 に、 余 熱 除 去 設 備 の<br />
崩 壊 熱 除 去 機 能 が 喪 失 し、 原 子 炉 への 注 水 を 余 熱 除 去 流 量 等 にて 確 認 でき<br />
ない 場 合 において、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク( 重 力 注 入 水 )による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この<br />
手 順 では 系 統 構 成 、 余 熱 除 去 ポンプ 燃 料 取 替 用 水 タンク 側 入 口 電 動 弁 の 開<br />
操 作 、 燃 料 取 替 用 水 タンクからの 重 力 注 入 による 原 子 炉 への 注 水 を 1 名 に<br />
より 約 20 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対<br />
処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
292
表 Ⅳ-4.4-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポンプ、 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 信<br />
ディーゼル 消 火 頼 性 は 十 分 ではないものの、 炉 心 注 入 の 代 替 手 段 となり 得<br />
ポンプ 等 る。<br />
電 動 主 給 水 ポン 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 され<br />
プ 等<br />
るプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、<br />
補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
タービンバイパ 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 され<br />
ス 弁<br />
るプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるものの、<br />
主 蒸 気 逃 がし 弁 の 故 障 に 際 して 代 替 設 備 となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には 期<br />
レイポンプ( 自 己 待 できないものの、 流 量 が 大 きく、 炉 心 注 入 として 有 効 な 手<br />
冷 却 )(RHRS-CSS 段 となり 得 る。<br />
タイライン 使 用 )<br />
等<br />
燃 料 取 替 用 水 タ 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 頭 圧 が 1 次 冷 却 材 の 圧 力 を 下 回 っ<br />
ンク( 重 力 注 入 ) た 場 合 は 炉 心 へ 注 水 できない 可 能 性 があるものの、 比 較 的 早<br />
い 代 替 炉 心 注 入 の 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.5 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第<br />
48 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.5 項 関 係 )<br />
本 節 では、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 最 終 ヒ<br />
ートシンクへ 熱 を 輸 送 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 48 条<br />
及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.5 項 ( 以 下 「 第 48 条 等 」という。)にお<br />
ける 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第<br />
37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 さ<br />
れる 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 へ<br />
の 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
293
(1) 第 48 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送<br />
する 機 能 (※ 40 )が 喪 失 した 場 合 において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納<br />
容 器 の 破 損 ( 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 する 前 に 生 ずるものに 限 る。)を 防 止 す<br />
るため、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備<br />
することを 要 求 している。 第 48 条 等 における「 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送<br />
するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこ<br />
れらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 等 を 防 止 するための 重 大 事 故 防 止 設 備 。<br />
ロ) 取 水 機 能 の 喪 失 により 最 終 ヒートシンクが 喪 失 することを 想 定 した 上 で、<br />
タービン 動 補 助 給 水 ポンプ 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 2 次 冷 却 系 からの<br />
除 熱 により、 最 終 的 な 熱 の 逃 がし 場 への 熱 の 輸 送 ができる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 す<br />
る 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 上 記 イ)の 重 大 事 故 防 止 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して、 多 重<br />
性 又 は 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
申 請 者 は、 第 48 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、タービン 動 補 助 給 水 ポン<br />
プ 等 により 蒸 気 発 生 器 2 次 側 へ 給 水 するとともに、 主 蒸 気 逃 がし 弁 から 蒸 気 を<br />
放 出 する 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 41 )において、 最 終 ヒートシンクへ 熱<br />
を 輸 送 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針<br />
としている。<br />
1 主 蒸 気 逃 がし 弁 から 蒸 気 を 放 出 するとともに 蒸 気 発 生 器 2 次 側 へ 給 水<br />
する 2 次 冷 却 系 のフィードアンドブリード 強 制 冷 却 を 実 施 するための 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
2 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いたA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット(※ 42 )<br />
による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いて 代 替 補 機 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
(※ 40 ) 申 請 者 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
・ 原 子 炉 補 機 冷 却 水 設 備 ( 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 冷 却 器 等 ) 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 海<br />
水 設 備 ( 海 水 ポンプ 等 )による 冷 却 機 能<br />
(※ 41 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、 格<br />
納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器 加 圧 過 圧 破 損 )、( 格 納 容 ・ 器 過 温 破<br />
損 )」、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」、「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の 溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」、「 溶 融<br />
炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」、 運 転 停 止 中 の 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」をいう。<br />
(※ 42 ) 申 請 者 は、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 時 に、 保 有 する 格 納 容 器 再 循 環 ユニットのうちA、B 号 機 を 使 用 する<br />
としている。 以 下 同 じ。<br />
294
(3) 規 制 委 員 会 は、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するために 申 請 者 が 計 画 する 設<br />
備 及 び 手 順 等 が、 第 48 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に<br />
整 備 される 方 針 であることから、 第 48 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、<br />
有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 48 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は 第 48 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するため、その 対 策 として<br />
2 次 冷 却 系 強 制 冷 却 のフィードアンドブリードを 実 施 するとし、そのため、<br />
電 動 補 助 給 水 ポンプ、タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 タンク、 主 蒸 気 逃<br />
がし 弁 等 を 重 大 事 故 防 止 設 備 として 位 置 付 けるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 の 対 策 が 第 48 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)に 対 応 する<br />
ものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 は、<br />
2 次 冷 却 系 強 制 冷 却 のフィードアンドブリードに 用 いるタービン 動 補 助 給<br />
水 ポンプ、 主 蒸 気 逃 がし 弁 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及<br />
び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とするとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心<br />
冷 却 に 用 いるタービン 動 補 助 給 水 ポンプの 駆 動 源 を 蒸 気 とし、 電 動 補 助 給<br />
水 ポンプの 電 源 を 代 替 電 源 からの 給 電 とし、 主 蒸 気 逃 がし 弁 はハンドルを<br />
設 け 手 動 操 作 とすることにより、 非 常 用 電 源 から 給 電 される 設 計 基 準 事 故<br />
対 処 設 備 である 電 動 駆 動 の 海 水 ポンプ 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプに 対<br />
295
して 駆 動 源 又 は 電 源 について 多 様 性 を 有 すること、b)3 号 炉 においては、<br />
ア)タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 電 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 タンク 及 び 主<br />
蒸 気 逃 がし 弁 は 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 のディーゼル 発 電 機 と 異 なる 区 画 に 設<br />
置 し、イ) 蒸 気 発 生 器 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 することで 原 子 炉 補 助 建<br />
屋 内 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 及 び 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 冷 却 器 と 異 なる 建 屋 並 びに 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 であ<br />
る 海 水 ポンプと 離 れた 位 置 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立<br />
性 を 有 する 設 計 とし、4 号 炉 においては、ウ)タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、<br />
電 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 ピット 及 び 主 蒸 気 逃 がし 弁 は 原 子 炉 周 辺 建 屋 内<br />
の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
水 冷 却 器 及 びディーゼル 発 電 機 と 異 なる 区 画 に 設 置 し、エ) 蒸 気 発 生 器 は<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 することで 屋 外 の 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である<br />
海 水 ポンプと 離 れた 位 置 に 設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性<br />
を 有 する 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、<br />
第 48 条 等 要 求 事 項 ハ)に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 故 障 等 により 最 終 ヒートシ<br />
ンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 際 に、 復 水 タンクの 水 位 が 確 保 さ<br />
れている 場 合 には、 電 動 補 助 給 水 ポンプ 又 はタービン 動 補 助 給 水 ポン<br />
プを 用 いた 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 注 水 )の 手 順 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 等 の 故 障 により、 最 終 ヒート<br />
シンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 際 に、 補 助 給 水 流 量 等 により 蒸<br />
気 発 生 器 への 注 水 が 確 認 された 場 合 には、 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気<br />
発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 蒸 気 放 出 )の 手 順 に 着 手 する。この 手<br />
順 では、 現 場 での 人 力 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 開 操 作 等 を 計 4 名 によ<br />
り 約 20 分 で 実 施 する。<br />
296
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 現 場 での 手 動 操 作 等 の 手 順 等<br />
について 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしてい<br />
ること、b)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 しているこ<br />
と、c) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、d) 現 場 で<br />
の 手 動 操 作 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確<br />
認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 48 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)に<br />
対 応 するものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 48 条 等 要 求 事<br />
項 ハ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びそ<br />
の 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 48<br />
条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を<br />
輸 送 するために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
を 整 備 するとしている。<br />
a. 2 次 冷 却 系 強 制 冷 却 のフィードアンドブリードを 実 施 。そのため、<br />
電 動 補 助 給 水 ポンプ、タービン 動 補 助 給 水 ポンプ、 復 水 タンク、 主 蒸<br />
気 逃 がし 弁 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 。そのため、A、B 格 納 容 器 再 循 環<br />
ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
c. 代 替 補 機 冷 却 を 実 施 。そのため、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 に 用 いるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等<br />
は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
297
. 代 替 補 機 冷 却 に 用 いる 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 は、 設 計 基 準 事 故 対<br />
処 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 に 用<br />
いる 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は 駆 動 方 式 をディーゼル 駆 動 とすることによ<br />
り、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 電 動 駆 動 の 海 水 ポンプ 及 び 原 子 炉 補 機 冷<br />
却 水 ポンプに 対 して 駆 動 源 について 多 様 性 を 有 していること、b)A、B 格<br />
納 容 器 再 循 環 ユニットは 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 設 置 すること、また、 移 動 式<br />
大 容 量 ポンプ 車 は 海 水 ポンプに 対 して 離 れた 屋 外 に 保 管 することにより、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 海 水 ポンプ 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプに<br />
対 して 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 する 設 計 とすることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 故 障 等 により 最 終 ヒートシ<br />
ンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車<br />
を 用 いたA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷<br />
却 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、<br />
可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ<br />
の 通 水 作 業 等 を 計 17 名 により 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
b. 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプの 故 障 等 により 最 終 ヒートシ<br />
ンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車<br />
による 補 機 冷 却 海 水 通 水 による 代 替 補 機 冷 却 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 系<br />
統 構 成 等 を 計 17 名 により 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、<br />
可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 系 統 構 成 、 通 水 作 業 の 手 順 等 について 定 め、 必 要<br />
な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、b)ヘッドラ<br />
イト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、c) 携 帯 型 通 話 設<br />
備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、d) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配<br />
298
置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 が<br />
ないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 最 終 ヒートシンク<br />
へ 熱 を 輸 送 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及<br />
び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、フロントライン 系 及 びサポー<br />
ト 系 の 機 能 が 喪 失 し、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 機 能 が 喪 失 した 場<br />
合 に、その 機 能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしてい<br />
る。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 喪 失 時 に 最 終 ヒートシンクに 熱 を 輸 送 する 機<br />
能 を 代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 を 回 復 させるための 設 備<br />
( 表 Ⅳ-4.5-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプが 使 用 できない 場 合 には、 電 動 主 給 水 ポンプによる 蒸 気<br />
発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 に<br />
より 実 施 する。<br />
2 補 助 給 水 ポンプ 及 び 電 動 主 給 水 ポンプが 使 用 できない 場 合 には、 復 水 タ<br />
ンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 蒸 気<br />
発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル<br />
注 入 ポンプの 起 動 、 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を 計 16 名<br />
により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
3 海 水 ポンプ、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 等 の 故 障 により、 制 御 用 圧 縮 空 気<br />
が 供 給 されない 場 合 には、 所 内 用 空 気 圧 縮 機 による 代 替 空 気 供 給 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 は、 自 動 作 動 により 実 施 する。<br />
299
4 主 蒸 気 逃 がし 弁 による 蒸 気 放 出 が 確 認 できない 場 合 であって、 外 部 電 源<br />
が 受 電 され、 復 水 器 の 真 空 度 が 維 持 されている 場 合 には、タービンバイパ<br />
ス 弁 による 蒸 気 放 出 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1<br />
名 により 実 施 する。<br />
5 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ 等 の 故 障 により、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送<br />
する 機 能 が 喪 失 した 場 合 であって、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 炉 心 への 注<br />
水 が AM 用 消 火 水 積 算 流 量 にて 確 認 できず、A 余 熱 除 去 ポンプ( 空 調 用 冷<br />
水 )により 炉 心 へ 注 水 する 場 合 には、 空 調 用 冷 水 ポンプによるA 余 熱 除 去<br />
ポンプ 代 替 補 機 冷 却 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 通 水 作 業 等 を<br />
計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 喪 失 時 に 最 終 ヒートシンクに 熱 を 輸 送 する 機 能 を 代<br />
替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 する 機 能 を 回 復 させるための 設 備<br />
( 表 Ⅳ-4.5-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 補 助 給 水 ポンプの 故 障 等 により 蒸 気 発 生 器 への 注 水 ができない 場 合 に<br />
は、 復 水 タンク 又 は 中 間 受 槽 を 水 源 とした 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプに<br />
よる 蒸 気 発 生 器 への 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 デ<br />
ィーゼル 注 入 ポンプの 起 動 、 中 間 受 槽 を 水 源 とした 蒸 気 発 生 器 への 注 水 を<br />
計 16 名 により、 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
2 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 駆 動 用 空 気 が 喪 失 し、 操 作 場 所 である 主 蒸 気 管 室 が 高<br />
温 又 は 高 線 量 である 場 合 、 窒 素 ボンベ( 主 蒸 気 逃 がし 弁 用 )による 主 蒸 気<br />
逃 がし 弁 の 機 能 回 復 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 主 蒸 気 逃 がし<br />
弁 の 開 操 作 等 を 計 2 名 により、 約 10 分 で 実 施 する。<br />
3 制 御 用 空 気 圧 縮 機 への 補 機 冷 却 水 が 喪 失 することにより、 制 御 用 空 気 圧<br />
縮 機 が 停 止 し 駆 動 用 空 気 が 喪 失 した 場 合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用<br />
いたB 制 御 用 空 気 圧 縮 機 の 補 機 冷 却 海 水 通 水 による 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機<br />
能 回 復 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 、 可 搬 型<br />
ホースの 接 続 等 を 計 17 名 により 約 12 時 間 42 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.5-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 主 給 水 ポンプ 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
300
等<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 補 助 給 水 ポンプの 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
タービンバイパス 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
弁<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
所 内 用 空 気 圧 縮 機 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
のの、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 となり 得<br />
る。<br />
空 調 用 冷 水 ポンプ 常 用 系 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 想 定 さ<br />
(A 余 熱 除 去 ポン れるプラント 状 況 において 使 用 することは 困 難 であるも<br />
プ 冷 却 用 ) のの、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
窒 素 ボンベ( 主 蒸 窒 素 ボンベの 容 量 から 使 用 できる 時 間 に 制 限 があるもの<br />
気 逃 がし 弁 用 ) の、 現 場 の 環 境 が 悪 化 した 場 合 でも、 中 央 制 御 室 からの 遠<br />
隔 操 作 が 可 能 となり、 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく 低 減 と<br />
なることから、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 と<br />
なり 得 る。<br />
B 制 御 用 空 気 圧 縮 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するものの、 中 央 制 御 室 からの 遠 隔 操<br />
機 ( 海 水 冷 却 ) 作 により、 主 蒸 気 逃 がし 弁 の 機 能 を 回 復 させる 設 備 となり<br />
得 る。<br />
Ⅳ-4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 49<br />
条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.6 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
が、1 第 49 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.6 項 ( 以 下 「 第 49 条 等 」<br />
という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2<br />
有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により<br />
重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 49 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、また、 炉 心 の 著 し<br />
い 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉<br />
格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 並 びに 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 低 下 させるために 必 要<br />
301
な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 49 条 等 における「 原 子<br />
炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 並 びに 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 低 下 させるために 必<br />
要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以<br />
上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 機 能 (※ 43 )が<br />
喪 失 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 防 止 するため、 格 納 容 器 スプレ<br />
イ 注 水 設 備 (ポンプ 又 は 水 源 )が 機 能 喪 失 しているものとして、 格 納 容 器<br />
スプレイ 代 替 注 水 設 備 により、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 さ<br />
せるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
するため、 格 納 容 器 スプレイ 注 水 設 備 (ポンプ 又 は 水 源 )が 機 能 喪 失 して<br />
いるものとして、 格 納 容 器 スプレイ 代 替 注 水 設 備 により、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 の 圧 力 及 び 温 度 並 びに 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 低 下 させるために 必 要 な 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ) 及 びロ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効<br />
果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 上 記 イ) 及 びロ)の 格 納 容 器 スプレイ 代 替 注 水 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対<br />
処 設 備 に 対 して、 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
申 請 者 は、 第 49 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止<br />
及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 の<br />
ため 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施<br />
するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 44 )において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防<br />
止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等<br />
のための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針 としてい<br />
る。<br />
(※ 43 ) 申 請 者 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 が 有 する 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させる 機 能 は 以 下 のと<br />
おりとしている。<br />
・ 格 納 容 器 スプレイポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 、 格 納 容 器 スプレイポンプ 格 納<br />
容 器 再 循 環 サンプB 側 隔 離 弁 による 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 機 能<br />
(※ 44 ) 有 効 性 評 価 において、 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 」、「 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 」、「 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 除 熱 機 能 喪 失 」、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 のうち「 雰 囲 気 圧 力 ・ 温 度 による 静 的 負 荷 ( 格 納 容 器<br />
過 圧 ・ 加 圧 破 損 )、( 格 納 容 器 過 温 破 損 )」、「 高 圧 溶 融 物 放 出 / 格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱 」、「 原 子 炉 圧 力 容 器 外 の<br />
溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用 」、「 溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用 」、 運 転 停 止 中 の 炉 心 損 傷 防 止 対 策 のうち「 全<br />
交 流 動 力 電 源 喪 失 」をいう。<br />
302
1 A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施<br />
するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 が、 第 49 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることから、 第 49 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有<br />
効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含<br />
み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 49 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 49 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 炉 心 の 著 し<br />
い 損 傷 の 防 止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納<br />
容 器 内 の 冷 却 等 のため 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整<br />
備 するとしている。<br />
a. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 。そのため、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
ト 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 代 替 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記<br />
b.の 対 策 が 第 49 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
303
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、それぞ<br />
れ 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除 熱 できる 設 計 とする。<br />
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 放 射 性 物 質 濃 度 を 低 下 できる 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 代 替 格 納 容 器 スプレイに 用 い<br />
る 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 代 替 電 源 設 備 から 給 電 することにより、 非 常 用<br />
電 源 設 備 から 給 電 される 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプレイポン<br />
プに 対 して、 電 源 について 多 様 性 を 有 すること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷<br />
却 に 用 いるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格<br />
納 容 器 スプレイポンプに 対 して、 冷 却 方 式 が 異 なることから 多 様 性 を 有 し<br />
ていること、c) 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、<br />
それぞれ 格 納 容 器 スプレイポンプとは 異 なる 区 画 に 設 置 することにより<br />
位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 すること、d) 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 炉 心<br />
崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 必 要 なスプレイ 流<br />
量 を 有 すること、e)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 格 納 容 器 内 自 然 対<br />
流 冷 却 の 圧 力 損 失 を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損<br />
を 防 止 するために 必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、f) 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
を 行 うことにより 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 放 射 性 物 質 濃 度 を 低 下 できること<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 につい<br />
て、 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、ハ)、1b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 につ<br />
いて、 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、ハ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること<br />
を 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 格 納 容 器 圧 力 が 格 納 容 器 スプレイ 作 動 設 定 値 (196kPa[gage]) 以 上<br />
であり、 格 納 容 器 スプレイポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 に 注<br />
水 できない 場 合 には、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットを 用 いる 格 納 容<br />
304
器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、A、<br />
B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を 計 5 名 により 約 1 時 間<br />
10 分 で 実 施 する。<br />
b. 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 であり、 格 納 容<br />
器 スプレイポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 へ 注 水 されない 場<br />
合 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 格 納 容 器 圧 力 が 低 下 しない 場<br />
合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 及 び 運<br />
転 、 格 納 容 器 への 注 水 を 計 8 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の<br />
順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 代 替 格 納<br />
容 器 スプレイ 等 について、 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの<br />
通 水 作 業 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 等 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c) 接 続 等 を 行 う 作 業 環<br />
境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していること、d)ヘッド<br />
ライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、e) 携 帯 型 通 話<br />
設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a. 及 び b.の 対 策 が 第 49 条 等 要 求 事 項 イ)、<br />
ロ)、ハ)に 対 応 するものであること、1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることか<br />
ら、 第 49 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止<br />
及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 における 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却<br />
等 のために 必 要 となる 以 下 の 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整<br />
備 するとしている。<br />
a. 代 替 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
305
. 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 。そのため、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
ト 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 移 動 式 大 容 量<br />
ポンプ 車 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、それぞ<br />
れ 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除 熱 できる 設 計 とする。<br />
c. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 代 替 格 納 容 器 スプレイに 用 い<br />
る 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 代 替 電 源 設 備 から 給 電 されることから、 非 常 用<br />
電 源 設 備 から 給 電 される 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプレイポン<br />
プに 対 して、 電 源 について 多 様 性 を 有 すること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷<br />
却 に 用 いるA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格<br />
納 容 器 スプレイポンプに 対 して、 冷 却 方 式 について 多 様 性 を 有 しているこ<br />
と、c) 常 設 電 動 注 入 ポンプ 及 びA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、それぞ<br />
れ 格 納 容 器 スプレイポンプとは 異 なる 区 画 に 設 置 することによる 位 置 的<br />
分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 すること、d) 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 炉 心 崩 壊 熱<br />
による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 必 要 なスプレイ 流 量 を 有<br />
すること、e)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 自 然 対 流 冷 却 の 圧 力 損 失<br />
を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために<br />
必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、f) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、 格 納 容 器 内 自<br />
然 対 流 冷 却 を 行 うために 必 要 な 量 の 水 をA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ<br />
通 水 できるものであること、g) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉 及 び 4 号<br />
炉 で 2 セット 2 台 (バックアップを 含 め 合 計 3 台 (3 号 及 び 4 号 炉 共 用 ))<br />
を 保 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
306
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 に、1 次 冷 却 材<br />
喪 失 事 象 が 発 生 し、 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以<br />
上 であって、さらに 原 子 炉 格 納 容 器 へ 注 水 されない 場 合 には、 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に 着 手 する。この 手<br />
順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 起 動 及 び 運 転 、 格 納 容 器 へ<br />
の 注 水 を 計 7 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 水 系 の 機 能 が 喪 失 した 場 合 に<br />
は、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 用 いたA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットに<br />
よる 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統<br />
構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を 計 17 名 によ<br />
り 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 着 手 の 判 断 基 準 を 明 確 化<br />
していること、b) 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ 等 につ<br />
いて、 可 搬 型 ホースの 運 搬 、 接 続 作 業 等 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 によ<br />
り 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要<br />
な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、e) 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温<br />
度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
の 冷 却 等 のため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手<br />
順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
307
これに 対 して、 申 請 者 は、フロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 が 喪 失 し、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を 代 替 する<br />
ための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 喪 失 時 に 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための<br />
機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 に<br />
おける 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ<br />
-4.6-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 炉 心 損 傷 前 において、 格 納 容 器 雰 囲 気 の 状 態 に 応 じて、A、B 格 納 容 器<br />
再 循 環 ファンの 運 転 が 可 能 な 場 合 には、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ファンによ<br />
る 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 に 着 手 する。この 手 順 は 通 常 の 運 転 操 作 により<br />
実 施 する。<br />
2 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 であり、 常 設 電 動 注<br />
入 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 に 注 水 できない 場 合 には、 電 動 消<br />
火 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統<br />
構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の 起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 する。<br />
3 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイができない 場 合 には、<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイの 準 備 に 着 手<br />
する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を<br />
計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 喪 失 時 に 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 を<br />
代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 防 止 及 び 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 に<br />
おける 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ<br />
-4.6-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 できない<br />
場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )による 代 替 格 納 容 器 ス<br />
プレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ<br />
( 自 己 冷 却 )の 起 動 等 を 計 5 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.6-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
308
設 備 名<br />
A、B 格 納 容 器 再<br />
