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比較思想史家・重久俊夫との試行的討論

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った 点 ですが)1 糸 の 真 ん 中 の1/3に 針 を 落 とす 例 では、「 無 限 / 無 限 」が1/3になる。2 糸 の 真 ん 中 の1/2に 針 を 落 とす 例 では、「 無 限 / 無 限 」が1/2になる。3 糸 の 真 ん 中 の1/5に 針 を 落 とす 例 では、「 無 限 / 無 限 」が1/5になる。しかし、「 無 限 / 無 限 」という 概 念 は1でも2でも3でも 同 じです。(どの 円 でも「 円 周 率 」という 概 念 は 同 じだというようなものです。)どういう 例 に 当 てはめるかによって、 同 じ 概 念 でも 数 値 が 変 わりますから、 特 定 の 例 に 限 定 しない「 無 限 / 無 限 」は、「 不 定 」ということになります。0とか 無 限 がかかわる 場 合 には、「 不 定 」ということが、しばしば 出 てくるようです。「 0÷0 」の 値 は「 不 定 」ですし、「∞×0 」の 値 も0の 解 釈 によっていろいろな 値 になります。いろいろな 値 になるという 場 合 、そのなかのどれを「∞×0 」の 値 だと 主 張 しても、すべて偽 である(と、 数 学 者 ・ 足 立 恒 雄 氏 の 本 にも 出 ています。)多 宇 宙 論 証 では、P(E/S)が(ほぼ)0になる 必 要 がありますが、私 の 考 えでは、P(E/S)は「 無 限 / 無 限 」になります。この 場 合 、「 無 限 / 無 限 」が(ほぼ)0だとなぜいえるのでしょうか。「 一 宇 宙 がファインチューニングされている 確 率 は 極 小 だからだ」というのでは、 結 論 の 先 取 りだと 思 われます。 本 当 に 極 小 なのかがここでは 問 題 だからです。 結 局 、 無 限 定 の「 無 限 / 無 限 」が0だと断 定 できて 初 めて、P(E/S)は0になり、なるほど「 一 宇 宙 がファインチューニングされている 確 率 は 極 小 だ」といえるのだと 思 います。しかし、 無 限 定 の「 無 限 / 無 限 」は「 不 定 」にしかならない。これが、 私 のいいたい 問 題 点 です。(もっとも、 輪 廻 転 生 には 直 接影 響 しませんが。)「 岩 波 講 座 」の 方 の 問 題 は、あらためてご 返 事 いたします。★2009 年 5 月 4 日 3:14重 久 俊 夫 様


三 浦 俊 彦「 無 限 / 無 限 」に 関 する 御 返 事 拝 見 いたしました。以 下 、やや 早 すぎる 返 答 で 失 礼 します。重 久 さんの 思 考 経 路 が、どうもよくわかりません……。さしあたり、(やや 簡 潔 に 過 ぎた) 前 回 のメールと 同 方 向 で 批 判 的 反 問 をさせていただきます。まず、 重 久 さんは、 以 下 のことを 認 めているわけですね。>>1 糸 の 真 ん 中 の1/3に 針 を 落 とす 例 では、「 無 限 / 無 限 」が1/3> になる。>2 糸 の 真 ん 中 の1/2に 針 を 落 とす 例 では、「 無 限 / 無 限 」が1/2> になる。>3 糸 の 真 ん 中 の1/5に 針 を 落 とす 例 では、「 無 限 / 無 限 」が1/5> になる。>つまり、「 無 限 / 無 限 」と 表 わせる 個 々の 事 例 において、 確 率 が 一 義 的 に 定 まることは認 めておられるわけです。重 久 さんのメールから 引 用 すると、>> 「 無 限 / 無 限 」という 概 念 は1でも2でも3でも 同 じです。(ど>の 円 でも「 円 周 率 」という 概 念 は 同 じだというようなものです。)>どういう 例 に 当 てはめるかによって、 同 じ 概 念 でも 数 値 が 変 わります>から、 特 定 の 例 に 限 定 しない「 無 限 / 無 限 」は、「 不 定 」ということに>なります。>そう、 特 定 の 例 に 限 定 しない「 無 限 / 無 限 」は「 不 定 」ということであって、 特 定 の 具体 例 では、「 無 限 / 無 限 」は 何 らかの 値 に 確 定 しますね。もともとファインチューニング 問 題 は、 概 念 ではなく、 物 理 的 事 例 の 話 です。「「 無 限 / 無 限 」という 概 念 」が 不 定 かどうかの 話 をしているのではなく、 物 理 的 実 在についての 話 をしているので、ファインチューニングの 確 率 が 不 定 ということはないはずですよね。数 学 で「 無 限 / 無 限 」が 不 定 だというのは、「どのような 無 限 / 無 限 なのか」が 具 体 例


もとより、こちらの 誤 読 である 可 能 性 も 大 ですが、とりあえず、 以 上の 点 が 私 の「 感 想 」です。◆◆◆2009 年 5 月 11 日 0:58重 久 俊 夫 様三 浦 俊 彦無 限 / 無 限 および 岩 波 講 座 拙 論 へのコメントをどうもありがとうございます。雑 事 に 紛 れて 時 間 がとれませんでしたが、とりあえず、 無 限 / 無 限 に 関 して、 再 反 問をさせていただきます。岩 波 講 座 拙 論 に 関 しては、また 改 めて 御 返 事 差 し 上 げます。さて、 重 久 さんの 立 論 は、 無 限 / 無 限 は 不 定 である、ということとはやはり 関 係 ないのではないでしょうか。つまり、アプリオリには 極 低 確 率 であるファインチューニングが、じつは 低 確 率 でないかもしれない、というだけのことのように 思 われます。それは 前 回 申 し 上 げたとおり、 無 限 / 無 限 とは 無 関 係 で、 物 理 学 または 生 物 学 の 問 題です。たとえば、 重 久 さんは、 真 ん 中 の 1/3 に 針 が 落 ちる 確 率 は、1/3である、ということはアプリオリに 認 めていますよね。他 になんの 条 件 も 付 いていなければ、アプリオリに( 事 前 確 率 は)1/3だ、というのは 当 然 です。もちろん、 針 の 落 とし 方 にクセがあって、 真 ん 中 の 1/3 に 針 が 落 ちる 確 率 はほぼ1なのかもしれませんし、1/2かもしれませんし、ゼロかもしれません。しかし 落 とし 方 のクセについては 何 も 条 件 が 付 いていないので( 何 もわからないので)、事 前 確 率 はあくまで1/3というべきです。落 とし 方 のクセがわからないのだから 事 前 確 率 は 不 定 である、と 言 い 張 る 人 はいないでしょう。そんなことを 言 っていたら、 何 も 推 測 できなくなります。落 とし 方 のクセがわからないからこそ、 事 前 確 率 は1/3とし、 条 件 がわかってき 次 第 、ベイズ 的 に 事 後 確 率 を 改 訂 してゆくわけです。ファインチューニングも 同 様 です。重 久 さんが、ファインチューニングの 確 率 については 糸 と 針 の 例 とは 違 う 立 場 をとる 理


由 が 私 にはわからないのです。つまりこういうことです。超 ひも 理 論 によれば、 各 々の 物 理 定 数 の 値 はランダムに 決 まります。言 い 換 えれば、 対 称 性 の 破 れの 仕 方 はランダムであり、 物 理 定 数 がいかなる 値 をとるかは 偶 然 です。現 実 の 宇 宙 の 各 物 理 定 数 の 値 は、 他 の 無 数 の 値 の 中 で、「 実 現 しやすさ」において 特 権性 を 持 ちません。 糸 の 上 の 各 点 が 平 等 であるのと 同 様 です。現 行 の 生 物 学 を 前 提 すれば、 確 率 空 間 内 でのファインチューニングの 実 現 する 割 合 は、極 小 です。ただ 一 つの 宇 宙 が 実 現 したとして、それが 確 率 空 間 内 のどこに 実 現 するかは 平 等 だとすると( 糸 と 針 の 例 と 同 じ)、ファインチューニングの 範 囲 内 に 収 まる 確 率 は、アプリオリに、 極 小 です。それをあくまで、「 無 限 / 無 限 だから 不 定 だ」というのは、 暴 論 ではないでしょうか。ファインチューニングされない 広 大 な 範 囲 に 入 ってしまう 確 率 がなぜか 無 視 できるほど小 さいという 根 拠 がないかぎり、たとえば、「 確 率 1」というのは 除 外 されます。とすると、すでに 不 定 ではありません。言 い 換 えれば、 全 確 率 空 間 の 中 でファインチューニングの 領 域 の 比 率 がRならば(それしかわかっていないならば)、ファインチューニングの 確 率 がR 付 近 である 確 率 が、 他 のいかなる 値 付 近 である 確 率 よりも 高 いのです。重 久 さんの 前 メールの 次 の 言 葉 は、ベイズ 的 仮 説 検 定 を 誤 解 したもののように 見 受 けられます。>> 結 局 、P(E/S)が 極 小 だと 最 初 から 断 定 できるのなら、>「 他 の 根 拠 によって 確 率 が 一 義 的 に 定 まるケース」に 相 当 するので、>「この 場 合 の 事 例 では、 無 限 / 無 限 が0だ」といえますが、>しかし、「 物 理 学 者 の 議 論 」に 従 ったとしても、そうした 断 定 はできないだろうということです。>事 前 確 率 の 推 定 は、「 断 定 」ではありません。データによって、 改 訂 をしてゆくための出 発 点 です。「 他 の 根 拠 によって」というのは、そのデータに 相 当 します。データがない 状 態 では、 事 前 確 率 は、 確 率 空 間 の 中 で 当 該 事 象 の 占 める 比 率 を 採 用 するしかありません。重 久 さんも、 糸 と 針 の 例 では、 当 然 のごとくその 方 法 で 事 前 確 率 を 提 示 していたわけで


す。現 在 の 物 理 学 でわかっている 範 囲 では、 各 々の 物 理 定 数 を 決 める 究 極 理 論 は 未 知 です。むしろ、そのような 究 極 理 論 はないというのが 定 説 になりつつあります。だとするならば、 糸 と 針 の 例 と 同 様 、ファインチューニングの 確 率 も 極 小 とするべきです。それは 事 前 確 率 であって、 断 定 ではありません。 確 率 がデータによって 改 訂 されてゆくことは 言 うまでもありません。ともあれ、 趣 旨 は、pp.146-7 で 無 限 / 無 限 を 持 ち 出 す 根 拠 がまったくないということです。あの 部 分 の 記 述 を 見 るかぎり、 次 のような 議 論 としてしか 読 めないのですが………………………………………………糸 の 中 央 1/3に 針 が 落 ちる 確 率 1/3は 無 限 / 無 限 と 表 現 できる。糸 の 中 央 1/2に 針 が 落 ちる 確 率 1/2は 無 限 / 無 限 と 表 現 できる。ファインチューニングの 確 率 Pは 無 限 / 無 限 と 表 現 できる。↓少 なくとも2つの 異 なる 確 率 が、 無 限 / 無 限 と 表 現 できる。↓したがって、ファインチューニングの 確 率 Pは、 不 定 である。…………………………………………現 代 国 語 の 問 題 で、「pp.146-7 の 段 落 で 著 者 の 言 いたいこと」を 問 われたら、 正 解 は上 のようなものになるはずですが、いかがでしょうか?しかし 前 回 申 し 上 げたことの 繰 り 返 しで 恐 縮 ですが、 上 の 推 論 は 誤 謬 です。A は B と 表 現 できるのAを 左 辺 、Bを 右 辺 とします。 右 辺 はすべて「 無 限 / 無 限 」です。左 辺 と 右 辺 は 多 対 一 対 応 になっていますから、右 辺 だけが 与 えられたとき、 左 辺 は 決 まりません。つまり、 重 久 さんの 言 うとおり、「 無 限 / 無 限 は 不 定 」です。しかし、 左 辺 が 与 えられれば、 無 限 / 無 限 と 表 現 できることとは 無 関 係 に、 値が 一 義 的 に 決 まります。( 現 に、 糸 の 中 央 1/aに 針 が 落 ちる 確 率 は、1/aとしていますよね)論 理 的 に 見 ても、 特 定 の 左 辺 が 与 えられたとき、それを「 不 定 」というのは 誤 謬でしょう。要 は、 重 久 さんに、ベイズ 的 推 論 に 対 する 誤 解 がありはしないか、ということと、


pp.146-7 の 文 面 は、 上 記 の 誤 謬 推 論 であるように 読 める、という2 点 です。基 本 的 に 前 回 の 繰 り 返 しとなりましたが、どうか「 水 掛 け 論 」などといわず、ぜひ 慎 重 に 再 考 のうえ、 私 に 誤 読 があるのかどうか、また 御 返 事 いただければと 思 います。(pp.146-7 の 読 解 に 同 意 が 達 成 されない 場 合 は、 次 回 の 人 文 死 生 学 研 究 会 でとりあげる 手 もあるのではないでしょうか?)決 して 水 掛 け 論 ではありません。かなり 重 要 な 問 題 なので、あやふやに 終 わらせてはならないでしょう。岩 波 講 座 拙 論 に 関 しては、また 改 めて 御 返 事 差 し 上 げます。それでは。2009 年 5 月 14 日 1:37重 久 俊 夫 様三 浦 俊 彦拙 論 について 詳 しいコメントをありがとうございます。重 久 さんの 読 解 過 程 はよく 理 解 できました。遅 くなりましたが、ご 返 答 を 差 し 上 げます。詳 しいコメントに 対 してごく 短 い 返 答 で 済 んでしまうのが 心 苦 しいのですが、まずは 簡潔 に 要 点 のみ 述 べさせていただきましょう。もしも 私 が、 様 相 実 在 論 を 保 持 しながら、 哲 学 は 論 理 的 可 能 性 から 物 理 的 可 能 性 へ 移 ってゆくと 主 張 したのなら、 確 かに、 可 能 世 界 論 の 幅 を 狭 めてしまうことになります。物 理 的 に 実 在 する 可 能 世 界 は、 論 理 的 可 能 性 よりも 乏 しいでしょうから。しかし 私 は、 様 相 実 在 論 をもはや 否 定 しております。つまり、 可 能 世 界 は、 物 理 的 に 実 在 するものではないと 主 張 しております。( 可 能 世 界が 概 念 、 命 題 、 性 質 ……のいずれであるかは 特 定 できないが)よって、 可 能 世 界 論 は、 物 理 的 可 能 性 に 束 縛 されるものではありません。あくまで 論 理的 可 能 性 に 対 応 します。


哲 学 が 個 別 の 分 野 について 物 理 的 可 能 性 へと 考 察 を 移 してゆくとしても、 当 の 分 野 で 必要 に 応 じ 論 理 的 可 能 性 を 参 照 するのに 支 障 はなく、あいかわらず 可 能 世 界 論 を 使 うことができます。ましてや 別 の 分 野 で 論 理 的 可 能 性 を 重 視 しつづけるのになんの 支 障 もありません。結 局 、 私 の 新 しい 立 場 は、 可 能 世 界 についてのクリプキ 流 現 実 主 義 をとろうとするものなので、クリプキらがルイス 流 様 相 実 在 論 に 比 べて 可 能 世 界 の 外 延 を 狭 くとってなどいないのと同 様 、 私 も、 可 能 世 界 の 外 延 を 従 来 より 狭 くとってはいないわけです。重 久 さんの 言 われる>「どこにもないが 可 能 だ」というもともとの 意 味 での「 可 能 世 界 」は 否 定 的 に 扱 われているということはありません。むしろ、 様 相 実 在 論 を 捨 てることによって、 可 能 世 界 は 自 由 になったくらいです。以 上 でお 答 えになりましたでしょうか。2009 年 5 月 14 日 1:43重 久 俊 夫 様三 浦 俊 彦3つめの 通 信 で 失 礼 いたします。……………………質 問 なのですが、『 時 間 幻 想 』といっしょにお 送 りいただいた 論 文 は、どのような 経 緯 で 書 かれ、どのような 名 目 で 提 出 されたのでしょうか?◆◆◆2009 年 5 月 14 日 0:45三 浦 先 生


