13.07.2015 Views

基礎励振を受ける二重構造体のすべり挙動における ... - 日本地震工学会

基礎励振を受ける二重構造体のすべり挙動における ... - 日本地震工学会

基礎励振を受ける二重構造体のすべり挙動における ... - 日本地震工学会

SHOW MORE
SHOW LESS

Create successful ePaper yourself

Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.

日 本 地 震 工 学 会 論 文 集 第 9 巻 、 第 3 号 、2009基 礎 励 振 を 受 ける 二 重 構 造 体 のすべり 挙 動 における隙 間 部 液 体 の 影 響 に 関 する 検 討古 田 和 久 1) 、 伊 藤 智 博 2) 、 新 谷 篤 彦3)1) 学 生 会 員 大 阪 府 立 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 、 博 士 後 期 課 程 修 士 ( 工 学 )e-mail : kz-furuta@dyna.me.osakafu-u.ac.jp2) 正 会 員 大 阪 府 立 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 、 教 授 博 士 ( 工 学 )e-mail : tom.ito@me.osakafu-u.ac.jp3) 大 阪 府 立 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 、 准 教 授 博 士 ( 工 学 )要 約原 子 力 発 電 所 では 使 用 済 み 放 射 性 廃 棄 物 の 貯 蔵 容 量 が 不 足 しており、それらを 一 時 的 に 保管 する 貯 蔵 施 設 の 建 設 が 計 画 されている。この 貯 蔵 施 設 において、 使 用 済 み 放 射 性 廃 棄 物は、キャニスタと 呼 ばれる 容 器 に 収 納 され、そのキャニスタはキャスクと 呼 ばれる 自 立 した 円 筒 状 の 容 器 に 収 納 される。 一 般 的 に、キャスクは 水 平 な 地 盤 に 固 縛 されずに 自 立 して設 置 されることから、キャスク-キャニスタ 系 は、 自 立 する 二 重 構 造 体 とみなすことができる。したがって、 地 震 時 には 二 重 構 造 体 が 大 きなすべり 運 動 を 生 じることが 懸 念 されている。 地 震 動 に 対 するキャスクのすべり 量 を 低 減 するために、キャスクとキャニスタとの隙 間 に 液 体 を 封 入 し、その 液 体 の 付 加 質 量 を 利 用 した 制 振 方 法 を 提 案 し、その 制 振 効 果 を評 価 する。 本 研 究 では、 解 析 において、キャスクおよびキャニスタは、 互 いにばねおよび減 衰 器 で 連 結 される 剛 体 として 取 り 扱 う。キーワード: 二 重 構 造 体 、 地 震 応 答 、すべり、 制 振 、 隙 間 部 液 体1. 緒 言原 子 力 発 電 所 で 生 成 される 高 レベル 放 射 性 廃 棄 物 の 一 つである 使 用 済 み 核 燃 料 は、 増 加 の 一 途 をたどり、 原 子 力 発 電 所 において 貯 蔵 する 場 所 が 不 足 しつつある。そこで 使 用 済 み 核 燃 料 を 一 時 的 に 貯 蔵 する施 設 の 建 設 が 計 画 されている。 使 用 済 み 核 燃 料 は、キャニスタと 呼 ばれる 容 器 に 収 納 され、そのキャニスタはキャスクと 呼 ばれる 容 器 に 収 納 される。 一 般 的 にキャスクは、 地 盤 に 固 縛 されずに 自 立 している。一 方 、 我 国 では 近 年 巨 大 地 震 が 頻 繁 に 発 生 しており、 地 震 時 のキャスクのすべりやロッキングの 発 生 が懸 念 され、それによる 衝 突 、 転 倒 、あるいはキャニスタの 破 損 を 防 止 することは 非 常 に 重 要 であると 考えられる。従 来 、キャスク 単 体 のような 自 立 した 剛 体 が 基 礎 励 振 を 受 ける 場 合 のすべりやロッキング 現 象 については、 多 くの 研 究 が 成 されている。Ishiyamaは、 鉛 直 平 面 内 での 剛 体 の 挙 動 を6つの 種 類 に 分 けて 解 析している 1) 。Shentonらは、 鉛 直 平 面 内 での 剛 体 の 挙 動 に 対 して 運 動 方 程 式 を 導 出 している 2) 。これらの 研究 は、いずれも 剛 体 単 体 のすべり・ロッキング 運 動 を 取 り 扱 ったものであり、 外 部 構 造 物 と 内 部 構 造 物- 1 -


