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ÅÎÒÉʕʯ˂ʃ - ENRI

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第 11 回 国 際 GBASワーキング<br />

グループ 会 合 の 開 催 について<br />

当 研 究 所 は、 平 成 23 年 2 月 22 日 ~ 25 日 、 大 阪 市 中 之 島 の<br />

大 阪 国 際 会 議 場 において、 第 11 回 国 際 GBAS (Ground-Based<br />

Augmentation System)ワーキンググループ 会 合 (IGWG:<br />

International GBAS Working Group)を 主 催 者 として 開 催 致<br />

しました。IGWG は、GBAS の 開 発 ・ 評 価 ・ 導 入 を 進 める 世 界<br />

各 国 の 航 空 当 局 及 び GBAS 関 係 の 製 造 メーカ、 航 空 会 社 、 大 学<br />

研 究 機 関 等 の 実 務 者 が 一 堂 に 会 し、 開 発 評 価 状 況 や 導 入 計 画 に<br />

ついて 情 報 交 換 したり、GBAS 開 発 技 術 や 認 証 方 法 等 を 議 論 す<br />

るための 会 議 です。 平 成 16 年 に 第 1 回 会 議 が 開 催 され、これ<br />

までに GBAS の 開 発 を 進 める 関 係 国 持 ち 回 りで 開 催 されてきま<br />

した。 一 方 、 当 研 究 所 は GBAS の 研 究 を 進 めており、 新 たに 開<br />

発 した GBAS プロトタイプを 関 西 国 際 空 港 に 設 置 し、 実 験 用 航<br />

空 機 による 試 験 評 価 を 実 施 しているところでしたので、これら<br />

当 研 究 所 の 研 究 成 果 を 国 内 外 に 紹 介 し、 研 究 を 更 に 推 進 するた<br />

め、IGWG をこれまで 主 催 してきた Eurocontrol 及 び FAA の<br />

賛 同 を 得 て、 今 回 開 催 することとなりました。アジアでの 開 催<br />

は 初 めてのこととなります。 会 議 開 催 及 び 運 営 あたっては、 国<br />

土 交 通 省 航 空 局 からもご 協 力 を 頂 きました。<br />

本 会 議 には、 米 国 、 欧 州 、 豪 州 、ロシア、 中 国 、 韓 国 、ブラ<br />

ジル、UAE 等 17 カ 国 、1 国 際 機 関 から 100 名 近 くにのぼる 方 々<br />

に 参 加 して 頂 きました。 今 まで 開 催 された IGWG の 中 で 一 番 参<br />

加 者 が 多 かったと 聞 いております。<br />

本 会 議 中 においては、 当 研 究 所 からは 発 表 を 行 うのみなら<br />

ず、 幾 つかの Working Session において 議 長 を 務 めさせて 頂 き、<br />

会 議 の 進 行 にも 貢 献 することができました。<br />

また、23 日 には、 会 議 のイベントとして 本 会 議 の 参 加 者 に 我<br />

が 国 の GBAS の 研 究 活 動 を 紹 介 するため、 関 西 国 際 空 港 に 設 置<br />

している 当 研 究 所 の GBAS プロトタイプの 施 設 見 学 会 を 実 施 し、<br />

参 加 者 の 方 に 非 常 に 深 い 関 心 を 示 して 頂 きました。<br />

当 研 究 所 は、 世 界 に 通 じる 中 核 的 研 究 機 関 となることを 目 標<br />

の 一 つとして 掲 げており、その 取 り 組 みとしてプレゼンスの 向<br />

上 に 努 めておりますが、 本 会 議 の 開 催 は、 十 分 効 果 があったと<br />

感 じております。<br />

更 に、 本 会 議 の 開 催 は、 欧 米 地 域 に 限 らずアジア 地 域 におい<br />

ても GBAS への 取 り 組 みを 活 性 化 させたという 点 において 大 変<br />

大 きな 意 味 があったと 認 識 しており、GBAS 業 界 の 裾 野 を 拡 げ、<br />

業 界 そのものを 盛 り 上 げることができたことは、 当 研 究 所 にとっ<br />

ても 大 変 喜 ばしいことと 感 じております。<br />

IGWG 全 体 会 議<br />

IGWG 参 加 者 全 体 集 合 写 真<br />

関 空 GBAS プロトタイプ<br />

施 設 見 学 会<br />

<br />

平 成 23 年 度 ( 第 11 回 ) 電 子 航 法 研 究 所 研 究 発 表 会<br />

を 行 いました!<br />

<br />

電 子 航 法 研 究 所 では、 日 頃 の 試 験 研 究 成 果 を 関 係 の 方 々に 紹 介<br />

するため、 毎 年 6 月 に 研 究 発 表 会 を 行 っています。 今 年 は 6 月<br />

16 日 ( 木 ) 及 び 17 日 ( 金 )の 2 日 間 、 独 立 行 政 法 人 海 上 技 術 安 全<br />

