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アジアにおける参加型居住開発プロセスに関する一考察 Process of ...

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2. 参 加 型 開 発 の 経 緯 と 先 行 的 研 究2.1 参 加 型 開 発 の 経 緯参 加 型 開 発 は、 具 体 的 な 開 発 事 業 からの 教 訓 や 世 界 的 な 民 主 化 の 潮 流 を 踏 まえて、 住 民 意 識 の 反 映と 住 民 自 体 の 開 発 事 業 への 参 加 が 注 目 を 集 めるようになり、その 主 流 化 が 進 んでいったものである。近 年 では、 参 加 型 アプローチがプロジェクト 実 施 の 効 率 性 を 向 上 させるとの 認 識 が 定 着 しており、プロジェクトの 実 施 だけでなくモニタリングや 評 価 も 参 加 型 で 行 うべきだとする 方 向 に 向 かいつつある。 1)1950 年 代 から1960 年 代 における 開 発 理 論 は、 経 済 成 長 の 達 成 が 国 全 体 の 発 展 に 貢 献 するという 考 え 方 に 基 づいていた。いわゆる 近 代 化 のアプローチであり、 住 民 の 価 値 観 やローカリティは開 発 を 阻 害 するものとして 扱 われ、トップダウン 式 に 近 代 化 へ 導 くことが 重 要 視 されていた。しかしながら、1970 年 代 には 財 の 再 配 分 の 適 正 化 や 社 会 的 公 平 性 の 重 要 性 が 認 識 され、より 住民 に 近 いところでの 開 発 効 果 が 重 要 視 されるようになった。 従 って、 開 発 事 業 の 評 価 は 住 民 の 生 活改 善 に 寄 与 しているか 否 かに 注 目 が 注 がれるようになり、 結 果 として、 開 発 事 業 の 計 画 や 実 施 に 住民 を 動 員 する 必 要 があるという 考 え 方 が 生 まれてきた。これが 住 民 参 加 型 開 発 の 端 緒 と 言 える。1980 年 代 には、「 持 続 可 能 な 開 発 」という 概 念 の 発 生 に 対 応 した 貧 困 対 策 、 社 会 的 公 平 性 やガバナンスの 追 求 といった 観 点 からの 政 策 立 案 によって、さらに 住 民 参 加 が 奨 励 されるようになった。特 に、 持 続 可 能 な 開 発 のためには、 受 益 者 自 身 が 開 発 事 業 に 積 極 的 かつ 主 体 的 に 参 加 すべきとの 認識 が 高 まり、「 参 加 型 開 発 」の 事 業 が 様 々に 実 施 されるようになっていった。また、 住 民 の 視 点 の導 入 を 意 図 した 簡 易 社 会 調 査 (RRA: Rapid Rural Appraisal)や 参 加 型 社 会 調 査 (PRA: Participatory RuralAppraisal)などの 調 査 手 法 も 普 及 するようになった。1980 年 代 後 半 から1990 年 代 にかけては「 住 民 とともに 学 ぶ」というエンパワメント・プロセス(PLA: Participatory learning and Action)も 注目 されるようになってきた。1990 年 代 には、このような 参 加 型 開 発 の 概 念 が 国 際 機 関 の 中 でほぼ 主 流 化 したと 考 えられる。 経済 協 力 開 発 機 構 開 発 援 助 委 員 会 (OECD, DAC)は1989 年 12 月 に「 生 産 過 程 へのすべての人 々の 広 範 な 参 加 を 奨 励 し、 利 益 をより 公 平 に 分 配 することが、 開 発 戦 略 と 開 発 援 助 の 中 心 的 要 素となるべき(1990 年 代 の 開 発 協 力 にかかる 政 策 声 明 )」と 報 告 し、 参 加 型 開 発 を1990 年 代の 最 重 要 課 題 とした。 2) また「21 世 紀 に 向 けて: 開 発 協 力 を 通 じた 貢 献 :DAC 新 開 発 戦 略(1996 年 5 月 )」においても 参 加 型 の 持 続 可 能 な 開 発 プロセスを 重 要 視 している。 3)このような 報 告 を 踏 まえ、 今 日 に 至 るまで、 様 々な 国 際 機 関 や 援 助 機 関 において 参 加 型 開 発 の 試 みがなされているが、 未 だに 概 念 や 定 義 について 統 一 された 方 向 性 は 見 出 されていない。また 開 発 事業 の 実 践 においては、まだ 徐 々に 導 入 されているといった 状 況 にある。2


2.2 先 行 的 研 究参 加 型 開 発 の 重 要 性 については、 様 々な 研 究 論 文 が 発 表 されているが、 従 来 型 アプローチ(トップダウン 式 )の 問 題 点 の 整 理 に 努 めた 第 一 の 研 究 者 としてはチェンバース(Chambers)をあげることが 適 切 であろう。チェンバースは 従 来 型 アプローチの 結 果 、 両 極 化 、「 埋 もれた 過 ち」、 専 門 家 と 住 民 のリアリティのギャップ、リアリティの 移 転 といった 問 題 点 が 発 生 するとしている。 両 極 化 とは、 従 来 型 アプローチでは 開 発 効 果 の 配 分 に 不 平 等 が 生 じ、「 富 や 権 力 を 持 った 上 層 」と「 貧 しく 無 知 な 下 層 」の 二極 化 が 発 生 すると 言 うものである。「 埋 もれた 過 ち」は、トップダウン 式 では 援 助 の 専 門 家 が 間 違いに 気 づけず、 過 ちが 繰 り 返 されることと 指 摘 している。また、 専 門 家 と 住 民 のリアリティのギャップとは、 住 民 の 複 雑 かつ 多 様 な 生 活 に 基 づいたリアリティを 専 門 家 が 事 業 計 画 の 中 で 単 純 化 してしまうために 生 ずるギャップを 意 味 している。さらに、リアリティの 移 転 とは、トップダウン 方 式である 限 り、 専 門 家 のリアリティを 押 し 付 けることになり、 画 一 的 な 事 業 展 開 を 免 れないこととしている。チェンバースは、このような 問 題 点 を 指 摘 した 上 で、 住 民 のリアリティを 学 ぶところから 始 めることが 重 要 とした。 専 門 家 のみに 理 解 できる 統 計 や 計 画 よりも、 住 民 が 理 解 できる 言 葉 と 視 覚 的 手 法を 用 いて「 住 民 のリアリティ」を 表 現 してもらい、 住 民 によって 問 題 点 を 捉 え、 解 決 方 法 を 見 つけ、事 業 を 実 行 または 中 止 していく 事 業 手 法 となる。これが 参 加 型 開 発 の 基 本 的 な 考 え 方 になっている。注 3)しかしながら、 上 述 したとおり、 参 加 型 開 発 の 定 義 や 概 念 は 援 助 機 関 の 間 では 明 確 になっていない。このことに 関 しても 様 々な 研 究 がなされているが、 参 加 型 開 発 の 段 階 性 を 論 述 したプレティ(Pretty)の 研 究 は 有 益 と 考 えられる。プレティは、 事 業 への 住 民 参 加 は、エンパワーメント、 持 続 性 、オーナーシップ、 有 効 性 、 効 率 性を 強 化 させるとした 上 で、 住 民 参 加 のレベルを 7つの 種 類 、 段 階 に 分 類 している。 5)第 一 段 階 は 受 動 的 参 加 (Passive Participation)である。 住 民 は 報 告 を 受 けるためだけに 事 業 に 参 加 する。住 民 の 意 見 等 を 公 聴 することなく、 事 業 の 実 施 ・ 管 理 側 が 一 方 的 に 状 況 報 告 するものである。第 二 段 階 は 情 報 提 供 のための 参 加 (Participation in information giving) である。アンケート 調 査 等 によって 外 部 専 門 家 の 質 問 に 回 答 するための 参 加 となる。 住 民 がその 後 の 事 業 実 施 に 関 わる 機 会 は 無 い。第 三 段 階 は 協 議 のための 参 加 (Participation by consultation) である。 事 業 実 施 について、 住 民 は 外 部 専 門家 から 協 議 を 受 け、 自 分 の 意 見 を 提 示 するために 参 加 する。 外 部 専 門 家 は 問 題 点 とその 解 決 策 を 見出 し、 住 民 の 意 見 に 基 づいてそれを 修 正 していくこととなる。第 四 段 階 は 利 益 動 機 に 基 づく 参 加 (Participation for material incentive) である。 住 民 は 食 料 、 現 金 、その 他の 物 質 的 利 益 を 得 る 為 に 労 働 などの 使 役 を 提 供 し 事 業 に 参 加 する。 多 くの 農 業 社 会 調 査 はこの 分 類に 属 している。 動 機 付 けが 無 くなれば、 参 加 は 終 了 するため 持 続 的 な 参 加 にはなり 得 ない。3