循 環 ファン<br />
電 動 消 火 ポンプ、<br />
ディーゼル 消 火 ポ<br />
ンプ 等<br />
可 搬 型 ディーゼル<br />
注 入 ポンプ 等<br />
B 格 納 容 器 スプレ<br />
イポンプ( 自 己 冷<br />
却 ) 等<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 、 蒸 気 の 影 響 を 受 ける 可 能 性 があ<br />
るものの、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 空 気 を 強 制 的 に 循 環 できる<br />
ため、 原 子 炉 格 納 容 器 を 効 率 的 に 冷 却 する 手 段 となり 得 る。<br />
消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される<br />
信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手<br />
段 となり 得 る。<br />
系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
期 待 できないものの、 代 替 格 納 容 器 スプレイの 手 段 となり<br />
得 る。<br />
自 己 冷 却 で 使 用 した 場 合 、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 に 放 射 性 物 質<br />
が 流 れ 込 み 汚 染 する 可 能 性 があることから 再 循 環 運 転 で 使<br />
用 することはできないものの、 流 量 が 大 きく 高 い 減 圧 効 果<br />
が 見 込 める 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.7 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
( 第 50 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 が、1 第 50 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.7 項 ( 以 下 「 第 5<br />
0 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であ<br />
るか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順<br />
等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な<br />
対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 50 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
破 損 を 防 止 するため、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必<br />
要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 50 条 等 における「 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、<br />
以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手<br />
順 等 をいう。<br />
イ) 格 納 容 器 圧 力 逃 がし 装 置 又 は 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 及 びそれら 設 備 に<br />
より 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 な 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 50 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
309
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 45 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧<br />
力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として、 全 交 流<br />
動 力 電 源 喪 失 時 における 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるために 申 請 者 が<br />
計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 50 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 50 条 等 に 適 合 するものと 判 断<br />
した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をよ<br />
り 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 50 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 50 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 格 納 容 器 内<br />
自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するとし、そのために、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
ト、A、B 原 子 炉 補 機 冷 却 水 ポンプ、A 原 子 炉 補 機 冷 却 水 冷 却 器 、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンク、A、B 海 水 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 位 置 付 けるとともに、 窒 素 ボンベ( 原 子 炉 補 機 冷 却 水 サージタンク 用 )<br />
を 新 たに 整 備 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 の 対 策 が 第 50 条 等 要 求 事 項 イ)に 対 応 するもので<br />
あることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 は、<br />
A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 等 は 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除 熱 でき<br />
る 容 量 を 確 保 することであるとしている。<br />
(※ 45 ) 有 効 性 評 価 において、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 をいう。<br />
310
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トは、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 を 通 水 することにより、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
の 圧 力 損 失 を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
するために 必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、b) 窒 素 ボンベ( 原 子 炉 補 機 冷 却<br />
水 サージタンク 用 )は、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の 沸 騰 を 防 止 するため、 原 子 炉<br />
補 機 冷 却 水 サージタンク 気 相 部 を 必 要 な 圧 力 まで 加 圧 できる 容 量 を 確 保<br />
することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
圧 力 が 格 納 容 器 スプレイ 作 動 設 定 値 (196kPa[gage]) 以 上 であり、 格 納<br />
容 器 スプレイ 流 量 が 確 認 できない 場 合 には、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手<br />
順 に 着 手 するとしている。この 手 順 では、 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循<br />
環 ユニットへの 通 水 作 業 を 計 5 名 により 約 1 時 間 10 分 で 実 施 するとして<br />
いる。<br />
規 制 委 員 会 は、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットによる 格 納 容 器 内 自 然 対<br />
流 冷 却 について、a) 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 等<br />
の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとして<br />
いること、b) 系 統 構 成 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を<br />
行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認 していること、<br />
c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d)<br />
携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 50 条 等 要 求 事 項 イ)に 対 応 す<br />
るものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条<br />
等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 50 条 等 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
311
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及<br />
び 温 度 を 低 下 させるために 必 要 となる 対 策 として、 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 時<br />
に 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 実 施 するとし、そのために、A、B 格 納 容 器<br />
再 循 環 ユニット 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 移 動<br />
式 大 容 量 ポンプ 車 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 するとしてい<br />
る。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットは、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 を 除<br />
熱 できる 容 量 を 確 保 する。<br />
b. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニッ<br />
トは、 原 子 炉 補 機 冷 却 水 を 通 水 することにより、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却<br />
の 圧 力 損 失 を 考 慮 しても、 炉 心 崩 壊 熱 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止<br />
するために 必 要 な 除 熱 能 力 を 有 すること、b) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 で 同 時 に 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 を 行 うために 必 要 な 量<br />
の 水 をA、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへ 通 水 できるものであること、c)<br />
移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉 及 び 4 号 炉 で 2 セット 2 台 (バックアッ<br />
プを 含 め、 合 計 3 台 (3 号 及 び 4 号 炉 共 用 ))を 保 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 していることを 非<br />
常 用 母 線 電 圧 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 水 供 給 母 管 流 量 等 にて 確 認 した 場<br />
合 には、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 による 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 の 手 順<br />
に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 の 配 置 及 び 可 搬 型<br />
312
ホースの 接 続 、A、B 格 納 容 器 再 循 環 ユニットへの 通 水 作 業 等 を 計<br />
17 名 により 約 12 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 について、a) 移 動 式 大 容 量 ポン<br />
プ 車 の 配 置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 、 通 水 作 業 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人<br />
員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、b) 移 動 式 大 容 量<br />
ポンプ 車 の 配 置 、 可 搬 型 ホースの 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度<br />
等 )に 支 障 がないことを 確 認 していること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間<br />
等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡<br />
手 段 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 原<br />
子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
て 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 の 過 圧 破 損 を 防 止 するために 必 要 と<br />
なる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとともに、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子<br />
炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 、 喪 失 した 場 合 のそれぞれについて、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
るとしている。<br />
(1) 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 上 記 2. 以 外 の 設 備 として、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 圧 力 及 び 温<br />
度 を 低 下 させるために 必 要 となる 以 下 の 対 策 と 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整<br />
備 するとしている。<br />
313
a. 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 格 納 容 器 スプレイポンプ、 燃 料 取 替<br />
用 水 タンクを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 位 置 付 ける。<br />
b. 代 替 設 備 を 用 いた 代 替 格 納 容 器 スプレイ。そのため、 燃 料 取 替 用 水<br />
タンク 及 び 復 水 タンクを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け、 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として、 新 たに 整 備 する。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 の 冷 却 に 必 要 な<br />
容 量 を 確 保 する。<br />
b. 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 復 水 タンクは、 必 要 な 容 量 を 確 保 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 常 設 電 動 注 入 ポンプは 代 替 格<br />
納 容 器 スプレイとして 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 雰 囲 気 の 冷 却 に 必 要 な 容 量 を<br />
確 保 すること、b) 代 替 格 納 容 器 スプレイの 水 源 である 燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
及 び 復 水 タンクは、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 量 に 対 し、 淡 水 又 は 海 水 を 補<br />
給 するまでの 間 に 必 要 な 容 量 を 確 保 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 で 格 納 容<br />
器 スプレイポンプが 起 動 していないことを 格 納 容 器 スプレイ 流 量 等<br />
により 確 認 した 場 合 、かつ、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されて<br />
いる 場 合 には、 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 で 格 納 容<br />
器 スプレイポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 で<br />
きない 場 合 及 び 格 納 容 器 内 自 然 対 流 冷 却 により 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力<br />
が 低 下 しない 場 合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプ<br />
レイの 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポン<br />
314
プの 起 動 及 び 運 転 、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 7 名 により 約 40 分<br />
で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を a.、b.の<br />
順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 格 納 容 器 スプレイ、 代 替 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 等 について 格 納 容 器 スプレイの 実 施 、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポン<br />
プの 起 動 の 手 順 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行<br />
うとしていること、c) 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障<br />
がないことを 確 認 していること、d)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアク<br />
セス 性 を 確 保 していること、e) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保<br />
していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低<br />
下 させるための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 自 主 的 に 位 置 付 けた 設<br />
備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 し<br />
た。<br />
(2)その 他 の 自 主 的 対 策 設 備<br />
(2)-1 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合<br />
申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 において、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 機 能 を 回 復 させる 設 備 ( 表<br />
Ⅳ-4.7-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 さ<br />
れない 場 合 であって、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 電 動<br />
消 火 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系<br />
統 構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の 起 動 、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 2 名 によ<br />
り 約 25 分 で 実 施 する。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 格 納 容 器 スプレイができない 場 合 には、 可 搬<br />
型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイの 準 備 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を 計<br />
16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
315
(2)-2 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合<br />
申 請 者 は、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 において、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 圧 力 及 び 温 度 を 低 下 させるための 機 能 を 回 復 させる 設 備 ( 表<br />
Ⅳ-4.7-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 圧 力 が 最 高 使 用 圧 力 (392kPa[gage]) 以 上 であり、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 ができない 場 合<br />
であって、 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、B 格 納<br />
容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 起 動<br />
及 び 運 転 、 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 5 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
2 B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 故 障 等 により 原 子 炉 格 納 容 器<br />
への 注 水 ができない 場 合 であって 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場<br />
合 には、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 系 統 構 成 、ディーゼル 消 火 ポンプ 等 の 起 動 及 び 運 転 、 原 子<br />
炉 格 納 容 器 への 注 水 を 計 2 名 により、 約 25 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.7-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポ ン 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 信 頼<br />
プ、ディーゼル 性 は 十 分 ではないものの、 格 納 容 器 スプレイの 代 替 手 段 となり<br />
消 火 ポンプ 等 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するものの、 水 源 を 特 定 せず 原 子 炉 格 納 容<br />
ル 注 入 ポンプ 等 器 への 注 水 に 使 用 できる 設 備 となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には 期 待<br />
レイポンプ( 自 できないものの、 流 量 が 大 きく 高 い 減 圧 効 果 が 見 込 める 手 段 と<br />
己 冷 却 ) 等 なり 得 る。<br />
Ⅳ-4.8 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手<br />
順 等 ( 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 項 関 係 )<br />
本 節 では、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計 画 する 設<br />
備 及 び 手 順 等 について、1 第 51 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.8 項 ( 以<br />
下 「 第 51 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される<br />
316
方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が<br />
自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確<br />
認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 51 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 の<br />
破 損 を 防 止 するため、 溶 融 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 下 部 に 落 下 した 炉 心 を 冷 却 す<br />
るために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 51 条 等 に<br />
おける「 溶 融 し、 原 子 炉 格 納 容 器 の 下 部 に 落 下 した 炉 心 を 冷 却 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 注 水 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 を 遅 延 又 は 防 止 するため、 原 子<br />
炉 圧 力 容 器 へ 注 水 する 手 順 等 。<br />
また、 上 記 の 設 備 及 び 手 順 等 については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 可 搬 型 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 の 場 合 は、 接 続 する 建 屋 内 の 流 路<br />
をあらかじめ 敷 設 すること。<br />
ニ) 上 記 イ)の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 は 多 重 性 又 は 多 様 性 及 び 独 立 性<br />
を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること(ただし、 建 屋 内 の 構 造 上 の 流<br />
路 及 び 配 管 を 除 く。)。<br />
ホ) 上 記 イ)の 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 が 必 要 な 場 合 は、 代 替 電 源 からの<br />
給 電 を 可 能 とすること。<br />
申 請 者 は、 第 51 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 格 納 容 器 スプレイポンプによる 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉<br />
心 の 冷 却 を 行 う 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の<br />
冷 却 を 行 う 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 高 圧 注 入 ポンプ 又 は 余 熱 除 去 ポンプによる 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器<br />
下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 を 行 う 炉 心 注 入 を 実 施 するための 手 順 等 。<br />
4 B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 ) 又 は 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプによる 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防<br />
止 を 行 う 代 替 炉 心 注 入 を 実 施 するための 手 順 等 。<br />
317
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )(※ 46 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部<br />
の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として、 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイを 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するために 申 請 者 が 計<br />
画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 51 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 51 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をよ<br />
り 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 51 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 51 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 格 納 容 器<br />
スプレイ。そのために、 格 納 容 器 スプレイポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 として 位 置 付 ける。<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 代 替 格 納<br />
容 器 スプレイ。そのために、 常 設 電 動 注 入 ポンプ 等 を 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 のための<br />
炉 心 注 入 。そのために、 高 圧 注 入 ポンプ、 余 熱 除 去 ポンプ 等 を 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
d. 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 のための<br />
代 替 炉 心 注 入 。そのために、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS<br />
タイライン 使 用 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、<br />
(※ 46 ) 有 効 性 評 価 において、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 をいう。<br />
318
常 設 電 動 注 入 ポンプ、B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 ) 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 51 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記<br />
c. 及 び d.の 対 策 が 第 51 条 等 基 準 要 求 ロ)に 対 応 するものであることを<br />
確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプは、 格 納 容 器 スプレイポンプに 対 して 多 様 性 及 び 独 立 性 を<br />
有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し<br />
た 場 合 でも 代 替 電 源 設 備 により 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。さらに、 格<br />
納 容 器 スプレイ 水 は 溶 融 炉 心 が 落 下 するまでに 原 子 炉 下 部 キャビテ<br />
ィに 十 分 な 水 量 を 蓄 水 できる 設 計 とする。<br />
b. 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 のための<br />
常 設 電 動 注 入 ポンプは、 格 納 容 器 スプレイポンプに 対 して 多 様 性 を 有<br />
し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した<br />
場 合 でも 代 替 電 源 設 備 により 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 代 替<br />
電 源 設 備 から 給 電 されるため、 非 常 用 電 源 設 備 から 給 電 される 設 計 基 準 事<br />
故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプレイポンプに 対 して、 電 源 について 多 様 性 を 有<br />
すること、b) 常 設 電 動 注 入 ポンプは 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 格 納 容 器 スプ<br />
レイポンプが 設 置 されている 原 子 炉 補 助 建 屋 (4 号 炉 においては「 原 子 炉<br />
周 辺 建 屋 」と 読 み 替 える。)の 異 なる 区 画 に 設 置 されることにより 設 計 基<br />
準 事 故 対 処 設 備 に 対 する 位 置 的 分 散 を 図 り、 独 立 性 を 有 すること、c) 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプは 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した 場 合 でも 代 替 電 源 設 備 の 大<br />
容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 が 可 能 な 設 計 とすること、d) 格 納 容 器 スプレイ<br />
水 が 格 納 容 器 とフロア 最 外 周 部 間 の 隙 間 等 を 通 じ 格 納 容 器 最 下 部 フロア<br />
まで 流 下 し、さらに 小 扉 及 び 連 通 穴 を 経 由 して 原 子 炉 下 部 キャビティへ 流<br />
入 することで、 溶 融 炉 心 が 落 下 するまでに 原 子 炉 下 部 キャビティに 十 分 な<br />
水 量 を 蓄 水 できる 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
319
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 について、 第 51 条 等 要 求 事 項 ニ) 及 びホ)に 適 合 する 設 計 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 の 計 画 においては、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 注 水 設 備 として 可<br />
搬 型 の 設 備 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 としていないことから 第 51 条 等 要 求<br />
事 項 ハ)に 適 合 する 必 要 はない。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
3-1) 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
a. 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 し、 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 広 域 水 位 が 75%<br />
未 満 の 場 合 において、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水<br />
タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 格 納 容 器 スプレイの 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 格 納 容 器 再 循 環 サンプ 広 域 水 位 が 75% 未 満 であり、 格 納 容 器 スプレ<br />
イポンプの 故 障 等 ( 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 系 喪 失 を<br />
含 む。)により 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 において、 格 納<br />
容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 の 水 位 が 確 保 さ<br />
れている 場 合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動 注 入 ポンプの<br />
起 動 操 作 等 を 計 8 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
3-2) 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
a. 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 、かつ、 原 子 炉 へ 注 水 するために<br />
必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 高 圧 注<br />
入 ポンプ 又 は 余 熱 除 去 ポンプによる 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、 中 央 制 御 室 での 操 作 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 高 圧 注 入 ポンプ 又 は 余 熱 除 去 ポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 への 注<br />
水 が 確 認 できない 場 合 において、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料<br />
取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 充 てんポンプによ<br />
る 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御 室 での 通 常 の 運<br />
転 操 作 を1 名 により 実 施 する。<br />
c. 充 てんポンプの 故 障 等 により 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合<br />
において、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位<br />
が 確 保 されている 場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS<br />
タイライン 使 用 )による 代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 で<br />
320
は、 系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使<br />
用 )の 起 動 操 作 等 を 計 3 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
d. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の 故 障 等<br />
により 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 において、 原 子 炉 へ 注 水 す<br />
るために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 の 水 位 が 確 保 され、 代 替 格 納 容<br />
器 スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、 常 設 電 動 注 入 ポンプによる<br />
代 替 炉 心 注 入 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 常 設 電 動<br />
注 入 ポンプの 起 動 及 び 原 子 炉 への 注 水 を 計 6 名 により 約 1 時 間 15 分<br />
で 実 施 する。<br />
e. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 喪 失 時 において、 原 子<br />
炉 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タンクの 水 位 が 確 保 されて<br />
いる 場 合 には、B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )による 代 替 炉 心 注 入 の 手<br />
順 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )<br />
の 起 動 等 を 計 5 名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を、 原 子 炉 格<br />
納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却 のための 手 順 として3-1)a.、b.<br />
の 順 に、また、 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 の<br />
ための 手 順 として、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 な 場 合 は<br />
3-2)a.、b.、c.、d.の 順 に、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 は3-2)e.、d.、c.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、<br />
b) 代 替 格 納 容 器 スプレイ、 代 替 炉 心 注 入 等 について 現 場 での 手 動 操 作 等 の<br />
手 順 等 について 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うと<br />
していること、c) 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことを 確 認<br />
していること、d)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 して<br />
いること、e) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなど<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から d.に 掲 げる 設<br />
備 を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手<br />
順 等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 上 記 3-2)の 手 順 等 が 第 51 条 等 要 求 事 項 ロ)<br />
に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a. 及 び b.の 対 策 が 第 51 条 等 要 求 事 項 イ)<br />
に、1c. 及 び d.の 対 策 が 第 51 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、<br />
321
1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 51 条 等 要 求 事 項 ニ)、ホ)に 適<br />
合 する 設 計 方 針 であること、1a.から d.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びそ<br />
の 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 51<br />
条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉<br />
心 を 冷 却 するために、 常 設 電 動 注 入 ポンプを 用 いた 代 替 格 納 容 器 スプレイによ<br />
る 格 納 容 器 下 部 への 注 水 を 必 要 な 対 策 としている。この 対 策 は、(1)1b.と<br />
同 じであるため 必 要 な 重 大 事 故 等 対 処 設 備 も 同 じである。また、これらに 関 す<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 原 子 炉 格<br />
納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するため 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として<br />
位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 な 場 合<br />
又 は 喪 失 した 場 合 において、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機<br />
能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機 能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整<br />
備 するとしている。<br />
(1) 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 時 に 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 にお<br />
いて、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 回 復 する 設<br />
備 ( 表 Ⅳ-4.8-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとして<br />
いる。<br />
a. 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 、かつ、 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故<br />
障 等 により、 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 格 納 容<br />
322
器 へ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合<br />
には、 電 動 消 火 ポンプ 又 はディーゼル 消 火 ポンプによる 代 替 格 納 容 器<br />
スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の<br />
起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 する。<br />
b. 常 設 電 動 注 入 ポンプによる 格 納 容 器 へのスプレイが 確 認 できない<br />
場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容 器 スプレ<br />
イの 準 備 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、<br />
接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を 計 16 名 により 約<br />
5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
2 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
申 請 者 は、 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 健 全 である 場 合 にお<br />
いて、 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 するための<br />
機 能 を 回 復 する 設 備 ( 表 Ⅳ-4.8-2 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できな<br />
い 場 合 であって、 原 子 炉 へ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が<br />
確 保 され、 代 替 格 納 容 器 スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、 電 動<br />
消 火 ポンプ 又 はディーゼル 消 火 ポンプによる 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 す<br />
る。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 電 動 消 火 ポンプ 等 の 起 動 等 を 計 2 名 に<br />
より 約 25 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )の 故 障 等<br />
により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 代 替 格 納 容 器<br />
スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ<br />
による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 可 搬 型 ディーゼル 注<br />
入 ポンプ 及 び 可 搬 型 ホースの 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入<br />
ポンプの 起 動 並 びに 原 子 炉 への 注 水 を 計 16 名 により 約 5 時 間 20 分 で<br />
実 施 する。<br />
(2) 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 時 に 原 子 炉 格 納 容<br />
器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 に 落 下 した 溶 融 炉 心 の 冷 却<br />
申 請 者 は、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 にお<br />
いて、 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 の 溶 融 炉 心 を 冷 却 するための 機 能 を 回 復 する 設<br />
備 ( 表 Ⅳ-4.8-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとして<br />
323
いる。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 格 納 容 器 への 注 水 が 確 認 でき<br />
ない 場 合 であって、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ<br />
( 自 己 冷 却 )による 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、<br />
系 統 構 成 、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 起 動 等 を 計 5 名<br />
により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )の 故 障 等 により、 格 納 容 器<br />
への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必<br />
要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、ディーゼル 消 火 ポ<br />
ンプによる 代 替 格 納 容 器 スプレイに 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構<br />
成 、ディーゼル 消 火 ポンプの 起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 す<br />
る。<br />
c. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 格 納 容 器 へのスプレイが 確 認<br />
できない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 による 代 替 格 納 容<br />
器 スプレイの 準 備 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース<br />
等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 等 を 計 16<br />
名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
2 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止<br />
申 請 者 は、 全 交 流 動 力 電 源 又 は 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 にお<br />
いて、 溶 融 炉 心 の 原 子 炉 格 納 容 器 下 部 への 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 するための<br />
機 能 を 回 復 する 設 備 ( 表 Ⅳ-4.8-2 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 常 設 電 動 注 入 ポンプの 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できな<br />
い 場 合 であって、 格 納 容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
クの 水 位 が 確 保 され、 代 替 格 納 容 器 スプレイに 使 用 されていない 場 合<br />
には、B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン<br />
使 用 )による 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、B<br />
格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 式 )( RHRS-CSS タイライン 使 用 )<br />
の 起 動 等 を 計 5 名 により 約 50 分 で 実 施 する。<br />
b. B 格 納 容 器 スプレイポンプ( 自 己 冷 却 )(RHRS-CSS タイライン 使 用 )<br />
の 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確 認 できない 場 合 であって、 格 納<br />
容 器 へ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 され、 代 替 格 納<br />
容 器 スプレイに 使 用 されていない 場 合 には、ディーゼル 消 火 ポンプに<br />
324
よる 代 替 炉 心 注 入 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、ディーゼル<br />
消 火 ポンプの 起 動 等 を 計 2 名 により 約 25 分 で 実 施 する。<br />
c. B 充 てんポンプ( 自 己 冷 却 )の 故 障 等 により、 原 子 炉 への 注 水 が 確<br />
認 できない 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注<br />
入 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ 及 び 可 搬 型 ホースの 運 搬 、 接 続<br />
作 業 、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプの 起 動 並 びに 原 子 炉 への 注 水 を 計<br />
16 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.8-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
( 落 下 溶 融 炉 心 の 冷 却 )<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポンプ、デ 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される<br />
ィーゼル 消 火 ポンプ 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 格 納 容 器 スプレイの 代 替 手<br />