研 究 所 講 堂 において、 平 成 23 年 度 ( 第 11 回 ) 研 究 発 表 会 を 開<br />

催 いたしました。<br />

電 子 航 法 研 究 所 では、 達 成 すべき 目 標 へのアプローチとして、<br />

5 ヵ 年 毎 に「 中 期 計 画 」を 制 定 しております。 第 1 期 中 期 計 画 は、<br />

平 成 13 年 ~ 17 年 、 第 2 期 中 期 計 画 は 平 成 18 年 ~ 22 年 、そ<br />

して 平 成 23 年 度 からは 新 たに 第 3 期 中 期 計 画 ※を 制 定 してい<br />

ます。 今 回 の 平 成 23 年 度 ( 第 11 回 ) 研 究 発 表 会 は、 第 2 期 中<br />

期 計 画 の 集 大 成 を 飾 るとともに、 研 究 所 として 新 たに 踏 み 出 す<br />

5 ヵ 年 への 第 一 歩 を 標 す、 記 念 すべき 発 表 会 でした。<br />

6 月 16 日 は CNS に 関 する 研 究 (8テーマ)、6 月 17 日 は<br />

ATM に 関 する 研 究 (6テーマ) 及 び 機 上 等 技 術 に 関 する 研 究<br />

(7テーマ)について 発 表 を 行 いました。 両 日 とも、あいにくの<br />

空 模 様 でしたが、2 日 間 で 延 べ 400 名 近 い 方 々にご 来 場 いただき、<br />

また、 実 施 後 のアンケートでは、「 有 益 な 研 究 が 多 数 有 り、 今 後<br />

の 航 空 交 通 の 発 展 に 寄 与 する 期 待 が 高 まりました。」などの 感 想<br />

も 頂 戴 しまして、 大 盛 況 のうち<br />

に 終 了 することができました。<br />

今 後 ともこのような 研 究 内 容 の<br />

普 及 ・ 紹 介 に 努 めていきたいと<br />

思 います。<br />

なお、 今 回 の 講 演 に 使 用 した<br />

発 表 資 料 については、 弊 所 ホー<br />

会 場 の 様 子<br />

ムページに 掲 載 しておりますの<br />

で、 是 非 御 覧 いただければと 思 っ<br />

ております。また、ご 来 場 いた<br />

だいた 皆 様 から 頂 戴 しました 貴<br />

重 なご 意 見 ・ご 質 問 は 真 摯 に 受<br />

け 止 め、 今 後 の 業 務 ・ 研 究 に 活<br />

かしていきたいと 思 います。<br />

最 後 になりましたが、 研 究 発<br />

講 演 の 様 子<br />

表 会 にご 協 力 ・ご 参 加 いただき<br />

ました 皆 様 に 本 誌 面 をお 借 りい<br />

たしまして 深 く 感 謝 申 し 上 げま<br />

す。ありがとうございました。<br />

※ 第 3 期 中 期 計 画 は 弊 所 HP<br />

(http://www.enri.go.jp/)で<br />

公 表 中 です。<br />

併 設 された 展 示 ブースの 様 子<br />

人 事 異 動 (7/1 付 )<br />

成 田 空 港 事 務 所 長<br />

新 職 氏 名 現 職<br />

中 坪 克 行<br />

6/30 辞 職 : 電 子 航 法 研 究 所<br />

理 事<br />

電 子 航 法 研 究 所 理 事 台 木 一 成 航 空 局 管 制 保 安 部 運 用 課 長<br />

電 子 航 法 研 究 所 航 空 交 通 管 理 領 域<br />

副 領 域 長<br />

電 子 航 法 研 究 所 機 上 等 技 術 領 域<br />

副 領 域 長<br />

電 子 航 法 研 究 所 航 空 交 通 管 理 領 域<br />

主 任 研 究 員<br />

電 子 航 法 研 究 所 機 上 等 技 術 領 域<br />

主 任 研 究 員 / 研 究 企 画 統 括 付 併 任<br />

福 田<br />

豊<br />

小 瀬 木 滋<br />

伊 藤 恵 理<br />

大 津 山 卓 哉<br />

電 子 航 法 研 究 所 航 空 交 通 管 理<br />

領 域 上 席 研 究 員<br />

電 子 航 法 研 究 所 機 上 等 技 術 領<br />

域 上 席 研 究 員<br />

電 子 航 法 研 究 所 航 空 交 通 管 理<br />

領 域 主 任 研 究 員 / 研 究 企 画 統<br />

括 付 併 任<br />

電 子 航 法 研 究 所 機 上 等 技 術 領<br />

域 主 任 研 究 員<br />

<br />

電 子 航 法 研 究 所 では、 今 般 の B787 関 西 国 際 空 港 飛 来<br />

を 機 に、 関 西 国 際 空 港 において B787 型 大 型 旅 客 機 によ<br />

る GBAS 実 験 を 行 っていくこととなりましたのでお 知 ら<br />

せします。<br />

1.GBAS について<br />

電 子 航 法 研 究 所 では、 現 在 の ILS ( 計 器 着 陸 装 置 )に 代<br />

わる GPS 衛 星 を 用 いた 次 世 代 着 陸 誘 導 システム GBAS<br />