重 久 俊 夫ご 返 信 ありがとうございます。意 見 の 違 う 点 がますますはっきりしてきたようで、それなりに 満 足 すべきなのかも 知 れませんが、 自 分 の「 舌 足 らずさ」をより 一 層 痛 感するようでもあります。先 生 のメールではファインチューニングの 確 率 について 糸 と 針 の 例 とは 違 う 立 場 をとる理 由 が 分 からないただ 一 つの 宇 宙 が 実 現 したとして、それが 確 率 空 間 内 のどこに 実 現するかは 平 等 だとすると( 糸 と 針 の 例 と 同 じ)、ファインチューニングの 範 囲 内 に 収 まる 確 率 は、アプリオリに、 極 小 ですとありますが、これがまさに 問 題 だと 思 うわけです。私 の 考 えでは、1 ある 特 定 の 属 性 ( 物 理 定 数 )に 関 してファインチューニングされている 確 率 は 極 小 である。2 一 宇 宙 説 を 仮 定 すればそれがファインチューニングされている確 率 は 極 小 である。(これは、 先 生 の「 多 宇 宙 論 証 」の 終 わりの 方で、まさにアプリオリに 主 張 されている 命 題 です。)のうち、1を 認 めるとしても2がいえるだろうかということです。「 一 宇 宙 がファインチューニングされている 確 率 」というと、あたかもおびただしい 可 能 世 界 ( 宇 宙 )の 中 に 実 在 する 宇 宙 がただひとつポツンとあるような 印 象 を 与 え、1/ 多 数 = 極 小 という 錯 覚 を 生 じていると 思 われます。しかしながら、 分 子 は1とは 限 らないという 点 を指 摘 しなければなりません。なぜならば、「 一 つしかない 宇 宙 がファインチューニングされている 確 率 」とは、「 知 的 生 物 に 適 合 した 可 能 宇 宙 の 数 / 全 ての 可 能 宇 宙 の 数 」 であって、 分 子 は1ではなく( 私 の 解 釈 では) 無 限 だからです。( 例 えば、サイコロを 1 回 だけふって 偶 数 が 出 る 確 率 が 3/6 であるように、1 回 だけの 事 象 でも、 分 子 は1とは 限 りません。)「 知 的 生 物 に 適 合 した 可 能 宇 宙 の 数 」が 無 限 だと 思 う 理 由 は、 先 日のメールでも 拙 著 の 中 でも 説 明 しましたので、しつこく 繰 り 返 すのは避 けたいと 思 います。ただ、 念 のために、 以 下 の 点 は 再 論 しておきます。


(1)「 一 つしかない 宇 宙 」といった 場 合 の「 宇 宙 」には、 当 然 、 多 数 の 属性 ( 物 理 定 数 )が 含 まれており(「ゼロからの 論 証 」には、20 以 上 とありましたが)、「 知 的 生 物 に 適 合 する」ための 条 件 が 極 めて 限 定されるものもありますが、そうでないものもありうると 思 います。前 者 に 関 して、 少 しでも 幅 があれば 幅 の 中 身 を 無 限 分 割 できますし前 者 が 完 全 に 1 点 であっても、 後 者 に 幅 があれば、その 中 身 を 無 限分 割 できます。 結 局 、「 知 的 生 物 に 適 合 した 可 能 宇 宙 の 数 」は 無 限になると 思 われます。このことは、 特 定 の 属 性 ( 物 理 定 数 )に 関 してファインチューニングされている 確 率 が 極 小 であったとしても、 両 立することです。( 同 じことを 毎 回 書 いてすみません。)(2)一 宇 宙 説 の 場 合 、 仮 定 により 実 在 する 宇 宙 は 一 つですから、「 知 的 生 物 に 適 合 する 可 能 宇 宙 の 数 / 全 ての 可 能 宇 宙 の 数 」の 分 子 と 分 母 に 含 まれる「 可 能 宇 宙 」は「 実 在 しないもの」です。それは、 様 相 実 在 論 ですらない、 純 然 たる「 実 在 しない」 仮 想 の 宇 宙です。様 相 実 在 論 ですら「 何 でもあり」になってしまうのですから、 様 相 実在 論 ですらない 純 然 たる「 実 在 しない」 可 能 宇 宙 が、 可 能 性 の 無 限分 割 によって、 無 限 個 になるのも 不 思 議 ではないと 思 います。単 なる 可 能 性 でしかないものは、 無 限 分 割 できると 考 えるべきであり、それを 制 限 するならば、「 多 宇 宙 論 証 を 成 立 させるために、恣 意 的 な 前 提 を 置 いている」という 批 判 を 生 じるだろうと 思 います。(3)それから、 次 の 点 も 繰 り 返 させていただきます。1 多 宇 宙 説 における「 多 数 の 実 在 宇 宙 」2 一 宇 宙 説 における「 実 在 しない 可 能 宇 宙 」「 物 理 学 で、 有 限 かもしれないし 無 限 かも 知 れない、と 考 えられている( 結 果 的 に、ファインチューニングの 確 率 がそこそこ 大 きくなれば 問 題 ない)」 というのは1の 方 です。2の 方 は、 純 然 たる 論 理 的可 能 性 であり、これとは 別 問 題 です。どうも 同 じことばかり 書 いて 恐 縮 ですが、 要 するに、一 宇 宙 がファインチューニングされる 確 率 がアプリオリに 極 小 だと思 うのは 錯 覚 であり、 糸 と 針 の 例 のように(0だと) 確 定 するわけではない、と 考 えざるを 得 ないわけで、 議 論 の 焦 点 はまさにここにあるということですね。さらに 付 け 加 えるならば、 三 浦 先 生 の「 多 宇 宙 論 証 」( 数 式 になった


もの)があったからこそ、P(E/S) のところが 問 題 だと 分 かってきたわけです。「(ある 特 定 の 属 性 に 関 して)ファインチューニングされている 確 率 が 極 小 だから、 多 宇 宙 が 実 在 すると 考 えざるを 得 ないのだ」と 言 葉 でいわれただけなら、そうかなあと 納 得 して 終 ってしまったかも 知 れません。この 問 題 は、「 人 間 原 理 」で 何 が 言 え、 何 が 言 えないかを 見 極 める 重 要な 論 点 だろうと 思 います。「 多 宇 宙 論 証 」は、そうした 問 題 点 の 洗 い 出 しということに、 十 分 貢 献 していると 思 われます。(もちろん、 多 宇 宙 説 自 体 は、 物 理 学 的 に 有 力 視 されていますから 結 論 自 体 に 特 に 異 存はありませんし、「 多 宇 宙 論 証 」への 批 判 が私 にとって 一 番 肝 心 な「SSAと 輪 廻 転 生 」に 直 接 影 響 するわけでもないと 思 います。)2009 年 5 月 14 日 1:46三 浦 先 生重 久 俊 夫「 岩 波 講 座 」についてのご 説 明 、 受 領 いたしました。私 の 方 の 指 摘 は、あくまで 当 方 の 読 解 ですから、ご 説 明 の 通 りであれば、それで 了 解 です。「 穂 積 八 束 論 」は、 私 が 慶 応 大 学 法 学 部 の 通 信 課 程 を2007 年 度 に 卒 業 しました 時 の 卒論 です。学 部 レベルですから、 大 したものでもありませんが、 一 応 表 彰 の対 象 になったので、 卒 業 式 にも 通 信 教 育 部 代 表 で 出 席 し、かの 有 名 な「 慶 応 の 園 遊 会 」もしっかり 体 験 してきました。( 国 家 法 人 説 については、 一 般 にはいろいろな 解 釈 があったわけですが、 美 濃 部 個 人 の 思想 については 案 外 知 られていない、という点 を 指 摘 したものです。)それではまた。◆◆◆2009 年 5 月 14 日 16:58重 久 俊 夫 様


三 浦 俊 彦昨 夜 、 当 方 のメールと 入 れ 違 いに 無 限 / 無 限 についてご 返 信 を 受 け 取 りました。うっかりと 受 信 箱 をチェックせぬまま 返 信 し 失 礼 しました。さて、コメントと 反 問 を 申 し 上 げます。>>「 一 つしかない 宇 宙 がファインチューニングされている 確 率 」とは、>「 知 的 生 物 に 適 合 した 可 能 宇 宙 の 数 / 全 ての 可 能 宇 宙 の 数 」 であって、> 分 子 は1ではなく( 私 の 解 釈 では) 無 限 だからです。>分 子 が1でないのは 当 然 ですね。ファインチューニングとは、 厳 密 にこのような 姿 をした 宇 宙 であることではなく、 知 的 生命 を 産 む 宇 宙 であれば 何 でも 良 かったわけですから。ただしそれは、 一 宇 宙 説 のもとでのファインチューニングの 確 率 とは 何 の 関 係 もありません。【 例 題 α】として、ただ1 回 でたらめに 射 撃 して、マトに 的 中 する 場 合 を 考 えましょう。壁 の 千 分 の1の 面 積 (どこにあるか、 一 点 にまとまっているか、 点 在 しているかは 不 明 )が 的 中 とします。的 中 する 確 率 が 千 分 の1であるのは、 壁 が 無 限 分 割 できようができなかろうが、 同 じことでしょう。さらにいえば、 確 率 の 概 念 そのものが、ただ1 回 の 試 行 についての 確 率 を 解 釈 するときには、 無 限 回 試 行 したときに 収 束 する 頻 度 、といった 定 義 をされることがあります。確 率 の 本 質 に、 分 子 が 無 限 であることは 含 まれており、 無 限 / 無 限 はいかなる 確 率 にも 共 通 した 性 質 とすら 言 えます。上 の【 例 題 α】では、ランダムに 射 撃 する 試 行 を 永 遠 に 続 けていったときに、 全 射 撃 の 中で 的 中 射 撃 の 比 率 が 収 束 してゆく 値 が、ただ1 回 射 撃 したときの 的 中 確 率 として 解 釈 されます。射 撃 無 限 回 の 極 限 において、 的 中 回 数 も 無 限 回 だからといって、 突 然 、 的 中 確 率 が 不 定 になることはありません。ファインチューニングの 場 合 は、2 次 元 の 壁 ではなく、 独 立 の 物 理 定 数 の 数 だけ 次 元 のある 確 率 空 間 となりますが、 理 屈 は 同 じです。そこで 反 問 に 入 りましょう。


1. 上 の【 例 題 α】について、 重 久 さんは、 正 解 が(アプリオリな 的 中 確 率 が) 千 分 の 一であることに 同 意 されますか?そのとき、 的 中 面 積 を 無 限 分 割 できるからと、 無 限 / 無 限 であることを 指 摘 して「アプリオリな 的 中 確 率 は 不 定 」と 主 張 する 人 に 対 しては、どう 答 えますか?2. 一 宇 宙 説 のもとでのファインチューニングの 確 率 が、【 例 題 α】で 一 度 きり 射 撃 して的 中 する 確 率 の 場 合 と 類 比 的 に(つまり、 確 率 空 間 の 比 で) 考 えてはならない 理 由 は、 何でしょうか?3.p.146 後 ろから3 行 目 ~p.147 前 から4 行 目 が 誤 謬 推 論 であるという 私 の 読 みは、 前回 メールの 通 りでよいでしょうか?4. 重 久 さんが(3)で 述 べている> 一 宇 宙 がファインチューニングされる 確 率 がアプリオリに 極 小 だと> 思 うのは 錯 覚 であり、 糸 と 針 の 例 のように(0だと) 確 定 するわけで>はない、と 考 えざるを 得 ないわけで、 議 論 の 焦 点 はまさにここにあるということですね。議 論 の 焦 点 がそこにあるならば、まさに、 無 限 / 無 限 は 議 論 に 関 係 ありません。糸 と 針 の 例 ですら、 条 件 が 確 定 しないと 確 率 が 定 まらないわけで、一 宇 宙 がファインチューニングされる 確 率 が 究 極 理 論 や 生 物 学 の 新 展 開 で 高 確 率 であることがわかるかもしれない、ということに 尽 きるでしょう。そしてその 改 訂 可 能 性 は、アプリオリなファインチューニング 確 率 が 極 小 であることになんら 影 響 しません。 事 後 確 率 がいくらであれ、 事 前 確 率 はそのままだからです。かくして、 無 限 / 無 限 が 果 たしている 役 割 が 皆 無 だと 思 われますが、いかがでしょうか?とくに 反 問 の1については、 是 非 お 答 えいただけると 助 かります。問 題 の 明 晰 化 に 役 立 つと 思 われますので。急 ぎませんので、じっくりと、いつでも 結 構 です。よろしくお 願 いします。◆◆◆2009 年 5 月 19 日 23:40三 浦 先 生重 久 俊 夫お 便 りありがとうございます。


こちらは、 例 のインフルエンザ 騒 ぎで 急 に 予 定 が 変 わったりしてあわただしくしていたせいで、ご 連 絡 を 拝 見 するのがすっかり 遅 れました。かなり 論 点 を 整 理 していただいたと 思 いますので、もう 少 し 書 かせていただきます。反 問 の 各 項 目 はほぼ 同 じ 点 にかかわっていると 思 います。A 壁 の 空 間 が1000 個 に 均 分 されており、その 中 の 一 つがアタリの 黒 い 的 だとします。でたらめに 射 撃 して 黒 に 当 たる 確 率 が1000 分 の1であることは 当 然 だろうと 思 います。B 射 撃 が 無 限 回 行 われれば、 全 部 の 弾 と 黒 に 当 たった 弾 はどちらも 無 限 個 なので、 黒 に 当 たる 比 率 は 無 限 / 無 限 になります。ただ、この 場 合 は、Aで、 確 率 が1000 分 の1であることは 計 算 されるので、 解 釈 上 、それと「 無 限 / 無 限 」が 重 ねられたとしても、「この 場 合 の 無 限 / 無 限 は1/1000のことである」といってしまえます。(これは、 糸 の 上 に 針 を 落 とす 例 と 同 じですね。)以 上 が 反 問 1の 答 えになろうかと 思 いますが、 問 題 は 反 問 2の 方です。つまり、この 例 と、1 宇 宙 がファインチューニングされる 確 率 が類 比 的 かどうかということです。三 浦 先 生 の「 多 宇 宙 論 証 」では、1 宇 宙 がファインチューニングされる 確 率 がほぼ0であることが 推 論 の 前 提 として 提 示 されているわけですが、それが 疑 わしいというのが、まさに 私 がくどくど 申 し 述 べてきたことだからです。つまり、1 宇 宙 がファインチューニングされる 確 率 は、「ほぼ0であって、かつ( 考 えようによっては) 無 限 / 無 限 でもある」というのではなく、「0と 見 なす 根 拠 がなく、 無 限 / 無 限 としかいえない」ということです。1 宇 宙 という 仮 定 のもとで、 物 理 的 な 現 実 は、ただ 一 つの宇 宙 が 実 在 するということだけです。その 上 で、ファインチューニングの 確 率 を 定 義 しようとすると、 実 在 しない 可 能 宇 宙 を 際 限 なく 仮 想しなければならず、 結 局 、 数 値 的 には 不 定 になるのではないかということです。射 撃 の 例 では、1000 個 に 均 分 された 空 間 が 現 にあるわけですから、たとえ 無 限 回 射 撃 しても、 黒 的 に 当 たる 確 率 は1/1000で 問 題 ないと 思 います。しかし、ファインチューニングの 例 は、 壁 の 空 間 と 黒 的 のどちらもが、 無 限 個 に 分 割 されていることではないでしょうか。(しかも、 壁 の 空 間 に 相 当 する 物 理 的 な 実 体 はどこにもなく。)


というわけで、ファインチューニングの 例 では、 上 記 のAに 当 たるものがなく、 二 つの 例 題 は 類 比 的 ではないと 私 は 思 います。誤 謬 推 理 の 問 題 も、 当 方 の 舌 足 らずなところを 補 足 して 読 んでいただければ、お 分 かりいただけるのではないかと 思 います。結 局 、 以 前 書 きましたことの 繰 り 返 しになるのですが、「 糸 の 上 に 針 を 落 とす」 例 や、「 壁 に 向 かって 射 撃 する」 例 では、確 率 が 確 定 可 能 であり、その 上 に、 解 釈 上 、「 無 限 / 無 限 」が 重 ね合 わされるわけです。 従 って、 個 々の 例 に 応 じて 具 体 的 な 数 値 を当 てはめることができます。しかし、ファインチューニングの 例 では、「その 確 率 が0だという 根 拠 がなく、 単 に、無 限 / 無 限 としかいえない」ために、 無 限 / 無 限 を 限 定 することが 出 来 ない。 限 定 されない 無 限 / 無 限 は、 不 定としかいえない、ということです。「 時 間 幻 想 」の147 頁 の 表 現 は、そちらからの 反 論 の 趣 旨 がよくのみこめていないまま 書 いたために、 舌 足 らずになりましたが、詳 しく 言 い 直 せば、こういうことになります。確 率 のことは、 原 理 的 な 知 識 がまったくないので、また 教 えていただければ 助 かります。それでは。◆◆◆2009 年 5 月 21 日 4:36重 久 俊 夫 様三 浦 俊 彦お 返 事 ありがとうございます。問 題 点 がはっきりしてきました。やはり、 無 限 / 無 限 は 重 久 さんの 主 張 の 本 質 に 無 関 係 のようです。アプリオリ 確 率 ではなくアポステリオリ 確 率 の 話 をされているようですね。しかし 仮 説 検 定 では、アプリオリ 確 率 の 見 積 もりが 必 須 でしょう。そのことはあとで 触 れるとして、まず、 一 つ 指 摘 させていただきます。


