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JAEA-Review-2010-014.pdf:27.34MB - 日本原子力研究開発機構

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-014<br />

究で取得されたデータに基づいて水理地質構造モデルを構築し,塩化物イオンの濃度分布に着目した<br />

予察的な移流分散解析を実施した。従来の結果から,Na-(Ca)-Cl 型地下水は,月吉断層以南の土岐川<br />

沿いと日吉川の東側に分布していることが確認されているため 3) ,モデル化・解析の対象領域は,地下水<br />

水質分布と水理境界を考慮して,月吉断層と土岐川に囲まれた東西約 6km,南北約 4km の領域とした。<br />

地層区分はこれまでの地下水流動解析で構築した地質構造モデルを参考に設定し,断層は,特に地下<br />

水流動および塩化物イオン濃度変化に影響が大きいと考えられる月吉断層,日吉川沿いのリニアメント<br />

および主立坑沿いに分布する NNW 走向の断層をモデル化対象とした。地層および断層の透水性は地<br />

下水流動解析で使用した値とし,移流分散に関する有効空隙率等のパラメータは実測値が得られてい<br />

ないため,文献情報に基づいて設定した。<br />

解析は,深度 1,000m までの研究坑道の掘削を模擬した三次元非定常移流分散解析を実施し,研究<br />

坑道の掘削に伴う塩化物イオン濃度分布の変化を予測した。掘削深度ごとの塩化物イオン濃度変化の<br />

予測結果を図 4.1.4-8 に示す。この結果から,主立坑および換気立坑での水質分布は,初期条件として<br />

設定した塩化物イオン濃度の深度依存性の影響により,研究坑道掘削の進展に伴って指数関数的に塩<br />

化物イオン濃度が増加する結果となった。MSB‐2 号孔においては,深度約 180m(標高 20m)から深度約<br />

120m(標高 80m)の区間で,掘削深度が深度 360m(標高-160m)に到達した時点で塩化物イオン濃度が<br />

最大となり,その後,研究坑道の掘削が進展するにつれて,塩化物イオン濃度が減少するといった変化<br />

傾向が得られた。これは,研究坑道の掘削の進展に伴い,低水頭領域が研究坑道の周辺に生じ,上向<br />

きの地下水流動が発生することで,より深部に存在していた塩化物イオン濃度の比較的高い地下水がよ<br />

り浅部に移動することにより,塩化物イオン濃度が上昇したものと考えられる。その後,さらに研究坑道の<br />

掘削が進展することで,上向きの地下水流動が発生する領域が深部に移動し,それまで上向きの地下<br />

水流動が発生していた領域が横向きの地下水流動に戻ることで,塩化物イオン濃度が徐々に減少し,初<br />

期の塩化物イオン濃度分布に近づく結果となったと考えられる。以上から,研究坑道掘削に伴う地下水<br />

流動場の変化に起因した地下水水質の変化傾向を解析的に説明することが可能である。今後は,解析<br />

に使用した物性値に関する感度解析を実施し,それぞれの物性値が解析結果に与える影響を把握する<br />

とともに,今後得られるデータを用いて,より詳細なモデル化およびモデルのキャリブレーションを実施す<br />

ることで,より実際の地下水流動と地下水質分布の変化を表現できる水理地質構造モデルを構築してい<br />

く。<br />

図 4.1.4-8 研究坑道掘削の進捗に伴う塩化物イオン濃度分布の解析結果<br />

3) 技術開発<br />

2008 年度は,地下水中の溶存ガスをより高い精度で定量するための技術として,溶存ガスの採取方法<br />

に関する検討を行った。溶存ガスは,地下水の pH や酸化還元状態の形成に影響し,また,地下水中で<br />

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