JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...
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<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />
1. はじめに<br />
高レベル放射性廃棄物におけるわが国の地層処分概念は、天然の岩盤からなる安定な地質環境<br />
に、性能に余裕を持たせた人工バリアを含む多重バリアシステム(図 1-1)を構築することを基<br />
本としている(核燃料サイクル開発機構、1999a)。高レベル放射性廃棄物の地層処分対策を着実<br />
に進めていくためには、この多重バリアシステムによる安全性が長期的に確保され、この処分シ<br />
ステムの成立性や安全性に係る信頼性を一層高めていくことが重要である。人工バリアは、工学<br />
的対策が施された障壁(バリア)であり、ガラス固化体、廃棄物を格納するオーバーパック、オ<br />
ーバーパックと岩盤の間に充填される緩衝材で構成されるものとしている。このうち緩衝材の有<br />
力な候補材料として圧縮ベントナイトが注目されており、その材料特性(例えば、地下水流動を<br />
抑制する低透水性、浸潤に伴う膨潤性や可塑性による自己シール機能や岩盤亀裂の充填能、放射<br />
性核種の収着遅延性、化学的緩衝性など)によって放射性核種の移行を抑制し、人工バリアとし<br />
ての機能を長期間維持することが期待されている。<br />
図 1-1 多重バリアシステムの概要<br />
人工バリアとその周辺岩盤を含むニアフィールド環境は、ガラス固化体からの崩壊熱の発生、<br />
岩盤および緩衝材中の地下水流動および物質移行、緩衝材の膨潤変形、地下水と鉱物間の反応な<br />
ど、熱的、水理学的、力学的、地球化学的作用が相互に影響し合う複雑な場が形成されることが<br />
予想される。このことから、人工バリア性能の不確実性を低減し、地層処分の信頼性を高めてい<br />
くためにはニアフィールドで生じる個別プロセスによる熱(Thermo) -水(Hydro) -応力<br />
(Mechanical)-化学(Chemical)連成(以下、THMC)挙動としての現象理解や定量化の重要性が高<br />
まっている(Seetharam et al.、2006;Villar et al.、2005)。緩衝材や廃棄体の定置、埋め戻し等に対<br />
する仮想的な時間軸に対して、処分坑道の掘削を基準に予想される個別プロセスの概略を図 1-2<br />
に整理する。<br />
THMC プロセスの現象理解に向けて諸外国では実際の天然岩盤による原位置試験やモックア<br />
ップ試験が行われおり、例えば、原位置試験ではスイスのグリムゼルで行われた FEBEX(Full-scale<br />
Engineered Barrier Experiment)試験(Gens et al.、1998;Samper et al.、2008)やスウェーデンの Äspö<br />
で行われた LOT(Long Term Test of Buffer Material)試験(Karnland et al.、2000.;Acros et al.、2003.)<br />
などがあり、モックアップ試験ではスペインのマドリッドで行われた FEBEX プロジェクトによ<br />
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