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野口 禎一郎 (のぐち ていいちろう) クリスマスの笑顔 - 東京成徳大学

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野 口 禎 一 郎 (のぐち ていいちろう)<br />

特 任 教 授<br />

専 門 分 野 / 流 通 経 営 論 。<br />

早 稲 田 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科 修 了 。 商 学 修 士 。㈱ 伊 勢 丹 、<br />

ジャスコ㈱を 経 て、㈱ブルーグラス 設 立 ( 代 表 取 締 役 社 長 )、<br />

株 式 公 開 を 済 ませ、イオン㈱ 執 行 役 。 顧 問 。 東 京 成 徳 短 期<br />

大 学 ビジネス 心 理 科 教 授 、 東 京 成 徳 大 学 経 営 学 部 教 授 を 経<br />

て、 平 成 25 年 現 職 。 日 本 広 告 学 会 会 員 。 群 栄 化 学 工 業 ㈱ 監<br />

査 役 。 栃 木 群 馬 イオンクラブ 会 長 。 早 大 マーケティング 研<br />

究 会 OB 会 会 長 。<br />

著 書 :『マーケティング・コミュニケーション 大 辞 典 』( 宣<br />

伝 会 議 ) 共 著 他<br />

クリスマスの 笑 顔<br />

私 が 大 学 生 のとき、 父 からもらった 一 冊 の 本 があります。 大 切 な 形 見 として、そして<br />

経 営 のバイブルとしていつも 傍 にありました。 以 下 は、そのデール.カーネギー 著 「 人<br />

を 動 かす」の 第 2 部 ・ 人 に 好 かれる6 原 則 「 第 2 章 笑 顔 を 忘 れない」に 載 っているエ<br />

ピソードです。1933 年 にニューヨークのオッペンハイム・コリンズ 社 のクリスマス<br />

セールで 実 際 に 使 われた 広 告 の 文 章 です。 素 敵 でしょ。 ( 訳 文 責 筆 者 )<br />

「クリスマスの 笑 顔 」<br />

元 手 が、いらない。しかも 利 益 は 膨 大 。<br />

相 手 に 与 えても 減 らず、しかし 与 えられた 者 は 豊 かになる。<br />

ほんの 少 し 見 せれば、その 記 憶 は 永 久 に 続 くことがある。<br />

どんなお 金 持 ちもこれなしでは 豊 かになれないし、どんなに 貧 しい 人 もこれによって 豊<br />

かになる。<br />

家 庭 に 幸 福 をもたらし、 商 売 繁 盛 の 近 道 であり、 友 情 の 合 言 葉 でもある。<br />

疲 れた 人 にとっては 休 養 、 失 意 の 人 にとっては 光 明 、<br />

悲 しむ 人 にとっては 太 陽 、 悩 める 人 にとっては 自 然 の 解 毒 剤 となる。<br />

盗 むことも、 強 要 することも、 買 うことも、 借 りることも 出 来 ない。<br />

無 償 で 与 えて 初 めて 値 打 ちが 出 る。<br />

クリスマスセールで 疲 れ 切 ったスタッフのうち、これをお 見 せしない 者 がおりましたら、<br />

恐 れ 入 りますが、お 客 様 の 分 をお 見 せ 願 いたいと 存 じます。<br />

笑 顔 を 使 い 切 った 人 間 ほど、 笑 顔 を 必 要 とする 者 はございません。<br />

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酸 っぱいブドウと 甘 いレモン<br />

梨 ・ブドウ・ 柿 ・ 栗 ・りんご・・ 静 謐 で 清 澄 な 空 気 の 中 で、 見 上 げると 高 く 突 き 抜 ける<br />

ような 青 々とした 秋 空 が 広 がり、 果 物 が 美 味 い 季 節 になった。そこで 今 日 は 果 物 の 話 。<br />

心 理 学 でいう 防 衛 機 制 を 表 す「 合 理 化 」という 考 え 方 を 説 明 するのに、イソップ 童 話 の<br />

寓 話 が 使 われることが 多 い。 脚 色 を 加 え 要 約 するとこんな 話 である。<br />

田 舎 道 を 歩 いていた 一 匹 のキツネが、 木 の 上 に 美 味 しそうなブドウの 房 を 見 つけ 採 ろう<br />

とするが、どうしても 採 れない。 諦 めて 帰 るとき、こうつぶやく。「あのブドウ、 甘 そ<br />

うに 見 えるけど 本 当 はすっごく 酸 っぱいに 違 いない。きっとそうだ。あぁ、あんな 酸 っ<br />

ぱいブドウを 食 べずにすんで 良 かったなぁ。」( 英 語 では 負 け 惜 しみのことを Sour<br />

Grapes という。)<br />

ブドウが 採 れずとぼとぼと 帰 る 途 中 、 今 度 はキツネは 道 端 に 落 ちていた 1 個 のレモンを<br />

拾 う。そして、こうつぶやく。「レモンにしては 何 だか 甘 そうだ。」レモンにかじりつい<br />

て、ちょっと 酸 っぱそうな 顔 をしながらも「やっぱり 結 構 甘 いな。もしかして、さっき<br />

のブドウよりこっちの 方 が 甘 いんじゃないかな。 僕 ってやっぱりラッキーだなぁ。」<br />

・・・このように、どうしても 得 られないもしくは 得 るのが 非 常 に 困 難 なものを、「 余<br />

りたいしたものではない」と 思 い 込 んだり、「 実 は 理 想 的 ではない」 自 分 の 持 っている<br />

ものを「 案 外 良 いもの」と 思 い 込 むことによって、 理 想 的 な 状 況 に 無 いという 事 実 に 由<br />

来 するストレスから 自 分 自 身 の 心 を 守 る 仕 組 み・ 心 の 働 きが、 防 衛 機 制 「 合 理 化 」の 心<br />

理 状 態 である。<br />

高 校 生 や 大 学 生 に 限 らないが、 進 学 や 就 職 で 一 二 度 失 敗 すると 立 ち 直 れず、 物 凄 い 心 理<br />

的 打 撃 を 受 けることがある。 少 し 自 分 が 不 利 になると、もうどうしていいか 分 からなく<br />

なることもある。 目 の 前 の 困 難 を 乗 り 越 える 気 迫 を 忘 れてしまうことも 多 い。 人 は、 迎<br />

合 しなければ 生 きていけないほど 厳 しく 不 快 な 中 にいると 無 気 力 になるし、そうかとい<br />

って 困 難 さの 無 い 甘 やかされた 中 にいても 無 気 力 になる 生 物 だ。ただ、これだけは 言 え<br />

る。<br />

「ごまかして 生 きることが、どれほど 心 理 的 に 害 になるか。」<br />

酸 っぱいブドウや 甘 いレモンはその 人 をその 場 で 表 面 的 には 救 うかもしれないが、 長 い<br />

目 で 見 れば、その 人 自 身 を 絶 望 的 にしていく。「 私 達 は、 成 功 ばかりで 幸 せになれるの<br />

ではなく、 失 敗 と 戦 うことで 幸 せになれるのだ。」ということを 知 っておこう。<br />

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