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JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />

る。なお、液相 Ca 濃度や C 濃度、S 濃度などは鉱物の溶解沈殿による影響も含まれ、特に液相 C<br />

濃度や S 濃度については、他の元素濃度に比べて検証データとの差が大きいが、値の傾向や幅は<br />

整合している。<br />

ヒーター近傍では無水石膏/Anhydrite の沈殿が生じており、沈殿量も 1.5 倍程度の範囲内に収ま<br />

っている。ただし、検証データでは 0.02m 付近にも沈殿が卓越する傾向にもある。また、方解石<br />

/Calcite の検証データはヒーター近傍の領域でばらつきがあるものの、中央付近で溶解傾向にあり、<br />

ヒーターと緩衝材との境界付近では沈殿傾向にあるものと考えられ、解析結果も概ね整合してい<br />

る。玉髄/Chalcedony や黄鉄鉱/Pyrite についても方解石/Calcite と同様に検証データではヒーター<br />

近傍領域でばらつきがあるものの、解析結果では顕著な鉱物反応は見られていない。<br />

(2) 三次元塩濃縮試験<br />

三次元塩濃縮試験についても供試体内の温度分布は試験開始初期の時点で定常に至っており、<br />

含水比分布に応じた滑らかな曲線分布を形成している。解析も実験結果と良く一致する結果とな<br />

った。また、温度分布については、他の実験結果の空間分布で見られるような供試体内の計測位<br />

置による違いはほとんど見られていない。<br />

飽和度の実験結果については、どの試験期間においても浸潤側に近い領域で浸潤の速度に違い<br />

が表れており、特に供試体下部での飽和度が高い傾向にある。これは、浸潤溶液内で形成される<br />

水圧分布の影響が、原因の一つと考えられる。また、一次元塩濃縮試験と同様に、供試体整形時<br />

の密度分布やサンプリング時の誤差等による影響も含まれるものと考えられる。しかし、上面か<br />

ら 45~105mm の範囲内の計測データはどの試験期間でも概ね一致している。また、解析ではどの<br />

深度においても同じ値を示す結果となった。試験初期の不飽和状態の緩衝材は、浸潤面に作用す<br />

る圧力に比べて供試体内部に非常に高いサクション圧が作用する不飽和水分特性を有することか<br />

ら、浸潤溶液内の水圧分布は無視できるほど小さいものである可能性も考えられる。解析結果は<br />

どの試験期間においても供試体下部での計測結果と良く一致する結果となった。<br />

pH については、6.8~7.0 の範囲内での分布が検証データとして得られており、浸潤側の領域が<br />

ヒーター側の領域に比べて少し高い値を示す傾向にある。解析結果は検証データに比べて少し低<br />

い値を示す傾向にあるものの概ね再現可能な範囲内に収まっている。 液相中の元素濃度について<br />

は、経時的にヒーター近傍での濃縮が進行していることが検証データにおいて確認できる。解析<br />

結果についてもヒーター近傍での濃縮が再現されており、分布傾向としては検証データと概ね整<br />

合が取れているものと考えられる。しかし、検証データに比べて解析結果は低い値を示す傾向に<br />

あり、検証データの下限値程度となっている。特に、21 週間後のヒーターのごく近傍での濃縮現<br />

象については、検証データとの差が顕著に表れており、液相 Cl 濃度の解析結果は最大 1/7 程度と<br />

なっている。但し、ヒーターごく近傍を除いては 21 週間後においても再現可能な範囲となってい<br />

る。また、ヒーター近傍では無水石膏/Anhydrite が沈殿していることが検証データから示されて<br />

おり、解析結果も傾向や幅に関して全ての試験期間で再現可能な範囲の結果が得られている。<br />

以上より、温度分布や浸潤状況をはじめ、液相濃度や鉱物濃度についても検証データと分布傾<br />

向やオーダーともに再現可能な範囲となっていることから、原型モデルによって塩濃縮・析出現<br />

象に着目した THMC プロセスは概ね再現可能であることを確認した。但し、3.5.5 で述べたよう<br />

に物質移行に関する連成パラメータは全ての溶質に対して一様な値を仮定し、連成事象も考慮し<br />

ていないことや、3.6.2 で述べた不飽和緩衝材中の地球反応モデルが高い不確実性を有している点<br />

には十分留意する必要がある。これらについては、今後、微視的構造観察(例えば、Ichikawa et al.、<br />

2001)などの現象理解やデータ取得も視野に入れてモデルを精緻化していくことが望まれる。<br />

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