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126 CHAPTER 2. 図 鑑種 菌 )も 開 発 された。A. bisporus が 選 抜 によって成 ⽴したのもこのころである。このためマッシュルームはフランス 語 でシャンピニオン・ド・パリChampignon de Paris(パリきのこ)と 呼 ばれている。19 世 紀 初 頭 になると、フランスで 開 発 された 栽培 技 術 がドイツ、オランダ、イギリスといった⻄ヨーロッパ 諸 国 に、さらには 移 ⺠によってアメリカ 合 衆 国 にも 伝 播 し、さらにイギリスでは 取 扱 いに 便 利 なレンガ 状 種 菌 が 開 発 された。これは 堆 厩肥 と⼟を 混 合 し、ここにマッシュルームの 菌 ⽷を繁 殖 させたものである。19 世 紀 中 ごろになると、⼟をかぶせた 堆 厩 肥 を 空 調 を 施 した 栽 培 舎 内 で⽴体 的 に 設 置 した 棚 に 載 せる 棚 式 (shelf bed system)が 開 発 され、アメリカやフランスで 採 ⽤された。この 棚 式 はアメリカで 著 しく 発 展 し、19 世 紀 末 にはフランスは 世 界 最 ⼤の⽣ 産 国 から 転 落 し、アメリカがとって 替 わることになった。それまで 個 別の 栽 培 者 が 秘 密 主 義 の 中 で 試 ⾏ 錯 誤 を 繰 り 返 していたのが、このころから、 公 開 された 科 学 的 研 究の 中 で 栽 培 技 術 の 発 展 が 図 られるようになってきた。この 潮 流 の 中 から 菌 ⽷の 無 菌 純 粋 培 養 による種 菌 が 誕 ⽣し、 雑 菌 による 病 害 ⾍の 危 険 の 低 い 安定 した 栽 培 が 可 能 になった。20 世 紀 半 ばになると、アメリカの 棚 式 栽 培 は 棚に 設 置 する 栽 培 床 を 箱 の 内 部 に 造 床 して 移 動 の 機械 化 に 適 した 形 に 改 良 した 箱 式 (Tray system) 栽 培法 に 発 展 して、これが 連 鎖 的 に 栽 培 ⼯ 程 全 般 の 機械 化 を 進 ⾏させた。こうして 機 械 化 し⼯ 業 的 発展 を 遂 げた 箱 式 マッシュルーム 栽 培 法 は、オランダ を 除 くヨーロッパとオーストラリア で 普 及 した。⼀⽅オランダは、 棚 式 を 維 持 したまま 機 械 化した⼤ 量 栽 培 法 を 発 展 させることとなった。こうした⼤ 資 本 を 必 要 とする 機 械 化 した⼯ 業 的 栽 培法 が 発 展 した⼀⽅、それほどの 資 本 ⼒を 必 要 としない⼩ 規 模 栽 培 の 効 率 化 を 図 ったのが、デンマーク で1959 年 に 箱 式 の 箱 を 袋 に 変 えた 形 で 誕 ⽣した 袋 式 (bag system) の 栽 培 法 で、1970 年 代 にヨーロッパ 全 体 に 普 及 すると 共 に、イタリア でさらなる 効 率 的 な 改 良 が 施 された。苑 で 試 験 栽 培 が⾏われたが、この 時 は 普 及 を⾒なかった。⽇ 本 における 栽 培 の 普 及 は、さまざまなきのこの 栽 培 の 先 鞭 をつけ、「きのこ 栽 培 の⽗」とも 呼 ばれた 森 本 彦 三 郎 による。 森 本 彦 三 郎 は1904年 17 年 間 のアメリカやヨーロッパでの 修 ⾏でマッシュルーム 栽 培 の 最 新 知 識 と 技 術 を⾝につけ 帰 国し、1922 年 に 栽 培 に 成 功 し、その 後 マッシュルーム 栽 培 事 業 と⽸ 詰 の 輸 出 を 軌 道 に 乗 せ、さらに 純粋 培 養 による 種 菌 製 造 を 開 始 し、「⻄ 洋 マツタケ」の 商 品 名 による 種 菌 販 売 とともに、 栽 培 の 技 術 指導 を⾏った。戦 前 の⽇ 本 では、 陸 軍 の 軍 ⾺ が⾺ 厩 肥 の⼤ 供 給源 であったこともあり、 陸 軍 の 連 隊 所 在 地 に 隣 接して、 主 要 な 栽 培 場 が 起 業 された。