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226 CHAPTER 2. 図 鑑イタケ やムキタケ、ヒラタケ などと 誤 ⾷されやすく、 摂 取 した 場 合 には 下 痢 や 嘔 吐 といった 中 毒症 状 から、まれには 死 亡 例 も 報 告 されている。2.165.1 名 称旧 属 名 Lampteromyces は、 古 典 ギ リ シ ア 語 のLampteros(Λαπτερος: 灯 ⽕)と Myces(μύκης: 菌 )とを 組 み 合 わせたもの * [1] * [2]、また 現 在 適 ⽤されている 属 名 Omphalotus は、 同 じくギリシア 語 のOmphalus(ὀμφαλύς:へそ)と Tus(τύς:⽿)とを組 み 合 わせたものである * [1]。和 名 としては、 初 めに 提 案 されていたクマヒラタケの 名 * [3] ではなく、 江 ⼾ 時 代 に 坂 本 浩 然 によって 提 唱 された 名 であるツキヨタケが⽤いられることとなった * [4]。⽅⾔ 名 は 多 く * [5]、カタハキノコ(⻘ 森 県 津 軽 地⽅)、カタハタケ(⿅ 児 島 県 下 )、カタヘラタケ( 秋⽥ 県 下 )、 岩 ⼿ 県 下 では「ドクキノコ」の 名 もある。また、 秋 ⽥ 県 ( 北 秋 ⽥・⿅⾓)では、ドクアカリの 名 で 呼 ばれているという。さらに、ブナカタハ(⻘ 森 県 )・ブナタロウ(⽯ 川 県 ⽩⼭⼭ 麓 )などの名 も 知 られている * [6]。2.165.3 生 態晩 夏 か ら 秋 に か け て、 お も にブ ナ の 倒 ⽊・切 り 株 、 あ る い は ⽴ ち 枯 れ ⽊ な ど の 上 に群 ⽣ す る * [12] * [13] * [14] * [15] * [16] * [17]。 と き にイタ ヤ カ エ デ * [8] * [13] * [15] * [16] * [18] * [19] やト チノ キ * [18] * [19]、 あ る い はミ ズ メ * [20]・ア カ シデ * [8] * [21] * [1]・イヌシデ・コナラ・ミズナラ * [22]などの 枯 れ⽊に 発 ⽣することもあり、また、ブナの⾃ 然 分 布 がない 北 海 道 東 北 部 などにおいては、トドマツ 上 に⽣じる * [8] * [13] * [1]。なお、⼈⼯ 栽 培が 試 みられた 例 では、アカマツ・カラマツ・チョウセンゴヨウ・アベマキ・クヌギ・モンゴリナラあるいはヤマハンノキ などのおが 屑 上 でも⼦ 実体 が 形 成 されることが 確 認 されている * [23]。菌 ⽷は⼀ 般 的 な 真 菌 ⽤の 培 地 (たとえばジャガイモ=ブドウ 糖 寒 天 培 地 * [23] や 浜 ⽥ 培 地 * [17])を⽤いて 培 養 することができ、さらに 滅 菌 したブナ 材の⼩⽚を 培 地 に 加 えることで、 単 位 時 間 当 たりの菌 ⽷の⽣ 育 が 有 意 に 促 進 される * [17]。なお、⽣ 態的 には、⽊ 材 中 のリグニン を 分 解 する⽩⾊ 腐 朽 菌とみなされている * [24]。2.165.2 形 態かさ は 半 円 形 ないし 腎 臓 形 をなし、⻑ 径 5-30cm程 度 になり、 表 ⾯は 湿 時 にはいくぶん 粘 性 を⽰し、幼 時 は 橙 褐 ⾊〜⻩ 褐 ⾊でときに 微 細 な 鱗 ⽚を 散 在するが、⽼ 成 するに 従 って 紫 褐 ⾊または⻩ 褐 ⾊となり、にぶい 光 沢 をあらわす。 