1000 個 に 均 分 された 空 間 が 現 にあるわけですか>ら、たとえ 無 限 回 射 撃 しても、 黒 的 に 当 たる 確 率 は1/1000で 問 題 ないと 思 います。>ファインチューニングの 場 合 も、ひも 理 論 その 他 によって、 知 的 生 命 の 発 生 しうる・しえない 区 画 が 有 限 個 に 分 割 されています(あるいは 確 率 空 間 内 の 面 積 比 が 定 義 されています)。 事 情 は 同 じですよ。有 限 個 の 区 画 のうち、 極 小 の 有 限 個 がファインチューニング 区 画 です。アプリオリ 確 率 は、 壁 のマトの 場 合 と 同 じ、 有 限 / 有 限 として 推 測 できます。>>ファインチューニングの 例 は、 壁 の 空 間 と 黒 的 のどちらもが、> 無 限 個 に 分 割 されていることではないでしょうか。>壁 に 射 撃 する 場 合 も、 当 たりの 区 画 の 中 を 無 限 分 割 できます。事 情 は 同 じです。この 場 合 、 当 たりの 確 率 は 無 限 / 無 限 となります。物 理 的 に 最 小 単 位 があるのではないか、と 言 われるかもしれませんが、それはファインチューニングの 場 合 も 同 様 です。壁 への 射 撃 の 場 合 もファインチューニングも、 考 えているのは 論 理 的 可 能 性 ではなく、物 理 的 可 能 性 だからです。ちなみに、 話 を 論 理 的 可 能 性 にそろえるならば、 射 撃 の 場 合 も 当 たり 区 画 を 無 限 分 割できます。つまり、 重 久 さんはアナロジーを 正 しく 適 用 していません。壁 の 場 合 は 区 画 を 単 位 とした 物 理 的 確 率 として 解 釈 し、ファインチューニングの 場 合 は 区 画 ではなく 点 を 単 位 とした 論 理 的 可 能 性 として 解 釈しています。それではだめで、 壁 と 宇 宙 、 両 方 の 設 定 を 【 同 種 の 可 能 性 】 によってそろえるべきです。無 限 / 無 限 と 言 う 以 上 は、 論 理 的 可 能 性 の 解 釈 をとることになりますかね。壁 の 場 合 とファインチューニングの 場 合 、 論 理 構 造 は 同 じなのです。(「 違 う」という 場 合 、その 根 拠 を 改 めてお 示 しいただければ 幸 いです――)論 理 的 可 能 性 として、ただ 一 度 射 撃 する 場 合 、 面 積 1/1000に 当 てる 確 率 は、 無限 / 無 限 となります。( 無 限 回 射 撃 する、という 媒 介 は 必 要 なく、ただ 一 度 の 射 撃 で 当 たる 場 所 が 無 限 通 りあることにご 注 意 ください)


無 限 / 無 限 を 根 拠 に、「 不 定 」と 答 える 人 がいたらどう 説 得 するか? が 前 回 問 うたことでした。ただ、アナロジーの 誤 適 用 を 別 としても、 答 えづらいようですので、 今 回 は 質 問 を 少し 変 えさせていただきます。長 いメールになって 恐 縮 ですが、しばらくお 付 き 合 いください。今 回 の 質 問 は 次 の 通 りです。★ 壁 の 空 間 が1000 個 に 均 分 されており、その 中 の 一 つの 区 画 @がアタリの 黒 い 的 です。でたらめに1 回 だけ 射 撃 して@に 当 たる 確 率 はいくらか?ただし、 射 撃 手 は、 強 いクセを 持 っていて、デタラメに 撃 つと 壁 の 特 定 の 区 画 に 偏 って 当 てやすいものとします。その 偏 りがどのようなものかは 不 明 。つまり、 当 たりやすいのが 区 画 @かどうかはわかりません。さて、この 場 合 、1000 個 各 々の 区 画 は 内 的 に 無 限 分 割 できます。どこに 当 たるかのバリエーションは、 無 限 です。つまり、 重 久 さん 流 に 言 えば、 区 画 @に 当 たる 確 率 は 無 限 / 無 限 です。さて、 前 回 と 違 うのは、「 各 区 画 への 当 たりやすさが 均 等 ではない」ことだけがわかっているのです。(これは、どのような 宇 宙 が 実 現 しやすいかについて、 特 定 の 内 容 を 持 った 究 極 理 論が 正 しいかもしれないということのアナロジーです)★において、 重 久 さんの 立 場 では、 区 画 @に 当 たるアプリオリ 確 率 「 無 限 / 無 限 」は、いくらになるのでしょうか?不 定 でしょうか、それとも1/1000でしょうか、それとも 他 の 何 かでしょうか。ちなみに、 仮 説 検 定 のアプリオリ 確 率 は、「 区 画 @に 当 たることに 賭 けねばならないとき、 当 たったときの 賞 金 aに 対 して、賭 け 金 はいくらまで 出 すつもりがあるか」と 同 値 です。仮 説 検 定 は 主 観 確 率 なので、このような 賭 けの 意 思 決 定 に 翻 訳 されます。というわけで、「 当 たりやすい 区 画 に 強 い 偏 りがあること【だけ】わかっている 場合 、 区 画 @に 当 たるアプリオリ 確 率 は?」お 答 えいただければ 幸 いです。そして、その 答 えの 理 由 も 添 えていただければ。よろしくお 願 いします。


(もうおわかりでしょうが、 前 回 メールのお 答 えから 察 するに、 重 久 さんの 言 われてきた「 不 定 」とは、 無 限 / 無 限 には 関 係 なくて、 今 回 の 問 題 の「 射 撃 手 のクセが 未 定 のため 不 定 」という 場 合 の 不 定 を 意 味 しているようです。そこで、 重 久 さんが 今 回 の 問 題 の 答 えを「 不 定 」とするかどうかを 確 かめたい 次 第です。ただし、 賭 けをしなければならない 場 合 、「 不 定 」という 答 えは 許 容 されないことにご 注 意 ください。賞 金 に 対 する 賭 け 金 の 比 率 を 決 めなければ 全 財 産 没 収 、という 設 定 だとでもお 考 えください)◆◆◆2009 年 5 月 28 日 0:32三 浦 先 生重 久 俊 夫たびたびご 返 事 ありがとうございます。こちらは、7 月 に 予 定 されていた 思 想 史 関 係 の 研 究 発 表 が 急 に一 ヶ 月 早 まって、かなりあわてている 状 態 で、メールを 見 ることもたまにしかないため、 間 延 びしてしまいますが、ご 容 赦 下 さい。さて、 状 況 は、ますます 視 点 の 違 いが 明 確 になっているように 思 います。まず、アプリオリ 確 率 とアポステリオリ 確 率 という 概 念 が、 当 方 にはよく 分 かっていないようです。私 がいいたいことは、 多 宇 宙 論 証 において、 多 宇 宙 の 事 後 信 頼 度を 事 前 信 頼 度 に 対 して 大 幅 に 高 めている 要 因 が、・ 多 宇 宙 を 前 提 にした 場 合 にFTが 観 察 される 確 率 がほぼ1・ 一 宇 宙 を 前 提 にした 場 合 にFTが 観 察 される 確 率 がほぼ0の 二 つであり、これら 自 体 は「 事 前 」も「 事 後 」も 関 係 なく、まさにアプリオリな 真 理 として 前 提 されているということです。そして、 問 題 にしたいのは、 二 つ 目 の「 確 率 」です。糸 の 真 ん 中 1/3にランダムに 針 を 落 とす 場 合 、A 視 点 ・ 真 中 に 当 たる 確 立 は1/3。B 視 点 ・ 糸 を 極 小 点 の 無 限 集 合 と 考 えた 場 合 、 真 ん 中 に 当 たる 確 率は、 無 限 / 無 限 。(この 例 では、 無 限 / 無 限 が1/3 だが、A 視 点 がなければ 不 定


であり、 数 学 では、こういうのを 不 定 形 というらしい。)一 方 、 宇 宙 が 一 つだけある 場 合 、それが FT されている 確 率 P は、「FT された 可 能 宇 宙 の 数 /すべての 可 能 宇 宙 の 数 」と 定 義 されるので、B 視 点 では、 無限 / 無 限 。確 率 P は、 分 子 も 分 母 も 個 数 であって、 文 字 通 りの 空 間 ( 糸 のようなもの)ではないので、A 視 点 はない。それゆえ、P を0とする 根 拠 もなく、P は、 限 定 されない「 無 限 / 無 限 」なので、 不 定 。( 従 って、0にはならない。) これが、 私 の 解 釈 でした。先 生 のメールでは、「 壁 の 場 合 は 区 画 を 単 位 とした 物 理 的 確 率 として 解 釈 し、FT の 場 合 は 区 画 ではなく 点 を 単 位 とした 論 理 的 可 能 性として 解 釈 している。 同 種 の 可 能 性 にそろえないといけない」とありましたが、 私 の 考 えでは、 糸 の 例 には A 視 点 と B 視 点 がありうるが 一 宇 宙 の FT の例 では、 論 理 的 可 能 性 としての B 視 点 しかない、つまり、 同 種 の 可 能 性 にはそろわないということが 問 題 なのだと 思 います。また、 先 生 のメールでは、「FT の 場 合 も、ひも 理 論 その 他 によって、知 的 生 命 の 発 生 しうる・しえない 区 画 が 有 限 個 に 分 割 されています。(あるいは 確 率 空 間の 面 積 比 が 定 義 されています)。 有 限 個 の区 画 のうち、 極 小 の 有 限 個 が FT 区 画 です。」とありました。私 は「ひも 理 論 」などの 知 識 がほとんどありませんが、 一 宇 宙 の FTされる 確 率 を、 上 記 のように 定 義 する 限 り、「ひも 理 論 その 他 による有 限 個 の 区 画 」に 議 論 を 限 定 すべきではないと 思 います。そもそもの 議 論 の 前 提 は、 個 々の 宇 宙 に 多 数 存 在 している 物 理 定 数 の 値 によって、( 可 能 )宇 宙 を 区 別 するということだけです。つまり、「ひも 理 論 その 他 による 有 限 個 の 区 画 」を 考 えている 時 の、まさにその 議 論 の 前提 (や 背 景 )となるさまざまな 物 理 定 数 の、 論 理 的 可 能 性 まで 問 題 にしなければならないと 思 います。それゆえ、 一 つの 宇 宙 において、 空 間 が 無 限 分 割 できるかどうかも問 題 ではありません。「X より 細 かくは 分 割 できない」というときの、その X の 論 理 的 可 能 性 が 無 限 分 割 できるからです。「ひも 理 論 その 他 による 有 限 個 の 区 画 」( 先 生 のいわれる 物 理 的 可 能 性 )を 前 提 にして、一 宇 宙 が FT される 確 率 (P)の A 視 点 を 考 えることができるかも 知 れません。しかしそれは、 本 来 の P (FT された 可 能 宇 宙 の 数 / 全 ての 可 能 宇 宙 の 数 ) に 対 して 過 剰 な 限 定 を加 えていることになります。


糸 の 例 では、A 視 点 と B 視 点 は、 同 じ 事 態 に 対 する 二 通 りの 見 方 だといえます。(だからこそ、この 場 合 は、「 無 限 / 無 限 」が1/3だと 考 えられるわけです。)しかし、FT の 場 合 は、 上 に 書 きました 理 由 から、A 視 点 ( 有 限 個 の区 画 を 前 提 ) と B 視 点 ( 無 限 / 無 限 )とは 同 一 の 対 象 とはいえません。この 点 からも、二 つの 例 は 類 比 的 ではないと 思 います。糸 の 例 ばかりを 挙 げてしまいましたが、 射 撃 の 例 に 移 ります。確 率 論 自 体 に 詳 しいわけではなく、 今 回 の 問 いの 趣 旨 もよく 分 かっていないのですが、標 的 の 面 積 が 問 題 であるとすれば、 糸 の 例 と 類 比 的 であり、 単 純 にA 視 点 で 考 えたいと 思 います。また、 確 率 は 知 識 の 程 度 を 表 すともいわれますから、 射 手 の 癖 が 分 からない 以 上 、@の 確 率 は1/1000 でいいと 思 います。ともあれ、 物 理 も 数 学 も 全 く 知 識 の 乏 しい 状 態 で 議 論 しているのであまり 確 信 はありません。「 不 定 形 」のことなどは、 同 僚 の 数 学 者 に聞 いて 確 かめたりしましたが、 議 論 の 内 容 が 内 容 なだけに、本 題 自 体 を 人 に 聞 くわけにもいかない 状 況 です。(もっとも、 昨 年 の研 究 会 の 後 で、 数 学 と 物 理 の 専 門 家 に「 多 宇 宙 論 証 」について 一 応照 会 はしました。) 来 年 の 研 究 会 で、そういう 方 面 の 専 門 家 のセカンドオピニオンを 求 めたいと 痛 感 いたします。それではまた。◆◆◆2009 年 5 月 28 日 13:47重 久 様三 浦 俊 彦お 答 えありがとうございます。しかし 残 念 ながら、どうも 重 久 さんの 確 率 的 直 観 がどういうものなのか、 掴 めずにいます。いかなる 確 率 的 直 感 に 従 って pp.146-7 が 書 かれたのか、やはり 知 りたいと 思 うので、もう 少 し 質 問 させてください。急 ぎませんので、じっくりお 考 えいただければと 思 います。その 前 に、>


標 的 の 面 積 が 問 題 であるとすれば、 糸 の 例 と 類 比 的 であり、 単 純 に>A 視 点 で 考 えたいと 思 います。また、 確 率 は 知 識 の 程 度 を 表 すとも>いわれますから、 射 手 の 癖 が 分 からない 以 上 、@の 確 率 は>1/1000 でいいと 思 います。>究 極 理 論 の「クセ」を 暗 黙 に 読 み 込 んだあまりの「 不 定 」ではなかったことがわかり、安 心 しました。一 定 区 画 がランダムに 選 ばれる 確 率 に 関 しては、 重 久 さんも 標 準 的 理 解 で 問 題 ないことがわかりました。(ちなみに、 射 手 のクセによって 当 たりやすい 一 区 画 には 確 率 aで 当 たり、 他 の999区 画 が 残 りの 確 率 を 分 担 していると 考 えれば、 特 定 の 区 画 @に 当 たる 確 率 は、 区 画 @が 当たりやすい 区 画 であるときとそうでないときを 足 せばよいので、a×1/1000+(1-a)×1/999×999/1000となり、aが 何 であっても、 区 画 @に 当 たる 確 率 は1/1000となりますね。)さて、そこで 気 になるのは、 重 久 さんの↓です。( 長 いので、 面 倒 な 場 合 はとばして、 下 の「 問 ★」 以 下 からお 読 みになってもOKです)>> 確 率 P は、 分 子 も 分 母 も 個 数 であって、> 文 字 通 りの 空 間 ( 糸 のようなもの)ではない>ので、A 視 点 はない。それゆえ、P を0とする 根 拠 もなく、>P は、 限 定 されない「 無 限 / 無 限 」なので、 不 定 。>( 従 って、0にはならない。)>これが、 私 の 解 釈 でした。>A 視 点 というのはよくわかりません。物 理 量 の 比 率 が 物 理 的 に 具 体 化 している 状 況 でしょうか。そしてB 視 点 とは、 抽 象 的 な( 理 念 的 な) 数 値 だけが 予 在 している 仮 想 空 間 だと。しかしA 視 点 の 有 無 が 重 要 だとしたら、とくに 無 限 / 無 限 は 関 わってこないのでは? 有 限 の 組 み 合 わせの 場 合 も、A 視 点 がないことがあるので。たとえば、サイコロを10 個 、いっぺんに 一 度 だけ 振 って 出 る 目 の 組 み 合 わせなどは、単 なるB 視 点 であり、A 視 点 はないと 思 われます。「 各 面 は 物 理 的 に 有 る」とはいっても、組 み 合 わせそのものは 具 体 化 していませんから。 目 の 組 み 合 わせを 書 き 下 して 表 にすれば空 間 的 に A 視 点 は 実 在 するようになりますが、それならば、 宇 宙 物 理 学 の 本 によく 書 かれている 可 能 宇 宙 の 集 合 内 のファインチューニング 部 分 集 合 のグラフなども 面 積 比 が 具 体 化しています。いずれにしても、サイコロを10 個 振 るときは、 目 の 出 方 は6の 10 乗 に 限 定 されている


