11.07.2015 Views

Download DocumentTo Search and Print - Tobacco Control Laws

Download DocumentTo Search and Print - Tobacco Control Laws

Download DocumentTo Search and Print - Tobacco Control Laws

SHOW MORE
SHOW LESS

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

平 成 16 年 (ワ) 第 15532 号 損 害 賠 償 請 求 事 件 判 決 要 旨判 決 言 渡 日 時 ・ 場 所 : 平 成 17 年 12 月 20 日 午 後 1 時 15 分 709 号 法 廷判 決 裁 判 所 : 東 京 地 裁 民 事 第 12 部裁 判 長 裁 判 官 柴 田 寛 之 , 裁 判 官 飯 塚 圭 一 , 裁 判 官 目 黒 大 輔【 主 文 】1 原 告 らの 請 求 をいずれも 棄 却 する。2 訴 訟 費 用 は 原 告 らの 負 担 とする。【 事 案 の 概 要 】タクシーの 乗 務 員 又 は 利 用 者 である 原 告 らが, 被 告 ( 国 )に 対 し, 被 告 がタクシー 車 内 での 乗 客 や 乗 務 員 の 喫 煙 を 防 止 すべき 措 置 を 怠 ったことにより 原 告 らにおいて 受 動 喫 煙 を 余 儀 なくされ, 健 康 被 害 や 精 神 的 苦 痛 を 被 り,あるいは,たばこ 煙 に 汚 染 されていない 空 気 を 吸 う 権 利 や 公 共 交 通 機 関 であるべきタクシーを 利用 する 権 利 が 侵 害 されたとして, 国 家 賠 償 法 1 条 1 項 に 基 づき, 損 害 賠 償 として慰 謝 料 (タクシー 乗 務 員 である 原 告 安 井 幸 一 に 対 して1000 万 円 , 原 告 平 田 信夫 に 対 して100 万 円 , 原 告 大 畠 英 樹 に 対 して30 万 円 ,タクシー 利 用 者 であるその 余 の 原 告 ら23 人 に 対 し10 万 円 ずつ)の 支 払 を 求 めている 事 案 。


【 主 たる 争 点 】1 被 告 の 規 制 権 限 の 有 無 及 び 規 制 権 限 不 行 使 の 違 法 性(1) 国 土 交 通 大 臣 ( 運 輸 大 臣 )において,タクシー 車 内 での 乗 務 員 及 び 乗 客 の喫 煙 を 全 面 的 に 禁 止 する 標 準 運 送 約 款 ( 禁 煙 約 款 )を 策 定 し,これに 反 する 約 款を 認 めず,これに 違 反 しタクシー 車 内 での 喫 煙 を 許 容 した 事 業 者 に 対 し 指 導 ・ 監督 を 行 うなどの 規 制 権 限 が 存 在 したか。(2) 厚 生 労 働 大 臣 ( 厚 生 大 臣 , 労 働 大 臣 )において, 国 土 交 通 大 臣 ( 運 輸 大 臣 )に 対 してタクシー 車 内 を 全 面 禁 煙 化 をするなどの 措 置 を 講 ずるように 働 きかけたり, 自 らタクシー 事 業 者 を 指 導 する 義 務 ( 規 制 権 限 )が 存 在 したか。2 行 政 指 導 不 作 為 の 違 法 性国 が,タクシー 事 業 者 に 対 して 禁 煙 約 款 を 策 定 するよう 行 政 指 導 しなかったことが 違 法 とされるか。【 原 告 ら 主 張 の 骨 子 】1 規 執 権 限 に 関 する 主 張 について(1) 国 土 交 通 大 臣 ( 運 輸 大 臣 )には, 国 土 交 通 省 設 置 法 ( 運 輸 省 設 置 法 )4 条 ,道 路 運 送 法 4 条 ,11 条 3 項 ,1 項 ,28 条 2 項 ,40 条 ,タクシー 業 務 適 正 化


特 別 措 置 法 3 条 ,4 条 ,9 条 に 基 づき, 「タクシー 車 内 での 乗 務 員 及 び 乗 客 の喫 煙 を 全 面 的 に 禁 止 する 標 準 運 送 約 款 を 策 定 し,これに 反 する 約 款 を 認 めず,これに 違 反 しタクシー 車 内 での 喫 煙 を 許 容 した 事 業 者 に 対 し 指 導 監 督 を 行 うなどの規 制 権 限 」が 存 在 する。(2) 厚 生 労 働 大 臣 ( 厚 生 大 臣 , 労 働 大 臣 )には, 厚 生 労 働 省 設 置 法 3 条 ,4 条( 厚 生 省 設 置 法 4 条 1 項 ,5 条 4 号 ), 労 働 省 設 置 法 3 条 に 基 づき, 国 土 交 通 大臣 ( 運 輸 大 臣 )に 対 し,タクシー 全 面 禁 煙 化 をするなどの 措 置 を 講 ずるように 働きかけたり, 自 らタクシー 事 業 者 に 対 し,タクシー 車 内 を 全 面 禁 煙 化 をするなどの 指 導 する 義 務 ( 規 制 権 限 )が 存 在 する。2 行 政 指 導 に 関 する 主 張 について規 制 権 限 に 関 する 直 接 の 明 文 規 定 が 存 在 しなくても, 条 理 上 から 行 政 指 導 の 作為 義 務 が 生 じる 場 合 があり 得 ることについては,その 要 件 について 判 例 ・ 学 説 上諸 説 あるものの 争 いはない。本 件 においても, 被 告 国 ( 具 体 的 には 国 土 交 通 大 臣 )に 規 制 権 限 を 定 める 明 文の 規 定 の 有 無 などという 形 式 論 ではなく, 被 侵 害 法 益 の 重 大 性 ( 受 動 喫 煙 自 体 あるいは 受 動 喫 煙 自 体 を 原 因 とする 交 通 事 故 などによる 生 命 ・ 身 体 ・ 健 康 への 被 害 )や 結 果 回 避 の 可 能 性 などの 実 質 が 具 体 的 に 検 証 されなければならない。【 当 裁 判 所 の 判 断 】