とからなる 二 重 構 造 体 のすべり・ロッキング 運 動 を 検 討 した 研 究 は、ほとんど 見 受 けられない。そこで著 者 らは、 正 弦 波 加 振 時 の 二 重 構 造 体 のすべり・ロッキング 運 動 における 内 部 構 造 物 の 影 響 について 検討 を 行 い、 内 部 構 造 物 の 存 在 により 外 部 構 造 物 のすべり・ロッキング 運 動 が 抑 制 される 可 能 性 を 示 している 3)~8) 。本 研 究 では、 内 部 構 造 物 と 外 部 構 造 物 との 隙 間 部 に 液 体 を 封 入 した 状 態 で、 水 平 方 向 に 地 震 外 力 が 作用 したときの 二 重 構 造 体 のすべり 挙 動 の 解 析 を 行 い、 内 部 構 造 物 および 液 体 の 付 加 質 量 が 二 重 構 造 体 のすべり 運 動 に 及 ぼす 影 響 を 明 らかにするとともに、その 制 振 効 果 について 検 討 する。2. 解 析 モデル図 1(a)に 示 すように、 実 際 のキャスク-キャニスタ 系 は、キャニスタの 上 下 端 がキャスクの 上 底 と 下底 とに 把 持 されるように 非 常 に 硬 いばねで 支 持 され、キャスクは 上 下 方 向 の 変 位 を 拘 束 されている。この 状 態 で、キャスクに 地 震 外 力 が 作 用 すると、キャニスタは 両 端 支 持 はりのように 変 形 する。したがって 本 研 究 では、 図 1(a)に 示 すように、キャニスタが 両 端 支 持 はりの1 次 モードで 振 動 すると 想 定 して、図 1(b)に 示 すように、キャニスタを 質 点 とみなし、このキャニスタがキャスクから 見 て 横 方 向 にだけ 変位 するようにキャスクにばね 支 持 されているとする。このモデルにおいて、キャスクが 地 盤 に 固 縛 されずに 自 立 している 状 態 で、 水 平 方 向 に 地 震 外 力 が 作 用 したときの2 自 由 度 連 成 系 のすべり 運 動 を 考 える。キャスクは 中 空 円 筒 状 の 剛 体 であり、キャニスタの 初 期 位 置 はキャスクの 重 心 Gにあり、キャスク-キャニスタ 系 の 運 動 は 鉛 直 平 面 内 で 起 こるものと 仮 定 する。図 2に、ロッキングしないですべるときの 解 析 モデルの 座 標 系 を 示 す。 理 論 的 には、すべりとロッキングとが 同 時 に 起 こる 場 合 も 考 えられるが、 簡 単 な 模 型 実 験 で 観 察 したところ、すべりが 先 に 生 じる 体 系ではロッキングが 生 じにくく、 逆 にロッキングが 先 に 生 じる 体 系 ではすべりが 生 じにくい 結 果 となっている。したがって、ここでは 検 討 の 初 期 段 階 として 簡 明 化 を 図 り、すべり 運 動 にはロッキングが 伴 わないものとする。キャスクモデル 化G.キャニスタ(a) 実 際 の 二 重 構 造 体(b) 解 析 モデル図 1 実 際 の 二 重 構 造 体 および 解 析 モデル 化3. 運 動 方 程 式3.1 同 心 二 重 円 筒 構 造 物 の 内 筒 および 外 筒 が 連 成 振 動 する 場 合 の 液 体 の 付 加 質 量本 節 では、 二 重 構 造 体 を 図 3に 示 すような 同 心 二 重 円 筒 構 造 物 とみなして、その 外 筒 であるキャスクと内 筒 であるキャニスタとの 隙 間 部 に 液 体 を 封 入 し、この 状 態 で 外 力 が 加 わったときに 連 成 振 動 する 場 合のキャスクおよびキャニスタに 加 わる 液 体 の 反 力 を 求 める。このような 場 合 の 液 体 の 付 加 質 量 については、Fritz 9) が 解 析 的 に 評 価 している。 一 方 、キャスク-キャニスタ 系 においても、キャニスタの 上 下 端 には 隙 間 がほとんど 無 く、キャニスタが1 自 由 度 系 として 振 動 した 場 合 、 隙 間 部 の 液 体 は2 次 元 流 れとなるので、ここではFritzの 理 論 を 適 用 する。なお 厳 密 には、 液 体 には 粘 性 があるので 流 動 減 衰 効 果 があると 考 えられるが、ここでは 液 体 付 加 質 量 の 制 振 効 果 を 見 るために、 流 動 減 衰 効 果 については 無 視 することとする。- 2 -


キャスクの 内 径 を2R、キャニスタの 外 径 を2r 0 とし、キャスク・キャニスタの 相 対 変 位 ξ-ζは 半 径 方 向の 隙 間 部 の 間 隔 R-r 0 に 比 べて 小 さく、 液 体 は 非 粘 性 ・ 非 圧 縮 性 流 体 であると 仮 定 すると、 隙 間 にある 流体 は 速 度 ポテンシャルλを 持 つ。したがって、 液 体 の 半 径 方 向 速 度 V r および 周 方 向 速 度 V σ は、 次 式 で 表 される。x hξX2Rキャスク(m 1 )ζxキャニスタ(m 2 )L2r 0液 体 (m f )ξ =0X=0ζ =0a h図 2 ロッキングしないですべるときの 解 析 モデルの 座 標 系ξキャスクRV σV rσζr 0液 体ξ=0キャニスタζ=0図 3 内 筒 および 外 筒 が 連 成 振 動 する 同 心 二 重 円 筒 構 造 物 のモデル∂λ1 ∂λV r = − , Vσ= −(1)∂rr ∂σまた、 境 界 条 件 は 次 式 となる。連 続 の 式 は、 次 式 で 表 される。∂λ−∂r ∂λ= ζ cosσ, − = ξ cosσ∂rr= r0r=R(2)∂∂⎛ ∂λ⎜rr ⎝ ∂r⎞⎟ +⎠式 (3)の 解 を 変 数 分 離 形 で、 次 式 で 仮 定 する。21 ∂ λ= 0r2∂σ(3)λ = f (r) cosσ(4)式 (4)を 式 (2)、(3)に 代 入 すると、22 ∂ f ∂fr + r − f = 0(5)2∂r∂r- 3 -


