「今後10年の（日本の）電波天文学」 銀河の研究 ... - 国立天文台 野辺山

NRO User’s Meeting
平 成 23 年 7 月 27 日
「 今 後 10 年 の( 日 本 の) 電 波 天 文 学 」
銀 河 の 研 究 、 大 学 と 国 立 天 文 台 との
関 係 など
河 野 孝 太 郎
( 東 大 天 文 センター・ビッグバン 宇 宙 国 際 研 究 センター)

ALMA is coming!
ALMA(16): ~10 sec !
ALMA(50): ~1 sec !
SMA: ~2.5 hrs
on-source (8σ)
Tamura et al. 2010,
ApJ, 724, 1270
SSA22-AzTEC1
860μm SMA contour map
flux
~12mJy
SFR
~4000
Mo/yr !
on MOIRCS (K’)
2σ =25.08 mag

ALMA 時 代 の 入 り 口 に 立 つ:
この 時 代 の 現 状 認 識
• いよいよALMAが 利 用 できる 時 代 !しかし・・・
ALMAで 出 来 ること ≠ 「 私 が」ALMAで 出 来 ること
• 独 自 のアイディアを 試 し、 独 自 のサンプ
ルを 構 築 できる、 独 自 の 観 測 研 究 手 段
を、いかに 確 保 するかが 鍵 。

今 、「 独 自 」「ユニーク」といえる 装 置 の
ハードルが 急 激 に 上 がっている
例 :「 銀 河 ・ 銀 河 団 の 形 成 と 進 化 」
イメージング・アレイの 大 規 模 化 ・ 多 色 化
• AzTEC LABOCA, SPT, ATC, SCUBA2, TESCAM
• スペースでも、BLAST Herschel, Planck
分 光 装 置 の 超 広 帯 域 化
> 億 のコスト
開 発 人 員
• AOS/MAC CATS345+WHSF@ASTE,
SAM45+PANDA+T100@45m, Z-Spec@CSO,
Zpectrometer@GBT, RSR@LMT, EMIR@IRAM, …

0.5 deg
初 期 宇 宙 爆 発 的 星 形 成 銀 河 の 広 域 探 査
ASTE
Hatsukade et al. 2011, MNRAS, 411, 102
Sensitive to ULIRGs
at z~10 !!! (if any)
1σ = 0.4 - 0.8 mJy
Area ~0.25 deg 2
N = 233 sources
AzTEC

南 極 からの 超 広 域 ミリ 波 サーベイ
(λ=2mm)
~ a few - a few 10 arcmin scale
fluctuations primary CMB
SPT
~15-sigma
スニヤエフ・ゼルド
ビッチ 効 果 による
遠 方 銀 河 団 のシグ
ナル!
明 るいスポット: 比 較 的
近 傍 の 活 動 銀 河 or 高
赤 方 偏 移 爆 発 的 星 形
成 銀 河
http://max.ifca.unican.es/sz2011/sz2011_talks/Monday/Rashid_Sunyaev/Santander1.ppt

非 常 に 多 数 のソース
ただし、ほとんどz

State-of-the-art imaging capability:
excellent agreement between groundbased
AzTEC imaging and Herschel
Egami et al. 2010, A&A, 518, L12
Bullet cluster
SPIRE 250um
SPIRE 500um AzTEC 1.1mm
Wilson et al. 2008
These are indeed confusion MNRAS, 390, 1061
limited images of the early universe!

Planck 衛 星 によるミリ 波 サブミリ 波 全 天 観 測
• Wide frequency coverage suitable for
discrimination of foregrounds/backgrounds
44 70 100 143 217 353 545 GHz
(angular resolution: ~4 arcmin@545GHz)

All sky SZ cluster survey with Planck
arXiv:
1101.2024
199 個 、うち30 個 がnew
clusters !
http://max.ifca.unican.es/sz2011/sz2011_talks/Monday/Nabila_Aghanim/Santander_SZ.pdf

超 広 帯 域 分 光 システムも 続 々と
野 辺 山 45m 鏡 搭 載 SAM45+PANDA+T100
30GHz coverage, 0.5 MHz resolution @100GHz
R~2x10 5 , dv~1.5 km/s
32 GHz coverage
Nakajima, Takano, et al. 2011; in prep.
sub-mK
sensitivity
85 90 95 110 115
Frequency [GHz]

