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JAEA-Research-2010-034.pdf:16.23MB - JAEAの研究開発成果 ...

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5.6 解析結果 ・考察<br />

<strong>JAEA</strong>-<strong>Research</strong> <strong>2010</strong>-034<br />

解析結果として、1000 年までの温度や飽和度、間隙水の空間分布の経年変化を図 5.6-1~図 5.6-3<br />

に示し、鉱物濃度として緩衝材構成鉱物の経年変化を図 5.6-4、支保工構成鉱物の経年変化を図<br />

5.6-5、岩盤構成鉱物の経年変化を図 5.6-6 に整理した。またそれぞれの結果に対するコンターを、<br />

3 つの期間(0~5 年;10~100 年;300~1000 年)に分けて図 5.6-7~図 5.6-12 にまとめた。<br />

崩壊熱の発生に伴う緩衝材内等の温度は 10 年から 30 年の間に最高温度に達し、緩衝材中とオ<br />

ーバーパックとの境界部におけるの最高温度は 90℃程度となった。温度の拡散に伴って経年的に<br />

生じる周辺への温度上昇が見られ、周辺温度の最高温度はコンクリート支保工と緩衝材との境界<br />

部で 80℃程度となった。30 年以降の温度は初期条件で考慮した地表面の温度を 15℃、温度勾配<br />

を 4.7℃/100m とした場合の深度 450m における温度 36.15℃に向かって少しずつ低下しはじめ、<br />

100 年後には若干の温度勾配は生じているものの緩衝材の周辺の温度は概ね一定値となっている。<br />

1000 年後では 50℃程度の値まで低下する結果となった。<br />

地下水の浸潤過程については、今回の解析条件では支保工や岩盤を飽和条件で仮定し、静水圧<br />

相当の間隙水圧が緩衝材に作用することを想定しており、緩衝材中は 5 年以内に完全飽和に至る<br />

結果となった。図 5.6-2 にて、5 年から 500 年後の飽和度分布の値が示されていないのは飽和度<br />

100%となり 1000 年後と同じ値であるため 1000 年後のプロットに覆われているためである。核燃<br />

料サイクル開発機構(1999a)において実施したニアフィールド熱-水-応力連成解析においても<br />

同程度の結果が得られている。コンター図においては、緩衝材内の浸潤が一様となっており、緩<br />

衝材上下方向の空間分布に違いは生じていない。これは、4.2.4 の三次元塩濃縮試験に対して得ら<br />

れた解析結果と同様に、周辺の間隙水圧に比べて非常に高いサクション圧が緩衝材内に生じる不<br />

飽和水分特性を有していることによるものと考えられる。今回の解析条件は初期含水比として<br />

7.0%を仮定しており、式(3.3-24)の van Genuchten 式によるサクション圧としては、2015m 程度と<br />

なる。このように浸潤過程が一様であることから、間隙水中の移行元素の空間分布も一様な分布<br />

傾向を示している。<br />

間隙水中の化学環境として、支保工が高いアルカリ環境(最高 pH=12.3 程度)にあることから、<br />

周辺環境への拡散によって高 pH な領域が経年的に広がっている。100 年後には緩衝材中も<br />

pH=10.5 程度まで上昇しており、岩盤中も廃棄体中心から 4.0m 程度までは pH=9 以上の環境とな<br />

っている。300 年後には pH が低下する傾向が見られ、1000 年後の緩衝材中 pH は 7.2 程度となり、<br />

初期条件の pH=6.96 に近い値まで低下している。1 年後、緩衝材内のオーバーパック付近で pH<br />

が 11 あまりと高い数値を示しているが、その理由は不明であり、この件に関しては今後検討する<br />

必要がある。 岩盤中も少しずつ pH 値の低下が見られ、支保工との境界付近では 1000 年後にお<br />

いても pH=9 以上の値を示す結果となった。なお、1000 年後の支保工の pH は 12.0 程度であった。<br />

また、間隙水組成として、Al 3+ 濃度は Hydrogarnet の溶解によって支保工間隙水中の濃度が高く<br />

なり、緩衝材中や岩盤中へ移行している傾向にあり、300 年後には全領域で概ね一定値に収束し<br />

ている。また Ca 2+ は杉山モデルによって生じた Ca(OH)2 の溶解に伴って支保工間隙水中の濃度が<br />

高くなっており、緩衝材中や岩盤中へ移行している。これに関連して、緩衝材と支保工の境界付<br />

近では 10~30 年までの期間に Anhydrite が沈殿しているが、50 年以降では溶解逸散する結果とな<br />

った。支保工から溶出した Ca 2+ は緩衝材中の Calcite の沈殿にも寄与しているものと考えられ、と<br />

くに緩衝材と支保工の境界部では顕著に見られる。また、Hydrogarnet や Ca(OH)2の溶解に伴って、<br />

支保工では Ettringite や SiO2(am)が生成している。Cl - は初期条件の緩衝材中の濃度に比べて岩盤地<br />

下水中の濃度が高い。これにより、ガラス固化体の崩壊熱の発生を伴う地下水の浸潤によって、<br />

不飽和から飽和に至る過程でオーバーパックと緩衝材の境界では濃縮が見られるものの、飽和し<br />

てからは拡散による濃度上昇を経て、地下水中の初期濃度に収束する結果となった。Mg 2+ も Cl -<br />

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