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柱の軸力変動が懸造形式伝統木造寺院建築の 地震 ... - 日本地震工学会

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日 本 地 震 工 学 会 論 文 集 第 7 巻 、 第 1 号 、2007柱 の 軸 力 変 動 が 懸 造 形 式 伝 統 木 造 寺 院 建 築 の地 震 応 答 に 及 ぼす 影 響森 悠 介1) 、 鈴 木 隆 志2) 、 伊 津 野 和 行3) 、 土 岐 憲 三1) 非 会 員 立 命 館 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科e-mail : rd010016@se.ritsumei.ac.jp2) 非 会 員 鹿 島 建 設 ( 立 命 館 大 学 COE 客 員 研 究 員 ) 工 修e-mail : tsv23034@se.ritsumei.ac.jp3) 正 会 員 立 命 館 大 学 理 工 学 部 都 市 システム 工 学 科 、 教 授 工 博e-mail : izuno@se.ritsumei.ac.jp4) 正 会 員 立 命 館 大 学 理 工 学 部 都 市 システム 工 学 科 、 教 授 工 博e-mail : toki-k@se.ritsumei.ac.jp4)要 約本 研 究 では、 柱 脚 の 軸 力 変 動 が 木 造 建 築 物 全 体 の 耐 震 性 能 に 及 ぼす 影 響 を 検 討 した。柱 が 浮 き 上 がることをも 考 慮 した 柱 脚 鉛 直 バネと、 摩 擦 による 柱 脚 水 平 バネとを 連 成 させた 解 析 モデルを 作 成 し 地 震 応 答 解 析 を 行 った。 入 力 地 震 波 は 想 定 花 折 地 震 動 である。柱 脚 の 浮 き 上 がり 柱 脚 部 の 水 平 方 向 変 位 に 対 する 抵 抗 がなくなることを 考 慮 したシミュレーションを 行 った。その 結 果 、 柱 頭 の 最 大 応 答 変 位 に 柱 の 軸 力 変 動 が 与 える 影 響 は小 さいが、 柱 の 軸 力 変 動 を 考 慮 することにより 柱 脚 の 残 留 変 位 、 柱 のせん 断 力 及 び 横 架材 の 軸 力 の 増 加 が 生 じることがわかった。キーワード: 伝 統 木 造 寺 院 建 築 、 軸 力 変 動 、 非 線 形 地 震 応 答 解 析 、 懸 造 、 連 成 バネ1. 研 究 目 的我 が 国 は、 地 震 が 多 発 する 国 であるため、 建 築 物 の 地 震 対 策 が 必 要 不 可 欠 である。 伝 統 木 造 建 築 物の 耐 震 性 能 評 価 に 関 する 研 究 は、 古 くは 昭 和 9 年 頃 に 始 まり、 近 年 盛 んに 行 われている例 えば 1)~3) 。 近 年の 研 究 で 貫 、 柱 、 土 壁 、 組 物 といった 各 要 素 の 耐 震 性 能 は 明 らかになってきているが、 懸 造 ( 懸 崖 造 )形 式 の 伝 統 木 造 建 築 物 において、これらが 組 み 合 わさった 架 構 全 体 の 地 震 応 答 は 複 雑 になることが 予想 される。著 者 らはこれまで、 構 造 調 査 ・ 劣 化 調 査 ・ 常 時 微 動 測 定 とともに、3 次 元 骨 組 み 要 素 を 用 いた 非 線 形地 震 応 答 解 析 を 実 施 してきた 4)~6) 。 一 連 の 研 究 では、JMA 神 戸 波 形 を 最 大 加 速 度 1000cm/s 2 にして 入 力した 場 合 には、 一 部 で 最 大 変 形 角 が 安 全 限 界 角 1/30 を 超 えるものの、サイト 波 として 本 論 文 でも 後 述する 想 定 花 折 断 層 波 を 用 いた 場 合 には、1/50 程 度 にとどまるという 結 果 が 得 られた。これまでの 検 討 では、 構 造 物 全 体 系 の 総 合 的 な 耐 震 性 能 を 把 握 することに 努 めてきたこともあり、基 部 における 摩 擦 力 は 自 重 から 算 定 した 一 定 値 を 用 いてきた。しかし、 構 造 物 各 部 のより 詳 細 な 挙 動を 把 握 するためには、 柱 の 軸 力 変 動 を 考 慮 した 摩 擦 力 の 設 定 を 行 い、その 影 響 を 評 価 しておく 必 要 があると 考 えた。 特 に 清 水 寺 は 屋 根 が 桧 皮 葺 で 自 重 が 軽 いため、 大 地 震 時 には 柱 が 浮 き 上 がる 可 能 性 も考 えられる。また、 浮 き 上 がらないまでも 柱 の 軸 力 は 変 動 し、 基 部 の 摩 擦 力 に 影 響 を 与 えることが 考えられる。- -