等<br />
段 となり 得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
入 ポンプ 等 期 待 できないものの、 水 源 を 特 定 せず 格 納 容 器 スプレイの<br />
代 替 手 段 となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
ポンプ)( 自 己 冷 却 ) 期 待 できないものの、 流 量 が 大 きく 下 部 キャビティへの 注<br />
等<br />
水 が 見 込 める 手 段 となり 得 る。<br />
表 Ⅳ-4.8-2 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
( 溶 融 炉 心 の 落 下 の 遅 延 又 は 防 止 )<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
電 動 消 火 ポンプ、ディ 消 火 を 目 的 としており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される<br />
ーゼル 消 火 ポンプ 等 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 炉 心 注 入 の 代 替 手 段 となり<br />
得 る。<br />
可 搬 型 ディーゼル 注 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
入 ポンプ 等<br />
期 待 できないものの、 水 源 を 特 定 せず 炉 心 注 入 の 代 替 手 段<br />
となり 得 る。<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 系 統 構 成 に 時 間 を 要 するため、 重 大 事 故 等 発 生 後 初 期 には<br />
ポ ン プ ( 自 己 冷 却 ) 期 待 できないものの、 流 量 が 大 きく 炉 心 注 入 として 有 効 な<br />
(RHRS-CSS タイライ 手 段 となり 得 る。<br />
325
ン 使 用 ) 等<br />
Ⅳ-4.9 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 設 備<br />
及 び 手 順 等 ( 第 52 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.9 項 関 係 )<br />
本 節 では、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 申 請 者 が 計 画<br />
する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 52 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.9 項 ( 以<br />
下 「 第 52 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が<br />
自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確<br />
認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 52 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
における 水 素 による 爆 発 ( 以 下 「 水 素 爆 発 」という。)による 破 損 を 防 止 する<br />
必 要 がある 場 合 には、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために<br />
必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 52 条 等 における「 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため<br />
に 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ)PWR のうち 必 要 な 場 合 には、 水 素 濃 度 制 御 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 水 素 ガスを 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 排 出 する 場 合 には、 排 出 経 路 での 水 素 爆<br />
発 を 防 止 する 設 備 、 放 射 性 物 質 を 低 減 する 設 備 、 水 素 及 び 放 射 性 物 質 濃 度<br />
を 測 定 する 設 備 及 びそれらの 手 順 等 。<br />
ハ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 時 に 水 素 濃 度 が 変 動 する 可 能 性 のある 範 囲 で 測 定 でき<br />
る 水 素 濃 度 監 視 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)、ロ) 及 びハ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以<br />
上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ニ) 上 記 イ)からハ)の 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 を 必 要 とする 場 合 は 代 替<br />
電 源 設 備 からの 給 電 を 可 能 とすること。<br />
ホ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 後 、 水 -ジルコニウム 反 応 及 び 水 の 放 射 線 分 解 による<br />
水 素 及 び 酸 素 の 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 する 手 順 等<br />
を 整 備 すること。<br />
申 請 者 は、 第 52 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
326
1 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 するための PAR 等 及 び 手 順 等 。<br />
2 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 するためのイグナイタ 等 及 び 手 順<br />
等 。<br />
3 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 監 視 するための 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃<br />
度 計 測 装 置 等 及 び 手 順 等 (※ 47 )。<br />
4 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 ) 及 び 手 順 等 (※<br />
48 )。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容<br />
器 の 破 損 を 防 止 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備<br />
する 方 針 としている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 低 減 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 監 視 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するために 申 請<br />
者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 52 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 52 条 等 に 適 合 するものと 判<br />
断 した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、<br />
(2) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をよ<br />
り 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 52 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 52 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 低 減 。そのために、PAR( 電 源 を 必<br />
要 としない) 及 び PAR 動 作 監 視 装 置 を 新 たに 整 備 する。(5 基 )<br />
(※ 47 ) 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪 失 した 場 合 にサンプルガスの 海 水 冷 却 に 用 いる 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 に 関 する<br />
手 順 等 については、「Ⅳ-4.5 最 終 ヒートシンクへ 熱 を 輸 送 するための 設 備 及 び 手 順 等 」 及 び「Ⅳ-4.<br />
6 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」において 整 理 。<br />
(※ 48 ) 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」において 整 理 。<br />
327
. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 低 減 。そのために、イグナイタ 及 び<br />
イグナイタ 動 作 監 視 装 置 を 新 たに 整 備 する。(13 個 及 び 予 備 1 個 )<br />
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 監 視 。そのために、 可 搬 型 格 納 容 器<br />
水 素 濃 度 計 測 装 置 、 可 搬 型 ガスサンプリング 冷 却 器 用 冷 却 ポンプ、 可<br />
搬 型 代 替 ガスサンプリング 圧 縮 装 置 等 を 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 52 条 等 要 求 事 項 イ)に、c.<br />
の 対 策 が 同 ハ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
なお、 水 素 ガスを 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 排 出 する 方 針 ではないため、 第 5<br />
2 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 する 対 策 はない。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 水 素 濃 度 制 御 及 び 水 素 濃 度 監 視 のための 設 備 は、 他 の 設 備 に 悪 影 響<br />
を 及 ぼさない 設 計 とする。<br />
b. 水 素 濃 度 制 御 のための 設 備 は、 適 切 な 位 置 に 配 置 され、 水 素 濃 度 を<br />
低 減 できる 設 計 とする。<br />
c. 水 素 濃 度 制 御 及 び 水 素 濃 度 監 視 のための 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源<br />
が 必 要 な 場 合 は 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)PAR 及 びイグナイタは、 作 動<br />
時 の 水 素 燃 焼 による 温 度 上 昇 が 重 大 事 故 等 対 処 に 必 要 となる 他 の 設 備 に<br />
悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とすること、それぞれの 温 度 監 視 装 置 は 水 素 処 理<br />
能 力 へ 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とすること、 水 素 濃 度 を 計 測 するための 格<br />
納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 は 通 常 時 には 接 続 先 の 系 統 から 分 離 され 重 大<br />
事 故 等 発 生 時 には 系 統 構 成 可 能 とすること 並 びに 設 置 場 所 にて 固 定 する<br />
ことで 他 の 設 備 に 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とすること、b)PAR は、 水 素 の<br />
効 率 的 な 低 減 を 考 慮 して 原 子 炉 格 納 容 器 内 に 分 散 させた 配 置 とし、 水 素 再<br />
結 合 反 応 開 始 の 不 確 かさを 考 慮 しても 水 素 濃 度 を 低 減 できる 設 計 とする<br />
こと、イグナイタは、 水 素 を 計 画 的 に 燃 焼 させ、 水 素 濃 度 ピークを 抑 制 す<br />
るため、 水 素 放 出 の 想 定 箇 所 に 加 えその 隣 接 区 画 、 水 素 の 主 要 な 通 過 経 路<br />
及 び 上 部 ドーム 部 に 配 置 する 設 計 とすること、c)PAR 動 作 監 視 装 置 、イグ<br />
ナイタ、イグナイタ 動 作 監 視 装 置 、 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 は<br />
代 替 電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とす<br />
ることを 確 認 した。<br />
328
上 記 a.、b. 等 の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な<br />
要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 し<br />
た。<br />
また、 上 記 c.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 従 って 整 備 す<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 52 条 等 要 求 事 項 ニ)を 満 たす 設 計 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. PAR は、 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 上 昇 に 伴 って 触 媒 反 応 を 開 始 するた<br />
め、 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 による 準 備 や 起 動 操 作 は 不 要 である。 炉 心 出<br />
口 温 度 等 により 炉 心 損 傷 発 生 と 判 断 した 場 合 には、 作 動 状 況 確 認 の 手<br />
順 に 着 手 する。 電 源 が 喪 失 している 場 合 には、 代 替 電 源 設 備 からの 給<br />
電 (※ 49 )を 確 認 した 後 に 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御 室<br />
において 1 名 により 行 う。<br />
b. 炉 心 出 口 温 度 計 の 指 示 値 が 350℃に 到 達 又 は 安 全 注 入 作 動 を 伴 う 1<br />
次 冷 却 材 喪 失 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、イグナイタによ<br />
る 水 素 濃 度 低 減 の 手 順 に 着 手 する。 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した 場 合 に<br />
は、 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 後 に 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、イ<br />
グナイタの 起 動 及 び 作 動 状 況 の 確 認 を 中 央 制 御 室 において 1 名 によ<br />
り 行 う。<br />
c. 炉 心 出 口 温 度 計 の 指 示 値 が 350℃に 到 達 又 は 安 全 注 入 作 動 を 伴 う 1<br />
次 冷 却 材 喪 失 時 に 高 圧 注 入 機 能 が 喪 失 した 場 合 には、 可 搬 型 格 納 容 器<br />
水 素 濃 度 計 測 装 置 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 の 監 視 の 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、 計 測 装 置 の 接 続 、 系 統 構 成 等 を 計 5 名 によ<br />
り 約 35 分 で 実 施 する。 全 交 流 動 力 電 源 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 機 能 が 喪<br />
失 した 場 合 についても、 計 9 名 により 約 35 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 水 素 濃 度 低 減 の 手 順 等 を 明 確<br />
化 していること、b) 水 素 濃 度 測 定 の 手 順 等 について、 機 器 の 運 搬 、 接 続 作<br />
業 等 を 定 め、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うこと、c)<br />
ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、d) 事 故<br />
(※ 49 )「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」より、 代 替 電 源 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等<br />
からの 給 電 の 準 備 に 要 する 時 間 は 約 15 分 である。さらに、 有 効 性 評 価 では 事 象 発 生 時 の 状 況 判 断 のための 10<br />
分 間 を 考 慮 し、 代 替 電 源 からの 給 電 開 始 を 事 象 発 生 の 約 25 分 後 としている。<br />
329
環 境 下 でも 使 用 可 能 な 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 連 絡 手 段 を 確 保 していること、<br />
e) 操 作 エリアにおいて 通 常 運 転 状 態 と 同 等 の 室 温 が 確 保 されることなど<br />
を 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 上 記 c.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を<br />
用 いた 手 順 等 について、 第 52 条 等 要 求 事 項 ホ)を 満 たす 手 順 等 を 整 備 す<br />
る 方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 が、<br />
第 52 条 等 要 求 事 項 イ)、ハ)、ニ) 及 びホ)に 対 応 するものであること、また、<br />
第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 52 条 等 に 適 合<br />
するものと 判 断 した。<br />
なお、 水 素 ガスを 原 子 炉 格 納 容 器 外 に 排 出 する 方 針 ではないため、 第 52 条<br />
等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 する 対 策 はない。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 評 価 項 目 (f)「 原 子 炉 格 納 容<br />
器 が 破 損 する 可 能 性 のある 水 素 の 爆 轟 を 防 止 すること」を 満 足 するために 必 要<br />
な 対 策 を、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 の 低 減 、 水 素 濃 度 の 監 視 、 及 びそれら<br />
の 設 備 の 代 替 給 電 としている。これらの 対 策 は(1)1と 同 じであるため、 必<br />
要 な 重 大 事 故 等 対 処 設 備 も 同 じである。また、これらに 関 する 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 水 素 燃<br />
焼 による 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手<br />
順 等 として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する<br />
方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 にするため、<br />
更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 監 視 手 段 の 多 様 性 を 拡<br />
げるための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとした。<br />
330
(1) 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 を 監 視 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 を 監 視 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.9<br />
-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 炉 心 損 傷 が 発 生 し 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 による 監 視 ができ<br />
ない 場 合 であって、 現 場 の 放 射 線 量 が 低 下 し、 現 場 操 作 が 可 能 となった 場<br />
合 には、ガス 分 析 計 による 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 の 監 視 に 着 手 する。<br />
この 手 順 は、 原 子 炉 格 納 容 器 雰 囲 気 ガスを 試 料 採 取 管 に 採 取 し、 化 学 室 に<br />
おける 手 分 析 で 間 欠 的 に 水 素 濃 度 を 計 測 するものであり、 現 場 対 応 の 計 3<br />
名 により 約 1 時 間 20 分 で 実 施 する。 制 御 用 空 気 及 び 原 子 炉 補 機 冷 却 水 の<br />
供 給 機 能 が 喪 失 している 場 合 についても、 計 3 名 により 約 1 時 間 20 分 で<br />
実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.9-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
ガス 分 析 計 事 故 初 期 の 放 射 線 量 が 高 い 環 境 下 での 使 用 が 困 難 であり、ま<br />
た、 中 央 制 御 室 からの 監 視 に 対 応 していないものの、 事 象 が 長<br />
期 的 に 安 定 した 場 合 に 可 搬 型 格 納 容 器 水 素 濃 度 計 測 装 置 の 代<br />
替 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.10 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するための 設 備<br />
及 び 手 順 等 ( 第 53 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.10 項 関 係 )<br />
本 節 では、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 申 請 者 が 計 画 す<br />
る 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 53 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.10 項 ( 以<br />
下 「 第 53 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対<br />
処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 53 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 において 原 子 炉 建 屋 その 他<br />
の 原 子 炉 格 納 容 器 から 漏 えいする 気 体 状 の 放 射 性 物 質 を 格 納 するための 施 設<br />
( 以 下 「 原 子 炉 建 屋 等 」という。)の 水 素 爆 発 による 損 傷 を 防 止 する 必 要 があ<br />
331
る 場 合 には、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 53 条 等 における「 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために<br />
必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等<br />
以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 水 素 濃 度 制 御 設 備 ( 制 御 により 原 子 炉 建 屋 等 で 水 素 爆 発 のおそれがない<br />
ことを 示 すこと。) 又 は 水 素 排 出 設 備 ( 動 的 機 器 等 に 水 素 爆 発 を 防 止 する<br />
機 能 を 付 けること。 放 射 性 物 質 低 減 機 能 を 付 けること。)。その 設 備 により、<br />
水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 手 順 等 。<br />
ロ) 想 定 される 事 故 時 に 水 素 濃 度 が 変 動 する 可 能 性 のある 範 囲 で 推 定 できる<br />
監 視 設 備 。<br />
また、 上 記 イ) 及 びロ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効<br />
果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 上 記 イ) 及 びロ)の 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 を 必 要 とする 場 合 は 代 替<br />
電 源 設 備 からの 給 電 を 可 能 とすること。<br />
申 請 者 は、 第 53 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 水 素 排 出 及 び 放 射 性 物 質 低 減 のためのアニュラス 空 気 浄 化 ファン、アニ<br />
ュラス 空 気 浄 化 フィルタユニット 等 及 び 手 順 等 。<br />
2 水 素 濃 度 を 測 定 し 監 視 するためのアニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 及 び<br />
手 順 等 。<br />
3 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 ) 及 び 手 順 等 (※<br />
50<br />
)。<br />
(2) 規 制 委 員 会 は、 水 素 爆 発 による 原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 するために 申 請 者<br />
が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 53 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 53 条 等 に 適 合 するものと 判<br />
断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)<br />
以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実<br />
に 実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
(※ 50 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
332
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 53 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 53 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. アニュラス 空 気 浄 化 設 備 を 用 いたアニュラスからの 水 素 排 出 (アニ<br />
ュラス 内 に 水 素 が 滞 留 しない 設 計 とすることにより 水 素 爆 発 を 防 止<br />
すること 及 びフィルタを 介 して 水 素 を 含 む 空 気 を 排 出 する 設 計 とす<br />
ることにより 放 射 性 物 質 を 低 減 することを 含 む)。そのために、アニ<br />
ュラス 空 気 浄 化 ファン、アニュラス 空 気 浄 化 フィルタユニット 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 窒 素 ボンベ(アニュラ<br />
ス 空 気 浄 化 ファン 弁 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 格 納 容 器 の 水 素 濃 度 監 視 設 備 を 用 いたアニュラス 水 素 濃 度 測 定 及<br />
び 監 視 。そのために、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 、 大 容 量 空 冷 式 発<br />
電 機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 53 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 53 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. アニュラス 空 気 浄 化 ファン 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 としての 機<br />
能 を 使 用 することによりアニュラス 内 の 水 素 を 屋 外 に 排 出 すること<br />
ができるため、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 としての 仕 様 と 同 じとするが、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 内 の 水 素 濃 度 低 減 機 能 等 と 相 まって、 水 素 爆 発 による<br />
原 子 炉 建 屋 等 の 損 傷 を 防 止 できる 排 出 容 量 を 確 保 する。<br />
b. アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 は、アニュラス 内 の 水 素 濃 度 の 測 定 が<br />
できる 計 測 範 囲 とする。<br />
c. アニュラス 空 気 浄 化 ファン、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 等 は、 交<br />
流 又 は 直 流 電 源 が 必 要 な 場 合 は 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 に 対 応 した<br />
設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a)アニュラス 空 気 浄 化 ファン 等<br />
は、 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 用 いている 格 納 容 器 漏 えい 率<br />
333
(0.16%/ 日 ) 等 を 条 件 として 評 価 した 結 果 により、アニュラス 内 水 素 濃 度<br />
を 可 燃 限 界 未 満 とすることができる 排 出 容 量 を 確 保 していること、b)アニ<br />
ュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 は、 計 測 誤 差 を 考 慮 した 上 で、0~20vol%を 計 測<br />
範 囲 としていることにより、 適 切 な 計 測 範 囲 を 確 保 していること、c)アニ<br />
ュラス 空 気 浄 化 ファン、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 は 代 替 電 源 設 備 であ<br />
る 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 c.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 従 って 整 備 す<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 53 条 等 要 求 事 項 ハ)を 満 たす 設 計 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いる 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 作 動 信 号 が 発 信 した 場 合 には、 交 流 動 力 電 源 及<br />
び 直 流 電 源 が 健 全 な 場 合 のアニュラス 空 気 浄 化 ファン 等 による 水 素<br />
排 出 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、アニュラス 排 気 空 気 浄 化 ファ<br />
ン 自 動 起 動 の 中 央 制 御 室 での 確 認 等 を 1 名 により 実 施 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 又 は 直 流 電 源 の 喪 失 と 判 断 した 場 合 には、 全 交 流 動<br />
力 電 源 又 は 直 流 電 源 が 喪 失 した 場 合 のBアニュラス 空 気 浄 化 ファン<br />
等 による 水 素 排 出 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 現 場 での 代 替 空<br />
気 ( 窒 素 ) 供 給 ホースの 接 続 作 業 、 水 素 排 出 のための 系 統 構 成 、Bア<br />
ニュラス 空 気 浄 化 ファンの 起 動 等 を 計 2 名 により 約 50 分 で 実 施 する。<br />
c. 炉 心 出 口 温 度 等 により 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 したと 判 断 した 場<br />
合 には、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 による 水 素 濃 度 測 定 の 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御 室 において 1 名 により 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 必 要 な 手 順 を 明 確 化 している<br />
こと、b) 空 気 供 給 操 作 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がな<br />
いことを 確 認 していること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス<br />
性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 して<br />
いることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
334
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 53 条 等 要 求 事 項 イ)からハ)に<br />
対 応 するものであること、1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等<br />
が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 53 条 等 に 適 合<br />
するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 自 主 的 な 対 策 として、アニュラス 内 の 水 素 濃 度 を 推<br />
定 し 監 視 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとした。<br />
(1) 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 測 定 値 によるアニュラス 水 素 濃 度 推 定 のた<br />
めの 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、アニュラス 内 の 水 素 濃 度 推 定 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.10-1<br />
参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、アニュラス 水 素 濃 度 計 測 装 置 の 故 障 等 に<br />
より 水 素 濃 度 監 視 ができない 場 合 には、 原 子 炉 格 納 容 器 内 水 素 濃 度 測 定 値 によ<br />
るアニュラス 水 素 濃 度 推 定 に 着 手 するとしている。この 手 順 では、 中 央 制 御 室<br />
での 推 定 を 1 名 により 実 施 するとしている。<br />
以 上 により、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事<br />
故 等 への 対 処 がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.10-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
可 搬 型 格 納 容 器 排 気 筒 高 レンジガスモニタには 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 さ<br />
水 素 濃 度 計 測 装 れる 耐 震 性 が 十 分 ではないものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 は、<br />
置 、 格 納 容 器 内 アニュラス 部 の 水 素 濃 度 を 推 定 する 設 備 となり 得 る。<br />
高 レンジエリア<br />
モニタ( 高 レン<br />
ジ)、 排 気 筒 高 レ<br />
ンジガスモニタ<br />
等<br />
335
Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 ( 第 5<br />
4 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.11 項 関 係 )<br />
本 節 では、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
が、1 第 54 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.11 項 ( 以 下 「 第 54 条 等 」<br />
という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2<br />
有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、<br />
適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により<br />
重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 54 条 等 の 第 1 項 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 機 能 又 は 注 水 機 能 が 喪 失 ( 以<br />
下 「 想 定 事 故 1」という。)し、 又 は 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 からの 水 の 漏 えいその<br />
他 の 要 因 ( 以 下 「 想 定 事 故 2」という。)により 当 該 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位<br />
が 低 下 した 場 合 において 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 を 冷 却 し、 放 射 線 を 遮 蔽 し、 及 び 臨<br />
界 を 防 止 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。ま<br />
た、 第 54 条 等 の 第 2 項 は、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 からの 大 量 の 水 の 漏 えいその 他<br />
の 要 因 により 当 該 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 が 異 常 に 低 下 した 場 合 において 貯<br />
蔵 槽 内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 の 進 行 を 緩 和 し、 及 び 臨 界 を 防 止 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。<br />
第 54 条 等 における「 想 定 事 故 1」 又 は「 想 定 事 故 2」に 対 する「 貯 蔵 槽 内<br />
燃 料 体 等 を 冷 却 し、 放 射 線 を 遮 蔽 し、 及 び 臨 界 を 防 止 するために 必 要 な 設 備 及<br />
び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を<br />
有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 可 搬 型 代 替 注 水 設 備 ( 注 水 ライン、ポンプ 等 ) 及 びその 手 順 等 。<br />
大 量 の 水 の 漏 えいその 他 の 要 因 による 水 位 の 異 常 な 低 下 に 対 する「 貯 蔵 槽 内<br />
燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 の 進 行 を 緩 和 し、 及 び 臨 界 を 防 止 するために 必 要 な 設 備<br />
及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果<br />
を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
ロ) 可 搬 型 スプレイ 設 備 (スプレイヘッダ、スプレイライン、ポンプ 等 ) 及<br />
びその 手 順 等 。<br />
ハ) 燃 料 損 傷 時 に、できる 限 り 環 境 への 放 射 性 物 質 の 放 出 を 低 減 するための<br />
設 備 及 びその 手 順 等 。<br />
さらに、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 監 視 のための 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する<br />
としている。<br />
336
ニ) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 、 水 温 及 び 上 部 の 空 間 線 量 率 を 計 測 するための<br />
設 備 及 びその 手 順 等 。<br />
ホ) 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 状 態 をカメラにより 監 視 するための 設 備 及 びその 手<br />
順 等 。<br />
また、 上 記 イ)、ロ) 及 びニ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以<br />
上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ヘ) 上 記 イ)の 代 替 注 水 設 備 は、 設 計 基 準 対 象 施 設 の 冷 却 設 備 及 び 注 水 設 備<br />
が 機 能 喪 失 し、 又 は 小 規 模 な 漏 えいがあった 場 合 でも、 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽<br />
の 水 位 を 維 持 できるものであること。<br />
ト) 上 記 ロ)のスプレイ 設 備 は、 代 替 注 水 設 備 によって 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の<br />
水 位 が 維 持 できない 場 合 でも、 燃 料 損 傷 を 緩 和 できるものであること。<br />
チ) 上 記 ニ)の 計 測 設 備 は、 燃 料 貯 蔵 設 備 に 係 る 重 大 事 故 等 により 変 動 する<br />
可 能 性 のある 範 囲 にわたり 測 定 可 能 であること。<br />
リ) 上 記 ニ)の 計 測 設 備 は、 交 流 又 は 直 流 電 源 が 必 要 な 場 合 は 代 替 電 源 設 備<br />
からの 給 電 を 可 能 とすること。<br />
申 請 者 は、 第 54 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 のための 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中<br />
ポンプ 等 及 び 手 順 等 。<br />
2 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイのための 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ<br />
及 び 使 用 済 燃 料 ピットスプレイヘッダ 等 並 びに 手 順 等 。<br />
3 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 のための 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 等 並 び<br />
に 手 順 等 (※ 51 )。<br />
4 状 態 監 視 設 備 ( 使 用 済 燃 料 ピット 温 度 、 水 位 等 を 監 視 するための 計 測 設<br />
備 ) 及 び 手 順 等 。<br />
5 状 態 監 視 設 備 に 給 電 するための 代 替 電 源 設 備 ( 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 等 )<br />
及 び 手 順 等 (※ 52 )。<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、「 想 定 事 故 1」 及 び「 想 定 事<br />
故 2」における 燃 料 損 傷 を 防 止 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
て 以 下 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 使 用 済 燃 料 ピットを 監 視 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 上 記 設 備 のための 代 替 電 源 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(※ 51 ) 放 水 砲 等 を 用 いた 使 用 済 燃 料 ピットへの 放 水 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.12 発 電<br />
所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順 等 」において 整 理 。<br />
(※ 52 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
337
(3) 規 制 委 員 会 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 等 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 が、 第 54 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることから、 第 54 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有<br />
効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含<br />
み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 54 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 54 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 。そのために、 使 用 済 燃 料 ピット 補<br />
給 用 水 中 ポンプ 等 を 新 たに 整 備 する。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイ 注 水 及 び 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 砲 等<br />
による 放 水 。そのために、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ、 移 動 式 大 容<br />
量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 を 新 たに 整 備 する。<br />
c. 使 用 済 燃 料 ピットの 状 態 監 視 。そのために、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
計 (SA)(※ 53 )、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 計 ( 広 域 )(※ 53 )、 使 用 済 燃 料<br />
ピット 温 度 計 (SA)(※ 53 )、 使 用 済 燃 料 ピット 周 辺 線 量 率 計 、 使 用 済<br />
燃 料 ピット 状 態 監 視 カメラを 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 54 条 等 要 求 事 項 イ)に、b.の 対 策<br />
が 同 ロ) 及 びハ)に、c.の 対 策 が 同 ニ) 及 びホ)に 対 応 するものであるこ<br />
とを 確 認 した。<br />
なお、 申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットからの 大 量 の 水 の 漏 えいが 発 生 した<br />
場 合 の 未 臨 界 の 維 持 について、 詳 細 な 成 立 性 の 説 明 をしていなかった。こ<br />
(※ 53 ) 申 請 者 が 用 いている 水 位 計 及 び 温 度 計 の 名 称 は 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 (SA)、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 ( 広<br />
域 )、 使 用 済 燃 料 ピット 温 度 (SA)であるが、 本 節 では 計 測 器 であることがわかるように 水 位 計 、 温 度 計 と 記 載<br />
している。<br />
338
のため、 規 制 委 員 会 は、 未 臨 界 を 維 持 できる 根 拠 について、 詳 細 な 説 明 を<br />
求 めた。これに 対 し、 申 請 者 は、 燃 料 タイプ、 燃 料 の 燃 焼 度 及 び 濃 縮 度 に<br />
よる 貯 蔵 領 域 を 設 定 して 実 効 増 倍 率 を 定 量 的 に 評 価 し、 未 臨 界 を 維 持 でき<br />
ることを 示 した。これにより、 規 制 委 員 会 は、 未 臨 界 性 評 価 が 妥 当 である<br />
と 判 断 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 による 代 替 注 水 は、 設 計 基 準<br />
対 象 施 設 の 注 水 設 備 に 対 して 多 様 性 を 有 し、また、 位 置 的 分 散 を 図 る<br />
設 計 とする。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 設 備 及 び 状 態 監 視 設 備 は 他 の 設 備<br />
に 悪 影 響 を 及 ぼさない 設 計 とする。<br />
c. 代 替 注 水 設 備 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 設 備 又 は 注 水 設 備 が 機 能<br />
喪 失 し、 又 は 水 の 漏 えいその 他 の 要 因 により 水 位 が 低 下 した 場 合 にお<br />
いて、 使 用 済 燃 料 ピット 内 の 燃 料 体 等 を 冷 却 し、 放 射 線 を 遮 蔽 し、 及<br />
び 臨 界 を 防 止 することができる 設 計 とする。<br />
d. スプレイ 設 備 は、 使 用 済 燃 料 ピットからの 大 量 の 水 の 漏 えいが 発 生<br />
し、 可 搬 型 代 替 注 水 設 備 によっても 水 位 が 使 用 済 燃 料 ピット 下 限 水 位<br />
より 低 く、かつ、 水 位 の 低 下 が 継 続 する 場 合 に、 燃 料 損 傷 の 進 行 を 緩<br />
和 できる 設 計 とする。<br />
e. 状 態 監 視 設 備 は、 重 大 事 故 等 により 変 動 する 可 能 性 のある 範 囲 にわ<br />
たり 測 定 可 能 な 設 計 とする。<br />
f. 状 態 監 視 設 備 は、 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 代 替 注 水 に 使 用 する 使 用 済 燃<br />
料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプは、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 から 給 電 可 能 であり、<br />
淡 水 又 は 海 水 を 補 給 できる 中 間 受 槽 を 水 源 とすることで、 設 計 基 準 対 象 施<br />
設 の 注 水 設 備 である 燃 料 取 替 用 水 ポンプ 等 に 対 して 多 様 性 を 有 し、また、<br />
これらのポンプを 離 れた 位 置 に 分 散 して 保 管 することで 位 置 的 分 散 を 図<br />
る 設 計 とすること、b)ポンプ 類 、 発 電 機 類 、 水 位 計 、 温 度 計 、 線 量 率 計 等<br />
は 他 の 設 備 に 悪 影 響 を 及 ぼさないよう 通 常 運 転 時 には 系 統 から 分 離 可 能<br />
な 設 計 とすること、c) 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 が 必 要 な 水 位<br />
を 維 持 するために 必 要 な 容 量 を 有 すること、d) 燃 料 損 傷 を 緩 和 するため、<br />
スプレイ 設 備 は 使 用 済 燃 料 ピット 全 域 に 必 要 な 流 量 でスプレイできる 設<br />
339
計 とすること、e) 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 計 (SA)の 測 定 可 能 範 囲 を 使 用 済<br />
燃 料 ピット 水 位 計 ( 広 域 )で 補 うなどして、 重 大 事 故 等 により 変 動 する 可<br />
能 性 のある 範 囲 にわたり 状 態 監 視 が 可 能 な 設 計 とすること、f) 状 態 監 視 設<br />
備 は 代 替 電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計<br />
とすることを 確 認 した。<br />
上 記 a.、b. 等 の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な<br />
要 求 事 項 )を 満 たす 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 c.から f.の 確 認 から、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 従 って<br />
整 備 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 54 条 等 要 求 事 項 ヘ)からリ)<br />
を 満 たす 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 使 用 済 燃 料 ピットポンプが 全 台 停 止 した 場 合 、 使 用 済 燃 料 ピットの<br />
水 温 が 65℃を 超 える 場 合 、 又 は 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m<br />
未 満 まで 低 下 した 場 合 には、 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 に<br />
よる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 使<br />
用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 設 置 、 系<br />
統 構 成 等 を 計 12 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m 未 満 に 低 下 し、かつ、 水 位 低<br />
下 が 継 続 する 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ、 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットスプレイヘッダ 等 による 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイのため<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、<br />
接 続 作 業 、ポンプの 起 動 、 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイ 等 を 計 25<br />
名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 対 処 設 備 のうち、 常 設 設 備 である 使 用 済 燃 料 ピット 水 位<br />
計 (SA)、 使 用 済 燃 料 ピット 温 度 計 (SA) 及 び 使 用 済 燃 料 ピット 状 態<br />
監 視 カメラは 設 置 作 業 等 を 必 要 としないため、 通 常 時 から 継 続 的 に 状<br />
態 の 監 視 が 可 能 である。 使 用 済 燃 料 ピットポンプが 全 台 停 止 した 場 合 、<br />
使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 が 65℃を 超 える 場 合 、 又 は 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
ト 水 位 が EL.+10.75m 未 満 まで 低 下 した 場 合 には、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