となり、 式 (5)は 容 易 に 解 けて、fは 次 式 で 表 される。Cf = 1 + C2r(6)rここで、C 1 、C 2 は 定 数 である。 式 (6)を 式 (4)に 代 入 して、 境 界 条 件 式 (2)を 適 用 すると、⎛⎜− C−⎝ rとなるので、 定 数 C 1 、C 2 は 次 式 で 表 される。⎞⎟cosσ ⎛ − C1⎞= ζ cosσ, − ⎜ + C2⎟cosσ= ξ cosσ2⎠⎝ R ⎠1+ C2 20C2 2R r01 =,2 2R − r02ζr0−ξR( ζ − ξ ) C2=20(7) 2 (8)2R − r一 方 、キャニスタおよびキャスクに 作 用 する 液 体 の 反 力 F f1 、F f2 は、Lagrangeの 式 によって 次 式 で 与 えられる。d ∂Tf ∂Tfd ∂Tf ∂TfFf1 = − + Ff= − +dt ∂ ζ ∂ζ, 2dt ∂ ξ ∂ξ(9)ここで、T f は 液 体 の 運 動 エネルギーである。キャニスタの 振 幅 が、 隙 間 部 の 間 隔 R-r 0 に 比 べて 充 分 に 小 さいと 仮 定 すると、 式 (9)の 右 辺 第 2 項 は 無視 できる。したがって、d ∂Tfd ∂Tf1 = − , F = −∂ f(10)dt ζdt ∂ ξFf2と 表 される。一 方 、 液 体 の 運 動 エネルギーT f は、 次 式 で 表 される。T2π12 2∫∫ f rLdrdσ( Vr+ Vσ)= Rfr00 2ρ (11)ここで、ρ f は 流 体 の 密 度 、Lはキャニスタの 軸 線 方 向 の 長 さである。また、 液 体 の 半 径 方 向 速 度 V r および 周 方 向 速 度 V σ は、 次 式 で 与 えられる。式 (11)をζ 、ξ で 偏 微 分 すると、 次 式 のようになる。⎛ C1⎞⎛ C1⎞V r = ⎜ − C2⎟cosσ , Vσ = ⎜ + C2⎟sinσ(12)22⎝ r ⎠⎝ r ⎠∂Tf 1= ρ f L∂ ζ 2式 (8)、(12)から、R∫∫2π⎛2 2⎜∂Vr∂Vσrdrdσ+⎝ ∂ ζ ∂ ζ⎞⎟,⎠∂Tf 1= ρ f L∂ ξr00 2R∫∫r002π⎛ 2⎜∂Vrrdrdσ⎝ ∂ ξ22⎛2∂V⎞ ⎫r ∂Vr⎛ C1⎞ r0⎜R⎟2= 2V= 2⎜− C2⎟−1cos σ ⎪∂ rζ ∂ 22 2 2ζ ⎝ r ⎠ R − r0⎝ r ⎠ ⎪22⎛2⎞ ⎪∂Vr∂Vr⎛ C1⎞ r0= = − ⎜ − ⎟ ⎜r0− ⎟ 22V2 C⎪21 cos σ∂ rξ ∂ 22 2⎝ ⎠ −2ξ r R r⎝ ⎠⎪0r22⎬∂ ∂ ⎛ ⎞ ⎛2V⎞σ VσC1r0= = ⎜ + ⎟ ⎜R⎟22V⎪σ 2 C2+ 1∂ ∂ ⎝ ⎠ −sin σ22 2 2ζ ζ r R r⎪0 ⎝ r ⎠ ⎪22∂ ∂ ⎛ ⎞ ⎛2V⎞σ VσC1r0⎜r0⎟ 2 ⎪= 2Vσ= −2⎜+ C2⎟+ 1 sin σ22 22⎪∂ ξ ∂ ξ ⎝ r ⎠ R − r0⎝ r ⎠⎭∂Vσ+∂ ξ2⎟ ⎞⎠(13)(14)- 4 -


