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第2章 ACT-Jにおけるケースマネジメントとチームアプローチ(PDF 546KB)

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国 立 精 神 ・ 神 経 センター<strong>ACT</strong> プロジェクトで、ケースマネジャーとして 勤 務 しております 久 永 と 申<br />

します。<strong>ACT</strong> というプログラムは、アメリカのウィスコンシン 州 デーン 郡 のマディソン 市 で 始 まりま<br />

した。 私 はリハビリテーションカウンセリングを 学 んでいた 時 期 に、マディソンで 勉 強 をしていま<br />

した。その 際 に「 精 神 障 害 がある 方 の 社 会 生 活 の 支 援 をしたい」と 担 当 教 官 に 相 談 したところ、こ<br />

のプログラムを 紹 介 されて 出 会 ったわけです。<br />

今 日 は「<strong>ACT</strong>-J におけるケースマネジメントとチームアプローチ」ということでお 話 しさせていた<br />

だきますが、 最 初 にアメリカでのケースマネジメントについてお 話 しし、 次 に 私 が <strong>ACT</strong>-J で 実 際 に<br />

行 っているケースマネジメントの 一 例 をご 紹 介 いたします。<br />

アメリカにはケースマネジメントの 認 定 資 格 があり、 認 定 ケースマネジャーという 職 種 が 存 在 し<br />

ます。 精 神 障 害 の 領 域 に 限 らず、ケースマネジメントはあらゆる 人 たちを 対 象 とします。 例 えば 高<br />

齢 者 や 不 妊 の 方 を 対 象 としたものや、アメリカでは 退 役 軍 人 の 方 を 対 象 にしたものもあります。 対<br />

象 者 の 年 齢 もさまざまで、 思 春 期 の 方 のケースマネジメントでは、 学 校 とのやりとりの 中 にケース<br />

マネジャーが 介 入 することもあります。また、 長 期 ・ 短 期 にわたるケースマネジメントもあるため、<br />

総 合 病 院 の 救 急 部 門 にケースマネジャーがいることもありますが、このような 医 療 ケースでは、 看<br />

護 師 がケースマネジャーを 兼 任 することが 多 々あるようです。アメリカのケースマネジメント 協 会<br />

によると、ケースマネジメントは「 質 、 費 用 対 効 果 を 促 進 するために、コミュニケーションおよび<br />

利 用 可 能 な 資 源 を 用 いて、 個 人 の 健 康 的 ニーズを 満 たすオプションやサービスをアセスメント、 計<br />

画 、 実 施 、 調 整 、モニター、 評 価 する、 協 力 的 なプロセスである」と 定 義 されます。<br />

-47-


ケースマネジメントの 定 義<br />

“ケースマネジメントは 質 、 費 用 対 効 果 を 促<br />

進 するために、コミュニケーションおよび<br />

利 用 可 能 な 資 源 を 用 いて、 個 人 の 健 康 的<br />

ニーズを 満 たすオプションやサービスを 評<br />

価 、 計 画 、 実 施 、 調 整 、モニター、 評 価 す<br />

る、 協 力 的 なプロセスである。”<br />

アメリカケースマネジメント 協 会<br />

SLIDE1<br />

日 本 の 定 義 では、ケースマネジメントは「 地 域 社 会 のなかで、サービスを 提 供 する 際 に、 利 用 者<br />

の 生 活 全 般 にわたるニーズと、 公 私 にわたるさまざまな 社 会 資 源 との 間 に 立 って、 複 数 のサービス<br />

を 適 切 に 結 び 付 け、 調 整 を 図 りつつ、 包 括 的 かつ 継 続 的 にサービス 供 給 を 確 保 する 機 能 」であり、<br />

原 則 として 仲 介 型 の 定 義 になっています。アメリカの 定 義 では 地 域 社 会 という 言 葉 は 用 いられてい<br />

ませんが、その 理 由 としては、 対 象 者 が 精 神 障 害 者 だけではないということが 挙 げられると 思 いま<br />

す。<br />

-48-


ケースマネジメントの 定 義 ( 日 本 )<br />

「ケアマネジメントは、 地 域 社 会 のなかで、<br />

サービスを 提 供 する 際 に、 利 用 者 の 生 活<br />

全 般 にわたるニーズと、 公 私 にわたるさま<br />

ざまな 社 会 資 源 との 間 に 立 って、 複 数 の<br />

サービスを 適 切 に 結 び 付 け、 調 整 を 図 り<br />

つつ、 包 括 的 かつ 継 続 的 にサービス 供 給<br />

を 確 保 する 機 能 」<br />

1989 年 旧 厚 生 省 精 神 障 害 者 ケアガイドライン<br />

SLIDE2<br />

ケースマネジメントの 根 本 的 な 前 提 は、 個 人 が 健 康 および 機 能 的 な 能 力 の 最 高 レベルに 達 した 場<br />

合 に、ケースマネジメントを 受 けている 本 人 だけではなく、その 個 人 を 取 り 巻 くサポートシステム<br />

やヘルスケアシステムやその 他 のさまざまな 償 還 システムが、 皆 利 益 を 得 るということです。ケー<br />

スマネジメントのサービスは、ケースマネジャーが 利 用 者 の 権 利 擁 護 をしたり、コミュニケーショ<br />

ン、 教 育 などのスキルを 用 いながら、さまざまなリソースを 調 整 していくものとして 位 置 付 けられ<br />

ています。そのケースマネジャーと 利 用 者 になる 方 との 直 接 対 話 が 前 提 だということと、それを 取<br />

り 巻 く 支 援 の 直 接 のコミュニケーションが 必 要 である、それらが 第 一 条 件 であるといわれています。<br />

-49-


ケースマネジメントの 哲 学<br />

ケースマネジメントの 根 本 的 な 前 提 は、 個<br />

人 が 健 康 および 機 能 的 な 能 力 の 最 高 レベ<br />

ルに 達 する 場 合 、ケースマネジメントを 受<br />

けている 本 人 のみならず、その 個 人 を 取 り<br />

巻 くサポートシステム、ヘルスケアシステ<br />

ム、 様 々な 償 還 システムなどが 利 益 を 得<br />

ること。<br />

アメリカケースマネジメント 協 会<br />

SLIDE3<br />

簡 単 な 図 ですが、スライド 4 はケースマネジメントの 重 要 な 活 動 として、ケースマネジメント 協<br />

会 が 定 めたものです。これもまた 精 神 障 害 に 限 定 されないものです。 対 象 者 が 決 まったらまずアセ<br />

スメントから 始 まりますが、このサイクルはずっと 続 く 場 合 もあれば、 短 期 のケースマネジメント<br />

