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柱の軸力変動が懸造形式伝統木造寺院建築の 地震 ... - 日本地震工学会

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一 方 、CASE 1 では、 同 じくバイリニア 型 履 歴 復 元 力 特 性 を 仮 定 しているにもかかわらず、 図 8 や 図9 と 同 位 置 の 水 平 バネの 非 線 形 化 は 生 じていない。これは 柱 軸 力 の 変 動 により 摩 擦 力 が 変 動 することの影 響 を 考 慮 していないため、 柱 脚 水 平 バネの 耐 力 が 初 期 軸 力 に 依 存 したままであるためである。 図8(a)では 最 大 応 答 値 が 23kN で、 初 期 軸 力 による 摩 擦 力 35kN まで 達 しておらず、 非 線 形 化 していない。次 に 図 10 は CASE 2 の 図 9 と 同 じ 東 北 角 の 柱 脚 部 のバネの 時 刻 歴 応 答 変 位 である。CASE 2 では 2 秒付 近 で 柱 が 浮 き 上 がり、 柱 脚 水 平 バネの 復 元 力 も 0 となる 時 間 帯 に 変 位 が 急 増 している。これは、 図 6の 地 震 波 を 見 ると 最 大 加 速 度 による 加 振 が 終 了 した 頃 に 滑 っていることになる。 一 方 CASE 1 では 柱 脚水 平 バネの 非 線 形 化 は 生 じず、 変 位 は 小 さい。また、CASE 2 は 最 終 的 に 残 留 変 位 は 約 0.07cm あるのに対 し、CASE 1 の 柱 脚 部 では 残 留 変 位 はなく、 最 大 応 答 変 位 も CASE 2 の 1/10 以 下 である。しかし、CASE2 の 残 留 変 位 も 0.1cm 以 下 であり、 直 径 60cm 高 さ 3.8m の 柱 寸 法 と 比 較 すれば 十 分 小 さい。図 11 は 同 じ 東 北 角 の 時 刻 歴 応 答 軸 力 (+が 引 張 り、-が 圧 縮 )である。CASE 2 では 柱 が 浮 き 上 がり、応 力 負 担 が 0 になっているのに 対 し、CASE 1 では 引 張 方 向 に 軸 力 が 増 加 している。また、 圧 縮 方 向 では CASE 2 と CASE 1 の 差 は 僅 か 0.7%である。 構 造 全 体 の 柱 脚 部 の 軸 方 向 の 応 力 は、 圧 縮 方 向 で CASE 2は CASE 1 の 99.6%とほぼ 同 じである。 若 干 CASE 2 で 軸 力 の 減 少 があるのは、CASE 1 は 本 来 柱 が 浮 き上 がる 引 張 り 方 向 の 軸 力 を 超 えても、 引 張 りの 軸 力 を 負 担 し 続 けるため、 他 の 柱 に 圧 縮 方 向 の 軸 力 が生 じたと 考 えられる。しかし、その 差 はわずか 0.6%で 小 さい。また、 引 張 方 向 の 構 造 全 体 の 柱 脚 部 の軸 力 は CASE 2 が CASE 1 の 84%のである。CASE 2 の 柱 脚 の 浮 き 上 がりが 生 じた 位 置 では、CASE 2 の 軸力 は CASE 1 の 0.01% 程 度 と 小 さい。しかし、 浮 き 上 がった 柱 が 着 地 してからの 応 答 は、 着 地 直 後 をのぞいて CASE 1 も CASE 2 もほぼ 同 じである。また CASE 2 の 軸 力 は 最 大 で 約 300kN( 応 力 度 470kPa)で、長 期 許 容 圧 縮 軸 力 ( 応 力 度 6.9MPa) 以 内 である。また CASE 2 の 応 答 せん 断 力 はベースシア 換 算 で 約1.1 となった。 柱 にかかるせん 断 力 は 最 大 で 約 850kN( 応 力 度 740kPa)で、 長 期 許 容 せん 断 力 ( 応 力 度980kPa) 以 内 である。CASE 1 と CASE 2 で 最 大 軸 力 はほぼ 同 程 度 だがせん 断 力 は 約 8% 増 加 している。また 横 架 材 の 最 大 応 答 軸 力 は CASE 1 で 約 770kN( 応 力 度 9.6MPa)、CASE 2 で 約 841kN( 応 力 度 10.5MPa)と CASE 2 は CASE 1 より 約 9% 増 加 している。