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JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...

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4.1.2 解析結果・考察<br />

<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />

Case-1~3 の比較解析結果を図 4.1-1~図 4.1-3 に整理した。温度勾配がない不飽和-飽和浸潤挙<br />

動にともなう物質移行現象を検証する Case-1はTHMC_Couplysの解析結果に若干の振動が見られ<br />

るものの、TOUGHREACT と THMC_Couplys の解析結果は非常に良く一致する結果となった。こ<br />

のことから、不飽和-飽和の浸潤挙動および、移流分散による物質移行の適切性を裏付ける結果が<br />

得られた。なお、THMC_Couplys では地球化学反応を伴わないガス移行の解析ができないことか<br />

ら、Case-1 ではガス成分を移行対象元素からは除外している。<br />

Case-1 に対してイオン交換反応や鉱物の溶解沈殿、ガス溶解/脱ガスといった地球化学反応を考<br />

慮した Case-2 の結果は pH 分布をはじめ液相中の元素濃度やガス濃度、鉱物濃度の分布や傾向は<br />

概ね一致する結果が得られた。液相中の C 濃度や Ca 濃度、S 濃度などは分布傾向は TOUGHREACT<br />

の結果と一致しているものの、他の元素濃度に比べて比較結果の差が大きい。これは、方解石<br />

[Calcite(CaCO3)]や無水石膏[Anhydrite(CaSO4)]、黄鉄鉱[Pyrite(FeS2)]などの溶解沈殿量の差による<br />

ものと考えられる。C 濃度や Ca 濃度は主に初期鉱物の方解石[Calcite(CaCO3)]の溶解沈殿による<br />

影響として差が生じたものと考えられ、THMC_Couplys の解析結果において、方解石<br />

[Calcite(CaCO3)]は浸潤側での沈殿が顕著に生じている。THMC_Couplys では不飽和から飽和に至<br />

る過程で要素内の飽和度の値が 0.9999 を超えた場合には飽和状態であると判断し、要素内のガス<br />

質量を強制的に液相中に溶解させ、ガス化学種を排除することとしており、このガスの取扱い方<br />

法の違いが方解石[Calcite(CaCO3)]の沈殿に寄与しているものと推察される。THMC_Couplys にお<br />

ける浸潤側の CO2 や O2 濃度がゼロとなっているのに対し、TOUGHREACT では限りなく飽和に<br />

近い飽和度の領域においてもガス濃度が存在している。また、Ca 濃度は黄鉄鉱[Pyrite(FeS2)]の酸<br />

化還元により放出される硫酸イオン(SO4 2- )と併せて、浸潤側での無水石膏[Anhydrite(CaSO4)]の沈<br />

殿にも寄与していると考えられる。特に浸潤側での黄鉄鉱[Pyrite(FeS2)]は酸化還元によって溶解<br />

した傾向が示されており、液相中の S 濃度にも影響を及ぼしていることが推察できる。液相中の<br />

Si 濃度も傾向は一致しているものの差が大きいが、濃度分布に寄与すると考えられる玉髄<br />

[Chalcedony(SiO2)]は全体的に若干の沈殿が見られることから、使用した熱力学データベースの違<br />

いによる影響も液相濃度分布や鉱物の溶解沈殿量、ガス濃度分布に影響を及ぼしているものと思<br />

われる。<br />

Case-2 の温度一定(25℃)条件に対して、解析領域の両端を異なる温度で固定(上面浸潤側:70℃、<br />

底面:90℃)し、温度勾配が生じる条件での物質移行と地球化学反応を比較した Case-3 では水分<br />

移動分布に差が生じている。これは、蒸気水と液状水を個別に扱う 2 相流解析を採用している<br />

TOUGHREACT と温度勾配水分拡散係数を用いることで蒸気水移動を含めた水分移動を 1 相流解<br />

析で表現している THMC_Couplys との差が生じたものであるが、分布傾向は概ね一致している。<br />

水分勾配の差が生じるため、特に溶質移行に対する移流成分に影響が及ぶことから、移行対象元<br />

素の濃度分布の差が Case-2 に比べて顕著に生じている。但し、元素濃度分布についても、<br />

TOUGHREACT による解析結果と分布傾向や値の幅は概ね一致していると考察できる。なお、<br />

Case-2 で示した飽和領域におけるガス移行の取り扱いの違いや使用した熱力学データベースにお<br />

ける温度依存性等の違いも反映された結果として考察することに留意する必要がある。<br />

以上、3 ケースの条件に対して 2 相流コード TOUGHREACT と比較した結果、THMC_Couplys<br />

による温度勾配が生じた条件であっても浸潤に伴う液相・気相中の元素の物質移行は適切に表現<br />

できていることや、pH を含めて地球化学反応による液相・気相・鉱物濃度の分布傾向は概ね一致<br />

していることが示された。但し、地球化学反応による飽和領域の液相・気相中の濃度はガス移行<br />

の取り扱いの違いによって生じる鉱物の溶解沈殿量に大きく影響していることが示唆され、熱力<br />

学データベースや水分移動モデルの違いも含めたモデル間の幅を概ね把握することができた。<br />

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