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1 目次・概要・序章(PDF3,234KB) - 障害者職業総合センター - 独立 ...

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調 査 研 究 報 告 書 №112若 年 者 就 労 支 援 機 関 を 利 用 する発 達 障 害 のある 若 者 の就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究2013 年 3 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センターNATIONAL INSTITUTE OF VOCATIONAL REHABILITATION


ま え が き障 害 者 職 業 総 合 センターでは、「 障 害 者 の 雇 用 の 促 進 等 に 関 する 法 律 」に 基 づき、わが 国 における 職 業リハビリテーション・サービス 機 関 の 中 核 として、 職 業 リハビリテーションに 関 する 調 査 ・ 研 究 をはじめとして、さまざまな 業 務 に 取 り 組 んでいます。この 報 告 書 は、 当 センターの 研 究 部 門 が 実 施 した「 若 年 者 就 労 支 援 機 関 を 利 用 する 発 達 障 害 のある 若 者 の就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究 」の 結 果 を 取 りまとめたものです。ここでは、 若 年 就 労 支 援 機 関 や 高 等 教 育 機関 学 生 相 談 室 等 を 対 象 として 実 施 した 調 査 結 果 及 び 職 業 リハビリテーション 機 関 を 対 象 として 実 施 した 調 査結 果 に 基 づき、 発 達 障 害 のある 若 者 に 対 する 支 援 の 現 状 と 課 題 について 検 討 しました。また、ヒアリング 調査 に 基 づき、 発 達 障 害 者 支 援 のための 機 関 連 携 の 現 状 と 課 題 について 検 討 しました。この 研 究 を 進 めるに 際 しては、いろいろな 方 から 多 大 なご 協 力 を 賜 りました。 特 に、 本 研 究 において 調 査にご 協 力 くださった 関 係 機 関 のみなさま、 並 びにヒアリング 調 査 にご 協 力 いただきました 専 門 家 のみなさまに、 深 く 感 謝 申 し 上 げます。この 報 告 書 が 多 くの 関 係 者 の 方 々に 活 用 され、わが 国 における 職 業 リハビリテーションをさらに 前 進 させるための 一 助 になれば 幸 いです。2013 年 3 月独 立 行 政 法 人 高 齢 ・ 障 害 ・ 求 職 者 雇 用 支 援 機 構障 害 者 職 業 総 合 センター研 究 主 幹 下 矢 雅 美


執 筆 担 当 :( 執 筆 順 )大 扉 裏望 月 葉 子 障 害 者 職 業 総 合 センター 特 別 研 究 員 概 要 序 章 第 Ⅰ 部 第 1 章第 Ⅰ 部 第 2 章第 Ⅱ 部 第 3 章第 Ⅰ 部 まとめ第 Ⅱ 部 まとめ総 括向 後 礼 子 近 畿 大 学 教 職 教 育 部 准 教 授 第 Ⅰ 部 第 3 章知 名 青 子 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 員 第 Ⅱ 部 第 1 章西 村 優 紀 美 富 山 大 学 保 健 管 理 センター 准 教 授 第 Ⅱ 部 第 2 章謝辞多 くの 方 々のご 協 力 をいただき、 実 態 調 査 とヒアリングを 実 施 することができました。 皆 様 に 心 からの 御礼 を 申 し 上 げます。また、 本 報 告 書 の 第 Ⅱ 部 では、ヒアリングにご 協 力 を 賜 りました 専 門 家 の 方 々からお 伺 いした 知 見 の 一 部を 掲 載 させていただくことと 致 しました。 第 3 章 第 1 節 は、あだち 若 者 サポートステーション 総 括 コーディネーター 長 谷 川 晃 氏 に、また、 第 3 節 は、 大 阪 府 総 合 労 働 事 務 所 職 業 カウンセリングセンター 総 括 主 査横 田 裕 幸 氏 に、ご 校 閲 を 賜 りました。ここに 記 して 御 礼 申 し 上 げます。付記本 研 究 を 進 めるうえでは、 下 記 の 委 員 ( 敬 称 略 ・アルファベット 順 )の 協 力 を 得 て、 平 成 23 年 度 に 4 回 、24 年 度 に 2 回 の 検 討 会 を 開 催 し、 調 査 票 の 設 計 等 の 他 、 専 門 家 ヒアリングを 企 画 ・ 実 施 しました。氏 名 所 属 等藤 尾 健 二 NPO 法 人 ワークス 未 来 千 葉 障 害 者 就 業 支 援 キャリアセンター センター 長向 後 礼 子 近 畿 大 学 教 職 教 育 部 准 教 授西 村 優 紀 美 富 山 大 学 保 健 管 理 センター 准 教 授トータルコミュニケーション 支 援 室発 達 障 害 支 援 チーフ湯 浅 知 治 立 川 公 共 職 業 安 定 所 就 職 支 援 ナビゲーター小 田 訓 障 害 者 職 業 総 合 センター 職 業 センター 企 画 課 係 長 ( 平 成 23 年 度 )稲 田 祐 子 障 害 者 職 業 総 合 センター 職 業 センター 企 画 課 係 長 ( 平 成 24 年 度 )本 研 究 において 実 施 した 調 査 の 集 計 については、 障 害 者 職 業 総 合 センター 研 究 協 力 員 西 浦 テルヨ、 椛 島彩 子 、 辻 田 匡 葵 各 氏 の 協 力 を 得 ました。


目次概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1序 章 発 達 障 害 者 とその 周 辺 的 な 若 年 者 における 就 労 支 援 の 現 状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5第 1 節 学 校 から 職 業 への 円 滑 な 移 行 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5第 2 節 社 会 基 盤 整 備 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11第 3 節 本 研 究 の 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18第 Ⅰ 部実 態 調 査 からみた 支 援 の 現 状 と 課 題第 1 章 若 年 就 労 支 援 機 関 及 び 高 等 教 育 機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25第 1 節 調 査 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25第 2 節 若 年 就 労 支 援 機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 331. 就 労 支 援 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 332.コミュニケーションとビジネスマナーに 関 する 支 援 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 353. 関 係 機 関 との 連 携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 564. 発 達 障 害 者 支 援 に 関 する 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60第 3 節 高 等 教 育 機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 641. 就 労 支 援 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 642.コミュニケーションとビジネスマナーに 関 する 支 援 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 663. 関 係 機 関 との 連 携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 764. 発 達 障 害 者 支 援 に 関 する 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77第 4 節 若 年 支 援 機 関 における 就 労 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 791. 発 達 障 害 の 把 握 と 特 性 の 把 握 について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 792. 就 労 支 援 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 813. 関 係 機 関 との 連 携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 844. 発 達 障 害 者 支 援 に 関 する 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86第 2 章 職 業 リハビリテーション 機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91第 1 節 調 査 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91第 2 節 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターにおける 機 関 連 携 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 931. 発 達 障 害 のある 利 用 者 の 関 係 機 関 利 用 実 績 に 基 づく 検 討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 932. 地 域 の 社 会 資 源 が 連 携 して 実 施 した 支 援 の 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 99─ i ─


第 3 節 地 域 障 害 者 職 業 センターにおける 機 関 連 携 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1091. 発 達 障 害 のある 利 用 者 の 関 係 機 関 利 用 実 績 に 基 づく 検 討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1092. 地 域 の 社 会 資 源 が 連 携 して 実 施 した 支 援 の 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114第 4 節 職 業 リハビリテーション 機 関 における 機 関 連 携 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1241. 発 達 障 害 のある 利 用 者 の 関 係 機 関 利 用 実 績 に 基 づく 検 討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1242. 地 域 の 社 会 資 源 が 連 携 して 実 施 した 支 援 の 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1283.まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 130第 3 章 若 年 就 労 支 援 機 関 及 び 高 等 教 育 機 関 から 企 業 への 移 行 支 援 に 関 する 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 134第 1 節 課 題 整 理 の 視 点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 134企 業 における 採 用 時 の 期 待 と 達 成 時 期 からみた 支 援 の 優 先 性 に 関 する 知 見 の 整 理……「 企 業 における 新 入 社 員 の 職 場 適 応 ・ 定 着 に 関 する 調 査( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №101」の 概 要 と 結 果 のまとめ ……第 2 節 企 業 調 査 結 果 と 就 労 支 援 機 関 における 支 援 の 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 139…… 企 業 の 新 規 採 用 時 の 重 視 度 と 就 労 支 援 機 関 における 支 援 の 実 施 から ……1.コミュニケーションに 関 する 項 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1392.ビジネスマナー 等 に 関 する 項 目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 141第 3 節 企 業 調 査 結 果 と 高 等 教 育 機 関 における 支 援 の 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1421. 高 等 教 育 機 関 における 発 達 障 害 者 の 現 状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1422. 企 業 の 新 規 採 用 時 の 重 視 度 と 高 等 教 育 機 関 における 支 援 の 実 施 から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 144…… コミュニケーションとビジネスマナー 等 に 関 する 項 目 ……第 4 節 就 労 支 援 機 関 と 高 等 教 育 機 関 において 就 職 のために 実 施 している 事 業 の 比 較 から ・・・・・・・・・ 1471. 課 題 達 成 のための 支 援 の 実 施 状 況 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1472. 課 題 達 成 のための 支 援 とその 効 果 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・151第 5 節 まとめと 今 後 の 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1541. 就 労 支 援 機 関 における 支 援 の 実 施 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1542. 高 等 教 育 機 関 における 支 援 の 実 施 について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1563. 職 業 リハビリテーション・サービスへのつなぎ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1574. 就 労 支 援 機 関 とキャリア 支 援 室 の 支 援 状 況 の 比 較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 157……「 支 援 の 必 要 性 と 支 援 の 実 施 状 況 」 及 び「 支 援 の 実 施 率 と 支 援 の 効 果 」……第 Ⅰ 部 まとめ 発 達 障 害 者 に 対 する 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160…… 長 期 化 する 移 行 期 の 現 状 と 発 達 障 害 者 支 援 ……─ ii ─


第 Ⅱ 部ヒアリング 調 査 からみた 支 援 体 制 の 現 状 と 今 後 の 展 望第 1 章 若 年 就 労 支 援 機 関 を 中 心 とした 支 援 体 制 …… ヒアリング 調 査 からの 知 見 …… ・・・・・・・・・・・・ 165第 1 節 調 査 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165第 2 節 就 職 支 援 ナビゲーターを 中 心 とした 連 携 体 制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 167…… ナビゲーターの 配 置 と 支 援 に 関 する 検 討 ……第 3 節 新 卒 応 援 ハローワークを 中 心 とした 連 携 体 制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 173…… 教 育 との 連 携 に 関 する 検 討 ……第 4 節 課 題 解 決 のための 連 携 体 制 の 模 索 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 181…… 施 設 間 ・ 施 設 内 の 多 様 な 事 業 を 利 用 した 連 携 体 制 ……第 5 節 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 187第 2 章高 等 教 育 機 関 における 支 援 体 制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・190…… 富 山 大 学 における 発 達 障 害 学 生 に 対 する 支 援 体 制 の 構 築 と 支 援 の 実 際 ……第 1 節 発 達 障 害 大 学 生 に 対 する 支 援 体 制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 190第 2 節 発 達 障 害 大 学 生 に 対 する 支 援 内 容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 192…… 発 達 障 害 大 学 生 支 援 のポイント ……第 3 節 事 例 からみた 就 職 支 援 の 概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 195第 4 節 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 196第 3 章 若 年 支 援 と 専 門 支 援 をつなぐ 役 割 …… 専 門 家 ヒアリングからの 知 見 …… ・・・・・・・・・・ 199第 1 節 職 業 準 備 の 経 験 を 補 う: 支 援 内 容 をどのように 構 想 するか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 199…… 地 域 若 者 サポートステーションの 支 援 メニューから ……第 2 節 自 己 理 解 の 適 正 化 を 支 援 する: 支 援 方 法 をどのように 構 想 するか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 204…… 客 観 的 な「 評 価 」に 基 づいて 専 門 支 援 に 紹 介 した 事 例 から ……第 3 節 専 門 的 支 援 を 選 択 する: 支 援 の 役 割 をどのように 構 想 するか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 210…… 客 観 的 な「 評 価 」により 職 業 相 談 を 行 う「 機 能 」と「 役 割 」について ……第 4 節 専 門 的 支 援 との 連 携 の 課 題 :“つなぐ” 役 割 の 要 件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 215第 Ⅱ 部 まとめ: 機 関 連 携 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 221─ iii ─


総 括本 研 究 の 課 題 と 調 査 結 果 が 示 唆 すること ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 227第 1 章 調 査 結 果 から 得 られた 知 見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 227第 1 節 若 年 支 援 機 関 における 就 労 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 227第 2 節 職 業 リハビリテーション 機 関 における 機 関 連 携 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 243第 3 節 発 達 障 害 者 に 対 する 支 援 の 現 状 と 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 250…… 長 期 化 する 移 行 期 の 現 状 と 発 達 障 害 者 支 援 ……第 2 章 ヒアリングから 得 られた 知 見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 253第 1 節 地 域 における 関 係 機 関 の 連 携 と 効 果 的 な 支 援 の 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 253第 2 節 高 等 教 育 機 関 における 支 援 体 制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 256…… 富 山 大 学 における 発 達 障 害 学 生 に 対 する 支 援 体 制 の 構 築 と 支 援 の 実 際 ……第 3 節 専 門 支 援 との 連 携 ……“ つなぐ ” 役 割 の 要 件 …… ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 258結 語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 260資 料 調 査 票 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 265─ iv ─


