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乱 流 工 学<br />
機 械 工 学 系 飯 田 明 由<br />
講 義 内 容<br />
乱 流 ( 非 定 常 ランダムデータ)の 数 学 的 な 扱 い<br />
非 定 常 データの 統 計 処 理<br />
非 定 常 流 れ 計 測 の 具 体 例<br />
乱 流 の 工 学 的 応 用 1( 自 動 車 の 空 力 設 計 )<br />
乱 流 の 工 学 的 応 用 2( 空 力 騒 音 )<br />
流 体 計 測 技 術<br />
ピトー 管 , 熱 線 流 速 計 ,LDV,PIV,PSP, 可 視 化<br />
数 値 流 体 解 析 技 術<br />
2010 乱 流 工 学 2
流 体 力 学 の 研 究 アプローチ<br />
理 論 解 析<br />
モデル 化 、 数 理 化<br />
線 型 安 定 論 , 統 計 理 論<br />
乱 流 理 論 , 非 線 型 解 析<br />
….<br />
風 洞 実 験 , 水 槽 実 験<br />
, 野 外 実 験 ,PIV,<br />
LDV,HW, 可 視 化<br />
……..<br />
差 分 法 、 有 限 要 素 法<br />
、LES,DNS,オイラ<br />
ー 法 、 渦 法 、ボルツ<br />
マン….<br />
現 象 の 発 見<br />
実 験 解 析<br />
数 値 解 析<br />
現 象 解 明<br />
2010 乱 流 工 学 3<br />
実 験 流 体 力 学 の 醍 醐 味<br />
好 奇 心 、 失 敗 の 蓄 積<br />
予 測 に 反 した 結 果 : 自 然 から 学 ぶ<br />
感 性 、 驚 き:イノベーション<br />
計 測 の 原 理 を 知 る<br />
生 のデータから 学 ぶ<br />
流 体 現 象 の 本 質 を 学 ぶ<br />
北 海 道 工 業 大 学 豊 田 先 生 のスライドから<br />
2010 乱 流 工 学 4
レオナルド・ダビンチ<br />
• 水 流 や 渦 の 詳 細 なスケッチ<br />
•ヘリコプターや<br />
飛 行 機 の 原 理<br />
• 渦 の 中 心 と 周 囲 の 違 い<br />
1452-1519<br />
2010 乱 流 工 学 5<br />
非 定 常 ランダムデータの 数 学 的 な 扱 い<br />
2010 乱 流 工 学 6
非 定 常 ランダムデータ<br />
時 間 とともに 変 動 する 流 れを「 非 定 常 流 」と 呼 ぶ. 低 Re 数 流 れを 除<br />
けば, 工 学 上 重 要 な 流 れはほとんどが 非 定 常 流 である.<br />
• 変 動 する 流 体 力 が 構 造 物 に 強 い 力 を 及 ぼす<br />
橋 梁 や 超 高 層 建 築 物 などの 構 造 物 の 渦 励 振 ,Flutter, Galloping..<br />
• 熱 伝 達 や 物 質 拡 散 が 桁 違 いに 促 進 されることがある<br />
2010 乱 流 工 学 7<br />
層 流 と 乱 流<br />
非 定 常 流 は 定 常 流 からの 類 推 を 使 うと 理 解 しやすいが, 非 定 常 流<br />
特 有 の 性 質 には 十 分 注 意 しなければならない. 複 雑 な 非 定 常 流 ( 乱<br />
流 )は 直 感 的 な 理 解 が 大 変 難 しい.<br />
層 流 境 界 層 層<br />
乱 流 境 界 層<br />
層 流 境 界 層 と 乱 流 境 界 層 違 いは?<br />
熱 伝 達 率 の 違 いはどこから 来 るのか?<br />
2010 乱 流 工 学 8
境 界 層 の 可 視 化 結 果<br />
乱 流 境 界 層 の 可 視 化 写 真<br />
平 均 値 から 瞬 時 値 の 構 造 を 予 測 することは 困 難<br />
平 均 値 だけで 非 定 常 データを 議 論 することはできない.<br />
2010 乱 流 工 学 9<br />
流 線 ・ 流 跡 ・ 流 脈<br />
1) 流 脈 ( streak line )<br />
特 定 の 一 点 を 通 過 した 流 体 が 描 く 線 : 煙 突 の 煙<br />
2) 流 跡 (path line)<br />
特 定 の 流 体 塊 がたどる 道 筋 を 記 録 したも: 風 船 の 軌 跡<br />
3) 流 線 (stream line)<br />