第 五 段 階 は 機 能 的 な 参 加 (Functional Participation) である。 住 民 はグループを 形 成 して 事 業 目 的 の 形 成に 参 加 する。 外 部 専 門 家 等 の 指 導 によって、 組 織 的 な 住 民 団 体 を 設 立 することも 多 いが、 事 業 の 初期 段 階 や 計 画 サイクルに 関 わることは 少 なく、 主 要 な 計 画 決 定 がなされた 後 に 設 立 されて 事 業 の 実施 に 参 加 していくことになる。第 六 段 階 は 相 互 ・ 双 方 的 参 加 (Interactive Participation) である。 住 民 は、 行 動 計 画 や 新 しい 地 域 の 仕 組みの 形 成 、 既 存 の 仕 組 みの 強 化 に 係 わる 共 同 調 査 ・ 分 析 に 参 加 する。このような 共 同 調 査 ・ 分 析 グループが 具 体 的 な 事 業 実 施 の 意 思 決 定 を 担 い、 住 民 は 事 業 の 維 持 管 理 に 関 与 していくことになる。第 七 段 階 は 主 体 的 ・ 主 導 的 参 加 (Self-Mobilization) である。 住 民 は 外 部 専 門 家 から 独 立 し、 事 業 実 施のイニシアチブを 取 るために 参 加 する。このような 主 体 的 ・ 主 導 的 参 加 と 集 団 的 行 動 が 既 存 の 富 と権 力 の 不 平 等 な 配 分 構 造 を 是 正 していくこともあり 得 る。実 際 の 住 民 参 加 の 状 況 は、 上 述 した 様 々な 段 階 に 分 布 しているものと 思 料 されるが、より 高 い 段 階での 住 民 参 加 が 期 待 されるところである。 冒 頭 でも 述 べたとおり、 今 世 紀 中 の 人 口 爆 発 に 起 因 する諸 問 題 は、 量 的 に 莫 大 な 開 発 需 要 を 発 生 させるため、 既 存 の 援 助 システム( 有 償 や 無 償 資 金 協 力 などの 政 府 開 発 援 助 )だけで 十 分 に 対 処 していくことは 難 しくなるものと 想 定 される。 従 って、あらゆる 側 面 において 主 体 的 ・ 主 導 的 な 住 民 参 加 による 問 題 解 決 と 事 業 実 施 が 不 可 欠 となる。3. 居 住 政 策 における 参 加 型 開 発注居 住 4) の 整 備 は 元 来 住 民 自 身 の 手 によって 行 われていたが、 近 代 化 に 伴 って 行 政 システムが 整 い、政 府 や 技 術 専 門 家 が 居 住 計 画 や 事 業 実 施 を 担 っていくようになった。 6)1960~1970 年 代 半 ばにかけては、スラムの 増 大 に 対 応 すべく、 各 国 政 府 による 低 所 得 者 層 向 けの 公共 住 宅 供 給 が 主 流 となった。しかし、このような 公 的 計 画 の 限 界 は 間 もなく 明 らかとなった。すなわち、 各 戸 の 単 価 が 高 く 生 産 戸 数 が 少 数 にとどまった 上 に、 住 宅 を 供 給 された 低 所 得 者 層 が 中 所 得者 層 に 転 売 するといった 状 況 が 相 次 いだのである。さらに、 公 共 住 宅 は 居 住 者 自 身 による 改 善 の 余地 がなく、 貧 困 者 の 生 活 ニーズに 見 合 わないといった 側 面 もあった。 7)1970 年 代 半 ばから、 居 住 政 策 は 一 変 し、Turner が 提 唱 した「セルフ・ヘルプ( 住 民 による 住 宅 自 助建 設 )」を 取 り 入 れた 施 策 がとられるようになった。 8) その 代 表 的 なものが、 土 地 とインフラは政 府 助 成 によって 提 供 し、 住 宅 は 住 民 が 建 設 する「サイト・アンド・サービス」である。しかし、多 くの 事 例 は、 画 一 的 な 住 宅 モデルを 指 定 する 政 府 主 導 型 であり、Turner の 主 張 した「 建 てることの 自 由 (freedom to build)」は 実 践 されなかった。 9) また、もう 一 つの 施 策 である「スラム 改 善 事 業 」では、 自 治 体 と 住 民 の 協 働 でスラムのインフラ 改 善 を 行 い、 住 民 による 住 宅 の 自 助 改 善 を 促 したものの、 高 騰 する 土 地 からの 利 益 を 求 めて、スラム 地 主 が 住 民 の 立 ち 退 きを 行 うようになっていった。10)これらの 教 訓 を 踏 まえて 到 達 したのが 国 連 の「イネーブリング 戦 略 (Enabling Strategy) 」である。これは、1988 年 の 国 連 総 会 で 採 択 された“Global Strategy for Shelter to the Year 2000”の 根 幹 となる 政 策 である。 11) 「イネーブリング 戦 略 」において 政 府 の 役 割 は、 住 宅 を 直 接 供 給 するのではなく、 低 所 得4


