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明星大学実験棟 8 号館の強制振動実験による動的挙動の評価(その2)

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明 星 大 学 実 験 棟 8 号 館 の 強 制 振 動 実 験 による 動 的 挙 動 の 評 価 (その2)09T6-053 本 間 靖 侑指 導 教 員 立 道 郁 生1. 研 究 背 景 及 び 目 的鉄 骨 造 空 間 構 造 の 耐 震 性 能 確 保 のための 研 究 は、 兵 庫 県南 部 地 震 (1995) 以 来 、 鋭 意 行 われている。その 中 に 振 動 計測 による 動 的 挙 動 の 把 握 の 分 野 がある。 耐 震 設 計 においては、 建 築 物 の 固 有 振 動 特 性 (モード、 固 有 周 期 )を 的 確 に把 握 する 必 要 がある。また、 減 衰 性 能 の 定 量 的 評 価 は、エネルギー 吸 収 能 力 の 評 価 を 意 味 し、 耐 震 設 計 では 考 えるべき 地 震 荷 重 の 評 価 に 影 響 している。これまで 実 建 物 の 振 動計 測 や 分 析 は 行 われているものの、いまだ 十 分 ではなく、現 在 の 設 計 で 用 いられている 慣 用 値 を 裏 付 けるには 至 っていない。これまで 明 星 大 学 実 験 棟 8 号 館 を 対 象 として 小 規 模 鉄 骨空 間 構 造 物 に 関 する 研 究 を 行 ってきた¹)²)。 昨 年 度 の 研 究 ²)では 起 振 器 を 用 いて 梁 間 方 向 の 卓 越 振 動 数 と 減 衰 率 の 同 定及 び 内 部 構 造 物 である 14 号 館 との 干 渉 についての 研 究 を行 ったものの 振 動 モードの 把 握 や、 桁 行 、 鉛 直 方 向 についての 同 定 は 行 えていない。そこで 本 研 究 では 梁 間 、 桁 行 、鉛 直 方 向 を 対 象 とした 実 験 を 行 い、 各 方 向 の 減 衰 率 、 固 有周 期 及 び 振 動 モードを 同 定 し、この 種 のデータの 蓄 積 に 資することを 目 的 とする。2. 対 象 建 物 および 実 験 方 法図 -1 に 明 星 大 学 実 験 棟 8 号 館 の 軸 組 図 及 び 屋 根 伏 図 を示 す。 図 -1 に 示 すように 圧 電 式 加 速 度 計 を 鉄 骨 トラス 上( A、B、C、D、E 点 )に 設 置 し、 起 振 器 は 屋 根 上 (F 点 あるいは B 点 )に 設 置 を 行 った( 写 真 -1)。なお、B 点 への 起 振器 の 設 置 は 鉛 直 方 向 の 逆 対 称 モードを 得 るためである。加 振 方 向 は 梁 間 、 桁 行 、 鉛 直 方 向 とし、サンプリング 周波 数 は 100Hz、30 分 間 で 3~10Hz を 一 往 復 するスイープ加 振 を 行 う。なお、 梁 間 方 向 の 加 振 では 鉛 直 成 分 との 連成 を 確 認 するため A、B、C 点 の 3 か 所 で 梁 間 ・ 鉛 直 成 分の 計 測 を 行 う。 各 方 向 ともに 2 回 程 度 実 験 を 行 う。ピックアップF 点起 振 器さらにスイープ 加 振 実 験 により 得 られた 加 速 度 波 形 を高 速 フーリエ 変 換 し、 卓 越 振 動 数 の 確 認 を 行 う。 次 に 卓越 振 動 数 付 近 で 十 分 に 加 振 し、 起 振 器 の 急 停 止 により 自由 振 動 を 発 生 させ、 得 られた 自 由 振 動 波 形 から 減 衰 率 及び 固 有 モードの 同 定 を 行 う。3. 実 験 結 果3.1 スイープ 加 振 実 験各 方 向 の F 点 加 振 によって 得 られたフーリエスペクトルの 例 を 図 -2 に、B 点 鉛 直 加 振 によって 得 られた 結 果を 図 -3 に 示 す。