概要近 年 、 若 年 者 を 対 象 とした 就 労 支 援 機 関 や 高 等 教 育 機 関 において、 発 達 障 害 のある、または 発 達 障害 の 疑 いのある 若 者 の 存 在 が 指 摘 されている。その 多 くはコミュニケーション 能 力 や 対 人 態 度 等 の 困難 を 抱 えていることから、 就 職 が 困 難 となる 例 も 少 なくない。障 害 者 職 業 総 合 センターにおけるこれまでの 研 究 では、 発 達 障 害 者 の「 職 場 のルールの 理 解 と 行 動化 」「コミュニケーションの 課 題 の 改 善 」「 対 人 態 度 の 課 題 の 改 善 」 等 の 支 援 ニーズへの 対 応 は 緊 要で、 特 性 に 配 慮 した 就 労 支 援 が 必 要 という 結 論 が 得 られている。 若 年 支 援 機 関 等 においても、これらの 知 見 に 基 づく 就 労 支 援 が 望 まれると 同 時 に、 職 業 リハビリテーション 機 関 との 連 携 が 期 待 される。本 研 究 では、 若 年 支 援 機 関 における 発 達 障 害 のある 若 者 、 発 達 障 害 の 疑 いのある 若 者 等 に 関 する 基礎 的 情 報 並 びに、コミュニケーションや 対 人 態 度 に 関 する「 支 援 の 課 題 」や「 支 援 の 実 際 」、「 関 係機 関 の 連 携 の 状 況 」を 把 握 した。さらに、 職 業 リハビリテーション 機 関 と 若 年 支 援 機 関 等 との 連 携 の現 状 と 課 題 を 明 らかにした。1. 調 査 結 果 から 得 られた 知 見若 年 支 援 機 関 と 職 業 リハビリテーション 機 関 との 連 携 体 制 の 未 整 備 により、 移 行 期 はさらに 長 期 化 するという 問 題 への 対 応 が 必 要 である。 発 達 障 害 があっても 開 示 せずに“ 一 般 扱 い”での 就 職 を 考 える 者 の 場 合 、高 等 教 育 機 関 において 相 談 を 開 始 した 者 については、「 外 部 の 就 労 支 援 機 関 における 支 援 を 勧 めるかどうか」が 支 援 者 の 判 断 に 委 ねられる。また、 若 年 就 労 支 援 機 関 において 相 談 を 開 始 した 者 については、「 専 門的 支 援 として 職 業 リハビリテーション 機 関 における 支 援 を 勧 めるかどうか」が 支 援 者 の 判 断 に 委 ねられる。しかし、こうした 提 案 のためには、 丁 寧 な 傾 聴 に 基 づく 相 談 のみならず、 特 性 評 価 や 職 業 評 価 が 必 要 になることも 多 い。 加 えて、「 利 用 者 の 自 己 理 解 や 職 業 準 備 のために 必 要 な 経 験 を 補 完 する」 活 動 を 支 援 メニューに 持 つ 外 部 機 関 を 探 索 する、もしくは、 連 携 を 期 待 する 際 には、 地 域 の 社 会 的 基 盤 の 整 備 状 況 を 視 野 に 入 れて 検 討 する 必 要 がある。2 つの 調 査 から 以 下 の 10 点 が 明 らかとなった。1 若 年 支 援 機 関 においては、 発 達 障 害 の 有 無 とは 別 に、 若 年 コミュニケーション 能 力 要 支 援 者 就 職 プログラム( 以 下 、 若 コミという)・ 新 卒 応 援 プログラム( 以 下 、 新 卒 応 援 という)・ 地 域 若 者 サポートステーション( 以 下 、サポステという)・ジョブカフェの 4 機 関 における 要 支 援 者 にはコミュニケーションやビジネスマナー 等 に 共 通 した 課 題 があることが 確 認 された。しかし、 具 体 的 な 支 援 メニューについてはそれぞれの 機 関 の 特 徴 が 明 らかとなった。2 高 等 教 育 機 関 においては、 在 学 者 の 進 路 先 決 定 のために、また、 既 卒 者 の 進 路 変 更 のために、 在 学 中から 就 労 支 援 機 関 に 関 する 情 報 提 供 や 並 行 利 用 を 検 討 するなど、 就 労 支 援 機 関 に「つなぐ」 支 援 の 必 要性 が 示 唆 された。ただし、 情 報 を 共 有 して 支 援 機 関 としての 役 割 を 分 担 するなど、 連 携 のあり 方 が 検 討される 必 要 がある。 少 なくとも、「つなぐ」が「 任 せる」になると 効 果 的 な 支 援 が 想 定 しにくくなることも 起 こりかねない。3 体 験 的 場 面 を 有 する 支 援 メニューの 多 様 さからみると、サポステが 最 も 大 きく、ジョブカフェ、ハローワークの 順 となっており、この 逆 順 で 体 験 的 支 援 の 代 わりに 相 談 機 能 が 増 えていく。機 関 連 携 を 構 想 するときには、それぞれの 機 関 のメニューやアクセシビリティを 考 えることになる。- -─ 1 ─


4 設 立 の 趣 旨 にワンストップ・サービスであることを 掲 げる 機 関 ( 新 卒 応 援 とジョブカフェ)があるが、........こうしたワンストップ・サービスの 関 係 機 関 として、 職 業 リハビリテーション 機 関 は 明 示 的 には 想 定 さ.....れていない。さらに、サポステはニート 対 策 を 含 めた 若 者 全 般 を、 若 コミは 発 達 障 害 を 含 めた 要 支 援 者をそれぞれ 対 象 としており、 職 業 リハビリテーション 機 関 との 連 携 は 今 後 の 検 討 課 題 である。「 障 害 者 」を 対 象 とした 支 援 機 関 に「つなぐ」ことが 容 易 でない 現 実 を 踏 まえると、 職 業 リハビリテーション 機 関 が 実 施 する 職 業 評 価 等 については、「 障 害 者 」 対 象 でない 機 関 において 実 施 すること、 引 き続 き 自 己 理 解 、 障 害 理 解 、 及 び 障 害 受 容 を 支 援 することが 重 要 であるが、 若 年 支 援 機 関 ではそうした 実施 が 困 難 であることといった 現 状 への 対 応 が 求 められる。そのうえで、 各 支 援 機 関 の 得 意 分 野 を 活 用 すること、また、 専 門 支 援 の 利 用 可 能 性 を 高 めることを 目 的 とした「 連 携 のあり 方 」に 関 する 検 討 が 求 められる。5 企 業 が 採 用 時 に 重 視 する 期 待 水 準 にてらしたとき、 高 等 教 育 機 関 はもとより、 若 年 支 援 機 関 においても、コミュニケーションやビジネスマナーの 学 習 について、 支 援 を 要 する 課 題 であることを 認 識 しつつも 十 分 な 支 援 内 容 や 方 法 を 有 して 対 応 しているとは 言 い 難 い。 発 達 障 害 のある 若 者 にとって、こうした領 域 ・ 課 題 に 支 援 が 必 要 となる 場 合 、 専 門 支 援 の 利 用 可 能 性 を 高 めることを 目 的 とした 支 援 や 情 報 提 供が 必 要 となる。6 若 年 就 労 支 援 機 関 において、 支 援 を 実 施 するうえでの 重 要 な 課 題 としてあげられた 項 目 は「 障 害 受 容を 担 う 機 関 との 連 携 」であり、 次 いで「 本 人 の 障 害 受 容 の 問 題 」「 具 体 的 な 支 援 方 法 」であった。ここには、 利 用 者 の 障 害 理 解 ・ 障 害 受 容 に 関 する 支 援 が 重 要 な 課 題 として 認 識 されているが、 自 機 関 における支 援 には 限 界 があり、 支 援 目 標 を 達 成 するには 他 機 関 との 連 携 が 必 要 であるという 現 状 が 示 されている。ただし、 高 等 教 育 機 関 においては 上 記 の 課 題 項 目 を 上 回 る 最 も 重 要 な 課 題 として「 学 内 支 援 体 制 の 未整 備 」があげられた。7 機 関 連 携 においては、 若 年 支 援 機 関 における 効 果 的 な 問 題 解 決 の「 流 れを 構 想 」すること、 必 要 に 応じて 医 療 機 関 や 職 業 リハビリテーション 機 関 との「 連 携 を 構 想 」すること、 場 合 によっては 生 活 支 援 もまた 関 連 機 関 と 位 置 づけることが 必 要 である。ここでは、 職 業 リハビリテーションに“つなぐ”までの 支 援体 制 整 備 が「 鍵 」となる。8 職 業 リハビリテーション 機 関 が 他 機 関 から 依 頼 された 1 所 あたりの 内 容 別 件 数 については、 全 体 的 に地 域 障 害 者 職 業 センターが 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターを 上 回 っており、「 職 業 評 価 等 、 障 害 特 性 の 客観 的 な 評 価 の 実 施 」が 突 出 して 多 く、 総 件 数 で 2 割 弱 を 占 めた。 次 いで、1 所 あたりの 件 数 の 多 い 順 に「 就 職 に 必 要 な 訓 練 ( 作 業 やコミュニケーション 等 )」「ジョブコーチなど 適 応 ・ 定 着 のための 支 援 」「 職 場 適 応 のための 支 援 」「コミュニケーションの 課 題 の 改 善 に 関 する 支 援 」となっていた。これに 対 し、「 生 活 面 での 支 援 」「 職 業 紹 介 」「 障 害 者 手 帳 の 申 請 」については、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センターが 地域 障 害 者 職 業 センターを 上 回 った。9 職 業 リハビリテーション 機 関 が 連 携 して 行 う 支 援 の 関 係 機 関 の 中 に、 若 年 就 労 支 援 機 関 や 高 等 教 育 機関 が 入 ることはきわめて 少 ない 現 状 があった。また、 連 携 の 必 要 性 の 認 識 においても、 職 業 リハビリテーション 関 連 機 関 (ハローワーク( 専 門 援 助 )、 地 域 障 害 者 職 業 センター、 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター)、 発 達 障 害 者 支 援 センター、 並 びに 医 療 機 関 等 、 関 係 性 の 強 い 機 関 は 限 定 されていた。こうした 連 携の 必 要 性 については 利 用 者 の 利 用 経 路 と 対 応 している 可 能 性 があり、これが 地 域 において 担 っている 役 割と 機 能 の 違 いとも 対 応 している 可 能 性 がある。- -─ 2 ─


10 職 業 リハビリテーションの 支 援 における 課 題 としては、 本 人 の 障 害 理 解 ・ 受 容 の 問 題 が 大 きい。これは、 職 業 リハビリテーションの 利 用 に 至 るまでの 支 援 や 本 人 の 職 業 準 備 性 が 十 分 ではないことを 示 している。また、 環 境 要 因 としては 企 業 その 他 の 障 害 理 解 があげられており、 連 携 の 課 題 として 地 域 における 資源 の 不 十 分 さに 加 え、 支 援 者 の 専 門 性 の 確 保 等 支 援 体 制 の 問 題 があげられた。2.ヒアリングから 得 られた 知 見発 達 障 害 の 特 性 からは、 限 りなく 定 型 発 達 に 近 いケースから 障 害 者 手 帳 を 取 得 するケースまで、その 現 れ方 の 範 囲 は 広 い。しかし、 基 本 的 にキャリアガイダンスの 課 題 に 変 わりはない。したがって、 一 般 的 な 青 年期 の 支 援 課 題 の 中 で 発 達 障 害 に 対 する 支 援 計 画 を 策 定 することになる。若 年 支 援 機 関 において 発 達 障 害 者 を 対 象 とした 支 援 を 行 う 場 合 にも、キャリアカウンセリングの 枠 組 みに沿 いながら、 必 要 に 応 じて 医 療 機 関 の 利 用 等 を 勧 めていくことになる。 問 題 への 対 応 が 必 要 となる 場 合 、 適性 検 査 等 の 実 施 ・ 結 果 のフィードバックについて、 支 援 体 制 の 整 備 が 必 要 となる。したがって、 障 害 理 解 の 深 化 や 専 門 的 支 援 の 選 択 等 、 一 般 的 な 職 業 適 性 相 談 の 流 れでは 対 応 しにくい 問 題も 起 こる 可 能 性 を 視 野 に 入 れて 検 討 する 必 要 がある。 一 般 の 若 年 就 労 支 援 において 適 性 評 価 を 担 う 役 割 については、その 実 行 可 能 性 を 検 討 する 必 要 があると 同 時 に、 発 達 障 害 の 特 性 や 対 応 すべき 問 題 によっては、 一般 と 同 様 の 仕 組 みでは 限 界 があることもまた 想 定 しなければならない。ただし、こうした 職 業 適 性 相 談 とそれに 続 くキャリア・カウンセリングを 担 当 するためには、 一 定 の 専 門性 とスキルを 要 する。こうした 専 門 性 に 基 づく 支 援 体 制 を 構 築 すること、 及 び、こうした 支 援 者 をキーパーソンとして 多 様 な 連 携 支 援 を 構 想 すること、 等 が 必 要 となる。さらには、 障 害 特 性 や 二 次 的 障 害 の 状 況 によっては、 臨 床 的 ・ 治 療 的 なカウンセリングを 計 画 する 必 要 があることもまた、 留 意 事 項 となる。検 討 事 項 として 優 先 性 の 高 い 課 題 としては、 学 校 卒 業 時 及 び 卒 業 後 の 支 援 が“ 切 れ 目 のない” 支 援 体 制 として 整 備 されることに 集 約 される。これらは、ひきこもりや 触 法 により 措 置 された 支 援 機 関 においてはじめて 発 達 障 害 に 気 づかれたことから、支 援 機 関 ・ 支 援 者 が 発 達 障 害 者 支 援 の 必 要 性 を 検 討 することになる 現 状 や、 離 転 職 の 繰 り 返 しの 中 で 挫 折 体験 から 二 次 的 障 害 を 併 発 する 事 態 を 避 ける 対 策 が 必 要 であるという 認 識 によっている。こうした 支 援 体 制 整 備 における 留 意 事 項 として、 以 下 の 6 点 にとりまとめた。1 自 己 理 解 に 深 化 の 困 難 や 障 害 受 容 の 課 題 があれば「 紹 介 先 専 門 支 援 に 適 応 できない」「 専 門 支 援 を 継続 して 利 用 するための 相 談 支 援 が 必 要 となる」という 認 識 が 必 要 である。2 地 域 において 支 援 機 関 の 利 用 可 能 性 を 左 右 する 要 因 としては 物 理 的 距 離 の 大 きさがあげられた。また、 支 援 機 関 が 遠 隔 地 にあるという 物 理 的 距 離 の 問 題 が、もともとの 心 理 的 距 離 の 大 きさに 加 わると、 利 用 可 能 性 がきわめて 限 定 される。しかし、 出 張 相 談 日 の 設 定 や 出 張 ケース 会 議 、サテライトオフィスの 設 置 等 、「 顔 が 見 える」 支 援 体 制 の 工 夫 により、 物 理 的 距 離 の 壁 のみならず、「 障 害 者 対 象 機 関である」というハードルを 越 える 支 援 ( 心 理 的 距 離 が 縮 小 し、 心 のバリアフリーを 実 現 するための 支援 )の 試 みが 重 要 である。3 若 年 就 労 支 援 機 関 において 重 視 すべき 支 援 内 容 ・ 活 動 として、 職 業 適 性 検 査 や 興 味 検 査 等 の 検 査 結 果を 解 説 する 中 で 職 業 生 活 設 計 の 見 直 し( 専 門 支 援 の 選 択 )のために 職 業 適 性 相 談 に 基 づく 支 援 体 制 を 整備 することが 必 要 である。その 際 、 各 支 援 機 関 の 得 意 分 野 を 活 用 するうえで、また、 専 門 支 援 の 利 用 可- -─ 3 ─