たとえば、 近衛 騎 兵 連 隊 、 第 ⼀ 騎 兵 連 隊 、 第 ⼗ 三 〜 第 ⼗ 六 騎 兵連 隊 などを 擁 する 千 葉 県 習 志 野 には 新 井 農 場 、 村⼭ 農 園 、 富 永 農 場 が、 新 潟 県 ⾼⽥ の 歩 兵 連 隊 には⾼⽥ 洋 菌 栽 培 場 が、⾺ 厩 肥 の 供 給 を 依 存 して 経 営を⾏い、 主 としてホテルや⾼ 級 レストラン 向 けに、⽇ 本 全 体 で 約 280t の⽣ 産 があったといわれている。戦 後 の⽇ 本 では、 陸 軍 の 解 体 により 栽 培 ⽤ 厩 肥 の供 給 源 は 農 家 の 耕 作 ⾺ や 競 ⾺ 場 の 競 ⾛⾺ に 移 ⾏した。また 同 時 に、⾺ 厩 肥 に 依 存 しない⼈⼯の 堆 肥を⽤いた 栽 培 も 普 及 していった。この 時 期 のマッシュルーム 栽 培 場 は、アメリカの⽸ 詰 市 場 を 主な 対 象 として、1974 年 には⽣ 産 量 15,300t に 達 するまでの⼤ 発 展 を 遂 げ、この 頃 には 減 反 対 策 の⼀環 に 稲 作 農 家 が 納 屋 を 改 造 してマッシュルーム 栽培 をする 姿 までもが⾒られたが、⽇ 本 のマッシュルーム⽣ 産 技 術 が 戦 後 移 転 された 台 湾 や⼤ 韓 ⺠国 で、1970 年 代 中 頃 になって 欧 ⽶ 向 け 輸 出 ⽤⽣ 産が 盛 んになると、⽇ 本 での 栽 培 は 衰 退 した。 今 ⽇では、 国 内 ⽣ 鮮 市 場 向 け 栽 培 にシフトして、2,000t代 後 半 程 度 の⽣ 産 が⾏われているが、これは⽣シイタケ の 国 内 ⽣ 産 の 約 30 分 の 1 の 量 に 過 ぎず、⽇本 ⼈の⾷⽣ 活 に 占 めるマッシュルームの 位 置 を 物語 っている。さらに 現 在 では、 台 湾 と 韓 国 の 欧 ⽶向 けの⽣ 産 も、 労 働 ⼒と 厩 肥 製 造 コストの 安 い 中国 にその 座 を 追 われている。この 時 代 のもう⼀つの 特 徴 として、モータリゼー 現 在 、 国 内 のマッシュルームの⽣ 産 地 として 知 らション の 進 展 によって⾺ 厩 肥 の 産 量 の 減 少 が 起 れる 場 所 は、 栽 培 ⽤ 厩 肥 の 安 定 的 な 確 保 という 観こった。この 状 況 を 受 けて、さまざまな 植 物 性 廃 点 から、 競 ⾺ 場 や 競 ⾛⾺のトレーニングセンター棄 物 を 原 材 料 としたマッシュルーム 栽 培 ⽤ 堆 肥 の が 近 隣 に 所 在 している 所 が 多 い。だが、 昨 今 の 公研 究 が 進 み、 発 酵 の 原 理 やマッシュルームが 必 要 営 競 技 全 般 の 低 迷 による 地 ⽅ 競 ⾺ の 競 ⾺ 場 の 廃とする 堆 肥 環 境 の 微 ⽣ 物 ⽣ 態 学 的 解 明 が 進 んだ。 ⽌で 栽 培 ⽤ 厩 肥 を 安 定 的 に⼊⼿するルートが 失 わこれと 共 に、20 世 紀 末 から 急 速 に 進 歩 したバイオ れ、これに 変 わる 乗 ⾺ 施 設 などからの⼊⼿、⼈⼯テクノロジー を 背 景 にして、21 世 紀 の 今 ⽇、マッ 堆 肥 の 使 ⽤では 調 達 ・ 輸 送 などの 各 種 コストなどシュルーム 栽 培 は 先 端 産 業 の⾊ 合 いを 強 く 持 った の⾯で⾒ 合 わなくなり、これによりマッシュルー発 展 を 遂 げつつある。その⼀⽅で、 伝 統 的 な⾺ 厩 ムの⽣ 産 を 取 りやめた 農 家 も 出 るようになった。肥 による 堆 厩 肥 を 使 ⽤してのマッシュルームにこだわる⽣ 産 者 や⾼ 級 レストランなどの 消 費 者 も⾒られている。手 順アジア 欧 ⽶で 発 展 を 遂 げたマッシュルーム 栽 培は、 明 治 の 中 ごろに⽇ 本 にも 導 ⼊され、 新 宿 御マッシュルーム 栽 培 は、「 堆 肥 栽 培 」と 呼 ばれる⽅法 で、 発 酵 した 厩 肥 を 培 地 (コンポスト、 英 : Spentmushroom compost) として 利 ⽤する。 原 料 の「 草 ⾷