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JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...

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<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />

6. まとめ<br />

ニアフィールドで生じる複雑な THMC プロセスを定量化するための数値解析ツールの開発を目指して<br />

高度化している塩濃縮・析出現象を始めとする緩衝材中の化学影響に重きを置いた THMC モデルにつ<br />

いて、モデル内で考慮されている連成事象のモデルや制約条件を整理した。<br />

これまでの高度化によって、緩衝材定置後から比較的短期間に緩衝材中で生じる連成プロセスに<br />

ついては、緩衝材周辺のセメント系材料である支保工に関する連成も含めて概ね考慮可能な数値<br />

モデルとしての原型(以下、原型モデル)を構築するに至っている。但し、水理特性では緩衝材<br />

中の最高温度の制限があることや、各化学種に応じた溶質移動パラメータ(分子拡散係数、分散<br />

長、屈曲度など)の設定が可能な環境が整っていないことや他事象との連成に至っていないこと、<br />

不飽和地球化学反応モデルに関する現象理解からの十分な検証に至っていないこと、高いイオン<br />

強度環境でのデータベースが十分ではないことなど、モデル自体の不確実性が残されている。ま<br />

た、原型モデルでは定置前の掘削影響による周辺環境の場の変化(応力再配分、水理環境、溶存<br />

ガスの脱ガス)を踏まえた定量化に資するモデルには至っておらず、これらのプロセスに関する<br />

定量化も視野に入れたモデル開発へ展開していく必要がある。<br />

原型モデルの信頼性や不確実性の幅等を明確にするための検証事例を蓄積していくことを目的<br />

として、米国ローレンスバークレー国立研究所で開発が進められている連成解析コード<br />

(TOUGHREACT)との比較解析を行った。原型モデルによる連成解析コード(THMC_Couplys)は温<br />

度勾配下の水分移動を単相流でモデル化しているのに対して、TOUGHREACT は二相流モデルを<br />

採用している。比較解析を通して、両コード間の解析結果の全体的な傾向やオーダーは概ね一致<br />

する結果が得られ、THMC_Couplys の信頼性を裏付ける結果が得られたとともに、モデル間の差<br />

によって生じる結果の幅も明らかとなった。THMC_Couplys の信頼性向上に向けて、モデルの適<br />

切性の確認や、モデルの差によって生じる不確実性の幅を定量的に把握していくことが必要であ<br />

り、今後もモデル間の差に着目した様々な環境条件に対する比較事例を蓄積していくことが望ま<br />

れる。さらに、原型モデルの適用性を確認するために、これまでデータを蓄積してきた塩濃縮試<br />

験結果を整理するとともに、試験結果に対する検証解析を実施した。原型モデルの解析により、<br />

浸潤挙動や温度分布、移行元素濃度や鉱物の溶解沈殿挙動が傾向や幅ともに再現可能な範囲とな<br />

ったことから、不飽和緩衝材中の物質移行や地球化学反応を伴う塩濃縮析出現象に関する原型モ<br />

デルとしての適切性を示す結果が得られた。 また、原型モデルによる数値実験の例示として、幌<br />

延深地層研究計画で得られている調査結果に基づいた仮想的地質環境を設定し、処分システムを<br />

含むニアフィールドの解析を実施し、ガラス固化体からの崩壊熱の発生や地下水の浸潤に伴う、<br />

ニアフィールドの化学的な環境の変化を定量的に例示した。崩壊熱の発生に伴う地下水の浸潤過<br />

程において、緩衝材内が不飽和状態にある期間内にはオーバーパックと緩衝材の境界で塩類が濃<br />

縮・析出し、長期的には濃縮塩類が溶解・逸散するというシナリオ(核燃料サイクル開発機構、<br />

1999b)に整合する傾向を示す結果が得られた。また、支保工中のカルシウムシリケート水和物の<br />

溶解・沈殿モデルによる、センメント系材料や pH 環境の変遷を例示するに至った。<br />

解析結果はそのモデル自身に内包された不確実性やコード間で得られる結果の差の幅などを踏<br />

まえて、考察を深めていく必要がある。今後は、不飽和緩衝材中の化学反応などに関する現象理<br />

解(例えば、不飽和状態における層間水と粒子間隙水の実験的定量化や微視的環境の観察)の手<br />

法検討やモデルの精緻化も視野に入れつつ、得られたデータを使用した検証解析や国際共同研究<br />

などを利用した諸外国の連成解析モデルとの比較を通じて構築した原型モデルの検証レベルや信<br />

頼性を高めるとともに、その適用範囲や不確実性の幅についてより詳細な検討を行っていくこと<br />

が望まれる。更には、上記したように、初期の坑道掘削時の場の変化等を踏まえた一連の施工や<br />

処分のステップを踏まえた定量化を目指していく必要がある。<br />

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