卒業論文 - 桜美林大学

日 本 において 国 際 文 化 交 流 の 事 業 がどう 展 開 していったかというと、とくに 戦 後 からそ
の 活 動 が 活 発 になってきた。 第 二 次 世 界 大 戦 後 の 連 合 軍 の 占 領 下 では、 日 本 の 国 際 的 な 信
用 が 失 われたという 問 題 を 抱 えながら、 戦 後 に 日 本 をどのように 世 界 に 位 置 付 けていくか
ということに 取 り 組 んでいくなかで、 国 際 文 化 交 流 への 期 待 が 高 まっていった。 軍 事 国 家
としての 反 省 を 含 め、 民 主 主 義 を 徹 底 させ、 世 界 貢 献 を 目 指 し、 新 しい「 文 化 国 家 」 日 本
として 復 帰 していこうとしたことが、 日 本 の 戦 後 の 国 際 文 化 交 流 事 業 の 始 まりともいえる
[ 平 野 2005:3]。
そして、 国 際 文 化 交 流 の 中 の「 文 化 」に 対 する 解 釈 の 仕 方 に 特 徴 がある。ここでいう、「 文
化 」とは、 音 楽 、 文 学 、 絵 画 などの 芸 術 分 野 にとどまらず、 個 人 や 人 間 の 集 団 のもつ 伝 統 、
価 値 、 生 活 様 式 などを 総 合 的 に 意 味 するものである。 国 際 文 化 交 流 とは、 異 なる 価 値 観 を
理 解 し、 同 時 に 共 有 する 価 値 観 の 範 囲 を 広 げ、さらには 新 たに 文 化 を 創 造 することでもあ
る。つまり 国 際 文 化 交 流 というのは、 自 己 を 深 め、 自 らの 文 化 環 境 を 豊 かにしていく 活 動
ともいえる[ 毛 受 2003:218]。
最 後 の 特 徴 として、 国 際 文 化 交 流 は 人 と 人 との 交 流 が 基 本 であることを 挙 げておきたい。
第 2 節 歴 史 とともに 多 様 化 してきた 主 体
日 本 の 国 際 文 化 交 流 の 主 体 は、とくに 戦 後 から 現 代 に 至 るまで 多 様 化 してきた。ここで
は、その 活 動 を 行 う 主 体 にはどのようなものが 存 在 し、それらは 歴 史 とともにどのように
多 様 化 してきたかについて、 歴 史 的 背 景 をみながら 述 べていきたい。
主 体 は、 戦 後 、 政 府 、 国 家 機 関 など 国 家 レベルの 主 体 から、 自 治 体 、 民 間 、NGO などの
国 家 レベル 以 外 の 主 体 が 増 加 の 傾 向 にあり、とくに 1970 年 代 以 降 大 きな 変 化 をみせた。
国 際 文 化 交 流 活 動 の 主 体 は、 日 本 では 主 に 3 つに 分 類 することができ、 第 1に、 外 務 省
や 文 部 科 学 省 などの 省 庁 や、 国 際 交 流 基 金 などの 政 府 が 運 営 している 国 家 レベルの 機 関 で
ある。 第 2 に 自 治 体 などの 運 営 する 地 域 国 際 協 会 などの 地 方 自 治 体 レベルの 主 体 であり、
地 域 の 安 定 と 発 展 を 目 的 としている。そして 第 3に、 民 間 団 体 、 市 民 団 体 レベルの 主 体 が
ある。 前 者 には 例 えば、 財 団 法 人 や 社 団 法 人 といったような 団 体 がある。 民 間 の 団 体 が 現
在 の 主 体 の 総 数 の 大 半 を 占 めており、 日 本 の 国 際 文 化 交 流 活 動 の 中 心 を 担 っている。 数 的
データをみてみると 民 間 団 体 は 全 国 で 2545 団 体 ある 1 。 年 々 増 加 の 傾 向 にあり、とくに 1980
年 代 に 入 ってから 急 増 しているという 傾 向 がある( 図 1)。
700
600
500
400
300
200
100
0
1945 以 前 1951-55 1961-65 1971-75 1981-85 1991-95
設 立 団 体 数
図 1 団 体 設 立 状 況 ・ 設 立 年 別 団 体 数
これらの 主 体 は、 戦 前 からその 時 々の 歴 史 的 背 景 に 対 応 しながら 設 立 されていった。こ
1 国 際 交 流 基 金 (2001)『 国 際 交 流 活 動 団 体 に 関 する 調 査 アンケート 集 計 結 果 報 告 書 』に
集 計 された 団 体 数 。
4