のように 一 周 してクローズという 形 にもなり、それは 対 象 者 のニーズやそのケースマネジメントを<br />

提 供 している 機 関 によって 変 わってきます。 計 画 を 立 てる 際 には、 例 えば 一 定 の 期 間 をおいて 評 価<br />

し 再 アセスメントを 行 うなど、 実 行 する 行 動 の 段 階 を 明 記 し、 時 間 や 期 限 をきちんと 定 めるよう 注<br />

意 しなければなりません。しかし 状 況 に 応 じて 柔 軟 に 対 応 することも 大 切 で、 一 定 の 期 限 を 待 たず<br />

に 再 アセスメントが 行 われることもあります。<br />

-50-


ケースマネジメントの 重 要 な 活 動<br />

クローズ<br />

アセスメント<br />

( 査 定 )<br />

評 価<br />

計 画<br />

モニタリング<br />

実 施<br />

調 整<br />

SLIDE4<br />

支 援 サービスを 必 要 とする 方 が 地 域 に 出 てきたときにどのような 援 助 技 法 ・ 調 整 があるか 整 理 す<br />

るため、ケースマネジメントが 提 唱 された 経 過 があると 思 います。 日 本 ではケースマネジメントで<br />

ケースマネジメント 誕 生 の 背 景<br />

• アメリカ 1960 年 代<br />

脱 施 設 化 → 精 神 障 害 を 抱 えた 人 たちの 地<br />

域 生 活 を 支 援 する 方 法 として 出 現<br />

• イギリス<br />

ホームケアサービスから 発 展 →ケース( 事<br />

例 )と 対 象 化 するのではなく、ケアマネジメ<br />

ントに 定 着<br />

SLIDE5<br />

-51-


はなくケアマネジメントという 言 葉 で 定 着 しています。「ケース」という 言 葉 は、 専 門 用 語 として 使<br />

われてはいますが、 利 用 者 の 方 の 中 には「 自 分 はケースじゃない」と 強 く 抵 抗 を 示 す 方 もいらっし<br />

ゃいまして、 自 分 を 取 り 巻 く 資 源 をコーディネイト、マネジメントしてもらっているということで、<br />

「 資 源 マネジメント」という 言 葉 を 使 っている 方 もいらっしゃいます。<br />

仲 介 型 のケースマネジメントというのは、スライド 3 にあるようなケースマネジメントの 基 本 的<br />

な 機 能 のみを 行 います。 臨 床 型 というのは「ケースマネジャーが 直 接 サービスを 提 供 」と 書 いてあ<br />

りますが、これは 医 療 職 でないということなどもあって、 心 理 教 育 や SST など、 直 接 提 供 されるサ<br />

ービスは 限 定 されてしまうところがあるのではないかと 思 います。<strong>ACT</strong> と ICM を 並 列 させていますが、<br />

これらは 重 い 精 神 障 害 を 抱 えた 方 を 対 象 にし、 密 度 の 濃 い 直 接 的 なサービスを 継 続 的 に 提 供 すると<br />

いう 部 分 が 共 通 しています。<br />

ケースマネジメントのモデル<br />

• 仲 介 型 :ケースマネジメントの 基 本 機 能<br />

• 臨 床 型 :ケースマネジャーが 直 接 サービス<br />

を 提 供<br />

• <strong>ACT</strong>・ICM( 集 中 型 ・ 包 括 型 ): 低 いケース<br />

ロードで、 重 い 精 神 障 害 を 抱 えた 人 を 対<br />

象 。 直 接 サービスを 継 続 的 に 提 供 。<br />

SLIDE6<br />

-52-


アメリカのケースマネジメント<br />

(マディソンモデルより)<br />

SLIDE7<br />

マディソンで 行 われているケースマネジメントは 重 度 の 精 神 障 害 をお 持 ちの 方 を 対 象 にしていま<br />

すが、 調 査 をしてみると、あまりきちんとした 定 義 はなされていないのが 実 状 で、「 診 断 (Diagnosis)」、<br />

「 障 害 (Disability)」、「 罹 病 期 間 (Duration)」の 3 つの D とおおよそ 定 められています。 診 断 とし<br />

ては 統 合 失 調 症 、 感 情 障 害 などで、 障 害 としては 社 会 関 係 ・ 日 常 生 活 における 機 能 障 害 、 罹 病 期 間<br />

としては 頻 回 の 入 院 歴 、 数 ヵ 月 にわたる 入 院 ということです。<br />

-53-


ケースマネジメントの 対 象 者<br />

• 重 症 の 精 神 障 害 者 (person with severe and<br />

persistent mental illness)<br />

定 義 :3つのD<br />

• 診 断 Diagnosis<br />

• 統 合 失 調 症 、 感 情 障 害 など<br />

• 障 害 Disability<br />

• 社 会 関 係 、 日 常 生 活 における 機 能 障 害<br />

• 罹 病 期 間 Duration<br />

• 頻 回 の 入 院 歴 、 数 ヶ 月 にわたる 入 院 等<br />

SLIDE8<br />

ここでは、マディソンにおけるケースマネジメントシステムの 成 立 要 件 をいくつか 列 挙 します。<br />

まず 目 標 は、そのケアシステムへのアクセスの 保 証 をすることと、ケアの 継 続 性 を 確 保 することで<br />

す。<br />

次 にケースマネジメントの 対 象 は、 重 症 の 精 神 障 害 者 とお 伝 えしましたが、マディソンモデルで<br />

は 対 象 者 のケアのレベルを 三 段 階 に 分 けています。レベル1は、<strong>ACT</strong> のように 包 括 的 ・ 集 中 的 な 支 援<br />

を 必 要 としている 人 たちを 対 象 にしています。 最 も 入 院 のリスクが 高 いと 言 われている 人 たちです。<br />

レベル2は、 複 数 のサービスを 利 用 している 人 たちを 対 象 にしています。レベル3は、ホームレス<br />

など 実 際 にまだなんらかのケアに 繋 がっていない 方 々を 対 象 としており、そのような 方 のところへ<br />

アウトリーチの 手 法 を 用 いてケアに 繋 げます。<br />

それから 実 施 責 任 の 明 確 化 ということで、 中 核 機 関 を 適 切 に 設 定 することが 重 要 となっています。<br />

マディソンの 精 神 保 健 システムには、18 機 関 40 のプログラムがありますが、1 人 の 利 用 者 さんに 対<br />

して 複 数 の 機 関 が 協 働 している 場 合 には、 支 援 プランを 共 有 し、 全 体 を 見 渡 し 調 整 する 機 能 が 必 要<br />