となるので、 式 (13)に 式 (14)を 代 入 すると、∂Tf⎛= ⎜Rπρ∂ f Lζ⎝ R22+ r− r202020r22 2Rr0ζ −2R − r20⎞ ξ ⎟,⎠∂T⎛ 2f= − ⎜2Rr0πρ∂ f Lξ2⎝ R − r220 Rζ −R22+ r− r2020⎞2R ξ ⎟⎠となり、 式 (10)に 式 (15)を 代 入 すると、⎛ 2 22 2⎞⎛ 2 2 2 2⎞⎜R + r02⎟⎜+= −πρ ζ2Rr0− 2Rr0ξ = πρ R r02Fζ − ξ⎟f 1 f L r0, F2 22 2f 2 f LR(16)2 2 2 2⎝ R − r0R − r0⎠⎝ R − r0R − r0⎠となる。ここで、M221 = f Lr0, M 2 = πρ f LR ,22020(15)R + rπρ M H = M1(17)2R − rとおくと、 式 (16)から、キャニスタおよびキャスクに 作 用 する 液 体 の 反 力 F f1 、F f2 は、 次 式 で 表 される。( M + M ) ξ F = ( M + M ) ζ − ( M + M M )ξ F f 1 = −MHζ+ 1 H , f 2 1 H 1 2 + H(18)3.2 二 重 構 造 体 のすべり 運 動 方 程 式本 節 では、 水 平 方 向 に 基 礎 励 振 を 受 けるときの 二 重 構 造 体 のすべり 運 動 方 程 式 を 導 出 する。キャスクが 地 盤 上 ですべり 始 める 条 件 を、 次 式 に 示 す。m a cx − kx − F > ( m + m m )g(19)1 h − f 2 μs1 2 +ここで、m 1 はキャスクの 質 量 、a h は 地 盤 の 加 振 加 速 度 、cは 粘 性 減 衰 係 数 、kはキャニスタを 支 持 するばねのばね 定 数 、xはキャスクから 見 たときのキャニスタの 相 対 変 位 、μ s はキャスクと 地 盤 との 間 の 最 大 静止 摩 擦 係 数 、m 2 はキャニスタの 質 量 、m f は 隙 間 部 液 体 の 質 量 、gは 重 力 加 速 度 である。キャスクのすべり 運 動 方 程 式 は、 次 式 で 表 される。m ξ cx + kx + Ff − F(20)1 = 2ここで、ξはキャスクの 絶 対 変 位 、Fはキャスクがすべっているときの 摩 擦 力 であり、それぞれ 式 (21)、式 (22)で 表 される。fξ = x h + X(21)( m + m m ) g sgn( X)F = μ (22)k1 2 +ここで、μ k はキャスクと 地 盤 との 間 の 動 摩 擦 係 数 、x h は 地 盤 の 変 位 、Xは 地 盤 から 見 たキャスクの 相 対 変位 であり、sgnは 符 号 関 数 である。一 方 、キャニスタの 運 動 方 程 式 は、 次 式 で 表 される。m ζ = −cx− kx + F(23)2 f 1ここで、ζはキャニスタの 絶 対 変 位 で、 次 式 で 表 される。fζ = x h + X + x(24)4. 数 値 解 析4.1 解 析 諸 元本 研 究 における 各 種 パラメータを 表 1に 示 す。キャスクおよびキャニスタの 諸 元 は、 文 献 10) を 参 考 として 設 定 した。- 5 -


4.2 正 弦 波 加 振 時 のすべり 挙 動本 節 では、キャスクは 水 平 方 向 に 正 弦 波 状 の 基 礎 励 振 を 受 けるものとし、そのときの 加 振 加 速 度 a h を次 式 で 表 す。ah= M sin 2πf t(25)ahここで、M ah は 加 振 加 速 度 振 幅 、f ah は 加 振 周 波 数 である。 本 報 において 加 振 加 速 度 振 幅 M ah は、 近 年 観 測された 地 震 波 の 最 大 加 速 度 を 考 慮 して 最 大 20[m/s 2 ]までとし、 加 振 周 波 数 f ah は、 地 震 波 の 卓 越 周 波 数 を 考慮 して1~10[Hz]としている。ah表 1 解 析 諸 元パラメータ 値 単 位m 1 157×10 3 kgm 2 30×10 3 kg2R 1.9 m2r 0 1.6 mL 4.5 mρ f 1000 kg/m 3μ s 0.5 -μ k 0.2 -4.2.1 隙 間 部 液 体 の 有 無 による 時 刻 歴 応 答 の 差液 体 が 隙 間 部 に 封 入 されていない 状 態 のばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 f n を5.00[Hz]( 支 持 ばね 定 数k=3.0×10 7 [N/m])に 設 定 する。 液 体 が 隙 間 部 に 封 入 されると、 液 体 の 付 加 質 量 によって、ばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 f nl は3.02[Hz]に 低 下 する。 加 振 条 件 M ah =6[m/s 2 ]、f ah =8[Hz]としたときの、 液 体 を 封 入した 状 態 の 二 重 構 造 体 における 地 盤 とのキャスクの 相 対 変 位 Xおよびキャスクとのキャニスタの 相 対 変位 xの 時 刻 歴 応 答 を 図 4に 示 す。この 図 に 示 すように、 時 刻 tが0 秒 から0.2 秒 までの 間 では、キャスクはすべらず、キャニスタの 振 幅 は 小 さい。 時 刻 tが 約 0.2 秒 のあたりで、キャスクがX 軸 の 負 方 向 にすべり 出 し、キャニスタの 振 幅 が 大 きくなっている。このときキャニスタは、ばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数f nl =3.02[Hz]で 振 動 する。X [m]0.060.040.020-0.020 2 4 6 8 102 x 10-3t [s]x [m]0-20 2 4 6 8 10t [s]図 4 液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 のすべり 時 刻 歴 応 答(M ah =6[m/s 2 ]、f ah =8[Hz]、f n =5.00[Hz]、f nl =3.02[Hz])- 6 -


