<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-014 参考文献 1) <strong>日本原子力研究開発機構</strong>:“超深地層研究所計画 年度報告(2007 年度)”,日本原子力研究開発 機構,<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> 2009-002(2009). 2) 鶴田忠彦,竹内真司,竹内竜史,水野崇,大山卓也:“瑞浪超深地層研究所における立坑からのパ イロットボーリング調査報告書”,<strong>日本原子力研究開発機構</strong>,<strong>JAEA</strong>-Research 2008-098(2009). 3) 田上雅彦,中俣公徳,早野明,栗原新,天野健治,鶴田忠彦:“瑞浪超深地層研究所の花崗岩上部 に分布する地質構造について”,応用地質学会平成 20 年度研究発表会要旨集,p.141-142(2008). 4) 天野健治,岩月輝希,上原大二郎,佐々木圭一,竹内真司,中間茂雄:“広域地下水流動研究年度 報告書(平成 14 年度)”,核燃料サイクル開発機構,JNC TN7400 2003-002(2003) 5) 鶴田忠彦,藤田有二,鐙顕正,彌栄英樹,冨士代秀之:“広域地下水流動研究におけるボーリング 調査(DH-15 号孔)”,核燃料サイクル開発機構,JNC TN7400 2005-025(2005). 6) <strong>日本原子力研究開発機構</strong>:“超深地層研究所計画における地表からの調査予測研究段階(第 1 段 階)研究成果報告書”,<strong>日本原子力研究開発機構</strong>,<strong>JAEA</strong>-Research 2007-043(2007). 7) 程塚保行,松岡稔幸,石垣孝一:“立坑掘削工事に伴う振動を利用した地質構造探査”坑日本応用 地質学会研究発表会講演論文集,pp.213-214(2007). 8) 李昌鉉,松岡稔幸,石垣孝一,田上正義,成田憲文,李鐘河,小島正和,山口伸治,土家輝光,松 岡俊文:“昌鉉変換による 3次元 VSPイメージングの基礎的検討”メ物理探査学会学術講演会講演論 文集,112,pp.44-47(2005). 9) 小池克明, 劉春学, 天野健治, 栗原新:“広域的な地質構造・物性分布の空間モデル作成と有効性 の検証:東濃地域における亀裂分布を主としたケーススタディ”域的な地質構造・物性分布の空間モ デル作 vol. 124, no. 12, pp. 700-709 (2008). 4.1.2 岩盤力学に関する調査研究 (1) 実施概要 2008 年度は,2007 年度に設置したひずみ計 1) による計測を継続し,プレグラウトや換気立坑の掘削が 岩盤に及ぼす力学的影響の程度を把握した。また,換気立坑の深度 200m ボーリング横坑よりボーリング 孔を掘削し,土岐花崗岩で初期応力測定を行うとともに,ボーリングコアを用いた室内物理・力学試験を 実施した。モデル化・解析としては,第 1 段階の調査研究における MIZ-1 号孔の調査で得られた初期応 力測定および室内物理・力学試験の結果と,第 2 段階の調査研究における坑道内の調査で得られた同 結果を比較検討した。さらに,調査技術開発では,岩盤の長期挙動評価手法の確立を目的とした,岩石 の力学的挙動に認められる時間依存性に関する研究および結晶質岩の石英溶解等の化学‐力学現象 に関する研究を実施した。 (2) 実施内容 1) 調査試験 2008 年度の調査試験では,プレグラウトや換気立坑の掘削が岩盤に及ぼす力学的影響の程度を把 握するため,ひずみ計による岩盤ひずみの連続計測を行い,その中からプレグラウトや切羽進捗に対応 する変化を抽出し,発生したひずみ量などの分析を実施した。また,土岐花崗岩の初期応力場と物理・ 力学特性を把握するため深度 200m ボーリング横坑(換気立坑)で 3 本の異なる方向のボーリング孔 (08MI-14~08MI-16 号孔)を新たに掘削し,ボーリング孔内で円錐孔底ひずみ法 2) を用いた初期応力測 定を行うとともに,採取コアを用いた室内物理・力学試験を実施した。 - 28 -
<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-014 ① 岩盤ひずみ計測 図 4.1.2-1 は,換気立坑の深度 200m~220m 区間で実施した立坑部プレグラウトの施工領域内に,プ レグラウト前からひずみ計(深度 216m)を設置して観測したひずみの発生状況を示すものである。プレグ ラウト作業の期間中に,同領域内では,方向によって若干大きさは異なるが,伸びひずみの量が 10~40 μ程度観測された。これは立坑設計 3) で用いた岩盤のヤング率 50(GPa)を仮定すると 0.5~2(MPa)の内 圧が発生したことになり,グラウト注入圧(最大 2MPa)とほぼ同じ値となる。 図 4.1.2-1 プレグラウトによるひずみ発生の状況 図 4.1.2-2 は,プレグラウトが終わり立坑切羽が進捗する段階において,立坑周囲の水平面内のひず み変化をひずみ計と換気立坑切羽の深度差(離れ)に対して示したものである。ここで,離れの値は鉛直 方向の深度差を,立坑掘削径 (D=5.3m)で割った比で表し,ひずみ値は伸びを正として示した。すべて の計測において離れ0D 前後のひずみ急変が認められ,これは切羽通過時の応力再配分によるものと考 えられる。また,図 4.1.2-2 中に示した方法で,切羽通過時のひずみ急変量を読み取ると,その絶対値は, 立坑設計 3) で用いた物性値を入力とする岩盤の均質等方弾性解析の結果と概ね一致し,ひずみ計を設 置した領域において,岩盤は定性的に均質等方な弾性体が示す挙動をしたと考えられる。また,発生し たひずみ量の大きさが弾性範囲内にあることから,当該領域(言い換えると,少なくとも立坑壁面から 0.2D 離れた位置)では,発破や掘削による力学的損傷を受けていないものと推定された。 また,図4.1.2-2のひずみ変化において,横軸が0D より小さい領域でのひずみ発生量(切羽到達前の 先行ひずみ量)が切羽通過の影響が収束するまでの全ひずみ発生量に占める割合,すなわち応力解放 率は 74%~120%であり,空洞が開いた後の変形は相対的に少ない。なお,応力解放率については 4.1.5(2)の⑤でも述べる。 - 29 -