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リアクター積分テストワーキンググループ - 日本原子力研究開発機構

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核 データニュース,No.82 (2005)<br />

WG 活 動 紹 介 (I)<br />

リアクター 積 分 テストワーキンググループ<br />

日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構<br />

炉 心 性 能 評 価 グループ<br />

石 川 眞<br />

ishikawa.makoto@jaea.go.jp<br />

革 新 的 水 冷 却 炉 設 計 グループ<br />

秋 江 拓 志<br />

akie.hiroshi@jaea.go.jp<br />

1. はじめに<br />

シグマ 委 員 会 におけるリアクター 積 分 テストワーキンググループ(WG)のミッション<br />

は、JENDL を 始 めとする 汎 用 核 データライブラリを、 軽 水 炉 ・ 高 速 炉 などの 臨 界 実 験 ・ 実<br />

機 性 能 試 験 データに 適 用 し、その 評 価 結 果 を 核 データ 評 価 側 にフィードバックして、 次 の<br />

よりよい 核 データライブラリの 開 発 に 寄 与 することである。シグマ 委 員 会 では、 長 い 間 、<br />

熱 中 性 子 積 分 テスト WG と 高 速 炉 積 分 テスト WG が、 炉 型 ・ 中 性 子 エネルギーを 分 担 して<br />

活 動 してきたが、1994 年 度 に 両 Gr を 統 合 する 形 で 本 WG が 発 足 し、JENDL-3.3 の 完 成 に 向<br />

けて 貢 献 してきた。ここでは、これまでの 活 動 実 績 をまとめ、 今 後 の 活 動 方 針 ・ 計 画 を 報<br />

告 する。<br />

2005 年 度 上 半 期 の WG メンバー(オブザーバを 含 む)は、 以 下 のとおりである。<br />

岩 崎 智 彦 ( 東 北 大 )、 宇 根 﨑 博 信 ( 京 大 炉 )、 北 田 孝 典 ( 阪 大 )、 山 本 徹 (JNES)、<br />

小 坂 進 矢 (テプコシステムズ)、 田 原 義 壽 、 安 部 晋 司 ( 以 上 、EDC)、<br />

池 田 一 三 ( 三 菱 重 工 )、 山 本 宗 也 (GNF-J)、 石 井 一 弥 ( 日 立 )、 瑞 慶 覧 篤 (ナイス)、<br />

大 井 川 宏 之 、 三 好 慶 典 、 長 谷 川 明 、 秋 江 拓 志 、 森 貴 正 、 岡 嶋 成 晃 、 奥 村 啓 介 ( 以 上 、<br />

原 研 )、 羽 様 平 、 石 川 眞 ( 以 上 、サイクル 機 構 )<br />

2. これまでの 活 動 経 緯<br />

リアクター 積 分 テスト WG が 1994 年 度 に 発 足 してから 2000 年 度 までの 活 動 内 容 は、 核<br />

データニュースの No.69( 秋 江 、2001 年 6 月 )にまとめられているので、そちらを 参 照 され<br />

たい。 前 回 報 告 以 降 の 主 な WG 活 動 としては、1JENDL-3.3 の 最 終 ベンチマークテスト(2001<br />

年 度 )、2 公 開 版 JENDL-3.3 に 基 づく 各 種 定 数 ライブラリの 整 備 (2002 年 度 )、3U-235 と<br />

U-238 データ、 及 び 原 子 炉 級 Pu 燃 料 軽 水 炉 の 臨 界 性 を 中 心 とする JENDL-3.3 の 精 度 検 証 と<br />

