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2.79. マッシュルーム 125難 分 解 性 の⾼ 分 ⼦ 化 合 物 、 特 に 他 の 多 くの 微 ⽣ 物にとって 分 解 できないリグニンを 分 解 する 能 ⼒によって、 優 勢 に⽴つことができる。マッシュルームの 栽 培 とは、こうした 堆 厩 肥 の 発 酵 過 程 における 微 ⽣ 物 群 集 の 遷 移 現 象 を 利 ⽤した 技 術 体 系 であると⾔える。野 ⽣ 種 のハラタケは 担 ⼦ 器 に 4 つの 担 ⼦ 胞 ⼦をつけるが、 栽 培 種 のマッシュルームは 2 つしかつけないことが 多 い。これが 種 ⼩ 名 の bisporus(2 つの胞 ⼦)の 由 来 である。 担 ⼦ 器 の 内 部 では⼆ 次 菌 ⽷内 の 性 の 異 なる 核 が 融 合 してから 減 数 分 裂 を 起こして 4 つの 核 が⽣じるが、ほとんどの 場 合 、 性の 異 なる 核 がペアになって 新 しくできた 2 つの 胞⼦の 中 に 移 ⾏する。そのため、この 2 核 の 胞 ⼦が発 芽 すると、⼀ 次 菌 ⽷ を 経 ずに 直 接 ⼆ 次 菌 ⽷が 発⽣する。これより 頻 度 は 低 いものの、 同 じ 性 の 核がペアになって 胞 ⼦ 内 部 に 移 ⾏する 場 合 、2 核 の胞 ⼦ 1 個 と 同 時 に 単 核 の 胞 ⼦ 2 個 、 合 計 3 個 の 胞⼦が 形 成 される 場 合 、 単 核 の 胞 ⼦が 4 つ 形 成 される 場 合 もある。 同 性 の 核 がペアになった 2 核 の 胞⼦や 単 核 の 胞 ⼦からは⼀ 次 菌 ⽷が 発 ⽣するので、これが 品 種 改 良 時 、 交 配 に⽤いられる。しかし⼈⼯ 培 養 下 で 胞 ⼦の 発 芽 は⾮ 常 に 低 頻 度 であることが 知 られているので、 酪 酸 などの 有 機 酸 処 理や 成 ⻑ 菌 ⽷の 刺 激 によって 胞 ⼦の 発 芽 を 促 す⽅ 法が 開 発 された。また、マッシュルームの⼆ 次 菌 ⽷はクランプコネクションを 作 らないため、⼀ 次 菌⽷との 識 別 が 困 難 である。そのため 最 近 は、 単 核胞 ⼦を 発 芽 させて⼀ 次 菌 ⽷を 探 すよりも、⼆ 次 菌⽷のプロトプラスト 化 によって 単 核 の⼀ 次 菌 ⽷をつくり 出 し、これによって 交 配 を⾏うことが 多くなっている。2.79.2 品 種A. bisporus はホワイト 種 、オフホワイト 種 、クリーム 種 、ブラウン 種 の 4 つの 品 種 群 に⼤ 別 される。また 厳 密 には 別 種 ではあるが、ヨーロッパで 主 に栽 培 される A. bitorquis (èlet) Saccardo もマッシュルームとして 扱 われるため、ここで 解 説 する。ホワイト 種なめらかで 純 ⽩の 外 観 が 美 しいため、⽣ 鮮 流 通 品として 好 まれる。また、 低 温 でも⼦ 実 体 が 発 ⽣するという 栽 培 上 の 利 点 もある。このため 世 界 で 最も 多 く 栽 培 されている 品 種 群 であるが、 柄 が 徒 ⻑しやすいことと 汚 れや 傷 による 変 ⾊が⽬⽴ちやすい 点 が⽋ 点 となる。オフホワイト 種⾊がやや 灰 ⾊がかった⽩⾊であるほかは、ホワイト 種 に 性 質 が 近 い 品 種 群 。ホワイト 種 と 同 様 、⽣鮮 流 通 品 として 好 まれる。クリーム 種淡 褐 ⾊で 中 型 の⼦ 実 体 を⽣じる。 栽 培 環 境 の 湿 度が 低 いと、 表 ⾯が 鱗 状 になったり 甚 だしい 場 合 はひび 割 れができる。 加 ⼯⽤として 好 まれる。ブラウン 種褐 ⾊で⼤ 型 の⼦ 実 体 を⽣じ、 収 穫 量 も 多 い。 味 は濃 く⾹ 気 にも 富 んでいる。⾁ 質 が 緻 密 で 加 ⼯による 収 縮 が 少 ないので、 加 ⼯⽤として 好 まれるが、保 存 性 に 富 み、 汚 れや 傷 による 変 ⾊も⽬⽴たないので、⽣ 鮮 流 通 品 としても 好 まれている。Agaricus bitorquis傘 の 中 央 部 はややくぼみ、 形 は 歪 みがちである。A.bisporus より 5°C ⾼い 温 度 で⼦ 実 体 を⽣じる。ウイルス 病 に 対 して 抵 抗 性 があり、 夏 季 および 亜 熱 帯地 ⽅での 栽 培 に 適 するが、 栽 培 環 境 が⾼ 温 多 湿 となり 作 業 が 重 労 働 になる 点 が 嫌 われる。ヨーロッパでは 栽 培 されるが、アメリカではあまり 栽 培 されない。2.79.3 栽 培歴 史欧 米 マッシュルームの⼈⼯ 栽 培 のきっかけを作 ったのは、メロン 栽 培 だったといわれている。16 世 紀 にフランスやイギリス のような 寒 冷 多 ⾬の⻄ヨーロッパ 諸 国 に、 南 欧 からメロンが 導 ⼊された。⾼ 温 乾 燥 を 好 む⻄アジア 起 原 のメロンを 栽培 するために、これらの 国 々では 厩 肥 の 発 酵 熱 を熱 源 とする 温 床 が⽤いられた。17 世 紀 半 ば、あるいはもう 少 し 早 い 時 期 に、パリ 郊 外 のメロン 栽培 に⽤いられた 廃 温 床 の 熱 源 厩 肥 にハラタケ 類 が発 ⽣しているのが 注 ⽬され、⾷⽤に 採 集 されるようになった。さらに、きのこの 発 ⽣する 廃 温 床 に家 畜 の 糞 や 敷 き 藁 をかぶせて、さらなる⼦ 実 体 の発 ⽣を 促 すようになったのが、⼈⼯ 栽 培 の 最 初 の試 みである。次 に 試 みられたのが、 優 良 な 菌 の 選 抜 と 移 植 であった。 畑 に 新 しい 厩 肥 を 盛 り 上 げて 畝 を 作 り、菌 ⽷の 蔓 延 した 前 回 の 栽 培 時 の 厩 肥 をそこに 移 植して⼟をかぶせる 畝 床 法 (ridge bed system) が⾏われるようになったのである。やがて18 世 紀 になると、この 畝 床 の 上 に⼩ 屋 掛けしたり、 温 室 内 に 畝 床 を 作 ったりするようになって、 屋 内 栽 培 に 移 ⾏していったが、 屋 外 の 畝床 法 もイギリスなどでは 今 ⽇まで 残 存 している。フランスではパリ 郊 外 の 鍾 乳 洞 の 中 に 畝 床 を 作ることで⼤ 規 模 栽 培 が⾏われるようになった。 堆厩 肥 の 発 酵 技 術 の 基 本 形 も 確 ⽴し、 保 存 可 能 なように 菌 ⽷の 蔓 延 した 堆 肥 を 乾 燥 させた 種 菌 (⽚ 状

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