ある 時 刻 における 各 流 体 粒 子 の 速 度 ベクトルの 包 絡 線<br />
2010 乱 流 工 学 10
流 線 ・ 流 跡 ・ 流 脈 (2)<br />
t=0~5 秒 :u=1,v=1<br />
t=5~10 秒 :u=1,v=-0.5<br />
t=5 及 び10における<br />
流 線 ・ 流 脈 ・ 流 跡 は?<br />
流 脈 流 跡 流 線<br />
Y<br />
5<br />
t=5 Y<br />
5<br />
t=10<br />
5<br />
X<br />
X<br />
2010 乱 流 工 学 11<br />
ランダムデータ<br />
乱 流 のように 不 規 則 に 変 動 するランダムなデータ<br />
→ 標 本 関 数 (Sample function)<br />
ランダム 現 象 から 生 じたであろうすべての 標 本 関 数 の 集 まり<br />
→ 不 規 則 過 程 (random process)<br />
p o ,T o<br />
V<br />
R<br />
S<br />
M<br />
同 じ 実 験 を 何 度 も 繰 り 返 し, 計 測 しなければならない<br />
平 均 値 だけで 非 定 常 ランダムデータを 記 述 することはできないけれど,<br />
非 定 常 ランダムデータは 複 雑 なので, 平 均 値 も 現 象 を 理 解 する 上 で<br />
重 要 な 役 割 をはたす.<br />
2010 乱 流 工 学 12
平 均 値 の 性 質<br />
u = u +<br />
i<br />
i<br />
u<br />
i<br />
'<br />
速 度 変 動 u’の 期 待 値 は0である.<br />
u i<br />
u i<br />
u<br />
′ i = u′<br />
i( 1 u<br />
∫∫∫<br />
x1 , x2,<br />
x3,<br />
t)<br />
g(<br />
u′<br />
, x , t)<br />
d ′ = 0<br />
2010 乱 流 工 学 13<br />
ランダムデータの 平 均 値<br />
1<br />
µ = lim<br />
N<br />
N →∞<br />
N<br />
∑<br />
k = 1<br />
xk(<br />
t1)<br />
平 均 値<br />
1<br />
R( t , t1<br />
+ τ)<br />
= lim ( 1)<br />
( 1<br />
∑ xk<br />
t xk<br />
t +<br />
N<br />
1 τ<br />
N →∞<br />
N<br />
k = 1<br />
流 れA<br />
流 れB<br />
)<br />
モーメント<br />
平 均 値 は 一 緒<br />
一 般 的 な 実 験 : 時 間 平 均<br />
不 規 則 過 程 → 標 本 関 数 に 対 する 平 均 値 を 求 める 必 要 がある.<br />
2010 乱 流 工 学 14
分 散<br />
変 動 成 分 の 平 均 値 は0なので, 別 の 指 標 が 必 要 .<br />
変 動 成 分 を2 乗 して 平 均 すれば, 変 動 の 強 さを 求 めることができる.<br />
スライド9の 流 れAとBは 平 均 値 は 同 じでも 変 動 の 強 さ(パワー)は 異 なる<br />
T<br />
2<br />
ϕ 2 x(<br />
t)<br />
1<br />
= lim<br />
T →∞ T<br />
∫<br />
0<br />
物 理 的 データを 静 的 (static)な 成 分 と 動 的 (dynamic)な 成 分 に 分 けて 考 えると,<br />
staticな 成 分 は 平 均 値 で 記 述 される.<br />
一 方 , 動 的 な 成 分 は 平 均 値 との 差 の2 乗 平 均 値 で 分 散 (variance)で 記 述 される.<br />
σ<br />
T<br />
1<br />
2 ⎡<br />
⎤ 2<br />
= lim x t<br />
T T ∫<br />
( ) − µ<br />
⎢⎣<br />
⎥⎦<br />
→∞<br />
0<br />
dt<br />
流 体 力 学 では,2 乗 平 均 値 の 平 方 根 RMS 値 を 利 用 することが 多 い.<br />
RMSは 速 度 と 同 じ 次 元 を 持 つので, 平 均 速 度 で 無 次 元 化 して 表 すと<br />
どの 程 度 , 大 きな 変 動 があるのかわかりやすい.<br />
dt<br />