裳 階貫虹 梁地 貫 貫本 宇カエル 股組 物桁懸 造貫図 2 各 部 名 称7)楽 舎表 1 各 部 における 柱 、 貫 、 桁 、 土 小 壁 の 断 面 寸 法部 材断 面 寸 法 【mm】懸 造 柱550~700φ本 宇 柱550φ楽 舎 柱 、 礼 堂 廊 下 柱 400×400裳 階 、 車 寄 柱450φ舞 台 床 桁B×D=300×550本 宇 X 方 向 X10 通 り 桁 B×D=300×500本 宇 X 方 向 X8,9,11,12 通 り 桁 B×D=300×450礼 堂 上 部 X 方 向 X6,7 通 り 桁 B×D=400×350本 宇 Y 方 向 山 形 部 桁B×D=400×400本 宇 Y 方 向 礼 堂 上 部 X6~8 間 桁 B×D=300×450Y 方 向 X9~11 間 須 弥 壇 上 部 虹 梁 B×D=400×550その 他 Y 方 向 桁B×D=300×400懸 造 貫B×D=200×400本 宇 貫B×D=200×450裳 階 、 楽 舎 、 車 寄 貫B×D=200×350土 小 壁 t=1005)3.モデル 化 の 概 要3-1. 概 要モデル 化 にあたっては、 接 合 部 及 び 土 小 壁 に 非 線 形 性 を 考 慮 し、ケヤキである 柱 、 貫 、 桁 は 弾 性 部材 とした。 参 考 文 献 9 ) よりケヤキのヤング 係 数 を E=8800N/mm 2 , 及 びせん 断 弾 性 係 数 を G=590N/mm 2 と 仮 定 した。 安 全 側 の 仮 定 として、 水 平 構 面 は、 剛 性 、 耐 力 とも 無 視 し、 重 量 のみ 考 慮 した。水 平 構 面 の 剛 性 と 耐 力 を 無 視 したことの 影 響 は、 今 後 検 討 していく 予 定 である。 振 動 解 析 モデルとしては、 既 出 の 論 文 6)に 示 すものを 用 いた。 各 要 素 の 各 要 素 の 力 学 特 性 としては、なるべく 一 般 的 なものを 用 いることとした。 非 線 形 モデル 等 については 論 文 6)と 同 じものは 説 明 を 割 愛 し、ここでは、 仮定 の 異 なる 柱 脚 基 部 のモデルについて 詳 述 する。清 水 寺 は 屋 根 が 桧 皮 葺 で 自 重 が 軽 いため、 大 地 震 時 には 柱 が 浮 き 上 がる 可 能 性 も 考 えられる。また、浮 き 上 がらないまでも 柱 の 軸 力 は 変 動 し、 基 部 の 摩 擦 力 に 影 響 を 与 えることが 考 えられる。そのため、図 3 のような 柱 脚 部 の 非 線 形 要 素 の 設 定 が 異 なる CASE 1 と CASE 2 の 2 種 類 のモデルを 用 いた。CASE 1は 軸 力 変 動 の 影 響 を 考 えないモデル、CASE 2 は 軸 力 変 動 の 影 響 を 考 慮 したモデルである。 以 下 、 各 モデルの 詳 細 について 述 べる。回 転 バネ柱鉛 直 バネ柱回 転 バネ水 平 バネ水 平 バネ(a) CASE 1(b) CASE 2図 3 柱 脚 部 の 非 線 形 要 素 の 設 定3-2.CASE 1、CASE 2 の 共 通 の 設 定柱 脚 には 柱 傾 斜 復 元 力 特 性 を 有 する 非 線 形 弾 性 回 転 バネを 設 定 した。柱 脚 接 合 部 に 設 定 した 水 平 バネは 摩 擦 による 剛 塑 性 の 骨 格 曲 線 を 有 するバイリニア 型 バネである。- -


礎 石 の 天 端 は 平 滑 ではなく、さらに 経 年 により 木 と 礎 石 がなじむことにより、 滑 りにくいと 考 えられるため、 石 - 木 材 間 の 静 止 摩 擦 係 数 は 1.0 と 仮 定 した。なお、 摩 擦 係 数 を 1.0 と 仮 定 することの 影 響については 5 章 で 後 述 する。柱 貫 接 合 部 に 設 定 した 回 転 バネの 剛 性 、 耐 力 は、 稲 山 の 通 し 貫 接 合 部 の 回 転 剛 性 Kr と 降 伏 モーメント My の 算 定 式 10) を 基 に、 柱 内 部 に 略 鎌 継 手 が 存 在 することを 考 慮 して 仮 定 した。 略 鎌 継 手 が 開 く 方 向で 50%、 閉 じる 方 向 で 80%の 耐 力 となるという 報 告12) を 参 考 に、 用 いたソフトウェアの 制 限 から 両 方 向に 同 じ 値 として、 柱 貫 接 合 部 の 回 転 性 能 を 通 し 貫 の 場 合 の 50%と 仮 定 した。組 物 に 設 定 した 回 転 バネの 剛 性 、 耐 力 は、 柱 頭 が 斗 にめり 込 むことによる 非 線 形 性 を、 稲 山 の 三 角めり 込 み 式 10) によりスリップバイリニア 型 として 算 定 した。 組 物 を 置 換 したせん 断 バネの 剛 性 、 耐 力は、 組 物 上 載 荷 重 による 摩 擦 とダボによるめり 込 みのせん 断 抵 抗 を 考 慮 して 仮 定 した。土 小 壁 の 復 元 力 特 性 は、 文 化 庁 文 化 財 部 「 重 要 文 化 財 ( 建 造 物 ) 耐 震 診 断 指 針11) 」を 参 考 に、 等 価なブレースに 置 換 し、 第 一 折 点 をせん 断 変 形 角 1/150 で 応 力 59kN/m2、 第 二 折 点 はせん 断 変 形 角 1/60で 応 力 78 kN/m2とした。南 北 方 向 懸 造 柱 貫 接 合 部 においては、 柱 脚 高 さレベルの 違 いから 生 じる 貫 軸 力 によって 貫 の 柱 からの 抜 け 出 す 状 況 を、 摩 擦 による 節 点 水 平 バネとしてモデル 化 した。 節 点 水 平 力 が、 節 点 モーメントから 算 出 した 柱 外 縁 部 に 生 じる 圧 縮 力 による 摩 擦 力 を 上 回 ったとき 塑 性 化 する 水 平 バネを 設 定 した。