JAEA-Evaluation-2010-005-CD.pdf:6.17MB - 日本原子力研究開発機構
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直接経費<br />
(間接経費)<br />
0 1,530 170 310 55,000<br />
(17,000)<br />
57,010<br />
(17,000)<br />
4.研究目的・意義<br />
加速器及び測定技術の進歩により、その存在限界にまで達する原子核の構造や反応機<br />
構の研究が可能となった。原子核の存在限界領域の研究からは、集団をなす核子の新たな<br />
安定性、多体効果が見いだされつつあり、更なる実験的探求と理論の再構築が必要となっ<br />
ている。また広範な不安定核に対する構造・反応機構の情報を基に、天体における元素生<br />
成や星の生成・消滅過程の解明を進められる時期が来た。そこで、質量数の極限領域に焦<br />
点を当て、有機的に関連する次の4つを研究目的とした。<br />
(1)極限重原子核の殻構造の解明<br />
(2)極限重原子核合成のための反応特性の解明<br />
(3)天体における重元素生成機構の解明<br />
(4)適用範囲の広い原子核理論の構築<br />
5. 当初の達成目標<br />
上記目的に沿って具体的に設定した達成目標は以下の通り。<br />
(1) 超ウラン元素領域の中性子過剰核の励起準位の核分光測定から高角運動量状態の粒子<br />
軌道エネルギーを決定し、超重核領域で閉殻構造になると予測される魔法数を検証する。<br />
また、2重閉殻 132Sn 近傍の放射性核種を TRIAC で加速し、核偏極法などにより核磁気モ<br />
ーメント、粒子軌道エネルギー、励起準位のスピン・パリティ等を決定し、中性子過剰核<br />
における閉殻構造の特性を明らかにする。<br />
(2) 重イオン融合反応により超重核を合成する際の融合障壁を実験的に明らかにし、106<br />
番元素以上の超重核の合成を行う。また、超重核領域の未知の核分裂特性を測定し、超重<br />
核の殻構造やポテンシャル構造を明らかにする。<br />
(3) 質量数130領域の中性子過剰滞留核の核分光測定や中性子捕獲率など核反応率の測<br />
定から、超新星爆発など爆発的天体や宇宙初期における重元素生成過程を明らかにする。<br />
(4) 原子核の質量を包括的に予測する新たな質量模型を作成し、重元素の崩壊様式の定量的<br />
な計算をとおして原子核の存在限界を明らかにする。また、殻模型計算に必要な有効相互<br />
作用と計算法を確立し、殻構造の生成・消滅機構を明らかにする。<br />
6. 研究成果<br />
—上記目標項目ごとのおもな成果—<br />
【】内に代表的論文、国際会議招待講演を成果一覧の番号で記してある。<br />
(1)極限重原子核の殻構造の解明<br />
重イオン核子移行反応を利用したγ線核分光法を開発し、U、Pu、Cm、Cf 標的を利用す<br />
ることで、中性子過剰な超ウラン元素領域の核構造研究を開拓した【論文 16, 48,49,56,90】。<br />
本研究で到達した 250 Cm(中性子数 154)は、高スピン状態が明らかにされた原子核としては、<br />
最も中性子数の大きな原子核である。この手法により中性子数 N=152 の中性子準粒子軌<br />
道のエネルギー差が陽子数の減少に伴い理論予測よりも大きく減少していることを示すと<br />
ともに、Pu(陽子数 Z=94)では明確な変形閉殻構造を持たないことを明らかにする【論文