2010 乱 流 工 学 15<br />
エルゴート 仮 説<br />
不 規 則 過 程 {x(t)}<br />
時 間 平 均 値 μとR: 時 刻 t 1 が 変 わるとともに 変 わる 場 合<br />
→ 非 定 常 (non- stationary)<br />
μとRが 時 刻 tに 依 存 しない 場 合<br />
→ 弱 定 常 (weakly stationary)<br />
高 次 モーメントと 結 合 モーメントが 時 間 に 関 して 不 変 な 場 合<br />
→ 強 定 常 (strongly stationary)( 定 常 )<br />
不 規 則 過 程 {x(t)} 定 常 → 不 規 則 過 程 はエルゴート 的 (ergodic)<br />
エルゴート 的 な 不 規 則 過 程 はただひとつの 標 本 関 数 の 時 間 平 均<br />
からすべての 標 本 の 性 質 を 調 べることができる.<br />
2010 乱 流 工 学 16
平 均 時 間 の 重 要 性<br />
平 均 時 間 : 不 規 則 過 程 が 定 常 とみなせるように 取 る 必 要 がある.<br />
いかなる 時 間 平 均 値 も, 標 本 関 数 のアンサブル 平 均 と 等 しいという<br />
保 証 はない.<br />
非 定 常 不 規 則 過 程 であっても 十 分 長 い 平 均 時 間 をとれば,<br />
弱 エルゴート 的 ( 仮 定 )<br />
乱 流 の 統 計 解 析 においては 平 均 時 間 やデータの 取 得 時 間 は 非 常 に<br />
重 要 な 意 味 を 持 つ.<br />
よくある 間 違 い: 平 均 回 数 64 回<br />
2010 乱 流 工 学 17<br />
正 規 分 布<br />
xからx+∆xの 範 囲 のデータが 観 察 された 時 間 T x<br />
データを 観 察 した 時 間 T<br />
確 率<br />
T<br />
Prob[ x < x(<br />
t)<br />
< x + ∆x]<br />
= lim<br />
T →∞ T<br />
ランダムデータの 確 率 分 布 は 正 規 分 布 に 近 づく<br />
( 中 心 極 限 定 理 )<br />
p(<br />
x)<br />
=<br />
b<br />
x<br />
1 ⎡ ( x − a)<br />
exp⎢−<br />
2<br />
2π<br />
⎣ 2b<br />
2⎤<br />
⎥<br />
⎦<br />
2010 乱 流 工 学 18
スキューネスとクルトシス<br />
S<br />
K<br />
N<br />
1 ⎡ 1<br />
= ⎢<br />
σ<br />
∑ − 3<br />
⎣ N<br />
k =<br />
N<br />
1 ⎡ 1<br />
= ⎢<br />
σ<br />
∑ − 4<br />
⎣ N<br />
k =<br />
1<br />
0<br />
1<br />
0<br />
⎤<br />
3<br />
( xk − µ ) ⎥ ⎦<br />
⎤<br />
4<br />
( xk − µ ) ⎥ ⎦<br />
スキューネス<br />
歪 度 ( 正 規 分 布 では0)<br />
クルトシス<br />
尖 度 ( 正 規 分 布 では3)<br />
歪 度 ー<br />
尖 度 大<br />
正 規 分 布<br />
乱 流 などの 現 象 は 必 ずしも<br />
正 規 分 布 ではないこともあるが,<br />
性 質 の 良 くわかっている 正 規 分 布<br />
からのずれを 調 べることにより,<br />
現 象 を 理 解 することができる.<br />
尖 度 小<br />
2010 乱 流 工 学 19<br />
自 己 相 関 関 数<br />
1<br />
R( t , t + τ)<br />
= lim<br />
1 1<br />
T →∞ T<br />
∫<br />
0<br />
T<br />
xk(<br />
t)<br />
xk(<br />
t + τ)<br />
dt<br />
時 間 遅 れ0( 自 分 自 身 ) 相 関 100%<br />
Rij<br />
1.2<br />
1<br />
0.8<br />
0.6<br />
0.4<br />
0.2<br />
0<br />
f(r)<br />
g(r)<br />
時 間 遅 れ 大 無 関 係 相 関 0%<br />
-0.2<br />
0 1 2 3 4 5 6<br />
r<br />