また 両 方 向 とも 部 材 の 座 屈 ( 応 力 度 10.7MPa)は 生 じていないが、CASE 2 は 部 材 の 座 屈 が 生 じる 寸 前 である。これらより 柱 せん 断 力 及 び 横 架 材 の 軸 力 に 関 しては、 柱 の 軸 力 変 動 の 影 響 を 考 慮 しないと 1 割 程 度 危 険 側 の 評 価 になる。最 後 に、 図 13 が 柱 脚 に 浮 き 上 がりが 生 じた 位 置 を 表 したものである。CASE 2 のモデルに 想 定 花 折 <strong>地震</strong> 動 を 3 方 向 入 力 した 図 13(a)では、 建 築 物 の 端 に 近 い 柱 脚 で 浮 き 上 がりが 見 られる。これは、 均 等 スパンの 貫 構 造 が 半 剛 接 ラーメンとして 機 能 しているため、 外 柱 に 地 震 時 変 動 軸 力 の 影 響 が 現 れたことに 起 因 する。また、 特 に 建 築 物 の 東 端 と 西 端 で 浮 き 上 がりが 多 く 見 られる。この 原 因 は、 懸 造 構 造 のために 南 北 (Y) 方 向 を 構 成 する 構 面 全 てにおいて 柱 脚 高 さ 位 置 が 異 なるのに 対 し、 東 西 (X) 方 向 のほとんどは 同 一 構 面 において 高 さ 位 置 が 同 一 のためである。 南 北 (Y) 方 向 においては、 水 平 変 位 が 柱 脚 高 さ 位置 の 異 なる 部 分 の 横 架 材 の 軸 力 によって 拘 束 されるため、 柱 のせん 断 力 は 高 さが 近 い 柱 脚 に 直 接 伝 達されている。よって、 建 築 物 は 東 西 (X) 方 向 の 外 柱 の 軸 力 変 動 が 大 きくなると 考 えられる。さらに、 花折 地 震 動 は 断 層 が 南 北 に 走 っているため、 想 定 地 震 波 形 が 南 北 (Y) 方 向 で 最 大 929 cm/s 2 、 東 西 (X) 方 向で 最 大 1033 cm/s 2 と 東 西 (X) 方 向 の 方 が 加 速 度 は 大 きく、 当 該 建 物 の 固 有 周 期 における 応 答 スペクトル値 ( 図 12)が 大 きいことも 原 因 であると 推 測 される。また、 想 定 花 折 地 震 動 の 水 平 2 方 向 入 力 した 図 13(b)でも、3 方 向 入 力 とほぼ 同 じ 柱 脚 の 浮 き 上 がりが 生 じている。 浮 き 上 がりが 生 じた 柱 は、(a)(b)どちらもほぼ 同 じであり、4 本 の 柱 のみ 3 方 向 入 力 でしか 浮 き 上 がらない。これら 4 本 の 柱 も、 水 平 2 方 向 入 力 で、 軸 力 はほぼゼロ 近 くにまで 減 少 していた。 一 方 、 想 定 花 折 地 震 動 の 鉛 直 方 向 単 独 入 力 では、 鉛 直 成 分 の 最 大 加 速 度 が 404 cm/s 2 と 1G を 超 えないため、 柱 の 浮 き 上 がりは 生 じない。これらの 結 果 から、 柱 脚 部 の 鉛 直 バネに 及 ぼす 影 響 は、 鉛 直方 向 の 地 震 動 よりも 水 平 方 向 の 地 震 動 の 影 響 が 大 きいと 考 えられる。以 上 の 結 果 から、 柱 脚 部 の 挙 動 において 軸 力 変 動 の 影 響 は 大 きいと 言 える。ここで、 摩 擦 係 数 の 影 響 について 検 討 しておく。ここまでの 検 討 では 摩 擦 係 数 を 1.0 と 仮 定 したが、実 際 の 値 は 不 明 である。そこで、 摩 擦 係 数 を 変 えて 解 析 を 行 い、その 影 響 について 検 討 することにした。 図 14 は CASE 2 において 摩 擦 係 数 を 変 化 させて 検 討 したものである。 木 材 間 の 摩 擦 係 数 として 参考 文 献 13) より 0.5 と 仮 定 した 場 合 ( 図 14-a)と、 水 平 方 向 にすべらないと 仮 定 した 場 合 ( 図 14-b)の計 算 結 果 を 示 す。 図 13 とほぼ 同 じ 箇 所 で 浮 き 上 がりを 生 じており、 浮 き 上 がり 挙 動 に 及 ぼす 摩 擦 係 数の 値 の 影 響 は 小 さいことがわかる。- -

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