となります。 複 数 の 機 関 が 異 なる 目 標 をもっていたら、 本 人 がもっている 目 標 に 到 達 することはで<br />

きないので、 全 機 関 が 同 じ 目 標 に 向 かってサービスを 提 供 するように、 関 係 機 関 の 合 意 を 形 成 する<br />

必 要 があります。<br />

また 機 関 の 連 携 として、エリア 設 定 で、キャッチメントエリアなどをきちんと 設 定 するというこ<br />

とがあります。 更 に、 特 に 期 限 を 設 けずに、 必 要 な 限 りサービスを 提 供 するということがあります。<br />

-54-


ここで 気 をつけなくてはならないのは、 必 要 のないサービスまで 提 供 してしまうことです。 次 のス<br />

テップダウンのプログラムに 移 行 できる 方 にまで、 既 存 のサービスを 提 供 するということは、 新 し<br />

く 加 入 できる 人 たちのケアができなくなってしまうことに 繋 がります。<br />

最 後 に 職 種 としては、 多 職 種 によるチームアプローチを 原 則 としています。<br />

ケースマネジメントシステムの<br />

成 立 要 件 ( 広 沢 、2003)<br />

• 目 標 :ケアシステムへのアクセスの 保 証 、<br />

ケアの 継 続 性 の 確 保<br />

• 対 象 : 重 症 の 精 神 障 害 者<br />

• 実 施 責 任 の 明 確 化 : 中 核 機 関 の 設 定<br />

• 機 関 連 携 :エリア 設 定 とサービス 提 供 にお<br />

ける 関 係 機 関 の 合 意 形 成<br />

• 期 限 : 必 要 な 限 りサービスを 提 供 する<br />

• 職 種 : 多 職 種 によるチームアプローチ<br />

SLIDE9<br />

冒 頭 で 述 べた 固 いケースマネジメントの 定 義 に 対 して、マディソンにおいてケースマネジメント<br />

は「 地 域 で 接 着 剤 のような 役 割 を 果 たし」、「 個 々のケースレベルと 精 神 保 健 システム 全 体 のシステ<br />

ムレベルのものがある」と 捉 えられています。 特 にシステムレベルのケースマネジメントというこ<br />

とで、 利 用 者 の 方 を 取 り 巻 く 支 援 のネットワークが 適 切 に 機 能 するようにということがあります。<br />

例 えば 5 つの 機 関 を 利 用 している 1 人 の 利 用 者 が、ある 1 つの 機 関 のケースマネジャーと 一 番 接 触<br />

する 時 間 が 長 いとしたら、その 場 合 にはこのケースマネジャーがシステムにおける「システムワイ<br />

ドケースマネジャー」ということで、 中 核 機 関 を 担 い 責 任 をもつというように 機 能 分 化 しています。<br />

システムワイドケースマネジメントというのは、これだけのプログラムや 機 関 が 連 携 しているため、<br />

そのような 機 能 がない 限 り、ただの 情 報 交 換 のみに 終 わってしまうということがあるというところ<br />

から 来 ています。<br />

-55-


マディソンにおけるケースマネジメント<br />

の 捉 え 方<br />

• ケースマネジメントは「 地 域 で 接 着 剤 のよ<br />

うな 役 割 を 果 たしている」<br />

• 「ケースレベルとシステムレベルのケース<br />

マネジメントがある」<br />

SLIDE10<br />

スライド 11 の 図 を 少 し 見 ていきたいと 思 います。 例 えば <strong>ACT</strong> でも 危 機 介 入 のサービスなどを 行 い<br />

ますが、マディソンでは 危 機 介 入 サービスの 部 門 がさまざまな 役 割 を 担 っています。 例 えば 入 院 に<br />

関 してはすべての 病 院 のベッド 数 をカウントしており、 入 院 に 関 するアセスメントはこの 部 門 で 行<br />

われることが 多 いです。さらに、サービスに 繋 がっていない 方 々の 最 初 の 窓 口 になることもありま<br />

す。<strong>ACT</strong> だけでは 対 応 できないケースについてはこの 部 門 との 連 携 を 図 ったりします。この 部 門 は 警<br />

察 との 連 携 が 確 立 されていますので、 場 合 によっては 警 察 などの 協 力 を 得 たりもします。ちなみに<br />

この 図 の 中 で <strong>ACT</strong> は、 左 側 にある 地 域 支 援 プログラムというところに 位 置 付 けられています。<br />

ウィスコンシン 州 において <strong>ACT</strong> は「コミュニティサポートプログラム」と 呼 ばれており、 法 定 化<br />

されています。その 基 準 に 合 っていれば 州 からそれだけの 予 算 がおりますが、それが 守 られていな<br />

いと、 翌 年 からの 予 算 がカットされるというシステムになっています。<br />

-56-


デーン 郡 成 人 精 神 保 健 システム<br />

成 人 精 神 保 健 部<br />

インテーク: 中 央 集 中 化 と<br />

プログラムの 特 定<br />

コンシューマーを 中 心 とした<br />

リカヴァリィ( 回 復 ) 過 程<br />

ケースマネジメント 内 部 とシステム<br />

地 域 支 援 プログラム<br />

危 機 介 入<br />

監 督 付 き 居 住<br />

デイサービス<br />

精 神 科 入 院 患 者<br />

ケースマネジメント<br />

向 精 神 薬<br />

支 援 付 き 雇 用<br />

コンシューマーサポート<br />

精 神 療 法<br />

アウトリーチ<br />

SLIDE11<br />

マディソンのケースマネジャーに 求 められている 理 想 像 として、お 互 いの 専 門 性 を 発 揮 しつつも、<br />

この 図 の 中 央 のケースマネジメントであったり、 就 労 支 援 でも、 職 場 における 就 労 支 援 は、 職 業 支<br />

援 のカウンセラーに 限 らず 他 の 職 種 でもできると 考 えられ、 共 有 しているスキルです。 例 えば 新 人<br />

のケースマネジャーとして、ソーシャルワーカーが 新 しく <strong>ACT</strong> プログラムに 入 ったとします。 最 初<br />

はソーシャルワークの 専 門 性 を 発 揮 しますが、 実 際 にケースマネジャーの 実 践 を 通 してジョブコー<br />

チのスキルなど 身 につけていくといったことを 行 っています。すべての 職 種 が 提 供 できる 支 援 のベ<br />

ースラインをチーム 全 体 で 確 認 しておくことも 大 切 でしょう。<br />

-57-


専 門 家 として、そして<br />

ジェネラリストとして<br />

職 業<br />

リハビリテーション<br />

カウンセラー<br />

就 労 の 評 価<br />

精 神 科 医 ・ 看 護 師<br />

薬 の 処 方 と 服 薬<br />

モニタリング<br />

全 ての 職 種<br />

ケースマネジメント<br />

就 労 、レクリエーション、<br />

ADL, 社 交 、アウトリーチ、<br />

問 題 解 決 、エンパワメント、<br />

サービスの 調 達 、<br />

権 利 擁 護<br />

多 職 種 チームによるケース<br />

マネジメント: 役 割 定 義 と 区 分 /<br />

役 割 領 域 の 共 有<br />

ウィスコンシン 州 デーン 郡 精 神 保 健<br />

サービスモデル<br />

作 業 療 法 士<br />

ADLの 評 価<br />

心 理 士<br />

心 理 テスト<br />

ソーシャルワーカー<br />

心 理 社 会 的<br />

経 歴 調 査 と 評 価<br />

Source: LeCount, D.(1997). The city of Madison, U.S.A. The Madison Model; keeping the focus of treatment in the community. In Mental<br />

Health in our future cities, Goldberg&Thornicroft(Eds.), p.163, Psychology Press: Filey, North Yorkshire.<br />

SLIDE12<br />

先 ほども 述 べましたが、マディソンのケースマネジメントの 純 粋 なフォームとしては、やはり 仲<br />

介 型 のものが 前 提 になっています。<br />

マディソンのケースマネジメント<br />

ケースマネジメントの 純 粋 なフォーム:<br />

• アセスメント、 症 状 のトリートメント、リハビ<br />

リテーション 計 画 、 介 入 、 継 続 的 な 評 価 、<br />

リンケージと 照 会 のための 調 整 とアドボカ<br />

シーサービスを 包 含<br />

SLIDE13<br />

-58-


しかしそれだけではどうしても 対 応 できないということで、やはりプライマリーのスタッフが、<br />

利 用 者 の 基 本 的 なニーズを 満 たすようにアウトリーチサービスを 積 極 的 に 提 供 しています。これは<br />

<strong>ACT</strong> に 限 らず 他 のプログラム、 例 えば 通 所 型 のリハビリテーション 施 設 などでも 同 様 です。 例 えば 1<br />