水 位 計 ( 広 域 ) 及 び 使 用 済 燃 料 ピット 周 辺 線 量 率 計 等 を 用 いた 使 用 済<br />
燃 料 ピットの 状 態 監 視 のための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 可 搬<br />
型 設 備 の 運 搬 、 設 置 、 接 続 等 を 計 3 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。ま<br />
340
た、 交 流 又 は 直 流 電 源 が 喪 失 している 場 合 には、 代 替 電 源 設 備 からの<br />
給 電 後 に 手 順 に 着 手 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 着 手 条 件 を 明 確 化 して<br />
いること、b) 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ 等 による 代 替 注 水 の 手 順<br />
等 について、 可 搬 型 ホース 等 の 運 搬 、 接 続 作 業 、 注 水 等 を 定 め、 必 要 な 人<br />
員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うこと、c) 可 搬 型 設 備 保 管 エリア、<br />
運 搬 ルート、 設 置 エリア 周 辺 には 作 業 を 行 う 上 で 支 障 となる 設 備 がないこ<br />
と、d)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、<br />
e) 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 ) 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していることなどを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 を 満 たす 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認<br />
した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 が、<br />
第 54 条 等 要 求 事 項 イ)からリ)に 対 応 するものであること、また、 第 43 条<br />
等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることから、 第 54 条 等 に 適 合 するものと<br />
判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、「 想 定 事 故 1」 及 び「 想 定 事<br />
故 2」に 対 する 対 策 を、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 、 使 用 済 燃 料 ピットの 監 視 、<br />
及 びそれらの 設 備 への 代 替 給 電 としている。これらの 対 策 は(1)1a. 及 び<br />
c.と 同 じであるため、 必 要 な 重 大 事 故 等 対 処 設 備 も 同 じである。また、これら<br />
に 関 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 使 用 済<br />
燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 け<br />
た 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 にするため、<br />
更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
341
これに 対 して、 申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 、 状 態 監 視 及 び 漏 え<br />
い 緩 和 抑 制 のための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとした。<br />
(1) 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットへの 代 替 注 水 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.11-<br />
1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 使 用 済 燃 料 ピットポンプの 計 画 外 全 台 停 止 等 により 冷 却 機 能 が 喪 失 し<br />
た 場 合 、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 温 が 65℃を 超 える 場 合 、 又 は 使 用 済 燃 料<br />
ピット 水 位 が EL.+10.75m 未 満 まで 低 下 した 場 合 、かつ 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 等 の 水 位 が 確 保 されている 場 合 には、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 による 使 用<br />
済 燃 料 ピットへの 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構 成 、 注 水 操 作 を<br />
1 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
2 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 ができない 場<br />
合 、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 するために 必 要 な 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 さ<br />
れている 場 合 、かつ 重 大 事 故 等 対 処 に 悪 影 響 を 与 える 火 災 が 発 生 していな<br />
いことを 確 認 した 場 合 には、 原 水 タンクから 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル<br />
消 火 ポンプによる 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
系 統 構 成 、 消 火 ポンプ 等 の 起 動 、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 計 6 名 によ<br />
り 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
3 使 用 済 燃 料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 電 動 消 火 ポンプ 及 び、ディーゼル<br />
消 火 ポンプ、 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 がで<br />
きない 場 合 、かつ 重 大 事 故 等 対 処 に 悪 影 響 を 与 える 火 災 が 発 生 していない<br />
ことを 確 認 した 場 合 には、 原 水 タンク 又 は 防 火 水 槽 等 を 水 源 とした 消 防 自<br />
動 車 による 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に 着 手 する。この 手 順 では、 系 統 構<br />
成 、 消 防 自 動 車 等 の 起 動 、 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 を 計 10 名 により 約<br />
30 分 で 実 施 する。<br />
(2) 使 用 済 燃 料 ピットの 空 間 線 量 率 を 計 測 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 空 間 線 量 率 を 計 測 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.<br />
11-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 に 関 し、 使 用 済 燃 料 ピットエリアモニタ<br />
は 通 常 時 から 使 用 している 設 備 であり、 重 大 事 故 等 発 生 時 において 既 に 使 用 可<br />
能 な 状 態 にあるとしている。<br />
(3) 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 を 計 測 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
342
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットの 水 位 を 計 測 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.11<br />
-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 に 関 し、 常 設 及 び 可 搬 型 の 使 用 済 燃 料 ピット<br />
水 位 計 が 故 障 した 場 合 には、ロープ 式 水 位 計 により 水 位 を 測 定 するとしている。<br />
(4) 使 用 済 燃 料 ピットからの 水 の 漏 えいを 緩 和 抑 制 するための 設 備 及 び 手<br />
順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットからの 大 量 の 水 の 漏 えいを 緩 和 抑 制 するための<br />
設 備 ( 表 Ⅳ-4.11-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 に 関 し、 使 用 済 燃 料 ピッ<br />
ト 水 位 が EL.+9.46m( 使 用 済 燃 料 ピット 出 口 配 管 下 端 ) 以 下 となり、かつ 水<br />
位 低 下 が 継 続 する 場 合 には、 使 用 済 燃 料 ピットにおいて、ステンレス 鋼 板 、ガ<br />
スケット 材 、ロープ( 吊 り 降 ろし 用 ) 等 を 用 いた 水 の 漏 えい 緩 和 抑 制 に 着 手 す<br />
るとしている。この 手 順 では、 漏 えい 部 への 鋼 板 の 設 置 等 を 計 4 名 により 約 2<br />
時 間 で 実 施 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.11-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク 燃 料 取 替 用 水 タンク 等 は 、 事 故 時 に 炉 心 等 へ 注 水 する<br />
等<br />
必 要 がある 場 合 に 水 源 として 使 用 すること、 定 期 検 査 時<br />
において 燃 料 取 替 時 の 原 子 炉 キャビティへの 水 張 りに<br />
使 用 することから、 必 要 な 水 量 が 確 保 できない 場 合 があ<br />
るが、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 できる 場 合 には 有 効 であ<br />
る。<br />
燃 料 取 替 用 水 補 助 タ 燃 料 取 替 用 水 補 助 タンク 等 は、 共 用 設 備 であり 定 期 検 査<br />
ンク 等<br />
時 等 には 燃 料 検 査 ピット 等 への 水 張 りに 使 用 すること<br />
から、 必 要 な 水 量 が 確 保 できない 場 合 があり、また、 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 で<br />
はないものの、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 できる 場 合 には<br />
有 効 である。<br />
電 動 消 火 ポンプ、ディ 消 火 を 目 的 とする 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
ーゼル 消 火 ポンプ 等 として 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
への 注 水 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
2 次 系 補 給 水 ポンプ、2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分<br />
次 系 純 水 タンク ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 できる 場 合 に<br />
343
使 用 済 燃 料 ピットエ<br />
リアモニタ<br />
ロープ 式 水 位 計<br />
消 防 自 動 車 等<br />
は 有 効 である。<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分<br />
ではないものの、 重 大 事 故 等 の 発 生 直 後 から 空 間 線 量 率<br />
を 把 握 する 手 段 として 有 効 である。<br />
使 用 済 燃 料 ピットに 接 近 可 能 な 場 合 にしか 使 用 できな<br />
いものの、 水 位 を 把 握 する 手 段 として 有 効 である。<br />
消 火 を 目 的 とする 設 備 であるため、 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
として 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 使 用 済 燃 料 ピット<br />
への 注 水 の 代 替 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.12 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 ( 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.12 項 関 係 )<br />
本 節 では、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 又 は 貯 蔵 槽 内 燃 料 体 等 の<br />
著 しい 損 傷 に 至 った 場 合 において 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するため<br />
に 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 について、 第 55 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的<br />
能 力 基 準 1.12 項 ( 以 下 「 第 55 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 に<br />
より 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 55 条 等 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 又 は 貯 蔵 槽 内 燃<br />
料 体 等 の 著 しい 損 傷 に 至 った 場 合 において 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を<br />
抑 制 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 の 整 備 を 要 求 している。<br />
第 55 条 等 における「 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するために 必 要<br />
な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 原 子 炉 建 屋 に 放 水 できる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 海 洋 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
また、 上 記 イ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 す<br />
る 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ハ) 放 水 設 備 は、 原 子 炉 建 屋 周 辺 における 航 空 機 衝 突 による 航 空 機 燃 料 火 災<br />
に 対 応 できること。<br />
ニ) 放 水 設 備 は、 移 動 等 により、 複 数 の 方 向 から 原 子 炉 建 屋 に 向 けて 放 水 す<br />
ることが 可 能 なこと。<br />
ホ) 放 水 設 備 は、 複 数 の 原 子 炉 施 設 の 同 時 使 用 を 想 定 し、 発 電 所 内 原 子 炉 施<br />
344
設 基 数 の 半 数 以 上 を 配 備 すること。<br />
申 請 者 は、 第 55 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 原 子 炉 格 納 容 器 及 びアニュラス 部 ( 以 下 「 原 子 炉 格 納 容 器 等 」という。)<br />
又 は 原 子 炉 周 辺 建 屋 のうち 燃 料 取 扱 棟 ( 以 下 「 燃 料 取 扱 棟 」という。)へ<br />
放 水 するための 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 流 出 経 路 の 3 号 炉 及 び 4 号 炉 放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 等 に 放 射 性 物 質 吸<br />
着 剤 ( 以 下 「 吸 着 剤 」)という。)を 設 置 及 び 海 洋 への 流 出 箇 所 にシルトフ<br />
ェンスを 設 置 して、 汚 染 水 の 海 洋 への 拡 散 を 抑 制 するための 設 備 及 び 手 順<br />
等 。<br />
3 航 空 機 燃 料 火 災 に 対 して 泡 消 火 するための 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水<br />
砲 等 の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(2) 規 制 委 員 会 は、 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 又 は 貯 蔵 槽 内 燃<br />
料 体 等 の 著 しい 損 傷 に 至 った 場 合 において 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を<br />
抑 制 するために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 55 条 等 における 各 々<br />
の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 55 条<br />
等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 自 主 的 に(1) 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備<br />
することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを<br />
確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 55 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 55 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 放 水 設 備 を 用 いた 屋 外 から 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 への<br />
放 水 。そのために、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 を 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 による 海 洋 への 放 射 性<br />
物 質 の 拡 散 の 抑 制 。そのために、 吸 着 剤 、シルトフェンス 及 び 小 型 船<br />
舶 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
345
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 55 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 55 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 は、 海 を 水 源 とし、 車 両 等 により<br />
運 搬 、 移 動 でき、 複 数 の 方 向 から 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 に<br />
向 けて 放 水 できるとともに 原 子 炉 格 納 容 器 の 最 高 点 である 頂 部 に 放<br />
水 できる 容 量 を 有 する 設 計 とする。 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 は、3 号 炉<br />
及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、1 台 で 3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 両 方 に 同<br />
時 に 放 水 できる 容 量 を 有 するものを 3 号 炉 及 び 4 号 炉 で 1 台 、バック<br />
アップ 用 として 1 台 の 合 計 2 台 ( 3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )、 放 水 砲 は、<br />
3 号 炉 、 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、3 号 炉 、4 号 炉 それぞれで 1<br />
台 (3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 )を 保 管 する。<br />
b. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 による 原 子 炉 建 屋 周 辺 への 泡 消<br />
火 は、 泡 消 火 薬 剤 と 混 合 しながら 原 子 炉 建 屋 周 辺 に 向 けて 放 水 できる<br />
設 計 とする。また、 車 両 等 により 運 搬 、 移 動 でき、 複 数 の 方 向 から 原<br />
子 炉 建 屋 周 辺 に 向 けて 放 水 できる 設 計 とする。<br />
c. 海 洋 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するシルトフェンスは、 設 置 場 所<br />
に 応 じた 高 さ 及 び 幅 を 有 する 設 計 とする。 保 有 数 は、6 箇 所 の 設 置 場<br />
所 に 各 2 組 ( 設 置 場 所 で 異 なるが、 最 大 で 5 本 を 1 組 として、2 組 分<br />
では 最 大 10 本 とバックアップ 1 本 を 保 管 )とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水<br />
砲 等 は、 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するために 原 子 炉 格 納 容 器 の 頂 部 まで 放<br />
水 できること、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 は、 車 両 等 により 運 搬 、<br />
移 動 できるため、 原 子 炉 格 納 容 器 等 又 は 燃 料 取 扱 棟 等 に 対 して、 複 数 の 方<br />
向 から 放 水 できること、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 及 び 放 水 砲 の 保 有 数 は、3<br />
号 炉 及 び 4 号 炉 の 同 時 使 用 を 想 定 し、それぞれ、 原 子 炉 基 数 の 半 数 以 上 を<br />
保 管 すること、b) 航 空 機 衝 突 による 航 空 機 燃 料 火 災 に 対 しては、 移 動 式 大<br />
容 量 ポンプ 車 内 蔵 の 泡 薬 剤 ポンプにより、 泡 消 火 薬 剤 を 混 合 し、 放 水 砲 に<br />
よる 泡 消 火 ができる 仕 様 であることを 確 認 した。<br />
なお、 放 水 砲 による 放 水 後 の 放 射 性 物 質 の 海 洋 への 流 出 に 対 しては、 発<br />
電 所 から 海 洋 への 流 出 箇 所 の 3 号 炉 及 び 4 号 炉 取 水 ピット、3 号 炉 及 び 4<br />
346
号 炉 放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 放 水 箇 所 付 近 等 にシルトフェンスを 設 置 し、<br />
放 射 性 物 質 の 拡 散 の 抑 制 を 図 る 方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 について 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 55<br />
条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)、ホ)に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いる 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 炉 心 出 口 温 度 が 350℃ 以 上 かつ 格 納 容 器 内 高 レンジエリアモニタ<br />
( 高 レンジ)が 1×10 5 mSv/h 以 上 になり、 原 子 炉 格 納 容 器 へのスプレ<br />
イが 格 納 容 器 スプレイ 流 量 等 で 確 認 できない 場 合 には、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 等 への 放 水 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ<br />
車 を 取 水 箇 所 周 辺 に 配 置 し、 取 水 準 備 及 び 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 から<br />
放 水 砲 まで 可 搬 型 ホースを 布 設 後 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 起 動 し、<br />
放 水 砲 により 放 水 開 始 するまでの 作 業 を 計 13 名 により 約 4 時 間 で 実<br />
施 する。<br />
b. 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が EL.+10.75m 未 満 まで 低 下 し、かつ 水 位 低<br />
下 が 継 続 しており、さらに 燃 料 取 扱 棟 の 損 壊 又 は 使 用 済 燃 料 ピットエ<br />
リアモニタの 指 示 値 上 昇 により 燃 料 取 扱 棟 に 近 づけないと 判 断 され<br />
る 場 合 には、 燃 料 取 扱 棟 への 放 水 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
放 水 砲 の 放 水 先 が 原 子 炉 格 納 容 器 等 から 燃 料 取 扱 棟 に 変 わるだけで<br />
その 他 の 手 順 は 上 記 a.の 場 合 と 同 様 である。<br />
なお、 使 用 済 燃 料 ピットへのスプレイの 本 操 作 手 順 は、「Ⅳ-4.<br />
11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」において<br />
確 認 する。<br />
c. 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲 等 による 放 射 性 物 質 の 大 気 への 拡 散<br />
抑 制 を 行 うと 判 断 した 場 合 には、 併 せて 汚 染 水 の 海 洋 への 拡 散 抑 制 の<br />
手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 吸 着 剤 を 設 置 する 3 号 炉 及 び 4 号 炉<br />
放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 、3 号 炉 及 び 4 号 炉 取 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽<br />
については 計 12 名 により 約 3 時 間 で 実 施 後 、 放 水 する。その 後 、シ<br />
ルトフェンスを 3 号 炉 及 び 4 号 炉 放 水 口 側 雨 水 排 水 処 理 槽 放 水 箇 所 付<br />
347
近 等 の 設 置 場 所 へ 運 搬 し、 小 型 船 舶 等 を 使 って 展 張 する 作 業 (4 箇 所<br />
設 置 )を 計 30 名 により 約 22 時 間 で 実 施 する。<br />
また、1 号 炉 及 び 2 号 炉 側 については、 吸 着 剤 を 吐 口 水 槽 、 八 田 浦<br />
雨 水 枡 へ 計 15 名 により 約 2 時 間 で 設 置 する。その 後 、シルトフェン<br />
スを 吐 口 水 槽 及 び 八 田 浦 雨 水 枡 放 水 箇 所 付 近 の 設 置 場 所 へ 運 搬 し、 小<br />
型 船 舶 等 を 使 って 展 張 する 作 業 (42 箇 所 設 置 )を 計 30 名 により 約 14<br />
時 間 で 実 施 する。<br />
d. 航 空 機 燃 料 火 災 が 発 生 した 場 合 には、 原 子 炉 建 屋 周 辺 への 泡 消 火 を<br />
行 うための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を<br />
取 水 箇 所 周 辺 に 配 置 し、 取 水 準 備 及 び 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 から 放 水<br />
砲 まで 可 搬 型 ホースを 布 設 後 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 を 起 動 し、 放 水<br />
砲 による 泡 消 火 を 開 始 する。 以 上 の 作 業 を 計 13 名 により 約 4 時 間 で<br />
実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 、 放 水 砲<br />
等 により、 原 子 炉 格 納 容 器 等 へ 放 水 するための 手 順 等 について、 重 大 事 故<br />
等 時 に 原 子 炉 格 納 容 器 等 への 放 水 を 的 確 かつ 柔 軟 に 対 処 できるよう 人 員<br />
を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、ヘッドライト 等 に<br />
より 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 )<br />
等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 等 の 移 動 、<br />
接 続 等 を 行 う 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認<br />
した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 1a.の 対 策 が 第 55 条 等 要 求 事 項 イ)、 上<br />
記 1b.の 対 策 が 第 55 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1a.に 掲 げ<br />
る 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 55 条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)、ホ)に 適 合 する 設 計 方 針<br />
であること、1a. 及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43<br />
条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 55 条 等 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
348
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 航 空 機 衝 突 による 航 空 機 燃 料 火 災 等 時 に 泡 消 火 を 実<br />
施 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 航 空 機 燃 料 火 災 に 対 する 初 期 対 応 における 延 焼 を 防 止 するための 設 備<br />
及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 泡 消 火 を 実 施 することによって 初 期 対 応 における 延 焼 を 防 止 する<br />
ための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.12-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
1 航 空 機 燃 料 火 災 が 発 生 した 場 合 において、 放 水 砲 等 による 消 火 が 開 始 さ<br />
れる 前 の 初 動 対 応 の 場 合 には、 化 学 消 防 自 動 車 及 び 小 型 動 力 ポンプ 付 水 槽<br />
車 による 泡 消 火 に 着 手 する。この 手 順 では、 水 源 近 傍 に 小 型 動 力 ポンプ 付<br />
水 槽 車 を 設 置 し、 可 搬 型 ホースにより 水 源 と 小 型 動 力 ポンプ 付 水 槽 車 を 接<br />
続 し、さらに 消 火 活 動 場 所 に 配 置 された 化 学 消 防 自 動 車 と 可 搬 型 ホースで<br />
接 続 し、 化 学 消 防 自 動 車 等 による 泡 消 火 を 開 始 する。 以 上 の 作 業 を 計 8 名<br />
により 約 30 分 で 実 施 する。 水 源 として 他 の 防 火 水 槽 、 八 田 浦 貯 水 池 、 海<br />
等 を 用 いた 場 合 も 同 様 な 手 順 である。<br />
2 航 空 機 燃 料 火 災 が 発 生 した 場 合 には、 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 及 び<br />
小 型 放 水 砲 による 泡 消 火 に 着 手 する。この 手 順 では、 水 源 近 傍 に 可 搬 型 デ<br />
ィーゼル 注 入 ポンプを 設 置 し、 可 搬 型 ホースを 小 型 放 水 砲 と 接 続 し、 小 型<br />
放 水 砲 による 泡 消 火 を 開 始 する。 以 上 の 作 業 を 計 25 名 により 約 2 時 間 で<br />
実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.12-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
化 学 消 防 自 動 車 、 移 動 式 大 容 量 ポンプ 車 に 比 べ、 流 量 が 少 ないため、 重 大 事 故<br />
小 型 動 力 ポンプ 付 等 対 処 設 備 と 同 等 の 放 水 効 果 は 得 られにくいものの、アクセ<br />
水 槽 車 、<br />
ス 道 路 及 び 航 空 機 燃 料 飛 散 による 建 屋 への 延 焼 拡 大 を 防 止<br />
可 搬 型 ディーゼル するための 設 備 となり 得 る。<br />
注 入 ポンプ、 小 型<br />
放 水 砲 等<br />
349
Ⅳ-4.13 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 の 供 給 設 備 及 び 手 順 等 ( 第<br />
56 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.13 項 関 係 )<br />
本 節 では、 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するために 申 請 者 が 計 画 する<br />
設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 56 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.13 項 ( 以<br />
下 「 第 56 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であるか、2 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が<br />
自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確<br />
認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 56 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 の 収 束 に 必 要 な 水 源 とは 別 に、 重 大 事 故 等 の 収<br />
束 に 必 要 となる 十 分 な 量 の 水 を 有 する 水 源 を 確 保 することに 加 えて、 設 計 基 準<br />
事 故 対 処 設 備 及 び 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 対 して 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 とな<br />
る 十 分 な 量 の 水 を 供 給 するために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要<br />
求 している。<br />
第 56 条 等 における「 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 の 供 給 設 備 及 び 手 順<br />
等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する<br />
設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 想 定 される 重 大 事 故 等 の 収 束 までの 間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できる 設 備<br />
及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 複 数 の 代 替 淡 水 源 ( 貯 水 槽 、ダム 又 は 貯 水 池 等 )が 確 保 されていること。<br />
ハ) 海 を 水 源 として 利 用 できること。<br />
ニ) 原 子 炉 格 納 容 器 を 水 源 とする 再 循 環 設 備 は、 代 替 再 循 環 設 備 等 により、<br />
多 重 性 又 は 多 様 性 を 確 保 すること。<br />
また、 上 記 イ)、ロ)、ハ)については、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上<br />
の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととしている。<br />
ホ) 各 水 源 からの 移 送 ルートが 確 保 されていること。<br />
ヘ) 代 替 水 源 からの 移 送 ホース 及 びポンプを 準 備 しておくこと。<br />
ト) 水 の 供 給 が 中 断 することがないよう、 水 源 の 切 替 え 手 順 等 を 定 めること。<br />
申 請 者 は、 第 56 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等<br />
を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 代 替 水 源 から 中 間 受 槽 へ 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
350
2 蒸 気 発 生 器 2 次 側 へ 注 水 するための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 するた<br />
めの 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 炉 心 注 入 をするための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 。<br />
4 格 納 容 器 スプレイをするための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 格 納 容 器 再 循 環 サンプを 水 源 とする 代 替 再 循 環 運 転 をするための 設 備<br />
及 び 手 順 等 。<br />
6 使 用 済 燃 料 ピットへ 水 を 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 重 大 事 故 等 の 収 束 までの 間 、<br />
十 分 な 量 の 水 を 供 給 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方<br />
針 は(1)の 第 56 条 等 で 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方<br />
針 と 同 じであるとしている。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するために 申 請 者 が<br />
計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 56 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、か<br />
つ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 56 条 等 に 適 合 するものと 判 断<br />
した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 含 み、 第 56 条 等 と 同 じく 適 切 に 整 備 される 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順<br />
(1) 第 56 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 56 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 代 替 水 源 から 中 間 受 槽 への 供 給 。そのために、 中 間 受 槽 、 取 水 用 水<br />
中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク 及 びタンクローリ<br />
を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
351
. 1 次 系 のフィードアンドブリード。そのために、 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク、 高 圧 注 入 ポンプ 及 び 加 圧 器 逃 がし 弁 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
位 置 付 ける。<br />
c. 復 水 タンクへの 淡 水 又 は 海 水 の 供 給 。そのために、 中 間 受 槽 、 復 水<br />
タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵<br />
タンク 及 びタンクローリを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
d. 燃 料 取 替 用 水 タンクから 復 水 タンクへの 水 源 切 替 及 び 復 水 タンク<br />
からの 代 替 炉 心 注 入 又 は 代 替 格 納 容 器 スプレイ、 中 間 受 槽 を 水 源 とす<br />
る 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプによる 代 替 炉 心 注 入 。そのために、 復<br />
水 タンク 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 常 設 電<br />
動 注 入 ポンプを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 格 納 容 器 再 循 環 サンプを 水 源 とする 代 替 再 循 環 運 転 。そのために、<br />
格 納 容 器 スプレイポンプ(RHRS-CSS タイライン 使 用 )、B 格 納 容 器 ス<br />
プレイ 冷 却 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
f. 使 用 済 燃 料 ピットへ 海 水 を 注 水 。そのために、 中 間 受 槽 、 使 用 済 燃<br />
料 ピット 補 給 用 水 中 ポンプ、 水 中 ポンプ 用 発 電 機 、 燃 料 油 貯 蔵 タンク<br />
及 びタンクローリを 重 大 事 故 等 防 止 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.、b.、d. .の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、<br />
ハ)、ホ)、 上 記 c.、f.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 イ)、ハ)、ヘ)、 上 記<br />
e.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 代 替 炉 心 注 入 に 使 用 する 中 間 受 槽 は、 海 水 又 は 淡 水 を 補 給 するもの<br />
であり、 燃 料 取 替 用 水 タンク 並 びに 復 水 タンクに 対 して 異 なる 系 統 の<br />
水 源 として 設 計 する。また、 中 間 受 槽 は、3 号 炉 の 燃 料 取 替 用 水 タン<br />
ク 建 屋 内 の 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 復 水 タンク、<br />
並 びに 4 号 炉 の 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 燃 料 取 替 用 水 ピット 及 び 復 水 ピッ<br />
トと 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 1 次 系 のフィードアンドブリードに 使 用 する 燃 料 取 替 用 水 タンクは、<br />
復 水 タンクに 対 して 異 なる 系 統 の 代 替 水 源 として 設 計 する。3 号 炉 に<br />
おいては、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 補 助 建 屋 内 に 設 置 し、 原 子 炉 周 辺<br />
建 屋 内 に 設 置 する 復 水 タンクと 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とし、4 号 炉 に<br />
おいては、 高 圧 注 入 ポンプは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 復 水 ピットと 異 なる<br />
352
区 画 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、3 号 炉<br />
においては、 燃 料 取 替 用 水 タンクは 燃 料 取 替 用 水 タンク 建 屋 内 に 設 置<br />
することで、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の 復 水 タンクと 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計<br />
とし、4 号 炉 においては、 燃 料 取 替 用 水 ピットは 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の<br />
復 水 ピットと 異 なる 区 画 に 設 置 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 と<br />
する。<br />
c. 中 間 受 槽 を 水 源 とする 復 水 タンクへの 供 給 において 使 用 する 中 間<br />
受 槽 、 復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ 及 び 水 中 ポンプ 用 発 電<br />
機 並 びに 移 送 可 搬 型 ホース 等 は、 屋 外 の 異 なる 位 置 に 分 散 して 保 管 す<br />
ることで 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 に 設 置 する 復 水 タンクと 位 置 的 分 散 を 図<br />
る 設 計 とする。また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である 復 水 タンクの 枯 渇<br />
に 対 する 代 替 淡 水 源 として、 燃 料 取 替 用 水 タンク、 八 田 浦 貯 水 池 、2<br />
次 系 純 水 タンク 及 び 原 水 タンクによる 複 数 の 淡 水 源 を 確 保 する 設 計<br />
とする。<br />
d. 代 替 炉 心 注 入 及 び 代 替 格 納 容 器 スプレイに 使 用 する 復 水 タンク 及<br />
び 常 設 電 動 注 入 ポンプは、 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 スプレイに 使 用 する<br />
燃 料 取 替 用 水 タンクに 対 して 異 なる 系 統 の 水 源 として 設 計 する。<br />
e. 代 替 再 循 環 運 転 をするためのB 格 納 容 器 スプレイポンプ、B 格 納 容<br />
器 スプレイ 冷 却 器 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 多 重 性 を 有 し、<br />
位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
f. 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 に 使 用 する 中 間 受 槽 は、 海 水 又 は 淡 水 を<br />
補 給 し、 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 2 次 系 純 水 タンクに 対 して 異 なる 系<br />
統 の 水 源 として 設 計 する。また、 中 間 受 槽 等 は、3 号 炉 の 燃 料 取 替 用<br />
水 タンク 建 屋 内 の 燃 料 取 替 用 水 タンク、4 号 炉 の 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の<br />
燃 料 取 替 用 水 ピット、 及 び 屋 外 の 2 次 系 純 水 タンクと 離 れた 位 置 に 分<br />
散 して 保 管 することで、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 である<br />
復 水 タンク、 燃 料 取 替 用 水 タンク 及 び 使 用 済 燃 料 ピットに 対 して 蒸 気 発 生<br />
器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 、 炉 心 注 入 、 格 納 容 器 スプレイ 及 び 使 用 済 燃 料 ピ<br />
ットへの 注 水 をするための 代 替 注 水 として 淡 水 又 は 海 水 を 補 給 できるこ<br />
と、b)3 号 炉 においては、 中 間 受 槽 に 水 を 供 給 する 取 水 用 水 中 ポンプ、 取<br />
水 用 水 中 ポンプ 用 発 電 機 等 は、 屋 外 に 分 散 して 保 管 し、 重 大 事 故 等 の 収 束<br />
までの 間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できること、 復 水 タンクは、 原 子 炉 周 辺 建<br />
屋 内 に 配 置 し 燃 料 取 替 用 水 タンク 建 屋 内 に 燃 料 取 替 用 水 タンクを 配 置 す<br />
ることで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
353
の 水 源 枯 渇 に 対 する 代 替 淡 水 源 として、 複 数 の 淡 水 源 が 確 保 できること、<br />
4 号 炉 においては、 中 間 受 槽 に 水 を 供 給 する 取 水 用 水 中 ポンプ、 取 水 用 水<br />
中 ポンプ 用 発 電 機 等 は、 屋 外 に 分 散 して 保 管 し、 重 大 事 故 等 の 収 束 までの<br />
間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できること、 復 水 ピットは、 原 子 炉 周 辺 建 屋 内 の<br />
燃 料 取 替 用 水 ピットと 異 なる 区 画 に 配 置 することで 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とすること、また、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 水 源 枯 渇 に 対 する 代 替 淡 水<br />
源 として、 複 数 の 淡 水 源 が 確 保 できること、c)B 格 納 容 器 スプレイポンプ、<br />
B 格 納 容 器 スプレイ 冷 却 器 等 による 代 替 再 循 環 設 備 は、 余 熱 除 去 ポンプ 及<br />
び 余 熱 除 去 冷 却 器 による 再 循 環 設 備 に 対 して 多 重 性 を 有 していること、ま<br />
た、B 格 納 容 器 スプレイポンプ 等 に 対 しては、 余 熱 除 去 ポンプ 等 と 異 なる<br />
区 画 に 設 置 することで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 )<br />
に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いる 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 重 大 事 故 等 の 発 生 時 において、 復 水 タンク 又 は 燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
が 枯 渇 するおそれがあることを 水 位 により 確 認 等 した 場 合 において、<br />
蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 ( 注 水 )のために 必 要 な 水 源 である<br />
復 水 タンクへの 供 給 等 が 必 要 になった 場 合 には、 代 替 水 源 から 中 間 受<br />
槽 に 供 給 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 取 水 用 水 中 ポンプ、 可<br />
搬 型 ホース 等 を 準 備 、 布 設 し、 取 水 用 水 中 ポンプを 起 動 し、 淡 水 又 は<br />
海 水 を 中 間 受 槽 へ 供 給 する 作 業 を 計 12 名 により 約 5 時 間 20 分 で 実 施<br />
する。<br />
b. 重 大 事 故 等 の 発 生 時 において 復 水 タンクの 枯 渇 、 破 損 等 による 2 次<br />
冷 却 系 への 注 水 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、 燃 料 取 替 用 水 タンクを 水 源 と<br />
する 1 次 系 のフィードアンドブリードにより 原 子 炉 を 冷 却 するための<br />
手 順 の 整 備 については「Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高<br />
圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却 するための 設 備 及 び 手 順 等 」における 手 順<br />
等 と 同 じである。<br />
c. 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に 2 次 冷 却 系 による 炉 心 冷 却 中 に 復 水 タンク<br />
の 水 位 が 低 下 し 続 け、 供 給 が 必 要 であることを 確 認 した 場 合 には、 中<br />
間 受 槽 を 用 いて 復 水 タンクに 供 給 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ、 可 搬 型 ホース 等 を 準 備 し、<br />
354
現 場 で 復 水 タンクまで 布 設 し、 復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポン<br />
プを 起 動 し、 淡 水 又 は 海 水 を 復 水 タンクへ 供 給 する 作 業 を 計 6 名 によ<br />
り 約 3 時 間 で 実 施 する。<br />
d. 重 大 事 故 等 発 生 時 において 炉 心 注 入 又 は 格 納 容 器 スプレイ 中 に 燃<br />
料 取 替 用 水 タンクが 枯 渇 するおそれのある 場 合 には、 燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンクから 復 水 タンクへの 水 源 切 替 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
現 場 で 燃 料 取 替 用 水 タンクから 復 水 タンクへの 水 源 切 替 を 行 い、 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプを 起 動 し、 代 替 炉 心 注 入 又 は 代 替 格 納 容 器 スプレイを<br />
行 う 作 業 を 計 2 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
e. 重 大 事 故 等 の 発 生 により、 再 循 環 運 転 中 に 格 納 容 器 再 循 環 サンプを<br />
水 源 とした 代 替 再 循 環 運 転 を 行 うための 手 順 の 整 備 については、「Ⅳ<br />
-4.4 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 低 圧 時 に 発 電 用 原 子 炉 を 冷 却<br />
するための 設 備 及 び 手 順 等 」における 手 順 等 と 同 じである。<br />
f. 重 大 事 故 等 の 発 生 により、 使 用 済 燃 料 ピットへの 水 の 補 給 が 必 要 な<br />
場 合 に 海 水 から 使 用 済 燃 料 ピットへの 注 水 のための 手 順 の 整 備 につ<br />
いては、「Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及<br />
び 手 順 等 」における 手 順 等 と 同 じである。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、 復 水 タンクが 水 源 として 使 用 で<br />
きない 場 合 、2 次 系 純 水 タンクから 海 水 までの 代 替 水 源 の 選 択 を 明 確 化 し<br />
て 水 の 供 給 が 中 断 することがないように 水 源 切 替 えの 優 先 順 位 を 設 定 し、<br />
重 大 事 故 等 の 収 束 までの 間 、 十 分 な 量 の 水 を 供 給 できることを 確 認 した。<br />
また、 代 替 水 源 から 水 を 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等 について、 可 搬 型<br />
ホース 及 び 移 送 ルートの 確 保 、 接 続 作 業 等 を 定 め、 重 大 事 故 等 時 に 的 確 か<br />
