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JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

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として存在している事がわかる。これらの No の溶出挙動の変化から、No が 2 価イオンか<br />

ら 3 価イオンに酸化され、No 3+ の状態が保持されている事を明確に示す事ができた。さら<br />

に、印加電圧を 0.2 V から 1.2 V まで系統的に変化させて No の溶出挙動を調べた結果、そ<br />

の酸化電位を約 0.75 V と決定した。これは、シングルアトム化学における初めての電気化<br />

学的アプローチの成果であり、世界のいくつかの研究所から共同研究の問い合わせが来て<br />

いる。なお、この成果は J. Am. Chem. Soc. 誌に速報として掲載された。<br />

6.3.超重原子核のα-γ核分光<br />

超重核の核構造や安定性(存在限界)、核分裂特性などの性質は、殻構造と密接に関係して<br />

いる。超重核の殻構造については、これまで主に理論的研究が行われてきた。しかし、殻構造<br />

の最も基本的な特徴である魔法数の位置の予測すら理論によって異なるのが現状で、直接比較<br />

できる実験データの取得が強く望まれている。殻構造は、陽子や中性子の一粒子軌道のエネル<br />

ギー間隔や順序に直接的に現れる。従って、奇質量数の超重核の基底状態や励起準位のエネル<br />

ギー、スピン・パリティ、一粒子軌道配位を実験的に決定することで、超重核の殻構造に関す<br />

る貴重な情報が得られる。このような励起準位の観測にはγ線核分光の手法が有効であるが、<br />

超重核の合成自体がきわめて困難なためほとんど行われていない。本研究では、γ線核分光を<br />

用いて超重核の一粒子軌道のエネルギー間隔や順序を系統的に明らかにし、超重核領域の殻構<br />

造の解明を目指している。<br />

本中期計画では、ガスジェット結合型オンライ<br />

ン同位体分離器やα-γ核分光装置を用いて、陽子<br />

数 101、中性子数 153 を超えるノーベリウム<br />

( 255,257,259 No)ならびにラザホージウム( 257,259,261 回転円盤<br />

Rf)核<br />

ガスジェット搬送<br />

の高精度α-γ核分光実験を行い、それぞれの基底<br />

120 µg/cm<br />

状態や励起準位のエネルギー、スピン・パリティ、<br />

ステッピング<br />

モーター<br />

中性子の一粒子軌道配位を決定することができた。<br />

図6にα-γ核分光装置の概要を示す。<br />

鉛遮蔽<br />

2 261 257<br />

Rf, No<br />

真空槽<br />

薄膜(40枚)<br />

PET<br />

Ge検出器<br />

Si検出器<br />

18 x 18 mm 2<br />

Ge検出器<br />

図6.α-γ核分光装置の概要<br />

257 257<br />

No のα-γ核分光実験では、 No の基底状態の中性子軌道配位を 3/2+[622]と同定し、<br />

同じ中性子数 155 を持つ軽い核の配位とは異なることを明らかにした。またその親核であ<br />

る 261 Rf のα-γ核分光実験では、基底状態の中性子軌道配位を 9/2+[615]と同定するととも<br />

に、これまで不明だった 261 Rf の基底状態と核異性体準位のエネルギー関係を初めて明ら<br />

かにし、 261 Rf 核異性体の中性子軌道配位についても低スピンの 1/2+[620]あるいは 3/2+[622]<br />

の可能性を指摘することができた。その他、 261 Rf と同じ中性子数を持つ 259 No の基底状態<br />

の配位も、 261 Rf と同じ 9/2+[615]であることをα-γ核分光実験の結果から明らかにした。<br />

図7に新しく得られた 261 Rf → 257 No → 253 Fm の壊変図を示す。さらに、 261 Rf の基底状態の<br />

半減期を、新たに 68 秒と決定した。半減期の値は、超重元素の化学実験のデータ解析に<br />

も影響を及ぼすため、精度の良い半減期の決定は重要なテーマの一つである。

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