小 ← 時 間 遅 れ → 大<br />
ランダムデータの 場 合 :<br />
時 間 または 測 定 位 置 が 離 れると0に 近 づく.<br />
(ランダムだから 無 関 係 )<br />
2010 乱 流 工 学 20
非 定 常 データの 統 計 処 理<br />
2010 乱 流 工 学 21<br />
スペクトル 解 析<br />
白 色 光 → プリズムによって 分 離<br />
乱 流 :たくさんの 渦 の 集 合<br />
周 波 数 の 異 なる 渦 ごとのエネルギーを 調 べる<br />
2010 乱 流 工 学 22
波 数 空 間 における 乱 流 の 性 質<br />
大 きな 渦 (エネルギーが 持 っている)<br />
等 方 性 乱 流 のように 性 質 が 良 くわ<br />
かっているスペクトルと 比 較 するこ<br />
とにより, 流 れ 場 の 性 質 を 理 解 す<br />
ることができる.<br />
現 象 理 解 に 役 立 つ<br />
小 さな 渦 ( 粘 性 により 熱 として 散 逸 )<br />
波 数 k=2πf/U<br />
( 実 験 では 周 波 数 f が 得 られることが 多 い.U は 平 均 速 度 )<br />
2010 乱 流 工 学 23<br />
フーリエ 変 換<br />
スペクトル 解 析 を 行 なうには, 非 定 常 信 号 を 周 波 数 毎 に 分 解 する<br />
必 要 がある.<br />
フーリエ 変 換 : 信 号 波 形 を 正 弦 波 の 組 み 合 わせによって 記 述<br />
フーリエ 変 換<br />
スペクトルアナライザー<br />
プリズムの 役 目 をするのがフーリエ 変 換<br />
2πt<br />
4πt<br />
6πt<br />
2nπt<br />
x( t)<br />
= b1sin<br />
+ b2sin<br />
+ b3sin<br />
+ K + bn<br />
sin + K<br />
T T T<br />
T<br />
正 弦 波 の 組 み 合 わせ( 周 波 数 , 振 幅 )で 波 形 を 記 述 する<br />
複 雑 な 波 形 を 周 波 数 と 振 幅 の2つの 量 によって 表 現 .<br />
2010 乱 流 工 学 24
フーリエ 変 換 の 例<br />
のこぎり 波 をフーリエ 変 換 で 表 す(n 次 の 級 数 で 表 す)<br />
8 ⎧ 2πt<br />
1 6πt<br />
1 10πt<br />
1 14πt<br />
⎫<br />
x(<br />
t)<br />
= ⎨sin<br />
− sin + sin − sin + K⎬<br />
π2<br />
⎩ T 32<br />
T 52<br />
T 72<br />
T ⎭<br />
1.5<br />
1.5<br />
1<br />
1 次<br />
x(t)<br />
1<br />
x(t)<br />
n=1<br />
3 次<br />
n=3<br />
0.5<br />
0.5<br />
x(t)<br />
0<br />
x(t)<br />
0<br />
-0.5<br />
-0.5<br />
-1<br />
-1<br />
-1.5<br />
-1.5<br />
-1 -0.5 0 0.5 1<br />
-1 -0.5 0 0.5 1<br />
t/T<br />
t/T<br />
x(t)<br />
1.5<br />
1.5<br />
1<br />
x(t)<br />
1<br />
x(t)<br />
5 次 7 次<br />
n=7<br />
n=5<br />
0.5<br />
0.5<br />
0<br />
0<br />
-0.5<br />
-0.5<br />
-1<br />
-1<br />
-1.5<br />
-1.5<br />
-1 -0.5 0 0.5 1<br />
-1 -0.5 0 0.5 1<br />
t/T<br />
t/T<br />
次 数 が 増 えるとより 正 確 に 記 述 できる(20 次 ~30 次 )<br />
2010 乱 流 工 学 25<br />
x(t)<br />
パワースペクトル<br />
・フーリエ 変 換 の 結 果 は 虚 数 (わかり 難 い)<br />
・フーリエ 級 数 の 絶 対 値 のパワーを 求 め, 周 波 数 毎 のパワーを<br />
比 較 するほうがわかりやすい<br />
・パワースペクトルはプリズムを 通 過 した 後 の 各 波 長 の 光 の 強 さに<br />