層 の 住 民 が 自 ら 居 住 開 発 できるよう、 様 々な 制 度 づくりを 行 うことである。 具 体 的 には、 官 僚 的 な注規 制 や 手 続 きを 緩 和 し、 低 所 得 層 に 対 し「 安 定 した 土 地 保 有 5」 」の 保 障 、 技 術 や 資 金 など 資 源 へのアクセスを 可 能 にすることである。そのために、 住 民 組 織 、NGO、フォーマル・インフォーマルな 企 業 セクターの 有 する 資 源 を 動 員 することとした。このような 戦 略 は、プレティの 分 類 に 従 うと、 第 六 段 階 または 第 七 段 階 に 属 する 住 民 の 主 体 性 の 高い 事 業 方 法 であり、アジアにおいては、 一 般 に People’s <strong>Process</strong>(= 住 民 による 居 住 開 発 プロセス)と 呼 ばれ 始 めている。4. 参 加 型 居 住 開 発 の 支 援 ツール参 加 型 居 住 開 発 を 支 援 するために、 様 々なツールが 考 案 、 試 行 されているが、ここでは 国 連 ハビタットが 開 発 、 実 践 している 参 加 型 居 住 開 発 (People’s <strong>Process</strong>)の 支 援 アプローチを 紹 介 する。これは、言 わば「 人 々の 開 発 プロセスに 外 部 者 がいかに 参 加 するか」といった「 住 民 主 体 型 開 発 」であり、住 民 をプロジェクトのプロセスに 参 加 させるのではなく、 逆 に People’s <strong>Process</strong> を 外 部 者 が 支 援 することが 基 本 原 則 となっている。 開 発 の 主 体 はあくまでも 住 民 であり、 外 部 者 や 専 門 家 は、People’s<strong>Process</strong> の 支 援 に 徹 することが 求 められる。People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチは、 過 去 20 年 間 「スラム 改 善 事 業 」において 実 践 されてきたが、近 年 、 災 害 や 紛 争 の「 復 興 支 援 」にも 適 用 されつつある。 以 下 では、まず People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチの 概 念 とツールを 提 示 する。 次 に、「スラム 改 善 」「 紛 争 復 興 」「 災 害 復 興 」という 異 なる 取 組 における 適 用 事 例 を 分 析 し、その 有 効 性 を 検 証 する。これにより、スラム 改 善 のみならず、紛 争 ・ 災 害 復 興 という 不 安 定 な 状 況 下 において、「 住 民 参 加 型 居 住 開 発 」が、いかなる 支 援 によって 有 効 となり 得 るかを 論 じる。4.1 People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチ国 連 ハビタットでは、「イネーブリング 戦 略 」を 具 現 化 すべく、「コミュニティー」のエンパワーメントを 重 視 しながら People’s <strong>Process</strong> を 支 援 するアプローチを 開 発 してきた。1988 年 には、ザンビア、スリランカ、ボリビアの3ヵ 国 において、 各 国 政 府 と 共 同 で、 低 所 得 コミュニティーの 住 民 参注加 型 居 住 開 発 プログラムを 開 発 した 6) 。そのうち、スリランカでは、 国 を 挙 げての「 住 宅 百 万 戸 計 画 (1984 年 ~1989 年 )」が 実 施 されたが、これは「イネーブリング 原 則 適 用 の 最 良 モデルとして 国 際 的 な 注 目 を 集 めた」 事 例 であった。注 7)同 計 画 では、 様 々な 規 制 緩 和 のもと、 不 法 居 住 区 を 再 区 画 し 個 人 の 土 地 権 利 を 保 証 する。 住 民は、 住 宅 建 設 のために、 住 宅 開 発 公 社 からの 住 宅 ローンに 応 募 する 手 続 きや、 住 宅 設 計 ・ 積 算 の 基本 を 学 び、さらに、コミュニティー・インフラを 住 民 自 身 が 整 備 する。これらの 一 連 の 活 動 は、コミュニティーに 対 する 体 系 化 されたワークショップを 通 じて 段 階 的 に 実 施 されている。 12) こうした「 住 宅 百 万 戸 計 画 」の 実 践 を 通 じて 開 発 されたプログラムが People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチのツールとなり、 国 連 ハビタットの 他 国 での 支 援 事 業 に 適 用 されていった。5


4.2 支 援 アプローチの 概 念People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチの 概 念 図 を、 図 1に 示 す。 基 本 概 念 は、「 居 住 開 発 の 主 体 はあくまでも 住 民 であり、 政 府 機 関 やその 他 関 係 者 は、その 開 発 プロセスのサポートに 徹 する」ことである。 支 援 アプローチの 重 要 な 点 は 以 下 に 示 す2つの 考 え 方 である。図 1 People’s <strong>Process</strong> の「 支 援 アプローチ」 概 念 図4.2.1 コミュニティーを 通 じ、 住 民 のエンパワーメントを 図 る。居 住 開 発 においては、 個 人 単 位 ではなく「コミュニティー」を 支 援 することがより 有 効 である。それは、 低 所 得 居 住 地 には 社 会 的 弱 者 が 多 く、コミュニティーにおける 相 互 扶 助 が 各 世 帯 の 生 活 改 善に 不 可 欠 だからである。また、 居 住 改 善 では 個 々の 住 宅 のみならず、 井 戸 、 排 水 溝 、 集 会 所 といったコミュニティー・インフラを 整 備 、 維 持 管 理 する 必 要 があるため、おのずとコミュニティーの 役割 が 高 まる。さらに、 貯 蓄 貸 付 や 職 業 訓 練 など、コミュニティーを 単 位 とした 活 動 を 続 けていく 素地 を 作 るためにも、 住 民 組 織 化 を 通 じたコミュニティーの 強 化 が 重 要 である。4.2.2 住 民 による 居 住 開 発 を 政 府 が 支 援 できるよう、 行 政 能 力 を 強 化 する。住 民 による 居 住 開 発 を 支 援 するには、 住 民 組 織 化 、 技 術 や 資 金 の 支 援 のほか、 安 定 した 土 地 保 有 の保 障 など、 行 政 機 関 のみが 担 える 役 割 も 多 い。さらに、 行 政 手 続 きの 簡 素 化 を 通 じて、これらの 支援 制 度 や 体 制 を 整 えることも 政 府 の 重 要 な 役 割 である。したがって、 中 央 ・ 地 方 政 府 の 行 政 能 力 の強 化 は、People’s <strong>Process</strong> の 支 援 において 不 可 欠 である。6


CDC のメンバーは、 会 計 や 在 庫 管 理 のトレーニングを 受 け、 活 動 の 進 捗 にあわせて 会 計 報 告 を 行う。 契 約 金 は、その 会 計 報 告 をもとに、 分 割 で 銀 行 口 座 に 支 払 われる。このようにシステム 化 された 資 金 管 理 により、CDC の 役 員 による 資 金 の 不 正 使 用 は 防 止 されている。 住 民 相 互 のアカウンタビリティー( 説 明 責 任 )も、 資 金 の 適 正 な 使 用 に 寄 与 している。さらには、 事 業 の 最 終 的 な 実 施 効果 についても 住 民 参 加 型 で 行 われるのである。5. 参 加 型 居 住 開 発 の 事 例 研 究国 連 ハビタットは 急 激 な 都 市 化 に 係 る 居 住 問 題 への 対 処 や 社 会 的 、 環 境 的 に 持 続 可 能 な 人 間 居 住 を実 現 するために、 住 宅 建 設 を 中 心 とするスラム 改 善 事 業 はもとより、 道 路 や 上 下 水 道 等 のインフラ整 備 事 業 、さらには 紛 争 対 策 や 災 害 復 旧 ・ 復 興 事 業 を 多 くの 途 上 国 で 実 施 している。 上 述 した 参 加型 居 住 開 発 の 支 援 アプローチは、 国 連 ハビタットの 様 々な 事 業 分 野 で 活 用 する 事 が 可 能 になってきている。ここでは、 特 にスラム 改 善 事 業 、 紛 争 復 興 事 業 、 災 害 復 興 事 業 を 事 例 として 取 り 上 げ、その 有 効 性 を 検 討 する。5.1 スラム 改 善 における 適 用 事 例People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチは、 過 去 20 年 間 、スラム 改 善 事 業 に 適 用 されてきた。ここでは、バングラデシュの『 都 市 貧 困 削 減 のためのパートナーシップ 事 業 』を 事 例 に、 上 述 のアプローチがいかに 適 用 され、いかなる 効 果 があったかを 分 析 する。5.1.1 プロジェクトの 仕 組 み本 事 業 は、2000 年 1 月 から 7 年 半 にわたり、 全 国 11 都 市 で 実 施 された( 図 2 参 照 )。 実 施 機 関 は、バングラデシュ 政 府 (LGED:Local Government Engineering Department ) であり、UNDP の 資 金 供 与 のもと、 国 連 ハビタットが 技 術 支 援 を 行 った。バングラデシュはアジアの 最 貧 国 のひとつであり、 特に 都 市 貧 困 の 問 題 は 深 刻 である。本 事 業 の 特 徴 は、コミュニティー 内 に 女 性 を 中 心 とする 貯 蓄 貸 付 グループが 作 られ、 各 グループの代 表 によって CDC が 形 成 される 点 である。 貯 蓄 グループのメンバーは 各 週 10 タカ( 約 15 円 )の貯 蓄 が 義 務 付 けられており、 貯 蓄 に 応 じて 低 利 の 貸 付 を 受 けることができる。8