― 71 ―


ENDF/B-VII preliminary( 以 下 、pre.と 記 す)との 比 較 (2003~2004 年 度 )を 行 った。<br />

2001 年 度 : JENDL-3.3 公 開 に 向 けたベンチマーク 計 算 を 進 めた。 特 に、Cr、Ni 及 び Pu-240<br />

断 面 積 の 改 訂 により、SUS 反 射 体 つき 高 速 炉 や MOX 燃 料 熱 中 性 子 炉 の 増 倍 率 予 測 精 度<br />

が 改 善 されることを 確 認 した。 一 方 、スペクトルの 軟 らかい U 燃 料 高 速 炉 心 である FCA<br />

IX 炉 心 の 増 倍 率 のスペクトル 依 存 性 や、MISTRAL 実 験 解 析 等 原 子 炉 級 Pu MOX 燃 料 軽<br />

水 炉 の 増 倍 率 の 経 時 的 増 大 が 明 らかとなった。<br />

2002 年 度 : JENDL-3.3 の 公 開 版 に 基 づく、MVP、JFS、SRAC 各 ライブラリの 作 成 、 公 開 を<br />

行 った。<br />

2003 年 度 : FCA IX 炉 心 等 U を 多 く 含 むスペクトルの 軟 らかい 高 速 炉 心 で JENDL-3.3 によ<br />

る 増 倍 率 過 小 評 価 傾 向 が 大 きいこと、 感 度 解 析 によりその 主 な 原 因 が U-235 の keV 領 域<br />

捕 獲 断 面 積 データであることを 確 認 した。 低 濃 縮 U 熱 中 性 子 炉 の 増 倍 率 の U 濃 縮 度 依 存<br />

性 を 明 確 にし、 感 度 解 析 の 結 果 から、0.1 eV 以 下 のエネルギー 領 域 での U-238 の 捕 獲 断<br />

面 積 がその 主 要 因 であることを 示 した。EPICURE や MISTRAL と 同 じ 年 数 の 経 過 した 原<br />

子 炉 級 Pu MOX を 用 いた 軽 水 炉 心 BASALA の 解 析 では、MISTRAL と 同 様 に 増 倍 率 を 過<br />

大 評 価 した。<br />

2004 年 度 : 新 しく 作 り 直 した Am-241 の 少 ない 原 子 炉 級 Pu MOX 燃 料 を 用 いた 軽 水 炉 実 験<br />

FUBILA の 解 析 で、 増 倍 率 過 大 評 価 の 大 きさが BASALA 等 より 大 幅 に 減 少 した。U-235<br />

と U-238 を 対 象 として、ENDF/B-VII pre.のベンチマークテストを 行 った。その 結 果 、FCA<br />

IX、X 炉 心 で JENDL-3.3 より 増 倍 率 を 大 きく 評 価 し、FCA IX 炉 心 では JENDL-3.3 と 同<br />

様 な 増 倍 率 のスペクトル 依 存 性 が 見 られた。また、 低 濃 縮 U 熱 中 性 子 炉 では 増 倍 率 の U<br />

濃 縮 度 依 存 性 については、JENDL-3.3 より 小 さくなった。その 他 に、PFR での MA 照 射<br />

実 験 の 解 析 による、JENDL-3.3、ENDF/B-VI.8、JEFF-3.0 の 燃 焼 ベンチマークテストを 試<br />

みた。<br />

3. 今 後 の 活 動 方 針 ・ 計 画<br />

2005 年 度 以 降 のリアクター 積 分 テスト WG のミッションは、 当 面 、JENDL-4 の 作 成 に 向<br />

けて、JENDL-3.3 や 世 界 の 主 要 ライブラリの 評 価 を 行 い、 原 子 炉 ( 軽 水 炉 、 高 速 炉 )への 適<br />

用 性 の 観 点 から、 核 データ 評 価 側 に、 改 善 項 目 や 意 見 を 提 示 することにある。 今 年 度 は、<br />

この 観 点 から、 昨 年 度 までの 活 動 を 踏 まえて 発 展 させ、 一 つの 区 切 りをつける 目 標 のもと<br />

に 活 動 したい。 具 体 的 には、 昨 年 度 は 2005 年 2 月 に 会 合 をもち、ENDF/B-VII pre.の 核 デー<br />

タの 変 更 点 の 整 理 、 及 び、FCA への 適 用 計 算 などを 行 ったが、 今 年 度 は、これを 発 展 させ、<br />

各 機 関 が 所 有 している 代 表 的 な 実 験 炉 心 について、JENDL-3.3、ENDF/B-VII pre.、 及 び 本 年<br />

5 月 に 公 開 された JEFF-3.1 の 3 つの 汎 用 ライブラリの 比 較 ベンチマークを 各 機 関 が 分 担 して<br />

行 う。 表 1 に、2005 年 9 月 時 点 で、 評 価 対 象 候 補 となっている 積 分 実 験 のリストを 示 す。<br />

これらの 解 析 を 行 うために、 上 記 3 種 のライブラリから 必 要 な 核 種 を 処 理 して、MVP ライ<br />

ブラリ、 軽 水 炉 用 の SRAC ライブラリ、 高 速 炉 用 の JFS-3 ライブラリについては、 原 子 力 機<br />

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構 ( 旧 原 研 と 旧 サイクル 機 構 )が 準 備 して 提 供 する 予 定 である。<br />