Detection of water in a high-z lensed SMG
R ~ 700
using Z-Spec on CSO 10m
~ 120 GHz coverage !!!
Lupu et al. 2010, ApJ,
submitted (arXiv:1009.5983)

Mkn 231 Herschel/SPIRE-FTS
Van der Werf et al. 2010, A&A, 518, L42
~ 1200 GHz coverage
R ~ 400
- 1200
• Very high-J CO
lines up to J=13-
12 are still well
excited !!!
• Very rich in
species; many
bright H 2 O, H 2 O + ,
OH + lines

向 こう10 年 、 大 学 をいかに 活 性 化 させ、コ
ミュニティを 広 げていくことができるか
• 個 々の 大 学 で、 小 口 径 の 望 遠 鏡 を 個 別 に 運 用 し
て、それで 独 自 の( 世 界 と 戦 える 水 準 の) 仕 事 が
できる 状 態 は、いつまで 続 く
– 例 :60cmは10mサブミリ 波 単 一 鏡 でトップサイエンス
ができる 時 代 はいつまで
• 必 ずしも 研 究 者 は 目 指 さないが、 自 然 科 学 ・ 技 術
の 素 養 ・ 経 験 を 獲 得 して 社 会 に 貢 献 できる 学 生 を
しっかり 教 育 するという 役 割 も 極 めて 重 要 中
小 口 径 望 遠 鏡 の 意 義 は 引 き 続 き 大 きい。
– ユーザーズ・ミーティング 参 加 者 の 若 手 の 多 さ!

Top Runnerであ(り 続 け)るために
• 大 学 独 自 にcutting edgeを 切 り 拓 く 努 力
– 東 大 での 例 :
東 大 -NRO 60cm 望 遠 鏡 (1990 年 代 ~)
ASTE 推 進 、CATS345やTESCAM、THz RXなどを 開 発 ・
搭 載 ( 国 立 天 文 台 + 大 学 連 合 )(2000 年 代 ~)
東 大 からCCATへ 参 画 独 自 30m-50m 鏡 (201X~)
もっと 頭 を 使 え!とのお 叱 りを 受 けるだけかとも 思 いま
すが、、、、
• そのような、 大 学 の 研 究 活 動 を、 国 立 天 文 台 が 連
携 してサポートできるようなシステムはできない
か( 広 い 意 味 での「 共 同 利 用 」)

大 学 ( 連 合 )
○ 独 自 のアイディア
○ 銀 河 研 究 の 方 向 性
△ 限 られた 開 発 体 制
△ 乏 しい 運 用 資 源
国 立 天 文 台 と 大 学 との
望 ましい 関 係
コミュニティーからの
方 向 性 ・ 要 望
( 共 同 利 用 研 としての
存 在 意 義 )
その 実 現 のための
開 発 ・ 運 用 支 援
相 互 に 協 力 ・ 共 栄 する 関 係
天 文 台
( 共 同 利 用 研 )
○ 大 型 プロジェクトを
遂 行 し 得 る、 充 実
した 開 発 体 制
○ 天 文 台 を 運 用 する
ための 人 員 ・ 資 源

大 学 vs 天 文 台 : 他 の 可 能 性
大 学
○ 独 自 のアイディア
○ 銀 河 研 究 の 方 向 性
△ 限 られた 開 発 体 制
△ 乏 しい 運 用 資 源
対 決 ・ 競 争 を
する 関 係
天 文 台
( 研 究 所 )
○ 大 型 プロジェクトを
遂 行 し 得 る、 充 実
した 開 発 体 制
○ 天 文 台 を 運 用 する
ための 人 員 ・ 資 源
・ 文 科 省 での 最 近 の 動 向
・「 国 立 天 文 台 大 学 」( 総 研 大 )
この「 特 長 」を 活 かした
独 自 計 画 の 立 案 、 遂 行

日 夜 、 研 究 開 発 に 頑 張 っている
若 手 の 活 躍 の 場 :その 多 様 化 のために
★ 新 しい 方 向 性 を 指 し 示 し、 研 究 グ
ループ・コミュニティを 引 っ 張 れる 人
★ 学 生 を 指 導 し、 次 世 代 の 研 究 者 / 社
会 人 を 育 てることができる 人
・ 大 学 で 求 める 人
・ 観 測 所 でこそ 必 要 な 人
★ガンガン 観 測 して
どんどん 論 文 を 書 く 人
★ 高 い 専 門 性 をもって、 機 器 やソフトウエアを 開 発
し、アイディアを 実 現 できる 人 ( 必 ずしも「 派 手 さ」は
ないが、 装 置 ・ 望 遠 鏡 運 用 のために 必 要 な、 高 度
なスキル・ 経 験 を 持 ち、コツコツと 努 力 する 人 )
★プロジェクトを 組 織 し、まとめて、リードできる 人