ように 見 えても、じつは 転 がり 方 は 無 限 にありますから(どの 角 が 先 に 落 ちるか 等 )、 内部 分 割 をすれば、 可 能 性 としてすべて6が 出 る 確 率 は 無 限 / 無 限 です。どんな 有 限 の組 み 合 わせ 設 定 でも 無 限 / 無 限 という 解 釈 ができてしまうので、とりたてて 無 限 /無 限 を 持 ち 出 すのは 意 味 がありません。目 の 数 が 離 散 的 である 場 合 は「 無 限 通 り」という 詳 細 化 解 釈 はダメで、 確 率 が 定 義 できないのは 根 元 事 象 が 連 続 的 である 場 合 だけなのでしょうか。それならば、「すべてのサイコロが 面 6・ 面 4の 接 線 より 面 6・ 面 2の 接 線 のほうが 0.1 秒 以 上 先 に 接 地 ( 落 ち 方 f)する 確 率 は?」などと 問 いを 変 えて、 落 下 の 仕 方 のバリエーションが 連 続 的 になるようにすれば、 無 限 / 無 限 の 点 でさらに 宇 宙 物 理 学 に 接 近 するでしょう。A 視 点 のない 無 限 / 無 限 ですから、 重 久 さん 流 に 言 うと、【この】サイコロを【この 瞬間 に 一 度 だけ】10 個 振 ってすべて 落 ち 方 fで 落 下 する 確 率 は、 不 定 ( 概 算 すらできない?)ということになってしまいます。「 分 子 も 分 母 も 個 数 であって」A 視 点 がない、と 言 う 重 久 さんならば、 転 がり 方 / 転 がり 方 にもA 視 点 はなく、「 論 理 的 可 能 性 としての B 視 点 しかない」と 言 うべきでしょうが、これでは 定 義 可 能 な 多 くの 確 率 を 無 効 にしてしまうのです。サイコロの 場 合 は 頻 度 実 験 をやってみることができる、と 言 われるかもしれませんが、ビッグバンも 既 知 の 条 件 のもとで 何 度 でもコンピュータシミュレーションできます。 視 点Aの 有 無 において 相 違 はありません。というわけで 結 局 、 視 点 Aとか、 無 限 / 無 限 という 詳 細 化 とかは 意 味 がないのではないでしょうか。転 がり 方 は 問 わず 同 じ 目 は 同 一 視 して 有 限 通 りと 見 なす、といった 策 が 許 されるなら、諸 宇 宙 の 実 現 の 仕 方 を、 諸 物 理 定 数 の 組 み 合 わせの 区 画 で 区 切 って、 有 限 個 の 区 画 を 根 元事 象 と 見 なすことも 許 されるはずでしょう。つまり、ファインチューニング 確 率 は 有 限/ 有 限 と 見 なせます。サイコロの 微 細 な 揺 れ 方 の 区 分 が 確 率 判 断 に 影 響 しないように、 知 的 生 物 を 生 み 出 しうる 諸 宇 宙 の 中 の 微 細 なバリエーションは 確 率 査 定 にとって 無 関 連 です。さて、「A 視 点 」をそのように 理 解 したとして、選 択 の 母 集 団 が 物 理 的 実 在 であるか、 抽 象 的 空 間 であるかの 違 いが、 確 率 に 影 響 するのでしょうか? 影 響 する 根 拠 が 述 べられぬまま「 違 うから」ではちょっと 納 得 しがたいわけですが、今 回 は、その 疑 問 解 消 も 含 めて、 次 の 質 問 をさせていただきます。サイコロよりもさらにはっきりとA 視 点 がないと 考 えられる 設 定 にしてみました。つまり、 選 択 の 母 集 団 に、抽 象 的 確 率 空 間 があるだけの 設 定 です。問 ★次 のような「 実 数 決 定 ゲーム」をただ 一 度 だけ 行 ないます。A 氏 に 適 当 な 実 数 またはその 記 述 を 一 つだけ 言 ってもらいます。5でも、-104 でも、


π×πでも、「エッフェル 塔 の 高 さをミリメートルで 表 した 数 をルート3で 割 った 数 」でも、「 昨 日 の 朝 刊 のトップ 記 事 の 字 数 かける 0.672」でも、「 南 北 戦 争 のアメリカ 人 死 者数 の 諸 公 式 統 計 のうち 最 小 値 」でも、 何 でもOK。その 数 をAとします。上 のA 氏 の 行 為 を 知 らないB 氏 にも 別 の 場 所 で 同 じことをしてもらいます。その 数 をBとします。上 の2 人 の 行 為 を 知 らないC 氏 には、また 別 の 場 所 でAとBに 施 す 演 算 を 一 つだけ 決 めてもらいます。( 和 でも 差 でも 積 でも 商 でも、 和 -176 でも、 累 乗 でも、2 数 とも 用 いた演 算 なら 何 でもOK)以 上 の3 人 の 指 示 に 従 って、 信 頼 できる 技 師 ・ 測 量 士 ・ 数 学 者 ・ 歴 史 学 者 らが 算 出 した答 えを 数 rとし、 結 果 が 5173828≦r≦5173929 という「ファインチューニング 値 」であった 場 合 にのみ、 拙 宅 の 玄 関 に 取 りつけた 特 殊 サイレンを 鳴 らしてもらうことにします。さて、 拙 宅 の 特 殊 サイレンが 鳴 る 確 率 はいくらでしょうか。(0に 近 いでしょうか、1に 近 いでしょうか、それとも 不 定 でしょうか)問 ★で 登 場 する 実 数 および 演 算 の 候 補 は、 一 宇 宙 説 における 諸 宇 宙 ( 諸 物 理 定 数 の 組 み合 わせ)と 同 じく、 単 なる 組 み 合 わせであり、 抽 象 空 間 の 中 にあるだけです。 可 能 宇 宙 の集 合 と 同 様 、A 視 点 はないと 言 っていいでしょう。しかも、A 氏 ・B 氏 ・C 氏 は 相 談 していないので、 数 値 や 演 算 の 決 定 は 互 いに 独 立 であり、 原 初 の 真 空 から 対 称 性 の 破 れによって 互 いに 独 立 に 諸 物 理 定 数 が 決 定 する 論 理 と 類 比的 だと 思 われます。(A 氏 、B 氏 、C 氏 を 放 射 性 元 素 アルファ 崩 壊 の 粒 子 の 放 出 方 向 の 角度 で 置 き 換 え、C≦A+B≦(k+1)C/kのときサイレンが 鳴 る(ただしkは 10 の 百乗 )、などとすれば、ビッグバン 以 前 の 量 子 的 対 称 性 破 れにいっそう 近 くなります。が、論 理 構 造 は 同 じなので、 実 数 選 びで 十 分 でしょう。 必 要 とあれば、アルファ 崩 壊 バージョンでお 考 えください)。実 数 や 演 算 やその 記 述 は 無 限 個 あるので、ファインチューニング 値 5173828≦r≦5173929 なるrの 得 られ 方 (C≦A+B≦(k+1)C/kの 得 られ 方 )も 無 限 個 あります。よって、 問 ★の 答 えrが 5173828≦r≦5173929 となる 確 率 は 無 限 / 無 限 です。重 久 さんに 問 いたいのは 次 の3つです。1. 問 ★の 答 えは 何 でしょうか?(サイレンが 鳴 るほうに 賭 ける 場 合 、 賭 け 金 が1 万 円だとするなら、 賞 金 がいくら 以 下 だったら 賭 けを 降 りますか)2. 問 ★(もしくは 放 射 性 元 素 崩 壊 で 置 き 換 えたバージョン)は、 一 宇 宙 説 において 実現 する 宇 宙 がファインチューニングの 範 囲 に 入 っている 確 率 のアナロジーとして、 適 切 でしょうか? 適 切 でないとすれば、その 理 由 は 何 でしょうか?3. 問 ★の 冒 頭 「ただ 一 度 だけ 行 ないます」という 条 件 を 外 し、しかもいつ 行 なうか 不明 としておきます。さて、 拙 宅 の 玄 関 の 特 殊 サイレンが 鳴 りました。 件 の「 実 数 決 定 ゲーム」(もしくは 放 射 性 元 素 実 験 )は、 何 回 行 われたのでしょうか? ただ1 回 (ただ 一 個 )とする 説 Sと、 膨 大 な 回 数 なされた( 膨 大 な 個 数 崩 壊 した)とする 説 Mとでは、いずれに


賭 けるべきでしょうか?重 久 さんがいかなる 確 率 的 直 感 に 従 って 論 を 立 てておられるのか、どうもまだわからないので、 上 の1~3にお 答 えいただければ 助 かります。お 手 数 おかけしますが、 急 ぎませんので、よろしくお 願 いします。◆◆◆2009 年 5 月 28 日 20:33三 浦 先 生重 久 俊 夫たびたびお 騒 がせして 申 し 訳 ありません。先 日 来 の 議 論 を 解 決 する 方 法 を 思 いつきましたので、 書 かせていただきます。それは、 先 生 の 多 宇 宙 論 証 ( 式 の 形 になったもの)に 対 する、 次 のような 改 善 提 案 です。( 提 案 )多 宇 宙 論 証 の 終 わりから2 行 目 にあるP(E/S)=(ほぼ)0 という 式 の 直 前 に「ひも 理 論 その 他 の 物 理 理 論 に 拠 れば」 の 一 句 を 追 加 する。( 以 上 )「ひも 理 論 その 他 によれば」というのは、 前 回 の 先 生 のメールから借 用 した 文 言 ですから、ご 異 存 はないと 思 います。( 同 じような 意 味の 別 の 表 現 でも 結 構 ですが。) また、ファインチューニング 問 題自 体 も 特 定 の 物 理 理 論 に 依 拠 していることは 当 然 だろうと 思 います。そもそも、ファインチューニング 問 題 に 直 結 し、 特 定 の 物 理 理 論 に 依 拠 している 部 分 はもっぱら 上 記 の 箇 所 であり、 多 宇 宙 論 証 の 中 のその 他 の 部 分 は、より 一 般 的 な 論 理 によって 展 開 されています。そのため、 両 者 の 性 格 の 違 いが 明 示 されていない 場 合 、あたかも多 宇 宙 論 証 全 体 が、 純 粋 に 論 理 的 な 証 明 であるかのような 印 象 を 与 え、 私 が 感 じたような疑 問 を 生 じてしまうと 思 われます。従 って、そうした 誤 解 をさけるためにも、 上 記 の「 追 加 」はぜひ 必 要ではないかと 考 えます。


◆◆◆2009 年 5 月 30 日 0:19重 久 様三 浦 俊 彦>>「ひも 理 論 その 他 によれば」というのは、 前 回 の 先 生 のメールから> 借 用 した 文 言 ですから、ご 異 存 はないと 思 います。( 同 じような 意 味>の 別 の 表 現 でも 結 構 ですが。) また、ファインチューニング 問 題> 自 体 も 特 定 の 物 理 理 論 に 依 拠 していることは 当 然 だろうと 思 います。>ひも 理 論 やインフレーション 理 論 は、 積 極 的 に 多 宇 宙 を 支 持 する 論 拠 となり、しかも 有 限個 の 根 元 事 象 を 析 出 できるという 意 味 で、無 限 / 無 限 にこだわる 論 拠 を 切 り 崩 せるのではないか、という 意 味 で 言 及 しました。しかし、ファインチューニングから 多 宇 宙 への 支 持 に 行 く 推 論 には、そうした 積 極 的 理 論は 必 要 ありません。次 のふたつで 十 分 です。1 諸 物 理 定 数 の 値 や 初 期 条 件 を 必 然 的 に 特 定 値 へと 決 める 根 拠 が 物 理 法 則 の 中 に 見 当 たらないこと( 物 理 定 数 と 初 期 条 件 の 恣 意 性 )2 物 理 定 数 と 初 期 条 件 の 可 能 な 組 み 合 わせの 中 で、 知 的 生 命 を 成 立 させうる 組 み 合 わせの 比 率 が 極 小 であること(ファインチューニング)また、 目 下 の 議 論 に 対 してひも 理 論 等 が 助 けとならないもう 一 つの 理 由 は 次 の 通 りです。たとえひも 理 論 等 によって 有 限 通 りの 諸 区 画 に 対 して 無 差 別 原 理 の 確 率 計 算 を 適 用 できるようにしたとしても( 私 が 最 初 にしようとしたように)、いかなる 有 限 / 有 限 も、 内 部 の 可 能 性 を 論 理 的 に 無 限 分 割 すれば 無 限 / 無 限 に 翻 訳 できてしまうので、「ひも 理 論 その 他 の 物 理 理 論 に 拠 れば」 の 一 句 を 追 加 したとしても、 無 限 / 無 限 という重 久 さんの「 批 判 」に 対 処 できたことにはならないでしょう。しかも、 前 回 の 私 の 質 問 に 対 する 重 久 さんの 答 えによって、いまや 問 題 がスライドし、本 当 のポイントは★ 仮 想 的 空 間 の 分 割 の 場 合 は、 現 実 の 物 理 的 空 間 の 場 合 と 違 って、 無 差 別 原 理 が 適 用 できない


と 重 久 さんが 考 えていることだと 判 明 しておりますので、いずれにしても、一 昨 日 お 送 りした 「 実 数 決 定 ゲーム」への 重 久 さんのお 答 えを 拝 見 した 上 で、無 限 / 無 限 を 用 いた 批 判 がどのようなものなのか、 考 察 させていただきたく 思 います。では、ご 面 倒 で 申 し 訳 ありませんが、「 実 数 決 定 ゲーム」へのお 答 えをお 待 ちしております。◆◆◆2009 年 6 月 7 日 22:23三 浦 先 生重 久 俊 夫すっかりご 無 沙 汰 しています。 突 貫 工 事 で 書 いているペーパーの方 が、すこしはかどりだしたので、ようやくメールを 開 ける 気 分 になったところです。前 回 は、 詳 細 なお 便 りありがとうございます。 指 摘 された 論 点 の 一 つ 一 つにリスポンスすべきなのですが、 時 間 的 にも 能 力 的 にも 余 裕 がないので 省 かせていただきます。ただ、サイコロの 話 については 一 言 触 れたいと 思 います。( 全 く 見 当違 いかも 知 れませんが。)サイコロを 1 回 だけふって、「1」の 出 る 確 率 を、「1の 出 る 可 能 世 界 の 数 / 全 ての 可 能 世 界 の 数 」 と 考 えると無 限 / 無 限 になります。しかし、 目 の 出 方 の 細 かい 違 いは 捨 象して、 面 の 種 類 だけを 問 題 にすることが、 通 常 は、 黙 示 的 に 規 約 されていると 思 いますので、その 意 味 では、1/6 でよいと 思 われます。そもそも、 一 回 だけの 事 象 が 生 じた 場 合 、その 確 率 をどう 考 えるかは、 実 在 しない 可 能 世 界 をどう 設 定 するかでさまざまに 変 わりうると思 います。その 出 来 事 を、 確 率 1/6 の 事 象 が 生 じたと 考 えるか、百 万 分 の 一 の 事 象 が 生 じたと 考 えるか、はたまた、 確 率 の 数 値 が不 定 の 事 象 が 偶 然 生 じたと 考 えるかは、その 時 々の 議 論 の 条 件 設 定 によって、いろいろ 変わると 思 います。もっとも、あまり 自 信 はないので、 問 の 方 に 移 ります。書 いていただきました 問 いは、まさに 私 の 考 えを 的 確 に 表 していると 思 います。


この 場 合 、( 私 の 用 語 でいう)A 視 点 のない B 視 点 であり、ファインチューニングの 確 率 は、 無 限 / 無 限 なので、 不 定 だと 思 います。従 って、 問 1は、 不 定 。 何 らかの 答 えを 選 ばないといけないとすれば「 特 に 有 利 な 選 択 肢 はない」ということです。問 2は、 先 の「 追 伸 」で 書 きましたように、 既 成 の 物 理 理 論 に 準 拠 することが 規 約 されていると 思 われるので、「 私 には 分 からない」というしかありません。( 角 度 が 無 限 分 割 できるのかどうか、 私 には分 かりませんし、そうした 物 理 理 論 との 兼 ね 合 いをどう 考 えたらよいか、 物 理 理 論 に 関 してあまりにも 無 知 なので、 決 めかねています。)仮 に、 問 2が 類 比 的 だとすれば、 問 3は、 多 宇 宙 論 証 の 場 合 と 同 じ形 式 になりますから、1 回 か 多 数 回 かは、「 比 べようがない」ということです。(ただし、ファインチューニングが 生 じる 確 率 がぴったり1になるという、ありえないような 多 数 回 のケースは 除 く。)この 問 題 の 場 合 、 問 1で「0に 近 い」と 答 え、 問 3で「 多 数 回 」と 答 えるのが、 一 見 もっともらしく 見 える 理 由 を 考 えるべきだと 思 います。そうすると、 考 えられるのは、1 実 数 であることを 無 視 して、あるケタから 後 ろは 無 視 している。56879・・・・を、0.56879・・・・と 読 み 替 えて、「 細 かい 違 いはどうでもよい」と 考 えるような 場 合 です。こうなれば、ファインチューニングの 幅 の 中 の「 実 数 」の 個 数 は 有 限 になりますが、これは、「 過 剰 な 限 定 による 問 のすりかえ」だと 思 います。もっとも、ケタが無 限 にあるような 実 数 をA 氏 や B 氏 はどうやって 数 字 で 表 したのだろうと 考 えると、こうしたすりかえも 自 然 な 心 境 なのかも 知 れません。2 もう 一 つは、 変 域 を 空 間 的 なひろがりのようにイメージすることです。 私 がA 視 点 といったもののことですが、ファインチューニングの範 囲 は、 幅 があるものの、 無 限 分 割 されず、 一 定 の 数 値 になります。( 数 学 用 語 では、そういうのを「 可 測 」というのでしょうか。よく知 りませんが。) ただこれも、 私 見 では「 不 当 なアナロジー」だと思 います。いずれにせよ、 変 域 全 体 は 無 限 大 ですから、ファインチューニングの 範 囲 が 広 いか 狭 いかにかかわりなく、 比 をとれば、 極 小 になります。ただ、 私 見 では、これらは 妥 当 な 推 論 とは 思 えません。何 日 もお 待 たせしたわりには、とっさに 考 えたのと 同 じ 答 えになって恐 縮 ですが、とりあえず、 以 上 のように 考 えたいと 思 います。