(Ground-Based Augmentation System: 地 上 型 衛 星 航 法<br />

補 強 システム)の 研 究 ( 図 1 及 び 図 2 参 照 )を 進 めており、 国<br />

土 交 通 省 と 連 携 して 国 際 基 準 策 定 活 動 等 に 参 画 しています。<br />

GBAS は、1 式 の 地 上 装 置 で 空 港 の 全 滑 走 路 の 進 入 経 路 に<br />

対 応 できること、 将 来 的 には 自 動 着 陸 に 対 応 する 精 密 進 入<br />

を 実 現 する 能 力 や、 曲 線 進 入 など 柔 軟 な 飛 行 経 路 の 設 定 によ<br />

り、 新 しい 運 航 方 式 を 実 現 する 能 力 を 持 っており、 運 航 効 率<br />

の 改 善 や 騒 音 軽 減 による 地 球 環 境 保 全 への 貢 献 が 期 待 され<br />

る 等 のメリットがあり、 世 界 的 にも 研 究 が 進 められています。<br />

今 般 、わが 国 に 飛 来 した B787 は 最 新 の 装 備 を 誇 り、こ<br />

の GBAS に 対 応 した 機 上 装 置 を 標 準 搭 載 しています。<br />

2. 関 西 国 際 空 港 における B787 による GBAS 実 験 の<br />

開 始 について<br />

当 研 究 所 では、 平 成 22 年 11 月 、 関 西 国 際 空 港 に 当 研<br />

究 所 開 発 の GBAS プロトタイプ 実 験 装 置 を 設 置 し、これ<br />

まで 当 研 究 所 の 小 型 実 験 機 等 により 評 価 を 行 ってきました。<br />

そして、7 月 6 日 B787 が 関 西 国 際 空 港 に 飛 来 する 際 に、<br />

初 めて 大 型 旅 客 機 により GBAS プロトタイプ 実 験 装 置 の<br />

評 価 を、ボーイング㈱ 殿 及 び 全 日 本 空 輸 ㈱ 殿 等 のご 協 力 の<br />

もと 実 施 致 しました。B787 による GBAS プロトタイプ<br />

実 験 装 置 の 評 価 は、 装 置 が 評 価 用 で 正 式 な 運 航 に 使 用 でき<br />

るものでないので、 有 視 界 飛 行 方 式 (VFR:Visual Flight<br />

Rules)により 飛 行 しました。パイロットは、 飛 行 中 、 計<br />

器 飛 行 方 式 (IFR:Instrument Flight Rules)キャンセル<br />

のリクエストを 行 い、 神 戸 空 港 から 南 方 上 空 の MAYAH<br />

というウェイポイントで VFR に 切 り 替 えて、IFR 進 入 の<br />

エアホンコン、ANA、フェデックスの 航 空 機 を 先 に 通 し、<br />

北 から 陸 側 の A 滑 走 路 (24L)へ 進 入 しました( 図 3 及<br />

び 図 4 参 照 )。 展 望 ホール 等 、 関 空 に 集 まったギャラリー<br />

は 300 人 と 聞 いています。<br />

実 験 は、GBAS プロトタイプ 実 験 装 置 から 送 信 された<br />

メッセージを 航 空 機 側 で 受 信 し、 操 縦 席 の 前 面 のパネルに<br />

あるプライマリー・フライト・ディスプレイ(Primary<br />

Flight Display) 上 に、GLS (GNSS Landing System)<br />

に 関 する 表 示 をさせることに 成 功 しました。B787 のパイ<br />

ロットからは、「GLS のパスは ILS と 同 様 で 違 和 感 なく、<br />

非 常 に 安 定 しており、 進 入 角 指 示 灯 (PAPI)とも 整 合 し<br />

ていた。」との 評 価 を 頂 きました。<br />

今 後 は、B787 のローンチカスタマーである 全 日 本 空 輸<br />

㈱ 殿 及 び 関 西 国 際 空 港 ㈱ 殿 と 連 携 協 力 し、 航 空 会 社 へ 納 入<br />

後 の B787 の 機 体 としては 世 界 初 となる GBAS の 性 能 検<br />

証 を 引 き 続 き 行 っていく 予 定 です。また、 今 後 、B787 の<br />

導 入 を 予 定 している 日 本 航 空 ㈱ 殿 とも、 同 様 の 取 組 みを 進<br />

めてまいる 予 定 です。<br />

当 研 究 所 としては、 将<br />

来 のGBASの 実 用 化 の 可<br />

能 性 も 視 野 に 入 れつつ、<br />

この 研 究 開 発 を 更 に 発 展<br />

させてまいる 所 存 です。<br />

図 3 B787の 関 空 24Lへのアプローチ<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

<br />

図 1 GBAS プロトタイプ 実 験 装 置<br />

図 2 GBAS 装 置 の 構 成<br />

図 4 関 空 着 陸 後 の B787


本 号 では、 電 子 航 法 研 究 所 が 主 催 、 または 参 加 した 国 際 会 議 等 の 報 告 から、 電 子 航 法 研 究 所 の 研 究 活 動 を 紹 介 いたします。<br />

