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JAEA-Review-2010-014.pdf:27.34MB - 日本原子力研究開発機構

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Review</strong> <strong>2010</strong>-014<br />

(3)量子ビーム応用研究部門との部門間協力研究<br />

①実施概要<br />

瑞浪超深地層研究所では,研究坑道掘削工事により発生する湧水に溶存する天然由来のフッ素(7.2<br />

~9.5mg/ℓ),ホウ素(0.8~1.5mg/ℓ)の除去について,放流先河川において環境基準値(フッ素 0.8mg/ℓ,<br />

ホウ素 1mg/ℓ)以下にするため,薬剤による凝集沈殿およびイオン交換処理を行っている。<br />

一方,量子ビーム応用研究部門 環境・産業応用研究開発ユニット 金属捕集・生分解性高分子研究<br />

グループ(以下,量子ビーム応用研究部門)では,ポリエチレン布材料に放射線を照射したのち,薬剤処<br />

理により特定の物質を除去できる吸着機能を付与する方法(放射線グラフト重合法)による捕集材の開発<br />

を進めている。<br />

これらの状況から,量子ビーム応用研究部門と地層処分研究開発部門では,両者による連携融合研<br />

究として,フッ素,ホウ素を除去する捕集材の研究開発や瑞浪超深地層研究所の湧水処理に関する研<br />

究を 2006 年度から開始した。これまでの試験結果より,ホウ素については捕集材によって湧水中濃度の<br />

95%を除去することが可能であった。フッ素についても湧水中濃度の 95%を除去可能であったが,湧水<br />

中のフッ素濃度が高いため,現行のフッ素除去用捕集材では吸着量が足らず,破過時間が短くなってし<br />

まうことから,現在排水処理設備で用いられている凝集沈殿法よりも処理効率の向上を図るためには,さ<br />

らに吸着容量の高い捕集材の開発が必要であることが明らかになった。<br />

2008 年度は,瑞浪超深地層研究所において,ホウ素除去について実用化への課題である捕集材の<br />

耐久性評価および再生利用の検討を行うために,現場での通液試験を行い,除去効率の向上の検討を<br />

行った。<br />

②実施内容<br />

1) ホウ素除去用捕集材の耐久性評価,再生利用の検討<br />

耐久性・再生利用評価試験の前提として,ホウ素除去における捕集材の吸着性能評価試験を行った。<br />

これまでの通液試験では,排水処理設備の最初の工程である沈砂槽から湧水を採水していた。しかし,<br />

湧水の pH が 9.6~10.6 と変動し,捕集材の吸着性能が良好に発揮できる範囲の上限である pH が 101) よりも高くなる場合があり,捕集材の吸着性能が大きく低下することがあった 2) 。そのため,2008 年度は,<br />

排水処理設備において薬剤によるフッ素除去工程の後,pH が中性域になっているノッチタンクから採水<br />

して試験を行った。<br />

捕集材は,高崎量子応用研究所において,ポリエチレン布基材に,ホウ素に対して親和性の高いグル<br />

カミン基を放射線グラフト重合法によって導入して作製し,現場での通液試験に用いた。<br />

排水処理設備に仮設置している試験装置は,捕集材の充填量を多くするため,2008 年度にカラムの<br />

内径を 4.2cm から 10cm に拡大した。拡大したカラムに捕集材を充填し,湧水を上向流で通液させて,通<br />

液前と通液後のホウ素濃度を分析することで,捕集材の吸着性能を評価することとした。ホウ素濃度は,<br />

誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)を用いて定量した。<br />

捕集材へ通液する速度(空間速度:Space Velocity,以下 SV)は,単位時間当たりの流量(m3 /h)を捕<br />

集材体積(m3 )で除した値であり,ホウ素除去用のイオン交換樹脂の一例として約 10h-1 というデータがあ<br />

る 3) 。今回の試験においては,SV は 30h-1 ,50h-1 ,100h-1 とした。<br />

2)研究の取りまとめおよび実用化に向けた課題抽出<br />

具体的な試験結果の取りまとめおよび評価については,2009 年度に行う予定であるが、これまでの現<br />

場で行ってきた通液試験によって,研究坑道は発破による掘削のため,地上に揚水される湧水には,粒<br />

子が細かい土砂も含まれることから,これらを除去せず,長時間の通液を行うと捕集材が目詰まりをおこし,<br />

圧力損失が生じて吸着性能が低下する問題点も明らかになった 2) 。<br />

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