◆◆◆2009 年 6 月 10 日 13:52重 久 様三 浦 俊 彦お 答 えありがとうございます。だいぶ 明 確 になってきました。>> 書 いていただきました 問 いは、まさに 私 の 考 えを 的 確 に 表 している>と 思 います。>この 場 合 、( 私 の 用 語 でいう)A 視 点 のない B 視 点 であり、ファイン>チューニングの 確 率 は、 無 限 / 無 限 なので、 不 定 だと 思 います。> 従 って、 問 1は、 不 定 。 何 らかの 答 えを 選 ばないといけないとすれば>「 特 に 有 利 な 選 択 肢 はない」ということです。>問 1は、「 賭 け 金 が1 万 円 だとするなら、 賞 金 がいくら 以 下 だったら 賭 けを 降 りますか」でした。重 久 さんの 回 答 は、「とくに 有 利 な 賭 け 方 はない」と 解 してよろしいですね。それでは 実 際 、 重 久 さんと 私 とで、 賭 けをやってみませんか?たとえば、 重 久 さんの 勤 務 先 の 現 在 の 生 徒 数 と、 私 の 研 究 室 の 窓 側 の 一 番 下 にある 本 の 頁数 を 掛 け 合 わせ、 結 果 をπで 割 りましょう。その 答 えの 小 数 点 以 下 第 1 桁 ~ 第 4 桁 が、1234になるかどうか。私 は、1234にならないほうに 賭 けます。そして、 私 が 負 ける 確 率 は 一 万 分 の 一 だと 信ずるので、 次 のような 掛 け 率 でけっこうです。( 設 定 ★)勝 ったら、 重 久 さんから1 万 円 いただく。 負 けたら、 私 が 9999 万 円 払 う。同 様 の 賭 けを 10 回 もやれば、 私 が 10 万 円 ゲットしていることはほぼ 確 実 です。重 久 さんの 考 えだと、どのように 賭 けても 同 じということになるので、 上 の 条 件 の 賭 け 方で、 賭 けからどうしても 降 りるという 動 機 はないことになります。重 久 さんは1234、 私 は1234でないほうに 賭 けて、 負 けたほうが 100 万 円 払 う、という 賭 けであっても、 断 固 として 拒 む 理 由 がなくなります。( 拒 んだら 1 万 円 の 罰 金 、という 場 合 、 拒 まないほうが 有 利 となります)


重 久 さんの 立 場 が、 日 常 の 合 理 的 決 断 のあり 方 に 反 していることはおわかりいただけるのではないでしょうか。(もっと 計 算 が 楽 で、 金 額 も 妥 当 な 他 のバージョンで、 実 際 賭 けをやってみましょうか)>>サイコロを 1 回 だけふって、「1」の 出 る 確 率 を、>「1の 出 る 可 能 世 界 の 数 / 全 ての 可 能 世 界 の 数 」 と 考 えると> 無 限 / 無 限 になります。しかし、 目 の 出 方 の 細 かい 違 いは 捨 象>して、 面 の 種 類 だけを 問 題 にすることが、 通 常 は、 黙 示 的 に 規 約 さ>れていると 思 いますので、その 意 味 では、1/6 でよいと 思 われま>す。>正 確 な 生 徒 数 と 正 確 な 頁 数 にはいろいろな 場 合 がありえますが、その 積 をπで 割 った 結 果だけによって 分 類 されます。途 中 の 計 算 結 果 の 多 数 のバリエーションは 捨 象 されます。これは 決 して「 過 剰 な 限 定 による 問 のすりかえ」ではありません。サイコロの 場 合 だけ「 転 がり 方 のバリエーション」は 捨 象 して 最 後 に 上 を 向 いた 面 だけに着 目 するのはOK、計 算 の 場 合 は「 途 中 の 数 字 」は 捨 象 して 最 後 の 計 算 結 果 だけに 着 目 するのはNG、これは 不 整 合 でしょう。重 久 さんが、 上 の 設 定 ★でなら 賭 けにギリギリ 乗 れるが、それより 不 利 な 掛 け 率 (たとえば 私 が 勝 ったら 10 万 円 ゲットに 変 更 )ではちょっと……、と 躊 躇 うようなら、ファインチューニング 論 法 の 確 率 判 断 を 認 めていることになるわけです。この 点 はあまりに 明 白 で、 御 反 論 は 必 要 ないと 思 うので( 重 久 さんも 同 意 ではないかと 考えるので)、とくにお 答 えは 求 めません。万 一 、 反 論 があれば、 実 際 に 賭 けをやってみましょう。◆◆◆2009 年 6 月 11 日 18:03三 浦 先 生重 久 俊 夫


お 便 りありがとうございます。私 自 身 は、 確 率 論 等 は 完 全 な 素 人 であるという 前 提 で 見 ていただきたいのですが・・・・「 生 徒 数 と 頁 数 を 掛 けてパイで 割 った 値 」のことですが、これは、まるで 見 当 もつかないという 意 味 で、 実 数 をランダムに 選 んでいると 解 釈 させていただきます。( 生 徒 数 と 頁 数 がきちんと 分 かっていれば、 当 然 数 値 は 確 定 するはずですから。)その 上 で、 小 数 点 以 下 が、「1234」になるかどうかということですがありうる 実 数 の 個 数 を 考 えるならば、「1234」の 範 囲 内 も 範 囲 外 も無 限 と 無 限 になると 思 います。「1234」の 範 囲 外 の 方 が 多 いように 感 じるのはなぜか。それは、個 々の 実 数 を 最 後 まで 表 記 した 上 で、それら 実 数 の 個 数 を 数 えるということをしていないからです。もちろん、 実 数 を 最 後 まで 小 数 展 開 することなど、 不 可 能 ですが、だからといって、 適 当 なケタでやめてしまうというのは、「 過 剰 な 限 定による 問 のすりかえ」ではないでしょうか。つまり、 今 回 の 問 に 対 しては、「そういう 賭 けをしてもいいけど、 個 々の 実 数 はきちんと 最 後 まで表 記 した 上 で 勝 負 をきめてほしい」ということです。可 能 世 界 ( 宇 宙 )の 数 といった 場 合 は、こうした「 無 限 の 存 在 」を考 えることも 出 来 ますが、 今 回 の 例 では、 結 局 、 実 行 不 可 能 な賭 けということになります。それから、サイコロの 例 ですが、「 目 の 出 方 の 細 部 を 無 限 に 区 別 する」のと、「 可 能 性 を 6 通 りに 規 約する」のとでは、 同 じ 事 態 の 二 通 りの 見 方 だとは 思 っていません。同 じ 事 態 かどうかは、 可 能 世 界 の 設 定 の 仕 方 等 も 含 めて 決 まることであり、この 場 合 は、 全 く 別 の 事 態 だと 考 えます。◆◆◆2009 年 6 月 13 日 1:20重 久 様三 浦 俊 彦ご 回 答 ありがとうございます。さて、 以 下 の 件


「1234」の 範 囲 外 の 方 が 多 いように 感 じるのはなぜか。それは、> 個 々の 実 数 を 最 後 まで 表 記 した 上 で、それら 実 数 の 個 数 を 数 える>ということをしていないからです。>いまの 争 点 は、 実 数 を 数 える 話 ではなく、 確 率 の 話 です。糸 の 上 に 針 を 落 とす 場 合 も、 点 を 数 え 上 げる 必 要 などなかったでしょう。 実 在 の 空 間 ではなく 観 念 的 な 実 数 座 標 の 場 合 も 同 様 です。そこを 確 認 した 上 で、>>もちろん、 実 数 を 最 後 まで 小 数 展 開 することなど、 不 可 能 ですが、>だからといって、 適 当 なケタでやめてしまうというのは、「 過 剰 な 限 定>による 問 のすりかえ」ではないでしょうか。>つまり、 今 回 の 問 に 対 しては、>「そういう 賭 けをしてもいいけど、 個 々の 実 数 はきちんと 最 後 まで> 表 記 した 上 で 勝 負 をきめてほしい」ということです。>↑このことは 全 く 御 心 配 にはおよびません。ためしに、1000 を、3.1415926 と 3.1415927 とでそれぞれ 割 ってみますと、ともに、 小数 点 以 下 4 桁 は、3098 で 一 致 します。πは 3.1415926 と 3.1415927 の 中 間 ですから、 小 数 展 開 を 全 部 展 開 しなくても 影 響 ありません。このような 有 限 桁 への 整 理 にご 不 満 を 覚 えるかもしれませんが、じつはこのことは、 重久 さんが 前 々から 言 われていたことから 当 然 帰 結 することなのです。各 物 理 定 数 のファインチューニングは、 厳 密 に1 点 ではなく、 幅 がありますから、ある程 度 までの 精 度 が 確 保 されていれば、それ 未 満 の 桁 はどうでもよいのです。生 物 が 発 生 しうる 条 件 は、 各 物 理 定 数 の 厳 密 な 実 在 値 を「 四 捨 五 入 」した 値 に 対 応 します(その 四 捨 五 入 は 人 間 ではなくアバウトな 生 物 学 的 自 然 がやるのですが)。かりに 自 然 に 四 捨 五 入 的 収 斂 作 用 がなく、 各 物 理 量 の 小 数 点 以 下 すべての 桁 が 生 物 発 生に 有 意 義 な 作 用 を 及 ぼすとなると、ファインチューニングの 確 率 は 無 限 / 無 限 とは 言えず、 分 子 が1になってしまうでしょう。すると、それだけでファインチューニングの 確率 は0です。重 久 さんは0とは 考 えないわけですから、ある 桁 以 下 の 四 捨 五 入 によって 有 限 桁 の 値 に整 理 することは、むしろ 重 久 さん 的 に 必 須 のことなのです。これを 拒 むことは、 無 限 / 無限 という 立 論 の 基 礎 を 覆 し、 矛 盾 に 陥 ることになります。


なお、 計 算 しやすいように 「 生 徒 数 ×ページ 数 ÷π」 としましたが、 生 徒 数 とページ 数 が 自 然 数 であるのが 気 になるかもしれません。しかし、 生 徒 数 やページ 数 の 決 定 要 因 には 多 様 で 無 数 のゆらぎが 関 わっており、 対 称 性の 破 れ 方 は 膨 大 かつ 連 続 的 です。 結 果 が 自 然 数 に 切 り 上 げられていることは、ファインチューニングとの 類 比 に 支 障 ないでしょう。 実 際 、 次 元 の 数 のように、ファインチューニングに 関 わる 物 理 量 には 自 然 数 も 含 まれています。さて、そこで 賭 けに 入 ることになりますが、ひとつ、コメントさせてください。 重 久 さんが 以 下 のコメントになお 納 得 できないという 場 合 、 賭 けに 入 りましょう。★「 生 徒 数 ×ページ 数 ÷π」の 答 えの 小 数 点 以 下 1~4 桁 が 1234 になるかどうかを 賭 けるわけですが、いま、1 万 人 の 人 が、それぞれ、0000 から 9999 までの 別 々の 順 列 に 一 人 ずつ 賭 けたとしましょう。重 久 さんの 理 論 によると、 全 員 について、 当 たる 確 率 は「 不 定 」ですよね。ところで、その1 万 人 の「 不 定 」は、 全 員 同 じ 意 味 での「 不 定 」でしょう。どれか 一 つの 値 を 取 りたてて 有 利 とみる 理 由 はないわけですから。すると、 無 差 別 の 原 理 により、1 万 人 各 々が、 当 たる 確 率 は 同 じということになります。つまり、 出 発 点 でいくら「 不 定 」と 言 ったところで、すべての 値 について 同 じことを 言 わねばならないことから、 結 局 、 任 意 の 一 つの 値 が 当 たる 確 率 は1 万 分 の1と 判 断 せざるをえなくなるでしょう。つまり、これから 重 久 さんと 私 が 行 なう 賭 けは、1 人 対 9999 人 の 賭 けに 等 しいものになるわけです。★↑ 以 上 で 理 論 的 にはほぼ 言 い 尽 くした 観 があるのですが、これでもまだまだ、という 場合 、 賭 けに 移 りましょう。非 常 識 な 金 額 ではまずいでしょうから、 勝 ったら 相 手 から 100 円 ゲットとしましょうか。私 の 研 究 室 の 窓 側 の 一 番 下 にあったのは(きょう 見 るまでわかりませんでしたが)、『 独ソ 戦 車 戦 シリーズ8 死 闘 ケーニヒスベルク』で、 最 終 ページ 表 記 が 159 でした。159 に、 重 久 さんの 勤 務 校 の 現 在 の 在 籍 生 徒 数 をかけて、πで 割 ってみてください。まず 間 違 いなく、 小 数 点 以 下 1234……にはならないと 思 います。ただ1 回 だけだと、「たまたまだ」ということもありえますから、 別 の 数 値 を 使 いながら、10 回 ほどやってみましょうか。私 が1 度 でも 負 ける 確 率 は、1-((9999/10000)の 十 乗 )で、 約 千 分 の1です。いちおう、 私 は 一 度 も 負 けない、という 予 想 が 立 てられます。


それでは、いかがでしょうか?重 久 さんも 内 心 ではもうすっかり 納 得 していると 思 うので、 賭 けの 必 要 はないと 思 うのですが……、いちおう、「 生 徒 数 ×159÷π」 答 えを 教 えてください。◆◆◆2009 年 6 月 17 日 23:38三 浦 先 生重 久 俊 夫お 便 りありがとうございます。どうも、 前 回 のメールでは、 切 り 詰 めた 言 い 回 しなど、 分 かりにくい表 現 をしてしまったようで、 意 図 がうまく 伝 わらなかったような 気 がします。 私 の 方 は、あくまで 素 人 の 思 いつきですが、もう 少 し 整 理 して言 い 直 したいと 思 いますので、お 付 き 合 いください。私 が 申 し 上 げようとしたのは、こういうことです。タイプA1 百 万 未 満 の 実 数 X がある。しかし、 値 は 全 く 分 からない。2 X の 値 が 一 定 の 範 囲 内 である 確 率 P は、「 一 定 の 範 囲 内 に 含 まれる 可 能 な 事 象 の 総 数 / 全 ての 可 能 な事 象 の 数 」 と 定 義 される。 ただし、この 場 合 、 可 能 な 事 象 とは「 実 数 」のことだと 規 約 する。3 一 定 の 範 囲 とは、 小 数 点 以 下 4 桁 が「1234」であることである。4 P= 無 限 / 無 限 ( 不 定 )タイプ B1 百 万 未 満 の 実 数 X がある。しかし、 値 は 全 く 分 からない。2 実 数 の 小 数 点 以 下 4 桁 だけに 注 目 し、それ 以 外 は 無 視 する。(つまり、「 可 能 な 事 象 」を 限 定 する。 注 目 する 桁 はもっと 多 くてもよいが、 有 限 でなければならない。)3 X の 小 数 点 以 下 4 桁 が「1234」である 確 率 q は、1/10000タイプC ( 前 回 のメールにあったケース)1 タイプ A の1、2と 同 じ。2 小 数 点 以 下 4 桁 が、「0000」である 確 率 は 無 限 / 無 限 。