RTCA SC-186 WG4/EUROCAE WG-51 SG-3 会 議 参 加 報 告<br />

4 月 11 日 から 15 日 にワシントン DC の RTCA 本 部 で 行 われ<br />

た RTCA と EUROCAE の 合 同 委 員 会 による ASA MOPS 改 定 の<br />

ための 委 員 会 に 出 席 しました。この 委 員 会 では 機 上 監 視 を 用 いた<br />

新 しい 運 航 方 式 に 必 要 な 機 器 の 基 準 についての 改 定 作 業 を 行 って<br />

います。 今 年 中 の 改 定 を 目 指 しているため、ほぼ 2 か 月 おきの<br />

会 議 開 催 およびその 間 に 複 数 回 の 電 話 会 議 と 非 常 に 活 発 に 活 動 を<br />

行 っています。<br />

この 会 議 には FAA や EUROCONTROL をはじめとしてボーイ<br />

ング、エアバスなどの 航 空 製 造 メーカ、コリンズ,ハネウェルと<br />

いった 機 器 製 造 メーカなどの 幅 広 い 人 たちが 参 加 しています。 取<br />

り 扱 う 運 航 方 式 も 空 港 面 から 洋 上 まで 比 較 的 近 い 将 来 に 導 入 が 検<br />

討 されているすべての 機 上 監 視 応 用 方 式 を 扱 っています。もちろ<br />

ん 実 際 に 搭 載 される 機 材 は、それぞれの 運 航 方 式 毎 に 別 々の 機 材<br />

を 使 うのではなくすべての 方 式 を 一 つの 機 材 ・ 基 準 で 扱 うため、<br />

最 低 限 必 要 な 機 能 をさまざまな 観 点 から 検 証 しています。<br />

電 子 航 法 研 では 平 成 19 年 度 より「 航 空 機 の 安 全 運 航 支 援 に 関<br />

する 研 究 」として 拡 張 スキッタを 使 用 した TIS-B システムの 開 発<br />

に 取 り 組 んできました。 電 子 研 の 開 発 したシステムはさまざまな<br />

実 験 を 行 うために 要 素 毎 に 分 割 して 実 行 および 評 価 ができるよう<br />

になっています。 今 回 の 会 議 ではこのシステムの 紹 介 を 行 うとと<br />

もに、 昨 年 行 った 実 証 実 験 とそこで 得 られたシステム 性 能 につい<br />

て 報 告 しました。<br />

機 上 監 視 を 用 いて 効 率 的 で 安 全 な 航 空 機 間 隔 を 維 持 するには、<br />

ICAO では、アジア 太 平 洋 地 域 での 衛 星 航 法 の 航 空 利 用 がそれ<br />

ほど 進 んでいないという 懸 念 があり、 電 離 圏 問 題 は 衛 星 航 法 導 入<br />

の 障 害 の 一 つであることが 認 識 されています。<br />

本 会 議 は、2010 年 7 月 に 行 わ れ た APANPIRG CNS/MET<br />

SG-14(アジア 太 平 洋 地 域 航 空 計 画 実 施 グループ 第 14 回 通 信 ・<br />

航 法 ・ 監 視 及 び 気 象 サブグループ) 会 議 及 び 2010 年 9 月 に 行 わ<br />

れた APANPIRG-21 会 議 において 日 本 から 提 案 して 合 意 された、<br />

電 離 圏 データ 収 集 ・ 共 有 活 動 を 推 進 するためのフォローアップと<br />

して 開 催 されたものでした。<br />

この 活 動 の 最 終 目 標 は、アジア 太 平 洋 地 域 での 共 通 電 離 圏 脅 威<br />

モデルを 構 築 することで、 本 会 議 では GNSS 利 用 と 電 離 圏 異 常 と<br />

の 関 係 について 理 解 を 深 め、データ 収 集 ・ 解 析 ・ 共 有 の 方 法 につ<br />

いて 具 体 的 な 検 討 を 始 めることを 目 的 として 開 催 されております。<br />

会 議 では、4 件 の 解 説 講 演 ( 豪 州 、インドから 各 1 件 、 日 本 か<br />

ら 2 件 )と、 一 部 の 電 離 圏 観 測 活 動 を 開 始 している 参 加 者 からの<br />

現 状 報 告 、 今 後 の 進 め 方 などについての 議 論 が 行 われました。<br />

電 子 航 法 研 究 所 では、 昨 年 7 月 のAPANPIRG CNS/MET<br />

SG-14 会 議 において、 航 空 局 を 通 して 電 離 圏 データ 収 集 ・ 共 有<br />

活 動 を 推 進 すべきとのワーキングペーパーを 提 出 し、その 結 果 、<br />

日 本 が 技 術 的 リーダーシップを 取 るように 要 請 されたことから、<br />

ICAO アジア 太 平 洋 地 域 本 部 と 協 力 して 本 会 議 の 開 催 を 企 画 推 進<br />

してまいりました。<br />

ICAO アジア 太 平 洋 地 域 本 部 とは、 事 前 に 協 議 を 行 い、 会 議 の<br />

議 事 次 第 の 提 案 、 解 説 講 演 者 の 推 薦 を 行 い、また、この 経 緯 から、<br />

本 会 議 では 齋 藤 が 議 長 を 務 めました。<br />

会 議 においては、 議 長 を 務 める 他 、GBAS に 対 する 電 離 圏 の 影<br />

響 と 対 策 について 解 説 講 演 を 行 いました。また 電 離 圏 データ 収 集 ・<br />

共 有 を 進 めるために 必 要 な、 観 測 方 法 、 解 析 方 法 、データフォー<br />

マットなどの 共 通 化 に 向 けたたたき 台 となるものを 提 示 し、 会 議<br />

ではこれを 基 に 活 発 な 議 論 が 行 われました。<br />

本 会 議 では、 今 後 も ICAO の 国 際 機 関 及 び 各 国 に 対 する 調 整 の<br />

もと、 電 離 圏 データ 収 集 ・ 共 有 活 動 を 進 めていくことで 合 意 がな<br />

され、 具 体 的 な 方 針 もいくつか 示 されました。<br />

また、 今 後 の 活 動 を 継 続 的 に 行 うため、APANPIRG CNS/<br />

機 上 等 技 術 領 域 主 任 研 究 員 大 津 山 卓 哉<br />

監 視 によって 得 られる 情 報 の 精 度 だけでなく、 得 られた 情 報 の 鮮<br />

度 も 重 要 となります。そのため、 機 上 監 視 に 用 いられる 要 素 それ<br />

ぞれにシステムの 遅 延 時 間 が 想 定 されています。 電 子 研 が 開 発 し<br />

た TIS-B システムは 要 素 毎 に 遅 延 時 間 を 測 定 できるため、これま<br />

で 机 上 検 討 で 想 定 していたシステム 遅 延 時 間 が 実 行 可 能 であるこ<br />

とを 示 す 証 拠 の 一 つとなりました。<br />

当 研 究 所 が 飛 行 実 験 で 実 測 した TIS-B システム 遅 延 時 間 。200 ミ<br />

リ 秒 以 内 での 交 通 情 報 の 送 受 信 が 可 能 であり、システム 遅 延 時 間 の<br />

定 義 (500 ミリ 秒 以 内 )が 実 現 可 能 であることを 明 らかにしました。<br />

Workshop on ionospheric data collection, analysis and sharing to support GNSS implementation<br />