能 性 を 高 めることを 目 的 とした 連 携 が 求 められる。その 支 援 モデルは、サポステや 職 業 適 性 相 談 機 関 における 実 践 に 好 事 例 と 課 題 をみることができる。さらには、 企 業 における 支 援 事 業 ( 自 治 体 委 託 による職 業 体 験 )もまた、 注 目 すべき 支 援 モデルとなることが 期 待 される。4 高 等 教 育 機 関 をはじめ 教 育 機 関 において 重 視 すべき 支 援 内 容 ・ 活 動 として、 学 校 卒 業 までの、すなわち、 最 初 の 職 業 選 択 で 躓 かない 支 援 体 制 整 備 が 必 要 となる。 大 学 での 支 援 には、 今 後 の 課 題 が 大 きい。しかし、その 支 援 モデルは 大 学 における 実 践 に 好 事 例 と 課 題 をみることができる。さらには、 社 会 福 祉 法 人 が 大 学 生 を 対 象 として 行 うキャリアサポートにおける 職 業 準 備 のための 支 援 もまた、 注 目 すべき 支 援 モデルとなることが 期 待 される。5 発 達 障 害 者 支 援 のための 機 関 連 携 において、「つなぐ」は「 送 り 出 す」「 預 ける」「 任 せる」ではなく、「 共 有 して 連 携 支 援 を 継 続 する」という 認 識 が 必 要 である。また、「つなぐ」タイミングは 障 害 理 解 の深 化 が「 鍵 」となる。また、こうした 過 程 を 一 体 的 に 提 供 できる 体 制 を 整 備 することのみならず、その 一 部 を 担 いつつ 互 いに連 携 する 等 、 多 様 な 体 制 整 備 のあり 方 を 検 討 する 必 要 がある。ただし、 発 達 障 害 者 を 対 象 とした「. 自 己 理 解 の 深 化 」「 職 業 評 価 に 基 づく 職 業 準 備 の 課 題 の 明 確 化 」「 特 性 に 相 応 する 支 援 の 選 択 」の 支 援 に 際 しては、 支 援 メニュー( 内 容 ・ 方 法 )の 検 討 が 必 要 であること、いずれにおいても 当 事 者 が 納 得 できる 確 認 作 業 を 保 障 する「 経 験 場 面 」と「 時 間 」を 要 すること、等 について、 内 容 や 方 法 、 期 間 を 限 定 した 支 援 では 支 援 目 標 の 達 成 が 困 難 となるケースもあることへの対 応 が 必 要 である。したがって、 自 機 関 においてこうした 支 援 をどこまで 進 めるか、 引 き 続 いて 必 要 となる 支 援 を 他 機 関 に 託 す 場 合 に、どのような 役 割 分 担 が 必 要 か、といった 視 点 で 機 関 連 携 を 構 築 することが 求 められる。6 発 達 障 害 者 支 援 のための 支 援 者 の 専 門 性 の 確 保 ( 人 材 育 成 )の 必 要 性 については、 若 年 支 援 機 関 調 査 ・職 業 リハビリテーション 機 関 調 査 の 双 方 から 指 摘 されていた。 職 業 リハビリテーション 機 関 における 連携 体 制 においても、 発 達 障 害 に 関 する 理 解 と 対 応 の 専 門 性 については、 連 携 関 係 の 質 にかかわる 問 題 であるとされた。 専 門 性 の 確 保 は 緊 要 の 課 題 であり、 連 携 支 援 の「 鍵 」となる。若 年 支 援 機 関 では、 発 達 障 害 のある 者 や 発 達 障 害 を 疑 われる 者 に 対 し、 障 害 者 の 特 性 評 価 に 基 づく 支 援を 実 施 していた。ただし、 限 界 も 大 きく、 支 援 期 間 や 相 談 回 数 の 考 え 方 、 検 査 実 施 上 の 経 費 や 専 門 性 の 養 成 、連 携 にかかる 人 的 ネットワークの 未 整 備 が 浮 かび 上 がっている。なお、 施 設 によって、 支 援 メニューや 支 援 体 制 は 異 なっており、たとえば、 調 査 結 果 ではサポステの 支 援内 容 や 方 法 等 の 多 様 さが 注 目 されるが、 全 国 一 律 の 支 援 メニューがあるわけではなく、 地 方 自 治 体 や 組 織 体によって 異 なる 現 状 があること、カウンセリングにより 受 診 を 勧 めたジョブカフェの 事 例 は、 医 療 機 関 と 連携 した 事 例 であるが、 支 援 者 同 士 の「 顔 の 見 えるつながり」と 担 当 したカウンセラーの 臨 床 経 験 の 豊 富 さによっており、 支 援 者 の 力 量 によって 異 なる 現 状 があること、 等 に 注 意 が 必 要 である。- -─ 4 ─


序 章第 1 節発 達 障 害 者 とその 周 辺 的 な 若 年 者 をめぐる 就 労 支 援 の 現 状学 校 から 職 業 への 円 滑 な 移 行 支 援 の 現 状 と 課 題特 別 支 援 教 育 で「 学 校 から 職 業 への 移 行 」というときの「 学 校 」とは、 特 別 支 援 学 校 はもとより 高 等 学 校や 専 修 学 校 、 大 学 をさす。 学 校 教 育 法 の 一 部 改 正 ( 平 成 18 年 )により、 特 別 支 援 教 育 の 対 象 者 が 拡 大 し、彼 らの 在 籍 校 が 多 様 化 した 結 果 として、 進 路 指 導 における 就 労 支 援 や 指 導 のあり 方 、 就 労 に 関 する 支 援 システムについてもまた 新 たな 理 解 を 求 められることになった *1 。知 的 発 達 に 遅 れが 顕 著 でない 場 合 、 障 害 児 教 育 や 特 別 支 援 学 校 における 支 援 を 選 択 せずに 高 等 学 校 に 進 学することが 多 い。また、その 後 、さらに 高 等 教 育 に 進 学 することもある。しかし、 職 業 の 世 界 への 移 行 についてみると、 円 滑 に 新 規 学 卒 就 職 や 適 応 ・ 定 着 が 行 われた 事 例 ばかりではない。 発 達 障 害 のある 児 童 ・ 生 徒に 対 する 特 別 な 教 育 的 支 援 は、「 学 業 達 成 」や「 行 動 上 の 問 題 への 対 応 」 等 を 中 心 として 展 開 されてきた。そして、こうした 教 育 支 援 による 問 題 解 決 の 状 況 とは 別 に、 高 校 や 大 学 、 大 学 院 等 を 卒 業 した 後 の 進 路 に 対する 希 望 は、「 上 級 学 校 への 進 学 」または「 一 般 扱 いの 就 職 」であることが 多 い。竹 中 (2008)は、“ 学 歴 は 何 を 保 証 する(した)のか”について、「 世 間 一 般 では 大 学 での 教 育 内 容 が 就職 後 の 仕 事 とつながらないということが 批 判 の 対 象 となります。ところが、そのつながらなさ 自 体 が、 一 方で、 自 閉 症 スペクトラムの 人 が 大 学 で 学 ぶことを 可 能 にすると 同 時 に、 他 方 で 就 労 に 際 しての 障 壁 を 高 くしているのは、 皮 肉 なことです」と 指 摘 する。これは、 発 達 障 害 者 に 対 する 教 育 機 会 の 拡 大 と 彼 らの 職 業 への移 行 の 現 状 から、 発 達 障 害 者 に 対 する 教 育 的 支 援 の 課 題 に 言 及 したものである。学 校 基 本 調 査 結 果 では、 高 等 学 校 卒 業 後 に 大 学 に 進 学 する 者 が 半 数 を 超 える( 平 成 24 年 度 ( 速 報 )では53.5 %)。 大 学 に 進 学 した 発 達 障 害 にとって 問 題 となるのは、 障 害 特 性 の 評 価 と 対 応 が 在 学 中 に 用 意 されておらず、 適 応 に 課 題 を 残 しながらも 学 業 面 では 単 位 を 取 得 して 卒 業 する 場 合 である。 大 卒 であることが 障 害の 受 容 を 難 しくしたと 考 えるに 至 った 家 族 からは、 職 業 への 移 行 の 点 で 進 学 させたことを 後 悔 する 発 言 が 聞かれるほどに、この 問 題 は 大 きい。 障 害 の 受 容 や 障 害 特 性 への 対 応 については、 学 業 生 活 への 適 応 のみならず 職 業 生 活 への 適 応 の 視 点 で 議 論 すべきである。ただし、こうした 障 害 特 性 への 対 応 は、 大 学 における 中 核的 な 教 育 内 容 ではない 現 状 がある。だからといって、 彼 らが 自 ら 問 題 を 認 識 し、かつ、 解 決 を 模 索 する 機 会が 用 意 されているわけではない。1. 移 行 支 援 における 選 択 肢(1) 学 校 卒 業 時 点 の 移 行 における 支 援学 校 は 卒 業 後 の 進 路 選 択 のために、 学 校 紹 介 で 就 職 ( 新 規 学 卒 *2 としての 入 職 )を 支 援 する 役 割 を 担 う。この 方 法 では、 公 共 職 業 安 定 所 (ハローワーク)や 学 校 が 確 認 した 適 切 な 求 人 の 紹 介 を 受 けることができる。*1 従 来 、 障 害 のある 生 徒 の「 学 校 から 職 業 への 移 行 」には 特 別 な 配 慮 が 必 要 であると 受 けとめられて、 養 護 学 校 ( 現 、 特 別 支 援 学校 ) 高 等 部 において、 就 労 支 援 の 課 程 が 用 意 されてきた。さらに、 職 業 生 活 においても「 一 般 扱 い」とは 異 なる 雇 用 対 策 上 の 配 慮 が必 要 であると 位 置 づけられて 就 労 支 援 が 実 施 されてきた。このときの「 学 校 」とは 心 障 学 級 もしくは 養 護 学 校 高 等 部 をさしていた。*2 職 業 安 定 法 では、「 学 校 紹 介 」で 就 職 する 際 に 利 用 する 支 援 を 規 定 している。 学 校 は 進 路 指 導 の 一 環 として 進 路 の 選 択 ・ 決 定 に 携わる。 学 校 は 教 育 的 立 場 からみて 適 切 でない 職 業 についての 求 人 ・ 求 職 の 申 込 を 限 定 でき、 生 徒 ・ 学 生 の 希 望 に 基 づいて、 公 正 な 紹介 をすることになる。さらには 就 職 後 に、 職 場 適 応 を 阻 害 する 問 題 が 起 こった 場 合 には、ハローワークに 要 請 し、あるいは 協 力 を 仰いでその 解 決 に 関 する 指 導 を 行 うことになる。こうした 機 能 を 担 う 学 校 は、 学 校 教 育 法 の 一 条 校 ( 大 学 、 高 等 学 校 、 特 別 支 援 学 校 、中 学 校 等 )とされる。-5-─ 5 ─


