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98 CHAPTER 2. 図 鑑の 五 針 葉 マツ、あるいは⼆ 針 葉 マツのヨーロッパアカマツ(P. sylvestris L.)などの 樹 下 に 発 ⽣するが、 柄 の 表 ⾯に、 不 規 則 に 散 在 する 丸 く 浅 いくぼみを 持 つ 点 * [8] や、 乳 液 の⻘ 変 性 が 弱 く、⾁に 弱い 苦 味 がある 点 * [30] などによって 区 別 される。ただし、その⼀ 変 種 である L. sanguifluus var. asiaticsDörfelt, Kiet & A. Berg;(ベトナム に 分 布 ) * [31] は、⼦ 実 体 が⾮ 常 に⼩ 型 なこと(かさの 径 1-3cm 程 度 )や 胞 ⼦ 表 ⾯の 網 状 紋 様 がはるかに 繊 細 なことを 除けばハツタケに⾮ 常 に 類 似 しており、ハツタケと同 ⼀ 種 ではないかとする 意 ⾒もある * [8]。ハ ツ タ ケ に 対 し て ⽤ い ら れ て い る Lactariushatsudake Tanaka の 学 名 は、 東 京 帝 国 ⼤ 学 理 科 ⼤学 の 菌 類 学 者 ⽥ 中 延 次 郎 による 命 名 で、きのこ類 に 対 し、⽇ 本 ⼈として 初 めて 単 独 で 新 種 記 載 を⾏って 与 えた 名 として 知 られている。しかし、この 学 名 ( 記 載 ・ 命 名 ・ 発 表 は 1890 年 * [32])について、1860 年 にすでに 記 載 ・ 命 名 がなされていた L.lividatus * [33] のシノニム として 扱 い、 学 名 の 優 先権 を 適 ⽤して 廃 棄 する 提 案 がなされている * [34]。揮 発 性 成 分 と し て は 76 種 が 認 め ら れ て い る(うち 5 種 は 未 同 定 )が、そのうちで⽐ 較 的 多量 に 含 ま れ て い た の は cis-イ ソ ロ ン ギ ホ レ ンL. lividatus のタイプ 標 本 は、 奄 美 ⼤ 島 において ((2S,4aR)−1,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ −1,1,5,5-テト1855 年 1 ⽉ 21 ⽇に 採 集 されたものである * [34] が、その 保 存 状 態 は⾮ 常 に 悪 く、この 標 本 の 検 討 結 果をもとにして 提 出 された L. hatsudake と L. lividatusとが 同 ⼀ 種 であるとの 上 記 の⾒ 解 には 疑 問 を 呈 する 研 究 者 もある * [35]。いっぽう L. hatsudake については、タイプ 標 本 はその 原 記 載 において 指 定 されておらず、 現 時 点 での 所 在 についても 不 明 である * [7] * [32]。L. hatsudake の 原 記 載 * [32] では、L. lividatus についてハツタケとの 類 似 性 を 認 めながらも「L. lividatusは、 乳 液 が 少 なくとも 分 泌 直 後 の 時 点 では 白 いことで 特 徴 づけられるグループに 分 類 されており、乳 液 が 鈍 い 帯 紫 褐 ⾊を 呈 するハツタケとは 別 種である」と 述 べられている。そのいっぽうで、L..lividatus の 原 記 載 では「かさは 中 央 部 がくぼみ、 柄は 上 ⽅に 細 まり、 全 体 に 淡 ⾚ 褐 ⾊を 呈 する:ひだは 密 で 鈍 い 淡 ⾚⾊を 帯 び、⻘ 変 する:⽇ 本 に 産 し、チチタケ に 似 る」とされ、 乳 液 の⾊ 調 については触 れられておらず、 発 ⽣ 環 境 周 辺 の 樹 種 についても 記 述 がない * [33]。いまのところ、ハツタケの 学名 として L. hatudake と L. lividatus とのいずれを⽤いるべきであるのかについては、 客 観 的 な 解 決 をみていない。