( 衛 星 航 法 利 用 のための 電 離 圏 データ 収 集 ・ 解 析 ・ 共 有 に 関 するワークショップ)<br />

通 信 ・ 航 法 ・ 監 視 領 域 主 任 研 究 員 齋 藤 享<br />

MET SG において 電 離 圏 データ 収 集 ・ 共 有 のためのタスクフォー<br />

ス (TF) の 形 成 を 提 案 することとなり、TF の 形 成 が 認 められた 場<br />

合 、 電 子 航 法 研 究 所 が 中 心 となって 活 動 を 進 めていくこととなり<br />

ます。なお、 第 1 回 TF 会 議 については 日 本 で 行 いたいと 提 案 し<br />

歓 迎 されました。<br />

並 行 して、 各 国 で 利 用 可 能 なデータの 種 類 、 観 測 点 の 位 置 情 報 、<br />

共 有 可 能 なレベルなどを 調 査 し、ICAO で 取 りまとめることとな<br />

り、 必 要 な 記 入 テンプレートを 日 本 (<strong>ENRI</strong>) で 用 意 することとな<br />

りました。その 結 果 、 当 該 テンプレートは ICAO アジア 太 平 洋 地<br />

域 本 部 からステートレターとして 各 国 に 送 付 されています。<br />

本 会 議 の 内 容 は、 本 年 7 月 25 ~ 29 日 にタイ・バンコクで 行<br />

われる 第 15 回 APANPIRG CNS/MET SG 会 議 で 報 告 、 検 討 さ<br />

れる 予 定 です。<br />

最 後 に、 本 会 議 の 内 容 は、 本 年 6 月 に 豪 州 で 開 催 されたアジア<br />

太 平 洋 経 済 協 力 (APEC) 衛 星 航 法 実 施 チーム (GIT) 会 議 において<br />

も ICAO から 報 告 され、 豪 州 、 米 国 などから 賛 成 と 協 力 の 意 思 表<br />

明 があったそうです。<br />

ICAO NSP WGW/CSG/GSSG/WG2<br />

( 国 際 民 間 航 空 機 関 航 法 システムパネル 総 括 ワーキンググループ・カテゴリーⅡ/Ⅲサブグループ、 衛 星 航 法 サブグループ、ワーキングループ 2)<br />

