JAEA-Review-2010-014.pdf:27.34MB - 日本原子力研究開発機構
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<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-014<br />
初期応力測定の結果を図 4.1.2-5 に示す。今回の初期応力測定は円錐孔底ひずみ法(応力解放法<br />
の一種)を用いて行い,換気立坑深度 200m での平均的な初期応力が把握できるよう,ボーリング孔や孔<br />
内での測定深度を変えた複数回の測定を実施した。測定された 12 ケースのうち,測定値の再現性が良く,<br />
測定後の BTV 観察から局所的な亀裂の影響が少ないと考えられた 4 ケースを抽出し,その平均値を計<br />
算して図に示した。この結果から,最大主応力( σ 1 ) 注) の方向は,ほぼ NW-SE で水平にあること,中間<br />
( σ 2 )および最小主応力( σ 3 )は鉛直から 30~60°傾斜していること,主応力比 σ 1:<br />
σ 2 : σ 3 =4:2:1 で<br />
あることを確認した。<br />
応<br />
力<br />
成<br />
分<br />
主<br />
応<br />
力<br />
σ E<br />
8.0±0.4<br />
σ N<br />
6.0±0.6<br />
σ V<br />
4.4±0.3<br />
τ EN<br />
-3.5±0.4<br />
τ NV<br />
1.1±0.3<br />
τ 0.6±0.2<br />
VE<br />
σ 1 (方位°/傾斜°) 10.6±0.5 (121/ 2)<br />
σ 2 (方位°/傾斜°) 5.2±0.4 (220/57)<br />
σ 3 (方位°/傾斜°) 2.6±0.5 ( 36/33)<br />
※応力成分の座標系は E(東)-N(北)-V(鉛直)<br />
※方位は北から時計回りの角度,傾斜は俯角<br />
- 32 -<br />
σ 2 =5.2±0.4<br />
N<br />
08MI14号孔<br />
σ 3 =2.6±0.5<br />
N は真北<br />
ステレオ図は<br />
等角・下半球投影<br />
E<br />
σ 1 =10.6±0.5<br />
図 4.1.2-5 深度 200(m)ボーリング横坑(換気立坑)での初期応力場(圧縮が正)<br />
2) モデル化・解析<br />
物理・力学試験の結果について,換気立坑の深度 200m 調査結果のほか,2006 年度に実施した 100m<br />
予備ステージ調査(以後,深度 100m 調査)結果 5) について,それぞれ MIZ-1 号孔の結果と比較したもの<br />
を,表 4.1.2-1 に示す。深度 100m,深度 200m 調査とも,MIZ-1 号孔で得られた同一岩相での平均値と<br />
概ね同様な結果が得られている。すなわち,MIZ-1 号孔との水平距離は 200m 程度あるが,この程度の<br />
位置の相違では,土岐夾炭累層,土岐花崗岩とも,平均的な岩石の物性はそれほど変化しないことが確<br />
認された。<br />
換気立坑深度 200m の初期応力測定結果を用いて,水平面内応力(最大主応力 SH ;10.6 MPa,最<br />
小主応力 Sh ;3.4MPa)を求めて,第 1 段階調査で得られた MIZ-1 号孔の SH , Sh に重ねて示すと,図<br />
4.1.2-6 のようになる。同図から, SH の値と方位は,ほぼ MIZ-1 のものと一致することが確認された。<br />
初期応力測定結果のうち鉛直方向の応力 σ v (4.4Mpa)は,MIZ-1 で用いた,地表から岩盤比重2.6を<br />
仮定した土かぶり圧(図 4.1.2-6 左の破線 Sv )より小さく,また,換気立坑深度 170m 以浅は比重 1.5 の<br />
堆積岩層(表 4.1.2-1 を参考とした)を仮定した土被り圧(3.3MPa)より大きいので,概ね当該地点の土被<br />
り圧と考えて良いと思われる。そこで Sv に代えて σ v を用いると, σv ≒ Sh となり,この初期応力場は逆<br />
断層型( SH > Sh ≧σ v )にあると言え,深度 200m では逆断層型であった MIZ-1 号孔の結果と整合す<br />
ることが確認された。<br />
..<br />
注) 圧縮を正として,主応力の大小(最大 主応力など)を示している