相 当 する.<br />
⎡ 1 2⎤<br />
⎡ 1<br />
⎤<br />
P(<br />
f ) = lim ⎢ X ( f ) ⎥ = lim<br />
→∞<br />
⎢ X ( f ) X * ( f )<br />
T<br />
⎥<br />
⎣T<br />
⎦ T →∞⎣T<br />
⎦<br />
2010 乱 流 工 学 26
乱 流 のエネルギースペクトル<br />
実 際 に 計 測 されたスペクトル<br />
10 8<br />
E(kη)/(v 2 η)<br />
10 6<br />
10 4<br />
10 2<br />
10 0<br />
10 -2<br />
A.T.G.<br />
Grid Turbulence<br />
A.T.G. (Makita)<br />
Atmospheric Turbulence<br />
Pao's model<br />
実 際 にパワース<br />
ペクトルを 求 め<br />
る 場 合<br />
流 れ 場 の 非 定 常<br />
計 測 データを 取<br />
得 する.<br />
FFTアナライザ<br />
等 で 分 析 する.<br />
10 -6 10 -5 10 -4 10 -3 10 -2 10 -1 10 0 10 1<br />
kη<br />
2010 乱 流 工 学 27<br />
Fast Fourier Transform<br />
フーリエ 級 数 を 求 めるのは 数 学 的 に 大 変 な 作 業 .<br />
昔 は,バンドパスフィルターを 使 ってデータ 処 理<br />
Fast Fourier Transform(FFT)はフーリエ 級 数 を 高 速 に 演 算 する<br />
アルゴリズム<br />
FFTを 使 えば, 非 常 に 簡 単 にパワースペクトルを 求 めることができる.<br />
プログラムはA4 一 枚 程 度 の 簡 単 なもの.<br />
フリーソフトや 市 販 ツールも 豊 富<br />
あまりに 抱 負 で 誰 でも 使 えるので 間 違 った 使 い 方 も 多 い.<br />
2010 乱 流 工 学 28
スペクトル 解 析 の 手 順 と 注 意 点<br />
(1)データ 数 の 決 定 :データ 数 Nを2のべき 乗 に 選 ぶ N=2p<br />
(2)ウィンド 関 数 :Hannig Windowが 使 われることが 多 い.<br />
2<br />
⎡<br />
T<br />
⎧ ⎛ πi<br />
⎞⎫<br />
1<br />
Wc = 0.5⎨1<br />
− cos⎜<br />
⎟⎬<br />
µ = ⎢<br />
⎩ ⎝ N −1⎠⎭<br />
⎣T<br />
∫ − T<br />
/ 2<br />
⎤<br />
W 2 dt⎥<br />
=<br />
/ 2<br />
⎥⎦<br />
2<br />
3<br />
注 意 ウィンドの 影 響<br />
-4.36dB<br />
2010 乱 流 工 学 29<br />
スペクトル 解 析 の 手 順 と 注 意 点 (2)<br />
(3) パワースペクトルの 算 出 :フーリエ 係 数 からパワースペクトルを 推 定 する.<br />
u [m/s]<br />
~ ⎛ k ⎞ ∆t<br />
P⎜<br />
⎟ = [ Ak<br />
2<br />
+ Bk 2]µ<br />
⎝ T ⎠ N<br />
(4) 平 滑 化 : 一 般 にスペクトル 推 定 値 は 推 定 誤 差 が 大 きい<br />
統 計 平 均 同 一 条 件 でM 回 の 平 均 を 取 る.<br />
分 割 平 均 データをl 個 の 部 分 に 分 割 して 各 区 間 のスペクトルの 平 均 値 を 取 る.<br />
周 波 数 平 滑 周 波 数 空 間 での 重 み 平 均 を 取 る.<br />
1.5<br />
1<br />
0.5<br />
0<br />
-0.5<br />
-1<br />
-1.5<br />
0 0.05 0.1<br />
t [sec]<br />
0<br />
0 100 200 300 400 500<br />
Frequency [Hz]<br />
2010 乱 流 工 学 30<br />
P(f) m2/S3<br />
0.03<br />
0.025<br />
0.02<br />
0.015<br />
0.01<br />
0.005
解 析 例 (FFT)<br />
2010 乱 流 工 学 31<br />
注 意 点<br />