ハツタケに 似 て、かさや 柄 が⻩ 褐 ⾊を 呈 し、かさに 多 少 とも 同 ⼼ 円 状 の 環 紋 をあらわすきのことしてキチチタケ(Lactarius chrysorrheus Fr.)が 知 られており、 時 にはハツタケと 混 同 して 採 取 されることもあるが、キチチタケではひだがほぼ⽩⾊〜クリーム⾊(ワイン⾊を 帯 びない)であること・ 乳 液が 初 めは⽩く、 後 に⻩ 変 すること・ 多 少 とも⾟ 味を 有 すること * [1] * [2] で 区 別 される。チョウジチチタケ(Lactarius quietus (Fr.:Fr.) Fr.)や ニオイワチチタケ(Lactarius subzonarius Hongo)も、⼤きさや 外観 が 類 似 しており、かさの 表 ⾯に 同 ⼼ 円 状 の 環 紋をあらわすためにまぎらわしいが、これらは 主 に広 葉 樹 林 に 発 ⽣し、⼦ 実 体 を 傷 つけても 緑 変 しないことや、ことに 乾 きかけた⼦ 実 体 において 特 有の⾹り(チョウジチチタケではチョウジ 様 * [36]、ニオイワチチタケではカレー 粉 様 * [1])を 放 つことなどの 点 で、 区 別 は 容 易 である。2.64.5 成 分⽣ 鮮 品 は、その 重 量 の 87 * [37] ないし 96 * [38] パーセントが⽔ 分 である。 乾 重 あたりのおおまかな分 析 値 の⼀ 例 を 挙 げれば、 粗 タンパク 質 22.2-23.5パーセント、 粗 脂 肪 2.2-7.3 パーセント、 糖 質 37.7-64.4 パーセント、 粗 繊 維 6.6-7.6 パーセント、 灰 分4.4-5.8 パーセントという 値 がある * [37] * [38]。香 気 成 分ラメチル −2H-2,4a-メタノナフタレン)、α-セドレンエポキシド(3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト〔2,1-b〕フラン)、フムレンエポキシド III(4,8,11,11-テトラメチル −1,2-エポキシシクロウンデカ −4,8-ジエン)、クロバン((1R,2R,5R,8S,9S)−4,4,8-トリメチルトリシクロ[6.3.1.01,5]ドデカン)、リノレン 酸 およびパルミトレイン 酸 などであるという。GC / MS /オルファクトメトリーおよび 段 階 希釈 による 閾 値 検 出 (Aroma Extract Dilution Analysis:AEDA 法 )などによって 解 析 した 結 果 、ハツタケの⾹りの 構 成 物 質 としては、 特 にヘキサナール、4-デヒドロビリディフロロール、ミリオール((1aS,3bβ,6aR, 6bα)-デカヒドロ −1,1,3aβ-トリメチル −6-メチルシクロペンタ -[2,3] シクロプロパ[1,2-a] シクロプロパ [c] ベンゼン −5α-オール)、およびフェニルアセトアルデヒド の 4 種 が 重 要 な 役割 を 果 たすと 考 えられている * [39]。呈 味 成 分真 空 乾 燥 品 100 グラム 当 たり 5ʼCMP 198 ミリグラム、5ʼAMP 217 ミリグラム、5ʼUMP 136 ミリグラム、5ʼGMP 262 ミリグラムが 検 出 され、5ʼIMPは 含 有 されていないという 分 析 例 がある * [40]。色 素⾊ 素 類 のおもなものとして、アズレン ⾻ 格 を 有 する 7-(1-ハイドロキシ −1-メチルエチル)−4-メチルアズレン −1-カルボアルデヒド(⾚ 紫 ⾊)や 4-メチル −7-(1-イソプロピル)アズレン −1-カルボン 酸 ( 紫 ⾊) * [41]、および 1-[(15E)-ブテン −17-オン]−4-メチル −7-イソプロピルアズレン( 緑 ⾊)* [42] が 単 離 されている。

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