週 間 どうしても 連 絡 が 取 れないなど、 危 機 介 入 の 必 要 性 がある 際 には、 柔 軟 かつ 迅 速 にアウトリー<br />

チできるようにしています。<br />

また、 全 てのサービスを 直 接 提 供 するとは 限 りませんが、やはりそのプログラムや 他 の 提 携 して<br />

いるプログラム 内 で、きちんとトリートメント/リハビリテーションプログラムが 実 施 されているこ<br />

とをモニターする 必 要 があります。<br />

マディソンのケースマネジメント<br />

• プライマリーのスタッフが 利 用 者 の 基 本 的<br />

ニーズを 満 たすよう、アウトリーチ・サービ<br />

スを 提 供 する<br />

• 必 ずしも 全 てのサービスを 直 接 提 供 する<br />

とは 限 らないが、プログラムや 他 の 提 携 し<br />

ているプログラム 内 でトリートメント/リハビ<br />

リテーションプログラムが 実 施 されている<br />

ことをモニターする<br />

SLIDE14<br />

システムワイドケースマネジャーの 話 に 関 連 するところがあると 思 いますが、 自 分 が 関 わってい<br />

る 部 分 だけに 責 任 をもつのではなく、 全 体 を 見 わたせる 力 が 必 要 であるといわれています。<br />

先 ほどのマディソンの 精 神 保 健 システムの 中 で、デイサービスという 部 分 がありましたが、そこの<br />

位 置 づけとなるのは「ヤハラハウス」という 通 所 型 のリハビリテーション 施 設 です。これはクラブ<br />

ハウスですが、ここのスタッフに 求 められている 役 割 には 次 のようなものがあります。<br />

まず、さまざまなスキルトレーニングができるというところで、 各 活 動 部 門 のまとめ 役 となること<br />

です。<br />

それから、 一 番 大 きな 仕 事 はケースマネジメントです。 包 括 的 なケースマネジメントということ<br />

で、1 人 のスタッフが 受 け 持 つようになるのですが、スタッフとメンバーの 比 率 は 1 対 10~15 です。<br />

-59-


ただ、ここで 行 われているのは 集 中 的 ・ 包 括 的 なケースマネジメントに 近 いものがありますが、ICM<br />

にはなりません。それは 24 時 間 体 制 ではないことと、オフィスアワーが 終 わってしまった 後 は、 危<br />

機 介 入 サービス 部 門 に 連 携 して 対 処 するということ、それから 1 対 10~15 といえども、 多 職 種 チー<br />

ムアプローチも 行 っていて、クラブハウス 内 に 医 師 や 看 護 師 がいたりするということが 理 由 です。<br />

また、 就 労 支 援 が 根 底 にあり、 過 渡 的 雇 用 や 一 般 就 労 に 対 する 援 助 に 非 常 に 力 を 入 れていますの<br />

で、 就 労 支 援 のチームがあり、 職 業 カウンセラーも 他 の 職 種 と 協 働 しています。<br />

ヤハラハウスにおけるスタッフの<br />

役 割<br />

• クラブハウススペシャリスト<br />

• 各 部 門 のまとめ 役<br />

• ケースマネジメント<br />

• 過 渡 的 雇 用 や 一 般 就 労 に 対 する 援 助<br />

• 社 交 の 機 会 を 提 供 すること<br />

• 包 括 的 ケースマネジメントにおけるスタッフと<br />

メンバーの 比 率 1:10~15<br />

SLIDE15<br />

ヤハラハウスの 包 括 的 ケースマネジメントの 中 で 中 心 となるものに、「リカバリープラン」という<br />

ものがあります。 先 ほどケースマネジメントのサイクルについてご 紹 介 した 時 に、アセスメントと<br />

計 画 が 出 てきましたが、このリカバリープランの 中 ではアセスメントとプランの 両 方 を 記 載 します。<br />

これには 年 1 回 立 てるもの、2 ヵ 月 ごとに 更 新 するもの、それから 短 期 的 な 目 標 を 立 てる 毎 月 のもの<br />

の 3 種 類 があります。このプランについては、1 人 のケースマネジャーだけのアセスメントで 適 切 で<br />

あるかどうかを 判 断 するのは 危 険 であるため、 時 間 はかかりますが 次 のようなプロセスをとってい<br />

ます。ご 本 人 とケースマネジャーが 協 働 し 作 成 したプランを 他 のソーシャルワーカーや 担 当 の 精 神<br />

科 医 、 看 護 師 などが 目 を 通 し、これで 大 丈 夫 というお 墨 付 きが 出 たところで、またご 本 人 に 返 し、<br />

ご 本 人 がもう 一 度 見 直 しをし、 納 得 した 上 で 署 名 します。<br />

-60-


ヤハラハウスのサービス: 包 括 的 ケース<br />

マネジメントサービス( 資 源 マネジメント)<br />

• リカヴァリィプラン<br />

• メンタルヘルス<br />

• 作 業 技 術 ・ 就 労 ・ 教 育<br />

• 社 会 性 ・ 対 人 関 係<br />

• 身 体 的 健 康 ・ 薬 物 問 題<br />

• 生 活 技 術 ・ 住 居 問 題<br />

• 金 銭 ・ 法 的 問 題<br />

• 文 化 的 情 報 ( 宗 教 、 文 化 的 背 景 など)<br />

SLIDE16<br />

1 つずつ 項 目 を 見 ていくと、まずメンタルヘルスは、 今 現 在 の 精 神 状 態 、 精 神 疾 患 に 伴 う 症 状 のア<br />

セスメント、また 精 神 科 に 通 院 している 場 合 にはその 通 院 先 でのやり 取 り、 服 薬 しているお 薬 やそ<br />

の 副 作 用 について、 更 にどのように 利 用 者 さんが 自 分 の 精 神 疾 患 と 向 き 合 っているか、を 主 にみて<br />

いきます。<br />

次 に 作 業 技 術 ・ 就 労 ・ 教 育 とありますが、これは 作 業 技 術 というものも 全 て 就 労 につながるとい<br />

うことで、クラブハウスでの 活 動 の 様 子 や、 就 労 していない 場 合 にはなぜ 今 仕 事 に 就 いていないの<br />

か、 就 労 している 場 合 には 職 場 での 様 子 であったり、どうしても 職 場 で 気 になることがあればそれ<br />

を 記 載 したりしていました。それからボランティア 活 動 のことや、 専 門 学 校 に 通 っている 方 はその<br />

通 学 している 状 況 についても 記 載 していました。<br />

その 次 の 社 会 的 ・ 対 人 関 係 についてですが、ヤハラハウスでは 家 族 との 関 わりは 日 本 に 比 べれば<br />

少 なく、 家 族 と 離 れて 単 身 生 活 をしている 方 が 大 多 数 です。 私 がいたところではむしろ 友 人 とのや<br />

り 取 り、あるいはその 地 域 でのやり 取 りなどが 多 く 見 られました。<br />

それから 身 体 的 健 康 ・ 薬 物 問 題 ですが、 薬 の 副 作 用 などで 太 ってしまったり、 糖 尿 をお 持 ちの 方<br />

も 非 常 に 多 いので、そのあたりの 課 題 については 看 護 師 や 医 師 と 連 携 して 対 応 していました。 物 質<br />

依 存 の 方 も 多 いので、その 分 野 の 専 門 家 とも 連 携 していました。<br />

生 活 技 術 ・ 住 居 問 題 については、 住 居 確 保 というのは 日 本 でも 大 変 ですが、アメリカでも 難 しい<br />

ところがありまして、 一 度 確 保 しても 今 度 それをどう 維 持 するかが 非 常 に 難 しく、そのあたりのア<br />

-61-


セスメントがかなり 細 かく 考 えられていました。<br />

更 に 金 銭 ・ 法 的 問 題 ということで、 経 済 的 な 問 題 であったり、 触 法 のトリートメントとまではい<br />