パワースペクトルとパワースペクトル 密 度 の 違 い<br />
パワースペクトル 密 度 (1Hz 辺 りのパワー)<br />
規 格 化 しない 場 合 , 周 波 数 分 解 能 により 値 がかわる.<br />
周 波 数 空 間 で 積 分 した 結 果 はRMS 値 と 等 しくなる.<br />
ウィンド 関 数 の 補 正 (ハニング -4.36dB)<br />
dB 表 示 , 振 幅 表 示<br />
平 均 回 数 ,オーバーラップなど...<br />
良 く 使 う 簡 単 なツール:マニュアルを 良 く 読 む.<br />
小 野 測 器 のホームページにいろいろと 詳 しく 書 いてあるので 参 考<br />
になる.<br />
2010 乱 流 工 学 32
FFTの 問 題 点<br />
無 限 に 長 いデータ 系 列 を 扱 うと 仮 定 する.<br />
カルマン 渦 より 大 きな 振 幅<br />
はっきりと 捉 えられない<br />
間 欠 的 なデータは<br />
埋 もれてしまう.<br />
2010 乱 流 工 学 33<br />
ウェーブレット<br />
0.6<br />
0.4<br />
0.2<br />
0<br />
-0.2<br />
-0.4<br />
-0.6<br />
-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10<br />
t<br />
さざなみ<br />
さざなみと 元 の 波 形 がどれだけにているかを<br />
調 べる<br />
2010 乱 流 工 学 34
解 析 例<br />
2010 乱 流 工 学 35<br />
離 散 ウェーブレット<br />
2010 乱 流 工 学 36
データの 縮 約<br />
物 理 的 に 意 味 のある 情 報 だけを 取 り 出 し, 記 憶 と 思 考 の 節<br />
約 を 図 る 必 要 がある.この 情 報 の 抽 出 ・ 圧 縮 を「データの 縮<br />
約 (Data Reduction)」と 呼 ぶ.<br />
フーリエ 変 換 ,ウェーブレット 変 換 は 縮 約 手 法 の 一 種 である.<br />
縮 約 手 法 : 数 学 的 な 操 作<br />
物 理 的 解 釈 の 背 景 や 制 約 が 取 り 込 まれているとは 限 らな<br />
い.<br />
必 ず 結 果 についての 物 理 的 解 釈 が 必 要 .<br />
2010 乱 流 工 学 37<br />
位 相 平 均 法 及 び 条 件 付 抽 出 法<br />
N<br />
1<br />
x ( t *)<br />
= x t + iT < t*<br />
∑ (<br />
*<br />
), 0<br />
N<br />
i=<br />
1<br />
< T<br />
周 期 T 毎 にデータの 平 均 化 処 理 を 行 なう.<br />
周 期 成 分 以 外 のランダムデータは0になる.<br />
2010 乱 流 工 学 38
Y/D<br />
条 件 付 抽 出 法<br />
渦 検 出 用 プローブ<br />
渦 構 造 測 定 用<br />
X プローブアレイ<br />
図 3.1 条 件 付 き 抽 出 法 による 乱 流 後 流 の 測 定<br />
2010 乱 流 工 学 39<br />
条 件 付 抽 出 法 ( 例 )<br />
2<br />
1.5<br />
θp=0<br />
1<br />
0.5<br />
0<br />
-0.5<br />
-1<br />
-1.5<br />
-2<br />
-0.5 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5 7.5<br />
X/D<br />
2010 乱 流 工 学 40
二 次 元 噴 流<br />
2010 乱 流 工 学 41<br />
境 界 層<br />
Ejection/Sweep 検 出 用 Xプローブ<br />
梯 子 型 プローブ<br />
Trip Wire<br />
平 板<br />
図 3.2 条 件 付 き 抽 出 法 による 乱 流 境 界 層 中 の 秩 序 構 造 の 測 定<br />
低 速 上 昇 流<br />
(Ejection)<br />
u' < 0 and v'<br />
> 0<br />
高 速 下 降 流<br />
(Sweep)<br />
u' > 0 and v'<br />
< 0<br />
2010 乱 流 工 学 42
非 定 常 流 れ 計 測 の 具 体 例<br />