つ 柔 軟 に 対 処 できるよう 人 員 を 確 保 するとともに 必 要 な 訓 練 を 行 うとし<br />
ていること、ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 している<br />
こと、 携 行 型 無 線 通 話 装 置 ( 携 帯 型 ) 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 すること、<br />
復 水 タンク(ピット) 補 給 用 水 中 ポンプ 等 の 運 搬 、 接 続 等 を 行 う 作 業 環 境<br />
( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1b.に 掲 げる 対 策 について、 第 56 条 等<br />
要 求 事 項 ホ)、ト)に 適 合 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
355
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 1a.、b.、c.、d.、f.の 対 策 が 第 56 条<br />
等 要 求 事 項 イ)からハ)、ヘ)、 上 記 1e.の 対 策 が 第 56 条 等 要 求 事 項 ニ)に 対<br />
応 するものであること、1a.、b.、c.、d.、f.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が<br />
第 56 条 等 要 求 事 項 ホ)からト)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1に 掲 げる<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であることから、 第 56 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 炉 心 を 十 分 に 冷 却 するため、<br />
原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 防 止 するため 及 び 使 用 済 燃 料 ピットの 冷 却 をするた<br />
めに 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 、 代 替 炉 心 注 入 、 代 替 格 納 容 器 スプレイ<br />
及 び 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 への 注 水 に 必 要 な 対 策 とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。これらの 対 策 と 設 備 、 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 の 設 計 方 針 及 び 手 順 等 は2.(1) 第 56 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び<br />
手 順 等 と 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 重 大 事<br />
故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等<br />
として 位 置 付 けた 設 備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針<br />
であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 にするため、<br />
フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の<br />
抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 重 大 事 故 等 の 収 束 に 必 要 となる 水 を 供 給 するための<br />
多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 代 替 淡 水 源 から 中 間 受 槽 へ 供 給 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 代 替 淡 水 源 である 2 次 系 純 水 タンク 及 び 原 水 タンクから 中 間 受 槽<br />
へ 供 給 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおり。<br />
1 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 復 水 タンク 又 は 燃 料 取 替 用 水 タンクが 枯 渇 する<br />
おそれがあることを 水 位 により 確 認 等 した 場 合 において、2 次 系 純 水 タン<br />
クの 水 位 が 確 保 され 使 用 できることを 確 認 した 場 合 には、2 次 系 純 水 タン<br />
クから 中 間 受 槽 に 供 給 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 間 受 槽 、 可<br />
356
搬 型 ホースを 設 置 、 布 設 し、2 次 系 純 水 タンク 予 備 弁 を 開 弁 し 中 間 受 槽 へ<br />
供 給 する 操 作 を 計 12 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
2 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、2 次 系 純 水 タンクから 中 間 受 槽 に 供 給 ができな<br />
い 場 合 において、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 され 使 用 できることを 確 認 した<br />
場 合 には、 原 水 タンクから 中 間 受 槽 への 供 給 を 行 うための 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 中 間 受 槽 、 可 搬 型 ホースを 設 置 、 布 設 し、 原 水 タンク 予 備<br />
弁 を 開 弁 し 中 間 受 槽 に 供 給 する 操 作 を 計 12 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 スプレイのための 必 要 な 水 源<br />
である 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 等 が 必 要 になり、2 次 系 純 水 タンクか<br />
ら 中 間 受 槽 への 供 給 ができない 場 合 において、 原 水 タンクの 水 位 が 確 保 さ<br />
れ 使 用 できることを 確 認 した 場 合 には、 原 水 タンクから 中 間 受 槽 への 供 給<br />
を 行 うための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 間 受 槽 を 所 定 の 場 所 に 設<br />
置 し、 原 水 タンクから 中 間 受 槽 まで 可 搬 型 ホースを 布 設 後 、 原 水 タンク 予<br />
備 弁 を 開 弁 し 中 間 受 槽 へ 供 給 する 操 作 を 計 12 名 により 約 2 時 間 で 実 施 す<br />
る。<br />
(2) 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 のための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給<br />
する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 蒸 気 発 生 器 2 次 側 による 炉 心 冷 却 をするための 代 替 水 源 の 確 保 と<br />
水 の 供 給 をするための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等<br />
は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 重 大 事 故 等 の 発 生 時 に、 中 間 受 槽 から 復 水 タンクへの 供 給 準 備 が 完 了 し、<br />
復 水 タンク 水 位 計 指 示 値 が 3% 以 下 となった 場 合 、 又 は 復 水 タンクが 枯 渇<br />
するおそれのある 場 合 において、2 次 系 純 水 タンクの 水 位 が 確 保 され、 使<br />
用 できることを 確 認 できた 場 合 には、 復 水 タンクから 2 次 系 純 水 タンクへ<br />
の 水 源 切 替 えを 行 うための 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、2 次 系 純 水 タ<br />
ンク 側 入 口 弁 の 開 弁 、 復 水 タンク 側 入 口 弁 の 閉 止 操 作 を 1 名 により 実 施 す<br />
る。 復 水 タンクから 2 次 系 純 水 タンクへの 水 源 切 替 えについては 電 動 補 助<br />
給 水 ポンプ 及 びタービン 動 補 助 給 水 ポンプを 停 止 することなく 切 替 えが<br />
できる。<br />
2 可 搬 型 ディーゼル 注 入 ポンプ 等 を 用 いた 2 次 冷 却 系 による 原 子 炉 冷 却<br />
の 手 順 については、「Ⅳ-4.2 原 子 炉 冷 却 材 圧 力 バウンダリ 高 圧 時 に 発<br />
電 用 原 子 炉 を 冷 却 するための 手 順 等 」と 同 じである。<br />
3 水 源 となるタンクの 切 替 え 完 了 後 、 引 き 続 き 次 の 水 源 からの 送 水 準 備 を<br />
開 始 することで、 水 源 が 枯 渇 しないようにし、 切 り 替 える 手 順 とする。<br />
357
(3) 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 冷 却 のための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供 給 する 設<br />
備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 炉 心 注 入 及 び 格 納 容 器 冷 却 をするための 代 替 水 源 の 確 保 と 水 を 供<br />
給 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
1 1 次 冷 却 材 喪 失 事 象 が 発 生 した 場 合 において、 使 用 済 燃 料 ピット 水 位 が<br />
燃 料 取 替 用 水 タンクへの 補 給 可 能 水 位 であることを 確 認 できた 場 合 、 使 用<br />
済 燃 料 ピットからほう 酸 水 の 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 に 着 手 する。こ<br />
の 手 順 では、 使 用 済 燃 料 ピットから 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 のための<br />
系 統 構 成 を 行 う 操 作 を 計 3 名 により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
2 1 次 冷 却 材 喪 失 事 象 が 発 生 した 場 合 において、1 次 系 純 水 タンク 及 びほ<br />
う 酸 タンクの 水 位 が 確 保 され、 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 に 使 用 できる<br />
ことを 確 認 できた 場 合 には、1 次 系 純 水 タンク 水 及 びほう 酸 タンク 水 の 混<br />
合 による 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 に 着 手 する。この 手 順 では、1 次 系<br />
純 水 タンク 及 びほう 酸 タンクから 燃 料 取 替 用 水 タンクへの 供 給 ラインの<br />
系 統 構 成 を 行 い、1 次 系 補 給 水 ポンプ 及 びほう 酸 ポンプの 起 動 操 作 を 計 3<br />
名 により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
3 重 大 事 故 等 の 発 生 時 において、 燃 料 取 替 用 水 タンクが 枯 渇 するおそれが<br />
ある 場 合 に、1 次 系 純 水 タンク 水 及 びほう 酸 タンク 水 の 混 合 による 燃 料 取<br />
替 用 水 タンクへの 供 給 ができない 場 合 に、 燃 料 取 替 用 水 補 助 タンクを 水 源<br />
とし、 燃 料 取 替 用 水 ポンプにより 燃 料 取 替 用 水 タンクへ 供 給 する 手 順 に 着<br />
手 する。この 手 順 では 燃 料 取 替 用 水 補 助 タンクから 燃 料 取 替 用 水 タンクへ<br />
の 供 給 ラインの 系 統 構 成 を 行 い、 燃 料 取 替 用 水 ポンプの 起 動 操 作 を 計 2 名<br />
により、 約 20 分 で 実 施 する。<br />
4 電 動 消 火 ポンプ、ディーゼル 消 火 ポンプ 又 は 消 防 自 動 車 により 原 子 炉 格<br />
納 容 器 へスプレイする 手 順 については、「Ⅳ-4.6 原 子 炉 格 納 容 器 内<br />
の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」における 手 順 等 と 同 じである。<br />
(4) 使 用 済 燃 料 ピットへ 水 を 供 給 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 使 用 済 燃 料 ピットへ 水 を 供 給 するための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.13-<br />
1 参 照 。)を 活 用 した 手 順 等 の 方 針 については、「Ⅳ-4.11 使 用 済 燃 料 貯<br />
蔵 槽 の 冷 却 等 のための 設 備 及 び 手 順 等 」における 使 用 済 燃 料 ピットへ 注 水 する<br />
手 順 と 同 じであるとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
358
表 Ⅳ-4.13-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
2 次 系 純 水 タン 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
ク<br />
いものの、 復 水 タンクの 故 障 に 際 して、 代 替 水 源 としての 設<br />
備 となり 得 る。<br />
原 水 タンク 消 火 を 目 的 として 配 備 しており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求<br />
される 耐 震 性 としては 十 分 ではないものの、 火 災 が 発 生 して<br />
いなければ 代 替 水 源 としての 設 備 となり 得 る。<br />
電 動 消 火 ポ ン 消 火 を 目 的 として 配 備 しており、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求<br />
プ、ディーゼル される 信 頼 性 は 十 分 ではないものの、 格 納 容 器 スプレイの 代<br />
消 火 ポンプ 等 替 手 段 となり 得 る。<br />
1 次 系 純 水 タン 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
ク、ほう 酸 タン いものの、 代 替 水 源 としての 設 備 となり 得 る。<br />
ク<br />
Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 ( 第 57 条 及 び 重<br />
大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 項 関 係 )<br />
本 節 では、 電 源 の 確 保 に 関 して 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、1 第 57 条<br />
第 1 項 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.14 項 ( 以 下 「 第 57 条 等 」という。)<br />
における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるか、2 有 効 性 評 価<br />
( 第 37 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整<br />
備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故<br />
等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 57 条 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 電 源 が 喪 失 したことにより 重 大 事 故<br />
等 が 発 生 した 場 合 において 炉 心 の 著 しい 損 傷 、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 、 貯 蔵 槽<br />
内 燃 料 体 等 の 著 しい 損 傷 及 び 運 転 停 止 中 における 原 子 炉 内 の 燃 料 体 の 著 しい<br />
損 傷 を 防 止 するために 必 要 な 電 力 を 確 保 するため、 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整<br />
備 することを 要 求 している。 第 57 条 等 における「 必 要 な 電 力 を 確 保 するため<br />
に 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 をいう。<br />
イ) 可 搬 型 代 替 電 源 設 備 ( 電 源 車 及 びバッテリ 等 ) 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 常 設 代 替 電 源 設 備 として 交 流 電 源 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
359
ハ) 上 記 イ) 及 びロ)の 代 替 電 源 設 備 は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して、<br />
独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
ニ) 所 内 常 設 蓄 電 式 直 流 電 源 設 備 は、 負 荷 切 り 離 しを 行 わずに 8 時 間 、 電 気<br />
の 給 電 が 可 能 であること。ただし、「 負 荷 の 切 り 離 しを 行 わず」には 原 子<br />
炉 制 御 室 又 は 隣 接 する 電 気 室 等 において 簡 易 な 操 作 で 負 荷 の 切 り 離 しを<br />
行 う 場 合 を 含 まない。その 後 、 必 要 な 負 荷 以 外 を 切 り 離 して 残 り 16 時 間<br />
の 合 計 24 時 間 にわたり、 電 気 の 給 電 を 行 うことが 可 能 であること。<br />
ホ)24 時 間 にわたり、 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 な 設 備 に 電 気 ( 直 流 )の 給<br />
電 を 行 うことが 可 能 である 可 搬 型 直 流 電 源 設 備 。<br />
ヘ) 所 内 直 流 電 源 設 備 から 給 電 されている 24 時 間 内 に、 十 分 な 余 裕 を 持 っ<br />
て 可 搬 型 代 替 交 流 電 源 設 備 を 繋 ぎ 込 み、 給 電 が 開 始 できる 手 順 等 。<br />
ト) 複 数 号 機 が 設 置 されている 発 電 所 では、 号 機 間 の 電 力 融 通 を 行 えるよう<br />
にあらかじめ 手 動 で 接 続 可 能 なケーブル 等 を 敷 設 しておくこと。また、 敷<br />
設 したケーブル 等 が 利 用 できない 状 況 に 備 え、 予 備 のケーブル 等 を 用 意 す<br />
る 手 順 等 。<br />
チ) 所 内 電 気 設 備 (モーターコントロールセンター(MCC)、パワーセンター<br />
(P/C) 及 び 金 属 閉 鎖 配 電 盤 (メタクラ)(MC) 等 )は、 代 替 所 内 電 気 設 備<br />
を 設 けることなどにより 共 通 要 因 で 機 能 を 失 うことなく、 少 なくとも 一 系<br />
統 は 機 能 の 維 持 及 び 人 の 接 近 性 の 確 保 を 図 る。<br />
申 請 者 は、 第 57 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 常 設 代 替 電 源 ( 交 流 )として 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 により 給 電 を 実 施 する<br />
ための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 号 機 炉 間 の 電 力 融 通 による 代 替 電 源 ( 交 流 )として 号 機 炉 間 電 力 融 通 電<br />
路 又 は 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )を 使 用 した 号 炉 間 融 通 により 給<br />
電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 可 搬 型 代 替 電 源 ( 交 流 )(※ 54 )として 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容<br />
量 発 電 機 車 )により 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
4 常 設 代 替 電 源 ( 直 流 )として 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処<br />
用 )により 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 可 搬 型 代 替 電 源 ( 直 流 )として 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器<br />
により 給 電 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
6 代 替 所 内 電 気 設 備 により 代 替 電 源 から 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 。<br />
(※ 54 ) 可 搬 型 代 替 電 源 ( 交 流 )のうち、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 に 関 する 設 備 及<br />
び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 」において 整 理 。<br />
360
(2) 申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 電 源 の 確 保 に 関 する 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 以 下 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 ( 交 流 )として 給 電 を 実 施 するための 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
2 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )を 代 替 電 源 ( 直 流 )とし<br />
て 給 電 を 実 施 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
(3) 規 制 委 員 会 は、 電 源 の 確 保 のために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第<br />
57 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であ<br />
ることから、 第 57 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。また、 有 効 性 評 価 ( 第 3<br />
7 条 )において 位 置 付 けた 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 含 み、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1)、(2) 以<br />
外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に<br />
実 施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 57 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 57 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 常 設 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 。そのために、 大 容 量 空 冷 式 発 電<br />
機 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 他 号 炉 からの 給 電 。そのために、 他 号 炉 のディーゼル 発 電 機 等 を 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 及<br />
び 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新<br />
たに 整 備 する。<br />
c. 可 搬 型 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 。そのために、 発 電 機 車 ( 高 圧<br />
発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに<br />
整 備 する。<br />
d. 常 設 代 替 電 源 ( 直 流 )からの 給 電 。そのために、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護<br />
系 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに、 蓄 電 池 ( 重<br />
361
大 事 故 等 対 処 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 可 搬 型 代 替 電 源 ( 直 流 )からの 給 電 。そのために、 直 流 電 源 用 発 電<br />
機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 盤 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整<br />
備 する。<br />
f. 代 替 所 内 電 気 設 備 による 給 電 。そのために、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧<br />
器 受 電 盤 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 57 条 等 要 求 事 項 ロ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 57 条 等 要 求 事 項 ト)、 上 記 c. 及 び e.の 対 策 が 第 57 条 等 要 求 事 項<br />
イ)、 上 記 d.の 対 策 が、 第 57 条 等 要 求 事 項 ニ)、 上 記 f.の 対 策 が 第 57<br />
条 等 要 求 事 項 チ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 非 常 用 高 圧 母 線 に 接 続 された 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 及 び 発 電 機 車 ( 高<br />
圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 )は、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 のディー<br />
ゼル 発 電 機 に 対 して 独 立 性 を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
b. 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )は、 必 要 な 期 間 にわ<br />
たり 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とする。<br />
c. 直 流 電 源 用 発 電 機 、 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 等 は、 設 計 基 準 事 故 対 処<br />
設 備 の 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 )に 対 して 独 立 性<br />
を 有 し、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。また、 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び<br />
可 搬 型 直 流 変 換 器 は、 必 要 な 期 間 にわたり 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 と<br />
する。<br />
d. 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 は、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 所 内 電 気 設 備 に 対 して 独 立 性 を 有 し、 位 置 的<br />
分 散 を 図 る 設 計 とする。また、これらは 設 置 場 所 で 操 作 が 可 能 な 設 計<br />
とする。<br />
e. 直 流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 は、 所 内 電 気 設 備 に 対 して<br />
独 立 性 を 有 し、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 の 所 内 電 気 設 備 に 対 して 位 置 的<br />
分 散 を 図 る 設 計 とする。また、これらは 設 置 場 所 で 操 作 が 可 能 な 設 計<br />
とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 発 電 機<br />
362
車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 )、 直 流 電 源 用 発 電 機 、 可 搬 型 直 流<br />
変 換 器 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 及 び 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 は、<br />
設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 に 対 して 独 立 した 電 路 で 接 続 されることなどによ<br />
り 独 立 性 を 有 していること、b) 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 とは 異 なる 区 画 にお<br />
いて 整 備 するなど 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、c) 発 電 機 車 ( 高 圧 発<br />
電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 は、 燃 料 の 補 給 が 可 能 であり 24 時 間 にわ<br />
たり 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とすること、d) 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及 び 重<br />
大 事 故 等 対 処 用 )は、 負 荷 の 切 離 しを 行 わずに 8 時 間 、 必 要 な 負 荷 以 外 を<br />
切 離 して 計 24 時 間 の 電 力 の 給 電 が 可 能 な 設 計 とすること、e) 所 内 電 気 設<br />
備 は、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 盤 等 を 設<br />
けることなどにより 少 なくとも 一 系 統 は 機 能 が 維 持 され、これらは 中 央 制<br />
御 室 及 び 設 置 場 所 で 操 作 が 可 能 であり 接 近 性 を 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から f.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から f.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 について、 第 57 条 等 要 求 事 項 ハ)、ニ)、ホ)、チ)に 適 合 する 設 計 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 外 部 電 源 及 びディーゼル 発 電 機 からの 給 電 ができない 場 合 には、 大<br />
容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 ( 交 流 )とした 給 電 の 手 順 に 着 手 する。<br />
この 手 順 では、 電 路 の 構 成 、 起 動 操 作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 3 名 により<br />
約 15 分 で 実 施 する。<br />
b. 予 備 変 圧 器 2 次 側 電 路 ( 多 様 性 拡 張 設 備 )を 使 用 した 号 炉 間 融 通 が<br />
できない 場 合 には、 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 による 他 号 炉 からの 電 力 融 通<br />
による 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、<br />
ケーブルの 接 続 、 給 電 操 作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 6 名 により 約 30 分 で<br />
実 施 する。<br />
c. 後 備 送 電 線 連 絡 高 圧 電 路 ( 多 様 性 拡 張 設 備 )による 給 電 ができない<br />
場 合 には、 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 を 代 替 電<br />
源 ( 交 流 )とした 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 発 電 機 車 ( 高<br />
圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 の 配 置 、ケーブルの 敷 設 、 給 電 操<br />
363
作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 6 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
d. 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 )による 給 電 ができな<br />
い 場 合 には、 予 備 ケーブル( 号 炉 間 電 力 融 通 用 )による 他 号 炉 からの<br />
電 力 融 通 による 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、ケーブルの 敷 設 、 給 電 操 作 等 を 計 14 名 により 約 4 時 間 で<br />
実 施 する。<br />
e. 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 し、 交 流 電 源 からの 非 常 用 直 流 母 線 への 直 流<br />
電 源 の 給 電 が 喪 失 した 場 合 には、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 )を 代 替 電 源<br />
( 直 流 )とした 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は 自 動 動 作 となるた<br />
め、 動 作 状 況 を 非 常 用 直 流 母 線 電 圧 等 で 確 認 する。<br />
f. 全 交 流 動 力 電 源 が 喪 失 した 場 合 において、 交 流 動 力 電 源 が 復 旧 する<br />
見 込 みがない 場 合 で 直 流 母 線 電 圧 が 許 容 最 低 電 圧 を 維 持 できない 場<br />
合 には、 蓄 電 池 ( 重 大 事 故 等 対 処 用 )を 代 替 電 源 ( 直 流 )とした 給 電<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 直 流 母 線 の 受 電 等 を 計 2 名 により<br />
約 10 分 で 実 施 する。さらに、8 時 間 以 降 に 現 場 で 不 要 直 流 負 荷 の 切<br />
り 離 しを 計 3 名 により 約 10 分 で 実 施 する。<br />
g. 代 替 電 源 ( 交 流 )から 非 常 用 直 流 母 線 へ 給 電 できない 場 合 には、 直<br />
流 電 源 用 発 電 機 及 び 可 搬 型 直 流 変 換 器 等 による 代 替 電 源 ( 直 流 )から<br />
の 給 電 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、ケーブル 敷 設 、 電 源 からの<br />
給 電 操 作 、 受 電 の 確 認 等 を 計 6 名 により 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
h. 所 内 電 気 設 備 の 2 系 統 が 同 時 に 機 能 喪 失 して 電 源 からの 給 電 がで<br />
きない 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 用 変 圧 器 受 電 盤 、 及 び 重 大 事 故 等 対<br />
処 用 変 圧 器 盤 等 を 用 いた 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 とした 給 電<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 電 路 の 構 成 、 電 源 からの 給 電 操 作 、<br />
受 電 の 確 認 等 を 計 7 名 により 約 1 時 間 で 実 施 する。<br />
i. 各 発 電 機 の 燃 料 が 規 定 油 量 以 上 であることを 確 認 した 上 で 運 転 開<br />
始 後 、 燃 料 補 給 作 業 着 手 時 間 に 達 した 場 合 には、 燃 料 油 貯 蔵 タンクよ<br />
り 燃 料 油 貯 油 そう( 他 号 炉 )、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 用 燃 料 タンク、 発<br />
電 機 車 ( 高 圧 発 電 機 車 又 は 中 容 量 発 電 機 車 ) 等 への 燃 料 補 給 の 手 順 に<br />
着 手 する。この 手 順 では、タンクローリの 準 備 、 可 搬 型 ホースの 敷 設 、<br />
給 油 等 を 計 2 名 により、 燃 料 油 貯 油 そう( 他 号 炉 ) 及 び 大 容 量 空 冷 式<br />
発 電 機 用 燃 料 タンクに 対 して 約 2 時 間 30 分 、 発 電 機 車 ( 高 圧 発 電 機<br />
車 ) 及 び 直 流 電 源 用 発 電 機 に 対 して 約 1 時 間 55 分 、 発 電 機 車 ( 中 容<br />
量 発 電 機 車 )に 対 して 約 2 時 間 5 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 の 優 先 順 位 を 交 流 電 源 喪<br />
364
失 時 の 対 応 手 順 として a.、b.、c.、d.の 順 に、また、 直 流 電 源 喪 失 時 の<br />
対 応 手 順 として e.、f.、g.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 代 替<br />
電 源 からの 給 電 、 燃 料 補 給 の 手 順 等 について、 必 要 な 人 員 を 確 保 するとと<br />
もに 必 要 な 訓 練 を 行 うとしていること、c)ヘッドライト 等 により 夜 間 等 で<br />
のアクセス 性 を 確 保 していること、d) 携 帯 型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段<br />
を 確 保 していること、e) 作 業 環 境 ( 作 業 空 間 、 温 度 等 )に 支 障 がないこと<br />
などを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 上 記 c. 及 び h.の 手 順 等 が 第 57 条 等 要 求 事 項 へ)<br />
に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1の 対 策 が 第 57 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、ニ)、<br />
ト)、チ)に 対 応 すること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 がハ)、ニ)、ホ)、<br />
チ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、3c. 及 び h.の 手 順 等 が 第 57 条 等 要 求<br />
事 項 ヘ)に 対 応 するものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその<br />
手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 57 条<br />
等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
(2) 第 37 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 必 要 な 電 力 を 確 保 するために、<br />
大 容 量 空 冷 式 発 電 機 を 代 替 電 源 ( 交 流 )とした 給 電 、 蓄 電 池 ( 安 全 防 護 系 用 及<br />
び 重 大 事 故 等 対 処 用 )を 代 替 電 源 ( 直 流 )とした 給 電 を 必 要 な 対 策 としている。<br />
これらの 対 策 は、(1)1a. 及 び d.と 同 じであるため、 必 要 な 重 大 事 故 等 対 処<br />
設 備 も 同 じである。また、これらに 関 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針 及 び<br />
手 順 等 の 方 針 も 同 じである。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 有 効 性 評 価 ( 第 37 条 )において、 電 源 の<br />
確 保 に 関 して 必 要 となる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 として 位 置 付 けた 設<br />
備 及 び 手 順 等 を、 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 し<br />
た。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
365
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 電 源 の 確 保 に 関 する 機 能 が 喪 失 した 場 合 に、その 機<br />
能 を 代 替 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 電 源 の 確 保 に 関 する 機 能 を 代 替 するための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 電 源 の 確 保 に 関 する 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.1<br />
4-1 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 による 代 替 電 源 ( 交 流 )からの 給 電 ができない 場 合<br />
において、 当 該 電 路 が 健 全 であること 及 び 他 号 炉 の 交 流 電 源 が 健 全 な 場 合<br />
には、 予 備 変 圧 器 2 次 側 電 路 による 他 号 炉 からの 電 力 融 通 による 代 替 電 源<br />
( 交 流 )からの 給 電 に 着 手 する。この 手 順 では、 給 電 準 備 、 給 電 操 作 等 を<br />
計 6 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
2 号 炉 間 電 力 融 通 電 路 を 使 用 した 号 炉 間 融 通 による 代 替 電 源 ( 交 流 )から<br />
の 給 電 ができない 場 合 において、 当 該 電 路 が 健 全 で 外 部 電 源 (66kV 送 電<br />
線 )を 受 電 可 能 な 場 合 には、 後 備 送 電 線 連 絡 高 圧 電 路 による 代 替 電 源 ( 交<br />
流 )からの 給 電 に 着 手 する。この 手 順 では、 給 電 準 備 、 給 電 操 作 等 を 計 4<br />
名 により 約 40 分 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.14-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
( 交 流 電 源 喪 失 時 )<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
予 備 変 圧 器 2 次 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
側 電 路<br />
いものの、 他 号 炉 の 交 流 電 源 が 健 全 な 場 合 は 電 力 融 通 の 手 段 と<br />
なり 得 る。<br />
後 備 送 電 線 連 絡 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
高 圧 電 路 いものの、 外 部 電 源 (66kV 送 電 線 )を 受 電 可 能 な 場 合 は 電 力<br />
融 通 の 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.15 計 装 設 備 及 びその 手 順 等 ( 第 58 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技<br />
術 的 能 力 基 準 1.15 項 関 係 )<br />
本 節 では、 計 測 機 器 ( 非 常 用 のものを 含 む。 以 下 同 じ。)の 故 障 により、 重 大 事<br />
366
故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 となった 場 合 にお<br />
いて、 当 該 パラメータを 推 定 するための 有 効 な 情 報 を 把 握 するために 申 請 者 が 計 画<br />
する 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 について、 第 58 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準<br />
1.15 項 ( 以 下 「 第 58 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適<br />
切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重<br />
大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 58 条 等 は、 計 測 機 器 の 故 障 により、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 監 視 す<br />
ることが 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 となった 場 合 において、 当 該<br />
パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報 を 把 握 するための 必 要 な 設 備 及 び 手<br />
順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 58 条 等 における「 当 該 重 大 事 故 等 に<br />
対 処 するために 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 とな<br />
った 場 合 において 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報 を 把 握 するた<br />
めの 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 又 はこれらと 同<br />
等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )を 超 えた 場 合 の 原<br />
子 炉 施 設 の 状 態 を 推 定 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
イ)-1 原 子 炉 圧 力 容 器 内 の 温 度 、 圧 力 及 び 水 位 。<br />
イ)-2 原 子 炉 圧 力 容 器 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 への 注 水 量 。<br />
イ)-3 推 定 するために 必 要 なパラメータについて、 複 数 のパラメータの<br />
中 から 確 からしさを 考 慮 した 優 先 順 位 を 定 める。<br />
ロ) 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 、 圧 力 、 水 位 、 水 素 濃 度 及 び 放 射 線 量 率 など 想<br />
定 される 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 となるパラメータを 計 測 又 は 監 視 及 び<br />
記 録 する 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ハ) 直 流 電 源 喪 失 時 に、 特 に 重 要 なパラメータを 計 測 又 は 監 視 する 手 順 等 (テ<br />
スター 又 は 換 算 表 等 )。<br />
また、 以 下 の 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うこととし<br />
ている。<br />
ニ) 設 計 基 準 を 超 える 状 態 における 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 を 明 確 化 す<br />
る。( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )<br />
申 請 者 は、 第 58 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 パラメータの 値 が 計 器 の 計 測 範 囲 を 超 えた 場 合 に 原 子 炉 施 設 の 状 態 を<br />
把 握 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 計 測 に 必 要 な 計 器 電 源 が 喪 失 した 場 合 の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
367
3 重 大 事 故 等 時 のパラメータを 記 録 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
4 パラメータを 計 測 する 計 器 の 故 障 時 に 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 把 握 するた<br />
めの 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 設 計 基 準 を 超 える 状 態 における 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 を 明 確 化<br />
する( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )。<br />
(2) 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 するこ<br />
とが 困 難 となった 場 合 において、 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報<br />
を 把 握 するために 申 請 者 が 計 画 する 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 58 条 等 に 基<br />
づく 要 求 事 項 に 対 応 し、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 58 条 等 に<br />
適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 (1) 以 外 の 設<br />
備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 す<br />
る 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 58 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 58 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高 計 測 可 能 温 度 等 )を 超 えた 場 合<br />
において、 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 把 握 するためのパラメータの 推 定 及 び<br />
優 先 順 位 の 設 定 。そのために、 重 要 な 監 視 パラメータ( 表 Ⅳ-4.1<br />
5-1 参 照 。)を 選 定 し、 代 替 パラメータを 計 測 する 計 器 ( 以 下 「 重<br />
要 代 替 計 器 」という。)を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 け、 可 搬<br />
型 計 測 器 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 計 器 電 源 が 喪 失 するおそれがある 場 合 の 給 電 。そのために、 大 容 量<br />
空 冷 式 発 電 機 等 (※ 55 )、 可 搬 型 計 測 器 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として<br />
新 たに 整 備 する。<br />
(※ 55 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
368
c. 重 大 事 故 等 時 のパラメータの 記 録 。そのために、 緊 急 時 運 転 パラメ<br />
ータ 伝 送 システム(SPDS)( 以 下 「SPDS」という。)、SPDS データ 表 示<br />
装 置 及 び 可 搬 型 温 度 計 測 装 置 ( 格 納 容 器 再 循 環 ユニット 入 口 温 度 / 出<br />
口 温 度 (SA) 用 )を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
d. 重 大 事 故 等 の 対 処 に 必 要 なパラメータを 計 測 する 計 器 の 故 障 時 に<br />
おいて、 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 把 握 するためのパラメータの 他 チャンネ<br />
ル(※ 56 ) 又 は 他 ループによる 計 測 及 び 代 替 パラメータによる 推 定 。<br />
そのために、 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他 ループの 重 要 計 器<br />
( 以 下 「 重 要 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」(※ 57 )という。) 及<br />
び 重 要 代 替 計 器 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、1b.の 対 策<br />
が 第 58 条 等 要 求 事 項 ハ)、1c. 及 び d.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 ロ)<br />
に 対 応 するものであること、1d.の 対 策 が 第 58 条 のうち、 計 測 機 器 の 故<br />
障 により、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 すること<br />
が 困 難 となった 場 合 において 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情<br />
報 を 得 るための 対 策 に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.15-1 申 請 者 が 重 大 事 故 等 対 処 設 備 により 計 測 する 重 要 な 監<br />
視 パラメータ<br />
代 替 パラメータ( 代 表 )(※ 59 )<br />
重 要 な 監 主 要 パラメータ 設 計 基<br />
主 要 パラメータを 計 主 要 パラメータを 計<br />
視 パラメ ( 代 表 )(※ 58 ) 準 事 故<br />
測 する 計 器 に 故 障 の 測 する 計 器 の 計 測 範<br />
ータ ( 計 測 範 囲 ) 時 の 値<br />
疑 いがある 場 合 囲 を 超 えた 場 合 (※ 60 )<br />
炉 心 損 傷 の 判 断 値<br />
原 子 炉 容 1 次 冷 却 材 高 温<br />
(350℃)を 監 視 可 能 。<br />
1 次 冷 却 材 低 温 側 温<br />
器 内 の 温 側 温 度 ( 広 域 ) 344℃<br />
さらに 可 搬 型 計 測 器<br />
度 ( 広 域 )<br />
度 (0~400℃)<br />
にて 0~500℃まで 計<br />
測 可 能 。<br />
(※ 56 ) 申 請 者 は、「 重 要 な 監 視 計 器 については、 単 一 故 障 を 想 定 してもパラメータを 監 視 できなくならないよう<br />
に 1 つのパラメータを 複 数 の 計 器 で 監 視 しており、 複 数 の 計 器 の 1 つを 指 すときにチャンネル」と 定 義 してい<br />
る。<br />
(※ 57 ) 申 請 者 は、「 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他 ループの 重 要 計 器 」と 記 載 しているが、 分 かりやすく<br />
本 節 では「 重 要 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」と 記 載 。<br />
(※ 58 ) 複 数 ある 主 要 パラメータの 代 表 を 記 載 。<br />
(※ 59 ) 複 数 ある 代 替 パラメータの 代 表 を 記 載 。<br />
(※ 60 ) 計 測 範 囲 を 超 えない 場 合 は、その 理 由 を 記 載 。<br />
369
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 容<br />