10 年 後 の、key questionsは
( 当 然 、たくさんありそうだし、 予 想 できないテーマも 多 々あるが)
• 宇 宙 再 電 離 期 のdustyな 銀 河 はどれだけ 存 在
– 「Dustyでない 銀 河 」は、すばる+HSCや、JWSTにより、かなり
攻 め 尽 くされていくのではないか。
– 一 方 で、z>4のdustyな 星 形 成 銀 河 (サブミリ 波 銀 河 )は、まだ
まだ 未 開 拓 の 領 域 。 宇 宙 の 星 形 成 史 ・ 物 質 ( 金 属 量 ) 進 化
史 や、 銀 河 形 成 モデルで 大 きな 不 定 性 となっているところ。
• 銀 河 とAGN( 巨 大 ブラックホール)の 共 進 化 とは
– ダストに 埋 もれていないAGNの 探 査 は、ChandraやXMM-
Newtonなどにより、かなり 進 展 している。(それでもz>5は 未
開 拓 )
– ダストに 深 く 埋 もれた、 非 常 に 若 いAGN 候 補 に、 向 こう 数 年
間 で、ALMAでどこまで 切 り 込 めるか・・

10 年 後 に 日 本 のツールとなるものは
いくつかの 芽
• すばる/HyperSuprimeCAM + (FPS)
• miniTAO/TAO 地 上 赤 外 線 望 遠 鏡
– アタカマにおけるλ~38μmまでの
高 解 像 度 イメージング
• SPICA: 日 本 主 導 の 冷 却 赤 外 線 望 遠 鏡
miniTAO1m
(Yoshii et al.)
– Redshift 4~6のPAHバンド 分 光 でサブミリ 波 銀 河 の 赤
方 偏 移 測 定 +AGN contributionの 定 量 宇 宙 の 星
形 成 史 、AGN( 超 巨 大 ブラックホール)の 形 成 ・ 成 長
– ALMAによる 狭 視 野 ・ 高 分 解 能 観 測 や 地 上 ミリ 波 サ
ブミリ 波 帯 の 低 解 像 度 ・( 超 ) 広 域 サーベイ 観 測 と、 非
常 によい 相 補 性 。

ALMAと 相 補 的 な
大 型 ミリ 波 サブミリ 波 単 一 鏡
• 30-50m 規 模 、400GHz 付 近 までを 目 指 す 望 遠 鏡
⇔ CCAT: THzを 目 指 す25m
– 赤 方 偏 移 した[CII]+ 他 の 原 子 の 微 細 構 造 遷 移 によ
る、 宇 宙 再 電 離 期 前 後 にあるダストを 含 んだ 銀 河 の、
無 バイアス 探 査 、COトモグラフィーによる 銀 河 と 暗 黒
物 質 ・ 大 規 模 構 造 との 関 係 の 解 明 。( 田 村 さん)
– 大 集 光 力 + 超 広 視 野 + 超 広 帯 域 分 光 が 鍵 !
• 次 世 代 submm WGでの 検 討 ( 大 口 径 dishによる
アレイ)の 一 段 階 としても 極 めて 自 然 な 流 れ
• その 実 現 には、 開 発 体 制 の 強 化 が 一 つの 鍵

Probing cosmic re-ionization with [CII]
• Shorter wavelengths window gives narrower
redshift coverage
http://www.submm.caltech.edu/cso/weather/atplot.shtml
192 GHz – 320 GHz
z [CII] = 8.9 – 4.9: Probing
cosmic Re-ionization
600 GHz – 720 GHz
z [CII] = 2.2 – 1.6
790 GHz – 850 GHz
z [CII] = 1.4 – 1.0
PWV = 0.91 mm
(tau220 = 0.052)

