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2.64. ハツタケ 101り⼈ 気 がなかったのに 対 し、マツタケ がほとんど産 出 しない 江 ⼾ 近 辺 では、⾷⽤としてよく 利 ⽤されたようである。 千 葉 県 では 特 に 珍 重 されたといい * [76]、 旧 佐 倉 堀 ⽥ 藩 ⿅ 渡 村 ( 現 在 の 千 葉 県 四 街道 市 ⿅ 渡 )においては、 嘉 永 3(1850) 年 庚 戌 年(かのえいぬ) 九 ⽉⼗⽇( 旧 暦 ) 付 の 回 状 として「 初 茸 七 十 ケ 右 ハ 御 用 ニテ 不 足 無 ク 来 ル 十 三 日 四 ツ時 迄 ニ 上 納 致 ス 可 シ 尤 モ 軸 切 下 致 シ 相 納 メル 可 ク候 此 廻 状 早 々 順 達 致 ス 可 ク 候 以 上 」の⽂⾯が 発 ⾏された 記 録 がある * [77]。ほかにも、 佐 倉 近 辺 の 名 産 品 として、カキ・クリ・ゼンマイ・ワラビ・ジュンサイ・タケノコ・ブクリョウ・ショウロ などとともに、ハツタケが 挙 げられた 例 * [78] * [79] * [80] があリ、さらに、 今 を 去 る百 六 ⼗ 年 前 の 天 保 ⼗ 四 年 、⿓ 腹 寺 村 ( 現 在 の 千 葉県 印 ⻄ 市 の⼀ 部 ) 在 の 要 蔵 という⼈ 物 の⽇ 記 に「 九 月 廿 日 村 方 分 例 年 ノ 通 リ 初 茸 献 上 致 シ 候 」との記 事 がある。この 記 述 は、 近 隣 の 淀 藩 ⼤ 森 役 所 の役 ⼈にハツタケを 届 けた 記 録 であるとみられ、 淀( 現 代 の 京 都 付 近 )や 江 ⼾から 赴 任 した⾆の 肥 えた役 ⼈(およびその 家 族 )に、⿓ 腹 寺 村 の 村 ⺠が 毎年 ハツタケを 献 上 していたのがうかがえる * [81]。なお、 現 代 の 千 葉 県 下 において「ハツタケ」の名 称 で 市 販 されているものの 中 には、 近 縁 種のアカモミタケ なども 含 まれているとされている * [82] * [83]。⾷⽂ 化 の⾯からではなく、 多 少 とも 博 物 学 的 な 観点 からハツタケについて 記 述 した⽂ 献 も 散 ⾒される。たとえば、 神 門 郡 組 下 村 々 産 物 帳 出 寄 帳 (1735年 = 享 保 20 年 )では、 菌 類 11 種 のうちの⼀つとして 初 茸 の 名 称 が 挙 げられている * [84]。また 重 修 本草 綱 目 啓 蒙 (⼩ 野 蘭 ⼭ 著 、 享 和 3 年 = 1803 年 : 重修 としての 復 刊 は 弘 化 4 年 = 1847 年 )には、「 称⻘ 頭 菌 云 雲 南 通 志 中 ・⽽ 称 ⻘ 紫 云 呉 蕈 譜 ・・・ 在 叢中 松 樹 元 ・⻩⾚ 微 含 禁 ⾊・ 転 藍 候 触 以 テ⼿ 指 ・ 蓋上 含 ム⻘ 斑 於 尾 州 産 ・⼟ 名 称 阿 ⽣ 葉 地 ( 雲 南 通 志に 云 うところの⻘ 頭 菌 であり、あるいは 呉 蕈 譜 に云 う⻘ 紫 である…( 中 略 )… 松 の 樹 下 の 草 中 に 発 ⽣する。⻩⾚⾊で、やや 紫 ⾊を 帯 び、⼿で 触 れると藍 ⾊に 変 ⾊する。 尾 州 産 のものは 傘 に⻘ 斑 があり、⽅⾔は”あをはち”という)」と 記 述 されているが、「あをはち」という⽅⾔ 名 が 尾 州 特 有 のものであるのか 否 かは 不 明 である。また、 本 朝 食鑑 には、「 松 の 樹 の⽇ 陰 の 所 に⽣える。 庭 園 でも松 が 多 い 所 なら、ハツタケの⽯ 突 を 細 かく 砕 いてから⽶の 研 ぎ 汁 に 漬 け、これを 蒔 くと、 何 年 かを経 て 必 ず⽣えてくる。 形 状 はマツタケに 似 るがより⼩さく、つぼみの 時 点 からかさが 張 っている。かさの 裏 ⾯には 細 い 刻 み(=ひだ)がある。かさの 上 ⾯・ 下 ⾯と 柄 とは⾚⻩⾊で、また⽊の 葉 をかぶって⽣えるので、これを⾒ 出 すのは⼤ 変 に 難 しい。 