一 方 、 雇 用 主 は 学 校 との 実 績 関 係 に 基 づいて 教 育 的 配 慮 を 行 い、 学 校 もまた 定 着 指 導 に 協 力 する。つまり、職 業 自 立 についてみれば、 就 職 ( 新 規 学 卒 としての 入 職 )と 職 場 定 着 の 両 方 について、 一 定 の 制 度 化 された支 援 を 保 証 している。ただし、この 制 度 による 紹 介 の 成 否 には 地 域 ・ 学 校 間 格 差 が 少 なからずあり、 加 えて学 校 の 進 路 指 導 (キャリアガイダンス)の 流 れにしたがって 学 校 生 活 に 適 応 できていたかどうかが 大 きな 要因 となる。さらに、 学 校 が 担 う 支 援 を 利 用 できるタイミングは 卒 業 時 に 限 定 される。このため、 卒 業 時 に 就職 を 選 択 しなかった 場 合 、 学 校 を 経 由 しない 移 行 となる。(2) 学 校 卒 業 後 の 移 行 における 支 援 :ハローワーク( 専 門 援 助 ) 調 査 の 結 果 *3 からみた 職 業 紹 介 状 況職 業 紹 介 状 況 は「 身 体 障 害 」「 知 的 障 害 」「 精 神 障 害 」「その 他 障 害 」の 区 分 で 報 告 される。 発 達 障 害 のある 者 について、 障 害 者 手 帳 による 職 業 紹 介 が 行 われる 場 合 には、 個 別 の 障 害 種 別 ではなく「 身 体 障 害 」「 知 的 障 害 」「 精 神 障 害 」の 区 分 で 集 計 される。したがって、 発 達 障 害 のうち、 障 害 者 手 帳 を 取 得 していない 者 のみが「その 他 障 害 」の 区 分 の 対 象 となる。そこで、 障 害 者 手 帳 の 有 無 や 種 別 にかかわらず、 発 達 障 害 を 開 示 して 新 規 求 職 登 録 を 行 った 者 を 対 象 とした 調 査 結 果 から、 紹 介 就 職 者 の 概 要 を 通 して 支 援 利 用 の 実 態 をみていくこととする。ア. 新 規 求 職 登 録 について調 査 期 間 (10 ヶ 月 )に 108 所 の 専 門 援 助 窓 口 で 新 規 求 職 登 録 を 行 った 者 538 名 の 状 況 は 以 下 の 通 り。1 88 %が 発 達 障 害 の 診 断 を 有 していた。2 診 断 名 の 内 訳 は、アスペルガー 症 候 群 ・ 高 機 能 自 閉 症 ・ 自 閉 症 ・ 特 定 不 能 の 広 汎 性 発 達 障 害 等 の「 広 汎 性 発 達 障 害 」が 85 %を 占 めて 最 も 多 かったのに 対 し、 注 意 欠 陥 多 動 性 障 害 は 6 %、 学 習 障 害 は 3 %であった。3 年 代 別 では 20 代 が 48 %を 占 めており、30 代 までで 91 %を 占 めていた。4 申 請 中 を 含 めた 手 帳 取 得 状 況 では、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 は 56 %、 療 育 手 帳 は 10 %であった。 一 方 、「 手帳 なし」の 者 が 31 %であった。 療 育 手 帳 を 取 得 している 者 では 重 度 以 外 ( 中 度 、 軽 度 を 含 む)が 94 %を 占 めていた。また、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 取 得 者 では 2 級 が 54 %、3 級 が 45 %であった。5 一 般 窓 口 から 専 門 援 助 部 門 に 紹 介 されて 求 職 登 録 した 者 は 108 名 (20 %)であった。6 調 査 期 間 内 で 紹 介 就 職 に 至 った 者 は 91 名 (17 %)であった。7 紹 介 に 至 らなかった 理 由 としては、 職 業 訓 練 を 受 講 ( 含 む、 予 定 )が 最 も 多 かったが、 一 方 で 求 職 活 動 の 中 断( 含 む、 来 所 なし)もあった。その 他 で 特 記 すべき 事 項 としては、 職 業 準 備 に 支 援 が 必 要 、 社 会 性 等 の 問 題 で紹 介 困 難 、 自 己 理 解 の 促 進 に 支 援 が 必 要 等 、 求 職 活 動 に 関 する 準 備 や 理 解 不 足 があげられていた。イ. 紹 介 就 職 について調 査 期 間 (10 ヶ 月 )に 108 所 の 専 門 援 助 窓 口 で 就 職 した 者 199 名 の 状 況 は 以 下 の 通 り。1 93 %が 発 達 障 害 の 診 断 を 有 していた。 診 断 名 の 内 訳 や 年 代 別 の 特 徴 は、 新 規 求 職 登 録 者 と 同 様 の 傾 向 であった。2 紹 介 に 至 った 者 について、 手 帳 取 得 状 況 をみると 新 規 求 職 登 録 者 に 比 べて「 手 帳 なし」の 者 の 比 率 が 低 い。 手帳 取 得 時 から 起 算 した 新 規 求 職 までの 期 間 からは、 求 職 登 録 後 に 取 得 する 者 が 多 く、 求 職 登 録 を 前 後 して 障 害 者手 帳 の 取 得 が 進 んでいる 現 状 が 示 された( 図 1)。*3 「 公 共 職 業 安 定 所 における 高 次 脳 機 能 障 害 者 ・ 発 達 障 害 者 に 対 する 新 規 求 職 登 録 及 び 紹 介 就 職 等 の 実 態 調 査 」は、 全 国 の 公 共 職 業安 定 所 合 計 109 所 ( 各 都 道 府 県 労 働 局 の 筆 頭 所 および 大 規 模 所 各 1 所 。ただし 政 令 指 定 都 市 を 有 する 14 都 道 府 県 については 大 規 模所 2 所 )を 対 象 として 実 施 ( 調 査 期 間 :2009 年 4 月 1 日 ~ 2010 年 1 月 31 日 )したものであり、その 結 果 は 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №99 第 2 章 (2011)にとりまとめられている。なお、108 所 の 回 答 において、 調 査 期 間 内 の 新 規 求 職 登 録 は 538 件 (93 所 )、 紹 介 就 職 は 199 件 (74 所 )であった。-6-─ 6 ─


図 1手 帳 取 得 時 から 起 算 した 新 規 求 職 登 録 までの 期 間3 申 請 中 を 含 めた 手 帳 の 取 得 状 況 は、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 が 60 %、 療 育 手 帳 は 17 %を 占 めていた。 一 方 、「 手 帳 なし」の 者 は 18 %であった( 図 2)。療 育 手 帳 , 16.6%精 神 申 請 中 ,2.5%無 回 答 , 3.0%手 帳 なし, 18.1%精 神 障 害 者保 健 福 祉 手 帳 ,59.8%図 2紹 介 就 職 時 の 手 帳 取 得 状 況 (N=199)ウ. 職 業 紹 介 の 現 状 と 課 題紹 介 就 職 に 至 った 199 名 についてみると、124 名 (63 %)が 新 規 求 職 登 録 から 12 ヶ 月 未 満 で 紹 介 就 職 に至 っている 一 方 、 最 長 では 183 ヶ 月 を 要 した 者 もあった( 図 3)。3 年 以 上 , 6.0%無 回 答 , 0.5%1ヶ 月 未 満 , 6.0%1ヶ 月 以 上 3ヶ 月 未 満 ,13.6%1 年 以 上 3 年 未 満 ,31.2%3ヶ 月 以 上 6ヶ 月 未 満 ,19.6%6ヶ 月 以 上1 年 未 満 , 23.1%図 3新 規 求 職 登 録 から 紹 介 就 職 までの 期 間 (N=199)これは、 新 規 求 職 登 録 者 が 紹 介 就 職 に 至 らない 理 由 として 指 摘 された 内 容 ( 上 記 アの7)と 対 応 しているとみることができる。- -─ 7 ─


また、160 名 (80 %)は 調 査 期 間 満 了 時 点 で 在 職 していたが、31 名 (16 %)は 離 職 していた。 離 職 までの 月 数 は 1 ヶ 月 から 3 ヶ 月 未 満 が 半 数 を 占 めていた。 在 職 ・ 離 職 状 況 に 関 連 する 要 因 を 検 討 した 結 果 から、在 職 者 の 場 合 には「 登 録 前 に 手 帳 取 得 」「 障 害 者 求 人 への 応 募 」「 障 害 の 開 示 」と、 離 職 者 の 場 合 には「 障害 者 手 帳 なし」「 一 般 求 人 への 応 募 」「 障 害 の 非 開 示 」と、それぞれ 有 意 の 関 連 が 示 された。初 回 紹 介 後 に 離 職 した 31 名 に 対 し、12 名 について 第 2 回 紹 介 が 行 われ、その 内 の 5 名 が 離 職 していた。さらに 2 名 について 第 3 回 紹 介 が 行 われ、その 内 の 1 名 が 離 職 していた。こうした 離 転 職 の 背 景 についても求 職 活 動 に 関 する 準 備 や 理 解 不 足 等 との 関 係 を 検 討 する 必 要 がある。さらに、 就 職 に 際 して 連 携 した 支 援 機 関 ・ 雇 用 支 援 制 度 利 用 状 況 を 図 4 に 示 す。就 職 に 際 して 連 携 した 機 関 では、 地 域 障 害 者 職 業 センターが 55 %で 最 も 多 く、その 他 に 障 害 者 就 業 ・ 生活 支 援 センターが 25%、 発 達 障 害 者 支 援 センターが 17 %であった。また、 利 用 した 雇 用 支 援 制 度 では、トライアル 雇 用 の 利 用 が 36%、ジョブコーチ 支 援 の 利 用 が 31 %で 突 出 していた。 発 達 障 害 者 雇 用 開 発 助 成 金制 度 やステップアップ 雇 用 制 度 の 利 用 はいずれも 3 %であった。ただし、 専 門 援 助 窓 口 で 就 職 した 者 は、 利 用 の 多 寡 はあっても 雇 用 支 援 を 前 提 としている 点 に 注 意 が 必 要である。 分 析 対 象 となった 者 は 専 門 援 助 窓 口 で 求 職 登 録 を 行 った 者 に 限 定 されている。したがって、 一 般 紹介 の 窓 口 で 求 職 活 動 をする 者 に 対 して、 障 害 者 手 帳 制 度 、 雇 用 支 援 制 度 の 理 解 ・ 啓 発 、 並 びに 訓 練 や 準 備 支援 の 利 用 等 を 促 進 すること、また、 休 職 中 の 者 に 対 しては、 職 場 復 帰 支 援 の 利 用 等 を 促 進 すること 等 が 求 められる。図 4就 職 に 際 して 連 携 した 支 援 機 関 ・ 雇 用 支 援 制 度 利 用 状 況 (N=199)(3) 学 校 卒 業 後 の 移 行 における 支 援 : 福 祉 から 雇 用 へ障 害 者 の 職 業 自 立 を 支 援 するシステムとしては、 学 校 卒 業 時 の 進 路 として「 就 職 」を 選 択 するための 支 援のみならず、 障 害 特 性 に 即 して「 福 祉 」を 選 択 した 者 がその 後 、 雇 用 に 移 行 するための 支 援 について、 関 係機 関 の 連 携 の 課 題 が 検 討 されることになる。 図 5 は、 特 別 支 援 学 校 や 高 等 学 校 ・ 大 学 等 を 卒 業 後 、 福 祉 施 設等 を 利 用 して 就 職 ・ 定 着 するまでの 標 準 的 な 支 援 の 概 要 である。- -─ 8 ─


図 5福 祉 施 設 等 を 利 用 する 障 害 者 が 就 職 ・ 定 着 するまでの 標 準 的 な 支 援(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/16.pdf )現 代 の 若 者 は、 正 規 の 職 に 就 くことが 難 しい 時 代 に 学 校 を 卒 業 する。 平 成 24 年 度 の 学 校 基 本 調 査 結 果( 速 報 )では、 高 等 学 校 ( 全 日 制 課 程 ・ 定 時 制 課 程 ) 卒 業 時 に 就 職 した 者 が 16.8 %、 他 方 、 進 学 でも 就 職でも 一 時 的 な 仕 事 に 就 いたわけでもない 進 路 未 決 定 卒 業 等 の 者 は 4.9 %であった。さらに、 進 学 した 者 については、 大 学 ( 学 部 ) 卒 業 時 に 就 職 した 者 が 63.9 %であった。また、 進 学 でも 就 職 でも 一 時 的 な 仕 事 に 就いたわけでもない 進 路 未 決 定 卒 業 等 の 者 は 17.3 %を 占 めていた( 文 部 科 学 省 ,2012)。ただし、 労 働 市 場の 情 勢 が 厳 しい 時 代 であろうとなかろうと、また、 好 むと 好 まざるとに 関 わらず、 若 者 は 職 業 に 就 いて 自 立することを 求 められる。したがって、こうした 時 代 背 景 を 受 けて、 就 業 可 能 性 を 高 めるための 教 育 や 訓 練 、環 境 整 備 に 議 論 が 集 まることになった。さらには、 高 校 や 大 学 卒 業 後 の 進 路 として、 一 時 的 な 仕 事 でパートやアルバイト 等 の 不 安 定 雇 用 に 就 いた 場 合 、 就 業 経 験 を 重 ねても 職 業 能 力 を 開 発 する 機 会 が 少 ないという 問題 が 指 摘 されており、 常 用 雇 用 の 可 能 性 を 高 めるための 機 会 を「いつ」「どこで」「どのように」 構 想 するのかが 重 要 となる。高 等 学 校 や 大 学 等 に 在 籍 する 特 別 な 教 育 的 支 援 の 対 象 者 の 場 合 にも、 特 別 支 援 学 校 を 選 択 した 者 と 同 様 の進 路 指 導 (キャリアガイダンス)や 支 援 システムの 利 用 が 提 案 されることが 必 要 となる。しかし、 学 校 卒 業時 の 発 達 障 害 者 の 進 路 の 実 態 、 進 路 指 導 (キャリアガイダンス)の 体 制 整 備 や 卒 業 後 の 支 援 システムの 利 用状 況 については 明 らかになっているわけではない。2. 発 達 障 害 に 対 する 理 解 について高 等 学 校 や 大 学 等 を 卒 業 した 発 達 障 害 者 は、 卒 業 時 に「 新 規 学 卒 」 就 職 を 選 択 する *4 ことが 多 い。そのまま 職 業 生 活 に 適 応 ・ 定 着 していく 事 例 もある 一 方 で、 職 業 選 択 や 採 用 後 の 職 業 適 応 に 失 敗 する 事 例 もある。*4 障 害 児 教 育 ( 障 害 児 のための 学 級 や 学 校 )で 職 業 準 備 の 課 程 を 履 修 して 自 立 をめざす 若 者 については、 学 校 から 職 業 への 移 行 支援 において 教 育 リハビリテーションと 職 業 リハビリテーションとの 連 携 が 制 度 化 されている。 一 方 、 通 常 教 育 から 職 業 への 移 行 支援 については 問 題 の 認 識 においても 支 援 体 制 の 整 備 についても 明 確 化 されていない 現 状 がある。- -─ 9 ─