本 会 議 は、ICAO 航 法 システムパネル(NSP)のもとで 技 術 的<br />

側 面 を 検 討 するために 半 年 毎 に 開 催 されるものです。 会 議 は、い<br />

くつかの 作 業 部 会 、サブグループが 構 成 されており、カテゴリー<br />

II/III サブグループ(CSG)では、これまで GPS/L1 を 使 用 した<br />

GBAS CAT-III の SARPs 案 の 作 成 を 行 ってきています。2010 年<br />

5 月 の CSG 会 議 では 技 術 標 準 案 が 固 められ、 現 在 は 技 術 標 準 案<br />

の 運 用 面 からの 検 証 が 中 心 的 な 課 題 となっております。 衛 星 航 法<br />

サブグループ (GSSG) では、 衛 星 航 法 全 般 と SBAS に 関 連 する 事<br />

項 が 検 討 されており、2006 年 に 衛 星 航 法 に 対 する 電 離 圏 の 影 響<br />

をまとめた 文 書 (IONO ペーパー)の 改 訂 作 業 が 主 要 な 議 題 とな<br />

りました。また、WG2 においては GNSS の 航 空 利 用 のためのマ<br />

ニュアル (GNSS マニュアル ) の 改 訂 が 主 な 議 題 の 一 つでありま<br />

した。 最 終 的 に、これら 及 びその 他 のサブグループでの 検 討 事 項<br />

は 総 括 ワーキンググループ(WGW)にて 取 りまとめられ、 議 論<br />

されております。<br />

電 子 航 法 研 究 所 では、CAT-I GBAS プロトタイプ 開 発 における<br />

電 離 圏 脅 威 モデルの 構 築 と 軽 減 策 の 知 見 を 基 に GAST-D SARPs<br />

案 における 電 離 圏 脅 威 モデル 構 築 と 軽 減 策 の 実 現 性 検 証 作 業 に 積<br />

極 的 に 参 加 してまいりました。 今 回 の 会 議 では、CSG において<br />

日 本 の GBAS 開 発 状 況 のステータスレポートを 発 表 するとともに、<br />

ICAO ASP 第 10 回 WG 会 議 に 参 加 して<br />

国 際 民 間 航 空 機 関 (ICAO: International Civil Aviation<br />

Organization) の 航 空 監 視 パ ネ ル(ASP: Aeronautical<br />

Surveillance Panel) の 第 10 回 作 業 部 会 (WG: Working<br />

Group)が 開 催 されたので、その 動 向 を 報 告 します。ICAO とは、<br />

航 空 に 関 する 国 際 ルールを 制 定 する 機 関 です。ASP とは、 航 空 機<br />

監 視 システムに 関 する 国 際 標 準 等 の 技 術 的 な 規 定 を 取 りまとめる<br />

パネルです。そして WG とは、 取 りまとめに 際 して 実 質 的 な 審 議<br />

が 行 われる 会 議 です。WG は 1 年 に 2 回 の 頻 度 で 開 催 され、 開 催<br />

場 所 は ICAO 本 部 があるモントリオールの 他 、 各 国 が 持 ち 回 りで<br />

開 催 します。 今 回 の 第 11 回 会 議 は 4 月 11 日 から 15 日 にかけて、<br />

仏 国 の 主 催 によりトゥールーズ 市 にて 開 催 されました。 参 加 国 は、<br />

フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、ブラジル、サウジアラビア、<br />

オーストラリア、インド、 中 国 、 日 本 であり、 各 国 の 航 空 当 局 関 係<br />

者 の 他 、 研 究 機 関 や 製 造 業 者 などから 20 名 程 の 参 加 がありました。<br />

まず 初 めに、 航 空 機 監 視 システムとはどのようなものでしょう<br />

か? 航 空 機 は 航 空 管 制 官 に 誘 導 されて 飛 行 します。その 際 に 航 空<br />

管 制 官 は、 航 空 機 の 位 置 を 知 る 必 要 があります。 航 空 機 監 視 シ<br />