四 ・ 五 ⽉の⾬の 後 に⽣えるが、 秋 の 時 に⽐べると 多 くはなく、⼋・ 九 ⽉の⾬の 後 に⽣えるものが 最 も 多 い。 味 は⽢くて⾹ 気 があり、その⽢さはマツタケよりまさっているが、⾹りは(マツタケに) 及 ばない」と 解 説 されている * [85]。いっぽうで 巻 懐 食 鏡 (⾹⽉⽜⼭ 著 : 寛 政 2 年 =1790 年 )においては、「 秋 が 来 ると、⼭ 野 の 松 の 樹の 下 に⽣える。 味 は⽢ 美 で 毒 は 無 く、⾷べられる。傘 の 裏 が 緑 ⻘⾊に⾒える 物 がよい。 味 が 軽 い(?)ので、 病 ⼈が⾷べてもよい。シメジ・ナメススキ・ハツタケの 三 種 は、きのこの 中 の 佳 品 なり。」と 説明 されている。 倭 訓 栞 ( 巻 之 参 :⾕ 川 ⼠ 清 著 : 明治 32 年 = 1899 年 )には、「ハツタケ、 紫 蕈 ともいう。ハツは 早 いことをいう。 備 州 ではアイタケ、尾 州 ではアオハチ、 江 州 ではアオスリまたはアイスリ、 賀 州 ではマツミミ、 中 国 、 九 州 ではマツナバという。」との 記 述 がある。⽇ 本 初 の⽅⾔ 研 究書 である 物 類 称 呼 ( 越 ⾕ 吾 ⼭ 著 : 安 永 4 年 = 1775年 )にも 同 様 の 記 事 があり、すでに 江 ⼾ 時 代 には、⾷⽤ 菌 として 全 国 的 に 知 られていたもののようである。さらに、 続 江 戸 砂 子 ( 菊 岡 光 ⾏ 著 : 享 保 20 年 =1735 年 )には、「 江 府 (= 江 ⼾) 名 産 並 近 在 近 国 」として「⼩⾦ 初 茸 ・ 下 総 国 葛 飾 郡 ⼩⾦ 之 辺 、 所 々 出⽽ 発 : 在 江 府 隔 六 ⾥ 内 外 : 在 相 州 藤 沢 ⼾ 塚 辺 産 、早 産 ⽐ 下 総 : 相 州 之 産 存 微 砂 ⽽⾷ 味 下 品 。 下 総 之産 解 砂 ⽽ 有 ⾵ 味 佳 品 (⼩⾦ 初 茸 、 下 総 国 葛 飾 郡 ⼩⾦の 辺 、 所 々より 出 る。 江 ⼾より 六 ⾥ 程 。 相 州 藤沢 ⼾ 塚 辺 より 出 る 初 茸 は、 下 総 より 早 い。しかし相 州 産 のものは 微 砂 をふくみ、⻭にさわってよくない。 下 総 産 のものは 砂 がなく、⾵ 味 ももっとも佳 い)。」との 記 事 * [86] がみえる。おそらくは、 相模 湾 岸 に 広 がるクロマツ 林 に 産 するハツタケと、内 陸 のアカマツ 林 に⽣えるハツタケとを⽐ 較 したものではないかと 思 われる。2.64.7 和 名 ・ 方 言 名 ・ 学 名和 名和 名 は「 初 茸 」の 意 で、おそらくは 初 秋 に 多 く 発⽣するところからの 命 名 であると 考 えられるが、命 名 者 は 不 明 であり、この 名 がいつごろの 時 代 から 提 唱 されたのかも 明 らかになっていない。方 言 名岩 ⼿・ 愛 知 ・ 滋 賀 ・ 京 都 などで「あいずり」、⻘ 森 ・⻑ 野 ・⿃ 取 ・ 島 根 ・ 岡 ⼭・ 広 島 および⾹ 川 (⼩⾖島 )では「あいたけ」と 呼 ばれるが、これらは、きのこが 傷 つくと⻘ 緑 ⾊に 変 わることに 由 来 するものと 思 われる。 岐 ⾩・ 愛 知 ・ 静 岡 などでの「あおはち」・ 新 潟 における「あおはつたけ」もまた、 同様 の 理 由 に 基 づくものであろう。 同 様 に、きのこの 変 ⾊ 性 に 基 づくと 思 われる⽅⾔ 名 としては、⻘森 県 ・ 秋 ⽥ 県 ・ 岩 ⼿ 県 ・⼭ 形 県 ・ 千 葉 県 ( 特 に 夷隅 ・ 君 津 )などにおける「ろくしょう」・「ろくしょうはつたけ」・「ろくしょきのこ」などが 挙 げられる * [87]。秋 ⽥ 県 下 では「まつきのこ」・「まつしたきのこ」などと 称 され、 千 葉 県 の⼀ 部 の 地 ⽅でも「まつし

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