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パワーモジュールのシンター技術 - Semikron

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パワーモジュールのシンター<br />

技 術<br />

ハイブリッド 自 動 車 や 電 気 自 動 車 、 風 力 発 電 、 太 陽 光 発 電 、 産 業 用 モータドライブといったハイパ<br />

ワーアプリケーションでは、 高 信 頼 性 で 熱 的 、 電 気 的 に 頑 丈 なパワーモジュールが 求 められます。<br />

はんだフリー 圧 接 技 術 、スプリングコンタクト 技 術 、さらにシンター 技 術 といった 最暷 先 端 アセンブリ<br />

技 術 を 駆 使 して、これらの 要 求 に 応 えることが 出 来曹 ます。 新 技 術 の 部 門 に 所 属 するエンジニアに<br />

は、この 新 しいアセンブリ 技 術 を 開 発 、 最暷 適 化 、 製 品 化 することが 求 められてきました。


銀 シンター 技 術 は 1994 年 以 来曹 、チップと DCB との 接 続 に 使 われてきました。それ 以 前 にも、 数<br />

ある 国 際 会 議 の 場 において、シンターによる 銀 接 合 層 の 信 頼 性 に 関 わる 特 性 や 優 位 性 について<br />

解 析 、 報 告 されています。しかし、このタイプの 接 合 技 術 は、パワーエレクトロニクス 分 野 で 適 用 で<br />

きるまでには 達 していない 事 も、 当 時昷 明 らかでした。<br />

シンター 技 術 の 基 礎<br />

シンターを 用 いたチップ-DCB 間 の 接 続 は、 単 に 独 自 の 銀 粒 子 、 特 定 の 条曵 件 においてなされ、<br />

信 頼 性 の 高 い 接 続 を 実 現 します。Figure 1 にシンター 接 続 前 後 の 銀 粒 子 を 示 します。この 銀 粒 子<br />

の 一 つ 一 つが、 特 殊 コーティング 材曩 料 により 囲 まれている 点 が 重 要 です。 接 続 方 法沵 は 単 純 で、 銀<br />

粒 子 を 規 定 厚 さでチップ-DCB 間 に 置 き、 規 定 の 温浲 度 、 圧 力 を 規 定 時昷 間 印 加 し、 安 定 したシンタ<br />

ー 接 続 を 得 ます。しかし、これは 最暷 初 の 技 術 評 価 段 階 においてのみ 十 分 といえる 状 態 です。<br />

シンター 技 術 の 工 業 化 に 何 年 も 費 やし、 現 在 、セミクロンが 確 立 、 適 用 しているシンターペースト<br />

の 基 礎 となる 独 自 のシンターペーストが 開 発 されました。さらに、5×7 インチのマルチチップ DCB<br />

を 製 造 する 為 のシンター 接 続 装 置 が 開 発 されました。シンタープレスはプロセスに 適 した 圧 力 を 印<br />

加 できる 様 に 設 計 されました。アセンブリ 担 当 の 製 造 スタッフは 十 分 訓 練 され、 適 用 プロセスは 継<br />

続 的 に 改 善 されています。<br />

Figure 1:シンタープロセス、 1<br />

銀 拡 散 前 ( 左 )/ 後 ( 右 )<br />

シンター 層 により 実 現 されたチップ-DCB 間 の 接 続 の 強 度 は 非 常 に 高 く、 信 頼 性 試 験 結 果 からシ<br />

ンター 層 の 負 荷 サイクル 耐 量 が 優 れていることが 判 ります。さらに、シンター 技 術 の 有暼 利 な 点 は、<br />

はんだ 停 止 層 の 洗泙 浄泵 が 不 要 な 事 です。DCB 上 のチップの 位 置 決 めの 精 度 は 50μm です。 一 方 、<br />

はんだの 場 合 、 精 度 は 400μm で、 画 像 処 理 においてかなり 妨 げとなっていました。<br />

Figure 2:パワーサイクル 2<br />

耐 量 、シンター/はんだチップ


シンター 層 の 厚 みは、はんだ 層 の 4.5 倍 薄 く、4 倍 の 熱 伝 導 率 を 有暼 し、 非 常 に 良 好 な 熱 的 特 性 を<br />