隙 間 部 液 体 の 影 響 を 調 べるために、 同 じ 条 件 下 で、 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 における 地 盤 とのキャスクの 相 対 変 位 Xおよびキャスクとのキャニスタの 相 対 変 位 xの 時 刻 歴 応 答 を 図 5に 示 す。この 図 に 示 すように、キャスクの 振 動 中 心 の 最 大 すべり 量 は、 液 体 封 入 時 よりも 大 きくなっており、キャニスタは、ばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 f n =5[Hz]で 振 動 する。したがって、 隙 間 部 液 体 が、キャスクおよびキャニスタの 運 動 に 影 響 を 及 ぼしていることがわかる。X [m]0.060.040.020-0.020 2 4 6 8 100.05t [s]x [m]0-0.050 2 4 6 8 10t [s]図 5 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 のすべり 時 刻 歴 応 答(M ah =6[m/s 2 ]、f ah =8[Hz]、f n =5.00[Hz])4.2.2 キャスクのすべりに 対 する 最 大 すべり 量 とすべり 振 幅 の 入 力 加 速 度 振 幅 および 加 振 周 波 数 依 存 性ばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 f n =5[Hz]とし、 入 力 加 速 度 振 幅 M ah を4~20[m/s 2 ]、 加 振 周 波 数 f ah を1~10[Hz]に 変 化 させ、 液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 に 正 弦 波 入 力 を 加 えたときのキャスクの 最 大 すべり 量 の絶 対 値 Xmax ccl を 求 める。それを 加 振 振 幅 x ah (=M ah /4π 2 f ah 2 )で 割 って 無 次 元 化 した 最 大 すべり 応 答 倍 率Xmax ccl /x ah を 図 6に 示 す。また 同 条 件 で 加 振 したときの 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 の 最 大 すべり 量 の 絶 対値 Xmax cc を、 加 振 振 幅 x ah で 割 って 無 次 元 化 した 最 大 すべり 応 答 倍 率 Xmax cc /x ah を 図 7に 示 す。3030Xmaxccl/ xah20100Xmaxcc/ xah201005fah[Hz]1051510M [m/s 2 ]ah205fah[Hz]1051510M [m/s 2 ]ah20図 6 液 体 封 入 時 のキャスクの 最 大 すべり応 答 倍 率 Xmax ccl /x ah図 7 液 体 未 封 入 時 のキャスクの 最 大 すべり応 答 倍 率 Xmax cc /x ah図 6に 示 す 液 体 封 入 時 のキャスクの 最 大 すべり 応 答 倍 率 Xmax ccl /x ah は、 加 振 加 速 度 振 幅 M ah ≥ 10[m/s 2 ]については 加 振 周 波 数 f ah に 依 存 せずM ah の 増 加 とともに 単 調 に 増 加 している。この 傾 向 は、 図 7に 示 す 液 体未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 の 場 合 でも、ほぼ 同 様 である。しかしM ah


答 倍 率 Xmax ccl /x ah が 大 きくなっている。 一 方 、 図 7では、M ah については6.5[m/s 2 ] 前 後 、f ah については4[Hz]付 近 および8~9[Hz]の 範 囲 で、 最 大 すべり 応 答 倍 率 Xmax cc /x ah が 非 常 に 大 きくなっている。 図 6では、f ahが3[Hz] 付 近 、 図 7では、f ah が5[Hz] 付 近 において、Xmax cc /x ah が 小 さく 抑 えられているが、これは、ばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 に 対 応 しており、キャニスタと 入 力 波 との 共 振 により、キャニスタ 反 力 が大 きくなり、それがキャスクのすべりを 抑 制 する 方 向 に 作 用 しているためと 考 えられる。さらに 液 体 が封 入 されたことによって、Xmax cc /x ah のピークが 大 幅 に 低 減 されていることがわかる。次 に、 液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 のキャニスタの 振 幅 の 最 大 値 x maxccl を 加 振 振 幅 x ah で 割 って 無 次 元 化 した振 幅 倍 率 x maxccl /x ah を 図 8に 示 す。また 同 様 に、 液 体 未 封 入 時 のキャニスタの 振 幅 の 最 大 値 x maxcc を 加 振 振 幅x ah で 割 って 無 次 元 化 した 振 幅 倍 率 x maxcc /x ah を 図 9に 示 す。 図 8および 図 9から、 加 振 周 波 数 f ah がばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 と 一 致 する 付 近 において、キャニスタの 振 幅 倍 率 x maxccl /x ah はピークを 示 しており、これは 前 述 の 入 力 波 との 共 振 を 示 すものである。 図 6および 図 7において、これらのf ah の 範 囲 でキャスクの 最 大 すべり 応 答 倍 率 Xmax cc /x ah が 低 下 していることから、キャニスタは 動 吸 振 器 的 な 挙 動 を 示 していると 考 えられる。さらに、 図 9に 見 られるM ah が6~9[m/s 2 ]、f ah が6~10[Hz]の 範 囲 におけるキャニスタの 振幅 倍 率 の 増 大 を、 図 8に 示 すように、 隙 間 部 に 液 体 を 封 入 したことによって 大 幅 に 低 減 できている。これに 対 応 して、 図 6に 示 すように、キャスクの 最 大 すべり 応 答 倍 率 Xmax cc /x ah も 大 幅 に 低 減 できている。3030xmaxccl/ xah20100xmaxcc/ xah201005fah[Hz]1051510M [m/s 2 ]ah205fah[Hz]1051510M [m/s 2 ]ah20図 8 液 体 封 入 時 のキャニスタの 最 大 振 幅応 答 倍 率 x maxccl /x ah図 9 液 体 未 封 入 時 のキャニスタの 最 大 振 幅応 答 倍 率 x maxcc /x ah4.2.3 キャスクの 最 大 すべり 量 に 対 するキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 の 影 響キャニスタの 外 径 2r 0 を1.4、1.6、1.8[m]と 変 化 させることで、キャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔ΔR(=R-r 0 )を0.25、0.15、0.05[m]に 変 化 させて 数 値 解 析 を 行 い、キャスクの 最 大 すべり 量 に 対 するキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔRの 影 響 を 検 討 した。このとき、 液 体 未 封 入 時 のばね-キャニスタ 系の 固 有 振 動 数 f n ならびに 加 振 加 速 度 振 幅 M ah および 加 振 周 波 数 f ah の 範 囲 は、 図 6の 値 の 範 囲 と 同 様 である。液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 を 基 礎 励 振 したときのキャスクの 最 大 すべり 量 の 絶 対 値 Xmax ccf から、 同 条 件 で加 振 したときの 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 の 最 大 すべり 量 の 絶 対 値 Xmax cc を 引 いた 値 をΔXmaxと 定 義 し、ΔR=0.25[m]の 場 合 のΔXmaxのM ah 、f ah 依 存 性 を 図 10(a)に、ΔR=0.15[m] 場 合 のものを 図 10(b)に、ΔR=0.05[m]の 場 合 のものを 図 10(c)に 示 す。図 10(a)に 示 すキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔR=0.25[m]では、f ah が1~4[Hz]でM ah が4.5~10[m/s 2 ]のときにはΔXmaxの 値 は 正 であり、この 範 囲 では、 隙 間 部 液 体 がキャスクの 最 大 すべり 量 を増 加 させる 方 向 に 作 用 していると 考 えられる。 一 方 、それ 以 外 の 範 囲 では、ΔXmaxの 値 が 概 ね 零 以 下 であり、この 範 囲 では 隙 間 部 液 体 がキャスクの 最 大 すべり 量 を 低 減 させる 効 果 があると 考 えられる。図 10(b)に 示 すキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔR=0.15[m]では、f ah が1[Hz]でM ah が5[m/s 2 ] 前 後および8[m/s 2 ] 前 後 のとき、ΔXmaxの 値 は 正 であり、この 範 囲 では、 液 体 がキャスクの 最 大 すべり 量 を 増加 させる 方 向 に 作 用 している。 一 方 、それ 以 外 の 範 囲 では、ΔXmaxの 値 が 概 ね 零 以 下 であり、この 範 囲では 隙 間 部 液 体 がキャスクの 最 大 すべり 量 を 低 減 させる 効 果 があると 考 えられる。図 10(c)に 示 すキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔR=0.05[m]では、f ah が1[Hz]でM ah が6[m/s 2 ] 前 後 、- 8 -


