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比例原則における事実と価値 - 早稲田大学リポジトリ

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212<br />

⑼ BVerfGE 7, 198.<br />

⑽ ドイツ 基 本 法 12 条 1 項 すべてのドイツ 人 は,<br />

職 業 ・ 職 場 及 び 職 業 教 育 の 場 を 自 由 に 選 択 する 権<br />

利 を 有 する。 職 務 の 遂 行 は 法 律 によって,または<br />

法 律 の 根 拠 に 基 づいて 規 制 することができる。<br />

⑾ BVerfGE 7, 377.<br />

⑿ ドイツ 基 本 法 14 条<br />

1 項 所 有 権 および 相 続 権 は,これを 保 障 する。<br />

内 容 および 制 限 は, 法 律 で 定 める。<br />

2 項 所 有 権 は, 義 務 をともなう。その 行 使 は,<br />

同 時 に 公 共 の 福 祉 に 役 立 つべきものでなければな<br />

らない。<br />

3 項 公 用 収 用 は, 公 共 の 福 祉 のためにのみ 許 さ<br />

れる。 公 用 収 用 は, 補 償 の 方 法 と 程 度 を 規 律 する<br />

法 律 によって,または 法 律 の 根 拠 に 基 づいてのみ<br />

行 うことが 許 される。 補 償 は 公 共 の 利 益 と 当 事 者<br />

の 利 益 とを 公 正 に 衡 量 して 決 定 しなければならな<br />

い。 補 償 の 額 に 関 して 争 いがあるときは, 通 常 の<br />

裁 判 所 への 出 訴 が 認 められる。<br />

⒀ BVerfGE 24, 367.<br />

⒁ このような 他 の 社 会 科 学 分 野 の 決 定 理 論 に 向 け<br />

られた 法 学 的 興 味 の 理 由 として, 裁 判 官 による 判<br />

断 すなわち 判 決 の 法 学 としての 不 安 定 性 さを 挙 げ<br />

ている。[Schlink 1980: 13]。そして,「 積 極 主 義 へ<br />

の 旅 路 」や「 原 理 としての 基 本 権 ?」といった 小<br />

論 の 中 では, 一 方 で 不 可 避 の 傾 向 として 司 法 積 極<br />

主 義 と 判 例 法 化 について 述 べつつ, 他 方 で 否 定 さ<br />

れるべきではないものとして 法 典 化 思 考 と 法 的 安<br />

定 性 について 述 べている[Schlink 1995-1996: 269,<br />

シュリンク 1992: 264]。<br />

⒂ 法 を 利 益 衡 量 の 所 産 とみて, 法 の 解 釈 を 利 益<br />

整 除 の 観 点 から 行 う 法 学 。ベンサムの 功 利 主 義 ,<br />

イェーリングの 目 的 法 学 に 起 源 を 有 するとされる。<br />

⒃ 価 値 の 大 小 は 主 観 的 なものなので 客 観 的 に 認 識<br />

しえないが,そこから 得 られる 効 用 はある 程 度 客<br />

観 的 に 認 識 しうる。 例 えば,ある 人 にとっての 職<br />

業 の 自 由 という 価 値 の 大 小 は 客 観 的 には 認 識 しえ<br />

ないが, 職 業 の 自 由 から 得 られる 効 用 は 認 識 でき<br />

る。ある 目 的 のために 職 業 の 自 由 規 制 が 行 われた<br />

場 合 ,その 規 制 が 許 されるかどうかは,その 目 的<br />

と 職 業 の 自 由 の 価 値 比 較 では 決 まらない。 両 者 の<br />

価 値 を 比 較 する 基 準 がないためである。ゆえに 結<br />

論 を 得 るためには,その 規 制 によって 得 られる 効<br />