2010 乱 流 工 学 43<br />
静 圧 変 動 計 測<br />
Steel Tube φ 1.06<br />
8 Pressure Holes φ 0.4<br />
(1)<br />
(34.3)<br />
54.8<br />
φ 7<br />
(10.2)<br />
1/4inch<br />
Condenser<br />
Microphone<br />
図 18 静 圧 変 動 プローブ<br />
北 海 道 工 業 大 学 豊 田 教 授<br />
2010 乱 流 工 学 44
静 圧 変 動 計 測 結 果<br />
2010 乱 流 工 学 45<br />
半 導 体 圧 力 センサ 式<br />
Steel Tube φ 1.06<br />
10 4<br />
Pressure Holes<br />
φ 0.4 × 8<br />
PressureTransducer<br />
φ=1.96<br />
PSD [Pa 2 /Hz]<br />
10 2<br />
10<br />
(1)<br />
(30.3)<br />
50.8<br />
(6)<br />
10 -2<br />
0.1 1 10 100 1000 10000<br />
Frequency [Hz]<br />
DC-4kHz<br />
乱 流 場 の 静 圧 スペクトル<br />
ダイナミックレンジの 問 題 :10m/s 以 上<br />
2010 乱 流 工 学 46
周 波 数 特 性<br />
p<br />
20<br />
15<br />
l<br />
d<br />
V<br />
Gain [dB]<br />
10<br />
5<br />
0<br />
-5<br />
-10<br />
-15<br />
圧 力 変 換 器<br />
-20<br />
10 100 1000 10000 100000<br />
Frequency f[Hz]<br />
fr<br />
M<br />
k µ<br />
2<br />
c πd<br />
c<br />
=<br />
=<br />
2π 4V<br />
( l + 0.6d)<br />
2π<br />
S<br />
Vl′<br />
100<br />
80<br />
60<br />
40<br />
20<br />
0<br />
-20<br />
-40<br />
-60<br />
-80<br />
-100<br />
10 100 1000 10000 100000<br />
Frequency f[Hz]<br />
2010 乱 流 工 学 47<br />
Phase [deg]<br />
高 速 PIV(ダイナミックPIV)<br />
2010 乱 流 工 学 48
高 速 PIV<br />
フレームストラドリング 法<br />
周 波 数 5kHz, 風 速 10m/s-30m/s<br />
2010 乱 流 工 学 49<br />
高 速 PIV( 計 測 例 )<br />
2010 乱 流 工 学 50
トンボの 周 りの 非 定 常 渦 度 場<br />
2010 乱 流 工 学 51<br />
音 と 渦 度 場 の 同 時 計 測 システム<br />
Flow<br />
High Speed<br />
Camera<br />
Nozzle<br />
Microphone<br />
495 mm<br />
Y<br />
Z<br />
X<br />
50 mm<br />
20 mm<br />
Laser<br />
Pulse A<br />
Pulse B<br />
Sampling<br />
Clock<br />
Synchronizer<br />
PC2<br />
AD Converter<br />
Trigger<br />
Sampling Clock<br />
PC1<br />
Trigger<br />
Trigger Switch<br />
2010 乱 流 工 学 52
音 と 渦 度 場 の 同 時 計 測 (シャープエッジ)<br />
(a)<br />
Sound Pressure [Pa]<br />
0.4<br />
0.3<br />
0.2<br />
0.1<br />
0<br />
-0.1<br />
-0.2<br />
-0.3<br />
-0.4<br />
(b)<br />
(d)<br />
(a)<br />
(c)<br />
(c)<br />
(b)<br />
0 0.5 1 1.5 2<br />
Time [ms]<br />
2010 乱 流 工 学 53<br />
(d)<br />