このバネの 復 元 力 特 性 はスリップバイリニア 型 とする。代 表 的 な 非 線 形 バネの 値 を 表 2 に 示 す。これらの 値 は 既 往 の 研 究 12)-16) を 参 考 に、 実 測 した 柱 寸 法 から 算 出 した。質 量 に 関 しては、 柱 の 単 位 体 積 重 量 が 7.85kN/m 3 、 桧 皮 葺 屋 根 重 量 と 小 屋 組 み 重 量 の 合 計 が 0.713kN/m 2である。また、 地 震 時 の 積 載 荷 重 は 0.54kN/m 2 、 地 震 時 総 荷 重 は 約 9.4kN/m 2 として 分 布 荷 重 で 与 えた。表 2 代 表 的 な 非 線 形 バネの 値柱 貫 回 転 バネ( 懸 造 部 )柱 貫 回 転 バネ( 本 宇 部 )組 物 回 転 バネ( 本 宇 部 )柱 脚 回 転 バネ( 懸 造 部 )柱 脚 回 転 バネ( 本 宇 部 )柱 脚 回 転 バネ( 本 宇 懸 造 連 続 柱 )My【kNm】 θy104 0.0154 - -76 0.0174 - -27 0.029 - -M1【kNm】 θ1 M2【kNm】 θ226 0.0024 35 0.010718 0.0019 24 0.008629 0.0013 38 0.00613-3.CASE 1 の 設 定CASE 1 は 摩 擦 力 が 変 動 する 影 響 は 小 さいと 考 えたモデルで、 柱 脚 部 に 回 転 と 水 平 方 向 の 節 点 バネのみを 設 定 した。 回 転 バネが 柱 の 傾 斜 復 元 力 特 性 を 表 し、 水 平 バネが 柱 と 礎 石 との 摩 擦 特 性 を 表 す。 <strong>地震</strong> 応 答 中 、この CASE 1 では 一 定 の 摩 擦 力 が 働 く。3-4.CASE 2 の 設 定CASE 2 では 柱 脚 部 に 回 転 と 水 平 方 向 のバネに 加 え、 鉛 直 方 向 のバネを 設 定 した。 柱 脚 鉛 直 バネは 柱の 軸 力 変 動 を 考 慮 するために 設 定 した。 節 点 鉛 直 力 ( 引 張 方 向 )が 正 になった 時 に、 第 2 剛 性 に 移 動するものとする( 図 4)。なお、 圧 縮 方 向 は 常 に 弾 性 域 とするマルチリニアである。柱 脚 接 合 部 に 設 定 した 水 平 バネは CASE 1 との 違 いとして、 以 下 の 2 点 が 挙 げられる。1 時 々 刻 々の 柱 軸 力 と 連 動 して 水 平 摩 擦 力 が 変 動 する。2 柱 脚 鉛 直 バネが 引 張 り 方 向 に 非 線 形 化 すると、 柱 脚 水 平 バネは 復 元 力 0 で 変 位 が 増 加 する。また、 柱 の 軸 力 変 動 が 柱 脚 復 元 力 に 与 える 影 響 については、 用 いた 市 販 の 汎 用 ソフトウェアにおいて 軸 力 と 回 転 バネを 連 成 バネを 考 慮 できないため、 今 回 は 柱 脚 水 平 バネについてのみ 軸 力 変 動 の 影 響を 考 慮 した。- -


軸力引 張 方 向鉛 直 変 位圧 縮 方 向初 期 軸 力 Fy図 4 柱 脚 鉛 直 バネの 履 歴 特 性4. 数 値 解 析 方 法時 刻 歴 地 震 応 答 解 析 には、 市 販 の 汎 用 ソフトウェア CRC ソリューションズ 社 製 DYNA2E を 用 いた。 非線 形 立 体 解 析 モデルを 図 5 に 示 す。 節 点 数 は 3250、 部 材 数 は 2000 である。Newmark のβ 法 (β=1/4)による 数 値 積 分 法 を 用 い、 近 傍 のボーリング 調 査 より、 地 盤 が 比 較 的 固 いことから、 地 盤 面 は 固 定 とした。 積 分 時 間 刻 みは 0.002 秒 とし、 減 衰 定 数 は h=0.05 で 剛 性 比 例 型 減 衰 とした。ZXZY3m3mYXZXY図 5 非 線 形 立 体 解 析 モデル 図- -


入 力 地 震 波 はサイト 波 として 清 水 寺 本 堂 に 与 える 影 響 が 最 も 大 きいと 考 えられる、 花 折 断 層 を 震 源とする 清 水 寺 敷 地 内 における 想 定 花 折 地 震 動17) を 用 いた。 花 折 断 層 は、 京 都 盆 地 の 北 東 から 東 側 の 山麓 を 通 る 約 17km にわたる 活 断 層 であり、 南 北 方 向 の 走 行 を 持 つ 右 横 ずれ 断 層 である。この 断 層 が 動 いた 場 合 に 清 水 寺 で 予 測 される 波 形 が 求 められており、これを 想 定 花 折 地 震 動 と 呼 んでいる。建 物 の 応 答 解 析 では、 想 定 花 折 地 震 動 における 当 該 地 点 での 地 表 面 加 速 度 を 用 い、 建 物 X 方 向 ( 東西 方 向 )に EW 成 分 を、Y 方 向 ( 南 北 方 向 )に NS 成 分 を、Z( 鉛 直 方 向 )に UD 成 分 を 同 時 入 力 した。 入力 時 間 は 0.01 秒 間 隔 で 8 秒 間 とした。 図 6 に 想 定 花 折 地 震 動 の 波 形 を 示 す。 水 平 方 向 の 最 大 値 は 約 1G、鉛 直 方 向 は 約 0.3G であり、0.1G を 超 える 水 平 加 速 度 が 5 秒 程 度 継 続 する。