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JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

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ム(No)の水溶液中での酸化反応を初めて実験的に確認した。<br />

酸化還元電位は価電子の結合エネルギーを直接反映する量で、超重元素の価電子状態を<br />

調べるのに最も適したアプローチの一つである。しかし、原子番号 100 を超える重元素領<br />

域ではシングルアトムレベルでの化学操作を必要とするため、電気化学的な酸化還元反応<br />

の測定は全く行われていない。本研究では、フロー電解法と迅速陽イオン交換分離法を組<br />

み合わせた装置を独自に開発し、半減期 3.1 分で壊変する 255 No を対象に、迅速に酸化・分<br />

離を行うことに成功した。図4に、開発した装置の概要を示す。<br />

シングルアトム化学では、電流測<br />

定に基づく電気化学的手法は適用で<br />

きないが、6.1.で示したように<br />

クロマトグラフ法がきわめて有効で<br />

ある。そこで、作用電極となるカー<br />

ボン繊維を陽イオン交換体で化学修<br />

飾し、これを多孔性ガラス管に充填<br />

してカラム型電極として用いる装置<br />

を新規に開発した。作用電極表面で<br />

は、電圧の印加による酸化還元反応<br />

ならびに陽イオン交換分離を同時に<br />

行うことができる。さらに、カラム<br />

型電極の使用により、迅速にイオン<br />

のクロマトグラフ分離を可能にし、またそのクロマトグラフ挙動から超重元素の酸化還元<br />

電位を測定することができる。本装置を用いて、 248 Cm( 12 C, 5n)核反応で合成される 102 番<br />

元素ノーベリウム( 255 No)を酸化する事に初めて成功した。No は水溶液中では 2 価イオン<br />

(No 2+ )として安定に存在する。しかし No 3+ のイオン半径は、アクチノイド収縮の度合い<br />

を調べる上で鍵となる化学量で、いく<br />

つかの研究グループが No 3+ への酸化と<br />

水溶液中での No 3+ 状態の保持を試みて<br />

きた。しかし、いずれも成功するには<br />

至らなかった。<br />

本研究ではイオンの価数に対して鋭<br />

敏な錯形成反応を示すα-ヒドロキシイ<br />

ソ酪酸(α-HIB)水溶液中で実験を行っ<br />

た。図5に示すように、0.2 V の印加電<br />

圧では、No はα-HIB 水溶液で溶出せず、<br />

カラム電極から全ての保持イオンを流<br />

しだす 3.0 M 塩酸で溶出している(図<br />

5上)。この挙動は、指標として同時に<br />

合成した Yb 3+ とは異なり、Sr 2+ の挙動<br />

と同じであった。そのため、No は 0.2 V<br />

の印加電圧では酸化されず、最も安定<br />

な 2 価イオンとして存在する事がわかる。一方、より高い電圧 1.2 V において、No はα-HIB<br />

水溶液によって溶出している(図5下)。この挙動は Yb 3+ の挙動と全く同じであり、No 3+<br />

図4.フロー電解カラムカラム装置。<br />

0.1 M α-ヒドロキシイソ酪酸 3.0 M 塩酸<br />

80<br />

印加電圧 0.2 V<br />

60<br />

40<br />

Yb<br />

255<br />

20<br />

No2+ 0<br />

溶出液量 / µL<br />

3+<br />

80<br />

60<br />

255No<br />

40<br />

20<br />

0<br />

0 500 1000 1500<br />

3+<br />

印加電圧 1.2 V<br />

Yb3+ 図5.ノーベリウムの溶出挙動。<br />

溶出割合 / %

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