ステムとは、 航 空 機 の 位 置 を 検 出 して、その 位 置 情 報 を 航 空 管<br />

制 官 に 提 供 するシステムです。 現 在 は 二 次 監 視 レーダー(SSR:<br />

Secondary Surveillance Radar)が 主 要 な 航 空 機 監 視 システム<br />

として 利 用 されています。<br />

それでは 何 故 、 航 空 に 関 して 国 際 ルールが 必 要 なのでしょう<br />

か?それは、 皆 が 好 き 勝 手 に 航 空 機 を 作 り、 好 き 勝 手 に 飛 ばした<br />

のでは 様 々な 不 都 合 が 生 じるからです。 航 空 機 監 視 システムで 例<br />

を 挙 げましょう。 上 述 した SSR は、 地 上 に 設 置 される 質 問 装 置<br />

と 航 空 機 に 搭 載 される 応 答 装 置 から 構 成 されます。もし 各 国 が 独<br />

自 の 規 格 で 装 置 を 製 作 してしまうと、 例 えば 海 外 の 航 空 機 が 日 本<br />

に 来 た 場 合 に、 日 本 の 質 問 装 置 と 海 外 の 応 答 装 置 が 整 合 しないこ<br />

とから、 日 本 の 航 空 管 制 官 が 海 外 の 航 空 機 を 誘 導 出 来 なくなる 恐<br />

れが 出 てしまいます。このように、 航 空 機 がどの 国 に 行 った 場 合<br />

でも 飛 行 の 安 全 性 に 不 都 合 が 生 じないように、ASP では 航 空 機 監<br />

視 システムの 技 術 的 な 規 定 類 の 策 定 を 進 めています。<br />

現 在 の ASP のトピックは、 新 しい 航 空 機 監 視 システム(ADS-B:<br />

Automatic Dependent Surveillance-Broadcast) に 関 す る 技<br />

術 的 規 定 案 の 取 りまとめです。この ADS-B は SSR と 比 較 して、<br />

航 空 管 制 官 に 対 して 高 性 能 な 監 視 情 報 を 提 供 できます。さらには、<br />

航 空 機 のパイロットに 対 しても、 自 機 ならびに 周 囲 を 飛 行 する 航<br />

空 機 の 位 置 をカーナビの 感 覚 で 提 供 できる 優 れたシステムです。<br />

今 回 の WG では、この ADS-B に 関 する 最 新 の 国 際 標 準 案 が 取 り<br />

まとめられました。 一 方 、 現 用 の 航 空 機 監 視 システムである SSR<br />

に 関 しても、 既 存 の 国 際 標 準 への 改 定 案 が 取 りまとめられました。<br />

実 際 に 運 用 を 進 めてみると 現 用 の 規 定 に 不 都 合 が 確 認 されること<br />

通 信 ・ 航 法 ・ 監 視 領 域 主 任 研 究 員 齋 藤 享<br />

通 信 ・ 航 法 ・ 監 視 領 域 主 任 研 究 員 吉 原 貴 之<br />

本 年 5 月 にバンコクで 開 催 された 電 離 圏 データ 収 集 ・ 共 有 に 関 す<br />

るワークショップについての 報 告 と 今 後 の 取 り 組 みについての 発<br />

表 を 行 っております。また、 米 国 が 中 心 となってまとめられた 電<br />

離 圏 データ 収 集 ・ 共 有 の 全 世 界 的 な 協 調 に 関 するワーキングペー<br />

パーにも、 電 話 会 議 に 何 回 も 参 加 するなどして 貢 献 してまいりま<br />

した。さらに、IONO ペーパーや GNSS マニュアルの 改 訂 に 関 し<br />

ても、 日 本 の 事 情 を 反 映 させるべく 積 極 的 に 貢 献 してきました。<br />

今 回 の 会 議 では、IONO ペーパーの 改 訂 について 議 論 されてお<br />

り、これらは 以 前 から 進 められている 電 離 圏 データ 収 集 ・ 共 有 に<br />

関 する ICAO NSP CSG のアドホックグループで 継 続 議 論 されて<br />

いくこととなりました。 特 に 磁 気 低 緯 度 電 離 圏 の GBAS に 対 する<br />