加 速 度 [cm/sec 2 ]加 速 度 [cm/sec 2 ]12009006003000-300-600-900-120012009006003000-300-600-900-12000 2 4 6 8時 間 [sec](a) 東 西 方 向0 1 2 3 4 5 6 7 8時 間 [sec]5. 地 震 応 答 解 析(c) 鉛 直 方 向加 速 度 [cm/sec 2 ]12009006003000-300-600-900-1200図 6 想 定 花 折 地 震 動 波 形0 1 2 3 4 5 6 7 8時 間 [sec]17)(b) 南 北 方 向5-1. 柱 脚 部 の 応 答ここでは、 柱 脚 部 の 水 平 、 鉛 直 挙 動 について 検 討 する。図 7 と 図 8 は、 軸 力 変 動 が 大 きかった 西 端 中 央 付 近 ( 図 1 の X5Y3)における 柱 脚 基 部 の 地 震 応 答 解 析結 果 である。 両 ケースとも、 図 7(b)および 図 8(b)に 示 すように、 柱 脚 部 の 軸 力 を 見 ると 浮 き 上 がらないまでも、 軸 力 は 0 付 近 まで 達 している。 軸 力 変 動 幅 は、 初 期 軸 力 約 40kN に 対 して 0~80kN と 大 きい。CASE 1 では、 図 7(a)に 示 すとおり 水 平 バネは 線 形 領 域 にとどまっており、0.1mm 以 下 の 応 答 である。一 方 CASE 2 では、 図 8(a)に 示 す 柱 脚 部 の 水 平 方 向 では 柱 脚 水 平 バネが 非 線 形 化 したのち、 軸 力 が 減 少するために 摩 擦 力 が 低 下 している。 図 8 の 赤 丸 の 点 で 示 されている 軸 力 及 びせん 断 力 は 同 一 時 間 の 値であり、 軸 力 がほぼ 0 になって、そのときの 水 平 力 が 0 近 くになり、 水 平 変 位 が 図 のマイナス 方 向 に増 加 していることがわかる。 図 7 の CASE 1 と 比 較 して 軸 力 変 動 の 影 響 は 水 平 バネの 挙 動 に 大 きく 影 響している。また 図 7(a)の CASE 1 では 線 形 応 答 にとどまり 残 留 変 位 が 生 じないのに 比 較 して、 図 8(a)の CASE 2 では 約 0.25cm 残 留 変 位 がある。次 に 図 9 は CASE 2 の 東 北 角 ( 図 1 の X13Y14)の 地 震 応 答 解 析 結 果 である。 柱 は 浮 き 上 がっているが、その 量 は 図 9(b)に 示 すとおり 10 -8 cm レベルと 非 常 に 小 さい。 図 8(a)の 柱 脚 水 平 バネでは、 縦 に 2 本 の線 が 入 っている。これは 柱 脚 が 浮 き 上 がり、 柱 脚 水 平 バネは 復 元 力 0 で 変 位 が 増 大 し、その 後 柱 脚 が再 び 接 地 し 柱 脚 水 平 バネの 応 力 が 再 び 増 加 していることを 示 している。 水 平 方 向 の 変 位 は 0.1cm と 図8(a)より 小 さい。 最 終 的 な 残 留 変 形 は 0.07cm である。 柱 の 浮 き 上 がりが 生 じることと、 水 平 方 向 変 位の 大 小 には 必 ずしも 相 関 がないことがわかる。- -


一 方 、CASE 1 では、 同 じくバイリニア 型 履 歴 復 元 力 特 性 を 仮 定 しているにもかかわらず、 図 8 や 図9 と 同 位 置 の 水 平 バネの 非 線 形 化 は 生 じていない。これは 柱 軸 力 の 変 動 により 摩 擦 力 が 変 動 することの影 響 を 考 慮 していないため、 柱 脚 水 平 バネの 耐 力 が 初 期 軸 力 に 依 存 したままであるためである。 図8(a)では 最 大 応 答 値 が 23kN で、 初 期 軸 力 による 摩 擦 力 35kN まで 達 しておらず、 非 線 形 化 していない。次 に 図 10 は CASE 2 の 図 9 と 同 じ 東 北 角 の 柱 脚 部 のバネの 時 刻 歴 応 答 変 位 である。CASE 2 では 2 秒付 近 で 柱 が 浮 き 上 がり、 柱 脚 水 平 バネの 復 元 力 も 0 となる 時 間 帯 に 変 位 が 急 増 している。これは、 図 6の 地 震 波 を 見 ると 最 大 加 速 度 による 加 振 が 終 了 した 頃 に 滑 っていることになる。 一 方 CASE 1 では 柱 脚水 平 バネの 非 線 形 化 は 生 じず、 変 位 は 小 さい。また、CASE 2 は 最 終 的 に 残 留 変 位 は 約 0.07cm あるのに対 し、CASE 1 の 柱 脚 部 では 残 留 変 位 はなく、 最 大 応 答 変 位 も CASE 2 の 1/10 以 下 である。しかし、CASE2 の 残 留 変 位 も 0.1cm 以 下 であり、 直 径 60cm 高 さ 3.8m の 柱 寸 法 と 比 較 すれば 十 分 小 さい。図 11 は 同 じ 東 北 角 の 時 刻 歴 応 答 軸 力 (+が 引 張 り、-が 圧 縮 )である。CASE 2 では 柱 が 浮 き 上 がり、応 力 負 担 が 0 になっているのに 対 し、CASE 1 では 引 張 方 向 に 軸 力 が 増 加 している。