16.07.2013 Views

JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

SHOW MORE
SHOW LESS

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

れる N=82 近傍の中性子過剰原子核の核構造を上記(1)の成果を元に進め、TRIAC に接<br />

続された超伝導線形加速器により加速された 132Sn 領域の短寿命核ビームを用いて、中性子<br />

捕獲断面積の研究を行う計画であった【論文,国際会議招待講演 7】。前者の状況は、先に述<br />

べた通り現在も追及中であるが、後者については、TRIAC を接続し、なおかつ実験室の第<br />

一種管理区域化のめどが立たないため、断念した。<br />

他方、超新星爆発における速い中性子捕獲過程の模型で、鉄までの種核を形成する上で<br />

重要な反応経路となっている 8Li とヘリウム、重水素との反応断面積の高精度測定に成功し<br />

た【論文 17, 23, 101,国際会議招待講演 7, 17】。前者の測定では、従来よりも小さな断面積で<br />

あったことから、種核生成量の減少により、中性子量と種核元素量の比が大きくなるため、<br />

引き続きおこる速い中性子捕獲による重元素生成率が高くなることを示した。また、低エ<br />

ネルギー短寿命核ビームによる核反応測定用に開発した新しいガス検出器は、荷電粒子の<br />

3次元多重飛跡とエネルギー情報をほぼ100%の効率で測定出来る特徴があり、その有<br />

効性を国内外に示すことができた【論文 10】。<br />

(4)適用範囲の広い原子核理論の構築<br />

質量模型に関しては巨視的・微視的模型の一つである KTUY(小浦—橘—宇野—山田)<br />

原子核質量模型を拡張し,超重核における原子核崩壊の計算を実施し、α崩壊、β崩壊、<br />

陽子放出、自発核分裂の各部分半減期を求め、核図表上において予想される崩壊様式の系<br />

統的な性質について調べた。従来、他理論研究者によって陽子数 Z=114 または 126、中性<br />

子数 N=184 の超重核領域の安定性が指摘されていたが、本研究ではそれを大きく越える極<br />

限重原子核領域において “有意に安定な”原子核が広範囲に存在するという理論予測結果<br />

を得た。それは中性子数で N=126,184,228,308 という閉殻領域に沿う形で存在する安定性<br />

の島または岬と表現しうる領域である。そして中性子 N=320 近辺、陽子数 Z=175 近辺が有<br />

意な寿命で存在しうる核種領域の上限であろうことを見いだし,原子核領域の有限性を定<br />

量的に扱うことに成功した。有意な寿命を持って存在しうる原子核の数は、例えば1ナノ<br />

秒程度以上ではおよそ一万一千種程度、1ミリ秒程度以上でおよそ八千種程度であろうと<br />

いう結論を得た【国際会議招待講演 13】。<br />

殻模型の研究においては、任意の関数形の中心力、スピン軌道力、テンソル力を持つ殻<br />

模型相互作用の行列要素を計算するコードを開発し、それを用いて、sd-pf 殻領域(陽子数<br />

20 以下、中性子 20 以上の中性子過剰核)の殻模型計算を遂行した。それにより、軽い核領<br />

域でもテンソル力によって殻構造が大きく変化することを見いだし、特に、閉殻核と予想<br />

されていた42Si が大きく変形するメカニズムをテンソル力によるj-j結合殻ギャップの減少<br />

によって説明することに成功した【論文 37, 75, 77 国際会議招待講演 2, 4, 6, 11, 12 15】。<br />

こうした殻模型有効相互作用構築の手法は普遍性があると考えられ、それを用いてより重<br />

い核の殻構造の変化を予言した。さらに、中性子数 28 を超えると、フェルミ面が p 軌道へ<br />

と移るために、陽子の殻ギャップが平均場模型による予言とは異なり非単調な変化をする<br />

ことを導き、実際、中性子過剰カリウム同位体のベータ崩壊から、こうした非単調な殻変<br />

化が起きている可能性が極めて高いことを見つけた【国際会議招待講演 22】。また、主に<br />

外国の実験との数多く共同研究により、中性子数 20 魔法数消滅に関するより詳細な理解が<br />

得られた【論文 1, 3, 8, 15, 25, 43, 44, 52, 61, 62, 69, 70, 76, 84, 85, 97, 111, 112, 118 国際<br />

会議招待講演 1 】。こうした成果の一方、より重い核の核構造の研究は殻模型計算コードを<br />

完備させることができなかったため、不十分であった。現在、東大グループとスパコン向

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!