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JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...

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3.6.2 不飽和緩衝材中の地球化学反応モデル<br />

<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />

THMC モデルでは不飽和緩衝材中で生じる地球化学反応に対して、不飽和領域における保水形<br />

態や浸潤履歴を考慮した反応モデルとなるよう精緻化が行われている。<br />

緩衝材候補材料のベントナイトは、厚さ約 1nm の薄い板状鉱物(板状層状体)であるモンモリ<br />

ロナイト鉱物を主成分とし、高い保水能力を示すことが一般的に知られている。ベントナイト粒<br />

子の外表面と内表面の比表面積比率から、ベントナイト中では約 8 枚前後の板状層状体がひとま<br />

とまりになって規則正しく重なり合ってモンモリロナイト粒子を構成しており、また 1 枚の板状<br />

層状体の表面は 1 辺が 10 -5 cm の正方形で近似できるとされている(藤井・中野、1984)。ベント<br />

ナイトの間隙は板状層状体の重なりの間にできる隙間である層間とモンモリロナイト粒子と他の<br />

鉱物粒子がつくる隙間である粒子間隙(バルク)に分けることができる。乾燥密度 1.6Mg・m -3<br />

の飽和緩衝材(クニゲル V1)に対して得られた X 線回折による層間距離の測定結果から、層間<br />

には 3 層分の水分子が取り込まれることが推測されている(鈴木ほか、2001)。また、竹内ら(1995)<br />

は粒子間隙水に比べて層間水の化学ポテンシャルが低く、ベントナイトへの浸潤初期には浸潤水<br />

が層間に優先的に吸着され、層間に吸着された水は分子間力等の作用で通常の間隙水よりも強い<br />

力で拘束されているとしている。ただし、Ichikawa et al. (2001)の研究によると、純水に対してモ<br />

ンモリロナイト表面の極近傍の 0.5nm 程度(水分子 2 層分程度)は粘性係数や拡散係数が構造水<br />

に近く、それ以上表面から離れたところではバルクと同等であり、NaCl 溶液に対してはさらにそ<br />

の層の厚さが小さくなることを示唆している。これは、層間に吸着された水分子の全てが強い拘<br />

束力を受けているとは限らないこと示唆している。<br />

以上のような、主に飽和ベントナイトに対して蓄積されてきた知見に基づいて、THMC モデル<br />

では不飽和緩衝材中の間隙水を層間水と粒子間隙水に分離した地球化学反応モデルを構築してい<br />

る(日本原子力研究開発機構、 2009;日本原子力研究開発機構、<strong>2010</strong>)。不飽和緩衝材中の地球化<br />

学反応モデルの概念図および当該箇所における THMC モデルのフローを図 3.6-1 に示す。なお、<br />

不飽和保水形態に基づく地球化学反応モデルは以下の仮定に基づいて構築された。<br />

<br />

・ 地下水の浸潤プロセスについて、層間が優先的に保水され、層間が水で満たされた後に粒子<br />

間隙への浸潤が開始するとともに、この時点で地球化学反応が生じる。このとき、飽和度が<br />

低い状態において、優先的に保水された層間水の一部は粒子間隙水と連続することなく孤立<br />

して存在する(孤立層間水)。解析上は、層間が間隙水で満たされる際の飽和度(層間の飽和<br />

度)を地球化学反応に有効か否かを判断する指標として設定し、地球化学解析の実行あるい<br />

は制御を行う。<br />

・ 層間水に占める強い拘束力を受ける水の割合やバルクにおける水分の連続・不連続に対して<br />

十分な現象理解に至っていないこともあり、溶質の移行については浸潤する水の全てが寄与<br />

するものとする。<br />

・ イオン交換や表面錯体の形成といった地球化学反応に寄与する水分量としては、飽和度が低<br />

い状態で存在する孤立層間水も考慮して粒子間隙水と等量の層間水の総和量が担うものとす<br />

る。このとき、要素内の粒子間隙水量が総層間水量に比べて多い場合には、要素内の全水分<br />

量(粒子間隙水+層間水)が反応に寄与するものとする。<br />

・ 不飽和緩衝材中の水分量に応じた固液比(固相量/地球化学反応に寄与する水分量)に基づい<br />

て、PHREEQC の地球化学解析で用いるパラメータ(スメクタイト量、表面サイト密度、イ<br />

オン交換サイト濃度、鉱物濃度)の変化を考慮する。<br />

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