10[m/s 2 ] 前 後 、13[m/s 2 ] 前 後 および17[m/s 2 ] 前 後 のとき、ならびにM ah が6[m/s 2 ]でf ah が1~3[Hz]のときΔXmaxの 値 は 正 であり、この 範 囲 では、 隙 間 部 液 体 がキャスクの 最 大 すべり 量 を 増 加 させる 方 向 に 作 用 している。 一 方 、それ 以 外 の 範 囲 では、ΔXmaxの 値 が 概 ね 零 以 下 であり、この 範 囲 では 隙 間 部 液 体 がキャスクの 最 大 すべり 量 を 低 減 させる 効 果 があると 考 えられる。また 図 10(a)~(c)を 比 較 すると、 加 振 条 件 によっては、 隙 間 部 液 体 がキャスクのすべり 量 を 助 長 する場 合 があるものの、 全 体 としてみれば、キャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔRが 小 さくなるにつれて、ΔXmaxの 最 大 値 が 小 さくなるとともに、ΔXmaxの 値 が 零 以 下 になる 範 囲 が 多 くなっている。したがって、キャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔRを 小 さくすることによって、 二 重 構 造 体 の 最 大 すべり量 を 低 減 することができると 考 えられる。Δ Xmax [m]200-205f [Hz]ah105101520M [m/s 2 ]ahΔ Xmax [m]50-55f [Hz]ah105101520M [m/s 2 ]ahΔ Xmax [m]20-25f [Hz]ah105101520M [m/s 2 ]ah(a) ΔR=0.25[m] (b) ΔR=0.15[m] (c) ΔR=0.05[m]図 10 キャスクの 最 大 すべり 量 に 対 するキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 間 隔 の 影 響4.2 地 震 波 加 振 時 のすべり 挙 動本 節 では、 水 平 方 向 の 入 力 地 震 波 として、 新 潟 県 中 越 沖 地 震 において 柏 崎 市 で 観 測 された 地 震 波 を 用いた。その 加 速 度 波 形 を 図 11に 示 す 11) 。また、この 入 力 地 震 波 の 加 速 度 応 答 スペクトルを 図 12に 示 す。図 12より 入 力 地 震 波 の 卓 越 周 波 数 は、 約 4[Hz]である。Acceleration [m/s 2 ]100-100 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50Time [s]図 11 新 潟 県 中 越 沖 地 震 加 速 度 波 形 ( 柏 崎 市 ) 11)ここでは、キャスクのすべり 挙 動 を 顕 在 化 させるため、まず、 液 体 未 封 入 時 のばね-キャニスタ 系 の固 有 振 動 数 f n を 前 述 の 地 震 波 の 卓 越 振 動 数 と 同 じ4[Hz]として 地 震 波 を 入 力 し、そのときの 液 体 封 入 時 の二 重 構 造 体 におけるキャスクと 地 盤 との 相 対 変 位 Xおよびキャニスタのキャスクとの 相 対 変 位 xを 求 めた。これらの 時 刻 歴 応 答 を 図 13に 示 す。この 図 に 示 すように、 時 刻 tが0 秒 から 約 9 秒 までの 間 では、キャスクはすべらず、またキャニスタは、 単 なる 線 形 1 自 由 度 系 として 振 動 し、その 振 幅 は 小 さい。 時 刻 tが 約 9 秒 のあたりで、キャスクがX 軸 の 正 方 向 にすべり 出 し、 急 激 に 荷 重 がかかるためキャニスタの 振 幅が 大 きくなっている。そして 時 刻 tが 約 12 秒 のあたりで、キャスクのすべりが 止 まり、 再 びキャニスタは、線 形 1 自 由 度 系 として 振 動 し、その 振 幅 は 徐 々に 小 さくなる。キャスクがすべり 出 すときには、このようなキャスク、キャニスタ、 液 体 との 相 互 作 用 による 反 力 も 考 慮 したすべり 条 件 式 (19)を 満 足 していると 考 えられる。またキャスクがすべり 始 める 毎 に、キャニスタの 振 幅 が 大 きくなっていることが 確 認 できる。- 9 -