「0001」である 確 率 は 無 限 / 無 限 。・・・・・・・・「9999」である 確 率 は 無 限 / 無 限 。3 「 無 限 / 無 限 」を 互 いに 等 価 だとみなせば、「1234」である 確 率は、1/10000。4 ただし、これは、タイプ A をタイプ B に 変 換 しているだけです。結 局 、 私 がいいたかったことは、タイプ B はタイプ A に 対 して、「 過 剰 な 限 定 による 問 のすりかえ」にあたり、A と B とが、「 同 じ 事 態 に対 する 別 の 見 方 」ともいえない、ということです。さて、「 生 徒 数 × 頁 数 ÷パイ」がひとつの 確 定 した 実 数 なのに、小 数 点 以 下 4 桁 が「1234」になりにくいのはなぜか?( 察 するに、おそらく) 実 数 の 最 初 の 方 の 桁 は 必 ず 表 記 されるが、後 ろの 桁 は 書 ききれないので 無 視 される。そのため、 必 ずタイプ Bになってしまうからです。( 答 えは 全 く 不 明 の 実 数 なので、 最 後 の 桁まできっちり 書 かないと 意 味 がないはずですが、もちろんそれは不 可 能 です。) 三 浦 先 生 の 設 問 を 文 字 通 りに 解 釈 すれば、タイプ Aで 考 えるべきだと 思 われ、 私 が「 特 に 有 利 な 選 択 肢 はない」というのも、その 意 味 なのですが、 実 際 の「 賭 け」としては、 実 行 不 可 能 な賭 けといえます。最 初 から、タイプ B のつもりで 言 っているのだ、といわれれば、それはそれで 結 構 なのですが、ただ・・・・「 多 宇 宙 論 証 」と 類 比 的 なのは、タイプ A だというのが、 私 の 最 初 に書 きました 批 判 の 趣 旨 です。( 前 回 のメールで、「 自 然 が 四 捨 五 入 する」と 書 いておられたのは、ファインチューニングが 一 定 の 範 囲 であることを 言 っておられるのだろうと 思 います。) ただし、 可 能 性 の 幅を 制 限 するような 何 らかの 物 理 理 論 に 依 拠 することを 規 約 した 場 合は、この 限 りではありません。さて、 問 の 答 えですが、生 徒 数 は605 頁 数 は159 円 周 率 は 電 卓 の 表 示 が12 桁 なのでそこまでの 概 数 で 計 算 すると、30619.8195015・・・・・小 数 点 以 下 4 桁 は「8195」。 上 に 書 きましたように、タイプ B で 扱 わざるをえないので、「1234」でないのは 当 然 ですね。先 日 、 科 学 基 礎 論 学 会 に 行 ってきました。 大 阪 だから 是 非 来 るよう


に 渡 辺 恒 夫 先 生 に 勧 誘 されたためですが、 片 道 2 時 間 近 くかかるので、「 地 元 」とは 必 ずしもいえない 距 離 感 でした。シンポジウムのテーマが、「 統 計 学 の 哲 学 」というもので、「ベイズ 法 則 とベイズ 主 義 はどう 違 うんだ」とか、「 主 観 確 率 の 主 観 とはどういう意 味 か」といった 質 問 が 飛 び 出 し、パネラーの 方 が、それぞれいろんな 解 釈 をされていたのが 印 象 的 でした。確 率 とは 結 局 主 観 確 率 なんだと 以 前 いっておられたのを 思 い 出 しましたが、その 方 面 に 詳 しい 三 浦 先 生 なら、きっと 楽 しめただろうなと 思 います。それでは。◆◆◆2009 年 6 月 19 日 0:58重 久 様三 浦 俊 彦ご 回 答 ありがとうございます。まず 第 1に、タイプAの 定 義 が 問 題 です。>> 値 が 一 定 の 範 囲 内 である 確 率 P は、>「 一 定 の 範 囲 内 に 含 まれる 可 能 な 事 象 の 総 数 / 全 ての 可 能 な> 事 象 の 数 」 と 定 義 される。>という「 定 義 」は、 出 典 はありますか?前 回 すでに 述 べたように、あくまで 確 率 を 論 じなければならないのであって、 単 に 濃 度の 比 を 論 じても 論 題 に 無 関 係 です。無 限 の 場 合 は、 客 観 確 率 は、 濃 度 の 比 ではなく、 定 義 された 条 件 下 での 頻 度 の 極 限 として 定 義 されるはずです。仮 説 検 定 で 重 要 な 主 観 確 率 の 場 合 は、 賭 けに 応 じうる 合 理 的 掛 け 率 設 定 として 定 義 されます。いずれの 定 義 に 照 らしても、 重 久 さんのタイプAというのは、 確 率 とは 関 係 ない 概 念 の


ようです。 賭 けてもかまわないという 金 額 で 確 率 を 決 めようというのが 私 の 提 案 でした。したがって、 事 象 が 無 限 個 の 場 合 の 確 率 判 断 は、タイプBに 基 づかねばなりません。賭 けの 実 際 の 勝 率 を 反 映 しないタイプAなるものに 確 率 的 意 義 を 持 たせるには、よほどのモチベーションか、 確 固 たるテキストの 裏 付 けが 必 要 です。 学 問 的 裏 付 けがないと、 単なる 恣 意 的 な 素 人 談 義 になってしまい、 発 展 性 がないでしょう。以 上 のことを 踏 まえて、これも 前 回 メールと 同 じことになりますが、( 毎 回 いろいろ 書 きすぎるせいか、 私 が 述べたことが 十 分 伝 わっていないようですが――)3.1415926≦π≦3.1415927 ゆえに、605×159を、3.1415926 と 3.1415927 とでそれぞれ 割 ると、ともに、 小 数 点 以 下 第1 桁 が8となり、605×159÷πの 小 数 点 以 下 4 桁 が1234となりえないことが 厳密 に 確 定 します。1234でなく8***であることが 百 % 確 定 したのです。律 儀 に 全 桁 を 小 数 展 開 する 必 要 はなく、 適 当 な 精 度 で 可 能 な 最 大 値 と 最 小 値 を 知 れば 十分 です。(これは 算 術 的 に 自 明 ですが、ご 理 解 いただけなかったようで……)科 学 者 はファインチューニングをしばしばダイヤルの 例 で 説 明 しますが、ダイヤルがたまたま 123~124 度 の 範 囲 で 止 まる 確 率 を 知 りたいとき(あるいは 棒 がランダムに 倒 れる 方 向 の 角 度 でもよい)、10 回 やってみてすべて、はっきり 123~124 度 の 範 囲外 だったとします。 重 久 さんの 議 論 は、123~124 度 以 外 が 何 度 出 ても、 角 度 の 無 限 精 度 の測 定 が 出 来 ないからには 確 率 判 断 の 根 拠 として 認 めまい、と 主 張 しているようなものです。角 度 は 連 続 値 で、いかなる 有 限 幅 にも 無 限 の 方 向 が 含 まれますが、123~124 度 の 範 囲 に入 る 確 率 は1/360 です。これは 架 空 のダイヤルだろうが 実 在 のダイヤルだろうが 変 わりありません。もう 一 つの 誤 解 は、これもすでに 以 前 書 いたことの 繰 り 返 しですが、 重 久 さんが「 不 定 」の 意 味 を 取 り 違 えていることです。 二 度 述 べるのも 心 苦 しいですが、 抽 象 数 学 の 一 般 解 と、具 体 的 事 例 での 応 用 とを 混 同 してはまずいでしょう。たとえば0/0 または 無 限 小 / 無 限 小 は、 一 般 解 としては「 不 定 」とされます。しかし、 特 定 のグラフの 接 線 の 傾 きとして、 無 限 小 / 無 限 小 は 各 点 でそれぞれ 確 定 値 を持 つことは 御 存 知 の 通 りです。 同 様 に、 無 限 大 / 無 限 大 も、 根 元 事 象 とその 範 囲 に 相 対 的に 値 が 決 まります。ファインチューニングのような 特 定 かつ 実 在 の 具 体 的 物 理 プロセスについて、「 不 定 」という 答 えは 許 容 されません。 数 学 の 問 題 では、 情 報 が 不 足 だから「 不 定 」となるのであって、ちょうど、 文 法 の 教 室 で「 彼 はいちばん 背 が 高 い」という 文 の 真 偽 に 正 解 がないのと 同 様 です。 彼 が 誰 であり、どの 母 集 団 でいちばん 背 が 高 いと 言 っているかが 決 まらないと 真 偽 は 不 定 ですが、 具 体 的 な 適 用 では 自 ずと 真 偽 は 決 まるでしょう。たとえば、 全 実 数 からランダムに 実 数 を 一 つ 選 んだときにその 一 の 位 が 偶 数 である 確 率


は、 無 限 / 無 限 =1/2となります。ランダムに 実 数 を 一 つ 選 んでそれがπ 以 外 である 確 率 は、 無 限 / 無 限 =1となります。P( 偶 数 | 自 然 数 )であれば、 答 えは1/2と 確 定 します。つまり、 無 限 / 無 限 も、どのような 無 限 どうしの 比 をとっているのかが 決 まっていれば、答 えは 確 定 するわけです。ビッグバンのときに 対 称 性 が 破 れたのは 事 実 ですから、 一 宇 宙 説 のもとでは、 確 定 した事 実 があり、それがファインチューニングされるかどうかについて、 事 前 の 一 定 有 限 値 の確 率 があったはずなのです。現 に 起 きたことを、「 実 行 不 可 能 な 賭 け」になぞらえても 仕 方 のないことでしょう。確 率 が「 不 定 」という 主 張 を 認 めたとしても、それはせいぜい、「 具 体 的 な 値 がわからない」という 意 味 でしかありません。そして、 全 くわからない 場 合 、その 本 当 の 値 が1に 近 い 確 率 ( 確 率 の 確 率 ですからいわばメタ 確 率 ですね)は、 極 小 です。 通 常 の 対 数 尺 度 を 用 いれば、 実 用 的 には 確 率 1にはほど 遠 く 確 率 ゼロにごく 近 い 値 であるメタ 確 率 が 大 となります。こうして、 多 宇 宙 説 ではほぼ 確 率 1である 知 的 生 命 の 発 生 が、 一 宇 宙 説 のもとではほとんどゼロになるわけです。重 久 さんのさらにもう 一 つの 誤 解 (とおぼしきもの)をもう 一 つ 挙 げましょう。賭 けの 実 践 において、「 電 卓 は 不 完 全 な 答 えしか 与 えないから、 本 当 の 答 えはわからない」と 前 提 しているらしいことです。宇 宙 物 理 学 のファインチューニングは 物 理 過 程 ですから、そのアナロジーの 賭 けでは、電 卓 をも 一 つの 物 理 システムと 扱 ってください。 生 徒 の 応 募 状 況 や 選 考 過 程 、 本 の 制 作 過程 や 配 置 パターンと 同 様 に、 電 卓 の 内 部 構 造 もブラックボックスの 一 部 です。つまり、 今回 の 賭 けの 趣 旨 は、「 生 徒 数 ×ページ 数 ÷π」の 厳 密 な 値 を 電 卓 によって 近 似 的 に 求 める(だから 間 違 っているかもしれない)、ということではありません。「 生 徒 数 ×ページ 数÷πを 任 意 の 電 卓 で 計 算 したとき、 小 数 点 以 下 4 桁 がどうなるか」 全 体 の 出 力 が 厳 密 な 答えなのです。それがファインチューニングとの 正 しいアナロジーです。従 って、たとえ 電 卓 が 狂 っていてもかまいません。その 狂 いもランダムな 諸 要 因 として参 入 させた 上 で、たまたまはじき 出 された 答 えがどうであるかが 問 題 なのです。もともと 生 徒 数 とページ 数 もランダムに 決 めたので、 両 者 の 積 に 権 威 ある「 正 解 」があったわけではないので、 電 卓 の 作 用 も 同 等 に 扱 って 当 然 なのです。ビッグバンのときどの 物 理 定 数 がどのように 定 まるかは、いろいろな 偶 然 が 作 用 しています。これは、 電 卓 がたまたまどのような 調 子 だったかもコミにして、 結 果 だけを 考 えるということに 相 当 しますね。つまるところ、私 たちがファインチューニングのシミュレーションとして 考 えるべき 賭 けの 一 般 形 は、「 複 数 の 実 数 のランダムな 入 力 →ランダムな 操 作 → 特 定 の 出 力 」この 出 力 が、ある 範 囲 に 入 っているかどうかだけでの 賭 けということになります。


趣 旨 がわかりづらければ、 賭 けのやり 方 を 変 更 して、★ 電 卓 ゲーム★を 考 えましょう。重 久 さんと 私 がそれぞれ 自 分 の 電 卓 を、デタラメに 押 します(すべてのボタンを 一 気 に10 回 押 すとか、 猫 を 走 らせるとか)。そのときに 出 た 数 列 の 最 初 の( 大 きな 位 から 順 に)数 字 4 桁 分 が4つとも 一 致 (たとえば2 人 とも 1234……だったなど)する 確 率 はいくらか。私 と 重 久 さんの 指 や 肘 の 角 度 、クセ、 呼 吸 、 猫 の 歩 幅 ・ 体 重 などは 実 数 値 の 物 理 量 で 決まりますから、 多 数 の 実 数 値 が 電 卓 に 入 力 されることになりますね。さらに、 電 卓 の 内 部構 造 そのものも 実 数 値 の 入 力 として 参 加 します。これらの 雑 多 な 入 力 が、 電 卓 の 掲 示 板 に 出 力 を 出 す。 結 果 、2 人 の 得 た4 桁 が 一 致 していれば、ファインチューニングとします。独 立 に 定 まった 物 理 定 数 が 一 致 して 生 物 発 生 の 環 境 を 創 れるかどうかのアナロジーとして 適 切 でしょう。「 厳 密 な 無 限 小 数 の 計 算 を 電 卓 の 物 理 構 造 の 限 界 ゆえに 端 折 られている」という 不 満 は的 外 れです。ビッグバンも、 微 妙 な 物 理 過 程 を 適 当 に 相 殺 しあいながら、 結 果 を 出 力 したのですから。( 前 回 述 べたように、すべての 要 因 が 関 与 していたら、ファインチューニングの 確 率 の 分 子 が1になってしまいます)まとめると、 重 久 さんの「 誤 解 」は、 以 下 の 諸 点 であるように 思 われます。★ 単 に 濃 度 比 較 の 無 限 / 無 限 が 確 率 を 表 わす、というのは 錯 覚 。★ 無 限 / 無 限 が 確 率 を 表 わす 解 釈 の 場 合 、「 不 定 」は 数 学 の 一 般 解 であって、 具 体 的なケースへの 適 用 では 有 限 の 確 定 値 となりうることが 看 過 されている。★ 概 算 によって 正 解 が 確 定 することを 看 過 し、 暗 黙 のうちにファインチューニングの 事象 をただ 一 つの 事 象 に 定 めている。★ 実 数 選 択 ゲームにおける 電 卓 の 役 割 が 誤 解 されていた。↑ 上 で 述 べたことに 重 久 さんが 同 意 されるかどうかは 興 味 のあるところなので、 一 つ一 つお 答 えをいただければ 幸 いですが、それも 大 変 でしょうから、より 具 体 的 に、 以 下 の3つの 質 問 ↓に 答 えていただけますでしょうか。( 余 裕 があれば 上 の4つへのコメントもお 願 いします)■1. 有 限 ・ 無 限 すべての 場 合 に 一 般 化 できる 確 率 の 定 義 として、タイプAの 定 義「 一 定 の 範 囲 内 に 含 まれる 可 能 な 事 象 の 総 数 / 全 ての 可 能 な 事 象 の 数 」そのように 定 義 してある 書 物 等 があったのでしょうか?■2. 上 の★ 電 卓 ゲーム★で、 重 久 さんと 私 とで 出 力 が 初 4 桁 一 致 する 確 率 はいくらでしょうか?■3.★ 電 卓 ゲーム★は、 宇 宙 論 のファインチューニングの 適 切 なアナロジーになって


いるでしょうか(なっていないという 場 合 、なぜでしょうか)?またも 多 言 を 費 やし、 質 問 が 多 くなって 申 し 訳 ありません。上 の3つについては 個 別 に 是 非 よろしくお 願 いします。もとより 私 も 確 率 論 の 専 門 家 ではありませんから、 重 久 さんの 回 答 からまた 洞 察 を 得 られるかもしれません。◆◆◆2009 年 6 月 27 日 1:04三 浦 先 生重 久 俊 夫お 便 りありがとうございます。私 は、 思 想 史 関 係 の 研 究 発 表 にとりこんでいまして、 送 っていただきましたメールも 二 日 前 に 拝 見 したところです。( 研 究 発 表 の 方 は昨 年 いただいた「 感 情 とクオリアの 謎 」が 大 変 役 に 立 っています。)1まず、 一 つしかない 事 象 が、ある 条 件 に 含 まれる 確 率 が「その 条 件 内 の 可 能 な 事 象 の 数 / 全 ての 可 能 な 事 象 の 数 」 と 定 義される、という 件 ですが、もとより、 典 拠 などありません。試 行 錯 誤 も 統 計 処 理 もありえないような、たった 一 つだけの 事 象 に関 して、 確 率 を 定 義 するとしたら、 当 然 、こういう 意 味 だろうと 思 っただけです。 前 回 のメールに 書 きましたタイプAもタイプBも、この 意 味で 考 えていましたし、サイコロを( 全 宇 宙 の 全 歴 史 において) 一 回 だけころがした 場 合 に「1」が 出 る 確 率 は? というのも、こういうことだろうと 思 いつづけていました。正 統 な 確 率 の 定 義 にいくつかの 種 類 があることは 知 っていますが詳 しい 内 容 は 知 りません。 私 の 解 釈 が、その 中 のどれとも 整 合 しないのであれば、これ 以 上 何 も 反 論 することはない、ということになります。そうであれば、 撤 退 するしかありませんが、このメールの 中 では、とりあえず、 自 分 の 解 釈 で 記 述 することにします。「 賭 けに 応 じうる 合 理 的 掛 け 率 設 定 」のためには、 確 率 の 概 念 が先 行 しなければなりませんが、そのために、タイプ A、タイプ B の二 つの 定 義 があると 考 えたわけです。 実 行 可 能 な 賭 けの 内 容 はタイプ B に 相 当 しますが、 賭 けの 内 容 が 実 行 可 能 かどうかを 問 題 にしなければ、 両 方 ありうると 考 えました。なぜ、 二 つにこだわるかと


