JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...
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<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />
て少なく、十分な定量的評価には至っていない。しかしながら、第 2 次取りまとめ(核燃料サイ<br />
クル開発機構、1999b)では濃縮塩類は長期的には溶解逸散するものとして安全評価における FEP<br />
(特質(Feature)、事象(Event)、プロセス(Process)の頭文字)からは除外されている。塩濃縮・析出<br />
現象のほかに、シナリオから除外されたニアフィールドで生じるプロセスとしては、緩衝材の熱<br />
膨張、変質(Ca 型化)、圧密やクリープ挙動といったものも含まれており、安全評価の信頼性を<br />
高めるためには、シナリオ上選択された FEP の妥当性を検証することも求められていた。<br />
日本原子力研究開発機構では、ニアフィールドで生じる複雑な THMC プロセスの定量化や安全<br />
評価上選択された FEP の妥当性の検証といった要求事項に応えるため、FEP 除外事象を包含した<br />
プロセスを定量化するための数値モデルとして THMC モデルの開発を行ってきた(Fujita et al.、<br />
2006;伊藤ほか、 2004)。特に平成 19 年度から平成 21 年度までの 3 年間は、経済産業省資源エ<br />
ネルギー庁の受託事業「地層処分技術調査等委託費(高レベル放射性廃棄物処分関連:処分シス<br />
テム化学影響評価高度化開発)」において、塩濃縮・析出現象を始めとする緩衝材中の化学影響に<br />
重きを置いた THMC モデルの高度化を進めてきている(日本原子力研究開発機構、2008;日本原<br />
子力研究開発機構、2009;日本原子力研究開発機構、<strong>2010</strong>)。THMC モデルによる FEP 事象の定<br />
量化はシナリオの妥当性検証や核種移行へ繋がる場の変化といった安全評価で想定する初期状態<br />
の確認、場の変化の影響領域の空間的把握や計測機器の配置などの原位置試験の設計に資する基<br />
盤情報の提供する有効なツールとして、処分技術の信頼性向上への寄与が期待できると考えてい<br />
る。なお、熱的作用、水理学的作用、力学的作用、地球化学的作用の全てが相互に影響し合う期<br />
間は、図 1-2 に示すように、ガラス固化体から崩壊熱が発生し、緩衝材が再冠水に至るまでの過<br />
渡的な期間であることから、他の個別プロセスが概ね定常状態にあるような長期間に渡る現象(例<br />
えば、岩盤および緩衝材の圧密、クリープ、緩衝材の流出など)については、THMC モデルを構<br />
築するにあたりモデル化の対象からは除外している。<br />
本稿では、主に平成 19 年度から平成 21 年度までの受託事業の中で構築・高度化してきた THMC<br />
モデルにおいて考慮されている熱的影響、水理的影響、力学的影響、化学的影響、それぞれの連<br />
成現象について整理するとともに、個別モデルの適用範囲や制限についても言及し、THMC モデ<br />
ルとしての制約条件を示す。また、開発してきた THMC モデルと諸外国で開発されている二相流<br />
連成解析モデルである TOUGHREACT との比較解析を通じてモデルの違いによる解析結果への<br />
影響を検討する。さらに、塩濃縮・析出現象に関する現象理解として複数の試験期間を設けて蓄<br />
積してきた塩濃縮試験結果を整理し、この試験結果に対する THMC モデルを用いた数値シミュレ<br />
ーション結果を比較することで、THMC モデルの適用範囲や不確実性の幅について考察する。ま<br />
た、幌延深地層研究計画でこれまで得られた知見に基づいた仮想的地質環境条件を設定し、地層<br />
処分システムを想定した数値解析結果を例示する。<br />
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