図 2 都 市 貧 困 削 減 のためのパートナーシップ 事 業 ( 事 業 実 施 地 区 ) 14)CDC はワークショップを 通 じてスラム 環 境 の 改 善 に 関 する「コミュティー 行 動 計 画 」を 策 定 する( 図 3 参 照 )。 優 先 順 位 の 高 いコミュニティー・インフラは、 共 同 トイレ、 井 戸 、 電 柱 、 排 水 溝 である。コミュニティー 行 動 計 画 は 地 方 政 府 と CDC の 代 表 から 成 る 委 員 会 により 承 認 されなければならない。 計 画 が 承 認 されると、CDC は、 地 方 政 府 のエンジニア 職 員 の 支 援 を 受 けつつ、 敷 設 するインフラのデザインやコスト 積 算 を 行 う。こうして 準 備 されたコミュニティー 契 約 は、CDC と地 方 政 府 の 間 で 締 結 される。図 3 コミュニティー 行 動 計 画 策 定 (CAP)注 9)15)締 結 されたコミュニティー 契 約 は、LGED および 国 連 ハビタットによる 承 認 手 続 きを 経 る。 承 認 されると、ドナー(UNDP)により 地 方 政 府 の 特 別 銀 行 口 座 に 契 約 金 額 が 送 金 され、 工 事 進 捗 にあわ9


せて 地 方 政 府 より 各 CDC の 銀 行 口 座 に 分 割 送 金 される。このように 資 金 の 流 れの 透 明 性 が 確 保 されているため、 地 方 政 府 によるプロジェクト 資 金 の 不 正 使 用 は 防 止 されている。環 境 改 善 に 加 え、もう 一 つの 事 業 の 柱 が 生 計 支 援 である。 各 都 市 で 産 業 施 設 の 求 人 情 報 を 調 査 し、各 コミュニティーにより 選 出 された 見 習 生 に 対 して、 職 業 訓 練 を 行 う。本 事 業 における 国 連 ハビタットの 重 要 な 役 割 は、コミュニティーおよび 政 府 職 員 に 対 するトレーニングである。コミュニティーに 対 しては、 貯 蓄 貸 付 やコミュニティー 契 約 に 関 するトレーニング、および 大 工 に 対 する 技 術 指 導 が 実 施 された。また、 政 府 職 員 に 対 しても、プロジェクト 実 施 を 通 じて、インフラ 建 設 の 技 術 指 導 や、マネージメントに 関 するトレーニングが 行 われた。5.1.2 プロジェクトの 効 果全 国 で 622 の CDC が 形 成 され、65 万 人 が 裨 益 した。 総 額 8.2 百 万 ドルにのぼる 1,287 のコミュニティー 契 約 が 締 結 され、31,600 個 の 共 同 トイレ、3,750 個 の 井 戸 などが 設 置 された。2006 年 に 実 施 された 外 部 評 価 によると、これらのコミュニティー・インフラによって、スラムの 衛 生 状 態 が 著 しく 改善 し、 疾 病 率 が 大 きく 低 下 している。また、7,290 名 が 見 習 い 職 業 訓 練 を 受 け、 都 市 によって 差 はあるものの 6~8 割 が 訓 練 終 了 後 に 見 習い 先 に 雇 用 された。さらに、5,600 の 貯 蓄 貸 付 グループが 形 成 され、 低 利 の 貸 付 は 高 い 返 済 率 を 維持 している。 上 述 の 職 業 訓 練 後 に 雇 用 に 至 らなかった 訓 練 生 も、 貸 付 により 自 営 業 の 開 始 が 可 能 となった。 貯 蓄 貸 付 グループの 貯 蓄 総 額 は 1.4 百 万 ドルに 達 し、ここにはプロジェクトによる 外 部 資金 は 全 く 投 入 されていない。バングラデシュには、 小 規 模 金 融 (マイクロクレジット)の 経 験 が 豊 富 な NGO が 多 い。しかし、本 事 業 では、コミュニティー 内 に 貯 蓄 貸 付 制 度 を 作 ることによって、コミュニティー 自 らの 資 金 管理 能 力 を 強 化 した。援 助 による 住 民 組 織 化 について、「 外 部 者 が 働 きかけた 住 民 組 織 は 一 般 的 には 脆 弱 である。( 中略 )そもそもの 組 織 化 の 契 機 が 外 発 的 なものであり、 活 動 が 継 続 されるための 資 源 投 入 も 自 発 的 で注なければ、ドナーの 介 入 が 終 われば、 住 民 組 織 が 消 滅 するのは 当 然 」といわれる。 10) しかし、 裏を 返 せば、 住 民 がどれだけ 自 己 資 金 を 投 入 するか、プロジェクトを 契 機 に 開 始 された 活 動 がどこまで 組 織 の 日 常 活 動 になるかで、 住 民 組 織 の 持 続 性 は 変 わってくる。 本 事 業 の 場 合 は、CDC は 貯 蓄貸 付 のマネージメントの 場 として 引 き 続 き 機 能 し、それに 伴 いコミュニティーの 課 題 が 協 議 される場 であり 続 けている。さらに、 本 事 業 の 実 施 を 通 じた 行 政 能 力 強 化 は、 地 方 政 府 レベルで 様 々なインパクトを 生 みだしている。それまで、 政 府 のエンジニア 職 員 が 直 接 スラムに 入 って 住 民 とともに 活 動 することはなかったが、 本 事 業 により 地 方 政 府 と 低 所 得 コミュニティーの 関 係 が 強 化 された。 現 在 では、コミュニティーの 相 互 訪 問 により CDC のネットワーク 組 織 が 各 地 で 形 成 され、ひとつのコミュニティーでは解 決 できない 地 域 全 体 の 問 題 を、 地 方 政 府 と 協 議 するなど、 地 域 全 体 のパートナーシップが 強 化 されつつある。10