影 響 についての 研 究 では 電 子 航 法 研 究 所 の 貢 献 が 期 待 されており、<br />

今 後 果 たすべき 役 割 は 非 常 に 大 きいものがあります。<br />

GNSS マニュアルの 改 訂 については 改 訂 案 が 大 筋 で 固 ま<br />

り、2012 年 11 月 に 開 催 さ れ る 第 12 回 Air Navigation<br />

Conference での 発 表 に 向 けて 文 書 を 整 えていくこととなりました。<br />

本 会 議 を 通 して、 今 年 度 から 始 まったカテゴリー III 着 陸 に 対 応<br />

した GBAS (GAST-D) に 関 する 研 究 を 進 める 上 で 貴 重 な 情 報 が 得<br />

られました。<br />

通 信 ・ 航 法 ・ 監 視 領 域<br />

宮 崎 裕 己<br />

が 多 々あり、 必 要 に 応 じて 実 状 に 適 した 改 訂 が 行 われます。 最 近<br />

では、SSR が 利 用 する 無 線 信 号 の 干 渉 を 防 止 することがトピック<br />

となっています。 近 年 の 航 空 需 要 の 増 大 に 伴 い SSR や 航 空 機 の<br />

数 が 増 加 しており、 信 号 干 渉 が 多 発 する 傾 向 にあります。 信 号 干<br />

渉 の 多 発 はシステムの 性 能 低 下 を 招 くことから、 無 線 環 境 を 改 善<br />

するための 規 定 案 の 取 りまとめが 課 題 となっています。<br />

当 研 究 所 からも WG において 報 告 を 行 っています。 一 つは、 成<br />

田 空 港 の 空 港 面 上 を 走 行 する 航 空 機 を 観 測 したところ、 幾 つかの<br />

航 空 機 の 応 答 装 置 が 異 常 な 動 作 をしていたので、その 調 査 結 果 を<br />

報 告 しました。 本 調 査 結 果 から 当 該 応 答 装 置 の 改 修 が 進 み、この<br />

問 題 が 解 決 に 至 りました。もう 一 つは、 新 システムの ADS-B が<br />

送 信 する 情 報 を 利 用 することで、 現 用 の SSR が 送 信 する 信 号 数<br />

が 減 少 可 能 となるアイデアを 実 験 結 果 に 基 づいて 報 告 しました。<br />

このように 当 研 究 所 は、 実 験 結 果 やアイデアを 提 供 して 国 際 標 準<br />

の 策 定 に 貢 献 しています。<br />

WG のような 国 際 会 議 の 良 いところは、 様 々な 参 加 国 のメンバー<br />

と 交 流 を 持 てることです。 審 議 の 間 は 真 剣 な 議 論 が 行 われる 一 方 、<br />

リフレッシュをするコーヒーブレイク 時 にはフレンドリーな 交 流<br />

が 進 みます。WG は 継 続 して 行 われるためメンバー 同 士 は 顔 見 知<br />

りであり、お 互 いの 近 況 や 仕 事 に 関 する 情 報 を 交 換 したりします。<br />

コーヒーブレイクの 時 に 得 た 情 報 が 後 の 仕 事 に 大 いに 役 に 立 つ 例<br />

が 多 く、これが 国 際 会 議 の 醍 醐 味 でもあります。<br />

さらには、 会 議 の 主 催 国 が 開 催 地 の 見 学 ツアーを 企 画 すること<br />

が 結 構 あります。 今 回 の WG が 開 催 されたトゥールーズ 市 にはエ<br />

アバス 社 の 本 社 があり、 仏 国 の 企 画 でエアバス 社 の 見 学 ツアーが<br />

開 催 されました。 本 ツアーでは、エアバス A380 航 空 機 の 組 み 立<br />

て 工 程 や 内 装 のモックアップを 見 学 することができました。このよ<br />

うな 貴 重 な 機 会 が 得 られることも、 国 際 会 議 の 楽 しいところです。<br />

エアバス 見 学 ツアー(A380 内 装 モックアップ)

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