いえば、「 多 宇 宙 論 証 」のケースが、タイプ A に 類 比 的 だと 考 えたからです。「 全 実 数 からランダムに 実 数 を 一 つ 選 んだときに、その 一 の 位 が偶 数 である 確 率 は、 無 限 / 無 限 =1/2 となります」 というのも「その 一 の 位 」に 注 目 するわけなので、タイプ B に 当 たると 思 います。2ファインチューニングをダイヤルに 例 えるのは、 可 能 宇 宙 のヴァリエーションを「 空 間 的 なひろがり」になぞらえているわけで、 以 前 書 きました 私 の 記 号 で 言 えば「A 視 点 」でとらえることになります。ファインチューニング 問 題 に 関 して、そういう 捉 え 方 をするのは、 問 のすりかえであり、 不 当 な 類 比 ではないかというのが、 私 のいいたいことでした。ただし、 数 学 的 には 難 しい 問 題 であり、 私 のような 素 人 の 手 におえないので、「 疑 問 がある」というだけにとどめておくしかありません。3先 生 のメールにありました 以 下 の 記 述 ですが・・・・・「 確 率 が「 不 定 」という 主 張 を 認 めたとしても、それはせいぜい、「 具 体 的 な 値 はわからない」という 意 味 でしかありません。そして 全 くわからない 場 合 、その 本 当 の 値 が1に 近い 確 率 (メタ 確 率 )は、 極 小 です。( 中 略 )こうして、 多 宇 宙 説 では、ほぼ 確 率 1である 知 的 生 命 の発 生 が、 一 宇 宙 説 ではほとんどゼロになるわけです。」とありますが、 本 当 の 値 が1に 近 いメタ 確 率 が 極 小 なら、 本 当 の 値がゼロに 近 いメタ 確 率 も 極 小 なのではないでしょうか。4ご 指 摘 いただいた 論 点 の 中 で、 私 が 最 も 疑 問 に 思 うのが 以 下 の 点 です。「ファインチューニングのような 特 定 かつ 具 体 的 な 物 理 プロセスについて「 不 定 」という 答 えは 許 容 されません。」「ビッグバンのときに 対 称 性 が 破 れたのは 事 実 ですから、 一 宇 宙 のもとでは、 確 定 した 事 実 があり、それがファインチューニングされるかどうかについて、事 前 の 一 定 有 限 値 の 確 率 があったはずなのです。」一 宇 宙 の 場 合 、 実 在 の 具 体 的 物 理 プロセスとは、 端 的 に、 一 つの宇 宙 ( 世 界 )がたまたまそこにあるということだけです。その(たった一 つの) 世 界 の 確 率 を 定 義 する 場 合 には、 実 在 しない 可 能 世 界 を仮 想 せざるをえないと 思 われます。それは、 根 本 的 に 抽 象 的 で


主 観 的 な 問 題 ではないでしょうか。(また、サイコロのある 目 が 出 る確 率 の 分 母 が「6」だというような、「 規 約 」の 問 題 もからんでくると思 われます。)それをしも、「 実 在 の 具 体 的 物 理 プロセスだ」というのは、 特 定 の物 理 理 論 の 描 像 に 依 拠 した 結 果 ではないかと 思 います。だからこそ、「 多 宇 宙 論 証 は、 超 ひも 理 論 その 他 の 当 面 の 物 理 理 論 に 依 拠 することを 規 約されている」と 明 示 すれば、 私 としても 同 意 できる、ということを 以 前 、 申 し 上 げたわけです。しかし、 先 生 の 方 からは、それでも、 解 決 にならないという 回 答 をいただいているので、私 としても、 対 応 に 苦 しんでいます。5多 宇 宙 論 証 のように、 宇 宙 全 体 が 単 位 になって、いろいろな 可 能 性を 考 える 場 合 、( 中 性 子 がどっちの 方 向 に 飛 んでいくかといった、この 宇 宙 の 内 部 の 問 題 と 違 って)、 既 成 の 物 理 理 論 を 単 純 にあてはめていいのか、 疑 問 は 大 きくなると 思 います。特 に、 一 宇 宙 説 の 場 合 、 一 宇 宙 以 外 の 宇 宙 は 実 在 しないし、 可 能 性 としてもありえないことが、「 仮 定 」によって 確 定 しています。一 方 、さまざまな 宇 宙 のあり 方 を 規 定 するような 物 理 理 論 R があった場 合 、それは、 複 数 の 宇 宙 が 実 在 する、あるいは、 少 なくともその可 能 性 がある、ことを 前 提 にしているはずです。( 例 えば、ビッグバン 以 前 にも 量 子 力 学的 なポテンシャルがあった、というような 理 論の 場 合 です。)しかし、 一 宇 宙 説 では、 一 つの 宇 宙 以 外 には 何 もなく、 何 かがある可 能 性 もない、ということが、 仮 定 されています。ですから、ビッグバン 以 前 に 何 らかの 量 子 力 学 的 ポテンシャルがあったという 言 説 も、(それがいかに 通 説 であれ) 完 全 に 否 定 しなければなりません。こうした 例 からも、 宇 宙 のあり 方 を 規 定 するような 物 理 理 論 があったとしても、 一 宇 宙 説に 適 用 することが 妥 当 なのかどうかは、 難 しい問 題 だと 私 は 思 います。(もちろん、 物 理 理 論 R を 適 用 することを「 規 約 」してしまえば、 一 応文 句 はないわけですが。)6前 回 のメールで、「 電 卓 が 不 完 全 な 答 えしか 与 えない」ということに私 がこだわっているのではないかという、ご 指 摘 がありましたが、そういうことは、 全 く 考 えたことはありません。「ビッグバンのときどきの 物 理 定 数 がどのように 定 まるかは、いろいろな 偶 然 が 作 用 しています。これは、 電 卓 がたまたまどのような 調 子 だったかもコミして、


結 果 だけを 考 えるということに 相 当 します。」というご 指 摘 も、 全 く 同 感 です。7電 卓 ゲームは、( 私 自 身 の 用 語 でいえば、 明 らかにタイプ B に 相 当 するので)、 問 の 答 えは、1/10000 ですね。ただし、 電 卓 の4 桁 は 自 然 数 ですから、「 独 立 に 定 まった 物 理 定 数が 一 致 して 生 物 発 生 の 環 境 を 作 れるかどうかのアナロジーとして適 切 」 とは 思 えません。「ビッグバンも、 微 妙 な 物 理 過 程 を 適 当 に 相 殺 しあいながら 結 果 を出 力 した」 という 点 は、 同 感 ですが、その「 結 果 」としての 物 理 定 数は、( 何 らかの 理 論 で 制 限 されない 限 り) 数 値 としては 実 数 であり、他 の「 可 能 性 」は 無 限 にある、と 思 います。(あくまでも 私 の 解 釈 ですが。)8とりとめなく 書 いてしまいましたが、 前 回 の 問 の 返 答 は 以 下 の 通 りです。★1 自 分 なりには 妥 当 な 考 えのつもりですが、 正 統 な 確 率 論 のどれかと 整 合 するかどうかを 確 かめていないので、 何 ともいえません。( 錯 覚 かも 知 れない。)★2 特 に 一 宇 宙 説 におけるファインチューニングの 確 率 に 関 しては、 不 同 意 です。(もとより、 確 率 が「 不 定 」とは、この 場 合 、数 値 として 決 まっているが 分 からないということではなく、決 められない、ということです。)★3 「 暗 黙 のうちにファインチューニングの 事 象 をただ 一 つの 事 象に 定 めている」ことを 批 判 することは、 私 自 身 が、 以 前 から 言 っていることでもあります。ただし、「 概 算 によって 正 解 が 確 定 する」といことは、 一 宇 宙 説 における 確 率 に 関 しては、 不 同 意 です。(ただし、★3は 問 自 身 を 誤 解 している 可 能 性 が 高 い。)★4 そういう 誤 解 はしていないつもりです。■1 確 かめていません。( 自 分 で 調 べればいいのですが、 他 の 用事 がたてこんでいるので。)■2 1/10000■3 自 然 数 と 実 数 の 違 いがあるので、 適 切 とはいえない。どうも、たよりない 返 事 ばかりで、 申 し 訳 ありません。


◆◆◆2009 年 7 月 2 日 1:54重 久 様三 浦 俊 彦だんだん 明 確 になってきました。ご 回 答 感 謝 します。>>まず、 一 つしかない 事 象 が、ある 条 件 に 含 まれる 確 率 が>「その 条 件 内 の 可 能 な 事 象 の 数 / 全 ての 可 能 な 事 象 の 数 」と 定 義>される、という 件 ですが、もとより、 典 拠 などありません。>「もとより」とはどういう 意 味 なのか 引 っかかりますが( 基 本 的 に 無 手 勝 流 でいくのが重 久 哲 学 です、というスタンス 表 明 ?)ともあれそういうことでしたら、そろそろ、タイプAというのは 捨 て 去 る 潮 時 でしょう。無 限 まで 一 般 化 したとき、 単 なる 基 数 の 比 というのは、 確 率 のどの 定 義 にもあてはまりませんから、タイプAというのはこれからはナシにしましょう。ただナシ、というのもなんですから、 以 前 、 実 数 選 択 ゲームで 挙 げたのと 同 じ 例 解 をしておきます。(タイプAを 持 ち 出 すのは 以 下 の 例 解 が 最 後 です)。確 率 空 間 を 等 分 した 中 で、ファインチューニングが1/Nの 面 積 を 占 めているとします(Nは 大 きな 数 )。 実 際 にファインチューニング 宇 宙 が 生 じたというデータが 得 られる 前に、ただ 一 つの 宇 宙 として 実 現 する 事 前 確 率 (アプリオリ 確 率 )は、N 通 りのそれぞれの区 画 に 関 して、 同 じです。なぜなら、ひも 理 論 だろうがM 理 論 だろうがはたまた 全 くの 無知 だろうが、ファインチューニング 宇 宙 がとくに 他 の 宇 宙 に 比 べて 起 こりやすい 理 由 が 皆無 だからです。こうして、アプリオリ 確 率 は、N 個 の 場 合 がすべて 同 じです。(このアプリオリ 確 率 は、「 可 能 宇 宙 のヴァリエーションを「 空 間 的 なひろがり」になぞらえている」かどうかとは 無 関 係 に、 無 知 という 前 提 だけから 成 り 立 ちます)。さて、N 個 すべての 区 画 に 対 して、タイプAで 確 率 を 判 断 すると、すべてがそれぞれ「 不定 」となります。これは 換 言 すれば、すべてが 同 じ「 不 定 」であり、それぞれ 確 率 1/Nということに 他 なりません。タイプAだろうがタイプBだろうが、 同 じ 理 屈 が 成 り 立 ちます。こうして、タイプAがかりに 有 意 味 な 確 率 概 念 だとしても、ファインチューニングの 事前 確 率 は1/Nであり、このことは、タイプAが 与 える「 不 定 」は 冗 長 な 情 報 であることを 示 しています。「 不 定 」と 言 いながら、それゆえにただちに1/Nと 決 定 してしまうか


らです。これは、 推 論 図 式 としては、「タイプAが 有 意 味 ならば、タイプAは 冗 長 ( 空 虚 )である」という 背 理 法 です。タイプBならば、はじめから1/Nという 答 えを 与 えるので、 冗 長 ではありません。申 し 訳 ありませんが、 以 上 でタイプAとはおさらばしましょう。以 下 では、 重 久 さんが 提 示 した 反 問 にお 答 えすることにいたします。>> 確 率 が「 不 定 」という 主 張 を 認 めたとしても、それはせいぜい、>「 具 体 的 な 値 はわからない」という 意 味 でしかありません。>そして 全 くわからない 場 合 、その 本 当 の 値 が1に 近 い 確 率 (メタ 確 率 )は、> 極 小 です。( 中 略 )こうして、 多 宇 宙 説 では、ほぼ 確 率 1である 知 的 生 命 の> 発 生 が、 一 宇 宙 説 ではほとんどゼロになるわけです。」>とありますが、 本 当 の 値 が1に 近 いメタ 確 率 が 極 小 なら、> 本 当 の 値 がゼロに 近 いメタ 確 率 も 極 小 なのではないでしょうか。>「 不 定 」を「 不 明 」と 読 み 替 えてみます。これは 妥 当 な 読 み 替 えでしょう。ファインチューニングは、どのくらい 起 こりやすいかが 全 く 不 明 の 現 象 ということになります。さて、いま、どのくらい 起 こりやすいか 不 明 な 現 象 を 考 えてください。あるいは、 可 能 な 出 来 事 からランダムにピックアップする、というのでもよいでしょう。5 年 後 の 今 日 、 当 時 の 世 界 でいちばん 背 の 高 い 人 が 隣 人 の 庭 で 体 長 1メートル 未 満 の 犬を 誤 って 左 膝 で 蹴 ってしまう、とか、なんでも。( 出 来 事 の 内 容 をあくまでランダムに 決めてください)その 出 来 事 をαとします。αが 起 こる 確 率 がどのくらいであるメタ 確 率 が 高 いだろうか?それは、まず 間 違 いなく、きわめてゼロに 近 い 値 であると 断 定 できます。理 由 を2つ 述 べましょう。1. 可 能 な 出 来 事 のうち、 実 際 に 起 こる 出 来 事 よりも、 実 際 には 起 こらない 出 来 事 のほうがはるかに 多 い。 可 能 な 人 間 を 詳 細 に 描 写 し、その 詳 細 があてはまる 人 物 が 実 在 するかどうか 考 えると、まず 実 在 しないだろう。ビッグバン 以 前 もしくは 直 後 から 捉 えられた 出来 事 α、とりわけ 生 物 や 知 性 もそのようなものだろう。2. 出 来 事 αは、 特 定 のタイプの 複 数 の 出 来 事 が 独 立 に 実 現 した 結 果 、 現 出 する。 前 段階 のタイプの 出 来 事 の 実 現 確 率 をaとし、その 必 要 な 実 現 回 数 をbとすると、aもbも 不定 ( 不 明 )である。αの 実 現 確 率 は、aのb 乗 である。このような 指 数 関 数 は、bが 増 えると 急 激 に 減 少 する。aの 確 率 が 相 当 大 きく、bが 相 当 小 さくないかぎり、aのb 乗 は、ほぼゼロに 等 しい。 宇 宙 全 体 の 物 理 定 数 が 決 まるような 出 来 事 の 場 合 、とくにbが 小 さな


自 然 数 である 確 率 はきわめて 小 さい。( 自 然 数 からランダムに 選 ぶと、1 万 以 上 になる 確率 は1であり、 適 度 に 大 きくないaを1 万 乗 すれば、ほぼゼロに 近 くなる)>> 一 宇 宙 の 場 合 、 実 在 の 具 体 的 物 理 プロセスとは、 端 的 に、 一 つの> 宇 宙 ( 世 界 )がたまたまそこにあるということだけです。その(たった> 一 つの) 世 界 の 確 率 を 定 義 する 場 合 には、 実 在 しない 可 能 世 界 を> 仮 想 せざるをえないと 思 われます。それは、 根 本 的 に 抽 象 的 で> 主 観 的 な 問 題 ではないでしょうか。>そのとおりです。まさに 主 観 的 な 問 題 であり、だからこそ 主 観 確 率 の 出 番 なのです。仮 説 検 定 は、 主 観 確 率 によって 行 なわれます。>>それをしも、「 実 在 の 具 体 的 物 理 プロセスだ」というのは、 特 定 の> 物 理 理 論 の 描 像 に 依 拠 した 結 果 ではないかと 思 います。>だからこそ、「 多 宇 宙 論 証 は、 超 ひも 理 論 その 他 の 当 面 の 物 理 理 論 に> 依 拠 することを 規 約 されている」と 明 示 すれば、 私 としても 同 意 できる、>ということを 以 前 、 申 し 上 げたわけです。>もちろんそう 明 示 しても 無 害 ですが、その 必 要 はありません。なぜなら、「 超 ひも 理 論 その 他 の 当 面 の 物 理 理 論 」は、ファインチューニングの 起 こりやすさについて、 何 も 語 らないからです。むしろ、 物 理 定 数 のあらゆる 組 み 合 わせがランダムに 起 こりうることを 支 持 しているので、 無 知 な 状 態 でのランダムな 主 観 確 率 とほとんど 変 わらないのです。>> 特 に、 一 宇 宙 説 の 場 合 、 一 宇 宙 以 外 の 宇 宙 は 実 在 しないし、> 可 能 性 としてもありえないことが、「 仮 定 」によって 確 定 しています。>それはそれでいっこうにかまいません。先 ほど 引 用 した 重 久 さんの「 一 宇 宙 の 場 合 、 実 在 の 具 体 的 物 理 プロセスとは、 端 的 に、 一 つの 宇 宙 ( 世 界 )がたまたまそこにあるということだけです。」もそうですが、 重 久 さんには 大 きな 誤 解 があるようです。つまり、 一 宇 宙 説 のもとでのたった 一 つの 宇 宙 がどのようなものになるかは、宇 宙 の 存 在 以 前 の 状 態 ( 無 の 段 階 )で 決 まらなければならないと 想 定 していることです。そして、 無 には 確 率 が 適 用 できない、と。