1 規 制 権 限 に 関 する 主 張 について(1) 国 家 賠 償 法 1 条 1 項 にいう「 違 法 」とは, 公 務 員 が 個 別 の 国 民 に 対 して 負担 する 職 務 上 の 法 的 義 務 に 違 背 することをいい( 最 高 裁 昭 和 60 年 11 月 21 日第 一 小 法 廷 判 決 ・ 民 集 39 巻 7 号 1512 頁 参 照 ), 規 制 権 限 の 不 行 使 という 不作 為 が 国 家 賠 償 法 上 達 法 であるというためには, 当 該 公 務 員 が 規 制 権 限 を 有 し,規 制 権 限 の 行 使 によって 受 ける 国 民 の 利 益 が 国 家 賠 償 法 上 保 護 される 利 益 ( 反 射的 利 益 ではない)であることに 加 えて, 上 記 権 限 不 行 使 によって 損 害 を 受 けたと主 張 する 特 定 の 国 民 との 関 係 において, 当 該 公 務 員 が 規 制 権 限 を 行 使 すべき 義 務( 作 為 義 務 )が 認 められ, 上 記 作 為 義 務 に 違 反 することが 必 要 である。(2)しかしながら, 原 告 らの 規 制 権 限 の 根 拠 として 主 張 する 各 法 条 は,いずれも 原 告 主 張 のような 規 制 をする 権 限 の 根 拠 となるものではない。2 行 政 指 導 に 関 する 主 張 について(1) 国 には 原 告 らの 主 張 するような 規 制 権 限 は 存 在 しないのであり,それにもかかわらず,タクシー 乗 務 員 である 原 告 らや,たばこの 煙 で 汚 染 されていないきれいな 空 気 を 吸 う 権 利 を 有 し,その 権 利 が 喫 煙 タクシー 利 用 によって 侵 害 されると 主 張 する 個 々の 国 民 である 利 用 者 原 告 らに 対 する 関 係 で, 国 において 原 告 らが主 張 するような 行 政 指 導 を 行 う 義 務 が 生 じ,かつ,その 行 政 指 導 の 不 作 為 が 損 害賠 償 義 務 を 発 生 させるということは, 相 手 方 の 任 意 の 協 力 によってのみ 実 現 される 行 政 指 導 の 性 格 上 ,これを 認 めることはできないというべきである。


(2)もっとも,タクシー 乗 務 員 の 場 合 , 分 煙 が 不 可 能 な 狭 い 密 閉 されたタクシー 内 で 乗 客 の 吸 ったたばこの 副 流 煙 を 恒 常 的 に 吸 わされることになり,その 健 康に 及 ぼす 影 響 は 看 過 しがたいものがあると 認 められる。そして,タクシー 事 業 者 としては,タクシー 乗 務 員 に 対 し 受 動 嘆 煙 の 危 険 性から 生 命 及 び 健 康 を 保 護 するよう 配 慮 すべき 安 全 配 慮 義 務 を 負 っており,その 義務 を 尽 くすためには, 禁 煙 タクシーの 導 入 及 び 普 及 が 図 ることが 望 ましいが,これまで, 禁 煙 タクシーの 普 及 は, 喫 煙 者 のタクシー 利 用 を 阻 害 し,ひいては 競 争が 激 しいタクシー 事 業 者 間 の 競 争 力 を 低 下 させるとの 懸 念 などから, 他 の 公 共 交通 機 関 の 禁 煙 化 に 比 べて 著 しく 遅 れていることが 認 められ,タクシー 事 業 者 の 自主 性 に 任 せていたのでは,その 早 急 な 改 善 は 困 難 であると 考 えられる。そうすると, 禁 煙 タクシーの 普 及 に 対 する 国 による 適 切 な 対 応 が 期 待 されるところ,タクシー 利 用 者 の 一 般 的 な 乗 車 時 問 や 利 用 頻 度 を 考 えると, 全 面 的 に 禁 煙 化 しても,その 円 滑 な 利 用 に 支 障 を 生 ずるとは 考 えにくい 一 方 , 禁 煙 タクシーの 利 用 を 望 む利 用 者 の 立 場 に 立 つと, 禁 煙 タクシーを 円 滑 に 利 用 できるようにするためには,タクシーの 全 面 禁 煙 化 が 望 ましい。しかしながら,このような 事 情 があるにせよ, 上 記 (1)で 述 べた 理 由 に加 え,タクシー 内 での 喫 煙 を 禁 止 しないことは, 第 一 次 的 にはタクシー 事 業 者 と乗 務 員 との 労 働 契 約 に 基 づく 安 全 配 慮 義 務 との 関 係 で 問 題 とされるべきものであることからすれば, 国 が 乗 務 員 原 告 らとの 関 係 でタクシーの 全 面 禁 煙 化 に 必 要 な約 款 を 定 めるよう 行 政 指 導 をするべき 作 為 義 務 を 負 い,これを 行 使 しないことに


よって, 喫 煙 による 副 流 煙 を 吸 う 乗 務 員 原 告 らに 対 して 損 害 賠 償 義 務 を 負 うと 解することも 困 難 というべきである。以 上

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!