空 力 騒 音 の 違 いにおける 渦 の 変 形 の 様 子<br />
Flow Flow Flow Flow Flow<br />
シャープエッジ<br />
Flow<br />
Flow<br />
Flow<br />
Flow<br />
Flow<br />
R=10 mm<br />
2010 乱 流 工 学 54
感 圧 塗 料<br />
ポリフィリンに 紫 外 線 を 当 てると 発 光 する.<br />
発 光 強 度 は 酸 素 濃 度 に 反 比 例<br />
2010 乱 流 工 学 55<br />
計 測 の 様 子<br />
2010 乱 流 工 学 56
角 柱 表 面 の 圧 力 分 布<br />
2010 乱 流 工 学 57<br />
角 柱 表 面 の 圧 力 分 布<br />
C p<br />
C p<br />
2<br />
1.5<br />
1<br />
0.5<br />
0<br />
-0.5<br />
-1<br />
-1.5<br />
-2<br />
2<br />
1.5<br />
1<br />
0.5<br />
0<br />
-0.5<br />
-1<br />
-1.5<br />
-2<br />
U = 35m/s<br />
α = 15deg<br />
U = 75m/s<br />
α = 15deg<br />
PSP<br />
Pressure Tap<br />
PSP(Moving Average)<br />
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4<br />
X /D<br />
PSP<br />
Pressure Tap<br />
PSP(Moving Average)<br />
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4<br />
X /D<br />
感 圧 塗 料 では 低 圧 の 流 れを 測 定<br />
することは 難 しい.<br />
35m/sと75m/sでは 測 定 精 度 が 大<br />
きく 異 なる.<br />
測 定 精 度 を 向 上 させるためには,<br />
流 れ 場 の 温 度 管 理 ( 温 度 依 存 性<br />
大 ), 物 体 の 振 動 (カメラの 位 置 座<br />
標 が 変 化 ),カメラの 分 解 能 (10<br />
ビット→16ビット)などの 改 善 が 必<br />
要<br />
2010 乱 流 工 学 58
HDD 表 面 圧 力 計 測<br />
1kPa<br />
校 正 実 験 の 様 子<br />
7kPa<br />
2010 乱 流 工 学 59<br />
高 速 応 答 PSP<br />
高 速 応 答 PSPについては 著 作 権 の 問 題 があるので, 研 究 者 と 関 連<br />
論 文 のURLを 記 載 します<br />
検 索 する 場 合 は,<br />
陽 極 酸 化 PSP 応 答 で 調 べるとヒットします.<br />
坂 上 博 隆 、 守 田 克 彰 < 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 総 合 技 術 研 究 本 部 ><br />
蒲 池 利 章 、 朝 倉 則 行 < 東 京 工 業 大 学 大 学 院 生 命 理 工 学 研 究 科 ><br />
http://www.iat.jaxa.jp/info/event/pim/1-30-0.pdf<br />
東 京 農 工 大 学 ・ 工 学 部<br />
航 空 宇 宙 技 術 研 究 所<br />
亀 田 正 治<br />
浅 井 圭 介 , 中 北 和 之<br />
http://www.nagare.or.jp/nagare/22-4/22-4-t03.pdf<br />
2010 乱 流 工 学 60
高 速 応 答 PSP<br />
坂 上 博 隆 、 守 田 克 彰 < 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 総 合 技 術 研 究 本 部 ><br />
蒲 池 利 章 、 朝 倉 則 行 < 東 京 工 業 大 学 大 学 院 生 命 理 工 学 研 究 科 ><br />
2010 乱 流 工 学 61<br />
衝 撃 波 管 内 の 圧 力 計 測<br />
東 京 農 工 大 学 ・ 工 学 部<br />
航 空 宇 宙 技 術 研 究 所<br />
亀 田 正 治<br />
浅 井 圭 介 , 中 北 和 之<br />
2010 乱 流 工 学 62