また、 圧 縮 方 向 では CASE 2 と CASE 1 の 差 は 僅 か 0.7%である。 構 造 全 体 の 柱 脚 部 の 軸 方 向 の 応 力 は、 圧 縮 方 向 で CASE 2は CASE 1 の 99.6%とほぼ 同 じである。 若 干 CASE 2 で 軸 力 の 減 少 があるのは、CASE 1 は 本 来 柱 が 浮 き上 がる 引 張 り 方 向 の 軸 力 を 超 えても、 引 張 りの 軸 力 を 負 担 し 続 けるため、 他 の 柱 に 圧 縮 方 向 の 軸 力 が生 じたと 考 えられる。しかし、その 差 はわずか 0.6%で 小 さい。また、 引 張 方 向 の 構 造 全 体 の 柱 脚 部 の軸 力 は CASE 2 が CASE 1 の 84%のである。CASE 2 の 柱 脚 の 浮 き 上 がりが 生 じた 位 置 では、CASE 2 の 軸力 は CASE 1 の 0.01% 程 度 と 小 さい。しかし、 浮 き 上 がった 柱 が 着 地 してからの 応 答 は、 着 地 直 後 をのぞいて CASE 1 も CASE 2 もほぼ 同 じである。また CASE 2 の 軸 力 は 最 大 で 約 300kN( 応 力 度 470kPa)で、長 期 許 容 圧 縮 軸 力 ( 応 力 度 6.9MPa) 以 内 である。また CASE 2 の 応 答 せん 断 力 はベースシア 換 算 で 約1.1 となった。 柱 にかかるせん 断 力 は 最 大 で 約 850kN( 応 力 度 740kPa)で、 長 期 許 容 せん 断 力 ( 応 力 度980kPa) 以 内 である。CASE 1 と CASE 2 で 最 大 軸 力 はほぼ 同 程 度 だがせん 断 力 は 約 8% 増 加 している。また 横 架 材 の 最 大 応 答 軸 力 は CASE 1 で 約 770kN( 応 力 度 9.6MPa)、CASE 2 で 約 841kN( 応 力 度 10.5MPa)と CASE 2 は CASE 1 より 約 9% 増 加 している。また 両 方 向 とも 部 材 の 座 屈 ( 応 力 度 10.7MPa)は 生 じていないが、CASE 2 は 部 材 の 座 屈 が 生 じる 寸 前 である。これらより 柱 せん 断 力 及 び 横 架 材 の 軸 力 に 関 しては、 柱 の 軸 力 変 動 の 影 響 を 考 慮 しないと 1 割 程 度 危 険 側 の 評 価 になる。最 後 に、 図 13 が 柱 脚 に 浮 き 上 がりが 生 じた 位 置 を 表 したものである。CASE 2 のモデルに 想 定 花 折 <strong>地震</strong> 動 を 3 方 向 入 力 した 図 13(a)では、 建 築 物 の 端 に 近 い 柱 脚 で 浮 き 上 がりが 見 られる。これは、 均 等 スパンの 貫 構 造 が 半 剛 接 ラーメンとして 機 能 しているため、 外 柱 に 地 震 時 変 動 軸 力 の 影 響 が 現 れたことに 起 因 する。また、 特 に 建 築 物 の 東 端 と 西 端 で 浮 き 上 がりが 多 く 見 られる。この 原 因 は、 懸 造 構 造 のために 南 北 (Y) 方 向 を 構 成 する 構 面 全 てにおいて 柱 脚 高 さ 位 置 が 異 なるのに 対 し、 東 西 (X) 方 向 のほとんどは 同 一 構 面 において 高 さ 位 置 が 同 一 のためである。 南 北 (Y) 方 向 においては、 水 平 変 位 が 柱 脚 高 さ 位置 の 異 なる 部 分 の 横 架 材 の 軸 力 によって 拘 束 されるため、 柱 のせん 断 力 は 高 さが 近 い 柱 脚 に 直 接 伝 達されている。よって、 建 築 物 は 東 西 (X) 方 向 の 外 柱 の 軸 力 変 動 が 大 きくなると 考 えられる。さらに、 花折 地 震 動 は 断 層 が 南 北 に 走 っているため、 想 定 地 震 波 形 が 南 北 (Y) 方 向 で 最 大 929 cm/s 2 、 東 西 (X) 方 向で 最 大 1033 cm/s 2 と 東 西 (X) 方 向 の 方 が 加 速 度 は 大 きく、 当 該 建 物 の 固 有 周 期 における 応 答 スペクトル値 ( 図 12)が 大 きいことも 原 因 であると 推 測 される。また、 想 定 花 折 地 震 動 の 水 平 2 方 向 入 力 した 図 13(b)でも、3 方 向 入 力 とほぼ 同 じ 柱 脚 の 浮 き 上 がりが 生 じている。 浮 き 上 がりが 生 じた 柱 は、(a)(b)どちらもほぼ 同 じであり、4 本 の 柱 のみ 3 方 向 入 力 でしか 浮 き 上 がらない。これら 4 本 の 柱 も、 水 平 2 方 向 入 力 で、 軸 力 はほぼゼロ 近 くにまで 減 少 していた。 一 方 、 想 定 花 折 地 震 動 の 鉛 直 方 向 単 独 入 力 では、 鉛 直 成 分 の 最 大 加 速 度 が 404 cm/s 2 と 1G を 超 えないため、 柱 の 浮 き 上 がりは 生 じない。これらの 結 果 から、 柱 脚 部 の 鉛 直 バネに 及 ぼす 影 響 は、 鉛 直方 向 の 地 震 動 よりも 水 平 方 向 の 地 震 動 の 影 響 が 大 きいと 考 えられる。以 上 の 結 果 から、 柱 脚 部 の 挙 動 において 軸 力 変 動 の 影 響 は 大 きいと 言 える。