また、 上 述 のコミュニティー 契 約 は、「 政 府 が 住 民 の 立 ち 退 きを 行 わないこと」を 条 件 に 締 結 される。これにより、スラムの 最 大 の 課 題 である「 安 定 した 土 地 保 有 」を 保 障 した 点 で、 制 度 上 のインパクトももたらした。現 在 本 事 業 のフェーズ II が 全 国 30 都 市 にて 拡 大 実 施 されており、 同 事 業 では、 地 方 政 府 のみならず、 国 家 政 府 レベルで、「 住 民 主 体 のスラム 改 善 」、「スラム 住 民 に 対 する 安 定 した 土 地 保 有 の 保障 」を 提 唱 している。5.1.3 スラム 改 善 と People’s <strong>Process</strong>本 事 例 では、スラム 改 善 において、 前 節 で 論 じた「People’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチ」の 具 体 的 な適 用 を 論 じた。 事 例 に 示 されたように、 住 民 組 織 の 形 成 、コミュニティー 行 動 計 画 策 定 、コミュニティー 契 約 を 通 じて、コミュニティーのエンパワーメントと 地 方 政 府 の 行 政 能 力 強 化 を 同 時 に 行 うことが 可 能 である。スラム 住 民 の 最 大 の 脅 威 である「 不 衛 生 な 環 境 」と「 強 制 立 ち 退 き」を 排 除 し、 住 環 境 を 向 上 することは、 貧 困 緩 和 の 第 一 歩 と 言 えよう。しかし、それと 同 時 に、 貯 蓄 貸 付 や 職 業 訓 練 により 生 計 を支 援 することが、 所 得 の 安 定 化 と 向 上 に 必 要 である。また、 貯 蓄 貸 付 制 度 や、CDC 間 のネットワークを 通 じて、コミュニティーの 自 立 発 展 性 を 可 能 にする 仕 組 みが 構 築 された 点 も 本 事 業 の 特 徴 である。これは、スラム 改 善 を「 事 業 」として 終 わらせないための 取 組 と 言 えるであろう。5.2 紛 争 復 興 における 適 用 事 例次 に、 紛 争 復 興 における People’s <strong>Process</strong> の 支 援 事 例 として、アフガニスタンの「 国 家 連 帯 プログラム(National Solidarity Programme:NSP)」を 取 り 挙 げる( 図 4 参 照 )。カルザイ 新 政 権 が 誕 生 した2002 年 当 時 、アフガニスタンでは 長 年 にわたる 紛 争 により、 国 内 のインフラの7 割 が 破 壊 され、人 口 の4 割 が 避 難 民 という 状 態 であった。また、 国 全 体 が 無 政 府 状 態 と 化 しており、 国 土 の 大 半 を占 める 農 村 地 域 においては 県 レベルの 行 政 組 織 もない 有 様 であった。このような 状 況 下 で、いかにPeople’s <strong>Process</strong> の 支 援 アプローチが 適 用 され、いかなる 効 果 があったのかを 論 じる。5.2.1 プログラムの 仕 組 み国 連 ハビタットは、1992 年 よりアフガニスタンでコミュニティー・レベルの 活 動 を 継 続 してきた。2002 年 、 新 政 権 により、 農 村 地 域 の 復 興 プログラムの 策 定 支 援 を 要 請 された 国 連 ハビタットは、People’s <strong>Process</strong> を 推 進 するプログラムの 開 発 を 支 援 した。NSP は 現 在 ではアフガニスタンの 34 州 全てで 実 施 される 国 家 の 基 幹 プログラムとなっており、 世 銀 や 日 本 政 府 を 含 む 計 16 のドナーが 929注 11)百 万 ドルを 拠 出 している(2009 年 4 月 時 点 ) 。11


注 12)図 4 国 家 連 帯 プログラムの 実 施 地 区ParwanBalkhHeratBamiyanNangarharPanjshirKapisaFarahKandaharUN-HABITAT AfghanistanNSP Projects Locations実 施 機 関 は、 農 村 開 発 省 (MRRD:Ministry <strong>of</strong> Rural Rehabilitation and Development) であり、2009 年 4 月現 在 、 国 連 ハビタットを 含 む 29 の Facilitating Partner( 国 連 ハビタット 以 外 は 国 内 外 の NGO)が、コミュニティー・レベルでの 実 施 支 援 に 従 事 している。 国 連 ハビタットは、プログラム 実 施 のガイドラインやトレーニングマニュアルの 策 定 を 支 援 し、 政 府 機 関 および Facilitating Partner に 対 して、トレーニングを 実 施 している。2007 年 10 月 の 時 点 で、15.5 万 人 (うち 36%が 女 性 )が NSP のトレーニングを 受 講 した。図 5 選 挙 による CDC の 設 立注 13)15)(12


プログラムの 仕 組 みは、 農 村 の 既 存 コミュニティー(200 世 帯 程 度 )を 10~30 世 帯 にグループ 分 けし、 各 グループで、CDC のメンバーを 秘 密 投 票 にて 選 出 する( 図 5 参 照 )。 各 グループの 代 表 からなる CDC は、コミュニティーの 開 発 を 協 議 する 場 となる。 各 コミュニティーには 世 帯 数 に 応 じて 2.7 万 ドルから 6 万 ドルの 開 発 資 金 が 割 り 当 てられている。CDC では 限 られた 予 算 の 中 、コミュニティーが 必 要 とするサブ・プロジェクトを 検 討 し、 農 村 開 発 省 にプロポーザルを 提 出 する。 農 村開 発 省 でこれが 承 認 されると、 同 省 と 各 CDC の 間 でコミュニティー 契 約 が 締 結 され、 資 金 が 供 与される。サブ・プロジェクトは 住 民 自 身 の 手 により 実 施 され、CDC は、 定 期 的 な 総 会 で、コミュニティー 全 体 に 対 して、 資 金 の 使 途 に 係 る 説 明 を 行 う。アフガニスタンには、 伝 統 的 な 長 老 協 議 会 (Shura)が 各 村 にあるが、 彼 らは 住 民 の 意 見 を 反 映 する「 代 表 者 」ではない。プログラムでは、CDC メンバーを 投 票 で 選 ぶことの 重 要 性 について 時 間をかけて 説 明 した。こうして、アフガニスタンの 農 村 で、はじめて、 選 挙 によって 設 立 された 自 治組 織 が 生 まれたのである。また、NSP では、 女 性 のエンパワーメントに 力 を 入 れており、ひとつのコミュニティーに 男 女 別 々の CDC を 組 織 し、 女 性 の 権 利 やニーズが 反 映 される 仕 組 みづくりに 取 り 組 んでいる。各 コミュニティーでは、People’s <strong>Process</strong> を 支 援 すべく、CDC およびコミュニティーのメンバーに 対してトレーニングを 実 施 している。トレーニングの 内 容 は、「NSP のコンセプト」「サブ・プロジェクトのマネージメント」「 会 計 」など、 多 岐 にわたっている。5.2.2 プログラムの 効 果2009 年 1 月 時 点 において、 全 国 で 21,760 の CDC が 設 立 されている。これらの CDC より、47,306 のサブ・プロジェクトが 提 案 され、うち 27,288 が 完 了 している。サブ・プロジェクトの 内 容 は、 給 水 、下 水 、 道 路 、 灌 漑 、 小 規 模 水 力 発 電 、 学 校 建 設 などのコミュニティー・インフラが 主 である。また、国 連 ハビタットが 支 援 した 3,258 のコミュニティーのうち、 約 300 で、 女 性 による 貯 蓄 貸 付 グループが 運 営 されている。世 銀 の 2007 年 3 月 時 点 の 報 告 によると、アフガニスタン 農 村 部 の 3 人 に 2 人 ( 約 1,300 万 人 )がNSP の 恩 恵 を 受 けている。 具 体 的 には、 農 村 人 口 の 28%が 給 水 ・ 下 水 設 備 を、25%が 道 路 を、18%が 灌 漑 システムを、16%が 電 気 を 利 用 できるようになった。 17) NSP により 設 立 された CDC は、その 後 、 識 字 教 育 、 職 業 訓 練 、ヘルスサービスなど、 様 々なプロジェクトの 実 施 の 場 として 機 能 し、政 府 機 関 およびドナーによる 末 端 へのサービスを 可 能 としている。また、CDC は、 住 民 間 のもめ注 14)ごとの 仲 裁 の 場 になるなど、その 自 治 機 能 を 強 化 しつつある。 さらに、コミュニティーが 一 体となり 反 政 府 組 織 から 住 民 を 守 るという 事 例 が 現 場 より 報 告 されており、CDC のセキュリティー機 能 も 注 目 に 値 する。なお、2006 年 11 月 の 大 統 領 令 により、CDC が 法 的 な 組 織 として 認 められた。世 銀 のインパクト 調 査 では、インタビュー 回 答 者 の 92%が CDC はアフガニスタン 政 府 組 織 の 一 部 、と 認 識 している。 18)13