中 には、 一 般 求 人 への 応 募 や 適 応 の 失 敗 等 を 繰 り 返 した 後 、 障 害 者 のための 雇 用 支 援 制 度 を 利 用 することに........なる 事 例 もある。しかし、いずれも、 初 職 入 職 時 点 では 一 般 求 人 への 応 募 以 外 の 選 択 肢 を 持 たなかった 点 で共 通 していた。そして、 当 事 者 が 障 害 を 開 示 しない 限 り、 高 校 や 大 学 等 の 関 係 者 が 発 達 障 害 を 把 握 することは 稀 であった( 障 害 者 職 業 総 合 センター,2000;2004;2009)。 以 下 に、 障 害 に 関 する 理 解 の 現 状 と 課 題 を整 理 しておくことにする。(1) 当 事 者 の 障 害 理 解 について発 達 障 害 の 発 現 時 期 については「 低 年 齢 である」とされるが、 明 確 な 受 障 時 期 が 特 定 されることは 少 ない。また、 原 因 も 多 様 である。 受 障 時 期 と 損 傷 部 位 が 明 確 な 脳 外 傷 や 脳 血 管 障 害 による 脳 機 能 の 障 害 ( 高 次 脳 機能 障 害 )と 対 比 するとき、その 特 徴 がより 明 確 になる。すなわち、「 受 障 前 にできたことが、できなくなった」といった 中 途 障 害 に 固 有 の 障 害 の 自 覚 や 理 解 は、 発 達 障 害 にはない。 発 達 の 原 則 は 発 達 障 害 のある 子 どもにもあてはまることから、 発 達 の 遅 れと 偏 りがあっても、また、 行 動 上 の 問 題 があったとしても、 成 長 に伴 ってできることが 増 えていく。 加 えて、 早 期 からの 支 援 によって 問 題 が 軽 減 すれば、 将 来 に 予 測 される 支援 が 軽 減 する 可 能 性 もある。 発 達 障 害 者 支 援 法 が 早 期 発 見 ・ 早 期 診 断 ・ 早 期 対 応 を 重 視 する 含 意 はここにある。しかし、 家 族 等 の 気 づきによって、 幼 少 期 に 診 断 が 確 定 する 場 合 もあれば、 疑 いがあったとしても 診 断が 確 定 しないケースもある。 中 には、 成 長 とともに 診 断 名 が 変 わる 場 合 もある。いずれにしても 治 療 や 発 達の 支 援 経 過 は 観 察 の 対 象 となる。また、 医 療 機 関 の 診 断 ではなく 療 育 ・ 教 育 相 談 機 関 の 判 断 によって 相 談 や支 援 の 対 象 となる 場 合 もある。もともと、 発 達 障 害 は 当 事 者 が 気 づきや 自 覚 を 持 ちにくい 障 害 である。したがって、 職 業 上 の 問 題 を 抱 えながらも 障 害 を 障 害 として 認 識 していない 事 例 に 対 しては、まずは 自 己 理 解 を 深 めること、 並 びに、 特 性 に応 じた 支 援 ( 障 害 者 雇 用 や 福 祉 など)を 選 択 すること、が 支 援 の 課 題 となる。(2) 障 害 に 対 する 理 解 ・ 啓 発 について発 達 障 害 の 特 性 について、 例 えば、 対 人 面 や 行 動 面 のスキルの 獲 得 において、 障 害 の 有 無 を 区 分 する 明確 な 基 準 は 設 けられていない。 東 條 (2005 )は、「 自 閉 症 スペクトラムの 概 念 によれば、 自 閉 症 、アスペルガー 症 候 群 、 非 定 型 自 閉 症 はそれぞれ 別 個 の 障 害 ではなく、 連 続 体 であり、さらに、自 閉 症 の 特 質 と 似 た 困 難 を 抱 える 健 常 児 者 へも 連 続 性 があるとする 概 念 で、 日 本 語 に 直 訳 すれば『 自 閉 性 の 連 続 体 』となる。」とし、 自 閉 症 は 健 常 児 者 に 連 続 性 がある 概 念 として 理 解 すること( 例 えば、 若 林 ,2003; 國 平 ら,2003)、 知 的 障 害 と 自 閉 症 スペクトラムの 両 方 の 連 続 性 を 組 み 合 わせて障 害 を 理 解 すること、の 重 要 性 を 指 摘 している。 同 様 に、 知 的 障 害 の 有 無 を 区 分 する 明 確 な 基 準 はあるわけではなく、 例 えば 知 能 検 査 の 結 果 の 分 布 において、 知 的 障 害 児 者 と 健 常 児 者 には 連 続 性 がある。井 上 (2011)は、「 自 閉 症 スペクトラム 障 害 (Autism Spectrum Disorder:ASD)」について、 定 型 発 達から 典 型 的 な 自 閉 症 までを 自 閉 症 の 強 弱 で 一 続 きのものとみなす 点 で、 広 汎 性 発 達 障 害 を 広 く 統 合 する 概 念として 成 人 にも 適 合 する 概 念 であるとする。定 型 発 達 特 定 不 能 の アスペルガー 高 機 能 自 閉 症広 汎 性 発 達 障 害 症 候 群 自 閉 症図 6 自 閉 症 スペクトラム 障 害 ( 資 料 出 所 : 井 上 ,2011)-10-─ 10 ─


しかし、 井 上 ( 前 掲 ,2011)は、この 概 念 が「 現 象 を 連 続 体 としてとらえる」ものであるために、 臨 床 家が 共 有 できる 診 断 閾 値 が 設 定 可 能 であるのかという 問 題 と、 広 汎 性 発 達 障 害 を 一 次 元 的 に 把 握 できるかのような 誤 解 を 与 えかねないという 問 題 があることを 指 摘 する。発 達 障 害 の 診 断 に 際 しては、 医 学 における 診 断 マニュアルや 治 療 経 過 ( 含 、 投 薬 の 効 果 等 )に 行 動 観 察 等が 総 合 的 に 反 映 される。しかし、 知 的 発 達 の 軸 と 対 人 面 や 行 動 面 等 の 複 数 の 軸 が 組 み 合 わさることで、 適 応上 の 問 題 も 極 めて 複 雑 かつ 多 様 になる。したがって、 発 達 障 害 は、 職 業 生 活 への 適 応 に 際 し、 当 事 者 と 当 事者 を 受 け 容 れる 企 業 の 双 方 を 支 援 する 専 門 家 の 具 体 的 な 情 報 提 供 と 環 境 調 整 の 役 割 が 大 きい 障 害 であると 理解 されている。こうした「 発 達 障 害 」の 概 念 が 普 及 するにつれて、 社 会 の 理 解 が 進 んでいくという 側 面 だけでなく、 適 応に 困 難 な 事 例 があると「 発 達 障 害 ではないか」ととらえたり、 決 めつけたりする 側 面 があって、 当 事 者 や 家族 の 障 害 理 解 や 受 容 の 障 壁 となっている 現 状 があることもまた 指 摘 しておかなければならない。第 2 節社 会 基 盤 整 備 の 現 状 と 課 題1. 発 達 障 害 者 支 援 法 ・ 障 害 者 自 立 支 援 法 まで発 達 障 害 に 対 する 理 解 ・ 啓 発 が 推 進 される 中 、 当 事 者 や 家 族 は「 自 らの 特 性 を 障 害 として 受 け 容 れるか」のみならず、「 発 達 障 害 と“ 知 的 障 害 ”や“ 精 神 障 害 ”との 関 係 をどう 理 解 するか」でも 混 乱 の 渦 中 にあったといえるだろう。「 障 害 」として 受 け 容 れるかについては、“ 障 害 ではない”“ 支 援 や 配 慮 があれば、いつか 障 害 ではなく個 性 になる”“ 配 慮 があれば( 一 般 扱 いで)できる” 等 々があげられていたが、 本 人 ( 家 族 にとっては 子 )の 成 長 とともに 問 題 が 軽 減 する 場 合 もあれば 深 刻 化 する 場 合 もあり、 職 業 自 立 をめざす 年 齢 段 階 においては、特 性 に 応 じた 支 援 を 選 択 する 必 要 性 の 有 無 が 明 確 化 していくことになる。また、「 発 達 障 害 」と“ 知 的 障害 ”もしくは“ 精 神 障 害 ”との 関 係 については、 当 事 者 の 年 代 や 発 達 障 害 者 支 援 の 具 体 化 に 即 し、 当 事 者 や家 族 が 受 け 容 れ 可 能 な 理 解 の 範 囲 もまた 変 化 していくことになる。こうした 理 解 のよりどころは、「 発 達 障害 は 知 的 障 害 を 伴 わない 障 害 である( 知 的 障 害 は 発 達 障 害 とは 異 なる 障 害 である)」「 発 達 障 害 の 手 帳 がないために 療 育 手 帳 を 取 得 したが、 知 的 障 害 とは 異 なる 障 害 である」といった 見 解 や「 発 達 障 害 の 二 次 的 障 害として 精 神 的 不 安 定 やメンタルヘルス 不 全 が 起 こる( 発 達 障 害 は 精 神 障 害 とは 異 なる 障 害 である)」「 発 達障 害 の 手 帳 がないために 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 を 取 得 したが、 精 神 障 害 とは 異 なる 障 害 である」「 療 育 手帳 を 希 望 したが 取 得 できず、 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 を 取 得 したが、 精 神 障 害 とは 異 なる 障 害 である」などであった。すなわち、 受 け 容 れ 可 能 な「ラベル」と「ラベルに 対 応 する 支 援 」に 対 するニーズが 背 景 にあったといえる。2. 障 害 者 手 帳 に 関 する 発 達 障 害 者 支 援 法 の 含 意発 達 障 害 者 支 援 法 並 びに 障 害 者 自 立 支 援 法 の 施 行 時 点 では、「 発 達 障 害 」のうち、 福 祉 法 の 施 策 対 象 外 となる「 発 達 障 害 」が 何 であるのかについての 言 及 はない。したがって、すべての「 発 達 障 害 」が 福 祉 法 の 施策 対 象 外 であるが、 支 援 利 用 のために 障 害 者 手 帳 を 取 得 する 人 も 存 在 するといった 理 解 が 成 立 することとなった。-11-─ 11 ─


ハローワークにおいて、 発 達 障 害 等 の 要 因 によりコミュニケーション 能 力 に 困 難 を 抱 えている 求 職 者について、その 希 望 や 特 性 に 応 じて、 専 門 支 援 機 関 である 地 域 障 害 者 職 業 センターや 発 達 障 害 者 支 援 センター 等 に 誘 導 するとともに、 障 害 者 向 けの 専 門 支 援 を 希 望 しない 者 については、きめ 細 かな 個 別 相 談 、支 援 を 実 施 。●ニート 等 の 若 年 者 に 対 する 就 職 支 援 と 障 害 者 に 対 する 就 労 支 援 の 両 面 から、コミュニケーション 能 力 に 困 難 を 抱 える 要 支 援 者 向 けの総 合 的 な 支 援 を 行 う 事 業 を 実 施 。1 若 年 者 の 就 職 支 援 を 行 う 機 関 と 障 害 者 の 就 労 支 援 機 関 の 連 携 体 制 を 構 築 。2 発 達 障 害 等 、 様 々な 要 因 によりコミュニケーション 能 力 に 困 難 を 抱 えている 要 支 援 者 に 対 して、 自 らの 特 性 と 支 援 の 必 要 性 についての 気 づきを 促 し、 適 切 な 支 援 への 誘 導 を 行 う。3 発 達 障 害 者 に 対 する 専 門 的 支 援 の 強 化 を 図 ること 等 により、 要 支 援 者 のニーズに 応 じた 適 切 な 相 談 ・ 支 援 を 実 施 し、 要 支 援 者 の 円 滑 な 就 職 の 促 進 を 図 る。【 就 職 支 援 ナビゲーター( 発 達 障 害 者 等 支 援 分 )による 支 援 スキーム】若 年 者 の 就 職 支 援 機 関高 等 学 校 等 の 教 育 機 関発 達 障 害 者 支 援 センター当 事 者 団 体連 携連 携発 達 障 害 者 専 門 指 導 監・ 発 達 障 害 者 に 対 し、 知 識 と 経 験 を 持 つ 精 神 科 医 や 学 識 者 、発 達 障 害 者 支 援 センター 所 長 等 の 専 門 家 を 労 働 局 において委 嘱 。・ハローワーク 職 員 や 就 職 支 援 ナビゲーターによる 発 達 障 害者 等 の 日 常 的 な 支 援 に 対 して、 専 門 的 知 見 に 基 づく 助 言 ・ 指導 を 実 施 。若 年 求 職 者(34 歳 以 下 )●コミュニケーション 能 力 や 対 人 関 係 に困 難 を 抱 えている 者● 不 採 用 が 連 続 している 者● 短 期 間 で 離 転 職 を 繰 り 返 す 者● 発 達 障 害 の 診 断 を 有 する 者 あるいは疑 いのある 者就 職 支 援 ナビゲーター( 発 達 障 害 者 等 支 援 分 )【ハローワークの 一 般 相 談 窓 口 に 配 置 】障 害 者 向 け 専 門 支 援を 選 択 しない 者障 害 者 向 け 専 門 支 援を 選 択 する 者就 職 支 援 ナビゲーターによる個 別 支 援カウンセリング 求 人 開 拓面 接 ・ 同 行対 人 技 能トレーニング事 業 所 見 学個 別 支 援 を 経 た 後 、専 門 支 援 を 希 望 する 者就職誘 導誘 導専 門 支 援 機 関 等ハローワークの専 門 援 助 部 門地 域 障 害 者職 業 センター障 害 者 就 業 ・生 活 支 援 センター発 達 障 害 者支 援 センターその 他 の支 援 機 関※ 平 成 24 年 度 実 施 局 : 北 海 道 、 青 森 、 岩 手 、 宮 城 、 秋 田 、 山 形 、 福 島 、 茨 城 、 栃 木 、 群 馬 、 埼 玉 、 千 葉 、 東 京 、 神 奈 川 、 新 潟 、 石 川 、 長 野 、 岐 阜 、 静 岡 、 愛 知 、 三 重 、( 下 線 は 新 規 実 施 局 ) 滋 賀 、 京 都 、 大 阪 、 兵 庫 、 奈 良 、 岡 山 、 広 島 、 山 口 、 香 川 、 愛 媛 、 福 岡 、 佐 賀 、 長 崎 、 熊 本 、 大 分 、 宮 崎 、 鹿 児 島 、 沖 縄 ( 合 計 39 局 )図 9 若 年 コミュニケーション 能 力 要 支 援 者 就 職 プログラムの 概 要 ( 厚 生 労 働 省 障 害 者 雇 用 対 策 課 )2地 域 障 害 者 職 業 センターにおける 職 業 リハビリテーション連 ハ携 ロの ー下 ワで ー対 ク・象 発者 達を 障選 害定 者、利 支用 援勧 セ奨ンターとの発 達 障 害 者 就 労 支 援 カリキュラム【12 週 間 を 上 限 】センター 内 での 技 能 体 得のための 講 座 ( 技 能 体 得 講 座 )【8 週 間 程 度 】・ 問 題 解 決 技 能・ 対 人 技 能・リラクゼ ー ション 技 能・ 作 業 マニュアル 作 成 技 能個 別 課 題 の 対 応策 等 についての 話 し 合 い個 別 相 談実 施 状 況 や 翌 日の 支 援 内 容 等 の確 認 等職 業 準 備 支 援事 業 所 での 体 験 実 習 等 を 通 じた実 践 的 な 支 援 ( 実 践 的 支 援 )【4 週 間 程 度 】・ 事 業 所 での 体 験 実 習 を 実 施 (3 週 間 程 度 )( 各 種 技 能 を 事 業 所 で 実 践 的 に 支 援 )・ 事 業 所 での 支 援 状 況 を 踏 まえ、技 能 体 得 講 座 等 を 再 実 施技 能 体 得 講 座 で 学 んだ技 能 の 実 践 、その 結果 を 踏 まえた 再 支 援常 設 の 模 擬 的 就 労 場 面を 活 用 した 作 業 支 援センター 内 での 作 業 支 援 から事 業 所 内 での 作 業 支 援 に 移行 させ、 作 業 支 援 、 就 労 支 援カリキュラム、 個 別 相 談 を 体 系的 に 実 施★ 必 要 に 応 じて、 就 職 と 職 業 及 び 職 業 生 活 に 関 する 知 識 の 習 得 を 図 るための 職 業 講 話 や 事 業 所 見 学 等 を組 み 合 わせることができます★ 対 象 者 の 希 望 等 により、 必 要 な 支 援 のみを 選 択 することもできます図 10 地 域 障 害 者 職 業 センターにおける 発 達 障 害 者 に 対 する 専 門 的 支 援 の 概 要 ( 厚 生 労 働 省 障 害 者 雇 用 対 策 課 )支 対援 象方 者法 個、 々環 の境 状調 況整 に方 応法 じ等 たの 基整 本理 的な発 達 障 害 者 就 労 支 援 カリキュラムの 地 域 障 害 者 職 業 センターへの 導 入 スケジュール◆ 平 成 24 年 度 導 入 (14か 所 ) 北 海 道 、 宮 城 、 埼 玉 、 東 京 、 神 奈 川 、 新 潟 、 愛 知 、 滋 賀 、 大 阪 、 岡 山 、 香 川 、 福 岡 、 宮 崎 及 び 沖 縄 センター◆ 平 成 25 年 度 以 降 、 全 国 のセンターに 順 次 導 入 予 定職場開拓・職業紹介ジョブコーチ支援等による就職支援・フォローアップ- 15 -─ 15 ─