ここで、 摩 擦 係 数 の 影 響 について 検 討 しておく。ここまでの 検 討 では 摩 擦 係 数 を 1.0 と 仮 定 したが、実 際 の 値 は 不 明 である。そこで、 摩 擦 係 数 を 変 えて 解 析 を 行 い、その 影 響 について 検 討 することにした。 図 14 は CASE 2 において 摩 擦 係 数 を 変 化 させて 検 討 したものである。 木 材 間 の 摩 擦 係 数 として 参考 文 献 13) より 0.5 と 仮 定 した 場 合 ( 図 14-a)と、 水 平 方 向 にすべらないと 仮 定 した 場 合 ( 図 14-b)の計 算 結 果 を 示 す。 図 13 とほぼ 同 じ 箇 所 で 浮 き 上 がりを 生 じており、 浮 き 上 がり 挙 動 に 及 ぼす 摩 擦 係 数の 値 の 影 響 は 小 さいことがわかる。- -


8060200引 張 軸 力柱 せん 断 力 [kN]40200柱 軸 力 [kN]-20-40圧 縮 軸 力-20-60-40-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1水 平 方 向 変 位 [cm]8060-80-5E-09 0 5E-09 1E-08 1.5E-08 2E-08 2.5E-08鉛 直 方 向 変 位 [cm](a) 水 平 方 向 変 位(b) 鉛 直 方 向 変 位図 7 柱 脚 水 平 バネ 変 位 復 元 力 特 性 CASE 1(X5Y3)200引 張 軸 力柱 せん 断 力 [kN]40200柱 軸 力 [kN]-20-40圧 縮 軸 力-20-60初 期 軸 力 Fy-40-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1水 平 方 向 変 位 [cm]-80-5E-09 0 5E-09 1E-08 1.5E-08 2E-08 2.5E-08鉛 直 方 向 変 位 [cm](a) 水 平 方 向 変 位(b) 鉛 直 方 向 変 位図 8 変 位 復 元 力 曲 線 CASE 2(X5Y3)8060200引 張 軸 力柱 せん 断 力 [kN]40200-20柱 軸 力 [kN]-20-40-60初 期 軸 力 Fy圧 縮 軸 力-40-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1水 平 方 向 変 位 [cm]-80-5E-09 0 5E-09 1E-08 1.5E-08 2E-08 2.5E-08鉛 直 方 向 変 位 [cm](a) 水 平 方 向 変 位(b) 鉛 直 方 向 変 位図 9 変 位 復 元 力 曲 線 CASE 2(X5Y3)水 平 方 向 変 位 (Y) [cm]0.020-0.02-0.04-0.06-0.08-0.1-0.12CASE1CASE20 1 2 3 4 5 6 7 8時 間 [sec]図 10 時 刻 歴 応 答 変 位 柱 脚 水 平 方 向鉛 直 軸 力 [kN]403020100-10-20-30-40-50-60-70CASE1CASE20 1 2 3 4 5 6 7 8時 間 [sec]図 11 時 刻 歴 応 答 軸 力- -


加 速 度 応 答 スペクトル [cm/sec 2 ]40003500300025002000150010005000h=0.02h=0.05h=0.10東 西 (X) 方 向 1 次0 0.2 0.4 0.6 0.8 1周 期 [sec](a) 東 西 (X) 方 向加 速 度 応 答 スペクトル [cm/sec 2 ]4000350030002500200015001000500図 12 加 速 度 応 答 スペクトル0h=0.02h=0.05h=0.10南 北 (Y) 方 向 1 次0 0.2 0.4 0.6 0.8 1周 期 [sec](b) 南 北 (Y) 方 向YXYX赤 : 浮 き 上 がり 有 青 :なし赤 : 浮 き 上 がり 有 青 :なし(a)3 方 向 入 力(b) 水 平 2 方 向 入 力Y図 13 CASE 2 における 柱 脚 浮 き 上 がりの 有 無YXYX赤 : 浮 き 上 がり 有 青 :なし赤 : 浮 き 上 がり 有 青 :なし(a)3 方 向 入 力 摩 擦 係 数 0.5(b)3 方 向 入 力 基 部 水 平 方 向 固 定図 14 CASE 2 における 摩 擦 係 数 の 違 いが 軸 力 変 動 に 与 える 影 響5-2. 柱 頭 部 の 応 答ここでは、 建 築 物 の 柱 頭 における 時 刻 歴 応 答 変 位 について 検 討 する。図 15(a)は 西 南 角 (X2Y3) 柱 頭 の 南 北 (Y) 方 向 応 答 変 位 である。この 柱 は、 建 築 物 の 端 に 位 置 し 柱 の 浮き 上 がりが 生 じて CASE 1 と CASE 2 で 波 形 がずれている。これに 対 し 図 15(b)の 建 築 物 の 剛 心 付 近 (X9Y7)柱 頭 の 南 北 (Y) 方 向 応 答 変 位 では、 時 刻 歴 応 答 変 位 波 形 は CASE 1 と CASE 2 でほぼ 同 じ 波 形 である。こ- -