なお、 解 析 結 果 の 評 価 に 当 たっては、 単 に C/E 値 をライブラリ 間 で 比 較 するだけではな<br />

く、 可 能 な 限 り、 感 度 解 析 などの 手 法 により、その C/E 値 のライブラリ 差 が、どの 核 種 の<br />

どの 反 応 ・エネルギー 領 域 の 核 データに 由 来 するものかまで、 定 量 的 な 分 析 を 行 ってみた<br />

い。さらに 可 能 なら、かなり 炉 物 理 研 究 分 野 に 踏 み 込 むことにはなるが、ある C/E 値 の 1.0<br />

からのずれが、 核 データの 改 良 点 を 示 唆 する 有 意 なものであるか、または 実 験 誤 差 や 解 析<br />

モデル 誤 差 の 範 囲 内 であるかどうかについても、 判 断 することを 試 みたいと 考 える。<br />

4. おわりに<br />

本 年 10 月 に、 原 研 とサイクル 機 構 の 二 法 人 統 合 により、 我 が 国 でたぶん 最 大 規 模 の 公 的<br />

研 究 機 関 「( 独 立 行 政 法 人 ) 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 」が 発 足 した。これを 機 に、 核 データ<br />

研 究 と 炉 物 理 研 究 がいっそう 融 合 して 発 展 し、 原 子 力 界 及 び 社 会 にさらに 寄 与 することを<br />

期 待 したい。<br />

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表 1 2005 年 度 に 核 種 ライブラリで 評 価 予 定 の 積 分 実 験 ( 前 年 までに 一 部 は 解 析 済 み)<br />

大 分 類 実 験 名 炉 心 の 特 徴 評 価 対 象 の 核 特 性<br />

解 析<br />

担 当 機 関<br />

EPICURE<br />

UO 2 、 部 分 MOX<br />

軽 水 炉<br />

MISTRAL<br />

BASALA<br />

REBUS<br />

PWR 模 擬 UO 2 ,、 全<br />

MOX、 部 分 MOX<br />

BWR 模 擬 全 MOX<br />

UO 2 、 部 分 MOX、 燃 焼<br />

燃 料<br />

実 効 増 倍 率 、 出 力 分 布 、<br />

他<br />

JNES<br />

NCA<br />

BWR 9×9 模 擬 燃 料<br />

ボイド 反 応 度 、 出 力 分<br />

布<br />

テプコシステムズ<br />

FCA-IX-1~7<br />

小 型 炉 心 、 系 統 的 スペ<br />

( 計 7 炉 心 )<br />

クトル 変 化<br />

実 効 増 倍 率 、 中 心 反 応<br />

FCA-X-1,2<br />

小 型 炉 心 、「 常 陽 」Mk-<br />

Ⅱ 炉 心 模 擬<br />

率 比<br />

原 子 力 機 構<br />

( 旧 原 研 )<br />

FCA-XVI-1,2<br />

金 属 燃 料<br />

実 効 増 倍 率 、 中 心 反 応<br />

FCA-XVII-1<br />

酸 化 物 燃 料<br />

率 比 、 他<br />

実 効 増 倍 率 、 一 部 につ<br />

高 速 炉<br />

ZPPR-9~19B<br />

( 計 19 炉 心 )<br />

大 型 炉 心 、MOX 燃 料<br />

いて、Na ボイド 反 応 度 、<br />

制 御 棒 価 値 、ドップラ<br />

ー 反 応 度 、 反 応 率 比 、<br />

反 応 率 分 布<br />

BFS-62-1~5、<br />

FBS-66-1<br />

( 計 6 炉 心 )<br />

大 型 UO 2 炉 心 、 部 分<br />

MOX 燃 料<br />

実 効 増 倍 率 、さらに 一<br />

部 炉 心 について、Na ボ<br />

イド 反 応 度 、 反 応 率 比 、<br />

反 応 率 分 布<br />

原 子 力 機 構<br />

( 旧 サイクル 機 構 )<br />

実 効 増 倍 率 、さらに<br />

「 常 陽 」Mk-I,II<br />

小 型 MOX 炉 心 、 実 機<br />

高 速 炉<br />

Mk-I については、Na<br />

ボイド 反 応 度 、 制 御 棒<br />

価 値 、 燃 料 置 換 反 応 度<br />

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