器 内 の 圧<br />
力<br />
1 次 冷 却 材 圧 力<br />
( 0 ~ 21.0MPa<br />
(※ 61 ))<br />
17.9MPa<br />
1 次 冷 却 材 高 温 側 温<br />
度 ( 広 域 )<br />
て、1 次 系 最 高 使 用 圧<br />
力 (17.16MPa)の 1.2<br />
倍 (20.59MPa)を 監 視<br />
可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 容<br />
器 内 の 水<br />
位<br />
加 圧 器 水 位<br />
(0~100%)<br />
91% 以 下 原 子 炉 容 器 水 位<br />
て、 加 圧 器 の 下 部 に 位<br />
置 する 原 子 炉 容 器 水<br />
位 計 にて 原 子 炉 容 器<br />
頂 部 から 底 部 まで 監<br />
視 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ 及 び<br />
原 子 炉 容<br />
器 への 注<br />
水 量<br />
AM 用 消 火 水 積 算<br />
流 量 ( 0 ~<br />
200m 3 /h)<br />
-<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
水 位<br />
可 搬 型 ディーゼル 注<br />
入 ポンプの 最 大 流 量<br />
による 原 子 炉 容 器 へ<br />
の 注 水 流 量<br />
(30150m 3 /h)を 監 視 可<br />
能 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 常 設<br />
電 動 注 入 ポンプ 及 び<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 へ<br />
の 注 水 量<br />
AM 用 消 火 水 積 算<br />
流 量<br />
(0~200m 3 /h)<br />
-<br />
燃 料 取 替 用 水 タンク<br />
水 位<br />
可 搬 型 ディーゼル 注<br />
入 ポンプの 最 大 流 量<br />
による 原 子 炉 格 納 容<br />
器 へ の 注 水 流 量<br />
(1450m 3 /h)を 監 視 可<br />
能 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 格 納<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 温 度<br />
格 納 容 器 内 温 度<br />
(0~220℃)<br />
133℃ 格 納 容 器 内 温 度 (SA)<br />
容 器 最 高 温 度 (144℃)<br />
を 監 視 可 能 (さらに 可<br />
搬 型 計 測 器 にて 計 測<br />
可 能 )。<br />
(※ 61 ) 圧 力 はゲージ 圧 。 以 下 、この 表 において 同 じ。<br />
370
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 圧 力<br />
格 納 容 器 圧 力<br />
(-50~450kPa) 320kPa<br />
AM 用 格 納 容 器 圧 力<br />
(0~1.5MPa)<br />
て、 格 納 容 器 最 高 使 用<br />
圧 力 (392kPa)の 2 倍<br />
(0.784MPa)を AM 用<br />
格 納 容 器 圧 力 にて 監<br />
視 可 能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 水 位<br />
原 子 炉 下 部 キャ<br />
ビティ 水 位 (※<br />
62 )<br />
-<br />
格 納 容 器 再 循 環 サン<br />
プ 水 位 ( 広 域 )<br />
て、 必 要 な 水 量 が 原 子<br />
炉 下 部 キャビティ 室<br />
にあることを 監 視 可<br />
能 。<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 水 素 濃<br />
度<br />
格 納 容 器 水 素 濃<br />
度<br />
(0~20vol%)<br />
-<br />
主 要 パラメータの 予<br />
備<br />
PAR 動 作 監 視 装 置<br />
イグナイタ 動 作 監 視<br />
装 置<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
て、ジルコニウム- 水<br />
反 応 等 による 水 素 濃<br />
度 (13vol%)を 監 視 可<br />
能 。<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
アニュラ<br />
アニュラス 水 素<br />
主 要 パラメータの 予<br />
て、 変 動 範 囲 (0 ~<br />
ス 部 の 水<br />
濃 度<br />
-<br />
備<br />
1vol%)を 監 視 可 能 。<br />
素 濃 度<br />
(0~20vol%)<br />
(0~20vol%)<br />
計 測 範 囲 は、 格 納 容 器<br />
内 水 素 濃 度 と 同 様 。<br />
原 子 炉 格<br />
納 容 器 内<br />
の 放 射 線<br />
量 率<br />
格 納 容 器 内 高 レ<br />
ンジエリアモニ<br />
タ( 高 レンジ)<br />
(10 3 ~<br />
10 8 mSv/h)<br />
(10 5 mSv<br />
/h)<br />
格 納 容 器 内 高 レンジ<br />
エリアモニタ( 低 レ<br />
ンジ)<br />
炉 心 損 傷 の 判 断 値<br />
(10 5 mSv/h)を 監 視 可<br />
能 。<br />
(※ 62 ) 申 請 者 は、 商 業 機 密 のため、 非 公 開 としている。<br />
371
設 計 基 準 事 故 ( 制 御 棒<br />
飛 び 出 し) 初 期 は 中 性<br />
子 束 が 急 激 に 上 昇 し、<br />
一 時 的 に 計 測 範 囲 を<br />
未 臨 界 の<br />
出 力 領 域 中 性 子<br />
定 格 出<br />
超 えるが、 負 のドップ<br />
維 持 又 は<br />
束<br />
力 の 約<br />
中 間 領 域 中 性 子 束<br />
ラフィードバック 効<br />
監 視<br />
(0~120%)<br />
41 倍<br />
果 により 抑 制 され 急<br />
峻 に 低 下 するため、 現<br />
状 の 計 測 範 囲 で 事 故<br />
対 応 が 可 能 。 重 大 事 故<br />
等 時 も 同 様 。<br />
重 大 事 故 等 時 の 格 納<br />
格 納 容 器 再 循 環<br />
容 器 最 高 温 度 (144℃)<br />
最 終 ヒー<br />
トシンク<br />
の 確 保<br />
ユニット 入 口 温<br />
度 / 出 口 温 度<br />
(SA)<br />
-<br />
格 納 容 器 内 温 度<br />
格 納 容 器 圧 力<br />
を 監 視 可 能 。さらに 格<br />
納 容 器 内 温 度 及 び 格<br />
納 容 器 圧 力 の 低 下 に<br />
(0~200℃)<br />
より 除 熱 状 態 を 監 視<br />
可 能 。<br />
重 大 事 故 時 の 蒸 気 発<br />
生 器 水 位 の 変 動 を 蒸<br />
格 納 容 器<br />
蒸 気 発 生 器 狭 域<br />
気 発 生 器 広 域 水 位 に<br />
バイパス<br />
水 位<br />
-<br />
蒸 気 発 生 器 広 域 水 位<br />
て 監 視 可 能 。 蒸 気 発 生<br />
の 監 視<br />
(0~100%)<br />
器 広 域 水 位 の 上 昇 に<br />
より 蒸 気 発 生 器 伝 熱<br />
管 破 損 を 推 定 。<br />
水 源 の 確<br />
保<br />
燃 料 取 替 用 水 タ<br />
ンク 水 位<br />
(0~100%)<br />
100%<br />
格 納 容 器 再 循 環 サン<br />
プ 水 位 ( 広 域 )<br />
重 大 事 故 等 時 におい<br />
て、 水 位 (0~100%)<br />
を 監 視 可 能 。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 設 計 基 準 を 超 える 状 態 における 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高<br />
計 測 可 能 温 度 等 )を 明 確 にする。<br />
b. 設 計 基 準 を 超 える 状 態 において 原 子 炉 施 設 の 状 態 を 推 定 するため<br />
の 計 測 範 囲 を 有 する 設 計 とする。<br />
372
c. 原 子 炉 格 納 容 器 内 の 温 度 、 圧 力 、 水 位 、 水 素 濃 度 及 び 放 射 線 量 率 等<br />
想 定 される 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 となるパラメータを 計 測 又 は 監<br />
視 及 び 記 録 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 全 ての 監 視 パラメータから 事<br />
象 判 別 も 含 めた 重 大 事 故 等 の 対 処 に 必 要 なパラメータを 抽 出 し、 炉 心 損 傷<br />
防 止 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 に 係 る 判 断 に 関 する 重 要 な 監 視 パ<br />
ラメータ 及 び 重 要 代 替 監 視 パラメータを 選 定 し、それらを 計 測 する 計 器 を<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 けるとともに 設 計 基 準 を 超 える 状 態 に<br />
おける 原 子 炉 施 設 の 状 態 の 把 握 能 力 ( 最 高 計 測 可 能 温 度 、 圧 力 、 水 位 、 注<br />
水 量 等 )を 明 確 にしていること、b) 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 設 計 基 準 を 超<br />
える 状 態 において、 代 替 パラメータ 及 び 可 搬 型 計 測 器 により 原 子 炉 施 設 の<br />
状 態 を 推 定 するための 計 測 範 囲 を 有 していること、c) SPDS 等 により 重 大<br />
事 故 等 の 対 応 に 必 要 となるパラメータが 一 定 期 間 保 存 される 容 量 を 有 す<br />
ること、 計 測 又 は 監 視 及 び 記 録 する 機 能 を 有 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対<br />
処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事<br />
項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確 認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、<br />
第 58 条 等 要 求 事 項 ニ)に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 である<br />
ことを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
a. 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 する 多 重<br />
化 された 重 要 計 器 のチャンネル 故 障 が 疑 われる 場 合 には、 主 要 パラメ<br />
ータの 他 チャンネル 又 は 他 ループによる 重 要 計 器 の 計 測 の 手 順 に 着<br />
手 する。<br />
b. 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 する 計 器<br />
の 故 障 が 疑 われた 場 合 、 又 は 重 大 事 故 等 時 に 監 視 している 必 要 なパラ<br />
メータの 値 が 計 器 の 計 測 範 囲 を 外 れ 確 認 できない 場 合 には、 重 要 代 替<br />
計 器 によるパラメータの 推 定 の 手 順 に 着 手 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 時 に 監 視 している 必 要 なパラメータの 値 が 計 器 の 計 測<br />
範 囲 を 外 れ 確 認 できない 場 合 、 又 は 重 大 事 故 等 時 に 直 流 電 源 が 喪 失 し<br />
た 場 合 において、 中 央 制 御 室 でのパラメータ 監 視 が 確 認 できない 場 合<br />
373
には、 可 搬 型 計 測 器 によるパラメータの 計 測 の 手 順 に 着 手 する。この<br />
手 順 では、1 計 測 点 当 たり 可 搬 型 計 測 器 の 接 続 、 計 測 等 を 計 2 名 によ<br />
り 約 20 分 で 実 施 する。<br />
d. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 には、SPDS 等 によるパラメータの 記 録<br />
の 手 順 に 着 手 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 推 定 する 手 順 の 優 先 順 位 を a.、<br />
b.の 順 に 設 定 して 明 確 化 していること、b) 計 測 される 値 の 確 からしさを 判<br />
断 の 上 で 使 用 するパラメータの 優 先 順 位 を 定 めて 有 効 な 情 報 を 把 握 する<br />
としていること、c) 可 搬 型 計 測 器 によるパラメータの 監 視 手 順 については、<br />
計 測 範 囲 、 測 定 場 所 を 明 確 にするとともに 換 算 表 等 を 定 め 必 要 な 教 育 を 行<br />
うこととしていること、d)SPDS 等 により 重 大 事 故 等 の 対 応 に 必 要 となる<br />
パラメータが 記 録 容 量 を 超 える 前 に 定 期 的 に 記 録 媒 体 に 保 存 すること、e)<br />
ヘッドライト 等 により 夜 間 等 でのアクセス 性 を 確 保 していること、f) 携 帯<br />
型 通 話 設 備 等 の 必 要 な 連 絡 手 段 を 確 保 していること、g) 作 業 環 境 ( 作 業 空<br />
間 、 温 度 等 )に 支 障 がないことなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1に 掲 げる 設 備 を 用 いた<br />
手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 イ)、ロ)、1<br />
b.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 ハ)、1c. 及 び d.の 対 策 が 第 58 条 等 要 求 事 項 ロ)<br />
に 対 応 するものであること、1d.の 対 策 が 第 58 条 のうち、 計 測 機 器 の 故 障 によ<br />
り、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 なパラメータを 計 測 することが 困 難 となっ<br />
た 場 合 において 当 該 パラメータを 推 定 するために 有 効 な 情 報 を 得 るための 対 策<br />
に 対 応 するものであること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 58 条 等 要 求 事<br />
項 ニ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその<br />
手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 58 条 等<br />
に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 している。<br />
374
これに 対 して、 申 請 者 は、 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを<br />
計 測 する 機 能 を 構 成 するフロントライン 系 及 びサポート 系 の 機 能 を 回 復 するた<br />
めの 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1)フロントライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 重 要 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)、 重 要 代 替 計 器 の 故 障 を<br />
想 定 し、 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータを 計 測 するフロント<br />
ライン 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.15-2 参 照 。)を 用 い<br />
た 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
1 重 大 事 故 等 時 に 監 視 している 必 要 なパラメータの 値 を 計 測 する 多 重 化<br />
された 重 要 計 器 のチャンネル 故 障 が 疑 われた 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 としての 要 求 事 項 を 満 たさない 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他<br />
ループの 常 用 計 器 ( 以 下 「 常 用 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」(※ 63 )<br />
という。)によるパラメータの 推 定 に 着 手 する。<br />
2 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 なパラメータの 値 が 計 器 の 計 測 範<br />
囲 を 外 れた 場 合 、 若 しくは 主 要 パラメータを 計 測 する 計 器 の 故 障 が 疑 われ<br />
た 場 合 には、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 としての 要 求 事 項 を 満 たさない 主 要 パラ<br />
メータの 代 替 パラメータを 計 測 する 常 用 代 替 計 器 ( 以 下 「 常 用 代 替 計 器 」<br />
という。)によるパラメータの 推 定 に 着 手 する。<br />
(2)サポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 直 流 電 源 の 喪 失 を 想 定 し、 重 大 事 故 等 時 に 監 視 することが 必 要 な<br />
パラメータを 計 測 するサポート 系 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.<br />
15-2 参 照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 直 流 電 源 喪 失 により、 炉 外 核 計<br />
装 装 置 、 放 射 線 監 視 設 備 のパラメータが 監 視 できない 場 合 には、 可 搬 型 バッテ<br />
リ( 炉 外 核 計 装 装 置 用 、 放 射 線 監 視 設 備 用 )による 電 源 機 能 回 復 に 着 手 すると<br />
している。この 手 順 では、 炉 外 核 計 装 装 置 の 回 復 操 作 を 計 3 名 により 約 40 分 、<br />
放 射 線 監 視 設 備 の 回 復 操 作 を 計 3 名 により 約 40 分 で 実 施 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.15-2 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
(※ 63 ) 申 請 者 は、「 当 該 パラメータの 他 チャンネル 又 は 他 ループの 常 用 計 器 」と 記 載 しているが、 分 かりやすく<br />
本 節 では「 常 用 計 器 ( 他 チャンネル 又 は 他 ループ)」と 記 載 。<br />
375
主 要 パラメータの<br />
常 用 計 器 ( 他 チャ<br />
ンネル 又 は 他 ルー<br />
プ) 及 び 常 用 代 替<br />
計 器<br />
可 搬 型 バッテリ<br />
( 炉 外 核 計 装 装 置<br />
用 、 放 射 線 監 視 設<br />
備 用 )<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 又 は 耐 環 境 性 がな<br />
いか、 若 しくは 電 源 が 非 常 用 電 源 から 供 給 されていないも<br />
のの、 使 用 可 能 な 場 合 は 事 故 対 応 時 に 有 効 な 手 段 となり 得<br />
る。<br />
例 ) 炉 心 出 口 温 度 (0~650℃)は、1 次 系 冷 却 材 高 温 側 温 度<br />
( 広 域 )の 常 用 代 替 監 視 パラメータ 計 器 であり、 可 搬 型 計<br />
測 器 を 接 続 することで、 約 1,300℃まで 計 測 可 能 となる。<br />
代 替 電 源 による 給 電 ができない 場 合 において、バッテリの<br />
容 量 に 限 度 があるものの、 炉 外 核 計 装 装 置 又 は 放 射 線 監 視<br />
設 備 等 の 専 用 電 源 とすることで、 格 納 容 器 内 高 レンジエリ<br />
アモニタ、 炉 外 中 性 子 束 の 重 要 監 視 パラメータの 定 期 的 な<br />
傾 向 監 視 を 行 う 手 段 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.16 原 子 炉 制 御 室 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 26 条 、<br />
第 59 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.16 項 関 係 )<br />
本 節 では 原 子 炉 制 御 室 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 機<br />
能 を 有 することから 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確 認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 26 条 第 1 項 第 2 号 に 基 づき 追 加 要 求 となった、<br />
原 子 炉 制 御 室 に 原 子 炉 施 設 外 の 状 況 を 把 握 できる 設 備 を 有 することを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても 運 転 員 が 原 子<br />
炉 制 御 室 にとどまるために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 59 条 及 び 重 大<br />
事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.16 項 ( 以 下 「 第 59 条 等 」という。)における 要<br />
求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請<br />
者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるか<br />
を 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 26 条 第 1 項 第 2 号 は、 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 外 の 状 況 を 把 握 する 設 備 を 有<br />
することを 要 求 している。また、 第 26 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 2 項 は、<br />
原 子 炉 制 御 室 から、 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 自 然 現 象 等<br />
を 把 握 できることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 設 備 を 整 備 する 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 59 条 等 は、 原 子 炉 制 御 室 には、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても 運 転<br />
員 がとどまるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 要 求 している。 第 59 条 等 におけ<br />
376
る「 運 転 員 がとどまるために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 措 置<br />
又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等 とし<br />
ている。<br />
イ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 が 発 生 した 場 合 の 原 子 炉 制 御 室 の 居 住 性 については 次<br />
の 要 件 を 満 たすものであること。<br />
イ)-1 第 37 条 において 想 定 する 格 納 容 器 破 損 モードのうち、 原 子 炉 制<br />
御 室 の 運 転 員 の 被 ばくの 観 点 から 結 果 が 最 も 厳 しくなる 事 故 収 束<br />
に 成 功 した 事 故 シーケンス( 例 えば、 炉 心 の 著 しい 損 傷 の 後 、 格 納<br />
容 器 圧 力 逃 がし 装 置 等 の 格 納 容 器 破 損 防 止 対 策 が 有 効 に 機 能 した<br />
場 合 )を 想 定 すること。<br />
イ)-2 運 転 員 はマスクの 着 用 を 考 慮 してもよい。ただし、その 場 合 は、<br />
実 施 のための 体 制 を 整 備 すること。<br />
イ)-3 交 代 要 員 体 制 を 考 慮 してもよい。ただし、その 場 合 は、 実 施 のた<br />
めの 体 制 を 整 備 すること。<br />
イ)-4 判 断 基 準 は、 運 転 員 の 被 ばくによる 実 効 線 量 が 7 日 間 で 100mSv<br />
を 超 えないこと。<br />
ロ) 原 子 炉 制 御 室 の 外 側 が 放 射 性 物 質 により 汚 染 したような 状 況 下 において、<br />
原 子 炉 制 御 室 への 汚 染 の 持 込 みを 防 止 するため、モニタリング、 作 業 服 の<br />
着 替 え 等 を 行 うための 区 画 を 設 けること。<br />
ハ) 原 子 炉 制 御 室 用 の 電 源 ( 空 調 及 び 照 明 等 )への 代 替 交 流 電 源 設 備 からの<br />
給 電 を 可 能 とする 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 59 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 中 央 制 御 室 遮 へいによる 適 切 な 遮 蔽 、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン、 中<br />
央 制 御 室 空 調 ファン、 中 央 制 御 室 循 環 ファン、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 フィ<br />
ルタユニットによる 室 内 の 適 切 な 空 調 管 理 のための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 による 中 央 制 御 室 内 の 濃 度 を 確 認 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 運 転 員 等 の 全 面 マスク 着 用 及 び 運 転 員 等 の 交 代 により、 運 転 員 等 の 被 ば<br />
く 線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超 えないための 体 制 の 整 備 。<br />
4 チェンジングエリア 用 資 機 材 により、 中 央 制 御 室 の 外 側 からの 汚 染 の 持<br />
込 みを 防 止 するためにチェンジングエリアを 設 ける 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 により、 中 央 制 御 室 用 の 空 調 及 び 照 明 を<br />
維 持 するための 設 備 及 び 手 順 等 (※ 64 )。<br />
(※ 64 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
377
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても、 運 転 員<br />
が 原 子 炉 制 御 室 にとどまるために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 59<br />
条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるこ<br />
とから、 第 59 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 自 主 的 に 上 記 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
ることにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 26 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 26 条 の 規 定 に 適 合 するため、 同 条 第 1 項 第 2 号 の 追 加 要 求 規<br />
定 について、 以 下 の 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
1 原 子 炉 施 設 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 のある 自 然 現 象 等 や 発 電 所 構 内 の 状<br />
況 ( 海 側 、 山 側 )を 昼 夜 にわたり 把 握 するため、 暗 視 機 能 等 を 持 った 監 視<br />
カメラや 気 象 観 測 設 備 等 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
2 公 的 機 関 からの 地 震 、 津 波 、 竜 巻 情 報 等 について、 中 央 制 御 室 において<br />
把 握 できる 装 置 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 計 が、 監 視 カメラ、 気 象 観 測 設 備 等 を 設 置 するこ<br />
とにより、 原 子 炉 制 御 室 から 原 子 炉 施 設 外 の 状 況 を 昼 夜 にわたり 把 握 すること<br />
ができる 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 す<br />
るものと 判 断 した。<br />
(2) 第 59 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 59 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 中 央 制 御 室 遮 へい、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 等 の 中 央 制 御 室 空<br />
調 装 置 により、 重 大 事 故 時 に 環 境 に 放 出 された 放 射 性 物 質 による 放 射<br />
線 被 ばくから 運 転 員 等 を 防 護 し 居 住 性 を 確 保 。そのために、 中 央 制 御<br />
室 遮 へい、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 とし<br />
て 位 置 付 ける。また、 運 転 員 等 の 全 面 マスクの 着 用 のための 手 順 等 及<br />
378
び 運 転 員 等 の 交 代 のための 体 制 を 整 備 し、 事 故 シーケンスを 想 定 した<br />
上 で 運 転 員 等 の 被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超<br />
えないようにする。<br />
b. 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 により 中 央 制 御 室 内 の 濃 度 を 確<br />
認 。そのため、 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 を 重 大 事 故 等 対 処 設<br />
備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 可 搬 型 照 明 (SA)により 中 央 制 御 室 の 照 明 を 確 保 。そのために、 可<br />
搬 型 照 明 (SA)を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
d. チェンジングエリアを 設 けることにより、 中 央 制 御 室 への 汚 染 の 持<br />
込 みを 防 止 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 応 が 第 59 条 等 要 求 事 項 イ)、 上 記 d.の 対 応<br />
が 第 59 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン、 中 央 制 御 室 空 調 ファン 及 び 中 央 制 御<br />
室 循 環 ファンは、2 系 統 を 有 し、また 3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 によって<br />
多 重 性 を 備 える。<br />
b. 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 は、 保 管 場 所 を 分 散 させるととも<br />
に、 必 要 な 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 する。<br />
c. 可 搬 型 照 明 (SA)は 中 央 制 御 室 照 明 に 対 して 多 様 性 を 備 え、その 保<br />
管 場 所 を 分 散 させるとともに、 必 要 な 数 (バックアップを 含 む。)を<br />
確 保 する。<br />
d. 中 央 制 御 室 の 空 調 及 び 照 明 に 対 して、 代 替 電 源 設 備 から 給 電 ができ<br />
る 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 中 央 制 御 室 遮 へいによる 遮 蔽 、<br />
中 央 制 御 室 空 調 ファン、 中 央 制 御 室 循 環 ファンによる 空 調 管 理 に 加 え、 外<br />
気 を 遮 断 し、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 及 び 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 フィ<br />
ルタユニットを 介 することによる 適 切 な 空 調 管 理 により 居 住 性 を 確 保 で<br />
きること、また、 全 面 マスクの 着 用 及 び 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 交 代 を 考 慮<br />
することで 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばくによる 実 効 線 量 の 低 減 を 図 り、 運<br />
転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超<br />
えない 方 針 であること、b) 酸 素 濃 度 計 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 により、 外 気<br />
の 遮 断 以 降 、 室 内 の 濃 度 の 確 認 ができること、c) 可 搬 型 照 明 (SA)は、デ<br />
ィーゼル 発 電 機 に 対 して 多 様 性 を 持 った 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 で<br />
379
きること、d) 中 央 制 御 室 の 代 替 電 源 設 備 は、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 とし、 独<br />
立 した 電 源 供 給 ラインより 給 電 が 可 能 であることから、 外 部 電 源 及 びディ<br />
ーゼル 発 電 機 に 対 して 多 様 性 、 独 立 性 を 有 していること 及 び 異 なる 区 画 に<br />
設 置 することにより 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
なお、3 号 炉 及 び 4 号 炉 重 大 事 故 発 生 時 の 中 央 制 御 室 内 での 運 転 員 ( 当<br />
直 員 ) 等 の 被 ばくによる 実 効 線 量 については、 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ば<br />
くの 観 点 から、 最 も 結 果 が 厳 しくなる 事 故 収 束 に 成 功 したシーケンスとし<br />
て、 過 圧 破 損 ( 大 破 断 LOCA+ECCS 注 入 失 敗 + 格 納 容 器 スプレイ 失 敗 )を<br />
想 定 し、 遮 蔽 、 空 調 管 理 、 全 面 マスクの 着 用 及 び 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 交<br />
代 を 考 慮 した 上 で、7 日 間 で 約 21mSv であることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から c.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
また、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.に 掲 げる 対 策 が 第 59 条 等 要 求 事 項<br />
イ)-4に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 手 順 等 は 以 下 のとおりとしている。<br />
a. 非 常 用 炉 心 冷 却 設 備 作 動 信 号 発 信 又 は 中 央 制 御 室 エリアモニタ 線<br />
量 率 高 信 号 発 信 による 中 央 制 御 室 換 気 系 隔 離 信 号 の 発 信 が 確 認 され<br />
た 場 合 には、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 ファン 等 で 構 成 する 中 央 制 御 室 空<br />
調 装 置 の 起 動 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 非 常 用 循<br />
環 ファンの 起 動 、 中 央 制 御 室 外 気 取 入 ダンパ 及 び 中 央 制 御 室 排 気 ライ<br />
ンの 全 てのダンパの 閉 止 、 中 央 制 御 室 事 故 時 外 気 隔 離 モードの 運 転 を<br />
中 央 制 御 室 において 1 名 で 確 認 する。<br />
b. 全 交 流 動 力 電 源 喪 失 により、 中 央 制 御 室 空 調 装 置 が 中 央 制 御 室 事 故<br />
時 外 気 隔 離 モードにできない 場 合 には、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 系 の 起<br />
動 操 作 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 非 常 用 循 環 系 を<br />
運 転 するため、 現 場 でのダンパの 開 操 作 を 計 3 名 により 約 1 時 間 35<br />
分 で 実 施 する。<br />
c. 重 大 事 故 が 発 生 し、 炉 心 出 口 温 度 等 により 炉 心 損 傷 が 予 想 される 事<br />
態 となった 場 合 又 は 炉 心 損 傷 に 至 った 場 合 には、 運 転 員 等 の 内 部 被 ば<br />
くを 低 減 するために 全 面 マスクの 着 用 及 び 運 転 員 事 故 時 勤 務 体 制 へ<br />
移 行 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 にとどまる 運 転<br />
員 等 が 全 面 マスクを 着 用 する。<br />
380
d. 中 央 制 御 室 空 調 装 置 が 中 央 制 御 室 事 故 時 外 気 隔 離 モードとなった<br />
場 合 には、 中 央 制 御 室 内 の 酸 素 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 の 測 定 を 行 う 手 順<br />
に 着 手 する。この 手 順 では、 中 央 制 御 室 の 酸 素 濃 度 及 び 二 酸 化 炭 素 濃<br />
度 の 測 定 を 1 名 で 実 施 する。<br />
e. 中 央 非 常 用 照 明 が 使 用 できない 場 合 には、 可 搬 型 照 明 (SA)による<br />
中 央 制 御 室 の 照 明 を 確 保 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 中 央 制 御<br />
室 において 照 明 を 確 保 するもので、1 名 により 約 20 分 で 実 施 する。<br />
f. 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 ( 平 成 11 年 法 律 第 156 号 ) 第 10 条 特<br />
定 事 象 が 発 生 した 場 合 には、 中 央 制 御 室 への 汚 染 の 持 込 みを 防 止 する<br />
ため、 身 体 サーベイ、 防 護 具 の 着 替 え 等 を 行 うためのチェンジングエ<br />
リアを 設 置 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、チェンジングエリア<br />
の 設 置 を 計 2 名 により 約 1 時 間 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、<br />
b) 中 央 制 御 室 の 居 住 性 を 確 保 するための 手 順 等 について、 中 央 制 御 室 の 適<br />
切 な 空 調 管 理 を 行 うための 手 順 等 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保 するととも<br />
に 必 要 な 訓 練 を 実 施 するとしていること、c) 運 転 員 ( 当 直 員 ) 等 の 被 ばく<br />
線 量 が 実 効 線 量 において 7 日 間 で 100mSv を 超 えないための 手 順 等 を 整 備<br />
していること、d) 可 搬 型 照 明 (SA)の 保 管 、 配 備 のための 手 順 等 を 整 備 し<br />
ていること、e) 中 央 制 御 室 に 汚 染 を 持 ち 込 まないようにするための 手 順 等<br />
を 整 備 していることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から d.に 掲 げる 設<br />
備 を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手<br />
順 等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.の 対 策 が 第 59 条 等 要 求 事 項 イ)、1d.の<br />
対 策 が 第 59 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1a.の 対 策 が 第 59<br />
条 等 要 求 事 項 イ)-4に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1a.から d.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針<br />
であることから、 第 59 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
381
これに 対 して、 申 請 者 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても 運 転 員 等 が 中 央<br />
制 御 室 にとどまるための 多 様 性 拡 張 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 中 央 制 御 室 の 照 明 確 保 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 中 央 制 御 室 内 の 照 明 確 保 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.16-1 参 照 。)<br />
を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 設 備 が 健 全 である 場 合 、 中 央 非 常 用 照 明 は 通 常 時<br />
に 使 用 する 設 備 であり、 継 続 して 使 用 するとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ―4.16-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
中 央 非 常 用 照 明 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
いものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 には、 可 搬 型 照 明 (SA)の 代<br />
替 設 備 となり 得 る。<br />
Ⅳ-4.17 監 視 測 定 設 備 及 び 監 視 測 定 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 31 条 、<br />
第 60 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.17 項 関 係 )<br />
本 節 では、 監 視 測 定 設 備 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の<br />
機 能 を 有 することから、 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確 認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 31 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 5 項 に 基 づき 追<br />
加 要 求 となった、モニタリングポストを 非 常 用 所 内 電 源 に 接 続 しない 場 合 には 無 停<br />
電 電 源 等 により 電 源 復 旧 まで 電 力 を 供 給 できる 設 計 であること、また、モニタリン<br />
グポストの 伝 送 系 は 多 様 性 を 有 する 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に 発 電 所 及 びその 周 辺<br />
( 発 電 所 の 周 辺 海 域 を 含 む。)において 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃<br />
度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を 記 録 すること、また、 風<br />
向 、 風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 するために 申 請 者 が 計 画<br />
する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 60 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.17 項 ( 以<br />
下 「 第 60 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される<br />
方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対<br />
処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
382
(1) 第 31 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解 釈 第 5 項 は、モニタリングポストについて、<br />
非 常 用 所 内 電 源 に 接 続 しない 場 合 には 無 停 電 電 源 等 により 電 源 復 旧 までの 期<br />
間 を 担 保 できる 設 計 であること、また、モニタリングポストの 伝 送 系 は 多 様 性<br />
を 有 する 設 計 とすることを 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 設 備 を 整 備 する 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 60 条 等 は、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に 発 電 所 及 びその 周 辺 ( 発 電 所 の<br />
周 辺 海 域 を 含 む。)において 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び<br />
放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を 記 録 すること、また、 風 向 、<br />
風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 することができる 設 備 及<br />
び 手 順 等 の 整 備 を 要 求 している。 第 60 条 等 における「 原 子 炉 施 設 から 放 出 さ<br />
れる 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を<br />
記 録 することができる 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手 順 等 又<br />
はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 炉 心 の 著 しい 損 傷 及 び 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 が 発 生 した 場 合 に 放 出 され<br />
ると 想 定 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並<br />
びにその 結 果 を 記 録 できる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 常 設 モニタリング 設 備 (モニタリングポスト 等 )が 機 能 喪 失 しても 代 替<br />
し 得 る 十 分 な 台 数 のモニタリングカー 又 は 可 搬 型 代 替 モニタリング 設 備<br />
の 配 備 。<br />
ハ) 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 に、 発 電 所 において 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象<br />
条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 できる 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ニ) 代 替 交 流 電 源 設 備 から 常 設 モニタリング 設 備 への 給 電 を 可 能 とする 設 備<br />
及 び 手 順 等 。<br />
ホ) 敷 地 外 でのモニタリングについて、 他 の 機 関 との 適 切 な 連 携 体 制 を 構 築<br />
する 手 順 等 。<br />
へ) 事 故 後 の 周 辺 汚 染 により 測 定 ができなくなることを 避 けるため、バック<br />
グラウンド 低 減 対 策 手 段 の 検 討 。<br />
申 請 者 は、 第 60 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 重 大 事 故 等 時 の 発 電 所 敷 地 境 界 付 近 の 放 射 線 量 は、モニタリングステー<br />
ション 及 びモニタリングポストにより 監 視 及 び 測 定 し、その 結 果 を 記 録 す<br />
るための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
2 モニタリングステーション 又 はモニタリングポストが 機 能 喪 失 した 場<br />
383
合 に、 可 搬 型 モニタリングポストによる 放 射 線 量 の 代 替 測 定 及 びその 結 果<br />
を 記 録 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
3 モニタリングカー 搭 載 機 器 が 機 能 喪 失 した 場 合 に、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器<br />
等 による 放 射 性 物 質 の 濃 度 の 代 替 測 定 及 びその 結 果 を 記 録 するための 設<br />
備 及 び 手 順 等 。<br />
4 発 電 所 及 びその 周 辺 ( 周 辺 海 域 を 含 む。)において、 可 搬 型 放 射 線 計 測<br />
器 等 により、 発 電 所 から 放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 の 測 定<br />
とその 結 果 を 記 録 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 気 象 観 測 設 備 が 機 能 喪 失 した 場 合 に 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 による 風 向 、 風<br />
速 その 他 の 気 象 条 件 の 代 替 測 定 及 びその 結 果 を 記 録 するための 設 備 及 び<br />
手 順 等 。<br />
6 代 替 交 流 電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 により、モニタ<br />
リングステーション 及 びモニタリングポストでの 放 射 線 量 の 監 視 、 測 定 を<br />
継 続 するための 設 備 及 び 手 順 等 (※ 65 )。<br />
7 敷 地 外 でのモニタリングについては、 国 、 地 方 公 共 団 体 と 連 携 して 策 定<br />
されるモニタリング 計 画 に 従 って 実 施 する 体 制 の 構 築 。<br />
8 バックグラウンド 低 減 対 策 により、 事 故 後 の 周 辺 汚 染 による 測 定 不 能 状<br />
態 を 回 避 するための 手 順 等 。<br />
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 が 発 生 した 場 合 においても、 発 電 所<br />
及 びその 周 辺 ( 周 辺 海 域 を 含 む。)において 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 性<br />
物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 びにその 結 果 を 記 録 するこ<br />
と、 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 測 定 し、 及 びその 結 果 を 記 録 するために 申<br />
請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 について、 第 60 条 等 における 各 々の 要 求 事 項<br />
に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 60 条 等 に 適 合 す<br />
るものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 以 外<br />
の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実<br />
施 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
(※ 65 ) 代 替 電 源 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 する 手 順 等 」<br />
において 整 理 。<br />
384
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 31 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 31 条 の 規 定 に 適 合 するため、 第 31 条 の 設 置 許 可 基 準 規 則 解<br />
釈 第 5 項 の 追 加 要 求 規 定 について、 以 下 の 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
1 モニタリングステーション 及 びモニタリングポストは、 非 常 用 所 内 電 源<br />
に 接 続 するとともに、モニタリングステーション 及 びモニタリングポスト<br />
専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 を 有 し、 電 源 切 替 え 時 の 短 時 間 の 停 電 時 に 電 源 を 供<br />
給 できる 設 計 とする。<br />
2 中 央 制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 までのデータの 伝 送 系 は、 有 線 及 び 無 線 に<br />
より 多 様 性 を 有 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 監 視 測 定 設 備 の 設 計 において、モニタリングス<br />
テーション 及 びモニタリングポストは、 非 常 用 所 内 電 源 に 接 続 するとともに、<br />
電 源 切 替 え 時 の 停 電 時 に 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 により 電 源 供 給 することで、 電<br />
源 復 旧 までの 期 間 を 担 保 することができる 方 針 としていること、また、これら<br />
の 伝 送 系 は 有 線 及 び 無 線 によって 多 様 性 を 有 するものとする 方 針 としている<br />
ことを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 しているものと 判 断 した。<br />
(2) 第 60 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 60 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
a. 重 大 事 故 等 時 の 発 電 所 敷 地 境 界 付 近 の 放 射 線 量 は、モニタリングス<br />
テーション 及 びモニタリングポストにより 監 視 し、 及 び 測 定 し、 並 び<br />
にその 結 果 を 記 録 する。そのために、モニタリングステーション 及 び<br />
モニタリングポストを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 位 置 付 ける。<br />
