Kwansei Gakuin University Repository - 関西学院大学リポジトリ
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5-2.カリキュラム,教材の評価<br />
本プロジェクトでグリッド教材を開発するにあたり,特に注意した点は,「グリッド教材が生徒の学<br />
習意欲の向上に役立つものであるか?」,「1 年生全員(300 名)に対して適正な教材であるか?」,「実<br />
社会の問題解決へと生徒の意識を向けられるか?」,「グループ学習がうまく機能するか?」といったこ<br />
とであった.これらに関して,下記に考察する.<br />
・グリッド教材による学習意欲の向上<br />
グリッド教材による実習を行って一番印象的だったのは,実習が進むにつれ,生徒の 9 割以上が開始<br />
5 分前に着席,終了のチャイムが鳴っても席を立たないで熱中するようになっていったことだった.平<br />
成 17 年度 3 年選択クラスでの反省からカリキュラムを見直して,座学と実習の順番入れ替え,グリッ<br />
ド教材による実習前に考察・Excel でシミュレーションする場面を設けたことが功を奏したようで,身<br />
近に起こるレジ問題の考え方をPCへ置き換えていくという流れを理解させるのに余分な時間が必要<br />
ではあったが,徐々に問題点が明確になるにつれて生徒自らが思考し始め,生徒の意欲がどんどん上が<br />
っていくのを感じる取ることができた.<br />
・1 年生全員(300 名)に対する課題としての適正性<br />
今年度同じ教材を用いて,3年選択クラスと 1 年生全員でグリッド教材を使った授業を行った結果,<br />
問題形成,問題解決能力に関して比較すると,2つの学年でさほど差異は感じられなかった.当初,1<br />
年生では少し難しいのではと考えていたが,3年の理系希望者と比較するとやや差異はあるものの,概<br />
ね3年生の取り組みと差異無く授業を進めることができた.このことから,グリッド教材は,問題形成,<br />
問題解決能力の育成という面において,年齢差,学力差に依存しない教材であり,1 年生全体を対象と<br />
した授業で使用することに問題ないことがわかった.<br />
・実社会の問題解決への意識付け<br />
授業の後半で,グリッド概念をどのように組織へ適応させると良いか考察させるために,下記のよう<br />
な課題をレポート提出させたところ,多くの生徒たちがグリッド概念を適用できる問題であることを理<br />
解し,「問題解決と問題形成」,「仕事の配分の方法(適材適所に分配,互いの信頼関係の大切さ,コミュ<br />
ニケーションの重要性)」といった側面をレポート内で考察することができていた.生徒の今まである組<br />
織に関する考え方に大きな影響を及ぼしていることが見て取れたことから,ねらいとしている実社会へ<br />
の問題解決への意識付けに効果的に機能していると考えられる.<br />
レポート課題:<br />
(1) 今年,年賀状を出す人が減少した.もし,あなたが郵便局長ならば,この減少をどのように分<br />
析し,どのように対処するか? 下記のキーワードを用いて考察せよ.<br />
キーワード:グリッド,世代(年齢層),売上,コミュニケーション,携帯電話やPCの普及<br />
(2)人間社会や組織(クラブ,バイト,家族など)に対し,今回学習したグリッド(グリッドコンピュー<br />
ティング)の考え方をどのように応用することが可能であるか考察せよ.<br />
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