さらに、バングラデシュの 事 例 と 同 様 、 活 動 は 各 CDC 内 にとどまらず、 近 隣 の 複 数 の CDC による地 域 開 発 の 計 画 、 実 施 に 発 展 している。 例 えば、JICA の 支 援 による「 地 方 開 発 支 援 プロジェクト(Inter-Communal Rural Development Project)」 では、バーミヤン、カンダハルの 両 州 において、NSP で 設立 された 56 の CDC が 13 のクラスターCDC を 形 成 し、 農 村 開 発 省 および 州 政 府 とともに、 地 域 開発 サブ・プロジェクトを 計 画 、 実 施 している。クラスターCDC によって 選 定 された 19 のサブ・プロジェクトは、CDC 間 の 道 路 、ダム 建 設 などの 地 域 インフラが 主 であるが、 生 計 向 上 活 動 (カーペット 織 り)も 含 まれる。5.2.3 紛 争 復 興 と People’s <strong>Process</strong>以 上 、 紛 争 復 興 においても、 先 に 述 べたスラム 改 善 と 同 様 の 支 援 アプローチが 適 用 できることを 示した。 紛 争 復 興 の 過 程 では、 地 方 の 行 政 組 織 が 存 在 しない(または 機 能 しない)ため、コミュニティーこそが 復 興 の 力 となる。すなわち、コミュニティー・レベルの 自 治 組 織 である CDC そのものが、ローカル・ガバナンスの 場 となるのである。また、 複 数 の CDC が 連 携 することで、 地 域 開 発も 可 能 となる。このように、 紛 争 復 興 という 行 政 体 制 が 未 整 備 の 段 階 において、People’s <strong>Process</strong> の 支 援 は、 人 々のニーズに 応 える、 有 効 な 開 発 アプローチといえよう。なお、 世 銀 は、「NSP は、 紛 争 後 の 不 安 定 な政 治 経 済 状 況 においても、コミュニティーのエンパワーメントを 通 じて、 大 規 模 な 国 家 プロラムが実 施 できることを 証 明 した」と 結 論 づけている。 19)5.3 災 害 復 興 における 適 用 事 例最 後 の 事 例 として、 災 害 復 興 における People’s <strong>Process</strong> の 支 援 を 取 り 挙 げる。 災 害 復 興 の 課 題 は、「 継 ぎ 目 のない 復 興 (seamless recovery) 」すなわち、 災 害 直 後 の 緊 急 支 援 から、いかにスムーズに被 災 者 の 生 活 再 建 につなげる 支 援 を 行 うかである。ここでは「パキスタン 地 震 」の 復 興 を 例 に、いかなる 支 援 が 有 効 であるかを 論 ずる。5.3.1 プロジェクトの 仕 組 み2005 年 10 月 8 日 、パキスタン 北 東 部 の 山 間 地 帯 を 襲 った 地 震 は、7 万 人 の 死 者 を 出 し 60 万 戸 の 住宅 を 破 壊 した( 図 6 参 照 )。 同 地 震 復 興 では、 政 府 に 対 する 行 政 能 力 強 化 により 力 を 入 れた。 具 体的 には、 地 震 復 旧 復 興 庁 (ERRA:Earthquake Reconstruction and Rehabilitation Authority)に 対 し、1 住 宅 再建 に 関 する 技 術 支 援 と 体 制 づくりの 支 援 、2 地 滑 りで 宅 地 を 失 った 人 々に 対 する 土 地 所 有 権 確 保 のための 政 策 策 定 支 援 を 行 った。パキスタン 地 震 復 興 は、「 所 有 者 主 導 型 再 建 」のアプローチを、 制 度 として 全 面 的 に 取 り 入 れた 最初 の 事 例 となった。 当 初 は、 耐 震 性 の 強 いセメントづくりによる「ドナー 主 導 型 再 建 住 宅 」の 建 設が 世 銀 から 提 案 された。しかし、アクセスの 困 難 な 山 間 地 帯 にセメントを 運 搬 することは 非 現 実 的であったし、ドナー 主 導 型 アプローチの 限 界 は 他 国 での 先 例 が 示 していた。14


20)図 6 パキスタン 地 震 復 興 地 区そこで、 国 連 ハビタットは、National Engineering Services Pakistan およびネパールの NGO(NSET)と協 力 し、「 住 民 による」 住 宅 再 建 のガイドラインを 策 定 した。 例 えば、カシミール 地 方 では、 山 中の 石 を 使 った 石 積 みの 家 「ダージ」が 伝 統 的 住 宅 であった。しかし、 耐 震 性 の 面 で 課 題 があったため、これを 強 化 する 建 築 手 法 が 開 発 された( 図 7 参 照 )。注 15)15)図 7 住 民 による 伝 統 的 住 宅 の 再 建15