かなくても、ちょっとした 法 的 トラブルをお 持 ちの 方 が 結 構 多 かったため、このあたりのアセスメ<br />

ントも 行 われていました。<br />

最 後 に 文 化 的 情 報 ということですが、ここはわかる 範 囲 を 聞 いたことです。コミュニケーション<br />

のスタイル 等 でスタッフにとっては 非 常 に 参 考 になる 部 分 なのですが、プライベートなことなので、<br />

強 制 的 に 聞 き 出 すことはありません。<br />

プランを 立 てる 際 に、 目 標 を 達 成 する 期 限 を 明 確 にしたり、 数 値 で 計 れるような 具 体 的 なプラン、<br />

例 えば 作 業 技 術 なども、 週 何 回 就 労 現 場 に 通 うのかとか、 次 の 振 り 返 りをいつにするのかなど、 非<br />

常 に 細 かく 行 いました。そのゴールを 立 てた 後 に、 行 動 段 階 で 示 そうということで、アクションス<br />

テップを 決 めますが、 本 人 がやるべき 行 動 や、もし 就 労 している 場 合 には 事 業 主 の 方 にお 願 いする<br />

ことなどを 明 記 しました。ゴールに 関 しては 全 体 できちんと 共 有 するということになっています。<br />

1カ 月 後 の 見 直 しは 本 当 に 簡 単 なチェックぐらいですが、2 ヵ 月 たったら 書 き 直 しを 行 っていました。<br />

以 上 がアメリカでのケースマネジメントに 関 するお 話 でした。<br />

<strong>ACT</strong>-Jにおけるケースマネジメントの 実 際<br />

SLIDE17<br />

-62-


次 に、<strong>ACT</strong>-J におけるケースマネジメントについてお 話 します。<br />

まずチームアプローチについて 触 れておきます。<strong>ACT</strong>-J は 重 い 精 神 障 害 を 抱 えた 方 を 対 象 にしてい<br />

ますが、1 人 の 臨 床 家 によって 提 供 できる 資 源 には 限 界 がありますし、 利 用 者 の 方 はいろいろな 援 助<br />

技 術 や 社 会 資 源 を 要 しますので、 多 職 種 チームによるアプローチが 必 要 となります。ここには 必 要<br />

と 考 えられる 支 援 が 挙 げられています。<br />

チームアプローチの 必 要 性<br />

住 居 支 援<br />

医 療<br />

就 労 ・ 教 育 支 援<br />

カウンセリング<br />

身 体 的 健 康<br />

利 用 者 のニーズに 応 える<br />

生 活 支 援<br />

エンパワメント<br />

危 機 介 入<br />

法 的 な 支 援<br />

経 済 支 援<br />

権 利 擁 護<br />

家 族 支 援<br />

SLIDE18<br />

チームアプローチの 有 効 性 としては、まずは 情 報 量 の 多 さ、1 人 のケースマネジャーでは 収 集 しき<br />

れない 情 報 を 入 手 できるという 点 が 挙 げられます。 例 えば <strong>ACT</strong>-J では 13 人 ほどのチームで 活 動 して<br />

いますが、1 人 の 情 報 量 より 13 人 で 集 められた 情 報 量 のほうが 当 然 、はるかに 豊 富 です。 次 に、 包<br />

括 的 、 多 面 的 な 理 解 、 解 釈 ができるという 点 が 非 常 に 大 きいと 思 います。それから 燃 え 尽 きの 防 止<br />

に 有 効 です。1 人 でケースを 抱 え 込 むことなく、きちんと 役 割 分 担 して 支 援 を 行 うことができます。<br />

また、リカバリープランというものを 作 っているのですが、それを 共 有 することで、1 人 のスタッ<br />

フが 提 供 するサービスを 他 のスタッフも 同 じように 提 供 できるという 利 点 があります。 最 後 に、チ<br />

ームの 中 にいろいろな 職 種 のスタッフがいることで、 状 況 に 応 じて 臨 機 応 変 に 対 応 することができ<br />

ます。<br />

-63-


チームアプローチの 有 効 性<br />

• 豊 富 な 情 報 量<br />

• チームメンバーによって 収 集 される 情 報 量 >1 人 の<br />

ケースマネジャーによって 収 集 される 情 報 量<br />

• 包 括 的 アセスメントによる 理 解<br />

• 専 門 性 や 経 験 の 違 いによって、 多 面 的 な 理 解 や 解<br />

釈 を 得 ることができる<br />

• 燃 え 尽 きの 防 止<br />

• 1 人 でケースを 抱 え 込 むことなく、チームと 共 有 する<br />

ことで、バーンアウト( 燃 え 尽 き) 防 ぐことが 可 能 にな<br />

る<br />

• トリートメントプラン(リカバリープラン)の 共 有<br />

• 様 々なニーズへの 対 応<br />

SLIDE19<br />

<strong>ACT</strong>-J チームの 特 徴 としては、まずメンバー 全 員 が 全 ての 利 用 者 の 状 況 を 把 握 しているということ、<br />

それからほとんどのサービスが 直 接 提 供 されるということが 挙 げられます。また、1 人 のスタッフが<br />

責 任 をとるのではなく、チームが 責 任 を 共 有 するということも 特 徴 的 ですし、さまざまな 専 門 家 が<br />

いることによって、それぞれがコンサルタントのような 役 割 を 担 っているという 点 も 重 要 です。 最<br />

終 的 な 目 標 として 目 指 していかなくてはならないのは、お 互 いの 専 門 性 を 活 かしながら、 全 員 が 同<br />

じような 支 援 をできるようになるということです。<br />

チームができてまだ 1 年 弱 ですが、 今 後 それぞれの 役 割 や 長 所 ・ 短 所 が 明 確 になっていく 中 で、<br />

どのようにお 互 いの 専 門 性 や 技 術 を 活 用 していけばよいかということも 徐 々に 見 えてくると 思 われ<br />

ます。<br />

-64-


<strong>ACT</strong>-Jチームの 特 徴<br />

• チームメンバー 全 員 が 全 ての 利 用 者 の 状<br />

況 を 把 握 している<br />

• 複 数 のサービスはチームメンバーによっ<br />

て 直 接 提 供 される<br />

• チームメンバーがケア 上 の 責 任 を 共 有<br />

SLIDE20<br />

<strong>ACT</strong>-Jにおけるコミュニケーション 構 造<br />

:ケアの 共 有<br />

• 毎 日 のスタッフミーティング<br />

• 個 々の 利 用 者 に 関 する 報 告 :すべての<br />

ケースの 概 要 をつかむ<br />

• チームの 一 日 の 計 画 :スケジュールを<br />

協 同 で 作 成 する<br />

• ケースカンファレンス<br />

SLIDE21<br />

-65-


ケアの 共 有 は、 毎 朝 のスタッフミーティングの 中 で 進 められます。このケースは 危 機 的 であると<br />

か、 頻 回 の 訪 問 が 必 要 ではないかといったことが、このスタッフミーティングできちんと 確 認 され<br />

ます。 車 や 携 帯 電 話 の 割 り 振 りなどもこの 場 で 行 われます。<br />

毎 週 金 曜 日 にはケースカンファレンスを 行 っています。また、 病 院 の 当 直 ミーティングにも 参 加<br />

しています。 情 報 の 共 有 や 連 携 ということもありますが、<strong>ACT</strong> の 利 用 者 が 救 急 受 診 をする 可 能 性 があ<br />