Acc. Resp. Spec.[m/s 2 ]252015105ζ=0.01ζ=0.05ζ=0.1010 -1 10 0 10 1Period [s]図 12 加 速 度 応 答 スペクトル0.04X [m]0.0200.020 10 20 30 40 50t [s]x [m]0-0.020 10 20 30 40 50t [s]図 13 地 震 波 入 力 に 対 する 液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 の 時 刻 歴 応 答隙 間 部 液 体 の 影 響 を 調 べるために、 同 じ 条 件 下 で、 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 がすべり 運 動 する 場 合について 数 値 解 析 を 行 った。キャスクと 地 盤 との 相 対 変 位 Xおよびキャニスタのキャスクとの 相 対 変 位 xの 時 刻 歴 応 答 を 図 14に 示 す。 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 のすべり 運 動 の 挙 動 は、 図 13に 示 す 液 体 封 入 時の 二 重 構 造 体 のすべり 運 動 に 似 ている。しかし、キャスクの 最 大 すべり 量 を 比 較 すると、 図 14に 示 す 液体 未 封 入 時 ではX=0.032[m]に 対 して、 図 13に 示 す 液 体 封 入 時 ではX=0.019[m]と 小 さくなっており、 液 体封 入 時 の 二 重 構 造 体 の 方 が 移 動 量 が 小 さくなっている。これからも 隙 間 部 液 体 の 存 在 が、キャスクのすべりを 抑 制 する 効 果 を 持 つことがわかる。さらに、 液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 について、キャニスタの 外 径 2r 0 を1.4、1.6、1.8[m]と 変 化 させることで、キャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 ΔRを0.25、0.15、0.05[m]に 変 化 させて、そのときの 最 大 すべり 量 と、 液 体 未 封 入 時 の 最 大 すべり 量 とを 比 較 したものを 図 15に 示 す。なお、ΔRが0.25、0.15、0.05[m]の 場 合 のばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 f nl は、それぞれ3.7、2.9、1.7[Hz]である。この 図 から、 液 体 封入 時 の 二 重 構 造 体 の 方 が 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 よりもキャスクの 最 大 すべり 量 が 小 さく、 隙 間 部 液- 10 -


体 による 制 振 効 果 があることがわかる。また、 隙 間 部 の 間 隔 ΔRが 小 さくなるとともに、ばね-キャニスタ 系 の 固 有 振 動 数 f nl が 低 下 し、 図 12に 示 す 入 力 地 震 波 の 加 速 度 応 答 スペクトルの 読 み 取 り 値 は、 若 干 変化 するが、その 変 化 幅 は 小 さく、キャスクのすべりに 与 える 加 速 度 応 答 スペクトルの 凹 凸 の 影 響 は 無 視できるものと 考 えられる。 以 上 のことから、キャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 液 体 は、キャスクのすべりを 抑 制 する 効 果 を 有 し、 隙 間 部 の 間 隔 ΔRを 小 さくするほど、 付 加 質 量 M H が 大 きくなり、その 結 果 、隙 間 部 の 間 隔 ΔRを 小 さくした 場 合 に 制 振 効 果 が 大 きくなる 傾 向 にあることがわかった。0.04X [m]0.0200.020 10 20 30 40 50t [s]x [m]0-0.020 10 20 30 40 50t [s]図 14 地 震 波 入 力 に 対 する 液 体 未 封 入 時 の 二 重 構 造 体 の 時 刻 歴 応 答0.050.04液 体 未 封 入 時Xmax [m]0.030.020.0100 0.1 0.2 0.3Δ R [m]図 15 地 震 波 入 力 に 対 する 液 体 封 入 時 の 二 重 構 造 体 におけるキャスクとキャニスタとの 隙 間 部 の 間 隔 の 影 響5. 結 言キャスク-キャニスタ 系 を 二 重 構 造 体 として 取 り 扱 い、キャスクとキャニスタとの 隙 間 部 に 液 体 を 封入 して、 水 平 方 向 に 正 弦 波 または 地 震 波 を 入 力 したときのすべり 運 動 を 評 価 し、 隙 間 部 液 体 がキャスクのすべり 量 に 与 える 影 響 を 評 価 した。 隙 間 部 に 液 体 を 封 入 することによって、 液 体 の 付 加 質 量 効 果 により、キャスクとキャニスタとが 液 体 を 介 して 相 互 作 用 し、キャニスタからの 液 体 反 力 がキャスクのすべり 応 答 倍 率 を 抑 制 することがわかった。また、キャニスタの 外 径 を 変 化 させることで、 隙 間 部 の 間 隔 を- 11 -