(4) 支 援 の 選 択 について障 害 を 開 示 せずに 一 般 扱 いの 雇 用 関 係 に 入 る 事 例 もあるが、 失 敗 して 在 宅 ・ 無 業 となる 事 例 もある。また、障 害 に 気 づかずに 就 職 したものの 職 場 不 適 応 となる 事 例 やメンタルヘルス 不 全 により 休 職 に 至 るといった 事例 もある。そのため、 障 害 の 現 れ 方 や 配 慮 の 必 要 性 を 適 切 に 理 解 するための 支 援 が 必 要 になることも 多 い。こうした 場 面 では、 障 害 特 性 に 即 した 支 援 を 提 供 することが 重 視 される。したがって、 就 労 支 援 の 対 象 が「 障 害 者 」であること、もしくは「 発 達 障 害 」であることを 示 し、そのうえで 利 用 者 が 支 援 を 選 択 することになる。 支 援 内 容 を 確 認 することや 職 場 に 障 害 を 開 示 するかどうかについては、 支 援 の 中 で 確 認 が 行 われる。そのうえで 支 援 メニューを 概 観 すると、「 障 害 者 」を 対 象 とした 支 援 事 業 であることを 明 示 していない................( 障 害 者 向 けの 専 門 支 援 を 希 望 しない 者 についての 言 及 がある) 事 業 ((2)の1「 若 年 コミュニケーション能 力 要 支 援 者 就 職 プログラム」)は 注 目 に 値 する。このプログラムでは、 専 門 支 援 に「つなぐ」 役 割 が 期 待される。また、こうした 役 割 は、 発 達 障 害 ならではの 役 割 であるともいえる。しかし、こうした 役 割 の 現 状と 課 題 が 明 らかになっているわけではない。5. 高 等 教 育 機 関 における 発 達 障 害 の 把 握 と 卒 業 後 の 進 路独 立 行 政 法 人 日 本 学 生 支 援 機 構 (2012)が 実 施 した「 平 成 23 年 度 (2011 年 度 ) 大 学 、 短 期 大 学 及 び 高 等専 門 学 校 における 障 害 のある 学 生 の 修 学 支 援 に 関 する 実 態 調 査 」( 悉 皆 調 査 / 対 象 : 大 学 ・ 短 期 大 学 ・ 高 等専 門 学 校 )では、 調 査 項 目 に 就 労 支 援 に 関 する 内 容 は 含 まれていない。しかし、 高 等 教 育 機 関 における 発 達障 害 の 把 握 の 現 状 と 対 象 者 の 進 路 選 択 行 動 について、きわめて 興 味 深 い 結 果 が 示 されている( 表 1)。ここでは、 高 等 教 育 機 関 において「 発 達 障 害 の 診 断 書 あり」の 数 の 他 に「 発 達 障 害 の 診 断 なし/ 配 慮 あり: 医 師 の 診 断 書 はないが、 発 達 障 害 があることが 推 察 されることにより、 学 内 の 組 織 、 部 署 等 の 業 務 として何 らかの 支 援 ( 教 育 上 の 配 慮 等 )を 行 っている 者 」の 数 が 把 握 されている。表 1高 等 教 育 機 関 における 発 達 障 害 の 把 握 及 び 卒 業 後 の 進 路 状 況発 達 障 害 に 関 する 回 答 障 害 学 生 数 障 害 学 生 の 進 路 状 況 ( 平 成 22 年 度 卒 )学 校 種 別 診 断 書 の 有 無医 社 一最 平教 専 療 会 時死高 成左育 修 機 福 的年 22亡進 就就 記訓 学 関 祉 な・次 年 学 職労 以練 校 入 施 仕不在 度外等 ・ 所 設 事詳籍 卒等 ・ で大 学 あり 138 98 14 20 4 5 5 36 14(776 校 ) なし/ 配 慮 あり 307 220 26 65 10 2 14 60 42計 445 318 12.6 26.7 4.4 2.2 6.0 30.2 17.6短 期 大 学 あり 10 5 0 0 2 0 0 2 1(373 校 ) なし/ 配 慮 あり 56 34 4 7 2 1 2 16 2計 66 39 10.3 17.9 10.3 2.6 5.1 46.2 7.7高 等 専 門 学 校 あり 7 7 3 4 0 0 0 0 0(57 校 ) なし/ 配 慮 あり 7 5 1 4 0 0 0 0 0計 14 12 33.3 66.7 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0表 中 数 字 は 人 数 /ただし、 各 機 関 合 計 人 数 に 対 する 進 路 状 況 のみ%日 本 学 生 支 援 機 構 (2012)より 再 構 成表 2 に、 高 等 教 育 機 関 における 平 成 22 年 度 卒 業 者 の 進 路 ( 学 校 基 本 調 査 )を 示 す。学 校 基 本 調 査 結 果 ( 平 成 22 年 度 卒 業 )から 操 作 的 に 表 1 で 把 握 された“ 発 達 障 害 ” 及 び“ 発 達 障 害 疑 ”をあわせた 卒 業 者 の 全 体 に 占 める 比 率 を 求 めると、 大 学 と 短 期 大 学 で 0.06 %、 高 等 専 門 学 校 では 0.12 %であり、 把 握 されている 数 がきわめて 少 ないことが 明 らかとなる。なお、 診 断 書 を 開 示 している 者 に 関 しては- 17 -─ 17 ─


さらに 低 く、 大 学 で 0.02 %、 短 期 大 学 で 0.01 %、 高 等 専 門 学 校 で 0.07 %であった。表 2学 校 基 本 調 査 結 果 における 高 等 教 育 機 関 卒 業 後 の 進 路 状 況平 成 22 年 度 卒 業 者 の 進 路学 校 基 本 調 査 結 果進学就職教 専育 修訓 学練 校等 ・一時的就な労仕事で左記以外死亡・不詳大 学 552358 70465 340143 21115 19107 88007 13521100.0 12.8 61.6 3.8 3.5 15.9 2.4短 期 大 学 66871 7451 45580 1488 3208 8642 502100.0 11.2 68.4 2.2 4.8 13.0 0.8高 等 専 門 学 校 10155 4290 5518 143 7 196 1100.0 42.2 54.3 1.4 0.1 1.9 0.0上 段 : 人 数 / 下 段 :%次 に、 表 1 で 把 握 された“ 発 達 障 害 ” 及 び“ 発 達 障 害 疑 ”をあわせた 者 の 進 路 状 況 について、 表 2 の 進 路状 況 と 比 較 すると、 大 学 と 短 期 大 学 においては 就 職 者 比 率 がきわめて 低 く、「 進 路 先 未 決 定 卒 業 (いわゆる学 卒 無 業 )」 及 び「 現 況 不 明 」が 高 率 で 発 生 していることが 明 らかとなる( 表 1 網 掛 け 部 分 : 筆 者 注 )。こうした 結 果 は、そもそも、 発 達 障 害 のある 学 生 が 的 確 に 把 握 されているのかという 問 題 とは 別 に、 発 達 障害 のある 学 生 にとって 就 労 支 援 が 必 要 であること、しかし、 就 労 支 援 の 現 状 や 支 援 を 実 施 するうえでの 課 題は 必 ずしも 明 らかになっていないこと、を 示 している。障 害 者 職 業 総 合 センターにおけるこれまでの 研 究 では、こうした 学 生 を 含 め、 発 達 障 害 を 開 示 していない、もしくは、 発 達 障 害 と 気 づいていない 学 生 については、まずは“ 一 般 扱 い”の 就 職 を 目 指 す 事 例 が 多 いこと、こうした 進 路 希 望 に 対 しては、“ 一 般 扱 い”の 企 業 が 求 める 環 境 で 適 応 できるかどうかを 検 討 するための 支援 が 必 要 となることを 明 らかにしてきた( 障 害 者 職 業 総 合 センター: 調 査 研 究 報 告 書 №88,2009;№101,2011)。したがって、 彼 らが 卒 業 後 に 利 用 する 就 労 支 援 機 関 は、 障 害 者 支 援 機 関 とは 限 らない。むしろ、 一般 の 若 年 就 労 支 援 機 関 を 利 用 する 可 能 性 の 方 が 高 いといえるかもしれない。そこで、 彼 らが 利 用 する 就 労 支援 機 関 ではどのような 課 題 が 認 識 されているのかを 把 握 すること、あわせて、 在 学 中 及 び 卒 業 後 の 支 援 機 関が 発 達 障 害 を 把 握 することをめぐる 問 題 を 明 らかにすることが 緊 要 となっている。第 3 節本 研 究 の 課 題1. 問 題 の 所 在発 達 障 害 については、 近 年 、ハローワークやジョブカフェ、 地 域 若 者 サポートステーションといった 就 労支 援 機 関 や 大 学 等 高 等 教 育 機 関 ( 以 下 、 若 年 者 就 労 支 援 機 関 という。)において、コミュニケーションや 対人 態 度 等 の 課 題 や 発 達 障 害 があることで 就 職 ・ 職 場 定 着 に 結 びつかない 若 者 が 注 目 されており、 彼 らへの 対応 が 急 務 の 課 題 となっている。障 害 者 職 業 総 合 センターにおけるこれまでの 研 究 では、 発 達 障 害 のある 者 について「 職 場 のルールの 理 解と 行 動 化 」「コミュニケーションの 課 題 改 善 」「 対 人 態 度 の 課 題 改 善 」 等 の 対 応 が 支 援 の 課 題 として 指 摘 されている( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №88,2009;№101,2011)。 発 達 障 害 のある 者 が 就-18-─ 18 ─


職 し、 安 定 した 職 業 生 活 を 継 続 していくためには、 担 当 する 作 業 を 企 業 が 求 める 水 準 で 遂 行 できることだけでなく、 企 業 文 化 への 適 応 が 求 められる。しかし、 障 害 特 性 により、 企 業 内 で 用 意 されている 一 般 研 修 や OJT 等 だけで 適 応 していくには 困 難 が 大 きい 者 もある。このことから、 課 題 解 消 の 見 通 しを 持 つことができるのか、あるいは 障 害 特 性 に 即 した 職 場 適 応 ・ 定 着 までの 支 援 や 配 慮 を 必 要 とするのか、を 検 討 しておくことが、 職 業 準 備 の 鍵 となるといえる。若 年 者 就 労 支 援 機 関 等 においても、これらの 知 見 に 基 づいた 就 労 支 援 が 望 まれると 同 時 に、 必 要 に 応 じ、職 業 リハビリテーション 機 関 との 連 携 が 期 待 される。しかしながら、 若 年 者 就 労 支 援 機 関 等 においては 支 援の 対 象 者 の「 発 達 障 害 の 診 断 の 有 無 」「 障 害 者 手 帳 の 取 得 状 況 」「 就 職 先 に 対 する 障 害 の 開 示 ・ 非 開 示 」 等の 基 礎 的 情 報 や、「 就 労 支 援 の 課 題 」、「 支 援 の 実 際 」、「 関 係 機 関 との 連 携 」 等 の 実 態 は 把 握 されていない。 発 達 障 害 のある 若 者 の 特 性 を 考 慮 した 支 援 を 可 能 とするためには、これら 基 礎 的 情 報 を 明 確 にすることが 重 要 である。こうした 現 状 認 識 にたち、 若 年 者 就 労 支 援 機 関 等 における 発 達 障 害 のある 若 者 について、 利 用 の 現 状 を 把握 する。また、 職 業 リハビリテーション 機 関 に 対 する 調 査 から、 若 年 者 就 労 支 援 機 関 等 との 連 携 の 現 状 と 課題 を 明 らかにすることが 求 められている。2. 課 題 へのアプローチ …… 学 校 から 職 業 への 移 行 における 試 行 結 果 から……発 達 障 害 のある 者 の 学 校 から 職 業 への 移 行 についてみると、 円 滑 に 新 規 学 卒 就 職 や 適 応 ・ 定 着 が 行 われた事 例 ばかりではない。こうした 場 合 、 必 要 に 応 じて 職 業 リハビリテーションを 選 択 肢 として 提 案 する 役 割 を担 う 仕 組 みが 必 要 となること、そのためには、 一 定 の 条 件 整 備 が 可 能 であること、しかし、 好 事 例 に 限 定 されており、 一 般 化 には 至 っていない 現 状 があることを 明 らかにした( 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告書 №71,2006)。 在 学 中 の 試 み、 及 び、 卒 業 後 の 支 援 機 関 に 求 められる 要 件 は 以 下 の 通 りである。【 在 学 中 の 進 路 支 援 について: 適 性 評 価 の 実 施 に 基 づく 進 路 相 談 】後 期 中 等 教 育 段 階 では 高 等 学 校 普 通 科 ( 軽 度 発 達 障 害 者 を 対 象 としたコース *5 )に 在 籍 した 若 者 に 対 し、在 学 中 に 適 性 評 価 を 行 うことの 意 義 について、 学 校 進 路 指 導 において 発 達 障 害 のある 若 者 の 自 己 理 解 の 適 正化 と 深 化 、 並 びに 進 路 選 択 を 支 援 する 活 動 と 位 置 づけた。対 象 生 徒 158 名 の 内 訳 は、 卒 業 時 における 就 職 31 名 :19.6 %( 一 般 扱 い/ 18 名 ; 障 害 者 雇 用 :13 名 )、能 力 開 発 校 進 学 57 名 :36.0 %( 一 般 校 0 名 ; 障 害 者 校 57 名 )、 進 学 15 名 :9.5 %、 福 祉 施 設 28 名 :17.7%、その 他 ( 進 路 先 未 決 定 )23 名 :14.6 %、さらに、 中 途 退 学 4 名 :2.6 %であった。これらを、“ 職 業 への 移 行 に 至 る 選 択 肢 ”として、 次 の5つに 整 理 した。すなわち、1 学 校 を 経 由 した 卒 業 後 すぐの 移 行 ( 新規 高 卒 就 職 )、2 職 業 能 力 開 発 校 への 進 学 ( 一 般 校 と 障 害 者 校 )、3 さらなる 教 育 機 関 への 進 学 、4 福祉 施 設 の 利 用 、5 その 他 ( 進 路 先 未 決 定 :1~4の 支 援 機 関 から 離 脱 した 選 択 肢 )である( 表 3)。なお、 学 校 サイドからみれば、 年 度 の 違 いや 生 徒 の 属 性 による 違 い、 指 導 体 制 による 違 い、などがあり、現 時 点 での 学 校 評 価 ともいうべき 教 育 指 導 体 制 の 検 討 を 尚 早 もしくは 困 難 が 大 きいと 考 えるかもしれない。*5: 学 校 教 育 法 による1 条 校 であるため、 学 校 紹 介 ( 新 規 高 卒 就 職 )による 就 職 支 援 を 原 則 としている。しかし、 軽 度 発 達 障 害 のある生 徒 を 対 象 とした 少 人 数 形 式 の 習 熟 度 別 コースにおいては、1 入 学 選 考 において 発 達 障 害 であることの 確 認 を 行 うとともに 在 学 中 に職 業 評 価 を 行 う、2 生 徒 の 障 害 特 性 に 即 したサービスの 選 択 肢 として、 職 業 リハビリテーションに 関 する 情 報 提 供 を 行 う、3 進 路 選択 の 必 要 に 応 じ、 在 学 時 に 療 育 手 帳 や 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 の 取 得 を 勧 める、4 継 続 的 な 進 路 相 談 を 通 して 進 路 先 の 選 択 ・ 決 定 を援 助 する 進 路 指 導 を 行 う、5 在 学 中 に 企 業 ・ 福 祉 施 設 など、 将 来 利 用 する 可 能 性 のある 関 係 機 関 で 実 習 を 行 うとともに、6 校 内 においても 企 業 から 受 注 した 作 業 において 体 験 的 学 習 を 進 めるカリキュラムを 有 している、などの 特 徴 がある。-19-─ 19 ─