得 ることが 出 来曹 ます(Figure 2 参 照 )。また、はんだ 接 続 と 比 較 して 非 常 に 高 いパワーサイクルを 持<br />

っています。これは 材曩 料 の 融 点 の 違 いによります。シンターに 用 いる 銀 材曩 料 は、 現 在 標 準 的 に 使<br />

われている 鉛 フリーはんだと 比 較 して 4 倍 高 い 融 点 を 持 っています(Table 1 参 照 )。 長 期曋 に 亘 る 実<br />

績 が 実 を 結 び、 “ 完 全 鉛 フリー”のアセンブリ 技 術 が 完 成 しました。<br />

純 銀 銀 シンター 層 錫 銀 はんだ 層 係 数<br />

融 解 温浲 度 °C 961 961 221 4<br />

導 電 率 MS/m 68 41 7.8 5<br />

熱 伝 導 率 W/mK 429 250 70 4<br />

密 度 gr / cm³ 10.5 8.5 8.4 1<br />

熱 膨 張 係 数 µm / mK 19.3 19 28 1<br />

引 張 強 度 Mpa 139 55 30 2<br />

Table 1: 1 標 準 はんだ 層 および 銀 拡 散 によるシンター 層 の 材 料 パラメータ 比 較 ( 高 温 安 定 な<br />

シンター 技 術 による 接 続 層 の 経 年 変 化 はありません)<br />

Figure 3:SKiM 3 63 モジュール 断 面 図 、 圧 接 システム/ゲート<br />

スプリングコンタクト<br />

アプリケーションにおける<br />

におけるシンター<br />

技 術<br />

シンター 技 術 は 22~150kW の 電 鉄 駆 動 、 電 気 自 動 車 、ハイブリッド 自 動 車 向 け IGBT モジュール<br />

SKiM ファミリーに 適 用 されています。SKiM はベースプレート 付 きのはんだ 接 続 のモジュールと 比<br />

較 すると、5 倍 の 熱 サイクル 耐 量 があります。 絶 縁 のための DCB を 銅 ベースプレートにはんだ 接<br />

続 する 代 わりに、すべての 熱 的 、 電 気 的 接 続 に 圧 接 技 術 が 適 用 されています(Figure 3 参 照 )。 圧<br />

力 ポイントが 各 チップ 近 傍 にあるため、DCB が 均 一 な 力 でヒートシンクに 圧 接 されています。ベー<br />

スプレートがないことで、より 優 れた 熱 サイクル 耐 量 と 低 熱 抵 抗 を 実 現 しています。<br />

はんだ 接 続 は 完 全 に 除 外 され、これにより SKiM ファミリーは 市 場 初 の 100%はんだフリーモジュ<br />

ールシリーズとなりました。シンター 技 術 、 圧 接 技 術 およびベースプレートフリー、この 組 合 わせに<br />

より、はんだ 接 続 ベースプレート 付 モジュールと 比 較 して、5 倍 の 熱 サイクル 耐 量 を 実 現 しました。


この 15 年 間 、 最暷 大 許 容 チップ 温浲 度 は 確 実 に 上 がっており、 現 在 、IGBT4 や CAL4 ダイオードと<br />

いった 最暷 先 端 デバイスの 最暷 大 動 作 チップ 温浲 度 は 175℃です。 将 来曹 的 には、シリコンカーバイトの 登<br />

場 により、 接 続 層 の 熱 サイクル 耐 量 の 重 要 性 は 増 してくるでしょう。シリコンカーバイトを 使 用 した<br />

デバイスは 300℃まで 動 作 させることが 出 来曹 ます。シンター 技 術 は、このような 高 温浲 領 域 での 動 作<br />

に 対 して 最暷 適 です。シンター 層 の 材曩 料 の 融 点 は 961℃であり、これは 現 在 一 般 に 使 われているは<br />

んだ 接 続 より、おおよそ 740℃ 高 い 温浲 度 です。シンター 技 術 が 誇 るこの 高 温浲 安 定 性 は 信 頼 性 試 験<br />

結 果 が 証 明 するように、 接 続 層 が 劣 化 しない 事 を 示 しています。<br />

この 何 年 かで、パワー 半 導 体 モジュールのアプリケーションの 範 囲 は 劇 的 に 変 化 しました。 以<br />

前 、パワー 半 導 体 モジュールは 既 定 の 冷 却 条曵 件 /システムで 入 手 が 容 易昒 な 固 定 された 制 御 盤 内<br />

に 搭 載 されていました。 現 在 は、これとは 対 象 的 に、 冷 却 条曵 件 が 110℃の 車 、といった 車 載 アプリ<br />

ケーションに 使 用 されるようになりました。 現 在 の 課 題 はある 冷 却 条曵 件 下 で、 如 何 にしてパワー 半<br />

導 体 部 品 の 最暷 大 許 容 電 流泴 I Cmax を 実 現 するかです。Figure 4 は 2 つのパラメータ、 材曩 料 融 点 と 動 作<br />

温浲 度 の 関 係 、さらには 信 頼 性 を 損 なう 事 なく 高 いチップ 温浲 度 で、 電 流泴 を 制 御 できる 事 を 示 していま<br />

す。<br />

Figure 4:シンターチップ 4<br />

搭 載 モジュールの 融 解 温浲 度 は 動 作 温浲 度 の 6 倍 です<br />

シンターの 将 来曹 性<br />

シンター 技 術 は、さらに 大 電 力 かつ 長 寿 命 、 高 信 頼 性 の 部 品 を 製 造 するための 技 術 の 鍵 となり<br />

ます。 電 気 自 動 車 およびハイブリッド 自 動 車 用 の SKiM モジュールに 適 用 のベースプレートフリー、<br />

圧 接 システム、さらにシンター 技 術 は IPM 新 製 品 、SKiiP 第 4 世 代 の 開 発 に 適 用 されました。その<br />

アプリケーションは 風 力 ・ 太 陽 光 発 電 、エレベータ、トロリーバスおよび 地 下 鉄 等 です。シンター 銀<br />

層 による 5 倍 の 熱 サイクル 耐 量 、チップ-DCB 間 の 強 固 な 接 続 、および 2 倍 のパワーサイクル 耐<br />

量 といったシンター 技 術 の 利 点 は SKiiP 第 4 世 代 においても 存 続 します。

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