JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...
JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...
JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...
You also want an ePaper? Increase the reach of your titles
YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.
4.2.4 解析結果・考察<br />
<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />
解析結果と一次元塩濃縮試験結果(温度・飽和度)および 4.2.2 で推定した不飽和緩衝材中の間<br />
隙水組成(検証データ)を比較した結果を図 4.2-10 に示し、三次元塩濃縮試験結果および検証デ<br />
ータとの比較結果を図 4.2-11、図 4.2-12 に示す。また三次元塩濃縮試験の解析結果に関するコン<br />
ター図を図 4.2-13 に併せて示す。コンター図には 1 週間後の解析結果も参考値として併記した。<br />
(1) 一次元塩濃縮試験<br />
温度分布は実験結果と解析値は非常に良く一致しており、緩衝材中に 70-90℃の温度勾配が生<br />
じている。また、解析値も実験値も経時的な違いはほとんど見られない。熱電対による温度の経<br />
時変化からはほぼ 1 日程度で一定値に収束しており、温度勾配は初期段階で定常状態にあると考<br />
えられる。また、温度分布が僅かな曲線を描いているが、これは緩衝材中の含水状態に依存した<br />
熱物性値の違いによるものである。<br />
緩衝材中の飽和度は時間経過に伴って少しずつ浸潤が進行している様子が確認でき、解析結果<br />
と実験値は比較的一致している。浸潤側近傍の実験結果は他の計測領域に比べて比較的ばらつき<br />
が見られる。これは浸潤に伴う膨潤変形の影響が原因の一つに考えられるが、解析結果によると<br />
飽和領域では概ね 0.40MPa 程度の圧縮応力が生じているものの、飽和領域における間隙率や乾燥<br />
密度分布に明確な変化が生じていない。竹内ら(1995)の研究によると、乾燥密度 1.6、 1.8 Mg・<br />
m -3 に圧縮したケイ砂 30%混合クニゲル V1 では、浸潤過程における顕著な密度変化は生じなか<br />
ったとしており、これに準じる解析結果となった。解析では乾燥密度 1.6 Mg・m -3 の均一材料と<br />
仮定しているものの、実際には供試体整形時の密度分布にばらつきが生じていることも容易に予<br />
想される。また、試験容器と緩衝材との境界部であることから、装置構造上のクリアランス等の<br />
誤差あるいはサンプリング時のばらつきも挙げられる。なお、中央部やヒーターとの境界部付近<br />
で見られる乾燥密度や間隙率の変化は鉱物の溶解沈殿による影響が式(3.6-17)に基づいて表れた<br />
ものである。また、ヒーター側で若干の引張応力が生じているが、これは熱膨張による影響が表<br />
れたものである。<br />
浸潤側から 0.02m 程度の領域では 1 週間程度でほぼ飽和状態に至っており、緩衝材の有する高<br />
い水分ポテンシャルによる吸水が発熱による水分移動に比べて卓越した結果であると考えられる。<br />
一方、中間付近は比較的ゆっくりと浸潤が進行しており、これは温度勾配による水分移動と、境<br />
界の水頭および緩衝材中の水分ポテンシャルに基づく水分移動が概ね同程度につり合った状態に<br />
あることや、試験環境が閉鎖系であることに起因するものと考えられる。温度勾配が生じた条件<br />
下の緩衝材中への浸潤挙動として実施している類似の浸潤試験では、約 8 年経過した後でも飽和<br />
には至っておらず、緩衝材中に温度勾配による水分分布が計測されている(Villar、 M. V. et al、<br />
2008)。<br />
pH や酸化還元電位に関連するパラメータ pe についての検証データ(4.2.2 PHREEQC により<br />
推定)は経時的な顕著な変化は認められなかった。解析値による比較では、若干の差はあるもの<br />
の概ね整合した結果となっている。間隙水中の元素濃度についても検証データと解析値の分布傾<br />
向やオーダーは比較的よく一致しており、ヒーターと緩衝材との境界部において濃縮が生じてい<br />
ることが確認できる。今回の解析結果では岩塩/Halite の沈殿は見られていないため、イオン交換<br />
反応や鉱物反応による影響を受けない液相 Cl 濃度の分布は解析値と実験値が非常に良く一致し<br />
ている。液相 Na 濃度や Ca 濃度、Mg 濃度、K 濃度などの交換性陽イオンの濃度分布も比較的よ<br />
く一致した。検証データとの差が少し見られるが、これは THMC モデルにおいて、3.6.2 で述べ<br />
たように浸潤履歴を考慮した交換サイト濃度の更新モデルによるものと考えられ、検証データ推<br />
定時の PHREEQC 解析では全てのサンプリング試料に対して表 4.2-9 のイオン組成を仮定してい<br />
- 68 -