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JAEA-Review-2010-014.pdf:27.34MB - 日本原子力研究開発機構

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-014<br />

②100m および 200m予備ステージから掘削したボーリング孔(05MI01 号孔および 07MI07 号孔)におけ<br />

る地下水水質観測<br />

2005 年度に深度 100m 予備ステージから掘削したボーリング孔(05MI01 号孔 掘削長 86m:図 4-1)に<br />

ついては,研究坑道掘削の進捗に伴って水圧が低下し,採水が困難となったために採水調査を 2007 年<br />

度末で中断した。2007 年度に, 深度 200m 予備ステージの避難所から掘削したボーリング孔(07MI07<br />

号孔;傾斜角下向き約 5˚の水平孔 図 4-1)では,水質および間隙水圧のモニタリングを実施した。モニタ<br />

リング項目は物理化学パラメータ(水温,pH,酸化還元電位,電気伝導度,溶存酸素濃度),間隙水圧,<br />

主要元素,同位体(δ18O,δD, 3H, 14C),溶存ガスおよび蛍光染料濃度である。これらのうち,物理化学 パラメータは連続モニタリングとし,主要元素および蛍光染料濃度は 1 回/月,安定同位体,放射性同<br />

位体および溶存ガスは 2 回/年の頻度で分析を行った。<br />

図 4.1.4-3 に 2008 年度中の塩化物イオン濃度の分析値を示す。2008 年 10 月頃に塩化物イオン濃度<br />

の急激な変化が認められるが,これはパッカーの収縮による人為的な擾乱によるものである。その際には,<br />

孔内の各区間で最も間隙水圧の高い区間 1(孔口に最も近い区間が区間 6,遠い区間が区間 1 となる)<br />

からの地下水にボーリング孔内全体の地下水が置換されていたと考えられる。その約 2 週間後,パッカー<br />

を再拡張し,各区間から連続的な排水を継続したものの,水質モニタリング装置を制御している PC の不<br />

具合により観測区間から十分な排水ができなかったため,擾乱の回復に時間を要する結果となった。<br />

2009 年 2 月時点では,各区間の水質はパッカー収縮による擾乱からの回復傾向を示しており,今後も水<br />

質モニタリングを継続し,地下水水質の回復の過程を確認していく。図 4.1.4-3 において,パッカー収縮<br />

前の塩化物イオン濃度の分布は,研究坑道から最も遠い区間 1 で濃度が低く,区間 4 もしくは区間 5 に<br />

向かって濃度が上昇し,区間 6 では区間 4 および区間 5 より低い濃度を示す。全区間では約 100mg/ℓ<br />

の濃度差が認められる。また,パッカー収縮の影響が少なかったと考えられる区間 1 での塩化物イオン濃<br />

度の経時変化では,2008 年 12 月以降,濃度が低下していることがわかる。これら塩化物イオン濃度の空<br />

間的,時間的分布の変化の原因については,天然での地下水水質の不均質性によるもの,もしくは研究<br />

坑道の掘削に伴う擾乱の影響と考えられる。これらの 2 つの可能性に対して,各区間における塩化物イ<br />

オン濃度の変化の時期や傾向が一致することおよび塩化物イオン濃度が変化する時期と初期水圧に対<br />

する差圧(モニタリング装置設置時の間隙水圧から各時点で測定した間隙水圧を引いた値:間隙水圧の<br />

変化量)が変化する時期が一致することから(図 4.1.4-4),塩化物イオン濃度の変化は研究坑道掘削に<br />

よる地下水流動場の変化に起因するものであると考えられる。つまり,深度 200m 予備ステージ近傍では,<br />

研究坑道掘削による地下水流動の変化に伴う深部地下水の上昇(upconing)の影響を受けて水質分布<br />

が変化していると考えられる。また,立坑から最も遠い区間(区間 1)での塩化物イオン濃度(120mg/ℓ程<br />

度)が第 1 段階の調査結果(140mg/ℓ程度)と整合的であることも今回の検討結果を支持する。これらのこ<br />

とは,研究坑道近傍では,研究坑道の掘削による擾乱を受けて水質分布が変化していることが示唆され<br />

る。今後は,地下水水質モニタリングを継続するとともに,地下水流動解析と合わせた数値解析を行うこと<br />

で研究坑道掘削の進展に伴う深部地下水の上昇の過程やそれらを規制する要因を検討していく予定で<br />

ある。<br />

図 4.1.4-3 07MI07 号孔における塩化物イオン濃度の経時変化<br />

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