ることと、 利 用 者 の 中 には <strong>ACT</strong> ではなく 病 院 の 救 急 に 電 話 をしてしまう 方 もいらっしゃるというこ<br />

とがその 理 由 です。<br />

チームの 中 のチーム: 利 用 者 の 個 別<br />

処 遇 チーム(ITT)1<br />

• プライマリ・ケースマネジャー<br />

• ITT 活 動 の 調 整 とモニターを 行 い、リカバリープラ<br />

ンの 記 載 に 対 する 責 任 をもつ。 利 用 者 のニーズ<br />

が 変 化 した 際 には、 速 やかにリカバリープランを<br />

変 更 することを 保 証 し、 利 用 者 の 権 利 や 選 択 を<br />

尊 重 する。<br />

SLIDE22<br />

ITT(Individual Treatment Team; 個 別 処 遇 チーム)の 構 成 は、アメリカのマディソンの P<strong>ACT</strong> で<br />

は「ケースマネジャー2 名 と 看 護 師 と 医 師 」という 原 則 があるなど、その 地 区 や 利 用 者 によって 異 な<br />

ります。ITT の 中 で 一 番 の 責 任 をもつのがプライマリ・ケースマネジャーで、ITT の 活 動 がきちんと<br />

行 われているかといったことをモニタリングし、 調 整 します。 利 用 者 のニーズが 変 化 した 際 には、<br />

速 やかにそのプランを 変 更 することを 保 証 し、 利 用 者 の 権 利 や 選 択 を 尊 重 します。<br />

-66-


チームの 中 のチーム: 利 用 者 の 個 別<br />

処 遇 チーム(ITT)2<br />

• セカンダリ・ケースマネジャー<br />

• トリートメントやリハビリテーションの 調 整 などの<br />

仕 事 をプライマリ・ケースマネジャーと 共 有 し、プ<br />

ライマリ・ケースマネジャーが 不 在 な 時 には、そ<br />

れらの 実 施 に 責 任 を 持 つ。<br />

• 看 護 師<br />

• 主 要 な 責 任 は 精 神 科 医 療 、 健 康 面 のアセスメン<br />

ト。 他 のスタッフに 対 するコンサルタントの 役 割 。<br />

健 康 問 題 の 予 防 。<br />

• 就 労 ・ 教 育 の 専 門 家<br />

• 利 用 者 のニーズに 応 じて、その 領 域 の 専 門 家 を<br />

配 置 。<br />

SLIDE23<br />

ITT のメンバーには、プライマリ・ケースマネジャーが 不 在 の 場 合 にも、リハビリテーションやト<br />

リートメントの 調 整 などが 適 切 に 行 われるようにするため、プライマリ・ケースマネジャーと 仕 事<br />

を 共 有 するセカンダリ・ケースマネジャーも 存 在 します。 更 に、 精 神 科 医 療 や 一 般 的 な 健 康 面 のア<br />

セスメントや、 各 スタッフに 対 するコンサルタントの 役 割 を 担 う 看 護 師 がいます。<br />

ITT は 3 人 ~5 人 ほどで 動 いていますが、このチームが 核 となって、 他 のチームメンバーも 危 機 の<br />

介 入 などの 際 に 利 用 者 に 関 われるようにしています。<br />

-67-


ITTの 役 割 ・ 責 任<br />

• 利 用 者 の 状 態 とニーズをアセスメントする<br />

• 利 用 者 や 家 族 とリカバリープランをたてる<br />

• トリートメント、 支 援 、リハビリテーション<br />

サービスを 提 供 する<br />

• チーム 全 体 でケアをコーディネイトする<br />

SLIDE24<br />

ITT の 役 割 と 責 任 は、 担 当 している 利 用 者 の 状 況 とニーズのアセスメント、リカバリープランを 立<br />

てること、トリートメントや 支 援 やリハビリーテーションサービスの 提 供 、チーム 全 体 でのケアの<br />

コーディネイトなどです。<br />

先 ほどから 述 べているように、ITT によってほとんどのサービスが 利 用 者 に 提 供 されますが、<strong>ACT</strong><br />

チーム 全 体 としても 個 々のニーズに 応 じてサービスの 提 供 に 関 わります。<br />

ここで、「チーム」と 考 えたときに、どうしても <strong>ACT</strong> の 専 門 家 だけのチームと 考 えがちですが、チ<br />

ームの 主 導 権 を 握 っているのは、 実 際 は 利 用 者 の 方 ご 本 人 なのではないでしょうか。これは 個 人 の<br />

自 己 決 定 の 能 力 をできるだけ 伸 ばすことや、 自 己 責 任 という 視 点 を 考 える 際 に 非 常 に 大 切 なことで<br />

す。「<strong>ACT</strong> のスタッフチーム」に 留 まらず、 家 族 や 友 人 や 地 域 の 支 援 者 の 方 などを 含 み、その 輪 はど<br />

んどん 広 がっていくのではないか、そのようにあるべきなのではないかと 思 います。<br />

-68-


<strong>ACT</strong>チーム 全 体 とITTの 整 合<br />

• 各 利 用 者 に 対 する 大 部 分 のサービスは<br />

ITTによって 提 供 されているが、<strong>ACT</strong>チー<br />

ム 全 体 としても 個 々のニーズに 応 じて、<br />

サービスの 提 供 にかかわっている。<br />

SLIDE25<br />

ここからは 支 援 のプロセスについてお 話 しします。 利 用 者 の 方 の 加 入 基 準 は 個 々の <strong>ACT</strong> によって<br />

異 なりますが、 加 入 の 際 には、 最 初 に 主 治 医 から「<strong>ACT</strong> の 利 用 対 象 の 方 です」と 紹 介 され、そこから<br />