れは、 前 述 のように 建 築 物 の 端 では 柱 脚 鉛 直 バネの 非 線 形 化 が 生 じやすいため、 同 時 に 柱 脚 の 水 平 方向 での 変 位 が 大 きくなり、 残 留 変 位 が 残 っているためであると 推 測 される。CASE 1 と CASE 2 の 最 大 応 答 変 位 の 差 は 建 物 の 端 付 近 で 約 2%、 剛 心 付 近 では 0.5% 以 下 と 小 さい。よって、 構 造 物 の 最 大 応 答 を 評 価 する 目 的 であれば、CASE 1 でも 十 分 実 用 的 だと 言 える。なお 計 算 に要 する 時 間 は 一 般 的 な PC を 用 いて CASE 1 で 約 12 時 間 、CASE 2 で 約 16 時 間 である。変 位 [cm]3210-1-2-30 1 2 3 4 5 6 7 8時 間 [sec](a) 西 南 角 X2Y3CASE1CASE2変 位 [cm]1086420-2-4-6-8-10図 15 時 刻 歴 応 答 変 位 Y 方 向CASE1CASE20 1 2 3 4 5 6 7 8時 間 [sec](b) 剛 心 付 近 X9Y75-3. 残 留 変 位ここでは、 柱 脚 の 残 留 変 位 について 検 討 する。図 16 は CASE 1、CASE 2 ともに、 想 定 花 折 地 震 動 を 3 方 向 入 力 した 場 合 の 残 留 変 位 を、 図 が 見 やすいように 500 倍 して 表 示 した。 柱 脚 の 残 留 変 位 は CASE 1 で 最 大 0.060cm、CASE 2 で 最 大 0.65cm であった( 表 2)。CASE 2 は CASE 1 の 約 11 倍 の 残 留 変 位 であるが、それでもその 変 位 量 は 柱 径 60cm と 比 べれば 小 さい。CASE 2 において、 全 体 的 に 残 留 変 位 が 大 きい 柱 脚 は、 軸 力 変 動 の 大 きい 柱 が 位 置 する 部分 である。これは、 摩 擦 力 が 小 さくなりやすく、 水 平 変 位 が 増 大 しやすいためである。また、 本 宇 では 東 西 方 向 の 残 留 変 位 が 大 きい。この 原 因 は 東 西 方 向 の 最 大 応 答 変 位 は 本 宇 位 置 が 最 も 大 きいためであると 考 えられる。 一 方 、 南 北 方 向 の 残 留 変 位 は Y6 構 面 の 一 部 ( 図 16-b 赤 丸 の 柱 )で 特 に 大 きくなっている。この 位 置 は X6 構 面 にとって 外 柱 であり 軸 力 変 動 が 大 きいことに 加 え、 初 期 軸 力 が 小 さいことが 残 留 変 位 が 大 きくなった 原 因 と 推 測 される。 以 上 より、 残 留 変 位 に 関 して CASE 1 と CASE 2 の 違 いは 顕 著 であり、 残 留 変 位 の 検 討 には 軸 力 変 動 の 影 響 を 考 慮 する 必 要 がある。また 表 3 に 示 したように、CASE 2 において 隣 接 格 子 点 で 残 留 変 位 の 方 向 が 異 なるため、 残 留 する 横架 材 の 軸 力 が CASE 2 は CASE1 の 約 4 倍 となった。しかし、CASE 2 でも 最 大 残 留 軸 力 ( 圧 縮 )は 64kN( 応力 度 80kPa) 程 度 であり、 長 期 許 容 軸 力 ( 応 力 度 6.9MPa) 以 内 である。また、 横 架 材 の 弱 軸 方 向 の 残 留 せん 断 力 は、CASE 2 は CASE 1 の 約 28 倍 であるが CASE 2 でも 最 大 5kN( 応 力 度 6.5kPa)と 小 さい。YXYX(a)CASE 1 (b)CASE 2図 16 柱 脚 残 留 変 位 図- -


6) 柱 脚 の 残 留 変 位 は 軸 力 変 動 を 考 慮 したモデルで 0.65cm、 考 慮 しないモデルで 0.060cm とどちらも 小さい。しかし、 軸 力 変 動 を 考 慮 したモデルの 残 留 変 位 は 考 慮 しないモデルの 10 倍 以 上 であり、 残 留変 位 の 検 討 には 軸 力 変 動 の 影 響 を 考 慮 する 必 要 がある。7) 残 留 変 位 が 大 きい 柱 脚 は 軸 力 変 動 が 大 きかった 柱 の 位 置 する 部 分 である。8) 横 架 材 の 残 留 軸 力 は 柱 の 軸 力 変 動 を 考 慮 したモデルは、 考 慮 しないモデルの 約 4 倍 だが、 長 期 許 容軸 力 以 内 である。9) 最 大 応 答 変 形 角 は 損 傷 限 界 変 形 角 を 超 えるものの 安 全 限 界 変 形 角 以 内 であり、 軸 力 変 動 の 影 響 は 小さい。7. 謝 辞本 研 究 を 進 めるにあたり 多 大 な 協 力 をいただいた 清 水 寺 に 深 く 感 謝 の 意 を 表 する。8. 