これは、2つの 意 味 で 間 違 っています。1. 一 宇 宙 がどのようなものであるかは、ビッグバンの 前 に 決 定 される 必 要 はありません。ビッグバンの 後 、 何 兆 分 の 一 秒 か、どのくらいの 時 間 の 後 でもよいですが、その 時 点に、それ 以 前 の 状 態 からの 量 子 的 対 称 性 破 れによって、 以 後 の 物 理 量 が 決 定 されるからです。 強 い 力 ・ 弱 い 力 ・ 電 磁 力 ・ 重 力 ・ 電 子 の 大 きさ・その 他 もろもろの 偶 然 的 決 定 には、それ 以 前 の 状 態 が 関 与 しています。そして、そのときにファインチューニングされる 確 率が 極 小 だということです。これは、 通 常 の 物 理 的 因 果 の 場 合 と 同 列 に 論 じられます。 対 称性 の 破 れのほとんどの 部 分 は、ビッグバンの 前 ではなく、 後 に 生 じたのです。2.かりに、 対 称 性 の 破 れのすべてが、ビッグバンの 前 、つまり 宇 宙 誕 生 前 に「なぜだかわからない 非 因 果 的 根 拠 によって」 生 じたとしても、なんら 問 題 はありません。たとえばいま、 重 久 さんの 部 屋 に、「なぜだかわからない 非 因 果 的 根 拠 によって」 妖 精が 一 匹 出 現 するとしましょう。 中 空 から、 突 如 として 現 われるのです。その 妖 精 の 身 長 が、cm 換 算 で 重 久 著 書 のいずれかの 横 幅 と 小 数 点 以 下 百 桁 まで 一 致 する 確 率 はいくらでしょうか。この 場 合 、 妖 精 は 重 久 さんの 部 屋 や 著 書 となんら 因 果 関 係 を 持 たないので、 主 観 確 率で 考 えるしかありません。 確 率 は 論 理 的 概 念 なので、 因 果 関 係 不 在 の 物 事 どうしの 一 致 確率 は 求 められるからです。主 観 確 率 ですから、 許 容 できる 賭 け 率 によって 定 義 されます。 妖 精 の 身 長 が、cm 換 算 で重 久 著 書 のいずれかの 横 幅 と 小 数 点 以 下 百 桁 まで 一 致 する 確 率 は、 極 小 と 言 うべきです。因 果 関 係 は 確 率 を 必 ず 伴 うが、 確 率 に 因 果 関 係 の 支 えは 必 ずしも 必 要 ありません。>> 電 卓 の4 桁 は 自 然 数 ですから、「 独 立 に 定 まった 物 理 定 数>が 一 致 して 生 物 発 生 の 環 境 を 作 れるかどうかのアナロジーとして> 適 切 」 とは 思 えません。>「ビッグバンも、 微 妙 な 物 理 過 程 を 適 当 に 相 殺 しあいながら 結 果 を> 出 力 した」 という 点 は、 同 感 ですが、その「 結 果 」としての 物 理 定 数>は、( 何 らかの 理 論 で 制 限 されない 限 り) 数 値 としては 実 数 であり、> 他 の「 可 能 性 」は 無 限 にある、と 思 います。>↑どうしたことかここはかなり 混 乱 していますね。「 他 の「 可 能 性 」は 無 限 にある」ということならば、むしろファインチューニングの 確率 は 電 卓 の 一 致 確 率 1/10000より 小 さい、という 根 拠 になるだけです。したがって、>>■3 自 然 数 と 実 数 の 違 いがあるので、 適 切 とはいえない。>というのは、 応 答 として 意 味 をなしていません。


一 応 確 認 しますと、前 回 述 べたように、 電 卓 に 入 力 されるのは 実 数 値 です( 肘 の 角 度 、 指 の 圧 力 、タイミング、 電 流 のゆらぎ、 等 々)。その 結 果 、 離 散 的 な 自 然 数 が 出 力 されます。ビッグバンの 場 合 も 同 様 で、 対 称 性 の 破 れの 直 前 に、 実 数 値 がランダムに 入 力 され、 結果 として、 離 散 的 に 定 義 された 諸 領 域 のうちの 一 つが 出 力 されます。 事 情 は 全 く 同 じです。以 上 です。まだ 疑 義 はあるかと 思 いますが( 疑 義 歓 迎 です)、これからは、 確 率 とは 関 係 のない「タイプA」は 用 いないでやっていきましょう。それでは。★2009 年 7 月 12 日 10:45三 浦 先 生重 久 俊 夫先 日 は、 詳 細 なお 便 りをいただきありがとうございました。早 くお 返 事 しなければと 思 いながらも、 職 場 で 極 端 にストレスのたまる 仕 事 を 引 き 受 けさせられた 関 係 で、じっくり 物 事 を 考 える 心 境 にもなれずすっかりご 無 沙 汰 しました。( 夏目 漱 石 の 天 寿 と 同 じ 年 齢 になると、 仕 事 場 でも 責 任 上 、いろいろしんどくなります。)ご 教 示 いただいた 点 ですが、 私 の 感 じる 疑 問 は、すべて 例 のタイプA とかかわっていることが 分 かりましたので、 取 り 下 げておきます。「 批 判 」というより「 感 想 」ですが・・・いわゆる 科 学 哲 学 にとって、 科 学 と 哲 学 の 関 係 がどうなっているのか、 読 者 としては 不 思 議 に 思 うことがあります。「 多 宇 宙 論 証 」の 場 合 は、 同 じような 世 界 観 が 通 常 の 科 学 理 論 にもありますから、「 既成 の 科 学 理 論 に 完 全 に 依 拠 している」ということも 可 能 ですね。(もちろん、 論 理 だけでいえるところもあるでしょうが、それは 偶 発 的 だと 思 われます。) 実 際 、 論 証 式 は 抽 象 的な 数 式 の 形 で 書 かれていますが、 具 体 的 な 物 理 的 世 界 観 が( 黙 示 的 に) 前 提 されていることは、 明 らかです。しかし、「 既 成 の 科 学 理 論 」を 総 体 として 捉 えれば、それはいわゆる 物 理 主 義 であり、物 理 主 義 は、 心 身 問 題 では、 消 去 主 義 か 還 元 論 であって、ゾンビを 認 めない 立 場 であるは


ずです。そうすると、「 多 宇 宙 と 輪 廻 転 生 」の 中 で、 輪 廻 転 生 が 論 証 され、ゾンビも 可 能 性 としては 否 定 されないことと、どう 関 連 するのか。もちろん、( 三 浦 哲 学 は)「 既 成 の 科 学 理 論 に 依 拠 している、ただし、 心 身 問 題 に 関 してはこの 限 りにあらず」と 最 初 に 宣 言 すれば 問 題 はないし、この 場 合 は(おそらく) 矛 盾にもならないと 思 いますが、ややアドホックな 印 象 も 受 けるわけです。以 上 、あくまでも 単 なる 感 想 ですが、 何 かのご 参 考 になればと思 います。◆◆◆2009 年 7 月 21 日 2:11重 久 俊 夫 様三 浦 俊 彦>>ご 教 示 いただいた 点 ですが、 私 の 感 じる 疑 問 は、すべて 例 のタイプ>A とかかわっていることが 分 かりましたので、 取 り 下 げておきます。>タイプAを 議 論 の 的 にするのはやめるとして、なぜそのような 発 想 が 重 久 さんに 生 じたのか、は 振 り 返 っておく 意 味 があると 思 われます。以 前 も 述 べたことに 関 係 しますが、やはり 重 久 さんがアプリオリ 確 率 ( 事 前 確 率 )と 事後 確 率 とを 無 意 識 に 混 同 していたからではないか、と。具 体 的 には、「 一 宇 宙 説 」の 内 容 を 誤 解 していたのだろうということです。ファインチューニング 領 域 が 確 率 空 間 のどこに 位 置 するにせよ、 相 対 的 に 極 度 に 狭 いその 領 域 ―― 他 ならぬその 領 域 だけに 重 久 さんが 着 目 する 気 になったのはそもそもなぜなのか?それは、 実 際 に 私 たちの 宇 宙 がファインチューニングされつつ 実 現 している、という 経験 (データE) 以 外 に 理 由 はないはずです。ところが、 一 宇 宙 説 というのは、「このファインチューニング 宇 宙 だけがただ 一 つ 生 じた」という 説 ではありません。 単 に「 宇 宙 がただ 一 つだけ 生 じた」という 説 です。


一 つ 宇 宙 が 実 現 したというだけでは(データE 獲 得 前 には)、ファインチューニング 領域 をえこひいきする 理 由 は 全 くありません。よって、 事 前 確 率P( 一 宇 宙 説 )がいかほどであれ、 P(ファインチューニング| 一 宇 宙 説 ) は 極 小 とならねばなりません。P( 一 宇 宙 説 )をP( 多 宇 宙 説 )と 拮 抗 するほどの 数 値 たらしめたのは、 一 宇 宙 が 膨 大な 確 率 空 間 の 任 意 の 一 点 に 生 じてよかったからに 他 ならないのです。したがって、 改 めて P(ファインチューニング| 一 宇 宙 説 ) を 計 算 するときに、ファインチューニング 領 域 のただ 一 つの「 無 限 」だけに 着 目 して 他 の 領 域 の 無 数 の「 無 限 」には 目 もくれなかった 意 識 下 には、もともとの P( 一 宇 宙 説 ) を 考 えるさい、データEを 得 た 後 のバイアスがすでにかかっていたからでしょう。そのようなバイアスを 一 宇 宙 説 に 読 み 込 んでよかったなら(データEが 始 めから「 一 宇宙 説 」に 読 み 込 まれていたというのなら)、 事 前 確 率 P( 一 宇 宙 説 )はもともと 極 小 でした(P( 多 宇 宙 説 )と 勝 負 になりませんでした)。そのかわりに P(ファインチューニング| 一 宇 宙 説 )=1 となりますが、(あるいはこの 私 たちの 宇 宙 が 偶 然 にファインチューニング 外 に 外 れた 可 能 性 も 考 えて「 不 定 」とも 言 えますが)、P( 一 宇 宙 説 |ファインチューニング)=P(ファインチューニング| 一 宇 宙 説 )P( 一宇 宙 説 )/P(ファインチューニング) はP( 一 宇 宙 説 )が 極 小 であるがゆえに 極 小 のまま、というわけです。ともあれ、 無 限 / 無 限 などという 確 率 計 算 は 成 立 しないということで 一 件 落 着 しさえすれば、 以 上 の 注 釈 はたんなる 余 剰 でしかありません。ご 確 認 のうえ、お 忘 れください。さて、 次 の 問 題 ですが……、>> 「 多 宇 宙 論 証 」の 場 合 は、 同 じような 世 界 観 が 通 常 の 科 学 理 論 にもありますから、>「 既 成 の 科 学 理 論 に 完 全 に 依 拠 している」ということも 可 能 ですね。>(もちろん、 論 理 だけでいえるところもあるでしょうが、それは 偶 発 的 だと 思 われます。)> 実 際 、 論 証 式 は 抽 象 的 な 数 式 の 形 で 書 かれていますが、 具 体 的 な 物 理 的 世 界 観 が>( 黙 示 的 に) 前 提 されていることは、 明 らかです。>ファインチューニング 論 証 は、ひも 理 論 やインフレーション 理 論 などの 科 学 理 論 に 依 拠してはいないはずです。


科 学 理 論 が、 多 宇 宙 説 と 一 宇 宙 説 それぞれの 事 前 確 率 を 与 えます。ファインチューニングという 事 実 が 発 見 されたことによって、その 事 前 確 率 が 事 後 確 率へとベイズ 改 訂 されます。逆 に、はじめにファインチューニングという 事 実 をもとに 多 宇 宙 説 と 一 宇 宙 説 それぞれの 事 前 確 率 が 与 えられ、 科 学 理 論 によってベイズ 改 訂 される、と 解 釈 する 人 もいるでしょう。 科 学 理 論 と、ファインチューニングと、どちらの 知 識 が 先 に 獲 得 されたかによります。いずれでもOKでしょう。いずれにしても、ファインチューニング 論 証 は 純 粋 に 確 率 論 的 な 論 証 なので、 特 定 の 経験 科 学 理 論 には 依 拠 していません。もちろん、ファインチューニングという 事 実 を 保 証 する 生 物 学 的 理 論 、つまり「 生 物 というものは 並 の 物 理 法 則 のもとではそう 簡 単 には 生 じないものだ」という 経 験 的 理 論 には依 拠 しています。が、その 理 論 は、ファインチューニングの 概 念 の 中 に 入 っており、よって 条 件 付 き 確 率 の 条 件 として 論 証 中 にはっきり 明 示 されており、 重 久 さんの 言 う「( 黙 示的 に) 前 提 されている 科 学 理 論 」には 入 りません)>>「 既 成 の 科 学 理 論 」を 総 体 として 捉 えれば、それはいわゆる 物 理 主 義 であり、> 物 理 主 義 は、 心 身 問 題 では、 消 去 主 義 か 還 元 論 であって、>ゾンビを 認 めない 立 場 であるはずです。そうすると、>「 多 宇 宙 と 輪 廻 転 生 」の 中 で、 輪 廻 転 生 が 論 証 され、>ゾンビも 可 能 性 としては 否 定 されないことと、どう 関 連 するのか。>これは 全 く 逆 で、 物 理 主 義 は、 本 来 、ゾンビしか 認 めないはずなのです。 物 理 主 義 のもとでは、 意 識 主 体 の 存 在 そのものが 不 可 解 ですから。よって、 意 識 主 体 に 見 えるものもすべてゾンビである、というデフォルトから 出 発 せねばなりませんが、 困 ったことに、 意 識 が 現 に 実 在 することは 確 かです。そこで、 意 識 が 可 能 であるかぎりは、 独 立 したパラメータとしてその 存 在 が(ある 宇 宙では) 認 められ、 観 測 選 択 効 果 により、 私 たちの 宇 宙 はまさにそれだ、という 構 成 となるわけです。◆◆◆2009 年 7 月 22 日 22:01三 浦 先 生重 久 俊 夫


ご 連 絡 ありがとうございます。確 率 論 の 件 は、おまえは 確 率 の 意 味 がちゃんと 分 かっているのかと 訊 かれたので、 分 かっていません、とお 答 えしたまでで、そこから後 の 議 論 は、 後 日 、ゆっくり 理 解 したいと 思 います。ところで、「 物 理 主 義 とゾンビ」に 関 するご 指 摘 ですが、 大 変 、 刺 激 的 であったと 思 います。チャーマーズの 議 論 では、「 論 理 的 にゾンビが 考 えられるから、( 還 元 論 ではなく) 二 元論 が 正 しい」ということだったと 思 います。ということは、「 論 理 的 に( 自 然 的 にも)ゾンビが 考 えられない 場 合 、つまり、 心 ・ 脳 が 完 全 に 一 体 化 している 場 合 が、 還 元 論 だ」ということになると 思 います。しかし、 三 浦 先 生 のいわれるように、「 物 理 主 義 はゾンビしか 認 めない」ということも、もっともだと 思 われます。( 特 に、 消 去 主 義 の 場 合 は。)これは、 私 にとっては 意 外 なことです。( 世 間 ではとっくに 分 かっていたことでしょうが。)もしかしたら、 物 理 主 義 のヴァリエーションである還 元 論 と、 消 去 主 義 とで、ゾンビの 扱 いが 正 反 対 になるということなのかも 知 れません。ともあれ、ホームページの 件 は、 全 面 的 に 了 承 いたします。7 月 25 日 は、 例 年 通 り、「 心 の 科 学 の 基 礎 論 研 究 会 」の 日 ですが、同 じ 日 に 京 都 で「 西 田 哲 学 会 」があり、 私 は、 販 促 の 関 係 もあり、京 都 の 方 に 出 向 きます。もし、そちらで 渡 辺 先 生 に 会 われることがありましたら、よろしくお 伝 えください。(こちらは、めんどうな 仕 事 が8 月 1 日 におわるので、2 日 からようやく 都 内 で 夏 休 みを 過 ごします。)それではまた。

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