(a) 梁 間 方 向 加 振 の 例 ( 梁 間 成 分 ) (b) 梁 間 方 向 加 振 の 例 ( 鉛 直 成 分 )(c) 桁 行 方 向 加 振 の 例 ( 桁 行 成 分 ) (d) 鉛 直 方 向 加 振 の 例 ( 鉛 直 成 分 )図 -2 F 点 加 振 によるフーリエスペクトルの 例180050001800500014000(a)1 通 り 軸 組 図C 点 B 点D 点A 点E 点282401▶2▶3500 〃14000△ラーメン △はラーメン 架 構 架 構14000(b)2 通 り 軸 組 図(C) 屋 根 伏 図図 -1 軸 組 図 ・ 屋 根 伏 図 及 び 機 材 設 置 状 況3530 〃F 点E 点 C 点 A 点 B 点 D 点図 -3 B 点 鉛 直 加 振 によるフリーリエスペクトルの 例 ( 鉛 直 成 分 )今 回 のスイープ 加 振 実 験 から、 梁 間 では 5Hz、 桁 行 では8Hz、 鉛 直 では 1 次 で 6Hz 付 近 、2 次 で 8Hz 付 近 に 卓 越 が見 られた。3.2 自 由 振 動 実 験梁 間 方 向 4.9~5.6Hz 桁 行 方 向 7.8~8.2Hz、 鉛 直 方 向5.9~6.3Hz で 正 弦 波 加 振 を 行 い、B 点 加 振 では 二 次 モードの 波 形 を 得 るために 8.3~8.5Hz で 同 様 に 正 弦 波 加 振 を行 った。 梁 間 方 向 では 0.1Hz ごとに、その 他 の 加 振 方 向では 0.05Hz 毎 に 行 った。その 中 で 最 も 定 常 振 動 に 近 いとみられる 振 動 数 を 表 -1 に 示 す。また 梁 間 ・ 鉛 直 B 点加 振 は 各 3 回 、 桁 行 ・ 鉛 直 方 向 で 各 6 回 行 った 起 振 器 の急 停 止 による 自 由 振 動 波 形 の 例 をF 点 加 振 によるものを図 -4 に、B 点 加 振 によるものを 図 -5 に 示 す。F 点B 点写 真 -1 起 振 器 (F 点 、B 点 )の 設 置 状 況表 -1 各 成 分 における 卓 越 振 動 数 (Hz)梁 間 桁 行 鉛 直 非 対 称卓 越 振 動 数 5.20 8.00 6.05 8.35


(a) 梁 間 方 向 加 振 ( 梁 間 成 分 ) (b) 梁 間 方 向 加 振 ( 鉛 直 成 分 )大 学 実 験 棟 8 号 館 が 内 部 構 造 物 であるプレハブ 小 屋 と接 触 している²)ことが 考 えられ、 後 者 の 原 因 として、 梁間 ・ 鉛 直 方 向 では 円 筒 トラス 構 造 であるが、 桁 行 方 向ではブレース 構 造 であるため 減 衰 率 に 差 が 出 たのではないかと 考 えられる。3.3 振 動 モードの 同 定自 由 振 動 実 験 の 起 振 器 停 止 前 の 定 常 状 態 における、 梁間 ・ 鉛 直 方 向 加 振 時 の 変 位 を 求 め 梁 間 方 向 加 振 のものを表 -3 に、 鉛 直 方 向 加 振 の 変 位 を 表 -4 に 示 し、 得 られた 変位 の 数 値 を 10000 倍 にしたモード 図 を 図 -6 に 示 す。(c) 桁 行 方 向 加 振 ( 桁 行 成 分 ) (d) 鉛 直 方 向 加 振 ( 鉛 直 成 分 )図 -4 F 点 加 振 による 自 由 振 動 波 形表 -3 梁 間 方 向 加 振 時 の 変 位 ( 単 位 :mm)C 点 A 点 B 点梁 間 成 分 ±0.11 ±0.15 ±0.14鉛 直 成 分 ±0.09 ±0.03 ±0.02表 -4 鉛 直 方 向 加 振 時 の 変 位 ( 単 位 :mm)C 点 A 点 B 点鉛 直 成 分 ±0.05 ±0.11 ±0.07加 振 方 向図 -5 B 点 加 振 による 自 由 振 動 波 形 ( 鉛 直 成 分 )得 られた 自 由 振 動 波 形 から 各 成 分 における 減 衰 率 の 同定 を 行 い、 表 -2 示 す。