表 3卒 業 時 点 における 進 路 先 と 卒 業 後 の 進 路 変 更職 業 への 移 行 能 力 開 発 への進 学 教 福 そ育 祉 の調 査 時 点 の 概 況 一 障 一 障 機 施 他般 害 般 害 関 設雇 者 職 者 へ の ア 在用 雇 業 職 の 利 ル 宅内 用 能 業 進 用 バ 不上 の 上 に 力 能 学 イ 明段 移 段 よ 開 力 上 トは 行 は る 発 開 段 は初 初 移 校 発 は 内卒 業 時 点 の 進 路 先 職 職 行 へ 校 継 数継 継 進 の 継 の 続続 続 学 続職 業 への 移 行一 般 扱 いの 雇 用 による 移 行 18障 害 者 雇 用 による 移 行 13()()()()81 2 7 (4)112職 業 能 力 開 発一 般 職 業 能 力 開 発 校 への 進 学 0への 進 学 9障 害 者 職 業 能 力 開 発 校 への 進 学 571 41 1 5教 育 機 関 への 進 学 1525 1 1 6福 祉 施 設 の 利 用 282251その 他 231 4 2 3 13(2)退 学 44合 計 158 16 66 0 9 4 27 36上 段 : 卒 業 時 からの 継 続 / 下 段 : 進 路 先 からの 進 路 変 更 /(アルバイト)一 方 、 職 業 リハビリテーションサイドからみれば、 卒 業 生 の 進 路 並 びに 卒 業 後 の 進 路 については、 極 めて特 徴 的 な 指 導 の 成 果 からみた 結 論 として、 以 下 の 3 点 が 指 摘 された。1 通 常 教 育 に 在 籍 している 発 達 障 害 者 にとって、 在 学 中 に 障 害 特 性 を 踏 まえた 的 確 な 就 労 支 援 を 得 られない 場 合 、ニートやひきこもりに 分 類 される 対 象 者 群 になる 可 能 性 を 含 んでいる。彼 らを「 職 リハサービスを 選 択 していない 若 者 」ととらえて 特 性 を 理 解 することが 必 要 である。2 職 業 リハビリテーションの 利 用 を 視 野 に 入 れた 在 学 中 の 計 画 的 ・ 系 統 的 な 進 路 指 導 が 必 要 である。職 業 リハビリテーションの 利 用 を 選 択 するうえで、また 選 択 後 においても、 障 害 受 容 や 職 業 準 備 の 未 達成 課 題 は 重 点 的 な 指 導 ・ 援 助 の 課 題 となる。 学 校 の 指 導 が 進 路 の 選 択 決 定 に 実 質 的 に 寄 与 する 条 件 は 以下 の 通 りである。1) 生 徒 の 特 性 を 的 確 に 理 解 した 指 導 体 制 があること( 客 観 的 な 職 業 適 性 評 価 並 びに 模 擬 的 活 動 場 面 での 観 察 評 価 が 必 要 である)2) 職 業 適 応 ・ 職 場 適 応 の 視 点 から 生 徒 の 特 性 を 評 価 し、 指 導 目 標 を 持 つ 体 制 があること( 学 業 達 成 のみの 評 価 システムは、 状 況 理 解 を 混 乱 させる)3) 本 人 並 びに 保 護 者 がそれを 受 けとめられるような 系 統 的 ・ 継 続 的 ・ 組 織 的 な 指 導 並 びに 相 談 体 制 があること( 体 験 的 に 評 価 をフィードバックできるシステムが 重 要 である)4) 在 学 中 から 卒 業 後 への 移 行 支 援 計 画 を 提 案 できる 指 導 体 制 があること(この 場 合 の 移 行 支 援 の 目 標 は、 自 己 理 解 の 深 化 と 職 業 生 活 設 計 の 見 直 しにある。また、ケースによっては、サービスの 利 用 のために 障 害 者 手 帳 の 取 得 を 促 すことが必 要 である)3 発 達 障 害 者 が 支 援 機 関 から 離 れる 時 期 や 期 間 を 規 定 する 要 因 としては、 本 人 の 障 害 に 対 する 構 えの 問 題と 特 性 理 解 の 問 題 があげられる。また、 支 援 機 関 から 離 れて 孤 立 するといった 事 態 は、 以 下 のいずれの進 路 先 においても 起 こる 可 能 性 があるという 理 解 が 必 要 である。- 20 -─ 20 ─


1) 進 路 先 未 決 定 ( 卒 業 時 )は、そのまま 継 続 することが 多 い( 移 行 期 の 長 期 化 )2) 一 般 扱 いで 採 用 されたとしても 継 続 困 難 となることが 多 い( 移 行 先 における 不 適 応 )3) 進 学 先 において 問 題 が 明 確 化 する( 移 行 先 からの 移 行 の 失 敗 ・ 移 行 の 先 送 り)4) 進 学 先 卒 業 時 の 進 路 先 未 決 定 をそのまま 継 続 する( 進 路 先 における 移 行 期 の 長 期 化 )5) 障 害 者 職 業 能 力 開 発 校 から 離 脱 することがある( 進 路 先 における 準 備 並 びに 支 援 不 足 )また、 卒 業 生 の 移 行 経 路 の 追 跡 調 査 結 果 からみた 在 学 中 の 進 路 指 導 の 機 能 ( 試 行 の 成 果 )は、 以 下 のようにとりまとめられた。(1) 生 徒 理 解 : 障 害 のとらえ 方 を 見 直 す1 生 徒 は 障 害 とどう 向 きあうか2 学 校 は 障 害 をどのようにとらえることを 求 められるか(2) 生 徒 理 解 と 進 路 情 報 : 希 望 と 現 実 / 就 業 可 能 性 のとらえ 方 を 見 直 す1 就 業 可 能 性 に 注 目 する2 職 場 に 適 応 するうえでの 問 題 を 把 握 する3 主 観 的 評 価 と 客 観 的 評 価 のギャップに 注 目 する(3) 生 徒 理 解 と 啓 発 的 経 験 : 職 場 体 験 ・ 実 習 を 見 直 す1 「 働 く」を 選 択 するための 場 面 と 位 置 づける2 「できないことをできないと 受 けとめる」 場 面 と 位 置 づける(4) 生 徒 理 解 と 進 路 相 談 : 職 業 評 価 の 結 果 をフィードバックする1 進 路 変 更 を 支 える2 障 害 理 解 / 障 害 受 容 を 支 える3 精 神 的 安 定 を 支 える4 家 族 を 支 える(5) 進 路 の 選 択 決 定 : 選 択 する 支 援 の 選 択 肢 を 見 直 す1 職 業 リハビリテーションの 架 け 橋 の 役 割 を 学 校 が 担 う2 生 徒 が 職 業 リハビリテーションを 選 択 することを 支 援 する(6)フォローアップ: 進 路 先 での 定 着 における 問 題 を 共 有 する*6こうした 試 行 の 結 果 、 現 在 では、 職 業 適 性 の 評 価 は 進 路 指 導 に 必 須 の 機 能 であると 位 置 づけられており、教 育 相 談 及 び 評 価 を 担 当 するスクールカウンセラー( 臨 床 心 理 士 及 び 学 校 教 育 士 ( 非 常 勤 職 員 ))が 精 神 保健 福 祉 士 の 資 格 を 有 する 常 勤 の 教 員 とともに 進 路 相 談 にあたる 体 制 がとられている。こうした 好 事 例 からの 知 見 を 踏 まえ、 本 研 究 では、 高 等 教 育 機 関 において、 適 性 に 即 した 進 路 支 援 がどのように 構 想 できるか、という 視 点 で 現 状 と 課 題 を 検 討 することになる。【 卒 業 後 の 進 路 変 更 の 支 援 について: 適 性 評 価 の 実 施 に 基 づく 進 路 相 談 】通 常 教 育 に 在 籍 した 発 達 障 害 のある 若 者 の 場 合 、 進 学 もしくは 一 般 扱 いの 就 職 を 進 路 目 標 におく 進 路 指 導はあっても、 職 業 リハビリテーション・サービスの 利 用 を 職 業 選 択 の 選 択 肢 として 提 案 する 情 報 提 供 が 組 織的 に 行 われることは 極 めて 少 ない。また、 発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 においては、 職 業 リハビリテーションと 連携 する 教 育 ・ 福 祉 ・ 医 療 ・デイケア 等 の 支 援 体 制 の 整 備 にも 課 題 が 大 きい。 診 断 基 準 や 診 断 体 制 の 整 備 をも組 み 込 んだ 具 体 的 ・ 効 果 的 な 支 援 モデルの 検 討 ・ 普 及 が 急 がれる。こうした 仕 組 みを 構 想 する 場 合 、 以 下 の*6 1 雇 用 対 策 上 の 障 害 ( 知 的 障 害 )の 適 用 可 能 性 についての 検 討 ( 知 能 検 査 / 一 般 職 業 適 性 検 査 ( 器 具 検 査 ))2 作 業 遂 行 に 求 められる 特 性 についての 検 討 ( 作 業 速 度 : 一 般 職 業 適 性 検 査 ( 器 具 検 査 )/ 一 般 職 業 適 性 検 査 ( 紙 筆 検 査 :ただし、IQ65 以 上 の 場 合 ), 作 業 の 正 確 さ:フロスティッグ 視 知 覚 発 達 検 査 /ベンダー・ゲシュタルト・テスト,なお、 作 業 態度 については、「 注 意 検 査 」「 内 田 クレペリン 精 神 検 査 」などの 実 施 が 考 えられるが、 併 せて、 行 動 観 察 を 実 施 する)3 対 人 関 係 能 力 についての 検 討 対 人 関 係 能 力 に 関 する 問 題 では、 行 動 観 察 が 重 要 であるが、 必 要 に 応 じて、 以 下 の 項 目 に 関しても 評 価 することとした( 言 語 理 解 能 力 /コミュニケーション・スキル/ 日 常 生 活 スキル( 日 常 生 活 におけるマナー)/ 社 会的 ルールの 遵 守 , 対 人 関 係 に 関 する 評 価 には、 職 場 適 応 の 観 点 から、 自 らの 作 業 遂 行 力 について 適 正 な 理 解 をしているかどうかについての 検 討 、また、 他 者 感 情 の 受 信 の 問 題 についての 評 価 として「F&T 感 情 識 別 検 査 」)。- 21 -─ 21 ─