開 発 された 技 術 を、 指 導 ・ 伝 達 するために、 各 地 に 14 の「 住 宅 再 建 センター」が 設 立 され、そこでパートナー 機 関 ( 国 内 外 の 31 の NGO)のトレーナー 訓 練 が 行 われた。トレーナーは 巡 回 トレーニングチームを 結 成 し、 被 災 地 での「 村 落 再 建 委 員 会 」の 設 立 、 大 工 や 住 民 に 対 する 技 術 訓 練 を 行った。こうして 技 術 訓 練 を 受 けた 被 災 世 帯 に 対 し、 政 府 より 2,800 ドルの 住 宅 再 建 費 が 支 払 われた注 16)5.3.2 プロジェクトの 効 果被 災 地 全 体 をカバーする 支 援 体 制 は 整 ったものの、 難 しい 課 題 が 残 った。それは、 地 震 による 地 滑りで、 居 住 地 を 失 ったり、 居 住 地 が 危 険 地 域 と 化 した 世 帯 が、いかに 速 やかに、 新 たな 土 地 に 住 宅を 再 建 するかであった。 国 連 ハビタットは、 同 課 題 に 対 応 するための 政 策 づくりを 支 援 した。「 支援 対 象 者 の 確 認 、 支 援 を 拒 否 された 場 合 の 異 議 申 し 立 て、 土 地 購 入 資 金 の 支 払 い、 購 入 した 土 地 の所 有 権 付 与 」という 一 連 の 手 続 きを 経 て、2008 年 末 時 点 で 3,852 世 帯 が 土 地 を 購 入 し、 土 地 所 有 権を 取 得 した。 特 筆 すべきは、 複 雑 な 法 手 続 きにより 従 来 は 7 週 間 要 した 土 地 所 有 権 の 付 与 を1 日 に短 縮 し、 住 宅 再 建 の 迅 速 化 を 促 したことである。地 震 から 3 年 余 りを 経 た 2009 年 2 月 現 在 、 全 壊 住 宅 46.3 万 戸 のうち 42.4 万 戸 の 再 建 が 達 成 された。伝 統 的 な 地 元 の 建 材 と 技 術 を 用 いつつも、 耐 震 性 を 強 化 した 住 宅 を 再 建 した 点 で、 “Building Back注Better” 17) を 住 民 自 らが 実 現 した 事 例 といえる。5.3.3 災 害 復 興 と People’s <strong>Process</strong>パキスタンの 事 例 から、 災 害 復 興 においても、People’s <strong>Process</strong> の 支 援 が 有 効 であることがわかる。住 宅 を 建 設 して 被 災 者 にあてがうのではなく、 被 災 者 自 らが 住 宅 を 再 建 できるよう、 技 術 と 最 低 限必 要 な 資 金 を 支 援 する。そして、そのための 制 度 や 体 制 を 整 えることが 必 要 なのである。 住 民 の 手による 住 宅 再 建 は、 工 事 業 者 によるものより、 低 コストで 短 期 間 である。 避 難 キャンプや 仮 設 住 宅から 一 日 も 早 く 再 建 住 宅 に 移 り 住 みことで、 生 活 の 再 建 が 早 まり、「 継 ぎ 目 のない 復 興 」につながるのである。5.4 事 例 研 究 の 考 察事 例 研 究 を 通 じて、いわゆる「 住 民 主 体 型 開 発 (People’s <strong>Process</strong>)」が、いかなる 支 援 によって 有 効 となり 得 るかを 検 証 した。 結 論 として、People’s <strong>Process</strong> は、スラム 改 善 のみならず、 紛 争 復 興 および災 害 復 興 においても 効 果 的 に 支 援 できる。バングラデシュのスラム 改 善 の 事 例 においては、 貯 蓄 貸 付 グループを 基 礎 とする 住 民 組 織 形 成 、コミュニティー 契 約 によるインフラ 改 善 により、スラム 住 民 の 貧 困 緩 和 に 寄 与 した。また、アフガニスタンの 紛 争 復 興 の 事 例 では、 地 方 の 行 政 組 織 が 存 在 しない 中 、コミュニティー・レベルの 自 治 組 織 (CDC)そのものが 自 らの 開 発 を 決 定 するローカル・ガバナンスの 場 として 機 能 することが 示 された。16


さらに、 災 害 復 興 においては、 住 民 による 住 宅 再 建 が、ドナー 主 導 型 の 支 援 より 迅 速 かつ 持 続 的 であり、「 継 ぎ 目 のない 復 興 」を 可 能 にすることが 明 らかとなった。上 記 の3 事 例 は 全 く 異 なった 状 況 下 であるが「 支 援 アプローチの 概 念 」は 共 通 である。すなわち、開 発 の 主 体 はあくまでも 住 民 であり、 政 府 機 関 、 専 門 家 その 他 関 係 者 は People’s <strong>Process</strong> の 支 援 に 徹する。CDC の 形 成 、コミュニティー 行 動 計 画 策 定 、コミュニティー 契 約 は、People’s <strong>Process</strong> を 推 進 するツールである。これらのツールを 通 じて、 有 限 の 開 発 資 金 をコミュニティーに 直 接 投 資 し、 住 民 自 らがそれを 最 適 活 用 することが 可 能 となる。また、この 開 発 過 程 (プロセス)を 通 じてコミュニティーのエンパワーメントが 図 られ、そこに 貯 蓄 貸 付 などの「 継 続 する」 活 動 を 組 み 込 むことで、コミュニティーの 自 立 発 展 につながる。重 要 なことは、これら 支 援 の 制 度 や 体 制 を 整 えることである。そのために、 政 府 に 対 する 行 政 能 力強 化 や 政 策 策 定 支 援 が 必 要 である。 特 に、 安 定 した 土 地 保 有 の 保 障 や、 行 政 手 続 きの 簡 素 化 など、行 政 機 関 のみが 担 える 役 割 を 強 化 することが 求 められる。6.おわりに国 連 ハビタットの 参 加 型 居 住 開 発 支 援 ツールがスリランカの「 住 宅 百 万 戸 計 画 (1984 年 ~1989年 )」を 通 じて 開 発 されたことは 上 述 したとおりであるが、コミュニティー 行 動 計 画 やコミュニティー 契 約 が 当 初 からスムーズに 進 んだわけではなく、プレティの 第 三 段 階 から 第 五 段 階 を 試 行 錯 誤の 中 で 乗 り 越 えながら 進 行 していったというのが 実 態 である。 現 在 においても、それぞれの 国 の 社会 情 勢 によって 事 業 手 法 に 変 化 を 持 たせる 必 要 はある。また、ダム 建 設 などの 大 規 模 建 設 事 業 の 場合 にはプレディの 第 四 段 階 、 第 五 段 階 で 止 まらざるを 得 ない 場 合 もある。しかしながら、 国 連 ハビタットの 20 年 を 超 える 経 験 を 通 じて、 課 題 の 認 識 、 事 業 の 形 成 、 実 施 、 維 持 管 理 といったプロジェクト・サイクルを 参 加 型 開 発 で 実 施 するノウハウは 蓄 積 されたと 言 える。 更 に、 最 近 では 事 業 実施 中 のモニタリング、 事 業 終 了 後 の 評 価 も 参 加 型 で 実 施 されるなどプレティの 第 八 段 階 とも 考 えられるような 開 発 手 法 に 発 展 してきている。第 二 章 「 参 加 型 開 発 の 経 緯 」の 中 で、 国 際 機 関 や 援 助 機 関 において 参 加 型 開 発 の 試 みがなされているが、 未 だに 概 念 や 定 義 について 統 一 された 方 向 性 は 見 出 されていないことや、 開 発 事 業 の 実 践 においては、まだ 徐 々に 導 入 されているといった 状 況 にあることを 記 述 した。 国 連 ハビタットの 支 援アプローチの 概 念 やツールにしても、まだ 共 通 の 評 価 や 認 識 が 定 着 しているわけではないが、アジア 地 域 においては 着 実 に 実 践 の 開 発 手 法 として 根 付 き 始 めており、その 理 論 化 と 普 及 啓 発 によって参 加 型 開 発 の 大 きな 前 進 に 寄 与 する 可 能 性 がある。特 に、 事 例 研 究 から 明 らかなように、プレティの 分 類 からすれば 第 七 段 階 に 類 する 参 加 型 開 発 レベルであり、チェンバースが 投 げかけた 多 くの 疑 問 、 課 題 にも 答 え 得 る 事 象 が 多 い。さらには、モニタリングや 事 業 評 価 についても 住 民 参 加 型 で 行 われ 始 めている。 今 後 、 他 機 関 が 実 施 している 参 加17


