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2.120. ドクササコ 183いAおよびBについての 研 究 が、より 進 んでいる。アクロメリン 酸 Aをラットに 経 ⼝ 投 与 すると、 脊髄 の 腰 仙 髄 部 の 神 経 細 胞 が 傷 害 される。 腰 仙 髄 部の 神 経 細 胞 に 対 するアクロメリン 酸 Aの 半 数 効 果濃 度 はおおむね 2.5 μ Mで、カイニン 酸 のそれ(70μ M)に⽐べて⾮ 常 に⼩さく、⾮ N-メチル -D-グルタミン 酸 受 容 体 に 直 接 に 作 ⽤して 壊 死 させると 考えられている * [53]。⾮ N-メチル -D-グルタミン 酸受 容 体 の 阻 害 物 質 (たとえば 2,3-ジヒドロ −9-ニトロ −7-スルファモイルベンゼンなど)や、AMPA受 容 体 に 対 するカルシウム 浸 透 型 の 阻 害 剤 としてのジョロウグモ 毒 素 は、アクロメリン 酸 Aによる 末 端 紅 痛 症 の 発 現 を 阻 害 するが、アクロメリン酸 Bに 対 しては 無 効 であるという * [54]。なお、ラットへの 腹 腔 内 投 与 における 最 低 効 果 濃度 は、アクロメリン 酸 Aでは 50 ag / kg ないし0.5pg / kg、アクロメリン 酸 Bでは 50 pg / kg ないし 50 ng / kg であり、Aのほうが 強 ⼒に 作 ⽤し、Bの 100 万 倍 の 低 濃 度 で 効 果 をあらわす * [54] 。 上述 のように 脊 髄 の 神 経 細 胞 に 対 するアクロメリン酸 Aの 効 果 は、カイニン 酸 のそれに⽐べてはるかに 強 ⼒である。これに 加 え、 海 ⾺ の 培 養 細 胞 に 対するアクロメリン 酸 Aの 半 数 効 果 濃 度 はやや⼤きい(18 μ M)のに 対 し、カイニン 酸 では、 脊 髄 に 対するのと 同 等 の 濃 度 で 作 ⽤することなどから、 脊髄 においては、アクロメリン 酸 Aに 対 する 特 異 的な 受 容 体 が 存 在 するのではないかと 推 定 されている * [53]。また、ラットの 前 肢 の⻑ 指 伸 筋 - 総 腓 ⾻神 経 に 分 布 する 機 械 感 受 性 筋 C 線 維 受 容 器 ( 伝 導速 度 :2.0 m/s 以 下 ) を 材 料 とした 研 究 によれば、 機械 感 受 性 筋 C 線 維 の 約 半 数 にアクロメリン 酸 Aへの 感 受 性 が 認 められたことから、 脊 髄 ばかりではなく、 末 梢 侵 害 受 容 器 の 終 末 部 分 にもアクロメリン 酸 A の 受 容 体 が 存 在 する 可 能 性 が⽰ 唆 されている * [55]。アクロメリン 酸 Cについても、 体 重 kg 当り 10mg の 投 与 によってマウスに 致 死 毒 性 を 発 現させるとの 報 告 * [49] がある。なお、Sprague-Dawleyラットを⽤い、アクロメリン 酸 Aを 投 与 した 実 験(ラット⾜ 背 部 への⽪ 下 注 射 :100μl, 1 〜 1000 fmol/ 部 位 ) では、NMDA(d-アスパラギン 酸 メチル)受 容 体 への 拮 抗 薬 としての D-AP5 (D-(-)−2-アミノ −5-ホスホノペンタン 酸 :50μM)や non-NMDA受 容 体 拮 抗 薬 としての CNQX (6-シアノ −7-ニトロキノキサリン −2,3-ジオン, 10μM),⾮ステロイド 性 抗 炎 症 薬 である Ketrolac (10 mg/kg, i.p.),あるいはモルヒネ (3 mg/kg, i.p.) などを 前 投 与 したところ、モルヒネのみに 鎮 痛 作 ⽤が 認 められたとされている * [56]。