用 と 職 業 の 自 由 から 得 られる 効 用 がパレート 最 適<br />

かどうかを 確 かめればよいのである。<br />

⒄ 2 者 間 の 効 用 水 準 の 組 合 せは, 効 用 可 能 性 フロ<br />

ンティアと 呼 ばれる 右 肩 下 がりの 曲 線 によって 表<br />

される。 点 が 曲 線 上 にある 場 合 ,パレート 最 適 で<br />

あるとされる。 効 用 可 能 性 フロンティアの 求 め 方<br />

とパレート 最 適 に 関 して[ 嶋 村 2005: 118ff. 特 に<br />

130]<br />

⒅ Schlinkの 基 本 権 論 とSchmittの 基 本 権 論 は, 両<br />

者 とも 防 御 権 を 中 心 とする 自 由 主 義 的 基 本 権 観 を<br />

前 提 としている 点 で 共 通 している。Schlinkの 基 本<br />

権 論 の 他 のSchmitt 学 派 の 論 者 の 基 本 権 論 の 共 通 性<br />

と 差 異 について[ 渡 辺 2000: 719ff.]。<br />

⒆ 事 実 認 識 と 価 値 判 断 の 違 いについて。<br />

小 山 は『 憲 法 上 の 権 利 の 作 法 』の 中 で, 非 常 に<br />

わかりやすい 例 えで, 比 例 原 則 を 説 明 している。<br />

それによれば, 比 例 原 則 は, 薬 の 効 果 と 副 作 用 の<br />

アナロジーによって 説 明 できるとされる。4 種 類<br />

の 薬 があり,それぞれ1つめは 効 果 0で 副 作 用 5,<br />

2つめは 効 果 5で 副 作 用 4,3つめは 効 果 5で 副 作<br />

用 2,4つめは 効 果 7で 副 作 用 10とする。この 事 例<br />

では1つめの 効 果 0で 副 作 用 5の 薬 は, 治 療 に 役<br />

に 立 たないので 適 合 性 がないとして 否 定 される。<br />

2つめの 効 果 5で 副 作 用 4の 薬 は,3つめの 効 果<br />

5で 副 作 用 2の 薬 との 比 較 によって 必 要 性 がない<br />

と 判 断 され 否 定 される。すなわち2つめの 薬 は 効<br />

果 と 副 作 用 の 差 し 引 きがプラス1なのに 対 し3つ<br />

めの 薬 はプラス3だから,3つめの 薬 の 方 がより<br />

制 限 的 ではない 手 段 とされるからである。4つめ<br />

の 効 果 7で 副 作 用 10の 薬 は, 得 られる 利 益 に 比 し<br />

て 失 われる 利 益 の 方 が 多 いため, 狭 義 の 比 例 性 が<br />

ないと 判 断 され 否 定 される。よって,この4 種 類<br />

の 薬 の 中 から3つめの 効 果 5で 副 作 用 2の 薬 が 選<br />

ばれるとされる[ 小 山 2011]。しかし,4つめの<br />

薬 は「 雀 を 撃 つのに 大 砲 を 使 うなかれ」という 古<br />

典 的 な 過 剰 侵 害 の 事 例 としても 理 解 できる。それ<br />

ならば, 選 択 肢 の 中 から 最 も 穏 やかな 手 段 を 使 う<br />

べきという 必 要 性 審 査 によって 排 除 できる。<br />

そこで 価 値 判 断 を 伴 う 狭 義 の 比 例 性 による 判 断<br />

が 必 須 の 事 例 を 想 定 してみる。 上 記 の 事 例 に,5<br />

つめとして 効 果 3で 副 作 用 0の 薬 ,6つめとして<br />

効 果 4で 副 作 用 1の 薬 が 加 える。これらは,いず<br />

れも3つめの 薬 と 同 じく, 効 果 と 副 作 用 の 差 し 引<br />

きがプラス3である。 薬 がこの6 種 類 しか 存 在 し<br />

ない 場 合 ,3つめと5つめと6つめは,Schlink

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