型 開 発 との 比 較 研 究 を 行 い、 学 術 的 整 理 と 理 論 的 一 般 化 、 適 用 範 囲 の 明 確 化 と 実 践 での 検 証 の 深 化を 進 めることが 重 要 と 考 えられる。注1)スラムとは、「 住 宅 の 密 集 化 ・ 老 朽 化 が 進 み、 上 下 水 などの 基 礎 インフラが 未 整 備 な 地域 」であり、 土 地 所 有 権 を 有 さない 者 が 居 住 する 不 法 居 住 区 である 場 合 が 多 い。2) 国 連 人 間 居 住 計 画 ( 国 連 ハビタット)は、 社 会 的 、 環 境 的 に 持 続 可 能 な「 人 間 居 住 」を促 進 する 国 連 機 関 として 1978 年 に 設 立 された。3) 参 考 文 献 4)の pp14-15 を 参 照4)「 居 住 」あるいは「 人 間 居 住 (human settlements) 」とは、「 住 宅 およびそこに 住 む 人 々の 共同 体 (コミュニティー)と 生 活 」を 意 味 する。したがって、 住 宅 のみならず、コミュニティー、インフラ、 生 計 、 社 会 サービス、そして、それらを 支 援 する 行 政 システムは、いずれも「 居 住 」に 関 連 する。5) 安 定 した 土 地 保 有 (Security <strong>of</strong> Tenure)とは「 一 定 の 土 地 に 安 定 して 住 む 権 利 」を 意 味 する。スラムなどの 不 法 居 住 区 では、 行 政 による 強 制 立 ち 退 きが 住 民 の 生 活 を 脅 かしている。1996 年 に 開 かれた 第 2 回 国 連 人 間 居 住 会 議 (ハビタット II)では、 特 にこの 問 題 が 重 視され、 各 国 政 府 に 対 して、 安 定 した 土 地 保 有 を 保 障 するシステムの 構 築 が 提 唱 された。6)DANIDA(デンマーク 国 際 開 発 事 業 団 )の 資 金 供 与 により、1984 年 から 1994 年 にかけて実 施 された “Training Programme for Community Participation”を 指 す。7) 区 画 の 規 模 は、 都 市 開 発 法 規 に 免 除 規 定 を 設 けて 50 平 米 の 過 小 住 宅 も 合 法 とされた。 建物 についても、 一 般 の 建 築 基 準 を 免 除 し、ワークショップで 合 意 された 建 築 協 定 を 適 用した。8)Lankatilleke (2009) を 参 考 に 作 成9)マッピングによって、コミュニティー・インフラの 建 設 位 置 を 選 定 する。10) 参 考 文 献 16)の pp3-34 を 参 照11) 世 銀 が 管 理 する「アフガニスタン 復 興 基 金 」を 通 じて 日 本 政 府 も 2,900 万 ドルのグラントを 拠 出 している。12) 国 連 ハビタットの 資 料 をもとに 作 成13) 18 歳 以 上 の 男 女 が 初 めての 選 挙 に 参 加 した。14) 世 銀 のインパクト 調 査 (Wold Bank2008)によると、131 のコミュニティーで、CDC の 存 在 意 義 を 問 うインタビューに 対 し、回 答 者 の 77%が「 住 民 を 助 けるため」、52%が「 開 発 プロジェクト 実 施 のため」、21%が「 住 民 間 のもめ 事 の 解 決 のため」と 回 答 している。このことから、 住 民 が CDC を「 外部 支 援 の 受 け 皿 」 以 上 の 場 ととらえていることがわかる。15) 地 元 の 建 材 を 使 ったダージ・ハウスの 再 建 。 耐 震 性 強 化 のための 技 術 トレーニングが 実 施 された。16)パキスタンの 山 間 部 では 各 住 居 が 散 在 しているため、コミュニティー 契 約 による 住 宅 再建 は 実 施 していない。18


17)「( 災 害 以 前 に 比 べ)より 良 く 復 興 する」という 意 味 で、スマトラ 沖 津 波 以 降 、 災 害 復興 支 援 のスローガンとなった。参 考 文 献1) 国 際 協 力 事 業 団 、「 国 際 協 力 と 参 加 型 評 価 」pp 6-9、20012)Institute for International Cooperation, Japan International Cooperation Agency: Participatory Evaluation andInternational Cooperation, pp 1 – 3, 2001.3)DAC, OECD: Shaping the 21 st Century: The contribution <strong>of</strong> Development Cooperation, pp14 – 16, May 1996.4)Chambers, Robert: Whose Reality Counts? Putting the First Last, London, IT Publications, 1997.5)Pretty et al: Participatory Learning and Action. A trainers’ Guide, http://portals.wi.wur.nl/ppme/?Participation,1995.6)Hamdi, Nabeel: Small Change: About the art <strong>of</strong> practice and limits <strong>of</strong> planning in cities, Earthscan, London, 2004.7) 穂 坂 光 彦 :インフォーマル 世 界 の 計 画 プロセス―アジア 大 都 市 の 宅 地 開 発 をめぐって―、 都 市計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集 、No. 31, pp331-336、19968)Turner, John F.C.: Housing by People: Towards Autonomy in Building Environments. London: Marion Boyars、1976.9) 幡 谷 則 子 ;ラテンアメリカ 諸 国 の 都 市 住 民 組 織 の 役 割 とその 変 化 ~コロンビアを 中 心 に~、 住宅 、 建 築 情 報 センター、2007 年 .12 月 .11)United Nations: Global Strategy for Shelter to the Year 2000, p12,http://ww2.unhabitat.org/programmes/housingpolicy/gss_monitoring.asp, March, 1988.12) 穂 坂 光 彦 : 南 アジアにおける 居 住 福 祉 の 展 開 -スリランカの 国 際 居 住 年 記 念 受 賞 者 たちの 背 景とその 後 -、 住 宅 、 建 築 情 報 センター、pp9-17、2007 年 12 月 .13)UN-HABITAT: Community Contracts, UN-HABITAT Regional Office for Asia and the Pacific,http://www.fukuoka.unhabitat.org/event/docs/EVN_081216172311.pdf, ,2007a14) UN-HABITAT: Building Community Capacity, May 200615) 国 連 ハビタット 福 岡 本 部 フォトギャラリー16) 佐 藤 寛 編 、 住 民 組 織 化 をなぜ 問 題 にするのか、 援 助 と 住 民 組 織 化 、アジア 経 済 研 究 所 、200417) 世 界 銀 行 ・ 日 本 政 府 : 日 本 社 会 開 発 基 金 :JSDF アフガニスタン 特 別 支 援 、http://siteresources.worldbank.org/INTJAPANINJAPANESE/Resources/Afghanjapanbrochure_JP_web.pdf、200710) 穂 坂 光 彦 : 柔 軟 な 政 策 メカニズムが 居 住 空 間 を 改 善 する、 都 市 問 題 、 第 99 巻 ・ 第 5 号 、pp54-65、2008 年 .18)World Bank.: Randomized Impact Evaluation <strong>of</strong> Afghanistan’s National Solidarity Programme (NSP) , Summary <strong>of</strong>Evaluation Methodology and Activities, p5,http://siteresources.worldbank.org/AFGHANISTANEXTN/Resources/305984-1201489063036/4608353-1220998199117/NSPIESummary.pdf , 2008.19


19)World Bank.: Community-Driven Development in the Context <strong>of</strong> Conflict-Affected Countries: Challenges andOpportunities, p23,http://siteresources.worldbank.org/INTCDD/Resources/CDD_and_Conflict.pdf?&resourceurlname=CDD_and_Conflict.pdf, 200620)UN-HABITAT, Building Back Better, 200620

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