b. モニタリングステーション 又 はモニタリングポストが 機 能 喪 失 し<br />
た 場 合 、 可 搬 型 モニタリングポストにより、 放 射 線 量 を 代 替 測 定 し、<br />
その 結 果 を 記 録 する。そのために、 可 搬 型 モニタリングポストを 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. モニタリングカー 搭 載 機 器 が 機 能 喪 失 した 場 合 、 可 搬 型 放 射 線 計 測<br />
器 (GM 汚 染 サーベイメータ 及 び NaI シンチレーションサーベイメー<br />
タ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラにより、 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 代 替 測 定<br />
し、その 結 果 を 記 録 する。そのために、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚<br />
染 サーベイメータ 及 び NaI シンチレーションサーベイメータ) 及 び 可<br />
搬 型 ダストサンプラを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
385
d. 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ、NaI シンチレーショ<br />
ンサーベイメータ、ZnS シンチレーションサーベイメータ 及 び 電 離 箱<br />
サーベイメータ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラにより、 発 電 所 及 びその<br />
周 辺 ( 周 辺 海 域 測 定 時 は 小 型 船 舶 に 積 載 )において、 原 子 炉 施 設 から<br />
放 出 される 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 を 測 定 し、その 結 果 を 記 録<br />
する。そのために、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ、<br />
NaI シンチレーションサーベイメータ、ZnS シンチレーションサーベ<br />
イメータ 及 び 電 離 箱 サーベイメータ)、 可 搬 型 ダストサンプラ 及 び 小<br />
型 船 舶 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 気 象 観 測 設 備 が 機 能 喪 失 した 場 合 、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 により 風 向 、<br />
風 速 その 他 の 気 象 条 件 を 代 替 測 定 し、その 結 果 を 記 録 する。そのため<br />
に、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
f. 敷 地 外 でのモニタリングについては、 国 、 地 方 公 共 団 体 と 連 携 して<br />
策 定 するモニタリング 計 画 に 従 って 実 施 する 体 制 を 構 築 する。<br />
g. 重 大 事 故 等 による 周 辺 汚 染 に 対 しては、 検 出 器 等 の 養 生 、 周 辺 土 壌<br />
の 撤 去 、 樹 木 の 伐 採 等 により、モニタリングステーション、モニタリ<br />
ングポストのバックグラウンドの 低 減 対 策 を 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.から d.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 イ) 及 びロ)、<br />
上 記 e.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ハ)、 上 記 f.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求<br />
事 項 ニホ)、 上 記 g.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ホ)、 上 記 h.の 対 策 が 第<br />
60 条 等 要 求 事 項 へ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 可 搬 型 モニタリングポストは、モニタリングステーション、モニタ<br />
リングポストに 対 して 多 様 性 を 備 えた 設 計 とし、 位 置 的 分 散 を 図 る 設<br />
計 とするとともに、 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
b. 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ、NaI シンチレーショ<br />
ンサーベイメータ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラは、モニタリングカー<br />
搭 載 機 器 に 対 して 多 様 性 を 備 えた 設 計 とし、 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 と<br />
するとともに、 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
c. 電 離 箱 サーベイメータは、 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
d. 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 については、 気 象 観 測 設 備 に 対 する 位 置 的 分 散<br />
を 図 る 設 計 とするとともに、 代 替 測 定 に 必 要 な 台 数 を 確 保 する。<br />
386
e. 小 型 船 舶 は、 周 辺 海 域 での 放 射 線 量 等 の 測 定 に 必 要 な 台 数 を 確 保 す<br />
る。<br />
f. モニタリングステーション 又 はモニタリングポストに 対 して、 代 替<br />
電 源 設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 できる 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 可 搬 型 モニタリングポストは、<br />
モニタリングステーション 及 びモニタリングポストに 対 して、 放 射 線 量 の<br />
代 替 測 定 に 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 するとともに、モ<br />
ニタリングステーション 及 びモニタリングポストに 対 して、 異 なる 場 所 で<br />
かつ 耐 震 性 を 有 する 建 屋 内 に 保 管 することで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とす<br />
ること、b) 電 離 箱 サーベイメータは、 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)<br />
を 確 保 すること、c) 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 は、 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象 条 件<br />
の 代 替 測 定 に 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 するとともに、<br />
気 象 観 測 設 備 に 対 して、 異 なる 場 所 でかつ 耐 震 性 を 有 する 建 屋 内 に 保 管 す<br />
ることで 位 置 的 分 散 を 図 る 設 計 とすること、d) 小 型 船 舶 は、 周 辺 海 域 での<br />
放 射 性 物 質 の 濃 度 、 放 射 線 量 の 測 定 を 行 うために 必 要 な 測 定 装 置 及 び 要 員<br />
を 積 載 できるとともに、 必 要 な 台 数 (バックアップを 含 む。)を 確 保 する<br />
こと、e)モニタリングステーション 及 びモニタリングポストは、 代 替 電 源<br />
設 備 である 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からの 給 電 に 対 応 した 設 計 とすることを<br />
確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から f.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1の 方 針 に 従 って 整 備 する 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
a. モニタリングステーション 及 びモニタリングポストは、 通 常 時 から<br />
放 射 線 量 を 連 続 測 定 し、その 結 果 を 記 録 する。モニタリングステーシ<br />
ョン 及 びモニタリングポストによる 放 射 線 量 の 測 定 は、 手 順 を 要 する<br />
ものではなく 自 動 的 な 連 続 測 定 である。<br />
b. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 後 、モニタリングステーション 又 はモニタリ<br />
ングポストの 放 射 線 量 の 測 定 機 能 が 喪 失 したことを 中 央 制 御 室 の 指<br />
示 値 及 び 警 報 表 示 により 確 認 した 場 合 、 可 搬 型 モニタリングポストに<br />
よる 放 射 線 量 の 代 替 測 定 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 計 2 名 で 可<br />
387
搬 型 モニタリングポストを 順 次 3 個 配 置 する 場 合 には 約 1 時 間 50 分<br />
で 実 施 する。 測 定 データは、 緊 急 時 対 策 所 に 自 動 伝 送 され、 記 録 され<br />
る。<br />
c. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 後 、モニタリングカーに 搭 載 しているダス<br />
ト・よう 素 サンプラ 又 はダスト・よう 素 測 定 装 置 が 測 定 機 能 を 喪 失 し<br />
た 場 合 、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 (GM 汚 染 サーベイメータ 及 び NaI シン<br />
チレーションサーベイメータ) 及 び 可 搬 型 ダストサンプラによる 空 気<br />
中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 の 測 定 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 計 2<br />
名 で 車 両 にて 移 動 後 、 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 最 も 時 間 を 要 する 場 合 に<br />
おいても 1 箇 所 当 たり 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
d. 排 気 筒 ガスモニタ 等 の 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、 測 定 が 必<br />
要 と 判 断 した 場 合 、 空 気 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 する 手 順 に 着 手<br />
する。この 手 順 では、 計 2 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 最 も 時 間 を 要 す<br />
る 場 合 においても 1 箇 所 当 たり 約 2 時 間 で 実 施 する。<br />
e. 廃 棄 物 処 理 設 備 排 水 モニタの 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、 排<br />
水 に 放 射 性 物 質 が 放 出 された 場 合 、 又 はそのおそれがある 場 合 に、 水<br />
中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 計<br />
3 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 約 6 時 間 20 分 で 実 施 する。<br />
f. 排 気 筒 ガスモニタ 等 の 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、 測 定 が 必<br />
要 と 判 断 した 場 合 、 土 壌 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 する 手 順 に 着 手<br />
する。この 手 順 では、 計 32 名 で 測 定 及 び 記 録 を 行 い、 最 も 時 間 を 要<br />
する 場 合 においても 1 箇 所 当 たり 約 1 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
g. 排 気 筒 ガスモニタの 指 示 値 等 により 放 射 線 量 を 確 認 し、モニタリン<br />
グが 必 要 と 判 断 された 場 合 には、 小 型 船 舶 を 用 いた 海 上 モニタリング<br />
の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 船 舶 の 着 水 までの 作 業 を 計 3 名 で<br />
約 1 時 間 で 実 施 し、 測 定 場 所 への 移 動 、 試 料 採 取 、 測 定 及 び 記 録 を 含<br />
め 計 3 名 で 1 箇 所 当 たり 約 1 時 間 40 分 で 実 施 する。<br />
h. 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 第 10 条 特 定 事 象 と 判 断 した 場 合 、 可 搬<br />
型 エリアモニタによる 放 射 線 量 を 測 定 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順<br />
では、 計 2 名 で 順 次 8 台 配 置 する 場 合 には 約 3 時 間 で 実 施 する。 測 定<br />
データは、 緊 急 時 対 策 所 に 自 動 伝 送 され、 記 録 される。<br />
i. 気 象 観 測 設 備 の 測 定 機 能 が 喪 失 したことを 中 央 制 御 室 の 指 示 値 及<br />
び 警 報 表 示 により 確 認 した 場 合 、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 による 風 向 、 風<br />
速 その 他 の 気 象 条 件 の 測 定 の 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 装 置 の<br />
配 置 を 計 4 名 、 約 3 時 間 で 実 施 する。 測 定 データは、 緊 急 時 対 策 所 に<br />
自 動 伝 送 され、 記 録 される。<br />
388
j. 敷 地 外 でのモニタリングについては、 国 が 立 ち 上 げる 緊 急 時 モニタ<br />
リングセンターにおいて、 国 、 地 方 公 共 団 体 と 連 携 して 策 定 するモニ<br />
タリング 計 画 に 従 って 実 施 する。<br />
k. 放 射 性 物 質 放 出 のおそれがあると 判 断 した 場 合 、バックグラウンド<br />
低 減 対 策 の 手 順 に 着 手 し、モニタリングステーション、モニタリング<br />
ポストの 検 出 器 等 の 養 生 を 実 施 する。また、バックグラウンド 値 が 通<br />
常 より 高 い 場 合 には、 設 備 の 除 染 、 土 壌 の 撤 去 、 周 辺 樹 木 の 伐 採 等 に<br />
より、バックグラウンド 低 減 対 策 を 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、<br />
b) 原 子 炉 施 設 から 放 出 される 放 射 線 量 の 測 定 について、 可 搬 型 モニタリン<br />
グポストの 運 搬 、 機 器 据 え 付 け、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保<br />
していること、c) 空 気 中 、 水 中 及 び 土 壌 中 の 放 射 性 物 質 の 濃 度 の 測 定 につ<br />
いて、 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 の 運 搬 、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確<br />
保 していること、d) 海 上 での 放 射 性 物 質 の 濃 度 及 び 放 射 線 量 の 測 定 につい<br />
て、 小 型 船 舶 の 準 備 、 電 離 箱 サーベイメータ 及 び 可 搬 型 放 射 線 計 測 器 の 運<br />
搬 、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保 していること、e) 風 向 、 風 速<br />
その 他 の 気 象 条 件 の 測 定 について、 可 搬 型 気 象 観 測 装 置 の 運 搬 、 機 器 据 え<br />
付 け、 測 定 の 手 順 を 整 備 し、 必 要 な 人 員 を 確 保 していること、f) 敷 地 外 で<br />
のモニタリングについての 国 、 地 方 公 共 団 体 との 連 携 体 制 を 整 備 している<br />
こと、g) 周 辺 汚 染 により 測 定 ができなくなることを 避 けるためのバックグ<br />
ラウンド 低 減 対 策 の 手 順 等 を 整 備 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から fg.に 掲 げる 設<br />
備 を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.0 項 ( 手<br />
順 等 に 関 する 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であ<br />
ることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.から d.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 イ) 及<br />
びロ)、1e.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ハ)、1f.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項<br />
ニホ)、1g.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項 ホ)、1h.の 対 策 が 第 60 条 等 要 求 事 項<br />
ヘ)に 対 応 するものであること、1a.から hg.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 び<br />
その 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 60<br />
条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 応 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
389
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 対 処 のための 設 備 及 び 手 順 等 の 多<br />
様 性 を 拡 げることにより 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するため、 更 なる<br />
対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 放 射 線 量 等 を 監 視 測 定 するための 多 様 性 拡 張 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 放 射 線 量 等 の 測 定 のための 自 主 的 な 対 策 としての 設 備 及 び 手 順<br />
申 請 者 は、 放 射 線 量 等 の 測 定 を 行 うための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.17-1 参 照 。)<br />
を 用 いた 主 な 手 順 等 の 方 針 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 モニタリングカーは、 通 常 時 より 放 射 性 物 質 の 濃 度 を 測 定 しているもの<br />
であり、 重 大 事 故 等 発 生 時 においてもその 機 能 が 健 全 であれば 継 続 して 使<br />
用 する。<br />
2 プラント 状 況 によって、 事 故 対 応 に 有 効 な 場 合 、 重 大 事 故 等 発 生 時 にお<br />
いてもその 機 能 が 健 全 であれば Geγ 線 多 重 波 高 分 析 装 置 、 可 搬 型 Geγ 線<br />
多 重 波 高 分 析 装 置 、β 線 自 動 計 数 装 置 及 び ZnS シンチレーション 計 数 装 置<br />
による 測 定 に 着 手 する。<br />
3 気 象 観 測 設 備 は、 通 常 時 より 風 向 、 風 速 等 の 気 象 データを 連 続 的 に 測 定<br />
しているものであり、 重 大 事 故 等 発 生 時 においてもその 機 能 が 健 全 であれ<br />
ば 継 続 して 使 用 する。<br />
(2) 放 射 線 量 等 の 測 定 の 機 能 を 回 復 させるための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、モニタリングステーション 及 びモニタリングポストへの 交 流 電 源<br />
の 供 給 が 途 絶 えた 場 合 の 給 電 のための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.17-1 参 照 。)を 用<br />
いた 主 な 設 備 及 び 手 順 等 の 方 針 を 以 下 のとおりとしている。<br />
1 モニタリングステーション 又 はモニタリングポストの 交 流 電 源 が 喪 失<br />
した 場 合 、 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 及 び 非 常 用 発 電 機 から 給 電 を 開 始 する。<br />
給 電 状 況 は 中 央 制 御 室 において 確 認 する。<br />
2 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 からC 特 高 開 閉 所 コントロールセンタを 経 由 して<br />
モニタリングステーション 又 はモニタリングポストへの 給 電 が 開 始 され<br />
た 場 合 、 専 用 の 無 停 電 電 源 装 置 及 び 非 常 用 発 電 機 から 大 容 量 空 冷 式 発 電 機<br />
に 自 動 で 切 り 替 わる。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.17-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
390
設 備 名<br />
モ ニ タ リ ン グ<br />
カー<br />
Ge γ 線 多 重 波<br />
高 分 析 装 置 、 可<br />
搬 型 Geγ 線 多<br />
重 波 高 分 析 装<br />
置 、ZnS シンチ<br />
レ ー シ ョ ン 計<br />
数 装 置 、β 線 自<br />
動 計 数 装 置<br />
気 象 観 測 設 備<br />
モ ニ タ リ ン グ<br />
ス テ ー シ ョ ン<br />
及 び モ ニ タ リ<br />
ン グ ポ ス ト 専<br />
用 の 無 停 電 電<br />
源 装 置 、 及 び 非<br />
常 用 発 電 機<br />
多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
通 常 時 より 使 用 しており、 重 大 事 故 等 時 に 使 用 できる 場 合 は、<br />
測 定 手 段 として 有 効 である。<br />
耐 震 性 としては 十 分 でなく、また、 同 様 な 機 能 を 有 する 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 と 比 較 し、 測 定 終 了 までに 時 間 を 要 するため、 重<br />
大 事 故 発 生 後 初 期 には 期 待 できないものの、 放 射 性 物 質 の 濃 度<br />
測 定 手 段 となり 得 る。<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
いものの、 設 備 が 健 全 な 場 合 には、 風 向 、 風 速 その 他 の 気 象 条<br />
件 の 監 視 、 測 定 及 び 記 録 する 手 段 として 有 効 である。<br />
モニタリングステーション 又 はモニタリングポストの 受 電 設<br />
備 の 故 障 等 のため、 受 電 ができない 場 合 に 対 して、モニタリン<br />
グステーション 又 はモニタリングポストの 機 能 維 持 に 有 効 で<br />
ある。<br />
Ⅳ-4.18 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 ( 第 34 条 、<br />
第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18 項 関 係 )<br />
本 節 では、3 号 炉 及 び 4 号 炉 共 用 である 緊 急 時 対 策 所 について、 設 計 基 準 対 象 施<br />
設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の 機 能 を 有 することから 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確<br />
認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 34 条 に 基 づき、 発 電 用 原 子 炉 施 設 に 異 常 が 発 生<br />
した 場 合 に 適 切 な 措 置 をとるため、 緊 急 時 対 策 所 を 原 子 炉 制 御 室 以 外 の 場 所 に 設 け<br />
る 設 計 とすることを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 緊 急 時 対 策 所 に 関 し、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合<br />
においても 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 適 切 な 措 置 が 講 じられるために 申 請 者 が<br />
計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 61 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.18<br />
項 ( 以 下 「 第 61 条 等 」という。)における 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備<br />
される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申 請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等<br />
391
への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であるかを 確 認 した。<br />
本 申 請 では 緊 急 時 対 策 所 として、 代 替 緊 急 時 対 策 所 と 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策<br />
棟 内 )を 設 置 するとしている。また、 本 申 請 では、 初 めに 緊 急 時 対 策 所 として 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 が 整 備 され、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 ) 設 置 後 においては、 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 は、その 機 能 に 係 る 設 備 も 含 めて 緊 急 時 対 策 所 として 使 用 しないと<br />
している。<br />
本 節 では、 緊 急 時 対 策 所 としての 対 策 、 設 計 方 針 等 がほぼ 同 一 であることから、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 について 記 述 し、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )については 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 と 異 なる 箇 所 についてのみ 記 述 することとした。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 34 条 は、 一 次 冷 却 材 系 統 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 損 壊 その 他 の 異 常 が<br />
発 生 した 場 合 に 適 切 な 措 置 をとるために、 緊 急 時 対 策 所 を 原 子 炉 制 御 室 以 外 の<br />
場 所 に 設 置 することを 追 加 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 緊 急 時 対 策 所 を 整<br />
備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 61 条 等 は、 緊 急 時 対 策 所 に 関 し、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても<br />
当 該 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 適 切 な 措 置 が 講 じられるよう、1 重 大 事 故 等<br />
に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う 対 策 要 員 がとどまることができる 適 切 な<br />
措 置 を 講 じること、2 必 要 な 指 示 ができるよう、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために<br />
必 要 な 情 報 を 把 握 できる 設 備 を 設 けること、3 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必<br />
要 のある 場 所 と 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 を 設 けること、4 重 大 事 故 等<br />
に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要 員 を 収 容 できること 及 びこれらの 手 順 等<br />
を 整 備 することを 要 求 している。 第 61 条 等 における 緊 急 時 対 策 所 とは、 以 下<br />
に 掲 げる 措 置 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 措 置 を 行 うための 設 備 及<br />
び 手 順 等 を 整 備 したものとしている。<br />
イ) 基 準 地 震 動 による 地 震 力 に 対 し、 免 震 機 能 等 により、 緊 急 時 対 策 所 の 機<br />
能 を 喪 失 しないようにするとともに、 基 準 津 波 の 影 響 を 受 けないこと。<br />
ロ) 緊 急 時 対 策 所 と 原 子 炉 制 御 室 は 共 通 要 因 により 同 時 に 機 能 喪 失 しないこ<br />
と。<br />
ハ) 緊 急 時 対 策 所 は、 代 替 交 流 電 源 からの 給 電 を 可 能 とすること。また、 当<br />
該 代 替 電 源 設 備 を 含 めて 緊 急 時 対 策 所 の 電 源 設 備 は、 多 重 性 又 は 多 様 性 を<br />
有 すること。<br />
ニ) 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 が 確 保 され、 対 策 要 員 がとどまることができるよ<br />
うに、 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 を 行 うこと。<br />
392
ホ) 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 については、 第 61 条 等 に 定 める 要 件 (※ 66 )に<br />
適 合 するものとすること。<br />
へ) 対 策 要 員 の 装 備 ( 線 量 計 及 びマスク 等 )が 配 備 され、 放 射 線 管 理 が 十 分<br />
できること。<br />
ト) 資 機 材 及 び 対 策 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 整 備 すること。<br />
チ) 少 なくとも 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 、 活 動 するための 飲 料 水 及 び 食<br />
料 等 を 備 蓄 すること。<br />
リ) 緊 急 時 対 策 所 の 外 側 が 放 射 性 物 質 により 汚 染 したような 状 況 下 において、<br />
緊 急 時 対 策 所 への 汚 染 の 持 込 みを 防 止 するため、モニタリング 及 び 作 業 服<br />
の 着 替 え 等 を 行 うための 区 画 を 設 けること。<br />
また、「 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要 員 」とは、「 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う 対 策 要 員 」に 加 え、 少 なくとも 原 子 炉 格<br />
納 容 器 の 破 損 等 による 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するための 対 策<br />
に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要 員 を 含 むものとする。<br />
申 請 者 は、 第 61 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 措 置 を 行 うための<br />
設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 する 方 針 としている。<br />
1 緊 急 時 対 策 所 は、 耐 震 構 造 とし、 基 準 津 波 の 影 響 を 受 けない 位 置 に 設 置 。<br />
2 緊 急 時 対 策 所 は、 中 央 制 御 室 に 対 して 共 通 要 因 故 障 を 防 止 するため 位 置<br />
的 分 散 を 図 る 設 計 とすることを 確 保 。<br />
3 代 替 電 源 設 備 ( 代 替 緊 急 時 対 策 所 においては 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 、<br />
緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )においては 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 )か<br />
らの 給 電 を 可 能 とする 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 するとともに、 緊 急 時 対 策 所<br />
の 電 源 設 備 は 多 重 性 を 確 保 。<br />
4 遮 蔽 、 空 気 浄 化 ファン 等 により 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 を 確 保 するための<br />
設 備 及 び 手 順 等 。<br />
5 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 については、 第 61 条 等 に 定 める 要 件 に 適 合 する<br />
ものとする。<br />
6 要 員 の 装 備 ( 線 量 計 、マスク 等 )の 配 備 。 放 射 線 管 理 のための 手 順 等 。<br />
7 重 大 事 故 等 に 対 処 するための 対 策 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 整 備 するため<br />
の 手 順 等 。<br />
(※ 66 )<br />
・ 想 定 する 放 射 性 物 質 の 放 出 量 等 は 東 京 電 力 株 式 会 社 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 と 同 等 とすること。<br />
・プルーム 通 過 時 等 に 特 別 な 防 護 措 置 を 講 じる 場 合 を 除 き、 対 策 要 員 は 緊 急 時 対 策 所 内 でのマスクの 着 用 なし<br />
として 評 価 すること。<br />
・ 交 代 要 員 体 制 、 安 定 ヨウ 素 剤 の 服 用 、 仮 設 設 備 等 を 考 慮 してもよい。ただし、その 場 合 は、 実 施 のための 体<br />
制 を 整 備 すること。<br />
・ 判 断 基 準 は、 対 策 要 員 の 被 ばくによる 実 効 線 量 が 7 日 間 で 100mSv を 超 えないこと。<br />
393
8 少 なくとも 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 、 活 動 するために 必 要 な 飲 料 水<br />
及 び 食 料 等 を 備 蓄 等 するための 手 順 等 。<br />
9 身 体 サーベイ 及 び 作 業 服 の 着 替 え 等 を 行 うためのチェンジングエリア<br />
を 設 置 するための 資 機 材 及 び 手 順 等 。<br />
10 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 情 報 把 握 及 び 通 信 連 絡 を 行 うため<br />
の 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
11 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 要 員 を 収 容 するための 設 備 及<br />
び 手 順 等 。<br />
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するための 適 切 な 措 置 が 講 じられるために 申 請 者 が 計 画 する 設 備<br />
及 び 手 順 等 が、 第 61 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整<br />
備 される 方 針 であることから、 第 61 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 がフォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原<br />
因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 に 上 記 以 外 の 設 備 及 び<br />
手 順 等 を 整 備 することにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針<br />
であることを 確 認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 34 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 34 条 の 追 加 要 求 規 定 に 適 合 するため、 以 下 の 設 備 を 整 備 する<br />
方 針 としている。<br />
原 子 炉 施 設 に 異 常 が 発 生 した 場 合 に、 発 電 所 内 の 対 応 と 状 況 の 把 握 等 適 切 な<br />
措 置 をとるため、 緊 急 時 対 策 所 を 3 号 炉 及 び 4 号 炉 の 中 央 制 御 室 以 外 の 場 所 に<br />
設 置 する 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 緊 急 時 対 策 所 の 設 計 において、 原 子 炉 施 設 に 異<br />
常 が 発 生 した 場 合 に 適 切 な 措 置 をとるため、 原 子 炉 制 御 室 以 外 の 場 所 に 設 置 す<br />
る 方 針 としていることを 確 認 したことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するもの<br />
と 判 断 した。<br />
(2) 第 61 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
394
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 61 条 等 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策<br />
とそのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 代 替 電 源 からの 給 電 。そのために、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び<br />
緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 す<br />
る。<br />
b. 緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 の 確 保 。そのために、 代 替 緊 急 時 対 策 所 にお<br />
いては、 緊 急 時 対 策 所 遮 へい( 代 替 緊 急 時 対 策 所 )、 緊 急 時 対 策 所 換<br />
気 設 備 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 、 酸 素 濃 度 計 、 二 酸 化 炭 素 濃 度 計 、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタ、 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモ<br />
ニタを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。 緊 急 時 対 策 所<br />
( 緊 急 時 対 策 棟 内 )においては、 緊 急 時 対 策 所 遮 へい( 緊 急 時 対 策 棟 内 )、<br />
緊 急 時 対 策 所 換 気 設 備 、 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 、 酸 素 濃 度 計 、 二 酸 化<br />
炭 素 濃 度 計 、 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタ、 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型<br />
エリアモニタを 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
c. 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 要 員 の 収 容 。そのために、<br />
要 員 の 装 備 ( 線 量 計 、マスク 等 )、 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 活 動<br />
するための 飲 料 水 、 食 料 等 、チェンジングエリア 設 営 用 資 機 材 等 を 新<br />
たに 整 備 する。また、 重 大 事 故 等 対 策 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 新 たに 整<br />
備 する。<br />
d. 緊 急 時 対 策 所 から 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う<br />
ために 必 要 な 情 報 の 把 握 。そのために、SPDS、SPDS データ 表 示 装 置<br />
を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
e. 緊 急 時 対 策 所 と 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 のある 場 所 との<br />
通 信 連 絡 の 実 施 。そのために、 携 帯 型 通 話 設 備 、 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、<br />
無 線 連 絡 設 備 、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備<br />
等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 61 条 等 基 準 要 求 ハ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 61 条 基 準 要 求 ニ)、 上 記 c.の 対 策 が 第 61 条 等 基 準 要 求 ヘ)、ト)、<br />
チ) 及 びリ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
また、 上 記 a. 及 び b.の 対 策 が 第 61 条 等 のうち1 重 大 事 故 等 に 対 処 す<br />
るために 必 要 な 指 示 を 行 う 対 策 要 員 がとどまるための 対 策 、 上 記 c.の 対<br />
策 が 第 61 条 等 のうち4 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 対 策 要<br />
員 を 収 容 するための 対 策 、 上 記 d.の 対 策 が 第 61 条 等 のうち2 重 大 事 故<br />
等 に 対 処 するために 必 要 な 情 報 を 把 握 するための 対 策 、 上 記 e.の 対 策 が<br />
395
第 61 条 等 のうち3 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 のある 場 所 と 通 信<br />
連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 を 設 けることの 対 策 に 対 応 するものである<br />
ことを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
a. 緊 急 時 対 策 所 は、 地 震 力 により 機 能 を 喪 失 しないとともに、 基 準 津<br />
波 の 影 響 を 受 けない 位 置 に 設 置 。<br />
b. 緊 急 時 対 策 所 は、 中 央 制 御 室 とは 離 れた 位 置 に 設 置 することで、 位<br />
置 的 分 散 を 図 る 設 計 とする。<br />
c. 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 は 代 替 緊 急 時 対 策 所 に、 緊 急 時 対 策 所 用<br />
発 電 機 車 は 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )に 給 電 するため、 多 重 性<br />
を 確 保 する。<br />
d. 緊 急 時 対 策 所 は、 居 住 性 を 確 保 し、 要 員 がとどまることができるよ<br />
うに、 適 切 な 遮 蔽 設 計 及 び 換 気 設 計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 緊 急 時 対 策 所 は、 基 準 地 震 動<br />
に 対 する 地 震 力 に 対 し、 耐 震 構 造 とすることにより 機 能 を 喪 失 しないよう<br />
にするとともに、 基 準 津 波 の 影 響 を 受 けない 位 置 に 設 置 すること、b) 緊 急<br />
時 対 策 所 は、 中 央 制 御 室 とは 離 れた 位 置 の 別 建 屋 に 設 置 することで 位 置 的<br />
分 散 を 図 る 設 計 とすること、c) 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 は、 代 替 緊 急 時<br />
対 策 所 に 給 電 するために 必 要 な 容 量 を 有 するものを 予 備 も 含 めて 3 台 保<br />
管 することで 多 重 性 を 確 保 し、 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 は 緊 急 時 対 策 所<br />
( 緊 急 時 対 策 棟 内 )に 給 電 するために 必 要 な 容 量 を 有 するものを 予 備 も 含<br />
めて 3 台 保 管 することで 多 重 性 を 確 保 すること、d) 代 替 緊 急 時 対 策 所 は、<br />
建 屋 と 一 体 となった 遮 蔽 、 緊 急 時 対 策 所 換 気 設 備 ( 代 替 緊 急 時 対 策 所 非 常<br />
用 空 気 浄 化 ファン、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 フィルタユニット 及 び 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 ) 及 び 気 密 性 により、 代 替 緊 急 時 対 策 所 にとどまる<br />
要 員 の 被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 事 故 後 7 日 間 で 100mSv を 超 えない<br />
設 計 とすることを 確 認 した。 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )は、 建 屋 と<br />
一 体 となった 遮 蔽 、 緊 急 時 対 策 所 換 気 設 備 ( 緊 急 時 対 策 所 非 常 用 空 気 浄 化<br />
ファン、 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 フィルタユニット 及 び 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設<br />
備 ) 及 び 気 密 性 により、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )にとどまる 要 員<br />
の 被 ばく 線 量 が 実 効 線 量 において 事 故 後 7 日 間 で 100mSv を 超 えない 設 計<br />
とすることを 確 認 した。<br />
396
なお、 要 員 の 被 ばくによる 実 効 線 量 の 評 価 については、 想 定 する 放 射 性<br />
物 質 の 放 出 量 等 を 東 京 電 力 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 と 同 等 とし、マスク<br />
の 着 用 、 交 代 要 員 体 制 、 安 定 ヨウ 素 剤 の 服 用 、 仮 設 設 備 等 を 条 件 に 入 れて<br />
いない 評 価 を 行 い、 代 替 緊 急 時 対 策 所 は 7 日 間 で 約 64mSv、 緊 急 時 対 策 所<br />
( 緊 急 時 対 策 棟 内 )は 7 日 間 で 約 24mSv であることを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から e.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
よって、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から e.に 従 って 整 備 する 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 について、 第 61 条 等 要 求 事 項 イ)からホ)に 適 合 する 設 計<br />
方 針 であることを 確 認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 活 用 した 手 順 等 について、 主 な 手 順 等 は 以<br />
下 のとおりとしている。<br />
緊 急 時 対 策 所 は、 重 大 事 故 が 発 生 するおそれがある 場 合 等 、 緊 急 時 対 策<br />
本 部 を 設 置 する 準 備 として、 立 ち 上 げる。<br />
3-1 代 替 電 源 設 備 からの 給 電 の 手 順<br />
a. 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 立 ち 上 げる 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電<br />
機 の 準 備 及 び 起 動 の 手 順 に 着 手 する。これらの 手 順 では、 代 替 緊 急 時<br />
対 策 所 用 発 電 機 の 準 備 操 作 を 総 括 班 他 計 2 名 により 約 20 分 で、 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 の 給 電 操 作 を 総 括 班 他 計 2 名 により 約 10 分 で<br />
実 施 する。<br />
3-2 居 住 性 を 確 保 するための 手 順 等<br />
a. 代 替 緊 急 時 対 策 所 を 立 ち 上 げる 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄<br />
化 装 置 を 運 転 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 代 替 緊 急 時 対 策 所<br />
空 気 浄 化 装 置 の 操 作 等 を 総 括 班 他 計 4 名 により 約 30 分 で 実 施 する。<br />
b. 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモニタの 指 示 が 10mSv/h 以 上 と<br />
なった 場 合 又 は 代 替 緊 急 時 対 策 所 エリアモニタの 指 示 が 0.5mSv/h 以<br />
上 となった 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 を 停 止 し、 代 替<br />
緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 による 代 替 緊 急 時 対 策 所 内 の 加 圧 を 実 施 する<br />
手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 代 替 緊 急 時 対 策 所 排 気 手 動 ダンパ 及<br />
び 流 量 調 整 ユニット 流 量 調 整 弁 等 の 操 作 を 総 括 班 他 計 3 名 により 約 2<br />
分 で 実 施 する。<br />
c. 加 圧 判 断 に 使 用 する 可 搬 型 エリアモニタ 及 び 代 替 緊 急 時 対 策 所 エ<br />
リアモニタの 指 示 がプルーム 接 近 時 の 指 示 値 に 比 べ 急 激 に 低 下 した<br />
397
場 合 には、 希 ガスの 放 出 の 収 束 により、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装<br />
置 を 起 動 し、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧 設 備 による 代 替 緊 急 時 対 策 所 の 加<br />
圧 を 停 止 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 では、 代 替 緊 急 時 対 策 所 加 圧<br />
設 備 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 給 気 手 動 ダ<br />
ンパ、 流 量 調 整 ユニット 出 口 弁 等 の 操 作 を 総 括 班 他 計 3 名 により 約 2<br />
分 で 実 施 する。<br />
d. プルーム 通 過 中 において、 緊 急 時 対 策 所 にとどまる 要 員 は、 重 大 事<br />
故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う 要 員 49 名 と、 原 子 炉 格 納 容<br />
器 の 破 損 等 による 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質 の 拡 散 を 抑 制 するために<br />
必 要 な 要 員 30 名 との 合 計 79 名 と 想 定 している。プルーム 放 出 のおそ<br />
れがある 場 合 、この 要 員 数 を 目 安 とし、 最 大 収 容 可 能 人 数 (100 名 )<br />
の 範 囲 で 緊 急 時 対 策 所 にとどまる 要 員 を 判 断 する。<br />
3-3 必 要 な 数 の 対 策 要 員 の 収 容 に 係 る 手 順 等<br />
a. 原 子 力 災 害 対 策 特 別 措 置 法 ( 平 成 11 年 法 律 第 156 号 ) 第 10 条 特<br />
定 事 象 が 発 生 した 場 合 には、 代 替 緊 急 時 対 策 所 のチェンジングエリア<br />
の 運 用 を 開 始 する 手 順 に 着 手 する。この 手 順 は、 床 面 養 生 、 簡 易 テン<br />
ト 及 び 各 資 機 材 の 設 置 等 を 安 全 管 理 班 員 計 2 名 により 約 20 分 で 実 施<br />
する。<br />
b. 緊 急 時 対 策 所 には、 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 指 示 を 行 う<br />
要 員 に 加 え、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 等 による 発 電 所 外 への 放 射 性 物 質<br />
の 拡 散 を 抑 制 するための 対 策 に 対 処 するために 必 要 な 数 の 要 員 を 含<br />
めて 最 大 100 名 収 容 する。このため、 要 員 の 装 備 ( 線 量 計 、マスク 等 )<br />
を 配 備 するとともに、 少 なくとも 外 部 からの 支 援 なしに 1 週 間 、 活 動<br />
を 続 けるために 必 要 な 飲 料 水 及 び 食 料 等 を 備 蓄 し、これらを 維 持 ・ 管<br />
理 する。<br />
3-4 重 大 事 故 等 に 対 処 するために 必 要 な 情 報 把 握 及 び 通 信 連 絡 に 係 る<br />
手 順 等<br />
a. SPDS データ 表 示 装 置 は、 緊 急 時 対 策 所 立 ち 上 げ 時 に 総 括 班 他 1 名<br />
により 操 作 する。<br />
b. 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 の 検 討 に 必 要 な 資 料 を 緊 急 時 対 策 所 に<br />
配 備 し、 常 に 最 新 となるよう 維 持 ・ 管 理 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、b)<br />
緊 急 時 対 策 所 の 居 住 性 を 確 保 するため、 緊 急 時 対 策 所 空 気 浄 化 装 置 、 排 気 手 動<br />
ダンパ 等 の 操 作 手 順 等 を 整 備 していること、c) 代 替 緊 急 時 対 策 所 においては 代<br />
替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 、 緊 急 時 対 策 所 ( 緊 急 時 対 策 棟 内 )においては 緊 急 時<br />
398
対 策 所 用 発 電 機 車 からの 給 電 について、 起 動 、ケーブル 接 続 、 給 油 等 の 操 作 手<br />
順 等 を 整 備 していること、d) 緊 急 時 対 策 所 に 要 員 をとどめるための 身 体 サーベ<br />
