卒業論文 - 桜美林大学
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主 体 の 中 心 となって 市 民 に 各 事 業 への 参 加 などを 呼 びかける 必 要 があるのではないかと 考<br />
える。<br />
(b) 一 般 市 民 中 心 の 国 際 交 流 の 時 代 へ<br />
日 本 の 国 際 文 化 交 流 の 現 状 として、 市 民 が 主 体 となる 方 向 性 があると 考 える。 日 本 の 国<br />
際 文 化 交 流 はこれまで 様 々な 面 で 多 様 化 し 続 けてきた。その 中 でもとくに 変 化 がみられた<br />
のは、その 主 体 である。 戦 後 の 国 際 交 流 の 担 い 手 は 中 央 政 府 とエリート層 に 限 られていた<br />
が、その 後 中 央 から 地 方 へと 担 い 手 の 中 心 は 移 行 した。そして、 地 方 では 地 方 自 治 体 、 企<br />
業 、 財 団 、NGO、 市 民 へと 多 様 化 していった。さらに、 主 体 の 多 様 化 とともに 活 動 内 容 に<br />
も NGO やボランティア 団 体 の 活 発 化 がみられる。 国 際 社 会 のグローバル 化 、 地 球 規 模 の 諸<br />
問 題 の 発 生 とともに、その 解 決 のために 国 境 を 越 えて 市 民 レベルの 主 体 が 連 帯 して 活 動 し<br />
ていく 時 代 となった。そして、その 活 発 化 が、 従 来 の 相 互 理 解 と 友 好 親 善 という 国 際 交 流<br />
から、 課 題 解 決 型 ・ 共 同 作 業 型 の 交 流 へとシフトしている[ 榎 田 2004:20-21]。<br />
このように、 課 題 解 決 や 共 同 作 業 という 形 となっていく 今 、その 主 体 となる 市 民 の 国 際<br />
交 流 への 参 加 がますます 必 要 となってくる。 市 民 が 自 由 に 国 際 交 流 できる 時 代 になってき<br />
た 今 こそ、 海 外 に 対 してだけではなく、 国 際 交 流 基 金 は 第 一 に 日 本 にいる 市 民 に 対 するア<br />
プローチを 強 化 していく 必 要 があるのではないだろうか。<br />
(c) 官 と 民 とのネットワーク 形 成 へ<br />
今 後 国 際 文 化 交 流 を 行 うにあたっては、 官 ( 行 政 )と 民 (NGO や 市 民 )とのパートナー<br />
シップの 構 築 が 望 ましい。 官 と 民 は、お 互 いの 役 割 を 認 識 し、 地 域 の 将 来 を 見 据 えながら、<br />
より 良 い 地 域 社 会 をつくっていくためパートナーになることが 理 想 的 である。 そのために<br />
は、まず 官 と 民 とのネットワークを 形 成 していくことが 望 まれる。ネットワーク 形 成 のた<br />
めには、 何 を 成 し 遂 げたいのかという 社 会 的 使 命 や 大 義 名 分 を 明 確 にする 必 要 がある。 例<br />
としては、 活 動 情 報 の 交 換 、 人 的 交 流 、ノウハウの 相 互 交 換 への 新 しいネットワークのシ<br />
ステムづくりの 可 能 性 を 探 ることが 挙 げられる。そしてネットワークを 形 成 し、 協 働 する<br />
ことでメリットもデメリットもあるという 共 通 の 理 解 も 必 要 となってくる[ 榎 田 2004:23]。<br />
その 他 、それぞれの 役 割 を 考 える 際 に 行 政 にしろ NGO にしろ、 立 場 によって 見 える 世 界<br />
が 違 うことと、 双 方 の 長 所 と 短 所 を 理 解 することも 必 要 となる。たとえば、 政 府 は、 国 益<br />
を 優 先 することを 考 え、NGO は 草 の 根 レベルの 目 線 で 事 業 を 考 える。NGO などの 主 体 の<br />
長 所 としては、 行 政 に 比 べ、 創 造 性 や 柔 軟 性 、より 人 間 的 な 対 応 ができ、ボランタリー 精<br />
神 に 富 んでいる。 短 所 は 組 織 運 営 基 盤 や 財 政 基 盤 が 弱 く、 継 続 性 が 困 難 な 面 もある。それ<br />
ぞれ 違 う 特 徴 をもつ 主 体 がネットワークを 形 成 し、 平 等 な 立 場 でパートナーシップを 築 く<br />
ことが 望 まれ、 新 たな 課 題 となってきている。[ 榎 田 2004:24]<br />
このように、 行 政 と 市 民 はそれぞれの 役 割 をまず 知 り、それぞれに 何 ができるかを 理 解<br />
する 必 要 がある。 行 政 の 機 関 としてできることは、 市 民 が 一 番 身 近 に 地 域 の 国 際 化 を 感 じ、<br />
国 際 交 流 を 柔 軟 に 実 践 していくことができる 大 切 な 存 在 であることを 改 めて 市 民 に 知 らせ<br />
ることであるとも 考 えられる。 行 政 は、 市 民 に 市 民 の 立 場 として、 何 ができ、 何 をすべき<br />
かなどを 伝 えていくことが 可 能 でありより 必 要 になってくるのではないだろうか。<br />
(d)インターネットによる 国 際 交 流 の 市 民 化<br />
日 本 の 国 際 交 流 はインターネットを 通 じて 飛 躍 的 に 変 わってきた。 日 本 の 国 際 交 流 は 政<br />
府 と 企 業 が 中 心 であった 戦 後 の「 国 際 交 流 」から、 現 在 国 際 交 流 の「 草 の 根 化 」「 市 民 化 」<br />
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