エンゲージメントプロセス、すなわち 関 係 作 りのプロセスが 始 まります。 利 用 者 の 中 には 話 がした<br />

くて 仕 方 ないという 方 もいらっしゃるので、そのような 方 の 場 合 には 話 に 耳 を 傾 けたりなど、 良 い<br />

働 きかけを 行 っていきます。ここで、この 時 点 でその 方 に 対 する 支 援 は 始 まっているということを、<br />

肝 に 銘 じておかなくてはなりません。<br />

-69-


支 援 のプロセス<br />

• 利 用 者 の 加 入<br />

• 対 象 者 の 加 入 基 準 は 個 々の<strong>ACT</strong>によって<br />

異 なる<br />

• エンゲージメントプロセス<br />

• <strong>ACT</strong>-Jに 関 する 説 明<br />

• 当 面 のニーズや 目 標 を 明 らかにする<br />

• <strong>ACT</strong>-J 参 加 への 働 きかけ<br />

• この 時 点 で 支 援 は 始 まっている<br />

SLIDE26<br />

次 にインフォームド・コンセントを 取 ります。ここまでの 働 きかけをエンゲージメントプロセス<br />

と 呼 びますが、インフォームド・コンセントを 取 得 した 後 には、イニシャルプランの「はじめの 一<br />

歩 」の 作 成 が 始 まります。<br />

支 援 のプロセス<br />

IC 取 得 後<br />

• イニシャルプラン「はじめの 一 歩 」の 作 成<br />

• 当 面 <strong>ACT</strong>-Jとどのようなかかわりを 持 つか、<br />

小 さな 目 標 設 定<br />

• 振 り 返 り 日 を 設 定<br />

• 週 間 予 定 をたてる<br />

• かかわりの 中 でアセスメントを 行 う<br />

SLIDE27<br />

-70-


スライド 28 はイニシャルプランの 用 紙 です。「 最 初 の 目 標 」と 書 いてありますが、「 当 面 このチー<br />

ムとどのような 関 わりをもっていくか」について、 小 さな 目 標 を 立 てます。その 目 標 を 達 成 するた<br />

めのものとして、 下 に 少 しずつ 細 かい 目 標 や、 何 をするか、もしできたら 友 人 や 家 族 は 何 をするか<br />

ということを 明 確 にしていきます。 実 現 の 期 限 はその 目 標 によって 異 なり、1 週 間 単 位 のこともあれ<br />

ば、2 週 間 単 位 のこともあります。その 目 標 をもとに 下 部 の 週 間 予 定 を 立 て、 実 際 に <strong>ACT</strong> が 関 わる 時<br />

間 などを 記 入 します。また <strong>ACT</strong> との 関 わり 以 外 に、 入 院 中 ということも 多 いですが、その 人 が 1 週<br />

間 どのように 過 ごしているかということも 記 載 してもらいます。この「はじめの 一 歩 」という 目 標<br />

を 立 てて 関 わりを 始 め、その 中 で 実 際 のアセスメントを 進 めていきます。<br />

イニシャルプラン<br />

はじめの 一 歩 として<br />

日 付 : 年 月 日 利 用 者 名 ケースマネージャー:<br />

最 初 の 目 標<br />

(<strong>ACT</strong> チームととりあえずしたいこと)<br />

目 標 を 達 成 するために 私 がすること <strong>ACT</strong>-J チームがすること 友 人 ・ 家 族 のすること<br />

振 り 返<br />

る 日 付<br />

週 間 予 定 ( 普 段 の 一 週 間 の 生 活 )<br />

月 火 水 木 金 土 日<br />

午 前<br />

午 後<br />

※<strong>ACT</strong>との 関 わりだけでなく、 普 段 していることも 記 入 してみましょう<br />

SLIDE28<br />

包 括 的 なアセスメントは、「 私 のしたいこと」ということで 行 っています。6 項 目 に 分 かれており、<br />

まず、 住 まいや 食 事 、 掃 除 、 買 い 物 、 洗 濯 など、 日 常 生 活 についての 項 目 があります。 次 に 年 金 を<br />

受 給 しているかといった 経 済 的 なことについて、それから 職 業 ・ 教 育 に 関 することについてアセス<br />

メントします。その 次 に 社 会 的 支 援 ということで、 交 友 関 係 や 身 近 な 相 談 者 は 誰 かということをヒ<br />

アリングし、 役 所 の 手 続 きもしていきます。その 次 の 健 康 に 関 することには、 精 神 的 健 康 ・ 身 体 的<br />

健 康 両 方 が 含 まれます。 最 後 はレジャー( 余 暇 )・レクリエーションで、これはその 人 の 趣 味 や 趣 向<br />

することです。<br />

-71-


包 括 的 アセスメント「 私 のしたいこと」<br />

• 現 在 の 状 況 →どんなふうになりたいか→そのた<br />

めに 使 えるものは<br />

• アセスメントの 項 目<br />

• 日 常 生 活 について<br />

• 経 済 的 なこと<br />

• 職 業 ・ 教 育 に 関 すること<br />

• 社 会 的 支 援<br />

• 健 康 に 関 すること<br />

• レジャー( 余 暇 )・レクリエーション<br />

SLIDE29<br />

始 めに、「 私 の 今 の 状 況 」がどのような 状 況 なのかを 記 載 していきます。そしてご 本 人 と 話 をして<br />

いく 上 で、では 今 の 状 況 に 対 してどのようになっているのが 良 いのか、 次 はどのようになりたいか、<br />

包 括 的 アセスメント<br />

私 のしたいこと<br />

利 用 者 名 : ケースマネージャー: 日 付 : 年 月 日 ( 見 直 し 予 定 日 : 年 月 日 )<br />

私 の 今 の 状 況<br />

どんなふうになりたいか? そのために 使 えるものは?<br />

私 はいまどういう 状 態 か?<br />

何 をしたいか?どうなっているとよいか? 私 が 利 用 できるもの、 私 自 身 がいかせるものは 何 か。<br />

日 常 生 活 について<br />

住 まい/ 食 事 / 洗 濯 / 買 い 物 / 掃 除 / 整 理 整 頓 / 入<br />

浴 / 日 常 の 行 動 ・・・・・・<br />

経 済 的 なこと<br />

金 銭 管 理 / 年 金 / 生 保 / 主 な 収 入 /<br />

経 済 的 援 助 ・・・・・・<br />

職 業 ・ 教 育 に 関 すること<br />

就 労 / 教 育 ・・・・・・<br />

SLIDE30<br />

-72-


今 実 際 に 置 かれている 状 況 で 意 外 に 使 えるものはないかといったことを 一 緒 に 考 え、 本 人 の 能 力 、<br />

長 所 に 着 目 していきます。これは 加 入 後 30 日 以 内 で 完 成 できれば 理 想 的 とされています。<br />

包 括 的 アセスメントに 基 づき、「 私 のリカバリープラン」というものを 作 成 します。ここで 長 期 目<br />

標 、 短 期 目 標 が 立 てられます。 長 期 目 標 はだいたい 向 こう 6 ヵ 月 、 短 期 目 標 は 2、3 ヵ 月 を 目 安 にし、<br />

短 期 目 標 は 長 期 目 標 を 達 成 するためのものということで 立 てています。 目 標 を 達 成 するため、 具 体<br />

的 な 行 動 を 細 かく 記 載 しています。「はじめの 一 歩 」に 繋 がりますが、 本 人 の 役 割 、 私 たち <strong>ACT</strong>-J の<br />

役 割 、 家 族 や 友 人 の 役 割 を 明 確 にします。プランが 完 成 し、 利 用 者 とチームが 納 得 したところで、<br />

利 用 者 、ケースマネジャー、チームリーダー、それから 利 用 者 が 信 頼 している 人 ということで、 家<br />

族 や 友 人 など、 計 4 名 の 署 名 をいただきます。<br />

「 私 のリカバリープラン」の 作 成<br />

• 包 括 的 アセスメントに 基 づいて<br />

• 長 期 目 標 ・ 短 期 目 標<br />

• 地 域 生 活 を 始 めて、30 日 以 内 に 作 成<br />

• 目 標 を 達 成 するための 具 体 的 な 行 動 を 記<br />

す<br />

• 本 人 の 役 割<br />

• <strong>ACT</strong>-Jの 役 割<br />

• 家 族 ・ 友 人 の 役 割<br />

SLIDE31<br />

-73-


リカバリープラン<br />

私 のリカバリープラン<br />

大 きな 目 標<br />

6ヶ 月 後 に 達 成 したい 目 標<br />

利 用 者 名 : ケースマネージャー: 日 付 : 年 月 日<br />

目 標 達 成 のための 私 の 長 所<br />

小 さな 目 標<br />

(6ヶ 月 後 の 目 標 に 近 づけるために)<br />

私 の 役 割<br />

( 目 標 達 成 のために 責 任 を 持 ってすること)<br />

<strong>ACT</strong>-J チームの 役 割<br />

(<strong>ACT</strong>-J チームが 私 にしてくれること)<br />

友 人 ・ 家 族 の 役 割<br />

(ほかの 人 が 私 にしてくれること)<br />

振 り 返<br />

る 日 付<br />

利 用 者 署 名 ( 年 月 日 ) チームリーダーの 署 名 ( 年 月 日 )<br />

ケースマネージャー 署 名 ( 年 月 日 ) 利 用 者 が 信 頼 している 人 の 署 名 ( 年 月 日 )<br />

SLIDE32<br />

利 用 者 の 週 間 予 定 ですが、これは「はじめの 一 歩 」よりもう 少 し 長 期 的 な、これから <strong>ACT</strong> と 一 緒<br />