また、アクロメリン 酸 のオルソ 位 がアニシル 化 された 異 性 体 (ドクササコの⼦ 実 体 には 含 まれていない)は、アクロメリン 酸 Aよりもさらに 低 濃 度の 投 与 で、ラットの 紅 痛 症 を 惹 起 するという * [57]。ドクササコの⼦ 実 体 からは、 神 経 毒 性 を 持 つ 化 合物 としてスチゾロビン 酸 およびスチゾロビニン 酸も⾒ 出 されている。アクロメリン 酸 の 構 成 要 素 となっているピリドン⾻ 格 は、D-DOPA を 出 発 点 とし、スチゾロビン 酸 やスチゾロビニン 酸 を 経 て⽣合 成 するものと 推 定 される * [58] * [44]。アクロメロビニン 酸 (Acromelobinic acid = (S)-(-)−3-(6-カルボキシ −2-オクソ −3-ピリジル)-L-アラニン)およびその 異 性 体 のアクロメロビン 酸(Acromelobic acid)= (S)-(-)−3-(6-カルボキシ −2-オクソ −4-ピリジル)-L-アラニン)は⾮たんぱく性 アミノ 酸 の⼀ 種 で、ラットに 対 して 神 経 興 奮 性を⽰す * [59]。これら 2 種 、あるいはドクササコの⼦ 実 体 から⾒ 出 されたもう⼀つの⾮たんぱく 性 アミノ 酸 である N-[2-(3-ピリジル) エチル]-L-グルタミン 酸 は、いずれも、クリチジン・クリチオネイン・アクロメリン 酸 など、より⾼ 分 ⼦の 有 毒 成 分の⽣ 合 成 過 程 における 中 間 体 として 存 在 するものと 考 えられている * [44] * [60]。非 毒 性 画 分⼦ 実 体 に 含 有 される 成 分 のうち、⾮ 毒 性 の 化 合 物としては、クリチオネイン(Clithioneine) * [61] * [62]や、4-ア ミ ノ ピ リ ジ ン −2,3-ジ カ ル ボ ン 酸 (4-Aminopyridine-2,3-dicarboxylic acid: 別 名 4-アミノキテリン 酸 ) * [63] が⾒ 出 されている。 前 者 はアミノ 酸 ベタイン の⼀ 種 であるが、マウスに 対 し 100mg / kg を 投 与 してもなんら 影 響 を 与 えなかった * [37]。 後 者 はピリジン 誘 導 体 の⼀ 種 である。また、イソニペコチン 酸 誘 導 体 の⼀ 種 であるピペリジン −2,4,5-トリカルボン 酸 * [64] および 4-アミノキノリン 酸 * [65] なども 検 出 されている。イソニペコチン 酸 は GABA A の 受 容 体 の⼀つであるが、ドクササコに 含 まれるピペリジン −2,4,5-トリカルボン 酸 の⽣ 理 活 性 作 ⽤については、まだじゅうぶんに 検 討 されていない。いっぽう、4-アミノキノリン 酸 は、トリプトファン -ナイアシン 代 謝 系の 中 間 体 であるキノリン 酸 の 誘 導 体 であり、ドクササコの⼦ 実 体 中 においては、 有 毒 成 分 であるクリチジンの⽣ 合 成 過 程 における 中 間 体 として 存 在するのではないかと 推 定 されている * [38]。ドクササコの⼦ 実 体 には、このほかにジペプチドの⼀ 種 である N-(γ-アミノブチリル)-L-グルタミン 酸 * [66]、あるいはオパイン 類 (アミノ 酸 の⼀ 種であるが、 菌 類 における 産 ⽣ 例 は 珍 しい)に 属 するバリノピン・エピロイシノピン・イソロイシノピン・フェニルアラニノピン * [67] などが 含 まれているが、これらの 成 分 の、ドクササコの 代 謝 系における 役 割 あるいはヒトその 他 の⽣ 物 に 与 える⽣ 理 活 性 などについては、まだじゅうぶんに 知 ⾒が 集 積 されていない。なお、 糖 アルコールとしてD-マンニトール も⾒ 出 されている * [68] が、これはドクササコに 限 らず、 多 くのきのこに 普 遍 的 に存 在 する 成 分 の⼀つである。2.120.7 類 似 種