Redshifted [CII]@z=6.4 with IRAM 30m
• S[CII] = 4.1±0.5 [Jy km /s]
• L [CII] = 4.4 x 10 9 Lo
• L FIR = 2 x 10 13 Lo
⇒ L [CII] /L FIR = 0.02%
Radio quiet quasar
SDSS J1148+5251
CII
@256GHz
• IRAM 30m
• Tsys ~ 350 K
• Integ. ~ 12.4 hrs
• dv =56 km/s
• 1σ = 0.3 mK in Ta*
or 2.8 mJy in S ( η mb =0.54)
@90GHz
Maiolino et al. 2005,
A&A, 440, L51

ALMA detectability of [CII]@z=6.4
• N=50, Tsys = 125K (PWV = 0.91mm or tau220 =
0.052; typical winter condition in Atacama), dv = 50
km/s, dual pol.
24 sec (!) for 1σ = 2.54 mJy/beam (but ignoring
continuum)
• cf. ALMA calculator recommends Tsys = 168 K (PWV =
2.75mm or tau220 = 0.14; typical Mauna-Kea like
condition) for this frequency (better atmospheric
conditions will be used for short wavelengths
observing programs)
45 sec
http://www.eso.org/sci/facilities/alma/observing/tools/etc/
Version: Dec. 17, 2010

ALMA vs single dish telescopes
telescope D [m] Main beam eff. Tsys [K] Integration time
ASTE 10 0.6 125 65 hrs
CCAT 25 0.7 125 100 min
IRAM 30 0.54 350 ~12 hrs
New 30m 30 0.7 125 48 min
(30/25) 4
~2.1
New 50m 50 0.7 (!) 125 6.24 min (374 sec)
• ALMA instantaneous bandwidth: 8 GHz (4 GHz per
sideband) for line survey, 24 sec (or 45 sec) per set
• The new 50 m telescope should have the same
line survey speed if it is equipped with a single
beam, 8 × (374sec/45sec) = 66 GHz bandwidth RX
for practical observing conditions for ALMA

Synergies with ASTE, ALMA, SPICA & beyond
SPICA
・unbiased
wide field
imaging &
spectroscopy
surveys
CCAT
ALMA
Super-
ASTE
・unbiased survey
Identification of important
objects for detailed studies
・ionized / PDR gas
(atomic hyperfine lines・ro-vibrational lines)、
power source diagnostics
・very high angular +
spectral resolutions
detailed investigation
・cool ISM
(rotational transitions of
molecules)

BH 成 長 史 を 探 る
• 銀 河 とSMBHの 共 進 化 に 迫 りたい。
• High-zの、ダストに 埋 もれたAGNを 探 る
– サブミリ 波 銀 河 を 探 す= 形 成 途 上 の 巨 大 楕 円 銀 河
– その 中 に 埋 もれたAGNの 兆 候 を 探 す
– そこから、BHのmassやエディントン 比 などの 基 本 的 な 物
理 量 を 引 き 出 す
どう 実 現 するか
– ミリ 波 サブミリ 波 分 光 ( 星 間 化 学 との 連 携 )
– PAH 分 光 (SPICAとの 連 携 )
– VLBIでの 研 究 手 法 も 重 要 !( 例 :サブミリ 波 銀 河 の 中 に
埋 もれたGPSを 探 す。 鈴 木 賢 太 ほか)
– 今 、できる 連 携 を 模 索 しておく。VERA+ALMA= ALMA 拡
張 アレイという 方 向 性 も。

まとめ:10 年 後 に(も)、
top runnerであ(り 続 け)るために
• 独 自 のアイディアを 試 し、 独 自 のデータを 取 得 で
きる、 独 自 の 観 測 装 置 を 継 続 的 に
– 45m/ASTEの 科 学 的 寿 命 ; 今 から 備 えねば。
• 一 方 で、「 独 自 」「ユニーク」といえる 装 置 ・ 技 術 水
準 のハードルは、 近 年 急 激 に 跳 ね 上 がっている。
– 東 大 NRO60cmASTE 推 進 ( 天 文 台 ・ 大 学 連 合 )、
CATS345/THz RX/TESCAM 等 搭 載 東 大 からCCATへ
参 画 独 自 30m-50m 鏡 ( 銀 河 形 成 ・ 進 化 )
• そのような、 大 学 の 活 動 を、 天 文 台 が 連 携 してサ
ポートできるようなシステムはできないか
• VLBIとALMAとの 連 携 強 化 も 重 要 (BH/AGN 形 成 )。