イ、 作 業 服 の 着 替 え 等 を 行 うためのチェンジングエリアの 設 置 等 の 手 順 等 を 定<br />
めていること、e) 要 員 が 7 日 間 外 部 からの 支 援 がなくても 緊 急 時 対 策 所 の 機 能<br />
を 維 持 できる 資 機 材 を 確 保 していることなどを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a.から e.に 掲 げる 設 備 を<br />
用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 技 術 的 能 力 基 準 ( 手 順 等 に 関 する 共 通 的 な<br />
要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、1a.から e.の 対 策 が 第 61 条 等 要 求 事 項 ハ)、<br />
ニ)、へ)からリ) 及 び 情 報 把 握 、 通 信 連 絡 、 収 容 数 に 関 する 要 求 に 対 応 するも<br />
のであること、1a.から e.に 従 って 整 備 する 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 第 61 条 等<br />
要 求 事 項 イ)からホ)に 適 合 する 設 計 方 針 であること、1a.から e.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適 切 に 整 備 される 方 針<br />
であることから、 第 61 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
4 審 査 過 程 における 主 な 論 点<br />
申 請 者 は 当 初 、 重 大 事 故 等 対 処 活 動 を 指 揮 できるよう 代 替 緊 急 時 対 策 所<br />
を 設 置 するとともに、 平 成 27 年 度 に 完 成 予 定 の 免 震 重 要 棟 内 に 新 たに 緊<br />
急 時 対 策 所 を 設 置 することとし、 代 替 緊 急 時 対 策 所 から 免 震 重 要 棟 内 の 緊<br />
急 時 対 策 所 に 機 能 を 移 転 する 計 画 としていた。<br />
その 後 、 申 請 者 からは、 当 初 申 請 の 後 、 震 源 を 特 定 せず 策 定 する 地 震 動<br />
(Ss-5) 及 び 免 震 重 要 棟 設 計 用 基 準 地 震 動 (Ss-L)の 追 加 等 を 踏 まえ 検 討 を<br />
重 ねたところ、 免 震 重 要 棟 で 計 画 していた 一 般 の 免 震 装 置 をそのまま 原 子<br />
力 施 設 に 採 用 することは 困 難 であり、 新 たな 免 震 装 置 の 設 置 には 長 期 間 を<br />
要 する 一 方 、 耐 震 構 造 の 建 物 であれば 免 震 構 造 と 比 べて 2 年 程 度 早 い 運 用<br />
開 始 が 可 能 となる 等 の 理 由 から、 免 震 重 要 棟 の 設 置 に 替 えて 実 績 のある 耐<br />
震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 を 建 設 し、 同 棟 内 に 緊 急 時 対 策 所 を 設 置 する 計 画 に<br />
変 更 したいとの 説 明 があった。<br />
規 制 委 員 会 は、 耐 震 構 造 の 建 物 に 設 置 する 緊 急 時 対 策 所 が、 免 震 重 要 棟<br />
内 に 設 置 するものと 同 等 以 上 の 性 能 を 有 すること、 免 震 重 要 棟 を 設 置 する<br />
とした 場 合 の 具 体 的 見 通 し 等 を 示 すことを 求 めた。<br />
これに 対 し 申 請 者 は、 免 震 重 要 棟 を 設 置 するためには、 新 たな 仕 様 の 免<br />
震 装 置 の 設 計 や 性 能 の 実 証 が 必 要 であり、 現 段 階 では 免 震 装 置 の 設 計 の 成<br />
立 の 見 通 しを 得 ることができなくなったとして 説 明 を 変 更 した。また、 耐<br />
震 構 造 であっても、 免 震 構 造 と 同 様 に 基 準 地 震 動 に 対 して 建 屋 を 弾 性 範 囲<br />
399
内 に 収 めることにより、 建 屋 の 構 造 体 全 体 の 信 頼 性 を 確 保 すること、 地 震<br />
時 の 居 住 性 についても 設 計 上 の 配 慮 により 改 善 を 図 るとの 方 針 を 示 した。<br />
以 上 により、 規 制 委 員 会 は、 代 替 緊 急 時 対 策 所 に 替 わる 緊 急 時 対 策 所 を<br />
免 震 重 要 棟 内 ではなく 耐 震 構 造 の 緊 急 時 対 策 棟 内 に 設 置 するとの 申 請 者<br />
の 方 針 が 第 61 条 等 に 適 合 する 設 計 方 針 であることを 確 認 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 における 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、フォールトツリー 解 析 等 により 機 能 喪 失 の 原 因 分 析 を 行 った 上 で、 更 なる 対<br />
策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求 した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 発 電 所 外 との 通 信 連 絡 を 行 うための 多 様 性 拡 張 設 備<br />
及 び 手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 発 電 所 外 との 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 発 電 所 外 との 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 ( 表 Ⅳ-4.18-1 参<br />
照 。)を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 設 備 が 健 全 である 場 合 、 電 力 保 安 通 信 用 電<br />
話 設 備 、テレビ 会 議 システム( 社 内 ) 及 び 加 入 電 話 設 備 を 使 用 するとしており、<br />
その 手 順 は、「Ⅳ-4.19 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 通 信 連 絡<br />
に 関 する 手 順 等 」において 記 載 のとおりとしている。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.18-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
運 転 指 令 設 備 、 電 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 では<br />
力 保 安 通 信 用 電 ないものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 は、 通 信 連 絡 設 備 の 代 替<br />
話 設 備 、テレビ 会 設 備 となり 得 る。<br />
議 システム( 社<br />
内 )、 無 線 連 絡 設<br />
備 (モニタリング<br />
用 )、 加 入 電 話<br />
Ⅳ-4.19 通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 通 信 連 絡 に 関 する 手<br />
順 等 ( 第 35 条 、 第 62 条 及 び 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.19 項<br />
400
関 係 )<br />
本 節 では、 通 信 連 絡 設 備 について、 設 計 基 準 対 象 施 設 及 び 重 大 事 故 等 対 処 施 設 の<br />
機 能 を 有 することから、 双 方 の 基 準 適 合 性 について 確 認 した。<br />
設 計 基 準 対 象 施 設 としては、 第 35 条 第 1 項 及 び 同 条 第 2 項 に 基 づき 追 加 要 求 と<br />
なった、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 において 発 電 所 内 の 人 に 必 要 な 指 示 をするた<br />
めに 多 様 性 を 確 保 した 通 信 連 絡 設 備 を 設 ける 設 計 とすること、また、 発 電 所 外 の 必<br />
要 な 場 所 と 通 信 連 絡 するために 多 様 性 を 確 保 した 専 用 通 信 回 線 を 設 ける 設 計 とす<br />
ることを 確 認 した。<br />
重 大 事 故 等 対 処 施 設 としては、 原 子 炉 施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 がある 場<br />
所 との 通 信 連 絡 を 行 うために 申 請 者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 62 条 及 び 重<br />
大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 1.19 項 ( 以 下 「 第 62 条 等 」という。)における<br />
要 求 事 項 に 対 応 し、かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であるかを 確 認 した。さらに、 申<br />
請 者 が 自 主 的 な 対 応 により 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 である<br />
かを 確 認 した。<br />
1. 審 査 の 概 要<br />
(1) 第 35 条 第 1 項 は、 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 において、 発 電 所 内 の 人 に<br />
必 要 な 指 示 をするために 多 様 性 を 確 保 した 通 信 連 絡 設 備 を 設 ける 設 計 とする<br />
ことを 追 加 要 求 している。また、 同 条 第 2 項 は、 発 電 所 外 の 必 要 な 場 所 と 通 信<br />
連 絡 するために 多 様 性 を 確 保 した 専 用 通 信 回 線 を 設 ける 設 計 とすることを 追<br />
加 要 求 している。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 本 要 求 事 項 を 満 たすために 適 切 に 設 備 を 整 備 する 方<br />
針 であることを 確 認 した。<br />
(2) 第 62 条 等 は、 原 子 炉 施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 がある 場 所 との 通 信<br />
連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 することを 要 求 している。 第 6<br />
2 条 等 における「 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 のある 場 所 と<br />
通 信 連 絡 を 行 うために 必 要 な 設 備 及 び 手 順 等 」とは、 以 下 に 掲 げる 設 備 及 び 手<br />
順 等 又 はこれらと 同 等 以 上 の 効 果 を 有 する 設 備 及 び 手 順 等 としている。<br />
イ) 通 信 連 絡 設 備 が、 代 替 電 源 設 備 ( 電 池 等 の 予 備 電 源 設 備 を 含 む。)から<br />
の 給 電 を 可 能 とするための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
ロ) 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータを 必 要 な 場 所 で 共 有 する 手 順 等 。<br />
申 請 者 は、 第 62 条 等 の 要 求 事 項 に 対 応 するため、 以 下 の 設 備 及 び 手 順 等 を<br />
整 備 する 方 針 としている。<br />
1 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用 発<br />
電 機 車 並 びに 手 順 等 (※ 67 )。<br />
(※ 67 ) 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 に 関 する 設 備 及 び 手 順 等 については、「Ⅳ-4.14 電 源 設 備 及 び 電 源 の 確 保 に 関 す<br />
401
2 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータを 発 電 所 内 外 の 必 要 な 場 所 で<br />
共 有 するための 設 備 及 び 手 順 等 。<br />
これらにより、 規 制 委 員 会 は、 重 大 事 故 等 が 発 生 した 場 合 においても 原 子 炉<br />
施 設 の 内 外 の 通 信 連 絡 をする 必 要 がある 場 所 との 通 信 連 絡 を 行 うために 申 請<br />
者 が 計 画 する 設 備 及 び 手 順 等 が、 第 62 条 等 における 各 々の 要 求 事 項 に 対 応 し、<br />
かつ、 適 切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 62 条 等 に 適 合 するものと 判<br />
断 した。<br />
規 制 委 員 会 は、これらの 確 認 に 当 たって、 申 請 者 が 第 43 条 等 に 従 って 重 大<br />
事 故 等 対 処 設 備 及 び 手 順 等 を 適 切 に 整 備 する 方 針 であることを 確 認 した。<br />
なお、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が 自 主 的 に 上 記 以 外 の 設 備 及 び 手 順 等 を 整 備 す<br />
ることにより、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
具 体 的 な 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
2. 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
(1) 第 35 条 としての 要 求<br />
申 請 者 は、 第 35 条 第 1 項 の 追 加 要 求 規 定 に 適 合 するために、 以 下 の 設 備 を<br />
整 備 するとしている。<br />
1 本 発 電 所 内 の 通 信 連 絡 設 備 として、 多 様 性 を 確 保 した 通 信 設 備 を 設 置 す<br />
る 設 計 とする。<br />
2 緊 急 時 対 策 所 へ 事 故 状 態 等 の 把 握 に 必 要 なデータを 伝 送 できる 設 備 と<br />
して、データ 伝 送 設 備 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
3 これらの 設 備 については、 非 常 用 所 内 電 源 及 び 無 停 電 電 源 に 接 続 する 設<br />
計 とする。<br />
また、 第 35 条 第 2 項 の 追 加 要 求 規 定 に 適 合 するために、 以 下 の 設 備 を 整 備<br />
するとしている。<br />
1 本 発 電 所 外 の 本 店 、 国 、 地 方 公 共 団 体 、その 他 関 係 機 関 等 へ 連 絡 できる<br />
よう、 通 信 設 備 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
2 緊 急 時 対 策 支 援 システム(ERSS) 等 へ 必 要 なデータを 伝 送 する 設 備 とし<br />
て、データ 伝 送 設 備 を 設 置 する 設 計 とする。<br />
る 手 順 等 」において 整 理 。 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 については、「Ⅳ-4.1<br />
8 緊 急 時 対 策 所 及 びその 居 住 性 等 に 関 する 手 順 等 」において 整 理 。<br />
402
3 通 信 設 備 及 びデータ 伝 送 設 備 は、 有 線 、 無 線 又 は 衛 星 回 線 による 多 様 性<br />
を 備 えた 専 用 通 信 回 線 に 接 続 するとともに、 輻 輳 等 による 制 限 を 受 けるこ<br />
となく 常 時 使 用 できる 設 計 とする。<br />
4 これらの 設 備 については、 非 常 用 所 内 電 源 又 は 無 停 電 電 源 に 接 続 する 設<br />
計 とする。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 による 設 計 が、 以 下 の 方 針 としていることを 確 認 した<br />
ことから、 設 置 許 可 基 準 規 則 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
1 設 計 基 準 事 故 が 発 生 した 場 合 において、 本 発 電 所 内 の 人 に 必 要 な 指 示 を<br />
するため、 共 通 要 因 又 は 従 属 要 因 によって 同 時 に 機 能 が 損 なわれないよう<br />
に 多 様 性 を 確 保 した 通 信 連 絡 設 備 を 設 ける。<br />
2 本 発 電 所 外 の 必 要 な 場 所 と 通 信 連 絡 するため、 通 信 設 備 及 びデータ 伝 送<br />
設 備 が 常 時 使 用 できるよう、 専 用 通 信 回 線 は、 共 通 要 因 又 は 従 属 要 因 によ<br />
って 同 時 に 機 能 が 損 なわれないように 通 信 方 式 の 多 様 性 を 有 し、 輻 輳 等 に<br />
よる 制 限 を 受 けることなく 使 用 できる。<br />
3 これら 通 信 設 備 等 は 非 常 用 所 内 電 源 又 は 無 停 電 電 源 に 接 続 する。<br />
(2) 第 62 条 等 の 規 制 要 求 に 対 する 設 備 及 び 手 順 等<br />
1 対 策 と 設 備<br />
申 請 者 は、 第 62 条 に 基 づく 要 求 事 項 に 対 応 するために、 以 下 の 対 策 と<br />
そのための 重 大 事 故 等 対 処 設 備 を 整 備 するとしている。<br />
a. 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに<br />
接 続 する 通 信 連 絡 設 備 、SPDS、SPDS データ 表 示 装 置 へ 給 電 。そのた<br />
め、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 及 び 緊 急 時 対 策<br />
所 用 発 電 機 車 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 する。<br />
b. 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータの 必 要 な 場 所 での 共 有 。その<br />
ため、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 (テレビ<br />
会 議 システム、IP 電 話 、 衛 星 通 信 装 置 ( 電 話 )、IP-FAX)を 重 大 事 故<br />
等 対 処 設 備 として 新 たに 整 備 し、 衛 星 携 帯 電 話 設 備 及 び 無 線 連 絡 設 備<br />
(モニタリング 用 は 除 く) 等 を 重 大 事 故 等 対 処 設 備 として 位 置 付 ける。<br />
規 制 委 員 会 は、 上 記 a.の 対 策 が 第 62 条 等 基 準 要 求 イ)、 上 記 b.の 対 策<br />
が 第 62 条 基 準 要 求 ロ)に 対 応 するものであることを 確 認 した。<br />
2 重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 設 計 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 について、 主 な 設 計 方 針 を 以<br />
403
下 のとおりとしている。<br />
a. 衛 星 携 帯 電 話 ( 固 定 )、 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通<br />
信 連 絡 設 備 及 び SPDS は、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 又 は 緊 急 時 対 策<br />
所 用 発 電 機 車 若 しくは 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 から 給 電 され、 多 様 性 を 有<br />
する。<br />
b. 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 、 携 帯 型 通 話 設 備 、SPDS 及 び 統<br />
合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 は 多 様 性 を 有<br />
する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 衛 星 携 帯 電 話 ( 固 定 型 )、SPDS<br />
等 は、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、 代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 又 は 緊 急 時 対 策 所<br />
用 発 電 機 車 から 給 電 され、この 電 源 は、 水 冷 式 であるディーゼル 発 電 機 等<br />
に 対 し 空 冷 式 であることから、 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備 としての 電 源 に 対 し<br />
て 多 様 性 又 は 多 重 性 を 有 していること、b) 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設<br />
備 、SPDS 等 は、 有 線 系 、 無 線 系 又 は 衛 星 系 回 線 による 通 信 方 式 を 備 える<br />
ことで、 多 様 性 を 有 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 について、 第 43 条 ( 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 関 する 共 通<br />
的 な 要 求 事 項 )に 適 合 する 措 置 等 を 講 じた 設 計 とする 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
3 手 順 等 の 方 針<br />
申 請 者 は、1に 掲 げる 設 備 を 用 いた 主 な 手 順 等 は 以 下 のとおりとしてい<br />
る。<br />
3-1 計 測 等 を 行 った 特 に 重 要 なパラメータの 必 要 な 場 所 での 共 有<br />
a. 発 電 所 内<br />
特 に 重 要 なパラメータを 可 搬 型 の 計 測 器 にて 計 測 した 場 合 、その 結<br />
果 を 現 場 と 中 央 制 御 室 との 間 では 携 帯 型 通 話 設 備 、 衛 星 携 帯 電 話 設 備<br />
又 は 無 線 連 絡 設 備 を 使 用 し、 現 場 若 しくは 中 央 制 御 室 と 緊 急 時 対 策 所<br />
との 間 では 衛 星 携 帯 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 又 は 携 帯 型 通 話 設 備 によ<br />
り 共 有 する 手 順 に 着 手 する。これらのうち 携 帯 型 通 話 設 備 に 関 する 手<br />
順 は、 使 用 する 端 末 と 中 継 コードの 接 続 、 乾 電 池 残 量 の 確 認 、 連 絡 等<br />
を 現 場 又 は 中 央 制 御 室 と 緊 急 時 対 策 所 で 実 施 する。<br />
b. 発 電 所 外<br />
特 に 重 要 なパラメータを 可 搬 型 の 計 測 器 にて 計 測 した 場 合 、その 結<br />
果 を 衛 星 携 帯 電 話 設 備 及 び 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する<br />
404
通 信 連 絡 設 備 等 により、 緊 急 時 対 策 所 と 本 店 、 国 、 地 方 公 共 団 体 等 と<br />
の 間 で 共 有 する 手 順 に 着 手 する。これらのうち 統 合 原 子 力 防 災 ネット<br />
ワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 による 通 信 連 絡 のための 手 順 は、テレ<br />
ビ 会 議 システムの 起 動 、 通 信 状 態 の 確 認 等 を 緊 急 時 対 策 所 で 実 施 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 において、a) 手 順 等 を 明 確 化 していること、<br />
b) 衛 星 携 帯 電 話 ( 固 定 型 )、 無 線 連 絡 設 備 、 携 帯 型 通 話 設 備 及 び 統 合 原 子<br />
力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 は、 大 容 量 空 冷 式 発 電 機 、<br />
代 替 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 又 は 緊 急 時 対 策 所 用 発 電 機 車 等 に 接 続 された<br />
所 内 の 電 源 系 統 から 給 電 できる 手 順 等 を 整 備 すること、c) 炉 心 損 傷 防 止 及<br />
び 格 納 容 器 破 損 防 止 に 必 要 なパラメータ 等 は、 携 帯 型 通 話 設 備 、 衛 星 携 帯<br />
電 話 設 備 及 び 統 合 原 子 力 防 災 ネットワークに 接 続 する 通 信 連 絡 設 備 等 に<br />
より 発 電 所 内 外 で 共 有 される 手 順 等 を 整 備 することを 確 認 した。<br />
以 上 の 確 認 などから、 規 制 委 員 会 は、 申 請 者 が1a. 及 び b.に 掲 げる 設 備<br />
を 用 いた 手 順 等 について、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 ( 手 順 等 に 関 す<br />
る 共 通 的 な 要 求 事 項 ) 等 に 適 合 する 手 順 等 を 整 備 する 方 針 であることを 確<br />
認 した。<br />
以 上 のとおり、 規 制 委 員 会 は、 上 記 1a.の 対 策 が 第 62 条 等 要 求 事 項 イ)、<br />
上 記 1b.の 対 策 が 第 62 条 等 要 求 事 項 ロ)に 対 応 するものであること、1a.<br />
及 び b.に 掲 げる 重 大 事 故 等 対 処 設 備 及 びその 手 順 等 が 第 43 条 等 に 従 って 適<br />
切 に 整 備 される 方 針 であることから、 第 62 条 等 に 適 合 するものと 判 断 した。<br />
3. 自 主 的 対 策 のための 設 備 及 び 手 順 等<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 に 対 して、 重 大 事 故 等 への 対 処 をより 確 実 に 実 施 するた<br />
め、 更 なる 対 策 の 抽 出 を 行 い、 自 主 的 な 対 応 を 含 めて 網 羅 的 に 提 示 するよう 要 求<br />
した。<br />
これに 対 して、 申 請 者 は、 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 を 行 うための 多 様 性 拡 張 設 備 、<br />
手 順 等 を 整 備 するとしている。<br />
(1) 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 及 び 手 順 等<br />
申 請 者 は、 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 を 行 うための 設 備 (Ⅳ-4.19-1 参 照 。)<br />
を 用 いた 主 な 手 順 等 として、 設 備 が 健 全 である 場 合 、 運 転 指 令 設 備 、 電 力 保 安<br />
通 信 用 電 話 設 備 、 無 線 連 絡 設 備 (モニタリング 用 )、 加 入 電 話 設 備 及 びテレビ<br />
会 議 システム( 社 内 )は、 通 常 時 使 用 されている 設 備 であり、 重 大 事 故 等 時 に<br />
おいても 発 電 所 内 外 の 通 信 連 絡 に 用 いるとしている。<br />
405
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 上 記 の 追 加 対 策 によって、 重 大 事 故 等 への 対 処<br />
がより 確 実 に 実 施 される 方 針 であることを 確 認 した。<br />
表 Ⅳ-4.19-1 申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
設 備 名<br />
申 請 者 が 多 様 性 拡 張 設 備 に 位 置 付 けた 理 由<br />
運 転 指 令 設 備 、 重 大 事 故 等 対 処 設 備 に 要 求 される 耐 震 性 としては 十 分 ではな<br />
電 力 保 安 通 信 用 いものの、 設 備 が 健 全 である 場 合 は、 通 信 連 絡 設 備 の 代 替 設 備<br />
電 話 設 備 、 無 線 となり 得 る。<br />
連 絡 設 備 (モニ<br />
タリング 用 )、 加<br />
入 電 話 設 備 、テ<br />
レビ 会 議 システ<br />
ム( 社 内 )<br />
Ⅳ-5 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロ<br />
リズムへの 対 応 ( 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 関 係 )<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 は、 大 規 模 損 壊 ( 大 規 模 な 自 然 災 害 又 は<br />
故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリズムによる 原 子 炉 施 設 の 大 規 模 な 損<br />
壊 )が 発 生 した 場 合 における 体 制 の 整 備 に 関 し、 申 請 者 において、 以 下 の 項 目 につ<br />
いての 手 順 書 が 適 切 に 整 備 されていること 又 は 整 備 される 方 針 が 示 されているこ<br />
と、 加 えて、 当 該 手 順 書 に 従 って 活 動 を 行 うための 体 制 及 び 資 機 材 が 適 切 に 整 備 さ<br />
れていること 又 は 整 備 される 方 針 が 示 されていることを 要 求 している。<br />
一 大 規 模 な 火 災 が 発 生 した 場 合 における 消 火 活 動 に 関 すること。<br />
二 炉 心 の 著 しい 損 傷 を 緩 和 するための 対 策 に 関 すること。<br />
三 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 を 緩 和 するための 対 策 に 関 すること。<br />
四 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 の 水 位 を 確 保 するための 対 策 及 び 燃 料 体 の 著 しい 損 傷 を<br />
緩 和 するための 対 策 に 関 すること。<br />
五 放 射 性 物 質 の 放 出 を 低 減 するための 対 策 に 関 すること。<br />
このため、 規 制 委 員 会 は、 以 下 の 項 目 について 審 査 を 行 った。<br />
1. 手 順 書 の 整 備<br />
2. 体 制 の 整 備<br />
3. 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備<br />
406
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 計 画 が 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 及 び 同 項<br />
の 解 釈 を 踏 まえて 必 要 な 検 討 を 加 えた 上 で 策 定 されており、 大 規 模 損 壊 が 発 生 した<br />
場 合 における 体 制 の 整 備 に 関 して 必 要 な 手 順 書 、 体 制 及 び 資 機 材 等 が 適 切 に 整 備 さ<br />
れる 方 針 であることを 確 認 したことから、 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1に<br />
適 合 しているものと 判 断 した。<br />
各 項 目 についての 審 査 内 容 は 以 下 のとおり。<br />
1. 手 順 書 の 整 備<br />
申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 が 発 生 した 場 合 の 手 順 書 の 整 備 について、 以 下 のとおり<br />
としている。<br />
(1) 手 順 書 の 策 定 に 際 しては、 設 計 基 準 を 超 えるような 規 模 の 自 然 災 害 が 原 子<br />
炉 施 設 の 安 全 性 に 与 える 影 響 、 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 その 他 のテロリ<br />
ズムによる 施 設 の 広 範 囲 にわたる 損 壊 、 不 特 定 多 数 の 機 器 の 機 能 喪 失 、 大 規<br />
模 な 火 災 等 の 発 生 、 有 効 性 評 価 において 想 定 する 事 故 シーケンスグループに<br />
追 加 しなかった 地 震 及 び 津 波 特 有 の 事 故 シーケンス(Ⅳ-1.1 事 故 の 想<br />
定 参 照 。)などを 考 慮 する。<br />
(2) 大 規 模 損 壊 によって 原 子 炉 施 設 が 受 ける 被 害 範 囲 は 不 確 定 性 が 大 きく、あ<br />
らかじめシナリオを 設 定 した 対 応 操 作 は 困 難 であると 考 えられることなど<br />
から、 環 境 への 放 射 性 物 質 の 放 出 低 減 を 最 優 先 に 考 えた 対 応 を 行 うこととし、<br />
重 大 事 故 等 対 策 において 整 備 する 手 順 等 に 加 えて、 可 搬 型 設 備 による 対 応 を<br />
中 心 とした 多 様 性 及 び 柔 軟 性 を 有 する 手 順 等 を 以 下 のとおり 整 備 する。<br />
1 原 子 炉 施 設 の 被 害 状 況 を 速 やかに 把 握 するための 手 順 及 び 対 応 操 作 の<br />
実 行 判 断 を 行 うための 手 順 を 整 備 する。<br />
2 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突 による 大 規 模 な 航 空 機 燃 料 火 災 を 想 定 し、<br />
放 水 砲 等 を 用 いた 泡 消 火 についての 手 順 を 整 備 する。また、 事 故 対 応 を 行<br />
うためのアクセスルート、 操 作 場 所 に 支 障 となる 火 災 等 の 消 火 活 動 も 想 定<br />
して 手 順 を 整 備 する。<br />
3 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 手 順 は、 中 央 制 御 室 での 監 視 及 び 操 作 が 行 えな<br />
い 場 合 も 想 定 し、 原 子 炉 施 設 の 状 況 把 握 が 困 難 な 場 合 及 び 状 況 把 握 がある<br />
程 度 可 能 な 場 合 を 想 定 し、 状 況 に 応 じた 対 応 が 可 能 となるよう 以 下 の 2 つ<br />
の 対 応 を 考 慮 して 手 順 を 整 備 する。<br />
a. 中 央 制 御 室 の 監 視 機 能 及 び 制 御 機 能 の 喪 失 により 状 況 把 握 が 困 難<br />
な 場 合 には、 外 からの 目 視 による 確 認 又 は 可 搬 型 計 測 器 により、 優 先<br />
順 位 に 従 った 内 部 の 状 況 確 認 を 順 次 行 い、 必 要 の 都 度 緩 和 措 置 を 行 う。<br />
b. 中 央 制 御 室 又 は 緊 急 時 対 策 所 での 監 視 機 能 の 一 部 が 健 全 であり、 速<br />
407
やかな 安 全 機 能 等 の 状 況 把 握 が 可 能 な 場 合 には、 内 部 の 状 況 から 全 体<br />
を 速 やかに 把 握 し、 優 先 順 位 を 付 けて 喪 失 した 機 能 を 回 復 又 は 代 替 さ<br />
せる 等 により 緩 和 措 置 を 行 う。<br />
4 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 2.1 項 の 一 から 五 までの 活 動 を 行 うた<br />
めの 手 順 書 として、 重 大 事 故 等 対 策 で 整 備 する 設 備 を 活 用 した 手 順 等 に 加<br />
えて、 事 象 進 展 の 抑 制 及 び 緩 和 に 資 するための 多 様 性 を 持 たせた 手 順 等 を<br />
整 備 する。<br />
5 重 大 事 故 等 防 止 技 術 的 能 力 基 準 の「1. 重 大 事 故 等 対 策 における 要 求 事<br />
項 」における1.2 項 から1.14 項 の 要 求 事 項 に 基 づき 整 備 する 手 順 等<br />
に 加 えて、 大 規 模 損 壊 の 発 生 を 想 定 し、 中 央 制 御 室 での 監 視 及 び 制 御 機 能<br />
が 喪 失 した 場 合 も 対 応 できるよう 現 場 にてプラントパラメータを 監 視 す<br />
る 手 順 、 現 場 において 直 接 機 器 を 作 動 させるための 手 段 等 を 追 加 して 整 備<br />
する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 手 順 書 の 整 備 の 計 画 が、 大 規 模 損 壊 の 発 生 により 重 大<br />
事 故 等 発 生 時 の 手 順 がどのような 影 響 を 受 けるか 検 討 を 行 うなど、 大 規 模 損 壊 発<br />
生 時 の 特 徴 を 踏 まえた 手 順 書 を 整 備 する 方 針 としていることから、 適 切 なものと<br />
判 断 した。<br />
2. 体 制 の 整 備<br />
申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 体 制 について、 以 下 のとおりとしている。<br />
(1) 教 育 及 び 訓 練<br />
大 規 模 損 壊 への 対 応 のための 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 への 教 育 及 び 訓 練 につい<br />
ては、 重 大 事 故 等 対 策 にて 実 施 する 教 育 及 び 訓 練 を 基 に、 大 規 模 損 壊 発 生 時 を 想<br />
定 し、 通 常 の 指 揮 命 令 系 統 が 機 能 しない 場 合 を 想 定 した 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指<br />
揮 者 等 )の 個 別 の 教 育 訓 練 を 実 施 する。さらに、 要 員 の 役 割 に 応 じて 付 与 される<br />
力 量 に 加 え、 流 動 性 をもって 対 応 できるような 力 量 を 確 保 していくことにより、<br />
期 待 する 要 員 以 外 の 要 員 でも 対 応 できるよう 教 育 訓 練 の 充 実 を 図 る。また、 緊 急<br />
時 対 策 本 部 要 員 等 最 低 限 必 要 な 要 員 以 外 の 人 員 は 原 則 、 発 電 所 外 に 退 避 するが、<br />
発 電 所 内 に 勤 務 する 要 人 員 を 最 大 限 に 活 用 しなければならない 事 態 を 想 定 して、<br />
緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 以 外 の 人 員 に 対 して 教 育 を 実 施 する。<br />
(2) 体 制 の 整 備<br />
1 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 体 制 については、 通 常 の 原 子 力 防 災 組 織 の 体 制 を 基<br />
本 としつつ、 通 常 とは 異 なる 対 応 が 必 要 となる 状 況 においても 流 動 性 を 持<br />
408
って 対 応 できるようにするとともに、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 手 順 に 従 っ<br />
て 活 動 を 行 うことを 前 提 として、 以 下 の 基 本 的 な 考 え 方 に 基 づき 整 備 する。<br />
a. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )においても 発 電 所 構 内 又 は 近 傍 に 運 転 員 ( 当<br />
直 員 )12 名 、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 ( 指 揮 者 等 )4 名 、 重 大 事 故 等 対 策<br />
要 員 36 名 及 び 専 属 自 衛 消 防 隊 員 8 名 を 確 保 し、 大 規 模 損 壊 の 発 生 に<br />
より 中 央 制 御 室 ( 運 転 員 ( 当 直 員 )を 含 む。)が 機 能 しない 場 合 にお<br />
いても、 対 応 できるよう 体 制 を 整 備 する。<br />
b. 休 日 、 時 間 外 ( 夜 間 )における 副 原 子 力 防 災 管 理 者 を 含 む 対 応 要 員<br />
は、 地 震 、 津 波 等 の 大 規 模 な 自 然 災 害 及 び 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝<br />
突 その 他 のテロリズムが 発 生 した 場 合 にも 対 応 できるよう、 分 散 して<br />
待 機 する。<br />
c. 地 震 、 津 波 等 の 大 規 模 な 自 然 災 害 及 び 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突<br />
その 他 のテロリズムの 発 生 により、 通 常 の 原 子 力 防 災 体 制 での 指 揮 命<br />
令 系 統 が 機 能 しなくなる 可 能 性 を 考 慮 する。<br />
d. 建 物 の 損 壊 等 により 対 応 要 員 が 被 災 するような 状 況 においても、 構<br />
内 に 勤 務 している 他 の 要 員 に、 緊 急 時 対 策 本 部 での 役 務 を 割 り 当 てる<br />
等 の 柔 軟 な 対 応 をとる。<br />
e. 大 規 模 損 壊 発 生 時 において、 社 員 寮 、 社 宅 等 からの 召 集 に 時 間 を 要<br />
する 場 合 も 想 定 し、 発 電 所 構 内 及 び 近 傍 の 最 低 要 員 数 により 当 面 の 間<br />
は 事 故 対 応 を 行 えるよう 体 制 を 整 える。<br />
f. プルーム 放 出 時 には、 最 低 限 必 要 な 対 応 要 員 は 緊 急 時 対 策 所 に 留 ま<br />
り、プルーム 通 過 後 、 活 動 を 再 開 する。プルーム 通 過 時 、 最 低 限 必 要<br />
な 要 員 以 外 の 要 員 は、 発 電 所 外 へ 一 時 避 難 し、その 後 、 最 低 限 必 要 な<br />
要 員 と 交 代 する 要 員 として 発 電 所 へ 再 度 非 常 召 集 する。<br />
2 大 規 模 損 壊 が 発 生 した 場 合 において、 緊 急 時 対 策 本 部 要 員 等 が 活 動 を 行<br />
うに 当 たっての 拠 点 は、 中 央 制 御 室 及 び 緊 急 時 対 策 所 を 基 本 とするが、 中<br />
央 制 御 室 等 が 機 能 喪 失 する 場 合 も 想 定 し、 緊 急 時 対 策 所 以 外 にも 代 替 可 能<br />
なスペースも 状 況 に 応 じて 活 用 する。<br />
3 大 規 模 損 壊 発 生 時 における 発 電 所 外 部 からの 支 援 体 制 として、 本 店 対 策<br />
本 部 が 速 やかに 確 立 できるよう 体 制 を 整 備 する。また、 他 の 原 子 力 事 業 者<br />
及 び 原 子 力 緊 急 事 態 支 援 組 織 へ 応 援 要 請 し、 技 術 的 な 支 援 が 受 けられるよ<br />
う 体 制 を 整 備 する。さらに、 協 力 会 社 及 び 建 設 会 社 より 現 場 作 業 や 資 機 材<br />
輸 送 等 に 係 る 要 員 の 派 遣 を 要 請 できる 体 制 、プラントメーカによる 技 術 的<br />
支 援 を 受 けられる 体 制 を 構 築 する。<br />
409
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 体 制 の 整 備 の 計 画 が 大 規 模 損 壊 の 発 生 により 重 大 事 故<br />
等 発 生 時 の 体 制 がどのような 影 響 を 受 けるか 検 討 を 行 うなど、 大 規 模 損 壊 発 生 時<br />
の 特 徴 を 踏 まえた 体 制 を 整 備 する 方 針 としていることから、 適 切 なものと 判 断 し<br />
た。<br />
3. 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備<br />
申 請 者 は、 大 規 模 損 壊 発 生 時 に 必 要 な 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備 について、 以 下 の<br />
とおりとしている。<br />
(1) 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 手 順 に 従 って 活 動 を 行 うために 必 要 な 可 搬 型 重 大 事<br />
故 等 対 処 設 備 は、 以 下 の 事 項 を 考 慮 して 整 備 する。<br />
1 共 通 要 因 による 同 等 の 機 能 を 有 する 設 備 の 損 傷 の 防 止<br />
可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 は、 同 等 の 機 能 を 有 する 設 計 基 準 事 故 対 処 設 備<br />
及 び 常 設 重 大 事 故 等 対 処 設 備 と 同 時 に 機 能 喪 失 することのないよう、 外 部<br />
事 象 の 影 響 を 受 けにくい 場 所 に 保 管 する。<br />
2 共 通 要 因 による 複 数 の 可 搬 型 設 備 の 損 傷 の 防 止<br />
同 時 に 複 数 の 可 搬 型 重 大 事 故 等 対 処 設 備 が 機 能 喪 失 しないよう、 可 搬 型 重<br />
大 事 故 等 対 処 設 備 同 士 の 距 離 を 十 分 に 離 して、 複 数 箇 所 に 分 散 して 配 置 す<br />
る。<br />
(2) 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 対 応 に 必 要 な 資 機 材 は、 重 大 事 故 等 対 策 で 配 備 する 資 機<br />
材 の 基 本 的 な 考 え 方 を 基 に、 以 下 のとおり 配 備 する。また、 大 規 模 損 壊 発 生 時<br />
においても 使 用 を 期 待 できるよう、 原 子 炉 建 屋 及 び 原 子 炉 補 助 建 屋 から 100m<br />
以 上 離 隔 をとった 場 所 に 配 備 する。<br />
1 地 震 及 び 津 波 の 大 規 模 な 自 然 災 害 による 油 タンク 火 災 、 又 は 故 意 による<br />
大 型 航 空 機 の 衝 突 による 大 規 模 な 燃 料 火 災 の 発 生 時 において、 必 要 な 消 火<br />
活 動 を 実 施 するために 着 用 する 防 護 具 、 消 火 剤 等 の 資 機 材 、 小 型 放 水 砲 等<br />
を 配 備 する。<br />
2 高 線 量 の 環 境 下 において、 事 故 対 応 を 行 うために 高 線 量 対 応 防 護 服 等 の<br />
必 要 な 資 機 材 を 配 備 する。<br />
3 大 規 模 損 壊 の 発 生 時 において、 指 揮 者 と 現 場 間 、 発 電 所 外 等 との 連 絡 に<br />
必 要 な 通 信 手 段 を 確 保 するため、 多 様 な 通 信 手 段 を 複 数 配 備 する。また、<br />
消 火 活 動 専 用 の 通 信 連 絡 設 備 を 配 備 する。<br />
規 制 委 員 会 は、 申 請 者 の 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備 の 計 画 が、 共 通 要 因 により 同 時<br />
に 機 能 喪 失 しないよう 十 分 な 配 慮 を 行 うなど、 大 規 模 損 壊 発 生 時 の 特 徴 を 踏 まえ<br />
た 設 備 及 び 資 機 材 の 整 備 を 行 う 方 針 としていることから、 適 切 なものと 判 断 した。<br />
410
Ⅴ 審 査 結 果<br />
九 州 電 力 株 式 会 社 が 提 出 した「 玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申<br />
請 書 (3 号 及 び 4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )」( 平 成 25 年 7 月 12 日 申 請 、 平 成<br />
28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 11 月 54 日 補 正 )を 審 査 し<br />
た 結 果 、 当 該 申 請 は、 原 子 炉 等 規 制 法 第 43 条 の3の6 第 1 項 第 2 号 ( 技 術 的 能 力<br />
に 係 る 部 分 に 限 る。)、 第 3 号 及 び 第 4 号 に 適 合 しているものと 認 められる。<br />
411
略 語 等<br />
本 審 査 書 で 用 いられる 主 な 略 語 等 は 以 下 のとおり<br />
略 語 等<br />
安 全 重 要 度 分 類 指 針<br />
安 全 評 価 指 針<br />
溢 水 ガイド<br />
解 釈 別 記 1<br />
解 釈 別 記 2<br />
解 釈 別 記 3<br />
外 部 火 災 ガイド<br />
格 納 容 器 破 損 モード<br />
火 災 防 護 基 準<br />
火 山 ガイド<br />
機 器 条 件<br />
技 術 的 能 力 指 針<br />
規 制 委 員 会<br />
原 子 炉 等 規 制 法<br />
事 故 シーケンスグル<br />
ープ<br />
事 故 条 件<br />
地 震 ガイド<br />
地 盤 ガイド<br />
重 大 事 故 等 防 止 技 術<br />
的 能 力 基 準<br />
名 称 又 は 説 明<br />
発 電 用 軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 機 能 の 重 要 度 分 類 に<br />
関 する 審 査 指 針<br />
発 電 用 軽 水 型 原 子 炉 施 設 の 安 全 評 価 に 関 する 審 査 指<br />
針<br />
原 子 力 発 電 所 の 内 部 溢 水 影 響 評 価 ガイド<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 別 記 1<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 別 記 2<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈 別 記 3<br />
原 子 力 発 電 所 の 外 部 火 災 影 響 評 価 ガイド<br />
格 納 容 器 破 損 に 至 る 格 納 容 器 への 負 荷 の 種 類 に 着 目<br />
して 類 型 化 したもの<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 火 災 防 護 に 係<br />
る 審 査 基 準<br />
原 子 力 発 電 所 の 火 山 影 響 評 価 ガイド<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 機 器 条 件<br />
原 子 力 事 業 者 の 技 術 的 能 力 に 関 する 審 査 指 針<br />
原 子 力 規 制 委 員 会<br />
核 原 料 物 質 、 核 燃 料 物 質 及 び 原 子 炉 の 規 制 に 関 する 法<br />
律<br />
炉 心 損 傷 に 至 る 事 故 シーケンスを、 起 因 事 象 、 安 全 機<br />
能 の 喪 失 状 況 に 着 目 して、 類 型 化 したもの<br />
評 価 上 想 定 する 事 故 の 条 件<br />
基 準 地 震 動 及 び 耐 震 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド<br />
基 礎 地 盤 及 び 周 辺 斜 面 の 安 定 性 評 価 に 係 る 審 査 ガイ<br />
ド<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 発 電 用 原 子 炉 設 置 者 の 重 大<br />
事 故 の 発 生 及 び 拡 大 の 防 止 に 必 要 な 措 置 を 実 施 する<br />
ために 必 要 な 技 術 的 能 力 に 係 る 審 査 基 準<br />
412
重 要 事 故 シーケンス 各 事 故 シーケンスグループにおいて 事 象 進 展 や 対 策<br />
の 実 施 の 観 点 から 最 も 厳 しい 事 故 シーケンス<br />
申 請 者<br />
九 州 電 力 株 式 会 社<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則<br />
設 置 許 可 基 準 規 則 解 実 用 発 電 用 原 子 炉 及 びその 附 属 施 設 の 位 置 、 構 造 及 び<br />
釈<br />
設 備 の 基 準 に 関 する 規 則 の 解 釈<br />
操 作 条 件<br />
重 大 事 故 等 対 処 設 備 の 操 作 条 件<br />
大 規 模 損 壊<br />
大 規 模 な 自 然 災 害 又 は 故 意 による 大 型 航 空 機 の 衝 突<br />
その 他 のテロリズムによる 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 大 規<br />
模 な 損 壊<br />
竜 巻 ガイド<br />
原 子 力 発 電 所 の 竜 巻 影 響 評 価 ガイド<br />
地 質 ガイド<br />
敷 地 内 及 び 敷 地 周 辺 の 地 質 ・ 地 質 構 造 調 査 に 係 る 審 査<br />
ガイド<br />
津 波 ガイド<br />
基 準 津 波 及 び 耐 津 波 設 計 方 針 に 係 る 審 査 ガイド<br />
停 止 中 評 価 ガイド 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 運 転 停 止 中 原 子 炉 における<br />
燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド<br />
評 価 事 故 シーケンス 各 格 納 容 器 破 損 モードにおいて 事 象 進 展 や 対 策 の 実<br />
施 の 観 点 から 最 も 厳 しい 事 故 シーケンス<br />
保 安 規 定<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所 原 子 炉 施 設 保 安 規 定<br />
本 申 請<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所 の 発 電 用 原 子 炉 設 置 変 更 許 可 申 請<br />
書 (3 号 及 び 4 号 発 電 用 原 子 炉 施 設 の 変 更 )」( 平 成 25<br />
年 7 月 12 日 申 請 、 平 成 28 年 9 月 20 日 、10 月 28 日 、<br />
11 月 4 日 及 び 平 成 29 年 11 月 54 日 補 正 )<br />
本 発 電 所<br />
玄 海 原 子 力 発 電 所<br />
有 効 性 評 価 ガイド 実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 炉 心 損 傷 防 止 対 策 及 び 格 納<br />
容 器 破 損 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド<br />
AED 大 中 破 断 LOCA が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、<br />
さらに、 溶 融 炉 心 の 冷 却 と、 原 子 炉 格 納 容 器 内 除 熱 が<br />
行 われないため、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る 可 能 性<br />
があるシーケンス<br />
AEI 大 中 破 断 LOCA が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、<br />
さらに、 溶 融 炉 心 の 冷 却 と、 原 子 炉 格 納 容 器 内 除 熱 が<br />
行 われるが、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る 可 能 性 があ<br />
るシーケンス<br />
413
AEW 大 中 破 断 LOCA が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、<br />
さらに、 溶 融 炉 心 の 冷 却 はできるが、 原 子 炉 格 納 容 器<br />
内 除 熱 が 行 われないため、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至<br />
る 可 能 性 があるシーケンス<br />
ATWS<br />
BWR<br />
DCH<br />
ECCS<br />
EL.<br />
ERSS<br />
FCI<br />
LOCA<br />
MCCI<br />
PAR<br />
PCT<br />
PDS<br />
PRA<br />
PWR<br />
RCP<br />
SFP 評 価 ガイド<br />
SPDS<br />
TED<br />
T.P.<br />
運 転 時 の 異 常 な 過 渡 変 化 に 対 して、 原 子 炉 の 緊 急 停 止<br />
が 要 求 された( 必 要 とされた)にもかかわらず、 原 子<br />
炉 安 全 保 護 系 (あるいは 停 止 系 )の 故 障 等 により 原 子<br />
炉 が 緊 急 停 止 しない 事 象<br />
沸 騰 水 型 原 子 炉<br />
格 納 容 器 雰 囲 気 直 接 加 熱<br />
非 常 用 炉 心 冷 却 装 置<br />
標 高<br />
緊 急 時 対 策 支 援 システム<br />
溶 融 燃 料 - 冷 却 材 相 互 作 用<br />
冷 却 材 喪 失 事 故<br />
溶 融 炉 心 ・コンクリート 相 互 作 用<br />
静 的 触 媒 式 水 素 再 結 合 装 置<br />
燃 料 被 覆 管 最 高 温 度<br />
プラント 損 傷 状 態<br />
確 率 論 的 リスク 評 価<br />
加 圧 水 型 原 子 炉<br />
1 次 冷 却 材 ポンプ<br />
実 用 発 電 用 原 子 炉 に 係 る 使 用 済 燃 料 貯 蔵 槽 における<br />
燃 料 損 傷 防 止 対 策 の 有 効 性 評 価 に 関 する 審 査 ガイド<br />
緊 急 時 運 転 パラメータ 伝 送 システム(SPDS)<br />
過 渡 事 象 が 発 生 し、 短 時 間 で 炉 心 損 傷 に 至 り、さらに、<br />
溶 融 炉 心 の 冷 却 と、 原 子 炉 格 納 容 器 内 除 熱 が 行 われな<br />
いため、 原 子 炉 格 納 容 器 の 破 損 に 至 る 可 能 性 があるシ<br />
ーケンス<br />
東 京 湾 平 均 海 面<br />
414