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JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

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6.4.で述べるように、ガスクロマトグラフ法を用いて、揮発性化合物の気相化学挙動<br />

の研究を開始した。<br />

本中期計画では、ドイツ重イオン研究所(GSI)と共同で開発した迅速イオン交換分離<br />

装置 Automated Ion-exchange separation apparatus coupled with the Detection system for<br />

Alpha-spectroscopy (AIDA)の改良を進め、 248 Cm( 18 O, 5n)核反応で数分間に 1 原子の割合で生<br />

成する 104 番元素ラザホージウム( 261 Rf:半減期 68 秒)の水溶液中での化学挙動の研究で最<br />

先端の成果を得ることができた。とくに Rf のフッ化物形成に関してはきわめて特徴的な<br />

性質を見出した。Rf は周期表第 4 族のジルコニウム(Zr)ならびにハフニウム(Hf)の挙動に<br />

よく似た性質を示し、第 4 族元素であることを以前の研究で明らかにしていた。しかし、<br />

本中期計画では Rf のフッ化物形成に関する詳細な研究から、図1に示すようにきわめて<br />

興味深い結果を見出した。ここでは、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO3)の混合水溶液中での<br />

陰イオン交換挙動を示す。すなわち、Rf は Zr ならびに Hf と同様に 6 フッ化物陰イオン<br />

錯体([MF6] 2- : M = Zr, Hf および Rf)を形成するが、Rf のフッ化物錯形成定数は Zr ならび<br />

に Hf の定数に比べて著しく小さい、という結果である。相対論的効果を考慮した定量的<br />

な理解はまだ得られていないが、中心金属(Zr, Hf および Rf)のイオン半径とフッ化物錯形<br />

成の関係から、Rf 4+ のイオン半径が Zr 4+ ならびに Hf 4+ の半径よりも大きいことを示唆する<br />

ことができた。シングルアトムを対象とするこの研究分野では、水溶液中での化学種の決<br />

定や錯形成定数という化学量の取得は初めての成果である。さらに、相対論的効果を考慮<br />

した Rf のイオン半径とフッ化物形成の相関を議論できる高精度のデータを取得できたこ<br />

とは世界的にも高く評価されている。<br />

図1.フッ化物イオン濃度を一定([F - ] =<br />

3.0 × 10 -3 M)にした場合、Rf, Zr および<br />

Hf の陰イオン交換樹脂に対する分配係<br />

数 Kd と硝酸イオン濃度[NO3 - ]の関係。log<br />

Kd と log[NO3 - ]の間に直線関係があり、<br />

Rn-MF 4+n + n⋅NO3 - ⇄ n⋅R-NO3 + MF4+n n-<br />

(M=Rf, Zr および Hf)のイオン交換平衡<br />

が成り立ち、樹脂に吸着しているフッ化<br />

物イオン MF 4+n が硝酸イオン NO3 - によ<br />

って樹脂の結合サイトから脱離してい<br />

く様子を示している。ここで R は樹脂を<br />

あらわし、n の値がこのプロットの傾き<br />

から得られ、樹脂に吸着しているフッ化<br />

物陰イオンの電荷数を表している。<br />

Rf のフッ化物形成で得られた特徴的な性質をさらに 105 番元素ドブニウム( 262 Db:半減<br />

期 34 秒)へと適用した。Db は 248 Cm( 19 F, 5n)核反応で合成されるが、生成量は既存の実験系<br />

で Rf の約 1/5(数分間に 1 原子の割合)と少なくその半減期も 261 Rf の 1/2 である。従って、<br />

Rf を対象とした実験で使用してきたこれまでの手法をそのまま適用するのはきわめて困<br />

難である。そこで、Db の化学分離に対応できる新たな迅速化学分離装置を開発するとも<br />

に、生成量の増加を目指して照射装置の改良を行った。図2に新規の迅速化学分離装置

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