JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...
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<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />
であるとしている。平衡定数の温度依存性については、日本原子力研究開発機構が WEB 公開し<br />
ている熱力学データベース(http://migrationdb.jaea.go.jp/)内で以下に示す van’t Hoff 式に基づいて<br />
25℃の標準エンタルピーを定義する方法と解析表現式として温度依存性パラメータを定義する方<br />
法の 2 種類が適用可能である。<br />
d �H<br />
� (3.6-15)<br />
dT RT<br />
van’t Hoff 式: �ln K � 2<br />
解析表現式:<br />
log K � A � A T � A / T � A logT<br />
� A / T<br />
(3.6-16)<br />
1<br />
2<br />
3<br />
4<br />
鉱物の溶解・沈殿はイオン活性積[IAP]と平衡定数[K]からなる飽和指数[SI=log(IAP/K)]によって<br />
支配[平衡(SI=0、IAP=K)、溶解(SIK)]される。このとき、緩衝材<br />
に含まれる黄鉄鉱と間隙水との反応やスメクタイトの溶解なども反応速度定数(例えば、Parkhurst、<br />
1999; Mar A. et al、1994; 電気事業連合会・核燃料サイクル開発機構、 2005 )を定義することで速<br />
度論的に取り扱うことが可能である。THMC モデルでは PHREEQC によって計算される鉱物の溶<br />
解・沈殿によって生じる密度や間隙率の変化を次式で表現し、化学影響を物理特性の変化に反映<br />
することが可能である。<br />
i i<br />
� � t � A �<br />
� � MIN � �<br />
(3.6-17)<br />
d<br />
i<br />
const<br />
� d<br />
n � 1 �<br />
(3.6-18)<br />
� s<br />
ここに、�d は乾燥密度、�s は真密度、�const は反応に寄与しない鉱物の乾燥密度、n は間隙率、<br />
MINt i は反応に寄与する鉱物 i の濃度、Ai は鉱物 i の分子量である。<br />
また、処分施設では支保工などセメント系材料を使用することから、間隙水の化学的条件はセ<br />
メント系材料の溶解・沈殿にも大きく影響を受けることが予想される。セメントの水和物の中で<br />
も多量に発生するカルシウムシリケート水和物(CaO-SiO2-H2O 系水和物)は CSH ゲルと呼ばれ、<br />
この CSH ゲルの溶解・沈殿がセメント系材料の水理学的条件や力学的条件、さらには間隙水の化<br />
学的条件を支配していると考えられている。THMC モデルでは支保工における地球化学反応とし<br />
て、CSH ゲルの溶解モデルである、Atkinson モデル(Atkinson et al、1987; Josep、2007)や杉山モデ<br />
ル(杉山ほか、 2001)が適用可能である。<br />
Atkinson モデルは Ca/Si 比に応じて CSH ゲルの化学組成とその溶解・沈殿反応の平衡定数を与<br />
えるもので、Ca/Si 比が 0.833 以上の場合はポルトランダイト(Ca(OH)2)、それ以下ではアモルファ<br />
スシリカ(SiO2)を端成分とする固溶体モデルである。Atkinson モデルから導かれる CSH ゲルと端<br />
成分の解離式および平衡定数を表 3.6-2 に示す。PHREEQC では、入力ファイルの中でこれらの値<br />
を設定することで、Atkinson モデルの計算が可能となる。また、Atkinson et al (1987)が平衡定数を<br />
導く際に使用した標準生成自由エネルギーと日本原子力研究開発機構が整備を進めている熱力学<br />
データベースにおけるそれとは異なっているものの、標準生成自由エネルギーの違いは計算結果<br />
に大きく影響しなかったことも報告されている(加藤・本田、 2004)。杉山モデルは Ca/Si 比に<br />
応じた固溶体を定義する Atkinson モデルとは異なり、Ca/Si 比によらず CSH ゲルをポルトランダ<br />
イト(Ca(OH)2)、アモルファスシリカ(SiO2)をモデル固相とした非理想型固溶体と仮定してモデル<br />
化したものである。杉山モデルにおける Ca(OH)2、SiO2 の溶解平衡定数は Ca/Si 比に応じて表 3.6-3<br />
のように整理されている。直接、PHREEQC に杉山モデルを適用することが困難であることが指<br />
摘されていたため(加藤・本田、2004)、THMC モデルでは Ca/Si 比に応じて平衡定数を自動的に<br />
更新するプログラムを作成し付加している。なお、3.3.2、3.4.2 で述べた支保工からの Ca 溶脱量<br />
に着目した水理・力学的劣化関数に連成は杉山モデルによる地球化学解析にのみ対応している。<br />
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5<br />
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