に 行 っていく 予 定 表 として 記 載 していきます。「はじめの 一 歩 」にもありましたが、これから 6 ヵ 月<br />

後 に 達 成 したい 目 標 に 向 けて 今 できることは 何 かということです。<br />

利 用 者 の 週 間 予 定<br />

これから<strong>ACT</strong>と 一 緒 にしていく 予 定<br />

年 月 日 利 用 者 名 ケースマネージャー:<br />

大 きな 目 標<br />

6ヶ 月 後 に 達 成 したい 目 標<br />

週 間 予 定 (<strong>ACT</strong>チームとの 関 わりなど)<br />

月 火 水 木 金 土 日<br />

午 前<br />

午 後<br />

※ <strong>ACT</strong>との 関 わりだけでなく、 普 段 していることも 記 入 してみましょう<br />

予 定 の 変 更 などありましたら 047-373-4433(<strong>ACT</strong>-J オフィス)へご 連 絡 ください。<br />

SLIDE33<br />

-74-


支 援 のプロセスの 続 きですが、リカバリープランに 基 づいて 週 間 予 定 を 作 成 し、それに 基 づいて<br />

支 援 を 行 っていきます。 支 援 プランは 少 なくとも 6 ヵ 月 ごとに 見 直 しを 行 いますが、ニーズや 状 況<br />

は 本 当 にめまぐるしく 変 化 しますので、それを 待 たずに 見 直 しを 行 うこともあります。それから、<br />

状 況 に 応 じて 柔 軟 に 対 応 するということで、 危 機 介 入 なども 行 います。 家 族 支 援 も <strong>ACT</strong>-J の 中 では<br />

重 要 だということで、<strong>ACT</strong> 独 自 の 家 族 心 理 教 室 を 行 ったり、ITT の 中 で、 本 人 担 当 のケースマネジャ<br />

ー、 家 族 担 当 のケースマネジャーのように 役 割 を 分 けた 対 応 などもしています。24 時 間 対 応 なので<br />

夜 間 も 電 話 による 対 応 が 可 能 となっています。<br />

支 援 のプロセス<br />

• リカバリープランに 基 づいて、 利 用 者 の 週 間 予<br />

定 を 作 成 。<br />

• リカバリープランは、 少 なくとも6ヶ 月 ごとに 見 直<br />

し<br />

• 状 況 に 応 じて、 柔 軟 な 対 応<br />

• 例 : 危 機 介 入<br />

• 家 族 支 援<br />

• 家 族 心 理 教 室<br />

• 夜 間 も 電 話 による 対 応 が 可 能<br />

SLIDE34<br />

-75-


今 後 の 課 題 として<br />

• ニーズとディマンドの 見 極 め<br />

• 利 用 者 の 持 っている 力 を 最 大 限 に 伸 ばす<br />

ための 支 援<br />

• <strong>ACT</strong>-Jのチームアプローチ<br />

• システムレベルでのチームアプローチ<br />

• ネットワーク 作 りの 重 要 性<br />

SLIDE35<br />

今 後 の 課 題 ですが、まず 利 用 者 のニーズとディマンドの 見 極 めを 適 切 に 行 うということがありま<br />

す。その 難 しさは 日 々 改 めて 感 じているところで、この 点 が 非 常 に 重 要 なこれからの 課 題 として 残<br />

っています。<br />

また、「 利 用 者 の 方 が 持 っている 力 を 最 大 限 に 伸 ばすための 支 援 」を 意 識 すべきです。 本 来 であれ<br />

ば 本 人 ができることでも、チームにたくさんのスタッフがいることで 手 を 掛 けすぎてしまうような<br />

状 況 も 考 えられるため、そのあたりをチームの 中 で 見 極 めていく 必 要 があります。<br />

それから <strong>ACT</strong>-J のチームアプローチということで、 信 頼 関 係 が 前 提 ですが、 仲 良 しグループのよ<br />

うになってしまうのは 非 常 に 危 険 です。 例 えば 相 手 を 傷 つけないようにと 考 えるために、 相 手 の 力<br />

量 などを 適 切 に 指 摘 できないような 状 況 は、 利 用 者 の 方 に 対 して 逆 に 失 礼 なのではないでしょうか。<br />

この 点 も 重 要 な 問 題 です。<br />

最 後 にシステムレベルでのチームアプローチ、ネットワーク 作 りの 重 要 性 と 書 いてありますが、<br />

今 の <strong>ACT</strong>-J は 入 院 中 の 方 に 関 わることが 多 いのですが、やはり 主 治 医 や、 入 院 中 であれば 病 棟 の 看<br />

護 師 、 病 院 のケースワーカーなどの 連 携 が 必 要 になります。また 地 域 生 活 に 戻 ると、 入 院 前 に 関 わ<br />

っていた 地 域 の 支 援 者 の 方 も 大 勢 いらっしゃいますから、その 方 たちとの 連 携 も 非 常 に 大 切 になり<br />

ます。 連 携 といっても、ただ 情 報 交 換 のみにとどまり、 情 報 がいったりきたりしているだけでは、<br />

生 産 的 とはいえないでしょう。この 際 、 誰 が 中 心 になって 利 用 者 を 取 り 巻 く 支 援 のネットワークを<br />

-76-


コーディネートするかということを 明 確 にすることが 必 要 です。これは、そのネットワークが 適 切<br />

に 機 能 しているかを 確 認 し、 調 整 しなければならないところは 迅 速 に 調 整 していく 役 割 となると 思<br />

われます。 先 に 述 べたマディソンの 例 の 話 をすると、「 資 源 がたくさんあるからいいではないか」と<br />

意 見 されることが 多 々ありますが、 連 携 の 仕 方 によっては 資 源 が 少 なくてもカバーできるのではな<br />

いかと 感 じています。 地 域 で 生 活 していくことを 前 提 に、なんでもひとつのもので 解 決 するのでは<br />

なく、 少 ない 資 源 でも 協 働 する、すなわち 地 域 の 中 でチームを 構 成 して(それがひとつの 組 織 内 で<br />

作 られる 必 要 はないですから) 利 用 者 を 支 援 していくことができるのではないでしょうか。その 点<br />

で、システムレベルでのチームアプローチは 非 常 に 有 効 な 手 段 だと 思 います。ただその 中 で 個 々の<br />

役 割 を 明 確 にしていくことが 重 要 でしょう。それは <strong>ACT</strong> のチーム 内 で 個 々のスタッフの 役 割 を 明 確<br />

にしていくことと 同 じことだと 思 うのです。<br />

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