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卒業論文 - 桜美林大学

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れに 伴 うエコノミックアニマル 日 本 人 のイメージは 悪 化 し、 日 米 のお 互 いのイメージギャ<br />

ップを 解 消 しようとする 動 きもでてきた。その 例 として 1972 年 に 設 立 された 国 際 交 流 基 金<br />

が 挙 げられる。 国 際 交 流 基 金 は 主 に 米 国 との 関 係 改 善 を 目 的 として 設 立 され、その 後 の 国<br />

際 文 化 交 流 活 動 の 中 心 を 担 っている 国 家 レベルでの 主 体 である[ 平 野 2005:7]。<br />

一 方 で、1964 年 に 海 外 渡 航 が 解 禁 されたことから、それまで 容 易 にできなかった 一 般 市<br />

民 の 海 外 渡 航 が 可 能 になり、 国 民 がより 身 近 に 海 外 を 感 じるようになり、 国 際 文 化 交 流 の<br />

主 体 は 地 方 自 治 体 レベル、 民 間 、 市 民 団 体 レベルに 多 様 化 していった。 気 軽 に 海 外 に 行 く<br />

ことができ、 海 外 の 情 報 が 入 ってくると、 海 外 事 情 に 興 味 を 持 つ 人 が 増 えることが 原 因 だ<br />

ったといえる。<br />

さらに、この 時 期 から 地 方 の 時 代 が 叫 ばれた。 例 としては 1975 年 に 神 奈 川 県 知 事 となっ<br />

た 長 洲 一 二 により「 民 際 3 交 流 」の 概 念 が 推 進 され、1977 年 に 県 に 国 際 交 流 課 が 設 置 され、<br />

また 県 の 外 郭 団 体 として、 神 奈 国 際 交 流 協 会 が 設 立 されたことが 挙 げられる。この 協 会 の<br />

設 立 をモデルとして、 全 国 の 各 都 道 府 県 に 国 際 交 流 協 会 が 設 置 され、 地 方 自 治 体 レベルの<br />

主 体 が 全 国 に 増 加 し、「 民 際 交 流 」の 広 まりは、その 後 の 市 民 を 中 心 とした 主 体 の 増 加 にと<br />

っても 大 きな 要 因 となった。<br />

その 他 、 民 間 レベルに 属 する 財 団 法 人 としては、トヨタ 財 団 が 1974 年 に 設 立 され、1981<br />

年 には 三 菱 銀 行 国 際 財 団 も 設 立 された。どちらも 国 際 関 係 の 共 同 研 究 や 交 流 活 動 の 助 成 を<br />

行 う 企 業 財 団 として、 民 間 、 市 民 の 団 体 に 資 金 を 提 供 し、 自 らも 国 際 文 化 交 流 事 業 を 行 っ<br />

ていった[ 榎 田 1996:44-45]。<br />

以 上 を 見 てもわかるように、 時 代 背 景 とともに、 国 際 文 化 交 流 事 業 の 担 い 手 というのは、<br />

国 家 レベルでの 主 体 だけにとどまらず、 現 代 にいたるまで、 地 方 自 治 体 から 市 民 、 企 業 に<br />

まで 多 様 化 している。<br />

第 3 節 事 業 内 容 と 事 業 例<br />

ここでは、 現 代 の 国 際 文 化 交 流 の 事 業 内 容 について、どのようなものがあるのかを、 具<br />

体 的 な 例 を 挙 げながらみていきたい。 基 本 的 には、 芸 術 交 流 、 教 育 交 流 、 青 少 年 交 流 、ス<br />

ポーツや 知 的 交 流 などが 挙 げられる。<br />

まず 芸 術 交 流 についてだが、これは 舞 台 美 術 、 映 画 、 文 学 などの 交 流 を 通 して、 相 互 理<br />

解 を 図 ろうとするものである。この 事 業 は、 各 国 による 自 国 の 芸 術 作 品 の 紹 介 によって 価<br />

値 観 を 理 解 することに 効 果 的 な 交 流 である。<br />

例 としては 地 方 自 治 体 レベルの 富 山 県 井 波 町 による「いなみ 国 際 木 彫 刻 キャンプ」が 挙<br />

げられる。この 交 流 事 業 では 地 域 の 伝 統 文 化 財 をいかしながら、 新 たな 文 化 を 創 造 してい<br />

く 取 り 組 みを 行 っている。 初 回 は 1991 年 に 実 施 され、10 カ 国 から 11 名 の 彫 刻 家 が 参 加 し、<br />

それぞれの 国 の 歴 史 、 文 化 、 芸 術 の 違 いを 理 解 し 合 う 精 神 のもと 開 催 された。 各 国 の 彫 刻<br />

3 「 民 際 」という 言 葉 の 由 来 は、 長 洲 知 事 が「 地 方 の 時 代 」を 提 唱 し、 地 方 の 時 代 に 必 要 な<br />

ことは、「 国 際 」ではなく「 民 際 」であると 主 張 したことにある。「 民 際 」というのは、 国<br />

ではなく、 市 民 の 民 意 を 尊 重 した 国 際 交 流 という 意 味 である。<br />

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