変 化 させた 結 果 、 隙 間 部 の 間 隔 が 小 さくなるにつれて、キャスクの 最 大 すべり 量 をさらに 低 減 しうることがわかった。参 考 文 献1) Ishiyama, Y. : Motions of Rigid Bodies and Criteria for Overturning by Earthquake Excitations, EarthquakeEngineering and Structual Dynamics, Vol.10, 1982, pp.635-650.2) Shenton, H. W. and Jones, N. P. : Base Excitation of Rigid Bodies I: Formulation, Journal of EngineeringMechanics, Vol.117 ,1991, pp.2286-2306.3) Furuta, K., Ito, T., Shintani, A. : Fundamental Study on Sliding Motions of Two-Degree-of-Freedom CoupledSystems and Rocking Motion of a Rigid Body, Journal of System Design and Dynamics of the Japan Societyof Mechanical Engineers, Vol.2, No.1 , Mar. 2008, pp.36-44.4) 古 田 和 久 、 伊 藤 智 博 、 新 谷 篤 彦 : 基 礎 励 振 を 受 ける2 自 由 度 連 成 系 のロッキング 現 象 の 検 討 、 日 本機 械 学 会 論 文 集 、C 編 、74 巻 、741 号 、2008 年 5 月 、pp.1093-1098.5) Furuta, K., Ito, T., Shintani, A. : Rocking and Sliding Motions of a Freery Standing Structure Coupled withInner Structure, Proceedings of 2008 ASME Pressure Vessels & Piping Conference (PVP2008) (CD-ROM),July 2008, PVP2008-61086.6) 古 田 和 久 、 伊 藤 智 博 、 新 谷 篤 彦 : 基 礎 励 振 を 受 ける 二 重 構 造 体 のすべり・ロッキング 運 動 における内 部 構 造 物 の 影 響 に 関 する 検 討 、 日 本 地 震 工 学 会 論 文 集 、8 巻 、3 号 、2008 年 8 月 、pp.31-45.7) Furuta, K., Ito, T., Shintani, A. : Effects of the Internal Vibration System on the Rocking Motion of a RigidBody, Proceedings of MOVIC 2008 (CD-ROM), Sept. 2008, 1117.8) 古 田 和 久 、 伊 藤 智 博 、 新 谷 篤 彦 : 地 震 動 を 受 ける2 自 由 度 連 成 系 のすべり 運 動 の 検 討 、 日 本 機 械 学会 論 文 集 、C 編 .( 掲 載 決 定 )9) Fritz, R. J. : The Effect of Liquids on the Dynamic Motions of Immersed Solids, ASME Journal ofEngineering for Industry, Feb. 1972, pp. 167-173.10) 電 中 研 レビュー 第 52 号 、2006 年 、 財 団 法 人 電 力 中 央 研 究 所 .11) 防 災 科 学 技 術 研 究 所 強 震 ネットワーク Kyoshin Net (K-NET) http://www.k-net.bosai.go.jp/k-net/( 受 理 :2008 年 11 月 12 日 )( 掲 載 決 定 :2009 年 1 月 28 日 )- 12 -


Study on the Influence of Liquid in an Annular Regionon Sliding Motion of a Dual Structure Subjected to Base ExcitationFURUTA Kazuhisa 1) , ITO Tomohiro 2) and SHINTANI Atsuhiko 3)1) Student Member, Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University2) Member, Professor, Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University, Dr. Eng.3) Associate Professor, Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University, Dr. Eng.ABSTRACTIn nuclear power stations, the storage of a lot of spent fuels is becoming a serious problem because of the shortageof the residual space of the spent fuel pool. It is planned to construct an another plant where the spent fuels aretemporarily stored. In that plant, the spent fuels will be installed in a container called canister. The canister, in turn,will be stored in an outer cylindrical container called cask, which will be a free-standing structure. Thus, thecask-canister system is seen as a two-degree-of-freedom coupled system. Therefore, it is very important to evaluatethe sliding motion of the cask-canister system subjected to seismic excitations. In an analytical model, the canisterand the cask are treated as rigid bodies that are connected by a spring and a dashpot, and liquid is encapsulated inan annular region between the cask and the canister. The equations of motion are derived for the sliding motionwhen the floor is subjected to a horizontal base excitation. The sliding displacement of the cask and the relativedisplacement of the canister against the cask are evaluated by numerical simulations. The effects of the liquid inthe annular region is effective in reducing the sliding motion of the cask.Key Words: Dual structure, Seismic response , Sliding, Damping, Liquid in an annular region- 13 -

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!