参 考 文 献1) 花 里 利 一 、 萩 原 幸 夫 、 稲 山 正 弘 、 大 倉 靖 彦 、 三 井 所 清 典 、 坂 本 功 : 木 造 伝 統 工 法 五 重 塔 の 設 計 における 構 造 安 定 性 の 検 討 、 日 本 建 築 学 会 技 術 報 告 書 、 第 7 号 、1999 年 2 月 、pp.33-38.2) 古 堀 徹 、 山 脇 克 彦 、 坂 本 功 、 大 橋 好 光 、 藤 田 香 織 : 重 要 文 化 財 国 分 寺 金 堂 の 耐 震 診 断 及 び 耐 震 補 強(その 1、その 2)、 日 本 建 築 学 会 2001 年 度 大 会 ( 関 東 ) 学 術 講 演 梗 概 集 、C-1、 構 造 Ⅲ、No.22142~22143、2001 年 9 月 、pp.283-286.3) 宮 本 俊 輔 、 宮 澤 健 二 、 入 江 康 隆 、 後 藤 治 : 寺 院 建 築 の 耐 震 診 断 と 耐 震 改 修 事 例 、 日 本 建 築 学 会 構 造系 論 文 集 、 第 593 号 、2005 年 7 月 、pp.87-94.4) 鈴 木 隆 志 、 土 岐 憲 三 ほか: 懸 造 形 式 を 有 する 伝 統 木 造 建 築 物 の 耐 震 性 能 に 関 する 研 究 (その 1~その 5)、 日 本 建 築 学 会 2005 年 度 大 会 ( 近 畿 ) 学 術 講 演 梗 概 集 、C-1、 構 造 Ⅲ、No.22215~22219、2005年 9 月 、pp.429-438.5) 鈴 木 隆 志 、 石 原 透 、 阪 本 大 佑 、 伊 津 野 和 行 、 土 岐 憲 三 : 懸 造 形 式 を 有 する 伝 統 木 造 建 築 物 の 常 時 微動 特 性 と 構 造 特 性 について、 社 会 技 術 研 究 論 文 集 、Vol.3、2005 年 11 月 、pp.175-185.6) 鈴 木 隆 志 、 伊 津 野 和 行 、 土 岐 憲 三 : 懸 造 形 式 を 有 する 伝 統 木 造 建 築 物 の 保 有 水 平 耐 力 と 地 震 応 答 、構 造 工 学 論 文 集 、 日 本 建 築 学 会 、Vol.52B、2006 年 3 月 、pp.477-490.7) 横 山 正 幸 :ガイドブック 清 水 寺 、 法 蔵 館 、1996 年 11 月 、pp.89-104.8) 京 都 府 教 育 文 化 庁 文 化 財 保 護 課 : 国 宝 清 水 寺 本 堂 修 理 工 事 報 告 書 ,1967 年 .9) 日 本 建 築 学 会 : 木 質 構 造 設 計 基 準 ・ 同 解 説 、2003 年 10 月 .10) 稲 山 正 弘 :めりこみ 抵 抗 接 合 の 設 計 ( 貫 構 造 )、 建 築 技 術 、1995 年 11 月 、pp.106-111.11) 文 化 庁 文 化 財 部 : 重 要 文 化 財 耐 震 診 断 指 針 、 平 成 13 年 3 月 .12) 村 上 秀 一 、 井 川 望 、 樫 原 健 一 、 小 堀 徹 、 坂 本 功 : 伝 統 木 造 建 築 物 における 継 手 部 の 構 造 実 験 、その 1 仕 口 形 状 及 び 材 種 の 影 響 、 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、2001 年 9 月 、pp.91-92.13) 森 田 仁 彦 、 花 里 利 一 、 柳 澤 孝 次 : 伝 統 的 木 造 建 築 の 構 造 性 能 評 価 (その 4 木 材 の 摩 擦 試 験 と 車 知の 圧 縮 試 験 )、 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、2002 年 8 月 、pp.219~220.14) 藤 田 香 織 、 木 村 正 彦 、 大 橋 好 光 、 阪 本 功 : 静 的 水 平 加 力 試 験 に 基 づく 伝 統 的 木 造 建 築 の 組 物 の履 歴 モデルと 剛 性 評 価 、 日 本 建 築 学 会 構 造 系 論 文 報 告 集 、 第 543 号 、2001 年 5 月 、pp.121~127.15) 花 里 利 一 、 稲 山 正 弘 、 三 井 所 清 典 、 坂 本 功 : 木 造 伝 統 構 法 五 重 塔 の 設 計 における 構 造 安 全 性 の検 討 (その 7 補 強 効 果 の 検 討 および 修 正 モデルによる 解 析 )、 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、1999 年 9 月 、pp.173~174.16) 軽 部 正 彦 、 林 知 行 、 原 田 真 樹 、 高 橋 好 夫 、 木 村 勉 : 古 代 伝 統 木 造 架 構 の 実 大 水 平 加 力 実 験 (その 2 実 大 架 構 実 験 と 履 歴 性 状 )、 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、1998 年 9 月 、pp.269~270.17) 土 岐 憲 三 、 岸 本 英 明 、 古 川 秀 明 : 花 折 断 層 による 京 都 盆 地 の 3 次 元 非 線 形 有 限 要 素 法 による 地 震 動予 測 、21 世 紀 COE プログラム「 文 化 財 遺 産 を 核 とした 歴 史 都 市 の 防 災 研 究 拠 点 」 平 成 16 年 度 中 間報 告 書 、 立 命 館 大 学 、2005 年 3 月 、pp.113-120.18) 国 土 交 通 省 : 建 築 基 準 法 施 行 令 、 第 3 章 、 第 8 節 、 第 82 条 の 6、2005 年 改 定 .( 受 理 :2005 年 12 月 27 日 )( 掲 載 決 定 :2006 年 11 月 23 日 )- 2-

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