ような 条 件 を 整 備 することが 急 務 であるとした。1) 一 般 扱 いの 求 職 活 動 に 問 題 を 抱 える 若 者 たちが、 通 常 、 利 用 するシステムであること( 障 害 者 を 専 門 的 に 対 象 としたシステムは、この 場 合 適 切 ではない)2) 客 観 的 な 職 業 適 性 評 価 ができるシステムであること( 自 己 評 価 のみの 評 価 システムは、 状 況 理 解 を 混 乱 させるだけである)3) 体 験 的 に 評 価 をフィードバックできるシステムであること( 模 擬 的 活 動 場 面 で 観 察 評 価 をすることが 必 要 である)4) 必 要 に 応 じ、 長 期 にわたる 相 談 活 動 が 継 続 できるシステムであること(この 場 合 の 目 標 は、 自 己 理 解 の 深 化 と 職 業 生 活 設 計 の 見 直 しにある。ただし、否 定 的 な 経 験 の 積 み 重 ねにより、 臨 床 的 なカウンセリングが 必 要 になる 場 合 がある)5) 1)~ 4) により、 適 宜 、 職 業 リハビリテーションとの 連 携 ができるシステムであること学 校 教 育 を 卒 業 後 に 進 路 変 更 を 行 う 場 合 においても、 適 性 評 価 に 基 づく 計 画 的 ・ 継 続 的 かつ 長 期 的 な 相 談が 求 められる。こうした 知 見 を 踏 まえ、 本 研 究 では、 必 要 に 応 じて 職 業 リハビリテーションの 利 用 を 提 案 する 役 割 が 若 年 就 労 支 援 機 関 において、どのように 構 想 できるか、という 視 点 で 検 討 することになる。3. 課 題 解 明 の 方 法若 年 就 労 支 援 機 関 における 対 象 者 の 利 用 状 況 並 びに 支 援 の 課 題 、 支 援 体 制 について 把 握 することを 目 的 として「 若 年 者 就 労 支 援 機 関 における 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 調 査 」 及 び「 高 等 教 育 機関 における 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・ 実 施 することとした。 次 いで、 職業 リハビリテーション 機 関 における 利 用 者 の 利 用 状 況 並 びに 地 域 の 社 会 資 源 における 連 携 体 制 を 把 握 することを 目 的 として「 発 達 障 害 のある 若 者 の 就 労 支 援 施 設 利 用 状 況 に 関 する 調 査 」を 企 画 ・ 実 施 することとした。そのうえで、 好 事 例 の 収 集 ・ 分 析 を 行 うこととした。(1) 若 年 者 就 労 支 援 機 関 等 調 査調 査 対 象 1 若 年 就 労 支 援 機 関 *7 314 箇 所 ( 若 年 コミュニケーション 能 力 要 支 援 者 就 職 プログラム 実 施ハローワーク 57 所 、 新 卒 応 援 プログラム 実 施 ハローワーク 59 所 、 地 域 若 者 サポートステーション 110 所 、ジョブカフェ 88 所 )。2 高 等 教 育 機 関 学 生 相 談 室 等 300 箇 所 (GP *8 実 施 32 箇 所 ・ 無 作 為 抽 出 268 箇 所 )*7 若 年 コミュニケーション 能 力 要 支 援 者 就 職 プログラム:ハローワークにおいて、 発 達 障 害 等 の 要 因 により、コミュニケーション 能 力 に 困 難 を 抱 えている 求 職 者 について、その 希 望 や 特 性 に応 じた 専 門 支 援 機 関 に 誘 導 するとともに、 障 害 者 向 けの 専 門 支 援 を 希 望 しない 者 については、 専 門 的 な 相 談 、 支 援 を 実 施 する。 平 成 19年 から 段 階 的 に 設 置 。新 卒 応 援 プログラム:厳 しい 就 職 環 境 、 雇 用 情 勢 が 見 込 まれる 中 、 新 卒 者 ・ 若 年 者 対 策 を 強 化 するために、「 新 卒 応 援 ハローワーク」においてワン・ストップ・サービスを 推 進 する。 対 象 は 大 学 等 の 卒 業 年 次 ( 大 学 は4 年 生 、 短 大 は2 年 生 など)に 在 学 、 既 卒 3 年 以 内 の 卒 業 生 および 新 卒応 援 ハローワークでの 支 援 を 希 望 する 高 校 生 および 既 卒 者 。地 域 若 者 サポートステーション:ニート 等 の 若 者 の 自 立 を 支 援 するために、 地 方 自 治 体 、 民 間 団 体 との 協 働 により、 若 者 自 立 支 援 ネットワークを 構 築 するとともに、個 別 ・ 継 続 的 な 相 談 、 各 種 セミナー、 職 業 体 験 など 総 合 的 な 支 援 を 行 う 厚 生 労 働 省 委 託 事 業 。 対 象 は 若 者 全 般 。 平 成 18 年 より 実 施 。ジョブカフェ:正 式 名 称 は「 若 年 者 のためのワンストップサービスセンター」。 若 者 が 自 分 に 合 った 仕 事 を 見 つけるためのいろいろなサービスを1か 所 で、 受 けられる 場 所 として47 都 道 府 県 が 設 置 。ハローワークを 併 設 している 所 もある。*8 文 部 科 学 省 では、「Good Practice」をキーワードとして、 教 育 の 質 向 上 に 向 けた 取 組 や 政 策 課 題 対 応 型 の 優 れた 取 組 など、 大 学 における 学 生 教 育 の 質 の 向 上 を 目 指 す 個 性 ・ 特 色 のある 優 れた 取 組 を 選 び、その 取 組 をサポートしている。これらのサポートのためのプログラムとして、「 特 色 ある 大 学 教 育 支 援 プログラム( 特 色 GP)」と「 現 代 的 教 育 ニーズ 取 組 支 援 プログラム( 現 代 GP)」 及 び「 質 の 高 い 大 学 教 育 推 進 プログラム( 教 育 GP)」を 実 施 している。 国 際 機 関 の 報 告 書 などで「 優 れた 取 組 」という 意味 で 幅 広 く 使 われており、 諸 外 国 の 大 学 教 育 改 革 でも 注 目 されている 用 語 。- 22 -─ 22 ─


調 査 時 点 : 平 成 23 年 10 月 1 日 現 在調 査 方 法 : 質 問 紙 調 査 /ヒアリング 調 査調 査 内 容 : 利 用 者 の 状 況 ( 発 達 障 害 のある 若 者 の 診 断 ・ 障 害 理 解 等 )コミュニケーション・ビジネスマナー・ 暗 黙 のルール 等 の 支 援 の 課 題機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題 / 関 係 機 関 等 との 連 携 の 現 状(2) 職 業 リハビリテーション 機 関 調 査調 査 対 象 1 障 害 者 就 業 ・ 生 活 支 援 センター 311 箇 所2 地 域 障 害 者 職 業 センター 52 箇 所調 査 時 点 : 平 成 24 年 3 月 31 日 現 在調 査 方 法 : 質 問 紙 調 査調 査 内 容 : 対 象 者 の 関 係 機 関 の 利 用 状 況 ・ 他 機 関 との 連 携 状 況 と 課 題 ・チーム 支 援 の 実 施 状 況地 域 における 社 会 資 源 の 整 備 に 対 する 期 待(3) 若 年 就 労 支 援 機 関 等 ヒアリング 調 査下 記 の 通 り、 若 年 就 労 支 援 機 関 等 調 査 において、ヒアリングへの 同 意 が 得 られた 機 関 等 に 協 力 依 頼 を 行 い、専 門 家 ヒアリングを 実 施 した( 敬 称 略 : 機 関 別 実 施 順 )。発 達 障 害 のある 利 用 者 に 対 する 支 援 の 課 題 や 機 関 連 携 に 関 する 聴 き 取 り 調 査 により、 先 行 研 究 で 導 かれた要 件 を 検 討 するとともに 好 事 例 の 収 集 ・ 分 析 を 行 った。高 等 教 育 機 関 : 西 村 優 紀 美 ( 富 山 大 学 トータルコミュニケーション 支 援 室 発 達 障 害 者 支 援 チーフ)村 田 淳 ( 京 都 大 学 障 害 学 生 支 援 室 障 害 学 生 コーディネーター)若 年 支 援 機 関 : 湯 浅 知 治 ( 立 川 公 共 職 業 安 定 所 就 職 支 援 ナビゲーター)樋 口 留 美 ( 大 分 公 共 職 業 安 定 所 就 職 促 進 指 導 官 )神 野 智 恵 子 ( 愛 知 公 共 職 業 安 定 所 主 幹 )北 川 美 穂 ( 大 阪 東 公 共 職 業 安 定 所 就 職 支 援 ナビゲーター)福 原 理 佳 ( 阿 倍 野 公 共 職 業 安 定 所 就 職 支 援 ナビゲーター)坂 本 美 紀 ( 仙 台 公 共 職 業 安 定 所 就 職 支 援 ナビゲーター)長 谷 川 晃 (あだち 若 者 サポートステーション 総 括 コーディネーター)多 々 良 友 美 (おおいた 地 域 若 者 サポートステーション 総 括 コーディネーター)岡 崎 剛 ( 東 大 阪 若 者 サポートステーション 臨 床 心 理 士 )松 井 直 美 (せんだい 若 者 サポートステーション 総 括 コーディネーター)佐 藤 明 美 (あいち 若 者 職 業 支 援 センター 臨 床 心 理 士 )小 山 清 治 (みやぎ 若 年 者 就 職 支 援 センター キャリアカウンセラー)富 田 幸 子 ( 広 島 県 若 者 就 業 サポートセンター アドバイザー)横 田 裕 幸 ( 大 阪 府 総 合 労 働 事 務 所 職 業 カウンセリングセンター 総 括 主 査 )山 本 公 子 ( 心 とキャリアのカウンセリングオフィス 結 代 表 )職 リハ 機 関 : 小 田 訓 ( 障 害 者 職 業 総 合 センター 職 業 センター 企 画 課 係 長 )本 報 告 書 は 2 部 で 構 成 されている。第 Ⅰ 部 では、 実 態 調 査 からみた 支 援 の 現 状 と 課 題 をとりまとめる。ここでは、 若 年 者 就 労 支 援 機 関 及 び 高等 教 育 機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題 ( 第 1 章 )と 職 業 リハビリテーション 機 関 における 支 援 の 現 状 と 課 題( 第 2 章 ) の 結 果 に 基 づき、 機 関 連 携 の 課 題 の 検 討 を 行 う。また、 若 年 支 援 機 関 調 査 におけるコミュニケ- 23 -─ 23 ─


ーション 及 びビジネスマナーに 関 する 回 答 については、 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №101 でとりまとめた 企 業 調 査 結 果 との 比 較 検 討 を 行 い、 就 労 ・ 定 着 支 援 の 課 題 からみた 若 年 支 援 機 関 における 支 援 の課 題 の 分 析 を 行 う( 第 3 章 )。第 Ⅱ 部 では、ヒアリング 調 査 からみた 支 援 体 制 の 現 状 と 今 後 の 展 望 をとりまとめる。ここでは、 若 年 就 労支 援 機 関 を 中 心 とした 支 援 体 制 ( 第 1 章 )、 高 等 教 育 機 関 における 支 援 体 制 ( 第 2 章 )、 及 び、 若 年 支 援 と専 門 支 援 をつなぐ 役 割 ( 第 3 章 )において、 発 達 障 害 者 の 円 滑 な 移 行 を 支 える 体 制 整 備 に 関 する 検 討 を 行 う。最 後 に、 第 Ⅰ 部 と 第 Ⅱ 部 の 結 果 をまとめて 総 括 を 行 う。文 献独 立 行 政 法 人 日 本 学 生 支 援 機 構 2012 平 成 23 年 度 (2011 年 度 ) 大 学 、 短 期 大 学 及 び 高 等 専 門 学 校 における 障 害 のある 学 生 の 修 学 支 援 に 関 する 実 態 調 査 結 果 報 告 書http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/documents/report_h23.pdf厚 生 労 働 省 発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/06d.html厚 生 労 働 省 社 会 ・ 援 護 局 障 害 保 健 福 祉 部 長 ( 通 知 )2011 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 制 度 実 施 要 領 の 一 部 改訂 について 障 発 0113 第 1 号 , 平 成 23 年 1 月 13 日國 平 揺 ・ 千 住 淳 ・ 長 谷 川 寿 一 ・ 若 林 明 雄 2003 健 常 成 人 に 見 られる 自 閉 症 的 傾 向 の 個 人 差 - 気 質 ・ 心 理的 適 応 ・ 認 知 機 能 との 関 連 - 自 閉 症 スペクトラム 研 究 第 2 巻 21-30.井 上 勝 夫 2011 大 人 の PDD 診 断 はどうあるべきか …… PDD の 特 性 診 断 と probable PDD …… 特 集: 大 人 において 広 汎 性 発 達 障 害 をどう 診 断 するか 精 神 神 経 学 雑 誌 113 巻 11 号 1130-1136文 部 科 学 省 学 校 基 本 調 査 - 平 成 23 年 度 版 ( 確 定 値 ) 結 果 の 概 要 -http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1315581.htm文 部 科 学 省 ・ 厚 生 労 働 省 事 務 次 官 ( 通 知 )2005 「 発 達 障 害 者 支 援 法 の 施 行 について」 17 文 科 発 第 16 号・ 厚 生 労 働 省 発 障 第 0401008 号障 害 者 職 業 総 合 センター 2000 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 № 38 「「 学 習 障 害 」を 主 訴 とする 者 の 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究 (その1)- 職 業 リハビリテーションの 支 援 を 利 用 した 事 例 に 基 づく 検 討 -」障 害 者 職 業 総 合 センター 2004 障 害 者 職 業 総 合 センター 調 査 研 究 報 告 書 №56 「「 学 習 障 害 」を 主 訴 とする者 の 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究 (その2)- 青 年 期 における 状 態 像 の 詳 細 区 分 に 基 づく 検 討 -」障 害 者 職 業 総 合 センター 2006 調 査 研 究 報 告 書 № 71 軽 度 発 達 障 害 のある 若 者 の 学 校 から 職 業 への 移 行支 援 の 課 題 に 関 する 研 究障 害 者 職 業 総 合 センター 2009 調 査 研 究 報 告 書 № 88 発 達 障 害 者 の 就 労 支 援 の 課 題 に 関 する 研 究障 害 者 職 業 総 合 センター 2011 調 査 研 究 報 告 書 № 101 発 達 障 害 者 の 企 業 における 就 労 ・ 定 着 支 援 の 現 状と 課 題 に 関 する 基 礎 的 研 究障 害 者 職 業 総 合 センター 2012 リーディングス 職 業 リハビリテーション 1 発 達 障 害 のある 人 がよりよい就 労 を 続 けるために…… 障 害 者 職 業 総 合 センターにおける 発 達 障 害 研 究 の 歩 み……竹 中 均 2008 学 歴 社 会 とピストル 『 自 閉 症 の 社 会 学 ……もう 一 つのコミュニケーション 論 』 第 11 章p.226, 世 界 思 想 社東 條 吉 邦 2005 高 機 能 自 閉 症 、アスペルガー 症 候 群 、 自 閉 症 スペクトラムの 概 念 と 支 援 の 課 題職 リハネットワーク №56 17-21.若 林 明 雄 2003 自 閉 症 スペクトラム 指 数 (AQ) 日 本 語 版 について: 自 閉 症 傾 向 の 測 定 による 自 閉 性 障 害の 診 断 の 妥 当 性 と 健 常 者 における 個 人 差 の 検 討 平 成 14 年 度 科 学 研 究 費 補 助 金 ( 基 礎 研 究 (B)(2))「 自 閉 症 児 ・ADHD 児 における 社 会 的 障 害 の 特 徴 と 教 育 支 援 に 関 する 研 究 」 報 告 書 国 立 特 殊 教 育 総 合研 究 所 ( 東 條 吉 邦 編 集 )47-52.- 24 -─ 24 ─

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