表 -2 各 成 分 における 減 衰 率(a) 梁 間 加 振 減 衰 率 (%)A 点 B 点 C 点1 回 目 5.7 5.6 5.82 回 目 7.0 7.0 7.13 回 目 5.8 5.8 5.9平 均 6.2(b) 桁 行 加 振 減 衰 率 (%)A 点 B 点 C 点 D 点 E 点1 回 目 3.6 3.5 3.2 3.7 3.92 回 目 3.4 3.3 3.0 3.6 3.53 回 目 3.7 3.5 3.1 3.6 3.64 回 目 3.7 3.6 3.6 3.8 4.25 回 目 3.5 3.3 3.2 3.6 3.66 回 目 4.0 3.8 3.4 4.1 4.2平 均 3.6(d) 鉛 直 非 対 称 加 振(c) 鉛 直 加 振 減 衰 率 (%) 減 衰 率 (%)A 点 B 点 C 点1 回 目 5.0 4.3 6.22 回 目 5.4 4.7 7.53 回 目 5.2 4.5 7.14 回 目 5.1 4.2 7.25 回 目 5.3 4.6 6.46 回 目 5.1 4.6 6.6平 均 5.5B 点1 回 目 3.32 回 目 3.73 回 目 2.7平 均 3.2明 星 大 学 実 験 棟 8 号 館 の 減 衰 率 はこれまで 得 られている 同 程 度 の 規 模 の 鉄 骨 空 間 構 造 物 と 比 べ、 比 較 的 大きな 値 となった。また 桁 行 方 向 が 梁 間 、 鉛 直 方 向 と 比べ 減 衰 率 が 低 い 値 となった。 前 者 の 原 因 として、 明 星C 点A 点B 点(a) 梁 間 方 向 加 振 のモード 図C 点加 振 方 向A 点B 点(b) 鉛 直 方 向 加 振 のモード 図図 -6 梁 間 ・ 鉛 直 方 向 加 振 時 のモード 図梁 間 方 向 加 振 では 水 平 成 分 と 鉛 直 成 分 が 連 成 していることが 分 る。やや 非 対 称 なのは 前 述 した 内 部 構 造 物 の 影響 であろう。 鉛 直 方 向 加 振 ではほぼ 対 象 モードが 得 られた。4.まとめ明 星 大 学 実 験 棟 8 号 館 の 起 振 器 による 自 由 振 動 実 験 を行 った 結 果 、 梁 間 ・ 桁 行 ・ 鉛 直 成 分 の 卓 越 振 動 数 、 減 衰率 及 び 振 幅 モードの 同 定 は 行 えた。しかし 鉛 直 2 次 モードでは 完 全 な 逆 位 相 とはならず、モードの 同 定 には 至 らなかった。またその 結 果 から 減 衰 率 は 同 規 模 のスパンの鉄 骨 構 造 物 と 比 べ 比 較 的 高 い 数 値 となった。桁 行 方 向 の 減 衰 率 が 梁 間 ・ 鉛 直 方 向 の 減 衰 率 と 比 べ 低い 値 となったが、 構 造 形 式 の 違 いによるものではないかと 考 えられる。振 幅 モードでは 内 部 構 造 物 であるプレハブ 小 屋 の 影 響を 受 けているため、 振 幅 が 対 称 とならず、 振 幅 に 差 が 出たものと 考 えられる。参 考 文 献1) 宮 下 司 也 , 立 道 郁 生 ; 小 規 模 鉄 骨 空 間 構 造 の 振 動 減衰 評 価 について,20010 年 度 日 本 建 築 学 会 関 東 支 部 研 究 発 表会 ,pp.317-320 (on CD-ROM) 2011 年 3 月2) 島 田 圭 悟 , 立 道 郁 生 ; 地 震 観 測 ・ 強 制 振 動 実 験 に 基 づく 小 規模 鉄 骨 空 間 構 造 の 振 動 特 性 ,2011 年 度 日 本 建 築 学 会 関 東 支 部研 究 報 告 集 Ⅰ,pp.509-512(on CD-ROM),2012 年 3 月

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