JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

7.波及効果・アウトカム
未知の元素の性質を調べ、元素の周期表を構築していくという化学の最も基本的な課題
に取り組んだ。また第7周期遷移元素の化学、シングルアトム化学という未踏の学問分野
の開拓を進めた。本研究テーマでは理化学研究所でも開始され、我が国におけるパイオニ
ア的な取り組みと言える。
重元素の化学的性質に及ぼす相対論的効果(大きな原子核電荷と電子との強い相互作用
で引き起こされる効果)は、相対性理論ならびに元素の周期表という物理と化学における
もっとも基本的な考えや概念がどのよう関連しあっているのかということを明らかにす
ることでもあり、科学の基本として位置づけられる。そのための貴重な成果を得ることが
できた。
最近出版された元素に関する一般書に、当グループの成果が以下のように紹介されてい
る。「中略、日本原子力研究所(現 日本原子力研究開発機構)により、ほかの第 4 族の
元素に比べてラザホージウムがフッ化物を形成する力が非常に弱いことがわかりました。
そのため、一般的に同族元素については通常類似の化学的性質を示しますが、超重元素は
このような周期律に従わない可能性があることが報告されています。」
8.人材育成への貢献
17 年度
・特別研究生受入れ:石井康雄(静岡大学大学院博士課程在学)
・連携大学院:永目諭一郎(東北大学大学院、客員教授、重元素化学特論)
18 年度
・特別研究生受入れ:石井康雄(静岡大学大学院博士課程在学)、當銘勇人(茨城大学大
学院修士課程在学)
・連携大学院:永目諭一郎(東北大学大学院、客員教授、重元素化学特論)
・非常勤講師:永目諭一郎(新潟大学、集中講義)
19 年度
・特別研究生受入れ:石井康雄(静岡大学大学院博士課程在学)
・特別研究生受入れ:當銘勇人(茨城大学大学院修士課程在学)
當銘勇人、修士学位取得、学位論文題目「105 番元素 Db の HF/HNO3 混合水溶液中に
おける化学挙動に関する基礎研究」
・連携大学院:永目諭一郎(東北大学大学院、客員教授、重元素化学特論)
・非常勤講師:永目諭一郎(静岡大学、集中講義)
20 年度
・特別研究生受入れ:石井康雄(静岡大学博士課程在学)9 月 30 日まで
石井康雄、博士学位取得、学位論文題目”The Aqueous Chemistry of Element 104
Rutherfordium - Cation exchange behavior of fluoro complexes -“
・学生実習生受入れ:菊池貴宏(茨城大学理学部在学)
・連携大学院:永目諭一郎(東北大学大学院、客員教授、重元素化学特論)