卒業論文 - 桜美林大学

実 施 を 行 うにあたって、 現 場 での 研 修 を 取 り 入 れながら、 人 材 育 成 に 力 を 入 れていく 必 要
があるとされている。とくに 財 源 を 確 保 することが 困 難 な 民 間 、 市 民 団 体 には 予 算 執 行 な
どの 組 織 運 営 について 専 門 的 知 識 のある 専 門 家 の 力 が 重 要 となってくるといえる[ 榎 田
1997:126]。
第 2 章 政 府 による 国 際 文 化 交 流 の 活 動 内 容
― 国 際 交 流 基 金 とブリティッシュ・カウンシルの 比 較 ―
本 章 では、2つの 国 際 文 化 交 流 組 織 の 活 動 内 容 を 事 例 に 挙 げ、 実 際 の 政 府 による 国 際 文
化 交 流 活 動 の 目 的 や 事 業 例 を 比 較 していく。 事 例 には、 日 本 の 国 家 レベルの 主 体 である 国
際 交 流 基 金 ( 以 下 、 基 金 )と、イギリスのブリティッシュ・カウンシル( 以 下 、カウンシル)を
とりあげる。その 理 由 は、 基 金 が 日 本 の 国 際 文 化 交 流 活 動 の 中 心 として 活 動 しているから
である。そしてなぜカウンシルを 挙 げたかというと、カウンシルは 日 本 の 基 金 設 立 以 前 か
ら 英 国 の 国 際 文 化 交 流 機 関 として 運 営 され、 基 金 設 立 時 のモデルであり、 今 も 海 外 に 多 く
の 事 務 所 を 持 ち、 世 界 の 中 でも、 特 に 活 躍 している 国 際 交 流 機 関 の 一 つであると 言 えるか
らである。 以 下 に、 基 金 とカウンシルの 活 動 内 容 に、どのような 違 いがあり、 日 本 の 国 家
レベルの 代 表 的 な 主 体 に 何 が 足 りないのかを 見 ていきたい。そして 設 立 してから 今 まで 両
機 関 はどのように 事 業 展 開 してきたのか、そして 現 在 どういった 事 業 を 中 心 に 活 動 してい
るのかを 見 ていきたい。
第 1 節 国 際 交 流 基 金 の 概 要 と 活 動 内 容
概 要
基 金 は 1972 年 に 外 務 省 所 管 の 特 殊 法 人 として 設 立 され、2003 年 に 独 立 行 政 法 人 化 した 7 。
設 立 当 初 の 1970 年 代 はじめは、 日 米 の 経 済 摩 擦 や 東 南 アジアでの 反 日 運 動 など、 日 本 を 知
ってもらうための 文 化 交 流 事 業 の 必 要 性 の 認 識 が 政 府 の 中 で 高 まった。その 結 果 、 大 規 模
な 基 金 を 持 ち、さらに 強 力 な 国 際 文 化 交 流 を 実 施 する 機 関 の 設 立 準 備 が 始 められたという
時 代 背 景 がある。1972 年 に 当 時 の 福 田 外 務 大 臣 は、 第 68 回 国 会 における 外 交 に 関 する 演
説 の 中 で、 国 際 交 流 基 金 の 構 想 を 発 表 し、 同 年 、 国 際 交 流 基 金 法 案 が 公 布 された。その 後
さらにその 法 案 によって 組 織 の 内 容 が、 国 内 各 界 の 有 職 者 からなる 設 立 準 備 会 議 で 検 討 さ
れ、 同 年 の 10 月 2 日 、 国 際 交 流 基 金 ( 英 文 名 Japan Foundation)が 発 足 した。
職 員 数 は 約 233 名 (2005 年 )で、 海 外 事 務 所 にそのうちの 約 60 名 が 勤 務 している。 事 業 所
は 国 内 に 本 部 、 京 都 支 部 、2つの 附 属 機 関 ( 日 本 語 国 際 センター、 関 西 国 際 センター)があり、
海 外 には 18 ヶ 国 に 19 ヶ 所 の 事 務 所 がある。 本 部 は 東 京 赤 坂 にあり、 海 外 の 日 本 語 教 師 の
研 修 を 主 とする 日 本 語 国 際 センターは 埼 玉 県 の 浦 和 に、 外 国 の 外 交 官 の 日 本 語 研 修 を 主 と
する 関 西 国 際 センターは 大 阪 府 の 泉 南 郡 にあり、それぞれ 活 動 している。
資 金 は、 設 立 当 時 は 約 50 億 円 の 政 府 出 資 金 を 運 用 資 金 としていたが、その 後 追 加 出 資 が
行 われ、2001 年 には 資 本 金 は 約 1062 億 円 にまで 増 加 した。 今 では 約 1110 億 円 を 財 政 的 基
礎 として 運 営 している。 基 金 は 自 ら 国 際 交 流 事 業 を 行 うとともに、 他 団 体 、 機 関 に 対 して
7 本 節 は、 主 として、 国 際 交 流 基 金 ホームページ(2006 年 1 月 6 日 )の「 国 際 交 流 基 金 年 報
2004 年 事 業 報 告 」のイントロダクションを 参 照 。
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