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JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構

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56】とともに、中性子過剰のウラン原子核が N=164 で球形閉殻になる可能性を指摘出来た<br />

【論文 49】。さらに、 249 Cm で観測された高角運動量(L=8)の 1/2[880]中性子軌道のエネル<br />

ギー準位は、超重核領域において魔法数と予測される N=184 よりも上に位置すると考えら<br />

れる k17/2 軌道から派生している。従って今回観測された 1/2[620]と 1/2[880]間のエネルギー<br />

差に加えて、この核の変形度が分かれば、超重核領域における N=184 の安定性について、<br />

初めて定量的な模型との比較が可能になる【論文 90】。<br />

132Sn 近傍の核構造研究では、加速器管理課と高エネ機構の共同研究のもと TRIAC によ<br />

る核分裂片加速が成功した【論文 65, 91, 92】。次に傾斜薄膜法による対象とする原子核のス<br />

ピン偏極生成開発を進め、軽い中性子過剰核( 8Li)を用いて手法を確立した【国際会議招待<br />

講演 8】。構成陽子/中性子数が二重閉殻構造となっている 132Sn の1陽子空孔状態である<br />

131In の核磁気モーメント測定に向けたインジウムの偏極生成試験を 123In で継続中である<br />

が、物理上の研究成果にまで至っていない。重い元素であるインジウムの偏極生成機構お<br />

よび生成された偏極を保持するためのストッパーの開発に時間を要している。<br />

(2)極限重原子核合成のための反応特性の解明<br />

重イオン融合反応によって超重核を合成するための最適な反応エネルギーを見いだす手<br />

法として、後方準弾性散乱断面積によるクーロン障壁分布測定法を世界に先駆け確立した。<br />

今後の超重元素合成における強力なプローブである。実際に、冷たい融合反応による超重<br />

核合成に用いられて来た鉛 208Pb を標的核とする種々の入射核( 48Ti, 54Cr, 56Fe, 64Ni, 70Zn)<br />

の反応系でクーロン障壁分布を決定し、分布の広がりが入射・標的核の振動準位へのカッ<br />

プリングを考慮することで説明され、障壁の重心値は従来のクーロン障壁の高さを与える<br />

系統的モデルに比べて低い値となっていることを示した【論文 57, 国際会議招待講演<br />

16,21】。<br />

106番元素よりも重い元素の生成に向けては、まず 238U と入射核( 30Si, 31P, 36,34S, 40Ar)<br />

のタンデム加速器を用いた核分裂(捕獲)断面積および核分裂特性の系統的測定から、 238U の<br />

ラグビーボール型の変形により、サブバリヤ領域で捕獲断面積が増大することを明らかに<br />

した。また、 36S + 238U の系では、反応エネルギーが高エネルギーからサブバリヤになるに<br />

従い、核分裂片の質量数分布が対称から非対称に変化することを発見し、非対称核分裂が<br />

準核分裂によって生じるもので、 78Ni と 208Pb の閉殻性によって現れる超重原子核に固有の<br />

核分裂チャンネルであること示すことができた【論文 73, 国際会議招待講演 20,23】。 質 量<br />

数分布の変化は、複合核生成と準核分裂の競合を示している。この競合は、標的原子核 238U<br />

がラグビーボール型に変形していることにより入射イオンの標的核への入射角に依存する<br />

ことを明らかにした。質量数分布は、散逸揺動力学理論による計算で説明された。上記の<br />

成果から、サブバリヤ領域でも融合する確率が存在することを予測し、4 中性子蒸発過程で<br />

の未知超重原子核の合成探索実験をドイツ GSI と協力して行った。その結果 30Si と 238U の<br />

反応による新同位体 264Sg (Z=106)【論文 26,54 ; 国際会議招待講演 5 】、 34S と 238U の反<br />

応による新同位体 268Hs (Z=108)の合成【招待講演 20,23】に成功した。 268Hs のα崩壊エネ<br />

ルギーは、(Z,N)=(108,162)の変形閉殻構造を仮定した理論によく一致することを示した。<br />

(3)天体における重元素生成機構の解明<br />

爆発的天体でおこるとされる鉄からウラン、トリウムにまで至る速い中性子捕獲過程の<br />

起源天体解明に向けた研究は、質量数130領域の元素存在比ピークを作る滞留核と呼ば

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