表 ⽪は⾁から 剥 離しにくく、⽔ 酸 化 カリウム・⽔ 酸 化 ナトリウム・アンモニア⽔・ 炭 酸 ⽔ 素 ナトリウム などの 塩 基性 化 合 物 によってすみやかに 鮮 ⻘ 緑 ⾊に 変 ⾊する(この 呈 ⾊は、 茹 でたものや 冷 凍 したもの、あるいは 乾 燥 したものでも 反 応 する) * [7]。ひだは垂 ⽣し、⽐ 較 的 幅 広 く、⽩⾊〜クリーム⾊を 呈 する * [8]。 柄 は 通 常 はかさの⼀ 端 に 着 き(まれにほぼ 中 ⼼⽣)、 太 く 短 くて 淡 い⻩ 褐 ⾊を 呈 し、ひだとの 境 界 には 低 いリング 状 をなした 隆 起 ( 不 完 全な 内 被 膜 )がある * [8]。かさは、 柄 の 近 くは 厚 いが周 辺 部 は 薄 く、⾁は 軟 質 でほぼ⽩⾊ * [8]。 柄 の 基 部付 近 においては 多 くは 紫 ⿊⾊のしみ(まれに、ほとんどこれを⽋くこともある * [9]) を⽣じ、 特 徴 的な 味 はない * [10]。⼦ 実 体 を 構 成 する 菌 ⽷ はしばしばやや 厚 壁 で、クランプ を 有 する。シスチジア はなく、 胞 ⼦ はほほ 球 形 かつ 薄 壁 で 無 ⾊・ 平 滑 、ヨウ 素 液 で⻘く 染まらず(⾮アミロイド 性 )、 径 13-17μm 程 度 、 胞⼦ 紋 は 通 常 は⽩⾊あるいはかすかに 灰 褐 ⾊を 帯びる * [11] * [8] が、いくぶん 紫 ⾊を 呈 する 場 合 もある * [12]。2.165.4 他 の 生 物 とのかかわり⼦ 実 体 には、ほかの 多 くのキノコ 類 と 同 様 に、 多種 多 様 な 昆 ⾍が 集 まる。 九 州 の 英 彦 ⼭ において、春 季 (4-5 ⽉)に 採 集 されたツキヨタケの⼦ 実 体( 前 年 に 発 ⽣し、 内 部 が 腐 敗 しかけたものの 表 層組 織 が 乾 固 したことによって 翌 春 まで 残 存 したもの)からは 51 種 の 昆 ⾍( 偶 発 的 に⼦ 実 体 に 付 着していた 種 をも 含 む)が 得 られた 例 がある * [25]。また、 韓 国 南 部 では、ゴミムシダマシ 科 に 属 するチビヒサゴゴミムシダマシ (Cryphaeus rotundicollisChûjô et Lee) およびクロツヤキノコゴミムシダマシ (Platydema nigroaeneum Motschulsky) が、ツキヨタケの⼦ 実 体 ( 新 鮮 なものか 腐 敗 しかけたものかは 明 らかにされていない)から⾒ 出 された 例 が 記録 されている * [26]。また、ツキヨタケの⼈⼯ 培 養 菌 ⽷ 体 は、マツノザイセンチュウ (Bursaphelenchus xylophilus (Steiner &Buhrer) Nickle) を 誘 引 し、かつこれを 殺 す 性 質 がある * [27] が、 誘 引 ・ 殺 傷 の 機 構 についてはまだ 明 らかにされていない。ただし、マツノザイセンチュウの 誘 引 実 験 に 際 し、 培 養 したツキヨタケの 菌 ⽷体 を⽣きたままで⽤いた 場 合 と 熱 湯 で 処 理 してから⽤いた 場 合 とを⽐ 較 すると、 前 者 ではヒラタケに 匹 敵 するほど 著 しい 誘 引 活 性 を⽰したのに 対し、 後 者 では 対 照 とした 菌 (ハイイロカビ)にも劣 る 活 性 しか 確 認 されなかったことから、ツキヨタケの 菌 ⽷の⽣ 死 が 誘 引 活 性 の 発 現 に 影 響 しているのではないかと 推 定 されている * [28]。

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