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InSAR に含まれる対流圏伝搬遅延 : ノイズの場合と ... - 北海道大学

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29<br />

3.2 観 測 データのシグナルの 検 証<br />

前 節 の Figure 13 で 見 られる 局 所 的 位 相 変 化 のシグナルは 集 中 豪 雤 時 に 撮 像 された SAR デー<br />

タを 使 ったことやシグナルの 振 幅 , 空 間 スケールなどから 対 流 圏 遅 延 のシグナルでありそうだ<br />

が, このデータのみでは 断 定 は 不 可 能 である. 第 1 章 の(1) 式 に 示 した <strong>InSAR</strong> の 位 相 変 化 は 地 殻<br />

変 動 , 軌 道 縞 , 地 形 縞 , そして 大 気 遅 延 として 電 離 層 の 影 響 と 中 性 大 気 遅 延 の 効 果 の 線 形 和 で<br />

表 される. このうち 軌 道 縞 は 衛 星 軌 道 情 報 から 高 精 度 に 推 定 することができるのでここでも 軌<br />

道 縞 の 除 去 は 正 確 になされたものと 考 える. 次 に 通 常 DEM を 用 いて 取 り 除 かれる 地 形 縞 であ<br />

るが, これについてはモデルとなる DEM に 誤 差 が 含 まれる 場 合 には, 実 際 の 標 高 からのずれ<br />

の 分 の 影 響 が 地 殻 変 動 等 の 他 のシグナルと 合 わせて 含 まれることになる. さらに, この 他 の 位<br />

相 変 化 の 要 因 については 単 独 の <strong>InSAR</strong> データのみでは 分 離 することはできない. つまり Figure<br />

13 の 局 所 的 位 相 変 化 は 1) 地 殻 変 動 , 2) DEM の 実 際 の 標 高 に 対 する 誤 差 , 3) 電 離 層 の 擾 乱 によ<br />

る 影 響 , 4) 対 流 圏 内 の 水 蒸 気 による 遅 延 の 合 計 4 つの 要 因 が 可 能 性 として 残 っていることにな<br />

る. 我 々はこのシグナルを 水 蒸 気 による 遅 延 であろうと 考 えているので, ここでは 残 る 1), 2),<br />

3) の 要 因 によるものではないことを 検 討 していく.<br />

3.2.1 地 殻 変 動 かどうか<br />

最 初 に 地 殻 変 動 かどうかについて 検 証 する. Figure 13 の 局 所 的 位 相 変 化 が 地 殻 変 動 によるも<br />

のであるならば, <strong>InSAR</strong> には <strong>InSAR</strong> データの 取 得 された 2008 年 9 月 2 日 から 2010 年 1 月 21<br />

日 の 間 に 起 きた 変 動 の 積 分 値 がシグナルとして 現 れていることになる. そこで, このデータの<br />

観 測 間 隔 を 含 むより 観 測 間 隔 の 長 い 別 の <strong>InSAR</strong> データを 用 意 して 位 相 変 化 を 比 較 することで,<br />

地 殻 変 動 の 有 無 を 確 認 することが 可 能 である.<br />

本 研 究 では 地 殻 変 動 の 比 較 用 の <strong>InSAR</strong> データとして 2007 年 10 月 23 日 と 2010 年 7 月 31 日<br />

の <strong>InSAR</strong> データを 作 成 した (Figure 15). Figure 15 の 点 線 の 円 で 囲 まれた 部 分 は Figure 13 の 点 線<br />

の 円 の 部 分 に 対 応 している. Figure 15 には 点 線 の 円 のすぐ 東 側 にやや 大 きな 位 相 の 変 化 が 見 ら<br />

れる. このシグナルは Figure 13 の 円 の 中 にあるシグナルとは 位 置 が 20km 程 度 ずれており, こ<br />

の 位 相 変 化 については 水 蒸 気 遅 延 もしくは 電 離 層 の 擾 乱 によって 現 れたシグナルであろう. 地<br />

殻 変 動 が 存 在 する 場 合 には 同 じ 位 置 にほぼ 同 程 度 の 振 幅 , 空 間 スケールを 持 ったシグナルが 見<br />

られるはずである. このことから Figure 13 で 見 られるシグナルは 地 殻 変 動 によるものではな<br />

い.

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